IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7129845配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段
<>
  • -配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段 図1
  • -配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段 図2
  • -配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段 図3
  • -配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】配管構造及び、前記配管構造に用いられる保護手段
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
E03C1/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018150080
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026618
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】西川 明輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083112(JP,A)
【文献】特開2016-211166(JP,A)
【文献】特開2016-109194(JP,A)
【文献】特開平09-210277(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103790216(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流へ排水が流れる配管構造のなかに、メンテナンス作業を要するメンテナンス対象部材が介在しており、前記メンテナンス対象部材、前記メンテナンス対象部材の上流側に位置する上流側排水管部、及び前記メンテナンス対象部材の下流側に位置する下流側排水管部、における所要部分を囲繞する保護手段が設けられている配管構造であって、
前記メンテナンス対象部材と前記保護手段との間には空隙が形成されており、
前記保護手段が前記メンテナンス対象部材を囲繞している使用状態と、
前記保護手段のうち少なくとも一部を移動させることで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出するメンテナンス状態と、
の各状態に選択的に状態変化自在とされており、
前記保護手段は、前記メンテナンス対象部材を囲繞するメンテナンス対象部材囲繞保護管部を備え、
前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部は、前記メンテナンス対象部材における排水の流下方向に沿う方向に伸縮自在な筒部材からなり、
前記使用状態は、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が伸長されて前記メンテナンス対象部材を囲繞している状態であり、
前記メンテナンス状態は、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が収縮されて前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出する状態である
ことを特徴とする配管構造。
【請求項2】
上流から下流へ排水が流れる配管構造のなかに、メンテナンス作業を要するメンテナンス対象部材が介在しており、前記メンテナンス対象部材、前記メンテナンス対象部材の上流側に位置する上流側排水管部、及び前記メンテナンス対象部材の下流側に位置する下流側排水管部、における所要部分を囲繞する保護手段が設けられている配管構造であって、
前記メンテナンス対象部材と前記保護手段との間には空隙が形成されており、
前記保護手段が前記メンテナンス対象部材を囲繞している使用状態と、
前記保護手段のうち少なくとも一部を移動させることで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出するメンテナンス状態と、
の各状態に選択的に状態変化自在とされており、
前記保護手段は、
前記メンテナンス対象部材を囲繞するメンテナンス対象部材囲繞保護管部と、
前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部に対して隣接して配置される排水管部囲繞保護管部と、
を備え、
前記排水管部囲繞保護管部は、囲繞対象の排水管部に対して脱着自在とされており、
前記使用状態は、前記排水管部囲繞保護管部が前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部に隣接している状態であり、
前記メンテナンス状態は、前記排水管部囲繞保護管部が囲繞対象の排水管部から外されて、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が、取り外された前記排水管部囲繞保護管部が位置していた方向に向かって移動することで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出する状態である
ことを特徴とする配管構造。
【請求項3】
上流から下流へ排水が流れる配管構造のなかに、メンテナンス作業を要するメンテナンス対象部材が介在しており、前記メンテナンス対象部材、前記メンテナンス対象部材の上流側に位置する上流側排水管部、及び前記メンテナンス対象部材の下流側に位置する下流側排水管部、における所要部分を囲繞する保護手段が設けられている配管構造であって、
前記メンテナンス対象部材と前記保護手段との間には空隙が形成されており、
前記保護手段が前記メンテナンス対象部材を囲繞している使用状態と、
前記保護手段のうち少なくとも一部を移動させることで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出するメンテナンス状態と、
の各状態に選択的に状態変化自在とされており、
前記メンテナンス対象部材が、上流側排水管部から流れてくる排水を下流側排水管部に向けて間接排水するための間接排水用継手であって、
前記間接排水用継手と前記保護手段との間に形成された空隙は、当該間接排水用継手の内部から外部へ流出する排水が流通可能な逆流水用空隙であり、
前記使用状態は、前記保護手段が前記間接排水用継手を囲繞している状態であり、
前記メンテナンス状態は、前記保護手段のうち少なくとも一部が、前記間接排水用継手の管軸に沿って移動して前記間接排水用継手の少なくとも一部が露出する状態である
ことを特徴とする配管構造。
【請求項4】
前記保護手段における、前記間接排水用継手に臨む内周面の表面の少なくとも一部には、防水機能を備えた防水層が形成されている
請求項3に記載の配管構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の配管構造に用いられる保護手段であって、 前記メンテナンス対象部材の凍結を少なくとも防止する保温機能を有している
ことを特徴とする保護手段
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にメンテナンスが必要な部位を有し、当該部位を含む排水経路が保護手段によって覆われている配管構造、及び前記配管構造に用いられる保護手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば給湯器等の機器のドレン等排水を排出する排水経路に採用されるものであって、下流側の排水管部から排水が逆流して機器に故障等の悪影響を与えてしまうことを防止する間接排水構造は既によく知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
また、例えば寒冷地において、排水管内を流通する排水が凍結することを防止する目的で、保温機能を有した長筒状の保護部材を当該排水管に取り付けたり、シート状の保護部材を当該排水管に巻きつけたりすることも一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-162947号公報
【文献】特開2016-211166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば上記した間接排水構造においては、上述した保護部材等を管路に密着するように装着すると間接排水を適切に行うことができなくなる問題があった。また、間接排水を適切に行うために適宜メンテナンス作業を行う必要があり、メンテナンス作業のたびに保護部材を管材から取り外す必要があるところ、従来の保護部材にあっては作業が極めて煩雑となる問題があった。なお、かかる問題は、間接排水構造に限られず、定期的なメンテナンス作業が必要とされるメンテナンス対象部材を有する配管構造全体が抱える問題である。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、メンテナンス作業の効率が飛躍的に向上する配管構造を提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、メンテナンス作業を必要とする部位を有した配管構造に用いられ、容易に当該部位を外部に露出させてメンテナンス作業の効率を飛躍的に向上させることのできる保護手段を提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、配管構造内を流通する排水が凍結することを適切に防止することのできる保護手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上流から下流へ排水が流れる配管構造のなかに、メンテナンス作業を要するメンテナンス対象部材が介在しており、前記メンテナンス対象部材、前記メンテナンス対象部材の上流側に位置する上流側排水管部、及び前記メンテナンス対象部材の下流側に位置する下流側排水管部、における所要部分を囲繞する保護手段が設けられている配管構造であって、前記メンテナンス対象部材と前記保護手段との間には空隙が形成されており、前記保護手段が前記メンテナンス対象部材を囲繞している使用状態と、前記保護手段のうち少なくとも一部を移動させることで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出するメンテナンス状態と、の各状態に選択的に状態変化自在とされていることを特徴とする配管構造である。
【0010】
ここで、通常状態である前記使用状態にあっては、前記メンテナンス対象部材が前記保護手段によって囲繞されているため、当該保護手段による配管構造の保護が適切に行われる。そして、メンテナンス作業を行う際には、前記保護手段のうち少なくとも一部を移動させて前記メンテナンス対象部材を露出させる。なお、前記メンテナンス対象部材としては間接排水用継手等の逆流自在手段やバルブ等が含まれるが、当該メンテナンス対象部材と前記保護手段との間に空隙が形成されることで、逆流水などの排水が適切に行われたり、バルブ等の可動部分が意図せず可動してしまうことを未然に防止したりすることができる。なお、前記保護手段のうち少なくとも一部が移動するとは、前記保護手段のうち少なくとも一部が通常時とは異なる別の位置に動くことをいう。また、上流側排水管部や下流側排水管部は、常に外気に露出している必要はなく、例えば上流側排水管部が給湯器等の機器内に位置していてもよい。
【0011】
ここで前記構成に加えて、前記保護手段は、前記メンテナンス対象部材を囲繞するメンテナンス対象部材囲繞保護管部を備え、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部は、前記メンテナンス対象部材における排水の流下方向に沿う方向に伸縮自在な筒部材からなり、前記使用状態は、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が伸長されて前記メンテナンス対象部材を囲繞している状態であり、前記メンテナンス状態は、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が収縮されて前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出する状態である構成が提案される。
【0012】
かかる構成とすることにより、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部を伸縮させる操作のみで前記保護手段を前記使用状態と前記メンテナンス状態との各状態に状態変化させることができる。このため、メンテナンス作業の効率が飛躍的に向上する。なお、本構成にあっては、保護手段のなかの前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部以外の部位については伸縮させる操作が不要となるため、例えば当該部位を堅牢な構造体としておくことも可能である。
【0013】
また、上述の構成に代えて、前記保護手段は、前記保護手段は、前記メンテナンス対象部材を囲繞するメンテナンス対象部材囲繞保護管部と、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部に対して隣接して配置される排水管部囲繞保護管部と、を備え、前記排水管部囲繞保護管部は、囲繞対象の排水管部に対して脱着自在とされており、前記使用状態は、前記排水管部囲繞保護管部が前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部に隣接している状態であり、前記メンテナンス状態は、前記排水管部囲繞保護管部が囲繞対象の排水管部から外されて、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部が、取り外された前記排水管部囲繞保護管部が位置していた方向に向かって移動することで前記メンテナンス対象部材の少なくとも一部が露出する状態である構成が提案される。
【0014】
かかる構成とすることにより、メンテナンス作業の効率を飛躍的に向上させることができる。なお、本構成にあっては、前記メンテナンス対象部材囲繞保護管部全体を堅牢な構造体とすることができる。
【0015】
さらに、上述した各構成に加えて、前記メンテナンス対象部材が、上流側排水管部から流れてくる排水を下流側排水管部に向けて間接排水するための間接排水用継手であって、前記間接排水用継手と前記保護手段との間に形成された空隙は、当該間接排水用継手の内部から外部へ流出する排水が流通可能な逆流水用空隙であり、前記使用状態は、前記保護手段が前記間接排水用継手を囲繞している状態であり、前記メンテナンス状態は、前記保護手段のうち少なくとも一部が、前記間接排水用継手の管軸に沿って移動して前記間接排水用継手の少なくとも一部が露出する状態である構成が提案される。
【0016】
かかる構成にあっては、前記間接排水用継手から外部へ排出される排水のための水路が確保されているため、当該間接排水用継手の機能を確実に発揮させることができる。
【0017】
また、前記保護手段における、前記間接排水用継手に臨む内周面の表面の少なくとも一部には、防水機能を備えた防水層が形成されている構成が提案される。
【0018】
かかる構成とすることにより、仮に間接排水用継手から逆流水が排出された場合にも保護手段に水が浸水してしまうことを防止することができる。なお、防水層としては、防水シートが保護手段の内周面に配設されて構成されていてもよいし、保護手段自体が防水機能を有する材料で構成されていてもよい。また、防水層は、特に間接排水用継手よりも下方位置に配設されることが好ましい。
【0019】
また本発明は、前記配管構造に用いられる保護手段であって、前記メンテナンス対象部材の凍結を少なくとも防止する保温機能を有していることを特徴とする保護手段である。
【0020】
かかる構成にあっては、前記配管構造内を流通する排水の凍結を適切に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配管構造は、メンテナンス作業の効率を飛躍的に向上させることができる効果がある。
【0022】
また本発明の保護手段は、前記配管構造内を流通する排水の凍結を適切に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1に係る保護手段が使用状態である配管構造を示す説明図である。
図2】実施例1に係る保護手段がメンテナンス状態である配管構造を示す説明図である。
図3】実施例2に係る保護手段が使用状態である配管構造を示す説明図である。
図4】実施例2に係る保護手段がメンテナンス状態である配管構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の配管構造及び保護手段が、給湯器等のドレン等排水を排出する排水経路に使用された実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0025】
〔実施例1〕
図1に示すように、メンテナンス対象部材としての間接排水用継手10は、上流側に配置された給湯器等の機器70と、下流側に配置された排水本管75との間に配置されて使用される。具体的に間接排水用継手10には、機器70のドレン排水等の排水(以下、ドレン等排水という)を排出する上流側排水管部71の下流端が接続されていると共に、排水本管75に接続されたます74に連通する下流側排水管部73の上流端が接続されている。そして、間接排水用継手10は、上流から流れてくるドレン等排水を、排水本管75に向けて間接排水する機能を有する。
【0026】
間接排水用継手10について、さらに詳述する。
間接排水用継手10は、内部を排水が流通する筒体からなるとともに、間接排水用継手10の筒壁には、内外を連通する貫通穴で構成された通水部11が形成されている。すなわち、通常時は上流側排水管部71から間接排水用継手10に流入したドレン等排水は下流側排水管部73へと流下する。一方、下流側から排水が逆流した場合には、通水部11を通して逆流水が外部へ排出され、逆流した排水が機器70に至って当該機器70を損傷してしまう、ことを防止することができる。
【0027】
なお、間接排水用継手10には、通常時においても排水本管75から下流側排水管部73を通って腐食性ガス等が逆流しないように、図示しない逆止弁が設けられている。逆止弁は定期的に交換する必要があり、間接排水用継手10に対して脱着自在に取り付けられている。
【0028】
次に、本発明の要部について説明する。
本実施例においては、凍結防止の目的のため、下流側排水管部73のうち地上に露出している部分に下流側排水管部囲繞部材20が取り付けられている。詳しくは、下流側排水管部囲繞部材20が、硬質プラスチック材料からなる堅牢なさや管21と、保温カバー22とで構成されており、当該下流側排水管部73の外周を囲繞するようにさや管21が取り付けられていると共に、さや管21の外周には保温機能を有する保温カバー22が取り付けられている。
【0029】
また、下流側排水管部囲繞部材20の直上には、ドレン等排水の流下する方向(本実施例では上下方向)に伸縮自在な筒状の蛇腹管30が取り付けられている。さらに、蛇腹管30の上端部には、パッキン31が脱着自在に取り付けられており、パッキン31によって蛇腹管30は伸長した状態で間接排水用継手10に固定されている。なお、蛇腹管30が伸長して蛇腹管30が間接排水用継手10を囲繞する状態を使用状態αとする。
【0030】
ここで、使用状態αにおいては、蛇腹管30と間接排水用継手10との間に空隙が形成されており、かかる空隙によって逆流水用空隙Sが構成されている。かかる構成とすることにより、間接排水用継手10の間接排水機能が適切に確保されている。また、逆流水用空隙Sが形成されることで、仮に間接排水用継手10がオーバーフローした場合にも、オーバーフロー水を適切に逆流水用空隙Sに排出することができる。
【0031】
一方、間接排水用継手10のメンテナンス作業を行う際には、図2に示したように、まずパッキン31を取り外し、そして次に蛇腹管30の上端を押し下げることで蛇腹管30の一部を下方へ移動させる。これにより、蛇腹管30の全体が収縮し、間接排水用継手10が外部に露出することになってメンテナンス作業を行えるメンテナンス状態βとなる。
【0032】
なお、蛇腹管30によって、本発明にかかるメンテナンス対象部材囲繞保護管部が構成される。また、下流側排水管部囲繞部材20、及び蛇腹管30によって、本発明における保護手段が構成されている。また、機器70、上流側排水管部71、間接排水用継手10、下流側排水管部73、ます74、及び排水本管75を含む配管構造1によって、本発明における配管構造が構成されている。
【0033】
ところで、間接排水用継手10から逆流水が排出される場合があることを考慮して、蛇腹管30又は下流側排水管部囲繞部材20の内周面の表面には、防水機能を備えた防水層が形成されている構成が望ましい。具体的には、蛇腹管30や下流側排水管部囲繞部材20を防水材料で構成する手段が採用可能である。
【0034】
〔実施例2〕
図3及び図4に従って実施例2の配管構造を説明する。なお、実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、間接排水用継手10と下流側排水管部73のうち地上に露出している部分とには、長尺状のメンテナンス対象部材囲繞保護管部40が取り付けられている。ここで、メンテナンス対象部材囲繞保護管部40は、間接排水用継手10と下流側排水管部73のうち地上に露出している部分とを囲繞するさや管41と、さや管41の外周に設けられた保温機能を有する保温カバー42とで構成されている。そして、パッキン43が装着されることで、さや管41及び保温カバー42の上端部が上流側排水管部71に対して固定される。
【0036】
また、メンテナンス対象部材囲繞保護管部40と間接排水用継手10との間には、逆流水用空隙Sが形成されている。
【0037】
さらに、パッキン43の直上には、上流側排水管部71を囲繞する排水管部囲繞保護管部50が、上流側排水管部71に対して脱着自在に取り付けられている。
【0038】
ここで、図3に示した使用状態αにあっては、排水管部囲繞保護管部50はメンテナンス対象部材囲繞保護管部40の上方に隣接して配置されており、凍結が防止されている。
【0039】
そして、間接排水用継手10のメンテナンス作業を行う際には、図4に示したように、排水管部囲繞保護管部50を一旦取り外し、空いたスペースに向かってメンテナンス対象部材囲繞保護管部40を上流側排水管部71側へ移動させる。かかる構成とすることにより、間接排水用継手10が外部へ露出することとなって、メンテナンス状態βとなる。なお、メンテナンス対象部材囲繞保護管部40は、堅牢な素材からなる筒体で構成されていてもよい。
【0040】
ここで、メンテナンス対象部材囲繞保護管部40、及び排水管部囲繞保護管部50によって、本発明における保護手段が構成される。また、機器70、上流側排水管部71、間接排水用継手10、下流側排水管部73、ます74、及び排水本管75を含む配管構造2よって、本発明における配管構造が構成される。
【0041】
上記した実施例1,2における各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。また、例えばさや管21,41や保温カバー22,42等は、従来から知られている構成を好適に使用可能である。また、本発明にかかるメンテナンス対象部材は、間接排水用継手10に限られず、逆止弁やバルブ等のようなものでも構わない。
【0042】
また、実施例1において、例えば上流側排水管部71を囲繞する保護管部を別途設けても構わない。また、下流側排水管部囲繞部材20は下流側排水管部73に密着していてもよい。また、蛇腹管30を上流側へ向かって押し縮めることでメンテナンス状態βとする構成であっても構わない。
【0043】
また、実施例2において、排水管部囲繞保護管部50の長さは、メンテナンス状態βとしたときに間接排水用継手10に対してメンテナンス作業が実行できる程度であればよく、場合によっては他の保護手段が固定的に設けられていても構わない。また、メンテナンス対象部材囲繞保護管部40を下流側へ向かって移動させてメンテナンス状態βとする構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0044】
1,2 配管構造
10 間接排水用継手(メンテナンス対象部材)
20 下流側排水管部囲繞部材(保護手段)
30 蛇腹管(メンテナンス対象部材囲繞保護管部)
40 メンテナンス対象部材囲繞保護管部(保護手段)
50 排水管部囲繞保護管部(保護手段)
71 上流側排水管部
73 下流側排水管部
S 逆流水用空隙(空隙)
α 使用状態
β メンテナンス状態
図1
図2
図3
図4