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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】in-situスペクトル工程監視
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20220826BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20220826BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
G01N21/27 D
G01N21/27 B
G01J3/36
G01N21/85 B
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018152709
(22)【出願日】2018-08-14
(62)【分割の表示】P 2016152880の分割
【原出願日】2016-08-03
(65)【公開番号】P2018197760
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2019-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】14/819,179
(32)【優先日】2015-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エフ キャッチング
(72)【発明者】
【氏名】マーク ケー フォン グンテン
(72)【発明者】
【氏名】カーチス アール フルスカ
(72)【発明者】
【氏名】パウラ スミス
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジー クームス
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-513717(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050464(WO,A1)
【文献】特開2011-253078(JP,A)
【文献】米国特許第9945790(US,B2)
【文献】米国特許第10481100(US,B2)
【文献】特許第6388623(JP,B2)
【文献】欧州特許出願公開第3128303(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G01N 21/84 - 21/958
G01J 3/00 - 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料への浸漬のためのプローブであって、
外側ハウジングと、
前記材料の第1の部分に第1の光を伝送する第1の光源と、
前記外側ハウジング内の開口部から前記外側ハウジング内の出口まで延在する導管と、
前記材料の前記第1の部分から透過、屈折又は反射された第1の光を捕捉し、該捕捉された第1の光を第1の構成波長信号のスペクトルに分離する第1の光学フィルタと、
前記導管は、前記第1の光源と前記第1の光学フィルタとの間で、前記材料の前記第1の部分を内部に流れるようにし、
前記第1の構成波長信号のパワー読取り値を提供する第1の検出器アレイと、
前記材料の第2の部分に第2の光を伝送する第2の光源と、
前記外側ハウジング内に設けられ、前記材料の前記第2の部分からの光に対して光学的に透明な窓と、
前記材料の前記第2の部分から透過、屈折又は反射された前記第2の光を捕捉し、該捕捉された前記第2の光を第2の構成波長信号のスペクトルに分離する第2の光学フィルタと、
第2の構成波長信号のパワー読取り値を提供する第2の検出器アレイと、を備えるプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブにおいて、前記第1の光学フィルタは空間可変フィルタ(SVF)であるプローブ。
【請求項3】
請求項1に記載のプローブにおいて、前記外側ハウジングは、密閉されるプローブ。
【請求項4】
請求項1に記載のプローブにおいて、前記外側ハウジングは、特有の波長に対して光学的に透明な一つ又は複数の窓を含むプローブ。
【請求項5】
請求項1に記載のプローブにおいて、前記第1の光源は、一つ又は複数の搭載白熱灯を含むプローブ。
【請求項6】
請求項1に記載のプローブにおいて、前記導管全体は前記光に対して透明であるプローブ。
【請求項7】
請求項1に記載のプローブにおいて、
前記外側ハウジングの内側に取り付けられ、前記第1の光学フィルタを支持する内部フレームを、更に備えるプローブ。
【請求項8】
請求項1に記載のプローブにおいて、
コントローラと、
前記外側ハウジングの周りに配置され、前記コントローラに接続される一つ又は複数のセンサと、を更に備えるプローブ。
【請求項9】
請求項1に記載のプローブにおいて、
前記第1の光学フィルタ及び前記第2の光学フィルタはそれぞれ下に前記第1の検出器アレイ及び前記第2の検出器アレイを取り付けることにより分光器を形成し、
前記外側ハウジングは、前記分光器を再較正するシャッタを有するプローブ。
【請求項10】
請求項9に記載のプローブにおいて、
前記シャッタは前記光を前記第2の光源から前記第2の光学フィルタに反射させる、前記第2の光源と前記窓との間で回転する較正された反射基準器を含むプローブ。
【請求項11】
材料への浸漬のためのプローブを備えるシステムであって、
前記材料への浸漬のためのプローブは、
シャッタを含む外側ハウジングと、
前記外側ハウジング内の開口部から前記外側ハウジング内の出口まで延在する導管と、
前記材料の第1の部分に第1の光を伝送する第1の光源と、
前記材料の前記第1の部分から透過、屈折又は反射された第1の光を捕捉し、該捕捉された第1の光を第1の構成波長信号のスペクトルに分離する第1の光学フィルタと、
前記導管は、前記第1の光源と前記第1の光学フィルタとの間で、前記材料の前記第1の部分を内部に流れるようにし、
前記第1の構成波長信号のパワー読取り値を供給する第1の光検出器アレイと、
前記材料の第2の部分に第2の光を伝送する第2の光源と、
前記外側ハウジングに設けられ、前記材料の前記第2の部分からの光に対して光学的に透明な窓と、
前記材料の前記第2の部分から透過、屈折又は反射された前記第2の光を捕捉し、該捕捉された前記第2の光を第2の構成波長信号のスペクトルに分離する第2の光学フィルタと、
第2の構成波長信号のパワー読取り値を提供する第2の検出器アレイと、を備えるシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記導管は、前記システムの2つの構成要素の間で、前記材料を内部に流れるようにするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記2つの構成要素は光源又は光学フィルタの一つ又は複数を含むシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
回転アームを、更に備え、
前記シャッタは前記回転アームの端部に取り付けられるシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
内部フレームと、
前記内部フレームに結合される中心アンカーとを、更に備え、
前記回転アームは前記中心アンカーの周りを回転するシステム。
【請求項16】
請求項11に記載のシステムであって、
前記第1の光学フィルタ及び前記第2の光学フィルタはそれぞれ下に前記第1の検出器アレイ及び前記第2の検出器アレイを取り付けることにより分光器を形成し
前記シャッタは前記分光器を再較正するシステム。
【請求項17】
請求項11に記載のシステムであって、前記外側ハウジングは
前記システムが浸漬される材料における動きと安定を容易にする構造的特徴、又は
化学処理を容易にするために使用される物質を貯蔵する収納コンパートメントにアクセスするハッチの
一つ又は複数を、更に含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬剤、食品、蒸留物及び化合物の調合で用いられる製造工程には、混合工程におけるい
くつかの種類のセンサ検査、例えば、スペクトル、pH及び熱のインタロゲーションが含
まれる。これらのセンサは、典型的には、処理容器の壁に取り付けられ、製造工程中にプ
ローブを突き指して工程のパラメータを監視する。しかしながら、位置が固定されている
センサの静止的な性質のため、センサの固定された位置のすぐ近くの生成物に対する検査
能力が制限され、工程の他の部分に関する情報が提供されない。
【背景技術】
【0002】
リニア可変フィルタのスペクトル選択性が低下しないように、可変光学フィルタの一次
側には平行化素子が必要である。光学フィルタは薄い誘電体膜の積層を含むので低下が発
生し得、薄膜フィルタの波長選択性は一般に入射光の入射角に依存する。このため、薄膜
フィルタのスペクトル選択性及び波長精度が低下する。しかしながら、本開示の装置にお
いて、かさばるレンズを取り除くことによって分光器のサイズを更に小さくすることは有
益である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】プローブの上面図である。
図2図1のプローブの断面図である。
図3図3A図3D図1のプローブの代替形状の図である。
図4図1及び図2のプローブの等角図である。
図5】二重SVFフィルタの側面図である。
図6】分光器の側面図である。
図7図7a及び図7bはそれぞれ、図1図4のプローブで使用されるV字状の混合容器の側面図及び端面図である。
図8図1図4のプローブを使用する沈殿タンクの図である。
図9図1図4のプローブを使用する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
液体、粒子及び気体などの流動材における種々の時間及び位置におけるスペクトル評価
は、強力な工程監視能力を提供する。図1及び図2はそれぞれ以下に示す実施例によるプ
ローブの上面図及び断面図である。プローブ1は空間可変フィルタ(SVF)ベースのス
ペクトルプローブとしてもよく、外側ハウジング2を含み、これは一体型又は複数の部分
から成る形状で、密閉することができるため、プローブ1は、プローブが測定する材料に
浸漬される用途において頑強である。外側ハウジング2は用途に応じて、球形1(図1
図2)、ドーナツ形1A(図3A)、丸みを帯びたドーナツ形1B(図3B)、楕円又
は長球形(フットボール形)1C(図3C)及び円柱形1D(図3D)を含むがこれらに
限定されない形状の中の一つ、又はそれらの形状を組み合わせたものから選ぶことができ
る。一実施例において、外側ハウジング2は、ステンレススチール又はポリマー材料など
の耐食材から製作することができる、またはこの材料を含むことができる。
【0005】
外側ハウジング2は、外側ハウジング2上に間隔を空けて配置された一つ又は複数の窓
4を含んでもよいし、又、外側ハウジング2は全体的に透明な、すなわち連続する窓であ
ってもよい。種々の実施例において、外側ハウジング2は1~20の中の任意の数の、又
は20以上の窓4を含んでもよい。一つ又は複数の窓4により、周囲の材料によって反射
又は屈折された光を、プローブ1内の対応する線形的又は空間的に可変の光学フィルタ(
SVF:Spatially Variable Optical Filter)7によって捕捉することが可能となる。
反射光又は屈折光は一つ又は複数の内部光源6、外部光源(図示せず)、周辺光、又はこ
れらの組み合わせから生じる。SVF7は離散的、又は連続的に変化する。フィルタ7は
その他の分散素子、例えば、回折格子もしくはプリズム、又はその他の技術、例えばME
MS、染料及び色素、FTIR並びにラマンをベースにしたものであってもよい。SVF
7は捕捉した光を分析のために構成波長信号(constituent wavelength signals)のスペ
クトルに分離する。
【0006】
窓4は所望する透過及び反射又は屈折波長に対して光学的に透明な適切な材料、例えば
、サファイア、シリコン、テフロン、ガラスなどで製作することができる。内部光源6は
、例えば、可視光(350nm~900nm)及び/又は近赤外(NIR)などの必要と
される光の波長帯を伝送する適切な光源、例えばタングステン又はLED光源とすること
ができる。実施例において、近赤外に関しては、光源6は一つ又は複数の搭載白熱灯、例
えば、真空タングステンランプから構成することができ、これは、計測器の能動領域、例
えばNIRにおいては900nm~1700nm、又は900nm~2150nmの範囲
に亘る、例えば、500nm、700nm又は1000nmを超える広域照明光を提供す
る。ランプ6は一つで十分であるが、二つになると相互に作用する光をより多く試料に提
供するため、積分時間が短くなる。
【0007】
実施例において、図2に示す様に、外側ハウジング2の開口から外側ハウジング2内を
外側ハウジング2の出口へと延在する導管19を設け、光検出器8及びコントローラ12
を介して透過スペクトルを生成するために、例えば液体などの流動材料が外側ハウジング
2内で光源6とSVF7との間を流れるようにする。透過光に対して導管19全体を透明
にして、光が光源6からSVF7まで伝送されるために必要な窓を提供する、又は、導管
19の一つ又は複数の部分を透明にして、透過光、屈折光又は反射光に必要な窓を提供す
ることができる。
【0008】
各SVF7の下には光検出器アレイを取り付けて分光器15を形成し、各構成波長信号
のパワー読取り値(power reading)を生成して、反射光のスペクトルを提供する。各プ
ローブ1内の分光器15の各々が同じスペクトル領域を有していてもよいし、異なる分光
器15が、例えば、重なった又は隣接する異なるスペクトル領域を有し、個々の分光器1
5から広いスペクトル領域を組み合わせられるようにしてもよい。別の実施例においては
複数のファイバ束が含まれ、その各々を結合して一つの分光器15として、光の供給とデ
ータの収集を行ってもよい。各束は異なる窓4と通信を行い、一つの分光器15に順次結
合してもよい。
【0009】
光検出器8は、例えば500nm、600nm又は700nmを超える広帯域検出器ア
レイであり、例えば、950nm~1650nmをカバーする砒化インジウムガリウム(
InGaAs)などがあり、これは所望であれば1150nm~2150nmに広げるこ
とができる。複数の分光器プローブ1及び複数のプローブシステムに関しては、各プロー
ブ1内の異なる分光器15及び各システム内の異なるプローブ1は、異なるスペクトル領
域を持つ光源6、フィルタ7及び光検出器8を有し、例えば紫外線から赤外線までの広い
スペクトルをカバーし、広範囲の試験を可能とする。
【0010】
内部フレーム11を外側ハウジング2の内側に取り付け、SVF7及び光検出器アレイ
8全体を支持することができる。内部フレーム11は、プリント基板材、プラスチック、
金属、セラミック又はその他の適切な材料の中の一つ又は複数から製作することができる
、又はそれらを含むことができる。コントローラ12は内部フレーム11内か、又はその
上に取り付けることができる。コントローラ12は、スペクトルの生成、保存、及び分析
を含むプローブの特徴を全て制御する適切なソフトウェアと共に、プリント基板13に実
装されたプロセッサ及びメモリチップなどの適切なハードウェアを含み、これにより、特
に材料が製造中に移動又は流動する際に材料に浸漬させる、セルフコンテインド(self-c
ontained)のスペクトルプローブ1を提供することができる。
【0011】
プローブ1内に有することのできるその他の種類のセンサ14には、pHセンサ、温度
センサ、圧力センサ、電圧センサ、速度センサ、加速器、ジャイロスコープ、内蔵カメラ
及び赤外線前方監視(FLIR:forward looking infrared)センサがあるが、これらに
限定されない。種々の実施例において、プローブ1はプローブ1の外側ハウジング2の周
りに配置された、複数の同じ及び/又は異なるセンサを含んでもよい。これらの複数のセ
ンサ14により、複数のデータセットをインタロゲーションし、種々の測定品質を向上さ
せることができるようになる。センサ14の各々は、制御及びデータ保存のため、光検出
器アレイ8と共にコントローラ12に接続される。
【0012】
各プローブ1は外側ハウジング2内に、較正基準を表し、較正工程の一部として各分光
器15の前の場所に入る、又はその場所から出る一つ又は複数のシャッタ16を含んでい
る。図2に示す実施例において、シャッタ16は、内部フレーム11に結合された中心ア
ンカー18の周りを回転する回転アーム17の端部に取り付けられている。シャッタ16
は、所定時間後、例えば動作中少なくとも5分おき、又は所定回数の使用後、例えばスペ
クトルの測定を少なくとも300回行なう毎に、各分光器15を再較正してもよい。
【0013】
シャッタ16は光を各光源から対応するSVF7に直接反射させる、光源6と窓4の間
で回転する較正された反射基準器を含んでいる。そしてこの既知の基準器からの反射を前
の試験と比較して、プローブ1内の照明の変化を決定する。
【0014】
通信モジュール21を設け、制御信号及び/又はデータ信号をコントローラ12と基地
局(図7図9に示す)との間で送信できるようにする。実施例において、基地局を工程
監視エンジニアによって監視することができる。別の実施例では、基地局は自動工程制御
システムを含むことができる。通信モジュール21を、無線トランシーバ、繋留された通
信ケーブル接続、光トランシーバ又は音響トランシーバの中の一つ又は複数とすることが
できる。無線の通信モジュール21は、基地局とリアルタイムのデータ送信接続を達成す
るために、外側ハウジング2の内側又は外側に設置されるアンテナ(図示せず)を必要と
する。
【0015】
プローブ1は、交換可能又は充電可能な電池22を使用して自己出力可能とすることが
できる、及び/又は任意選択の通信ケーブル接続(図示せず)に隣接する、又はこれと調
和された繋留電力ケーブルによって、電力の供給を受けることができる。電力ケーブル2
4は、通信モジュール21を基地局と相互接続する通信線、及びプローブ1を流動する媒
体から引き出す鎖(tether)として作用する。外側ハウジング2は密閉されているので、
実施例において、電池22は誘導接続を使って充電することができる。実施例において、
コントローラ回路12は位置システム追跡装置(図示せず)、例えば、グローバル・ポジ
ショニング・システム(GPS: global positioning system)を用いて、製造又は監視
工程内でプローブ1の位置を追跡することができる。別の可能性のある位置追跡は、処理
容器の周りに配置される、固定された指向性無線レシーバ(図示せず)のアレイに信号を
送信するプローブ1内の無線送信機(図示せず)を備えることができる。固定された指向
性無線レシーバのアレイは、固定された処理容器又はシステム内でプローブ1の位置を調
整するために使用することができるので、基地局及び/又は各プローブのコントローラ1
2はプローブの位置を決定することができる。また慣性測定装置(IMU:inertial mea
surement unit)(図示せず)を設けて、コントローラ12又は基地局がプローブ1の処
理容器内での配向及び移動方向を監視できるようにすることができる。
【0016】
一実施例において、プローブ1はインタロゲートを意図する工程と互換性がある。例え
ば、外側ハウジング2は、パッケージの密閉性、ダストの侵入及び浸漬する材料との耐化
学性のために、IP67又はそれ以上のプラスチックNEMA4などで製作することがで
きる。 一実施例において、プローブ1は、液体工程で使用する際にその浮力を調整でき
るよう、可変の浮力を有することができる。上述の様に、プローブ1は工程内を自由に動
くことができる、又は後工程検索のため、鎖で固定された物体に取り付けることができる
【0017】
一実施例において、外側ハウジング2は、製造工程内の混合又は加圧作用による衝撃に
対処するよう、耐久性を高めることができる。一実施例において、プローブ1は長時間の
監視時間を必要とする工程で使用してもよく、コントローラ12は、光検出器アレイ8及
びセンサ14に、低電力の「待機」モードに変更して長い工程サイクルの電力を節約する
よう指示するプログラミングを含んでもよい。
【0018】
図4は以下に記載する実施例によるプローブ1の等角図である。プローブ1の外側ハウ
ジング2は、プローブが浸漬される材料における動きと安定を容易にする構造的特徴を有
する。この構造的特徴として、例えば、くぼみ、小さい又は大きいリブ、スタブ、半円形
又は長方形のリブ、縞又は指状小片がある。実施例による図4のプローブ1は、多数のリ
ブ3を有する。その構造的特徴は、プローブ1を他の物体、例えば、容器の壁との接触か
ら保護する。構造的特徴はまた、プローブ1が流動材を通って移動する際に、流動材内に
おける混合の向上及び/又は凝集の減少を提供する。構造的特徴はまた、プローブ1が浸
漬される材料の流れの方向に対するプローブ1の配向の維持を助け、材料との熱交換を容
易にし、測定及び付着したデブリを除去するため、測定する材料をセンサ窓4の前に向わ
せる。
【0019】
外側ハウジング2は、収納コンパートメント10にアクセスするハッチ9も含む。ハッ
チ9は、基地局からの信号又はコントローラ12からの内部信号、例えば、スペクトルの
読取り値、所定の又は所望のレベルに到達するその他の試験信号などに応答して、コント
ローラ12によって開くことができる。一実施例において、収納コンパートメント10に
は化学処理を容易にするために使用される物質、例えば触媒を収容することができる。一
実施例において、収納コンパートメント10は特定の場所をマークするために使用される
物質、例えば染料を収容することができる。一実施例において、収納コンパートメント1
0はプローブ1が浸漬される物質の化学パラメータ、例えば、pH又は毒性を変えるため
に使用する物質を収納することができる。あるいは、ハッチ9はコントローラ12及び/
又は基地局からの信号に応答して開き、プローブが浸漬される材料からの流体を収納コン
パートメント10に捕捉して、プローブ1の浮力の更なる試験又は制御を行ってもよい。
【0020】
プローブ1は別個の浮力システム31を有することもでき、これによって流動材に挿入
する前、又は流動材内での能動的監視中にプローブ1の浮力を個々に調整することができ
、プローブ1を流動材内の異なる位置及び異なる深さへと導く、又は進ませることができ
る。浮力システム31は、流体を貯蔵タンク又は嚢32から放出させてプローブ1の濃度
を下げる流体放出装置、及び/又は周囲の流体を捕捉してプローブ1の濃度を高める流体
吸入装置を備えることができる。
【0021】
プローブ1は推進システム33も含み、これによって各プローブ1の位置をコントロー
ラ12及び/又は基地局によって調整することができる。推進システム33は貯蔵タンク
に貯蔵された流体の圧力バーストを放出させ、プローブ1が処理タンク内の金属構造、又
はプロペラに引き付けられるように励磁される電磁石を含むことができる。
【0022】
特定の用途において、コントローラ12によって制御される窓洗浄システム25を設け
、窓4の外部に蓄積した材料を定期的に拭取り又は取除くことができる。洗浄システム2
5は、外側ハウジング1にワイパーシステムの取り付けられた、外部同心シェル(図示せ
ず)を備えることができる。ワイパーシステムは、回転又は平行移動アーム27に取り付
けられた、窓4を拭き取るワイパー26を有することができる。ワイパーシステムに代え
て、又はこれに加えて、推進システム33は流動材内でプローブ1を高速回転させ、窓4
に蓄積した材料を遠心力によって振り落とすことができる。その他の洗浄システムには、
窓4を洗浄するために超音波による攪拌を提供する一つ又は複数の超音波攪拌器、窓4を
加熱して湿潤粉体を払い落とすヒータ、及び放電を生成する電源がある。
【0023】
図5は以下に記載する実施例による二重SVFフィルタの側面図である。図6は以下に
記載する一実施例による分光器の側面図である。空間的可変フィルタ(SVF:spatiall
y variable filter)7は、 x軸、及び実施形態によってはy軸に沿って変化して2Dの
空間的可変フィルタ(SVF)を形成する、例えば直線的又は非直線的に変化する通過帯
域の中心波長を含む。
【0024】
従って、SVF7は、本明細書に参照として援用する、2015年8月5日に出願され
た、スミス氏らによる「光学フィルタ及び分光器」と題される、米国特許出願第14/608,3
56号及び第14/818,986号に開示されたような、光ビーム37の光路36で所定の固定距離
Lをおいて連続的に配置された上流35A及び下流35Bの空間的可変バンドパス光学フ
ィルタ(SVF)を有することができる。上流SVF35A及び下流SVF35Bは各々
、x軸で表される共通の第1方向38に沿って相互に調整されて変化するバンドパス中心
波長λを有する。第1方向38は光路36を横断している。非制限的な例として、上流
SVF35A及び下流SVF35Bのバンドパス中心波長λはどちらもそれぞれ単調な
線形従属性を有している。光学フィルタ7の構成により、光学フィルタ7のスペクトル選
択性の光ビーム37の平行化度への依存性を、対応する下流SVF35Bのスペクトル選
択性の光ビーム37の平行化度への依存性よりも小さくすることができる。
【0025】
図5の例において、上流SVF35A及び下流SVF35Bを相互に位置合わせして、
下流フィルタ35Bの基準バンドパス中心波長λ0に対応する基準点xが上流フィルタ
35Aの基準バンドパス中心波長λ0に対応する基準点xの真下に配置されるようにす
る。上流フィルタ35Aは下流フィルタ35Bの空間フィルタとして機能し、下流フィル
タ35Bの所定又はプリセットの受光角39を画定する。受光角39は基準波長λ0の左
の周辺光線40L及び右の周辺光線40Rによって制限され、各々の光線は上流フィルタ
35A及び下流フィルタ35Bに対して、法線36に対する角度θで伝播し、同じ基準点
で下流フィルタ35Bに衝突する。受光角39は上流フィルタ35Aの通過帯域41
Aから以下の様に得られる。
【0026】
図5に示す配列において、左の周辺光線40Lはx-Δxの位置で上流フィルタ35
Aに衝突する。その位置の透過波長λは、式(1)λ=λ0-DΔxによって得られ
る。左の周辺光線40Lは基準波長λ0なので、左の周辺光線40Lは、上流SVF35
Aの通過帯域41Aの選択された、所定の帯域幅、本例において、例えば10dBの帯域
幅とする2DΔxに応じて減衰される。したがって、左の周辺光線40Lは所定の減衰、
例えば10dB減衰される。同様に、右の周辺光線40Rは、 上流SVF35Aとx
+Δxの位置で衝突する。その位置の透過波長λは式(1)λ=λ0+DΔxによっ
て得られる。右の周辺光線40Rも所定の減衰、例えば10dB減衰される。受光角39
内の基準波長λ0における光線は全て、所定のレベル、例えば10dBよりも小さな値だ
け減衰され、受光角30の外側の基準波長λ0における光線は全て、所定のレベル、例え
ば10dBよりも大きな値だけ減衰され、このようにして、受光角39よりも大きな入射
角において、下流SVF35Bに伝送される光の量を大幅に削減することができ、かさば
る平行レンズ及び光学系に対する必要性をなくすことができる。上流SVF35Aは空間
フィルタとして機能し、入射光の開口数(NA)が下流SVF35Bによって個々の波長
に分離されるのを効果的に制限する。このため、SVF7のスペクトル選択性の光ビーム
37の平行化度への依存性を、対応する下流SVF35Bのスペクトル選択性の依存性と
比較して減少させることができる。「スペクトル選択性」という用語は、通過帯域幅、迷
光除去率、消光比などのパラメータを含む。
【0027】
上流SVF35A及び下流SVF35Bの中心波長λは、第1方向に単調に増減させ
ることができる。バンドパス中心波長λの上流SVF35A及び下流SVF35Bの第
1方向38に沿ったx座標への依存性は同じであってもよいし、又は異なっていてもよく
、光学フィルタ7の受光角及び/又は波長応答を調整できるようにしてもよい。一実施形
態において、上流SVF35A及び下流SVF35Bのバンドパス中心波長λを相互に
位置合わせして、上流SVF35A及び下流SVF35Bの同じバンドパス中心波長λ
に対応する位置を結ぶ線が、下流SVF35Bの法線36との間で所定の、例えば30°
未満の角度を成すようにする。法線36との角度がゼロでない場合、受光コーン39は傾
斜しているように見える。従って、上流SVF35A及び下流SVF35Bを相互に第1
方向38にオフセットすることにより、受光コーン39の方向を変えることができる。全
体的なスループットを良くするために、上流SVF35Aの帯域幅に対応する第1方向3
8に沿った横方向距離Δxを、対応する下流SVF35Bの帯域幅に対応する第1方向
38に沿った横方向の距離Δxより大きくすることができる。一実施例において、上流
SVF35A及び下流SVF35Bはそれぞれ、上流SVF35A及び下流SVF35B
の対応する波長領域の10%以下である3dBの通過帯域を有する。
【0028】
図6を参照すると、分光器15は、下流SVF35Bの下流の光路に配置された光学フ
ィルタ7及び光検出器アレイ8を含んでいる。光検出器アレイ8は、例えば流動材によっ
て反射される光源6からの光ビームにおける個々のスペクトル成分の光学パワーレベルを
検出するための、第1方向38に沿って、そして任意選択で第2の(紙面に向かって)垂
直方向に配置された画素44を含むことができる。一実施例において、光検出器アレイは
、本明細書に参照として援用する、2015年8月5日に出願された、スミス氏らによる
「光学フィルタ及び分光器」と題される、米国特許出願第14/818,986号に開示された2D
光検出器アレイであってもよい。従って、光ビームを集束、発散、平行化などすることが
できる。上述の様に、上流SVF35A及び下流SVF35Bを含む光学フィルタ7の二
重フィルタ構造により、光学フィルタ7におけるスペクトル選択性の戻り光の平行度への
依存性が小さくなる。
【0029】
一実施例において、光検出器アレイ8は下流SVF35Bと直接接触しもよい。光検出
器アレイ8を注封材料で充填してカプセル45を形成することができる。カプセル45の
一つの機能は、光学フィルタ7の下流SVF35Bの開放口46を遮らずに光検出器アレ
イ8を隔離することである。カプセル45のもう一つの機能は、上流フィルタ35A及び
下流フィルタ35Bのエッジを衝撃、湿気などから保護することである。
用途
【0030】
図7a及び図7bはそれぞれプローブ1に使用されるV字形混合容器の側面図及び端面
図である。図7a及び図7bを参照すると、複数のプローブ1を、例えば薬剤産業におけ
るバッチ処理システムの監視システムで使用することができる。 処理タンク51はV字
形混合容器53などの混合容器を支持する支持フレーム52を含んでいる。混合容器53
は、原料を投入するための少なくとも一つの投入口54と、最終生成物を排出するための
少なくとも一つの取出口55とを有する。攪拌器又はチョッパー56を混合容器53内に
設け、原料を細かくする、及び/又は種々の原料を混合することができる。攪拌器56は
モータ58で駆動されるスプロケット及び鎖構造57、又はその他の適切な駆動アセンブ
リを使用して回転することができる。制御システム59を原料の投入、攪拌器56の作動
及び速度並びに最終生成物の取出口55からの排出のタイミングを制御するために設ける
ことができる。制御システム59は、コンピュータコントローラによって駆動される非一
過性の記憶装置に保存された、プリセットプログラミングに従って自動的に制御すること
ができる、又は選択された時間に、人による介入を必要とする。
【0031】
一つ又は複数のプローブ1は原料と共に留置され、又は別の投入口54から投入される
異なる原料には別のプローブを共に留置され、原料を混合、及び/又はこれらの化学的性
質又は温度、圧力の変化、触媒の添加などの外部要因による相互の反応させながら原料の
後を進む。工程中、プローブ1はコントローラ12及び通信モジュール21を介して、所
定の時間間隔で、例えばWIFIを介して無線により、制御システム59(基地局)にス
ペクトルデータを連続送信して、化学プロセスのコンスタントな状況の更新を提供するこ
とができる。制御システム59及び/又はコントローラ12は、多くの異なる方法の中の
一つによって、スペクトルデータ及び他のセンサ14によって収集された任意のその他の
データを使用することができる。一実施例において、制御システム59及び/又はコント
ローラ12はスペクトルデータ及び試験データを使用して、工程をいつ終了させるか、す
なわち、いつ工程を止めて最終生成物を取り出すのかを決定することができる。更に、制
御システム59及び/又はコントローラ12はスペクトルデータ及び試験データを使用し
て、攪拌器56の周波数又は速度の調整、及び/又は化学プロセスのパラメータの調整を
行うことができる、例えば、温度、圧力及び触媒の量の内の任意の一つ又は複数のものを
調整することができる。多段階工程に関しては、制御システム59及び/又はコントロー
ラ12はスペクトルデータ及び試験データを使用して、例えば、スペクトルデータ及び試
験データが所望する出力レベルに達すると、次のステップを開始することができる。制御
システム59及び/又はコントローラ12は、ハッチ9を介して収納コンパートメント1
0から、スペクトルデータ及び試験データに基づき、特定の時期で、触媒又は原料を追加
分配することもできる。
【0032】
制御システム59及び/又はコントローラ12は、各プローブの、例えばGPSなどの
位置決めシステムを使って種々のプローブ1の位置を識別し、プローブ1の位置に基づき
、どのプローブ1が次のステップを決定する上で重要性が高いかという優先順位を決める
ことができる。更に、各プローブ1は複数の分光器15を有するので、制御システム59
及び/又はコントローラ12は各プローブ1のスペクトルデータを平均化することができ
る。平均化工程には、高い測定値及び低い測定値、又は残りの測定値の平均の所定の偏差
から外れた任意の測定値を削除するステップが含まれる。平均化ステップには、各プロー
ブ1内の異なる窓4/分光器15からの異なるスペクトルを平均化するステップ、及び/
又は流動材体積中の複数の位置における複数のプローブ1からのスペクトルを平均化する
ステップが含まれる。コントローラ12又は制御システム59はまた、同じ又は異なるス
ペクトル領域を差別化して読取り値を比較するステップ、又は異なる、重なり合う又は隣
接するスペクトルを組み合わせてより大きなスペクトルを生成するステップを含む、その
他のスペクトル処理を行う適切なプログラミングを含むこともできる。
【0033】
各プローブ1の位置は、搭載推進システム33、搭載浮力システム31、又は所定の、
若しくは所望する場所で励起され、一つ又は複数のプローブ1を必要とされる方向又は容
器53の所望の領域内に引き付ける電磁石60などの、各プローブ1の外部の工程推進シ
ステムを使って調整することができる。本システムでは、最終生成物が取出口55から取
り出されると、プローブ1を再使用の為に簡単に回収することができる。
【0034】
図8を参照すると、プローブ1は沈殿タンク61を含む連続工程で使用することができ
る。沈殿タンク61は、タンク61の中心近くから生の原料又は未処理の原料を投入する
投入口62と、回転シャフト64の端部に取り付けられ、沈殿タンク61の底部の周りを
回転する攪拌器又はレーキ63を有する。取出口65は処理材、例えば濃縮液を取り出す
ために、沈殿タンク61の底に設けられる。沈殿タンク61の上部に上がってくる軽い流
体及び材料のすべてを捕捉するために、沈殿タンク61の上部の周りに越流路66が設け
られている。
【0035】
一つ又は複数のプローブ1は、投入口62を通して原料と共に留置され、原料が混合さ
れる、及び/又はこれらの化学的性質又は温度、圧力の変化、触媒の添加などの外部要因
によって相互に反応しながら、原料の後を進む。工程中、コントローラ12は、所定の時
間間隔で、例えばWIFIによる無線で、基地局69にスペクトルデータを連続送信して
、化学プロセスのコンスタントな状況の更新を提供することができる。基地局69及び/
又はコントローラ12は、多くの異なる方法の中の一つで、スペクトルデータ及び他のセ
ンサ14によって収集された任意のその他の試験データを使用することができる。例えば
、基地局69及び/又はコントローラ12は、簡素にスペクトルデータ及び試験データを
使用して、工程がいつ特定の段階に到達するか、すなわち、いつ取出口65から最終生成
物を取り出すかを決定することができる。更に、基地局69及び/又はコントローラ12
は、スペクトルデータ及び試験データを使用して、レーキ64の周波数又は速度の調整、
及び/又は化学プロセスのパラメータの調整を行うことができる。例えば、温度、圧力及
び触媒量の中の任意の一つ又は複数のものを調整することができる。多段階工程に関して
は、基地局69及び/又はコントローラ12はスペクトルデータ及び試験データを使用し
て、例えば、スペクトルデータ及び試験データが所望する取出レベルに達すると、次のス
テップを開始することができる。コントローラ12及び/又は基地局69は、ハッチ9を
介した収納コンパートメント10からのスペクトルデータ及び試験データに基づき、特定
の時期に、触媒又は原料を追加分配することもできる。
【0036】
基地局69及び/又はコントローラ12は、各プローブの、例えばGPSなどの位置決
めシステムを使って種々のプローブ1の位置を識別し、位置に基づき、次のステップを決
定する上でどのプローブ1の重要性が高いか、優先順位を決めることができる。更に、各
プローブ1は複数の分光器15を有するので、基地局69及び/又はコントローラ12は
各プローブ1のスペクトルデータを平均化する。平均化工程には、高い測定値及び低い測
定値、又は残りの測定値の平均の所定の偏差から外れた任意の測定値を削除するステップ
が含まれる。
【0037】
各プローブ1の位置は、搭載推進システム33、搭載浮力システム31、又は所定の、
若しくは所望する場所で励起され、一つ又は複数のプローブ1を必要とされる方向又は沈
殿タンク61の所望の領域内に引き付ける電磁石60などの、各プローブ1の外部の工程
推進システムを使う、コントローラ12及び/又は基地局69によって調整することがで
きる。本システムでは、プローブ1は異なる浮力特性、例えば、取出口65から取り出す
ために底部に沈ませる特性、及び越流路66から取り出すために上部に上昇させる特性を
有している。このため、プローブ1は、最終生成物が種々の取出口65及び66から取り
出される際、再使用のために簡単に回収することができる。
【0038】
図9を参照すると、醸造プロセスなどの複数のステップの工程は、例えば、ロータリン
グ、ボイリング、ファーメンティション、コンディショニング、フィルタリング及びパッ
ケージングなどの複数のステップを含み、これは、例えば、WIFIなどの無線ネットワ
ークを介して通信する基地局70及びプローブ1を含む監視システムによって提供される
、精密な監視を必要とする。プローブ1は、各ステップにおいて各処理タンクに挿入して
もよいし、又は原料と共に種々のステップ及び処理容器内で移動させてもよい。
【0039】
モルティング(製麦)は大麦粒71を醸造できる状態にする工程である。モルティング
が完了すると、大麦粒71をミル72にかけて挽く、又は潰して穀粒を粉々にし、大部分
が炭水化物と糖質の子葉が出る。
【0040】
マッシングによって、モルティング中に放出された澱粉を、発酵させることのできる糖
に変える。挽いた穀粒をマッシュタン73として知られる大きな容器でお湯と混ぜ合わせ
る。この容器内で穀粒と水を混ぜ合わせてシリアルマッシュを生成する。マッシュ中、麦
芽内で自然発生した酵素によって、穀粒内の澱粉(長鎖炭水化物)をより小さな分子又は
単純な糖(単糖、二糖、三糖)へと変換する。この「変換」は糖化と呼ばれる。マッシン
グ工程から、糖分の高い液体、すなわち「麦汁」が得られ、これをロータリングとして知
られる工程において、マッシュタン73の底又は別のタンク74で漉す。プローブ1をマ
ッシュタン73の中に沈め、麦汁内の酵素及び澱粉の濃度を監視することができる。ロー
タリングの前に、マッシュ温度を約75~78℃(167~172°F)に上げて酵素を
非活性化する(マッシュアウトとして知られる)。プローブ1をマッシュタン73又はロ
ータリングタンク74の底の近くで使用し、温度センサ14を使って容器全体の温度が確
実に所望の範囲内となるようにし、プローブ分光器の内の一つを使用して、酵素の濃度が
所望の、又は許容できるレベルまで確実に低がるようにすることができる。スパージング
として知られる工程において、水を穀粒にかけ、更に糖を抽出することができる。
【0041】
「コッパー」として知られる大きなタンク75又はやかんに麦汁を移し、ここでホップ
及び場合によってはハーブや砂糖などの他の原料76と沸騰させる。この段階では多くの
化学反応及び技術的反応が起こり、ビールのフレーバー、色、香りに関する重要な決定が
行われる。ボイリング工程によって酵素工程は終了し、タンパク質が沈殿し、ホップ樹脂
が異性化し、麦汁が濃縮され、滅菌される。ホップはビールにフレーバー、香り及び苦味
を与える。プローブ1からのスペクトル信号は種々の要素の濃度及び麦汁の色を決めるた
めに使用することができる。ボイリングの最後に、ホップを加えた麦汁を「ワールプール
」77と呼ばれる容器内で澄ませ、この際、麦汁内の固形粒子が更に分離される。
【0042】
ワールプール77の後、熱交換器78を介して、酵母が添加できる温度に麦汁を素早く
冷却する。熱交換器78は冷水タブの内側において、配管で構成される。酵母が安全に添
加できるレベルまで麦汁を素早く冷却するのは大変重要である、というのも、酵母は高温
では成長することができないからである。従って、プローブ1上の温度センサ14は、麦
汁が熱交換器78によって必要とされる温度まで均一に冷却されたことを素早く感知する
ことができる。麦汁が熱交換器78を通過した後、冷却された麦汁は発酵タンク79に入
れられる。酵母の種類を選択し、発酵タンク79に添加、又は「投入」する。酵母を麦汁
に添加すると、発酵工程が始まり、糖はアルコール、炭酸ガス及びその他の化学成分にな
る。発酵タンク79において、プローブ1はこれらの要素の濃度に関するスペクトル信号
を供給する。発酵が完了すると、醸造者はビールをコンディショニングタンク80と呼ば
れる新しいタンクに移し替える。ビールのコンディショニングとは、ビールが熟成され、
フレーバーが滑らかになり、好ましくないフレーバーが消える工程である。ここで、プロ
ーブ1からのスペクトル信号は、いつビールがその最適な状態に達したか、及びpHなど
のその他の特徴の監視を明確に表示する。1週間から数ヶ月のコンディショニングの後、
ビールはフィルタ81を使って濾過し、瓶詰めのために炭酸ガスを含ませる、又はカスク
内で自然熟成(fined)させる。
【0043】
プローブ1はより大きな監視システム、例えば河川、湖、海及びその他の水路で使用す
ることができ、汚染物質、例えば石油流出などの種々の要素の濃度をその他の要因、例え
ば温度及びpHと共に監視することができる。検出の場所及び時間、並びに検出される汚
染物質の種類により、汚染源及び結果として生じる損害、例えば下流における水の性質の
変化を判断することが可能となる。
【0044】
プローブ1のサイズを小さくすると、人間やその他の動物の生体内の監視にも使用する
ことができる。具体的には、プローブ1を体内に取り込み、プローブ1が患者の消化器系
を進むにつれ、スペクトルデータを医者の基地局に送信して、内容物、pH、温度及び種
々のその他の特徴を監視することができる。
【0045】
一実施例において、プローブ1を飛行機、風船、ヘリコプター又は宇宙船などの航空機
から落下させて、オゾン、アレルゲン、汚染物質などの種々の大気特性を監視することが
できる。
【0046】
本開示は本明細書に記載する特定の実施例に限定されるものではない。上述の記載及び
添付の図面から、当業者には、本明細書に記載したものに加え、その他の実施例及び変更
が明らかとなるであろう。従って、そのようなその他の実施例及び変更は本開示の範囲に
含まれると意図されている。更に、特定の目的のための特定の環境における特定の実施に
照らして本開示を記載してきたが、当業者であれば本開示の有用性がそれらに限定されず
、本開示が任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実施されることを理
解するだろう。従って、下記に記載する請求項は、本明細書に記載する本開示の全範囲及
び趣旨を考慮して解釈されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9