(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷システムの管理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220826BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220826BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220826BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B41J29/393 101
B41J2/01 123
B41J2/01 125
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2018192824
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】濱村 聡司
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-287673(JP,A)
【文献】特開2017-201736(JP,A)
【文献】特開2011-079250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0198329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
G06F 3/09 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷システムであって、
捺染処理により布の媒体への染色を行うことで印刷がされた布製品をそれぞれが製造する複数の生産ラインと、
前記複数の生産ラインの制御を行う制御装置である工場制御装置と
を備え、
前記複数の生産ラインのそれぞれは、
前記生産ラインにおける制御装置であるライン制御装置と、
交換可能な機能部品であるユニット部品により少なくとも一部が構成された印刷装置
と、
前記印刷装置において行う印刷の動作に対する前工程を実行する前処理機と、
前記印刷装置において行う印刷の動作に対する後工程を実行する後処理機と
を有し、
前記前処理機は、前記印刷装置において印刷がされる前の前記媒体に対して前処理剤を塗布し、
前記後処理機は、インクが付着した前記媒体に対するスチーミングを行い、
前記印刷装置の少なくとも一部は、互いに異なる機能を有する複数の前記ユニット部品で構成されており、
前記印刷装置を制御するコマンドであるプリンタ制御用コマンドと、
前記前処理機及び前記後処理機を制御するコマンドである周辺装置制御用コマンドと、前記ユニット部品の検査に用いるコマンドであるユニット検査用コマンドとを含むコマンド群を用い、
前記工場制御装置は、それぞれの前記生産ラインにおける少なくともいずれかの装置に対して、前記コマンド群に含まれるコマンドを送信して、それぞれの前記生産ラインの制御を行い、
それぞれの前記生産ラインにおいて、前記ライン制御装置は、前記プリンタ制御用コマンドを用いて前記印刷装置の動作を制御し、前記周辺装置制御用コマンドを用いて前記前処理機及び後処理機の動作を制御することで、前記印刷装置の動作に合わせて、前記前処理機及び前記後処理機の動作を制御し、
かつ、前記ユニット検査用コマンドを用いて前記複数のユニット部品の検査が可能であることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記複数のユニット部品のそれぞれは、前記印刷装置に組み込まれる前に、前記ユニット検査用コマンドを用いた検査がされていることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記コマンド群は、同じ仕様に基づくSDK(Software Development Kit)を用いて作成された複数のコマンドからなる群であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記コマンド群に含まれる少なくとも一部のコマンドを出力することで他の装置を制御する制御装置を更に備え、
前記ユニット部品に対する検査を行う場合、前記制御装置は、前記ユニット部品に対して前記ユニット検査用コマンドを出力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記ユニット部品は、セルフテストを実行可能な部品であり、
前記コマンド群は、前記ユニット部品にセルフテストを実行させる前記ユニット検査用コマンドを含み、
前記ユニット部品にセルフテストを実行させる前記ユニット検査用コマンドを前記ユニット部品が受け取った場合、前記ユニット部品は、セルフテストを実行して、テスト結果を戻り値として出力することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
互いに異なる機種の複数の前記印刷装置を備え、
前記コマンド群は、少なくとも一部の前記プリンタ制御用コマンドとして、前記互いに異なる機種の複数の印刷装置に対して共通して使用可能なコマンドを含むことを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項7】
印刷を行う印刷システムの管理方法であって、
前記印刷システムは、
捺染処理により布の媒体への染色を行うことで印刷がされた布製品をそれぞれが製造する複数の生産ラインと、
前記複数の生産ラインの制御を行う制御装置である工場制御装置と
を備え、
前記複数の生産ラインのそれぞれは、
前記生産ラインにおける制御装置であるライン制御装置と、
交換可能な機能部品であるユニット部品により少なくとも一部が構成された印刷装置
と、
前記印刷装置において行う印刷の動作に対する前工程を実行する前処理機と、
前記印刷装置において行う印刷の動作に対する後工程を実行する後処理機と
を有し、
前記前処理機は、前記印刷装置において印刷がされる前の前記媒体に対して前処理剤を塗布し、
前記後処理機は、インクが付着した前記媒体に対するスチーミングを行い、
前記印刷装置の少なくとも一部は、互いに異なる機能を有する複数の前記ユニット部品で構成されており、
前記印刷装置を制御するコマンドであるプリンタ制御用コマンドと、
前記前処理機及び前記後処理機を制御するコマンドである周辺装置制御用コマンドと、前記ユニット部品の検査に用いるコマンドであるユニット検査用コマンドとを含むコマンド群を用い、
前記工場制御装置により、それぞれの前記生産ラインにおける少なくともいずれかの装置に対して、前記コマンド群に含まれるコマンドを送信して、それぞれの前記生産ラインの制御を行い、
それぞれの前記生産ラインにおいて、前記ライン制御装置により、前記プリンタ制御用コマンドを用いて前記印刷装置の動作を制御し、前記周辺装置制御用コマンドを用いて前記前処理機及び後処理機の動作を制御することで、前記印刷装置の動作に合わせて、前記前処理機及び前記後処理機の動作を制御し、
かつ、前記ユニット検査用コマンドを用いて前記複数のユニット部品の検査が可能であることを特徴とする印刷システムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷システムの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であるインクジェットプリンタが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。また、近年、インクジェットプリンタ等の印刷装置の用途の広がり等により、印刷装置のメンテナンス性をより高めること等が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンテナンス性の高い印刷装置の構成を実現するためには、例えば、機能単位でモジュール化した交換可能なユニット部品を用いて印刷装置を製造することが考えられる。このように構成した場合、例えば、ユニット部品単位での交換が可能になるため、例えば印刷装置が故障した場合にも、ユニット部品を交換することで、より容易かつ適切に修理を行うことができる。
【0005】
しかし、この場合、通常、印刷装置にそれぞれのユニット部品を組み込む前に、ユニット部品が正常であること等を確認することが必要になる。また、例えば機能が互いに異なる複数のユニット部品を用いて印刷装置を製造する場合、それぞれのユニット部品毎に、機能を確認するための検査等が必要になる。そして、この場合、それぞれのユニット部品を検査するための工数が多くなることで、印刷装置を用いる印刷システムにおいて、管理の手間等が大きくなるおそれがある。そのため、従来、印刷装置を用いる印刷システムに関し、より容易に管理が可能な印刷システムを提供することが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷システム及び印刷システムの管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、より容易に管理が可能な印刷システムを構築する方法等について、鋭意研究を行った。そして、そのための方法として、例えば、互いに異なる機能を有する複数のユニット部品を用いて製造される印刷装置(例えばインクジェットプリンタ)において、ユニット部品の検査の仕方をある程度共通化することで、それぞれのユニット部品を検査するための工数を削減することを考えた。
【0007】
また、より具体的に、本願の発明者は、先ず、印刷装置に対し、所定のSDK(Software Development Kit)を用いて作成したコマンドであるプリンタ制御用コマンドを用いて制御を行うことを考えた。そして、同じSDKを用いて、ユニット部品の検査に用いるコマンドであるユニット検査用コマンドを作成することを考えた。この場合、それぞれのユニット部品について、ユニット検査用コマンドを用いて検査が可能な構成にすることで、それぞれのユニット部品を検査するための工数を適切に削減することができる。
【0008】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、印刷を行う印刷システムであって、交換可能な機能部品であるユニット部品により少なくとも一部が構成された印刷装置を備え、前記印刷装置を制御するコマンドであるプリンタ制御用コマンドと、前記ユニット部品の検査に用いるコマンドであるユニット検査用コマンドとを含むコマンド群を用いて、前記印刷装置を制御し、前記印刷装置の少なくとも一部は、互いに異なる機能を有する複数の前記ユニット部品で構成されており、前記ユニット検査用コマンドを用いて前記複数のユニット部品の検査が可能であることを特徴とする。
【0009】
このように構成した場合、例えば、複数のユニット部品に対し、容易かつ適切に検査を行うことができる。また、これにより、例えば、それぞれのユニット部品を検査するための工数を適切に削減することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、互いに異なる機能を有する複数のユニット部品を用いて製造される印刷装置を印刷システムが備える場合にも、より容易かつ適切に印刷システムの管理を行うことができる。
【0010】
また、この構成において、複数のユニット部品のそれぞれは、例えば、印刷装置に組み込まれる前に、ユニット検査用コマンドを用いた検査がされる。このように構成すれば、例えば、ユニット部品を用いて印刷装置を適切に製造することができる。
【0011】
また、この構成において、コマンド群については、例えば、共通の開発環境を用いて作成された複数のコマンドを含む群等と考えることができる。また、より具体的に、コマンド群については、例えば、同じ仕様に基づくSDK(Software Development Kit)を用いて作成された複数のコマンドからなる群等と考えることができる。また、更に具体的に、このようなコマンド群としては、例えば、株式会社ミマキエンジニアリングにより配布されるMDLコマンドSDKを用いて作成される複数のコマンドを含む群等を好適に用いることができる。
【0012】
また、この構成において、印刷システムは、制御装置を更に備えてもよい。この場合、制御装置は、例えば、コマンド群に含まれる少なくとも一部のコマンドを出力することで他の装置を制御する。また、ユニット部品に対する検査を行う場合、制御装置は、例えば、ユニット部品に対してユニット検査用コマンドを出力する。このように構成すれば、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。制御装置としては、例えば、印刷装置とは別の装置を用いることが考えられる。また、制御装置の機能については、例えば、印刷装置に兼用させてもよい。
【0013】
また、この構成において、ユニット部品としては、例えば、受け取ったユニット検査用コマンドに基づく処理を行う処理部を有する部品を用いることが考えられる。この場合、処理部としては、例えば、電子部品が実装された基板等を用いることが考えられる。また、ユニット部品としては、例えば、セルフテストを実行可能な部品を好適に用いることができる。この場合、ユニット部品にセルフテストを実行させるユニット検査用コマンドを含むコマンド群を用いることが考えられる。また、ユニット部品にセルフテストを実行させるユニット検査用コマンドをユニット部品が受け取った場合、ユニット部品は、例えば、セルフテストを実行して、テスト結果を戻り値として出力する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品の検査をより適切に行うことができる。
【0014】
また、この構成において、印刷システムは、印刷装置や制御装置以外に、様々な装置を更に備えてもよい。例えば、印刷システムは、印刷装置において行う印刷の動作に対する前工程又は後工程の動作を実行する装置である周辺装置を更に備えてもよい。この場合、コマンド群としては、例えば、周辺装置を制御する周辺装置制御用コマンドを更に含むコマンド群を用いることが考えられる。また、このようなコマンド群を用いる場合、例えば、プリンタ制御用コマンドを用いて印刷装置の動作を制御し、周辺装置制御用コマンドを用いて周辺装置の動作を制御することで、印刷装置の動作に合わせて、周辺装置の動作を制御することが考えられる。このように構成すれば、例えば、印刷システムに含まれる様々な装置に対し、一つのコマンド群に含まれるコマンドを用いて、適切に制御を行うことができる。また、これにより、例えば、印刷システムの管理をより容易かつ適切に行うことができる。
【0015】
また、より具体的に、この構成において、印刷装置としては、例えば、布の媒体等に対する印刷を行うインクジェットプリンタであるテキスタイルプリンタ等を用いることが考えられる。この場合、前工程の動作を実行する周辺装置である前処理機としては、例えば、媒体に対して前処理剤を塗布する装置であるプレコート機等を用いることが考えられる。また、後工程の動作を実行する周辺装置である後処理機としては、例えば、インクが付着した媒体に対してスチーミング(蒸し工程)を行う装置や、媒体を洗浄する工程(洗い工程)を行う装置等を用いることが考えられる。
【0016】
また、印刷システムにおいては、例えば、印刷装置及び周辺装置を複数組備えてもよい。この場合、印刷システムは、例えば、複数の印刷装置と、複数の印刷装置のそれぞれとそれぞれが対応する複数の周辺装置と、複数の印刷装置及び複数の周辺装置を制御する制御装置とを備える。また、制御装置は、例えば、コマンド群に含まれるコマンドを出力することにより、複数の印刷装置及び複数の周辺装置を制御する。このように構成すれば、印刷システムが多数の装置により構成される場合にも、一つのコマンド群に含まれるコマンドを用いて、各装置に対する制御を適切に行うことができる。
【0017】
また、この構成において、印刷システムは、例えば、互いに異なる機種の複数の印刷装置を備えてもよい。この場合、コマンド群に含まれる少なくとも一部のプリンタ制御用コマンドとして、互いに異なる機種の複数の印刷装置に対して共通して使用可能なコマンドを用いることが好ましい。このように構成すれば、例えば、様々な機種の印刷装置が混在する場合等にも、印刷システムの管理をより容易かつ適切に行うことができる。
【0018】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する印刷システムの管理方法等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、印刷システムの管理をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10の一部を構成する生産ライン14の構成の一例を示す。
【
図2】印刷部104の構成について更に詳しく説明をする図である。
【
図3】印刷の動作に着目して印刷部104の一部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10の一部を構成する生産ライン14の構成の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、本例における印刷システム10や印刷システム10の各部は、公知の印刷システムや印刷システムの各部と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0022】
本例において、印刷システム10は、印刷がされた製品を製造する工場の少なくとも一部を構成するシステムであり、工場管理装置12及び複数の生産ライン14を備える。工場管理装置12と、複数の生産ライン14のそれぞれは、
図1(a)に示すように、印刷システム10内に構築された通信ネットワークである工場内ネットワーク16を介して接続されている。
【0023】
また、工場管理装置12は、印刷システム10の全体を管理する制御装置であり、装置の制御に用いるコマンド(装置制御用コマンド)の一例であるMDLコマンドを用いて、それぞれの生産ライン14の制御を行う。工場管理装置12としては、例えば、印刷システム10を管理するためのソフトウェアがインストールされたコンピュータ等を好適に用いることができる。本例において、工場管理装置12は、工場内ネットワーク16を介して、生産ライン14内の少なくともいずれかの装置へ、MDLコマンドを送信する。また、必要に応じて、MDLコマンドに対する戻り値を、生産ライン14内の装置から受け取る。これにより、工場管理装置12は、MDLコマンドを用いて、それぞれの生産ライン14を制御する。MDLコマンドについては、後に更に詳しく説明をする。また、印刷システム10は、例えば、生産ライン14に含まれない装置等を更に備えてもよい。この場合、このような装置の制御について、工場管理装置12からMDLコマンドを送信することで行うことが考えられる。
【0024】
複数の生産ライン14のそれぞれは、製品を製造するための一連の工程を実行する部分である。また、本例において、それぞれの生産ライン14は、捺染処理により布の媒体(メディア)への染色を行うことで印刷がされた布製品を製造する生産ラインであり、ライン管理装置102、印刷部104、前処理部106、及び後処理部108を備える。生産ライン14の各部は、
図1(b)に示すように、生産ライン14内に構築された通信ネットワークであるシステム内ネットワーク110を介して接続されている。この場合、システム内ネットワーク110については、例えば、工場内ネットワーク16の一部を構成するネットワーク等と考えることもできる。
【0025】
また、ライン管理装置102は、それぞれの生産ライン14における制御装置であり、MDLコマンドを用いて、ライン管理装置102と共に生産ライン14を構成する各装置の制御を行う。ライン管理装置102としては、例えば、生産ライン14を管理するためのソフトウェアがインストールされたコンピュータ等を好適に用いることができる。また、本例において、ライン管理装置102は、システム内ネットワーク110を介して、生産ライン14内の各装置へ、MDLコマンドを送信する。また、必要に応じて、MDLコマンドに対する戻り値を、生産ライン14内の各装置から受け取る。これにより、ライン管理装置102は、MDLコマンドを用いて、ライン管理装置102内の各装置を制御する。また、ライン管理装置102は、例えば、工場管理装置12からMDLコマンドを受け取り、そのMDLコマンドを各装置に転送することで、各装置の制御を行ってもよい。また、工場管理装置12内の装置に対する少なくとも一部の制御について、例えば、工場管理装置12から各装置へ直接MDLコマンドを送信することで行ってもよい。
【0026】
印刷部104は、少なくとも印刷装置を有する部分であり、布の媒体に対する印刷(プリント)を実行する。この場合、布の媒体とは、例えば、各種の布製品(例えば、衣類等)や、加工前の布地等のことである。また、本例において、印刷部104における印刷装置としては、例えば、布の媒体等に対する印刷を行うインクジェットプリンタであるテキスタイルプリンタを用いる。印刷部104の構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0027】
前処理部106及び後処理部108は、周辺装置を含む部分である。この場合、周辺装置とは、例えば、印刷部104において行う印刷の動作に関連する工程の動作を実行する装置のことである。周辺装置については、必ずしも印刷部104の近傍に設置する必要はなく、必要に応じて、印刷部104から離れた位置に設置してもよい。また、周辺装置としては、例えば、印刷部104において行う印刷の動作に対する前工程の動作を実行する前処理機や、印刷部104において行う印刷の動作に対する後工程の動作を実行する後処理機等を用いることが考えられる。
【0028】
また、本例において、前処理部106は、前処理機を含む部分であり、前処理機により、媒体に対する前工程の動作を実行する。また、前処理機としては、例えば、プレコート機を用いる。この場合、プレコート機とは、例えば、印刷部104において印刷がされる前の媒体に対して前処理剤を塗布する装置のことである。前処理剤としては、布の媒体の印刷時に用いる各種の公知の前処理剤等を好適に用いることができる。また、前処理部106は、上記以外の前処理機を含んでもよい。また、前処理部106は、複数の前処理機を含んでもよい。
【0029】
また、後処理部108は、後処理機を含む部分であり、後処理機により、媒体に対する後工程の動作を実行する。後処理機としては、例えば、インクが付着した媒体に対するスチーミング(蒸し工程)を行う装置を用いる。また、後処理部108は、後処理機として、例えば、媒体を洗浄する工程(洗い工程)を行う装置等を更に含んでもよい。この場合、後処理部108について、複数の周辺装置を含む部分等と考えることができる。また、後処理部108は、上記以外の後処理機を含んでもよい。
【0030】
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、印刷システム10は、複数の生産ライン14を備える。この場合、それぞれの生産ライン14の構成は、同一であってもよく、互いに異なってもよい。複数の生産ライン14の構成が同一である場合、例えば、複数の生産ライン14により、同じ製品の製造を行うこと等が考えられる。また、同じ構成の生産ライン14を用いて、互いに異なる製品の製造を行ってもよい。また、それぞれの生産ライン14の構成が互いに異なる場合、それぞれの生産ライン14において、互いに異なる製品を製造すること等が考えられる。
【0031】
また、
図1においては、それぞれの生産ライン14がライン管理装置102を有する場合について、生産ライン14の構成の一例を図示している。しかし、印刷システム10の構成の変形例において、ライン管理装置102については、例えば、工場管理装置12に兼用させること等も考えられる。この場合、それぞれの生産ライン14に個別のライン管理装置102を設置するのではなく、一つの工場管理装置12により複数の生産ライン14の各装置の制御を行うことが考えられる。
【0032】
続いて、本例において用いる印刷部104の構成について、更に詳しく説明をする。
図2は、印刷部104の構成について更に詳しく説明をする図であり、印刷部104の機能を実現するための機能に着目して、印刷部104の一部の構成の一例を示す。本例において、印刷部104は、ホストPC202及び本体部204を有する。ホストPC202と本体部204とは、図中に示すように、システム内ネットワーク206を介して接続されている。この場合、システム内ネットワーク206については、例えば、工場内ネットワーク16又はシステム内ネットワーク110(
図1参照)の一部を構成するネットワーク等と考えることもできる。
【0033】
ホストPC202は、本体部204を制御する制御装置であり、MDLコマンドを用いて、ホストPC202と共に印刷部104を構成する装置である本体部204の制御を行う。ホストPC202としては、例えば、本体部204を管理するためのソフトウェアがインストールされたコンピュータ等を好適に用いることができる。このようなソフトウェアとしては、例えば、ユーザの指示を受け付けるユーザインターフェース(UI)を提供するソフトウェアや、本体部204に印刷やメンテナンスの動作を実行させるソフトウェア等を用いることが考えられる。また、本例において、ホストPC202は、システム内ネットワーク206を介して、本体部204へ、MDLコマンドを送信する。また、必要に応じて、MDLコマンドに対する戻り値を本体部204から受け取る。これにより、ホストPC202は、MDLコマンドを用いて、本体部204を制御する。
【0034】
尚、本例において、ホストPC202については、本体部204の各部の動作を制御する構成である制御マスターユニットの一例と考えることもできる。また、ホストPC202の一部の機能については、例えば、本体部204内に設けた制御部等で実行してもよい。この場合、例えば、以下において説明をするような、MDLコマンドを用いて本体部204におけるユニット部品を制御する動作の少なくとも一部について、本体部204内に設けた制御部等で実行してもよい。また、この場合、本体部204内に設けた制御部等について、制御マスターユニットの一例と考えることもできる。また、ホストPC202は、例えば、ライン管理装置102又は工場管理装置12(
図1参照)からMDLコマンドを受け取り、そのMDLコマンドを本体部204に転送することで、本体部204の制御を行ってもよい。また、本体部204に対する少なくとも一部の制御について、例えば、ライン管理装置102又は工場管理装置12から本体部204へ直接MDLコマンドを送信することで行ってもよい。
【0035】
本体部204は、印刷部104において印刷の動作を実行する本体部分である。また、より具体的に、本例において、本体部204は、ホストPC202の制御に応じて印刷の動作を実行する印刷装置であり、インク供給機能ユニット302、スキャン・フィード機能ユニット304、複数のプリント機能ユニット306、及び複数のインクジェットヘッド308等を有する。また、より具体的に、本体部204は、符号を付した構成以外に、例えば、図中にバルブ、ポンプ、PLC等として例示したように、印刷の動作等に必要な各種の構成を更に有する。これらの構成としては、例えば、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を用いることが考えられる。
【0036】
また、これらの構成のうち、インク供給機能ユニット302、スキャン・フィード機能ユニット304、及びプリント機能ユニット306は、ユニット部品の一例である。この場合、ユニット部品とは、例えば、交換可能な機能部品のことである。また、ユニット部品については、例えば、本体部204の一部を構成するモジュール(プリンタモジュール)等と考えることもできる。また、この場合、本例の本体部204について、例えば、少なくとも一部がユニット部品により構成されていると考えることができる。また、以下において説明をするように、インク供給機能ユニット302、スキャン・フィード機能ユニット304、及びプリント機能ユニット306のそれぞれは、互いに異なる機能を有するユニット部品である。そのため、本体部204の少なくとも一部については、例えば、互いに異なる機能を有する複数のユニット部品で構成されていると考えることもできる。また、本例において、これらのユニット部品としては、MDLコマンドに基づく処理を行う処理部を有する部品を用いることが考えられる。また、このような処理部としては、例えば、電子部品が実装された基板を用いることが考えられる。また、本例において、それぞれのユニット部品は、例えばイーサネット(登録商標)接続等により、システム内ネットワーク206に接続されている。また、これにより、それぞれのユニット部品は、ホストPC202等からMDLコマンドを受け取り、応答することが可能に構成されている。MDLコマンドを用いて行うユニット部品の制御等については、後に更に詳しく説明をする。
【0037】
また、これらのユニット部品のうち、インク供給機能ユニット302は、複数のインクジェットヘッド308へインクの供給するためのユニット部品であり、例えば本体部204におけるインクの供給経路に配設されているバルブやポンプ等の動作を制御することで、複数のインクジェットヘッド308へインクを供給させる。また、この場合、例えば、インク供給機能ユニット302によりバルブやポンプの動作を制御することで、所定の循環経路にインクを循環させること等も考えられる。また、インク供給機能ユニット302においては、例えば、インクの残量管理等を更に行うことが好ましい。また、本例において、インク供給機能ユニット302は、例えば、ホストPC202から受け取るMDLコマンドに応じて、上記の動作を実行する。
【0038】
また、スキャン・フィード機能ユニット304は、複数のインクジェットヘッド308による走査動作の制御を行うユニット部品である。この場合、走査動作とは、例えば、媒体に対して相対的に移動する動作のことである。また、本例において、スキャン・フィード機能ユニット304は、複数のインクジェットヘッド308に、走査動作として、主走査動作及び副走査動作を行わせる。この場合、主走査動作とは、例えば、予め設定された主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作(スキャン動作)のことである。また、副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ移動する動作である。本例において、スキャン・フィード機能ユニット304は、副走査方向と平行な搬送方向へ媒体を搬送するフィード動作の駆動を行うことで、複数のインクジェットヘッド308に副走査動作を行わせる。また、この場合、スキャン・フィード機能ユニット304は、例えば、ホストPC202から受け取るMDLコマンドに応じて、例えばシーケンサ(PLC)の動作を制御することにより、上記の動作を実行する。
【0039】
また、複数のプリント機能ユニット306は、複数のインクジェットヘッド308にインクを吐出させる制御を行うユニット部品である。複数のプリント機能ユニット306のそれぞれは、複数のインクジェットヘッド308のそれぞれと対応付けられており、媒体に対して印刷すべき画像に基づき、対応するインクジェットヘッド308に、媒体の各位置に対して、インクを吐出させる。また、本例において、複数のプリント機能ユニット306のそれぞれは、例えば、ホストPC202から受け取るMDLコマンドに応じて、上記の動作を実行する。
【0040】
また、複数のインクジェットヘッド308は、印刷に使用するインクを吐出する吐出部であり、複数のプリント機能ユニット306の制御に応じてインクを吐出することで、媒体へインクを付着させる。この場合、複数のインクジェットヘッド308のそれぞれは、例えば、互いに異なる色のインクを吐出する。より具体的に、複数のインクジェットヘッド308のそれぞれにより、例えば、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(K)色の各色のインクを吐出することが考えられる。このように構成すれば、例えば、減法混色法により、様々な色を適切に表現することができる。また、それぞれのインクジェットヘッド308により吐出するインクとしては、上記の色のインクに限らず、他の色のインクを用いてもよい。
【0041】
本例によれば、印刷部104により、媒体に対して適切に印刷を行うことができる。また、印刷部104の本体部204について、複数のユニット部品を用いて適切に構成することができる。複数のユニット部品を用いることに関連する特徴については、後に更に詳しく説明をする。
【0042】
ここで、上記においては、印刷部104の構成について、主に、ホストPC202及び本体部204を備える構成について、説明をした。しかし、印刷部104の構成の変形例においては、ホストPC202の機能と本体部204の機能とを合わせた機能を有する1台の装置により印刷部104を構成してもよい。また、この場合、システム内ネットワーク206については、例えば、一つの装置の中に構築されるネットワーク等と考えることができる。また、上記のように、
図2においては、印刷部104の機能を実現するための機能に着目して、印刷部104の一部の構成の一例を示している。しかし、印刷部104において行う印刷の動作に着目して印刷部104の構成を考えた場合には、印刷部104の構成について、
図2とは異なるように示すこともできる。
【0043】
図3は、印刷の動作に着目して印刷部104の一部の構成の一例を示す図である。また、
図3に示す構成については、例えば、印刷部104における本体部204の構成の例と考えることもできる。図中に示すように、印刷の動作に着目して印刷部104の各部の構成を考えた場合、印刷部104について、例えば、ヘッド部402、プラテン404、繰出部406、テンションバー408、巻取部410、乾燥ユニット412、及びメンテナンス部414を備えると考えることができる。
【0044】
この場合、ヘッド部402は、媒体へインクを吐出する部分である。ヘッド部402については、例えば、複数のインクジェットヘッドを有する部分等と考えることもできる。また、プラテン404は、ヘッド部402と対向する位置において媒体を保持する台状部材である。繰出部406は、プラテン404上へ向けて媒体を繰り出す部分である。テンションバー408は、繰出部406から繰り出された媒体へ所定の張力を付与する棒状部材である。巻取部410は、ヘッド部402によりインクが吐出された後の媒体を巻き取る部分である。また、乾燥ユニット412は、媒体上のインクを乾燥させるヒータを有する部分である。メンテナンス部414は、インクジェットヘッド308のメンテナンスを行う部分である。上記のような各構成を備える印刷部104を用いることにより、媒体への印刷を適切に行うことができる。
【0045】
ここで、上記のように、
図3においては、
図2とは異なる観点で、印刷部104の構成の一例を示している。また、この場合、印刷部104について、例えば、
図3に示した構成以外に、ホストPC202、インク供給機能ユニット302、スキャン・フィード機能ユニット304、及びプリント機能ユニット306等(
図2参照)を備えていると考えることができる。また、印刷部104は、これらの構成以外に、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に備えてもよい。
【0046】
続いて、上記において説明をした様々な特徴について、更に詳しく説明をする。先ず、MDLコマンドについて、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、MDLコマンドは、装置制御用のコマンドの一例である。また、上記の説明から理解できるように、MDLコマンドを用いて行う制御とは、例えば、様々な目的に応じた複数のコマンドを用いて行う制御のことである。そのため、MDLコマンドを用いて行う制御については、例えば、複数のコマンドを含むコマンド群を用いて行う制御の一例と考えることができる。
【0047】
また、この場合、コマンド群については、例えば、共通の開発環境を用いて作成された複数のコマンドを含む群等と考えることができる。共通の開発環境とは、例えば、同じ仕様を有する開発環境のことである。同じ仕様とは、例えば、開発環境の基本的な特徴を定める規格が同じであることである。同じ仕様を有する開発環境については、例えば、作成されるコマンドに所定の仕様に基づく互換性がある開発環境等と考えることもできる。また、より具体的に、コマンド群については、例えば、同じ仕様に基づくSDK(Software Development Kit)を用いて作成された複数のコマンドからなる群等と考えることができる。この場合、同じ仕様に基づくSDKとは、例えば、同じ仕様の開発環境を提供するSDKのことである。また、同じ仕様に基づくSDKについては、同一の配布者により所定の互換性のあるものとして配布されたSDK等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例においては、コマンド群を構成するコマンドとして、MDLコマンドを用いている。そして、MDLコマンドについては、例えば、株式会社ミマキエンジニアリングにより配布されるMDLコマンドSDKを用いて作成されるコマンド等と考えることができる。
【0048】
また、MDLコマンドについては、例えば、MDLコマンドに対応する印刷装置をユーザの生産システムや周辺装置で制御できるようにするコマンド等と考えることができる。また、このようなMDLコマンドとしては、例えば、印刷対象の媒体を保持するプラテンの位置や高さを制御するコマンド、印刷の開始等の印刷装置の動作を制御するコマンド、印刷装置におけるインクの残量を確認するコマンド、及び印刷装置のエラー情報を取得するコマンド等を用いることが考えられる。また、このようなMDLコマンドを用いることで、印刷装置のユーザは、例えば、様々な目的に応じた印刷システムを構築することができる。また、本例の印刷システム10においても、これらのコマンドの少なくとも一部を含むコマンド群を用いることが考えられる。
【0049】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、印刷システム10を構成する各構成に対する制御、生産ライン14における各装置の制御、及び印刷部104における複数のユニット部品の制御等において、MDLコマンドを用いている。そして、この場合、例えば、生産ライン14における印刷部104の制御に用いるMDLコマンドについて、印刷装置を制御するコマンドであるプリンタ制御用コマンドの一例と考えることもできる。この場合、印刷部104の制御にMDLを用いるとは、例えば、印刷装置である印刷部104の本体部204の制御にMDLコマンドを用いることである。また、生産ライン14における前処理部106や後処理部108の制御に用いるMDLコマンドについては、例えば、周辺装置を制御する周辺装置制御用コマンドの一例と考えることができる。また、後に更に詳しく説明をするように、本例においては、印刷部104における複数のユニット部品の制御に用いるMDLコマンドとして、少なくとも、ユニット部品の検査に用いるコマンドを用いる。そして、この場合、このようなMDLコマンドについて、ユニット検査用コマンドの一例と考えることができる。
【0050】
また、この場合、本例において用いるコマンド群については、例えば、プリンタ制御用コマンド、周辺装置制御用コマンド、及びユニット検査用コマンドを含むコマンド群等と考えることができる。また、この場合、例えば、生産ライン14においてMDLコマンドを用いて印刷部104、前処理部106、及び後処理部108を制御する動作については、例えば、プリンタ制御用コマンドを用いて印刷装置の動作を制御し、周辺装置制御用コマンドを用いて周辺装置の動作を制御することで、印刷装置の動作に合わせて周辺装置の動作を制御する動作等と考えることができる。
【0051】
続いて、MDLコマンドを用いて行うユニット部品の制御等について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例においては、様々な機能を有する複数のユニット部品に対し、MDLコマンドを用いて制御を行う。また、これにより、それぞれのユニット部品に、機能に応じた動作を実行させる。また、上記のように、本例においては、印刷部104における複数のユニット部品の制御に用いるMDLコマンドとして、少なくとも、ユニット部品の検査に用いるコマンドを用いる。
【0052】
そのため、本例において用いる複数のユニット部品(例えば、
図2に示したインク供給機能ユニット302、スキャン・フィード機能ユニット304、及びプリント機能ユニット306等)のそれぞれは、ユニット検査用コマンドに対応するMDLコマンドを用いて検査が可能なように構成されている。より具体的に、この場合、ユニット部品としては、例えば、セルフテストを実行可能な部品等と用いることが考えられる。セルフテストとは、例えば、ユニット部品の状態の確認をユニット部品自身で確認する検査のことである。また、この場合、ユニット検査用コマンドに対応するMDLコマンドとしては、例えば、ユニット部品にセルフテストを実行させるコマンドを用いることが考えられる。このように構成した場合、セルフテストを実行させるMDLコマンドを受け取ったユニット部品は、例えば、セルフテストを実行して、テスト結果を戻り値として出力する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。
【0053】
また、本例のように、複数のユニット部品を用いて印刷部104を構成する場合、ユニット部品の検査を行った後に、印刷部104の本体部204に複数のユニット部品を組み込むことが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、複数のユニット部品は、本体部204に組み込まれる前に、ユニット検査用コマンドを用いた検査(事前検査)がされることになる。このように構成すれば、例えば、ユニット部品を用いて印刷部104をより適切に構成することができる。また、このような事前検査については、例えば、検査用の制御装置からユニット部品へユニット検査用コマンドに対応するMDLコマンドを出力することで行うこと等が考えられる。このように構成すれば、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。また、この場合、検査用の制御装置としては、例えば、印刷部104におけるホストPC202や本体部204等とは別の装置を用いてもよい。また、事前検査では、例えば、印刷部104におけるホストPC202や本体部204等を検査用の制御装置として用いて、ユニット部品の検査を行ってもよい。
【0054】
ここで、例えば従来の構成において、複数のユニット部品を用いて印刷部における印刷装置を構成しようとする場合、それぞれのユニット部品に対して個別に、検査の手段を用意することが必要であった。また、より具体的に、この場合、検査に対応するためのファームウェアの開発等をユニット部品毎に個別に行うことが必要になり、開発に要する工数が大きく増大する場合があった。これに対し、本例においては、上記のようにMDLコマンドを用いてユニット部品の検査を行うことで、複数種類のユニット部品を用いる場合にも、例えば、共通性の高い汎用的な方法で効率的に検査を行うことが可能になる。また、これにより、例えば、複数のユニット部品を用いる場合にも、開発に要する工数の増大を適切に抑えることが可能になる。また、この場合、例えば、共通性の高い方法で検査を行うことで、それぞれのユニット部品に対する検査結果について、より容易かつ適切に管理することが可能になる。そのため、本例によれば、例えば、互いに異なる機能を有する複数のユニット部品を用いて製造される印刷装置を印刷システム10が備える場合にも、より容易かつ適切に印刷システム10の管理を行うことができる。
【0055】
尚、複数のユニット部品に対する検査の結果については、例えば、印刷部104のホストPC202において管理することが考えられる。また、検査結果の少なくとも一部については、例えば本体部204に設けられた記憶部において記憶しておくことが考えられる。また、この場合、記憶部に記憶させた検査結果に基づき、本体部204の動作に調整を行うこと等も考えられる。このような記憶部としては、例えば公知のメモリ装置やPLC等を用いることが考えられる。また、検査結果の少なくとも一部について、例えば、生産ライン14におけるライン管理装置102又は印刷システム10における工場管理装置12(
図1参照)等で管理すること等も考えられる。
【0056】
続いて、MDLコマンドを用いて行う生産ライン14の制御や、印刷システム10の構成等について、補足説明を行う。上記においても説明をしたように、本例の生産ライン14においては、MDLコマンドを用いて、印刷部104、前処理部106、及び後処理部108の制御を行う。そして、このような制御については、例えば、生産ライン14に含まれる様々な装置に対し、一つのコマンド群に含まれるコマンドを用いた制御を行っていると考えることができる。このように構成した場合、複数の装置について、共通性の高い方法で効率的に制御を行うことができる。また、これにより、例えば、生産ライン14や印刷システム10の管理をより容易かつ適切に行うことが可能になる。
【0057】
また、より具体的に、本例において、生産ライン14では、例えば、捺染の処理を行う装置を有する印刷部104と、捺染の前後の処理を行う装置有する前処理部106及び後処理部108とを用いることで、捺染処理により布の媒体への染色を行う。そして、この場合、各装置をMDLコマンドで制御することで、複数の装置の動作をより適切に連携させること等が可能になる。そのため、本例によれば、例えば、生産ライン14での生産の動作の制御や管理をより適切に行うことができる。また、この場合、各装置に対し、MDLコマンドを用いて検査を行うこと等も考えられる。このように構成すれば、例えば、生産ライン14を構成する様々な装置の検査をより容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、一つの装置の一部を構成するユニット部品の検査に加え、装置全体の動作の制御についてもMDLコマンドを用いることで、いわば、階層が異なる制御の間で共通性の高い制御を実現していると考えることができる。そのため、本例においては、この点でも、生産ライン14や印刷システム10の管理をより容易かつ適切に行うことが可能になる。
【0058】
また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷システム10は、複数の生産ライン14を備える。また、それぞれの生産ライン14の構成は、互いに異なっていてもよい。また、より具体的に、この場合、一部の生産ライン14で用いる印刷装置として、他のいずれかの生産ライン14で用いる印刷装置とは異なる機種の装置を用いること等も考えられる。この場合、印刷システム10については、例えば、互いに異なる機種の複数の印刷装置を備えるシステム等と考えることができる。この場合、プリンタ制御用コマンドとして用いるMDLコマンドの少なくとも一部として、互いに異なる機種の複数の印刷装置に対して共通して使用可能なコマンドを用いることが好ましい。このように構成すれば、例えば、様々な機種の印刷装置が混在する場合等にも、印刷システム10の管理をより容易かつ適切に行うことができる。
【0059】
また、この場合、互いに異なる機種の複数の印刷装置として、それぞれが複数のユニット部品を含む装置を用いることも考えられる。そして、この場合、それぞれの印刷装置が含むそれぞれのユニット部品について、MDLコマンドを用いての検査が可能な部品を用いることが好ましい。このように構成すれば、例えば、それぞれの印刷装置を構成する各部について、より容易かつ適切に検査を行うことができる。また、これにより、例えば、印刷システム10の管理をより容易かつ適切に行うことができる。
【0060】
また、本例のように、印刷システム10が複数の生産ライン14を備える場合、印刷システム10について、例えば、印刷装置及び周辺装置を複数組備えるシステム等と考えることができる。また、この場合、印刷システム10における工場管理装置12について、例えば、複数の印刷装置及び複数の周辺装置を制御する制御装置等と考えることができる。
【0061】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、印刷システム10の全体の制御についても、MDLコマンドを用いて行っている。この場合、工場管理装置12により複数の生産ライン14の制御をする動作について、例えば、MDLコマンドを用いて複数の印刷装置及び複数の周辺装置を制御する動作等と考えることもできる。このように構成すれば、印刷システム10が多数の装置により構成される場合にも、共通性の高い方法を用いて、各装置に対する制御を適切に行うことができる。また、この場合、一つの装置の一部を構成するユニット部品の検査、及び装置単位での動作の制御に加え、印刷システム10の全体の制御においてもMDLコマンドを用いることで、印刷システム10における様々な階層の制御において、共通性の高い制御を実現していると考えることができる。そのため、本例においては、この点でも、印刷システム10の管理をより容易かつ適切に行うことが可能になる。
【0062】
また、上記において説明をした構成における各階層における制御に関し、MDLコマンドを出力する制御装置として、各階層に制御装置を設けている。この場合、制御装置とは、例えば、コマンド群に含まれる少なくとも一部のコマンドを出力することで他の装置を制御する装置のことである。より具体的に、本例において、印刷システム10の全体に対する制御では、工場管理装置12を用いている。また、生産ライン14における制御では、ライン管理装置102を用いている。また、印刷部104における制御では、ホストPC202を用いている。また、制御装置については、例えば、複数のコンピュータ等を組み合わせた装置を用いてもよい。また、この場合、例えば、工場管理装置12、ライン管理装置102、及びホストPC202を組み合わせた構成の少なくとも一部について、印刷システム10の制御装置と考えることもできる。
【0063】
また、印刷システム10の構成の変形例においては、一つの制御装置により、複数の階層でも制御を行ってもよい。より具体的に、この場合、工場管理装置12、ライン管理装置102、及びホストPC202のうちの少なくともいずれかの複数の装置の機能を、一台の制御装置に持たせてもよい。また、印刷部104においては、例えば、印刷装置に対応する構成である本体部204に、ホストPC202の機能を兼用させてもよい。
【0064】
また、印刷システム10の各部の構成については、上記において説明をした構成に限らず、更に様々な変更を行ってもよい。例えば、上記においては、印刷システム10において用いる印刷装置について、主に、インクジェットプリンタを用いる場合について、説明をした。この場合、インクジェットプリンタとは、例えば、インクジェット方式で2次元の画像の印刷を行う印刷装置のことである。しかし、印刷システム10の構成の変形例においては、インクジェットプリンタ以外の印刷装置を用いること等も考えられる。また、印刷装置として、例えば、立体的な造形物の造形を行う3Dプリンタを用いること等も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば印刷システムに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
10・・・印刷システム、12・・・工場管理装置、14・・・生産ライン、16・・・工場内ネットワーク、102・・・ライン管理装置、104・・・印刷部、106・・・前処理部、108・・・後処理部、110・・・システム内ネットワーク、202・・・ホストPC、204・・・本体部、206・・・システム内ネットワーク、302・・・インク供給機能ユニット、304・・・スキャン・フィード機能ユニット、306・・・プリント機能ユニット、308・・・インクジェットヘッド、402・・・ヘッド部、404・・・プラテン、406・・・繰出部、408・・・テンションバー、410・・・巻取部、412・・・乾燥ユニット、414・・・メンテナンス部