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特許7129915回転子の角度位置用センサの保持用の板が設けられた回転電気機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】回転子の角度位置用センサの保持用の板が設けられた回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 29/08 20060101AFI20220826BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20220826BHJP
【FI】
H02K29/08
H02K11/215
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018562637
(86)(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 FR2017051363
(87)【国際公開番号】W WO2017207926
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】1654908
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】リリヤ、ブアルッジャー
(72)【発明者】
【氏名】レジス、セイダンバンデール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード、マット
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブシコ
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-197332(JP,A)
【文献】特開2011-151899(JP,A)
【文献】特開2000-078809(JP,A)
【文献】特表2012-502608(JP,A)
【文献】特開2002-252946(JP,A)
【文献】特開2006-094573(JP,A)
【文献】特開2011-259540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 29/08
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の回転電気機械であって、
- 軸線(X)回りに回転するように回転軸(13)上に取り付けられた回転子(12)と、
- 回転軸(13)を通すための中央開口(60)を備える少なくとも1つの支持体(18)であって、貫通収容部(68)を備えた支持体(18)と、
- 前記回転子(12)の角度位置用の少なくとも1つの位置センサ(67)であって、前記回転軸(13)の周囲に取り付けられた、前記位置センサ(67)と、
を備える回転電気機械において、
保持板(77)が、前記支持体(18)と当該保持板(77)との間で前記位置センサ(67)が締め付けられるように、前記支持体(18)上に固定されて、前記位置センサ(67)の一部と接触しており、
前記保持板(77)は、予め決められた回転方向の制止のトルクを加えるように設計されており、そのトルクは、当該回転電気機械(10)の振動に耐えるのに十分なものであると共に、前記位置センサ(67)の角度位置調節用の工具(81)により加えられるトルクによって乗り越えられるものであることを特徴とする回転電気機械。
【請求項2】
前記保持板(77)は、前記位置センサ(67)の軸線方向の制止と回転方向の制止とを保証するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の回転電気機械。
【請求項3】
前記位置センサ(67)は縁部(78)を備え、前記縁部(78)が環状になっていて軸線方向に突き出ており、前記縁部(78)に当接して前記保持板(77)が支持されていることを特徴とする、請求項1または2記載の回転電気機械。
【請求項4】
前記位置センサ(67)は前記回転軸(13)を通すための貫通穴(72)を画定する環状部分(71)を備え、当該環状部分(71)が、自らの内周縁上に、前記工具(81)の対応した形状(82)を受けるように設計された少なくとも1つの窪み(83)を備えていることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項5】
前記位置センサ(67)は、前記環状部分(71)と、計測プローブを収容するように構成された皿状凹部(74)との間の機械的な連結を確保するアーム(73)を備えていることを特徴とする、請求項4記載の回転電気機械。
【請求項6】
前記計測プローブはホール効果型のものであることを特徴とする、請求項5記載の回転電気機械。
【請求項7】
前記アーム(73)は、1つの面によって、前記支持体(18)に当接して支持され、反対側の面によって、前記突き出た縁部(78)を介して前記保持板(77)に当接して支持されていることを特徴とする、請求項3に従属する請求項5または6に記載の回転電気機械。
【請求項8】
前記皿状凹部(74)は、当該回転電気機械(10)の内部へ向かって軸線方向に伸びていることを特徴とする、請求項5から7のうちのいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項9】
前記支持体(18)における前記位置センサ用の前記貫通収容部(68)は、前記位置センサ(67)の回転調節を可能とするために、前記皿状凹部(74)の周方向寸法よりも大きい周方向寸法を有している、ことを特徴とする請求項5から8のうちのいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項10】
前記位置センサ(67)の回転方向のロック用のシステム(86)を備えたことを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の回転電気機械。
【請求項11】
前記位置センサ(67)は、前記保持板(77)の内周縁におけるある角度区域に応じて設けられた複数の切欠の中からの少なくとも1つの半径方向の切欠(88)内に挿入されるように設計された、変形可能な突出部分(87)を備えていることを特徴とする、請求項10記載の回転電気機械。
【請求項12】
前記位置センサ(67)は周方向溝(91)を備え、その周方向溝(91)内に、前記保持板(77)の突片(92)が変形によって軸線方向に挿入可能となっていることを特徴とする、請求項10記載の回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子の角度位置用センサの保持用の板が設けられた回転電気機械に関する。本発明は、ギアボックスなどの主要素と結合されてオルタネータ・モードとモータ・モードとで機能することのできる高出力の可逆式電気機械に、特に有利ではあるが排他的ではない用途を有している。
【背景技術】
【0002】
知られているように、回転電気機械は、固定子と、回転軸と一体的な回転子とを備えている。回転子は、駆動軸および/または従動軸と一体的であることができ、オルタネータ、電動モータ、または両方のモードで作動可能な可逆式機械の形態の回転電気機械に属することができる。
【0003】
固定子は、転がり軸受によって回転軸を支持体上で回転させるように構成されたハウジング内に取り付けられている。回転子は、適切な固定システムを用いて組の形態に保持される金属板シートの重積体によって形成された本体を備えている。回転子は、例えばモータの磁性塊内に設けられた各空洞内に収容される永久磁石によって形成された、各極を備えている。或いは、いわゆる「突」極構造においては、回転子の各アームの周囲に券回されたコイルによって各極が形成される。
【0004】
また、固定子は、クラウンを形成する薄い金属板の重積体によって構成された本体を備えている。その本体の内側面には、各相巻線を受け入れるために内側へ向かって開いた切欠が設けられている。これらの巻線は、固定子本体の各切欠を貫通して、固定子本体の両側へ突き出たシニヨンを形成している。各相巻線は、例えばエナメルで覆われた連続的なワイヤや、溶接によって互いに連結されたピンの形態の導電要素から得られる。これらの巻線は、星形や三角形の形状に連結された多相巻線であり、それらの出力が電気的制御モジュールに対して接続されている。
【0005】
当該機械は、回転子の位置を監視するための手段を備えている。それは、固定子の各相へ適切な瞬間に電流を投入できるようにするためである。この監視手段は、当該機械の回転軸と一体的に回転する目標保持器上に取り付けられた環状の磁性目標と、目標の近傍に配置された少なくとも1つのホール効果型の固定センサとを備えている。回転軸と一緒に回転する目標の回転作用の下で、センサの受ける磁界が変化する。そのセンサは、制御モジュールに接続されており、受けた磁界に応じた信号を制御モジュールへ送信する。このモジュールは、当該信号から回転子の角度位置や速度を推定するために当該信号を処理する。ある一定の構成においては、センサの角度位置の調節が、電気機械上に取り付けるのが難しいセンサ保持器に関連した、扱いにくい手段によって実行されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点を効果的に取り除くことである。
【0007】
それは、特に自動車両用の、回転電気機械であって、
- 軸線回りに回転するように取り付けられ、特に回転軸上に取り付けられた回転子と、
- 前記回転軸を通すための中央開口を備える少なくとも1つの支持体であって、貫通収容部を備えた支持体と、
- 前記回転子の角度位置用の少なくとも1つのセンサであって、回転軸の周囲に取り付けられた位置センサと、
を備える回転電気機械において、
保持板が、前記支持体と当該保持板との間で前記位置センサが締め付けられるように、前記支持体上に固定されて、前記位置センサの一部と接触している、ことを特徴とする回転電気機械を提案することによって成される。
【0008】
かくして、センサの保持用の板を用いることによって、本発明は、組立体のコンパクト性を向上させることを可能としつつ、その電気機械上への取付けを容易にするのである。
【0009】
一実施形態によれば、位置センサは少なくとも部分的に前記貫通収容部内へと伸びている。
【0010】
一実施形態によれば、前記保持板は、前記位置センサの軸線方向の制止と回転方向の制止とを保証するように構成されている。
【0011】
一実施形態によれば、前記位置センサは縁部を備え、その縁部が特に環状になっていて軸線方向に突き出ており、その縁部に当接して前記保持板が支持されている。
【0012】
一実施形態によれば、前記保持板は、予め決められた回転方向の制止のトルクを加え、そのトルクは、当該回転電気機械の振動に耐えるのに十分なものであると共に、前記位置センサの角度位置調節用の工具により加えられるトルクによって乗り越えられるものである。
【0013】
一実施形態によれば、前記位置センサは前記回転軸を通すための貫通穴を画定する環状部分を備え、当該環状部分が、自らの内周縁上に、前記調節用工具の対応した形状を受けるように設計された少なくとも1つの窪みを備えている。
【0014】
一実施形態によれば、前記位置センサは、前記環状部分と皿状凹部との間の機械的な連結を確保するアームを備え、その皿状凹部が、特にホール効果型のものである計測プローブ用の収容部を画成している。
【0015】
一実施形態によれば、前記アームは、1つの面によって、前記支持体に当接して支持され、反対側の面によって、前記突き出た縁部を介して前記保持板に当接して支持されている。
【0016】
一実施形態によれば、前記皿状凹部は、当該回転電気機械の内部へ向かって軸線方向に伸びている。
【0017】
一実施形態によれば、前記支持体におけるセンサ用の前記収容部は、前記位置センサの回転調節を可能とするために、前記皿状凹部の周方向寸法よりも大きい周方向寸法を有している。
【0018】
一実施形態によれば、当該回転電気機械は、前記位置センサの回転方向のロック用のシステムを備えている。この型式のシステムは、ロックに加えて、センサの位置の不正な変更の検出を可能とする。
【0019】
一実施形態によれば、前記位置センサは、前記保持板の内周縁におけるある角度区域に応じて設けられた複数の切欠の中からの少なくとも1つの半径方向の切欠内に挿入されるように設計された、変形可能な突出部分を備えている。
【0020】
一実施形態によれば、前記位置センサは周方向溝を備え、その周方向溝内に、前記保持板の突片が変形によって、特に軸線方向に挿入可能となっている。
【0021】
本発明は、以下の説明を読み取り、それに付随した各図を考察することによって、より良好に理解されるであろう。これらの図は、純粋に例示として与えられるものであり、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による回転電気機械の斜視図。
図2】ハウジングの無い図1の回転電気機械の斜視図。
図3】本発明による回転電気機械の縦断面図。
図4】ギアボックスを伴った図1の回転電気機械の組立体の模式的表現。
図5】本発明による回転電気機械の固定子を上方から見た図。
図6】本発明による回転電気機械の回転子における角度位置を計測するための位置センサの斜視図。
図7】本発明による回転電気機械の端部の斜視図であって、当該回転電気機械における支持体上への図6の位置センサの取付けを示す図。
図8】位置センサの保持板の取付けを示す斜視図。
図9a】保持板の取付け後における専用工具による位置センサの角度調節を示す斜視図。
図9b】位置センサの角度調節用に用いられる工具のヘッドを示す斜視図。
図10a】位置センサのロック用システムの第1実施形態における、当該位置センサの突出部分の変形前を示す斜視図。
図10b】位置センサのロック用システムの第1実施形態における、当該位置センサの突出部分の変形後を示す斜視図。
図11a】位置センサのロック用システムの第2実施形態における、保持板によって支持された突片の変形前を、部分的に上方から示す斜視図。
図11b】位置センサのロック用システムの第2実施形態における、保持板によって支持された突片の変形後を、部分的に上方から示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
各図毎に、同一、同様、ないし類似の要素同士には、同じ参照符号を付してある。本説明においては以降、「前方」の要素は、当該機械の回転軸によって支持されたピニオンの側に位置した要素を意味し、「後方」の要素は、その反対側に位置した要素を意味する。
【0024】
図1図2、および図3は、軸線Xを持つ回転軸13上に取り付けられた回転子12を取り囲む多相固定子11を備えた回転電気機械10を示している。固定子11は、当該固定子11の内周縁部と回転子12の外周縁部との間における空隙15の存在を伴って、回転子12を取り囲んでいる。固定子11は、前方支持体17および後方支持体18の設けられたハウジング14内に取り付けられているが、その構成については以下でより詳細に説明する。
【0025】
この電気機械10は、図4に示すギアボックス16に対して結合されるように設計されて、自動車両の駆動連鎖に属している。機械10は、特に車両のバッテリーや車載ネットワークへエネルギーを供給するためにオルタネータ・モードで作動することができると共に、車両の熱機関の始動を確保するためだけではなく、単独で、ないしは熱機関との組み合わせで車両の駆動に関与するためにもモータ・モードで作動することができる。機械10の出力は、15kWから50kWの間であることができる。
【0026】
具体的には図2で見ることができるように、回転子12は、一組の板の形態にある本体19を備えている。本体19の各空洞21内に永久磁石20が嵌め込まれている。各磁石20は、機械10より要求される用途や出力に従って、希土類元素やフェライトで作ることができる。或いは、回転子12の各極をコイルによって形成することができる。かくして機械10はブラシを伴っておらず、以下で説明するように、ギアボックス16内に含まれた油浴の中に浸すことを可能としている。
【0027】
また、固定子11は、一組の板によって構成された本体23に加えて巻線24を備えている。本体23は、互いに独立した金属板シート同士の重積体によって形成されている。それらのシートは、適切な固定システムによって組の形態に保持されている。
【0028】
図5に詳細に示す本体23には、環状ヨーク32の内周縁部から伸びる歯31が設けられている。それらの歯31は、2つ一組で、固定子11の巻線24を取り付けるための各切欠33を画定している。かくして、ある1つの歯31によって、2つの連続した切欠33同士が隔てられている。各切欠33は、軸線方向の両端面へと軸線方向に開くと共に、固定子本体23の内側へ向かって半径方向に開いている。
【0029】
巻線24は、各相巻線同士の組立体を備えている。それらの相巻線は、各切欠33を貫通して、固定子本体23の両側に突き出て伸びるシニヨン36,37を形成している(図2参照)。この場合、各相巻線は、例えば溶接によって互いに連結されたピンの形態の導電要素から得られる。これらの巻線は、例えば星形や三角形の形状に連結された三相巻線である。これらの相巻線の各相出力は、電気的制御モジュールに対して接続されるように設計されている。
【0030】
電気機械10は、図3に示す冷却回路41によって冷却される。その冷却回路41は、機械10内部での冷却液(この場合は、油)の流れを可能とするものである。この目的のために、冷却回路41はポンプ42を備えている。そのポンプ42は、回転軸13内に設けられた軸線方向の中心孔43内へと、また少なくとも2つの開口44へと油を運ぶ。それらの開口44は、機械10の内部で冷却液を拡散するために、半径方向へ開くと共に、軸線方向で回転子12の両側に配置されている。
【0031】
この型式の構成によって、かくして回転子12の2つの軸線方向端面まで冷却液を運ぶことが可能となる。冷却回路41は、油が、ポンプ42によって油溜45から集められ、機械10内を循環した後で、この油溜45内に取り戻されるよう、閉ループにて作動する。油溜45は、ギアボックス16内に含まれた油の容積に対応させることができる。
【0032】
また、回転子12は、それぞれが当該回転子12の軸線方向端面に接して配置された2つのフランジ48を備えている。これらのフランジ48は、各空洞21の内部における磁石20の軸線方向での保持を保証すると共に、回転子12の釣合いをとるのにも用いられる。各フランジ48には、少なくとも1つの放出ユニット49が設けられるのが有利である。そのユニット49は、ブレードによって構成されて、対応した端面に達する冷却液を(遠心分離によって)巻線のシニヨン36,37へ放出するように設計されている。
【0033】
図4に見ることができるように、機械10は、油54を含んだギアボックス16のハウジング53によって画定される容積52の内部に定置されている。その油54は、ギアボックス16の様々な機械的構成要素の潤滑用に用いられると共に、電気機械10の冷却を行うのに用いられる。冷却液は、電気機械10が冷却されるのを保証するために、その電気機械10の外周縁部上へと放出される。この場合、ギアボックス16内に含まれる液54は、冷却回路41を通じて機械10の内部を冷却するのにも用いられる。但し変形例として、ギアボックス内に含まれるのとは異なる液体を、機械10を内部冷却するために用いることができるであろう。
【0034】
電気機械10は、回転軸13によって支持されたピニオン57が、ギアボックス16の対応したピニオン58と噛み合うように、容積52内へ配置されている。この目的のために、前方支持体17および後方支持体18には、回転軸13の通過を可能とするように中央開口60が設けられている。後方支持体18は、回転軸13の回転式の取付けのために、玉軸受や針状ころ軸受などの転がり軸受を支持している。
【0035】
また図4に示すように、電気機械10のハウジング14から延びる回転軸13の自由端部は、ギアボックス16のハウジング53によって支持された転がり軸受62を介して回転するように取り付けられている。かくして、機械10は、ただ1つの転がり軸受61を備えており、それがギアボックス16内部への機械10の取付けを容易にして、組立体の不静定性のリスクを限定している。
【0036】
前方支持体17は、半径方向に広がる面上に配置される転がり軸受支持器64を備えることができる。この転がり軸受支持器64は、支持体17の半径方向外側の表面から突き出て伸びる環状壁によって形成される。転がり軸受支持器64は、ギアボックス16の回転軸の転がり軸受(図示せず)を受け入れるように設計される。
【0037】
図7で見ることができるように、回転子12の角度位置を計測することのできる位置センサ67が、回転軸13の周囲に取り付けられている。このセンサ67は、後方支持体18の壁の中に設けられた貫通収容部68内へと、少なくとも部分的に延びている。
【0038】
図6に詳細に示すセンサ67は、回転軸13を通すための貫通穴72を画定する環状部分71と、当該環状部分71と皿状凹部74との間の機械的な連結を確保するアーム73とを備えている。その皿状凹部74は、プローブ(例えば、ホール効果型のもの)のための収容部を画成している。
【0039】
皿状凹部74は、収容部68を通じて機械10の内部へ向かって軸線方向に伸びている。センサ67用の収容部68は、センサ67の回転方向の調節を可能とするために、皿状凹部74の周方向寸法よりも大きい周方向寸法を有している。
【0040】
図8で見ることができるように、保持板77が、支持体18上に固定されて、センサ67の一部分と接触している。それは、センサ67が、支持体18と板77との間で締め付けられるようにしてである。板77は、位置センサ67の軸線方向の制止と回転方向の制止とを保証するように構成されている。この目的のために、図示例においては、保持板77が3つの耳状突起771を備えている。それらの耳状突起771は、部分71の上方を広がる環状の形態を持つ部分の外周縁部から得られるものである。これらの耳状突起771には、固定ユニット772(この場合はネジ)を通すための穴が設けられている。板77には、その外周縁部上に舌状突起773も設けることができる。それらの舌状突起773は、板77の周縁部の形状に従った形状を持つ支持体18の増厚部181に対して折り返される。この型式の構成によって、板77の角度的な移動をできる限り制限することが可能となる。
【0041】
また図6および図7に示すように、センサ67は、軸線方向に突き出た環状縁部78を備えており、その縁部78に当接して保持板77が支持される。そしてアーム73は、1つの面によって、支持体18に当接して支持され、反対側の面によって、突き出た縁部78を介して保持板77に当接して支持される。
【0042】
保持板77は、予め決められた回転方向の制止のトルクをセンサ67へ加える。そのトルクは、機械10の振動に耐えるのに十分なものであると共に、(図9aに示すように)センサ67の角度位置調節用の工具81により加えられるトルクによって乗り越えられるに十分なものである。
【0043】
かくして、センサ67を保持するために板77が締め付けられてしまったら、作業者は調節用工具81を操作することができるが、その工具81の各形状82がセンサ67に設けられた相補的な各窪み83内に噛み合うようになっている。図9bに示すように、調節用工具81のヘッド84は、例えば、円筒状の各窪み83の中へ挿入されるように設計された円柱状のスタッド82を備えることができる。それらの窪み83は、センサ67の環状部分71の内周縁部に、相補的な形状で設けられる。必要な回転方向(図9aの矢印F1参照)への工具81の回転によって、作業者は、板77によって生じる制止トルクよりも大きいトルクをセンサ67へ加える。それは、支持体18に対してのセンサ71の円周方向位置を調節できるようにするためである。
【0044】
工具81による調節が完了してしまったら、回転方向でのセンサ67の位置をロックするために、ロック用システム86が設けられるのが好ましい。図10aおよび図10bに示す第1実施形態によれば、センサ67は(例えば、熱によって)変形可能な突出部分87を備えている。その突出部分87は、板77の内周縁におけるある角度区域に応じて設けられた複数の切欠の中からの少なくとも1つの半径方向の切欠88内に挿入されるように設計されている。それらの切欠88は、板77の環状部分の内周縁部上に鋸歯状の輪郭を作り出すことによって得ることができ、各切欠88が上述した角度区域上の連続した2つの歯同士の間を伸びる状態となる。
【0045】
一実施形態によれば、突出部分87は、矢印F2に従った高温状態でのスナップ式頭つぶし留めによって変形させることができる。それは、板77の少なくとも1つの切欠88内に挿入されるようにするためである。部分87の変形形態は、図10bで符号87’を有している。ロック機能に加えて、システム86は、センサ67と板77との間の機械的連結の破断によってセンサ67の位置の不正な変更を検出することを可能とする、という点において安全機能を有している。
【0046】
図11aおよび図11bに示す第2実施形態によれば、センサ67は貫通した周方向溝91を備えている。その周方向溝91内には、板77の突片92が変形によって(特に、矢印F3に従った軸線方向に)挿入される。この目的のために、突片92を支持する板77の部分が、溝91の軸線方向上方に重ね合わされる。変形可能な突片92は、板77の凹部内を伸びており、その自由端部側において「T」の形状を有している。その「T」の形状は、溝91を通しての突片92の挿入後にセンサ67の保持を保証するために、溝91の幅よりも大きい幅を有している。
【0047】
初期状態、即ち非変形状態において、突片92は保持板77の平面上に位置している(図11a参照)。一方、変形状態において、突片92は溝91の内部へ(例えば、板77の延長平面に垂直な)傾斜方向に伸びる。それは、突片92の「T」の縁部が、溝91を画定するセンサ67の部分に対する止めを形成するようにである(図11b参照)。
【0048】
先の説明は、純粋に例示として与えられてきたものであって、本発明の分野を限定するものではなく、任意の他の等価物による様々な要素の置き換えによっては本発明からの逸脱とはならないであろう、ということを認識されたい。
【0049】
また、本発明の様々な特徴、変形、および/または実施形態は、それらが矛盾し合ったり相互に排他的であったりしないのであれば、種々の組合わせに従って互いに関連付けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b