(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置、関連する運転方法および設置方法
(51)【国際特許分類】
F03B 3/12 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
F03B3/12
(21)【出願番号】P 2018565462
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(86)【国際出願番号】 ES2017070116
(87)【国際公開番号】W WO2017149186
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2019-12-19
(32)【優先日】2016-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】518311935
【氏名又は名称】ペルガ・インヘニエロス・エセ・エレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ペレス・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・ミゲル・ペレス・ガルシア
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02022978(EP,A2)
【文献】実開昭59-114746(JP,U)
【文献】特開昭58-036150(JP,A)
【文献】特公昭36-020928(JP,B1)
【文献】特開2004-044442(JP,A)
【文献】特開昭36-020928(JP,A)
【文献】特開2003-214310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置であって、
それ自体の端部において開放されており、それ自体を通ってある量の流体の通過を許容するように構成される円筒管(1)と、
連結シャフト(3)を通じて少なくとも1つの発電要素に軸方向で機械的に連結される水力タービン(2)であって、前記少なくとも1つの発電要素は、前記円筒管(1)内部に収容され、ターボ発電ユニットとして定められ、前記ターボ発電ユニットは、前記流体の機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するように構成されている、水力タービン(2)と、
前記円筒管(1)内部の循環する流体に対して漏れのない漏れ防止管状ケーシング(4)と、
を備え、
前記水力タービン(2)に軸方向で連結される前記発電要素が、前記漏れ防止管状ケーシング(4)を備えており、
前記連結シャフト(3)に結合されるロータ(5)、および、前記ロータ(5)を少なくとも部分的に包囲するステータ(6)は、前記漏れ防止管状ケーシング(4)内に配置され、
前記漏れ防止管状ケーシング(4)は
2つの基部であって、
前記2つの基部のうちの一方は、前記タービン(2)への前記連結シャフト(3)の通過のための孔を備え、
前記2つの基部のうちの他方は、前記漏れ防止管状ケーシング(4)の外側からその内側への圧力を吸収するように構成される弾性ダイヤフラム(7)を備える、
2つの基部と、
前記連結シャフト(3)の通過のための前記孔が位置する前記基部において、前記漏れ防止管状ケーシング(4)内部
の不凍液(14)と前記漏れ防止管状ケーシング(4)の外側の前記循環する流体との間の流体移動を防止するように構成される機械的閉鎖部を有する軸受(8)と、
前記弾性ダイヤフラム(7)が位置する前記基部において、それ自体に対して前記連結シャフト(3)の自由な回転を許容するように構成される自由動作軸受(9)と、
前記ステータ(6)と前記漏れ防止管状ケーシング(4)の内面との間に定められ、
前記不凍液(14)を含む空間と、
を備え、
前記漏れ防止管状ケーシング(4)内部に位置する前記連結シャフト(3)の少なくとも一部が、前記漏れ防止管状ケーシング(4)内部全体に前記不凍液(14)を循環させるように構成される複数のブレードを備え、
前記漏れ防止管状ケーシング(4)は、前記ステータ(6)に連結される機械的閉鎖部が設けられるフランジ(10)をさらに備え、前記フランジ(10)は、前記ロータ(5)への前記不凍液(14)の通過を防止するように構成され、
前記不凍液(14)は、前記漏れ防止管状ケーシング(4)の内部において、前記ステータ(6)と前記漏れ防止管状ケーシング(4)の内面との間に定められる前記空間、および前記軸受(8)と前記フランジ(10)との間に定められる空間で循環するように構成されている
電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項2】
前記漏れ防止管状ケーシング(4)は、前記連結シャフト(3)と平行な複数の固定ロッド(16)を通じて前記タービン(2)へと軸方向で連結されることを特徴とする、請求項1に記載の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項3】
前記円筒管(1)は、
前記流体が前記タービン(2)に入る端部において、前記タービン(2)が収容される末広区域(2a)と、
前記流体が前記ターボ発電ユニットを通過した後に出る端部において、収束区域(2b)と
を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項4】
前記ターボ発電ユニットの後に位置する圧力平衡弁(11)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項5】
前記ターボ発電ユニットの上流に位置する閉止弁(12)と、
前記ターボ発電ユニットの下流に位置する閉止弁(13)と
を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項6】
前記ターボ発電ユニットの上流に固体フィルタ(14)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に定義されたターボ発電装置を通じて電気エネルギーを生成するための方法であって、
ある量の流体が前記円筒管(1)内部で循環すると、前記方法は、同時に行われる、
a) 前記タービン(2)が前記流体の機械エネルギーに起因して動作させられ、前記流体の機械エネルギーを回転
機械エネルギーへと変換するステップと、
b) 前記連結シャフト(3)が前記タービン(2)と前記発電要素との間で回転し、前記回転機械エネルギーを前記タービン(2)から前記発電要素へと伝達するステップと、
c) 前記ロータ(5)が前記ステータ(6)に対して回転し、前記ロータと前記ステータとの両方が前記発電要素に属し、前記回転
機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に定義されたターボ発電装置を通じて流体を汲み上げるための方法であって、
前記円筒管(1)内部が、少なくとも前記タービン(2)が位置する位置において前記流体で満たされると、前記方法は、同時に行われる、
a) 電気エネルギーが前記発電要素に供給され、前記発電要素の前記ロータ(5)において前記電気エネルギーを回転機械エネルギーへと変換するステップと、
b) 前記連結シャフト(3)が前記タービン(2)と前記発電要素との間で回転し、前記回転機械エネルギーを前記発電要素から前記タービン(2)へと伝達するステップと、
c) 前記タービン(2)が前記連結シャフト(3)の前記回転機械エネルギーに起因して動作させられ、前記機械エネルギーを前記流体への機械エネルギーへと変換するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
水力設備において、請求項1から6のいずれか一項に定義されたターボ発電装置を設置するための方法であって、前記水力設備は、流体の通過のための少なくとも1つの主配管(15)を備え、
前記装置は前記主配管(15)に対して平行に設置され、前記主配管(15)は、2つの導管、すなわち、前記主配管(15)から、前記ターボ発電ユニットが位置する前記円筒管(1)の入口までの入口導管(15a)と、前記ターボ発電ユニットが位置する前記円筒管(1)から前記主配管(15)までの出口導管(15b)とを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の名称において表現されているように、本発明は、電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置、ならびに関連する運転方法および設置方法に関し、これらは、循環する流体の機械エネルギーの利用を通じた電気エネルギー生成の技術的分野内に含まれる。
【0002】
本発明のターボ発電装置の物体の主な目的は、電気エネルギーを生成するために一緒に働く実体のセットを、前記実体が最も効率的なエネルギー変換を可能にすることを確保するように、機械エネルギーを運ぶ移動流体の利用を通じて提供することであり、その実体のセットは、任意の種類の新規または以前から存在する水力設備に設置することができ、非常に小さい空間を占め、最小限の保守を必要とし、それらの始動および停止に関して向上された制御を提供する。
【背景技術】
【0003】
前書きとして、流体の機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するように構成された数多くのターボ発電装置の使用および存在が知られており、それによって生成された電気エネルギーは、運転のために電気エネルギーを必要とする様々な設備において利用することができ、または、既存の電力グリッドへと直接的に投入することができる。この意味において、流体の機械エネルギーが、2つの高さの間に存在する流体の位置エネルギーと、移動流体自体の運動エネルギーとに由来することは、明確にされなければならない。
【0004】
この意味において、一般的に、水力発電所に設置されている水力タービンの使用が知られており、前記水力タービンには3つの種類がある。
- ペルトン式ジェットタービン:前記タービンは、流体の流れが横方向ジェットの形態においてタービンの回転する軸シャフトに横方向で衝突するように、複数の凹形とされた羽根をそれぞれ有する。そのため、流体は非常に高い圧力を有し、前記タービンは高い水頭であるが少ない流量で動作するように設計される。
- カプラン式リアクションタービン:前記タービンは複数の羽根をそれぞれ有し、流体がタービンの回転する軸シャフトと平行に循環し、前記タービンの特異性は動作立ち上がりの間にそれらの羽根の角度を変更できることであり、前記タービンは低い水頭であるが大きい流量で動作するように設計される。
- フランシス式リアクションタービン:前記タービンは複数の羽根をそれぞれ有し、流体はタービンの回転する軸シャフトに対して垂直に循環し、前記タービンは中程度の水頭および中程度の流量で動作するように設計される。
【0005】
これらのタービンはすべて、その周りで循環する流体の機械エネルギーを回転の機械エネルギーへと変換する役目にあるタービンの種類の要素を有し、そのため、前記機械エネルギーは、タービンのシャフトに連結されたロータと、その巻線が前記機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するステータとによって形成された非同期モータの種類の発電要素へと伝達される。
【0006】
しかしながら、これらのタービンすべてが、通常は水である所定の流量の流体のために設計されていることは強調されなければならず、そのため、過剰な流体の量がある場合、過電圧または故障がターボ発電装置で起こらないように、前記流体の量の一部が外側へと迂回されなければならない。前記流体の迂回は、言及したターボ発電装置を通過することなく漏出する流体の機械エネルギーが利用されないことを意味し、前記変換されない電気エネルギーは、後で回収されることはなく、対応する貯留部、河川などへと流体が流れた後に、むしろ失われてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この理由のため、このような迂回路を通って循環する前記過剰な流体を利用することを可能とするために、前記迂回路に設置でき、前述したタービンが位置する主配管と比較して前記迂回路より著しく小さい大きさに起因して、最小限の空間を占め、外側から素早く効率的な手法で制御できる、電気エネルギーを生成するための新規のターボ発電装置に対する要求がある。前述のことは、最も高い可及的なエネルギーの生産および利用を確保するために互いと協働して動作する単純な実体によって形成される装置で達成され、これは今日知られている最先端の技術に対して新規性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置であって、
- それ自体の端部において開放されており、それ自体を通ってある量の流体の通過を許容するように構成される円筒管と、
- 連結シャフトを通じて少なくとも1つの発電要素に軸方向で機械的に連結される水力タービンであって、それぞれの要素は、前記円筒管内部に収容され、ターボ発電ユニットとして定められ、前記ターボ発電ユニットは、流体の機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するように構成される、水力タービンと
を備える電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置に関する。これによって、任意の種類の既存の流体迂回路に設置できる、非常にコンパクトなターボ発電ユニットが得られる。この意味において、発電要素が、ある量の流体のための迂回路として作用する円筒管内部に収容されるため、水に浸すことができる種類のものであることは強調されなければならない。
【0009】
タービンに軸方向で連結される発電要素は、円筒管内部の循環する流体に対して漏れのない漏れ防止管状ケーシングも備え、前記ケーシングは、
- 前記連結シャフトに結合されるロータ、および、前記ロータを少なくとも部分的に包囲するステータであって、前記ケーシングは2つの基部を備え、基部のうちの一方は、タービンへの連結シャフトの通過のための孔を備え、他方の基部は、管状ケーシングの外側からその内側への圧力を吸収するように構成される弾性ダイヤフラムを備える、ロータおよびステータ、ならびに、
- ステータと漏れ防止管状ケーシングの内面との間に定められ、不凍液を含む空間
を備える。
【0010】
そのため、発電要素が、本発明の発電装置の物体の運転および試運転についての2つの本質の技術的な特徴を有することが見て取れる。第1の本質の技術的な特徴は、連結シャフトの連結と反対の基部に位置する弾性ダイヤフラムの存在にあり、前記弾性ダイヤフラムは、管状ケーシングの外側に存在する圧力を吸収し、前記発電要素内部へと伝達することを許容することになるため、前記位置において位置する。
【0011】
第2の本質の技術的な特徴は、管状ケーシングおよびステータによって定められる空間に位置し、冷却および潤滑の性質も有し得る不凍液を備える発電要素にあり、そのため、ロータが周りで回転する連結シャフトは、前記不凍液によって少なくとも部分的に覆われ、設備全体を損傷させる可能性のある望ましくない温度勾配を防止することに加えて、前記発電要素内部での運動要素の焼き付きおよび劣化を防止する。
【0012】
そのため、本発明のターボ発電装置の物体は、タービンと発電要素との両方が円筒管内部で次々に連結され、前記連結が好ましくは軸方向で実施され、円筒管がタービンまたは発電要素のいずれかの最大区域によって定められる流体通過区域を有するように非常に小さい空間を占めると考えれば、最先端の技術において知られている前述した水力タービンのうちの1つまたは複数が設置される一般的なネットワークの迂回路として申し分なく設置することを可能にする物理的実体を有する。この意味において、好ましくは前記軸方向の連結に関して、管状ケーシングが連結シャフトと平行な複数の固定ロッドを通じてタービンに軸方向で連結される選択肢があり、流体がタービンから排出されるとそれ自体を通って循環させられるように構成される前記固定ロッドは、前記固定ロッドが包囲されると、流体が発電要素を含む管状ケーシングの周りで流れ、円筒管の出口を通じて排出されるように考えられる。
【0013】
円筒管自体が使用中に配管のように作用でき、つまり、水力ネットワークの分岐がその入口および出口に接続/連結され、または、円筒管が水力配管内部に収容された独立した装置のようにも作用できることは指摘されなければならず、後者の場合、流体の機械エネルギーのすべてを利用するにはより好ましくなく、そのため好ましい使用の選択肢ではない。
【0014】
この意味において、本発明のターボ発電装置の物体を設置するための好ましい方法が以下に記載されており、その方法では、前記水力設備は、流体の通過のための少なくとも1つの主配管を備え、それによって、前記装置は前記主配管に対して平行に設置され、前記主配管は、2つの導管、すなわち、主配管から、ターボ発電ユニットが位置する円筒管の入口までの入口導管と、ターボ発電ユニットが位置する前記円筒管から主配管までの出口導管とを備える。そのため、主配管に過剰な量があるとき、流体は、ターボ発電ユニットが収容される円筒管に到達するまで迂回路を通じて循環でき、消費、または、既存の電力グリッドへの投入に向けて、流体の機械エネルギーを電気エネルギーへと変換する。流体が円筒管を通じて常に循環する必要がない結果として、および、弾性ダイヤフラムの結果として、発電要素は、流体の初期の衝撃によって引き起こされる過剰な圧力を、それが前述した円筒管内部を通過するため、受けない、または、被らず、内部に収容された不凍液の結果として悪化もしない。
【0015】
さらに、本発明のターボ発電装置の物体が、2つの反対の機能を有し得る。すなわち、
A) 前記ターボ発電装置を通じて電気エネルギーを生成するための方法と関連する第1の機能であって、ある量の流体が円筒管内部で循環すると、方法は、同時に行われる、
a) タービンが流体の機械エネルギーに起因して動作させられ、前記流体の機械エネルギーを回転機械エネルギーへと変換するステップと、
b) 連結シャフトがタービンと発電要素との間で回転し、回転機械エネルギーをタービンから発電要素へと伝達するステップと、
c) ロータがステータに対して回転し、ロータとステータとの両方が前記発電要素に属し、回転エネルギーを電気エネルギーへと変換するステップと
を含む、第1の機能。前記方法は好ましい使用法である。
B) ターボ発電装置を通じて流体を汲み上げるための方法と関連する第2の機能であって、
円筒管内部が、少なくともタービンが位置する位置において流体で満たされると、方法は、同時に行われる、
a) 電気エネルギーが発電要素に供給され、前記発電要素のロータにおいて電気エネルギーを回転機械エネルギーへと変換するステップと、
b) 連結シャフトがタービンと発電要素との間で回転し、回転機械エネルギーを発電要素からタービンへと伝達するステップと、
c) タービンが連結シャフトの回転機械エネルギーに起因して動作させられ、前記機械エネルギーを流体への機械エネルギーへと変換するステップと
を含む、第2の機能。
【0016】
そのため、設置のために要求される最小限の空間と、過剰な圧力を吸収し、非常に低い作動温度に耐えるためのその能力とを踏まえれば、例えば、前述のターボ発電装置で汲み上げられる流体の結果として流体が供給される帯水層を再充填するための場所といった、異なる場所に流体を汲み上げることができる可逆的な機械のようにターボ発電装置が作用できることが見て取れる。
【0017】
その部品のいずれの劣化も引き起こさずに低温に耐える能力に関して、本発明は好ましい選択肢を説明しており、それによって、管状ケーシング内部に位置する連結シャフトの少なくとも一部が、前記管状ケーシング内部に沿って不凍液を再循環させるように構成される複数のブレードを備える。そのため、不凍液は、タービンと発電要素との間で連結シャフトの回転と一緒に発動され、シャフトの回転機械エネルギーの一部を吸収するが、関連する発電要素のエネルギー変換率について著しくなることはない。
【0018】
タービンのシャフトを、発電要素内部でロータのシャフトと一体に回転させる連結を確保するための方法に関して、本発明は、
- 連結シャフトの通過のための孔が位置する基部において、管状ケーシング内部の不凍液と前記ケーシングの外側の循環する流体との間の流体移動を防止するように構成される機械的閉鎖部を有する軸受と、
- 弾性ダイヤフラムが位置する基部において、それ自体に対して連結シャフトの自由な回転を許容するように構成される自由動作軸受と
を備える漏れ防止管状ケーシングの可能性を検討している。
【0019】
そのため、これは、前記連結シャフトに連結された運動部品が劣化することなく連続した回転を確保するために、任意の種類の車輪の配置を要求することはないため、実施するのが容易な解決策であり、連結シャフトの端部のうちの一方に位置する軸受は、自由に回転する軸受であり、連結シャフトがタービンへと続く反対の端部に位置する軸受は、何よりも不凍液を収容する管状ケーシングへと外側から流体が入るのを防止する機械的閉鎖部を有する。
【0020】
タービンと発電要素との間の連結シャフトの存在が常に説明されているが、前記説明は選択肢を検討しており、それによってタービンは第1の回転シャフトを有し、発電要素は第2の回転シャフトを有し、それらシャフトは、直接的または間接的な連結を通じて機械的に連結されることは、明確にされなければならない。そのため、タービンのシャフトと発電要素のシャフトとは、同軸または平行とできる、または、カルダン式カップリングなどを通じて異なる角度で配向できる。
【0021】
同様に、本発明のターボ発電装置の物体を形成する主要な実体の適切な動作を確保することに関して、本発明は、管状ケーシング内部の不凍液が、ロータの構造を損傷させないように、または、ロータのエネルギー変換率を低減させないように、どのようにロータと接触してはいけないかを説明している。この意味において、本発明は、管状ケーシングが、ステータに連結される機械的閉鎖部が設けられるフランジをどのようにさらに備え得るかを説明しており、前記フランジは、ロータへの不凍液の通過を防止するように構成され、それによって不凍液が発電要素へと移動されないことを確保している。
【0022】
流体の流れが円筒管内部を通じてどのように循環するかについて特別な注意を払っているため、本発明は好ましい選択肢を説明しており、それによって前記円筒管は、
- 流体がタービンに入る端部において、前記タービンが収容される末広区域と、
- 流体が前記ターボ発電ユニットを通過した後に出る端部において、収束区域と
を備える。それによって、流れはそらされ、流体の膨張が、そのタービンへの後における流入のために利用され、また、主配管の迂回の方向において収束するその出口の結果として、円筒管の出口における流体の流れが加速される。
【0023】
円筒管内部に圧力分配をどのように確保するかに関して、本発明は、ターボ発電ユニットの後に位置する圧力平衡弁を備える本発明の装置の物体の可能性を説明しており、その圧力平衡弁は、使用者が望むように、および/または、1つまたは複数の圧力ゲージと関連付けられた内部プログラムで、開閉できる。
【0024】
同様に、円筒管への流体の通過を調節するために、本発明は好ましい選択肢を検討しており、それによって、本装置は、
- ターボ発電ユニットの上流に位置する閉止弁と、
- ターボ発電ユニットの下流に位置する閉止弁と
を追加的に備える。
【0025】
それによって、本発明の装置の物体と関連付けられる制御システムの特定の動作状況が、次のように記載できる。
- 比率Qがターボ発電機の最小タービン排出率より低い場合、閉止弁および平衡弁は閉じられることになる。
- 比率Qが最小タービン排出率より高く、機械設計率より低い場合、循環する流れの大きさに依存して、遮断弁は完全に開いており、平衡弁は部分的に開いている。
- 比率Qがタービン設計率と等しい場合、すべての弁は完全に開くことになる。
- 比率Qが設計率より高い場合、すべての弁は完全に開いており、過剰な流れが平衡弁を通じて循環する。
【0026】
最後に、ターボ発電装置の設置と関連して、本発明は、前記装置がターボ発電ユニットの上流に固体フィルタを備える選択肢を説明しており、その目的は、タービンの構造を破損させ、適切な動作を妨げる可能性のある、タービンにおける大きい固形物の含有を防止することである。
【0027】
そのため、電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置が本発明で得られ、前記ターボ発電装置は、大きな空間を占めることなく、または、設置および試運転のための相当の投資を必要とすることなく、水力設備における使用のために申し分なく、これは、素早く効果的な手法で外側から制御でき、その漏れのないこと、過剰な圧力に耐えるその能力、および、低温で動作するその能力を確保する要素によって形成されるため、高い信頼性を確保できる。前述のことは、最も高い可及的なエネルギーの生産および利用を確保するために互いと協働して動作する単純な実体によって形成される装置で達成され、これは今日知られている最先端の技術に対して新規性がある。
【0028】
行われてきた説明を補完するために、および、本発明の好ましい実施形態による本発明の特徴をより良く理解することを助ける目的のために、一連の図面が、前記説明の一体部分として添付されており、以下のものが例示の非限定的な符号を用いて描写されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の主要な実体と前記実体同士の間の連結とが見て取れる、本発明の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置の物体の二次元断面図である。
【
図2】本発明の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置の物体が主水力配管に対して平行に設置されている二次元概略図である。
【
図3】本発明の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置の実体に属する円筒管の外側に配置される実体が見て取れる、
図2と同様の三次元の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を見ると、本発明の電気エネルギーを生成するためのターボ発電装置の物体が、
- それ自体の端部において開放されており、それ自体を通ってある量の流体の通過を許容するように構成される円筒管(1)と、
- 連結シャフト(3)を通じて発電要素に軸方向で機械的に連結される水力タービン(2)であって、それぞれの要素は、前記円筒管(1)内部に収容され、ターボ発電ユニットとして定められ、前記ターボ発電ユニットは、流体の機械エネルギーを電気エネルギーへと変換するように構成され、そのためタービン(2)と発電要素とは言及した連結シャフト(3)を通じて互いに軸方向で連結され、前記シャフトは、2つのシャフトによって、すなわち、タービン(2)のための一方と、発電要素のための他方とによって形成され、前記連結は、一体に捩じ込まれるそれぞれのフランジを通じた直接的な連結であり、発電要素とタービン(2)との両方が互いに対して軸方向で一列にされ、円筒管(1)へと導入されるため、小さい空間を占める、水力タービン(2)と
をどのように備えるかが見て取れる。
【0031】
また、前記
図1において、タービン(2)に軸方向で連結される発電要素は、円筒管(1)内部の循環する流体に対して漏れのない漏れ防止管状ケーシング(4)を備え、前記ケーシング(4)は、
- 前記連結シャフト(3)に結合されるロータ(5)、および、前記ロータ(5)を完全に包囲するステータ(6)であって、前記ケーシング(4)は2つの基部を備え、基部のうちの一方は、タービン(2)への連結シャフト(3)の通過のための孔を備え、他方の基部は、管状ケーシング(4)の外側から内側への圧力を吸収するように構成される弾性ダイヤフラム(7)を備える、ロータ(5)およびステータ(6)と、
- 前記ステータ(6)と漏れ防止管状ケーシング(4)の内面との間に定められる空間であって、前記空間は、不凍液(14)を含み、そのためステータと、延いては発電要素全体とが、それらの適切な動作を邪魔し得る低い温度から保護される、空間と
をどのように備えるかが見て取れる。
【0032】
同様に、円筒管(1)内部では、漏れ防止管状ケーシング(4)が、
- 連結シャフト(3)の通過のための孔が位置する基部において、管状ケーシング(4)内部の不凍液(14)と前記ケーシング(4)の外側の循環する流体との間の流体移動を防止するように構成される機械的閉鎖部を有する軸受(8)と、
- 弾性ダイヤフラム(7)が位置する基部において、それ自体に対して連結シャフト(3)の自由な回転を許容するように構成される自由動作軸受(9)であって、連結シャフト(3)の自由端部のうちの一方が前記自由動作軸受(9)において見られ、他方の自由端がタービン(2)に連結される、自由動作軸受(9)と
をどのように備えるかが見て取れる。
【0033】
さらに、ロータ(5)への不凍液の移動を防止するために、
図1において、管状ケーシング(4)は、ステータ(6)に連結された機械的閉鎖部が設けられたフランジ(10)をどのようにさらに備えるかが見て取れ、効果的で信頼できる手法でそれぞれの部品の間に漏れのないことを確保している。さらに、そのように図示されていないが、本発明は、管状ケーシング(4)内部に位置する連結シャフト(3)に対応する部分が、前記管状ケーシング(4)内部全体に不凍液(14)を再循環させるように構成される複数のブレードをどのように備えるかを説明しており、そのため不凍液は、前記管状ケーシング(4)内部における望ましくない温度勾配を防止するために動いている。
【0034】
発電要素がタービン(2)にどのように連結されているかに関連して、発電要素を含んでいる管状ケーシング(4)が、連結シャフト(3)と平行な複数の固定ロッド(16)を通じてタービン(2)にどのように連結されているかが見て取れ、そのため、流体は、タービン(2)を通過すると、前述の固定ロッド(16)を通じて循環して流れ、管状ケーシング(4)を包囲し、円筒管(1)からそのそれぞれの出口を通じて排出され続けることができ、その出口では、前述したように、タービン(2)および管状ケーシング(4)が円筒管(1)の軸に対して中心付けられ、タービン(2)から出る流体の結果として、および、その後に一列で配置されている管状ケーシング(4)の結果として、管状ケーシング(4)との衝突による流体の望ましくない大きな再循環の流れが生成されない。
【0035】
次に、
図2および
図3を見ると、2つの迂回路、すなわち、ターボ発電装置の円筒管(1)への入口導管(15a)と、前記円筒管から主配管(15)へと戻る出口導管(15b)とが出現する主配管(15)を両図面が示しているため、本発明のターボ発電装置の物体がどのように設置および試運転させられるかが見て取れる。
【0036】
これによって、水力設備においてターボ発電装置を設置するための方法が説明でき、その方法では、前記水力設備は、流体の通過のための前述の主配管(15)を備え、それによって、装置は前記主配管(15)に対して平行に設置され、前記主配管(15)は、2つの導管、すなわち、前記主配管(15)から、ターボ発電ユニットが位置する円筒管(1)の入口までの入口導管(15a)と、ターボ発電ユニットが位置する前記円筒管(1)から主配管(15)までの出口導管(15b)とを備える。
【0037】
さらに、両図面は、迂回路および装置自体と関連する以下の水力要素の存在を示している。
- 円筒管(1)内部の空気の通過と圧力の分配との両方を調節することを目的とする、ターボ発電ユニットの後に位置する圧力平衡弁(11)。
- ターボ発電ユニットの上流に位置する閉止弁(12)。
ターボ発電ユニットの下流に位置する閉止弁(13)。前記弁(12、13)の両方は、主配管(15)を通って循環する流体の維持と非並列な迂回とを可能にするように構成される。
- ターボ発電ユニットの上流の固体フィルタ(14)。
【0038】
この記載および図面のセットを考慮して、当業者は、説明された本発明の実施形態が、本発明の目的の中で多くの方法で組み合わせできることを理解するものである。本発明は、そのいくつかの好ましい実施形態によって説明されてきたが、当業者にとっては、多くの変形が、請求された発明の目的を超えることなく、前記好ましい実施形態に導入され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0039】
1 円筒管
2 水力タービン
3 連結シャフト
4 漏れ防止管状ケーシング
5 ロータ
6 ステータ
7 弾性ダイヤフラム
8 軸受
9 自由動作軸受
10 フランジ
11 圧力平衡弁
12 閉止弁
13 閉止弁
14 不凍液
14 固体フィルタ
15 主配管
15a 入口導管
15b 出口導管