(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/74 20170101AFI20220826BHJP
B60Q 3/51 20170101ALI20220826BHJP
【FI】
B60Q3/74
B60Q3/51
(21)【出願番号】P 2019002784
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰匡
(72)【発明者】
【氏名】糸井 知香
(72)【発明者】
【氏名】栗原 均
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 裕二
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002118(JP,A)
【文献】特開2006-297981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/74
B60Q 3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに別体に形成されるとともに、所定の配列方向に並んだ状態で接合され、車両の車室内の上部に設けられる第1筐体及び第2筐体と、
前記第1筐体の内部に設けられる第1収容部及びボックス部と、
前記第1収容部に収容される灯体と、
前記車室内側から前記ボックス部の内部に通じるように前記第1筐体に設けられる開口部を開閉可能に閉塞する蓋部と、
前記第2筐体の内部に設けられ、前記車両の外部及び内部の少なくともいずれかを検出する検出部を収容する第2収容部と、
を備え
、
前記第2筐体は、前記ボックス部に設けられる第2の開口部を閉塞する壁部を備え、
前記ボックス部における前記第2の開口部の縁部のうち前記車両の上下方向における両端を上側の第1端部及び下側の第2端部とし、前記第2筐体の前記壁部の前記上下方向における両端を上側の第3端部及び下側の第4端部とした場合、
前記第1端部及び前記第3端部は互いに接合され、
前記第2端部及び前記第4端部は互いに接合され、
前記第1端部及び前記第3端部は、前記配列方向において相対的に前記第2端部及び前記第4端部よりも前記第1筐体側に配置されている
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記第2端部及び前記第4端部は、複数の爪部と前記複数の爪部が固定される複数の爪固定部との組み合わせによって接合され、
前記複数の爪固定部は、
前記爪部が前記上下方向で突き当てられる第1爪固定部と、
前記爪部が前記上下方向及び前記配列方向の各々に交差する交差方向で突き当てられる第2爪固定部と、
を備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1爪固定部は、前記第2端部及び前記第4端部のいずれか一方において前記交差方向の中央側に配置され、
前記第2爪固定部は、前記いずれか一方において前記交差方向の相対的に前記第1爪固定部よりも端部側に配置されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第2端部は、前記上下方向の下方側から上方側に向かって延びる前記複数の爪部を備え、
前記第4端部は、前記複数の爪部が前記上下方向の下方側から上方側に向かって挿入される複数の挿入孔に配置される前記複数の爪固定部を備えることを特徴とする請求項3又は請求項
3に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記第1筐体に設けられる第1ねじ装着部と、
前記第1ねじ装着部に通じるように前記第2筐体に設けられる第2ねじ装着部と、
前記第1ねじ装着部及び前記第2ねじ装着部に装着されることによって、前記第1筐体及び前記第2筐体を固定するねじ部材と、
を備える
ことを特徴とする請求項
2から請求項
4のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記第1筐体は、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成され、
前記第2筐体は、ポリカーボネート樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項7】
互いに別体に形成されるとともに、所定の配列方向に並んだ状態で接合され、車両の車室内の上部に設けられる第1筐体及び第2筐体と、
前記第1筐体の内部に設けられる第1収容部及びボックス部と、
前記第1収容部に収容される灯体と、
前記車室内側から前記ボックス部の内部に通じるように前記第1筐体に設けられる開口部を開閉可能に閉塞する蓋部と、
前記ボックス部に設けられる第2の開口部を閉塞するように前記第2筐体に設けられる壁部と、
を備え、
前記ボックス部における前記第2の開口部の縁部のうち前記車両の上下方向における両端を上側の第1端部及び下側の第2端部とし、前記第2筐体の前記壁部の前記上下方向における両端を上側の第3端部及び下側の第4端部とした場合、
前記第1端部及び前記第3端部は互いに接合され、
前記第2端部及び前記第4端部は互いに接合され、
前記第2端部は、前記上下方向において相対的に前記第4端部よりも下方側に配置されている
ことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項8】
前記第1筐体は、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成され、
前記第2筐体は、ポリカーボネート樹脂及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の合成樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成されていることを特徴とする請求項
7に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前席の天井(ルーフライニング)中央部に配置されたオーバーヘッドコンソールにおいて、車室内照明用の灯体と、物体等の検出用のカメラとを備える車両用照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような車両用照明装置は、灯体を収容する灯体収容部とカメラを収容するカメラ収容部とが一体に形成されて成る筐体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような車両用照明装置の筐体は、一体に形成された灯体収容部及びカメラ収容部を備えるので、筐体の大きさが大型になるおそれがある。また、灯体収容部及びカメラ収容部の一体化によって筐体の形状が複雑になり、樹脂材料などを用いた成形加工によって筐体を製造することが困難になるおそれがある。また、一体化された灯体収容部及びカメラ収容部の各々において、材料、加工方法、重量、剛性、デザイン及び色などを個別に設定することが困難であるという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る車両用照明装置は、互いに別体に形成されるとともに、所定の配列方向に並んだ状態で接合され、車両の車室内の上部に設けられる第1筐体及び第2筐体と、前記第1筐体の内部に設けられる第1収容部及びボックス部と、前記第1収容部に収容される灯体と、前記車室内側から前記ボックス部の内部に通じるように前記第1筐体に設けられる開口部を開閉可能に閉塞する蓋部と、前記第2筐体の内部に設けられ、前記車両の外部及び内部の少なくともいずれかを検出する検出部を収容する第2収容部と、を備え、前記第2筐体は、前記ボックス部に設けられる第2の開口部を閉塞する壁部を備え、前記ボックス部における前記第2の開口部の縁部のうち前記車両の上下方向における両端を上側の第1端部及び下側の第2端部とし、前記第2筐体の前記壁部の前記上下方向における両端を上側の第3端部及び下側の第4端部とした場合、前記第1端部及び前記第3端部は互いに接合され、前記第2端部及び前記第4端部は互いに接合され、前記第1端部及び前記第3端部は、前記配列方向において相対的に前記第2端部及び前記第4端部よりも前記第1筐体側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、第1筐体及び第2筐体の各々において、材料、加工方法、重量、剛性、デザイン及び色などを個別に設定することができる。また、例えば第1筐体及び第2筐体を一体的に形成する場合に比べて、第1筐体及び第2筐体の各々の大きさが大型になることを抑制することができる。これらにより、第1筐体及び第2筐体の仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。また、例えば成形加工によって第1筐体及び第2筐体を製造する場合において、ウェルドライン等の構造的なぜい弱部位及び外観不良部位の発生を抑制することができる。
また、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部との配列方向における間隔を増大させることに伴い、第2端部及び第4端部まわりのモーメントのつり合いにより、第2筐体の荷重に対する第1端部及び第3端部の反力(例えば垂直反力)は減少傾向に変化する。これにより、例えば第1端部及び第3端部が第2端部及び第4端部に対して、配列方向に交差(例えば直交)する上下方向(例えば鉛直方向)の上方に配置される場合等のように、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部とが配列方向にほぼ揃って配置される場合に比べて、第1端部及び第3端部に必要とされる支持力及び剛性を低減することができる。
また、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部との配列方向における間隔を増大させる場合、例えば第1端部及び第3端部を配列方向において相対的に第2端部及び第4端部よりも第2筐体側に配置すると、壁部を備える第2筐体を成形加工によって製造することが困難になるという問題が生じる。これにより、第1端部及び第3端部を配列方向において相対的に第2端部及び第4端部よりも第1筐体側に配置することによって、仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第2筐体は、前記ボックス部に設けられる第2の開口部を閉塞する壁部を備え、前記ボックス部における前記第2の開口部の縁部のうち前記車両の上下方向における両端を上側の第1端部及び下側の第2端部とし、前記第2筐体の前記壁部の前記上下方向における両端を上側の第3端部及び下側の第4端部とした場合、前記第1端部及び前記第3端部は互いに接合され、前記第2端部及び前記第4端部は互いに接合され、前記第1端部及び前記第3端部は、前記配列方向において相対的に前記第2端部及び前記第4端部よりも前記第1筐体側に配置されていることが好ましい。
【0009】
このように構成することで、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部との配列方向における間隔を増大させることに伴い、第2端部及び第4端部まわりのモーメントのつり合いにより、第2筐体の荷重に対する第1端部及び第3端部の反力(例えば垂直反力)は減少傾向に変化する。これにより、例えば第1端部及び第3端部が第2端部及び第4端部に対して、配列方向に交差(例えば直交)する上下方向(例えば鉛直方向)の上方に配置される場合等のように、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部とが配列方向にほぼ揃って配置される場合に比べて、第1端部及び第3端部に必要とされる支持力及び剛性を低減することができる。
また、第1端部及び第3端部と第2端部及び第4端部との配列方向における間隔を増大させる場合、例えば第1端部及び第3端部を配列方向において相対的に第2端部及び第4端部よりも第2筐体側に配置すると、壁部を備える第2筐体を成形加工によって製造することが困難になるという問題が生じる。これにより、第1端部及び第3端部を配列方向において相対的に第2端部及び第4端部よりも第1筐体側に配置することによって、仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第2端部及び前記第4端部は、複数の爪部と前記複数の爪部が固定される複数の爪固定部との組み合わせによって接合され、前記複数の爪固定部は、前記爪部が前記上下方向で突き当てられる第1爪固定部と、前記爪部が前記上下方向及び前記配列方向の各々に交差する交差方向で突き当てられる第2爪固定部と、を備えることが好ましい。
【0011】
このように構成することで、第2端部及び第4端部は、複数の爪部が複数の爪固定部に噛み合うように係合される(係わり合わせて止められる)ことによって固定される。これにより、例えば爪部及び爪固定部の代わりに、ねじ及びねじ穴が形成されたボス等を備える場合に比べて、第2端部及び第4端部の機械的な接合に要する構成を、よりコンパクトにすることができる。
また、複数の爪部及び複数の爪固定部は、上下方向及び交差方向の各々において第1筐体及び第2筐体の変位及び変形を規制する。これにより、例えば単一の爪部及び爪固定部によって複数の方向に対する位置規制を行う場合に比べて、位置規制に対する所望の精度を確保しながら、第1筐体及び第2筐体の位置合わせを容易に行うことができる。
【0012】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第1爪固定部は、前記第2端部及び前記第4端部のいずれか一方において前記交差方向の中央側に配置され、前記第2爪固定部は、前記いずれか一方において前記交差方向の相対的に前記第1爪固定部よりも端部側に配置されていることが好ましい。
【0013】
このように構成することで、第1爪固定部と第1爪固定部に固定される爪部とは、交差方向の中央側において第1筐体及び第2筐体の上下方向における変位及び変形を規制する。これにより、第2筐体の荷重に起因して第2端部及び第4端部の周辺に上下方向(例えば鉛直方向)の変位又は変形が生じることを防ぐことができる。
【0014】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第2端部は、前記上下方向の下方側から上方側に向かって延びる前記複数の爪部を備え、前記第4端部は、前記複数の爪部が前記上下方向の下方側から上方側に向かって挿入される複数の挿入孔に配置される前記複数の爪固定部を備えることが好ましい。
【0015】
このように構成することで、第1筐体の複数の爪部は、第2筐体の複数の挿入孔に対して車両の車室内側から第2筐体の内部に向かって挿入される。これにより、複数の爪部が車両の車室内側に突出又は露出することを防ぎ、第1筐体及び第2筐体の美観を損なうこと無しに外観意匠性を向上させることができる。
また、第2筐体の壁部において上側の第3端部は下側の第4端部よりも第1筐体側に配置されていることにより、例えば第4端部に複数の爪部を備える場合には、複数の爪部を壁部に干渉しないように配置する必要が生じる。この場合、第4端部において上方側に延びる複数の爪部を備えることが困難になる、又は、第4端部における複数の爪部の配置が複雑になるおそれがある。また、例えば複数の爪部が挿入される複数の挿入孔が第2端部に形成される場合には、第1筐体のボックス部における第2の開口部の縁部の剛性が低下するおそれがある。これらにより、複数の爪部を第2端部に備えるとともに、複数の爪固定部が配置される複数の挿入孔を第4端部に形成することによって、複数の爪部の配置が複雑になることを防ぐとともに、第1筐体のボックス部における第2の開口部の縁部の剛性が低下することを防ぐことができる。
【0016】
本発明に係る車両用照明装置は、前記第1筐体に設けられる第1ねじ装着部と、前記第1ねじ装着部に通じるように前記第2筐体に設けられる第2ねじ装着部と、前記第1ねじ装着部及び前記第2ねじ装着部に装着されることによって、前記第1筐体及び前記第2筐体を固定するねじ部材と、を備えることが好ましい。
【0017】
このように構成することで、ねじ部材は、上下方向及び交差方向に加えて、例えば配列方向等の他の方向に対しても第1筐体及び第2筐体の変位及び変形を規制する。これにより、第1筐体及び第2筐体の位置規制の精度を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第1筐体は、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成され、前記第2筐体は、ポリカーボネート樹脂により形成されていることが好ましい。
【0019】
このように構成することで、第1筐体は相対的に柔軟に形成され、第2筐体は相対的に高剛性に形成される。これにより、例えば布又は革等の柔軟な材料によって形成される車両の天井(ルーフライニング)に第1筐体を配置することによって、天井の形状の歪みを抑制することができる。また、例えば第1筐体及び第2筐体をポリカーボネート樹脂により形成する場合に比べて、重量の増大を抑制するとともに、構成に要する費用が嵩むことを防ぐことができる。
【0020】
本発明に係る車両用照明装置は、互いに別体に形成されるとともに、所定の配列方向に並んだ状態で接合され、車両の車室内の上部に設けられる第1筐体及び第2筐体と、前記第1筐体の内部に設けられる第1収容部及びボックス部と、前記第1収容部に収容される灯体と、前記車室内側から前記ボックス部の内部に通じるように前記第1筐体に設けられる開口部を開閉可能に閉塞する蓋部と、前記ボックス部に設けられる第2の開口部を閉塞するように前記第2筐体に設けられる壁部と、を備え、前記ボックス部における前記第2の開口部の縁部のうち前記車両の上下方向における両端を上側の第1端部及び下側の第2端部とし、前記第2筐体の前記壁部の前記上下方向における両端を上側の第3端部及び下側の第4端部とした場合、前記第1端部及び前記第3端部は互いに接合され、前記第2端部及び前記第4端部は互いに接合され、前記第2端部は、前記上下方向において相対的に前記第4端部よりも下方側に配置されていることを特徴とする。
【0021】
このように構成することで、第1筐体及び第2筐体の各々において、材料、加工方法、重量、剛性、デザイン及び色などを個別に設定することができる。また、例えば第1筐体及び第2筐体を一体的に形成する場合に比べて、第1筐体及び第2筐体の各々の大きさが大型になることを抑制することができる。これらにより、第1筐体及び第2筐体の仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。また、例えば成形加工によって第1筐体及び第2筐体を製造する場合において、ウェルドライン等の構造的なぜい弱部位及び外観不良部位の発生を抑制することができる。
また、第1筐体の第2端部は、車両の上下方向において車室内側から第2筐体の第4端部を覆うように、第4端部よりも下方側に配置されている。これによって、第1筐体及び第2筐体の接合境界が車室内側に露出することを防ぎ、第1筐体及び第2筐体の美観を損なうこと無しに外観意匠性を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る車両用照明装置では、前記第1筐体は、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成され、前記第2筐体は、ポリカーボネート樹脂及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の合成樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂により形成されていることが好ましい。
【0023】
このように構成することで、第1筐体は相対的に柔軟に形成され、第2筐体は相対的に剛性及び硬度等の機械的特性のバランスに優れて形成される。これにより、例えば布又は革等の柔軟な材料によって形成される車両の天井(ルーフライニング)に第1筐体を配置することによって、天井の形状の歪みを抑制することができる。また、例えば第1筐体及び第2筐体をポリカーボネート樹脂により形成する場合に比べて、成形加工時の流動性を向上させることができ、ウェルドライン等の構造的なぜい弱部位及び外観不良部位の発生を抑制し、製造容易性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、互いに別体に形成される第1筐体及び第2筐体によって、仕様多様化及び製造の容易性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す車両の左右方向から見た側面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の第1筐体のボックス部を車室内側から見た斜視図。
【
図4】
図3に示す車両用照明装置の第1筐体及び第2筐体を分解して示す斜視図。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の第1筐体及び第2筐体と蓋部材とを分解して裏面側から見た斜視図。
【
図6】
図5に示す車両用照明装置の第1筐体及び第2筐体を分解して示す斜視図。
【
図7】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の第1筐体及び第2筐体を内面側から見た斜視図。
【
図8】
図7に示すA-A線の位置におけるX-Z平面による断面図。
【
図9】本発明の実施形態に係る車両用照明装置及び比較例の各々における第2筐体の荷重に対する第4端部まわりのモーメントのつり合いを模式的に示す図。
【
図10】本発明の実施形態に係る車両用照明装置及び比較例の各々における第1筐体及び第2筐体の応部分布の一例を示す図。
【
図11】本発明の実施形態の変形例に係る車両用照明装置の第1筐体のボックス部を車室内側から見た斜視図。
【
図12】本発明の実施形態の変形例に係る車両用照明装置の第1筐体及び第2筐体を分解して裏面側から見た斜視図。
【
図13】本発明の実施形態の変形例に係る車両用照明装置のX-Z平面による断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の車両用照明装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0027】
(車両用照明装置)
図1は、実施形態に係る車両用照明装置10の構成を示す車両1の左右方向から見た側面図である。
図2は、実施形態に係る車両用照明装置10の構成を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の車両用照明装置10は、車両1の車室内2における前席3の上部に配置されている。車室内2の上部は、例えば、天井に相当するルーフライニング4と、フロントウィンドウ5の上部となどである。
なお、以下において、3次元空間で互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向は、各軸に平行な方向である。例えば、車両1の前後方向は、X軸方向と平行である。X軸方向の正方向は、車両1の後部から前部に向かう方向である。車両1の左右方向は、Y軸方向と平行である。Y軸方向の正方向は、車両1の右側から左側に向かう方向である。車両1の上下方向は、Z軸方向と平行である。Z軸方向の正方向は、車両1の下部から上部に向かう方向である。
【0029】
図1及び
図2に示すように、車両用照明装置10は、第1筐体21と、第2筐体22と、2つの灯体23と、2つの外界カメラ24と、を備える。なお、外界カメラ24は、請求項における検出部に相当する。
第1筐体21及び第2筐体22は、互いに別体に形成されている。第1筐体21及び第2筐体22は、前後方向(X軸方向)に並んだ状態で接合され、車室内2の上部の一部を覆うように配置されている。なお、前後方向は、請求項における配列方向に相当する。
【0030】
図3は、実施形態に係る車両用照明装置10の第1筐体21のボックス部32を車室内2側から見た斜視図である。
図4は、
図3に示す車両用照明装置10の第1筐体21及び第2筐体22を分解して示す斜視図である。
図5は、実施形態に係る車両用照明装置10の第1筐体21及び第2筐体22と蓋部材33とを分解して裏面21B側から見た斜視図である。
図6は、
図5に示す車両用照明装置の第1筐体21及び第2筐体22を分解して示す斜視図である。
図7は、実施形態に係る車両用照明装置の第1筐体21及び第2筐体22を内面側から見た斜視図である。
図8は、
図7に示すA-A線の位置におけるX-Z平面による断面図である。
【0031】
図1から
図8に示すように、第1筐体21の外形は、例えば、複数の開口部が設けられた箱型に形成されている。第1筐体21は、例えば、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などの柔軟性が高い樹脂材料により形成されている。第1筐体21は、ルーフライニング4の一部を覆うように配置されている。
【0032】
第1筐体21は、2つの灯体収容部31と、ボックス部32と、蓋部材33と、を備える。なお、灯体収容部31は、請求項における第1収容部に相当する。また、蓋部材33は、請求項における蓋部に相当する。
2つの灯体収容部31の各々の外形は、例えば、第1筐体21の車室内2側に露出する表面21Aにおいて上下方向の上方(Z軸方向の正方向)に向かって凹む凹形状に形成されている。2つの灯体収容部31は、第1筐体21における前後方向の後側(X軸方向の負方向)に設けられている。2つの灯体収容部31の各々は、灯体23を収容する。
【0033】
ボックス部32の外形は、例えば、第1筐体21の表面21Aにおいて上下方向の上方に向かって凹む凹形状に形成されている。これに伴い、第1筐体21には、車室内2側からボックス部32の内部に通じるように第1開口部34が形成されている。なお、第1開口部34は、請求項における開口部に相当する。
ボックス部32は、いわゆるオーバーヘッドコンソールのコンソールボックスを構成し、第1筐体21における前後方向の前側(X軸方向の正方向側)に設けられている。ボックス部32は、第1開口部34を開閉可能に閉塞する蓋部材33を、車室内2側に引き出し可能に収容する。
ボックス部32は、左右方向(Y軸方向)の左側端部32L及び右側端部32Rの各々における前後方向の前側の各部位に、後述する蓋部材33の回転軸51aを回転可能に支持する軸支持部41を備える。例えば、軸支持部41には、蓋部材33の回転軸51aが回転可能に挿入される軸挿入孔41aが形成されている。
【0034】
ボックス部32における前後方向の前側端部32Fには、第2開口部42が形成されている。なお、第2開口部42は、請求項における第2の開口部に相当する。ボックス部32は、第2開口部42を形成する周縁部43のうち上下方向の上側の第1端部43Uに複数(例えば、2つ)の第1爪部44を備える。なお、周縁部43は、請求項における縁部に相当する。例えば2つの第1爪部44は、左右方向に所定間隔をおいて前後方向の前方に向かって突出している。各第1爪部44は、例えば
図4に示すように、前後方向に延びる脚部44aと、脚部44aの先端部から上下方向の下方に突出する頭部44bと、を備える。
図4から
図7に示すように、各第1爪部44は、いわゆるカンチレバー型のスナップフィットにより、後述する第2筐体22の第1爪保持部63に機械的に接合される。各第1爪部44は、脚部44aの弾性により上下方向の上方から下方に向かい頭部44bを第1爪保持部63に噛み合わせることによって、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定する。
【0035】
ボックス部32は、第2開口部42の周縁部43のうち上下方向の下側の第2端部43Bに複数(例えば4つ)の第2爪部45を備える。なお、第2爪部45は、請求項における爪部に相当する。例えば4つの第2爪部45は、左右方向に所定間隔をおいて配置されている。各第2爪部45は、左右方向に離れて上下方向の上方に向かって突出する1対の爪片46を備える。各爪片46は、例えば
図6に示すように、上下方向に延びる脚部46aと、脚部46aの先端部から左右方向に突出する頭部46bと、を備える。1対の爪片46は、互いの頭部46bを左右方向の向かい合う方向に突出させるように配置されている。
【0036】
各第2爪部45の1対の爪片46は、いわゆるカンチレバー型のスナップフィットにより、後述する第2筐体22の第2爪保持部64(例えば中央側第2爪保持部64A又は端部側第2爪保持部64B)に機械的に接合される。1対の爪片46は、第2爪保持部64を左右方向の両側から挟み込むように配置され、脚部46aの弾性により各頭部46b又は各脚部46aを第2爪保持部64に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定する。
【0037】
4つの第2爪部45のうち第2端部43Bにおける左右方向の中央側に配置される2つの中央側第2爪部45Aの各爪片46は、脚部46aの弾性により上下方向の上方から下方に向かい頭部46bを第2爪保持部64(中央側第2爪保持部64A)に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22の上下方向における位置を規制する。
4つの第2爪部45のうち第2端部43Bにおける左右方向の両端側(左端43BL側及び右端43BR側)に配置される2つの端部側第2爪部45Bの各爪片46は、脚部46aの弾性により左右方向から脚部46aを第2爪保持部64(端部側第2爪保持部64B)に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22の左右方向における位置を規制する。
【0038】
ボックス部32は、第2開口部42の周縁部43の第2端部43Bにおいて左右方向に4つの第2爪部45よりも両端側(左端43BL側及び右端43BR側)に設けられた2つの第1ねじ装着部47を備える。各第1ねじ装着部47は、例えば、上下方向の上方に突出する第1ボス47aを備える。第1ボス47aには、後述する第2筐体22の第1ねじ挿入孔67aに臨んで連なる第1ねじ穴47bが形成されている。
車両用照明装置10は、第1ねじ挿入孔67aに挿入されるとともに第1ねじ穴47bにねじ込まれる第1ねじ部材48を備える。第1ねじ部材48は、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定し、上下方向及び左右方向に加えて、他の任意の方向に対して第1筐体21及び第2筐体22の位置を規制する。
【0039】
第1筐体21は、ボックス部32の周辺において左右方向に2つの第1ねじ装着部47よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第2ねじ装着部49を備える。各第2ねじ装着部49は、例えば、第1筐体21の裏面21Bから上下方向の上方に突出する第2ボス49aを備える。第2ボス49aには、後述する第2筐体22の第2ねじ挿入孔68aに臨んで連なる第2ねじ穴49bが形成されている。
車両用照明装置10は、第2ねじ挿入孔68aに挿入されるとともに第2ねじ穴49bにねじ込まれる第2ねじ部材50を備える。第2ねじ部材50は、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定し、上下方向及び左右方向に加えて、他の任意の方向に対して第1筐体21及び第2筐体22の位置を規制する。なお、第1ねじ装着部47及び第2ねじ装着部49は、請求項における第1ねじ装着部に相当する。また、第1ねじ部材48及び第2ねじ部材50は、請求項におけるねじ部材に相当する。
【0040】
蓋部材33は、ケース51と、カバー52と、を備える。
ケース51の外形は、例えば、開口した箱型に形成されている。ケース51は、例えば車両1の乗員が装着するサングラス等の適宜の物体を収容する。ケース51は、前後方向の前側の端部において左右方向に延びる回転軸51aを備える。回転軸51aは、ボックス部32の軸挿入孔41aに挿入されている。ケース51は、回転軸51aの軸周りに回転することによって、ボックス部32の内部から車室内2側に引き出される、又は、車室内2側からボックス部32の内部に収容される。
カバー52は、ケース51の下面(上下方向の下方に車室内2側に向く表面)を覆うようにケース51に装着されている。カバー52は、ケース51の回転に伴い、第1筐体21の第1開口部34を開閉可能に閉塞する。カバー52は、ケース51がボックス部32の内部に収容される場合に第1開口部34を閉塞し、ケース51がボックス部32の内部から車室内2側に引き出される場合に第1開口部34の閉塞を解除する。
【0041】
図1から
図8に示すように、第2筐体22の外形は、例えば、開口した箱型に形成されている。第2筐体22は、例えば、ポリカーボネート樹脂などの高剛性の樹脂材料により形成されている。第2筐体22は、フロントウィンドウ5の上部の一部を覆うように配置されている。
第2筐体22は、カメラ収容部61と、壁部62と、を備える。なお、カメラ収容部61は、請求項における第2収容部に相当する。
カメラ収容部61の外形は、例えば、上下方向の上方及び前後方向の前方に向かって開口した箱型に形成されている。カメラ収容部61は、第2筐体22における前後方向の前側に設けられている。カメラ収容部61は、左右方向に離れて配置される2つの外界カメラ24を収容する。
【0042】
壁部62の外形は、例えば、第1筐体21のボックス部32における蓋部材33の前端(前後方向における前側の端部)の回転軌跡に沿って湾曲する板状に形成されている。壁部62は、第2筐体22における前後方向の後側に設けられている。壁部62は、第1筐体21のボックス部32の第2開口部42を閉塞する。
壁部62における上下方向の上側の第3端部62Uは、前後方向において相対的に壁部62における上下方向の下側の第4端部62Bよりも後方に第1筐体21側に配置されている。
【0043】
図4から
図7に示すように、壁部62は、上下方向の上側の第3端部62Uに複数(例えば、2つ)の第1爪保持部63を備える。例えば2つの第1爪保持部63は、左右方向に所定間隔をおいて設けられている。各第1爪保持部63の外形は、例えば、第1筐体21の各第1爪部44の頭部44bが上下方向の上方から下方に向かって係合される(係わり合わせて止められる)凹形状に形成されている。各第1爪部44及び各第1爪保持部63は、相互の噛み合いによって第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0044】
壁部62は、上下方向の下側の第4端部62Bに複数(例えば、4つ)の第2爪保持部64を備える。例えば4つの第2爪保持部64は、左右方向に所定間隔をおいて配置されている。第4端部62Bには、車室内2側から第2筐体22の内部に向かって第1筐体21の複数(例えば4つ)の第2爪部45が挿入される複数(例えば、4つ)の貫通孔65が形成されている。例えば4つの貫通孔65は、左右方向に所定間隔をおいて設けられている。各第2爪保持部64は、各貫通孔65における左右方向の中央側において各貫通孔65の縁部66から上下方向の上方に延びるように形成されている。各第2爪保持部64の外形は、例えば、縁部66から上下方向の上方に延び、各第2爪部45が上下方向又は左右方向において係合される柱状に形成されている。なお、貫通孔65は、請求項における挿入孔に相当する。
【0045】
図8に示すように、複数の第2爪部45を備える第1筐体21の第2端部43Bは、車室内2側つまり上下方向の下方側から、複数の貫通孔65が形成された第2筐体22の第4端部62Bに重なるように配置されている。これに伴い、
図5から
図7に示すように、各第2爪部45の1対の爪片46は、各第2爪保持部64を左右方向の両側から挟み込むように各貫通孔65に上下方向の下方側から上方側に第2筐体22の内部に向かって挿入される。各第2爪部45の1対の爪片46は、上下方向又は左右方向における各第2爪保持部64に対する噛み合いによって第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0046】
図6に示すように、4つの第2爪保持部64のうち第4端部62Bにおける左右方向の中央側に配置される2つの中央側第2爪保持部64Aは、2つの第2爪部45(中央側第2爪部45A)が上下方向に突き当てられることによって、第1筐体21及び第2筐体22の上下方向における位置を規制する。なお、左右方向の中央側に配置される2つの中央側第2爪保持部64Aは、請求項における第1爪固定部に相当する。
4つの第2爪保持部64のうち第4端部62Bにおける左右方向の両端側(左端62BL側及び右端62BR側)に配置される2つの端部側第2爪保持部64Bは、2つの第2爪部45(端部側第2爪部45B)が左右方向に突き当てられることによって、第1筐体21及び第2筐体22の左右方向における位置を規制する。なお、左右方向の両端側(左端62BL側及び右端62BR側)に配置される2つの端部側第2爪保持部64Bは、請求項における第2爪固定部に相当する。また、左右方向は、請求項における交差方向に相当する。また、左端62BL側及び右端62BR側は、請求項における端部側に相当する。
【0047】
第2筐体22は、壁部62の周辺において左右方向に4つの第2爪保持部64よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第3ねじ装着部67を備える。各第3ねじ装着部67には、例えば、第1筐体21の各第1ねじ装着部47の第1ねじ穴47bに臨んで連なる第1ねじ挿入孔67aが形成されている。上述したように、各第1ねじ挿入孔67aに挿入された各第1ねじ部材48は、各第1ねじ穴47bにねじ込まれることによって、第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0048】
第2筐体22は、壁部62の周辺において左右方向に2つの第3ねじ装着部67よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第4ねじ装着部68を備える。各第4ねじ装着部68には、例えば、第1筐体21の各第2ねじ装着部49の第2ねじ穴49bに臨んで連なる第2ねじ挿入孔68aが形成されている。上述したように、各第2ねじ挿入孔68aに挿入された各第2ねじ部材50は、各第2ねじ穴49bにねじ込まれることによって、第1筐体21及び第2筐体22を固定する。なお、第3ねじ装着部67及び第4ねじ装着部68は、請求項における第2ねじ装着部に相当する。
【0049】
なお、第1筐体21及び第2筐体22が接合される際には、先ず、第1筐体21の第1端部43Uと第2筐体22の第3端部62Uとにおいて、各第1爪部44及び各第1爪保持部63が係合される。
次に、第1筐体21の第2端部43Bと第2筐体22の第4端部62Bとにおいて、各第2爪部45及び各第2爪保持部64が係合される。
次に、第1筐体21の各第1ねじ装着部47と第2筐体22の各第3ねじ装着部67とが各第1ねじ部材48によって固定されるとともに、第1筐体21の各第2ねじ装着部49と第2筐体22の各第4ねじ装着部68とが各第2ねじ部材50によって固定される。
【0050】
2つの灯体23の各々は、例えば発光ダイオード等である。
2つの外界カメラ24は、例えば左右方向に離れて配置されるステレオカメラ等である。2つの外界カメラ24は、車両1の前後方向の前方における歩行者及び物体等を検出する。2つの外界カメラ24は、例えば、適宜の制御装置によって制御される。制御装置は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。また、制御装置の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0051】
上述したように、本実施形態の車両用照明装置10によれば、第1筐体21及び第2筐体22は別体に形成されていることによって、材料、加工方法、重量、剛性、デザイン及び色などを個別に設定することができる。また、例えば第1筐体21及び第2筐体22を一体的に形成する場合に比べて、第1筐体21及び第2筐体22の各々の大きさが大型になることを抑制することができる。これらにより、第1筐体21及び第2筐体22の仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。また、例えば成形加工によって第1筐体21及び第2筐体22を製造する場合において、ウェルドライン等の構造的なぜい弱部位及び外観不良部位の発生を抑制することができる。
【0052】
また、第1筐体21のボックス部32に第2開口部42を形成するとともに、第2開口部42を閉塞する壁部62を第2筐体22に設け、壁部62における上側の第3端部62Uを前後方向において相対的に下側の第4端部62Bよりも第1筐体21側に配置している。これにより、別体の第1筐体21及び第2筐体22の各々を成形加工によって容易に製造することができる。つまり、例えば第1筐体21のボックス部32に第2開口部42を設けない場合、又は、例えば第2筐体22の壁部62において上側の第3端部62Uを前後方向において相対的に下側の第4端部62Bよりも第2筐体22側に配置する場合には、第1筐体21及び第2筐体22の各々を成形加工によって製造することが困難になるという問題が生じる。このような問題に対して、第1筐体21のボックス部32に第2開口部42を設けるとともに、第2開口部42を閉塞する第2筐体22の壁部62において、第3端部62Uを第4端部62Bよりも第1筐体21側に配置することによって、第1筐体21及び第2筐体22の製造の容易性を向上させることができる。
【0053】
また、
図9は、実施形態に係る車両用照明装置10及び比較例の各々における第2筐体22の荷重Faに対する第4端部62Bまわりのモーメントのつり合いを模式的に示す図である。
図9に示すように、実施形態に係る車両用照明装置10では、壁部62における第3端部62Uが前後方向(X軸方向)に第4端部62Bよりも所定間隔Xbだけ第1筐体21側に配置されていることに対して、比較例では、壁部62における第3端部62U及び第4端部62Bが前後方向(X軸方向)にほぼ揃って配置されている。
第2筐体22の前後方向に第4端部62Bから所定間隔Xaの重心位置に作用する荷重Faに対して、実施形態に係る車両用照明装置10のように、前後方向に第3端部62Uと第4端部62Bとの間隔を増大させることに伴い、第4端部62Bまわりのモーメントのつり合いにより、第3端部62Uの反力(例えば垂直反力)Fbは減少傾向に変化する。一方、比較例のように、前後方向に第3端部62Uと第4端部62Bとの間隔を減少させることに伴い、第4端部62Bまわりのモーメントのつり合いにより、第3端部62Uの反力(例えば垂直反力)Fb0は増大傾向に変化する。これにより、実施形態に係る車両用照明装置10では、比較例に比べて、第1筐体21の第1端部43Uと第2筐体22の第3端部62Uとに必要とされる支持力及び剛性を低減することができる。
また、第2筐体22の荷重Faに起因する第4端部62Bまわりの回転に対して、比較例における第3端部62Uの変位方向は上下方向の下方側であることに対して、実施形態に係る車両用照明装置10における第3端部62Uの変位方向は上下方向の上方側である。これにより、上下方向の上方側から下方側に向かって第3端部62Uに係合する第1筐体21の第1端部43Uに対して、実施形態に係る車両用照明装置10では、比較例に比べて、第1端部43Uと第3端部62Uとを強固に接合することができる。
【0054】
また、
図10は、実施形態に係る車両用照明装置10及び比較例の各々における第1筐体21及び第2筐体22の応部分布の一例を示す図である。
図10に示すように、実施形態に係る車両用照明装置10では、第1筐体21のボックス部32の第2開口部42を閉塞する壁部62を第2筐体22に備えることに対して、比較例では、壁部62は省略されている。
第2開口部42の周縁部43の第2端部43Bにおいて、例えば左右方向(Y軸方向)の両端側(左端側及び右端側)における応力は、実施形態に係る車両用照明装置10に比べて、比較例において増大していることが認められる。より具体的には、第2端部43Bの左右方向の両端側(左端側及び右端側)において、実施形態に係る車両用照明装置10では、比較例に比べて、約2.5倍の剛性を有することが認められた。これにより、実施形態に係る車両用照明装置10では、比較例に比べて、第1筐体21及び第2筐体22の剛性を増大させることができる。
【0055】
また、第1筐体21の第1端部43U及び第2端部43Bと、第2筐体22の第3端部62U及び第4端部62Bとは、各爪部44,45と各爪保持部63,64との組み合わせによって機械的に接合される。これにより、例えば各爪部44,45及び各爪保持部63,64の代わりに、ねじ及びねじ穴が形成されたボス等を備える場合に比べて、機械的な接合に要する構成を、よりコンパクトにすることができる。
また、第2端部43Bの複数の第2爪部45及び第4端部62Bの複数の第2爪保持部64は、上下方向及び左右方向の各々において第1筐体21及び第2筐体22の変位及び変形を規制する。これにより、例えば単一の爪部及び爪固定部によって複数の方向に対する位置規制を行う場合に比べて、位置規制に対する所望の精度を確保しながら、第1筐体21及び第2筐体22の位置合わせを容易に行うことができる。
【0056】
また、第4端部62Bの2つの中央側第2爪保持部64Aと、2つの中央側第2爪保持部64Aに固定される第2端部43Bの2つの第2爪部45とは、左右方向の中央側において第1筐体21及び第2筐体22の上下方向における変位及び変形を規制する。これにより、第2筐体22の荷重に起因して第2端部43B及び第4端部62Bの周辺に上下方向(例えば鉛直方向)の変位又は変形が生じることを防ぐことができる。
また、第1筐体21における第2端部43Bの複数の第2爪部45は、第2筐体22における第4端部62Bの複数の貫通孔65に対して車室内2側から第2筐体22の内部に向かって挿入される。これにより、複数の第2爪部45が車室内2側に突出又は露出することを防ぎ、第1筐体21及び第2筐体22の美観を損なうこと無しに外観意匠性を向上させることができる。
また、第1筐体21の第2端部43Bは、上下方向において車室内2側から第2筐体22の第4端部62Bを覆うように、第4端部62Bよりも下方側に配置されている。これによって、第1筐体21及び第2筐体22の接合境界が車室内2側に露出することを防ぎ、第1筐体21及び第2筐体22の美観を損なうこと無しに外観意匠性を向上させることができる。
【0057】
また、第2筐体22の壁部62において上側の第3端部62Uは下側の第4端部62Bよりも第1筐体21側に配置されていることにより、例えば第4端部62Bに複数の爪部を備える場合には、複数の爪部を壁部62に干渉しないように配置する必要が生じる。この場合、第4端部62Bにおいて上方側に延びる複数の爪部を備えることが困難になる、又は、第4端部62Bにおける複数の爪部の配置が複雑になるおそれがある。また、例えば複数の爪部が挿入される複数の挿入孔が第2端部43Bに形成される場合には、第1筐体21のボックス部32における第2開口部42の周縁部43の剛性が低下するおそれがある。これらにより、複数の第2爪部45を第2端部43Bに備えるとともに、複数の第2爪保持部64が配置される複数の貫通孔65を第4端部62Bに形成することによって、複数の第2爪部45の配置が複雑になることを防ぐとともに、第1筐体21のボックス部32における第2開口部42の周縁部43の剛性が低下することを防ぐことができる。
【0058】
また、第1ねじ部材48及び第2ねじ部材50は、上下方向及び左右方向に加えて、例えば前後方向等の他の方向に対しても第1筐体21及び第2筐体22の変位及び変形を規制する。これにより、第1筐体21及び第2筐体22の位置規制の精度を向上させることができる。
また、第1筐体21は相対的に柔軟に形成され、第2筐体22は相対的に高剛性に形成される。これにより、例えば布又は革等の柔軟な材料によって形成される車両1の天井(ルーフライニング4)に第1筐体21を配置することによって、天井の形状の歪みを抑制することができる。また、例えば第1筐体21及び第2筐体22をポリカーボネート樹脂により形成する場合に比べて、重量の増大を抑制するとともに、構成に要する費用が嵩むことを防ぐことができる。
【0059】
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0060】
(変形例)
上述した実施形態において、第2筐体22は、カメラ収容部61と、壁部62と、を備えるとしたが、これに限定されず、カメラ収容部61は省略されてもよい。
図11は、実施形態の変形例に係る車両用照明装置10の第1筐体21のボックス部32を車室内2側から見た斜視図である。
図12は、実施形態の変形例に係る車両用照明装置10の第1筐体21及び第2筐体22を分解して裏面21B側から見た斜視図である。
図13は、実施形態の変形例に係る車両用照明装置10のX-Z平面による断面図である。
この変形例に係る車両用照明装置10において、第2筐体22は、例えば、ポリカーボネート樹脂及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂の合成樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などの剛性及び硬度等の機械的特性のバランスに優れた樹脂材料により形成されている。
【0061】
この変形例によれば、第1筐体21及び第2筐体22は別体に形成されていることによって、材料、加工方法、重量、剛性、デザイン及び色などを個別に設定することができる。これにより、例えばカメラ収容部61の有無などの仕様多様化に容易に対応することができ、第1筐体21及び第2筐体22の仕様多様化及び製造の容易性を向上させることができる。
また、第1筐体21は相対的に柔軟に形成され、第2筐体22は相対的に剛性及び硬度等の機械的特性のバランスに優れて形成される。これにより、例えば第1筐体21及び第2筐体22をポリカーボネート樹脂により形成する場合に比べて、成形加工時の流動性を向上させることができ、ウェルドライン等の構造的なぜい弱部位及び外観不良部位の発生を抑制し、製造容易性を向上させることができる。
【0062】
なお、上述した実施形態において、第1筐体21は複数の第1爪部44を第1端部43Uに備え、第2筐体22は複数の第1爪保持部63を第3端部62Uに備えるとしたが、これに限定されない。
例えば、第2筐体22は複数の第3爪部を第3端部62Uに備え、第1筐体21は複数の第3爪部が係合される複数の第3爪保持部を第1端部43Uに備えてもよい。
【0063】
なお、上述した実施形態において、第1筐体21は複数の第2爪部45を第2端部43Bに備え、第2筐体22は複数の第2爪保持部64を第4端部62Bに備えるとしたが、これに限定されない。
例えば、第2筐体22は複数の第4爪部を第4端部62Bに備え、第1筐体21は複数の第4爪部が係合される複数の第4爪保持部を第2端部43Bに備えてもよい。
【0064】
なお、上述した実施形態において、第1筐体21の第1端部43U及び第2端部43Bと、第2筐体22の第3端部62U及び第4端部62Bとは、各爪部44,45と各爪保持部63,64との組み合わせによって機械的に接合されるとしたが、これに限定されない。
例えば、第1筐体21の第1端部43Uと第2筐体22の第3端部62Uとの接合、及び、第1筐体21の第2端部43Bと第2筐体22の第4端部62Bとの接合のうち、少なくともいずれかは、ねじとねじ穴が形成されたボスとの組み合わせなどの他の構成によって機械的に接合されてもよい。また、例えば、第1筐体21の第1端部43Uと第2筐体22の第3端部62Uとの接合、及び、第1筐体21の第2端部43Bと第2筐体22の第4端部62Bとの接合のうち、少なくともいずれかは、例えば溶着などの機械的接合以外の他の方法によって接合されてもよい。
【0065】
なお、上述した実施形態及び変形例において、第1筐体21の第2端部43Bは第2筐体22の第4端部62Bよりも下方側に配置されるとしたが、これに限定されず、第1筐体21の第2端部43Bは第2筐体22の第4端部62Bよりも上方側に配置されてもよい。
【0066】
なお、上述した実施形態において、車両用照明装置10は、2つの外界カメラ24を備えるとしたが、これに限定されず、追加的に又は2つの外界カメラ24の代わりに、他の検出装置を備えてもよい。
他の検出装置は、例えば、ミリ波等の電波を用いて検出対象までの距離及び方向を検出するレーダー又は光を用いて検出対象までの距離を検出する測域センサ等である。測域センサは、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging)である。
また、他の検出装置は、例えば、車室内2の乗員等を検出するカメラであってもよい。
【0067】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1…車両、2…車室内、4…ルーフライニング、5…フロントウィンドウ、10…車両用照明装置、21…第1筐体、21A…表面、21B…裏面、22…第2筐体、23…灯体、24…外界カメラ(検出部)、31…灯体収容部(第1収容部)、32…ボックス部、33…蓋部材(蓋部)、34…第1開口部(開口部)、42…第2開口部(第2の開口部)、43…周縁部(縁部)、43U…第1端部、43B…第2端部、44…第1爪部、45…第2爪部(爪部)、45A…中央側第2爪部(爪部)、45B…端部側第2爪部(爪部)、47…第1ねじ装着部、48…第1ねじ部材(ねじ部材)、49…第2ねじ装着部(第1ねじ装着部)、50…第2ねじ部材(ねじ部材)、61…カメラ収容部(第2収容部)、62…壁部、62U…第3端部、62B…第4端部、62BL…左端(端部)、62BR…右端(端部)、63…第1爪保持部、64…第2爪保持部、64A…中央側第2爪保持部(第1爪固定部)、64B…端部側第2爪保持部(第2爪固定部)、65…貫通孔(挿入孔)、67…第3ねじ装着部(第2ねじ装着部)、68…第4ねじ装着部(第2ねじ装着部)