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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20220826BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220826BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220826BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220826BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L27/11582
H01L29/78 371
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019036093
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141063
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】武明 励
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-176507(JP,A)
【文献】特開平10-199851(JP,A)
【文献】特開2017-195338(JP,A)
【文献】特開2017-011212(JP,A)
【文献】特開2019-029417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 27/11582
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙を介して相対する三次元積層構造を有する基板を基板保持部によって保持する基板保持工程と、
前記基板保持部に保持された基板を回転させながら、前記基板に第1燐酸液を供給して前記複数の積層をエッチングする第1エッチング工程と、
前記シリコン窒化層が残存した状態で前記第1エッチング工程による前記複数の積層のエッチングを中断する中断工程と、
前記基板保持部から前記基板を取り出し、処理槽へと移動する移動工程と、
前記処理槽に貯留された第2燐酸液に前記基板を浸漬させ、中断された前記複数の積層のエッチングを再開する第2エッチング工程と
を包含する、基板処理方法。
【請求項2】
前記第1燐酸液は、前記基板に供給される前に予め所定の濃度のシリコンを含有しており、
前記第2燐酸液は、前記基板が前記処理槽に浸漬される前に予め所定の濃度のシリコンを含有しており、
前記第2燐酸液のシリコン濃度は、前記第1燐酸液のシリコン濃度よりも低く設定される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1エッチング工程において、前記基板上に滞留した前記第1燐酸液または前記基板から流出した前記第1燐酸液のシリコン濃度を測定し、前記第1燐酸液のシリコン濃度の測定結果に基づき、前記中断工程を開始する、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記測定結果が、既定の閾値以下となることに基づき、前記中断工程を開始する、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1エッチング工程の開始から前記中断工程の開始までの時間は、前記第1エッチング工程のエッチング処理条件と前記第1エッチング工程の開始から前記中断工程の開始までの時間とを関係づけるルックアップテーブルに基づき決定される、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記第2エッチング工程において前記基板を前記第2燐酸液でエッチングする時間は、前記第1エッチング工程において前記基板を前記第1燐酸液でエッチングする時間よりも長い、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記基板に向けて吐出される前記第1燐酸液の温度は、前記第2燐酸液の設定温度よりも高い、請求項1から5のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項8】
シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙を介して相対する三次元積層構造を有する基板を処理する基板処理システムであって、
前記基板処理システムは、枚葉処理装置と、バッチ処理装置とを備え、
前記枚葉処理装置は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板を回転させながら前記基板の前記複数の積層のエッチングを行う第1エッチング処理するための第1燐酸液を前記基板に供給する燐酸液供給部と
を有し、
前記バッチ処理装置は、前記シリコン窒化層が残存した状態で前記第1エッチング処理による前記複数の積層のエッチングを中断した後で、中断された前記複数の積層のエッチングを再開する第2エッチング処理するための第2燐酸液の貯留された処理槽を有する、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板および太陽電池用基板等を含む基板(以下、単に基板と称する)に対して、燐酸液を供給して処理を行う基板処理方法および基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燐酸を含む処理液を供給して処理を行う基板処理は、例えば、シリコン窒化膜(SiN)を除去するために行われる。燐酸を含む処理液は、処理液中のシリカ濃度、処理液温度、濃度等を制御することによってシリコン酸化膜のエッチングを抑制しつつシリコン窒化膜をエッチングすることが可能である。特許文献1には、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜を選択的にエッチングすることが記載されている。
【0003】
こうした燐酸を含む処理液による基板処理(以下、単に燐酸エッチング)を実施する手法として、基板を水平保持し当該基板を一枚ごとに処理するいわゆる枚葉処理装置による枚葉処理と、処理液を貯留した処理槽に基板を浸漬させ基板を処理するいわゆるバッチ処理装置によるバッチ処理とが知られている。
【0004】
例えば、バッチ処理では、複数の基板を起立姿勢にて保持可能に構成されたリフタに複数の基板を載置し、当該リフタを処理槽に浸漬することにより、一度に複数の基板の処理を実施することが可能である。このため、バッチ処理のスループットは枚葉処理のスループットよりも高いという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-133551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、シリコン窒化膜を含む積層構造のピラーが基板上に複数形成された三次元構造を有する基板を処理する上で、三次元NANDデバイス等の高集積化に伴い、燐酸エッチングに伴い析出したシリコンがピラー間の間隙などに着床してピラー間のエッチング置換を妨げるため、パターン深部のエッチングが抑制されるという問題が顕在化しつつある。上述したように、バッチ処理は、複数の基板をまとめて処理するため、バッチ処理のスループットは枚葉処理のスループットよりも高い。しかしながら、バッチ処理は、バッチ処理装置の構成上、枚葉処理に比べて基板上のエッチング液の流量状態等をきめ細かく制御することが困難である。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燐酸処理のスループットの低下を抑制するとともにシリコン含有物の析出を抑制可能な基板処理方法および基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理方法は、基板保持工程と、第1エッチング工程と、中断工程と、移動工程と、第2エッチング工程とを包含する。前記基板保持工程では、シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙を介して相対する三次元積層構造を有する基板を基板保持部によって保持する。前記第1エッチング工程では、前記基板保持部に保持された基板を回転させながら、前記基板に第1燐酸液を供給して前記複数の積層をエッチングする。前記中断工程では、前記シリコン窒化層が残存した状態で前記第1エッチング工程による前記複数の積層のエッチングを中断する。前記移動工程では、前記基板保持部から前記基板を取り出し、処理槽へと移動する。前記第2エッチング工程では、前記処理槽に貯留された第2燐酸液に前記基板を浸漬させ、中断された前記複数の積層のエッチングを再開する。
【0009】
ある実施形態において、前記第1燐酸液は、前記基板に供給される前に予め所定の濃度のシリコンを含有している。前記第2燐酸液は、前記基板が前記処理槽に浸漬される前に予め所定の濃度のシリコンを含有している。前記第2燐酸液のシリコン濃度は、前記第1燐酸液のシリコン濃度よりも低く設定される。
【0010】
ある実施形態では、前記第1エッチング工程において、前記基板上に滞留した前記第1燐酸液または前記基板から流出した前記第1燐酸液のシリコン濃度を測定し、前記第1燐酸液のシリコン濃度の測定結果に基づき、前記中断工程を開始する。
【0011】
ある実施形態において、前記測定結果が、既定の閾値以下となることに基づき、前記中断工程を開始する。
【0012】
ある実施形態において、前記第1エッチング工程の開始から前記中断工程の開始までの時間は、前記第1エッチング工程のエッチング処理条件と前記第1エッチング工程の開始から前記中断工程の開始までの時間とを関係づけるルックアップテーブルに基づき決定される。
【0013】
ある実施形態において、前記第2エッチング工程において前記基板を前記第2燐酸液でエッチングする時間は、前記第1エッチング工程において前記基板を前記第1燐酸液でエッチングする時間よりも長い。
【0014】
ある実施形態において、前記基板に向けて吐出される前記第1燐酸液の温度は、前記第2燐酸液の設定温度よりも高い。
【0015】
本発明の別の局面によれば、基板処理システムは、シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙を介して相対する三次元積層構造を有する基板を処理する。前記基板処理システムは、枚葉処理装置と、バッチ処理装置とを備える。前記枚葉処理装置は、前記基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板を回転させながら前記基板の前記複数の積層のエッチングを行う第1エッチング処理するための第1燐酸液を前記基板に供給する燐酸液供給部とを有する。前記バッチ処理装置は、前記シリコン窒化層が残存した状態で前記第1エッチング処理による前記複数の積層のエッチングを中断した後で、中断された前記複数の積層のエッチングを再開する第2エッチング処理するための第2燐酸液の貯留された処理槽を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、燐酸処理のスループットの低下を抑制するとともにシリコン含有物の析出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
図2】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
図3】(a)および(b)は本実施形態の基板処理方法で燐酸処理される前の基板の模式図であり、(c)は本実施形態の基板処理方法で燐酸処理された後の基板の模式図である。
図4】(a)は本実施形態の基板処理システムにおいて枚葉処理装置で処理される前の基板の模式図であり、(b)は本実施形態の基板処理システムにおいて枚葉処理装置で処理中の基板の模式図であり、(c)は本実施形態の基板処理システムにおいて枚葉処理装置で処理された後の基板の模式図であり、(d)は本実施形態の基板処理システムにおいてバッチ処理装置で処理される前の基板の模式図であり(e)は本実施形態の基板処理システムにおいてバッチ処理装置で処理された後の基板の模式図である。
図5】比較例の基板処理装置で処理された後の基板の模式図である。
図6】(a)はバッチ処理装置の模式図であり、(b)はバッチ処理装置による基板処理時の基板近傍の燐酸液の流れを示す模式図であり、(c)はバッチ処理装置で処理された基板の模式図であり、(d)は枚葉処理装置の模式図であり(e)は枚葉処理装置による基板処理時の基板近傍の燐酸液の流れを示す模式図であり(f)は枚葉処理装置で処理された基板の模式図である。
図7】本実施形態の基板処理システムにおける枚葉処理装置の模式図である。
図8】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
図9】本実施形態の基板処理システムにおける枚葉処理装置の模式図である。
図10】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
図11】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
図12】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
図13】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
図14】本実施形態の基板処理システムのブロック図である。
図15】本実施形態の基板処理システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理システムおよび基板処理方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0019】
図1を参照して、本発明による基板処理システム100の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の基板処理システム100の模式図である。
【0020】
基板処理システム100は、基板Wを処理する。基板処理システム100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0021】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙を介して相対する三次元積層構造を有する。基板Wの構成の詳細は、図3を参照して後述する。
【0022】
基板処理システム100は、燐酸液で基板Wの複数の積層をエッチングする。ここでは、基板処理システム100は、基板Wを燐酸液で1枚ごとに処理し、また、複数枚の基板Wをまとめて燐酸液でエッチングする。
【0023】
基板処理システム100は、枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300とを備える。ここでは、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は互いに近くに配置される。典型的には、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は互いに対向する。例えば、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は、連続する外壁に囲まれて配置される。
【0024】
本実施形態の基板処理システム100では、先に枚葉処理装置200が基板Wの複数の積層のエッチングを開始して途中で中断し、その後、バッチ処理装置300が基板Wの複数の積層のエッチングを再開する。
【0025】
枚葉処理装置200は、基板Wを1枚ずつ処理する。ここでは、枚葉処理装置200は、基板Wを燐酸液L1で処理する。本明細書において、枚葉処理装置200における基板Wの燐酸処理に用いる燐酸液を燐酸液L1と記載し、燐酸液L1を第1燐酸液と記載することがある。また、本明細書において、先に枚葉処理装置200において燐酸液L1によって行われるエッチング処理を第1エッチング処理または第1エッチング工程と記載することがある。
【0026】
枚葉処理装置200は、基板Wに燐酸液L1を供給する。典型的には、燐酸液L1は高温に加熱された状態で基板Wに供給される。典型的には、枚葉処理装置200において、基板Wは、主面の法線が鉛直方向(Z方向)と平行になるように配置される。
【0027】
枚葉処理装置200は、チャンバー202と、基板保持部210と、燐酸液供給部220とを含む。チャンバー202は内部空間を有する略箱形状である。チャンバー202には、基板保持部210と、燐酸液供給部220とが収容される。
【0028】
また、チャンバー202は基板Wを収容する。チャンバー202には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー202内に収容され、チャンバー202内で処理される。
【0029】
基板保持部210は、基板Wを保持する。また、基板保持部210は、基板Wを保持した状態で基板Wとともに回転する。例えば、基板保持部210は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。
【0030】
あるいは、基板保持部210は、基板Wを裏面から保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部210は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部210は、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)の中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部210は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0031】
燐酸液供給部220は基板Wに燐酸液L1を供給する。燐酸液供給部220が基板Wに燐酸液L1を供給することで、基板Wを燐酸処理できる。例えば、燐酸液供給部220は、基板保持部210に保持された基板Wを回転させた状態で、基板Wに燐酸液L1を供給する。
【0032】
燐酸液L1は、例えば、燐酸を主成分とする水溶液である。燐酸液L1中の燐酸濃度は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。ただし、燐酸液L1中の燐酸濃度は必要に応じて適宜調整されてもよい。
【0033】
バッチ処理装置300は、基板Wを処理する。バッチ処理装置300は、基板Wを複数枚まとめて処理する。例えば、バッチ処理装置300は、5枚以上100枚以下の基板Wをまとめて処理する。ここでは、バッチ処理装置300は、基板Wを燐酸液L2で処理する。本明細書において、バッチ処理装置300における基板Wの燐酸処理に用いる燐酸液を燐酸液L2と記載し、燐酸液L2を第2燐酸液と記載することがある。また、本明細書において、第1エッチング処理の後にバッチ処理装置300において燐酸液L2によって行われるエッチング処理を第2エッチング処理または第2エッチング工程と記載することがある。なお、本明細書において、燐酸液L1および燐酸液L2を包括して燐酸液Lと記載することがある。
【0034】
バッチ処理装置300は、貯留された燐酸液L2内に基板Wを浸漬する。燐酸液L2は高温に加熱される。典型的には、バッチ処理装置300において、基板Wは、主面の法線が鉛直方向に対して垂直方向(ここでは、Y方向)になるように配置される。
【0035】
燐酸液L2は、例えば、燐酸を主成分とする水溶液である。燐酸液L2中の燐酸濃度は、50%以上であることが好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。ただし、燐酸液L2中の燐酸濃度は必要に応じて適宜調整されてもよい。
【0036】
燐酸液Lは、主成分である燐酸に加えて、硫酸を含有してもよい。燐酸と硫酸の濃度バランスを変化させることで、シリコン窒化層のエッチングレートを高く維持し、かつ、シリコン酸化層のエッチングを抑制することが可能である。シリコン窒化層のエッチングレートおよび/またはシリコン窒化層とシリコン酸化層のエッチングレートの比率(選択比)は、燐酸液Lの濃度および/または温度に加えて、燐酸液Lに含まれるシリコン濃度に応じて変化する。
【0037】
なお、燐酸液L2中の燐酸濃度は燐酸液L1中の燐酸濃度と等しくてもよい。また、燐酸液L2中の燐酸濃度は燐酸液L1中の燐酸濃度よりも高くてもよい。あるいは、燐酸液L2中の燐酸濃度は燐酸液L1中の燐酸濃度よりも低くてもよい。
【0038】
バッチ処理装置300は、処理槽310および積載部320を含む。処理槽310は、燐酸液を貯留する。積載部320には複数の基板Wが積載可能である。積載部320は、複数の基板Wを積載した状態で処理槽310内に浸漬する。これにより、複数の基板Wはまとめてバッチ処理される。
【0039】
枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300における燐酸処理により、基板Wのシリコン窒化層がエッチングされる。シリコン窒化層のエッチングレートは、燐酸液Lの温度に応じて変化する。燐酸液Lの温度が高いほど、シリコン窒化層のエッチングレートは増加する。
【0040】
燐酸液L2の温度は、燐酸液L1の温度と等しくてもよい。この場合、枚葉処理の基板Wのエッチングレートをバッチ処理における基板Wのエッチングレートとほぼ等しくできる。例えば、燐酸液L1の温度は150℃~180℃に設定され、燐酸液L2の温度は150℃~180℃に設定される。
【0041】
なお、燐酸液L1の温度は、燐酸液供給部220と基板Wとの間において低下してしまうことがある。このため、枚葉処理装置200における燐酸処理のエッチングレートをバッチ処理装置300における燐酸処理のエッチングレートと等しくするためには、枚葉処理装置200においてチャンバー202の外部において燐酸液L1の温度を調整する場合、枚葉処理装置200における燐酸液L1の設定温度は、バッチ処理装置300の処理槽310内の燐酸液L2の温度よりも高くすることが好ましい。例えば、燐酸液L1の温度は165℃~195℃に設定され、燐酸液L2の温度は150℃~180℃に設定される。このように、枚葉処理装置200において基板Wに向けて吐出される燐酸液L1の温度を燐酸液L2の設定温度よりも高くすることにより、燐酸液L1が基板Wと接触する際の温度を燐酸液L2の温度とほぼ等しくできる。ただし、燐酸液L1の温度は、燐酸液L2の温度よりも低くてもよい。
【0042】
なお、燐酸液Lで基板Wを処理する場合、基板Wにシリコン酸化層があると、燐酸液Lにより、シリコン窒化層とともにシリコン酸化層もエッチングされることがある。また、燐酸液Lで基板Wを処理する場合、基板Wにポリシリコン膜があると、燐酸液Lにより、シリコン窒化層とともにポリシリコン膜もエッチングされることがある。
【0043】
典型的には、燐酸液Lのエッチング選択比(シリコン窒化層のエッチング深さ/シリコン酸化層のエッチング深さおよびシリコン窒化層のエッチング深さ/ポリシリコン膜のエッチング深さ)は、燐酸液Lの濃度が高いほど反比例して低下する。このため、高いエッチング選択比でシリコン窒化層をエッチングする場合には、燐酸液Lの濃度は比較的低いことが好ましい。例えば、燐酸液L中の燐酸濃度が濃度85%以下である場合、高いエッチング選択比でシリコン窒化層をエッチングできる。
【0044】
また、燐酸液Lにシリコンを溶解させて燐酸液Lのシリコン濃度を設定することが好ましい。燐酸液Lのシリコン濃度が高いほど、シリコン酸化層のエッチングレートを低減できる。このため、エッチング選択比を向上させるためには、燐酸液Lのシリコン濃度を高くすることが好ましい。
【0045】
一方で、シリコン窒化層をエッチングすることにより、反応物として生成したシリコンが燐酸液Lに溶出する。これにより、シリコン窒化層のエッチング箇所の周囲では局所的に燐酸液Lに含まれるシリコン濃度が増大し、当該シリコン濃度が燐酸液Lへのシリコン溶解度を超えた場合、シリコンが析出する。
【0046】
枚葉処理では、枚葉処理装置の構成上、基板W上のパターン上の処理液が基板W上で効率よく置換するように処理を行うことが比較的容易である。このため、基板W上において仮に一時的に燐酸液Lに含まれるシリコン濃度が燐酸液Lのシリコン溶解度を超えたとしても、析出に至るまでに当該燐酸液Lを流動させることが比較的容易である。このため、枚葉処理においては、燐酸液Lに含まれるシリコン濃度を高い値に設定したとしても、基板W上の燐酸液Lが効率よく流動し置換されるように配慮することによって、シリコン析出を回避または抑制することが可能である。
【0047】
ここで、シリコン濃度が高いほど、シリコン窒化層を選択的にエッチングできる。このため、枚葉処理においては、燐酸液Lに含まれるシリコン濃度を比較的高い値に設定することが好ましい。
【0048】
一方、バッチ処理においては、複数の基板Wが処理槽内において相対して配置されるため、各基板Wの全面にわたり、基板W上に鉛直な方向に向かう処理液の流れを生成することは困難である。このため、基板W上に形成されたパターンの凹部の深部においては、処理液の置換性が悪い。したがって、基板W上において仮に一時的に燐酸液Lに含まれるシリコン濃度が燐酸液Lのシリコン溶解度を超えたならば、そのままパターン内部においてシリコンが析出してしまう公算が高い。
【0049】
したがって、シリコン濃度が高いほど、シリコン窒化層を選択的にエッチングできるという実益があるにしても、バッチ処理において燐酸液Lに含まれるシリコン濃度を高い値に設定することは、シリコン析出のリスクを伴う。このため、燐酸液L2のシリコン濃度は、燐酸液L1のシリコン濃度よりも低く設定されることが好ましい。例えば、燐酸液L2として基板Wが処理槽310に浸漬される前に予め設定された所定のシリコン濃度は、燐酸液L1として基板Wに供給される前に予め設定された所定のシリコン濃度よりも低く設定されてもよい。ただし、燐酸液L1のシリコン濃度は、燐酸液L2のシリコン濃度と等しくてもよい。あるいは、燐酸液L1のシリコン濃度は、燐酸液L2のシリコン濃度よりも低くてもよい。
【0050】
なお、図1に示すように、基板処理システム100が枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300を備える場合、枚葉処理装置200は、複数の枚葉処理部を備えることが好ましい。複数の枚葉処理部により、同時間帯に異なる基板Wを枚葉処理できる。
【0051】
図1に示した基板処理システム100では、枚葉処理装置200は、枚葉処理部200Aと、枚葉処理部200Bと、枚葉処理部200Cと、枚葉処理部200Dとを含む。枚葉処理部200A~200Dのそれぞれは、基板Wを1枚ずつ処理できる。このため、基板処理システム100において、枚葉処理装置200は、同時間帯に4枚の基板Wを処理できる。枚葉処理部200A~200Dのそれぞれは、チャンバー202と、基板保持部210と、燐酸液供給部220とを含む。
【0052】
本実施形態の基板処理システム100によれば、燐酸処理のスループットの低下を抑制するとともにシリコン含有物の析出を抑制できる。枚葉処理のみによって基板Wを燐酸処理する場合、基板Wを処理するスループットが低いものの燐酸液中のシリコン濃度は高くなりにくい。一方、バッチ処理のみによって基板Wを燐酸処理する場合、スループットは高いものの燐酸液のシリコン濃度が局所的に高くなり、基板Wにシリコン含有物が析出することがある。特に、選択比向上のために燐酸液Lのシリコン濃度を高く設定しておくと、シリコン濃度が局所的に高くなりやすく、シリコン含有物が析出しやすい。
【0053】
例えば、燐酸処理期間中の燐酸液の温度および成分が一定である場合、燐酸処理期間中のうちの初期では、シリコン窒化層の溶解量が多く、中期以降には、シリコン窒化層の溶解量は少なくなる。このため、本実施形態の基板処理システム100では、燐酸処理期間のうちの初期には、基板Wを枚葉処理することでシリコン含有物の析出を抑制し、一旦エッチングを中断した後、基板Wをバッチ処理することで燐酸処理のスループットが向上する。
【0054】
ここで、図1および図2を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図2は、本実施形態の基板処理システム100による基板処理方法を示すフロー図である。本実施形態の基板処理方法では、基板Wを燐酸液Lで処理する。
【0055】
S1において、基板Wを燐酸液L1で枚葉処理する。枚葉処理装置200は、基板Wを燐酸液L1で処理する。枚葉処理装置200では、基板保持部210が基板Wを保持しながら回転し、燐酸液供給部220が基板Wに燐酸液L1を供給する。枚葉処理は、基板Wのシリコン窒化層における所定のエッチング量のうちの一部分エッチングされるまで続けられる。その後、エッチングを一旦中断し、基板Wは、枚葉処理装置200の基板保持部210から取り出され、バッチ処理装置300に移動される。
【0056】
S2において、基板Wを燐酸液L2でバッチ処理する。バッチ処理装置300は、基板Wを燐酸液L2で処理する。バッチ処理装置300では、基板Wは処理槽310に浸漬される。バッチ処理は、基板Wのシリコン窒化層における所定のエッチング量のエッチングが完了するまで続けられる。
【0057】
なお、バッチ処理装置300において基板Wを燐酸液L2で処理する処理時間は、枚葉処理装置200において基板Wを燐酸液L1で処理する時間よりも長いことが好ましい。また、バッチ処理装置300においてエッチングされる基板Wのシリコン窒化層の厚さは、枚葉処理装置200においてエッチングされる基板Wのシリコン窒化層の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0058】
また、S1の燐酸液L1による枚葉処理とS2の燐酸液L2によるバッチ処理との間には、基板Wは、他の薬液で処理されないことが好ましい。これにより、シリコン窒化層のエッチング処理として、燐酸液L1によるエッチング処理の後に、燐酸液L2によるエッチング処理を再開できる。なお、エッチングを中断する場合でも、基板Wは、1の燐酸液L1による枚葉処理とS2の燐酸液L2によるバッチ処理との間において、リンス液によるリンス処理、および/または、乾燥処理が行われてもよい。
【0059】
以上のように、基板Wは燐酸処理される。燐酸処理により、基板Wのシリコン窒化層はエッチングされる。典型的には、基板Wのシリコン窒化層およびシリコン酸化層のうちシリコン窒化層が選択的にエッチングされる。
【0060】
本実施形態の基板処理システム100は、微細な積層構造を有する基板Wからシリコン窒化層をエッチングする際に好適に用いられる。例えば、基板Wは、NAND構造のメモリに用いられる。一例として、基板Wは、三次元構造NANDメモリに好適に用いられる。
【0061】
次に、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理方法を概略的に説明する。図3(a)および図3(b)は、本実施形態の基板処理方法によって処理される前の基板Wの模式図である。図3(a)は、基板WをXZ断面に沿って切断した模式的な拡大断面図であり、図3(b)は、図3(a)の基板WをIIIB-IIIB線に切断した模式的な拡大断面図である。
【0062】
図3(a)および図3(b)に示すように、基板Wは、基材Sと、積層構造Mとを有する。積層構造Mは、シリコン窒化層を含む複数の積層が間隙Dを介して相対する三次元積層構造である。ここでは、基板Wは、XZ平面に広がるように配置されている。基材Sは、XZ平面に広がる薄膜である。積層構造Mは、基材Sの上面に配置される。積層構造Mは、基材Sの上面からZ方向に延びる。積層構造Mには間隙Dが形成されている。ここでは、間隙Dは、基材Sにまで達しており、基材Sの一部が露出している。
【0063】
積層構造Mは、複数のシリコン酸化層Maと、複数のシリコン窒化層Eaとを有する。シリコン酸化層Maとシリコン窒化層Eaとは交互に積層されている。複数のシリコン酸化層Maおよびシリコン窒化層Eaのそれぞれは、基材Sの上面と平行に延びる。
【0064】
積層構造MにはピラーMbが埋め込まれている。ピラーMbは、燐酸液Lによってエッチングされない材料によって形成される。例えば、ピラーMbは、シリコン酸化層または金属膜から形成される。
【0065】
基板Wは、基板処理システム100で燐酸処理される。燐酸処理により、基板Wのシリコン窒化層Eaがエッチングされる。
【0066】
図3(c)は、本実施形態の基板処理方法によって処理された後の基板WをXZ断面に沿って切断した模式的な拡大断面図である。図3(c)に示すように、燐酸処理により、積層構造Mからシリコン窒化層Eaが除去されており、積層構造Mには、燐酸液Lによってエッチングされなかったシリコン酸化層MaおよびピラーMbが残っている。隣接する2つのシリコン酸化層Maの間には複数のピラーMbが設けられている。隣接する2つのシリコン酸化層MaはピラーMbによって支持される。以上のようにして、燐酸処理により、基板Wからシリコン窒化層Eaをエッチングする。
【0067】
次に、図1図4を参照して本実施形態の基板処理システム100による基板Wの燐酸処理を説明する。図4(a)~図4(e)は、基板Wの基材Sの上面に対して垂直に切断した模式的な拡大断面図である。
【0068】
図4(a)に示すように、基板Wは、基材Sと、積層構造Mとを有し、積層構造Mは、複数のシリコン酸化層Maと、複数のシリコン窒化層Eaと、ピラーMbとを有する。基板Wは、枚葉処理装置200に装着される。枚葉処理装置200において、基板Wは、基材Sの上面の法線方向がZ方向に平行になるように配置される。
【0069】
図4(b)に示すように、基板Wを燐酸処理すると、シリコン窒化層Eaの一部が除去される。
【0070】
図4(c)に示すように、基板Wの燐酸処理を続けると、シリコン窒化層Eaのさらなる一部が除去される。その後、基板Wは、枚葉処理装置200から搬出され、バッチ処理装置300に搬入される。
【0071】
図4(d)に示すように、バッチ処理装置300において、基板Wは、基材Sの上面の法線方向がX方向に平行になるように基板Wは配置される。基板Wは、バッチ処理装置300において燐酸処理されると、シリコン窒化層Eaのさらなる一部が除去される。
【0072】
図4(e)に示すように、基板Wがバッチ処理装置300でさらに燐酸処理されると、基板Wから所定量のシリコン窒化層Eaがエッチングされる。
【0073】
以上のようにして、本実施形態の基板処理方法では、基板Wを燐酸処理して基板Wからシリコン窒化層Eaを除去できる。本実施形態の基板処理方法では、燐酸液とシリコン窒化層Eaとの界面の面積が比較的広い場合、基板Wを枚葉処理する。この場合、基板Wを処理する燐酸液内のシリコン濃度が飽和濃度を超えることを抑制でき、燐酸液からのシリコン含有物の析出を抑制できる。反対に、燐酸液とシリコン窒化層Eaとの界面の面積が比較的狭い場合、燐酸液で基板Wをバッチ処理する。この場合も、基板Wを処理する燐酸液内のシリコン濃度は飽和濃度を超えないため、燐酸処理のスループットを向上できる。これにより、基板処理時間の短縮を図るとともに基板処理の不具合を抑制できる。
【0074】
一方、基板Wのシリコン窒化層を枚葉処理のみでエッチングする場合、不具合は生じにくいが、基板処理のスループットが低下することになる。また、基板Wのシリコン窒化層をバッチ処理のみでエッチングする場合、基板処理のスループットを高くできるが、燐酸液に比較的多くのシリコン窒化層が溶解するため、燐酸液のシリコン濃度が局所的に増大することがある。特に、基板Wの間隙Dの径が小さい場合、間隙D内の燐酸液は循環しにくいため、燐酸液中のシリコン濃度が高くなりやすい。この場合、燐酸液のシリコン濃度が飽和濃度を超えると、一度溶解した溶解物が燐酸液から析出してしまうことがある。
【0075】
図5は、燐酸液から溶解物Pが析出した基板Wの模式図である。図5では、燐酸液に一度溶解した溶解物Pが積層構造Mに析出している。例えば、基材Sの近傍のシリコン窒化層が燐酸液に溶解した後、燐酸液が基材Sの表面から積層構造の間隙Dを通過する途中で燐酸液のシリコン濃度が上昇して飽和濃度を超えると、燐酸液から溶解物Pが積層構造Mに析出してしまうことがある。
【0076】
これに対して、本実施形態の基板処理システム100では、燐酸液と接するシリコン窒化層の面積が比較的広い場合、枚葉処理装置200で燐酸処理することにより、燐酸液中のシリコン濃度が増大することを抑制でき、溶解物の析出を抑制できる。一方、燐酸液に接するシリコン窒化層の面積が比較的狭い場合、バッチ処理装置300で処理することにより、燐酸液でシリコン窒化層を素早くエッチングでき、燐酸処理のスループットを向上できる。
【0077】
次に、図6を参照して、バッチ処理装置による燐酸処理の結果および枚葉処理装置による燐酸処理の結果を対比して説明する。図6(a)は、バッチ処理装置700の模式図であり、図6(b)は、バッチ処理装置700による基板処理時の基板Wに対する燐酸液の流れF1を示す模式図であり、図6(c)は、バッチ処理装置700で処理された基板Wの模式図である。ここでは、バッチ処理装置700は、シリコンを高濃度に溶解させた燐酸液を用いて基板Wを処理している。
【0078】
図6(a)に示すように、バッチ処理装置700は、処理槽710と、循環経路720と、ポンプ730と、フィルタ740とを有する。処理槽710内には、シリコンを高濃度に溶解させた燐酸液が貯留している。循環経路720は、処理槽710の一部と処理槽710の別の一部とを処理槽710の外部で連絡する。ポンプ730およびフィルタ740は、循環経路720に設けられる。ポンプ730により、処理槽710内の燐酸液は循環経路720を介して循環する。フィルタ740は、循環経路720内の粒子を除去する。例えば、フィルタ740により、燐酸液内のシリコン含有物が除去される。
【0079】
図6(b)に示すように、バッチ処理を行う場合、基板Wの間隙Dにおいて燐酸液は、流れF1にしたがって流れる。例えば、バッチ処理装置700において、処理槽710の燐酸液にアップフローを形成すると、燐酸液は矢印Uの方向に流れる。このため、基板Wの間隙D内の燐酸液は、流れF1にしたがって流れる。しかしながら、アップフローの流れはそれほど強くないため、間隙D内の燐酸液はある程度残ってしまい、燐酸液中のシリコン濃度が増大してしまう。
【0080】
このため、図6(c)に示すように、バッチ処理された基板Wを顕微鏡で観察すると、基板Wには多数のシリコン含有物が確認される。
【0081】
図6(d)は、枚葉処理装置800の模式図であり、図6(e)は、枚葉処理装置800による基板処理時の基板Wに対する燐酸液の流れF2を示す模式図であり、図6(f)は、枚葉処理装置800で処理された基板Wの模式図である。ここでは、枚葉処理装置800は、シリコンを高濃度に溶解させた燐酸液を用いて基板Wを処理している。
【0082】
図6(d)に示すように、枚葉処理装置800は、燐酸液供給部820を有する。枚葉処理装置800では、燐酸液供給部820が、高速に回転する基板Wに対して燐酸液を供給する。基板Wに供給された燐酸液により、基板Wに対する燐酸処理が行われる。基板Wは回転しているため、基板Wに供給された燐酸液は遠心力により基板Wの上面を外部に向かって流れる。
【0083】
図6(e)に示すように、燐酸処理を行う場合、基板Wの間隙Dにおいて基板Wの間隙Dにおいて燐酸液は流れF2にしたがって流れる。例えば、枚葉処理装置800において、基板Wを回転させながら燐酸液を供給すると、燐酸液は矢印Rの方向に流れる。このため、基板Wの間隙D内の燐酸液は、流れF2にしたがって流れる。枚葉処理において、基板Wは高速回転されるため、間隙D内の燐酸液は速やかに置換され、燐酸液中のシリコン濃度の増大は抑制される。
【0084】
このため、図6(f)に示すように、枚葉処理された基板Wを顕微鏡で観察すると、基板Wで観察されるシリコン含有物は微量である。
【0085】
図6(b)と図6(e)との比較から理解されるように、バッチ処理では燐酸液の流れが比較的緩やかであるのに対して、枚葉処理では燐酸液の流れが比較的速い。たとえ、バッチ処理で燐酸液にアップフローを形成しても、枚葉処理における回転による燐酸液の流れには及ばない。したがって、枚葉処理では、シリコンの溶解した燐酸液が速やかに間隙Dから外部に流れ、枚葉処理における燐酸液のシリコン濃度は比較的低い。一方、バッチ処理では、シリコンの溶解した燐酸液が間隙D内に滞在しやすいため、バッチ処理における燐酸液のシリコン濃度は比較的高くなる。
【0086】
このため、図6(c)と図6(f)との比較から理解されるように、バッチ処理では基板W上に堆積するシリコン含有物の量が多くなるに対して、枚葉処理では基板W上に堆積するシリコン含有物の量を少なくできる。
【0087】
以上のように、枚葉処理では、燐酸液の流れが比較的速いため、基板Wの間隙D内の燐酸液Lは置換されやすい。このため、仮に、間隙D内の燐酸液L内のシリコン濃度が局所的に高くなっても燐酸液Lは基板Wの間隙Dから外に流れるため、シリコン含有物が基板Wに析出しにくい。一方、バッチ処理では、燐酸液の流れが比較的緩いため、基板Wの間隙D内の燐酸液が置換しにくい。このため、間隙D内の燐酸液L内のシリコン濃度が局所的に高くなると、燐酸液Lは基板Wの間隙Dから外に流れにくいため、シリコン含有物が基板Wに析出するおそれがある。
【0088】
なお、基板処理システム100において、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300が基板Wを燐酸処理する場合、枚葉処理装置200による単位時間あたりの基板処理枚数は、バッチ処理装置300による単位時間あたりの基板処理枚数とほぼ等しいことが好ましい。この場合、バッチ処理装置300は、枚葉処理装置200において処理された基板Wを順次処理できるため、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300のいずれもの空き時間を減らすことができる。なお、本明細書において、単位時間あたりの基板処理枚数を「処理能力」と記載することがある。
【0089】
例えば、基板処理システム100において1つのバッチ処理装置300に対して枚葉処理装置200の枚葉処理部が4個あり、バッチ処理装置300が一度に16枚の基板Wを処理する場合、枚葉処理時間はバッチ処理時間の1/4倍であることが好ましい。例えば、10分の枚葉処理時間に対してバッチ処理時間は40分であることが好ましい。
【0090】
この場合、基板処理システム100において、4個の枚葉処理部のそれぞれが10分で処理するため、枚葉処理装置200の処理能力は24WPH(=4×60/10)である。また、バッチ処理装置300は40分で16枚の基板を処理する場合、バッチ処理装置300の処理能力は24WPH(=16×60/40)である。したがって、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300が連続的に枚葉処理およびバッチ処理を繰り返すことにより、両者の空き時間を低減できる。
【0091】
なお、基板処理システム100において、枚葉処理時間、枚葉処理部の数およびバッチ処理装置300による基板Wの積載数に応じて、バッチ処理装置300の処理能力が枚葉処理装置200の処理能力とほぼ等しくなるように設定することが好ましい。
【0092】
例えば、シリコン窒化層を所定量エッチングするのに必要な時間が1時間であり、このうちシリコン含有物の析出のおそれがある時間が15分である場合、枚葉処理時間は15分であり、バッチ処理時間は45分と設定する。この場合、バッチ処理装置300に積載可能な基板Wの数を30枚とすると、枚葉処理装置200が10個の枚葉処理部を有すれば、バッチ処理装置300の処理能力を枚葉処理装置200の処理能力とほぼ等しくなる。このとき、枚葉処理装置200の処理能力は40WPHであり、バッチ処理装置300の処理能力は40WPHであり、基板処理システム100全体の処理能力は40WPHである。
【0093】
なお、シリコン窒化層のエッチングに必要な時間が1時間である場合、バッチ処理装置のみで燐酸処理を行うと、バッチ処理装置に積載可能な基板Wの数が30枚であることから、処理能力は30WPHである。一方、10個の枚葉処理部を有する枚葉処理装置のみで燐酸処理を行うと、処理能力は10WPHである。これに対して、本実施形態の基板処理システム100では、枚葉処理時間、バッチ処理時間および枚葉処理装置200の枚葉処理部の数を適宜調整することにより、バッチ処理装置単独でバッチ処理を行った場合と同等の処理能力を実現できる。
【0094】
なお、処理能力についての上記説明では、説明が過度に複雑になることを避けるために、枚葉処理時間を燐酸処理時間と等しくし、バッチ処理時間を燐酸処理時間と等しくしたが、実際には、枚葉処理装置200が燐酸処理しか行わない場合でも、枚葉処理時間は燐酸処理時間より長くなることがある。また、バッチ処理装置300が燐酸処理しか行わない場合でも、バッチ処理時間は燐酸処理時間より長くなることがある。特に、枚葉処理装置200は、耐熱性の観点から高温の燐酸液L1を長時間供給し続けられず、燐酸液L1の供給を間欠的に行うことがある。この場合、枚葉処理時間は燐酸処理時間より長くなる。また、バッチ処理装置300でも、燐酸処理の準備・後処理のためにバッチ処理時間は燐酸処理時間より長くなる。したがって、枚葉処理装置およびバッチ処理時間は、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300の燐酸処理時間に基づいて設定されることが好ましい。
【0095】
なお、図1を参照して上述した説明では、枚葉処理装置200は、基板Wに燐酸液L1を供給したが、枚葉処理装置200は、別の液体を基板Wに供給してもよい。
【0096】
次に、図7を参照して、本実施形態の基板処理システム100における枚葉処理装置200を説明する。図7は、枚葉処理装置200の模式図である。なお、図7に示した枚葉処理装置200は、基板保持部210および燐酸液供給部220の構成、および、リンス液供給部230およびカップ270をさらに備えることを除いて、図1を参照して上述した基板処理システム100における枚葉処理装置200と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0097】
枚葉処理装置200は、チャンバー202、基板保持部210および燐酸液供給部220に加えて、リンス液供給部230をさらに備える。チャンバー202には、基板保持部210と、燐酸液供給部220と、リンス液供給部230とが収容される。
【0098】
燐酸液供給部220は基板Wに燐酸液L1を供給する。基板Wに燐酸液L1を供給することで、基板Wは燐酸処理される。
【0099】
リンス液供給部230は基板Wにリンス液Lrを供給する。基板Wにリンス液Lrを供給することで、基板Wはリンス処理される。リンス液Lrは、例えば、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。なお、リンス液Lrは、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール)、および希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0100】
また、図7に示すように、枚葉処理装置200は、カップ270をさらに備えることが好ましい。カップ270により、基板Wに供給された燐酸液L1およびリンス液Lrの少なくともいずれかを回収できる。
【0101】
上述したように、基板保持部210は、バキューム式であってもよい。基板保持部210は、スピンベース211と、複数のチャックピン212と、回転軸213と、スピンモータ214とを含む。ここでは、スピンベース211は円板状である。スピンベース211は水平な姿勢で保持される。複数のチャックピン212のそれぞれは、スピンベース211の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する。回転軸213は、スピンベース211の中央部から下方に延びる。スピンモータ214は、回転軸213を回転方向Drに回転させることにより、回転軸線AX1を中心に基板Wおよびスピンベース211を回転させる。
【0102】
図7に示すように、燐酸液供給部220は、燐酸液ノズル221と、燐酸液配管222と、燐酸液バルブ223と、燐酸液温度調節装置224とを含む。燐酸液ノズル221は、基板保持部210に保持されている基板Wに向けて燐酸液L1を吐出する。燐酸液配管222は、燐酸液ノズル221に燐酸液L1を供給する。燐酸液バルブ223は、燐酸液配管222から燐酸液ノズル221への燐酸液L1の供給および供給停止を切り替える。燐酸液温度調節装置224は、燐酸液ノズル221に供給される燐酸液L1の温度を室温よりも高い温度まで上昇させる。
【0103】
燐酸液バルブ223が開くと、燐酸液温度調節装置224によって温度調節された燐酸液L1が、燐酸液配管222から燐酸液ノズル221に供給され、燐酸液ノズル221から吐出される。燐酸液温度調節装置224は、例えば、燐酸液L1の温度を80~215℃の範囲内の一定温度に維持する。燐酸液温度調節装置224によって調節される燐酸液L1の温度は、その濃度における沸点であってもよいし、沸点未満の温度であってもよい。例えば、燐酸液は、燐酸を主成分とする水溶液である。燐酸液L1中の燐酸の濃度は、例えば、50%~100%の範囲であり、好ましくは80%前後である。
【0104】
燐酸液供給部220は、ノズルアーム225と、燐酸液ノズル移動部226とを含む。燐酸液ノズル221はノズルアーム225の先端部に取り付けられる。燐酸液ノズル移動部226は、基板保持部210の周囲で鉛直方向に延びる回動軸線AX2を中心にノズルアーム225を回動させると共に回動軸線AX2に沿って鉛直方向にノズルアーム225を移動させる。これにより、燐酸液ノズル移動部226は、燐酸液ノズル221を水平方向および/または鉛直方向に移動させる。また、燐酸液ノズル移動部226は、燐酸液ノズル221から吐出された燐酸液L1が基板Wの上面に供給される処理位置と、燐酸液ノズル221が平面視で基板Wの周囲に退避した退避位置との間で、燐酸液ノズル221を水平方向に移動させる。
【0105】
リンス液供給部230は、リンス液ノズル231と、リンス液配管232と、リンス液バルブ233とを含む。リンス液ノズル231は、基板保持部210に保持されている基板Wに向けてリンス液Lrを吐出する。リンス液ノズル231は、リンス液ノズル231の吐出口が静止された状態でリンス液Lrを吐出する固定ノズルである。リンス液配管232は、リンス液ノズル231にリンス液Lrを供給する。リンス液バルブ233は、リンス液配管232からリンス液ノズル231へのリンス液Lrの供給および供給停止を切り替える。
【0106】
リンス液バルブ233が開くと、リンス液配管232からリンス液ノズル231に供給されたリンス液Lrが、リンス液ノズル231から基板Wの上面中央部に向けて吐出される。なお、リンス液供給部230は、リンス液ノズル移動部を備えていてもよい。リンス液ノズル移動部が、リンス液ノズル231を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液Lrの吐出位置を移動させることができる。
【0107】
図7に示すように、カップ270は、基板保持部210に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線AX1から離れる方向)に配置される。カップ270は略筒形状を有する。カップ270は、スピンベース211を取り囲んでいる。カップ270は、基板Wから排出された処理液を受け止める。
【0108】
基板保持部210が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いたカップ270は、スピンベース211よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、カップ270によって受け止められる。そして、カップ270に受け止められた処理液(廃液)は、図示しない回収装置または廃液装置に送られる。
【0109】
図7を参照して説明したように、枚葉処理装置200は、基板Wにリンス液Lrを供給できる。なお、図1および図2を参照して上述した説明では、基板Wを燐酸液L1で枚葉処理した後、連続して基板Wを燐酸液L2でバッチ処理したが、本実施形態はこれに限定されない。基板Wは、燐酸液L1による枚葉処理と燐酸液L2によるバッチ処理との間にリンス処理を行ってもよい。
【0110】
ここで、図1図7および図8を参照して本実施形態の基板処理方法を説明する。図8は、本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。本実施形態の基板処理方法では、S1において枚葉処理を行い、その後、S2においてバッチ処理を行う。
【0111】
S1aにおいて、枚葉処理装置200に基板Wを搬入する。基板Wは、基板保持部210に保持される。
【0112】
S1bにおいて、基板Wを燐酸処理する。基板保持部210が基板Wを保持した状態で基板Wを回転させながら、燐酸液供給部220は基板Wに燐酸液L1を供給する。
【0113】
S1cにおいて、基板Wをリンス処理する。基板保持部210が基板Wを回転させた状態で、リンス液供給部230は基板Wにリンス液Lrを供給する。
【0114】
S1dにおいて、基板Wを乾燥する。燐酸液供給部220およびリンス液供給部230が燐酸液L1およびリンス液Lrを供給することなく基板保持部210は基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。基板Wの回転により、基板Wは乾燥する。
【0115】
S2aにおいて、バッチ処理装置300に基板Wを搬入する。例えば、基板Wは、枚葉処理装置200から搬出され、バッチ処理装置300に搬入される。バッチ処理装置300において、基板Wは積載部320に積載される。積載部320は、複数の基板Wを積載する。
【0116】
S2bにおいて、基板Wを処理槽310内に浸漬させる。処理槽310には燐酸液L2が貯留されており、基板Wは燐酸液L2で処理される。以上のようにして、本実施形態の基板処理方法が行われる。
【0117】
なお、図7を参照して上述した枚葉処理装置200は、基板Wに燐酸液およびリンス液を供給可能であったが、本実施形態はこれに限定されない。枚葉処理装置200は、基板Wにさらに別の液を供給可能であってもよい。
【0118】
ここで、図9を参照して、本実施形態の基板処理システム100における枚葉処理装置200を説明する。図9は、枚葉処理装置200の模式図である。なお、図9に示した枚葉処理装置200は、薬液供給部240およびエッチング液供給部250をさらに備えることを除いて、図7を参照して上述した枚葉処理装置200と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0119】
枚葉処理装置200は、チャンバー202と、基板保持部210と、燐酸液供給部220と、リンス液供給部230に加えて、薬液供給部240およびエッチング液供給部250をさらに備える。薬液供給部240およびエッチング液供給部250は、チャンバー202に収容される。
【0120】
薬液供給部240は基板Wに薬液Lcを供給する。基板Wに薬液Lcを供給することで、基板Wは薬液処理される。薬液Lcはアンモニアを含有する。例えば、薬液Lcは、アンモニア過酸化水素水混合液(NHOHとHとを含む混合液:SC1)を含む。あるいは、薬液Lcは水酸化アンモニウム(NHOH)を含む液であってもよい。
【0121】
アンモニアを含有する薬液Lcにより基板Wはエッチングされる。特に、薬液Lcにより基板Wのシリコン酸化層がエッチングされる。また、アンモニアを含有する薬液Lcで基板Wを処理することにより、処理後の基板Wに保護膜を形成できる。保護膜により、基板Wの特性の低下を抑制できる。
【0122】
なお、薬液処理によって基板Wの表面に保護膜を形成した後に、保護膜を除去してもよい。ただし、保護膜を除去した後、基板Wに対して次の処理を開始するまでの間隔は、短いことが好ましい。例えば、保護膜を除去した後、基板Wに対して次の処理を開始するまでの間隔は48時間以内であることが好ましく、24時間以内であることがさらに好ましい。また、保護膜を除去した後、次の処理を開始するまでに時間を要する場合は、次の処理の開始直前まで、保護膜を除去することなく基板Wの表面に保護膜が形成された状態にしておくことが好ましい。保護膜により、残存した燐を起因とする不純物の発生を抑制できる。
【0123】
薬液Lcの温度は室温よりも高いことが好ましい。例えば、薬液Lcの温度は60℃以上80℃以下であることが好ましい。薬液Lcの温度が室温よりも高い場合、薬液処理の処理時間を短縮できる。ただし、薬液Lcの温度は室温であってもよく、あるいは、薬液Lcの温度は室温よりも低くてもよい。
【0124】
薬液供給部240は、薬液ノズル241と、薬液配管242と、薬液バルブ243と、薬液ノズル移動部244とを含む。薬液ノズル241は、基板保持部210に保持されている基板Wに向けて薬液Lcを吐出する。薬液Lcは、SC1を含む。薬液配管242は薬液ノズル241に薬液Lcを供給する。薬液バルブ243は、薬液配管242から薬液ノズル241への薬液Lcの供給および供給停止を切り替える。薬液バルブ243が開くと、薬液Lcが、薬液配管242から薬液ノズル241に供給されて、薬液ノズル241から吐出される。
【0125】
薬液ノズル移動部244は、薬液ノズル241を水平方向および/または鉛直方向に移動させる。薬液ノズル移動部244は、薬液ノズル241から吐出された薬液Lcが基板Wの上面に供給される処理位置と、薬液ノズル241が平面視で基板Wの周囲に退避した退避位置との間で、薬液ノズル241を水平方向に移動させる。
【0126】
エッチング液供給部250は基板Wにエッチング液Leを供給する。エッチング液Leは、例えば、基板Wのエッチングに用いられる。
【0127】
上述したように、薬液Lcはアンモニアを含有する液体であり、薬液Lcの供給により、基板Wはエッチングされる。ただし、エッチング液Leは薬液Lcとは同じではない。エッチング液Leによる基板Wのエッチング速度は薬液Lcによる基板Wのエッチング速度とは異なる。例えば、エッチング液Leによる基板Wのエッチング速度は薬液Lcによる基板Wのエッチング速度よりも大きいことが好ましい。これにより、基板Wのエッチング時間を短縮できる。
【0128】
また、エッチング液Leの成分が薬液Lcの成分と異なってもよい。例えば、エッチング液Leとしてフッ酸を用いてもよい。フッ酸のエッチング速度はアンモニアを含有する液体のエッチング速度よりも高いため、基板Wのエッチング時間を短縮できる。
【0129】
エッチング液供給部250は、エッチング液ノズル251と、エッチング液配管252と、エッチング液バルブ253と、エッチング液ノズル移動部254とを含む。エッチング液ノズル251は、基板保持部210に保持されている基板Wに向けてエッチング液Leを吐出する。エッチング液配管252はエッチング液ノズル251にエッチング液Leを供給する。エッチング液バルブ253は、エッチング液配管252からエッチング液ノズル251へのエッチング液Leの供給および供給停止を切り替える。エッチング液バルブ253が開くと、エッチング液Leが、エッチング液配管252からエッチング液ノズル251に供給されて、エッチング液ノズル251から吐出される。
【0130】
エッチング液ノズル移動部254は、エッチング液ノズル251を水平方向および/または鉛直方向に移動させる。エッチング液ノズル移動部254は、処理位置と、退避位置との間でエッチング液ノズル251を水平方向に移動させる。エッチング液ノズル251が処理位置に移動した場合、エッチング液ノズル251から吐出されたエッチング液Leが基板Wの上面に供給される。エッチング液ノズル251が退避位置に移動した場合、エッチング液ノズル251が平面視で基板Wの周囲に退避する。
【0131】
ここで、図1図9および図10を参照して本実施形態の基板処理方法を説明する。図10は、本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
【0132】
S1aにおいて、枚葉処理装置200に基板Wを搬入する。基板Wは、基板保持部210に保持される。
【0133】
S1bにおいて、基板Wを燐酸処理する。基板保持部210は基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。燐酸液供給部220は基板Wに燐酸液L1を供給する。
【0134】
S1cにおいて、基板Wをリンス処理する。基板保持部210は基板Wを回転させて、リンス液供給部230は基板Wにリンス液Lrを供給する。
【0135】
S1dにおいて、基板Wを乾燥する。基板Wに燐酸液L1およびリンス液Lrを供給することなく基板保持部210は基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。基板Wの回転により、基板Wは乾燥する。
【0136】
S2aにおいて、バッチ処理装置300に基板Wを搬入する。基板Wは、枚葉処理装置200から搬出され、バッチ処理装置300に搬入される。バッチ処理装置300において、基板Wは積載部320に積載される。積載部320は、複数の基板Wを積載する。
【0137】
S2bにおいて、基板Wを燐酸処理する。積載部320は、基板Wを処理槽310の燐酸液L2に浸漬する。
【0138】
S3aにおいて、枚葉処理装置200に基板Wを搬入する。基板Wは、バッチ処理装置300から搬出され、枚葉処理装置200に搬入される。基板Wは、基板保持部210に保持される。
【0139】
S3bにおいて、基板Wをリンス処理する。基板保持部210は基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。リンス液供給部230は基板Wにリンス液Lrを供給する。リンス液Lrにより、基板Wの表面上の燐酸を除去できる。
【0140】
S3cにおいて、基板Wをエッチング処理する。基板保持部210が基板Wを回転させた状態で、エッチング液供給部250は基板Wにエッチング液Leを供給する。エッチング液Leにより、基板Wを効率的にエッチングする。
【0141】
S3dにおいて、基板Wを薬液処理する。基板保持部210が基板Wを回転させた状態で、薬液供給部240は基板Wに薬液Lcを供給する。薬液Lcにより、基板Wをエッチングするとともに、基板Wの表面に保護膜を形成する。
【0142】
S3eにおいて、基板Wをリンス処理する。基板保持部210が基板Wを回転させた状態で、リンス液供給部230は基板Wにリンス液Lrを供給する。
【0143】
S3fにおいて、基板Wを乾燥する。基板Wに、燐酸液L1、リンス液Lr、薬液Lcおよびエッチング液Leを供給することなく基板保持部210は基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。基板Wの回転により、基板Wは乾燥する。
【0144】
S3gにおいて、枚葉処理装置200から基板Wを搬出する。以上のようにして、本実施形態の基板処理方法により、基板Wのシリコン窒化層を好適にエッチングできる。
【0145】
なお、図10を参照した説明では、S3bのリンス処理とS3dの薬液処理との間のS3cにおいてエッチング処理を行ったが、本実施形態はこれに限定されない。S3cのエッチング処理は省略してもよい。
【0146】
基板処理システム100には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されており、基板処理システム100では、定められた手順に従って動作するように枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300とが制御されてもよい。あるいは、基板処理システム100において、測定結果に基づいて、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300が制御されてもよい。例えば、燐酸液Lの測定結果に基づいて、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300が制御されてもよい。
【0147】
例えば、燐酸液L1のシリコン濃度を測定し、シリコン濃度の測定結果に基づいて、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300が制御されてもよい。例えば、基板Wから流出する燐酸液L1のシリコン濃度が測定されてもよい。あるいは、基板W上に滞留した燐酸液L1のシリコン濃度が測定されてもよい。また、一例では、測定結果が、既定の閾値以下となることに基づき、中断工程を開始して、基板Wは枚葉処理装置200からバッチ処理装置300に移動されてもよい。
【0148】
あるいは、第1エッチング工程の開始から中断工程の開始までの時間は、第1エッチング工程のエッチング処理条件と第1エッチング工程の開始から中断工程の開始までの時間とを関係づけるルックアップテーブル(Look Up Table:LUT)に基づき決定されてもよい。第1エッチング工程における、燐酸液L1の処理開始時の燐酸濃度、含有シリコン濃度、液温などのエッチング処理条件を様々に変化させ、エッチング処理条件ごとに最適な第1エッチング工程の開始から中断工程の開始までの時間を実験的に決定してもよい。こうして得られた複数の第1エッチング工程の開始から中断工程の開始までの時間と第1エッチング工程の複数の処理条件との対応関係を示すLUTを記憶部520(例えば、図14)に格納しておいてもよい。この場合、LUTとして格納された上記対応関係を記憶部520から読み出し、これに基づき第1エッチング工程の開始から中断工程の開始までの時間を決定し、これにより第1エッチング工程の処理条件に応じた最適なタイミングで中断工程を開始することができる。
【0149】
次に、図11を参照して、本実施形態の基板処理システム100を説明する。図11は、本実施形態の基板処理システム100の模式図である。図11に示した基板処理システム100は、枚葉処理装置200がシリコン濃度計をさらに備えることを除いて、図1を参照して上述した基板処理システム100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0150】
基板処理システム100において、枚葉処理装置200は、シリコン濃度計280および配管282をさらに有する。枚葉処理部200A~200Dのチャンバー202には配管282が接続されている。枚葉処理部200A~200Dにおいて基板Wを処理した後の燐酸液L1は配管282を流れる。
【0151】
シリコン濃度計280は、配管282に接続されている。シリコン濃度計280は、燐酸処理後の燐酸液のシリコン濃度を測定する。
【0152】
例えば、シリコン濃度計280は、チャンバー202内で基板Wを燐酸液L1で処理された後の燐酸液のシリコン濃度を測定する。シリコン濃度計280において測定されるシリコン濃度が比較的高い場合、この基板Wをすぐにバッチ処理すると、基板Wにシリコン含有物が析出するおそれがある。一方、シリコン濃度計280において測定されるシリコン濃度が比較的低い場合、この基板Wをバッチ処理装置300において燐酸液L2で処理しても、基板Wにシリコン含有物が析出する可能性が低い。
【0153】
このため、シリコン濃度計280の測定値が閾値よりも低下すると、燐酸液供給部220は、燐酸液L1の供給を中断して枚葉処理装置200による処理を停止させ、基板Wを枚葉処理装置200からバッチ処理装置300に移送して、バッチ処理装置300における燐酸処理を開始してもよい。これにより、基板Wの処理状況に応じて、バッチ処理を速やかに開始でき、燐酸処理時間を短縮できる。
【0154】
なお、図11に示したシリコン濃度計280は、基板Wから流出した燐酸液L1のシリコン濃度を測定したが、本実施形態はこれに限定されない。シリコン濃度計は、基板上に滞留した燐酸液L1のシリコン濃度を測定してもよい。
【0155】
なお、基板処理システム100は、枚葉処理装置200で処理された基板Wをバッチ処理装置300に移送する移送部をさらに備えることが好ましい。
【0156】
以下、図12を参照して、本発明による基板処理システム100の実施形態を説明する。図12は、本実施形態の基板処理システム100の模式図である。図12に示した基板処理システム100は、枚葉処理装置200および積載部320の構成、および、移送部400をさらに備えることを除いて、図1を参照して上述した基板処理システム100と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0157】
基板処理システム100は、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300に加えて移送部400をさらに備える。移送部400は、基板Wを枚葉処理装置200からバッチ処理装置300に移送する。なお、移送部400は、さらに基板Wをバッチ処理装置300から枚葉処理装置200に移送してもよい。
【0158】
チャンバー202には、開口部202aが設けられており、開口部202aには開口部202aを開閉するシャッタ204が設けられる。シャッタ204が開口部202aを開けた状態で、基板Wは、チャンバー202の外部から内部、または、内部から外部に移動できる。このため、チャンバー202の開口部202aが基板Wの出入口として機能する。
【0159】
移送部400は、枚葉処理装置200とバッチ処理装置300との間で基板Wを移送する。例えば、移送部400は、枚葉処理装置200に基板Wを搬入する。また、移送部400は、枚葉処理装置200から基板Wを搬出する。さらに、移送部400は、バッチ処理装置300に基板Wを搬入する。また、移送部400は、バッチ処理装置300から基板Wを搬出する。
【0160】
移送部400は、アーム部402と、回転台404と、昇降部406とを有する。アーム部402は、X軸方向に伸縮可能である。アーム部402は、基板Wを下方から支持する。アーム部402により、枚葉処理装置200に基板Wに搬入でき、また、枚葉処理装置200から基板Wに搬入できる。アーム部402は、回転台404の上面に取り付けられる。
【0161】
回転台404は、Z軸を中心に回転可能である。回転台404の回転により、アーム部402は、枚葉処理装置200またはバッチ処理装置300に到達できる。
【0162】
昇降部406は、アーム部402および回転台404をZ軸方向に昇降する。昇降部406の上昇により、アーム部402は、高く配置された枚葉処理部200Aに到達できる。
【0163】
積載部320は、把持部322と、回転部324と、支持部326と有する。把持部322は、基板Wを把持する。把持部322は、アーム部402から基板Wを受け取り、基板Wを把持する。把持部322には複数の溝が設けられおり、複数の溝に基板Wが嵌められる。
【0164】
回転部324は、把持部322を支持する。回転部324は、Z軸方向に沿った回転軸を中心に把持部322を回転する。
【0165】
支持部326は、把持部322および回転部324を支持する。支持部326は、X軸方向に沿った回転軸を中心に把持部322および回転部324を180°回転する。この回転により、把持部322は、基板Wを水平に保持した水平保持状態から、基板Wを鉛直に保持した鉛直保持状態を介して再び水平保持状態になるまで回転する。基板Wは、把持部322に把持されたまま、処理槽310に浸漬される。なお、支持部326は、Y方向に平行に移動可能であってもよい。
【0166】
なお、基板処理システム100には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されており、基板処理システム100では、定められた手順に従って動作するように枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300と、移送部400とが制御されてもよい。あるいは、基板処理システム100において、測定結果に基づいて、枚葉処理装置200、バッチ処理装置300および移送部400が制御されてもよい。例えば、燐酸液Lの測定結果に基づいて、枚葉処理装置200、バッチ処理装置300および移送部400が制御されてもよい。
【0167】
以下、図13を参照して、本発明による基板処理システム100の実施形態を説明する。図13は、本実施形態の基板処理システム100の模式的な平面図である。
【0168】
基板処理システム100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300と、移送部400とを備える。枚葉処理装置200は基板処理システム100のうちのX方向に沿った一方側に配置されており、バッチ処理装置300はX方向に沿った他方側に配置されている。
【0169】
枚葉処理装置200は、複数の枚葉処理部を備える。図13では、便宜上、枚葉処理部をいずれも枚葉処理部200Aと示している。基板処理システム100では、3つの枚葉処理部200Aが積層することでタワーTWが形成されており、4つのタワーTWが設けられる。
【0170】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPと移送部400との間で基板Wを搬送する。移送部400は、インデクサーロボットIRと枚葉処理装置200との間で基板Wを搬送する。また、移送部400は、枚葉処理装置200とバッチ処理装置300との間で基板Wを搬送する。
【0171】
この基板処理システム100では、1個のバッチ処理装置300に対して枚葉処理装置200の枚葉処理部200Aが16個ある。バッチ処理装置300が一度に64枚の基板Wを処理する場合、枚葉処理時間はバッチ処理時間の1/4倍であることが好ましい。例えば、10分の枚葉処理時間に対してバッチ処理時間は40分であることが好ましい。
【0172】
次に、図7図9および図12から図14を参照して、本実施形態の基板処理システム100を説明する。図14は、基板処理システム100のブロック図である。基板処理システム100は制御部500をさらに備える。制御部500は、枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300と、移送部400とを制御する。
【0173】
制御部500は、枚葉処理装置200が基板Wを処理するように枚葉処理装置200を制御する。例えば、制御部500は、シャッタ204を移動させてチャンバー202の開口部202aの開閉を制御する。
【0174】
また、制御部500は、燐酸液供給部220、リンス液供給部230、薬液供給部240およびエッチング液供給部250を制御する。例えば、制御部500は、バルブ223、233、243および253を制御して燐酸液L1、リンス液Lr、薬液Lcおよびエッチング液Leの供給を制御する。さらには、制御部500は、ノズル移動部226、244、254を制御して、バルブ223、243および253の位置を制御する。
【0175】
制御部500は、移送部400が枚葉処理装置200からバッチ処理装置300に基板Wを移送するように移送部400を制御する。また、制御部500は、移送部400がバッチ処理装置300から枚葉処理装置200に基板Wを移送するように移送部400を制御してもよい。
【0176】
制御部500は、バッチ処理装置300が基板Wを処理するようにバッチ処理装置300を制御する。例えば、制御部500は、処理槽310に燐酸液L2を貯留するように処理槽310を制御する。また、制御部500は、積載部320が移送部400から基板Wを受け取り、受け取った基板Wを処理槽310の燐酸液に浸漬するように積載部320を制御する。
【0177】
制御部500は、プロセッサ510および記憶部520を含む。プロセッサ510は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサ510は汎用演算機を有してもよい。
【0178】
記憶部520は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部520は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部520はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。プロセッサ510は、記憶部520の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理方法を実行する。
【0179】
なお、記憶部520には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されており、制御部500は、定められた手順に従って動作するように枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300と、移送部400とを制御してもよい。あるいは、制御部500は、測定結果に基づいて、枚葉処理装置200、バッチ処理装置300および移送部400を制御してもよい。例えば、制御部500は、燐酸液Lの測定結果に基づいて、枚葉処理装置200、バッチ処理装置300および移送部400を制御してもよい。
【0180】
なお、図1図12および図13を参照した上述の説明では、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は互いに近くに配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は離れた場所に配置されてもよい。例えば、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は、基板Wを移送する機器自体が平行に移動することによって移送されるように離れていてもよい。ただし、枚葉処理装置200およびバッチ処理装置300は同一環境に制御されたクリーンルーム内に配置されることが好ましい。
【0181】
次に、図15を参照して本実施形態の基板処理システム100を説明する。図15は、基板処理システム100の模式図である。基板処理システム100は、枚葉処理装置200と、バッチ処理装置300と、移送部400とを備える。
【0182】
枚葉処理装置200は、基板Wを燐酸液で処理する。移送部400は、基板Wを枚葉処理装置200からバッチ処理装置300に移送する。移送部400は、枚葉処理装置200の近くまで移動し、基板Wを搬出する。その後、移送部400は、枚葉処理装置200の近くからX方向に沿ってバッチ処理装置300の近くまで移動し、バッチ処理装置300の積載部320に積載する。
【0183】
移送部400は、アーム部402、回転台404および昇降部406に加えて、ガイド部408をさらに含む。ガイド部408は、枚葉処理装置200の近くからX方向に沿ってバッチ処理装置300の近くまで延びている。昇降部406は、ガイド部408に沿ってX方向に移動できる。
【0184】
バッチ処理装置300は、基板Wを燐酸液L2で処理する。積載部320は、複数の基板Wをまとめて処理槽310に浸漬させる。以上のようにして基板Wが処理される。
【0185】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明は、基板を燐酸処理する基板処理システムおよび基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0187】
100 基板処理システム
200 枚葉処理装置
300 バッチ処理装置
400 移送部
W 基板
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