(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/74 20170101AFI20220826BHJP
F21S 45/43 20180101ALI20220826BHJP
F21S 45/30 20180101ALI20220826BHJP
F21V 29/60 20150101ALI20220826BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220826BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220826BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220826BHJP
【FI】
B60Q3/74
F21S45/43
F21S45/30
F21V29/60
B60R11/02 Z
B60R13/02 Z
F21Y101:00
(21)【出願番号】P 2019075609
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】栗原 均
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 裕二
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰匡
(72)【発明者】
【氏名】植野 宏明
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-2118(JP,A)
【文献】特開2006-297981(JP,A)
【文献】特開2017-56856(JP,A)
【文献】実開昭60-81117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/74
F21S 45/43
F21S 45/30
F21V 29/60
B60R 11/02
B60R 13/02
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に配置された前記車両の外部の物体を検出する検出装置を制御する制御装置を覆うカバーであって、
前記制御装置の前記車室内に向けられた面を覆うカバー本体と、
前記カバー本体において前記制御装置と所定方向で対向するように設けられるとともに、前記カバー本体を貫通する複数の貫通孔が形成された通風部と、
を備え、
前記通風部は、
前記制御装置に向かって突出した壁部と、
前記壁部により区画され、前記壁部を介して互いに隣接して配置された複数の六角形領域及び複数の台形領域と、
を備える
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記壁部は、前記複数の六角形領域の各々の間、前記複数の台形領域の各々の間、及び、前記複数の六角形領域と前記複数の台形領域との間に配置された内壁部と、
前記内壁部と一体に設けられ、前記通風部の周縁に配置された外形が六角形の外壁部と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記外壁部は、その突出高さが前記内壁部の突出高さよりも高い
ことを特徴とする請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記複数の六角形領域のうち前記外壁部に隣接して配置された前記六角形領域を外壁側六角形領域として、前記外壁側六角形領域は、その内部において、前記外壁側六角形領域に隣接する前記外壁部のうちの1つの前記外壁部に平行に配置された前記内壁部によって区画された2つの前記台形領域を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のカバー。
【請求項5】
前記複数の六角形領域の数は8個であり、ハニカム構造状に配置された前記複数の前記六角形領域は、前記通風部の中心において所定配列方向に隣接する2つの中心側六角形領域と、前記所定配列方向の直交方向の両側から前記2つの中心側六角形領域の各々に1つずつ隣接する2つの異列六角形領域と、前記2つの中心側六角形領域の何れか1つ及び前記2つの異列六角形領域の何れか1つに各々隣接する4つの前記外壁側六角形領域と、を備え、
前記複数の台形領域の数は14個であり、前記14個の前記台形領域は、前記所定配列方向の両側から前記2つの中心側六角形領域の各々に1つずつ隣接する2つの第1外壁側台形領域と、前記4つの前記外壁側六角形領域の各々の内部に2つずつ配置された8つの六角形内台形領域と、前記所定配列方向の直交方向の両側から前記2つの異列六角形領域の各々に2つずつ隣接する4つの第2外壁側台形領域と、を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、前記通風部の外部に配置されたゲート痕を備え、
前記2つの第1外壁側台形領域のうち、一方の前記第1外壁側台形領域よりも前記ゲート痕との距離が長い他方の前記第1外壁側台形領域は、前記貫通孔の形成されない非貫通孔形成領域である
ことを特徴とする請求項5に記載のカバー。
【請求項7】
前記2つの中心側六角形領域及び前記2つの異列六角形領域の各々には、前記貫通孔が19個ずつ形成されており、
前記2つの中心側六角形領域及び前記2つの異列六角形領域の各々は、前記六角形領域の任意の対辺の間で前記対辺の直交方向に順次に配列された第1孔列、第2孔列、第3孔列、第4孔列及び第5孔列を備え、
前記第1孔列及び前記第5孔列の各々には、前記貫通孔が前記対辺に平行に3つずつ配列されており、
前記第2孔列及び前記第4孔列の各々には、前記貫通孔が前記対辺に平行に4つずつ配列されており、
前記第3孔列には、前記貫通孔が前記対辺に平行に5つ配列されており、
前記2つの第1外壁側台形領域のうちの1つ、前記4つの第2外壁側台形領域、及び前記8つの六角形内台形領域の各々には、前記貫通孔が7個ずつ形成されており、
前記2つの第1外壁側台形領域のうちの1つ、前記4つの第2外壁側台形領域、及び前記8つの六角形内台形領域の各々は、前記台形領域の底辺間で前記底辺の直交方向に並ぶ第6孔列及び第7孔列を備え、
前記第6孔列には、前記貫通孔が前記底辺に平行に3つ配列されており、
前記第7孔列には、前記貫通孔が前記底辺に平行に4つ配列されている、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記カバー本体の前記車室内の側の表面において前記貫通孔と径が同じ大きさの複数の凹部が形成された意匠部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前席の天井(ルーフライニング)中央部に配置されたオーバーヘッドコンソールにおいて、車室内照明用の灯体と、物体等の検出用のカメラと、制御装置とを、筐体内に備える車両用照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような車両用照明装置の筐体は、車室内側から灯体、カメラ及び制御装置等を覆うとともに、筐体の内部を外部(車室内)に対して閉塞するように設けられている。これにより、制御装置等の発熱に起因して筐体内の温度が過度に上昇するおそれがあり、筐体内の温度上昇に伴ってカメラ及び制御装置の誤作動等の異常が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、制御装置等の発熱に起因する雰囲気温度の上昇を抑制することができるカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るカバーは、車両の車室内に配置された前記車両の外部の物体を検出する検出装置を制御する制御装置を覆うカバーであって、前記制御装置の前記車室内に向けられた面を覆うカバー本体と、前記カバー本体において前記制御装置と所定方向で対向するように設けられるとともに、前記カバー本体を貫通する複数の貫通孔が形成された通風部と、を備え、前記通風部は、前記制御装置に向かって突出した壁部と、前記壁部により区画され、前記壁部を介して互いに隣接して配置された複数の六角形領域及び複数の台形領域と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るカバーでは、前記壁部は、前記複数の六角形領域の各々の間、前記複数の台形領域の各々の間、及び、前記複数の六角形領域と前記複数の台形領域との間に配置された内壁部と、前記内壁部と一体に設けられ、前記通風部の周縁に配置された外形が六角形の外壁部と、を備えることが好ましい。
【0008】
本発明に係るカバーでは、前記外壁部は、その突出高さが前記内壁部の突出高さよりも高いことが好ましい。
【0009】
本発明に係るカバーは、前記複数の六角形領域のうち前記外壁部に隣接して配置された前記六角形領域を外壁側六角形領域として、前記外壁側六角形領域は、その内部において、前記外壁側六角形領域に隣接する前記外壁部のうちの1つの前記外壁部に平行に配置された前記内壁部によって区画された2つの前記台形領域を備えることが好ましい。
【0010】
本発明に係るカバーでは、前記複数の六角形領域の数は8個であり、ハニカム構造状に配置された前記複数の前記六角形領域は、前記通風部の中心において所定配列方向に隣接する2つの中心側六角形領域と、前記所定配列方向の直交方向の両側から前記2つの中心側六角形領域の各々に1つずつ隣接する2つの異列六角形領域と、前記2つの中心側六角形領域の何れか1つ及び前記2つの異列六角形領域の何れか1つに各々隣接する4つの前記外壁側六角形領域と、を備え、前記複数の台形領域の数は14個であり、前記14個の前記台形領域は、前記所定配列方向の両側から前記2つの中心側六角形領域の各々に1つずつ隣接する2つの第1外壁側台形領域と、前記4つの前記外壁側六角形領域の各々の内部に2つずつ配置された8つの六角形内台形領域と、前記所定配列方向の直交方向の両側から前記2つの異列六角形領域の各々に2つずつ隣接する4つの第2外壁側台形領域と、を備えることが好ましい。
【0011】
本発明に係るカバーでは、前記カバー本体は、前記通風部の外部に配置されたゲート痕を備え、前記2つの第1外壁側台形領域のうち、一方の前記第1外壁側台形領域よりも前記ゲート痕との距離が長い他方の前記第1外壁側台形領域は、前記貫通孔の形成されない非貫通孔形成領域であることが好ましい。
【0012】
本発明に係るカバーでは、前記2つの中心側六角形領域及び前記2つの異列六角形領域の各々には、前記貫通孔が19個ずつ形成されており、前記2つの中心側六角形領域及び前記2つの異列六角形領域の各々は、前記六角形領域の任意の対辺の間で前記対辺の直交方向に順次に配列された第1孔列、第2孔列、第3孔列、第4孔列及び第5孔列を備え、前記第1孔列及び前記第5孔列の各々には、前記貫通孔が前記対辺に平行に3つずつ配列されており、前記第2孔列及び前記第4孔列の各々には、前記貫通孔が前記対辺に平行に4つずつ配列されており、前記第3孔列には、前記貫通孔が前記対辺に平行に5つ配列されており、前記2つの第1外壁側台形領域のうちの1つ、前記4つの第2外壁側台形領域、及び前記8つの六角形内台形領域の各々には、前記貫通孔が7個ずつ形成されており、前記2つの第1外壁側台形領域のうちの1つ、前記4つの第2外壁側台形領域、及び前記8つの六角形内台形領域の各々は、前記台形領域の底辺間で前記底辺の直交方向に並ぶ第6孔列及び第7孔列を備え、前記第6孔列には、前記貫通孔が前記底辺に平行に3つ配列されており、前記第7孔列には、前記貫通孔が前記底辺に平行に4つ配列されている、ことが好ましい。
【0013】
本発明に係るカバーは、前記カバー本体の前記車室内の側の表面において前記貫通孔と径が同じ大きさの複数の凹部が形成された意匠部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー本体に形成される複数の貫通孔によって、制御装置等の発熱に起因する雰囲気温度の上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るカバーを備える車両用照明装置の構成を示す車両の左右方向から見た側面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用照明装置のカバーにおける第1筐体及び第2筐体と蓋部材とを分解して裏面側から見た斜視図。
【
図4】本発明の実施形態に係るカバーを裏面側から見た拡大斜視図。
【
図5】本発明の実施形態に係るカバーの通風部を裏面側から見た図。
【
図6】本発明の実施形態に係るカバーの通風部の拡大図。
【
図7】本発明の実施形態に係るカバーの通風部を表面側から見た図。
【
図8】本発明の実施形態、第1比較例及び第2比較例の各々においてカバーの成形加工時における樹脂材料の流れを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のカバーの一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
(車両用照明装置)
図1は、実施形態に係るカバー20を備える車両用照明装置10の構成を示す車両1の左右方向から見た側面図である。
図2は、実施形態に係る車両用照明装置10の構成を示す斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の車両用照明装置10は、車両1の車室内2における前席3の上部に配置されている。車室内2の上部は、例えば、天井に相当するルーフライニング4と、フロントウィンドウ5の上部となどである。
なお、以下において、3次元空間で互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の各軸方向は、各軸に平行な方向である。例えば、車両1の前後方向は、X軸方向と平行である。X軸方向の正方向は、車両1の後部から前部に向かう方向である。車両1の左右方向は、Y軸方向と平行である。Y軸方向の正方向は、車両1の左側から右側に向かう方向である。車両1の上下方向は、Z軸方向と平行である。Z軸方向の正方向は、車両1の下部から上部に向かう方向である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、車両用照明装置10は、カバー20を構成する第1筐体21及び第2筐体22と、2つの灯体23と、2つの外界カメラ24と、制御装置25と、冷却用ファン26と、を備える。
第1筐体21及び第2筐体22は、互いに別体に形成されている。第1筐体21及び第2筐体22は、前後方向(X軸方向)に並んだ状態で接合され、車室内2の上部の一部を覆うように配置されている。なお、第2筐体22は、請求項におけるカバー本体に相当する。
【0020】
図3は、実施形態に係る車両用照明装置10のカバー20における第1筐体21及び第2筐体22と蓋部材33とを分解して裏面21Bの側から見た斜視図である。
図4は、実施形態に係るカバーを裏面21Bの側から見た拡大斜視図である。
図5は、実施形態に係るカバー20の通風部70を裏面22Bの側から見た図である。
図6は、実施形態に係るカバー20の通風部70を表面22Aの側から見た図である。
図7は、実施形態に係るカバー20の通風部70の拡大図である。
【0021】
図1から
図7に示すように、第1筐体21の外形は、例えば、複数の開口部が設けられた箱型に形成されている。第1筐体21は、例えば、ポリプロピレン樹脂又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などの柔軟性が高い樹脂材料により形成されている。第1筐体21は、ルーフライニング4の一部を覆うように配置されている。
【0022】
第1筐体21は、2つの第1収容部31と、ボックス部32と、蓋部材33と、を備える。
2つの第1収容部31の各々の外形は、例えば、第1筐体21の車室内2の側に露出する表面21Aにおいて上下方向の上方(Z軸方向の正方向)に向かって凹む凹形状に形成されている。2つの第1収容部31は、第1筐体21における前後方向の後側(X軸方向の負方向)に設けられている。2つの第1収容部31の各々は、灯体23を収容する。
【0023】
ボックス部32の外形は、例えば、第1筐体21の表面21Aにおいて上下方向の上方に向かって凹む凹形状に形成されている。これに伴い、第1筐体21には、車室内2側からボックス部32の内部に通じるように第1開口部34が形成されている。
ボックス部32は、いわゆるオーバーヘッドコンソールのコンソールボックスを構成し、第1筐体21における前後方向の前側(X軸方向の正方向側)に設けられている。ボックス部32は、第1開口部34を開閉可能に閉塞する蓋部材33を、車室内2の側に引き出し可能に収容する。
【0024】
ボックス部32は、左右方向(Y軸方向)の左側端部32L及び右側端部32Rの各々における前後方向の前側の各部位に、後述する蓋部材33の回転軸51aを回転可能に支持する軸支持部41を備える。例えば、軸支持部41には、蓋部材33の回転軸51aが回転可能に挿入される軸挿入孔41aが形成されている。
【0025】
ボックス部32における前後方向の前側端部32Fには、第2開口部42が形成されている。ボックス部32は、第2開口部42を形成する周縁部43のうち上下方向の上側の第1端部43Uに複数(例えば、2つ)の第1爪部44を備える。例えば2つの第1爪部44は、左右方向に所定間隔をおいて前後方向の前方に向かって突出している。各第1爪部44は、いわゆるカンチレバー型のスナップフィットにより、後述する第2筐体22の第1爪保持部63に機械的に接合される。各第1爪部44は、弾性により第1爪保持部63に噛み合うことによって、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定する。
【0026】
ボックス部32は、第2開口部42の周縁部43のうち上下方向の下側の第2端部43Bに複数(例えば4つ)の第2爪部45を備える。例えば4つの第2爪部45は、左右方向に所定間隔をおいて配置されている。各第2爪部45は、左右方向に離れて上下方向の上方に向かって突出する1対の爪片46を備える。各爪片46は、例えば
図3に示すように、上下方向に延びる脚部46aと、脚部46aの先端部から左右方向に突出する頭部46bと、を備える。1対の爪片46は、互いの頭部46bを左右方向の向かい合う方向に突出させるように配置されている。
【0027】
各第2爪部45の1対の爪片46は、いわゆるカンチレバー型のスナップフィットにより、後述する第2筐体22の第2爪保持部64(例えば中央側第2爪保持部64A又は端部側第2爪保持部64B)に機械的に接合される。1対の爪片46は、第2爪保持部64を左右方向の両側から挟み込むように配置され、脚部46aの弾性により各頭部46b又は各脚部46aを第2爪保持部64に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定する。
【0028】
4つの第2爪部45のうち第2端部43Bにおける左右方向の中央側に配置される2つの中央側第2爪部45Aの各爪片46は、脚部46aの弾性により上下方向の上方から下方に向かい頭部46bを第2爪保持部64(中央側第2爪保持部64A)に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22の上下方向における位置を規制する。
4つの第2爪部45のうち第2端部43Bにおける左右方向の両端側(左端43BL側及び右端43BR側)に配置される2つの端部側第2爪部45Bの各爪片46は、脚部46aの弾性により左右方向から脚部46aを第2爪保持部64(端部側第2爪保持部64B)に突き当てることによって、第1筐体21及び第2筐体22の左右方向における位置を規制する。
【0029】
ボックス部32は、第2開口部42の周縁部43の第2端部43Bにおいて左右方向に4つの第2爪部45よりも両端側(左端43BL側及び右端43BR側)に設けられた2つの第1ねじ装着部47を備える。各第1ねじ装着部47は、例えば、上下方向の上方に突出する第1ボス47aを備える。第1ボス47aには、後述する第2筐体22の第1ねじ挿入孔67aに臨んで連なる第1ねじ穴47bが形成されている。
【0030】
車両用照明装置10は、第1ねじ挿入孔67aに挿入されるとともに第1ねじ穴47bにねじ込まれる第1ねじ部材48を備える。第1ねじ部材48は、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定し、上下方向及び左右方向に加えて、他の任意の方向に対して第1筐体21及び第2筐体22の位置を規制する。
【0031】
第1筐体21は、ボックス部32の周辺において左右方向に2つの第1ねじ装着部47よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第2ねじ装着部49を備える。各第2ねじ装着部49は、例えば、第1筐体21の裏面21Bから上下方向の上方に突出する第2ボス49aを備える。第2ボス49aには、後述する第2筐体22の第2ねじ挿入孔68aに臨んで連なる第2ねじ穴49bが形成されている。
【0032】
車両用照明装置10は、第2ねじ挿入孔68aに挿入されるとともに第2ねじ穴49bにねじ込まれる第2ねじ部材50を備える。第2ねじ部材50は、第1筐体21及び第2筐体22を相互に固定し、上下方向及び左右方向に加えて、他の任意の方向に対して第1筐体21及び第2筐体22の位置を規制する。
【0033】
蓋部材33は、ケース51と、カバー52と、を備える。
ケース51の外形は、例えば、開口した箱型に形成されている。ケース51は、例えば車両1の乗員が装着するサングラス等の適宜の物体を収容する。ケース51は、前後方向の前側の端部において左右方向に延びる回転軸51aを備える。回転軸51aは、ボックス部32の軸挿入孔41aに挿入されている。ケース51は、回転軸51aの軸周りに回転することによって、ボックス部32の内部から車室内2の側に引き出される、又は、車室内2の側からボックス部32の内部に収容される。
【0034】
カバー52は、ケース51の下面(上下方向の下方に車室内2の側に向く表面)を覆うようにケース51に装着されている。カバー52は、ケース51の回転に伴い、第1筐体21の第1開口部34を開閉可能に閉塞する。カバー52は、ケース51がボックス部32の内部に収容される場合に第1開口部34を閉塞する。カバー52は、ケース51がボックス部32の内部から車室内2の側に引き出される場合に第1開口部34の閉塞を解除する。
【0035】
図1から
図6に示すように、第2筐体22の外形は、例えば、開口した箱型に形成されている。第2筐体22は、例えば、ポリカーボネート樹脂などの高剛性の樹脂材料により形成されている。第2筐体22は、フロントウィンドウ5の上部の一部を覆うように配置されている。
【0036】
第2筐体22は、第2収容部61と、壁部62と、を備える。
第2収容部61の外形は、例えば、上下方向の上方及び前後方向の前方に向かって開口した箱型に形成されている。第2収容部61は、第2筐体22における前後方向の前側に設けられている。第2収容部61は、左右方向に離れて配置される2つの外界カメラ24と、第2筐体22における左右方向の中央側に配置される制御装置25及び冷却用ファン26とを収容する。
【0037】
壁部62の外形は、例えば、第1筐体21のボックス部32における蓋部材33の前端(前後方向における前側の端部)の回転軌跡に沿って湾曲する板状に形成されている。壁部62は、第2筐体22における前後方向の後側に設けられている。壁部62は、第1筐体21のボックス部32の第2開口部42を閉塞する。
壁部62における上下方向の上側の第3端部62Uは、前後方向において相対的に壁部62における上下方向の下側の第4端部62Bよりも後方に第1筐体21の側に配置されている。
【0038】
壁部62は、上下方向の上側の第3端部62Uに複数(例えば、2つ)の第1爪保持部63を備える。例えば2つの第1爪保持部63は、左右方向に所定間隔をおいて設けられている。各第1爪保持部63の外形は、例えば、第1筐体21の各第1爪部44が上下方向の上方から下方に向かって係合される(係わり合わせて止められる)凹形状に形成されている。各第1爪部44及び各第1爪保持部63は、相互の噛み合いによって第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0039】
壁部62は、上下方向の下側の第4端部62Bに複数(例えば、4つ)の第2爪保持部64を備える。例えば4つの第2爪保持部64は、左右方向に所定間隔をおいて配置されている。第4端部62Bには、車室内2側から第2筐体22の内部に向かって第1筐体21の複数(例えば4つ)の第2爪部45が挿入される複数(例えば、4つ)の貫通孔65が形成されている。例えば4つの貫通孔65は、左右方向に所定間隔をおいて設けられている。各第2爪保持部64は、各貫通孔65における左右方向の中央側において各貫通孔65の縁部66から上下方向の上方に延びるように形成されている。各第2爪保持部64の外形は、例えば、縁部66から上下方向の上方に延び、各第2爪部45が上下方向又は左右方向において係合される柱状に形成されている。
【0040】
複数の第2爪部45を備える第1筐体21の第2端部43Bは、車室内2の側つまり上下方向の下方側から、複数の貫通孔65が形成された第2筐体22の第4端部62Bに重なるように配置されている。これに伴い、各第2爪部45の1対の爪片46は、各第2爪保持部64を左右方向の両側から挟み込むように各貫通孔65に上下方向の下方側から上方側に第2筐体22の内部に向かって挿入される。各第2爪部45の1対の爪片46は、上下方向又は左右方向における各第2爪保持部64に対する噛み合いによって第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0041】
4つの第2爪保持部64のうち第4端部62Bにおける左右方向の中央側に配置される2つの中央側第2爪保持部64Aは、2つの第2爪部45(中央側第2爪部45A)が上下方向に突き当てられることによって、第1筐体21及び第2筐体22の上下方向における位置を規制する。
4つの第2爪保持部64のうち第4端部62Bにおける左右方向の両端側(左端62BL側及び右端62BR側)に配置される2つの端部側第2爪保持部64Bは、2つの第2爪部45(端部側第2爪部45B)が左右方向に突き当てられることによって、第1筐体21及び第2筐体22の左右方向における位置を規制する。
【0042】
第2筐体22は、壁部62の周辺において左右方向に4つの第2爪保持部64よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第3ねじ装着部67を備える。各第3ねじ装着部67には、例えば、第1筐体21の各第1ねじ装着部47の第1ねじ穴47bに臨んで連なる第1ねじ挿入孔67aが形成されている。上述したように、各第1ねじ挿入孔67aに挿入された各第1ねじ部材48は、各第1ねじ穴47bにねじ込まれることによって、第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0043】
第2筐体22は、壁部62の周辺において左右方向に2つの第3ねじ装着部67よりも両端側(左端側及び右端側)に設けられた2つの第4ねじ装着部68を備える。各第4ねじ装着部68には、例えば、第1筐体21の各第2ねじ装着部49の第2ねじ穴49bに臨んで連なる第2ねじ挿入孔68aが形成されている。上述したように、各第2ねじ挿入孔68aに挿入された各第2ねじ部材50は、各第2ねじ穴49bにねじ込まれることによって、第1筐体21及び第2筐体22を固定する。
【0044】
なお、第1筐体21及び第2筐体22が接合される際には、先ず、第1筐体21の第1端部43Uと第2筐体22の第3端部62Uとにおいて、各第1爪部44及び各第1爪保持部63が係合される。
次に、第1筐体21の第2端部43Bと第2筐体22の第4端部62Bとにおいて、各第2爪部45及び各第2爪保持部64が係合される。
次に、第1筐体21の各第1ねじ装着部47と第2筐体22の各第3ねじ装着部67とが各第1ねじ部材48によって固定されるとともに、第1筐体21の各第2ねじ装着部49と第2筐体22の各第4ねじ装着部68とが各第2ねじ部材50によって固定される。
【0045】
第2筐体22は、複数の通風孔71が形成された通風部70を備える。通風部70の外形は、例えば、前後方向で対向して左右方向に平行な対辺を有するとともに、前後方向に延びる中心線に対して線対称な六角形状に形成されている。通風部70は第2筐体22の左右方向における中央側に配置され、上下方向に冷却用ファン26を介して制御装置25と対向するように設けられている。複数の通風孔71の各々は、上下方向に第2筐体22を貫通する。なお、通風孔71は、請求項の貫通孔に相当する。また、上下方向は、請求項における所定方向に相当する。
通風部70は、第2筐体22の裏面22Bに設けられた壁部72と、壁部72によって区画された複数の六角形領域73及び複数の台形領域74と、を備える。
【0046】
壁部72は、第2筐体22の裏面22Bから上下方向の上方に制御装置25に向かって突出する。壁部72は、通風部70の周縁に配置される外壁部75と、外壁部75によって囲まれる内壁部76と、を備える。
外壁部75の外形は、例えば通風部70の周縁に沿った六角形状に形成されている。外壁部75の突出方向の高さ(突出高さ)は、例えば前後方向の後方から前方に向かうことに伴い、低下傾向に変化するように形成されている。内壁部76の突出高さは、例えば一定に形成されている。外壁部75の突出高さは、相対的に内壁部76の突出高さよりも高く形成されている。
【0047】
複数の六角形領域73及び複数の台形領域74は、内壁部76を介して隙間無く一体的に配置されている。
複数の六角形領域73の各々の外形は、例えば正六角形に形成されている。複数の六角形領域73の数は、例えば8個である。8個の六角形領域73は、ハニカム構造状に配置されている。8個の六角形領域73は、例えば、2つの中心側六角形領域77と、3つの右側六角形領域78と、3つの左側六角形領域79と、を備える。
【0048】
2つの中心側六角形領域77は、通風部70の中心70aにおいて互いの1辺を接するように前後方向に隣接して並んで配置されている。なお、中心70aは、六角形状に形成された外壁部75の重心でもある。
3つの右側六角形領域78は、左右方向の右側(Y軸方向の正方向側)から2つの中心側六角形領域77に隣接するとともに、前後方向に順次に隣接して並んで配置されている。
3つの左側六角形領域79は、左右方向の左側(Y軸方向の負方向側)から2つの中心側六角形領域77に隣接するとともに、前後方向に順次に隣接して並んで配置されている。なお、前後方向は、請求項における所定配列方向に相当する。
【0049】
3つの右側六角形領域78は、2つの中心側六角形領域77に隣接する第1右側六角形領域78aと、第1右側六角形領域78aを前後方向の両側から挟み込むとともに、2つの中心側六角形領域77の何れか1つに隣接する2つの第2右側六角形領域78bと、を備える。2つの第2右側六角形領域78bの各々は、通風部70の中心70aに対して外壁部75寄りに(隣接して)配置され、所定の内壁部76a(76)によって区画される2つの台形領域74(六角形内台形領域81)を備える。
【0050】
第2右側六角形領域78bを分割する内壁部76a(76)は、第2右側六角形領域78bにおける所定の対向する頂点を結ぶように配置されている。内壁部76a(76)は、第2右側六角形領域78bを区画する外壁部75のうち3つの右側六角形領域78の配列方向(つまり前後方向)に対して鋭角に交差する部位75aと平行に配置されている。部位75aは、六角形状の外壁部75における六角形の1辺の1部に相当している。
【0051】
すなわち、2つの第2右側六角形領域78bの各々は、その内部(第2右側六角形領域78bを区画する内壁部76に囲まれた内部)において、外壁部75における部位75aと平行に配置された内壁部76aによって区画された2つの台形領域74を備えている。
なお、第1右側六角形領域78aは、請求項における異列六角形領域に相当する。また、第2右側六角形領域78bは、請求項における外壁側六角形領域に相当する。
【0052】
3つの左側六角形領域79は、2つの中心側六角形領域77に隣接する第1左側六角形領域79aと、第1左側六角形領域79aを前後方向の両側から挟み込むとともに、2つの中心側六角形領域77の何れか1つに隣接する2つの第2左側六角形領域79bと、を備える。2つの第2左側六角形領域79bの各々は、通風部70の中心70aに対して外壁部75寄りに(隣接して)配置され、所定の内壁部76b(76)によって区画される2つの台形領域74(六角形内台形領域81)を備える。
【0053】
第2左側六角形領域79bを分割する内壁部76b(76)は、第2左側六角形領域79bにおける所定の対向する頂点を結ぶように配置されている。内壁部76b(76)は、第2左側六角形領域79bを区画する外壁部75のうち3つの左側六角形領域79の配列方向(つまり前後方向)に対して鋭角に交差する部位75bと平行に配置されている。部位75bは、六角形状の外壁部75における六角形の1辺の1部に相当している。
【0054】
すなわち、2つの第2左側六角形領域79bの各々は、その内部(第2左側六角形領域79bを区画する内壁部76に囲まれた内部)において、外壁部75における部位75bと平行に配置された内壁部76bによって区画された2つの台形領域74を備えている。
なお、第1左側六角形領域79aは、請求項における異列六角形領域に相当する。また、第2左側六角形領域79bは、請求項における外壁側六角形領域に相当する。
【0055】
複数の台形領域74の各々の外形は、例えば六角形領域73を2等分して得られる等脚台形に形成されている。複数の台形領域74の数は、例えば14個である。14個の台形領域74は、例えば、8つの六角形内台形領域81と、2つの第1外壁側台形領域82と、4つの第2外壁側台形領域83と、を備える。
8つの六角形内台形領域81は、2つの第2右側六角形領域78bを形成する4つの六角形内台形領域81と、2つの第2左側六角形領域79bを形成する4つの六角形内台形領域81と、を備える。
【0056】
2つの第1外壁側台形領域82は、前後方向の両側から2つの中心側六角形領域77に隣接する。各第1外壁側台形領域82は、上底を中心側六角形領域77の1辺に接するように配置されている。2つの第1外壁側台形領域82は、前後方向の後側に配置される後方第1外壁側台形領域82aと、前側に配置される前方第1外壁側台形領域82bと、を備える。
【0057】
4つの第2外壁側台形領域83は、左右方向の両側から3つの右側六角形領域78及び3つの左側六角形領域79に隣接する。4つの第2外壁側台形領域83は、左右方向の右側に配置される2つの右方第2外壁側台形領域83aと、左側に配置される2つの左方第2外壁側台形領域83bと、を備える。2つの右方第2外壁側台形領域83aは、上底を第1右側六角形領域78aの右側の2辺に接するように配置されている。2つの左方第2外壁側台形領域83bは、上底を第1左側六角形領域79aの左側の2辺に接するように配置されている。
【0058】
2つの中心側六角形領域77、第1右側六角形領域78a及び第1左側六角形領域79aの各々に分散配置される複数の通風孔71の数は、例えば19個である。19個の通風孔71は、各六角形領域77,78a,79aにおける任意の対辺の間で対辺の直交方向に順次に配列された第1孔列91、第2孔列92、第3孔列93、第4孔列94及び第5孔列95を構成する。第1孔列91及び第5孔列95の各々は、対辺に平行に配列された3つの通風孔71を備える。第2孔列92及び第4孔列94の各々は、対辺に平行に配列された4つの通風孔71を備える。第3孔列93は、対辺に平行に配列された5つの通風孔71を備える。
【0059】
例えばカバー20の成形加工時において樹脂材料のゲートが通風部70の前後方向の後方に配置される場合、複数の台形領域74において前後方向の両側に配置される2つの第1外壁側台形領域82のうち、後方第1外壁側台形領域82aには、通風孔71が形成されている。一方、前方第1外壁側台形領域82bは、通風孔71が形成されていない非通風孔形成領域(非貫通孔形成領域)101である。すなわち、カバー20の成形加工時における樹脂材料の流動方向の下流側において通風孔71の形成が省略されている。
【0060】
前方第1外壁側台形領域82b以外の他の各台形領域74に分散配置される複数の通風孔71の数は、例えば7個である。7個の通風孔71は、各台形領域74の底辺間で底辺の直交方向に並ぶ第6孔列96及び第7孔列97を構成する。なお、ここでいう底辺とは、台形を形成する四辺のうち、平行な二本の対辺である上底及び下底のことをいう。第6孔列96は、底辺に平行に配列された3つの通風孔71を備える。第7孔列97は底辺に平行に配列された4つの通風孔71を備える。
【0061】
第2筐体22は、車室内2の側の表面22Aにおいて、通風孔71と同じ大きさの複数の凹部98が形成された意匠部99を備える。意匠部99の外形は、例えば通風部70を含む矩形状に形成されている。複数の凹部98の外形は、例えば円柱状の通風孔71と同径の円柱状に形成されている。複数の凹部98は、複数の通風孔71と同様に意匠部99において分散配置されている。
【0062】
2つの灯体23の各々は、例えば発光ダイオード等である。
2つの外界カメラ24は、例えば左右方向に離れて配置されるステレオカメラ等である。2つの外界カメラ24は、車両1の前後方向の前方における歩行者及び物体等を検出する。2つの外界カメラ24は、制御装置25によって制御される。
【0063】
制御装置25は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。また、制御装置25の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
冷却用ファン26は、車室内2から通風部70の複数の通風孔71を介して取り込んだ空気を制御装置25に向かって吹き付ける。
【0064】
上述したように、本実施形態のカバー20によれば、複数の通風孔71が形成された通風部70は制御装置25と対向するように設けられている。このように構成することで、第2筐体22によって覆われる内部雰囲気の熱は、第2筐体22を貫通する複数の通風孔71を介して車室内2に放散される。これにより、第2筐体22によって覆われる制御装置25等の発熱に起因する内部雰囲気の温度上昇を抑制することができる。
また、通風部70において一体的に配置された複数の六角形領域73及び複数の台形領域74の各々は壁部72によって区画されている。これにより、複数の通風孔71が形成された通風部70の剛性及び強度を向上させることができる。
【0065】
また、通風部70の外形は六角形であり、壁部72は、通風部70の周縁に配置された外壁部75を備える。このように構成することで、通風部70は六角形の外壁部75によって囲まれる。これにより、例えば六角形以外の他の形状の外壁部を備える場合に比べて、通風部70の剛性及び強度を向上させながら、例えば成形加工によってカバー20を製造する場合における外壁部75周辺での樹脂材料の流動性を向上させることができる。
【0066】
また、壁部72は、外壁部75によって囲まれる内壁部76を備え、外壁部75の突出高さは、相対的に内壁部76の突出高さよりも高く形成されている。このように構成することで、通風部70の複数の通風孔71を通る空気は外壁部75によってガイドされながら壁部72の突出方向に沿って流れる。これにより、通風部70と制御装置25との間に空気の流れを形成することができる。また、制御装置25に送風する冷却用ファン26によって、車室内2から通風部70に空気を取り込み易くして、制御装置25の放熱を促すことができる。
【0067】
また、複数の六角形領域73のうち通風部70の中心70aに対して外壁部75寄りに配置された第2右側六角形領域78b及び第2左側六角形領域79bの各々は、外壁部75の各部位75a,75bと平行な各内壁部76a(76),76b(76)によって区画される2つの台形領域74(六角形内台形領域81)を備える。このように構成することで、例えば成形加工によってカバー20を製造する場合において、各六角形領域78b,79b及び外壁部75周辺における樹脂材料の流動性を向上させることができる。
【0068】
また、通風部70の中心70aに対してゲート痕Gの側の後方第1外壁側台形領域82aには通風孔71が設けられ、ゲート痕Gの反対側の前方第1外壁側台形領域82bには通風孔71が設けられていない。すなわち、成形加工によってカバー20を製造する場合において、樹脂材料の流動方向の上流側には通風孔71が形成される後方第1外壁側台形領域82aが配置され、樹脂材料の流動方向の下流側には通風孔71が形成されない前方第1外壁側台形領域82bが配置される。
【0069】
つまり、前方第1外壁側台形領域82bは、通風孔71が形成されない非通風孔形成領域101である。これにより、例えば通風孔71が形成される前方第1外壁側台形領域82bが樹脂材料の流動方向の下流側に配置される場合に比べて、下流側の前方第1外壁側台形領域82bにおいて樹脂材料の流動速度が低下することを抑制し、ショートショット(成形不良)の発生を防ぐことができる。
【0070】
図8は、実施形態、第1比較例及び第2比較例の各々においてカバーの成形加工時における樹脂材料の流れを模式的に示す図である。実施形態、第1比較例及び第2比較例の各々において、ゲート痕Gは各通風部70,170,270に対して前後方向の後方に形成されている。換言すれば、ゲート痕Gは、通風部70,170,270の外部(外壁部75によって囲まれた領域の外側)に形成されている。
【0071】
図8に示すように、実施形態に係る通風部70に対して、第1比較例の通風部170では、第2右側六角形領域78b及び第2左側六角形領域79bの各々を分割する内壁部76a(76)及び内壁部76b(76)が省略されている。実施形態では、第1比較例に比べて、各内壁部76a(76),76b(76)に沿って樹脂材料の流動速度が増大し、通風部70の全体に亘って均一的な流動速度で樹脂材料が流れていることが認められる。これにより、実施形態では、各六角形領域78b,79b内における樹脂材料の流動速度の低下に起因するショートショット(成形不良)の発生が抑制されている。
【0072】
また、実施形態に係るカバー20に対して、第2比較例の通風部270では、通風部270の中心270aに対してゲート痕Gの反対側の前方第1外壁側台形領域82bにおいて複数の通風孔71が形成されている。これにより、第2比較例では、通風孔71を形成するために必要とされるピン等によって樹脂材料の流動が妨げられる。実施形態では、第2比較例に比べて、前方第1外壁側台形領域82b内における樹脂材料の流動速度が増大し、通風部70の全体に亘って均一的な流動速度で樹脂材料が流れていることが認められる。これにより、実施形態では、前方第1外壁側台形領域82b内における樹脂材料の流動速度の低下に起因するショートショット(成形不良)の発生が抑制されている。
【0073】
また、本実施形態の通風部70において各六角形領域77,78a,79aに19個の通風孔71が分散配置されるとともに、各台形領域74に7個の通風孔71が分散配置されている。このように構成することで、所望の放熱性の確保及びショートショット(成形不良)の発生抑制に必要とされる所定数の通風孔71が通風部70に設けられる。これにより、例えば通風孔71の数の不足に起因する放熱性の低下、又は、例えば通風孔71の数の過剰に起因する成形不良の発生を防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態の第2筐体22は、車室内2の側の表面22Aにおいて通風孔71と同じ大きさの複数の凹部98が形成された意匠部99を備える。このように構成することで、複数の通風孔71が放熱性の確保及びショートショット(成形不良)の抑制に応じて設けられることに対して、第2筐体22の車室内2の側の表面22Aには、美観及び外観意匠性に応じて複数の凹部98が設けられる。これにより、例えば、第2筐体22の裏面22Bにおける複数の六角形領域73、複数の台形領域74及び壁部72の配置等にかかわらずに、所定領域に均一に分散配置される凹部98を設けることができる。よって、車室内2の側から見た第2筐体22の美観を損なうこと無しに外観意匠性を向上させることができる。
【0075】
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0076】
(変形例)
上述した実施形態において、カバー20は、別体に形成される第1筐体21及び第2筐体22を備えるとしたが、これに限定されず、一体的に形成される筐体を備えてもよい。
上述した実施形態において、第1筐体21及び第2筐体22は、機械的に接合されるとしたが、これに限定されず、例えば溶着などの機械的接合以外の他の方法によって接合されてもよい。
上述した実施形態において、通風部70は、制御装置25と対向して設けられるとしたが、これに限定されず、カバー20によって覆われる他の熱源となる機器と対向して設けられてもよい。
【0077】
なお、上述した実施形態において、車両用照明装置10は、2つの外界カメラ24を備えるとしたが、これに限定されず、追加的に又は2つの外界カメラ24の代わりに、他の検出装置を備えてもよい。
他の検出装置は、例えば、ミリ波等の電波を用いて検出対象までの距離及び方向を検出するレーダー又は光を用いて検出対象までの距離を検出する測域センサ等である。測域センサは、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging)である。
また、他の検出装置は、例えば、車室内2の乗員等を検出するカメラであってもよい。
【0078】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…車両、2…車室内、4…ルーフライニング、5…フロントウィンドウ、10…車両用照明装置、21…第1筐体、21A…表面、21B…裏面、22…第2筐体(カバー本体)、22A…表面、22B…裏面、23…灯体、24…外界カメラ(検出装置)、25…制御装置、26…冷却用ファン、70…通風部、71…通風孔(貫通孔)、72…壁部、73…六角形領域、74…台形領域、75…外壁部、75a,75b…部位、76…内壁部、77…中心側六角形領域、78a…第1右側六角形領域(異列六角形領域)、78b…第2右側六角形領域(外壁側六角形領域)、79a…第1左側六角形領域(異列六角形領域)、79b…第2左側六角形領域(外壁側六角形領域)、81…六角形内台形領域、82…第1外壁側台形領域、82a…後方第1外壁側台形領域(第1外壁側台形領域)、82b…前方第1外壁側台形領域(第1外壁側台形領域)、83…第2外壁側台形領域、83a…右方第2外壁側台形領域(第2外壁側台形領域)、83b…左方第2外壁側台形領域(第2外壁側台形領域)、91…第1孔列、92…第2孔列、93…第3孔列、94…第4孔列、95…第5孔列、96…第6孔列、97…第7孔列、98…凹部、99…意匠部、101…非通風孔形成領域(非貫通孔形成領域)、G…ゲート痕