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特許7130001一体型コリメーション構造を備えたフォトニックチップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】一体型コリメーション構造を備えたフォトニックチップ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20220826BHJP
   G02B 6/34 20060101ALI20220826BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220826BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20220826BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B6/34
G02B6/42
H01S5/022
G02B6/12 301
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019563362
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 FR2018051177
(87)【国際公開番号】W WO2018211214
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】1754361
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ・メネゾ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0209026(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109699(US,A1)
【文献】特開平09-191155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266322(US,A1)
【文献】特開2005-182033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091368(US,A1)
【文献】特開平04-275483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0115458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/42 - 6/43
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板によって支持された導光層を含むフォトニックチップであって、前記導光層は、表面結合アレイと光学的に結合された導光構造を含み、前記フォトニックチップは、前記表面結合アレイの側に前面、および前記基板の側に後面を有するとともにコリメーション構造を含み、前記コリメーション構造は、前記表面結合アレイから前記構造に対して入射する光ビームのモードサイズを増大させ、且つ前記光ビームをコリメートするために前記後面のレベルで一体化され、
前記表面結合アレイは、前記導光構造から光を受けて、前記後面のレベルで一体化された前記コリメーション構造の方に向かう光を形成する、または前記後面のレベルで一体化された前記コリメーション構造から光を受けて、前記導光構造へ光を伝えるように構成され、
前記コリメーション構造は、前記入射する光ビームを前記前面に向かって反射させ、且つコリメートされた光ビームを前記前面から抽出することが可能である反射構造である、フォトニックチップ。
【請求項2】
前記基板は第1の誘電材料から作られる、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項3】
前記後面は、前記第1の誘電材料の実効屈折率よりも高い実効屈折率を有する第2の誘電材料の層で被覆され、前記コリメーション構造は、前記第2の誘電材料の前記層に形成されている、請求項2に記載のフォトニックチップ。
【請求項4】
前記基板はシリコンから作られる、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項5】
前記導光層は誘電材料の層上にあり、前記基板と前記誘電材料の層との間に反射防止層が挿入されている、請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項6】
前記基板は、前記表面結合アレイと前記コリメーション構造との間の光路上に形成された空気または酸化物キャビティを含む、請求項4に記載のフォトニックチップ。
【請求項7】
前記表面結合アレイは、前記フォトニックチップの前記後面に面する、前記導光層の一側に形成されたエッチングパターンを有する、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項8】
前記表面結合アレイは、前記導光構造から光を受けて、前記反射コリメーション構造に向けて6μm未満のモードサイズの光ビームを形成する、または前記反射コリメーション構造から6μm未満のモードサイズの光ビームを受けて、前記導光構造へ光を伝えるように構成されている、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項9】
前記後面は、外部デバイスとのアライメントパターンを有する、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項10】
前記導光構造は能動フォトニック部品を含み、前記能動フォトニック部品に接続された電気的相互接続が前記基板に形成されて前記後面に対して開いている、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項11】
前記導光層の上に前記導光構造と光学的に結合された利得構造を含むハイブリッドシリコン集積レーザをさらに含む、請求項1に記載のフォトニックチップ。
【請求項12】
請求項10に記載のフォトニックチップと、前記フォトニックチップの前記後面に取り付けられて前記電気的相互接続に接続された電子チップと、を含む電気光学装置。
【請求項13】
請求項1に記載のフォトニックチップと光学的に結合された請求項11に記載のフォトニックチップを含む電気光学装置。
【請求項14】
基板によって支持された導光層を含むフォトニックチップであって、前面、および前記基板の側に後面を有する、フォトニックチップを製造するための方法であって、前記後面上の反射コリメーション構造を形成するステップと、導光構造から光を受けて、前記反射コリメーション構造の方に向かう光ビームを形成し、それにより前記ビームが前記反射コリメーション構造によって前記前面に向かってコリメートされ、且つ反射され、次いで前記前面から抽出されるように構成された表面結合アレイを前記前面の側に形成するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、オンチップ集積化フォトニクスの分野である。本発明は、外部デバイス、たとえば別のフォトニックチップ、光ファイバまたは光ファイバのセットと結合するため、または自由に伝播する光ビームを受ける/発するため、拡張モードサイズ、および潜在的に拡張スペクトル帯域を有する光ビームの、チップへ/からの入力/出力を有するフォトニックチップに関する。
【0002】
本発明によるフォトニックチップは、シリコン基板上にIII-V半導体材料からなる利得媒体を有するレーザなどの、1つまたは複数のハイブリッドレーザを集積することができる。このようなチップは、複数のハイブリッドレーザによって放出される波長のコームを別のフォトニックチップに供給することが意図されるか、または自由に伝播する光ビームを放出することが意図されているかのいずれかである。
【背景技術】
【0003】
フォトニック集積回路を含むフォトニックチップは一般に、シリコンフォトニック技術用のSOI(「Silicon On Insulator(絶縁体上シリコン)」)基板上に作成される。
【0004】
この文脈において、レーザの利得材料を形成するIII-V層をSOI基板上にスタックすることによってIII-V/シリコンハイブリッド光源が形成される。レーザによって放出される光は、III-V層の下にある、SOI基板の表面シリコン層における導光構造と結合される。
【0005】
導光構造は、受動部品(たとえば導波路、光合波器/分波器、共振リング)および能動部品(たとえば表面シリコン層のPおよびNドーピングによって形成される変調器)などのシリコンフォトニック部品を収容する。
【0006】
フォトニックチップから光ファイバなどの外部デバイスに向かって光を抽出できるようにするため、シリコンフォトニクスにおいて最も一般的に用いられる部品は表面結合アレイである。このようなアレイは、一方で、フォトニックチップの導波路内を伝搬される光学モードのサイズを、標準シングルモードファイバ内を伝播する光学モードのサイズ、すなわち9.2μmの直径に適合させ、他方で、フォトニックチップの平面内で誘導される伝搬から、チップの平面に準垂直でチップ基板と反対側の自由空間伝搬に切り替えることを可能にする。これは、基板の反対側のアレイをエッチングすることによって得られる。このような部品がたとえば、2010年8月1日、Xia Chenらによる「Apodized Waveguide Grating Couplers for Efficient Coupling to Optical Fibers」、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL. 22, NO. 15に記載されている。
【0007】
シリコン技術において、この部品によりこのように、フォトニックチップの平面内の導波路からの光を、垂直と通常約8°の角度をなす劈開シングルモードファイバに結合することが可能になる。このような部品が、導波路から/へと誘導される光を受ける/伝えるため、そしてフォトニックチップのシリコン導波路と劈開シングルモードファイバとの間を結合する最適化された光に対応する、シングルモードファイバのモードサイズと同様の、9.2μmに等しいモードサイズの光ビームを形成する/受けるために提案されている。表面結合アレイとシングルモードファイバとの間の幾何学的アライメントが最適であるとき、その損失は1から4光dBである。さらなる1dBの損失を引き起こす最適なアライメントに対する半径方向のずれとして特徴付けられるアレイ-ファイバのアライメント公差は、約2μmである。
【0008】
また、表面結合アレイのスペクトル帯域幅(損失が、たとえば1dB未満に限定される帯域として特徴付けられる)は狭く、一般に30nm未満であることに留意すべきである。これはたとえば、20nm間隔で複数の波長(たとえば4つの波長)を単一のファイバにおいて多重化して伝送しなければならない粗波長多重の用途(CWDM「Coarse Wavelength Division Multiplexing(粗波長分割多重)」)において非常に限定的な点である。光信号はこの例において4×20nmのスペクトル帯域を有し、帯域の両端での損失はこのとき帯域の中心での損失に対して数dB増加する。一実施形態の一例において、表面結合アレイの伝送損失は、中心波長1290nmで2.7dBであるのに対し、中心波長1290nmから2*20nmだけ離れた波長1330nmでは5.5dBである。
【0009】
この問題を解決するため、構造化シリコン層の上に追加の構造化窒化シリコン層を必要とする比較的複雑な表面結合アレイが提案されている。Sacher, Wesley D.らによる「Wide bandwidth and high coupling efficiency Si3N4-on-SOI dual-level grating coupler」という名称の記事、Optics express 22.9(2014):10938~10947を参照することができる。また、このタイプの解決策は偏光(たとえばTE)に対してのみ機能し、フォトニックチップにおけるいかなる偏光をも結合するための解決策は提案されていない。
【0010】
いわゆる突き合わせ結合の解決策のみが、あらゆる偏光に対して機能しながら、光学結合のスペクトル帯域を増加させることが可能である。しかしながら、これらの解決策には2つの大きな欠点がある。
【0011】
これらでは、基板レベルでの部品のテストが不可能である。実際、チップを基板から切り離し(それらを分離し)、それからそれらの「突き合わせ」によってテストする必要がある。
【0012】
一旦チップにおいて結合されると、2つのTEおよびTMチップ偏波に従ってあらゆる偏光を分解しなければならない。TM偏波を回転させてTE偏波に変換しなければならない。これにより、フォトニックチップ上に偏光管理回路を追加する必要が生じ、これらの回路は波長依存損失を追加する。
【0013】
図1に、絶縁体上シリコン基板上にIII-V半導体ハイブリッドレーザ構造を集積しているフォトニックチップの概略断面図が表されている。フォトニックチップは、シリコン基板10によって支持されて第1の層13で被覆された導光層12を含み、第1の層13は、一般にSiOからなり、III-V半導体スタックとシリコン誘導層との間の接合界面として作用する。この層13は任意選択であり、III-Vスタックとの接合は直接実行されてもよい。導光層12はフォトニック部品(導波路、表面結合アレイ、PN変調器など)を担持し、これらの製造は、たとえばエッチングによって絶縁体上シリコン層において実行される。このような場面において、導光層12は、埋め込み酸化物層11(BOX)によってシリコン基板10から分離されている。
【0014】
フォトニックチップはIII-V半導体シリコンハイブリッドレーザLAを集積している。レーザLAは、第1の層13上に利得構造を含む。利得構造は、N層およびP層が電極Eと接触しているIII-V材料の層のスタックSを含む。レーザLAは、たとえば酸化シリコンまたは窒化シリコンからなる、第2のいわゆるカプセル化層14においてカプセル化されている。カプセル化層14は、レーザの電極E、ならびに電子チップの層12の能動部品(変調器など)との電気的相互接続金属レベルを含む。この層は、マイクロエレクトロニクスにおいて用いられる製造プロセスにおいて「Back End Of Line(配線工程)」(BEOL)として知られている。
【0015】
フォトニックチップはこのように、カプセル化層14の側に前面F1を、基板10の側に後面F2を有する。
【0016】
導光層12は、レーザと光学的に結合されて、これによって放出される光を受け、フィルタリングして誘導する導光構造121を含む。導光層12はまた、導光構造121からの光を受け、これからフォトニックチップの前面F1の方に向かう光ビームを形成するように構成された表面結合アレイ122を含む。導光構造は特に、ここでは長手断面に沿って表面結合アレイ122で表される導波路を含み、光は、図の平面におけるこれらの部品内を、たとえばここでは図1において表面結合アレイ122を備えたフォトニックチップから光を抽出することを伴うときY方向に伝播する。
【0017】
導光構造はこのように、表面結合アレイ122によって形成される入力/出力ポートまで、様々な受動または能動フォトニック部品を含む。
【0018】
カプセル化層14は一般に、フォトニックチップの電気的相互接続金属レベルを含む。この層はしたがって、誘電材料およびエッチングされた金属線で形成されている。フォトニックチップの能動フォトニック部品(変調器、光検出器)を制御する、または読み取ることが意図された電子チップが一般に、フォトニックチップの前面上に取り付けられている。
【0019】
チップ出力での光ビームのモードサイズを増大させるため、たとえば、表面結合アレイ122と光ファイバとの間のアライメント公差を増やして、アライメント作業を複雑にせず、特に低コストの受動的アライメント技法によって実行可能にするため、2016年7月、IEEE Transactions on Components、Packaging and Manufacturing Technology、vol.6、No.7におけるS. Bernabeらによる記事「On-Board Silicon Photonics-Based Transceivers With 1-Tb/s Capacity」において、フォトニックチップに固定された第1のレンズおよび光ファイバに固定された第2のレンズからなる2レンズシステムを用いることが提案された。このシステムは、この目的のために同じ位置に第2のレンズに面して光ファイバが挿入されているレンズコネクタを用いることができる。第1のレンズは、その一部がフォトニックチップと非常に正確にアラインされなければならず、それから強固にそれと接続されなければならない。チップ+第1のレンズアセンブリ間および第2のレンズ+ファイバアセンブリ間のアライメント公差はこのとき+/-20μmに増加する。
【0020】
表面結合アレイの出力で波長λおよびモードサイズDo=2*wo=9.2μmの光源を拡大およびコリメートするため、第1のレンズの空気中の焦点距離はFair=Di.(π.wo/2λ)に等しくなければならず、Diは第1のレンズの出力での拡張ビームのサイズである。直径Diが約100μmの拡張コリメートビームを得るため、そして簡略化によって0°の垂直に対する表面結合アレイの出力角度を仮定すると、波長1.31μmで屈折率1.45の石英ガラスからなる凸レンズは、約600μmの空気中の焦点距離に対応する約860μmの厚さを有さねばならない。
【0021】
フォトニックチップの表面結合アレイ122と前面F1との間にこのようなガラスの厚さを用いることは考えられない。実際、カプセル化層14の厚さは一般にわずか約3μmである。レンズはしたがって、このカプセル化層14のレベルで一体化することができず、固定される前にフォトニックチップの前面上に非常に正確に(アライメント公差は2μmのオーダーである)取り付けなければならない。
【0022】
このレンズはたとえば、銅のマイクロピラーによってフォトニックチップに固定することができ、レンズとフォトニックチップとの間のギャップは、ポリマー材料からなる充填層で充填されている。このような固定プロセスでは、充填層は、表面結合アレイとレンズとの間の光ビームの光路上に配置される。このポリマー材料の層を導入すると、追加の損失が発生する。
【0023】
最後に、このようなフォトニックチップ/レンズシステムの入力または出力での光ビームのスペクトル帯域は約30nmであり、これでは、たとえば4つのCWDM型の波長の80nm帯域にわたって多重化するこの解決策を実装することは不可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【文献】Xia Chenら、「Apodized Waveguide Grating Couplers for Efficient Coupling to Optical Fibers」、IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL. 22, NO. 15、2010年8月1日
【文献】Sacher, Wesley D.ら、「Wide bandwidth and high coupling efficiency Si3N4-on-SOI dual-level grating coupler」、Optics express 22.9(2014):10938~10947
【文献】S. Bernabeら、「On-Board Silicon Photonics-Based Transceivers With 1-Tb/s Capacity」、IEEE Transactions on Components、Packaging and Manufacturing Technology、vol.6、No.7、2016年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、レンズとフォトニックチップとの複雑でコストのかかるアライメント作業をなくすことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、この目的のため、基板によって支持された導光層を含むフォトニックチップを提案し、導光層は、表面結合アレイと光学的に結合された導光構造を含む。フォトニックチップは、表面結合アレイの側に前面、および基板の側に後面を有する。フォトニックチップはさらにコリメーション構造を含み、これは、表面結合アレイからの上記構造に対する入射光ビームのモードサイズを増大させるために後面のレベルで一体化され、表面結合アレイは、導光構造から光を受けて、後面のレベルで一体化されたコリメーション構造の方に向かう光を形成するように構成されている。コリメーション構造は、表面結合アレイからの入射ビームを前面に向かって反射させるのに適した反射構造である。
【0027】
このチップのいくつかの好ましいが非限定的な態様は次のとおりである。
【0028】
基板は第1の誘電材料からなる。
【0029】
後面は、第1の誘電材料の実効屈折率よりも高い実効屈折率の第2の誘電材料の層で被覆され、反射コリメーション構造は、第2の誘電材料の層に形成されている。
【0030】
基板はシリコンからなる。
【0031】
導光層は誘電材料の層上にあり、基板とこの誘電材料の層との間に反射防止層が挿入されている。
【0032】
基板は、表面結合アレイと反射コリメーション構造との間の光路上に形成された空気または酸化物キャビティを含む。
【0033】
表面結合アレイは、後面の方に配向されているエッチング歯を有する。
【0034】
表面結合アレイは、導光構造から/へ光を受け/伝えて、反射コリメーション構造に向けて/から6μm未満のモードサイズの光ビームを形成する/受けるように構成されている。
【0035】
後面は、外部デバイスとのアライメントパターンを有する。
【0036】
導光構造は能動フォトニック部品を含み、フォトニック部品に接続された電気的相互接続が基板に形成されて後面に対して開いている。
【0037】
フォトニックチップは、導光層の上に導光構造と光学的に結合された利得構造を含むハイブリッドシリコン集積レーザをさらに含む。
【0038】
本発明はまた、能動フォトニックチップ、能動フォトニック部品への電気的相互接続、およびフォトニックチップの後面に取り付けられて電気的相互接続に接続された電子チップを含むフォトニックチップに関する。本発明はまた、本発明によるさらなるフォトニックチップと光学的に結合された集積ハイブリッドレーザを備えたフォトニックチップに関する。
【0039】
本発明のさらなる態様、目的、利点および特徴は、添付の図面を参照して、非限定的な例によって与えられるその好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むとより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】すでに上で議論したが、シリコンレーザ構造上にハイブリッドIII-V半導体を集積しているフォトニックチップの概略断面図である。
図2】後面に一体型コリメーション構造、および後面のコリメーション構造の方に光を向ける表面結合アレイを有する本発明によるフォトニックチップの概略断面図である。
図3】後面に一体型コリメーション構造、および後面のコリメーション構造の方に光を向ける表面結合アレイを有する本発明によるフォトニックチップの概略断面図である。
図4図2によるフォトニックチップの別のフォトニックチップとの結合を示す。
図5a図3によるフォトニックチップの代替実施形態を示す。
図5b図3によるフォトニックチップの代替実施形態を示す。
図6図2によるフォトニックチップの代替実施形態を示す。
図7a図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7b図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7c図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7d図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7e図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7f図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7g図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7h図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図7i図5aにおけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図8a図6におけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図8b図6におけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図8c図6におけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図8d図6におけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
図8e図6におけるフォトニックチップの一実施形態の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、(フォトニックチップの出力または入力で)モードサイズが増大したフォトニックチップに関する。
【0042】
図2および図3を参照すると、フォトニックチップ1、2は、基板10によって支持され、任意選択の酸化シリコンの層13(基板とレーザIII-Vスタックとの間の接合界面として作用する)で被覆された導光層12を含む。導光層は、結晶シリコン副層(SOI基板からのシリコン)、ならびにアモルファスシリコン副層および/または窒化ケイ素副層を含むことができる。たとえばSiOからなる誘電材料の層11を、導光層12と基板10との間に挿入することができる。この層11はまた、層12の能動光学部品との金属相互接続レベルを含むことができる(図5aおよび図5b参照)。
【0043】
基板10はシリコン基板であり得る。可能な一実施形態において、基板10は、誘電体層11と基板10との間、および該当すれば基板10と空気との間の界面での光学損失を限定するという利点を有する誘電体基板、たとえばガラス基板である。さらなる可能な一実施形態において、基板10は、空気または酸化物キャビティを含むシリコン基板であり、この実施形態は、フォトニックチップの入力/出力で拡張モードサイズを増大させるという利点を有する。
【0044】
フォトニックチップ1、2は、界面層13上に、または導光層12と直接接触して、III-V材料からなる利得構造を含むシリコン層LA上にハイブリッドIII-V半導体を集積することができる。利得構造は、たとえばIII-V材料の層のスタックS、および利得構造上に電気的接点を作るための2つの電極Eを含む。レーザLAは、たとえば酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸化ケイ素と窒化ケイ素との混合物、またはBCB型ポリマーからなる第2のカプセル化層14にカプセル化することができる。フォトニックチップはこのように、第2のカプセル化層14の側に前面F1を、基板10の側に後面F2を有する。
【0045】
導光層は、一方では、レーザによって放出された光を受け、フィルタリングして誘導するためにレーザLAと、他方では、表面結合アレイ122と光学的に結合されたシリコン導光構造を含む。光路上の、レーザと表面結合アレイとの間にさらなる部品、たとえば変調器、および波長合波器が明らかに含まれ得る。また、レーザの両側にさらなる部品が明らかに存在し得る。
【0046】
本発明の範囲内で、表面結合アレイ122は、導光構造から光を受け、これからフォトニックチップの後面F2の方に向かう光ビームを形成するように構成されている。アレイ122のこの構成によりこのように、光が基板10の厚さ全体を通過することが可能になる。
【0047】
フォトニックチップ1、2はコリメーション構造15、16をさらに含み、これは、後面F2のレベルで一体化され、表面結合アレイ122からの上記構造15、16に対する入射光ビームをコリメートしてそのモードサイズを増大させるように構成されている。ネットワーク122は実際、後面F2のレベルで一体化されたコリメーション構造15、16の方へ光ビームを向けるように構成されている。
【0048】
後面に一体型コリメーション構造を備えたフォトニックチップは、チップに面して配置されたさらなる外部デバイス、たとえばフォトニックチップ、1つまたは複数の光ファイバを含むデバイスと光学的に結合されることが意図され、このデバイスは、チップ1、2に一体化されたコリメーション構造15、16の出力と同等のモードサイズの少なくとも1つの光入力および/または出力を含む。シングルモードファイバとの結合の場合、これは、たとえば9.2μmのモードサイズ(シングルモードファイバのもの)から50~100μmに拡張されたモードサイズへの切り替えを可能にするいわゆる「拡張ビーム」コネクタの外部デバイスのために構成されることになるだろう。
【0049】
後面に一体型コリメーション構造を備えたフォトニックチップは、たとえばLIDAR(Light Detection and Ranging(光検出および測距))用途のためにレーザを集積するときに媒体において非誘導光を放出、または媒体において非誘導光を受けるために用いることもできる。
【0050】
図2に表される第1の実施形態において、コリメーション構造は、フォトニックチップ1の後面上に形成されたレンズ15であり、このレンズは、通過する光のモードサイズを変更する。レンズ15は、通常はエッチングによって、キャップが後面上に形成されている球面ジオプタの形態をとる。レンズ15はフレネルレンズであってもよい。レンズ15は、特にレンズがシリコンから作られるとき、厚さλ/4の窒化シリコンの層などの反射防止層で被覆することができ、λは光ビームの波長である。
【0051】
図3に表される第2の実施形態において、コリメーション構造16は、その中で反射する光のモードサイズを変更するように構造化された反射構造である。コリメーション構造16は通常、表面結合アレイ122からの入射光を前面F1に向けて反射させながら、反射光をコリメートする凹面球面鏡からなる。このような反射構造は、第1の実施形態のようにレンズを形成することによって、そしてこれを金属層、たとえば金、銀またはアルミニウムの層で被覆することによって作成することができる。後面上の反射コリメーション構造により、チップの前面からコリメートされた光ビームを抽出することが可能になる。
【0052】
コリメーション構造をフォトニックチップに一体化することによって、本発明は、チップ上のレンズの精密なアライメントおよび固定というコストのかかるステップを廃止することを可能にする。フォトニックチップに一体化されたコリメーション構造によって、特に上記構造がウエハレベルで製造されること、より具体的には、上記構造の製造をフォトニックチップの製造プロセスに統合することができることが理解される。このようにフォトニックチップ上に複数のコリメーション構造を集合的に製造することが可能である。複数のコリメーション構造15、16と複数の表面結合アレイ122との間の1回のアライメント作業がこのとき必要である(ウエハレベルでのリソグラフィアライメント)。したがって、複数のチップおよびそのコリメーション構造を同じウエハ上で同時に製造することが可能であるため、複数のチップについて、複数のアライメントを実行する代わりに、1回のアライメントが必要となる。
【0053】
また、コリメーション構造をフォトニックチップの後面F2のレベルで一体化することによって、本発明は、表面結合アレイ122と外部との間の光路が基板10を介した通路を有することを保証することを可能にする。表面結合アレイ122とコリメーション構造15、16との間の光路は、0.5%未満の誤差で基板10の厚さと近似することができる。厚さ750μmのシリコン基板10では、フォトニックチップの出力ビームの直径は約40μmまで拡張することができる。
【0054】
図3における実施形態において、反射レンズ16により、コリメートされたビームを前面F1に戻すことが可能になる。この構成は、フォトニックチップの後面F2上に電子チップを搭載することが求められる場面において特に興味深い。この場合、フォトニックチップの後面F2はアクセス不可能であり、反射レンズ16によりこのとき、前面F1の側でコリメートされたビームを取り出すことが可能になる。この構成は、前面上でのコリメートされたビームの抽出により、導光層に存在する能動フォトニック部品のテストが容易になるという点で有利であることも証明している。
【0055】
層11と基板10との間の界面を通過するとフレネル損失が観察される。これはSiO層11とシリコン基板10で0.8dBである。これらの損失を限定するため、本発明の可能な代替実施形態において、層11と基板10との間に反射防止層(たとえば厚さがλ/4の窒化ケイ素層、λは光ビームの波長に相当する)が配置される。層11の材料として、SiOではなく、窒化ケイ素またはSiOの副層と窒化ケイ素の副層のスタックを採用することも可能である。層11と基板10との間の界面を通過する際の損失はこのように波長1.31μmで0.5dB未満になる。さらに、基板10と空気との間の界面を通過する際の損失を低減するため、特に基板10がシリコンから作られるとき、反射コリメーション構造16を備えた第2の実施形態を採用することが好ましい。
【0056】
さらなる代替実施形態において、基板10として、誘電体基板、たとえば、通常ホウケイ酸ガラスから作られるガラス基板が選択される。このような誘電体基板により、層11-基板10の界面での光学損失を抑制し、該当すれば、基板10-空気の界面でこれを低減することが可能になる。この代替実施形態は、第1の実施形態および第2の実施形態のいずれかにおいて用いることができる。厚さ560μmのガラス基板では、フォトニックチップの出力ビーム径は約70μmに拡張することができることに留意すべきである。コリメーション構造のサジタルデプスP(図6参照)はこのとき、2つの実施形態について約4.6μmである。
【0057】
図6に表されるさらなる代替実施形態において、基板10として、表面結合アレイ122とコリメーション構造15、16との間の光路上に、空気または酸化物キャビティ18が(基板10の直径Dの表面上にそれぞれエッチングによって、または局所的熱酸化によって)形成されている、たとえばシリコンから作られる基板が選択される。コリメーション構造15、16はこのとき、前面F1とは反対側で基板10を覆う層19に形成される。シリコンからなるこのような基板は、シリコンの熱伝導率を保持し(たとえばレーザが位置する点で)、コリメーション構造に向かって光が伝搬される点で屈折率1.45のシリコン酸化物のみを用いることを可能にする。
【0058】
コリメーション構造15、16のサジタルデプスPを低減するよう、後者は、フォトニックチップ1、2の後面上に形成されて基板の実効屈折率よりも高い実効屈折率を有する層に具現化することができる。このように波長1.31μmで屈折率2の窒化ケイ素層を用いることが可能であり、サジタルデプスPを約2μmに限定することが可能になる。
【0059】
図4において、図2によるフォトニックチップ1と図3による別のフォトニックチップ3の結合が表されている。他のフォトニックチップ3は、SOI基板上に形成され、カプセル化層140(ここでは相互接続金属レベルを含む)で被覆され、SiOの埋め込み酸化物層110によって支持基板100から分離された導光層120を含む。フォトニックチップ3は、カプセル化層140の側に前面F10を、基板100の側に後面F20を有する。後面F20のレベルでミラーレンズ160が一体化されている。このレンズ160は、本発明によるチップ1のレベルで一体化されたレンズ15と同じ特性を有する。導光層120は、導波路121’および表面結合アレイ122’を含み、表面結合アレイ122’は、方向Xに、しかしアレイの歯が配向されている面の反対側のチップ面の方向に光を発する/受けるように構成されている(このようなアレイはたとえば、アレイのエッチング歯が90nmの深さにわたってエッチングされている厚さ160nmのシリコン層において設計することができる)。
【0060】
一実施形態のこの例に関して独占的であることなく、本発明によるチップは、後面F2上に他のチップ3とのアライメントパターン17を有することができ、特定のアライメントパターン17は、たとえば2つのチップ1、3の後面F2、F20上のレンズ15および160の機械的アライメントを確保するため、他のチップの後面上の相補パターン17’と係合することが意図されている。
【0061】
また、この図4において、たとえば銅のマイクロピラー20によってフォトニックチップ3の前面F10に固定された電子チップPEが表されている。チップPEは、チップ3の能動フォトニック部品を制御する、または読み取ることが意図され、したがって銅のマイクロピラー20および層140を通過している金属レベル124によって、導光層120に形成されたこれらの能動フォトニック部品(たとえば変調器123を含む)に接続されている。
【0062】
図5aおよび図5bにおいて、図3によるフォトニックチップの2つの代替実施形態が表されている。これらの代替実施形態は、図5aにおいて、基板10は誘電材料から作られるのに対し、図5bにおいて、それは半導体材料、通常シリコンから作られ、反射防止層21によって層11から分離されている点において異なる。これらの2つの図において、基板10は、基板の屈折率よりも高い屈折率の層19、たとえば窒化シリコンの層で後面側が被覆されている。
【0063】
これら2つの代替実施形態のそれぞれにおいて、表面結合アレイ122は、フォトニックチップの前面の方に配向されているのではなく、後面の方に配向されているエッチング歯を有する。表面結合アレイと後面上のコリメーション構造の光学結合はしたがって、より効率的である。この優れた結合効率により、ソース結合アレイと前面との間にミラーを配置する必要をなくすことが可能になる。
【0064】
さらに、これら2つの図5aおよび図5bにおいて、たとえば銅のマイクロピラー20によってフォトニックチップの後面F2に固定された電子チップPEが表されている。このチップPEは、能動フォトニック部品を制御する、または読み取ることが意図され、特に基板10を通過している電気的相互接続ビア125によって、導光層12に形成されたこれらの能動フォトニック部品(たとえば変調器123を含む)に接続されている。
【0065】
図6において、図2によるフォトニックチップの代替実施形態が表されている。上に示したように、基板10として、表面結合アレイ122とコリメーション構造(ここではレンズ15)との間の光路上に、空気または酸化物キャビティ18が形成されているシリコン基板が選択される。レンズ15はこのとき、前面F1の反対側で基板10を覆っている層19に形成されている。
【0066】
拡張モードサイズだけでなく拡張スペクトル帯域も有する光ビームの入力/出力を備えたフォトニックチップを得るのに適している、本発明の好ましい代替実施形態において、表面結合アレイ122は、シングルモードファイバのサイズ(通常9.2μm)に対して縮小したモードサイズ(たとえば3μm)に適合するように設計されている。この代替実施形態において、表面結合アレイはしたがって、導光構造121から/へ誘導される光を受け/伝え、コリメーション構造に向かって/から6μm未満のモードサイズの光ビームを形成する/受けるように構成されている。
【0067】
結合アレイのこのような設計は、後面上に一体型コリメーション構造を備えた本発明によるチップに限らず、このようなアレイが導波路から/へ誘導される光を受け/伝えて縮小したモードサイズの光ビームを形成する/受ける任意のフォトニックチップにおいて、特に前面または後面上に一体化された、または組み立てられたコリメーション構造を備えたフォトニックチップにおいて、さらに特には1つまたは複数のハイブリッドシリコンレーザを集積しているフォトニックチップ、または波長多重化を実行するチップにおいて適用することができることに留意すべきである。
【0068】
以下の式は、表面結合アレイによる光波長λでの光放射の角度θの依存性を示している。
【0069】
【数1】
【0070】
ここで、n11は誘電体層11の屈折率、neffは導光層12の実効屈折率、Λはアレイピッチである。λに関してこの式を導出することによって、以下の式が得られる。
【0071】
【数2】
【0072】
表面結合アレイの入力/出力での、コリメーション構造に向かう/からのビームのために目標とされるモードサイズDo=2*wを縮小することによって、開口数NA、したがってネットワークの出力での光ビームの角度Φが増加する。
【0073】
【数3】
【0074】
ここで
【0075】
【数4】
【0076】
拡張された角度Φは、位相状態においてより多くの波長を含むことになる。このアレイに面する適切なレンズを配置することによって、「表面結合アレイ/レンズ」システムのスペクトル帯域がかなり拡張される。Do=3μmでモードサイズを縮小したアレイの例をとると、スペクトル帯域はこのように約100nmに拡張され、9.2μmの標準モードサイズのアレイではこれはわずか32nmである。
【0077】
縮小モードサイズの表面結合アレイは、長さ(光伝搬の方向における)が短く、幅(光伝搬方向に直交)が短いという点において、およびアレイラインのエッチング深さが、近似計算から以下に例示されるように、それほど重要ではないという点において、標準アレイから物理的に区別される。
【0078】
【表1】
【0079】
このアレイに面して、厚さが750μmのシリコン基板10を通過する拡張スペクトル帯域光ビームは、アパーチャD=130μm、半径540μmおよびSAG=4μmのレンズ15によってコリメートされ、120μm(標準結合アレイを用いる40μmの代わりに)のモードサイズを有することができる。表面結合アレイのこの構成に対するこのレンズのアライメント公差は、9.2μmの標準モードサイズの表面結合アレイについての+/-2μmから、モードサイズ3μmの表面結合アレイについての+/-0.5μmに減少する。しかしながら、アライメントはリソグラフィで実行されるため、このようなアライメント公差の減少は完全に達成可能なままである。
【0080】
本発明によるフォトニックチップ、より具体的には図3に表された第2の実施形態によるチップ、および図6に表された第1の実施形態によるチップの製造のための方法の2つの例を以下に説明する。
【0081】
図7a~図7iによって示す第1の例の範囲内で、この方法は、表面シリコン層とシリコン基板30との間に挿入された埋め込み酸化物層13を有するSOI基板の供給で、そしてフォトニック部品(導波路121、表面結合アレイ122、PN変調器123など)の、表面層の部分的または全体的局所エッチング、および変調器の場合は埋め込みによる製造で始まる(図7a)。この図において、光は変調器については図の平面に垂直に、そして導波路および表面結合アレイについては図の平面内を伝搬される。
【0082】
続いて、誘電体材料から作られるBEOLカプセル化層11の形成が行われ(図7b)、この層は、導光層12の能動フォトニック部品(ここでは変調器123)との電気的相互接続金属レベル124を含む。
【0083】
カプセル化層11上に、誘電体材料、たとえばSiOから作られる基板10が取り付けられ、続いて接合される(図7c)。このステップでは、接合中に正確なアライメントは必要ない(コリメーション構造がまだ作成されていないため)。通常50μmと750μmとの間の厚さを達成する必要があれば、基板10の薄化を実行することができる。あるいは、基板とカプセル化層11との間に接合後に挿入される反射防止層で被覆された、半導体材料、たとえばシリコンから作られる基板が用いられる。
【0084】
続いて、基板10上への窒化シリコンの層19の堆積が行われ(図7d)、続いて窒化シリコンの層にレンズ15が形成される(図7e)。レンズ15の形成は、機械的エッチング、たとえばレーザ加工、またはドライケミカルエッチング(RIE「Reactive Ion Etching(反応性イオンエッチング)」として知られている)を含み、層19の表面上に球面ジオプタを形成することができる。エッチングは、マスクを通して感光性樹脂に光を照射し、樹脂のボスおよびこのボスのクリープを形成した後に実行することができる。レンズ15は、いわゆる「グレートーン」リソグラフィ技法によって製造することもできる。続いて、反射する光のモードサイズを変更するのに適した凹面球面鏡16を形成するよう、レンズ15上への金属層の堆積が行われる。レンズ15はまた、特にサジタルデプスSAGが高く、通常数十μmより大きいとき、フレネルレンズであり得る。
【0085】
続いて、たとえばレーザエッチングによる、基板10を通るビアの形成、そしてこれらのビアの金属での充填が行われて(図7g)電気的相互接続ビア125を形成し、これらは層11に存在するビア124に接続され、能動フォトニック部品(変調器123など)を電子チップに接続することが可能になる。続いて、ウエハの回転およびシリコン基板30の除去が行われる(図7h)。表面結合アレイ122のエッチング歯はこのとき、後面の方に配向されている。
【0086】
続いて、層13上にIII-V層のスタックSを作成することによって、このアライメントを構築してレーザの利得媒体を形成することによって、電極Eを製造することによって、そして第2のカプセル化層14を形成することによって、レーザLAが製造される(図7i)。
【0087】
本発明によるフォトニックチップを製造するための方法の第2の例を図8a~図8fに示す。この方法は、表面シリコン層とシリコン基板30との間に挿入された埋め込み酸化物層13を有するSOI基板の供給で、そしてフォトニック部品(導波路、表面結合アレイ、PN変調器など)の、表面層の部分的または全体的局所エッチング、および変調器の場合は埋め込みによる製造で始まる(図8a)。続いて、誘電体材料から作られるBEOLカプセル化層11の形成が行われる。この方法(図8b)は、1つまたは複数の空気または酸化物キャビティ18が形成されている、たとえばシリコン製の第2の基板10を用いる。基板10は、酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸化ケイ素と窒化ケイ素との混合物の層19で被覆されている。キャビティ18は、シリコンのTMAHケミカルエッチング(誘電体層19に対するシリコンの高度に選択的なエッチング)によって形成することができる。このキャビティのサイズは、たとえば500μm×500μmである。キャビティは、1)シリコン基板に対する焦点距離を長くする、2)表面結合アレイとレンズ(続いて層19に製造される)のリソグラフィアライメントを容易にする、ことを目的としている。実際、レンズと表面結合アレイとの間のアライメントは、シリコンによって(ただし窒化シリコンまたは酸化シリコンによってではなく)吸収される波長で実行される。このアライメントは次いで、表面結合アレイを含む導光層12において作成されるアライメントパターン(図示せず)を用いて実行される。
【0088】
2つの基板が接合される(図8c)。層19のドライエッチングによってレンズが形成される(図8d)。構造の回転(表面結合アレイ122のエッチング歯はこのとき後面に配向されることがわかる)、シリコン基板30の除去、および層13上にIII-V層のスタックSを製造することによる、このアライメントを構築してレーザの利得媒体を形成することによる、電極Eを製造することによる、そして第2のカプセル化層14を形成することによるレーザの製造が、続いて行われる(図8e)。
【0089】
上の説明において、層11上に基板10を接合した後、層19および基板10から形成されるレンズの実施形態を説明した。層11上に基板10を接合する前に、層19および基板10から形成されたスタックにレンズを作成することが明らかに可能である。このような場面において、レンズは表面結合アレイと1μmまでの優れた精度でアラインすることができる。
【0090】
本発明は、フォトニックチップに限定されるものではなく、その製造方法、特に複数のチップを同じウエハ上に集合的に製造するための方法にも及ぶ。この方法は、チップの後面のレベルでのコリメーション構造、および導光構造から光を受け、コリメーション構造に向かう光ビームを形成するように構成された表面結合アレイの形成を含む。
【0091】
本発明は、本発明によるフォトニックチップ、およびモードサイズがフォトニックチップの入力/出力光ビームのモードサイズに適合し、たとえばシングルモードファイバ上にビームを再収束することを意図されたコリメーション構造を備えた外部デバイスを含むシステムにも及ぶ。
【0092】
本発明はまた、シリコン基板上にIII-V半導体材料から作られる利得媒体を有するレーザなどの、1つまたは複数のハイブリッドレーザを集積するのに適したようなフォトニックチップに関する。このフォトニックチップは、複数のレーザによって放出された波長のコームを、レーザを含まない別のフォトニックチップに供給することが意図され(たとえば図4参照)、または実際、自由に伝播する光ビームを放出することが意図されている。
【符号の説明】
【0093】
1 フォトニックチップ
2 フォトニックチップ
3 フォトニックチップ
10 シリコン基板
11 埋め込み酸化物層
12 導光層
121 導光構造
122 表面結合アレイ
13 第1の層
14 カプセル化層
LA レーザ
E 電極
S スタック
F1 前面
F2 後面
15 コリメーション構造
16 コリメーション構造
17 アライメントパターン
17’ 相補パターン
18 キャビティ
19 層
20 マイクロピラー
21 反射防止層
30 シリコン基板
100 基板
110 埋め込み酸化物層
120 導光層
121’ 導波路
122’ 表面結合アレイ
123 変調器
124 金属レベル
125 電気的相互接続ビア
140 カプセル化層
160 レンズ
F10 前面
F20 後面
PE 電子チップ
P サジタルデプス
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図7h
図7i
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e