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特許7130015自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/21 20060101AFI20220826BHJP
   B63H 25/02 20060101ALI20220826BHJP
   B63C 9/00 20060101ALI20220826BHJP
   B63C 9/20 20060101ALI20220826BHJP
   B63H 25/18 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
B63H21/21
B63H25/02 B
B63C9/00 Z
B63C9/20 A
B63H25/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020101115
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021194959
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】白尾 真人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
(72)【発明者】
【氏名】大島 隆史
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-127987(JP,A)
【文献】特開2020-019424(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0052535(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/21
B63H 25/02
B63C 9/00
B63C 9/20
B63H 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶と通信装置とを備える自動操船システムであって、
前記船舶は、
前記船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、
少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、
前記船舶制御装置は、
前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータが作動させられる手動操船モードと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船モードとを有し、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記船舶と前記通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御し、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、
前記相対距離が減少するように、前記アクチュエータを作動させ、
前記相対距離が閾値より大きい時に、前記相対距離が小さくなるに従って、前記船舶の速度を小さい値に制御し、
前記相対距離がゼロ以上、前記閾値以下の時に、前記船舶の速度をゼロに制御する、
自動操船システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
前記通信装置の位置を検出する通信装置位置検出部と、
前記通信装置位置検出部によって検出された前記通信装置の位置を示す情報を前記船舶に送信する第1通信部とを備え、
前記船舶は、
前記船舶の位置を検出する船舶位置検出部と、
前記第1通信部によって送信された前記通信装置の位置を示す情報を受信する第2通信部と、
前記通信装置位置検出部によって検出された前記通信装置の位置と、前記船舶位置検出部によって検出された前記船舶の位置とに基づいて、前記相対距離を算出する相対距離算出部とを備え、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記相対距離算出部によって算出された前記相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御する、
請求項1に記載の自動操船システム。
【請求項3】
前記船舶は、前記船舶の乗船者の落水を検知する落水検知部を備え、
前記落水検知部によって前記船舶の乗船者の落水が検知された後に、
前記相対距離算出部が、前記相対距離を算出する、
請求項2に記載の自動操船システム。
【請求項4】
前記船舶は、前記相対距離を検出する相対距離検出部を備え、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記相対距離検出部によって検出された前記相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御する、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項5】
前記船舶は、前記船舶の乗船者の落水を検知する落水検知部を備え、
前記落水検知部によって前記船舶の乗船者の落水が検知された後に、
前記相対距離検出部が、前記相対距離を検出する、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項6】
前記船舶は、前記船舶の乗船者の下船を検知する下船検知部を備え、
前記下船検知部によって前記船舶の乗船者の下船が検知された後に、
前記相対距離の算出または検出が行われる、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項7】
前記通信装置は、
前記相対距離を検出する相対距離検出部と、
前記相対距離検出部によって検出された前記相対距離を示す情報を前記船舶に送信する第1通信部とを備え、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記相対距離検出部によって検出された前記相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御する、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項8】
前記船舶は、前記船舶の乗船者の落水を検知する落水検知部を備え、
前記落水検知部によって前記船舶の乗船者の落水が検知された後に、
前記相対距離検出部が、前記相対距離を検出する、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項9】
前記船舶は、前記船舶の乗船者の下船を検知する下船検知部を備え、
前記下船検知部によって前記船舶の乗船者の下船が検知された後に、
前記相対距離検出部が、前記相対距離を検出する、
請求項に記載の自動操船システム。
【請求項10】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶に備えられる船舶制御装置であって、
前記船舶制御装置は、
前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船モードとを有し、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御し、
前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、
前記相対距離が減少するように、前記アクチュエータを作動させ、
前記相対距離が閾値より大きい時に、前記相対距離が小さくなるに従って、前記船舶の速度を小さい値に制御し、
前記相対距離がゼロ以上、前記閾値以下の時に、前記船舶の速度をゼロに制御する、
船舶制御装置。
【請求項11】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶を制御する船舶制御方法であって、
少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを備え、
前記船舶制御ステップには、
前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船ステップとが含まれ、
前記自動操船ステップでは、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度が制御され、
前記自動操船ステップでは、
前記相対距離が減少するように、前記アクチュエータが作動させられ、
前記相対距離が閾値より大きい時に、前記相対距離が小さくなるに従って、前記船舶の速度が小さい値に制御され、
前記相対距離がゼロ以上、前記閾値以下の時に、前記船舶の速度がゼロに制御される、
船舶制御方法。
【請求項12】
船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶に搭載されたコンピュータに、
少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを実行させるためのプログラムであって、
前記船舶制御ステップには、
前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、
前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船ステップとが含まれ、
前記自動操船ステップでは、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度が制御され、
前記自動操船ステップでは、
前記相対距離が減少するように、前記アクチュエータが作動させられ、
前記相対距離が閾値より大きい時に、前記相対距離が小さくなるに従って、前記船舶の速度が小さい値に制御され、
前記相対距離がゼロ以上、前記閾値以下の時に、前記船舶の速度がゼロに制御される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルウォータークラフト(PWC)オートリターンシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載されたPWCオートリターンシステムは、ユーザデバイスと、PWC内に配置されたオートパイロットユニットとを備えている。ユーザデバイスは、乗船者位置決定ユニットと、ユーザインタフェースと、通信ユニットとを備えている。特許文献1に記載された技術では、ユーザデバイスを携帯する乗船者がPWCから離れる(落水する)と、PWCが、ユーザインタフェースからの要求を受信し、自動操船によってユーザデバイスの位置まで進む。
ところで、特許文献1には、自動操船時におけるPWCの速度について記載されていない。自動操船時に、PWCの速度が適切に制御されない場合には、ユーザデバイスを携帯する乗船者に危険がおよんでしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0335780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は、自動操船モードにおける船舶の速度を適切に制御することができる自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、船舶と通信装置とを備える自動操船システムであって、前記船舶は、前記船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部と、少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御装置とを備え、前記船舶制御装置は、前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータが作動させられる手動操船モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船モードとを有し、前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記船舶と前記通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御する、自動操船システムである。
【0006】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶に備えられる船舶制御装置であって、前記船舶制御装置は、前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船モードと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船モードとを有し、前記自動操船モードにおいて、前記船舶制御装置は、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度を制御する、船舶制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶を制御する船舶制御方法であって、少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを備え、前記船舶制御ステップには、前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船ステップとが含まれ、前記自動操船ステップでは、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度が制御される、船舶制御方法である。
【0008】
本発明の一態様は、船舶の推進力を発生する機能と前記船舶に回頭モーメントを発生させる機能とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータを作動させる入力操作を受け付ける操作部とを備える前記船舶に搭載されたコンピュータに、少なくとも前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる船舶制御ステップを実行させるためのプログラムであって、前記船舶制御ステップには、前記操作部が受け付けた入力操作に基づいて前記アクチュエータを作動させる手動操船ステップと、前記操作部が入力操作を受け付ける必要なく前記アクチュエータが作動させられる自動操船ステップとが含まれ、前記自動操船ステップでは、前記船舶と通信装置との相対距離に基づいて、前記船舶の速度が制御される、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動操船モードにおける船舶の速度を適切に制御することができる自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図2】第1実施形態の自動操船システムの自動操船モードにおける船舶と通信装置との相対距離と、船舶の速度との関係などの一例を説明するための図である。
図3】第1実施形態の自動操船システムの自動操船モードにおける船舶と通信装置との相対距離と、船舶の速度との関係の他の例を示す図である。
図4】第1実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】第2実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図6】第2実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】第6実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図8】第6実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】第7実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図10】第7実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図11】第8実施形態の自動操船システムの一例を概略的に示す図である。
図12】第8実施形態の自動操船システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は第1実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図1に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
第1実施形態の船舶11は、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWCである。船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、船舶位置検出部11Eと、船首方位検出部11Fと、通信部11Gと、相対距離算出部11Hとを備えている。
アクチュエータ11Aは、船舶11の推進力を発生する機能と船舶11に回頭モーメントを発生させる機能とを有する。アクチュエータ11Aには、例えば特開2019-171925号公報の図1に記載されたエンジン、ノズル、デフレクタ、トリムアクチュエータ、バケット、バケットアクチュエータなどが含まれる。
操作部11Bは、アクチュエータ11Aを作動させる操船者の入力操作を受け付ける。操作部11Bは、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたステアリングハンドル装置、特開2019-171925号公報の図1に記載されたステアリングユニットなどと同様に構成されている。
船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aを作動させる制御などを行う。船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aが作動させられる手動操船モードと、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aが作動させられる自動操船モードとを有する。
【0013】
トリガー発生部11Dは、船舶制御装置11Cを手動操船モードから自動操船モードに切り替えるためのトリガーを発生する。トリガー発生部11Dは、落水検知部11D1と、自動操船開始指示部11D2とを備えている。
落水検知部11D1は、船舶11の乗船者(例えば操船者、操船者以外の乗船者など)の落水を検知する。第1実施形態の落水検知部11D1は、例えば特許第4205261号公報の段落0002に記載されたランヤードコードおよびスイッチと同様に構成されている。具体的には、ランヤードコードの一端が、落水の検知対象者(例えば操船者、操船者以外の乗船者など)に接続される。ランヤードコードの他端は、船舶11内に配置されたスイッチ(図示せず)に接続される。
検知対象者が船舶11から落水すると、ランヤードコードの他端がスイッチから外れ、スイッチが検知対象者の落水を検知する。その結果、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わる。
自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求(「自動操船開始要求」については後述する。)に基づいて自動操船開始指示を出力する。
自動操船開始指示部11D2が自動操船開始指示を出力すると、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、船舶11と通信装置12との相対位置と、船舶11の船首方位とに基づいて、アクチュエータ11Aを制御する。
他の例では、トリガー発生部11Dが、自動操船開始指示部11D2を備えていなくてもよい。この例では、落水検知部11D1が船舶11の乗船者の落水を検知すると、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わると共に、自動操船モードの制御も開始する。
【0014】
図1に示す例では、船舶位置検出部11Eが、船舶11の位置を検出する。船舶位置検出部11Eは、例えばGPS(Global Positioning System)装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、船舶11の位置座標を算出する。船舶位置検出部11Eによって検出された船舶11の位置は、上述した船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
船首方位検出部11Fは、船舶11の船首方位を検出する。船首方位検出部11Fは、例えば方位センサを備えている。方位センサは、例えば地磁気を利用することによって、船舶11の船首方位を算出する。船首方位検出部11Fによって検出された船舶11の船首方位は、船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
他の例では、方位センサが、高速回転するジャイロスコープに指北装置と制振装置とを付加し、常に北を示すようにした装置(ジャイロコンパス)であってもよい。
更に他の例では、方位センサが、複数のGPSアンテナを備え、複数のGPSアンテナの相対的な位置関係から船首方位を算出するGPSコンパスであってもよい。
【0015】
図1に示す例では、通信部11Gが、通信装置12との通信を行う。
通信装置12は、上述した落水の検知対象者(乗船者)によって携帯される。通信装置12は、通信装置位置検出部12Aと、通信部12Bと、入力部12Cとを備えている。
通信装置位置検出部12Aは通信装置12の位置を検出する。通信装置位置検出部12Aは、例えばGPS装置を備えている。GPS装置は、複数のGPS衛星からの信号を受信することによって、通信装置12の位置座標を算出する。
入力部12Cは、例えば船舶11の操船者による自動操船開始要求(例えば、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求)を受け付ける。
通信部12Bは、通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置を示す情報を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された通信装置12の位置を示す情報を受信する。通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置は、船舶制御装置11Cの自動操船モードの制御に用いられる。
また、通信部12Bは、入力部12Cが受け付けた自動操船開始要求を船舶11に送信する。船舶11の通信部11Gは、通信部12Bによって送信された自動操船開始要求を受信する。上述したように、船舶11の自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
他の例では、通信装置12が、入力部12Cを備えていなくてもよい。この例では、通信部12Bが自動操船開始要求を船舶11に送信せず、船舶制御装置11Cは、トリガー発生部11Dが発生したトリガーに基づいて、自動操船モードの制御を開始する。
【0016】
図1に示す例では、相対距離算出部11Hが、通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置と、船舶位置検出部11Eによって検出された船舶11の位置とに基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を算出する。
船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離算出部11Hによって算出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。つまり、船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、船舶11の速度を自律的に制御する。
【0017】
図2は第1実施形態の自動操船システム1の自動操船モードにおける船舶11と通信装置12との相対距離と、船舶11の速度との関係などの一例を説明するための図である。詳細には、図2(A)は第1実施形態の自動操船システム1の自動操船モードにおける船舶11の移動方向の一例を示しており、図2(B)は第1実施形態の自動操船システム1の自動操船モードにおける船舶11と通信装置12との相対距離と、船舶11の速度との関係の一例を示している。
図2(A)に示す例では、自動操船モードにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11と通信装置12との相対距離が減少するように、アクチュエータ11Aを作動させる。つまり、自動操船モードにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11が通信装置12に近づくように、船舶11を移動させる。
図2(A)および図2(B)に示す例では、自動操船モードにおいて、船舶制御装置11Cは、船舶11と通信装置12との相対距離が小さくなるに従って、船舶11の速度を小さい値に制御する。詳細には、船舶制御装置11Cは、船舶11と通信装置12との相対距離が閾値DTH以下の場合に、船舶11の速度をゼロに制御する。
図2に示す例では、船舶11と通信装置12との相対距離が、閾値DTHより大きい値から閾値DTHまで減少した時点で、アクチュエータ11Aが、船舶11の推進力を発生しなくなる(例えば、エンジン停止状態、ニュートラル状態など)。
他の例では、船舶11と通信装置12との相対距離が、閾値DTHより大きい値から閾値DTHまで減少した時点で、アクチュエータ11Aが、通信装置12から遠ざかる向きの船舶11の推進力を発生する(つまり、通信装置12に近づく船舶11の慣性力をゼロにする)ことによって、船舶11と通信装置12との相対距離が閾値DTHの位置に船舶11を停船させてもよい。
更に他の例では、船舶11の速度がゼロに制御される時(つまり、船舶11と通信装置12との相対距離がゼロ以上、閾値DTH以下の時)に、アクチュエータ11Aが、船舶11を定点保持するための力を発生してもよい。
【0018】
図3は第1実施形態の自動操船システム1の自動操船モードにおける船舶11と通信装置12との相対距離と、船舶11の速度との関係の他の例を示す図である。
上述したように、図2(B)に示す例では、船舶11と通信装置12との相対距離が小さくなるに従って、船舶11の速度が小さくなる。換言すれば、船舶11と通信装置12との相対距離が大きくなるに従って、船舶11の速度が大きくなる。詳細には、図2(B)に示す船舶11と通信装置12との相対距離と、船舶11の速度との関係では、船舶11と通信装置12との相対距離が増加すると、船舶11の速度がリニアに増加する。
図3に示す例では、図2(B)に示す例と同様に、船舶11と通信装置12との相対距離が小さくなるに従って、船舶11の速度が小さくなる。換言すれば、船舶11と通信装置12との相対距離が大きくなるに従って、船舶11の速度が大きくなる。詳細には、図3に示す船舶11と通信装置12との相対距離と、船舶11の速度との関係では、船舶11と通信装置12との相対距離が増加すると、船舶11の速度がステップ状に増加する。
図3に示す例では、図2(A)および図2(B)に示す例と同様に、船舶制御装置11Cは、船舶11と通信装置12との相対距離が閾値DTH以下の場合に、船舶11の速度をゼロに制御する。
【0019】
図4は第1実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図4に示す例では、ステップS11において、船舶11の落水検知部11D1が、船舶11の乗船者の落水を検知する。
次いで、ステップS12では、通信装置12の入力部12Cが、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS13では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS12において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS14では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS15において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0020】
次いで、ステップS16では、通信装置12の通信装置位置検出部12Aが、通信装置12の位置を検出する。
次いで、ステップS17では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS16において検出された通信装置12の位置を示す情報を送信し、船舶11の通信部11Gがその情報を受信する。
また、ステップS18では、船舶11の船舶位置検出部11Eが、船舶11の位置を検出する。
また、ステップS19では、船舶11の船首方位検出部11Fが、船舶11の船首方位を検出する。
【0021】
次いで、ステップS20では、船舶11の相対距離算出部11Hが、ステップS16において検出された通信装置12の位置と、ステップS18において検出された船舶11の位置とに基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を算出する。
次いで、ステップS21では、船舶11の船舶制御装置11Cが、ステップS20において算出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0022】
<第2実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0023】
図5は第2実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図5に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、船舶位置検出部11Eと、船首方位検出部11Fと、通信部11Gと、相対距離検出部11Iとを備えている。
アクチュエータ11Aは、図1に示すアクチュエータ11Aと同様に構成されている。操作部11Bは、図1に示す操作部11Bと同様に構成されている。船舶制御装置11Cは、図1に示す船舶制御装置11Cと同様に構成されている。
トリガー発生部11Dは、図1に示すトリガー発生部11Dと同様に構成されており、落水検知部11D1と、自動操船開始指示部11D2とを備えている。
【0024】
図5に示す例では、船舶位置検出部11Eが、図1に示す船舶位置検出部11Eと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船舶位置検出部11Eを備えていなくてもよい。
【0025】
図5に示す例では、船首方位検出部11Fが、図1に示す船首方位検出部11Fと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船首方位検出部11Fを備えていなくてもよい。
【0026】
図5に示す例では、通信部11Gが、図1に示す通信部11Gと同様に構成されている。
通信装置12は、図1に示す通信装置12と同様に、落水の検知対象者(乗船者)によって携帯される。通信装置12は、通信装置位置検出部12Aと、通信部12Bと、入力部12Cとを備えている。
通信装置位置検出部12Aは、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成されている。通信部12Bは、図1に示す通信部12Bと同様に構成されている。入力部12Cは、図1に示す入力部12Cと同様に構成されている。
他の例では、通信装置12が、通信装置位置検出部12Aを備えておらず、通信部12Bが、通信装置12の位置を示す情報を船舶11に送信しなくてもよい。
【0027】
図5に示す例では、相対距離検出部11Iが、例えば通信装置12を撮像するカメラを備えており、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する(詳細には、通信装置12の画像に基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を推定する)。
船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離検出部11Iによって検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0028】
図6は第2実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図6に示す例では、ステップS31において、船舶11の落水検知部11D1が、船舶11の乗船者の落水を検知する。
次いで、ステップS32では、通信装置12の入力部12Cが、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS33では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS32において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS34では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS35において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0029】
次いで、ステップS36では、船舶11の相対距離検出部11Iが、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する。
次いで、ステップS37では、船舶11の船舶制御装置11Cが、ステップS36において検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0030】
<第3実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第2実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第2実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0031】
上述したように、第2実施形態の自動操船システム1では、相対距離検出部11Iが、例えば通信装置12を撮像するカメラを備えており、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する。
一方、第3実施形態の自動操船システム1では、相対距離検出部11Iが、例えばレーダーを備えており、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する(詳細には、通信装置12からの反射波に基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を測定する)。
【0032】
<第4実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
上述したように、第1実施形態の自動操船システム1では、船舶11の落水検知部11D1が、例えば特許第4205261号公報の段落0002に記載されたランヤードコードおよびスイッチと同様に構成され、ランヤードコードの他端がスイッチから外れた場合に、船舶11の乗船者(例えば操船者、操船者以外の乗船者など)の落水を検知する。
一方、第4実施形態の自動操船システム1では、落水検知部11D1が、相対距離算出部11Hによって算出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の乗船者の落水を検知する。具体的には、落水検知部11D1は、相対距離算出部11Hによって算出された船舶11と通信装置12との相対距離が所定の閾値より大きくなった場合に、船舶11の乗船者が落水したと推定する。その結果、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが手動操船モードから自動操船モードに切り替わる。更に、通信装置12の入力部12Cが自動操船開始要求を受け付けた場合に、船舶制御装置11Cが、船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0034】
<第5実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
上述したように、第1から第4実施形態の船舶11は、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたパーソナルウォータークラフト(PWC、水上オートバイ)が有する機能と同様の機能を有するPWCである。
一方、第5実施形態の船舶11は、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された船舶が有する機能と同様の機能を有する船舶である。
第5実施形態の船舶11のアクチュエータ11Aは、船舶11の推進力を発生する機能と船舶11に回頭モーメントを発生させる機能とを有する。アクチュエータ11Aには、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された船外機、エンジン、アクチュエータ、シフト機構などが含まれる。
第5実施形態の船舶11の操作部11Bは、アクチュエータ11Aを作動させる操船者の入力操作を受け付ける。操作部11Bは、例えば特許第6198192号公報の図1に記載された操舵輪、リモートコントロール装置、操作レバーなどと同様に構成されている。第5実施形態の船舶11の操作部11Bに、例えばジョイスティックなどが含まれていてもよい。
【0036】
第1から第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11から落水した落水者が、船舶11の操作部11Bまたは通信装置12に対する操作を行わなくても、船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度が制御される。
そのため、第1から第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11の速度を制御する操作が落水者に要求される場合よりも、落水者の負担を軽減することができる。
また、第1から第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11の速度を制御する操作が落水者に要求されないため、落水者の操作ミスに伴って落水者に危険が及ぶ事態を回避することができる。
更に、第1から第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11と通信装置12との相対距離が小さくなるに従って船舶11の速度が小さい値に制御されて、船舶11が通信装置12に近づけられる。そのため、第1から第5実施形態の自動操船システム1では、船舶11から落水した落水者の安全性と利便性(船舶11の使いやすさ)とを両立することができる。
【0037】
<第6実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0038】
図7は第6実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図7に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
第6実施形態の船舶11は、例えば特許第5196649号公報の図1に記載されたPWCが有する機能と同様の機能を有するPWCである。船舶11は、第1実施形態のアクチュエータ11Aと同様に構成されたアクチュエータ11Aと、第1実施形態の操作部11Bと同様に構成された操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、第1実施形態の船舶位置検出部11Eと同様に構成された船舶位置検出部11Eと、第1実施形態の船首方位検出部11Fと同様に構成された船首方位検出部11Fと、第1実施形態の通信部11Gと同様に構成された通信部11Gと、第1実施形態の相対距離算出部11Hと同様に構成された相対距離算出部11Hとを備えている。
船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aを作動させる制御などを行う。船舶制御装置11Cは、操作部11Bが受け付けた操船者の入力操作に基づいてアクチュエータ11Aが作動させられる手動操船モードと、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aが作動させられる自動操船モードとを有する。
【0039】
トリガー発生部11Dは、船舶制御装置11Cを手動操船モードから自動操船モードに切り替えるためのトリガーを発生する。トリガー発生部11Dは、下船検知部11D3と、自動操船開始指示部11D2とを備えている。
下船検知部11D3は、船舶11の乗船者の下船を検知する。下船検知部11D3によって検知される船舶11の乗船者の下船には、例えば、船舶11の周囲でシュノーケリングを行うための下船などが含まれる。下船検知部11D3は、例えば、船舶11の乗船者がスイッチ(図示せず)などをONする操作を検出することによって、船舶11の乗船者の下船を検知する。
下船検知部11D3が船舶11の乗船者の下船を検知すると、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わる。
自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
自動操船開始指示部11D2が自動操船開始指示を出力すると、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、船舶11と通信装置12との相対位置と、船舶11の船首方位とに基づいて、アクチュエータ11Aを制御する。
【0040】
第6実施形態の通信装置12は、第1実施形態の通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、第1実施形態の通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、第1実施形態の入力部12Cと同様に構成された入力部12Cとを備えている。
入力部12Cは、例えば船舶11の操船者による自動操船開始要求(例えば、通信装置12を携帯して船舶11から下船した操船者による自動操船開始要求)を受け付ける。
【0041】
相対距離算出部11Hは、通信装置位置検出部12Aによって検出された通信装置12の位置と、船舶位置検出部11Eによって検出された船舶11の位置とに基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を算出する。
船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離算出部11Hによって算出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0042】
図8は第6実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図8に示す例では、ステップS41において、船舶11の下船検知部11D3が、船舶11の乗船者の下船を検知する。
次いで、ステップS42では、通信装置12の入力部12Cが、通信装置12を携帯して船舶11から下船した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS43では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS42において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS44では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS45において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0043】
次いで、ステップS46では、通信装置12の通信装置位置検出部12Aが、通信装置12の位置を検出する。
次いで、ステップS47では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS46において検出された通信装置12の位置を示す情報を送信し、船舶11の通信部11Gがその情報を受信する。
また、ステップS48では、船舶11の船舶位置検出部11Eが、船舶11の位置を検出する。
また、ステップS49では、船舶11の船首方位検出部11Fが、船舶11の船首方位を検出する。
【0044】
次いで、ステップS50では、船舶11の相対距離算出部11Hが、ステップS46において検出された通信装置12の位置と、ステップS48において検出された船舶11の位置とに基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を算出する。
次いで、ステップS51では、船舶11の船舶制御装置11Cが、ステップS50において算出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0045】
<第7実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第7実施形態について説明する。
第7実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0046】
図9は第7実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図9に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、船舶位置検出部11Eと、船首方位検出部11Fと、通信部11Gとを備えている。
アクチュエータ11Aは、図1に示すアクチュエータ11Aと同様に構成されている。操作部11Bは、図1に示す操作部11Bと同様に構成されている。船舶制御装置11Cは、図1に示す船舶制御装置11Cと同様に構成されている。
トリガー発生部11Dは、図1に示すトリガー発生部11Dと同様に構成されており、落水検知部11D1と、自動操船開始指示部11D2とを備えている。
【0047】
図9に示す例では、船舶位置検出部11Eが、図1に示す船舶位置検出部11Eと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船舶位置検出部11Eを備えていなくてもよい。
【0048】
図9に示す例では、船首方位検出部11Fが、図1に示す船首方位検出部11Fと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船首方位検出部11Fを備えていなくてもよい。
【0049】
図9に示す例では、通信部11Gが、図1に示す通信部11Gと同様に構成されている。
通信装置12は、図1に示す通信装置12と同様に、落水の検知対象者(乗船者)によって携帯される。通信装置12は、通信装置位置検出部12Aと、通信部12Bと、入力部12Cと、相対距離検出部12Dとを備えている。
通信装置位置検出部12Aは、図1に示す通信装置位置検出部12Aと同様に構成されている。通信部12Bは、図1に示す通信部12Bと同様に構成されている。入力部12Cは、図1に示す入力部12Cと同様に構成されている。
他の例では、通信装置12が、通信装置位置検出部12Aを備えておらず、通信部12Bが、通信装置12の位置を示す情報を船舶11に送信しなくてもよい。
【0050】
図9に示す例では、相対距離検出部12Dが、例えば船舶11を撮像するカメラを備えており、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する(詳細には、船舶11の画像に基づいて、船舶11と通信装置12との相対距離を推定する)。また、相対距離検出部12Dは、例えば下記に掲載されている技術と同様の画像処理技術を用いることによって、船舶11の船首方位と通信装置12とがなす角度を推定する。つまり、相対距離検出部12Dは、船舶11が通信装置12に近づくために船舶11が進むべき向きを推定する。例えば通信装置12の記憶部(図示せず)に船舶11の形状データを予め格納しておくことによって、相対距離検出部12Dは、船舶11の画像と船舶11の形状データとに基づいて、船舶11が通信装置12に近づくために船舶11が進むべき向きを高精度に推定することができる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaeronbun/48/5/48_20174759/_pdf/-char/en
【0051】
船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離検出部12Dによって検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。詳細には、船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離検出部12Dによって推定された向きに船舶11が進むようにアクチュエータ11Aを作動させる制御を行う。
【0052】
図10は第7実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図10に示す例では、ステップS61において、船舶11の落水検知部11D1が、船舶11の乗船者の落水を検知する。
次いで、ステップS62では、通信装置12の入力部12Cが、通信装置12を携帯して船舶11から落水した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS63では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS62において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS64では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS65において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0053】
次いで、ステップS66では、通信装置12の相対距離検出部12Dが、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する。
次いで、ステップS67では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS66において検出された船舶11と通信装置12との相対距離を示す情報を送信し、船舶11の通信部11Gがその情報を受信する。
次いで、ステップS68では、船舶11の船舶制御装置11Cが、ステップS66において検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0054】
<第8実施形態>
以下、本発明の自動操船システム、船舶制御装置、船舶制御方法およびプログラムの第8実施形態について説明する。
第8実施形態の自動操船システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様に構成されている。従って、第8実施形態の自動操船システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動操船システム1と同様の効果を奏することができる。
【0055】
図11は第8実施形態の自動操船システム1の一例を概略的に示す図である。
図11に示す例では、自動操船システム1が、船舶11と、通信装置12とを備えている。
船舶11は、アクチュエータ11Aと、操作部11Bと、船舶制御装置11Cと、トリガー発生部11Dと、船舶位置検出部11Eと、船首方位検出部11Fと、通信部11Gとを備えている。
アクチュエータ11Aは、図1に示すアクチュエータ11Aと同様に構成されている。操作部11Bは、図1に示す操作部11Bと同様に構成されている。船舶制御装置11Cは、図1に示す船舶制御装置11Cと同様に構成されている。
【0056】
トリガー発生部11Dは、船舶制御装置11Cを手動操船モードから自動操船モードに切り替えるためのトリガーを発生する。トリガー発生部11Dは、下船検知部11D3と、自動操船開始指示部11D2とを備えている。
下船検知部11D3は、船舶11の乗船者の下船を検知する。下船検知部11D3によって検知される船舶11の乗船者の下船には、例えば、船舶11の周囲でシュノーケリングを行うための下船などが含まれる。下船検知部11D3は、例えば、船舶11の乗船者がスイッチ(図示せず)などをONする操作を検出することによって、船舶11の乗船者の下船を検知する。
下船検知部11D3が船舶11の乗船者の下船を検知すると、トリガー発生部11Dがトリガーを発生し、船舶制御装置11Cが、手動操船モードから自動操船モードに切り替わる。
自動操船開始指示部11D2は、通信装置12から送信された自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
自動操船開始指示部11D2が自動操船開始指示を出力すると、船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0057】
図11に示す例では、船舶位置検出部11Eが、図1に示す船舶位置検出部11Eと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船舶位置検出部11Eを備えていなくてもよい。
【0058】
図11に示す例では、船首方位検出部11Fが、図1に示す船首方位検出部11Fと同様に構成されている。
他の例では、船舶11が船首方位検出部11Fを備えていなくてもよい。
【0059】
図11に示す例では、通信部11Gが、図1に示す通信部11Gと同様に構成されている。
第8実施形態の通信装置12は、第1実施形態の通信装置位置検出部12Aと同様に構成された通信装置位置検出部12Aと、第1実施形態の通信部12Bと同様に構成された通信部12Bと、第1実施形態の入力部12Cと同様に構成された入力部12Cと、第7実施形態の相対距離検出部12Dと同様に構成された相対距離検出部12Dとを備えている。
入力部12Cは、例えば船舶11の操船者による自動操船開始要求(例えば、通信装置12を携帯して船舶11から下船した操船者による自動操船開始要求)を受け付ける。
船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離検出部12Dによって検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。詳細には、船舶制御装置11Cは、自動操船モードにおいて、相対距離検出部12Dによって推定された向きに船舶11が進むようにアクチュエータ11Aを作動させる制御を行う。
【0060】
図12は第8実施形態の自動操船システム1において実行される処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
図12に示す例では、ステップS71において、船舶11の下船検知部11D3が、船舶11の乗船者の下船を検知する。
次いで、ステップS72では、通信装置12の入力部12Cが、通信装置12を携帯して船舶11から下船した操船者による自動操船開始要求を受け付ける。
次いで、ステップS73では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS72において受け付けられた自動操船開始要求を送信し、船舶11の通信部11Gがその自動操船開始要求を受信する。
次いで、ステップS74では、船舶11の自動操船開始指示部11D2が、その自動操船開始要求に基づいて自動操船開始指示を出力する。
次いで、ステップS75において、船舶11の船舶制御装置11Cは、操作部11Bが入力操作を受け付ける必要なくアクチュエータ11Aを作動させる制御(自動操船モードの制御)を開始する。
【0061】
次いで、ステップS76では、通信装置12の相対距離検出部12Dが、船舶11と通信装置12との相対距離を検出する。
次いで、ステップS77では、通信装置12の通信部12Bが、ステップS76において検出された船舶11と通信装置12との相対距離を示す情報を送信し、船舶11の通信部11Gがその情報を受信する。
次いで、ステップS78では、船舶11の船舶制御装置11Cが、ステップS76において検出された船舶11と通信装置12との相対距離に基づいて、船舶11の速度を制御する。
【0062】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0063】
なお、上述した実施形態における自動操船システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…自動操船システム、11…船舶、11A…アクチュエータ、11B…操作部、11C…船舶制御装置、11D…トリガー発生部、11D1…落水検知部、11D2…自動操船開始指示部、11D3…下船検知部、11E…船舶位置検出部、11F…船首方位検出部、11G…通信部、11H…相対距離算出部、11I…相対距離検出部、12…通信装置、12A…通信装置位置検出部、12B…通信部、12C…入力部、12D…相対距離検出部
図1
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図12