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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】血管内での導入用の拡張可能なチューブ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20220826BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20220826BHJP
   A61F 2/915 20130101ALI20220826BHJP
【FI】
A61F2/07
A61B17/00 500
A61F2/915
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020501854
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 GB2018050771
(87)【国際公開番号】W WO2018172793
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】1704720.0
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519341935
【氏名又は名称】オックスフォード エンドバスキュラー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キーブル、ダンカン
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0277391(US,A1)
【文献】国際公開第2015/070124(WO,A2)
【文献】特表2014-526294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61B 17/00
A61F 2/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に導入するための拡張可能なチューブであって、
半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態に可逆的に切り替え可能な細長いフレームを含み、
前記フレームは、当該フレームの長手方向の拡張および収縮を提供するための複数の長手方向に変形可能な要素と、前記フレームの半径方向の拡張および伸縮を提供するための複数の円周方向に変形可能な要素とを含み、
前記長手方向に変形可能な要素は、前記円周方向に変形可能な要素の形状を実質的に変化させることなく、実質的に長手方向に拡張または伸縮することができ、
前記複数の円周方向に変形可能な要素は、複数のセットの円周方向に変形可能な要素であり、各セットの円周方向に変形可能な要素は、前記フレームの伸長軸の周りに閉じたリングを形成し、各閉じたリングは、前記円周方向に変形可能な要素のみからなり、
前記フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、前記閉じたリングの少なくとも2つが長手方向位置の重複範囲を占め、前記フレームが半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態にあるとき、長手方向位置の非重複範囲を占め、
1つの前記閉じたリングの1つ以上の円周方向に変形可能な要素のそれぞれが、前記フレームが半径方向に拡張して長手方向に収縮した状態にあるときには、別の前記閉じたリングに円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと、細長いフレームの伸長軸に平行な方向に整列し、
前記整列した円周方向に変形可能な要素のそれぞれは、整列していない円周方向に変形可能な要素を有する少なくとも1つの閉じたリングによって互いに分離されている、チューブ。
【請求項2】
前記フレームは、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で、動脈瘤嚢への開口部上に使用時に配置されるとき、動脈瘤嚢から離れるように血流の方向を変えることにより、動脈瘤嚢内の血栓形成を促進する、請求項1に記載のチューブ。
【請求項3】
前記整列した円周方向に変形可能な要素のそれぞれは、互いに同じ向きを有する、請求項1または2に記載のチューブ。
【請求項4】
前記閉じたリングは、複数の第1のタイプの閉じたリングと複数の第2のタイプの閉じたリングの交互の順序を形成し、
各第1のタイプの閉じたリング上の1つ以上の円周方向に変形可能な要素のそれぞれは、他の第1のタイプの閉じたリング上の円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと、細長いフレームの伸長軸に平行な方向に整列すると共に、フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮された状態にあるとき、第2のタイプの閉じたリングのいずれかの円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと整列しないおよび/または
各第2のタイプの閉じたリング上の1つ以上の円周方向に変形可能な要素のそれぞれは、他の第2のタイプの閉じたリング上の円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと、細長いフレームの伸長軸に平行な方向に整列すると共に、フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮された状態にあるとき、第1のタイプの閉じたリングのいずれかの円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと整列しない、請求項1から3のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項5】
長手方向に変形可能な要素が、同一の第1タイプの長手方向に変形可能な要素のセットと同一の第2タイプの長手方向に変形可能な要素のセットを含み、第1タイプの長手方向に変形可能な要素のセットと第2タイプの長手方向に変形可能な要素のセットが配置され、
第1のタイプの長手方向に変形可能な要素のセットと第2のタイプの長手方向に変形可能な要素のセットが交互の順序で配置されることにより、各第1タイプの閉じたリングは、第1タイプの長手方向に変形可能な要素のみによって、伸長軸に平行な所定の方向で次の第2タイプの閉じたリングに接続され、各第2タイプの閉じたリングは、第2タイプの長手方向に変形可能な要素のみによって、伸長軸に平行な同じ与えられた方向で次の第1タイプの閉じたリングに接続され、
第1のタイプの長手方向に変形可能な要素は、第2のタイプの長手方向に変形可能な要素と異なる形状および/または方向を有する、請求項4に記載のチューブ。
【請求項6】
前記第1のタイプの長手方向に変形可能な要素は、前記フレームが導入された平面状態で見るとき、前記第2のタイプの長手方向に変形可能な要素の鏡像である、請求項5に記載のチューブ。
【請求項7】
前記少なくとも2つの閉じたリングが互いに同一である、請求項1から6のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項8】
前記少なくとも2つの閉じたリングは、前記フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、長手方向に互いに整列している、請求項7に記載のチューブ。
【請求項9】
前記少なくとも2つの閉じたリングの各々が、同じ向きで一緒に接続された複数の同一の円周方向に変形可能な要素からなる、請求項1から8のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項10】
前記少なくとも2つの閉じたリングがそれぞれ複数のV字形要素からなる、請求項1から9のいずれかに記載のチューブ。
【請求項11】
前記少なくとも2つの閉じたリングのそれぞれに沿った経路の少なくとも50%が、実質的に真っ直ぐな要素から形成される、請求項1から10のいずれかに記載のチューブ。
【請求項12】
2つの閉じたリングを形成する円周方向に変形可能な要素の形状を実質的に変化させることなく実質的に長手方向に伸縮できる複数の長手方向に変形可能な要素によってのみ接続される請求項1から11のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項13】
前記長手方向に変形可能な要素のいずれも、他の長手方向に変形可能な要素に直接接続されていない、請求項12に記載のチューブ。
【請求項14】
長手方向に変形可能な要素の1つ以上のそれぞれが、長手方向に変形可能な要素の長さの少なくとも20%に沿って湾曲している、請求項1から13のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項15】
長手方向に変形可能な要素の1つ以上のそれぞれが、接合部で閉じたリングの1つに接続され、接合部での長手方向に変形可能な要素と円周方向に変形可能な要素との間の角度が、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態への切り替え中に30度未満に変化するように構成されている、請求項1から14のいずれ一項に記載のチューブ。
【請求項16】
長手方向に変形可能な要素の1つ以上のそれぞれが、接合部で閉じたリングの1つに接続され、閉じたリングが、1つ以上の接合領域で互いに接合された複数のV字型要素から形成され、前記接合部は、最も近い接合領域の中心から離れた位置にある、請求項1から15のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項17】
前記接合部は、前記V字型要素の少なくとも1つのアームの長さの2%を超えて、最も近い接合領域の中心から離れて位置する、請求項16に記載のチューブ。
【請求項18】
前記少なくとも2つの閉じたリングがそれぞれ複数のV字型要素からなり、前記閉じたリングの1つの2つの隣接するV字型要素が互いに接合する接合点が、同じ閉じたリング上の分離距離で隣接する接合点から分離され、
半径方向に拡大および長手方向に収縮した状態での分離距離は、2つの接合点の円周位置の間にある円周位置にある隣接する閉じたリングのV字型要素の頂点を構成することを可能とし、半径方向に収縮および長手方向に拡張された状態のフレームから半径方向に拡張および長手方向に収縮された状態のフレームへの移行中に頂点に最も近く接続された長手方向に変形可能な要素の少なくとも一部分が移動することを可能とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項19】
前記分離距離は、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で前記V字型要素の2つのアーム間に60度より大きい角度を与える、請求項18に記載のチューブ。
【請求項20】
半径方向に拡張され長手方向に収縮された状態のフレームの多孔度が90%未満である、請求項1から19のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項21】
半径方向に収縮および長手方向に伸長した状態において、フレームは、半径方向に伸長および長手方向に収縮した状態のフレームの最大横方向寸法よりも少なくとも30%小さい最大横方向寸法を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項22】
半径方向に膨張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に膨張した状態への切り替えによって生じるフレームの伸びが少なくとも25%である、請求項1から21のいずれか一項に記載のチューブ。
【請求項23】
前記円周方向に変形可能な要素は、互いに一体的に接続され、前記長手方向に変形可能な要素に一体的に接続される、請求項1から22のいずれか一項に記載のチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に動脈瘤嚢から離れる血流の方向を変える際に使用するための、血管内に導入するための拡張可能なチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋内動脈瘤は、脳の動脈壁の弱い領域で、動脈壁の拡張またはバルーニングが発生する可能性がある。組織学的には、中膜、動脈の中間の筋肉層、および内部弾性層の減少が構造的欠陥を引き起こす。これらの欠陥は、血行力学的要因と組み合わさって、動脈瘤のアウトパウチにつなぐ。頭蓋内動脈瘤は非常に一般的な病気であり、剖検研究によると、成人人口の1から5%の有病率である。米国だけでも、1000万から1200万人が頭蓋内動脈瘤を患っている可能性がある。
【0003】
頭蓋内動脈瘤を治療するための現在の方法には、外科的クリッピングと血管内コイリングが含まる。外科的クリッピング法では、患者の頭蓋骨を開き、外科用クリップを動脈瘤の頸部に配置して、動脈瘤嚢への血液の流れを止める。この方法のリスクは、特に高齢者や医学的に複雑な患者では比較的高くなる。血管内コイリングは、動脈瘤の嚢が完全にコイルで満たされるまで、カテーテルを通して動脈瘤内に送達される1つまたは複数のコイルの配置を伴う低侵襲性の方法である。動脈瘤内で血栓を引き起こすのに役立つ。血管内コイリングは外科的クリッピングよりも安全であると考えられているが、独自の制限がある。まず、動脈瘤がコイルで満たされた後、元のサイズのままになる。その結果、動脈瘤によって加えられた周囲の組織への圧力は除去されない。第二に、この手順は、コイルが親血管に突出する可能性が高い首の広い動脈瘤にはあまり効果的ではない。この問題は、ステントをコイル塞栓術と組み合わせて使用することで軽減できるが、手順は難しく、時間がかかる。
【0004】
ステントと呼ばれることもある拡張可能なチューブを単独で使用して動脈瘤を治療することは、上記の問題を回避する有望な方法である。この方法では、比較的多孔度の低い領域を有するチューブを動脈瘤の首にかけて配置し、血流を嚢から遠ざけ、動脈瘤内の血栓の形成を引き起こす。動脈瘤は自然に固まるため、破裂の危険性は低くなる。さらに、この方法にはコイルが含まれていないため、血栓が吸収されると動脈瘤は徐々に収縮する。その結果、周囲の組織にかかる圧力を取り除くことができる。ただし、この用途に最適な特性を持つチューブを製造することは困難である。チューブは、脳内の非常に曲がりくねった血管の形状を通過して適応するのに十分な柔軟性を備えていると同時に、動脈瘤からの血流を適切な範囲で方向を変えるのに十分なカバレッジ(低多孔度)を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に動脈瘤からの血流の方向を変えるという観点において、改善された特性を有する血管内に導入するための拡張可能なチューブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態に可逆的に切り替え可能な細長いフレームを含む、血管内で導入するための拡張可能なチューブが提供される。フレームは、フレームの長手方向の伸縮を提供する複数の長手方向に変形可能な要素と、フレームの半径方向の伸縮を提供する複数の円周方向に変形可能な要素とを含む。長手方向に変形可能な要素は、円周方向に変形可能な要素の形状を実質的に変化させることなく、実質的に長手方向に伸縮することができる。複数の円周方向に変形可能な要素は、複数のセットの円周方向に変形可能な要素であり、各セットの円周方向に変形可能な要素は、フレームの伸長軸の周りに閉じたリングを形成し、各閉じたリングは、前記円周方向に変形可能な要素のみからなる。フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、閉じたリングの少なくとも2つが長手方向位置の重複範囲を占め、フレームが半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態にあるとき、長手方向位置の非重複範囲を占める。
【0007】
外科的クリッピングと比較して、現在開示されているチューブは、はるかに安全で、病状および死亡率が低く、入院期間が少なく、全体的な治療費を削減する低侵襲法で動脈瘤嚢から血流の方向を変える(redirect)ように構成できる。他の低侵襲方法と比較して、例えばコイル塞栓術またはステント補助コイル巻きの場合、現在開示されているチューブはコイルを含まないため、いくつかの利点がある。動脈瘤の質量効果が減少し、チューブは嚢状動脈瘤と紡錘状動脈瘤の両方の治療に適している。現在の分流器(すなわち、動脈瘤嚢から流れを分流するように構成されたステント)と比較して、現在開示されているチューブは、より高い半径方向の強度、より制御された導入、および分岐血管の閉塞を防ぐのに役立つ調整された表面被覆を提供できる。
【0008】
半径方向の収縮の一部として伸長するフレームの提供は、フレームが半径方向に拡張した状態で低い多孔度を示すように構成されている場合でも、高度な半径方向の収縮を可能にする。したがって、非常に小さな直径、例えば直径3mm未満、より好ましくは直径1mm未満の送達カテーテルに挿入できるフレームを提供することが可能である。この特性は、利用可能な臨床用途の範囲を拡大する。
【0009】
円周方向に変形可能な要素の長手方向に重複する(重なり合う)閉じたリングの使用は、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態での低多孔度の提供を促進し、これは高い半径方向強度および/または良好な流れ方向変更特性に有利である。また、この特徴により、半径方向に拡大および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡大した状態への切り替えが、フレームのどの部分にも過度の歪みなしに達成できる。
【0010】
一実施形態では、閉じたリングは、第1タイプの閉じたリングと第2タイプの閉じたリングの交互の順序を形成し、各第1タイプの閉じたリング上の円周方向に変形可能な要素の1つ以上は、第1タイプの閉じたリング上の円周方向に変形可能な要素の対応する同じものとの細長いフレームの伸長軸に平行な方向に整列しており、フレームが半径方向に拡張し、長手方向に収縮した状態であるとき、第2タイプの閉じたリング上の円周方向に変形可能な要素の対応する同じものと整列していない。
【0011】
この構成は、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態への切り替え中のチューブのねじれを低減または回避する。一実施形態では、長手方向に変形可能な要素が同一の第1タイプの長手方向に変形可能な要素のセットおよび同一の第2タイプの長手方向に変形可能な要素のセットを含むように配置することにより、ねじれがさらに防止される。長手方向に変形可能な要素は交互に配列され、各第1タイプの閉じたリングが次の第2タイプの閉じたリングに、第1タイプの長手方向に変形可能な要素のみによって伸長軸に平行な所定の方向に接続され、各第2タイプの閉じたリングが接続される第2のタイプの長手方向に変形可能な要素のみによる伸長軸に平行な同じ与えられた方向の次の第1のタイプの閉じたリングへ、第1のタイプの長手方向に変形可能な要素は、第2のタイプの長手方向に変形可能な要素とは異なる形状および/または向きを有する。例えば、フレームが導入された平面状態で見るときは、互いに鏡像である。
【0012】
一実施形態では、1つ以上の長手方向に変形可能な要素のそれぞれは、長手方向に変形可能な要素の長さの少なくとも20%に沿って湾曲している。これは、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態への切り替え中に、長手方向に変形可能な要素に歪みを分散するのに役立ち、長手方向に変形可能な要素に過度のストレスをかけることなく、大きな全体的な変形を実現できる。
【0013】
一実施形態では、長手方向に変形可能な要素の1つ以上のそれぞれは、接合部で閉じたリングの1つに接続され、接合部での長手方向に変形可能な要素と円周方向に変形可能な要素との間の角度が、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態への切り替え中に、30度未満に変化するように構成される。この機能により、接合部での望ましくないストレスが軽減される。
【0014】
ここで、対応する参照記号が対応する部分を示す添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、半径方向に拡張され長手方向に収縮された状態のチューブの外側形状の概略斜視図である。
図2図2は、半径方向に収縮され長手方向に拡張された状態の図1のチューブの外側形状の概略斜視図である。
図3図3は、半径方向に拡張され長手方向に収縮された状態の例示的なフレームの導入図である。
図4図4は、図3のフレームの一部を示しており、長手方向位置の重複範囲を有する円周方向に変形可能な要素の閉じたリングを示している。
図5図5は、フレームの一部の導入図において、実質的に円周方向に変形可能な要素の形状に変化がない、長手方向に変形可能な要素の拡大を概略的に示す。
図6図6は、図5のフレームの半径方向の収縮を概略的に示す図である。
図7図7は、第1タイプと第2タイプのリングの交互の順序を示す図3のフレームの一部を示している。
図8図8は、図7のフレームの一部を拡大して、円周方向に変形可能な要素と長手方向に変形可能な要素との間の接合部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、血管内での導入に適したチューブを提供する。チューブは細長いフレーム2を備えている。図1は、半径方向に拡張され長手方向に収縮された状態のフレーム2の外側の形状を示している。図2は、半径方向に収縮し長手方向に拡張した状態のフレーム2の外側の形状を示している。フレーム2は、図1に示す半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から、図2に示す半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態に可逆的に切り替えることができる。
【0017】
フレーム2は拡張可能で、任意で自己拡張可能である。フレーム2は、例えばニチノールなどの形状記憶合金を含むことができる。あるいは、フレーム2は、ステンレス鋼、ポリマー、または他の生体適合性材料を含んでもよい。
【0018】
フレーム2は、伸長軸4に対して細長い。フレーム2は、例えば円筒形であってもよい。フレーム2が円筒形の場合、最大横寸法はすべての位置と角度で同じである(つまり、直径に等しくなる)。フレーム2が円筒形ではない場合、最大横寸法は異なる位置および/または角度で異なる場合がある。最大の横方向の寸法は、フレームを挿入できる円筒形チューブ(例えば、送達カテーテル)の最小内径を定義する。
【0019】
半径方向に収縮した状態では、フレーム2は半径方向に拡張した状態よりも実質的に狭い。好ましくは、最大横寸法は、半径方向に収縮した状態で30%小さく、より好ましくは50%小さくする。フレーム2を半径方向に収縮させることにより、関心のある部位で導入するために、フレーム2をより細い送達カテーテルに挿入することが可能になる。一般的に、送達カテーテルは可能な限り細いことが望ましい。これは特に、導入サイトへのアクセスに血管の曲がりくねった領域のナビゲーションが必要な場合である。これは、例えば脳動脈瘤を治療する場合によくあるケースである。
【0020】
以下の議論において、多孔度(porosity)pという用語は、記載されているフレームまたはフレームの一部が占める総外部表面積に対する開口領域の表面積の比率を指すことが理解される。総外部表面積は、オープン領域の表面積とフレームの材料が占める領域の表面積の合計である。フレームが円筒形の場合、総外部表面積は単純に2π.R.L(「.」は掛け算)である。ここで、Rは円筒の半径、Lは円筒の長さである。
【0021】
完全に半径方向に拡張された状態の多孔度pのステントを考える。完全に半径方向に拡張した状態のフレームの半径と長さがそれぞれRoとLoの場合、フレーム2が半径方向に収縮した状態で達成できる最小半径Rminは、多孔度がゼロになる状態で、以下に定義される。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、Liは放射状に収縮した状態のフレームの長さである。この関係は、フレームの要素が半径方向に互いに重なり合わないことを前提としている。
【0024】
この関係は、フレームの長さを大幅に変更できない場合、半径はpの係数でのみ減少することを示している。pを非常に低くする必要があるため(たとえば、動脈瘤嚢の開口部に使用中に配置するための領域など、少なくとも低多孔度領域では80%未満)、これは、送達カテーテルに挿入するためにステントを狭くすることができる。たとえば、フレームの多孔度pが20%で、半径方向の収縮中にフレームの長さを変更できない場合、つまりLi=Lo、フレームは半径で最大20%の縮小しか達成できない。半径方向に収縮した状態を採用するときに長手方向に拡張できるフレームの提供は、この理解に基づいており、半径の大幅な縮小を実現できる。たとえば、長さが2倍になる場合、つまりLi=2.Loの場合、フレームは、20%の多孔度で半径を60%削減できる。
【0025】
好ましくは、フレーム2は、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは100%または150%伸びることができるように構成される。任意で、伸びはさらに長く、例えば400%、600%、800%、またはそれ以上であり得る。
【0026】
図3は、(円筒状ではなく)平らになるように概念的に導入されたフレーム2の例を示している。長手軸はページの平面内で水平に走り、円周方向はページの平面内で垂直に走る。フレーム2の長手方向の長さはLoとマークされ、フレームの円周長はCoとマークされている。
【0027】
図4は、図3のフレーム2の一部の拡大図である。フレーム2は、相互接続アームのネットワークを含む。相互接続アームは、フレーム2の半径方向の伸縮を提供するための複数の円周方向に変形可能な要素6を形成する。フレーム2は、フレーム2の長手方向の伸縮を提供するために、円周方向に変形可能な要素6とは異なる複数の長手方向に変形可能な要素8をさらに備える。円周方向に変形可能な要素6および長手方向に変形可能な要素8は、要素の間に材料の界面が存在しないように、互いに接続されて一体的に相互接続されたネットワークを形成し得る。フレーム2は、例えば、中空管をレーザー切断することにより、3D印刷により、またはこのような構造を製造するための当該技術分野で既知の他の技術により形成され得る。円周方向に変形可能な要素6および長手方向に変形可能な要素8のすべては、同じ半径で、半径方向に重複することなく提供されてもよい。
【0028】
複数の円周方向に変形可能な要素6は、複数のセットの円周方向に変形可能な要素6を含む。円周方向に変形可能な要素6の各セットは、フレーム2の伸長軸4の周りに閉じたリングを形成する。各閉じたリングは、円周方向に変形可能な要素6のみで構成されている。図3から8の例では、各円周方向に変形可能な要素6は実質的にV字形である。したがって、各閉じたリングは、各Vのアームの外端で接続された複数のVで構成される。
【0029】
閉じたリングはそれぞれ、さまざまな長手方向の位置を占める。図4では、3つの異なる閉じたリングに対して、そのような3つの位置範囲が11-13としてマークされている。長手方向の位置の3つの範囲は互いに重複していることがわかる。これは、本開示の実施形態によるフレーム2の一般的な特徴である。フレーム2が半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、少なくとも2つの閉じたリングが長手方向位置の重複範囲を占めるべきである。示されている特定の実施形態では、各閉じたリングは、他の4つの閉じたリングと重なっている。一般に、各閉じたリングは、少なくとも1つの他の閉じたリング、任意で少なくとも2つの他の閉じたリングと重複する必要がある。
【0030】
半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で閉じたリングが重なるように配置すると、この状態でフレームの多孔度を低くすることができる。低多孔度は、例えば、動脈瘤嚢からの血流の方向を変え、それにより動脈瘤嚢内の血栓形成を促進するのに適している場合がある。好ましくは、多孔度は、90%未満、場合により80%未満、場合により70%未満、場合により60%未満、場合により50%未満である。
【0031】
閉じたリングを半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で重なるように配置することは、単位長さあたりの円周方向に変形可能な要素の密度を高くすることにより、高い半径方向の剛性を提供するのにも役立つ。これは、動脈瘤の治療や他の用途にチューブを使用する場合に役立つ。
【0032】
フレーム2はさらに、フレーム2が半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるときに重なり合う長手方向位置を占める閉じたリングが、フレーム2が半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態にあるときに長手方向位置の重なり合わない範囲を占めるように構成される。したがって、閉じたリングは互いの邪魔にならないように効果的に移動し、フレームがより大きく半径方向に収縮できるようにする。このプロセスを図5および6に概略的に示す。
【0033】
図5は、フレーム2の長手方向の拡張後の図4に示されたタイプのフレーム2の一部を示している。長手方向の拡張は、少なくとも部分的に、長手方向変形可能要素8Aおよび8Bの長手方向拡張によって達成でき、実質的に円周方向変形可能要素6の形状は変化しない(閉じたリング21および22を形成する)。長手方向の拡張により、閉じたリングが互いに重なり合わなくなる。長手方向の位置11-13の範囲は、もはや重ならない。
【0034】
図6は、その後の半径方向の収縮後の図5のフレーム2の部分を示している。半径方向の収縮は、主にまたは実質的に完全に、円周方向に変形可能な要素の変形によって達成される。一実施形態では、円周方向に変形可能な要素6の変形は、変形の少なくとも一部について実質的に長手方向に変形可能な要素の変形なしに生じる。
【0035】
図5の長手方向の拡張および図6の半径方向の収縮は、図5および図6に示されるように別々の段階で達成されるか、同時にまたは重複する期間中に実施され得る。
【0036】
一実施形態では、閉じたリングのうちの1つの円周方向に変形可能な要素6のそれぞれは、フレーム2の伸長軸に平行な方向に、フレーム2が半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるときの別の閉じたリングの円周方向に変形可能な要素6の対応する同一のものと整列する。これにより、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で異なる閉じたリングの効率的なインターロックが容易になり、低多孔度および/または高い半径方向剛性が促進される。そのような実施形態では、整列した円周方向に変形可能な要素6も互いに同じ向きを有する。例えば、各円周方向に変形可能な要素がV字型要素を含む場合、整列した円周方向に変形可能な要素6は、同じ方向を指すV字型要素を含む。
【0037】
一実施形態では、直接隣接する閉じたリングは、互いに整列した円周方向に変形可能な要素6を含む。しかしながら、本発明者らは、この構成が、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態への切り替え中にフレーム2の望ましくないねじれをもたらし得ることを見出した。ねじれは、整列されていない円周方向に変形可能な要素6を有する少なくとも1つの閉じたリングによって、整列した円周方向に変形可能な要素6を互いに分離するように配置することにより低減できる。
【0038】
図2から8の実施形態が一例であるこのタイプの実施形態では、閉じたリングは、第1のタイプの閉じたリング21と第2のタイプの閉じたリング22の交互の順序を形成する。第1のタイプの閉じたリング21および第2のタイプの閉じたリング22は、図5から図7でラベル付けされている。図7では、円周方向に変形可能な要素6の例には、異なるタイプの閉じたリングを示す太線が重ねられている。太い破線は、第1のタイプの閉じたリング21の円周方向に変形可能な要素6の例を示している。太い実線は、第2のタイプの閉じたリング22内の円周方向に変形可能な要素6の例を示す。
【0039】
円周方向に変形可能な要素6の1つまたは複数のそれぞれ(例えば、各第1タイプの閉じたリング21上のV字型要素)は、フレーム2の伸長軸に平行な方向に、他の第1タイプの閉じたリング21上の円周方向に変形可能な要素6の対応する同一のものと整列し、フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、第2のタイプの閉じたリングのいずれか上の円周方向に変形可能な要素の対応する同一の要素で整列していない。代替的または追加的に、円周方向に変形可能な要素6の1つまたは複数のそれぞれ(例えば、各第2タイプの閉じたリング22上のV字型要素)は、フレーム2の伸長軸に平行な方向に、他の各第2タイプの閉じたリング22上の円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと整列し、フレームが半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、第1のタイプの閉じたリング21のいずれかの円周方向に変形可能な要素の対応する同一のものと整列しない。示された特定の例では、フレーム2が距離30だけ半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態にあるとき、第1のタイプの閉じたリング21および第2のタイプの閉じたリング22は互いに円周方向にオフセットされる。
【0040】
代替的または追加的には、ねじれの低減にさらに寄与する、長手方向に変形可能な要素は、第1のタイプの長手方向に変形可能な要素のセット8Aおよび同一の第2のタイプの長手方向に変形可能な要素8Bのセットを含む。第1タイプの長手方向に変形可能な要素のセット8Aおよび第2タイプの長手方向に変形可能な要素のセット8Bは、各第1タイプの閉じたリング21が次の第2タイプの閉じたリング22に所定の方向で接続されるように交互に配列される。第1タイプの長手方向変形可能要素8Aおよび各第2タイプの閉じたリング22のみによる伸長軸は、第2タイプの長手方向変形可能要素8Bのみによる伸長軸に平行な同じ所与の方向で次の第1タイプ閉じたリング21に接続される。このような配置の例は、図5で最も明確に見ることができる。第1のタイプの長手方向に変形可能な要素8Aは、第2のタイプの長手方向に変形可能な要素8Bとは異なる形状および/または向きを有する。任意選択として、第1のタイプの長手方向に変形可能な要素8Aは、フレーム2が導入された平面状態で見られるとき(図3から8のように)第2のタイプの長手方向に変形可能な要素8Bの鏡像である。示された例では、第1のタイプの長手方向に変形可能な要素8Aは右下に湾曲し、第2のタイプの長手方向に変形可能な要素は鏡像であり、右に上方向に湾曲する。
【0041】
様々な実施形態、図3から8の実施形態は一例であり、少なくとも2つの(任意で重なり合う)閉じたリングは互いに同一である。同一の閉じたリングは、少なくとも半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で、長手方向に互いに整列するか、周方向に互いに対してオフセットすることができる。図3から8の実施形態は、両方のタイプの閉じたリングを含み、第1タイプの閉じたリング21は第1タイプの閉じたリング21と整列し、第2タイプの閉じたリング22は第2タイプの閉じたリング22と整列し、第1タイプの閉じたリング21は第2タイプの閉じたリング22に対して円周方向にオフセットされる。
【0042】
様々な実施形態において、図3から8の実施形態は一例であり、少なくとも2つの(任意で重なり合う)閉じたリングはそれぞれ、同じ向きで一緒に接続された複数の同一の円周方向に変形可能な要素からなる。図3から8の特定の例では、同一の円周方向に変形可能な要素のそれぞれは、V字型要素を含む。より一般的には、閉じたリングは、それぞれに沿った経路の少なくとも50%、任意で少なくとも75%、任意で少なくとも85%、任意で少なくとも90%、任意で少なくとも95%などの複数の直線要素から形成されてもよい。少なくとも2つの閉じたリングのうちの1つは、実質的に真っ直ぐな要素から形成される。このように閉じたリングを形成すると、高い半径方向の剛性が得られる。
【0043】
一例である図3から8の実施形態の様々な実施形態では、閉じたリング21、22のうちの2つは、2つの閉じたリング21、22を形成する円周方向に変形可能な要素の形状の変化をせずに、実質的に長手方向に伸縮することができる複数の長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bによってのみ互いに接続される。任意選択で、長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bのいずれも、他の長手方向に変形可能な要素に直接接続されない。半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態(またはその逆)への切り替え中に歪みを分散させるために、1つ以上の長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bのそれぞれが長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bの長さの少なくとも20%、任意で少なくとも50%、任意で少なくとも75%、任意で少なくとも90%、任意で実質的にすべての長さに沿って曲げられる。
【0044】
様々な実施形態において、図3から8の実施形態は一例であり、1つ以上の長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bのそれぞれは、接合部32(図8に示される)で閉じたリング21、22の1つに接続されて、接合部32での長手方向に変形可能な要素8、8A、8Bと円周方向に変形可能な要素6との間の角度34が、半径方向に膨張および長手方向に収縮した状態から半径方向に収縮および長手方向に膨張した状態までの切り替え中、30°未満、任意で20°未満、任意で10°未満に変化するように構成されている。
【0045】
図3から8の例では、各円周方向に変形可能な要素6は実質的にV字形である。したがって、各閉じたリングは、各Vのアームの外側端部で一緒に接続された複数のVからなる。より一般的には、閉じたリングは、複数の直線要素から形成され得る。そのような実施形態では、長手方向に変形可能な要素が円周方向に変形可能な要素の閉じたリングに接続される接合部は、Vの2つのアームが接合する接合領域の中心以外の点に(すなわち、そのようなすべての接合領域から離れて)位置してもよく、各直線要素が隣接する直線要素に接合される接合領域の中心以外の点に(すなわち、そのようなすべての接合領域から離れて)位置してもよい。接合部は、最も近い接合領域の中心から、Vのアームの少なくとも1つの長さ(たとえば、Vの直線要素の長さ)の2%以上、任意で5%以上、任意で10%以上、任意で20%以上、任意で40%以上離れて配置されている場合がある。
【0046】
接合部を接合領域の中心から離して配置すると、接合部の周囲の材料の量が減り、接合部付近の長手方向に変形可能な要素の柔軟性が高まり、チューブの長手方向の収縮と膨張が大きくなる。接合部を接合領域の中心から遠ざけることにより、長手方向に変形可能な要素を長くすることも可能になり、それにより長手方向に変形可能な要素の変形に関連する曲げ応力がさらに広がる(そして減少する)。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれの長手方向変形可能要素のそれぞれの端部の2つの接合部は、円周方向変形可能要素のアーム間のそれぞれの最も近い接合領域の中心の最も外側にあるように配置される。たとえば、図8を参照すると、長手方向に変形可能な要素の第1端を接合領域の中心の上に接続することができ(図8の左端の接合部32の場合)、長手方向に変形可能な要素の第2端は接合領域の中心の下に接続される(図8の右端の接合部32の場合と同様であるが、示されている特定の接合部は、もちろん、異なる長手方向に変形可能な要素に属する)。
【0047】
一実施形態では、接合点(すなわち、同じ閉じたリング上の2つの隣接するV字形要素が接合する各Vのアームの外端の点)は、分離距離ごとに円周方向に変形可能な要素6の同じ閉じたリング上の隣接する接合点から分離され得る。この分離距離は、図5図6を比較するとわかるように、チューブが半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態から半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態に移動すると増加する。半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態の分離距離は、長手方向に変形可能な要素8および/または円周方向に変形可能な要素6の隣接する閉じたリングからのV字型要素の1つが、図4および8に示すように、隣接する2つ接合点の間の空間に収まるように十分に大きくてもよい。したがって、一実施形態では、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態での分離距離は、2つの接合点の円周位置の間にある円周位置(ただし、異なる長手方向位置)にある隣接する閉じたリングのV字型要素の頂点を許容するようなものであり、および頂点に最も近い長手方向に変形可能な要素の少なくとも一部が、半径方向に収縮および長手方向に拡張した状態にあるフレームから、2つの接合点を接合する概念線を介して拡張および長手方向に収縮した状態(つまり、長手方向の非重複状態から長手方向の重複状態に移動する場合)にある半径方向にあるフレームへの移行中に移動することを許可する。
【0048】
長手方向に変形可能な要素を比較的長くし、応力集中を緩和しながら分離距離を十分に大きくするために、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態のV字型要素の2つのアーム間の最小角度は60より大きい場合がある度、任意で80度より大きい、任意で100度より大きい、任意で120度より大きい。
【0049】
十分に大きい分離距離を持つことにより、円周方向に変形可能な要素の隣接するリングは、半径方向に拡張および長手方向に収縮した状態で互いに近づくことができ、この状態でチューブの多孔度が減少し、デバイスの性能と有効性が向上する。比較的大きな分離距離を提供することにより、長手方向に変形可能な要素を比較的長くすることが可能になり、長手方向に変形可能な要素に沿って応力を有利に分散させる。
【0050】
上記の実施形態のいずれかのチューブは、動脈瘤嚢の開口部上にチューブを導入し、それによって動脈瘤嚢からの血流の方向を変えて動脈瘤嚢内の血栓形成を促進することを含む、動脈瘤を治療する方法で使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8