(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】OLED表示パネルのフレキシブル基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220826BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220826BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220826BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220826BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220826BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220826BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20220826BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/00 342
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/10
H01L27/32
B32B27/34
B32B27/00 101
(21)【出願番号】P 2020504665
(86)(22)【出願日】2017-11-06
(86)【国際出願番号】 CN2017109461
(87)【国際公開番号】W WO2019024302
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】201710660404.7
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】秦 学思
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-187987(JP,A)
【文献】特開平05-234538(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106206945(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/00 - 33/28
B32B 27/34
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法であって、
ガラス基板を提供するステップS10と、
前記ステップS10は、
前記ガラス基板の表面でフォトレジスト層を製造するステップS101を含み、
前記ガラス基板の表面で第1ポリイミド層を製造するステップS20と、
前記第1ポリイミド層の表面でバッファ層を製造するステップS30と、
前記ステップS30は、
前記第1ポリイミド層の表面で酸化シリコン層を製造するステップS301と、
イオン注入法によって前記酸化シリコン層にチタンイオンを注入し、酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成するステップS302と、を含
み、
前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造するステップS40と、を含
み、
前記ステップS302において、チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少しているOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法。
【請求項2】
前記ステップS302において、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である請求項
1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項3】
前記ステップS40の後に、
前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層を製造するステップS50をさらに含む請求項1に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項4】
前記ステップS50の後に、
前記ガラス基板をレーザにより剥離するステップS60をさらに含む請求項
3に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項5】
OLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法であって、
ガラス基板を提供するステップS10と、
前記ガラス基板の表面で第1ポリイミド層を製造するステップS20と、
前記第1ポリイミド層の表面でバッファ層を製造するステップS30と、
前記ステップS30は、
前記第1ポリイミド層の表面で酸化シリコン層を製造するステップS301と、
イオン注入法によって前記酸化シリコン層にチタンイオンを注入し、酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成するステップS302と、を含み、
前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造するステップS40と、を含
み、
前記ステップS302において、チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少しているOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法。
【請求項6】
前記ステップS302において、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である請求項
5に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項7】
前記ステップS40の後に、
前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層を製造するステップS50をさらに含む請求項
5に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項8】
前記ステップS50の後に、
前記ガラス基板をレーザにより剥離するステップS60をさらに含む請求項
7に記載のフレキシブル基板の製造方法。
【請求項9】
第1ポリイミド層と、
前記第1ポリイミド層の表面で製造されるバッファ層と、を含み、
前記バッファ層は、
前記第1ポリイミド層の表面で製造された酸化シリコン層であって、前記酸化シリコン層内にチタンイオンが注入される酸化シリコン層と、
前記バッファ層の表面で製造された多結晶シリコン層と、を含
み、
チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少している請求項
5に記載の製造方法により製造されるフレキシブル基板。
【請求項10】
前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である請求項
9に記載のフレキシブル基板。
【請求項11】
前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層が製造されている請求項
9に記載のフレキシブル基板。
【請求項12】
前記バッファ層の膜厚は、前記第1ポリイミド層の膜厚の約3倍である請求項
9に記載のフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示技術分野に関し、特にGOA回路及び前記GOA回路を有する液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンスディスプレイとも呼ばれるOLED(Organic Light-Emitting Diode,有機発光ダイオード)ディスプレイは、新興のフラットパネル表示装置であり、製造工程が簡単で、コストが低く、消費電力が低く、発光輝度が高く、動作温度の適応範囲が広く、体積が軽量で薄く、応答速度が速く、カラー表示及び大画面表示が容易であり、集積回路ドライバとのマッチングが容易であり、フレキシブルディスプレイが容易であるなどの利点を有するため、広い将来性を有し、最近、フレキシブルOLEDパネルが有機発光素子の重要な研究方向となり、パネルの可撓性を実現するために、従来のガラス基板の代わりにフレキシブル基板を選択している。
【0003】
フレキシブルOLEDパネルはパネル開発の新しい方向になり、次世代のフレキシブルOLEDパネルはフレキシブルPI(Polyimide,ポリイミド)を基板とし、これはPIが高い性能を持たせるように求められ、PIの欠陥をできるだけ減らし、フレキシブルOLEDパネルの製造歩留まりを向上させるため、OLEDパネルの製造過程でPIのダメージを減らすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フレキシブルOLEDパネルの製造工程において、レーザアニール及びガラス基板をレーザにより剥離する際に、PIに一定のダメージを与えることになり、ひいてはPIのボイド破れ現象が起こることがある。
【0005】
製造工程におけるレーザによるPIへのダメージを低減するために、従来から該問題を解消するために、Buffer(バッファ)層を用い、SiNx(窒化シリコン)は、ガラス基板におけるAl/Ba/Na(アルミニウム/バリウム/ナトリウム)などのイオンがPIへの拡散をバリアし、漏れ電流を低減し、SiOx(酸化シリコン)は、保温効果が優れており、a-Si(アモルファスシリコン)の結晶化過程における熱の逃げを低減し、大きな結晶粒の製造に有利であり、SiNxはイオンを遮断する能力が強くてガラスとの接触応力が小さく、SiOxは多結晶シリコンとの界面濡れ角が良いため、SiNx/SiOxの積層方式を用いる。しかし、フレキシブルOLEDパネルの基板において、SiNx層がガラス基板に直接接触していないため、その作用効果が絶縁バッファ作用に限られる。SiOxはELA(レーザアニール)過程での保温効果が不十分であり、PI層のダメージになりやすい。
【0006】
以上のようにして、従来技術のOLED表示パネルのフレキシブル基板のバッファ層は、PI層への保護効果が不十分であり、PI層のダメージを引き起こしやすく、さらにOLED表示パネルの品質に影響を与えてしまう。
【0007】
本発明は、従来技術のOLED表示パネルのフレキシブル基板のバッファ層は、PI層への保護効果が不十分であり、PI層のダメージを引き起こしやすく、さらにOLED表示パネルの品質に影響を与えてしまう問題を解消するために、OLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は下記の技術的手段を提供する。
【0009】
本発明は、OLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法を提供し、前記方法はステップS10~ステップS40を含む。
【0010】
ステップS10:ガラス基板を提供する。
【0011】
前記ステップS10はステップS101を含む。
【0012】
ステップS101:前記ガラス基板の表面でフォトレジスト層を製造する。
【0013】
ステップS20:前記ガラス基板の表面で第1ポリイミド層を製造する。
【0014】
ステップS30:前記第1ポリイミド層の表面でバッファ層を製造する。
【0015】
前記ステップS30はステップS301及びステップS302を含む。
【0016】
ステップS301:前記第1ポリイミド層の表面で酸化シリコン層を製造する。
【0017】
ステップS302:イオン注入法によって前記酸化シリコン層にチタンイオンを注入し、
酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成する。
【0018】
ステップS40:前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造する。
【0019】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS302において、前記チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少している。
【0020】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS302において、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である。
【0021】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS40の後に、ステップS50をさらに含む。
【0022】
ステップS50:前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層を製造する。
【0023】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS50の後に、ステップS60をさらに含む。
【0024】
ステップS60:前記ガラス基板をレーザにより剥離する。
【0025】
本発明は、他のOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法をさらに提供し、前記方法はステップS10~ステップS40を含む。
【0026】
ステップS10:ガラス基板を提供する。
【0027】
ステップS20:前記ガラス基板の表面で第1ポリイミド層を製造する。
【0028】
ステップS30:前記第1ポリイミド層の表面でバッファ層を製造する。
【0029】
前記ステップS30はステップS301及びステップS302を含む。
【0030】
ステップS301:前記第1ポリイミド層の表面で酸化シリコン層を製造する。
【0031】
ステップS302:イオン注入法によって前記酸化シリコン層にチタンイオンを注入し、
【0032】
酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成する。
【0033】
ステップS40:前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造する。
【0034】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS302において、前記チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少している。
【0035】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS302において、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である。
【0036】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS40の後に、ステップS50をさらに含む。
【0037】
ステップS50:前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層を製造する。
【0038】
本発明の好ましい実施例によると、前記ステップS50の後に、ステップS60をさらに含む。
【0039】
ステップS60:前記ガラス基板をレーザにより剥離する。
【0040】
本発明の上記の目的によると、上記の製造方法により製造されたフレキシブル基板を提供し、前記フレキシブル基板は、
第1ポリイミド層と、
前記第1ポリイミド層の表面で製造されたバッファ層とを含み、前記バッファ層は、
前記第1ポリイミド層の表面で製造された酸化シリコン層であって、
前記酸化シリコン層内にチタンイオンが注入される酸化シリコン層と、
前記バッファ層の表面で製造された多結晶シリコン層とを含む。
【0041】
本発明の好ましい実施例によると、前記チタンイオン濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少している。
【0042】
本発明の好ましい実施例によると、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0である。
【0043】
本発明の好ましい実施例によると、前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層が製造されている。
【0044】
本発明の好ましい実施例によると、前記バッファ層の膜厚は、前記第1ポリイミド層の膜厚の約3倍である。
【発明の効果】
【0045】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、従来のOLED表示パネルのフレキシブル基板に比べて、本発明に係るOLED表示パネルのフレキシブル基板は、バッファ層が紫外レーザ光の吸収量を増加させ、紫外レーザ光の透過率を低下させ、レーザアニールによるPI層へのダメージを減少させ、製品歩留まりを向上させ、従来技術のOLED表示パネルのフレキシブル基板のバッファ層は、PI層への保護効果が不十分であり、PI層のダメージを引き起こしやすく、さらにOLED表示パネルの品質に影響を与えてしまう問題を解消している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下、実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に使用する添付図面を簡単に説明するが、以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【
図1】
図1は、本発明のOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の製造方法により製造されたフレキシブル基板の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明を実施するための特定の実施例を例示するために、添付されている図面を参照して各実施例を説明する。[上]、[下]、[前]、[後]、[左]、[右]、[内]、[外]、「側面]などの本発明で言及される方向の用語は、単に添付図面を参照する方向に過ぎない。従って、方向の用語は、本発明を説明して理解するために使用され、本発明を限定するためのものではない。図面において、構造的に同様の要素は同じ符号で示されている。
【0048】
本発明は、従来のOLED表示パネルのフレキシブル基板のバッファ層は、PI層への保護効果が不十分であり、PI層のダメージを引き起こしやすく、さらにOLED表示パネルの品質に影響を与えてしまう欠陥について、本実施例により解決することができる。
【0049】
図1に示すように、本発明に係るOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法はステップS10~ステップS40を含む。
【0050】
ステップS10:ガラス基板を提供する。
【0051】
ステップS20:前記ガラス基板の表面で第1ポリイミド層を製造する。
【0052】
ステップS30:前記第1ポリイミド層の表面でバッファ層を製造する。さらに、前記ステップS30は、前記第1ポリイミド層の表面で酸化シリコン層を製造するステップS301と、イオン注入法によって、前記酸化シリコン層にチタンイオン注入を行い、酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成するステップS302とを含む。
【0053】
ステップS40:前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造する。
【0054】
前記ステップS20において、前記第1ポリイミド層は、前記フレキシブル基板及びOLED表示パネルの保護層として高い屈曲性及び耐衝撃性を有する。
【0055】
前記ステップS30で製造されたバッファ層は、OLED表示パネルがレーザアニール工程において、紫外レーザ光の透過率を低下させ、さらに紫外レーザ光による前記第1ポリイミド層へのダメージを減少させることができ、また、前記フレキシブル基板の製造が完了した後、前記フレキシブル基板の表面でTFT(薄膜トランジスタ)層及びOLED発光層を製造し、OLED表示パネルの製造が完了した後、紫外レーザ光によりステップS10で提供されたガラス基板を剥離し、この場合に、前記バッファ層は紫外レーザ光の透過率を低下させ、紫外レーザ光が前記フレキシブル基板を透過して前記TFT層にダメージを与えることを防止する。
【0056】
例えば、前記ステップS10の後に、前記ガラス基板の表面でフォトレジスト層を製造するステップS101をさらに含み、前記第1ポリイミド層が前記フォトレジスト層の表面で製造されている。前記フォトレジスト層は、紫外レーザ光により前記ガラス基板を剥離する際に、紫外レーザ光がガラス基板を透過して前記第1ポリイミド層に与えるダメージを防止することができ、前記ガラス基板の剥離が完了した後に、前記フォトレジスト層を剥離する。
【0057】
前記ステップS301において、前記第1ポリイミド層の表面で厚い酸化シリコン層を製造し、前記酸化シリコン層が優れた保温効果を有し、前記ステップS40における多結晶シリコンの結晶化過程における熱の逃げを低減し、大きな結晶粒の製造に有利である。
【0058】
前記ステップS302において、イオン注入法によって、前記酸化シリコン層にチタンイオン注入を行い、酸化チタンと酸化シリコンとの混合層を形成する。酸化チタンの結晶粒径をナノメートルオーダーの範囲に制御することは、紫外光に対するバリア効果が大きい。
【0059】
イオン注入装置により前記酸化シリコン層にチタンイオンを注入する際に、イオンビームのエネルギーを制御することにより、イオン注入の横方向の面積及び注入深さを制御する。イオンビームを制御することにより、前記チタンイオンは横方向の分布において、分布範囲が前記酸化シリコン層の範囲に限りなく近く、前記チタンイオンは縦方向の分布において、チタンイオンの濃度分布は、前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層から遠い側から前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側にかけて徐々に減少し、さらに前記酸化シリコン層の導電性の可能性が低減される。
【0060】
前記酸化シリコン層の前記第1ポリイミド層に近い側のチタンイオンの相対含有量が0であり、前記酸化シリコン層内には、前記酸化シリコン層内の前記第1ポリイミド層に近い位置に位置するノンドープ領域が含まれ、前記ノンドープ領域にはチタンイオンが注入されておらず、前記ノンドープ領域は、酸化チタンが前記酸化シリコン層の絶縁効果に影響を与えることを防止するように分離領域として機能する。
【0061】
前記ステップS40において、前記バッファ層の表面で多結晶シリコン層を製造し、前記多結晶シリコン層がアモルファスシリコンに換えられても良い。
【0062】
前記ステップS40の後に、前記多結晶シリコン層の表面で第2ポリイミド層を製造するステップS50をさらに含み、前記第2ポリイミド層は、前記第2ポリイミド層と共に前記フレキシブル基板の保護層とし 、前記ステップS40における前記多結晶シリコン層は、前記第2ポリイミド層と前記バッファ層との接着層として用いられる。
【0063】
前記ステップS50の後に、前記ガラス基板をレーザにより剥離して屈曲可能な前記フレキシブル基板を形成するステップS60をさらに含み、前記ステップS50の後で前記ステップS60の前に、前記第2ポリイミド層の表面でTFT層を製造するステップS501と、前記TFT層の表面でOLED発光層を製造するステップS502とをさらに含む。
【0064】
本発明の上記の目的によると、上記の製造方法により製造されたフレキシブル基板を提供し、
図2に示すように、前記フレキシブル基板は、第1ポリイミド層101と、前記第1ポリイミド層101の表面で製造されたバッファ層102とを含み、前記バッファ層102は、前記第1ポリイミド層101の表面で製造された酸化シリコン層1021であって、前記酸化シリコン層1021内にチタンイオン1022が注入された酸化シリコン層1021と、前記バッファ層102の表面で製造された多結晶シリコン層103とを含む。
【0065】
本発明の好ましい実施例によると、前記チタンイオン1022濃度分布は、前記酸化シリコン層1021の前記第1ポリイミド層101から遠い側から前記酸化シリコン層1021の前記第1ポリイミド層101に近い側にかけて徐々に減少している。
【0066】
本発明の好ましい実施例によると、前記酸化シリコン層1021の前記第1ポリイミド層101に近い側のチタンイオン1022の相対含有量が0であり、前記酸化シリコン層1021内には、前記酸化シリコン層1021の前記第1ポリイミド層101に近接した位置に位置するノンドープ領域104が含まれており、前記ノンドープ領域104にはチタンイオン1022が注入されておらず、前記ノンドープ領域104は、酸化チタンが前記酸化シリコン層1021の絶縁効果に影響を与えることを防止するように分離領域として機能する。
【0067】
本発明の好ましい実施例によると、前記多結晶シリコン層103の表面で第2ポリイミド層が製造されている。
【0068】
本発明の好ましい実施例によると、前記バッファ層102の膜厚は、前記第1ポリイミド層101の膜厚の約3倍である。
【0069】
この好ましい実施例のフレキシブル基板は、上記の好ましい実施例のOLED表示パネルのフレキシブル基板の製造方法によって製造されてなるが、具体的な原理は上記の好ましい実施例の製造方法と同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0070】
本発明の有益な効果は以下の通りであり、従来のOLED表示パネルのフレキシブル基板に比べて、本発明に係るOLED表示パネルのフレキシブル基板は、バッファ層が紫外レーザ光の吸収量を増加させ、紫外レーザ光の透過率を低下させ、レーザアニールによるPI層へのダメージを減少させ、製品歩留まりを向上させ、従来技術のOLED表示パネルのフレキシブル基板のバッファ層は、PI層への保護効果が不十分であり、PI層のダメージを引き起こしやすく、さらにOLED表示パネルの品質に影響を与えてしまう問題を解消している。
【0071】
以上、本発明は、好ましい実施例を参照して説明したが、上述した好ましい実施例は、本発明を制限するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、様々な変更や修飾を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって準じされる。