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特許7130033風力発電装置及び風力発電装置の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】風力発電装置及び風力発電装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20220826BHJP
   F03D 17/00 20160101ALI20220826BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20220826BHJP
   G01L 1/02 20060101ALI20220826BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
F03D7/04 Z
F03D17/00
H02P9/00 F
G01L1/02
G01L5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020515880
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018073346
(87)【国際公開番号】W WO2019052827
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】102017121563.8
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
【住所又は居所原語表記】Borsigstrasse 26, 26607 Aurich Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】フォン アスヴェーゲ、エンノ
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-133461(JP,A)
【文献】特開2007-195315(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02927486(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
F03D 17/00
H02P 9/00
G01L 1/02
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風から電力を生成するための風力発電装置の運転方法であって、
・風力発電装置(200)はロータハブとそのブレード角(α)が調節可能な複数のロータブレード(201、202、203)を備えた空気力学的ロータを有し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転可能であり、
・風力発電装置(200)は、発電機電力を生成するための、空気力学的ロータに連結された発電機を有し、
・発電機は可変の発電機トルクで運転可能であり、
該方法は、
・風による風力発電装置(200)への荷重を決定すること、但し、荷重を決定することは、
ロータハブにおける歪測定によって、ハブ曲げモーメントを生成する少なくとも1つの力を検出すること、但し、ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化し、最大ハブ曲げモーメントは荷重として決定されること、
を含む、
・決定された荷重と予め設定可能な荷重限界値を比較すること、
・予め設定可能な荷重限界値への荷重の到達又は超過に応じて、荷重運転モードにおいて回転数及び発電機電力の少なくとも1つを減少すること、
を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
重の決定は、荷重を表す少なくとも1つの測定に基づき、又はロータブレードにおける又はロータハブ及び/又は複数のロータブレード(201、202、203)の少なくとも1つの翼根における歪測定に基づき、システム技術的推定アルゴリズムによって実行されること
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
荷重限界値は、支配的定格風速の際の通常運転モードにおいて基準荷重として検出される荷重に依存して決定されること
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
回転数及び/又は発電機電力は、検出された荷重に依存して減少されること、又は、
・荷重が回転数及び発電機電力の減少によって目標値又は目標値よりも小さい値としての荷重限界値に制御されるよう、
減少されること
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の方法において、
回転数及び発電機電力は、
・複数のロータブレード(201、202、203)の夫々のブレード角(α)が風の方向から逸されるよう、
・発電機トルクが発電機定格トルクを上回らないよう、
・発電機トルクが風速の増大に伴って減少されるよう、
減少されること
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の方法において、
・回転数は決定された荷重に依存して減少され、
・発電機電力は荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線に依存して減少されること、但し、
・荷重運転モードのためのこの回転数-電力特性曲線は、発電機定格電力を達成できない程に風が弱い場合の部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線とは異なること
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は、少なくとも部分回転数領域において、夫々、部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線よりもより大きい電力値を有すること
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の方法において、
発電機電力の供給のために、
・発電機によって生成された電流が整流され、第1直流電圧中間回路へ供給され、
・整流された電流が第1直流電圧中間回路から第2直流電圧中間回路へ供給されること、但し、
・第1直流電圧中間回路と第2直流電圧中間回路の間には、第1直流電圧中間回路の第1直流電圧を第2直流電圧中間回路の第2電圧へ昇圧するための、昇圧コンバータが配置されており、
・第2直流電圧中間回路の電流は、電気供給ネットへの給電のために、インバータによって交流電流に変換されること、但し、
・昇圧コンバータは第1直流電圧を、切替回転数を下回る回転数についてのみ、第2直流電圧へ昇圧し、この場合、第2直流電圧は第1直流電圧より大きく、
・切替回転数は部分負荷運転モードの場合、荷重運転モードの場合よりもより大きいこと
を特徴とする方法。
【請求項9】
風から電力を生成するための風力発電装置であって、
該風力発電装置は、
・ロータハブとそのブレード角(α)が調節可能な複数のロータブレードを有する空気力学的ロータ、但し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転されるよう構成されており、
・空気力学的ロータに連結された発電機、但し、発電機は電力を生成するよう構成されており、発電機は可変の発電機トルクで運転されるよう構成されており、
・風により風力発電装置(200)に作用し、ハブ曲げモーメントを生成する荷重を決定するよう構成された検出装置、但し、ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化し、最大ハブ曲げモーメントは荷重として決定される、及び、
・予め設定可能な荷重限界値への荷重の到達又は超過に応じて、風力発電装置を運転する荷重運転モードにおいて回転数及び発電機電力の少なくとも1つを荷重に応じて減少するよう構成された、制御装置
を含む、
風力発電装置。
【請求項10】
請求項9に記載の風力発電装置において、
該風力発電装置は請求項1~8の何れかに記載の方法を実行するよう構成されていること
を特徴とする風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電装置の運転方法に関する。更に、本発明はそのような風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は既知であり、風から電力を生成するものである。しかしながら、風が強すぎる場合、とりわけ風が暴風の風速(Sturmwindgeschwindigkeit)に到達する場合、風力発電装置を保護のためにスイッチオフすること、とりわけ、暴風が衝突する風力発電装置のエリアが可及的に小さくなるよう、風力発電装置をフェザリング位置へもたらすことが妥当である場合がある。
【0003】
そのようなスイッチオフを回避するために、ないしは少なくとも、風力発電装置の実際のスイッチオフが可及的に遅くになってから即ち可及的に大きな風速になってから必要となるよう、(そのようなスイッチオフを)遅延させるために、極めて大きく危険な風速になってから初めて風力発電装置の回転数又は出力を減少する幾つかの方策が提案されている。その一例は公開公報DE 195 32 409に記載されている。この例では、より早期のスイッチオフ速度(風速)以降、風速の更なる増大に応じて、その場合に風力発電装置をスイッチオフする代わりに、回転数及び出力(電力)が減少される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 195 32 409 A1
【文献】DE 10 2006 034 106 A1
【文献】US 2009/0060740 A1
【文献】US 2009/0261588 A1
【文献】WO 2015/086024 A1
【文献】WO 2017/036481 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような制御(Regelung)は有効であることが分かっているが、(更なる)改善を施すことも可能である。
【0006】
例えば、風力発電装置への荷重は支配的即ち平均風速から生じるだけではなく、風の突風度(ないし突風性:Boeigkeit)も荷重に対して役割を果たし得る(荷重に寄与し得る)。風向(風の方向)の変化(交替)も荷重に対して役割を果たし得る。
【0007】
突風度の考慮は、特性曲線の相応に急速な逸れ(逸脱推移:Abfahren)によって、従って突風(Boee)が風速の急速な変化としてのみ認識される場合、考慮されることができるであろう。しかしながら、これにより、相応に迅速な制御(Regelung)が必要になり得る。
【0008】
変化する風向は相応のアジマス位置(方位)調節によって考慮されることができる。しかしながら、この場合も、荷重減少を達成(実現)するために、迅速な制御が必要になるであろう。
【0009】
更に、そのような迅速制御の場合、風速の変化に対しても、風向の変化に対しても、風力発電装置の調整(状態)は、とりわけロータブレードのブレード角も、変化されるが、これもまた、荷重に影響を及ぼす。
【0010】
更に、同様に、現代の風力発電装置はますます大きなロータを有するが、その直径は140メートル以上になることがある。そのように大きなロータ径及び相応に大きなロータ面即ちロータブレード(の回転)によってカバーされる面の場合、局所的に変化する風速もまた役割を果たす。
【0011】
結果的に、風力発電装置への荷重を増大し得る多くの要因が生じる。風力発電装置の過大ストレス(ないし過大荷重:Ueberbeanspruchung)は自動的に故障を引き起こすのではなく、寧ろ、疲労現象が風力発電装置の全寿命に対し影響を及ぼし得ることにも留意すべきである。その限りにおいて、見込み暴風荷重及び該荷重に対する応答の仕方ないし態様は既に風力発電装置の設計に対して重要な役割を果たし得る。
【0012】
この問題に対処するための1つの可能性は、安全(安定)予備力(Sicherheitsreserve)が設けられるよう、荷重を減少する仕方(態様)での風力発電装置の運転を構成することであろう。従って、風力発電装置は、例えば、予防的に、場合によっては必要であろうよりもより小さい回転数及びより少ない出力(電力)によって運転されることができる。そのような制御によって、安全性及び風力発電装置の見積り(予測)寿命(耐用期間)は保証されることができるであろうが、これは(電力)生産量(ないし収益)の損失をもたらさざるを得ないであろう。
【0013】
ドイツ特許商標庁は本願の優先権主張の基礎出願について以下の先行技術をサーチした:DE 195 32 409 A1;DE 10 2006 034 106 A1;US 2009/0060740 A1;US 2009/0261588 A1;WO 2015/086024 A1及びWO 2017/036481 A1。
【0014】
従って、本発明の課題は上記の問題の少なくとも1つを対処することである。とりわけ、風力発電装置が、大きな風速の場合に、当該風力発電装置が過大に荷重されないよう、それにも拘らず、可及的に多くの(電力)生産量(ないし収益:Ertrag)が達成されるよう、その際好ましくは風の不均一性(非一様性)も一緒に考慮できるよう、運転される方策の提案が望まれる。少なくとも、従来既知の方策に対する代替的な方策の提案が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点により、風から電力を生成するための風力発電装置の運転方法が提供される。
・風力発電装置はロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを備えた空気力学的ロータを有し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転可能であり、
・風力発電装置は、発電機電力を生成するための、空気力学的ロータに連結された発電機を有し、
・発電機は可変の発電機トルクで運転可能であり、
該方法は、
・風による風力発電装置への荷重を決定すること、但し、荷重を決定することは、
ロータハブにおける歪測定によって、ハブ曲げモーメントを生成する少なくとも1つの力を検出すること、但し、ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化し、最大ハブ曲げモーメントは荷重として決定されること、
を含む、
・決定された荷重と予め設定可能な荷重限界値を比較すること、
・予め設定可能な荷重限界値への荷重の到達又は超過に応じて、荷重運転モードにおいて回転数及び発電機電力の少なくとも1つを減少すること、
を含むことを特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、風から電力を生成するための風力発電装置が提供される。
該風力発電装置は、
・ロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを有する空気力学的ロータ、但し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転されるよう構成されており、
・空気力学的ロータに連結された発電機、但し、発電機は電力を生成するよう構成されており、発電機は可変の発電機トルクで運転されるよう構成されており、
・風により風力発電装置に作用し、ハブ曲げモーメントを生成する荷重を決定するよう構成された検出装置、但し、ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化し、最大ハブ曲げモーメントは荷重として決定される、及び、
・予め設定可能な荷重限界値への荷重の到達又は超過に応じて、風力発電装置を運転する荷重運転モードにおいて回転数及び発電機電力の少なくとも1つを荷重に応じて減少するよう構成された、制御装置
を含む(形態9)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の方法において、荷重の決定は、荷重を表す少なくとも1つの測定に基づき、又はロータブレードにおける又はロータハブ及び/又は複数のロータブレードの少なくとも1つの翼根における歪測定に基づき、システム技術的推定アルゴリズムによって実行されることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、荷重限界値は、支配的定格風速の際の通常運転モードにおいて基準荷重として検出される荷重に依存して決定されることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの方法において、
回転数及び/又は発電機電力は、検出された荷重に依存して減少されること、又は、
・荷重が回転数及び発電機電力の減少によって目標値又は目標値よりも小さい値としての荷重限界値に制御されるよう、
減少されることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの方法において、回転数及び発電機電力は、
・複数のロータブレードの夫々のブレード角が風の方向から逸されるよう、
・発電機トルクが発電機定格トルクを上回らないよう、
・発電機トルクが風速の増大に伴って減少されるよう、
減少されることが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかの方法において、
・回転数は決定された荷重に依存して減少され、
・発電機電力は荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線に依存して減少されること、但し、
・荷重運転モードのためのこの回転数-電力特性曲線は、発電機定格電力を達成できない程に風が弱い場合の部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線とは異なることが好ましい。
(形態7)形態6に記載の方法において、荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は、少なくとも部分回転数領域において、夫々、部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線よりもより大きい電力値を有することが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの方法において、発電機電力の供給のために、
・発電機によって生成された電流が整流され、第1直流電圧中間回路へ供給され、
・整流された電流が第1直流電圧中間回路から第2直流電圧中間回路へ供給されること、但し、
・第1直流電圧中間回路と第2直流電圧中間回路の間には、第1直流電圧中間回路の第1直流電圧を第2直流電圧中間回路の第2電圧へ昇圧するための、昇圧コンバータが配置されており、
・第2直流電圧中間回路の電流は、電気供給ネットへの給電のために、インバータによって交流電流に変換されること、但し、
・昇圧コンバータは第1直流電圧を、切替回転数を下回る回転数についてのみ、第2直流電圧へ昇圧し、この場合、第2直流電圧は第1直流電圧より大きく、
・切替回転数は部分負荷運転モードの場合、荷重運転モードの場合よりもより大きいことが好ましい。
(形態9)上記本発明の第2の視点参照。
(形態10)形態9の風力発電装置において、該風力発電装置は形態1~8の何れかの方法を実行するよう構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明により、請求項1に記載の方法が提案される。これに応じ、風から電力を生成するための風力発電装置が運転される。該風力発電装置は、ロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを備える空気力学的ロータを有する。空気力学的ロータは、更に、可変回転数で運転可能に構成されている。更に、風力発電装置は、発電機電力(発電機出力)を生成するための、空気力学的ロータに連結された発電機を有する。更に、発電機は、可変の発電機トルクで運転可能に構成されている。発電機トルクは、例えば発電機の運転中に励磁電流によって影響されることができる。
【0018】
この風力発電装置を運転するために、風による風力発電装置への荷重を示す(代表する)荷重変数が決定されることが提案される。従って、風速を考慮することだけではなく、直接的に荷重変数を決定すること、それによって、風力発電装置への荷重に関する直接的情報を取得することが提案される。そして、この荷重は直接的に考慮されることができ、安全(のための)余裕(予備力)(Sicherheitsaufschlag)考慮する必要がないか又は極めて大きな安全余裕は考慮する必要がない。荷重変数の直接的決定は、荷重を認識(検出)すること、及び、これから、残存寿命への影響についての推定(評価)をなすことも可能にする。
【0019】
ここで、回転数及び/又は発電機電力は荷重運転モード(Belastungsbetrieb)において荷重変数に依存して減少されることが提案される。少なくとも、回転数及び発電機電力は、又は該変数(複数)の少なくとも1つは、荷重変数が予め設定可能な荷重限界値に到達したときに、減少される。従って、荷重は吸収されるが、初めのうちは、風力発電装置は通常運転モード(Standardbetrieb)から外れない。そして、荷重運転モードにスイッチされることができる。これは、荷重変数に依存して、又は、風速検出に基づいても、実行可能である。荷重運転モードが実行中の場合、荷重変数に依存して、回転数及び/又は発電機電力は減少されることができる。とりわけ、両方の変数を減少することが好ましい。なぜなら、これらは両方とも風力発電装置への荷重を減少するからである。尤も、最初に、両者の変数の一方のみを減少し、次いで、荷重が増大する場合、他方の変数を減少すること、従ってこの場合両方の変数を減少することも、とりわけ考慮される。
【0020】
最も単純な場合、単にこの決定された荷重変数が予め設定可能な荷重限界値に到達したとき、回転数と発電機電力が荷重運転モードにおいて減少されるよう構成されている。従って、この場合、この荷重限界値に到達すると、荷重運転モードへスイッチされる。予め設定可能な荷重限界値は、その値以降に風力発電装置が危険に晒される限界値である必要はなく、この荷重限界値はより小さい値に選択されることも可能である。その他の点では、これは、回転数及び発電機電力は即座に同時に減少されないことも意味するないしは含むことができる。尤も、これらの減少は、荷重運転モードにおいて、好ましくは更に同時にかつ荷重運転モードへのスイッチの丁度開始時に、提供される(実行される)。
【0021】
更に、荷重変数を決定するために、風力発電装置に作用する力変数が使用される。これは、直接的には並進力(translatorisch Kraft)であることが可能であり、又は回転方向又は曲げ方向に作用する力変数であることが可能である。このことは、風力発電装置に作用するこの力変数が直接的に荷重変数として使用されることも意味することができる。従って、この場合、機械的荷重が(基礎として)使用される。その限りにおいて、風力発電装置に作用する力も、同義的に、風力発電装置に作用する機械的荷重として表現されることができる。これは、曲げモーメント及びねじりモーメント又はこれらの組み合わせを含む。
【0022】
いずれにせよ、風力発電装置に作用する力変数が直接的に使用される場合、荷重を減少する又は荷重を制限する直接的制御を達成できることが(本発明により)判明した。そして、この力変数から、全体として、明確な荷重を導き出すことができる。この場合、そのような荷重は風力発電装置の種々異なる構成要素に対しても生じ得る。経験値(複数)から又は予め記録されているシミュレーション(複数)から、場合によってはある特定の部位における(1つの)荷重から、風力発電装置の種々異なる部位(複数)における種々異なる荷重(複数)を導き出すことができる。この場合、(1つの)荷重は、とりわけ考慮される力変数は、必ずしも単なる静的な意味での(1つの)値として考慮されるべきではない。例えば周期的に変動するようにも生じ得る力変数の変化も考慮される。(基礎として)使用される力変数は、そのような特性に依存して、風力発電装置の種々の部位(複数)における相応の荷重ピークをもたらすことができる。
【0023】
風力発電装置に作用する力変数はとりわけ複数の測定(値)から決定されることができるが、この場合、該力変数が複数の測定(値)から構成されること、ないしは該力変数の決定のために風力発電装置の種々異なる部位(複数)における複数の測定(値)が(基礎として)使用されることも考慮される。例えば、3つのロータブレードを有する現代の風力発電装置の場合、各ロータブレードにおいて荷重測定が実行され、そして、3つのロータブレードにおけるこれらの荷重測定(値)から、全体的に作用する(有効な)力変数が他の部位において決定されることができる。
【0024】
荷重運転モード(Belastungsbetrieb)は、とりわけ、暴風(Sturm)に相当する又はこれを超える風速が生じる暴風状況又は暴風運転モードを記述する(意味する)。とりわけそのように大きな風速は、風力発電装置に強く荷重を加え、更には損傷し得る。
【0025】
好ましくは、ハブ曲げモーメント(Nabenbiegemoment)が検出されること、及び、ハブ曲げモーメントが荷重変数の決定のために又は荷重変数として使用されることが提案される。そのようなハブ曲げモーメントは、とりわけ、全部のロータブレードに作用する力(複数)は全体としてハブに作用し、それによってハブ曲げモーメントに決定的な影響を及ぼすため、荷重変数として良好に適合的である。この場合、ハブ曲げモーメントは、風力発電装置に対する荷重の大部分を吸収(受容)するロータブレードの近く(の領域)において直接的に作用する。更に、ハブは、ロータ軸受の直ぐ近く(の領域)に、従って、空気力学的ロータに対する荷重の大部分を吸収(受容)しなければならず、場合によってはそれによって損傷され得る部材の直ぐ近く(の領域)にある。
【0026】
更に、ハブ曲げモーメントは絶対値だけではなく、方向のある値も含むことができる。
【0027】
とりわけ暴風状況の場合、大きな風速が生じるだけではなく、その際、風は通常は一様(ないし均一)ではない。風速は、時間と共に急速に変化し得るだけではなく、場所に応じて、とりわけ高度に応じて急速に変化し得る。現代の風力発電装置は大きなロータ面を有し、そのようなロータ面にわたって変化する風速はロータに不均一な荷重を引き起こし得る。これもまたハブ曲げモーメントに反映され得る。風力発電装置は、そのような不均一な荷重によって、大きな風速だけによるよりも、より強く荷重が加えられるか又は損傷されることも時に起こり得る。従って、風速が風力発電装置への荷重の基準として極めて決定的ではないことも考慮される。なぜなら、所定の風速は当該風速の変化の仕方(態様)及び変化の大きさに依存して、風速のレベルを超える値には反映されない著しく異なる荷重を引き起こすことがあるからである。
【0028】
実際の荷重変数の、とりわけハブ曲げモーメントの、決定によって、実際の荷重はより良く考慮されることができる。とりわけロータフィールド(ロータ面)にわたる不均一な荷重を考慮することができ、これに対してより目的通りに(より的確に:gezielter)応答することができる。とりわけ、(ある)風速値に関して、回転数及び/又は発電機電力は、風フィールド(Windfeld)に応じて、より早期に又はより遅くに減少されることができる。
【0029】
ハブ曲げモーメントを考慮する代わりに、又はこれに加えて、シャフト曲げモーメント(ハブを発電機のロータに結合させるシャフトに作用する曲げモーメント:Wellenbiegemoment)、軸曲げモーメント(ハブを支持する軸ジャーナルに作用する曲げモーメント:Achsenbiegemoment)及び/又はタワーヘッド曲げモーメント(Turmkopfbiegemoment)も、荷重変数の決定のために又は荷重変数として使用可能である。ハブ曲げモーメントについて記述した説明および利点はこれらのモーメントにも同様に適用可能である。
【0030】
一実施形態により、風力発電装置に作用する力変数の検出のために、とりわけハブ曲げモーメントの検出のために、少なくとも1回の歪測定がロータハブにおいて及び代替的に又は付加的に少なくとも1つのロータブレードにおいて、とりわけ翼根の表面又は傍において、実行されることが提案される。好ましくは、歪測定は、各ロータブレードにおいてないし各翼根の表面又は傍において実行される。好ましくは、この場合、その都度複数回の、とりわけ2回の、歪測定が実行され、これによって、種々異なる荷重方向(複数)を記録することができる。
【0031】
この場合、歪測定によるそのような荷重測定は、即ち夫々少なくとも1つの歪ゲージによる測定は、簡単な方法で実行することができ、しばしば他の応用例についても使用することができることが(本発明により)判明した。とりわけ個別ブレード調節のために、そのような歪測定を使用することができる。尤も、この場合、風力発電装置に全体的に作用し、従って荷重変数の決定のために適合的な力変数を(歪測定から)検出するために、歪測定を使用することが提案される。かくして、風力発電装置全体に関連する荷重変数が決定され、この場合、該荷重変数は、回転数及び発電機電力の減少のための荷重運転モードのために使用される。
【0032】
更なる一実施形態により、本方法において、荷重変数の決定は、荷重を示す(代表する)測定(値)に基づきシステム技術的推定(評価)アルゴリズムによって実行される。この場合、複数の部位における複数の測定も使用することができる。ここで、測定とは実質的に連続測定として理解されるべきものである。この場合、連続測定には、例えば大きなスキャン速度(サンプリングレート)で離散的に測定が行われる準連続測定も含まれる。
【0033】
とりわけ、ロータハブにおける及び代替的に又は付加的にロータブレード(複数)の翼根の表面ないしロータブレード(複数)の翼根の領域における歪測定が(基礎として)使用される。翼根の領域における1つの部位は、とりわけ、関連するロータブレードのハブにおける固定(取付け)に介在するブレードアダプタである。かくして、この測定(値)又は、少なくとも、1つの代表測定(値)は、そのような推定アルゴリズムの入力信号又は入力変数として使用される。
【0034】
そのようなシステム技術的推定アルゴリズムは、とりわけ、その都度の測定と決定されるべき荷重変数との間の関係を(予め)規定している計算規則(Berechnungsvorschrift)として構成されることができる。例えば、歪ゲージによって、翼根における荷重を測定することができる。そして、それに基づき、システム技術的推定アルゴリズムによって、曲げモーメントが荷重変数として検出される。このために、この例では推定アルゴリズムを形成可能な計算アルゴリズムの基礎として、翼根におけるその都度の荷重と結果として得られる曲げモーメント即ち例えばハブ曲げモーメントとの間の関係が使用される。
【0035】
そのような関係は、例えば、試験の構成(Testaufbau)において入力変数及び出力変数が、この場合、翼根における測定(値)が入力変数として及び結果として得られるハブ曲げモーメントが出力変数として測定される場合、代表測定によって取り込まれる(含められる)ことができ、それに基づき、例えばシステム同定の既知の方法によって、この関係のためのシステムモデルを作成することができる。そのような関係を負荷シミュレーション(Lastsimulation)によって決定することも考慮される。そのような負荷シミュレーションでは、風力発電装置の関連する構成要素の良好なモデルが(基礎として)使用される。例えば、そのようなモデルは有限要素法によって決定されることができる。各ロータブレードについて1つの関係が取り込まれかつ考慮されることができる。そして、この例では、各翼根への荷重から、この場合通常は3つのロータブレード、従って3つの翼根に基づき得るが、大きさ(Betrag)及び方向に基づく(を有する)部分ハブ曲げモーメントが得られる。この部分ハブ曲げモーメントは例えば相応のベクトルとして、具体的には力変数ベクトルとして考慮されるか又は記述されることができる。そして、これらの3つの部分ハブ曲げモーメントは、これはロータブレードが3つの場合のことであるが、ベクトル的に合成されて1つの全体ハブ曲げモーメントを形成することができる。
【0036】
好ましくは、翼根曲げモーメントからハブ曲げモーメントを決定するために、行列乗算も実行することができる。そのような行列乗算は力平衡(Kraeftegleichgewicht)から導出することができる。
【0037】
尤も、更なる力(複数)、とりわけ重力(複数)によってハブ曲げモーメントを補うことも考慮される。更に、場合によっては、重力がロータブレードの位置に応じて翼根においてその都度吸収されるブレード荷重に作用する限りにおいて、減算が行われる。一変形形態により、そのような質量荷重は、その都度ブレード位置を考慮して、翼根におけるその都度の荷重と結果として得られる部分曲げモーメントとの間の関係に一緒に取り込まれることができる。従って例えば1つの(ロータ)ブレードが上方に向かって垂直になっている、即ち所謂12時位置にあり、説明のための例に過ぎないが、風が当該ロータブレードに作用しない場合、このことは、歪ゲージによっては翼根において荷重も検出されないことを意味し得るであろう。しかしながら、ロータブレードの位置及びその質量から、この質量だけからして既にハブ曲げモーメントを引き起こすことが分かり、まさにそのことを一緒に考慮することができる。代替的に、上記の歪ゲージがそのような重力を一緒に考慮することができる。
【0038】
これは、使用される測定値の観点からも、好ましい一例である。尤も、例えば、翼根における荷重(複数)から1つの全体的軸受荷重を決定することも考慮される。更に、タワーヘッドの運動を検出し、それに基づきタワーヘッドにおける荷重を推定(導出)することも考慮される。
【0039】
更なる一変形形態により、システム技術的推定アルゴリズムは状態観測器(Zustandsbeobachter)として実現(具現化)されることができる。この状態観測器では、代表測定(値)(複数)ないし少なくとも1つの代表測定(値)は入力変数として入力されることができる。状態観測器は、この場合、例えば出力変数として、とりわけ荷重から生じる回転数を有するモデルを含むことができる。この場合、モデルは風力発電装置のようにふるまう。この状態観測器の回転数の出力(値)と通常は良好な精度で存在する風力発電装置の実際の回転数との対比によって、観測エラーが生成され、観測器の調整(制御)のためにフィードバックされることができる。例えば回転数がブレード角の調節によって制御される場合、ブレード角の調節のための信号は、該モデルにも入力される更なる入力変数を形成することができる。或いは、ブレード調節信号は、更なる一例を示すためであるが、幾つかの入力変数を形成することができる。
【0040】
代替的に、システム技術的推定アルゴリズムないし状態観測器はカルマンフィルタ(Kalman-Filter)として実現(具現化)されることができる。
【0041】
更なる一実施形態により、荷重限界値(Belastungsgrenzwert)は、支配的定格風速の際の通常運転モードにおいて基準荷重として検出される荷重変数に依存して決定されることが提案される。従って、支配的定格風速の際の通常運転モード(これはその限りにおいて同義的に定格運転モードと称することも可能である)において、荷重が検出される。そのような荷重は、予めシミュレーションにおいて、又は実行中の運転時にも、記録されることができる。そして、そのような荷重測定に依存して、荷重限界値はより大きな値に、とりわけ(基準荷重の)2倍の値に決定されることができる。尤も、システム技術的事前(予備)試験によって、定格運転モードにおいて決定されている基準荷重と比べて荷重限界値がどの位より大きいかを決定することも可能である。
【0042】
これは、系統的測定誤差(これは相応に誤った荷重変数をもたらし得る)は問題がより少ないという利点を有する。なぜなら、例えば20パーセントだけ過度に小さい荷重変数の決定が行われる場合、この誤差(エラー)は基準荷重の決定の際にも生じるからである。これによって、荷重限界値も相応に20パーセントだけ過度に小さく推定(評価)されることになる。従って、この場合、過度に小さく決定された荷重変数が過度に小さく決定された荷重限界値と対比されるため、対比の結果はほぼ正確である。
【0043】
好ましくは、回転数及び追加的に又は代替的に発電機電力は、検出された荷重に依存して減少される。決定された荷重変数は、その限りにおいて、回転数ないし発電機電力の減少のための入力変数も構成する。
【0044】
これは、荷重変数が荷重限界値を上回らないよう、実行されることができる。従って、回転数及び発電機電力は、荷重変数の増大に伴って(荷重変数が増大するに連れて)減少され、しかも、荷重変数が荷重限界値を上回らないように減少される。これは、例えば、荷重限界値が目標値として、荷重変数が実際値として使用される相応の制御(Regelung)によって実行されることができる。この場合、荷重限界値から荷重変数が差し引かれる目標値実際値比較が行われ、そして、このいわゆる制御偏差によって、制御アルゴリズムは回転数と(発電機)電力を減少することができる。
【0045】
その限りにおいて、荷重変数を回転数及び発電機電力の減少によって荷重限界(値)に制御することも提案される。従って、荷重変数が荷重限界値を上回らないよう(に制御するよう)構成された制御器を設けることができる。これは、荷重変数が荷重限界値よりも遥かに小さいものであり得ることも意味し得る。例えば、安全距離(安全マージンないし安全余裕度:Sicherheitsabstand)を提案することができるが、これは、荷重限界値の代わりに、目標値として、荷重限界値よりも小さい値を使用することによって、実現(具現化)されることができる。
【0046】
荷重変数が荷重限界値に制御される場合については、基本的に、荷重変数が荷重限界値にまだ到達していない場合、回転数及び発電機電力を相応に増大する制御が試みられる。
【0047】
一実施形態に応じ、回転数及び発電機電力は、荷重変数が荷重限界値を上回らないよう、及び付加的に、複数のロータブレードの夫々のブレード角が風の方向から逸されるよう、及び付加的に、発電機トルクが発電機定格トルクを上回らないよう、及び付加的に、発電機トルクが風速の増大に伴って減少されるよう、減少されることが提案される。
【0048】
ロータブレード(複数)を風の外に位置調節することによって回転数は減少し、これにより荷重は軽減される。更に、ロータブレードに対する流入(入射)角(Anstroemwinkel)が小さくなると、これにより同様に荷重は軽減される。更に、発電機トルクが発電機定格トルクを超過しないよう構成され、それによって相応の電気的過負荷が回避されるが、トルクによる過度に大きな機械的荷重も回避される。
【0049】
更に、発電機トルクが風速の増大に伴って減少されることが提案されるが、これは、ロータブレードが十分には風の外に(風の方向から外れるよう)回転(ピッチング)されない場合、回転数の増大を引き起こすかもしれない。尤も、更に、回転数減少が提案されるため、ロータブレードは相応に大きく風の外に回転(ピッチング)され、その結果、発電機トルクの減少にも拘らず回転数減少が生じる。即ち、発電機トルクが減少されかつ回転数が減少されると同時に、発電機電力も減少される。
【0050】
風速は従来の風速測定装置によっては、とりわけナセル風速計によっては、極めて正確には検出することはできないため、ここで、風速の推定(評価)を提案することができる。この場合、風速は、既知のブレード角、調節された発電機トルク及び結果として得られる回転数ないし回転数の時間微分から求めることができる。そのような風速推定を改善するために、決定された荷重変数を付加的に考慮することが提案される。風速のそのような推定もシステム技術的推定アルゴリズムによって実行することができる。
【0051】
一実施形態に応じ、回転数は決定された荷重変数に依存して減少され、及び、発電機電力は荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線に依存して減少されることが提案され、このために、荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線と区別される(異なる)ことが提案される。部分負荷運転モードでは、風は、発電機定格電力を達成できない程に弱い。従って、この場合、特別な回転数-電力特性曲線が予め設定され、そのような回転数-電力特性曲線は設定(調節)されるべき電力値、即ちその都度の実際の回転数についての発電機電力の値を定める。例えば、ロータブレードの位置(角度)調節は、荷重変数に依存して、回転数が減少するよう、実行されることができる。そして、回転数が調節され、この回転数に依存して、発電機電力は回転数-電力特性曲線に応じて設定(調節)される。そして、これがまたもや回転数に対し影響を及ぼすことが起こり得る。そして、回転数は変化し得るが、変化された回転数について、安定な動作点(Arbeitspunkt)が形成されるまで、発電機電力のための新たな値が再び設定されることができる。これらの記述は説明のためのものであり、記述された制御によって、通常は、制御は運転点(Betriebspunkt)を回転数-電力特性曲線上の安定点にもたらす。
【0052】
好ましくは、ロータブレードは荷重変数に依存して位置(角度)調節され、好ましくは、荷重変数が一定値に制御されるよう位置(角度)調節される。従って、風荷重が増大すると、ロータブレードは更に風の外に回転(ピッチング)されるため、決定された荷重変数は、結果的に、増大する風荷重のために、大きくならない。
【0053】
荷重運転モードのための上記の回転数-電力特性曲線は部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線とは区別される(異なる)べきである。部分負荷運転モードにおいても、回転数に依存して夫々1つの発電機電力を設定することが可能である。尤も、この場合、通常は、ロータブレード(複数)は一定のブレード角を有し、回転数変化は風の変化によってのみ生じる。部分負荷運転モードにおけるそのような回転数-電力特性曲線は、風速が定格風速に到達するか又は定格風速を超えるまでの間、(基礎として)使用されることができる。
【0054】
好ましくは、荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は、少なくとも部分回転数領域において、とりわけ定格回転数の10%~90%の回転数領域において、夫々、部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線よりもより大きい電力値を有することが提案される。従って、荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は、同じ回転数の場合、部分負荷運転モードと比べて実質的により大きい電力をもたらす。回転数がゼロ付近及び定格回転数付近では、両者の回転数-電力特性曲線は(ほぼ)一致する。
【0055】
一実施形態に応じ、発電機電力の供給のために、発電機によって生成される電流が整流されて、第1直流電圧中間回路へ供給されることが提案される。更に、整流された電流が第1直流電圧中間回路から第2直流電圧中間回路へ供給されることが提案される。この場合、第1直流電圧中間回路と第2直流電圧中間回路の間には、昇圧コンバータが配置されている。この昇圧コンバータは、場合により、第1直流電圧中間回路の第1直流電圧を第2直流電圧中間回路の第2電圧へ昇圧する。更に、第2直流電圧中間回路の電流は、電気供給ネットへの給電のために、インバータによって交流電流に変換される。このために、昇圧コンバータは第1直流電圧を、切替(スイッチング)回転数(Umschaltdrehzahl)を下回る回転数についてのみ、第2直流電圧へ昇圧し、この場合、第2直流電圧は第1直流電圧より大きいことが提案される。このため、最後に、切替回転数は部分負荷運転モードの場合、荷重運転モードの場合よりもより大きいことが提案される。
【0056】
かくして、昇圧コンバータの特別な作動(ないし制御:Ansteuerung)を含む電力の供給も暴風運転モードに適合化することが達成されることができる。換言すれば、荷重運転モードでは、より小さい回転数領域のみが昇圧コンバータ運転モードを使用することになる。従って、風速に関し、荷重運転モードにおいて極めて遅くになってから初めて、即ち風速が極めて大きいときに、昇圧コンバータ運転モードへ切り替えられる(スイッチングされる)。
【0057】
一実施形態に応じ、ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化することが提案され、更に、荷重変数は最大ハブ曲げモーメントに依存して決定されることが提案される。従って、この場合、比較的小さいハブ曲げモーメントは拒否され(採用されず)、最大ハブ曲げモーメントのみが決定される(求められる)。かくして、最終的に最も重要になる大きなハブ曲げモーメントが実際にも考慮されることを保証することができる。
【0058】
付加的に又は代替的に、荷重変数は最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントとの差に依存して決定されることが提案される。この場合、一変形形態として、この差のみが荷重変数を決定することが考慮される。この場合、とりわけ、ロータの回転による荷重が大きい場合、負荷変動も大きくなることが考慮される。例えば、ハブ曲げモーメントのそのような変化(変動)は、各ロータブレードがタワー通過の際に即ちロータブレードが回転によりタワーの前方を通過する際に、風速の増大に伴って増大する大きな荷重変動を被ることによって生成され得る。高度に応じて変化する風速も、ハブ曲げモーメントの、又は他の荷重変数の、変化(変動)の原因であり得る。その考慮のために、そのような荷重変動を、即ち最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントとの間の差を、荷重変数を決定するためにハブ曲げモーメントの絶対値で補って、使用することも考慮される。
【0059】
付加的に又は代替的に、荷重変数として夫々最大ハブ曲げモーメントを考慮することができる。従って、荷重変数は最大ハブ曲げモーメントに直接依存して決定されるのではなく、最大ハブ曲げモーメントが直接的に夫々荷重変数を構成する。この場合、荷重変数は、勿論、プロセス計算機(コンピュータ)での処理のためにスカラー化されることができる。
【0060】
更なる一変形形態により、荷重変数として夫々最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントとの差を考慮することが提案される。従って、この場合も、この差はそのような荷重変数を決定するための単なる出力変数を構成するのではなく、この差は荷重変数として直接的に使用される。この場合も、勿論、スカラー化は考慮される。
【0061】
本発明に応じ、風から電力を生成するための風力発電装置も提案される。そのような風力発電装置は、ロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを有する空気力学的ロータを含む。ロータは、更に、可変回転数で運転可能に構成されている。更に、風力発電装置は、発電機電力を生成する、空気力学的ロータに連結された発電機を有する。発電機は可変の発電機トルクで運転可能に構成されている。発電機トルクは、とりわけ、励磁電流が変化されることによって、変化されることができる。その限りにおいて、この場合、とりわけ他励式同期機が使用される。
【0062】
更に、荷重変数を、詳しくは風による風力発電装置への荷重を示す荷重変数を決定するための検出装置が設けられている。従って、検出装置は、例えば複数の測定(値)又は1つの測定(値)からそのような荷重変数を決定する(求める)よう作動する。この場合、この荷重変数は荷重を表す(代表する)。この場合、荷重変数は、例えば、その値に応じて、風によって風力発電装置が受ける荷重の強さ(大きさ)を示す。更に、荷重運転モードにおいて回転数及び/又は発電機電力を減少するよう(に制御するよう)構成された制御装置が設けられている。そのような荷重運転モードは、荷重変数が予め設定可能な荷重限界値に到達するあいだの運転モードである。これは、荷重変数が予め設定可能な荷重限界値を上回る場合も含み得る。これは、荷重運転モードのための1つの定義であり得る。尤も、荷重限界値は、荷重状況についての指標値(Orientierungswert)を構成すること、この値は超過可能であることも、考慮される。
【0063】
従って、まず、荷重運転モードが存在している(実行されている)か否かについて識別(検出)されることができる。荷重運転モードが存在していれば、次いで、制御装置は回転数及び発電機電力の減少を制御することができる。これは、例えば、空気力学的ロータがより少ない風パワーを受けるよう、ロータブレードの位置(角度)調節のための作動(制御)信号(Stellsignal)が出力され、その結果、回転数が、従って発電機電力も減少されることができるよう、実行されることができる。これは、これのために減少された目標回転数が予め設定されるように制御技術的に変換されることができる。
【0064】
更に、検出装置は、荷重変数を決定するために又は荷重変数として、風力発電装置に作用する(1つの)力変数を使用するよう、構成されている。これに応じて、検出装置は、そのような力変数についての情報を受け取ることができる。そのような情報は、そのような力変数を決定するよう構成されることができる。そして、そのような力変数に依存して、荷重変数を決定することができる。代替的に、この力変数は既に荷重変数を表す(記述する)ことも可能である。尤も、風力発電装置に作用する複数の力を使用することも考慮される。この場合、これらから、荷重変数を決定することができる。荷重変数が例えばベクトルであり、従って、複数の力を、例えば縦力(風ないしロータ軸の方向の力:Laengskraft)と横力(水平面内及び垂直面内の力を含む、縦力に対し直角をなす方向の力:Querkraft)を含むことができる場合、風力発電装置に作用する複数の力を荷重変数として使用することすら考慮される。
【0065】
風力発電装置は、上記の実施形態の少なくとも1つによる方法を実行するよう構成されていることが好ましい。とりわけ、このために、相応の方法ステップ、特に制御装置で制御するための方法ステップが実行されることができる。付加的に又は代替的に、方法ステップ、とりわけ検出装置において荷重変数を決定するための方法ステップが実行されることができる。
【0066】
風力発電装置が相応のハードウェアを有すること、とりわけ、物理変数、とりわけ電気的及び/又は機械的変数、を検出するための測定手段を有することも考慮される。
【0067】
一実施形態により、風力発電装置には、風力発電装置に作用する力変数を検出するためにないしハブ曲げモーメントを検出するために、少なくとも1つの力測定手段が設けられている。更に、少なくとも1つの力測定手段の測定値を検出装置へ伝送し、そして、この測定値に依存して荷重変数を決定するために、少なくとも1つの力測定手段から検出装置への少なくとも1つの接続手段(接続部)が設けられている。従って、力測定手段によって、相応の力変数を測定することができ、その結果を検出装置へ伝送することができる。そして、検出装置は、それ(受け取った結果)から荷重変数を決定することができる。少なくとも1つの力検出手段から検出装置への接続手段として、相応のライン、とりわけ電気ライン(電線)が設けられる。これらはデータバス又は信号バスとしても構成されることができる。尤も、原理的には、少なくとも部分的に無線式接続手段を使用することも考慮される。とりわけ、回転接続手段(回転接続部)を介する伝送は、無線式、光学式若しくは例えばスリップリング介在式又はこれらの任意の組み合わせを介して実行することができる。この場合、光学式伝送も考慮される。
【0068】
とりわけ、少なくとも1つの力測定手段はロータハブに及び/又は各ロータブレードにないし各翼根の表面若しくは傍に、歪ゲージを含むことが提案される。とりわけ、そのような歪ゲージは力測定手段を構成する。
【0069】
従って、風力発電装置はこの力測定手段によって、とりわけ歪ゲージによって、相応の力を記録し、そして検出装置においてそれ(該力)から荷重変数を決定することができる。この場合、荷重変数はそのような機械的測定(値)に直接的に依存する。従って、この場合、実際に生成する力が評価され、それ(該力)から荷重変数が決定される。この場合、荷重変数は、場合によっては単純な値又は組み合された値であり、或いは力ベクトルでもあるが、力測定(値)に基づいており、従って、実際の機械的荷重に基づいている。
【0070】
荷重運転モードは、その限りにおいて、風力発電装置を保護するために回転数及び発電機電力を減少しなければならない程風が強い場合に、切り替えられる運転モードである。そのような荷重運転モードは、荷重変数が従って例えば荷重限界値と同一であり得るか又は他の値、とりわけより小さい値、を有する荷重[運転モード]始動限界値を上回る場合に、荷重変数に依存して始動(作動)されることができる。尤も、荷重運転モードは他の方法で、例えば検出された風速に依存して、スイッチオン(始動)されることができる。そのような荷重運転モードは、ブレード角に依存することによっても、スイッチオン(始動)されることができる。基準としては、そのような変数を組み合わせることも考慮される。とりわけ荷重変数及びブレード角の評価が考慮される。
【0071】
以下に、本発明は例示的に添付の図面を参照する実施例に基づいて詳細に説明される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】風力発電装置の一例の斜視図。
図2】荷重変数としてのハブ曲げモーメントを検出するための構造の一例。
図3】荷重運転モードにおいて回転数及び発電機電力を減少するための構造(のブロック図)の一例。
【実施例
【0073】
図1はタワー102とナセル104とを有する風力発電装置100の一例を示す。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110とを有するロータ106が配されている。ロータ106は運転時風によって回転運動させられ、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0074】
図2は風力発電装置200の一例の一部分を模式的に示す。この風力発電装置200は3つのロータブレード201、202及び203を有する。これらは、ナセル206に配されているハブに結合されている。これらの3つのロータブレード201、202及び203は夫々翼根211、212及び213を介してハブに結合されている。各翼根211212及び213には、力測定手段として夫々歪ゲージ221、222及び223が配されている。図2は、各翼根211~213について夫々1つの歪ゲージ221~223を示している。尤も、各翼根について互いに対し90°ずらされて配置される少なくとも2つの歪ゲージが設けられることが好ましい。いずれにせよ、各歪ゲージ221~223によって夫々力変数F、F及びFが決定(検出)される。この場合、これらの力変数は、夫々1つの歪ゲージの測定値から生じる曲げモーメントであり得る。これらの3つの力変数F~Fは検出ブロック230に入力される。この場合、力変数F~Fは夫々、夫々の翼根211~213における相応の力を大きさ及び方向で示す(規定する)ベクトル変数でもあり得る。従って、そのようにして検出されるこれらの力変数F~Fは、まず、検出ブロック230において検出される。
【0075】
付加的に、検出ブロック230には、ブレード角α、回転数n及びロータ位置βが入力される。個別ブレード調節の場合、従って複数のロータブレードを個別に、即ち個別ロータブレードの各々を他の2つのロータブレードに依存しないで(から独立に)、(位置ないし角度)調節することが可能である場合、(図示の)1つのブレード角αの代わりに、3つの個別ブレード角α、α及びαが記録(使用)されることも可能である。
【0076】
これらの変数、即ち1つ又は複数のブレード角α、ロータ回転数n及びロータ位置βの記録のために、運転制御ブロック232が象徴的に図示されている。この運転制御ブロック232の使用は、とりわけ、上記の変数が基本的に風力発電装置200の運転制御において既知であることも示すことが意図されている。その限りにおいて、これらの変数は、運転制御(構成)(これのために運転制御ブロック232が象徴的に図示されている)から取り出しさえすればよい。運転制御ブロック232は、説明の目的のためにのみタワー234の上部領域に配されている。尤も、通常は、運転制御(構成)は、従ってそのような運転制御ブロック232も、ナセル206内に配されることが可能であり、そこで、これらの変数は全体運転制御(構成)から直接的に取得されることができる。
【0077】
いずれにせよ、検出ブロック230は、当該ブロックに入力される変数(複数)から夫々1つのハブ曲げモーメント成分MB1、MB2及びMB3を計算する。これらのハブ曲げモーメント成分MB1、MB2及びMB3は、夫々、検出された力変数に基づくことができる。換言すれば、力変数F、F及びFから夫々1つのハブ曲げモーメント成分MB1、MB2及びMB3が計算され(これらは翼根曲げモーメント(成分)と称することも可能である)、この計算のために、更に、変数α、n及びβが、即ちブレード角α、ロータ回転数n及びロータ位置βが考慮される。従って、この検出ブロック230の第1中間結果はこれらの3つのハブ曲げモーメント成分MB1~MB3であり、これらはとりわけ夫々それ自体ベクトルとして表されることができる。従って、これらのハブ曲げモーメント成分MB1~MB3の各々は、個別のスカラー値であるだけではなく、長さ(大きさ)及び方向を規定するベクトルでもあることが好ましい。そして、これらの3つの変数は組み合わせブロック236において組み合わされて、ただ1つの荷重変数が、即ち図2の実施例では共通のハブ曲げモーメントMが生成される。この共通のハブ曲げモーメントMは、例えば、これらの個別ハブ曲げモーメント成分MB1~MB3が夫々ベクトルである場合、3つの個別ベクトルMB1、MB2及びMB3のベクトル和であり得る。この計算が大きさのみに基づく場合、組み合わせブロック236では、例えば、平均値形成(平均化)を実行することができるが、これは更なる一例を挙げたに過ぎない。
【0078】
いずれにせよ、図2は、歪ゲージ221~223による翼根211~213における力測定から可能な個別荷重変数、この場合はハブ曲げモーメントMの決定の仕方を示している。
【0079】
そして、荷重運転モードで風力発電装置を制御するために、図2に示されているように決定されたハブ曲げモーメントMは例えば図3に応じた構成により使用される。
【0080】
更に、歪み(ないしのび:Dehnung)も測定されることができ、そして、(該歪みから)質量較正によって翼根曲げモーメントを推定する(導き出す)ことができる。これは、代替的に、検出ブロック230において実行することも可能である。
【0081】
図3による制御構成では、加算器340において、決定されたハブ曲げモーメントMがハブ曲げモーメントのための目標値MBSから差し引かれる(減算される)。その結果は、この場合制御偏差即ちモーメント制御偏差eと称される制御エラーである。そして、このモーメント制御偏差eはPI制御ブロック342に入力され、このPI制御ブロック342はその結果として目標回転数nを出力する。
【0082】
そして、回転数加算器344において、そのようにして決定されたこの目標回転数nから、風力発電装置300の実際の回転数nが差し引かれる。その結果は回転数制御偏差eである。これは角度決定ブロック346に入力され、角度決定ブロック346はそれ(回転数制御偏差e)から、調節されるべきブレード角αを決定する。その限りにおいて、このブレード角αは目標値であり、ブレード調節のために相応に変換されて風力発電装置300に入力される。
【0083】
風力発電装置300は、この場合、ブレード角領域B、発電機領域G及びその他の風力発電機領域Wに分割されている相応のブロックとして極めて模式的にのみ記載されている。従って、目標角αはブレード(角)領域348に作用する。
【0084】
同時に、回転数nは電力ブロック350に入力され、電力ブロック350はそれ(回転数n)から、発電機領域352に入力される目標電力Pを決定する。
【0085】
とりわけこの両者の値即ちブレード目標角α及び目標電力Pはこの考慮のために風力発電装置300のための入力変数を構成する。念のため注意しておくと、これは、1つのブレード角αのみを出発点としている。勿論、個別ブレード角(複数)が調節されることも考慮される。この場合、ブレード角α(これはこの場合角度決定ブロック346の出力を形成する)は基準角(Grundwinkel)とみなされることが可能であり、該基準角については、場合により、その都度相応に個々の角度の個別の調節だけ補う(付加的に行う)ことができる。
【0086】
いずれにせよ、風力発電装置300の結果は、少なくとも、この場合図2の例による個別の力F、F及びFから形成されることが可能な力変数Fである。そして、この力変数Fは検出装置354に入力される。検出装置354は例えば図2の検出ブロック230と組み合わせブロック236から構成されることが可能である。その限りにおいて、この2つのブロック即ち検出ブロック230及び組み合わせブロック236は検出装置238と称されることも可能である。
【0087】
いずれにせよ、要約すると、図3の構成はは以下のように機能する。図3によるこの構成は、そもそも、荷重運転モードにおいて初めて作動する。そして、この場合、基本的に、ハブ曲げモーメントMがハブ曲げモーメントの目標値MBSに調整されるよう、荷重に依存する(荷重依存型)調整(Ausregeln)が行われる。これはモーメント制御偏差eがPI制御ブロック342によるPI制御器によって目標回転数を生成するよう実行される。従って、ハブ曲げモーメントMが丁度その目標値MBSに到達すると、制御偏差はゼロになり、そして、目標回転数は、PI制御ブロック342における積分成分に基づきその最後の値に維持される。
【0088】
この目標回転数の実際回転数への変換は、回転数加算器344における目標値・実際値比較によって開始される制御ループによって実行される。そして、この目標値・実際値比較の結果、即ち回転数制御偏差eは、角度制御ブロック346によって相応の角度に変換される、即ち、まず、目標値として変換され、次いで、この目標値がブレード領域348において実際的に(実際値に)変換される。
【0089】
尤も、同時に、回転数に依存して、特性曲線に応じて電力即ち発電機電力が予め設定される。これに応じて、そのような回転数に依存する電力特性曲線は電力ブロック350に記憶されている。これに応じて、電力ブロック350は電力のための目標値を出力し、個の目標値Pは発電機領域352において変換される。これにより電力変化が生じると、回転数も変化することがあり得、そして、電力は特性曲線に応じて、従って電力ブロック350によって追従制御される。
【0090】
これにより電力が減少すると、それによって、発電機トルクも減少するが、これにより、回転数の増大が生じ得る。これは、回転数制御で、とりわけ角度決定ブロック346によって、この場合ブレード角が減少されることによって、対抗される。尤も、これもまた、荷重変化、従って力変数Fの変化も引き起こし得る。そして、これに応じて、ハブ曲げモーメントMは変化し得、これにより、モーメント制御偏差e及びPI制御ブロック342を介して目標回転数の変化が引き起こされ得る。
【0091】
いずれにせよ、この構成においては、ハブ曲げモーメントが増大すると、まず、回転数が低下され、これに依存して、電力ブロック350の特性曲線に基づき電力も追従する、即ち減少されることによって、ハブ曲げモーメントは対抗的に(変化が打ち消される方向に)制御される。
【0092】
本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]風から電力を生成するための風力発電装置の運転方法。
・風力発電装置はロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを備えた空気力学的ロータを有し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転可能である。
・風力発電装置は、発電機電力を生成するための、空気力学的ロータに連結された発電機を有する。
・発電機は可変の発電機トルクで運転可能である。
該方法は、以下のステップ:
・風による風力発電装置への荷重を示す荷重変数を決定すること、及び、
・荷重運転モードにおいて回転数及び/又は発電機電力を荷重変数に依存して減少すること、
を含む。
・荷重変数を決定するために又は荷重変数として、風力発電装置に作用する少なくとも1つの力変数が使用される。
[付記2]上記の方法において、
ハブ曲げモーメント、シャフト曲げモーメント、軸曲げモーメント及び/又はタワーヘッド曲げモーメントが検出される。及び、
ハブ曲げモーメント、シャフト曲げモーメント、軸曲げモーメント及び/又はタワーヘッド曲げモーメントは、荷重変数の決定のために又は荷重変数として使用される。
[付記3]上記の方法において、風力発電装置に作用する力変数の検出のためにないしハブ曲げモーメントの検出のために、少なくとも1回の歪測定がロータハブ及び/又は少なくとも1つのロータブレードにおいて、とりわけ翼根の表面又は傍において、とりわけ各ロータブレードにおいてないし各翼根の表面ないし傍において、実行される。
[付記4]上記の方法において、荷重変数の決定は、荷重を表す少なくとも1つの測定に基づき、とりわけロータブレードにおける、とりわけロータハブ及び/又は複数のロータブレードの少なくとも1つの翼根における歪測定に基づき、システム技術的推定アルゴリズムによって実行される。
[付記5]上記の方法において、荷重限界値は、支配的定格風速の際の通常運転モードにおいて基準荷重として検出される荷重変数に依存して決定されること、とりわけ荷重限界値は基準荷重の少なくとも2倍の値に決定される。
[付記6]上記の方法において、回転数及び/又は発電機電力は、検出された荷重に依存して減少される、とりわけ、
・荷重変数が荷重限界値を上回らないよう、及び/又は、
・荷重変数が回転数及び発電機電力の減少によって目標値又は目標値よりも小さい値としての荷重限界値に制御されるよう、
減少される。
[付記7]上記の方法において、回転数及び発電機電力は、
・荷重変数が荷重限界値を上回らないよう、
・複数のロータブレードの夫々のブレード角が風の方向から逸されるよう、
・発電機トルクが発電機定格トルクを上回らないよう、
・発電機トルクが風速の増大に伴って減少されるよう、
減少される。
[付記8]上記の方法において、
・回転数は決定された荷重変数に依存して減少され、
・発電機電力は荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線に依存して減少される。但し、
・荷重運転モードのためのこの回転数-電力特性曲線は、発電機定格電力を達成できない程に風が弱い場合の部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線とは異なる。
[付記9]上記の方法において、荷重運転モードのための回転数-電力特性曲線は、少なくとも部分回転数領域において、とりわけ定格回転数の10%~90%の回転数領域において、夫々、部分負荷運転モードのための回転数-電力特性曲線よりもより大きい電力値を有する。
[付記10]上記の方法において、発電機電力の供給のために、
・発電機によって生成された電流が整流され、第1直流電圧中間回路へ供給され、
・整流された電流が第1直流電圧中間回路から第2直流電圧中間回路へ供給される。但し、
・第1直流電圧中間回路と第2直流電圧中間回路の間には、場合により第1直流電圧中間回路の第1直流電圧を第2直流電圧中間回路の第2電圧へ昇圧するための、昇圧コンバータが配置されており、
・第2直流電圧中間回路の電流は、電気供給ネットへの給電のために、インバータによって交流電流に変換される。但し、
・昇圧コンバータは第1直流電圧を、切替回転数を下回る回転数についてのみ、第2直流電圧へ昇圧し、この場合、第2直流電圧は第1直流電圧より大きく、
・切替回転数は部分負荷運転モードの場合、荷重運転モードの場合よりもより大きい。
[付記11]上記の方法において、
・ハブ曲げモーメントはロータ位置に依存して最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントの間で変化する。及び、
・荷重変数は最大ハブ曲げモーメントに依存して決定される。及び/又は、
・荷重変数は最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントとの差に依存して決定される。及び/又は、
・荷重変数として夫々最大ハブ曲げモーメントが考慮される。又は、
・荷重変数として夫々最大ハブ曲げモーメントと最小ハブ曲げモーメントとの差が考慮される。
[付記12]風から電力を生成するための風力発電装置。
該風力発電装置は、
・ロータハブとそのブレード角が調節可能な複数のロータブレードを有する空気力学的ロータ、但し、空気力学的ロータは可変の回転数で運転可能であり、
・発電機電力を生成するための、空気力学的ロータに連結された発電機、但し、発電機は可変の発電機トルクで運転可能であり、
・風による風力発電装置への荷重を示す荷重変数を決定するための検出装置、及び、
・荷重運転モードにおいて回転数及び/又は発電機電力を荷重変数に依存して減少するよう構成された、制御装置
を含む。
・検出装置は、荷重変数を決定するために又は荷重変数として、風力発電装置に作用する少なくとも1つの力変数を使用するよう、構成されている。
[付記13]上記の風力発電装置において、該風力発電装置は上記の何れかの方法を実行するよう構成されている。
[付記14]上記の風力発電装置において、
・風力発電装置に作用する力変数を検出するためにないしハブ曲げモーメントを検出するために、少なくとも1つの力測定手段が設けられている。及び、
・少なくとも1つの力測定手段の測定値に依存して荷重変数を決定するために、この測定値を検出装置へ伝送するための、少なくとも1つの力測定手段から検出装置への少なくとも1つの接続手段が設けられている。とりわけ、少なくとも1つの力測定手段は、
・ロータブレードに、とりわけロータハブに及び/又は各ロータブレードにないし各翼根の表面若しくは傍に、少なくとも1つの歪ゲージを含む。
図1
図2
図3