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特許7130047集積回路モジュール構造及びその製作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】集積回路モジュール構造及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20220826BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L25/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020542483
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2018087885
(87)【国際公開番号】W WO2019109600
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】201711278627.3
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201721681899.3
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518381248
【氏名又は名称】安徽▲雲▼塔▲電▼子科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】左成傑
(72)【発明者】
【氏名】何軍
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0343695(US,A1)
【文献】特開2015-201620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161332(US,A1)
【文献】特開2014-123775(JP,A)
【文献】特開2008-306071(JP,A)
【文献】特開2014-187339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0343635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機能回路が設けられ、対向する第1面及び第2面を含み、前記第1面に前記第1機能回路に接続された少なくとも1つのインターフェースが設けられている集積デバイスと、
前記集積デバイスの表面の一部に被覆し、かつ、前記集積デバイスの前記少なくとも1つのインターフェースを露出させるラミネート加工層と、
各層が前記インターフェースに対応して接続された少なくとも1つの金属パターンを含少なくとも1層の再配線層と、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に被覆し、かつ、各層が1層の前記再配線層を被覆し、前記金属パターンの一部を露出させる少なくとも1層の絶縁層と、
を含み、
第1再配線層の少なくとも1つの金属パターンは、前記金属パターンに対応する前記インターフェースを覆って接触し、前記金属パターンの面積は、前記金属パターンに対応する前記インターフェースの面積よりも大き
前記第1再配線層は前記第1面に最も近い再配線層であり、
前記第1機能回路がキャパシタ機能を有し、前記第1再配線層の少なくとも1つの金属パターン自体が第2機能回路を形成し、かつインダクタ機能を有し、前記第1機能回路と前記第2機能回路とが結合されてフィルタリングが実現される、
集積回路モジュール構造。
【請求項2】
前記集積デバイスの数は、複数であり、複数の前記集積デバイスの前記インターフェースは、前記金属パターンを介して接続されている、
請求項1に記載の集積回路モジュール構造。
【請求項3】
前記再配線層は複数層を含み、複数層の再配線層の間は、絶縁層によって隔離され、絶縁層におけるスルーホールを介して複数層の再配線層の間の電気的接続が実現される、
請求項1に記載の集積回路モジュール構造。
【請求項4】
キャリアプレートを提供し、前記キャリアプレートの上に遷移ゴムを形成することと、
第1機能回路が設けられ、対向する第1面及び第2面を含み、前記第1面に前記第1機能回路に接続された少なくとも1つのインターフェースが設けられ、前記第2面が前記遷移ゴムと接触している集積デバイスを前記遷移ゴムの上に設けることと、
前記遷移ゴムの上に、前記集積デバイスを被覆するラミネート加工層を形成することと、
前記ラミネート加工層から前記少なくとも1つのインターフェースを露出させるように前記ラミネート加工層を薄肉化することと、
前記ラミネート加工層の上に少なくとも1層の再配線層を形成し、各層の前記再配線層が少なくとも1つの金属パターンを含み、第1再配線層の少なくとも1つの金属パターンが前記インターフェースに対応して接続され、前記第1再配線層は前記第1面に最も近い再配線層であることと、
前記第1再配線層の少なくとも1つの金属パターン自体が第2機能回路を形成し、かつインダクタ機能を有し、前記第1機能回路がキャパシタ機能を有し、前記第1機能回路と前記第2機能回路とが結合されてフィルタリングが実現されることと、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に、少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆し、前記絶縁層から前記金属パターンの一部を露出させることと、
を含み、
再配線技術を用いて前記ラミネート加工層の上に前記金属パターンを形成し、形成された前記金属パターンが、前記金属パターンに対応する前記インターフェースを覆って接触し、形成された前記金属パターンの面積が、前記金属パターンに対応する前記インターフェースの面積よりも大きい、
集積回路モジュール構造の製作方法。
【請求項5】
前記少なくとも1層の絶縁層を形成した後に、前記キャリアプレート及び前記遷移ゴムを除去すること、をさらに含む、
請求項4に記載の集積回路モジュール構造の製作方法。
【請求項6】
前記金属パターンの材料は銅である、
請求項4に記載の集積回路モジュール構造の製作方法。
【請求項7】
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆することは、
前記ラミネート加工層の上に複数層の再配線層を形成し、複数層の前記再配線層の間を絶縁層で隔離し、絶縁層におけるスルーホールを介して複数層の再配線層の間の電気的接続を実現すること、を含む、
請求項4に記載の集積回路モジュール構造の製作方法。
【請求項8】
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆し、前記絶縁層から前記金属パターンの一部を露出させることは、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に、少なくとも1層の誘電体材料層を蒸着し、各層の前記誘電体材料層が1層の前記再配線層を被覆し、形成された前記誘電体材料層が前記金属パターン及び前記集積デバイスを被覆することと、
前記金属パターンの一部を露出させるように、前記誘電体材料層をエッチングすることと、を含む、
請求項4に記載の集積回路モジュール構造の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、集積回路モジュール技術に関し、例えば、集積回路モジュール構造及びその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の発展に伴い、様々な部品の開発は集積化、多機能化の方向に発展しているため、集積デバイスの集積回路モジュール構造に対する要求もますます高まっている。
【0003】
集積デバイスがシステムインパッケージ(System in Package、SIP)モジュールに組み込まれている場合、集積回路デバイス/チップとほかの集積回路デバイス/チップとを接続するように、集積回路モジュール構造にパッド及びパッドに接続された半田ボールを設ける必要がある。半田ボールの寄生抵抗は、略30mΩ程度であり、関連技術におけるデジタルチップのパッケージ過程で、半田ボールの寄生抵抗による影響は無視できるが、高周波モジュールや高周波アプリケーションにおいて、半田ボールの寄生抵抗が集積デバイスにおけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を大幅に低下させ、集積デバイスの性能に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、寄生抵抗を低減し、集積デバイスにおけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を高め、集積デバイスの性能を改善するために、集積回路モジュール構造及びその製作方法を提供する。
【0005】
本出願は、第1機能回路が設けられ、対向する第1面及び第2面を含み、前記第1面に前記第1機能回路に接続された少なくとも1つのインターフェースが設けられている集積デバイスと、
前記集積デバイスの表面の一部に被覆し、かつ、前記集積デバイスの前記少なくとも1つのインターフェースを露出させるラミネート加工層と、
各層が前記インターフェースに対応して接続された少なくとも1つの金属パターンを含み、前記金属パターン自体が第2機能回路を形成し、または、前記金属パターンが第2機能回路に直接的に接続されている少なくとも1層の再配線層と、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層に被覆し、かつ、各層が1層の前記再配線層を被覆し、前記金属パターンの一部を露出させる少なくとも1層の絶縁層と、
を含む集積回路モジュール構造を提供する。
【0006】
一実施例において、前記金属パターンは、前記金属パターンに対応する前記インターフェースを覆って接触し、前記金属パターンの面積は、前記金属パターンに対応する前記インターフェースの面積よりも大きい。
【0007】
一実施例において、前記集積デバイスの数は、複数であり、複数の前記集積デバイスの前記インターフェースは、前記金属パターンを介して接続されている。
【0008】
一実施例において、前記再配線層は複数層を含み、複数層の再配線層の間は、絶縁層によって隔離され、絶縁層におけるスルーホールで複数層の再配線層の間の電気的接続が実現される。
【0009】
本出願は、キャリアプレートを提供し、前記キャリアプレートの上に遷移ゴムを形成することと、
第1機能回路が設けられ、対向する第1面及び第2面を含み、前記第1面に前記第1機能回路に接続された少なくとも1つのインターフェースが設けられ、前記第2面が前記遷移ゴムと接触している集積デバイスを前記遷移ゴムに設けることと、
前記遷移ゴムの上に、前記集積デバイスを被覆するラミネート加工層を形成することと、
前記ラミネート加工層から前記少なくとも1つのインターフェースを露出させるように前記ラミネート加工層を薄肉化することと、
前記ラミネート加工層の上に少なくとも1層の再配線層を形成し、各層の前記再配線層が、前記インターフェースに対応して接続された少なくとも1つの金属パターンを含み、前記金属パターン自体が第2機能回路を形成し、または、前記金属パターンが第2機能回路に直接的に接続されることと、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に、少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆し、前記絶縁層から前記金属パターンの一部を露出させることと、
を含む集積回路モジュール構造の製作方法をさらに提供する。
【0010】
一実施例において、前記少なくとも1層の絶縁層を形成した後に、前記キャリアプレート及び前記遷移ゴムを除去すること、をさらに含む。
【0011】
一実施例において、再配線技術を用いて前記ラミネート加工層の上に前記金属パターンを形成し、形成された前記金属パターンが、前記金属パターンに対応する前記インターフェースを覆って接触し、形成された前記金属パターンの面積が、前記金属パターンに対応する前記インターフェースの面積よりも大きい。
【0012】
一実施例において、前記金属パターンの材料は銅である。
【0013】
一実施例において、前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆することは、
前記ラミネート加工層の上に複数層の再配線層を形成し、複数層の前記再配線層の間を絶縁層で隔離し、絶縁層におけるスルーホールを介して複数層の再配線層の間の電気的接続を実現すること、を含む。
【0014】
一実施例において、前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に少なくとも1層の絶縁層を形成し、各層の前記絶縁層が1層の前記再配線層を被覆し、前記絶縁層から前記金属パターンの一部を露出させることは、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に、少なくとも1層の誘電体材料層を蒸着し、各層の前記誘電体材料層が1層の前記再配線層を被覆し、形成された前記誘電体材料層が前記金属パターン及び前記集積デバイスを被覆することと、
前記金属パターンの一部を露出させるように、前記誘電体材料層をエッチングすることと、を含む。
【0015】
本出願の実施例に係る集積回路モジュール構造及びその製作方法は、集積デバイスのインターフェースにそれに対応して接続された金属パターンを設けることによって、第2機能回路を実現したり、第2機能回路との直接的な電気的接続を実現したりすることで、錫半田ボールや銅柱などの中間材料を使用する必要がなく、寄生抵抗を大幅に低減し、関連技術における半田ボールなどにより寄生抵抗が発生する原因で集積デバイスにおけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数が大幅に低下するという問題が生じることを解決し、寄生抵抗を低減し、集積デバイスのコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を高め、集積デバイスの性能を改善している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1に係る集積回路モジュール構造の構成模式図である。
図2】実施例1に係る他の集積回路モジュール構造の構成模式図である。
図3】実施例1に係る更に他の集積回路モジュール構造の構成模式図である。
図4】実施例2に係る集積回路モジュール構造の製作方法のフローチャートである。
図5】実施例2に係る集積回路モジュール構造の製作方法に対応する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施例を参照して本出願をさらに説明する。ここで記載される具体的な実施例は、本出願を説明するためのものだけであって、本出願を限定するものではないことが分かる。なお、説明の便宜上、図面において、全ての構成ではなく本出願に関連する部分のみが示されている。
【0018】
実施例1
図1は、実施例1に係る集積回路モジュール構造の構成模式図である。図1を参照すると、この集積回路モジュール構造は、
第1機能回路101が設けられ、対向する第1面11及び第2面12を含み、第1面11に第1機能回路101に接続された少なくとも1つのインターフェース102が設けられている集積デバイス1と、
集積デバイス1をパッケージし、前記集積デバイス1の表面の一部に被覆し、かつ、集積デバイス1の前記少なくとも1つのインターフェース102を露出させるラミネート加工層2と、
各層がインターフェース102に対応して接続された少なくとも1つの金属パターン31を含み、金属パターン31自体が第2機能回路を形成し、または、金属パターン31が第2機能回路に直接的に接続されている少なくとも1層の再配線層と、
前記ラミネート加工層及び前記再配線層の上に被覆し、集積デバイス1及びラミネート加工層2における第1面11に近い一方側に位置し、各層が1層の再配線層を被覆し、パッドを形成するように金属パターン31の一部を露出させる少なくとも1層の絶縁層4と、
を含む。
【0019】
なお、集積デバイス1は、チップであってもよいが、チップに限らず、表面実装デバイスであってもよく、両者を組み合わせて使用した場合に形成された構造や他の構造であってもよい。
【0020】
インターフェース102に対応して接続された金属パターン31自体は、第2機能回路を形成し、集積デバイス1における第1機能回路101と完全な機能回路を形成してもよく、例示的に、金属パターン31自体は、第2機能回路(例えば、インダクタンスなどの他の構造)を形成し、集積デバイスにおける第1機能回路101(例えば、コンデンサ)と結合して完全な機能回路を形成し、ある機能(例えば、フィルタリング作用)を実現してもよく、あるいは、金属パターン31は、第1機能回路101における外部回路と接続する必要がある機能回路であってもよく、例えば、金属パターン31は、1つの金属極板であり、第1機能回路101と結合して、完全なコンデンサを形成することで完全な機能回路を形成し、ある特定の機能を実現する。
金属パターン31は、第2機能回路に直接的に接続されてもよく、例示的に、集積デバイス1における第1機能回路101(例えば、コンデンサ)は、集積デバイス1の外部の第2機能回路(例えば、インダクタンス)と結合して完全な機能回路を形成することである機能(例えば、フィルタリング作用)を実現し、金属パターン31は、2つ部分の機能回路が完全な機能回路を形成するように、第2機能回路(例えば、インダクタンス)に直接的に接続されてもよい。
金属パターン31が第2機能回路であるか、第2機能回路に直接的に接続されることは、いずれも集積回路モジュール構造における寄生抵抗の抵抗値を低減させることができる。
【0021】
水及び酸素による侵食を避け、集積デバイス1を保護するために、ラミネート加工層2を用いて集積デバイス1をパッケージすることができる。ここで、インターフェース102と再配線層における金属パターン31とを接続するために、インターフェース102が位置する集積デバイス1の第1面11は、ラミネート加工層2に覆われていない。再配線層における金属パターン31の寄生抵抗値を比較的小さくするために、金属パターン31は、銅などの電気伝導率の高い金属材料からなることができる。
【0022】
集積デバイス1及びラミネート加工層2における第1面11に近い一方側に、蒸着で絶縁層4を形成することができ、蒸着された絶縁層4は、集積デバイス1、ラミネート加工層2及び再配線層と分離しにくく、関連技術における基板に取って代わることができるため、この集積回路モジュール構造には、集積デバイス1及び基板を半田付けするための半田ボールを導入する必要がなく、半田ボールや銅柱などの中間材料の導入を避け、半田ボールや銅柱による寄生抵抗が高周波モジュールまたは高周波アプリケーションで集積デバイス1のコンデンサまたはインダクタンスの品質係数に与える影響をなくした。
同時に、絶縁層4は、関連技術における基板に比較すると、厚みがより薄く、精度がより高く、集積回路モジュールの構造がより小型になることで、システム全体の集積度をより高くすることができる。
また、絶縁層4では、集積デバイス1、ラミネート加工層2及び再配線層との密着は、ある程度の封止作用を果たし、集積デバイス1を侵食から保護することができる。
この集積回路モジュール構造を、他の集積回路モジュール構造、プリント配線板または他の構造に接続できるようにするために、パッドを形成するように絶縁層4から金属パターン31の一部を露出させ、形成されたパッドによって集積回路モジュール構造と外部回路との接続を実現してもよい。
【0023】
なお、絶縁層及び再配線層は、いずれも1層でもよいし、複数層でもよい。図2は、実施例1に係る他の集積回路モジュール構造の構成模式図である。図2を参照すると、好ましくは、再配線層は、複数層であり、各層の再配線層の間は絶縁層4によって隔離され、スルーホール41で複数層の再配線層の間の電気的接続を実現する。
【0024】
ここで、再配線層が複数層であると、絶縁層4も複数層となり、短絡などが発生しないように、絶縁層4によって複数層の再配線層が隔離される。1層の再配線層の金属パターン31が集積デバイス1のインターフェース102と接触することが確保されるが、絶縁層4及び再配線層の層数には制限されないことが分かる。複数層の再配線層の金属パターン31間の電気的接続を実現するように、再配線層間の絶縁層4にスルーホール41が開けされてもよい。
【0025】
本出願の実施例に係る集積回路モジュール構造は、集積デバイス1の第1面11に第1機能回路101と接続された少なくとも1つのインターフェース102を設けることによって、ラミネート加工層2から集積デバイス1の第1面11を露出させ、再配線層における金属パターン31がインターフェース102に対応して接続しているとともに、集積デバイス1及びラミネート加工層2における第1面11に近い一方側に絶縁層4を形成することによって、パッドを形成するように絶縁層4から金属パターン31の一部を露出させることで、錫半田ボールや銅柱などの中間材料を使用する必要がなく、半田ボールなどにより寄生抵抗が発生する原因で集積デバイスにおけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数が大幅に低下するという問題が生じることを解決し、半田ボールの導入を回避し、寄生抵抗を低減し、集積デバイスのコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を高め、集積デバイス性能を改善している。
【0026】
一実施例において、金属パターン31は、金属パターン31に対応するインターフェース102を覆って接触し、金属パターン31の面積は、金属パターン31に対応するインターフェース102の面積よりも大きい。
【0027】
ここで、金属パターン31とそれに対応するインターフェース102が効果的に接続できることを確保して外部回路との通路が形成されることを確保するために、金属パターン31は、それに対応するインターフェース102を完全に被覆してもよく、部分的に被覆してもよい。金属パターン31は、実際の応用においても小さい寄生抵抗が存在すると考えられるので、金属パターン31における寄生抵抗の抵抗値を低減し、高周波モジュールまたは高周波アプリケーションで集積デバイス1のコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を低減させることを回避するために、金属パターン31の面積を適切に広げることができ、好ましくは、金属パターン31の面積は、それに対応するインターフェース102の面積よりも大きくてもよい。
【0028】
図3は、実施例1に係る更に他の集積回路モジュール構造の構成模式図である。図3を参照すると、好ましくは、集積デバイス1の数は複数であり、複数の集積デバイス1のインターフェース102は、金属パターン31を介して接続されている。
【0029】
一部の集積回路モジュール構造には、1つ以上の集積デバイス1が設けられる必要があり、機能が同一または機能が異なる集積デバイス1が複数設置されることで、機能が多く、集積度が高い効果を達成することができることが分かる。集積デバイス1の数が複数で、集積デバイス1同士を接続する必要があると、複数の集積デバイス1のインターフェース102は、金属パターン31を介して接続されてもよい。ここで、全ての集積デバイス1を接続する必要があると、十分な面積を有する金属パターン31を介して接続することができる。複数の集積デバイス1間に特殊な接続関係があると、複数の独立した金属パターン31を介してそれぞれ接続してもよい。
【0030】
パッドを形成するように絶縁層4から金属パターン31の一部を露出させるので、形成されたパッドは、外部の他の集積回路モジュール構造、プリント配線板または他の構造と接続するために用いられ、再配線層上の複数の金属パターン31に形成されたパッドと他の構造との接続の過程において不要な短絡などが発生しないために、絶縁層4は誘電体材料層であってもよい。
【0031】
実施例2
【0032】
図4は、実施例2に係る集積回路モジュール構造の製作方法のフローチャートである。図5は、実施例2に係る集積回路モジュール構造の製作方法に対応する構成図である。図4及び図5を参照すると、この集積回路モジュール構造の製作方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップ10において、キャリアプレート5を提供し、キャリアプレート5の上に遷移ゴム6を形成する。
【0034】
ステップ20において、第1機能回路101が設けられ、対向する第1面11及び第2面12を含み、第1面11に第1機能回路101に接続された少なくとも1つのインターフェース102が設けられ、第2面12が遷移ゴム6と接触している集積デバイス1を遷移ゴム6の上に設ける。
【0035】
ここで、集積回路モジュール構造を製作する過程で、キャリアプレート5は製作プラットフォームを提供する。遷移ゴム6上に集積デバイス1を固定して配置することができ、集積デバイス1がその後の製作過程でずれたり傾いたりすることを防止するように、キャリアプレート5上に遷移ゴム6を形成する。ここで、集積デバイス1のうち、第1機能回路101と接続するインターフェース102が設けられている第1面11を遷移ゴム6から遠い側に配置し、集積デバイス1の第2面12を遷移ゴム6に接触する。
【0036】
ステップ30において、遷移ゴムの上に集積デバイス1を被覆するラミネート加工層2を形成する。
【0037】
集積デバイス1が水及び酸素によって浸食され、集積デバイス1の性能に影響を与えることを防ぐために、集積デバイス1をラミネート加工する。集積デバイス1が遷移ゴム6の上に設けられているため、遷移ゴム6の上にラミネート加工層2を形成し、集積デバイス1をラミネート加工層で被覆し、集積デバイス1の封止性を確保する。
【0038】
ステップ40において、ラミネート加工層2から前記少なくとも1つのインターフェース102を露出させるようにラミネート加工層2を薄肉化する。
【0039】
集積デバイス1は、第1機能回路101がスムーズに動作するように、外部回路と接続する必要があるため、集積デバイス1における第1機能回路101と接続するインターフェース102が位置する第1面11側のラミネート加工層2を薄肉化し、例えば、ラミネート加工層2を研磨することで、ラミネート加工層2からインターフェース102を露出させることができるようにする。
【0040】
インターフェース102を露出させるために、ラミネート加工層2を薄肉化する必要があり、ここで、様々な方法でラミネート加工層2を薄肉化することができる。例示的に、ラミネート加工層2を研磨することで、ラミネート加工層2からインターフェース102が位置する集積デバイス1の第1面11を露出させてもよい。インターフェース102を露出させるために、他の方式、例えば、化学的エッチング、湿式研磨法などの方式でラミネート加工層2を薄肉化することもできることが分かる。
【0041】
ステップ50において、ラミネート加工層2の上に少なくとも1層の再配線層を形成し、各層の前記再配線層が、インターフェース102に対応して接続された少なくとも1つの金属パターン31を含み、前記金属パターン31自体が第2機能回路を形成し、または、前記金属パターン31が第2機能回路に直接的に接続されている。
【0042】
インターフェース102と外部の他の構造との接続を容易にするために、ラミネート加工層2の上にインターフェース102に対応して接続された金属パターン31を形成し、例えば、金属層を蒸着し、露光現像などのプロセスで金属パターン31を形成し、金属パターン31の数は少なくとも1つである。ここで、集積回路モジュール構造における寄生抵抗の抵抗値をできるだけ小さくするために、金属パターン31の製作材料は、電気伝導率の高い金属を採用し、金属パターン31が正常に動作することを保証した上で、金属パターン31の面積をできるだけ大きくすることができる。
【0043】
ステップ60において、ラミネート加工層2及び再配線層の上に絶縁層4を形成し、各層の絶縁層4が1層の再配線層を被覆し、絶縁層4から金属パターン31の一部を露出させる。
【0044】
金属パターン31の面積が比較的大きく、かつ、集積デバイス1のインターフェース102がいずれもラミネート加工層2の外に露出しているため、この集積回路モジュール構造が外部回路と接続されている場合、金属パターン31またはインターフェース102と外部回路との間に不要な短絡などが発生しないように、ラミネート加工層2及び金属パターン31の上に絶縁層4を形成し、絶縁層4を形成するとき、絶縁層4から金属パターン31の一部を露出させる。
露出した金属パターン31の一部には、この集積回路モジュール構造と外部回路との接続を実現するためのパッドが形成されている。
なお、絶縁層4は、蒸着によって形成されることができ、絶縁層4と集積デバイス1、金属パターン31及びラミネート加工層2との間はいずれも良好な密着性を有することができるため、絶縁層4はある程度の封止作用を果たし、集積デバイス1を水及び酸素による侵食から保護することができ、一方、絶縁層4と集積デバイス1または金属パターン31とを半田ボールで半田付けすることを回避でき、集積回路モジュール構造において寄生抵抗の比較的大きい半田ボールを入れる必要がなくなる。
【0045】
なお、絶縁層4及び再配線層は、いずれも1層でもよいし、複数層でもよい。例示的に、ラミネート加工層2の上に複数層の再配線層を形成し、複数層の再配線層の間を絶縁層4で隔離し、絶縁層4におけるスルーホール41を介して複数層の再配線層の間の電気的接続を実現する。
【0046】
再配線層が複数層であると、絶縁層4も複数層となり、短絡などの発生を回避するように、絶縁層4によって複数層の再配線層を隔離する。複数層の再配線層の金属パターン31間の電気的接続を実現するように、再配線層間の絶縁層4にスルーホール41を開けて、金属パターン31の一部を露出させる。
【0047】
ラミネート加工層2の上に蒸着で誘電体材料層を形成し、形成された誘電体材料層が金属パターン31及び集積デバイス1を被覆することができ、誘電体材料層をエッチングして金属パターン31の一部を露出させる。
【0048】
ここで、絶縁層4とラミネート加工層2との間の密着性を良くし、絶縁層4の絶縁性能を保証するために、蒸着の方式で絶縁性能の良い誘電体材料層を形成することができる。形成された誘電体材料層は、金属パターン31及び集積デバイス1を被覆し、集積デバイス1を侵食から保護し、不要な短絡などの発生を回避することができる。金属パターン31を外部回路に接続できるようにするために、誘電体材料層をエッチングする方法で金属パターン31の一部を露出させてもよい。
【0049】
本出願の実施例に係る集積回路モジュール構造の製作方法は、錫半田ボールや銅柱などの中間材料を使用する必要がなく、寄生抵抗を大幅に低減し、関連技術における半田ボールなどにより寄生抵抗が発生する原因で集積デバイス1におけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数が大幅に低下するという問題を解決し、半田ボールの生成を避け、寄生抵抗を低減し、集積デバイス1のコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を高め、集積デバイス1の性能を改善している。
【0050】
一実施例において、前記絶縁層4を形成した後に、キャリアプレート5及び遷移ゴム6を除去するステップ70をさらに含む。
【0051】
キャリアプレート5は、集積回路モジュール構造を製作する過程で製作プラットフォームを提供するだけで、遷移ゴム6は、集積デバイス1を固定するためだけで、両者は、集積回路モジュール構造の中にパッケージされていないので、絶縁層4を形成した後、高温などの方式で遷移ゴム6を除去することができる。遷移ゴム6を除去した後、キャリアプレート5は自然に脱落することができる。キャリアプレート5は、リサイクル可能で、次の集積回路モジュール構造の製作に使用できるため、本出願の実施例に係る集積回路モジュール構造の製作方法は、コストを節約することもできる。
【0052】
一実施例において、再配線技術を用いてラミネート加工層の上に金属パターン31を形成し、形成された金属パターン31が金属パターン31に対応するインターフェース102を覆って接触し、形成された金属パターン31の面積が、金属パターン31に対応するインターフェース102の面積よりも大きい。
【0053】
再配線技術を採用することで、線路接点位置の本来の設計を変更し、本来の設計の付加価値を高め、線路接点位置のピッチを大きくし、比較的大きなバンプ面積を提供し、絶縁層4と集積デバイス1との間の応力を低減し、集積デバイス1の信頼性を高めることができる。そのため、インターフェース102を露出させたラミネート加工層2の上に、再配線技術を用いて金属パターン31を形成することができる。
金属パターン31とインターフェース102とを効果的に接続できるようにするために、金属パターン31は、インターフェース102を部分的に被覆してもよく、完全に被覆してもよい。集積回路モジュール構造における寄生抵抗の抵抗値を低減し、かつ、金属パターン31とインターフェース102との有効な接触を確保するために、金属パターン31の面積は、金属パターン31に対応するインターフェース102の面積よりも大きくてもよい。
【0054】
金属パターン31にも寄生抵抗が存在することを考えると、その寄生抵抗の抵抗値を低減するために、金属パターン31の材料は、電気伝導率の高い金属材料を用いることができ、金属パターン31の材料は、銅であってもよい。
【0055】
産業上の利用可能性
本出願の実施例に係る集積回路モジュール構造及びその製作方法は、半田ボールなどにより寄生抵抗が発生する原因で集積デバイスにおけるコンデンサまたはインダクタンスの品質係数が大幅に低下するという問題を解決し、寄生抵抗を低減し、集積デバイスのコンデンサまたはインダクタンスの品質係数を高め、集積デバイスの性能を改善している。
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