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特許7130063複数の要素源からのエネルギーを方向付ける装置およびその方法。
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】複数の要素源からのエネルギーを方向付ける装置およびその方法。
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
A61N7/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020564327
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 IB2018000596
(87)【国際公開番号】W WO2019220159
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】517338951
【氏名又は名称】プロファウンド メディカル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】トゥオミネン、アーロ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236051(US,A1)
【文献】特表2013-505765(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0124598(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00 ― 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
複数のエネルギー送達装置と、
複数のロッドであって、各ロッドは第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部は前記複数のエネルギー送達装置うちの1つに機械的に連結されるものである、前記複数のロッドと、
複数の第1の回転自在なジョイントであって、各第1の回転自在なジョイントは対応するロッドに機械的に連結されるものである、前記複数の第1の回転自在なジョイントと、
複数の第2の回転自在なジョイントであって、各第2の回転自在なジョイントは対応するロッドの一部にスライド自在に係合するものである、前記複数の第2の回転自在なジョイントと、
複数の静止プレート用孔部を有する静止プレートであって、各静止プレート用孔部は前記複数の第1の回転自在なジョイントのうちの1つの少なくとも一部を受け入れるように構成されており、これにより、複数の第1の回転自在なジョイント接続部が形成されるものであり、各第1の回転自在なジョイントは前記静止プレートに対して回転自在である、前記静止プレートと、
複数の可動プレート用孔部を有する可動プレートであって、各可動プレート用孔部は前記複数の第2の回転自在なジョイントのうちの1つの少なくとも一部を受け入れるように構成されており、これにより、複数の第2の回転自在なジョイント接続部が形成されるものであり、各第2の回転自在なジョイントは前記可動プレートに対して回転自在である、前記可動プレートと、
を有
各ロッドは、前記複数の第1の回転自在なジョイントのうちの1つおよび前記複数の第2の回転自在なジョイントのうちの1つの双方と機械的に連動しているものである、
装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドにおいて前記第1の端部と前記第2の回転自在なジョイントとの間に配置されるものである、装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドにおいて前記第2の端部と前記第2の回転自在なジョイントとの間に配置されるものである、装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記静止プレート、前記可動プレート、または前記静止プレートおよび前記可動プレートの双方は平面形状を有するものである、装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記静止プレート、前記可動プレート、または前記静止プレートおよび前記可動プレートの双方は湾曲形状を有するものである、装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドに一体的に連結されるものである、装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、さらに、前記可動プレートに機械的に連動して前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更する位置決め機構を有するものである、装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、前記位置決め機構は、所定の軸に沿って前記可動プレートと前記静止プレートとの間の距離を増加または減少させることで前記可動プレートの位置を変更するように構成されているものである、装置。
【請求項9】
請求項7記載の装置において、各ロッドは、各ロッド軸に沿って前記静止プレートから前記可動プレートまで延長するものであり、前記位置決め機構は、少なくとも1つのロッド軸に直交する平面内で前記可動プレートの位置を変更するように構成されているものである、装置。
【請求項10】
請求項7記載の装置において、前記位置決め機構は、x-y-zポジショナーを有するものである、装置。
【請求項11】
請求項7記載の装置において、
各ロッドは、各ロッド軸に沿って前記静止プレートから前記可動プレートまで延長し、各ロッド軸と前記可動プレートおよび前記静止プレートと交差する方向に延長する基準軸との間の所定の角度で配向されるものであり、
前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更することにより前記角度が変化するものである、
装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、各エネルギー送達装置は、各ロッドの角度に対応する方向にエネルギーを放射するものであり、各ロッドの角度の変更にともなって各エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向が変化するものである、装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、前記エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーは焦点領域に集中するものであり、前記エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向の変更にともなって前記焦点領域の位置が変化するものである、装置。
【請求項14】
請求項1記載の装置において、各エネルギー送達装置は、1若しくはそれ以上の超音波トランスデューサー要素を有するものである、装置。
【請求項15】
請求項1記載の装置において、各第1の回転自在なジョイントは第1のボールを有し、各第2の回転自在なジョイントは第2のボールを有し、各第1のボールは前記静止プレートと第1のボール接続部を形成するものであり、各第2のボールは前記可動プレートと第2のボール接続部を形成するものである、装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、対応するロッドの一部にスライド自在に係合するために各第2のボール内に孔部が形成されているものである、装置。
【請求項17】
請求項1記載の装置において、前記第1および第2の回転自在なジョイントは対応するロッドに対して回転2自由度を有し、前記第2の回転自在なジョイントは対応するロッドに対して移動1自由度を有するものである、装置。
【請求項18】
請求項1記載の装置において、各第1の回転自在なジョイントは第1のジンバルを有し、各第2の回転自在なジョイントは第2のジンバルを有するものである、装置。
【請求項19】
複数のエネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向を制御する方法であって、
各エネルギー送達装置から所定のそれぞれの角度方向にエネルギーを放射する工程であって、
前記各エネルギー送達装置は、複数のロッドのうちの対応する各ロッドの第1の端部に機械的に連結されているものであり、当該各ロッドは対応するロッド軸に沿って可動プレートから静止プレートまで延長するものであり、
前記ロッドは、前記静止プレート内の対応する孔部に少なくとも一部が配置された対応する各第1の回転自在なジョイントに機械的に連結されるものであり、
前記それぞれの角度方向は、前記各ロッドの対応するロッド軸と前記可動プレートおよび前記静止プレートと交差する方向に延長する基準軸との間の角度によって画定されるものである、
前記放射する工程と、
前記可動プレートに機械的に連動する位置決め機構により、前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更する工程であって、
前記可動プレートは、前記各ロッドに対応する第2の回転自在なジョイントを介して前記各ロッドと機械的に連動するものであり、
前記対応する各第2の回転自在なジョイントは前記可動プレート内の対応する孔部に少なくとも一部が配置されるものであり、
前記各ロッドの一部は前記対応する各第2の回転自在なジョイントにスライド自在に係合するものである
前記変更する工程と、
前記各角度を変更するために、前対応する各第1および第2の回転自在なジョイントを前記静止プレートおよび前記可動プレートのそれぞれに対して回転させる工程と、
前記各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーの前記それぞれの角度方向を変更する工程と、
を有する、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、さらに、前記各エネルギー送達装置からのエネルギーの少なくとも一部が焦点領域を通過するように前記複数のロッドを配置する工程を有するものである、方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記各エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーのそれぞれの角度方向を変更することにより前記焦点領域の位置が変化するものである、方法。
【請求項22】
請求項19記載の方法において、前記可動プレートの位置を変更する工程は、前記ロッド軸の少なくとも1つに直交する平面に対して平行に前記可動プレートを移動する工程を有するものである、方法。
【請求項23】
請求項19記載の方法において、前記可動プレートの位置を変更する工程は、前記可動プレートを前記静止プレートに対して接近する方向または前記静止プレートから離れる方向に移動する工程を有するものである、方法。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、前記各エネルギー送達装置は、1若しくはそれ以上の超音波トランスデューサー要素を有し、前記各エネルギー送達装置から放射されたエネルギーは超音波機械エネルギーを有するものである、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、さらに、
治療計画に基づいて前記エネルギーの前記それぞれの角度方向を調整する工程を有するものである、方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、さらに、
コンピューターにより、被験者の標的部位の磁気共鳴データを受け取る工程であって、前記磁気共鳴データは超音波トランスデューサー要素の測定角度方向を示すものである、前記受け取る工程と、
前記超音波トランスデューサー要素の前記測定角度方向と前記治療計画の標的角度方向とを比較する工程と、
前記超音波トランスデューサー要素の前記測定角度方向が前記治療計画の標的角度方向と異なる場合、前記可動プレートの位置を調整する工程と
を有するものである、方法。
【請求項27】
請求項19記載の方法において、さらに、
前記対応する各第1の回転自在なジョイントを形成するために、前記各ロッドの前記第1の端部に対応する各第1のボールを機械的に連結する工程を有し、当該対応する各第1のボールは前記静止プレート内の対応する孔部に少なくとも一部配置されているものである、方法。
【請求項28】
請求項19記載の方法において、さらに、
前記対応する各第2の回転自在なジョイントを形成するために、前記対応する各ロッドの一部に対応する第2のボールを機械的に連結する工程を有し、当該対応する各第2のボールは前記可動プレート内の対応する孔部に少なくとも一部配置されているものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向を制御する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムおよび他のエネルギー送達システムは、標的部位に集中または向けられるエネルギーを放射する。これらのシステムは、(a)エネルギーが所望の部位に集中または方向付けられるように物理的にエネルギー送達要素の位置を調整する、(b)各エネルギー送達要素によって放射されるエネルギーの相対位相および相対振幅を調整することでエネルギーを所望の部位にビームステアリングすることによって、または、(c)(a)および(b)の組み合わせによって、エネルギーを所望の部位に集中または方向付ける。エネルギーの相対位相および相対振幅はエネルギー送達システムを物理的に移動させることなく調整可能なため、エネルギー送達システムの物理的な移動に比べ、より急速にビームステアリングを行うことができる。しかしながら、ビームステアリングでは、エネルギーの焦点および方向を調整する能力は限られている。そのため、ビームステアリングが利用可能な限られた調整範囲の外部に標的部位がある場合、エネルギー送達システムを物理的に移動させる必要があった。
【0003】
エネルギー送達システムを物理的に移動させる必要なく、エネルギー送達要素の方向および/または焦点を調整可能な範囲を拡大することが望ましい。
【0004】
図1は、従来技術によるエネルギー送達システム10の概略図である。エネルギー送達システム10は、各領域110にエネルギーを放射する複数のエネルギー送達装置100を含む。図示するように、放射されたエネルギーのほんの一部のみが標的点120を通過する。したがって、エネルギー送達装置100の焦点が幾何学的に標的点120に置かれる場合と比べると、標的点120に対して所定のエネルギー量を提供するのにより長時間要すると考えられる。しかしながら、エネルギーを幾何学的に標的点120に集中させた場合、エネルギー送達装置100がエネルギーを放射できる角度範囲が減少すると考えられる。
【0005】
エネルギー送達装置が所望の標的点にエネルギーを幾何学的に集中させることを可能とともに、エネルギーを広範囲に亘って放射するエネルギー送達装置の能力を維持できるようにエネルギー送達装置を配置することが望ましい。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第3,990,300号明細書
(特許文献2) 米国特許第6,111,816号明細書
(特許文献3) 米国特許第7,393,325号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載する例示的な実施形態は新規性を有する事項を備えるが、いずれも必須事項ではなく、また、本実施形態の好適な特徴は単一の事項のみに起因するものではない。以下の記載および図面は、本開示の特定かつ具体的な実施を詳細に説明するものであり、本開示の様々な原理を実施するための例示的手段をいくつか示すものである。しかしながら、このような具体例は本開示において可能である様々な実施形態を包括するものではない。特許請求の範囲を限定することなく、以下有利な特徴の概要について説明する。本開示のその他の目的、その他の有利かつ新規性を有する特徴については図面を参照しながら以下の本開示の詳細な説明において記載するが、当該説明および図面は本発明を具体的に説明することを意図するものであって限定するものではない。
【0007】
本発明の1観点は、装置であって、複数のエネルギー送達装置と、複数のロッドであって、各ロッドは第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部は前記複数のエネルギー送達装置うちの1つに機械的に連結されるものである、前記複数のロッドと、複数の第1の回転自在なジョイントであって、各第1の回転自在なジョイントは対応するロッドに機械的に連結されるものである、前記複数の第1の回転自在なジョイントと、複数の第2の回転自在なジョイントであって、各第2の回転自在なジョイントは対応するロッドの一部にスライド自在に係合するものである、前記複数の第2の回転自在なジョイントと、複数の静止プレート用孔部を有する静止プレートであって、各静止プレート用孔部は前記複数の第1の回転自在なジョイントのうちの1つの少なくとも一部を受け入れるように構成されており、これにより、複数の第1の回転自在なジョイント接続部が形成されるものであり、各第1の回転自在なジョイントは前記静止プレートに対して回転自在である、前記静止プレートと、複数の可動プレート用孔部を有する可動プレートであって、各可動プレート用孔部は前記複数の第2の回転自在なジョイントのうちの1つの少なくとも一部を受け入れるように構成されており、これにより、複数の第2の回転自在なジョイント接続部が形成されるものであり、各第2の回転自在なジョイントは前記可動プレートに対して回転自在である、前記可動プレートと、を有する、装置に関する。
【0008】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドにおいて前記第1の端部と前記第2の回転自在なジョイントとの間に配置される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドにおいて前記第2の端部と前記第2の回転自在なジョイントとの間に配置される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記静止プレート、前記可動プレート、または前記静止プレートおよび前記可動プレートの双方は平面形状を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記静止プレート、前記可動プレート、または前記静止プレートおよび前記可動プレートの双方は湾曲形状を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1の回転自在なジョイントは、各ロッドに一体的に連結される。
【0009】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記装置は、さらに、前記可動プレートに機械的に連動して前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更する位置決め機構を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記位置決め機構は、所定の軸に沿って前記可動プレートと前記静止プレートとの間の距離を増加または減少させることで前記可動プレートの位置を変更するように構成されている。1若しくはそれ以上の実施形態において、各ロッドは、各ロッド軸に沿って前記静止プレートから前記可動プレートまで延長するものであり、前記位置決め機構は、少なくとも1つのロッド軸に直交する平面内で前記可動プレートの位置を変更するように構成されている。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記位置決め機構は、x-y-zポジショナーを有する。
【0010】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各ロッドは、各ロッド軸に沿って前記静止プレートから前記可動プレートまで延長し、各ロッド軸と基準軸との間の所定の角度で配向されるものであり、前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更することにより前記角度が変化する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各エネルギー送達装置は、各ロッドの角度に対応する方向にエネルギーを放射するものであり、各ロッドの角度の変更にともなって各エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向が変化する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーは焦点領域に集中するものであり、前記エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向の変更にともなって前記焦点領域の位置が変化する。
【0011】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各エネルギー送達装置は、1若しくはそれ以上の超音波トランスデューサー要素を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各第1の回転自在なジョイントは第1のボールを有し、各第2の回転自在なジョイントは第2のボールを有し、各第1のボールは前記静止プレートと第1のボール接続部を形成し、各第2のボールは前記可動プレートと第2のボール接続部を形成する。1若しくはそれ以上の実施形態において、対応するロッドの一部にスライド自在に係合するために各第2のボール内に孔部が形成されている。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1および第2の回転自在なジョイントは対応するロッドに対して回転2自由度を有し、前記第2の回転自在なジョイントは対応するロッドに対して移動1自由度を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各第1の回転自在なジョイントは第1のジンバルを有し、各第2の回転自在なジョイントは第2のジンバルを有する。
【0012】
本発明の別の1観点は、複数のエネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向を制御する方法であって、各エネルギー送達装置から所定の角度方向にエネルギーを放射する工程であって、前記各エネルギー送達装置は、対応するロッド軸に沿って可動プレートから静止プレートまで延長するロッドの第1の端部に機械的に連結されるものであり、前記ロッドは、前記静止プレート内の対応する孔部に少なくとも一部が配置された第1の回転自在なジョイントに機械的に連結されるものであり、前記角度方向は、前記ロッド軸と基準軸との間の角度によって画定されるものである、前記放射する工程と、前記可動プレートに機械的に連動する位置決め機構により、前記静止プレートに対する前記可動プレートの位置を変更する工程であって、前記可動プレートは、各ロッドに対応する第2の回転自在なジョイントを介して各ロッドと機械的に連動するものであり、各第2の回転自在なジョイントは前記可動プレート内の対応する孔部に少なくとも一部が配置されるものであり、各ロッドの一部は各第2の回転自在なジョイントにスライド自在に係合するものである、前記変更する工程と、前記可動プレートの位置が変更された際、各ロッドが前記ロッド軸に沿って前記可動プレートから前記静止プレートまで継続して延長するように、前記第1および第2の回転自在なジョイントを前記静止プレートおよび前記可動プレートに対して回転させる工程と、前記各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーの角度方向を変更する工程とを有する方法に関する。
【0013】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記方法は、さらに、前記各エネルギー送達装置からのエネルギーの少なくとも一部が焦点領域を通過するように複数のロッドを配置する工程を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記各エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの角度方向を変更することにより前記焦点領域の位置が変化する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記可動プレートの位置を変更する工程は、前記ロッド軸の少なくとも1つに直交する平面に対して平行に前記可動プレートを移動する工程を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記可動プレートの位置を変更する工程は、前記静止プレートに対して接近する方向または前記静止プレートから離れる方向に前記可動プレート移動する工程を有する。
【0014】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記各エネルギー送達装置は、1若しくはそれ以上の超音波トランスデューサー要素を有し、前記各エネルギー送達装置から放射されたエネルギーは超音波機械エネルギーを有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記方法は、さらに、治療計画に基づいて前記エネルギーの前記角度方向を調整する工程を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記方法は、さらに、コンピューターにより、被験者の標的部位の磁気共鳴データを受け取る工程であって、前記磁気共鳴データは超音波トランスデューサー要素の測定角度方向を示すものである、前記受け取る工程と、前記超音波トランスデューサー要素の前記測定角度方向と前記治療計画の標的角度方向とを比較する工程と、前記超音波トランスデューサー要素の前記測定角度方向が前記治療計画の標的角度方向と異なる場合、前記可動プレートの位置を調整する工程とを有する。
【0015】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記方法は、さらに、前記各ロッドの前記第1の端部に第1のボールを機械的に連結する工程を有し、当該第1のボールは前記静止プレート内の対応する孔部に少なくとも一部配置されている。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記方法は、さらに、前記各ロッドの一部に第2のボールを機械的に連結する工程を有し、当該第2のボールは前記可動プレート内の対応する孔部に少なくとも一部配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の要旨および特徴の十分な理解のため、好適な実施形態に関する詳細な説明および添付の図面を以下に参照する。
図1図1は、従来技術におけるエネルギー送達システムの概略図である。
図2図2は、少なくともいくつかの実施形態による、本明細書開示の装置および/または方法の少なくともいくつかを用いる1つのタイプのシステムを示す。
図3図3は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置の概略図である。
図4図4は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第2の支持プレートを第1の方向へ移動した後の第2の状態における超音波装置を示す。
図5図5は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の支持プレートを第2の方向へ移動した後の第2の状態における超音波装置を示す。
図6図6は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第2の支持プレートを第3の方向へ移動した後の第3の状態における超音波装置を示す。
図7図7は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第2の支持プレートを第4の方向へ移動した後の第4の状態における超音波装置を示す。
図8図8は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置の概略図である。
図9図9は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第2の状態における超音波装置の概略図である。
図10A図10Aは、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置の概略図である。
図10B図10Bは、1若しくはそれ以上の実施形態による、超音波装置の概略図である。
図11図11は、1若しくはそれ以上の実施形態による、図10Aに示された超音波装置の第2の状態における概略図である。
図12図12は、1若しくはそれ以上の実施形態による、トランスデューサーアセンブリの斜視図である。
図13図13は、1若しくはそれ以上の実施形態による、トランスデューサーアセンブリの斜視図である。
図14図14は、1若しくはそれ以上の実施形態による、システムの斜視図である。
図15図15は、位置決め装置のさらなる詳細図を提供する、図14に示されるシステムの側面図である。
図16図16は、図14に示されるシステムの断面図である。
図17図17は、図16に示されるシステムの断面図の一部の詳細図である。
図18図18は、エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、様々なタイプのエネルギー送達装置が放射するエネルギーの方向を制御するための装置、システム、および方法に広範に適用可能である。斯かるエネルギー送達装置の例には、超音波要素、レーザー、(ソーラー用途または他の用途用の)ミラー、(無線周波数(RF)信号、光などの)電磁信号、(正の干渉を用いる)他の例などが含まれる。本明細書に記載される実施形態の一部は、本開示の範囲を限定することなく、超音波エネルギー送達装置(例えば、超音波要素)との関連で記載されている。しかし、斯かる実施形態は他のタイプのエネルギー送達要素にも適用可能であることは理解されるべきである。したがって、超音波送達装置は、エネルギー送達装置の例示的実施形態であり、超音波送達装置(または超音波要素)への言及は、エネルギー送達装置の非制限的な例として提供されるものである。
【0018】
エネルギー装置は、第1のプレートから第2のプレートへ延びる各ロッドに機械的に連結されている。各ロッドは、回転自在な第1および第2のジョイント接続部を介して、それぞれ第1のプレートおよび第2のプレートに機械的に連結されている。第1の回転自在なジョイントは、各ロッドに機械的に連結されている(例えば、取り付けられている、一体的に接続されている)。第1の回転自在なジョイントは、第1のプレートの対応する孔部に少なくとも部分的に配置され、第1の回転自在なジョイント接続部を形成する。第2の回転自在なジョイントは、各ロッドの一部をスライド自在に受け入れるか、またはそれに係合している。第2の回転自在なジョイントは、第2のプレートの対応する孔部に少なくとも部分的に配置され、第2の回転自在なジョイント接続部を形成する。いくつかの例において、回転自在な第1および/または第2のジョイントは、ボール、ジンバル、ピボットジョイント、スイベルジョイント、ベアリング(例えば、旋回ベアリング)、および/または他の回転自在なジョイントである。
【0019】
各エネルギー送達装置は、それぞれの角度方向(エネルギー送達装置の方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい)にエネルギーを放射する。各エネルギー送達装置の角度方向は、ロッド軸と基準軸との間の角度に基づいて測定される。各ロッドは、ロッド軸に沿って、第1のプレートから第2のプレートへ延びている。
【0020】
第1のプレートと第2のプレートのうちの1つまたは両方が、もう一方のプレートに対して移動自在である。例えば、第1のプレートが、機械的な位置決め機構を用いて、第2のプレートに対して移動自在であってもよい。第1のプレートが第2のプレートに対して動かされる場合、回転自在な第1および第2のジョイント接続部がロッドを移動させる。第2のプレートは静止状態にあり、ロッドが第1のプレートから第2のプレートへ延長するので、第1のプレートの移動により、ロッド軸と基準軸との間の角度が変化する。エネルギーがエネルギー送達装置から放射される角度方向において、斯かる角度変化に対応する変化が生じる。
【0021】
図2は、少なくともいくつかの実施形態において、本明細書開示の装置、システム、および/または方法のうち少なくともいくつかを用いた、1つのタイプのシステム200を示している。医療システムであるシステム200には、患者支持台206(その上に患者208が示してある)、磁気共鳴システム202、および画像誘導エネルギー送達装置204が含まれる。
【0022】
磁気共鳴システム202には、開口部212の近くに配置された磁石210、磁場が磁気共鳴撮像を行うのに十分な強度および均一性を有する撮像領域214、磁場を急速に変化させ、MRI信号の空間符号化を可能にする1組の磁場勾配コイル216、磁場勾配コイル216に電流を供給し、時間の関数として制御される磁場勾配コイル電源218、撮像領域214内で磁気スピンの配向を操作するための送受信コイル220(「全身用」コイルとしても知られる)、送受信コイル220に接続された無線周波数トランシーバ222、およびMRIシステム202の作動を簡便化するための作業を実行し、無線周波数トランシーバ222、磁場勾配コイル電源218、並びに画像誘導エネルギー送達システム204に接続されているコンピューター224が含まれる。
【0023】
画像誘導エネルギー送達システム204は、画像誘導療法(例えば、温熱療法)を実行するものであり、複数の角度方向にエネルギー(例えば、超音波エネルギー)を送達して治療対象部位を治療するため、本明細書記載の1若しくはそれ以上の態様および/または実施形態(またはそれらの一部(複数も可))を実施できるものである。
【0024】
いくつかの実施形態においては、コンピューター224には、MRIシステム202専用の2つ以上のコンピューターが含まれていてもよい。少なくともいくつかの実施形態においては、MRIコンピューター224および/またはシステム200内の、および/またはそれに連結された1若しくはそれ以上の他のコンピューター装置(図示しない)は、本明細書記載の1若しくはそれ以上の態様および/または実施形態(またはそれらの一部(複数も可))を実施するための1若しくはそれ以上の作業を実行し、画像誘導エネルギー送達システム204内でエネルギー送達装置が放射するエネルギーの角度方向を制御してもよい。例えば、コンピューター224および/またはシステム200内の、および/またはそれに連結された1若しくはそれ以上の他のコンピューター装置(図示しない)は、本明細書に記載されているように、各エネルギー送達装置に機械的に連結されたロッドの角度を(例えば、当該ロッドに機械的に連動された第1のプレートの位置を調整することにより)調整できる。コンピューター224を含むコンピューター群の1つ以上は、標的治療部位および当該標的治療部位に望ましいまたは最小のエネルギー量(例えば、熱量)を含む治療計画を患者208用に有していてもよい。コンピューター(複数も可)は、磁気共鳴システム202からの画像を用いて、エネルギー送達装置が放射するエネルギーの角度方向を画像誘導できる。いくつかの実施形態においては、1若しくはそれ以上の専用コンピューターが画像誘導エネルギー送達システム204を制御する。上述のコンピューターのいくつかまたは全てが、例えばソフトウェア制御リンクを通して、(例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、移動体通信ネットワーク、WiFiネットワーク、または他のネットワーク上で)相互に連動されていてもよい。
【0025】
図3は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置30の概略図である。装置30は、複数のトランスデューサーアセンブリ300と、第1の支持プレート320と、第2の支持プレート330とを有する。各トランスデューサーアセンブリ300は、超音波トランスデューサー要素301、ロッド310、および第1のボール345を有している。トランスデューサー要素301は、ロッド310の第1の端部312に配置されている。各ロッド310は、第1および第2のボール接続部340、350を介して、第1および第2の支持プレート320、330と機械的に連動している。第1のボール接続部340は、ロッド310の第1の端部312の近くに配置されている。第2のボール接続部350は、ロッド310の第2の端部314の近くに配置されている。いくつかの実施形態では、第1および第2のボール接続部340、350は、ボールジョイントを有していてもよい。
【0026】
第1のボール345は、固定位置においてロッド310に機械的に連結されており(例えば、取り付け、付着、固定されており)、第1のボール345がロッド310に対して移動しないようになっている。いくつかの実施形態においては、ロッド310および第1のボール345は、単一ユニットとして一体的に連結されている。他の実施形態においては、ロッド310および第1のボール345は個別のユニットであり、相互に固定的に取り付けられている。第2のボール接続部350は、ロッド310に対して移動自在および/またはスライド自在である第2のボール355を有する。第2のボール355は、例えば、ロッド310の一部を受け入れて機械的に係合する(例えば、スライド自在に係合する、スライド自在に受け入れる、および/またはスライド自在に連結する)ための孔部または開口部を有していてもよい。ロッド310は、第2のボール355に対する当該ロッド310の相対的軸位置を調整するため、各ロッド310の軸360に沿って、第2のボール355の方向へ、あるいはそれから離れる方向へスライド自在である。
【0027】
第1の支持プレート320は、各第1のボール345の第1の部分を受け入れて第1のボール接続部340を形成するための複数の孔部325を有している。各第1のボール345の第2の部分は、孔部325の周りの第1の支持プレート320上に位置し、第1のボール345を機械的に支持している。第1のボール345はロッド310に取り付けられているので、第1の支持プレート320上に第1のボール345を機械的に支持することは、ロッド310およびそれに取り付けられた超音波トランスデューサー要素301を機械的に支持することになる。第1の支持プレート320に対する第1のボール345の位置は固定されている。しかし、第1のボール345は、各ロッド310の角度375を調整するため、対応する基準軸370に対してxz面および/またはyz面で回転自在である。明確化のため、図3では1つの基準軸370のみ図示する。したがって、ロッド310は、第1のボール接続部340において1自由度(回転)を有している。
【0028】
第2の支持プレート330は、各第2のボール355の第1の部分を受け入れて第2のボール接続部350を形成するための複数の孔部335を有している。各第2のボール355の第2の部分は、孔部335により周囲を囲まれて第2の支持プレート330上に配置され、それによって第2のボール355は機械的に支持される。第2の支持プレート330に対する第2のボール355の位置は固定されている。しかし、第2のボール355は、対応する基準軸370に対して各ロッド310の角度375を調整するため、第1のボール345と共に回転自在である。加えて、上述したように、対応する第2のボール355に対する各ロッド310の軸位置は調整可能である。したがって、ロッド310は、第2のボール接続部350において2自由度(回転および軸位置)を有する。
【0029】
第1および第2のボール345、355の回転により角度375が変化し、その結果、各トランスデューサー要素から放射される音響エネルギー302の角度方向が変化する。いくつかの実施形態においては、第1および第2のボール接続部340、350のうちの少なくとも1つは、例えば超音波トランスデューサー要素301に接続されている任意のワイヤの捩れを防止するため、ロッド310がロッド軸360を中心に回転するのを阻止する。
【0030】
図3図11は、各第1のボール345がロッド310の第1の端部312と第2のボール355との間に配置されている様子を示している。しかし、他の実施形態では、各第1のボール345は、ロッド310の第2の端部314と第2のボール355との間に配置されていてもよい。
【0031】
図3では、例えば高密度焦点式超音波(HIFU)システムにおいて、第1および第2の支持プレート320、330が内側に湾曲している様子が示されている。加えてまたはその代わりに、支持プレート320、330のうちの1つまたは両方が外側に湾曲していてもよい。加えてまたはその代わりに、支持プレート320、330のうちの1つまたは両方が平面形状であってもよい。
【0032】
支持プレート320、330間の相対位置は調整可能である。例えば、第2の支持プレート330は、第1の支持プレート320に対して軸方向または径方向に移動自在である。別の例では、第2の支持プレート330は、第1のプレート320に近づく方向へ、あるいはそれから離れる方向へ移動させることができる。さらに別の例では、第2の支持プレート330は、(a)第1の支持プレート320に対して軸方向(例えば、x軸に平行)または径方向に移動させることも、(b)第1のプレート320に近づく方向へ、あるいはそれから離れる方向へ(例えば、z軸に平行に)移動させることも可能である。支持プレート320、330の相対位置を調整することについては、第2の支持プレート330を移動させることに関連して(すなわち、第1の支持プレート320は静止状態で、第2の支持プレート330は移動自在)上記で説明したが、同じ相対位置の調整を第1の支持プレート320の移動によって行うことも可能である(すなわち、第1の支持プレート320が移動自在で、第2の支持プレート330は静止状態)ことに注目されたい。例えば、図3の左側へ軸方向に第2の支持プレート330を移動させるのは、図3の右側へ軸方向に第1の支持プレート320を移動させるのに等しい。同様に、図3の上側(第1の支持プレート320に近い方向)へ第2の支持プレート330を移動させるのは、図3の下側(第2の支持プレート330へ近い方向)へ第1の支持プレート320を移動させるのに等しい。前述の種々の組み合わせも可能である。最後に、上述の均等な相対位置の調整を達成するのに、両方の支持プレート320、330を反対方向へ(例えば、一方を左へ、他方を右へ)移動させることも可能(すなわち、第1の支持プレート320も第2の支持プレート330も移動自在)である。
【0033】
第1および/または第2の支持プレート320、330は、xyポジショナーまたはxyzポジショナーなどの位置決め機構を用いて移動させてもよい。位置決め機構は、支持プレート320、330のうちの1つを第1の、第2の、および/または第3の方向(例えば、x、y、および/またはz方向)へ移動させるのに、モーターによって、または液圧によって回転自在な1若しくはそれ以上の歯車付き接続部を有していてもよい。加えてあるいはその代わりに、位置決め機構は、アクチュエータ、あるいは電気機械式または空気式で操作可能な他の装置を有していてもよい。位置決め機構は、超音波トランスデューサー要素301、個別のコンピューター、またはコンピューター224を制御可能なコンピューターによって制御されてもよい。位置決め機構を制御するコンピューターは、位置決め機構を画像誘導するため、および/または超音波トランスデューサー要素301に電子的に焦点を合わせるため、磁気共鳴システム202によって提供される画像からフィードバックを受信してもよい。
【0034】
超音波トランスデューサー要素301は、焦点領域304への(例えば、各トランスデューサー要素301によって生成される音響エネルギー302の相対位相を調整することによる)ビーム操作を通して幾何学的に焦点が合わせられる、および/または電子的に焦点が合わせられる音響エネルギー302を生成する。幾何学的に焦点を合わせる超音波システムの例は、高密度焦点式超音波(HIFU)である。いくつかの実施形態においては、超音波装置30はHIFUシステムの一部である。焦点領域304の位置は、第1および/または第2の支持プレート310、320を移動させることにより幾何学的に調整可能である。
【0035】
図4は、第2の支持プレート320を第1の方向へ移動した後の第2の状態における超音波装置30を示す。図4において、第2の支持プレート320は左へ(例えば、x軸に平行に)移動されており(400)、その結果、第2のボール355およびロッド310の第2の端部314が左へ移動している。その結果、各ロッド310の角度375が変化し(例えば、基準軸370に対して減少し)、トランスデューサー要素301の焦点領域304が右へ(例えば、x軸に平行に)幾何学的に移動している(410)。言い換えると、第2の支持プレート320を第1の方向へ移動させると、焦点領域304の場所または位置が第1の方向の反対方向である第2の方向へ移動する。焦点領域304の場所はビーム操作によりさらに調整(または微調整)可能であることに注目されたい。角度375の変化に合わせて、第1および第2のボール345、355は回転する。
【0036】
上述したように、第1の支持プレート310を右へ移動させることにより、同じ結果が達成できる。第1の支持プレート310を右へ移動することにより、第1のボール345およびロッドの第1の端部312が右へ移動し、その結果、上述したように、各ロッド310に関して同じ角度375の調整が行われる。したがって、第1の支持プレート310を第1の方向へ移動させると、焦点領域304が第1の方向へ移動する。
【0037】
支持プレート310、320の相対位置の調整(例えば、第2の支持プレート320を左へ移動)により、支持プレート310、320間の距離380が変化する。例えば、第2の支持プレート320を左へ移動させると、支持プレート310、320間の距離380が増大する。ロッド310は、第2のボール355の孔部または開口部を通してスライドし、距離380の変化に応じて、第1および第2のボール345、355間のロッド310の長さを変えることができる。
【0038】
図5に示されるように、第2の支持プレート320(および/または第1の支持プレート310)は、y方向へ移動させる(500)ことにより、トランスデューサー要素301の焦点領域304をy方向に対して幾何学的に移動させることができる(510)ことに注目されたい。第2の支持プレート320(および/または第1の支持プレート310)をy方向へ移動させる(500)と、図4に関して上述したシステム30の状態と同等の変化(x方向に対するシステム30の状態の変化)をもたらす。例えば、第2の支持プレート320をy方向へ移動させる(500)と、第1および第2のボール345、355は回転し、対応する基準軸570に対して各ロッド310の角度575がyz平面において調整される。
【0039】
第2の支持プレート320(および/または第1の支持プレート310)は、x方向およびy方向(すなわちxy平面内で)移動させる(例えば、移動400、500)ことにより、トランスデューサー要素301の焦点領域304をx方向およびy方向に対して移動させることができる(例えば、移動410、510)ことにも注目されたい。
【0040】
図6は、第2の支持プレート320を第3の方向へ移動した後の第3の状態における超音波装置30を示したものである。図6において、第2の支持プレート320を第1の支持プレート310に近づく方向へ(例えば、zに平行に)移動させる(600)と、焦点領域304は第1の支持プレート310に近づく方向へ幾何学的に移動する(610)ので、超音波装置30は、それ(超音波装置30)が図3に示される第1の状態にある場合と比べて、減少した焦点距離を有するようになる。
【0041】
第3の状態において、外側のロッド310(611、612としても記されている)の第2の端部314は相互に離れ、中央のロッド310(613としても記されている)からも離れる。反対に、外側のロッド310の第1の端部312は内側へ移動し、その結果、焦点領域304は、第1の支持プレート310に近づく方向へ幾何学的に移動する(610)。例えば、第3の状態において、右側のロッド310(ロッド611としても記されている)の角度375は増大する。加えて、左側のロッド310(ロッド612としても記されている)の角度675は、基準軸610に対して増大する。しかし、中央のロッド310(ロッド613としても記されている)の軸360(および対応する角度)は、依然として基準軸370に平行である。
【0042】
図7は、第2の支持プレート320を第4の方向へ移動した後の第4の状態における超音波装置30を示している。図6において、第2の支持プレート320は、第1の支持プレート310から離れる方向へ(例えば、z軸に平行に)移動しており(700)、その結果、焦点領域304は第1の支持プレート310から離れる方向へ幾何学的に移動しており(710)、したがって、超音波トランスデューサー301は、当該超音波装置30が図3に示される第1の状態にある場合と比べて、焦点距離が増大する。
【0043】
第4の状態において、外側のロッド310(611、612としても記されている)の第2の端部314は相互に近づく方向へ移動し、中央のロッド310(613としても記されている)から離れる。反対に、外側のロッド310の第1の端部312は内側へ移動し、その結果、焦点領域304は、第1の支持プレート310から離れる方向へ幾何学的に移動する。例えば、第3の状態において、右側のロッド310(ロッド611としても記されている)の角度375は減少する。加えて、左側のロッド310(ロッド612としても記されている)の角度675は、基準軸610に対して減少する。しかし、中央のロッド310(ロッド613としても記されている)の軸360(および対応する角度)は、依然として基準軸370に平行である。
【0044】
図4~7においては、第2のプレート330が第1のプレート320に対してx方向、y方向、またはz方向のみに移動する様子が示されているが、上記内容の任意の組み合わせが可能であることは注目されたい。例えば、第2のプレート330は、x方向およびy方向の両方(例えば、xy平面)、x方向およびz方向の両方(例えば、xz平面)、y方向およびz方向の両方(例えば、yz平面)、またはx方向、y方向、およびz方向にも移動自在である。上述したように、第1のプレート320は、第2のプレート330に対しても移動自在なので、x方向、y方向、およびz方向のうちの任意の方向へ、あるいはその全ての方向へ移動自在である。いくつかの実施形態においては、双方のプレート320、330は、相対的に、x方向、y方向、およびz方向のうちの任意の方向へ、あるいはその全ての方向へ移動自在である。
【0045】
図8は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置80の概略図である。装置80は、第1および第2の支持プレート320、330が平板である点を除き、装置30と同一である。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1の支持プレート320の第1の面321(例えば、第2の支持プレート330の反対側の面)が平板で、第1の支持プレート320の第2の面322(例えば、第2の支持プレート330側の面)は平板ではない(例えば、湾曲している)。いくつかの実施形態においては、第1の支持プレート320の第1の面321は平板ではなく(例えば、湾曲しており)、第1の支持プレート320の第2の面322が平板である。いくつかの実施形態において、第2の支持プレート330の第1の面331(例えば、第1の支持プレート320の反対側の面)が平板で、第2の支持プレート330の第2の面332(例えば、第1の支持プレート320側の面)は平板ではない(例えば、湾曲している)。いくつかの実施形態においては、第2の支持プレート330の第1の面331は平板ではなく(例えば、湾曲しており)、第2の支持プレート330の第2の面332が平板である。
【0047】
図9は、1若しくはそれ以上の実施形態による、第2の状態における超音波装置80の概略図である。図9において、第2の支持プレート330が左(例えば、x軸に平行な第1の方向)へ移動する(900)と、焦点領域304は右(例えば、x軸に平行な第2の方向、すなわち第1の方向とは反対の第2の方向)へ移動する(910)。第2の支持プレート330の移動(900)の結果、角度375が変化する。角度375の頂点は、頁外に位置するので、図9には示されていない。移動(900)は、図4に関して上述した実施形態における、装置30の第2の支持プレート330の相対的移動に類似する。
【0048】
装置80の第1および/または第2の支持プレート320、330は、上述の装置30における第1および/または第2の支持プレート320、330同様、相対的に任意の方向へ移動自在である。装置80の第1および/または第2の支持プレート320、330において、xyz座標システムにおける各方向への移動の種々の変更は、装置30の第1および第2の支持プレート320、330の相対的移動(例えば、図4~7)と類似しているが、簡潔さのため、図では示されていない。
【0049】
図10Aは、1若しくはそれ以上の実施形態による、第1の状態における超音波装置1000Aの概略図である。装置80は、第1の支持プレート320が平板で第2の支持プレート330が内側に湾曲している点を除き、装置30および80と同一である。したがって、超音波装置1000Aは、装置30および80のハイブリッドである。他の実施形態によれば、第1の支持プレート320が湾曲しており、第2の支持プレート330が平板であってもよい。いくつかの実施形態においては、第1および/または第2の支持プレート320、330は、内側または外側に湾曲していてもよい。
【0050】
図10Bは、1若しくはそれ以上の実施形態による、超音波装置1000Bの概略図である。装置1000Bは、第1の支持プレート320が外側に湾曲しており、第2の支持プレート330が平板である点を除き、装置30、80、および1000Aと同一である。
【0051】
図11は、1若しくはそれ以上の実施形態による、図10Aに示された超音波装置1000Aの第2の状態における概略図である。図11において、第2の支持プレート330が左(例えば、x軸に平行な第1の方向)へ移動する(1001)と、焦点領域304は右(例えば、x軸に平行な第2の方向、すなわち第1の方向とは反対の第2の方向)へ移動する(1010)。第2の支持プレート330の移動(1001)の結果、角度375が変化する。角度375の頂点は、頁外に位置するので、図11には示されていない。移動(1001)は、それぞれ図4および図9に関して上述した実施形態における、装置30、80の第2の支持プレート330の相対的移動に類似する。
【0052】
装置1000Aの第1および/または第2の支持プレート320、330は、上述の装置30、80における第1および/または第2の支持プレート320、330同様、相対的に任意の方向へ移動自在である。装置1000Aの第1および/または第2の支持プレート320、330において、xyz座標システムにおける各方向への移動の種々の変更は、装置30、80の第1および第2の支持プレート320、330の相対的移動(例えば、図4~9)と類似しているが、簡潔さのため、図では示されていない。
【0053】
図12は、1若しくはそれ以上の実施形態による、トランスデューサーアセンブリ1200の斜視図である。アセンブリ1200には、少なくとも1つのトランスデューサー要素1201、ロッド1210、およびボール1245が含まれる。トランスデューサー要素1201(複数も可)は、ロッド1210の第1の端部1212に機械的に連結されている(例えば、取り付けられている、付着されている、固定されている)。ボール1245は、第1の端部1212近くのロッド1210に配置されている。いくつかの実施形態においては、ロッド1210はボール1245を含んでおり、その場合、ロッド1210およびボール1245は単一ユニットとして一体的に接続されている。他の実施形態においては、ボール1245は、ロッド1210に機械的に連結されている(例えば、取り付けられている、付着されている、固定されている)。トランスデューサー要素1201(複数も可)は、ロッド1210およびボール1245で画成される電線用導管1230を通過し、ロッド1210の第2の端部1214を通過する1本以上のワイヤ1220から受信する電気信号によって、動力の供給および制御が行われる。あるいは、トランスデューサー要素1201(複数も可)は、第1のプレート(例えば、第1のプレート320)の上面を横切り、トランスデューサー要素1201(複数も可)の下面から延長する1本以上のワイヤから受信する電気信号によって、動力の供給および制御が行われてもよい。
【0054】
トランスデューサーアセンブリ1200は、上述のトランスデューサーアセンブリ330と同一または類似であってよい。例えば、ロッド1210、トランスデューサー要素1201(複数も可)、および/またはボール1245は、ロッド310、トランスデューサー要素300(複数も可)、および/または第1のボール345と同一または類似であってよい。したがって、超音波装置30、80は、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1200を有していてもよい。
【0055】
図13は、1若しくはそれ以上の実施形態による、トランスデューサーアセンブリ1300の斜視図である。アセンブリ1300は、トランスデューサー要素1201(複数も可)がロッド1210の第2の端部1214上に配置され、ワイヤ1220(複数も可)がロッド1210の第1の端部1212を経て電気用導管1230を通過している点を除き、アセンブリ1200と同一である。トランスデューサー要素1201(複数も可)がロッド1210の第2の端部1214上に配置されているので、ボール1245は、アセンブリ1300において、アセンブリ1200よりもトランスデューサー要素1201(複数も可)から離れた位置に配置されている。
【0056】
トランスデューサーアセンブリ1300は、上述のトランスデューサーアセンブリ330と同一または類似であってよい。例えば、ロッド1210、トランスデューサー要素1201(複数も可)、および/またはボール1245は、ロッド310、トランスデューサー要素300(複数も可)、および/または第2のボール355と同一または類似であってよい。したがって、超音波装置30、80は、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1300を有していてもよい。
【0057】
図14は、1若しくはそれ以上の実施形態による、システム1400の斜視図である。システム1400には、第1のプレート1420、第2のプレート1430、複数のトランスデューサーアセンブリ1401、および位置決め装置1450が含まれる。第1および第2のプレート1420、1430は、第1および第2のプレート320、330と同一または類似であってもよい。スタンドまたはサポート1410は、第1のプレート1420の位置を維持するため、第1のプレート1420に機械的に連結されている、または一体的に接続されている。位置決め装置1450は、第1のプレート1420に対して第2のプレート1430を移動させる(例えば、その位置を変える)ように、第2のプレート1430に機械的に連動されている。したがって、第1のプレート1420は静止しており、第2のプレート1430は可動性である。他の実施形態においては、第2のプレート1430が静止しており、第1のプレート1420が可動性であってもよいし、第1および第2のプレート1420、1430が両方とも可動性であってもよい。
【0058】
各トランスデューサーアセンブリ1401は、トランスデューサーアセンブリ300、トランスデューサーアセンブリ1200、および/またはトランスデューサーアセンブリ1300と同一または類似であってもよい。例えば、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401が、トランスデューサーアセンブリ1200と同一または類似であり、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401がトランスデューサーアセンブリ1300と同一または類似であってもよい。別の例では、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401が、トランスデューサーアセンブリ300と同一または類似であり、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401がトランスデューサーアセンブリ1300と同一または類似であってもよい。別の例では、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401が、トランスデューサーアセンブリ300と同一または類似であり、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401がトランスデューサーアセンブリ1200と同一または類似であってもよい。さらに別の例では、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401が、トランスデューサーアセンブリ300と同一または類似であり、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401がトランスデューサーアセンブリ1200と同一または類似であり、および/または、1若しくはそれ以上のトランスデューサーアセンブリ1401がトランスデューサーアセンブリ1300と同一または類似であってもよい。
【0059】
位置決め装置1450は、第2のプレート1430を(例えば、第1の軸に沿って)y方向へ移動させるための第1の機構1460と、第2のプレート1430を(例えば、第1の軸に直交するの第2の軸に沿って)x方向へ移動させるための第2の機構1470と、第2のプレート1430を(例えば、第1および第2の軸に直交する第3の軸に沿って)x方向へ移動させるための第3の機構1480と、プラットフォーム1480とを有する。したがって、位置決め装置1450は、三次元空間の任意の方向(例えば、x方向、y方向、および/またはz方向)へ第2のプレート1430を移動できる。いくつかの実施形態においては、位置決め装置1450はxyzポジショナーである。
【0060】
第1の機構1460は、(主軸1462の右側および左側に位置する)歯車1461と、(例えば、ラックまたはピニオン接続部として)相互に係合する歯車付きレールまたはロッド1463とを有する。歯車1461は、手動により、またはコンピューター1490に連動可能なモーターにより、駆動(例えば、回転)可能である。歯車1461の回転は、プラットフォーム1480に機械的に取り付けられy軸に平行に延長する歯車付きレールまたはロッド1463へ移されるので、その結果、第2のプレート1430が、y軸に平行に直線状に移動する。第2のプレート1430は、プラットフォーム1480との関係で任意の方向へ移動自在である。
【0061】
第2の機構1470は、(図15に示される)ブロック1474をx軸に平行に移動させるスクリュー1472を有する。ブロック1474は、(図15に示される)水平ロッド1476をx軸に平行に移動させるので、その結果、プラットフォーム1480がx軸に平行に移動する。したがって、スクリュー1472を回転させることにより、プラットフォーム1480および第2のプレート1430がx軸に平行に移動する。水平ロッド1476はブロック1474によって画成された孔部を通って延長しているので、それらはy軸に平行に相互にスライド自在に係合できる点に注目されたい。スクリュー1472は、手動により、またはコンピューター1490に連動可能なモーターにより、回転自在である。
【0062】
第3の機構1480は、歯車1481と、(例えば、ラックまたはピニオン接続部として)相互に係合する歯車付きレールまたはロッド1483とを有する。歯車付きレールまたはロッド1483は、プラットフォーム1480に対して移動またはスライド自在である。(例えば、手動による、またはモーターによる)歯車1481の回転により、歯車付きレールまたはロッド1483がプラットフォーム1480に対してスライドし、第2のプレート1430に取り付けられた垂直の歯車付きレールまたはロッド(z軸に平行に延長しているが、図示されていない)に係合したピニオン1484を回転させるので、その結果、第2のプレート1430がz軸に平行に移動し、第1および第2のプレート1420、1430間の距離を増大または減少させる。歯車1481は、手動により、またはコンピューター1490に連動可能なモーターにより、回転自在である。
【0063】
他の実施形態においては、第1の、第2の、および/または第3の機構1460、1470、1480は、プラットフォーム第2のプレート1430をそれぞれy、x、およびz軸に平行に移動自在な同一の機構を有していてもよい(例えば、歯車および歯車付きロッド材(例えば、歯車1462および歯車付きロッド材1463)、スクリュー、線形アクチュエータ、または他の機構を各々有していてもよい。)。
【0064】
位置決め機構1460はコンピューター1490で制御できる。コンピューター1490は、超音波トランスデューサー要素301も制御するコンピューターまたは制御装置と同一であってもよいし、MRIシステム202に関連付けられたコンピューター224と同一であってもよいし、あるいは個別のコンピューターであってもよい。コンピューター1490は、位置決め機構1460を画像誘導するため、および/または超音波トランスデューサー要素に電子的に焦点を合わせるため、磁気共鳴システム202によって提供される画像からフィードバックを受信してもよい。
【0065】
図15は、位置決め装置1450のさらなる詳細図を提供する、図14に示されるシステム1400の側面図である。
【0066】
図16は、図14に示されるシステム1400の面A-Aに沿った断面図である。当該断面図は、第1および第2のボール接続部1640、1650(それぞれ第1および第2のボール接続部340、350と同一または類似であってよい)を示している。当該断面図は、トランスデューサーアセンブリ1401のロッド1610も示している。ロッド1610は、ロッド310と同一または類似であってよい。
【0067】
図17は、図16に示されるシステム1400の断面図の一部の詳細図1700である。さらに、詳細図1700は、トランスデューサーアセンブリ1401と、第1および第2のボール接続部1640、1650とを示している。図が示すように、各トランスデューサーアセンブリ1401は、ロッド1610と、ボール1645と、1若しくはそれ以上のトランスデューサー要素1601とを示している。第1のボール接続部1640にトランスデューサーアセンブリ1401を機械的に支持するため、ボール1645の一部は、第1の支持プレート1420の孔部1625に置かれている。上述したように、ボール1645およびロッド1610は、一体的に連結された単一のユニットであってもよいし、相互に取り付けられた、または固定された個別のユニットであってもよい。第2のボール1655の一部は、第2の支持プレート1430の孔部1635に置かれている。ロッド1610は、第2のボール1655の孔部1657を通って延長し、第2のボール接続部1650を形成する。凹形状領域1710が各ボール1645、1655の近くに配置されており、各孔部1625、1635においてボール1645、1655を固定している。
【0068】
装置30、80に関して上述したように、ボール1645,1655は、上述の実施形態同様、それぞれ支持プレート1420、1430に対して回転自在である。加えて、ロッド1610は、第2のボール1655の孔部1657に対して軸方向にスライド自在または移動自在である。
【0069】
図18は、エネルギー送達装置によって放射されるエネルギーの方向制御方法を示すフローチャート1800である。フローチャート1800の方法は、本明細書記載の1若しくはそれ以上の装置および/またはシステムを用いて実行される。工程1810において、エネルギーが、、各エネルギー送達装置から一定の角度方向に放射される。各エネルギー送達装置は、ロッド軸に沿って可動プレートから静止プレートへ延びたロッドの第1の端部に機械的に連結されている。各エネルギー送達装置において、ロッドは、静止プレートの対応する孔部に少なくとも部分的に配置された第1のボールに機械的に連結されている。角度方向は、ロッド軸と基準軸との間の角度(例えば、角度375)によって画成される。
【0070】
いくつかの実施形態において、各エネルギー送達装置は1若しくはそれ以上の超音波トランスデューサー要素を有しており、あるいはそれらから成っており、各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーは、超音波機械エネルギーを含んでいる。
【0071】
工程1820において、静止プレートに対する可動プレートの位置は、可動プレートに機械的に連動されている位置決め機構を用いて変更される。可動プレートは、対応する第2のボールを通して各ロッドに機械的に連動されている。各第2のボールは、可動プレートの対応する孔部に少なくとも部分的に配置されている。各エネルギー送達装置において、ロッドの一部は第2のボールに画成された孔部に配置されている。
【0072】
いくつかの実施形態においては、可動プレートは、ロッド軸の少なくとも1つに直交する平面に平行および/または直角に移動自在である。いくつかの実施形態においては、可動プレートは、静止プレートに近づく方向、またはそれから遠ざかる方向へ移動自在である。
【0073】
工程1830において、第1および第2のボールは、それぞれ静止プレートおよび可動プレートに対して回転するので、各ロッドは、工程1820で可動プレートの位置が変更された場合に、ロッド軸に沿って、可動プレートから静止プレートへ延長を続ける。
【0074】
工程1840において、各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーの角度方向が変更される。
【0075】
いくつかの実施形態において、ロッドは、各エネルギー送達装置からのエネルギーの少なくとも一部が焦点領域(例えば、焦点領域304)を通過するように配置できる。いくつかの実施形態においては、各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーの角度方向を変更することにより、焦点領域の位置が変化する。各エネルギー送達装置から放射されるエネルギーの角度方向および焦点領域の位置は、治療計画、例えば、(被験者などの)治療部位に最小限のエネルギー量を適用する計画などに対応して調整可能である。特定の実施形態においては、治療計画は、腫瘍または疾病を治療するため、被験者の治療部位を最小限の温度へ加熱して組織の壊死を引き起こすものであってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態においては、本発明の方法には、フィードバック情報に基づいて、エネルギー送達装置の角度方向を調整または微調整する工程が含まれてもよい。例えば、本発明の方法には、被験者の標的部位の磁気共鳴データをコンピューターで受け取る工程が含まれてもよい(この場合、磁気共鳴データは、エネルギー送達装置(例えば、超音波トランスデューサー要素)の測定角度方向を示すものである)。本発明の方法には、超音波トランスデューサー要素の測定角度方向と治療計画の標的角度方向とを比較する工程が含まれてもよい。さらに、本発明の方法には、超音波トランスデューサー要素の測定角度方向が治療計画の標的角度方向とは異なる場合、可動プレートの位置を調整する工程が含まれてもよい。
【0077】
前述の内容は、各第1および第2の支持プレート(例えば、第1および第2の支持プレート320、330)と共に各第1および第2のボール接続部(例えば、第1および第2のボール接続部340、350)を形成する、第1および第2のボール(例えば、第1および第2のボール345、355)を含む実施形態を記載している。他の実施形態においては、第1および/または第2のボール(複数も可)は、別のタイプの回転自在なジョイント、例えば、ジンバル、ピボットジョイント、スイベルジョイント、ベアリング(例えば、旋回ベアリング)、または他の回転自在なジョイントであってもよい。第1および第2の回転自在ジョイントは、第1および第2の支持プレートと共に、(本明細書記載の第1および第2のボール接続部に対応する)第1および第2の回転自在ジョイント接続部を形成する。第1および第2の回転自在ジョイント接続部の1つは少なくとも2自由度を有しており、第1および第2の回転自在ジョイント接続部のもう一方は少なくとも3自由度を有している。例えば、第1の回転自在ジョイント接続部は(例えば、x軸およびy軸に対して)回転2自由度を有しており、第2の回転自在ジョイント接続部は、(例えば、x軸およびy軸に対して)回転2自由度と、ロッドが第2の回転自在ジョイントに対して(例えば、第2の回転自在ジョイントの孔部または開口部を通して)スライド(例えば、スライド自在に受け入れ、スライド自在に係合、および/またはスライド自在に連結)できるようにする移動1自由度とをロッドに関して有していてもよい。別の例では、第1の回転自在ジョイント接続部は(例えば、x軸およびy軸に対して)回転2自由度と、ロッドに関する移動1自由度とを有しており、第2の回転自在ジョイント接続部は、(例えば、x軸およびy軸に対して)回転2自由度を有していてもよい。
【0078】
本発明は、上述の特定の実施形態に限定されるものと理解されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に公平に記載されている本発明の態様を全て包含するものと理解されるべきである。種々の変更、等価の工程、並びに本発明が適用可能な種々の構造は、本発明の開示の精査が求められている当業者には明白であろう。特許請求の範囲は、斯かる変更および等価物も包含するように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18