(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】軸受サンプのための通気システム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/06 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
F02C7/06 D
(21)【出願番号】P 2020568442
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2019025183
(87)【国際公開番号】W WO2019242888
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】102018000006394
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ、ルチアーノ
(72)【発明者】
【氏名】カレテッリ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ、アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】マリオッティ、マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】チェッチェリーニ、アルベルト
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0075951(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0160928(US,A1)
【文献】特開2006-161813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102580(US,A1)
【文献】特開2008-115858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空転用ガスタービンエンジ
ンであって、
圧縮機セクション
とガス発生器シャフトを有するガス発生
器と、
前記ガス発生器シャフトを支持するための少なくとも1つの軸受と、
前記圧縮機セクションに流体的に結合され、前記少なくとも1つの軸受をその中に収容する軸受サンプと、
パワータービンシャフトの上流端部において当該パワータービンシャフトに支持されたパワータービンロータを有するパワータービンセクションであって、前記上流端部が前記ガス発生器に軸方向に対向するものであり、当該パワータービンセクションは前記ガス発生器に流体的に結合されているが、前記パワータービンロータが前記ガス発生器シャフトに対して別々に回転できるように前記ガス発生器に機械的に結合されず、前記パワータービンシャフトの上流端部が前記軸受サンプに流体的に結合された軸方向キャビティを有する、パワータービンセクションと、
前記軸方向キャビティから延在し
て前記パワータービンロータの下流側の燃焼ガス流路に通じる
空気通気路と、を備えた、ガスタービンエンジン
。
【請求項2】
前記ガス発生
器が、第1のタービンシャフト
を備える高圧タービンセクショ
ンと、前記少なくとも1つの軸
受によって支持された第2のタービンシャフト
を備える中圧タービンセクショ
ンと、を少なくとも含む、請求項1に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項3】
前記ガス発生
器が、
第1のタービンシャフ
トによって互いに駆動的に結合された高圧タービンセクショ
ン及び高圧圧縮機セクショ
ンと、
第2のタービンシャフ
トによって、互いに駆動的に結合された中圧タービンセクショ
ン及び低圧圧縮機セクショ
ンであって、前記第1のタービンシャフ
ト及び前記第2
のタービンシャフ
トが、同軸に配置されており、前記第2のタービンシャフ
トが、前記第1のタービンシャフ
トを通って延在する、中圧タービンセクショ
ン及び低圧圧縮機セクショ
ンと、
前記高圧圧縮機セクショ
ン及び前記高圧タービンセクショ
ンに流体結合された燃焼器セクショ
ンと、を含む、請求項1に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項4】
前記軸受サン
プに配置された前記少なくとも1つの軸
受が、前記第2のタービンシャフ
トを支持する、請求項3に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項5】
前記パワータービンロータが、前記軸方向キャビティに流体結合されたキャビティを有し、前記パワータービンシャフトの上流端部に張り出した構成で設けられ、
前記軸方向キャビティが、前記パワータービンロータの前記キャビティの径方向内側を通って前記ガス発生器に向かって延びて前記軸受サンプに流体的に結合され、
前記パワータービンロータの前記キャビティに対して、前記ガス発生
器とは反対
側にバランスピストンキャビテ
ィが設けられ
、当該バランスピストンキャビティが前記圧縮機セクションからの圧縮された空気を受けて前記パワータービンロータの前記キャビティにおいて生じる軸方向スラストとは反対方向の軸方向スラストを生じさせるように構成されている、請求項
1から4のいずれか1項に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項6】
前記空気通気路
と前記パワータービンロータの前記キャビティとの間に前記バランスピストンキャビティ
が位置する、請求項5に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項7】
前記パワータービンシャフ
トが、転がり軸
受によって支持されている、請求項1
から6のいずれか1項に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項8】
前記パワータービンシャフト
を支持する軸受が
、前記パワータービンロータ
の下流側に配置さ
れている、請求項1
から7のいずれか1項に記載のガスタービンエンジ
ン。
【請求項9】
ガスタービンエンジンを動作させる方法であって、
前記ガスタービンエンジ
ンのガス発生
器を動作させる
とともに当該ガス発生器を用いて燃焼ガスを発生させるステップであって、前記ガス発生器が、軸受サン
プ内に配置された少なくとも1つの軸
受によって支持されている
少なくとも1つの回転シャフト
を含み、前記少なくとも1つの回転シャフトが第1の速度で回転する、発生させるステップと、
パワータービンシャフ
トによって
当該パワータービンシャフトの上流端部で支持されているパワータービンロー
タを含むパワータービンセクショ
ンにおいて、前記燃焼ガスを膨張させる
ステップであって、前記パワータービンシャフトの上流端部が前記ガス発生器に軸方向に対向し、前記パワータービンシャフトが前記ガス発生器に機械的に結合されず、前記パワータービンシャフトが前記第1の速度と異なる速度で回転する、膨張させるステップと、
前記軸受サン
プを、前記ガス発生
器の圧縮機セクショ
ンからの圧縮された空気でフラッシュする
ステップと、
前記軸受サン
プからの前記空気を、前記パワータービンシャフ
トの上流端部に形成された軸方向キャビテ
ィ内に
、前記パワータービンロー
タの下流の燃焼ガス流
路に流体結合された通気
路を通じて通気させる
ステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンエンジンに関する。本明細書に開示される実施形態は、具体的には、ガス発生器及びフリーパワータービンセクションを有するガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、発電用途及び機械的駆動用途の両方において、回転機械を駆動するためのプライムムーバとして広く使用されている。本明細書で理解されるように、発電用途は、発電機がガスタービンエンジンによって駆動される用途である。これらのシステムは、燃料の化学エネルギーを有用な電気エネルギーに変換する。本明細書で理解されるように、機械的駆動用途は、ガスタービンエンジンが、発電機以外の回転機器、例えば、単段若しくは多段軸又は遠心圧縮機などのポンプ又は圧縮機を駆動する用途である。
【0003】
いくつかの用途では、ガスタービンエンジンシステムのコンパクト化が重要となる。具体的には、ガスタービンエンジン及びそれによって駆動される機械が浮遊容器又は海洋プラットフォーム上に設置される海洋用途では、利用可能な空間が小さいため、機械的機器の全体的なフットプリントを低減する必要がある。したがって、高いパワー密度が重要である。
【0004】
航空転用ガスタービンエンジンは、コンパクトな機械であり、したがって、海洋用途において特に望ましい。ガスタービンエンジンの技術分野で一般的に理解されるように、本明細書で使用するとき、航空転用ガスタービンエンジンという用語は、航空機輸送用に設計された機器を少なくとも部分的に使用するガスタービンエンジンを指定するために使用される。これらのガスタービンエンジンは、コンパクト化及び軽量化によって特徴付けられる。しかしながら、これらの機械は、可用性及びパワーレートの観点からいくつかの制限を有する。
【0005】
ガスタービンエンジンにおける重要な態様のうちの1つは、軸受設計に関する。高パワーレートは、タービンシャフトに高い軸方向負荷を伴い、これは、例えば、転がり軸受よりも高い負荷保持能力を有する流体軸受のような複雑な軸受の使用を必要とする。このような軸受は、複雑であり、煩雑であり、かつ込み入った軸受流体回路を必要とする。
【0006】
したがって、現在の技術分野の制限のうちの1つ以上を克服又は緩和するガスタービンエンジンを開発することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、ガス発生器と、パワータービンセクションと、を含む、航空転用ガスタービンエンジンが、本明細書において開示される。パワータービンセクションは、タービンケーシングに回転自在に配置されたパワータービンシャフトによって支持されているパワータービンロータを含む。パワータービンシャフトは、ガス発生器から機械的に結合されていない、すなわち、ガス発生器シャフトの回転速度とは異なる回転速度で回転することができる。パワータービンシャフトは、ガス発生器のシャフトを支持する少なくとも1つの軸受を収容する軸受サンプに流体結合された軸方向キャビティを有する。軸受サンプは、ガス発生器の圧縮機セクションに流体結合され、そこから圧縮された空気でフラッシュされる。空気通気路は、軸方向キャビティから延在し、パワータービンロータの下流のガス流路に通じる。
【0008】
別の態様によれば、ガスタービンエンジンを動作させる方法が、本明細書において開示され、
ガスタービンエンジンのガス発生器を動作させることであって、ガス発生器が、少なくとも、軸受サンプ内に配置された少なくとも1つの軸受によって支持された回転シャフトを含む、動作させること、及びガス発生器を用いて燃焼ガスを発生させることと、
パワータービンシャフトによって支持されているパワータービンロータを含む、パワータービンセクションにおいて燃焼ガスを膨張させることと、
軸受サンプを、ガス発生器の圧縮機セクションからの圧縮された空気でフラッシュすることと、
空気を軸受サンプから、パワータービンシャフトの軸方向キャビティ内に、かつパワータービンロータの下流のガス路に流体結合された軸方向キャビティから延在する通気路を通って通気することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の開示された実施形態、及びその付随する利点の多くのより完全な理解は、添付図面と関連して考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるように、容易に取得されるだろう。
【
図1】本明細書に開示される実施形態による、ガスタービンによって駆動されるガス圧縮機トレーンを含むシステムの概略を図示する。
【
図2】本開示の実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図を図示する。
【
図3】本開示によるガスタービンエンジンのタービンセクションの一部の拡大詳細断面図を図示する。
【
図4】本開示の方法を要約するフローチャートを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
軸受サンプの通気を改善し、フリーパワータービンシャフトの軸方向負荷を低減することを目的とした新規かつ有用な構成を含む、航空転用ガスタービンエンジンが開示される。シャフトの軸方向負荷を低減することによって、より低い性能の軸受を使用することができ、いくつかの実施形態では、より高いパワーレートの場合であっても、流体軸受の代わりに転がり軸受を使用することができる。したがって、ガスタービンエンジンの全体的なフットプリント及び複雑性が低減され、メンテナンスがより容易になる。軸受キャビティの改善された通気は、オフ設計条件におけるエンジンの動作性を改善する。
【0011】
一般に、ガスタービンエンジンは、ガス発生器及びフリーパワータービンセクションを含む。ガス発生器は、圧縮機セクション及びタービンセクション、並びにそれらの間にある燃焼器セクションを含む。圧縮機セクションで圧縮された空気は、燃料と混合され、燃焼器セクション内で着火されて、高温加圧燃焼ガスを発生させる。この後者は、ガス発生器の1つ以上のタービンホイールにおいて膨張され、1つ以上のタービンホイールは、圧縮機セクションに駆動的に結合され、圧縮機セクションを回転させるためのパワーを提供する。最終膨張ステップは、パワータービンシャフトによって支持されているフリーパワータービンを含むパワータービンセクションにおいて行われ、ガス発生器の少なくとも1つの軸受、例えば、パワータービンセクションの最も近く位置する軸受がサンプ内に配置され、サンプは、パワータービンシャフトの軸方向キャビティに流体結合され、ガス発生器の圧縮機セクションに更に流体的に連結されて、そこから圧縮された空気を受容するように、ガス発生器の圧縮機セクションに更に流体結合される。パワータービンシャフト内に軸方向キャビティを設けることにより、その重量が低減され、その直径を現在の技術分野の機械よりも大きくすることができる。軸方向キャビティは、最低ガス圧が存在するパワータービンセクションの下流の燃焼ガス路と、通気路を介して流体結合される。この構成は、軸受サンプの通気を促進し、オフ設計動作条件下でもガスタービンエンジンの効率を改善する。以下でより詳細に説明するように、パワータービンシャフトの直径が増加すると、その軸受の軸方向負荷が低減される。
【0012】
ここで図面を参照すると、
図1は、ガスタービンエンジン2と、負荷3と、を含むシステム1を概略的に図示する。いくつかの実施形態では、負荷3は、回転機器を含むことができる。システム1の例示的な実施形態は、負荷3(の一部)を形成する圧縮機トレーンを含む。圧縮機トレーン3は、シャフト線6と、それに沿って配置された複数の回転機械とを含むことができる。
図1の概略図では、負荷3は、3つの回転機械7、8、9、例えば冷媒回路内を循環する1つ以上の冷媒流体を処理するための3つのガス圧縮機を含む。圧縮機は、1つ及び同じ閉回路、例えばLNGシステムの冷媒回路の一部とすることができる。他の実施形態では、圧縮機は、それぞれのガス流を別々に処理するための2つ又は3つの異なる閉回路、例えば、LNGシステム内の冷媒流に属することができる。
【0013】
図1の構成は、単なる例として提供される。ガスタービンエンジン2は、異なる負荷、例えば発電機を駆動するために使用され得ると理解されたい。更に別の実施形態では、ガスタービンエンジン2は、例えば、圧縮機及び電動機を組み合わせて含む複合負荷を駆動するために使用することができる。
【0014】
図2は、
図1を引き続き参照しながら、ガスタービンエンジン2の例示的な実施形態の概略断面図を図示する。ガスタービンエンジン2は、圧縮機セクション11と、燃焼器セクション13と、タービンセクション15と、を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、圧縮機セクション11は、低圧圧縮機セクション17と、高圧圧縮機セクション19と、を含む。低圧圧縮機セクション17は、空気流路21を通じて、高圧圧縮機セクション19に流体結合され得る。低圧圧縮機セクション17は、空気入口プレナムに流体結合され得、空気入口プレナムは、フィルタハウジング25を通じて周囲空気を受容する(
図1)。フィルタハウジング25は、清浄空気ダクト26を通じて空気入口プレナム23に流体結合され得る。空気は、予前処理され得、例えば、低圧圧縮機セクション17に取り込まれる前に冷却され得る。いくつかの構成では、低圧圧縮機セクション17に供給される前に冷却されず、冷却構成及び関連機器が分配され得るようにし、よりコンパクトな構成をもたらす。
【0016】
図2の概略に示すように、低圧圧縮機セクション17は、ガスタービン軸A-Aを中心として回転する低圧圧縮機ロータ27を含んでもよい。低圧圧縮機ロータ27は、回転ブレード31の複数の円形構成を含むことができる。
図2の例示的な実施形態では、低圧圧縮機ロータ27は、低圧圧縮機ロータ27と一体的に回転する回転ブレード31の4つの円形構成を含む。
【0017】
低圧圧縮機セクション17は、ケーシング35内に静止して配置された静止ブレード33の複数の円形構成を更に含むことができる。静止ブレード33の各円形構成は、回転ブレード31の円形配置のそれぞれ1つと組み合わされる。連続して配置された回転ブレード構成及び静止ブレード構成の各対は、低圧圧縮機段を形成する。本明細書に開示される例示的な実施形態では、低圧圧縮機セクション17は、4つの低圧圧縮機段を含む。入口ガイドベーン33Aのセットも、最も上流の回転ブレード31のセットの上流に配置され得る。低圧圧縮機セクション17と高圧圧縮機セクション19との間に静止ブレードのセットを配置することができ、2つのセクション間のガス流を直線状にする。
【0018】
本明細書の文脈において、下流及び上流という用語は、異なる指定がない限り、機械を通る空気流又はガス流の方向を指す。
【0019】
入口ガイドベーン33Aは、可変入口ガイドベーンとすることができる、すなわち、それらは、それぞれ実質的に半径方向の枢動軸を中心として旋回可能にケーシング35に取り付けられ得る。入口ガイドベーン33Aの下流の静止ブレード33の1つ、いくつか、又は全ての円形構成のブレードは、可変ジオメトリを有することができる。可変ジオメトリブレード構成の静止ブレードは、実質的に半径方向の枢動軸を中心として旋回することが可能であるように、ケーシング35に支持され得る。本明細書で使用するとき、「実質的に半径方向の枢動軸」は、ガスタービン軸A-A、すなわち、ガスタービンエンジン2の回転部品が回転する軸に実質的に直交する方向に配向されている軸として理解され得る。
【0020】
本明細書に開示される実施形態によれば、高圧圧縮機セクション19は、ガスタービンシャフト軸A-Aを中心とする回転のために配置され、したがって低圧圧縮機ロータ27と同軸である高圧圧縮機ロータ41を含むことができる。高圧圧縮機ロータ41は、回転ブレード43の複数の円形構成を含むことができる。
図2の例示的な実施形態では、高圧圧縮機ロータ41は、低圧圧縮機ロータ41と一体的に回転する回転ブレード43の9つの円形構成を含む。
【0021】
高圧圧縮機セクション19は、ケーシング35内に静止して配置された静止ブレード45の複数の円形構成を更に含むことができる。静止ブレード45の円形構成は、回転ブレード43の各円形構成と組み合わされる。連続して配置された静ブレード構成及び回転ブレード構成の各対は、高圧圧縮機段を形成する。
【0022】
高圧圧縮機セクション19の出口での流れを直線状にするために、高圧圧縮機段の下流に出力ガイドベーン45Aの最終セットが更に設けられ得る。
【0023】
高圧圧縮機セクション19の静止ブレード45の1つ、いくつか、又は全ての円形構成のブレードは、可変ジオメトリを有することができる。いくつかの実施形態では、静止ブレード構成は、いずれも可変ジオメトリを有しない。また、低圧圧縮機セクション17と同様に、高圧圧縮機セクション19では、可変ジオメトリブレード構成の各静止ブレードは、実質的に半径方向の枢動軸を中心として旋回することが可能であるように、ケーシング35に支持され得る。
【0024】
高圧圧縮機セクション19は、静止ブレード45Aのセット及び高圧空気流路46を通じて、燃焼器セクション13に流体結合されている。
【0025】
燃焼器セクション13は、環状燃焼室47を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の燃料ノズル49は、環状燃焼室47に沿ってガスタービン軸A-Aを中心として環状に配置されている。好ましい実施形態では、燃焼器セクション13は、本技術分野において一般にDLEシステムと名付けられる乾式低エミッションシステムを含む。乾式低エミッションシステムは、燃焼室に水を添加する必要なく、有害なCO及び/又はNOx排出の低減を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、燃焼器セクションは、拡散燃焼器を含むことができる。
【0027】
高圧圧縮機セクション19により供給される圧縮された空気は、気体燃料又は液体燃料と混合され、空気/燃料混合物が燃焼器セクション13において着火されて、燃焼器セクション13に流体結合されたタービンセクション15に供給される加圧熱燃焼ガスを発生させる。
【0028】
タービンセクション15は、順に、複数のタービンサブセクションを含むことができる。本明細書に開示される例示的な実施形態では、タービンセクション15は、燃焼器セクション13のすぐ下流に配置された高圧タービンセクション61を含むことができる。高圧タービンセクション61の下流には、中圧タービンセクション63が配置され得る。更に、中圧タービンセクション63の下流には、低圧タービンセクション65とも称されるパワータービンセクション65が配置され得る。後にその理由が明らかになるが、パワータービンセクション65は、「フリーパワータービンセクション」と称され得、「フリーパワータービン」又は「フリータービン」を含むことができる。フリータービンは、低圧タービンロータ又はパワータービンロータとも称されるフリータービンロータと、低圧タービンステータ又はパワータービンステータとも称されるフリータービンステータと、を含む。
【0029】
本明細書に開示される例示的な実施形態では、高圧タービンセクション61は、タービン軸A-Aを中心とした回転のために配置された高圧タービンロータ67を含むことができる。高圧タービンロータ67は、回転ブレードの複数のセットを含むことができ、各セットは、タービン軸A-Aを中心とした円形構成で配置された複数のブレードを含む。
図2の実施形態では、高圧タービンロータ67は、回転ブレード69の2つのセットを含む。静止ブレード71のそれぞれのセットは、回転ブレード69の各セットと組み合わされ得る。したがって、静止ブレード71の第1のセットが、燃焼室47と、高圧タービンセクション61の回転ブレード69の第1のセットとの間に配置される。ガスタービンエンジン2の例示的な実施形態によれば、高圧タービンセクション61は、回転ブレード69の2つのセットと、静止ブレード71の2つのセットとを含み、2つの高圧タービン段を形成する。
【0030】
高圧タービンセクション61の下流に配置された中圧タービンセクション63は、タービンシャフト軸A-Aを中心とする回転のために、ケーシング35に配置された中圧タービンロータ73を含むことができる。中圧タービンロータ73は、共回転のために取り付けられた複数の回転ブレード75を含むことができる。いくつかの実施形態では、
図2に示すように、中圧タービンロータ73の回転ブレード75は、円周方向に配置されたブレードの単一のセットに従って配置され得る。中圧タービンセクション63は、静止ブレード77を更に含むことができる。例示的な実施形態によれば、
図2に示すように、静止ブレード77は、回転ブレード75の上流に配置された円周方向に配置された静止ブレード77の単一のセットを形成する。静止ブレード77の周方向のセット及び回転ブレード75の周方向のセットは、単一の中圧タービン段を形成する。
【0031】
図示されるタービン段の数は、単なる例としてのものである。他の実施形態では、高圧タービンセクション61、中圧タービンセクション63又はその両方は、異なる段数を含むことができる。
【0032】
低圧圧縮機セクション17、高圧圧縮機セクション19、燃焼器セクション13、高圧タービンセクション61、及び中圧タービンセクション63は、組み合わせにおいて、併せて、66と標識されるガス発生器セクションを形成し、高圧タービンセクション61及び中圧タービンセクション63において部分的に膨張する燃焼ガスを発生させて、圧縮機セクション11を駆動する機械的パワーを発生させる。中圧タービンセクション63により供給される部分的に膨張した燃焼ガスは、低圧タービンセクション65において更に膨張して、後述するパワータービンシャフトに利用可能とされる有用なパワーを発生させる。
【0033】
中圧タービンセクション63の下流に配置された低圧タービンセクション又はパワータービンセクション65は、タービン軸A-Aを中心とした回転のためにケーシング35に配置された、フリーパワータービンロータ、又は単にパワータービンロータ81とも称される低圧タービンロータ81を含むことができる。パワータービンセクション65は、フリーパワータービンステータ、又は単にパワータービンステータとも称される低圧タービンステータを更に含む。
【0034】
低圧タービンロータ81には、回転ブレード83の周方向構成が取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、周方向に配置された回転ブレード83の4つのセットが、低圧タービンロータ81に配置される。周方向に配置された回転ブレード83の各セット又は構成は、ケーシング35に取り付けられ、フリーパワータービンステータ又は低圧タービンステータの一部を形成する周方向に配置された静止ブレード85のセット又は構成と組み合わされる。順に配置された静止ブレード85の周方向のセット及び関連する回転ブレード83の周方向のセットの各対は、低圧タービンセクション65のそれぞれの段を形成する。
【0035】
燃焼器セクション13で生成された燃焼ガスは、高圧タービンセクション61、中圧タービンセクション63、及び低圧タービンセクション又はパワータービンセクション65において順に膨張する。各高圧、中圧、低圧タービンセクションにおける燃焼ガスのエンタルピー低下は、以下に説明するように利用される、対応する量の機械的パワーを発生させる。
【0036】
高圧圧縮機ロータ41及び高圧タービンロータ67は、両方とも、タービン軸A-Aを中心とした同時回転のために、第1のタービンシャフト91に取り付けられているか、又は拘束される。高圧圧縮機ロータ41、高圧タービンロータ67、及び第1のタービンシャフト91との組み合わせにより、ガスタービンエンジンの第1のスプールが形成されている。場合により、これら3つの構成要素は、併せて、ガスタービンエンジン2の「第1のロータ」又は[高圧ロータ」と称される。
【0037】
高圧圧縮機ロータ41、第1のタービンシャフト91、及び高圧タービンロータ67は、同じ回転速度で回転する。燃焼器47内の圧力と中圧タービンセクション63の入口における中間圧力との間の燃焼ガスの膨張により、高圧タービンセクション61において発生される機械的パワーは、高圧圧縮機ロータ41を回転させて、低圧圧縮機セクション17の供給側の供給圧力から燃焼器セクション13の入口の空気圧までの空気圧を上昇させるために使用される。
【0038】
低圧圧縮機ロータ27及び中圧タービンロータ73の両方とも、タービン軸A-Aを中心とした同時回転のために、第2のタービンシャフト92に取り付けられている。組み合わせられた低圧圧縮機ロータ27、中圧タービンロータ73、及び第2のタービンシャフト92は、ガスタービンエンジン2の第2のスプールを形成する。場合により、これら3つの構成要素は、併せて、ガスタービンエンジン2の「第2のロータ」又は「中圧ロータ」と称される。
【0039】
このため、低圧圧縮機ロータ27と中圧タービンロータ73とは、互いに機械的に結合され、同じ速度で回転する。中圧タービンセクション63を通じてガスを膨張させることにより発生される機械的パワーを使用して、低圧圧縮機ロータ27を回転させる。中圧タービンセクション63におけるガス膨張により発生される機械的パワーを利用して、周囲圧力から、低圧圧縮機セクション17の供給側と高圧圧縮機セクション19とを互いに流体接続する空気流路21において達成される第1の空気圧に、ガスタービンエンジン2によって取り込まれる空気の圧力を上昇させる。
【0040】
第1のタービンシャフト91は、第2のタービンシャフト92と同軸である。第1のタービンシャフト91は内部に中空であり、第2のタービンシャフト92は、第1のタービンシャフト91を通って延在し、第1のタービンシャフト91の両端部で、第1のタービンシャフト91の対向する第1の端部と第2の端部を超えて、高圧圧縮機ロータ41及び高圧タービンロータ67を越えて突出するようにしている。
【0041】
上述した構成によれば、高圧圧縮機ロータ41と、第1のタービンシャフト91と、高圧タービンロータ67とを含む第1スプールは、第1の回転速度で回転する。低圧圧縮機ロータ27と、第2のタービンシャフト92と、中圧タービンロータ73と、を含む第2スプールは、第1の回転速度とは異なり得る第2の回転速度で回転する。
【0042】
第1のスプール及び第2のスプールは、燃焼器セクション13との組み合わせにおいて、併せて、ガスタービンエンジン2の「スーパーコア」又は「ガス発生器」とも称される。第1のスプール及び燃焼器セクション13は、組み合わせにおいて、併せて、ガスタービンエンジン2の「コア」とも称される。
【0043】
低圧タービンロータ又はフリーパワータービンロータ81は、ケーシング35内の共回転のために、パワータービンシャフト93に取り付けられてもよい。ここで、パワータービンシャフト93は、第3のタービンシャフト93とも称されるだろう。第3のタービンシャフト93は、
図1の圧縮機トレーン3の例示的な構成において、ガスタービンエンジン2によって駆動される負荷のシャフトライン6に駆動的に結合され得る。第3のタービンシャフト93は、第1のタービンシャフト91及び第2のタービンシャフト92に軸方向で整列されているが、それらの外部にあり、そこから機械的に分離されている。
【0044】
上記構成により、高圧圧縮機セクション19及び高圧タービンセクション61は、第1のタービンシャフト91を通じて機械的に結合され、燃焼器セクション13を横切って延在する流路を通じて流体結合される。低圧圧縮機セクション17及び中圧タービンセクション63は、第2のタービンシャフト92を介して機械的に結合され、更に、高圧圧縮機セクション19、燃焼器セクション13及び高圧タービンセクション63を通って延在する流路により流体結合される。
【0045】
逆に、低圧タービンセクション65又はパワータービンセクション65は、中圧タービンセクション63にのみ流体結合されているが、機械的に分離、すなわち、第1のスプール及び第2のスプールに対して結合されていない。このため、パワータービンセクション65は、そのタービンロータが第1のスプール及び第2のスプールとは別個に、ガスタービンエンジンのコア及びスーパーコアの回転速度とは異なる回転速度で回転することができるため、フリーパワータービンセクション65とも称される。
【0046】
パワータービンセクション65と、パワータービンシャフト93又は第3のタービンシャフト93は、第1のスプールの第1の回転速度及び/又は第2のスプールの第2の回転速度とは異なってもよい第3の回転速度で回転することができる「ハーフスプール」を形成する。
【0047】
第1のタービンシャフト91及び/又は第2のタービンシャフト92及び/又は第3のタービンシャフト93は、複数の軸受によって支持され得る。いくつかの実施形態では、第1のタービンシャフト91を支持する1つ、いくつか又は好ましくは全ての軸受は、静圧軸受、磁気軸受、又は動圧軸受ではなく、転がり軸受である。同様に、いくつかの実施形態では、第2のタービンシャフト92を支持する1つ、いくつか又は好ましくは全ての軸受は、静圧軸受、磁気軸受、又は動圧軸受ではなく、転がり軸受である。また、いくつかの実施形態では、第3のタービンシャフト93を支持する1つ、いくつか又は好ましくは全ての軸受は、静圧軸受、磁気軸受、又は動圧軸受ではなく、転がり軸受である。
【0048】
本明細書で使用するとき、及び本技術分野において一般的に理解されるように、「転がり軸受」は、支持されたシャフトとの同時回転のための第1の軸受コンポーネント又はレースと、静的であり得る、支持構造に拘束された第2の軸受コンポーネントと、を含み、第1の軸受コンポーネントと第2の軸受コンポーネントとの間に、第1の軸受コンポーネントと第2の軸受コンポーネントとの間でこれらと接触して転がり、それらの間の摩擦を低減する、転がり体を更に含む。
【0049】
転がり軸受は、静圧軸受又は動圧軸受と比較して、限られた量の潤滑剤油を必要とするため、特に有利である。更に、それらはより単純であり、磁気軸受よりもメンテナンスが少ない。したがって、これらは、補助機器のためにより少ないスペースを必要とする。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1のタービンシャフト、第2のタービンシャフト、及び第3のタービンシャフトのうちの1つ、いくつか又は全ては、少なくとも2つの半径方向軸受及び少なくとも1つの軸方向又はスラスト軸受によって支持される。本明細書で使用するとき、「半径方向軸受」は、主に半径方向の負荷支持能力を有する軸受として理解されてもよく、すなわち、軸受の回転軸に主に直交する方向に配向された負荷を支持するように具体的に構成されている。本明細書で使用するとき、「軸方向軸受」又は「スラスト軸受」は、主に軸負荷軸受能力を有する軸受として理解されてもよく、すなわち、軸受の回転軸に平行に配向されたスラスト又は負荷を支持するように具体的に構成されている。
【0051】
第1のタービンシャフト91は、例えば第1の軸方向転がり軸受ボール軸受101、例えばボール軸受によって支持され得る。第1のタービンシャフト91は、第2の半径方向転がり軸受102によって更に支持され得る。軸受101、102は、第1タービンシャフト91の第1の端部に配置され得る。第3の半径方向転がり軸受103は、第1のタービンシャフト91をその第2の端部で支持するように更に配置することができる。いくつかの実施形態では、第2の半径方向軸受102及び第3の半径方向軸受103は、ローラー軸受であり得る。いくつかの実施形態では、第1の軸方向軸受101はまた、軸方向負荷能力と組み合わせて、半径方向負荷能力を有してもよく、すなわち、組み合わされた半径方向負荷及び軸方向負荷を支持するように適合され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1の軸方向軸受101は、第1のタービンシャフト91の上流端部、すなわち、低圧圧縮機セクションに面する端部に、又はその付近に位置し得る。例示的な実施形態では、第2の半径方向軸受102は、第1のタービンシャフト91の上流端部に、又はその付近に位置し得る。第3の軸方向軸受103は、第1のタービンシャフト91の下流端部、すなわち、低圧タービンセクション65に面する端部付近に位置し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の軸方向軸受101は、第2の半径方向軸受102と第3の半径方向軸受103との間に配置され得る。他の実施形態では、
図2に示すように、第2の半径方向軸受102は、第1の軸方向軸受101と第3の軸方向軸受103との間に配置され得る。
【0054】
第2のタービンシャフト92は、第4の転がり軸受104、例えば転がり軸受によって支持され得る。第2のタービンシャフト92は、第5の転がり軸受105によって更に支持され得る。第6の転がり軸受106は、第2のタービンシャフト92を支持するように更に配置され得る。いくつかの実施形態では、第4の軸受104及び第6の軸受106は、半径方向軸受とすることができる。いくつかの実施形態では、第5の軸受105は、軸方向軸受、すなわちスラスト軸受であってもよい。いくつかの実施形態では、第5の軸方向軸受105は、軸方向負荷能力と組み合わせて、半径方向負荷能力も有してもよく、すなわち、組み合わされた径方向負荷及び軸方向負荷を支持するように適合され得る。
【0055】
第2のタービンシャフト92を支持する2つの転がり軸受は、第2タービンシャフト92の一端部に配置されることができ、第2のタービンシャフト92を支持する1つの転がり軸受は、第2のタービンシャフト92の他端部に配置され得る。例えば、2つの転がり軸受は、第2のタービンシャフト92の上流端部、すなわち、第1のタービンシャフト91の上流に延在する端部又はその付近に配置されることができ、別の転がり軸受は、第2のタービンシャフト92の下流端部、すなわち、第1のタービンシャフト91の下流に延在するシャフト端部又はその付近に配置され得る。
図2に示す例示的な実施形態では、第4の半径方向軸受104は、低圧圧縮機ロータ27に配置されている。第5の軸方向ベアリング105は、低圧圧縮機ロータ27に配置されている。第6の半径方向軸受106は、中圧タービンロータ73、又はその付近に配置され得る。
【0056】
軸受103及び106を1つ及び同じサンプ構成に配置することにより、中圧タービンロータ73と低圧タービンロータ81との間の別の支持フレームの必要性が回避され得る。
【0057】
これにより、高圧圧縮機ロータ41と高圧タービンロータ67との両方を、軸受に挟まれた構成、すなわち、軸受の第1のグループ、例えば軸受101、102と、フリーパワータービンセクション、すなわち、低圧タービンセクション65に対向する第1のタービンシャフト91の端部の付近に位置付けられたベアリング103のみを含む軸受の第2のグループとの間の第1のタービンシャフト91によって支持され得る。
【0058】
第2のタービンシャフト92に取り付けられた中圧タービンロータ73及び低圧圧縮機ロータ27は、部分的に張り出した構成、すなわち軸受106と軸受104及び105にそれぞれ支持され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、低圧タービンロータ又はパワータービンロータ81は、第3のパワータービンシャフト93に張り出した構成で取り付けられる。例示的な実施形態では、低圧タービンロータ81は、中圧タービンロータ73に対向する第3のタービンシャフト93の第1の上流端部に取り付けられ得る。94に概略的に示される第3のタービンシャフト93の第2の反対側の端部は、シャフトライン6及び駆動負荷に機械的に結合されるように適合された負荷結合端部である。第3のタービンシャフト93は、3つの転がり軸受、すなわち第7の軸受107、第8の軸受108、及び第9の軸受109によって支持され得る。第3のタービンシャフト93を支持する3つの軸受107、108、109は、低圧タービンロータ81,の一方で同一側、すなわち、第3のタービンシャフト93の低圧タービンロータ81と負荷結合端部94との間に配置され得る。特に好ましい実施形態では、第7の軸受107及び第9の軸受109は、半径方向軸受であってもよく、中間の第8の軸受108は、軸方向又はスラスト軸受とすることができる。
【0060】
第3のタービンシャフト93の軸受を高圧タービンセクション及び中圧タービンセクションとは反対側に配置することにより、特にガスタービンエンジンのメンテナンス介入中に、軸受が汚染物質に対してより良好に保護される。より具体的には、第3のタービンシャフト93の軸受は、例えば、メンテナンス、修理、又は交換のために、ガスタービンエンジンのコア及びスーパーコアが開放及び/又は除去されるときに汚染物質に対して最も保護される。
【0061】
本開示によれば、第3のタービンシャフト93、すなわち、パワータービンロータ81を支持するパワータービンシャフトの軸方向負荷を低減するために、特徴及び構成を使用することができる。第3のタービンシャフト93の軸方向負荷を低減することにより、例えば、40MW以上、例えば60MW以上、例えば65MW以上の範囲の高タービンパワーレートを低減することにより、ISO下のデイコンディションが、動圧又は静圧スラスト軸受に頼らずに、より容易に達成され得る。シャフト上のスラストの低減は、より複雑な流体軸受及び関連する補助機器又は、これの代わりに転がり軸受を使用することを可能にする。上記のパワー範囲は、単なる例としてのものである。異なるパワーレート、例えばより小さいパワーレートを有するガスタービンエンジンが予見され得ると理解されたい。
【0062】
引き続き
図1及び
図2を参照すると、
図2は、幾分概略的にガスタービンエンジン2の要部及び構成要素を示しているが、
図3は、本開示による一実施形態におけるタービンセクション15の一部の拡大断面図をより詳細に示す。
【0063】
図3に示すように、第3のタービンシャフト93又はパワータービンシャフト93には、軸方向キャビティ511が設けられてもよく、軸方向キャビティ511は、デッドホールとして構成されることができ、低圧タービンロータ81を通って軸方向に延在することができ、中圧タービンロータ73に向かって開放することができる。軸方向キャビティ511は、低圧タービンロータ81のキャビティ513から漏出する加圧された空気を収集することができる。キャビティ513は、低圧タービンセクション65の回転ブレード83が取り付けられた低圧タービンロータ81のディスク84を収容している。
【0064】
キャビティ513は、通常、圧縮機セクション11からの空気で加圧される。キャビティ513内の圧力は、通常、低圧タービンセクション65を通る燃焼ガスの流路515における最高圧力よりもわずかに高い。キャビティ513の加圧により、高温の燃焼ガスが、ロータブレード以外の低圧タービンロータ81の構成要素と接触することを防止する。これは、タービンブレードが通常、高温に耐えるのに好適な高性能材料で作製されている一方で、ロータの最も内側の部分は、高温の燃焼ガスと接触したままであるのに適さない、より安価で、より性能の低い材料で作製され得るため、有益であり得る。
【0065】
キャビティ513内の空気圧は、第3のタービンシャフト93に印加される前方スラストを増加させるため、第3のタービンシャフト93の軸方向軸受108の負荷に悪影響を及ぼす。
【0066】
第3のタービンシャフト91に印加される軸方向スラストに対するキャビティ513の空気圧の悪影響を低減するために、軸方向キャビティ511が位置する領域における第3のタービンシャフト91の直径を大きくすることで、圧力キャビティ513の直径が小さくなる。
【0067】
低圧タービンロータ81と一体の第3のタービンシャフト93と、中圧タービンロータ73と一体の第2のタービンシャフト92との間には、回転通気孔シール517が設けられている。したがって、回転ベントシール517を通って漏出する加圧された空気は、第3のタービンシャフト93の軸方向キャビティ511内に収集される。
【0068】
軸方向キャビティ511は、第2のタービンシャフト92を支持する軸受の軸受サンプに流体結合され得る。具体的には、軸方向キャビティ511は、第6の転がり軸受106が配置されている軸受サンプ521に流体結合され得る。軸受サンプ521は、ガスタービンエンジン2の他の軸受サンプと同様に、圧縮機セクション11からの加圧された空気でフラッシュされて、高温の燃焼ガスが、サンプ内に収容された軸受と接触し、潤滑油又は軸受の機械的構成要素を損傷することを防止することができる。軸受サンプに供給される加圧された空気は、高温燃焼ガスの高温に対して軸受を保護するために、連続空気流を軸受サンプ内に維持することができるように通気されなければならない。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、中圧タービンロータ73には、空気通気ポート523が設けられている。空気通気ポート523は、第3のタービンシャフト93の軸方向キャビティ511と流体連通するように、サンプ521を位置付ける。
【0070】
回転通気シール517からの漏出空気、及び軸受サンプ521からの空気を含み得る軸方向キャビティ511内に収集された空気が、空気通気ポート525及びガスタービンエンジン2の静止部分529を通って延在する空気通気路527を通って、軸方向キャビティ511から排出され得る。空気通気路527は、ガス流路の端部531、例えば、低圧タービンセクション65の最終段のすぐ下流に通じることができる。ガス流路の端部531の圧力は、周囲圧力未満とすることができ、部分負荷条件下であっても、軸受サンプ521からの効率的な空気通気を、ガスタービンエンジン2の全ての動作条件下で確実にすることができるようにする。効率的な通気は、具体的には、ガスタービンエンジン2が設計点以下、例えば、定格パワーの80%以下、例えば定格パワーの約70%で動作しているときも維持される。
【0071】
上記のように、軸受サンプ521からの空気の効率的な通気路を提供することに加えて、第3のガスタービンシャフト93内の軸方向キャビティ511は、低圧タービンロータ81のキャビティ513の体積、したがって、キャビティ511内に含有される空気の圧力が印加される総面積を減少させ、これは、低圧タービンロータ81の内部の一部は、第3のタービンシャフト93の軸方向キャビティ511によって占有されるためである。これにより、第3のタービンシャフト93上のキャビティ513と軸方向又はスラスト軸受108上の空気圧によって発生する軸方向スラストが低減される。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、第3のタービンシャフト93上の軸方向スラストを更に低減するために、ガスタービンエンジン2にバランスピストンキャビティ533を設けることができる。いくつかの実施形態では、バランスピストンキャビティ533は、低圧タービンロータ81の前方、すなわち、その側方に、中圧タービンセクション63とは反対側に配置することができる。例えば、バランスピストンキャビティ533は、ケーシング35と一体の静止絞り535と、低圧タービンロータ81の前面、すなわち、第3のタービンシャフト93の負荷結合端部94に対向する低圧タービンロータ81の面との間に配置され得る。
【0073】
圧縮機セクション11からの加圧された空気は、ケーシング内及びガスタービンエンジン2の静止部分内に形成された通路(図示せず)を通って、バランスピストンキャビティ533内に供給され得る。バランスピストンキャビティ533内の圧力は、ロータキャビティ513内の空気圧及び低圧タービン65を通って膨張する燃焼ガスにより発生する軸方向負荷によって発生するスラストとは反対側に方向付けられた低圧タービンロータ81に軸方向スラストを発生させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、バランスピストンキャビティ533は、空気通気路527がガスタービンエンジン2の静止部分内、バランスキャビティピストン533の後方、後者と第3のタービンシャフト93の負荷結合端部94との間に形成されるように、空気通気路527と低圧タービンロータ81との間に配置され得る。したがって、空気通気路527は、低圧タービンロータとは反対側のバランスピストンキャビティ533の周りにその側方に延在する。
【0075】
他の実施形態では、バランスピストンキャビティは、当業者に既知のように、低圧タービンセクション65の周りの異なる位置に配置され得る。
【0076】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。