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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】信号処理装置及び信号処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20220826BHJP
   G01R 19/25 20060101ALI20220826BHJP
【FI】
G01R19/00 M
G01R19/25
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021001021
(22)【出願日】2021-01-06
(62)【分割の表示】P 2016169165の分割
【原出願日】2016-08-31
(65)【公開番号】P2021051094
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2015-0154351
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾 パル
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/103582(WO,A1)
【文献】特開2007-324834(JP,A)
【文献】特開2003-188727(JP,A)
【文献】特開2002-133891(JP,A)
【文献】特開2015-159513(JP,A)
【文献】特開2003-168067(JP,A)
【文献】特開2014-17584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/28
H03M 1/12
H03M 3/00
H03F 1/00
H03F 3/00
H04N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子、第2入力端子、第3入力端子、及び第4入力端子を含む信号増幅器と、
第1入力信号を前記信号増幅器の前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達する第1入力部と、
第2入力信号を前記信号増幅器の前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達する第2入力部と、を備え、
前記信号増幅器は、前記第1入力信号及び前記第2入力信号に基づいた差動信号を増幅して出力し、
前記増幅された差動信号は、デジタル信号に変換され、
前記変換されたデジタル信号は、時間により累積されて前記第1入力信号と前記第2入力信号との差であるオリジナル入力信号に復元されることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記第1入力部は、
第1制御信号に基づいてスイッチング動作が制御される第1スイッチと、
前記第1制御信号に重複しない第2制御信号に基づいて、スイッチング動作が制御される第2スイッチと、含むことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
第1ステップ(phase)で、前記第1スイッチは、前記第1制御信号に基づいて短絡されて第1基準信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチは、前記第2制御信号に基づいて開放されて前記第1入力信号を前記第2入力端子に伝達し、
第2ステップで、前記第1スイッチは、前記第1制御信号に基づいて開放されて前記第1入力信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチは、前記第2制御信号に基づいて短絡されて前記第1基準信号を前記第2入力端子に伝達することを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記第1スイッチの一端及び前記第2スイッチの一端は、基準信号に接続されることを特徴とする請求項2又は3に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記第1入力部は、
前記第1スイッチ及び前記第1入力端子に接続される第1キャパシタと、
前記第2スイッチ及び前記第2入力端子に接続される第2キャパシタと、を更に含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記第2入力部は、
第3制御信号に基づいてスイッチング動作が制御される第3スイッチと、
前記第3制御信号に重複しない第4制御信号に基づいて、スイッチング動作が制御される第4スイッチと、を含むことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項7】
第1ステップで、前記第3スイッチは、前記第3制御信号に基づいて短絡されて第2基準信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチは、前記第4制御信号に基づいて開放されて前記第2入力信号を前記第4入力端子に伝達し、
第2ステップで、前記第3スイッチは、前記第3制御信号に基づいて開放されて前記第2入力信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチは、前記第4制御信号に基づいて短絡されて前記第2基準信号を前記第4入力端子に伝達することを特徴とする請求項6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記第2入力部は、
前記第3スイッチ及び前記第3入力端子に接続される第3キャパシタと、
前記第4スイッチ及び前記第4入力端子に接続された第4キャパシタと、を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の信号処理装置。
【請求項9】
第1入力端子、第2入力端子、第3入力端子、及び第4入力端子を含む信号増幅器を用いて信号を処理する信号処理方法であって、
第1入力信号を前記信号増幅器の前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達するステップと、
第2入力信号を前記信号増幅器の前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達するステップと、
前記信号増幅器が、前記第1入力信号及び前記第2入力信号に基づいた差動信号を増幅して出力するステップと、
前記増幅された差動信号をデジタル信号に変換するステップと、
前記変換されたデジタル信号を時間により累積して前記第1入力信号と前記第2入力信号との差であるオリジナル入力信号に復元するステップと、を有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項10】
前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達するステップは、
第1スイッチが短絡されて第1基準信号を前記第1入力端子に伝達し、第2スイッチが開放されて前記第1入力信号を前記第2入力端子に伝達する第1ステップと、
前記第1スイッチが開放されて前記第1入力信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチが短絡されて前記第1基準信号を前記第2入力端子に伝達する第2ステップと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の信号処理方法。
【請求項11】
前記第1スイッチは、第1制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され、
前記第2スイッチは、前記第1制御信号に重複しない第2制御信号に基づいてスイッチング動作が制御されることを特徴とする請求項10に記載の信号処理方法。
【請求項12】
前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達するステップは、
第3スイッチが短絡されて第2基準信号を前記第3入力端子に伝達し、第4スイッチが開放されて前記第2入力信号を前記第4入力端子に伝達する第1ステップと、
前記第3スイッチが開放されて前記第2入力信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチが短絡されて前記第2基準信号を前記第4入力端子に伝達する第2ステップと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の信号処理方法。
【請求項13】
前記第3スイッチは、第3制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され、
前記第4スイッチは、前記第3制御信号に重複しない第4制御信号に基づいてスイッチング動作が制御されることを特徴とする請求項12に記載の信号処理方法。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか一項に記載の信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理技術に関し、より詳しくは、信号処理装置及び信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計測増幅器(Instrumentation Amplifier:IA)は様々な信号を測定するために用いられる。例えば、計測増幅器は、医療分野で、心電図(ECG:electrocardiogram)、筋電図(EMG:electromyogram)、光電容積脈波(PPG:photoplethysmogram)、体抵抗、又は動き信号などのような生体信号を測定して増幅するために用いられる。一般に、計測増幅器は、低いオフセット、少ないノイズ、高い同相信号除去(high common mode rejection)、高いループ利得、高い入力抵抗を示す差動増幅器で構成される。差動増幅器は、回路動作範囲内で入力信号を増幅して出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、信号処理装置及び信号処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による信号処理装置は、第1入力端子、第2入力端子、第3入力端子、及び第4入力端子を含む信号増幅器と、第1入力信号を前記信号増幅器の前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達する第1入力部と、第2入力信号を前記信号増幅器の前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達する第2入力部と、を備え、前記信号増幅器は、前記第1入力信号及び前記第2入力信号に基づいた差動信号を増幅して出力する。
【0005】
前記第1入力部は、第1制御信号に基づいてスイッチング動作が制御される第1スイッチと、前記第1制御信号に重複しない第2制御信号に基づいて、スイッチング動作が制御される第2スイッチと、含み得る。
第1ステップ(phase)で、前記第1スイッチは、前記第1制御信号に基づいて短絡されて第1基準信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチは、前記第2制御信号に基づいて開放されて前記第1入力信号を前記第2入力端子に伝達し、第2ステップで、前記第1スイッチは、前記第1制御信号に基づいて開放されて前記第1入力信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチは、前記第2制御信号に基づいて短絡されて前記第1基準信号を前記第2入力端子に伝達し得る。
前記第1スイッチの一端及び前記第2スイッチの一端は、基準信号に接続され得る。
前記第1入力部は、前記第1スイッチ及び前記第1入力端子に接続される第1キャパシタと、前記第2スイッチ及び前記第2入力端子に接続される第2キャパシタと、を更に含み得る。
前記第2入力部は、第3制御信号に基づいてスイッチング動作が制御される第3スイッチと、前記第3制御信号に重複しない第4制御信号に基づいて、スイッチング動作が制御される第4スイッチと、を含み得る。
第1ステップで、前記第3スイッチは、前記第3制御信号に基づいて短絡されて第2基準信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチは、前記第4制御信号に基づいて開放されて前記第2入力信号を前記第4入力端子に伝達し、第2ステップで、前記第3スイッチは、前記第3制御信号に基づいて開放されて前記第2入力信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチは、前記第4制御信号に基づいて短絡されて前記第2基準信号を前記第4入力端子に伝達し得る。
前記第2入力部は、前記第3スイッチ及び前記第3入力端子に接続される第3キャパシタと、前記第4スイッチ及び前記第4入力端子に接続された第4キャパシタと、を更に含み得る。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による信号処理方法は、第1入力端子、第2入力端子、第3入力端子、及び第4入力端子を含む信号増幅器を用いて信号を処理する信号処理方法であって、第1入力信号を前記信号増幅器の前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達するステップと、第2入力信号を前記信号増幅器の前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達するステップと、前記信号増幅器が、前記第1入力信号及び前記第2入力信号に基づいた差動信号を増幅して出力するステップと、を有する。
【0007】
前記第1入力端子及び前記第2入力端子に交互に伝達するステップは、第1スイッチが短絡されて第1基準信号を前記第1入力端子に伝達し、第2スイッチが開放されて前記第1入力信号を前記第2入力端子に伝達する第1ステップと、前記第1スイッチが開放されて前記第1入力信号を前記第1入力端子に伝達し、前記第2スイッチが短絡されて前記第1基準信号を前記第2入力端子に伝達する第2ステップと、を含み得る。
前記第1スイッチは、第1制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され、前記第2スイッチは、前記第1制御信号に重複しない第2制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され得る。
前記第3入力端子及び前記第4入力端子に交互に伝達するステップは、第3スイッチが短絡されて第2基準信号を前記第3入力端子に伝達し、第4スイッチが開放されて前記第2入力信号を前記第4入力端子に伝達する第1ステップと、前記第3スイッチが開放されて前記第2入力信号を前記第3入力端子に伝達し、前記第4スイッチが短絡されて前記第2基準信号を前記第4入力端子に伝達する第2ステップと、を含み得る。
前記第3スイッチは、第3制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され、前記第4スイッチは、前記第3制御信号に重複しない第4制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され得る。
【0008】
前記信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、大きい信号範囲の信号を小さい信号範囲の信号に変換して増幅することで、回路の入力範囲よりも広い信号範囲の入力信号が入力されても入力信号を正常に増幅して出力することができる。
また、回路の動作電圧を低くすることができるため、回路の消費電力を低減することができる。
更に、入力信号範囲を小さい信号に変化させることで高調波歪による影響を減らすことができ、それによって回路設計の難易度を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による信号処理装置の構成を示す図である。
図2】一実施形態による信号復元器の構成を示す図である。
図3】一実施形態による信号処理装置によって実行される信号処理を説明するための図である。
図4A】一実施形態による信号処理装置を具現するための回路の一例を示す図である。
図4B図4Aに示す回路の動作を説明するための図である。
図5図4Aに示す信号処理装置に適用される制御信号及び信号処理装置で測定された信号の一例を示す図である。
図6】他の実施形態による信号処理装置を説明するための図である。
図7A図6に示す信号処理装置に適用される制御信号及び信号処理装置で測定された信号の一例を示す図である。
図7B図6に示す信号処理装置に適用される制御信号及び信号処理装置で測定された信号の一例を示す図である。
図8】一実施形態による信号処理方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に対する特定の構造的又は機能的な説明は、単に例示のための目的として開示したものであって、様々な形態に変更されて実施され得る。従って、本発明の実施形態は特定の開示形態に限定されるものではなく、本明細書の範囲は技術的な思想に含まれる変更、均等物、又は代替物を含む。
【0012】
第1又は第2などの用語を複数の構成要素を説明するために用いることがあるが、このような用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ解釈されなければならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名し、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名することがある。
【0013】
いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結されて」いると言及した場合、その次の構成要素に直接的に連結されるか、或いは中間に他の構成要素が存在することもあるとして理解しなければならない。
【0014】
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0015】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面を参照して説明する際に、図面符号に関係なく同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0017】
図1は、一実施形態による信号処理装置の構成を示す図である。
【0018】
図1を参照すると、信号処理装置100は、入力信号(例えば、生体信号など)を増幅して出力する。信号処理装置100は、入力信号に対する差分信号を取得して、差分信号を増幅した後に復元する。そのため、回路の動作範囲よりも広い範囲の入力信号を測定することができる。ここで、差分信号は、所定時間の区間における入力信号の変化を反映する信号である。以下、信号処理装置100の構成に基づいて信号処理装置100の機能及び動作をより詳しく説明する。
【0019】
信号処理装置100は、差分信号取得器110、信号増幅器120、及び信号復元器130を含む。差分信号取得器110は入力信号から差分信号を取得する。差分信号取得器110で、差分信号は基準信号を基準として所定時間の区間における入力信号の変化を反映する。基準信号は、例えば予め設定された電圧値を有するバイアス電圧である。本実施形態によると、差分信号は、周期的に基準信号の信号値に設定され、基準信号の信号電圧値を開始点にして入力信号の電圧変化を反映する信号形態を有する。
【0020】
差分信号取得器110は、制御信号によって制御されるスイッチのスイッチング動作によって差分信号を取得する。ここで、スイッチングとは、スイッチが短絡状態と開放状態との間で転換されることを示す。本実施形態によると、差分信号取得器110は、周期的にスイッチを短絡して信号増幅器120の入力端子を基準信号の値にリセットした後にスイッチを開放して入力信号の変化を反映する差分信号を取得する。スイッチは、入力信号の周期よりも早い周期でスイッチングされる。差分信号取得器110がスイッチング動作によって差分信号を取得する過程については、図4A及び図4Bを参照して詳細に後述する。
【0021】
信号増幅器120は、差分信号取得器110から入力された差分信号を増幅し、増幅された差分信号を出力する。本実施形態によると、差分信号は、周期的に基準信号の信号値(例えば、電圧値)にリセットされるため、差分信号の振幅変化の範囲(信号範囲)は入力信号の振幅変化の範囲よりも小さい。信号処理装置100に信号増幅器120が増幅可能な信号範囲を離脱する入力信号が入力されたとしても、信号範囲の減少した差分信号が信号増幅器120に入力されることによって正常な増幅が可能になる。
【0022】
信号復元器130は、信号増幅器120から出力された増幅された差分信号に基づいてオリジナル入力信号に関する情報を復元する。本実施形態によると、信号復元器130は、増幅された差分信号をデジタル信号に変換し、入力信号の所定期間の間の該当する変換されたデジタル信号を加算(又は、累積)して出力信号を生成する。ここで、出力信号は、信号処理装置100の入力信号が増幅されてデジタル信号に変換された信号に対応する。信号復元器130が信号を復元する過程は、図2図4A及び図4Bを参照して下記でより詳しく説明する。
【0023】
本実施形態によると、信号処理装置100は、測定された信号を増幅して出力する回路に適用される。一般に、回路の入力範囲よりも広い信号範囲の信号が増幅器に入力された場合、増幅器では飽和が発生して信号が正常に増幅されないことがある。信号処理装置100は、上述したように大きい信号範囲の信号を小さい信号範囲の信号に変換して増幅することによって、回路の入力範囲よりも広い信号範囲の入力信号が入力されても入力信号を正常に増幅して出力することができる。
【0024】
また、信号処理装置100は、回路の動作電圧を低くすることによって消費電力を低減させ得る。一般に、回路の消費電力は、回路の動作電圧と回路で消費される電流によって決定される。例えば、入力信号の変化範囲が30mVであり、入力信号の増幅率が100倍であると仮定すると、回路の正常な動作のためには3V以上の回路動作電圧が必要である。しかし、本実施形態によると、変化範囲が30mVである入力信号が、例えば変化範囲が5mV以内である時系列上の差分信号に変換され、該当する差分信号を100倍増幅する場合に0.5V以内の増幅された信号範囲を有するため、回路の動作電圧は0.5Vまで低くなり得る。回路の動作電圧が低下することによって回路の消費電力は低減され得る。
【0025】
また、本実施形態によると、回路の入力部で入力信号が信号範囲(又は、スイング)の小さい信号に変化することによって、高調波歪による影響を減らすことができ、そのため、回路設計の難易度が軽減される。
【0026】
また、本実施形態によると、入力信号の初期安定化の時間を必要とする領域において初期安定化の時間が減少し、ユーザ便宜性を改善させることができる。例えば、心電図などのような生体信号を利用した個人認証では、信号源と回路が互いに接続された後に早い測定及び認証過程が実行されなければならない。一般に、金属電極を用いて生体信号を測定する場合、金属材料の分極特性に応じて金属電極が人体に接触した後から数秒が経過することで、測定された生体信号が処理可能な範囲内で安定化される。生体信号の初期安定化の過程で所要する時間に応じて認証時間は長くなる。本実施形態によると、金属電極によって測定された生体信号が回路の動作範囲よりも大きくても、生体信号を回路の動作範囲に含まれる信号に変換して処理することで、初期安定化の過程に必要な時間を短縮させ、認証に所要する時間が減少し、ユーザ便宜性が改善される。
【0027】
図2は、一実施形態による信号復元器の構成を示す図である。図2を参照すると、本実施形態による信号復元器130は、サンプル及びホールド部210、信号コンバータ230、及び信号加算器240を含む。
【0028】
サンプル及びホールド部210は、信号増幅器120から出力された信号をサンプリング及びホールド(hold)する。例えば、サンプル及びホールド部210は、スイッチを用いて信号増幅器120から出力された信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を格納素子(例えば、キャパシタ)に格納する。
【0029】
信号コンバータ230は、サンプル及びホールド部210によってサンプリング及びホールドされた信号をデジタル領域の信号に変換する。例えば、信号コンバータ230は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータを用いて、サンプル及びホールド部210の出力信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
信号加算器240は、信号コンバータ230から出力されたデジタル信号を加算して出力信号を生成する。信号コンバータ230によって変換されたデジタル信号は、入力信号を周期的に差分して取得された情報を含んでいるため、該当するデジタル信号を加算することによってオリジナル入力信号に関する情報を復元することができる。
【0031】
他の実施形態によると、信号復元器130は、フィルタ220を更に含む。フィルタ220は、サンプル及びホールド部210によってサンプリングされた信号に対してローパスフィルタリング(low pass filtering)を行って、該当するサンプリングされた信号に含まれる高周波ノイズ成分を低減させる。信号コンバータ230は、ローパスフィルタリングが行われた信号をデジタル信号に変換し、信号加算器240は、該当するデジタル信号を加算して出力信号を生成する。
【0032】
図3は、一実施形態による信号処理装置によって実行される信号処理を説明するための図である。
【0033】
図3を参照すると、図面符号310は、差分信号取得器110に入力される入力信号の一例を示す。「A」は所定時間の区間における入力信号310の信号範囲を示す。
【0034】
図1に示す差分信号取得器110は、時間周期Tを有するスイッチング動作によって入力信号310から時系列上の差分信号を取得する。取得された差分信号を図面符号320に示す。差分信号320は、時間周期Tに達する毎に基準信号の信号値に設定され、設定された後のTの時間の間に入力信号310の変化を反映する。「a」は差分信号320が有する最大信号範囲を示す。
【0035】
差分信号320は図1に示す信号増幅器120で増幅され、増幅された差分信号を図面符号330に示す。「aa」は増幅された差分信号330が有する最大信号範囲を示す。
【0036】
増幅された差分信号330は、図1に示す信号復元器130によってデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号の形態を図面符号340に示す。信号復元器130は、差分信号取得器110によって周期的に差分化が始まる各時点(point in time)の直前の時点で、信号増幅器120から出力される増幅された差分信号330をサンプリングし、サンプリングされた値をデジタル信号値に変換する。「t[n-1]、t[n]、t[n+1]」はそれぞれ差分信号取得器110によって差分化が始まる時点(又は、信号増幅器120の入力端子が基準信号の信号値にリセットされる時点)を示し、「t[n-1]、t[n]、tc[n+1]」はそれぞれ信号復元器130によってアナログ-デジタル変換が始まる時点を示す。
【0037】
図4A及び図4Bは、一実施形態による信号処理装置を具現するための回路の一例とその動作を説明するための図である。図4Aを参照すると、信号処理装置400は、差分信号取得器110、信号増幅器120、及び信号復元器130を含む。
【0038】
差分信号取得器110は、第1スイッチ420及び第1キャパシタ410を含む。第1スイッチ420の一端は信号増幅器120の入力端子及び第1キャパシタ410に接続され、第1スイッチ420の他端は第1基準信号430に接続される。第1キャパシタ410の一端は、第1スイッチ420及び信号増幅器120の入力端子に接続される。
【0039】
第1スイッチ420は、第1制御信号に基づいてスイッチング動作が制御され、入力信号の周期よりも速く(又は、帯域幅が広く)スイッチングされる。本実施形態によると、第1制御信号は、第1スイッチ420が入力信号の周期より2倍以上速い速度でスイッチングされるように第1スイッチ420を制御する。
【0040】
第1スイッチ420が開放状態の時に第1キャパシタ410を通過した入力信号が信号増幅器120に入力され、第1スイッチ420が短絡状態の時に信号増幅器120の入力端子が第1基準信号430の信号値(例えば、バイアス電圧の電圧値)にリセットされる。信号処理装置400の前端に位置する第1キャパシタ410は、入力信号から不要な直流成分を除去して入力信号の直流成分が信号増幅器120に伝達されることを防止し、第1スイッチ420が短絡状態になった時に信号増幅器120の入力端子を第1基準信号430の信号値に保持する。
【0041】
第1スイッチ420が短絡状態から開放状態に変わった後、信号増幅器120に入力される信号は、第1基準信号430の信号値を開始点にして入力信号が変化する分だけ変わる。第1スイッチ420が短絡される毎に、信号増幅器120の入力端子は第1基準信号430の信号値に設定され、第1スイッチ420が開放されると、第1基準信号430の信号値を開始点にして入力信号の変化が反映された信号が信号増幅器120に入力される。このような第1スイッチ420のスイッチング動作によって、第1スイッチ420が開放された時間区間の間に入力信号の変化が反映されて示される差分信号を取得することができる。
【0042】
信号増幅器120は、差分信号取得器110によって取得された差分信号を増幅する。一実施形態によると、信号増幅器120の入力端子には、信号増幅器120の基準バイアスを設定するために、第1スイッチ420に並列に接続されたバイアス抵抗(図示せず)が接続される。
【0043】
サンプル及びホールド部210は、第2スイッチ440及び第2キャパシタ450を含む。第2スイッチ440の一端は信号増幅器120の出力端子に接続され、第2スイッチ440の他端は第2キャパシタ450及びフィルタ220に接続される。第2キャパシタ450の一端は第2スイッチ440及びフィルタ220に接続され、第2キャパシタ450の他端は第2基準信号460に接続される。一実施形態によると、第2基準信号460は、第1基準信号430と同一の信号値を有する。
【0044】
第2スイッチ440は、第2制御信号に基づいて信号増幅器120の出力信号をサンプリングする。第2キャパシタ450は、第2スイッチ440によってサンプリングされた信号をホールドする。第2制御信号は、第1スイッチ420がリセットされる前(例えば、第1スイッチ420が短絡される直前)の時点で信号増幅器120の出力信号をサンプリングするように第2スイッチ440を制御する。
【0045】
フィルタ220は、第2キャパシタ450に格納された信号(第2スイッチ440によってサンプリングされた信号)に対してローパスフィルタリングを行う。ローパスフィルタリングが行われた信号は、信号コンバータ230によってデジタル信号に変換される。信号加算器240は、信号コンバータ230によって変換されたデジタル信号を加算してオリジナル入力信号の情報を復元する。
【0046】
本実施形態によると、信号処理装置400は、第1制御信号及び第2制御信号を生成し、信号処理装置400の全体的な動作を制御するためのコントローラ402を更に含む。
【0047】
信号処理装置400の各ノードで測定された信号波形の一例を図4Bに示す。図4Bを参照すると、ノード470を介して入力信号Vinが入力され、第1スイッチ420のスイッチング動作によって差分信号V_A_iが取得される。第1制御信号によって決定される第1スイッチ420のスイッチング動作周期により差分信号V_A_iの周期495が決定される。差分信号V_A_iは、信号増幅器120の入力端子472に入力されて信号増幅器120によって増幅され、増幅された差分信号V_A_oは、信号増幅器120の出力端子474に出力される。
【0048】
増幅された差分信号V_A_oは、第2スイッチ440によってサンプリングされ、ノード476でサンプリングされた信号V_SHが取得される。フィルタ220は、信号V_SHに対してローパスフィルタリングを行って、ノード478でローパスフィルタリングが行われた信号V_LPFが取得される。信号コンバータ230は、デジタルサンプリング過程によって信号V_LPFをデジタル信号に変換し、ノード480でデジタル信号ADCoutが取得される。信号加算器240は、デジタル信号ADCoutを加算して出力信号Voutを生成し、出力信号Voutを出力端子482に出力する。
【0049】
図面符号485は入力信号Vinの信号範囲を示し、図面符号490は信号処理装置400に適用される回路の動作範囲を示す。図4Bに示すように、回路の動作範囲490よりも大きい信号範囲を有する入力信号Vinが回路に入力されても、入力信号Vinの信号範囲485よりも小さい信号範囲の差分信号V_A_iが増幅されることで、増幅過程が正常に行われる。このように、本実施形態によると、回路の動作範囲よりも広い範囲の入力信号を測定することができる。本実施形態では、入力信号の信号範囲が回路の動作範囲よりも大きい場合を例にして説明したが、入力信号の信号範囲が回路の動作範囲以内である場合でも本実施形態を適用することができる。
【0050】
図5は、図4Aに示す信号処理装置に適用される制御信号及び信号処理装置で測定された信号の一例を示す図である。
【0051】
図5を参照すると、図面符号510は、第1スイッチ420に適用される第1制御信号を示す。図面符号520は信号増幅器120の入力信号として差分信号取得器110によって取得された差分信号を示し、図面符号530は信号増幅器120の出力信号を示す。図面符号540は第2スイッチ440に適用される第2制御信号を示し、図面符号550はサンプル及びホールド部210の出力信号を示す。
【0052】
第1制御信号510は、周期的に論理ハイ(logic high)になる。第1制御信号510が論理ハイになる毎に第1スイッチ420が短絡され、信号増幅器120の入力信号520は第1基準信号430の信号値に設定され、第1制御信号510が論理ロー(logic low)である間に第1スイッチ420が開放されて信号処理装置400に入力される入力信号の変化が信号増幅器120の入力信号520に反映される。
【0053】
例えば、時間区間a-b及びd-eにおいて第1制御信号510は論理ハイになり、信号増幅器120の入力信号520は第1基準信号430の信号値に設定される。ここで、時間区間a-b及びd-eは、それぞれ約1μsの時間の長さを有する。第1制御信号510が論理ローである時間区間b-dにおいて、信号増幅器120の入力信号520は差分信号取得器110の入力信号が変化する分だけ変わる。
【0054】
信号増幅器120の入力信号520は信号増幅器120によって増幅され、信号増幅器120から増幅された信号530が出力される。
【0055】
第2制御信号540は、第1制御信号510が論理ハイになる前の時点で周期的に論理ハイになる。第2制御信号540が論理ハイである間に第2スイッチ440が短絡されて信号増幅器120の出力信号530がサンプリング及びホールドされ、第2制御信号540が論理ローである間に第2スイッチ440が開放されてサンプル及びホールド部210の出力信号550が前の時間区間でサンプリングされた信号値に保持される。
【0056】
例えば、時間区間a-cにおいて第2制御信号540は論理ローになり、サンプル及びホールド部210の出力信号550が前の時間区間でサンプリングされた信号値に保持され、時間区間c-dにおいて第2制御信号540は論理ハイになり、サンプル及びホールド部210の出力信号550が信号増幅器120の出力信号530によって変化する。
【0057】
図6は、他の実施形態による信号処理装置を説明するための図である。
【0058】
一般に、周期性を有するクロック信号はクロック信号の上昇エッジ又は下降エッジで信号の急激な変化が発生する。このような上昇エッジ又は下降エッジが発生する時間区間で増幅部の入力端子が基準信号にリセットされる場合、増幅部はクロック信号を充分増幅できない虞がある。
【0059】
本実施形態によると、信号処理装置600は、時間上で互いに区分されるステップ(phase)で、入力信号を信号増幅器670の互いに異なる入力端子に印加することによって、クロック信号の形態を有する入力信号を正常に増幅することができ、信号増幅器670の入力端子を基準信号の信号値にリセットさせるスイッチのリセット時間を延長させることができる。スイッチのリセット時間が増加することにより、更に小さいサイズのスイッチを利用することができる。
【0060】
信号処理装置600は、図6に示すように差動二重入力及び差動出力の形態を有する。差動二重入力は、信号増幅器670が2つの入力端子で構成された(+)入力、及び2つの入力端子で構成された(-)入力の形態を有することを示し、差動出力は、信号増幅器670が(+)出力及び(-)出力の形態を有することを示す。しかし、信号増幅器670の入力端子及び出力端子の形態がこれによって限定されることはなく、様々な修正及び変形が可能である。以下、信号処理装置600の構成に基づいて信号処理装置600の機能及び動作をより詳しく説明する。
【0061】
図6を参照すると、信号処理装置600は、第1入力信号Vipを信号増幅器670に伝達する第1入力部610、第2入力信号Vinを信号増幅器670に伝達する第2入力部640、及び信号増幅器670を含む。ここで、第1入力信号Vip及び第2入力信号Vinは差動信号の関係にあり、それぞれのクロック信号の形態を有する。
【0062】
第1入力部610は、第1スイッチ615、第2スイッチ620、第1キャパシタ625、及び第2キャパシタ630を含む。第1スイッチ615及び第2スイッチ620のスイッチング動作は、それぞれ第1制御信号fressetp1及び第2制御信号fressetp2によって制御される。
【0063】
第1スイッチ615の一端は第1キャパシタ625及び信号増幅器670の第1入力端子672に接続され、第1スイッチ615の他端は第1基準信号635(例えば、特定電圧値のバイアス電圧)に接続される。第1キャパシタ625の一端は第1スイッチ615及び信号増幅器670の第1入力端子672に接続され、第1キャパシタ625の他端は第1入力信号Vip及び第2キャパシタ630に接続される。第2スイッチ620の一端は第2キャパシタ630及び信号増幅器670の第2入力端子674に接続され、第2スイッチ620の他端は第1基準信号635に接続される。第2キャパシタ630の一端は第2スイッチ620及び信号増幅器670の第2入力端子674に接続され、第2キャパシタ630の他端は第1入力信号Vip及び第1キャパシタ625に接続される。
【0064】
信号増幅器670の第1入力端子672及び第2入力端子674は、それぞれ信号増幅器670内の第1トランジスタ(図示せず)及び第2トランジスタ(図示せず)に接続される。一実施形態によると、第1及び第2トランジスタの両端は互いに接続される。例えば、第1トランジスタのドレイン端子は第2トランジスタのドレイン端子に接続され、第1トランジスタのソース端子は第2トランジスタのソース端子に接続される。
【0065】
第1入力部610は、第1入力信号Vipを第1入力端子672及び第2入力端子674に交互に伝達する。本実施形態によると、第1段階(a first phase)で、第1スイッチ615は短絡されて第1基準信号635を第1入力端子672に伝達し、第2スイッチ620は開放されて第1入力信号Vipを第2入力端子674に伝達する。第2段階(asecond phase)で、第1スイッチ615は開放されて第1入力信号Vipを第1入力端子672に伝達し、第2スイッチ620は短絡されて第1基準信号635を第2入力端子674に伝達する。第1段階及び第2段階のそれぞれで、第1入力信号Vipの上昇エッジ成分及び下降エッジ成分が信号増幅器670に伝えられる。第1入力部610は、第1段階と第2段階とを交互に繰り返し行う。
【0066】
第2入力部640は、第3スイッチ645、第4スイッチ650、第3キャパシタ655、及び第4キャパシタ660を含む。第3スイッチ645及び第4スイッチ650のスイッチング動作は、それぞれ第3制御信号fressetn1及び第4制御信号fressetn2によって制御される。
【0067】
第3スイッチ645の一端は第3キャパシタ655及び信号増幅器670の第3入力端子676に接続され、第3スイッチ645の他端は第2基準信号665に接続される。一実施形態によると、第2基準信号665は、第1基準信号635と同一の信号値を有する。第3キャパシタ655の一端は第3スイッチ645及び信号増幅器670の第3入力端子676に接続され、第3キャパシタ655の他端は第2入力信号Vin及び第4キャパシタ660に接続される。第4スイッチ650の一端は第4キャパシタ660及び信号増幅器670の第4入力端子678に接続され、第4スイッチ650の他端は第2基準信号665に接続される。第4キャパシタ660の一端は第4スイッチ650及び信号増幅器670の第4入力端子678に接続され、第4キャパシタ660の他端は第2入力信号Vin及び第3キャパシタ655に接続される。
【0068】
信号増幅器670の第3入力端子676及び第4入力端子678は、それぞれ信号増幅器670内の第3トランジスタ(図示せず)及び第4トランジスタ(図示せず)に接続される。一実施形態によると、第3及び第4トランジスタの両端は互いに接続される。例えば、第3トランジスタのドレイン端子は第4トランジスタのドレイン端子に接続され、第3トランジスタのソース端子は第4トランジスタのソース端子に接続される。
【0069】
第2入力部640は、第2入力信号Vinを第3入力端子676及び第4入力端子678に交互に伝達する。本実施形態によると、第1段階で、第3スイッチ645は短絡されて第2基準信号665を第3入力端子676に伝達し、第4スイッチ650は開放されて第2入力信号Vinを第4入力端子678に伝達する。第2段階で、第3スイッチ645は開放されて第2入力信号Vinを第3入力端子676に伝達し、第4スイッチ650は短絡されて第2基準信号665を第4入力端子678に伝達する。第1段階及び第2段階のそれぞれで、第2入力信号Vinの下降エッジ成分及び上昇エッジ成分が信号増幅器670に伝えられる。第2入力部640は、第1段階と第2段階とを交互に繰り返し行う。
【0070】
信号増幅器670は、第1入力信号Vip及び第2入力信号Vinの差動信号を増幅して出力する。信号増幅器670から出力された差動信号Vop及びVonはデジタル領域で復元される。例えば、信号増幅器670の出力信号をアナログデジタルコンバータでサンプリング及びデジタル変換し、デジタルに変換された値を加算又は積分する方法又は特定時間区間の信号値を移動させる方法などを用いて、信号の復元を行う。
【0071】
本実施形態によると、信号処理装置600は、第1、第2、第3、及び第4制御信号を生成し、信号処理装置600の全体的な動作を制御するためのコントローラ602を更に含む。
【0072】
図7A及び図7Bは、図6の信号処理装置600に適用される制御信号及び信号処理装置600で測定された信号の一例を示す図である。
【0073】
図7Aを参照すると、クロック信号形態の入力信号Vipnは、差動信号の第1入力信号Vip及び第2入力信号Vinに区分され、第1入力信号Vip及び第2入力信号Vinはそれぞれ第1入力部610及び第2入力部640に入力される。
【0074】
第1制御信号fresetp1は第1スイッチ615に印加され、第2制御信号fresetp2は第2スイッチ620に印加される。第1制御信号fressetp1と第2制御信号fressetp2は重ならない信号として、互いに反対となる位相を有する。第1制御信号fresetp1及び第2制御信号fresetp2が論理ハイである場合、それぞれ第1スイッチ615及び第2スイッチ620が短絡される。
【0075】
第1制御信号fresetp1が論理ハイ(時間区間f-g、h-i)である場合、第1基準信号635が第1入力端子672に入力され、この時、第2制御信号fresetp2は論理ローであるため、第1入力信号Vipが第2入力端子674に入力される。第1入力信号Vipの上昇エッジ成分は第2入力端子674に入力される。
【0076】
第1制御信号fresetp1が論理ロー(時間区間g-h、i-j)である場合、第1入力端子672には第1入力信号Vipが入力され、この時、第2制御信号fresetp2は論理ハイであるため、第1基準信号635が第2入力端子674に入力される。第1入力信号Vipの下降エッジ成分は第1入力端子672に入力される。
【0077】
第1入力端子672及び第2入力端子674がそれぞれ回路の後端に同じ影響を及ぼす入力トランジスタに接続され、該当する入力トランジスタの両端が互いに接続されると仮定すると、回路の後端から見たときに第1入力端子672及び第2入力端子674を介して入力された二重入力信号は、V_A_ip_eqが入力されたものと等価と見ることができる。
【0078】
第2入力信号Vinが入力される第2入力部640でも上記の第1入力部610における過程と同様の過程が行われる。第3制御信号fresetn1が論理ハイ(時間区間f-g、h-i)である場合、第2基準信号665が第3入力端子676に入力され、この時、第4制御信号fresetn2は論理ローであるため、第2入力信号Vinが第4入力端子678に入力される。第2入力信号Vinの下降エッジ成分は第4入力端子678に入力される。
【0079】
第3制御信号fresetn1が論理ロー(時間区間g-h、i-j)である場合、第3入力端子676には第2入力信号Vinが入力され、この時、第4制御信号fresetpn2は論理ハイであるため、第2基準信号665が第4入力端子678に入力される。第2入力信号Vinの上昇エッジ成分は第3入力端子676に入力される。
【0080】
第3入力端子676及び第4入力端子678がそれぞれ回路の後端に同じ影響を及ぼす入力トランジスタに接続され、該当する入力トランジスタの両端が互いに接続されると仮定すると、回路の後端から見たときに第3入力端子676及び第4入力端子678を介して入力された二重入力信号は、V_A_in_eqが入力されたものと等価と見ることができる。
【0081】
図7Bを参照すると、図面符号710は図7Aに示したV_A_ip_eqの信号波形からV_A_in_eqの信号波形を差し引いた信号波形を示す。信号増幅器670の第1~第4入力端子672、674、676、678に入力された信号は、信号波形710のような信号が入力されたものと等価と見ることができる。信号波形710が信号増幅器670によって増幅され、増幅された信号に基づいてオリジナル入力信号の情報が復元される。信号の復元のために、例えば、各時点f、g、h、i、jの直前の時点で信号増幅器670の出力信号をサンプリングし、サンプリングされた値を継続して加算する方法を用いる。これに対する結果の信号波形を図面符号720で示す。他の例として、図面符号730に示すように、時間区間f-gと時間区間h-iで信号値を単純移動させるように特定周期毎に信号値を移動させる方法によって信号を復元することができる。
【0082】
図8は、一実施形態による信号処理方法の動作を示すフローチャートである。本実施形態による信号処理方法は、信号処理装置(例えば、図1に示す信号処理装置100及び図4Aに示す信号処理装置400)によって実行される。
【0083】
図8を参照すると、ステップS810において、信号処理装置は、スイッチング動作に基づいて入力信号の差分信号を取得する。信号処理装置は、周期的にスイッチを短絡して信号増幅器の入力端子を基準信号の値にリセットさせた後、スイッチを開放して入力信号の変化を反映する差分信号を取得する。ステップS820において、信号処理装置は差分信号を増幅する。ステップS830において、信号処理装置は、増幅された差分信号をデジタル信号に変換する。信号処理装置は、増幅された差分信号をスイッチング動作に基づいてサンプリングし、サンプリングされた信号をデジタル信号に変換する。ステップS840において、信号処理装置は、デジタル信号を加算して出力信号を生成する。信号処理装置は、デジタル信号を時間により累積することによってオリジナル入力信号の情報を含む出力信号を生成する。
【0084】
上述した実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組合せで具現される。例えば、本実施形態で説明した装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、又は命令(instruction)を実行して応答する異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて具現される。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及びオペレーティングシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理、及び生成する。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明する場合もあるが、当該技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数類型の処理要素を含むことが分かる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサ又は1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0085】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、又はこれらのうちの1つ以上の組合せを含み、希望通りに動作するように処理装置を構成し、独立的又は結合的に処理装置に命令する。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈され、処理装置に命令又はデータを提供するためのあらゆる類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体又は装置、或いは送信される信号波を介して永久的又は一時的に具現化される。ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法で格納されるか又は実行される。ソフトウェア及びデータは1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納される。
【0086】
本実施形態による方法は、多様なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明の動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0087】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
100、400、600 信号処理装置
110 差分信号取得器
120、670 信号増幅器
130 信号復元器
210 サンプル及びホールド部
220 フィルタ
230 信号コンバータ
240 信号加算器
310 入力信号
320、520 差分信号
330 増幅された差分信号
340 変換されたデジタル信号
402、602 コントローラ
410、625 第1キャパシタ
420、615 第1スイッチ
430、635 第1基準信号
440、620 第2スイッチ
450、630 第2キャパシタ
460、665 第2基準信号
470、476、478、480 ノード
472 入力端子
474、482 出力端子
485 入力信号の信号範囲
490 回路の動作範囲
495 差分信号の周期
510 第1制御信号
530、550 出力信号
540 第2制御信号
610 第1入力部
640 第2入力部
645 第3スイッチ
650 第4スイッチ
655 第3キャパシタ
660 第4キャパシタ
672 第1入力端子
674 第2入力端子
676 第3入力端子
678 第4入力端子
710、720、730 信号波形
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8