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特許7130122リチウム金属を負極に使用する全固体電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】リチウム金属を負極に使用する全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20220826BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220826BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20220826BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20220826BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M10/058
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021519518
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2019010598
(87)【国際公開番号】W WO2020040533
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0098857
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】グイロン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ビ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ-フン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】スク-ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ピル・イ
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216053(JP,A)
【文献】特開2006-179241(JP,A)
【文献】特開2012-038425(JP,A)
【文献】米国特許第05612153(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在された固体電解質層と、を含む電極組立体を含む全固体電池であって、前記負極が、負極活物質としてリチウム金属を含み、
積層面の面積を基準にして固体電解質層、負極及び正極の面積が全て同じであるか、または固体電解質層、負極及び正極の順に面積が減少し、
前記負極が、固体電解質層と面接触し、かつ固体電解質層の面内に配置され、
前記正極が、固体電解質層を介在して負極と間接的に接触し、かつ負極の面内に配置され、
前記負極と固体電解質層との間に高分子樹脂を含む保護層がさらに備えられ、
前記保護層が、所定の幅を有する縁部及び前記縁部によって囲まれた開口部を有するフレーム形態であり、
前記開口部の面積が正極の面積よりも小さく、
開口部が正極面の内側に位置するように保護層が配置されており、
前記保護層が、ポリオレフィン系高分子樹脂を含み、前記固体電解質層に比べて硬度及び/または強度が高く、
前記固体電解質層が、高分子系固体電解質を含む、全固体電池。
【請求項2】
前記高分子系固体電解質が、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体及びアルキレンオキサイド誘導体より選択されたいずれか一種以上を含む、請求項に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記縁部によって負極の外周部分が固体電解質層と直接接触しない、請求項1または2に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記保護層の厚さは、前記固体電解質層の厚さの1/10~1/2である、請求項1からのいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記保護層の縁部が所定の幅だけ前記固体電解質層の外側へ突出している、請求項1からのいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記正極の末端の周縁が前記保護層の縁部の内側に位置するように積層される、請求項1からのいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項7】
積層面の面積を基準にして、前記固体電解質層、負極及び正極の面積が全て同一であり、前記保護層は、縁部における所定の幅を有する外側の一部が固体電解質層の外へ突出し、前記突出部分が固体電解質層の方向へ折り曲げられて固体電解質層及び正極の積層端面を囲む、請求項1からのいずれか一項に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記突出部分の末端が正極の表面の外周の全部または一部を被覆する方式で保護層が折り曲げられている、請求項に記載の全固体電池。
【請求項9】
前記保護層が、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一つ以上を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質材料に固体電解質を含む全固体電池用の電極組立体に関し、特に、前記全固体電池は負極にリチウム金属を使用する。
【0002】
本出願は、2018年8月23日出願の韓国特許出願第10-2018-0098857号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、主にモバイル機器やノートブックPCなどの小型分野に適用されてきたが、最近はその適用が中・大型分野へ拡張し、主にエネルギー貯蔵装置(energy storage system,ESS)または電気自動車(electric vehicle,EV)などのような高エネルギー及び高出力が要求される分野へ拡張しつつある。このような中・大型二次電池の場合、小型とは異なり、温度、衝撃などのような作動環境が苛酷であるだけでなく、より多い電池を使わなければならないので、優秀な性能や適切な価格とともに安全性の確保が求められる。現在、商用化した二次電池の多くは、リチウム塩を有機溶媒に溶かした有機液体電解質を用いていることから、漏液を含めて発火及び爆発のような潜在的な危険性を抱いている。
【0004】
そこで、最近は全固体電池(all-solid-state battery)への開発が行われており、全固体電池は、不燃性の無機固体電解質を用いる電池であって、従来の可燃性有機液体電解質を用いるリチウム二次電池に比べて熱的安全性が高いという長所がある。全固体電池は、通常、負極集電体層、負極層、固体電解質層、正極層及び正極集電体層の積層構造を有している。このような全固体電池の従来技術のうち大量生産に適した工程としては、韓国登録特許第10-1506833号の「スラリー、固体電解質層の製造方法、電極活物質層の製造方法及び全固体電池の製造方法」のようなスラリー塗布方式の技術が開示されている。
【0005】
一方、リチウム金属を負極活物質に使用する全固体電池を高容量電池として用いる場合、リチウムがストリッピング/プレーティング(stripping/plating)されながら負極の体積変化が非常に激しい。負極と固体電解質層(高分子電解質)との界面抵抗を減らすためには、通常、前記固体電解質層材料である高分子電解質は粘性が高いことが求められる。そして、エネルギー密度を高めるために固体電解質層の厚さは可能なかぎり薄くしなければならない。したがって、固体電解質層は、通常、界面の粘性が高いため、非常にべたつき、厚さが薄くて機械的強度が弱い。電極組立体の製造時、電極を完璧に整列(align)するために、通常、負極の面積は正極の面積よりも大きくし、固体電解質層の面積は、負極の面積よりも大きく設計する。この際、負極に用いられるリチウム金属において、正極と対向する面には、リチウムがストリッピング/プレーティングされ、残りの部分(正極と対向しない部分)には、リチウム(Li)が接近しない。したがって、充電される状況を考慮すれば、リチウム(Li)金属層でプレーティングが発生しながら正極と対向する部分は、リチウム(Li)がプレーティングされながらリチウム金属の厚さが厚くなる。この際、正極と対向している部分と対向していない部分との間に段差が生じながら固体電解質層が損傷することがある。図1は、従来の通常的な形態の全固体電池用の電極組立体の断面を概略的に図式化して示した図であって、前記電極組立体は、正極10、負極40及び前記正極と負極との間に介在された固体電解質20を含む。全固体電池の充放電の反復によって負極であるリチウム金属層でリチウムプレーティング50が発生しながら、負極における正極と対向する部分でリチウム金属の厚さが厚くなり、負極層に段差が発生する。図2は、通常の全固体電池において充電中に負極層に段差が形成されることを図式化して示した図である。さらに、電極組立体を製造するとき、固体電解質層のエッジ部分で高分子系固体電解質層が損傷してしまい、正極と負極との短絡が発生する可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安全性が改善した全固体電池用の電極組立体を提供することを目的とする。特に、本発明は、全固体電池用の電極組立体において、充放電によって負極層の一部の厚さが増減するなどの負極層の厚さ変化によって負極層に段差が発生しても、段差発生によって固体電解質層が破損しないように考案された新しい構造の電極組立体を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、全固体電池に関する。本発明の第1面は、このような全固体電池に関し、前記全固体電池は、負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在された固体電解質層と、を含む電極組立体を含み、前記負極が、負極活物質としてリチウム金属を含み、積層面の面積を基準にして固体電解質層、負極及び正極の面積が全て同じであるか、または固体電解質層、負極及び正極の順に面積が減少し、前記負極が、固体電解質層と面接触し、かつ固体電解質層の面内に配置され、前記正極が、固体電解質層を介在して負極と間接的に接触し、かつ負極の面内に配置され、前記負極と固体電解質層との間に高分子樹脂を含む保護層がさらに備えられ、前記保護層が、所定の幅を有する縁部及び前記縁部によって囲まれた開口部を有するフレーム形態であり、前記開口部の面積は正極の面積よりも小さく、開口部が正極面の内側に位置するように保護層が配置される。
【0009】
本発明の第2面は、前記第1面において、前記固体電解質層が、高分子系固体電解質を含む。
【0010】
本発明の第3面は、前述の面のいずれか一面において、前記高分子系固体電解質が、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体及びアルキレンオキサイド誘導体より選択されたいずれか一種以上を含む。
【0011】
本発明の第4面は、前述の面のいずれか一面において、前記縁部によって負極の外周部分は固体電解質層と直接接触しない。
【0012】
本発明の第5面において、前述の面のいずれか一面において、前記保護層の厚さは、前記固体電解質層の厚さの1/10~1/2である。
【0013】
本発明の第6面は、前述の面のいずれか一面において、前記保護層の縁部が所定の幅だけ前記固体電解質層の外側へ突出している。
【0014】
本発明の第7面は、前述の面のいずれか一面において、前記正極の末端の周縁が前記保護層の縁部の内側に位置するように積層される。
【0015】
前記第8面において、前述の面のいずれか一面において、積層面の面積を基準にして、前記固体電解質層、負極及び正極の面積が全て同一であり、前記保護層は、縁部における所定の幅を有する外側の一部が固体電解質層の外へ突出し、前記突出部分が固体電解質層の方向へ折り曲げられて固体電解質層及び正極の積層端面を囲む。
【0016】
本発明の第9面において、前記第8面において、前記突出部分の末端が正極の表面の外周の全部または一部を被覆する方式で保護層が折り曲げられている。
【0017】
本発明の第10面において、前記保護層は、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一つ以上を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明において、ポリオレフィン素材の保護層は、固体電解質層よりも機械的強度が高く、柔軟性が低くて粘度が低い。したがって、本発明による電極組立体は、フレーム形態の保護層が備えられており、負極層の表面における正極との対向部分(負極面の内側部)にリチウムプレーティングが発生し、負極面の外周部と、前記外周部によって囲まれた内面部との段差が発生しても、保護層が段差に沿って上方へ移動し、保護層の移動によって電解質膜の外側部が保護層によって支持されて上方へ共に移動するため、プレーティング及び段差形成による固体電解質層の損傷が防止される。
【0019】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術による全固体電池用の電極組立体の断面を示した図である。
図2】従来技術による全固体電池用の電極組立体の断面を示した図であって、電池の反復的な充放電によって負極の表面にリチウムプレーティングが発生して負極の厚さが厚くなったことを概略的に図式化して示した図である。
図3a】本発明の一実施様態による全固体電池用の電極組立体の断面を概略的に図式化して示した図である。
図3b】各構成要素の幅を示した図である。
図4】本発明の一実施様態による全固体電池用の電極組立体の断面を示した図であって、電池の反復的な充放電によって負極の表面にリチウムプレーティングが発生して負極の厚さが厚くなったことを概略的に図式化して示した図である。
図5】本発明の一実施様態による全固体電池用の電極組立体の分解斜視図である。
図6】本発明の一実施様態による全固体電池用の電極組立体を示した図であって、保護層の縁部における所定の幅を有する外側の一部が固体電解質層の外へ突出して固体電解質層及び正極の積層端面を囲む様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に基材された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0022】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0023】
本明細書の全体にかけて使われる用語、「約」、「実質的に」などは、言及された意味に、固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値またはその数値に近接した意味として使われ、本願の理解を助けるために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために使われる。
【0024】
本明細書の全体において、「A及び/またはB」の記載は、「AまたはB、もしくはこれら全部」を意味する。
【0025】
以下の詳細な説明において用いられた特定の用語は、便宜のためのものであって制限的なものではない。「内側」、「外側」、「右」、「左」、「上面」及び「下面」との単語は、参照される図面における方向を示す。「内側へ」及び「外側へ」との単語は各々、指定された装置、システム及びその部材の幾何学的中心に向けるか、それから離れる方向を示す。「前方」、「後方」、「上方」、「下方」及びその関連単語及び語句は、参照される図面における位置及び方位を示し、制限的なものではない。このような用語は、上記例示の単語、その派生語及び類似な意味の単語を含む。
【0026】
本発明は、電気化学素子用の電極組立体に関する。本発明において、前記電気化学素子は、電気化学的反応によって化学的エネルギーを電気的エネルギーに変換する装置であって、一次電池及び二次電池(Secondary Battery)を含む概念であり、前記二次電池は、充放電可能であり、リチウムイオン電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-水素電池などを包括する概念である。本発明の一実施様態において、前記電気化学素子は、リチウムイオン電池であり得、望ましくは、電解質として固体電解質を用いる全固体電池である。また、本発明において、前記全固体電池は、負極としてリチウム金属を用いるリチウム金属電池であることが望ましい。
【0027】
本明細書に添付された図面を参照して本発明の電極組立体をより詳しく説明する。図3a及び図3bは、本発明の一実施様態による全固体電池用の電極組立体の断面を概略的に示す。本発明の一実施様態において、前記電極組立体は、正極10、負極40及び前記正極と負極との間に介在された固体電解質層20を含み、負極と固体電解質層との間には、所定の幅を有する保護層30が介在されている。
【0028】
前記電極組立体において、積層面の面積を基準にして固体電解質層、負極及び正極の順に面積が減少する。前記負極は、固体電解質層と面接触し、固体電解質層面の内側に配置されて固体電解質層の外側へ突出しないようにする。また、前記正極は、固体電解質層を介在して負極と間接的に接触し、負極の面内に配置される。図3a及び図3bは、本発明の一実施様態による電極組立体の断面を示し、正極面の両端部が負極面の幅内に含まれるように配置されており、負極面の両側端部が固体電解質層面の幅内に含まれるように配置されている。
【0029】
本発明の一実施様態において、前記正極は、正極集電体及び前記集電体の少なくとも一側表面に正極活物質及び固体電解質を含む正極活物質層を備える。前記正極活物質は、必要に応じて導電材及びバインダー樹脂などをさらに含み得る。前記正極活物質は、これらに限定されないが、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn、LiMnOなど)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や一つまたはそれ以上の遷移金属に置き換えられた化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは、0~0.33である。)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である。)で表されるリチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である。)、LiMnNiCo(0.5<a<1.5、0<[x、y、z]<1、x+y+z=1)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置き換えられたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOのうちいずれか一種または二種以上の混合物を含み得る。
【0030】
本発明の一実施様態において、前記正極活物質は、特にこれらに限定されないが、粒径D50が1μm~20μmであり得る。一方、本願明細書において、「粒径」とは、粒径分布曲線で重量百分率の50%に当たる粒径を意味するD50粒径を意味する。
【0031】
本発明において、前記負極は、負極集電体及び前記集電体の少なくとも一側表面に負極活物質を含む負極活物質層を備え得る。本発明において、前記負極活物質層は、リチウム金属を含み、集電体の表面に所定の厚さのリチウム金属薄膜を接合するか、または集電体の表面にリチウム金属を化学的または物理的な方法で蒸着して設けられたものであり得る。または、前記負極活物質層は、リチウム金属粉末を圧着して集電体の表面に層状構造に形成したものであり得る。本発明の一実施様態において、前記リチウム金属薄膜は、厚さが1μm~20μmであり得る。
【0032】
前記負極物質は、リチウム金属と共に他の活物質材料をさらに含み得る。この非限定的な例には、リチウム金属酸化物、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi及びBiなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料;チタン酸化物などが挙げられ、これらより選択された一種または二種以上の混合物を含み得る。前記負極活物質は、必要に応じて導電材及びバインダー樹脂などをさらに含み得る。
【0033】
一方、本発明の具体的な一実施様態において、前記導電材は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維または金属繊維、金属粉末、導電性ウィスカー、導電性金属酸化物、活性炭(activated carbon)及びポリフェニレン誘導体からなる群より選択されたいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物であり得る。より具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、スーパーp(super-p)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、デンカ(denka)ブラック、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム及び酸化チタンからなる群より選択された一種またはこれらの二種以上の混合物であり得る。
【0034】
前記集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、ステンレススチール、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。
【0035】
前記バインダー樹脂としては、当業界で電極に通常使用する高分子を使うことができる。このようなバインダー樹脂の非制限的な例には、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチルヘキシルアクリレート(polyetylexyl acrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(celluloseacetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
前記正極及び/または負極に含まれる固体電解質は、高分子系固体電解質、硫化物系固体電解質及び酸化物系固体電解質より選択された一種以上を含み得る。
【0037】
一方、本発明の電極組立体は、負極と固体電解質層との間に保護層30がさらに備えられ得る。前記保護層30は、所定の幅を有するフレームの形態のものであって、外周と内周を有する縁部32及び前記縁部で囲まれた開口部31を有するフレーム形態である。ここで、前記開口部31の面積は、正極の面積よりも小さく、開口部が正極層の面内に位置するように保護層が配置される。即ち、正極の周縁が保護層の縁部内に位置するように、即ち、垂直断面を基準にして正極と保護層との縁部が重なるように配置される。図3a及び図3bをさらに参照すれば、電極組立体において固体電解質層の開口部の両端幅Woが正極層の両端幅Wcの間に配置されている。一方、本発明において、前記保護層の全幅Wpは、負極層の幅Waと同一であるかまたはこれより広く形成され得、また、一実施様態によれば、前記幅Wpは、固体電解質層の幅Weと同一であるかまたはこれより広く形成され得る。例えば、保護層の縁部は、所定の幅だけ固体電解質層の外側へ突出し得る。
【0038】
一方、本発明において、前記保護層30は、負極40と固体電解質層20との間の全面を遮断するように配置されることではなく、負極40のエッジ部から負極の面内までの所定の幅だけが設けられる。このような構成的特徴によって、負極の外周部は固体電解質と直接接触しない。望ましくは、前記保護層は、負極面の外周部に所定の幅を有するように設けられ得る。図5は、本発明の一実施様態による電極組立体の分解斜視図を示した図であり、ここで、保護層30は、単一閉曲線の形態を有するフレーム部32と、前記フレーム部で囲まれた開口部31と、を有していることを確認することができる。
【0039】
図4は、電池の充放電によって負極にリチウムプレーティングが形成され、負極の表面に段差が形成されたことを概略的に示した図である。これによれば、負極の表面における正極と対向する部分のみでリチウムプレーティングが起こり、負極の外周部にはリチウムプレーティングが発生せず、負極の表面内側と外側との段差が形成される。このように負極の表面の一部に段差が形成される場合、保護層30は、固体電解質層に比べて硬度及び/または強度が高いため、段差によって反らず、平坦な形状が維持され、リチウムプレーティングが形成された段差だけ上方へ移動する。また、これによって、固体電解質層が保護層によって支持されながら、段差形状のとおり反らず、平坦な形状を維持しながら保護層と共に上方へ移動する。
【0040】
本発明において、前記保護層は、これに限定されないが、厚さが前記固体電解質層厚さの1/10~1/2である。
【0041】
前記説明は、電極組立体の横断面(A)に関わるが、縦断面(B)にも適用可能である。
【0042】
本発明の一実施様態において、前記保護層は、高分子樹脂を含むフィルム型薄膜であり得る。前記高分子樹脂は、固体電解質層と反応性が低いか、または無いことが望ましい。また、機械的強度、形態安定性及び電池使用上の安全性のためには、融点が100℃以上であり、ガラス転移温度Tgが-30℃~200℃であり得る。本発明の一実施様態において、前記保護層は、ポリオレフィン系高分子樹脂を含み得る。前記ポリオレフィン系高分子樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどからなる群より選択された一種または二種以上の重合体または共重合体、またはこれらの二種以上の混合物などが挙げられ、これらの一種または二種以上を含み得る。また、前記保護層は、ポリオレフィン系高分子樹脂と共に、または独立的にポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィドロ(polyphenylenesulfidro)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)、ポリスルホン、セルロースアセテート及びポリスチレンからなる群より選択された一種または二種以上の混合物を含み得る。しかし、保護層の材料は、前述の成分に限定されず、固体電解質層の形態の変形を防止できる程度の形態安定性を有し、電気化学的に安定した素材であれば、制限なく使用可能である。例えば、前記保護層は、ポリエチレン及び/またはポリプロピレンを含み得る。
【0043】
本発明の一実施様態において、前記固体電解質層は、正極と負極との間に介在されるものであって、前記二つの電極を電気的に絶縁してイオン伝導層としての役割を果たす。この例としては、特に限定されないが、前記固体電解質層は、1.0×10-5S/cm以上、1.0×10-4S/cm以上または1.0×10-3S/cm以上のイオン伝導度を有することが望ましい。また、本発明の一実施様態において、前記固体電解質層は、厚さが約10μm~100μmであり、独立した薄膜形態(freestanding film)で設けられることが望ましい。
【0044】
本発明の一実施様態において、前記固体電解質層は、イオン伝導性物質として高分子系固体電解質を含み得る。前記高分子系固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成されたものであり得、前記高分子樹脂は、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体、アルキレンオキサイド、ポリエチレングリコール、アルキレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン及びイオン性解離基を含む重合体からなる群より選択された一種または二種以上の混合物を含み得る。
【0045】
本発明の電解質において、前述のリチウム塩は、イオン化可能なリチウム塩であって、Liで表し得る。このようなリチウム塩の陰イオン(X)としては、特に制限されないが、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、(CFCFSOなどが挙げられ、これらの一つ以上を含み得る。
【0046】
一方、前記電極組立体は、負極の表面に固体電解質層を形成する前、保護層を負極の表面の所定の位置に配置し、その後、固体電解質層を形成した後、正極を配置し得る。一方、正極を配置した後、各層の接合のために、熱間または冷間加圧工程を行い得、このような加圧固定時、保護層の開口部が固体電解質層で充填され得る。即ち、本発明の一実施様態において、前記固体電解質層は、保護層の厚さだけの段差が形成され得る。
【0047】
一方、本発明の一実施様態において、前記保護層は、固体電解質層に比べて広く形成され、保護層の縁部における所定の幅を有する外側の一部が固体電解質層の外へ突出し得る。この場合、前記突出した外側の一部を固体電解質層の方向へ折り曲げて固体電解質層及び正極の積層端面を囲むようにすることができる。この場合、積層面の面積を基準にして少なくとも固体電解質層及びこれと直接対向する正極の面積、即ち、縦横の寸法を同一に設計して固体電解質層と正極とが相互ずれないように積層することができる。さらに、固体電解質層、正極及び負極の面積、即ち、縦横の寸法を同一に設計することができる。このように正極と負極との面積を同一にして相互ずれないように積層しても、正極の端面が保護層によってカバーされるため、電気的な干渉を防止することができ、いずれか一方の電極を大きく設計しなくてもよいので、エネルギー密度が改善されると共に材料節減の面でも有利である。一方、前記保護層の突出部分の幅が積層端面の幅より長くて、前記積層端面を被覆して残った部分がある場合には、切断することで除去するか、またはこれを正極の表面側へ折り曲げて正極表面の外周の全部または一部を被覆するように仕上げることができる。
【0048】
図6は、固体電解質層、正極及び負極の大きさを同一にして相互ずれないように積層した電極組立体において、固体電解質層、正極及び保護層の突出部分を折り曲げて正極と固体電解質との積層端面を被覆し、余分の末端部を正極表面に付着して仕上げた形態を概略的に図式化して示した図である。
【0049】
また、本発明は、前記電極組立体を含む電池を単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック及び前記電池パックを電源として含むデバイスを提供する。前記デバイスの具体的な例には、電気的モーターからの動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle,EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle,HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle,PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力システムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6