(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】統合アクセスバックホールノードへのアドミッション制御の動的な帰属方法、コンピュータソフトウェア、及びコンピュータ可読非一時的記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 48/20 20090101AFI20220826BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20220826BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20220826BHJP
【FI】
H04W48/20
H04W84/00 110
H04W16/26
(21)【出願番号】P 2021561146
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2020004697
(87)【国際公開番号】W WO2020195221
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-23
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】カンフシ、ムーラド
(72)【発明者】
【氏名】ボノビル、エルベ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュヌ、ロイ
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/061831(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0229939(US,A1)
【文献】Ericsson,Packet Forwarding in IAB Networks[online],3GPP TSG RAN WG2 #105 R2-1901326,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_105/Docs/R2-1901326.zip>,2019年02月14日
【文献】CMCC,Xn termination and Xn based mobility in IAB[online],3GPP TSG RAN WG3 #102 R3-186624,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_102/Docs/R3-186624.zip>,2018年11月03日
【文献】LG Electronics Inc.,Consideration on architecture and protocol stack for IAB[online],3GPP TSG RAN WG3 #100 R3-183086,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_100/Docs/R3-183086.zip>,2018年05月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定のドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)とモバイル端末(UE)との間のツリー通信アーキテクチャに配置された統合アクセスバックホールノード(IAB)へのアドミッション制御の動的な帰属方法であって、
a.前記ツリー通信アーキテクチャへの各ノードの相対位置の関数において、グループの統合アクセスバックホールノード(IAB)から少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)を選択することであって、前記グループの前記ノード、及び前記モバイル端末の少なくとも一方は、他方に対し移動している、選択することと、
b.前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、アドミッション制御の委任をシグナリングすることであって、前記シグナリングすることは、以下のサブステップ、すなわち、
i.前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の前記中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、コンテキスト情報を送信するサブステップと、
ii.前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の前記中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の識別情報を送信するサブステップと、
iii.前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)から、少なくとも1つのアウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)に、前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)の識別情報を送信するサブステップであって、前記アウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)は、前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)を親ノードとして有するサブステップと
を含む、シグナリングすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、前記選択することの前に、少なくとも1つの所定の判断基準のセットがチェックされるトリガーステップを更に含み、前記方法のうちの後続のものは、前記判断基準のセットが検証された場合にのみ実施され、前記判断基準のセットは、
前記ツリー通信アーキテクチャの密度の所定の閾値の超過、
前記ツリー通信アーキテクチャにおけるユーザモバイル端末のトラフィックの所定の閾値の超過、及び
前記ツリー通信アーキテクチャにおける所定の閾値品質レベル未満の降下
のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記シグナリングすることの後に、以下のステップ、すなわち、
c.ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)と前記モバイル端末(UE)との間の相対移動に応答して、前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の前記中央ユニット(CU)から少なくとも1つのターゲットアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a’)に、前記アドミッション制御の前記委任を再割り当てすることを更に含み、前記再割り当てすることは、以下のサブステップ、すなわち、
iv.前記ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)から、前記グループの他の前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB)にコンテキスト情報をシグナリングするサブステップと、
v.前記ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)と、任意の前記アウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)との間で任意のハンドオーバをシグナリングするサブステップと
を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択することにおいて、前記アンカー統合アクセスバックホールノードは、以下のパラメータ、すなわち、
前記ツリー通信アーキテクチャの移動要素の変位経路との近接性、
各ノードが属することができる仮想通信経路の数、及び
統合アクセスバックホールネットワーク内の各ノードの近傍の統合アクセスバックホールノードの数
のうちの少なくとも1つの関数において、又は前記パラメータの組合せの関数において決定される
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記サブステップiiの前記コンテキスト情報は、
前記ツリー通信アーキテクチャにおける選択された前記アンカー統合アクセスバックホールノードの子である前記統合アクセスバックホールノードにおける利用可能なリソースの識別情報、
現在用いられているパケットデータ収束プロトコル、及び
少なくとも1つのサービス品質パラメータ
のうちの少なくとも1つを含む
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
以下の要素、すなわち、
現在用いられているパケットデータ収束プロトコルコンテキスト情報、
バックホールの無線リソース制御コンテキスト、及び
前記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の中央ユニット機能全体
のうちの少なくとも1つが前記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に再配置される
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記サブステップii及びiiiは、3GPP TS 38.873「F1 application protocol」rel 15, July 2018において定義されたF1アプリケーションプロトコルによるシグナリング動作によって行われる
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータソフトウェアであって、前記コンピュータソフトウェアがプロセッサによって実行されると、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法を実施する命令を含む
コンピュータソフトウェア。
【請求項9】
コンピュータソフトウェアがプロセッサによって実行されると、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法を実施するように前記コンピュータソフトウェアが登録される
コンピュータ可読非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線アクセスネットワークの分野、特に、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のコンテキストにおける統合アクセスバックホール(IAB:Integrated Access and Backhaul)ノードの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のネットワークにおいて、IABノードは、ユーザ機器(UE、又はユーザ端末)へのワイヤレスアクセスをサポートし、UEトラフィックを遠隔ドナーIABノード、すなわちIAB-dにワイヤレスでバックホーリングしている無線アクセスノードとして定義される。3GPPは、固定のIABノードのための様々なアーキテクチャ及びリソース管理オプションを研究した。
【0003】
固定のIABは、展開のカバレッジ領域において移動しない。そのような固定のアーキテクチャにおいて、ドナーIABノード、中央ユニットユーザプレーン(CU-UP)、及び中央ユニットコントロールプレーン(CU-CP)は、有線IP接続を通じて分散ユニット(DU)に接続される。ドナーIABノードは、ワイヤレスバックホールリンクを通じて他のIABノードに、及びワイヤレスアクセスリンクを通じてユーザ端末にワイヤレスで接続される。
【0004】
既知のアーキテクチャは、以降に記載され、維持されるべきいくつかの利点を有する。しかし、いくつかの状況において、特に、UE及び/又はIABノードの移動性が高いとき、過度に遅れたアドミッション制御が生成され、結果としてバックホール無線リンク障害(RLF)及びUEの呼の中断が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この状況を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
固定のドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)とモバイル端末との間のツリー通信アーキテクチャに配置された統合アクセスバックホールノードへのアドミッション制御の動的な帰属方法が提案される。前記方法は、
a.前記ツリー通信アーキテクチャへの各ノードの相対位置の関数において、グループの統合アクセスバックホールノードから少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノードを選択することであって、前記グループの前記ノード、及び前記モバイル端末の少なくとも一方は、他方に対し移動している、選択することと、
b.前記ドナー統合アクセスバックホールノードの中央ユニットから、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノードに、アドミッション制御の委任をシグナリングすることとを含む。前記シグナリングすることは、以下のサブステップ、すなわち、
i.前記ドナー統合アクセスバックホールノードの前記中央ユニットから、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノードに、コンテキスト情報を送信するサブステップと、
ii.前記ドナー統合アクセスバックホールノードの前記中央ユニットから、選択された少なくとも1つの前記アンカー統合アクセスバックホールノードに、前記ドナー統合アクセスバックホールノードの識別情報を送信するサブステップと、
iii.前記アンカー統合アクセスバックホールノードから、少なくとも1つのアウトバウンド統合アクセスバックホールノードに、前記アンカー統合アクセスバックホールノードの識別情報を送信するサブステップであって、前記アウトバウンド統合アクセスバックホールノードは、前記アンカー統合アクセスバックホールノードを親ノードとして有するサブステップと
を含む。
【0007】
別の態様において、コンピュータソフトウェアであって、前記コンピュータソフトウェアがプロセッサによって実行されると、本明細書に定義された方法の少なくとも一部を実施する命令を含む、コンピュータソフトウェアが提案される。別の態様において、コンピュータソフトウェアがプロセッサによって実行されると、前記コンピュータソフトウェアが本明細書に定義された方法を実施するように登録される、コンピュータ可読非一時的記録媒体が提案される。
【0008】
以下の特徴は、任意選択で実施することができるか、別個に実施することができるか、又は互いに組み合わせて実施することができる。
【0009】
前記方法は、前記選択すること(a)の前に、少なくとも1つの所定の判断基準のセットがチェックされるトリガーステップを更に含み、前記方法のうちの後続のものは、前記判断基準のセットが検証された場合にのみ実施される。前記判断基準のセットは、
前記ツリー通信アーキテクチャの密度の所定の閾値の超過、
前記ツリー通信アーキテクチャにおけるユーザモバイル端末のトラフィックの所定の閾値の超過、及び
前記ツリー通信アーキテクチャにおける所定の閾値品質レベル未満の降下
のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
前記方法は、前記シグナリングすること(b)の後に、以下のステップ、すなわち、
c.ソースアンカー統合アクセスバックホールノードと前記モバイル端末との間の相対移動に応答して、前記ドナー統合アクセスバックホールノードの前記中央ユニットから少なくとも1つのターゲットアンカー統合アクセスバックホールノードに、前記アドミッション制御の前記委任を再割り当てすることを更に含み、前記再割り当てすることは、以下のサブステップ、すなわち、
iv.前記ソースアンカー統合アクセスバックホールノードから、前記グループの他の前記アンカー統合アクセスバックホールノードにコンテキスト情報をシグナリングするサブステップと、
v.前記ソースアンカー統合アクセスバックホールノードと、任意の前記アウトバウンド統合アクセスバックホールノードとの間で任意のハンドオーバをシグナリングするサブステップと
を含む。
【0011】
前記選択すること(a)において、前記アンカー統合アクセスバックホールノードは、以下のパラメータ、すなわち、
前記ツリー通信アーキテクチャの移動要素の変位経路との近接性、
各ノードが属することができる仮想通信経路の数、
統合アクセスバックホールネットワーク内の各ノードの近傍の統合アクセスバックホールノードの数
のうちの少なくとも1つの関数において、又は前記パラメータの組合せの関数において決定される。
【0012】
前記サブステップiiの前記コンテキスト情報は、
前記ツリー通信アーキテクチャにおける選択された前記アンカー統合アクセスバックホールノードの子である前記統合アクセスバックホールノードにおける利用可能なリソースの識別情報、
現在用いられているパケットデータ収束プロトコル、
少なくとも1つのサービス品質パラメータ
のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
以下の要素、すなわち、
現在用いられているパケットデータ収束プロトコルコンテキスト情報、
バックホールの前記無線リソース制御コンテキスト、及び
前記ドナー統合アクセスバックホールノードの中央ユニット機能全体
のうちの少なくとも1つが前記アンカー統合アクセスバックホールノードに再配置される。
【0014】
前記サブステップii及びiiiは、3GPP TS 38.873「F1 application protocol」rel 15, July 2018において定義されたF1アプリケーションプロトコルによるシグナリング動作によって行われる。
【0015】
本文書及び様々な実施形態における解決策は、特に、UE及び/又はIABノードのうちの少なくとも1つの移動性が高いとき、RLFのリスクを低減する、より効率的なアーキテクチャを提案することを可能にする。他の特徴、詳細及び利点について、以下の詳細な説明においてかつ図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1のアーキテクチャによるIABノード間のいくつかのデータ交換の例の図である。
【
図3】RLCチャネルを介して実行されているフロントホールインタフェースを示す図である。
【
図4】IABノードが移動しているアーキテクチャの例である。
【
図5】IABノード間のアドミッション制御委任(admission control delegation)の実施形態を示す図である。
【
図6】IABノード間のアドミッション制御委任の実施形態を示す図である。
【
図7】IABノード間のアドミッション制御委任の実施形態を示す図である。
【
図8】ハンドオーバ手順の実施形態を示す図である。
【
図9】ハンドオーバ手順の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図及び以下の詳細な説明は、本質的に、いくつかの厳密な要素を含む。それらは、本開示をわかりやすくするために、また、必要な場合は本開示を定義するために使用することができる。
【0018】
ここで、
図1、
図2及び
図3を参照する。
図1において検討されるIABアーキテクチャは、
図2に示すアーキテクチャに基づく。そのようなアーキテクチャに関する更なる詳細は、3GPP TR 38.874「Study on Integrated access and backhaul」rel15, December 2018において入手可能である。
【0019】
そのようなアーキテクチャにおいて、各IABノードは、モバイル端末(MT)機能及び分散ユニット(DU)を備える。2つのIABノードを接続するワイヤレスバックホールリンクは、子IABノードのMT機能を、親IABノードのDUと接続する。ワイヤレスバックホールリンクは、RLCチャネル(RLCは「無線リンク制御」を表す)を介して実行されている
図3に示すフロントホールインタフェースの変更形態F1-U
*を保持している。これらのRLCチャネルは、サービングIABノードのMT機能と、ドナーノードIAB-d上のDUとを接続している。ホップバイホップ転送を可能にするソースからのルーティング情報を保有し、CUとサービングDUとの間のエンドツーエンドの関連付けを保持することができる適合層がF1-U
*に追加される。
【0020】
3GPP TS-38.470、38.471及び38.472において、CU-DUアーキテクチャは、(
図3の左部分に示すように、)IPパケットをカプセル化するGTP-Uプロトコルである、CUとDUとの間のインタフェースを含む。IABノードをドナーIABノードIAB-dにリンクさせるインタフェースを変更することができる(F1
*で表される)。これについて、以下の2つのオプションが可能である。
-GTPトンネルが、IABノード間をルーティングするルーティング機能(適合)に重ねられたRLCパケットをカプセル化する。これは、
図3の第1のF1-U
*に対応する。
-単一の変更されたRLCは、RLCトンネル及び適合層の双方においてGTP-Uを含む。これは、
図3の右側の第2のF1-U
*に対応する。
2つのオプションの違いは、F1-U
*にGTP-Uヘッダを含めるか否かである。
【0021】
各IABノードのMT機能は、例えばIABノードの認証のために、NGC(「次世代コア」ネットワーク)に対するNAS接続性(「非アクセス層」)を更に維持する。換言すれば、シグナリングは、コアネットワークから、アクセスネットワークを通過して、UEまで行われる。上記MT機能は、NGCを介したPDUセッション(「プロトコルデータユニット」)を更に維持することで、例えば、ネットワークのOAMセンター(「OAM」は「運用管理」を表す)への接続性をIABノードに与える。
【0022】
そのようなアーキテクチャは、以下の利点を提供する。
-アーキテクチャは、同じドナーIABノード(IAB-d)のIABノード間のUEハンドオーバのためのコアネットワーク(CN)を介したUEハンドオーバシグナリングを低減している。
-アーキテクチャは、コアネットワークの仕様に対する、IABノード及びドナーIABノードによって形成されるIABネットワークシグナリングの影響を低減している。この理由は、アーキテクチャがRLCトンネルに基づいているためである(層2、
図3を参照されたい)。
-PDCPエンティティがドナーIABノードに位置するため、アーキテクチャは、各UEハンドオーバ中のPDCP(「パケットデータ収束プロトコル」)処理の複雑性を低減している。
-アーキテクチャは、第3の層L3のトランスポートが検討されるとき、複数のインタフェース(N2、N3及びXnインタフェース)の代わりに、IABノードにおける終端点の数(1つのF1終端)を低減している。
【0023】
以下に記載の様々な理由により、上記のアーキテクチャは良好なアーキテクチャである。上記で列挙した利点は、上記アーキテクチャが変更されるときに可能な限り多く保たれるべきである。
【0024】
以下において、
図1及び
図2に示すアーキテクチャに対し変更されたアーキテクチャが提案される。変更されたアーキテクチャは、特に、IABノード及び/又はUEがネットワークにおいて移動しているノードである場合に、上記の利点を保ち、追加の利点を有するために作成されている。実際に、IABネットワークは、様々な移動性プロファイル及びパケットトラフィックを伴って、固定IABノード、移動IABノード、及びユーザ端末を含むはずである。変更されたアーキテクチャの拡張された態様のうちの1つは特に、ノード及び/又はUEが期間中に他方に対し動いている状況におけるハンドオーバ管理である。
【0025】
さらに、IABネットワークの密度は、超高密、例えば、IABノードからドナーIABノードに向けて3ホップ以上であることが予期される。これは、通例、複雑度の観点において制約とみなされる。本文書において、高密IABネットワークは、移動性の高いUEのアドミッション制御、及び/又は移動IABノードにとって問題とみなされる。
【0026】
上記のアーキテクチャが、変更なしで維持され、移動IABノード及び/又はUEと共に用いられる場合、ドナーIABノードの中央ユニット(CU)においてアドミッション制御が行われなくてはならない。これにより過度に遅れたアドミッション制御が生じ、ひいては、バックホール無線リンク障害(RLF)が生じ、IABノードに対する移動性の高いUEの呼の中断、又は移動IABノードに接続されたUEの呼の中断につながる。そのような過度に遅れたアドミッション制御は、ソースIABノードからドナーIABノードのCUへの経路に輻輳/再送信が存在する場合にも発生する場合がある。
【0027】
ユーザ端末が地上に対し動いている状況を有することは新規でない。例えば、車両内で用いられる移動電話がそのような状況に対応する。反対に、いくつかのIABノードが地上に対し動いている状況を有するのは非常に最近になってからのことである。例えば、いくつかの移動車両は、車両がそれ自体でIABノードを形成するようにネットワーク機器をサポートすることができる。結果として、地上に対する移動がどのようなものであろうと、ノードとユーザ端末との間の相対移動が過去よりも高速になる可能性がある。解決策が提案されない場合、未来にRLFリスクが増大する可能性がある。
【0028】
以下において、アーキテクチャはツリー通信アーキテクチャである。IABノード及びユーザ機器UEは、相互に親子関係を有する。ユーザ機器は「親」IABノードに対し「子」であり、上記「親」IABノードは、それ自体が、別のIABノードに対し「子」である等である。ドナーIABノードIAB-dは、少なくとも1つの子IABノードの「親」である。以下において、特に
図4に関して、IABノードが移動しているとみなされる。これは「移動IABノード」と呼ばれ、「IAB-m」と参照される。その変位中、上記移動IABノードIAB-mは、少なくとも1つのユーザ機器UEの親である。その変位中、上記移動IABノードIAB-mは、連続して、1つずつ、別個の親IABノードの子となる。様々な実施形態において、移動要素はユーザ機器UEとすることができる。結果として、読み手は、移動IABノードの例について行われる以下の詳細な説明を、移動ユーザ機器UEに容易に移行することができることを理解する。換言すれば、例は、移動IABノードに限定されず、移動要素は、IABノード及び/又はユーザ機器UEとすることができる。
【0029】
提案されるアーキテクチャにおいて、通例、ドナーIABノードのCUによって保証されるアドミッション制御タスクは、少なくとも部分的に、予測通信経路上のユーザ端末により近い特定のIABノード(以下において「アンカー」ノードと呼ばれ、UEとドナーIABノードとの間に相互接続された中継IABノードのセットを意味する)に委任される。ここで提案される技法及びシグナリングは、ユーザ端末の実際のハンドオーバの前に行われる。アドミッション制御の遅延は、既知のアーキテクチャに対し低減される。結果として、過度に遅れたアドミッションのイベント数が低減される。ネットワークのサービス品質が向上する。
【0030】
本明細書において提案される、固定のドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)とモバイル端末(UE)との間のツリー通信アーキテクチャに配置された統合アクセスバックホールノード(IAB-a)のワイヤレス中継としての動的な帰属方法の全体ステップは、
a.上記ツリー通信アーキテクチャへの各ノードの相対位置の関数において、グループの統合アクセスバックホールノード(IAB)から少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)を選択することであって、上記グループの上記ノード、及び上記モバイル端末の少なくとも一方は、他方に対し移動している、選択することと、
b.上記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の上記中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、アドミッション制御の委任をシグナリングすることであって、シグナリングすることは、以下のサブステップ、すなわち、
i.上記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、コンテキスト情報を送信するサブステップと、
ii.上記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の上記中央ユニット(CU)から、選択された少なくとも1つのアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)に、ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の識別情報を送信するサブステップと、
iii.上記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)から、少なくとも1つのアウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)に、上記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)の識別情報を送信するサブステップであって、上記アウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)は、上記アンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)を親ノードとして有する、サブステップと、
を含む、シグナリングすることとである。
【0031】
任意選択で、更なるステップ、すなわち、
c.ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)と上記モバイル端末(UE)との間の相対移動に応答して、上記ドナー統合アクセスバックホールノード(IAB-d)の中央ユニット(CU)から少なくとも1つのターゲットアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a’)に、アドミッション制御の上記委任を再割り当てすることを実施することができ、再割り当てすることは、以下のサブステップ、すなわち、
iv.上記ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)から、グループの他のアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB)にコンテキスト情報をシグナリングするサブステップと、
v.上記ソースアンカー統合アクセスバックホールノード(IAB-a)と、任意のアウトバウンド統合アクセスバックホールノード(IAB-o)との間で任意のハンドオーバをシグナリングするサブステップと、
を含む。
【0032】
以下において、上記のステップについて、いくつかの説明、詳細、及び様々な特徴が与えられる。その前に、アドミッション制御委任動作の任意選択のトリガーを実施することができる。このアドミッション制御委任は、以下の判断基準のうちの少なくとも1つの関数において、又は以下の判断基準の組合せの関数においてトリガーすることができる。
-IABネットワークの密度。例えば、閾値は、所与のネットワークにおける最大ホップ数として所定とすることができる。次に、ドナーIABノードとユーザ機器との間の通信リンク(又は通信経路)が所定の閾値を超えるホップ数を含む場合、アドミッション制御委任方法がトリガーされる。
-移動性が高いユーザ端末又は移動IABノードのトラフィックの増大。例えば、大勢を招く一時的イベントの間、既存のネットワークに一時的な移動性IABノードを追加することができる。アドミッション制御委任をトリガーすることができる。例において、トラフィック増大情報は、ネットワークを介して、又は近傍のドナーIABノードによって提供することができる。例えば、これは、NGインタフェースシグナリングによって、又はドナーIABノードのCUと近傍ドナーIABノードとの間のXnインタフェースシグナリングによって行うことができる。そのようなインタフェースに関する更なる詳細について、読み手は、3GPP TS 38.300、特に
図4.1-1、10頁を参照されたい。このトラフィック情報は、ネットワークにおけるトラフィックモデルに対するIABノードのランク付けによって得ることができる。高いランク付けを有するノードは、高確率で多数のユーザ端末のハンドオーバを受けることが予期されるノードである。この基地局あたりの予測されるユーザ端末数は、トラフィックモデル、すなわち、展開面あたりの平均ユーザ数に基づく。トラフィックモデルに対し高いランク付けを有するIABノードについてのみアドミッション制御委任をトリガーすることができる。トラフィックモデルは、ドナーIABノードのCUにおいてシミュレートすることができ、上記ネットワークにおいて測定された実際のトラフィックと比較し、及び/又はこのトラフィックに基づいて補正することができる。
-IABネットワークにおけるバックホールの現在の品質。例えば、IABネットワークの品質/性能メトリックの閾値を所定とすることができる。品質/性能メトリックが上記閾値未満に減少する場合、アドミッション制御の委任がトリガーされる。例えば、メトリックは、ドナーIABノードのCUにおいて受信されるパケットのスループット及び/又はCUにおいて受信されるパケットのレイテンシとして表すことができる。
【0033】
アドミッション制御の委任をトリガーするのに用いられる判断基準のそれぞれを、ネットワーク全体において同じ方式で実施することができる。様々な実施形態において、これは、ネットワークの一部でローカルにトリガーすることができる。例えば、これは、移動性の高いユーザ機器又は移動性の高い移動IABノードの経路の周りのLホップの領域内でのみ実施することができる。
図4において、領域は、点線及びL=2を用いて表される。領域内のアドミッション制御委任のトリガーは、以前に説明したトリガー、すなわち、密度、バックホール品質及び/又は予測トラフィック情報のうちの任意のもの又はそれらの組合せの検出とすることができる。
【0034】
次に、
図4を参照する。この例において、移動IABノードは、「IAB-m」と参照される。移動IABノードは、「P」と参照される経路に沿って移動している。
図4において、「IAB-m」の2つの画像は、2つの連続した時点における同じオブジェクトである。
【0035】
ステップa中、アンカーIABノードが決定される。
【0036】
図1及び
図2によるアーキテクチャのIABノード間のバックホールは、RLCトンネル、及びIABノードとドナーIABノードのCUとの間の1つのルーティングのために意図された適合層を保持している。IABネットワークのグローバルルーティングテーブルは、ドナーIABノードのCUに記憶され、管理される。ドナーIABノードのCUは、各IABノードのMT部分から長期の測定値を収集し、IABネットワークのトポロジを決定することができる。トラフィックモデルを有すると、CUは、ネットワーク内の移動性が高いUE/移動IABノードの最も可能性の高い通信経路を決定する。この通信経路は、ドナーIABノードIAB-dからユーザ機器UEへのIABノードのチェーンとして決定される。
【0037】
アンカーIABノードは、以下のパラメータのうちの少なくとも1つの関数において、又は以下のパラメータの組合せの関数において決定される。
-移動要素(移動IABノード又は移動UE)の変位経路との近接性、
-ノードが属することができる仮想通信経路の数。ネットワークにおける可能な経路の最大数に寄与するIABノードは、アンカーIABノードとして、より関連度が高い。これにより、アドミッション制御の委任の変更数を低減することができる。
-IABネットワークにおける近傍IABノードの数。IABノードの近接性は、各IABノードの近接中心性のランク付けによって決まる。
【0038】
上記パラメータは、ネットワークの各IABノードの中心文字を定義するメトリックの形態を有することができる。このとき、ネットワークのIABノードは、そのようなメトリックの関数において、互いに対しランク付けされることで、アンカーIABノードとして最良の候補が選択される。当業者であれば、コンテキストの関数において最良の候補を選択するために適用する規則を定義することができる。
【0039】
方法は動的であるため、移動要素(複数の場合もある)の変位に起因して、ステップaの反復ごとに最良の候補を変更することができる。
【0040】
ステップb中、ドナーIABノードIAB-dから第1の選択されたアンカーIABノードIAB-aに向けた委任が実施される。これは、例えば連続して又は同時に実施することができる複数のサブステップを含む。
【0041】
ステップbのサブステップiにおいて、コンテキスト情報が送信される。コンテキスト情報は、アンカーIABノードがアドミッション制御を保証するのに必要なパラメータを含む、或る時点におけるネットワークを定義するパラメータのセットである。例えば、コンテキスト情報は、以下を含む。
-選択されたアンカーIABノードの子であるIABノードにおいて利用可能なリソースの識別情報、
-例えば、IABノード間のバックホールを通じて、移動IABノードに接続された所与のUE又は移動IABノードに送信されるパケットシーケンス番号(SN)を含む、現在用いられているPDCPコンテキスト情報(「パケットデータ収束プロトコル」)、
-移動性が高いユーザ端末UE/移動IABノードのためのQoSパラメータ(「サービス品質」を表す)、例えば、レイテンシ、スループット、又はIAB-aとそれらの子IABノードとの間のバックホールを介した送信品質を記述する他のパラメータ。
【0042】
上記コンテキスト情報の関数において、アンカーIABノードIAB-aは、移動性が高いユーザ端末UE及び/又は移動IABノードのアドミッションの影響/結果を計算することができる。このとき、受信した情報に基づいてアドミッション制御決定を行うことができる。既知のシステムに反して、そのような動作は、ドナーIABノードIAB-dによって行われるのではなく、アンカーIABノードIAB-a自体によって行われる。
【0043】
図5に示す例において、RRCコンテキスト(「無線リソース制御」を表す)は、ドナーIABノードIAB-dのCUにおいて維持される。
【0044】
図6に示す例は、
図5の例に類似しているが、僅かな差異を伴い、アンカーIABノードIAB-aは、ドナーIABノードIAB-dのCUに対し子IABノードのプロキシとしての役割を果たすように構成される。
図5の例のように、現在用いられているPDCPコンテキスト情報は、ドナーIABノードIAB-dのCUからアンカーIABノードIAB-aに再配置される。(アクセス機能のために)ドナーIABノードIAB-dに接続されたユーザ端末のために、RRCコンテキストがドナーIABノードIAB-dのCUに維持される。
図5の例に反して、バックホールのRRCコンテキストは、アンカーIABノードIAB-aに再配置することができる。換言すれば、RRCコンテキストは、「RRC1」と参照され、ドナーIABノードIAB-dに保持される「RRCアクセス」と、「RRC2」と参照され、アンカーIABノードIAB-aに割り当てられる「RRCバックホール」とに分割される。
【0045】
図7に示す例は、
図6の例と類似している。IAB-dのCU機能は、ネットワークの任意のロケーションにオンデマンドで割り当てることができる「仮想機能」である。
図7の例において、ドナーIABノードIAB-dのCU機能全体が、アンカーIABノードIAB-aに再配置される。例えば、この場合、フルRRCコンテキスト(アクセスバックホール)、PDCPコンテキスト、及びフロントホールアプリケーションプロトコル(F1-AP)の終端がアンカーIABノードIAB-aにおいて実行され、ドナーIABノードIAB-dにおいて実行されない。
【0046】
ステップbのサブステップii及びiiiにおいて、アドミッション制御委任のシグナリングが実施される。サブステップiiは、ドナーIABノードIAB-dとアンカーIABノードIAB-aとの間のシグナリングに関するものである。サブステップiiiは、ネットワークの他のIABノード、特に、親ノードとしてアンカーIABノードIAB-aを有するアウトバウンドIABノードIAB-oに向けたシグナリングに関するものである。
【0047】
ステップbのサブステップii又はiiiの実施形態において、ドナーIABノードIAB-dのCUとアンカーIABノードとの間のシグナリング、又はアンカーIABノードIAB-aから他のIABノードに向けたシグナリングにおいて、F1アプリケーションプロトコル(F1AP)が用いられる。F1APは、ドナーIABノードIAB-dの中央ユニットCUと、IABネットワークの他のIABノード及びユーザ端末UEとの間のシグナリング(情報、すなわち、ユーザパケット及び制御情報の送信)を提供するプロトコルである。F1APは、3GPP TS 38.873「F1 application protocol」rel 15, July 2018において定義されている。
【0048】
図1及び
図2のアーキテクチャから、
図3に従って、少なくともいくつかの実施形態において、2つのIABノード間のインタフェースが、IABノード間のデータパケットをルーティングするための次ホップルーティング情報を提供する無線リンク制御(RLC)トンネル及び適合層によって与えられることが仮定される。ルーティング情報は、例えば、ドナーIABノードIAB-dへの通信経路に沿った次ホップターゲットIABノードの識別情報を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、各アンカーIABノードIAB-aと対応する親IABノードとの間の(ここではF1-APを用いた)シグナリングは、以下の通りである(正:as it follows)。
1.IABノードの適合層を更新するためにF1-APシグナリングを行い、親IABノードのデータパケットをアンカーIABノードにルーティングする。これは、新たなシグナリングであるか、又は3GPP TS 38.873「F1 application protocol」rel 15, July 2018に記載されているようなrel 15 F1-APシグナリングのDU構成更新メッセージを用い、アドミッション制御委任に関する追加のメッセージを含むものとすることができる。
2.移動性が高いユーザ端末UEから又はアンカーIABノードIAB-aにおける移動IABノードから到来するトラフィックのフィルタリングのためのF1-APシグナリングを行う。このF1APシグナリングは、アンカーIABノードにおける呼アドミッション制御決定を支援するために、受信したユーザプレーンからQoSパラメータを抽出する。このシグナリングは、新たなシグナリングであるか、又は3GPP TS 38.873「F1 application protocol」rel 15, July 2018に記載されているようなrel 15 F1-APシグナリングのUEコンテキストセットアップ/変更メッセージを用い、アドミッション制御委任に関連する追加のメッセージを含むものとすることができる。
3.IABネットワーク内に位置するアンカーIABノードIAB-aへのドナーIABノードIAB-dの中央ユニットCUの再構成のためのF1-APシグナリングを行う。この再配置シグナリングは、新たなF1-APシグナリングである(TS 38.873に定義されていない)。
【0050】
これまで、初期ドナーIABノードIAB-dからのアドミッション制御の帰属について説明してきた。しかし、本方法は動的である。この第1のステップの後、アドミッション制御は更新される可能性があり、アンカーIABノードIAB-aは変更される場合がある。例えば、移動性が高いユーザ端末UE又は移動IABノードの移動性に応答して、再配置手順が有用であり得る。
【0051】
ステップcのサブステップivにおいて、ソースアンカーIABノードIAB-aからターゲットアンカーIABノードIAB-a’への再割当て動作、又はハンドオーバが実施される。
【0052】
アンカーIABノード再割当ては、「ソース」アンカーIABノードと呼ばれる第1のアンカーIABノードIAB-aから、「ターゲット」アンカーIABノードと呼ばれる次のアンカーIABノードIAB-a’へのコンテキストの転送を含み(正:comprise)、双方のアンカーノードは同じCU下にある。このコンテキストは、ユーザプレーンコンテキスト、すなわち、ソースIABノードの全ての子及び/又はIABノードの子に接続されたユーザ端末についてのPDCPコンテキストとすることができるか、又はソースIABノードの全ての子及び/又はIABノードの子に接続されたユーザ端末についてのRRCコンテキストとすることができる。これらのコンテキスト情報は、アンカーIABノードのためのデータ転送及び制御プレーンオプションに依拠する。以下のオプションがコンテキスト再配置のために可能である。
-コンテキスト情報は、ソースアンカーIABノードIAB-aから、ドナーIABノードIAB-dのCUに送信され、CUはこれをターゲットアンカーIABノードIAB-a’に転送する。
-コンテキスト情報は、アンカーIABノードIAB-aとIAB-a’との間で(ドナーIABノードIAB-dを通過することなく)送信される。そのような場合、アンカーIABノードは互いに通信することができ、すなわち、各アンカーIABノードは、他のIABノード及び他のアンカーIABノードのCUと二重接続性を有する。別のオプションは、アンカーIABノードがIABネットワークのために接続された支配的なセットを形成していることであり、すなわち、全てのアンカーIABノードがネットワーク内のアンカーIABノードと通信することができ、別のアンカーIABノードの近傍の少なくとも1つのアンカーIABノードが存在する。
-コンテキスト情報が、異なるアンカーIABノードのためにドナーIABノードIAB-dのCUによって準備され、移動IABノード又は移動ユーザ端末UEが、可能なアンカーIABノードによって管理されるロケーションに到達する度にローカルで更新される。
【0053】
ステップcのサブステップvにおいて、ハンドオーバのシグナリングが実施される。
【0054】
[
図8]は、移動IABノードのためのハンドオーバ手順の実施形態を示す。バックホール接続(MTからCUに向かう)のためのアドミッション制御は、ドナーIABノードIAB-dのCUにおいて行われる。当業者であれば、様々な実施形態において、同じことを、アンカーIABノードのCUにおいて行うことができることを理解するであろう。
【0055】
図8に示すハンドオーバ手順によれば、レイテンシのための制限要素は、ソースIABノードのDUからドナーIABノードのDUへの一方向レイテンシである。この一方向レイテンシは、ソースIABノードのDUからドナーIABノードのDUへの送信レイテンシの和に等しく、これは、超高密IABネットワークの場合に高くなり得る。上記で提示した解決策によれば、ドナーIABノードのCUに向けた通信経路上に存在する中間IABノードを発見し、アドミッション制御タスクをそのような中間IABノードに委任することが有利である。
【0056】
図9は、ドナーIABノードIAB-dのCUからアンカーIABノードIAB-aへのハンドオーバ準備シグナリングを用いた移動IABノードのための向上したハンドオーバ手順を示す。手順は、移動IABノードの実際のハンドオーバの前に行われる。
図9に示す実施形態は、データ転送がアンカーIABノードIAB-aによって行われる事例、すなわち、PDCPコンテキストが以前のIABノードのCUから次のアンカーIABノードに再配置される事例を検討する。移動IABノードのユーザ端末UEについてのRRCコンテキストは、ドナーIABノードIAB-dのCUにおいて維持され、移動IABノードのMT部分のRRCコンテキストは、アンカーIABノードによって管理される。これらの点は、任意選択の特徴であり、他の実施形態において僅かに異なる可能性がある。
【0057】
EU FP7 INFSO-ICT-247223 ARTIST4G, D3.5c Moving Relays and Mobility aspects, 2012によれば、2つのIABノード間の送信レイテンシは約2msである。ドナーIABノードIAB-dに向けたホップ数がNであり、かつRACH(「ランダムアクセスチャネル」を表す)及びアドミッション制御のレイテンシが約20msである場合、以下のハンドオーバレイテンシ推定を有する。
【0058】
【0059】
アンカーIABノードは、過度に遅れたアドミッション制御に起因した無線リンク障害事象のリスクが低減されるように、移動IABノードに近接するように選択される。アンカーIABノードにおいてMT部分のRRCコンテキストを管理する利点は、移動IABノードのバックホールの高速で柔軟性のある管理を可能にすることである。上記と同じシミュレーション仮定を検討し、ソース及びターゲットIABノードからアンカーIABノードへのホップ数がN1であると仮定することによって、以下のハンドオーバ推定を得る。
【0060】
【0061】
アンカーがホップ数をN1=N/2まで減らしていると仮定する場合、相対的ハンドオーバレイテンシ利得を以下のように計算することができる。
【0062】
【0063】
集線装置に向けたホップ数が6であると仮定される場合、提案される解決策からの利得は18%であり、この解決策の限界は4/14=29%である。
【0064】
本開示は、本明細書に記載の方法に限定されるものではなく、本明細書に記載の方法は例示にすぎない。本開示は、本文書を読んだ当業者が想到する全ての代替形態を包含する。上記の例は、3GPP無線アクセスネットワーク(RAN WG3)の文脈で作成されているが、この特定の文脈に技術的に限定されるものではない。
【0065】
頭字語リスト
本文書において用いられる頭字語のほとんどは、3GPP技術分野の文脈において既知である。以下のリストは、読解を容易にするためにのみ作成されている。
-3GPP:「第3世代パートナーシッププロジェクト」
-AP:「アプリケーションプロトコル」
-CN:「コアネットワーク」
-CU-CP:「中央ユニットコントロールプレーン」
-CU-UP:「中央ユニットユーザプレーン」
-DU:「分散ユニット」
-GTP:「GPRSトンネリングプロトコル」
-IAB:「統合アクセスバックホール」
-MT:「モバイル端末」
-NAS:「非アクセス層」
-NG:「新世代」
-NGC:「次世代コア」
-NR:「新無線」
-OAM:「運用管理」
-PDCP:「パケットデータ収束プロトコル」
-PDU:「プロトコルデータユニット」
-RACH:「ランダムアクセスチャネル」
-RLC:「無線リンク制御」
-RLF:「無線リンク障害」
-RRC:「無線リソース制御」
-UE:「ユーザ機器」
-UDP:「ユーザデータグラムプロトコル」
-Uu:基地局とのユーザワイヤレス通信インタフェース