(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】複数個の球体による転がり支承装置
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20220829BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E04H9/02 331D
F16F15/02 L
(21)【出願番号】P 2022041899
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-03-01
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503077224
【氏名又は名称】児島 又一
(72)【発明者】
【氏名】児島 又一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189223(JP,A)
【文献】特開2003-097638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の転がり鋼球と、
下部構造体の上部に取り付けられ、前記複数個の転がり鋼球のすべてを受けて転動させる下受け面を備えた下受けと、
上部構造体の柱最下部に取り付けられ、前記複数個の転がり鋼球の4個以上の一部を受けて転動させる円形で転動に必要な範囲を水平とした上受け面及びその外側に外周端に向かって小さい角度の傾斜を備えた上受けと、
前記下受け面に受けられ、前記複数個の転がり鋼球のすべての相対位置関係を一定に保持するパイプフィラーを軸支した保持器梁及び脚部先端にスチールボールキャスターを付けた保持器支柱とで組み立てられた保持器と、
前記保持器に載設され、前記複数個の転がり鋼球のすべての浮き上がりを防止する鋼球受け孔を備えた浮き上がり防止板と
で構成されていることを特徴とする転がり支承装置。
【請求項2】
前記上受け面及びその外側に外周端に向かって小さい角度の傾斜を備えた前記上受けは、激しく転動する前記複数個の転がり鋼球の頂部上の滑らかな移行が可能であること、
前記保持器梁に背隙をもって軸支され隣り合う鋼球との間には空隙が設けられている前記パイプフィラーは、転動する前記隣り合う鋼球に接して擦られると転動とは逆の回転をして前記隣り合う鋼球の相互間に擦りあいの生じない転動を可能としていること、
前記保持器支柱の脚部の前記スチールボールキャスターは、前記保持器が水平移動をするときに前記保持器の任意方向への滑らかな転動を可能としていること
から求められる機能を保持している請求項1に記載の転がり支承装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造物用の転がり支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下受け面上のすべての鋼球の相対位置関係が一定となるように転動自在に保持する保持器が備えられている複数球使用の転がり免震(支承)装置(特許文献1参照)。また、鋼球の循環機能を持つ構成ブロックと軸受けレールで構成する直動装置を十字形に組み合わせ、任意の方向に転動する支承(非特許文献1参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】国土交通大臣認定番号(免震材料)MVBR-0271、0272、0382(井 型)他
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
転がり免震(支承)装置は、複数個すべての鋼球を受ける下受け面と、複数個の一部の鋼球を受ける上受け面と、鋼球の相対位置関係を一定に保持する保持器とが備えられている。保持器は方形の環内を格子状に区画したもので、区画された室のそれぞれに鋼球が一つずつ入れられることで、下受け面のすべての鋼球の相対位置関係が一定に保持される。保持器の高さ寸法は鋼球の直径よりも小さく設定されていて鋼球が保持器に妨げられることなく、上下の受け面に受けられるようになっている。保持器は下受け面に受けられて、免震時には、下受け面を軽く摺って移動することになる。このように、保持器と鋼球との擦りあいと、保持器下面の全体が下受け面上を摺っての移動であることから、免震時の繰り返される反転と強弱のある水平動に対して鋼球の安定した転動が難しくなる(特許文献1参照)。
【0006】
転がり支承装置は、他の免震支承装置や減衰装置と組み合わされて用いられる。特に主要な免震装置である積層ゴム支承装置は、負担荷重を大きくすることで積層ゴムの円形支持面の径を大きくし、水平変形能力を高くしている。よって積層ゴム支承装置と組み合わされて用いられる転がり支承装置は、積層ゴム支承装置に劣らない大きい支持耐力と水平移動能力が求められる。
【0007】
保持器は、転動する鋼球に押進されて下受け面を摺っての移動となり、水平方向の制御のない状態である。したがって保持器と下受け面との水平と回転軸の位置関係は鋼球の転動に委ねられている。不規則な鋼球の転動のもとでの方形の保持器は、方形の下受け面に対する回転軸に狂いの生じることがある。
【0008】
上受け面に受けられていない受け待ち状態の鋼球は、大地震の初期の激しい上下動と強弱のある水平動とを受けることにより飛び上がることが懸念される。
【0009】
直動転がり支承装置は、上下で十字に組み合わせた軸受けレールの交点で鉛直荷重を支持していて支持に有効な鋼球は少ない個数である。また装置が鋼球の循環の機構であるので鋼球の径の大きさに限りがあり支持耐力に限界がある。大規模な構造体への適用が難しいといえる(非特許文献1参照)。
【課題を解決するための手段】
【0010】
転がり支承装置8は、複数個の鋼球4と、複数個の鋼球4のすべてを受ける下受け1と、複数個の鋼球4の一部を受ける上受け2と、複数個の鋼球4のすべてを一定の相対位置関係に配置する保持器3とで構成されている。鋼球4の相互の擦り合いがなく、迫り合いによる飛び上がりがなく、任意の方向への転動を可能とする。
【0011】
矩形保持器3-4は、鋼球4のすべての配置をする保持器梁3dを方形に組み、その各交点に配設されている保持器支柱3eと、浮き上がり防止板3gとによって構成されている。
【0012】
六角形保持器3-6は、鋼球4のすべての配置をする保持器梁3dを正三角形に組み、その各交点に配設されている保持器支柱3eと、浮き上がり防止板3gとによって構成されている。
【0013】
保持器3は、保持器梁3dと保持器支柱3eとに、PC鋼棒の保持器拘束ボルト3fを貫設し、相互を張着して組立てられている。
【0014】
保持器支柱3eの脚部先端はスチールボールキャスターになっていて、保持器3が水平移動をする時にスチールボールは下受け面1aを任意の方向への転動を可能としている。
【0015】
パイプフィラー3aは、隣り合う鋼球4とは空隙が設けられ、保持器梁3dとは背隙をもって軸支されている。激しい地震動時に鋼球4が転動をしてパイプフィラー3aと当たるが、パイプフィラー3aは、鋼球4と保持器梁3dとの間には空隙と背隙が取られていることから軸支する保持器梁3dとの擦りあう力は小さく滑らかな回転が可能である。鋼球4の転動による保持器梁3dへの水平力と回転力は小さい抵抗力で伝達することが可能である。
【0016】
浮き上がり防止板3gに穿けられた鋼球受け孔3hは、矩形保持器3-4の場合は方形、六角形保持器3-6の場合は三角形とし各コーナーは隅丸としている。鋼球受け孔3hの最小縁短距離を鋼球4の外径より僅かに小さくして、鋼球4の緩やかな転動時には接することなく、激しい地震動時には孔縁に当たり浮き上がりを防止することが可能である。
【0017】
浮き上がり防止板3gは、保持器3に載設され上受け面2aとは僅かな空隙が設けられている。激しい地震動時の上下動で保持器3と受け待ち状態の鋼球4とが不規則に大きく浮き上がる時には、上受け面2aの範囲内の保持器3は上受け面2aに浮き上がりが止められ、同時に受け待ち状態の鋼球4も浮き上がり防止板3gによって浮き上がりが止められる。
【0018】
上受け面2aの範囲内の鋼球4は、上部構造体からの鉛直力を下受け面1aと上受け面2aとの両面で受けていて、地震動時に下受け面1aが水平移動をすると鋼球4は下受け面1aに擦られて転動をする。
【0019】
上受け2は平面形状を円形として、上受け面2aは鋼球4を受けるに必要な範囲は水平とし、それより外側は外周端に向かって小さい角度で傾斜を付けている。こうすることで激しい地震動時における上受け2の鋼球4の頂部の移行が滑らかになるようにしている。
【0020】
鋼球4は、上受け面2aの範囲内に4個以上の配置とし、上受け2からの上部構造体の荷重を分担して支持をする。上受け面2aは受け面を大きくすることが可能で、上受け2からの荷重に見合う鋼球4の個数を配置することによって、いかなる大荷重の支持も可能となる。
【0021】
鋼球4は、上受け面2aの範囲外に2個(列)以上の配置とし、範囲外へ配置する個数(列数)を多くすることによって、限界水平移動距離を大きくすることが可能となる。
【0022】
鋼球4は、すべての球径を同じとするが、すべての球径を大きくすることによって、支持耐力の増大と限界水平移動距離を大きくすることが可能となる。
【0023】
保持器ガイド5は、矩形保持器3-4の外端とは矩形保持器の限界水平移動距離ほどの空隙を設けて備えられている。矩形保持器3-4と下受け面1aの平面形態は共に方形であり、地震動時の繰り返される反転と強弱のある水平動によって、矩形保持器3-4は水平の回転をして下受け面1aに対して回転軸の狂うことがある。捻じりコイルバネ付き保持器ガイド5は、矩形保持器3-4に前記のような狂いが生じたときには、矩形保持器3-4を受け止め、下受け面1aに対する回転軸が一定に保たれるようにしている。なお、六角形保持器3-6の場合は平面形態が点対象の六角形で下受け面1aは円形であることから、水平の回転が生じても回転軸に狂いがなく保持器ガイド5を不要としている。
【0024】
地震動時の下受け1の上受け2に対する相対移動距離は、下受け面1aと、上受け面2aとの間に鋼球4を介在した二面転がりであることから、一面転がりの2倍となる。
【0025】
転がり支承装置8は、鋼球4の転動による移行であることから転がり摩擦係数は微小であり免震設計で採用される水平バネ常数は小さい値となる。さらに、他の免震支承装置や減衰装置と組み合わされて用いられるが、免震装置の主要部材である積層ゴム支承装置の水平バネ常数設定のように上部構造体の重量、装置の周辺温度そして経年劣化に左右されることがなく、構造体全体の免震設計が容易となる。
【0026】
転がり支承装置8は、装置の高さが他の並列に据え付けられる積層ゴム支承装置などに比べて高さ寸法が小さいため、建物免震階9の配置スペースへの影響を小さくすることが可能である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に係るパイプフィラー3aの場合、保持器梁3dに背隙をもって軸支され、鋼球4との間には空隙を設けて介在されたパイプフィラー3aにより、地震動時の繰り返される強弱のある水平動が生じても鋼球4の安定した滑らかな転動が可能となる。
請求項2に係る浮き上がり防止板3gの場合、地震動時の繰り返される強弱のある上下動と水平動が生じても鋼球4の安定した滑らかな転動が可能となる。
請求項3に係る六角形保持器3-6の場合、平面形態が点対象で地震動の作動時に水平の回転が生じても下受け面1aに対する回転軸の狂うことはない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態の矩形保持器を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のI-I線矢視図、図(c)は図(a)のII-II線矢視図、図(d)は浮き上がり防止板の平面図である。
【
図2】図(a)は保持器ガイドの作動状態の平面図、図(b)は図(a)のI-I線矢視図である。
【
図3】図(a)は下受けと上受けの静止状態の断面図、図(b)は下受けと上受けの作動状態の断面図である。
【
図4】図(a)図(b)はパイプフィラーと鋼球との作動状態の断面図である。
【
図5】図(a)図(c)は矩形保持器の保持器拘束ボルトの実施形態姿図、図(b)はI-I線矢視図、(d)はII-II線矢視図である。
【
図6】実施形態の六角形保持器を示すもので、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のI-I線矢視図、図(c)は図(a)のII-II線矢視図、図(d)は図(a)のIII-III線矢視図、図(e)は図(a)のIV-IV線矢視図である。
【
図7】図(a)は矩形保持器の実施形態の平面図、図(b)はI-I線矢視図、図(c)は六角形保持器の実施形態の平面図、図(d)はII-II線矢視図である。
【
図8】図(a)は矩形保持器の上受け面と鋼球との各作動状態の位置関係図、図(b)は六角形保持器の上受け面と鋼球との各作動状態の位置関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。以下の説明において、地震の揺れを簡素化するため上部構造体側が固定され下部構造体側が水平の移動をするモデルとする。
【0030】
図1に示すように、実施形態の転がり支承装置8は、1は下受け、2は上受け、3-4は矩形保持器、3gは浮き上がり防止板、4は鋼球、5は保持器ガイドである。
【0031】
図1(b)(c)に示すように、転がり支承装置8は、建物免震階9に据え付けられる。
【0032】
図1(a)に示すように、矩形保持器3-4は、本実施形態では鋼球4を36個用いており、下受け面1aの上に縦6列、横6列に配置され、円形の上受け面2aの範囲内(斜め格子線)には鋼球4が4個あり、その他の上受け面2aの範囲外の32個は受け待ち状態である。
【0033】
図6(a)に示すように、六角形保持器3-6は、本実施形態では鋼球4を54個用いており、下受け面1aの上に千鳥に配置され、円形の上受け面2aの範囲内(斜め格子線)には鋼球4が6個あり、その他の上受け面2aの範囲外の48個は受け待ち状態である。
【0034】
図1(a)に示すように、上受け2の下の鋼球4の配置は、矩形保持器3-4の場合、上受け面2aの範囲内(斜め格子線)に縦2列、横2列の4個とし、上受け2からの上部構造体の荷重を分担して支持する。
図6(a)に示すように、六角形保持器3-6の場合、上受け面2aの範囲内(斜め格子線)に6個とし、上受け2からの荷重を分担して支持する。
【0035】
図1(a)に示すように、矩形保持器3-4の場合、上受け面2aの範囲外の鋼球4の配置は、上受け面2aの範囲外に2個(列)とする。
図6(a)に示すように、六角形保持器3-6の場合、上受け面2aの範囲外に2個(列)以上とする。上受け面2aの範囲外に鋼球4を多く配置することにより限界水平移動距離を大きくすることができる。
【0036】
図1(a)に示すように、矩形保持器3-4の場合、すべての鋼球4のそれらの相対位置関係を一定とするために、保持器梁3dは方形に組まれ各交点に配設される保持器支柱3eとによって構成されている。
図6(a)で示すように、六角形保持器3-6の場合、すべての鋼球4のそれらの位置関係を一定とするために、保持器梁3dは正三角形に組まれ各交点に配設される保持器支柱3eとによって構成されている。
【0037】
図4(a)(b)に示すように、保持器梁3dは鋼球4の中心に位置している。
【0038】
図4(a)に示すように、下受け1が小さく水平移動をする時は、鋼球4とパイプフィラー3aは接することはない。
図4(b)に示すように、下受け1が大きく水平移動をする時は、鋼球4が転動しパイプフィラー3aと接するとパイプフィラー3aは鋼球4に擦られて回転をするが、パイプフィラー3aの回転は鋼球4の回転とは逆の方向となる。
【0039】
図4(b)に示すように、鋼球4は、下受け面1aと、上受け面2aとの両面で圧力を受けていて、上受け面2a範囲内の鋼球4は、下受け1の水平移動によって転動し保持器3を押進する。上受け2aの範囲外の受け待ち状態の鋼球4は、下受け1の水平移動によって転動はするが不規則であり、保持器3によって相対位置関係が一定に保たれている。
【0040】
図1(a)
図6(a)に示すように、保持器支柱3eは、保持器梁3dの各交点に配設され保持器3を支持している。
図1(c)
図6(b)に示すように、保持器支柱3eの脚部はスチールボールキャスターになっていて、下受け1が水平移動をする時には下受け面1a上をスチールボールが転動する。
【0041】
図7(a)(b)(c)(d)に示すように、パイプフィラー3aは、保持器梁3dに背隙をもって軸支されていて両端には間隙を設けて保持器梁方向の移動を可能としている。保持器支柱3e近傍ではパイプフィラー相互の干渉の無いようにパイプフィラー3aの両端には鍔付きのパイプフィラー止め3bを備えている。
【0042】
図1(a)(b)
図6(a)(b)に示すように、パイプフィラー保護板3cは、地震動時に外周部のパイプフィラー3aが構造体の破片などによって損傷を受けないように備えられている。
【0043】
図3(b)に示すように、転がり支承装置8は、下受け面1aと上受け面2aでの二面転がりであることから、下受けの移動距離をLとすると、上受けの移動距離は2Lとなる。
【0044】
図1(b)(d)
図4(a)(b)
図6(b)に示すように、浮き上がり防止板3gは、上受け面2aとは僅かな空隙を設けられ保持器支柱3eの頂部に、皿ボルトの浮き上がり防止板取り付けボルト3iで取り付けられている。
【0045】
図7(a)(b)(c)(d)に示すように、鋼球受け孔3hは、孔幅を鋼球4の外径より僅かに小さくして鋼球4の浮き上がりを防止している。また鋼球4が保持器梁3dに当たる位置まで移動をした所において、鋼球4と鋼球受け孔3hの孔縁とが当たらないようにしている。なお、孔による浮き上がり防止板の欠損を少なくするために孔のコーナーは隅丸としている。
【0046】
図7(a)(b)に示すように、鋼球4が保持器支柱方向に転動をする時は、矩形保持器3-4の場合は、鋼球4は保持器支柱3eで90度に交わる二つの保持器梁3dを押進しての転動となる。
図7(c)(d)に示すように、六角形保持器3-6の場合は、鋼球は保持器支柱3eで角度60度に交わる二つの保持器梁3dを押進しての転動となる。
【0047】
図1(c)に示すように、矩形保持器3-4の保持器梁3dと保持器支柱3eを貫設している保持器拘束ボルト3fの断面図である。
図5(a)(b)(c)(d)に示すように、保持器梁3dと保持器支柱3eと保持器拘束ボルト3fの姿図、断面図である。保持器拘束ボルト3fは保持器支柱3eの位置で交差している。
【0048】
図6(b)に示すように、六角形保持器3-6の保持器梁3dと保持器支柱3eを貫設している保持器拘束ボルト3fと保持器支柱3eの断面図である。
図6(c)(d)(e)に示すように、保持器梁3dと保持器拘束ボルト3fの断面図である。保持器拘束ボルト3fは保持器支柱3eの位置で3段に交差している。
【0049】
図7(a)(b)に示すように、保持器支柱3eの保持器梁取り付け部は、矩形保持器用では、平面形を方形の柱形としている。
図7(c)(d)に示すように、六角形保持器用では、平面形を六角形の柱形としている。保持器梁の取り付け部の支柱の上部は丸形柱とし下部はスチールボールキャスターとしている。
【0050】
図7(a)(c)に示すように、保持器支柱3eの保持器梁取り付け部は、保持器梁3dを受け止める部分には僅かな欠き込みを設け保持器の組立時には保持器梁3dを上から落とし込めるようにしている。このようにすることによりPC鋼棒の保持器拘束ボルト3fを締め付けた後の保持器取り付け部と保持器梁3dとの接合が堅固とすることができる。
【0051】
図2(a)(b)に示すように、矩形保持器の保持器ガイド5は、地震動時に矩形保持器3-4が水平移動と水平回転によって、下受け面1aとの回転軸に狂いが生じないよう備えられている。
【0052】
図8(a)(b)に示すように、鋼球4は、地震動時には上受け2の下の数量は4~6個と変化をする。よって転がり支承装置の有効な支持耐力は最小の4個分とする。
【符号の説明】
1 下受け
1a 下受け面
2 上受け
2a 上受け面
3 保持器 (矩形保持器、六角形保持器の双方を指す)
3-4 矩形保持器
3-6 六角形保持器
3a パイプフィラー
3b パイプフィラー止め
3c パイプフィラー保護板
3d 保持器梁
3e 保持器支柱
3f 保持器拘束ボルト
3g 浮き上がり防止板取り付けボルト
3h 鋼球受け孔
3i 浮き上がり防止板取り付けボルト
4 鋼球
5 保持器ガイド
5a 捻りコイルバネ
6 下部構造体
7 上部構造体
8 転がり支承装置
9 建物免震階
【要約】 (修正有)
【課題】地震動時の繰り返される強弱のある水平動が生じても鋼球の安定した滑らかな転動が可能とする転がり支承装置を提供する。
【解決手段】転がり支承装置は、上受け面の範囲内に上部からの荷重に見合う個数にすることによって、いかなる荷重の支持も可能としている。鋼球の上下での二面転がりであることから水平移動能力を高くしている。鋼球の間に介在するパイプフィラーは円形の梁に背隙をもって軸支され鋼球とは空隙を設けていて鋼球の安定した転動を可能としている。浮き上がり防止板は激しい地震動時の鋼球の浮き上がりを防止している。保持器ガイドは作動時の下受け面に対する矩形保持器の回転軸の狂いを防止している。
【選択図】
図1