(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】軌道整備装置及び軌道整備方法
(51)【国際特許分類】
E01B 29/06 20060101AFI20220829BHJP
E01B 27/16 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E01B29/06
E01B27/16
(21)【出願番号】P 2018216112
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】500418244
【氏名又は名称】株式会社交通建設
(73)【特許権者】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀寿
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 成人
(72)【発明者】
【氏名】野寺 貴之
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4939998(US,A)
【文献】特開2002-146702(JP,A)
【文献】特開平10-37106(JP,A)
【文献】実開昭55-24304(JP,U)
【文献】特表2018-536105(JP,A)
【文献】特開昭57-155401(JP,A)
【文献】特開平11-200305(JP,A)
【文献】特開平4-327611(JP,A)
【文献】特開2000-1803(JP,A)
【文献】特開2003-96702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 29/06
E01B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に揺動自在に取り付けられている少なくとも一対の揺動部材と、
対を成している前記揺動部材の下端側を近接・離隔させるように揺動させる駆動部と、
前記対を成している揺動部材に配設されて、それぞれ対を成しているグリッパー爪及びタイタンパーアームと、
前記装置本体に配設され、所定の振動を発生させる加振部と、
を備え、
前記グリッパー爪は、前記揺動部材に回動可能に配設されており、前記対を成しているグリッパー爪で対象物を掴むためにその先端を下方に向けた姿勢と、前記タイタンパーアームを作動させる作業時に退避するためにその先端を上方に向けた姿勢とに切り替え可能に構成されていることを特徴とする軌道整備装置。
【請求項2】
前記対を成している揺動部材の下端側が近接されて、前記対を成しているグリッパー爪が前記対象物を掴んでいる状態において、前記対を成しているタイタンパーアームは、前記対象物と接触しない配置となるように前記揺動部材に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道整備装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軌道整備装置を用いた軌道整備方法であって、
前記対を成しているグリッパー爪の先端を下方に向けた姿勢に切り替えて、前記グリッパー爪の先端を前記タイタンパーアームの先端に並べるようにした状態で、グリッパー爪及びタイタンパーアームの先端側で道床バラストを掻き寄せる作業を行うことを特徴とする軌道整備方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の軌道整備装置を用いた軌道整備方法であって、
前記グリッパー爪を作動させる作業時において、前記グリッパー爪を道床バラストに突き入れる際と、前記グリッパー爪を道床バラストから引き抜く際に、前記加振部を作動させることを特徴とする軌道整備方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の軌道を整備するための軌道整備装置及び軌道整備方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軌道を整備する作業においてマクラギ交換を行う場合に、マクラギを把持して移動させるのに用いる装置としてのマクラギクリッパーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、軌道整備のマクラギ交換に際して、新たに設置したマクラギの下側の道床バラストを突き固めるのに用いる装置としてのタイタンパーが知られている(例えば、特許文献2,3参照。)。
このマクラギクリッパーとタイタンパーは、バックホーのアーム先端に取り付けて使用するアタッチメントとしても実用化されており、作業に応じて適宜付け替えて使用されている(例えば、非特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-327611号公報
【文献】特開2000-1803号公報
【文献】特開2003-96702号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】軌陸車テック株式会社ホームページ、[平成30年10月10日検索]、インターネット<URL:http://kirikutech.jp/rental/rental15.html>、アタッチメント/マクラギグリッパー
【文献】軌陸車テック株式会社ホームページ、[平成30年10月10日検索]、インターネット<URL:http://kirikutech.jp/rental/rental16.html>、アタッチメント/4頭タイタンパー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記アタッチメントとしてのマクラギクリッパーやタイタンパーは重量物であるため、その付け替え作業に時間や労力を要してしまうことがあった。
そこで、本発明者らが鋭意検討し、比較的容易にマクラギクリッパーとタイタンパーを切り替えて、それぞれの装置で好適に軌道整備を行うことができる技術を開発するに至った。
【0006】
本発明の目的は、より好適に軌道の整備を行うことができる軌道整備装置及び軌道整備方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本出願に係る一の発明は、軌道整備装置であって、
装置本体に揺動自在に取り付けられている少なくとも一対の揺動部材と、
対を成している前記揺動部材の下端側を近接・離隔させるように揺動させる駆動部と、
前記対を成している揺動部材に配設されて、それぞれ対を成しているグリッパー爪及びタイタンパーアームと、
前記装置本体に配設され、所定の振動を発生させる加振部と、
を備え、
前記グリッパー爪は、前記揺動部材に回動可能に配設されており、前記対を成しているグリッパー爪で対象物を掴むためにその先端を下方に向けた姿勢と、前記タイタンパーアームを作動させる作業時に退避するためにその先端を上方に向けた姿勢とに切り替え可能に構成されているようにした。
なお、二対以上の揺動部材がある場合でも、駆動部は対を成している全ての揺動部材を揺動させるように構成されている。
【0008】
かかる構成の軌道整備装置のグリッパー爪は、対を成すグリッパー爪で対象物(例えばマクラギ)を掴むためにその先端を下方に向けた姿勢と、タイタンパーアームを作動させる作業時に退避するためにその先端を上方に向けた姿勢とに切り替え可能に構成されているので、そのグリッパー爪の姿勢を切り替えて、軌道整備装置をマクラギクリッパーとして使用する作業と、タイタンパーとして使用する作業をそれぞれ行うことができる。
つまり、この軌道整備装置であれば、グリッパー爪の姿勢を切り替えるという比較的簡易な操作を行うことで、グリッパー爪を作動させてマクラギクリッパーとして使用することと、タイタンパーアームを作動させてタイタンパーとして使用することができるので、アタッチメントとしてのマクラギクリッパーとタイタンパーを付け替える作業を行う従来技術よりも速やかにマクラギクリッパーとタイタンパーとの切り替えを行い、それぞれの装置で好適に軌道整備を行うことができる。
【0009】
また、望ましくは、
前記対を成している揺動部材の下端側が近接されて、前記対を成しているグリッパー爪が前記対象物を掴んでいる状態において、前記対を成しているタイタンパーアームは、前記対象物と接触しない配置となるように前記揺動部材に配設されているようにする。
【0010】
対を成しているグリッパー爪が対象物(例えばマクラギ)を掴んでいる状態において、対を成しているタイタンパーアームは、対象物と接触しない配置となるように配設されているので、グリッパー爪が対象物を掴むことをタイタンパーアームが妨げてしまうことはなく、グリッパー爪は好適に対象物を掴むことができる。
また、タイタンパーアームが対象物と接触して、その対象物を損傷してしまうことはない。
【0011】
また、本出願に係る他の発明は、
上記軌道整備装置を用いた軌道整備方法であって、
前記対を成しているグリッパー爪の先端を下方に向けた姿勢に切り替えて、前記グリッパー爪の先端を前記タイタンパーアームの先端に並べるようにした状態で、グリッパー爪及びタイタンパーアームの先端側で道床バラストを掻き寄せる作業を行うようにした。
【0012】
グリッパー爪の先端を下方に向けた姿勢に切り替えて、グリッパー爪の先端をタイタンパーアームの先端に並べるようにした状態では、タイタンパーアームの先端部分によってグリッパー爪の幅が広がったような態様になる。
このようにタイタンパーアームによってグリッパー爪の先端の幅を広げたようにすれば、グリッパー爪のみで道床バラストを掻き寄せる作業を行う場合よりも、1回の動作でより広い範囲の道床バラストを掻き寄せることができるので、その作業効率が上がる。
【0013】
また、本出願に係る他の発明は、
上記軌道整備装置を用いた軌道整備方法であって、
前記グリッパー爪を作動させる作業時において、前記グリッパー爪を道床バラストに突き入れる際と、前記グリッパー爪を道床バラストから引き抜く際に、前記加振部を作動させるようにした。
【0014】
この軌道整備装置をマクラギクリッパーとして使用する際、対を成すグリッパー爪で対象物(例えばマクラギ)を掴む位置を調整する場合などにおいて、グリッパー爪を道床バラストに突き入れる際に加振部を作動させるようにすれば、グリッパー爪を道床バラストに突き入れ易くなる。同様に、グリッパー爪を道床バラストから引き抜く際に、加振部を作動させるようにすれば、グリッパー爪を道床バラストから引き抜き易くなる。
このように加振部を作動させてグリッパー爪を振動させれば、グリッパー爪と接触する道床バラストを動かし易くなり、グリッパー爪を道床バラストに突き入れたり道床バラストから引き抜いたりし易くなるので、その作業を行い易くなる。
なお、タイタンパーによる軌道整備を行う際、加振部を駆動してタイタンパーアームを振動させながら道床バラストを突き固める作業を行うようになっている。
この加振部をグリッパー爪(マクラギクリッパー)による軌道整備にも活用するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より好適に軌道の整備を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の軌道整備装置を示す正面図(a)と、その右側面図(b)と左側面図(c)であり、グリッパー爪の先端を下方に向けた状態を示している。
【
図2】本実施形態の軌道整備装置を示す正面図(a)と、その右側面図(b)と左側面図(c)であり、グリッパー爪の先端を上方に向けた状態を示している。
【
図3】軌道整備装置のグリッパー爪を閉じた態様を示す右側面図である。
【
図4】軌道整備装置のグリッパー爪によってマクラギを掴んだ態様を示す正面図(a)と右側面図(b)である。
【
図5】軌道整備装置のタイタンパーアームによってマクラギの下に道床バラストを寄せ固める態様を示す正面図(a)と右側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る軌道整備装置及び軌道整備方法の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本実施形態の軌道整備装置は、マクラギクリッパーとタイタンパーの機能を兼ね備えた装置であり、それぞれの動作に切り替えて所定の軌道整備を行うことを可能にしている。
【0018】
本実施形態の軌道整備装置100は、
図1(a)(b)(c)、
図2(a)(b)(c)に示すように、装置本体10と、装置本体10に対を成して取り付けられている揺動部材に配設されているグリッパー爪20及びタイタンパーアーム30と、対を成している揺動部材を揺動させる駆動部40と、装置本体10に配設されている加振部50等を備えている。
本実施形態では、装置本体10に揺動自在に取り付けられている二対のグリッパー取付板21,21と、装置本体10に揺動自在に取り付けられている二対のタイタンパー取付板31,31が、揺動部材として機能している。
【0019】
なお、
図1(a)と
図2(a)の図中、装置の右側に配されているグリッパー取付板21の方が、装置の左側に配されているグリッパー取付板21よりも大きな形状を有している。また、装置の右側に配されているタイタンパー取付板31の方が、装置の左側に配されているタイタンパー取付板31よりも大きな形状を有している。
そして、対を成している揺動部材(グリッパー取付板21、タイタンパー取付板31)を揺動させる駆動部40は、
図1(a)(b)、
図2(a)(b)に示すように、装置の右側に配されている一対のグリッパー取付板21,21および一対のタイタンパー取付板31,31に対して取り付けられている。
【0020】
駆動部40は、例えば、油圧シリンダーであり、そのシリンダーを伸縮することで、揺動部材(グリッパー取付板21、タイタンパー取付板31)を揺動させる。
具体的には、シリンダーを収縮させることで、対を成す揺動部材(グリッパー取付板21,21、タイタンパー取付板31,31)の上端側を近接させ、その下端側を離隔させるように、揺動部材を揺動させる。
また、シリンダーを伸長させることで、対を成す揺動部材(グリッパー取付板21,21、タイタンパー取付板31,31)の上端側を離隔させ、その下端側を近接させるように、揺動部材を揺動させる。
【0021】
ここでは、二対のグリッパー取付板21,21と二対のタイタンパー取付板31,31は、それぞれ連結ピンPを軸心にして揺動可能に連結されているので、駆動部40による駆動によって、二対のグリッパー取付板21,21と二対のタイタンパー取付板31,31は連動して揺動するようになっている。
そして、この駆動部40が、対を成す揺動部材(グリッパー取付板21,21、タイタンパー取付板31,31)の下端側を近接、離隔させるように揺動させることで、対を成すグリッパー爪20を開閉したり、対を成すタイタンパーアーム30を開閉したりするようになっている。
【0022】
グリッパー爪20は、対を成しているグリッパー取付板21,21に配設されて、対を成している。
具体的には、
図1(a)と
図2(a)の図中、装置の右側に配されているグリッパー取付板21と装置の左側に配されているグリッパー取付板21とに挟まれた態様で、各グリッパー爪20が配設されており、装置本体10に対して一対のグリッパー爪20が配設されている。
【0023】
このグリッパー爪20は、グリッパー取付板21に回動可能に配設されている。
具体的には、グリッパー爪20は、回動軸22を軸心にしてグリッパー取付板21に回動可能に配設されており、
図1に示すように、グリッパー爪20の先端を下方に向けた姿勢と、
図2に示すように、グリッパー爪20の先端を上方に向けた姿勢とに切り替え可能になっている。
特に、グリッパー爪20には、その姿勢を維持するためのロック機構23が備えられており、先端を下方に向けた姿勢に切り替えた状態と、先端を上方に向けた姿勢に切り替えた状態で、グリッパー爪20をグリッパー取付板21に固定することができる。
ここでは、回転部材と一対のリンクロッドを備えた周知のロック機構23を用いて、グリッパー爪20をグリッパー取付板21に対して固定している。なお、グリッパー爪20の姿勢を切り替える場合には、一旦ロック機構23を解除し、グリッパー爪20を所定の姿勢に切り替えた後に、ロック機構23による固定を行うようにする。
【0024】
また、グリッパー爪20の先端を下方に向けた状態で、一対のグリッパー爪20が対向する面には、平板状の緩衝部材20aが配設されている。
緩衝部材20aは、例えば、ゴム製の板状部材であり、グリッパー爪20で掴む対象物に傷をつけないようにするためと、グリッパー爪20で対象物を掴み易くするために配設されている。
【0025】
タイタンパーアーム30は、対を成しているタイタンパー取付板31,31に配設されて、対を成している。
具体的には、
図1(a)と
図2(a)の図中、装置の右側に配されているタイタンパー取付板31であって、
図1(b)と
図2(b)に示されている一対のタイタンパー取付板31,31にそれぞれタイタンパーアーム30が配設されており、そのタイタンパーアーム30が対を成している。
また、
図1(a)と
図2(a)の図中、装置の左側に配されているタイタンパー取付板31であって、
図1(c)と
図2(c)に示されている一対のタイタンパー取付板31,31にそれぞれタイタンパーアーム30が配設されており、そのタイタンパーアーム30が対を成している。
このように、本実施形態の軌道整備装置100(装置本体10)には、二対のタイタンパーアーム30,30が配設されており、所謂4頭タイタンパーの態様を成している。
【0026】
このタイタンパーアーム30は、先端を下方に向けた姿勢でタイタンパー取付板31に固定されている。
タイタンパーアーム30の先端には、平坦面を有するブレード30aが設けられている。このブレード30aは、道床バラストを押し易くするために設けられている。
【0027】
そして、
図1(a)に示すように、グリッパー爪20の先端が下方に向けられている軌道整備装置100を正面視した際、タイタンパーアーム30はグリッパー爪20の両側に位置するように配設されている。
また、
図1(b)(c)に示すように、グリッパー爪20の先端が下方に向けられている軌道整備装置100を側面視した際、対を成しているグリッパー爪20の間隔よりも、対を成しているタイタンパーアーム30の間隔の方が広くなるように、グリッパー爪20はグリッパー取付板21に取り付けられ、タイタンパーアーム30はタイタンパー取付板31に取り付けられている。
【0028】
加振部50は、所定の振動を発生させる振動発生機構であり、例えば、加振機ケース内に回転自在に設けられている偏心ウエイトを備えた軸を、加振機モータで回転駆動することで振動を発生させることができる。
例えば、タイタンパーによる軌道整備を行う際、加振部50を駆動してタイタンパーアーム30を振動させながら道床バラストを突き固める作業を行うようになっている。
【0029】
また、装置本体10には、軌道整備装置100をバックホーのアーム先端に取り付けるための取付部11が設けられており、取付部11と装置本体10の間には、旋回部12と振動吸収部13が設けられている。
旋回部12は、図示しない旋回機構を備えており、図中上下方向に沿う軸を中心に取付部11に対して旋回することで、軌道整備装置100の装置本体10側を±180°旋回させることができる。
振動吸収部13は、例えば、ゴム製の振動吸収部材を備えており、加振部50による振動が取付部11側に伝達するのを低減するために設けられている。
【0030】
次に、本実施形態の軌道整備装置100を用いた軌道整備について説明する。
【0031】
まず、軌道整備装置100をマクラギクリッパーとして使用する軌道整備について説明する。
軌道整備装置100をマクラギクリッパーとして使用する場合、
図1に示すように、一対のグリッパー爪20の先端を下方に向けた姿勢に固定する。
この状態で、シリンダーを収縮させるように駆動部40を駆動することで、
図1(b)に示すように、対を成すグリッパー爪20を開くことができる。また、シリンダーを伸長させるように駆動部40を駆動することで、
図3に示すように、対を成すグリッパー爪20を閉じることができる。
【0032】
そして、例えば、バックホーのアームに取り付けられている軌道整備装置100を操作し、グリッパー爪20を作動させることで、
図4(a)(b)に示すように、対を成すグリッパー爪20で対象物であるマクラギMを掴むことができる。
特に、対を成しているグリッパー爪20がマクラギMを掴んでいる状態において、対を成しているタイタンパーアーム30は、マクラギMと接触しない配置となるようにタイタンパー取付板31に配設されている。
このように、タイタンパーアーム30は、グリッパー爪20がマクラギMを掴むことを妨げないようになっている。また、タイタンパーアーム30がマクラギMと接触して、マクラギMを損傷してしまうことがないようになっている。
つまり、この軌道整備装置100であれば、対を成すグリッパー爪20を作動させることでマクラギクリッパーとして好適に使用することができる。
【0033】
また、この軌道整備装置100をマクラギクリッパーとして使用する際、対を成すグリッパー爪20でマクラギMを掴む位置を調整する場合などにおいて、グリッパー爪20を道床バラストに突き入れる際に加振部50を作動させるようにすれば、グリッパー爪20を道床バラストに突き入れ易くなる。
同様に、グリッパー爪20を道床バラストから引き抜く際に、加振部50を作動させるようにすれば、グリッパー爪20を道床バラストから引き抜き易くなる。
このように加振部50を作動させてグリッパー爪20を振動させれば、グリッパー爪20と接触する道床バラストを動かし易くなり、グリッパー爪20を道床バラストに突き入れたり道床バラストから引き抜いたりし易くなるので、その作業を行い易くなる。
【0034】
また、
図1(a)に示したように、グリッパー爪20の先端を下方に向けた姿勢では、グリッパー爪20の両側にタイタンパーアーム30が並び、グリッパー爪20とタイタンパーアーム30の先端がほぼ揃った状態に配されるので、タイタンパーアーム30のブレード30aによってグリッパー爪20の幅が広がったような態様になる。
このようにタイタンパーアーム30のブレード30aによってグリッパー爪20の幅を広げたようにすれば、グリッパー爪20のみで道床バラストを掻き寄せたり均したりする作業を行う場合よりも、1回の動作でより広い範囲の道床バラストを掻き寄せたり均したりすることができるので、作業効率が上がる。
なお、グリッパー爪20及びタイタンパーアーム30の先端側で道床バラストを掻き寄せたり均したりする作業を行う場合、
図3に示すように、対を成すグリッパー爪20を閉じた状態で行うことが好ましい。
また、グリッパー爪20及びタイタンパーアーム30の先端側で道床バラストを掻き寄せたり均したりする作業を行う際に、加振部50を作動させるようにしてもよい。
【0035】
次に、軌道整備装置100をタイタンパーとして使用する軌道整備について説明する。
軌道整備装置100をタイタンパーとして使用する場合、
図2に示すように、一対のグリッパー爪20の先端を上方に向けた姿勢に固定する。
この状態で、シリンダーを収縮させるように駆動部40を駆動することで、
図2(b)に示すように、対を成すタイタンパーアーム30を開くことができる。また、シリンダーを伸長させるように駆動部40を駆動することで、
図5(b)に示すように、対を成すタイタンパーアーム30を閉じることができる。
【0036】
そして、例えば、バックホーのアームに取り付けられている軌道整備装置100を操作し、タイタンパーアーム30を作動させることで、
図5(a)(b)に示すように、対を成すタイタンパーアーム30でマクラギMの下側の道床バラストを突き固めたり寄せ固めたりすることができる。
このとき、グリッパー爪20は先端を上方に向けて退避しており、道床バラストにタイタンパーアーム30を突き入れるのを妨げないようになっている。
なお、タイタンパーアーム30を作動させて軌道整備を行う際、加振部50を駆動してタイタンパーアーム30を振動させながら道床バラストを突き固めたり寄せ固めたりする作業を行う。
つまり、この軌道整備装置100であれば、対を成すタイタンパーアーム30を作動させることでタイタンパーとして好適に使用することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態の軌道整備装置100におけるグリッパー爪20は、対を成すグリッパー爪20でマクラギMを掴むためにその先端を下方に向けた姿勢と、タイタンパーアーム30を作動させる作業時に退避するためにその先端を上方に向けた姿勢とに切り替え可能に構成されているので、グリッパー爪20の姿勢を切り替えて、軌道整備装置100をマクラギクリッパーとして使用する作業と、タイタンパーとして使用する作業をそれぞれ行うことができる。
つまり、この軌道整備装置100であれば、グリッパー爪20の姿勢を切り替えるという比較的簡易な操作を行うことで、グリッパー爪20を作動させてマクラギクリッパーとして使用することと、タイタンパーアーム30を作動させてタイタンパーとして使用することができるので、アタッチメントとしてのマクラギクリッパーとタイタンパーを付け替える作業を行う従来技術よりも速やかにマクラギクリッパーとタイタンパーとの切り替えを行い、それぞれの装置で好適に軌道整備を行うことができる。
【0038】
このように、本実施形態の軌道整備装置100は、マクラギクリッパーとタイタンパーとの切り替えを比較的速やかに行って、より好適に軌道の整備を行うことができる。
【0039】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 装置本体
11 取付部
12 旋回部
13 振動吸収部
20 グリッパー爪
20a 緩衝部材
21 グリッパー取付板(揺動部材)
22 回動軸
23 ロック機構
30 タイタンパーアーム
30a ブレード
31 タイタンパー取付板(揺動部材)
40 駆動部
50 加振部
100 軌道整備装置
P 連結ピン