IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリオン機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図1
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図2
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図3
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図4
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図5
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図6
  • 特許-ガセット袋のシール及び切断装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ガセット袋のシール及び切断装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20220829BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20220829BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B65B51/10 A
B26D3/00 601B
B26D1/08
B65B51/10 W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020181477
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072170
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-208835(JP,A)
【文献】実開平05-062410(JP,U)
【文献】特開2007-039050(JP,A)
【文献】特開2004-130490(JP,A)
【文献】実開昭55-061503(JP,U)
【文献】特開2004-276199(JP,A)
【文献】特開昭55-055916(JP,A)
【文献】特開2008-023621(JP,A)
【文献】特開平08-268413(JP,A)
【文献】特開2009-234618(JP,A)
【文献】特開2016-137923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B26D 3/00
B26D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガセット袋を形成するための、内部に製品が充填された状態のフィルムの開口部をシールすると共に、前記製品側を前方側とした前記開口部の開口方向を前後方向として、前記フィルムの前記シールされた部位より後方側の余剰部分を切断する、ガセット袋のシール及び切断装置であって、
互いに接近する態様で上下方向に移動し、前記フィルムの前記開口部を上下から挟み込んでシールする一対のヒーターバーと、
該一対のヒーターバーに後方側で近接する位置において、互いに接近する態様で上下方向に移動し、前記フィルムを上下から挟み込んで押える一対のフィルム押えと、
該一対のフィルム押えの上側のフィルム押えと共に移動し、前記フィルムが前記一対のヒーターバー及び前記一対のフィルム押えにより挟み込まれた状態で、前記上側のフィルム押えとは独立して下方に移動して前記フィルムを切断するカッターと、
前記一対のヒーターバーの前方側にのみ設けられ、内部に設けられた流路を通るエアが先端から吹き出す構造の冷却板と、を含み、
前記一対のフィルム押えは、少なくとも前記カッターの後方側で前記フィルムを挟み込むものであり、
前記一対のヒーターバーは、ヒートパイプが組み込まれていないカートリッジヒーターにより構成され、前記フィルムを挟み込む先端が、前記一対のヒーターバー同士で係合する、前記前後方向の正面視で側方向に沿った波形状をなすことを特徴とするガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項2】
前記一対のヒーターバーは、先端がコーティング加工されていることを特徴とする請求項1記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項3】
前記一対のフィルム押えは、前記カッターの前方側で前記フィルムを挟み込む第1押え部と、前記カッターの後方側で前記フィルムを挟み込む第2押え部とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項4】
前記一対のフィルム押えは、前記カッターの後方側でのみ前記フィルムを挟み込むものであることを特徴とする請求項1又は2記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項5】
前記一対のフィルム押えは、一方のフィルム押えの先端が、前記側方向に延在する凸条をなし、他方のフィルム押えの先端が、前記側方向に延在する凹条をなすことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項6】
前記一対のフィルム押えは、一方のフィルム押えの先端が弾性部材で形成され、他方のフィルム押えが剛性部材で形成されることを特徴とする請求項5記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項7】
前記弾性部材がシリコンゴムであり、前記剛性部材が耐熱性樹脂であることを特徴とする請求項6記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【請求項8】
前記カッターの先端刃は、前記正面視で、側方向に沿った三角波状をなすと共に、側方向中心から側方向両側に向かって、前記三角波状が僅かに上方へ傾いていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のガセット袋のシール及び切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガセット袋のシール及び切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状のフィルムから形成される包装袋に、例えば生理用ナプキンや紙オムツなどの吸収性を有する製品が充填された後、包装袋の開口部をシールする装置には、従来から様々な装置が開発されている。例えば特許文献1のシール・カット装置は、供給されるフィルムの上方に、溶着によるシールを行う熱部材、フィルムを押える押え、フィルムをカットする刃、及びフィルムを押える押えが、この順序でフィルムの供給方向に沿って設けられ、更にフィルムの下方に、フィルムを介して押えや熱部材が押圧される受け部材が設けられている。すなわち、このシール・カット装置は、熱部材と受け部材とでフィルムを挟み込んで溶着すると共に、刃の前後において押えと受け部材とでフィルムを挟み込んで押えながら、刃を下降させてフィルムをカットするものである。
【0003】
又、特許文献2の発明は、ガセット付きの包装袋(ガセット袋)を封止するものであって、上下一対のヒートシールバーと、上側のヒートシールバーの先端に形成された切り欠き部に断熱材を介して取り付けられた溶断刃とを備え、上側のヒートシールバー及び溶断刃と下側のヒートシールバーとで袋を挟み込み、熱溶着と溶断とを同時に行うものである。更に、特許文献2には、ガセット袋の余剰部分を、溶断刃ではなく切断刃によって切断する形態も開示されている。ガセット袋を対象として切断刃を用いる場合は、特許文献1の発明のように、切断刃の前後で袋を押えながら切断する方式も採用されている。これらの従来の発明は、何れも溶着によって袋をシールするものであるが、そのための熱部材やヒートシールバーといったヒーターバーには、一般的に、ニクロム線方式のものとカートリッジヒーター方式のものとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-62410号公報
【文献】特開2004-238005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ヒーターバーに上述したニクロム線方式を採用する場合、露出したニクロム線をガラステープ等で覆う必要があり、そのガラステープ等は頻繁に交換が必要であること、溶けたガラステープ等がヒーターバーに付着して除去に手間がかかること、ヒーターバーの先端形状を平坦にしなければならないことなど、複数の問題がある。特にガセット袋の場合は、幅方向両側の折込部が厚く中央部が薄くなっているため、ヒーターバーの先端形状が平坦であると、幅方向全体にわたって上下間の隙間をゼロに調整することが困難であり、シールの品質が悪くなる虞がある。又、ガラステープの交換の手間を減らすために、巻き取り式のガラステープを組み込んでいる装置もあるが、その分ヒーターバーと切断刃との間の距離が大きくなり、それがそのままガセット袋の端部に残る耳の長さに反映されてしまい、資材の節約や美観の観点から、それは好ましいことではない。
【0006】
一方、ヒーターバーにカートリッジヒーター方式を採用する場合、ヒーターバーの先端を平坦にする制約はないが、断熱のためにヒーターバーの前後に冷却板を外付けしたり、ヒーターバー全体に熱を均一に分散させるためにヒートパイプを組み込んだりするため、ニクロム線方式と比較して装置が大型化し、位置設定の自由度が減ってしまう。その結果、例えばヒーターバーと切断刃との間の距離が大きくなり、ガセット袋の端部に残る耳の長さが大きくなってしまう。又、ニクロム線方式と異なり、ニクロム線の露出などがないことから、ガラステープ等をコーティングに変更することはできるが、例えばヒーターバーの先端が平坦であると、コーティングしていても溶けたフィルムが付着してしまうため、結局はガラステープ等を使わざるを得ず、それらが製品の生産性に悪影響を及ぼしていた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カートリッジヒーター方式によりガセット袋をシールしながらも、装置の大きさを抑制すると共に製品の生産性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)ガセット袋を形成するための、内部に製品が充填された状態のフィルムの開口部をシールすると共に、前記製品側を前方側とした前記開口部の開口方向を前後方向として、前記フィルムの前記シールされた部位より後方側の余剰部分を切断する、ガセット袋のシール及び切断装置であって、互いに接近する態様で上下方向に移動し、前記フィルムの前記開口部を上下から挟み込んでシールする一対のヒーターバーと、該一対のヒーターバーに後方側で近接する位置において、互いに接近する態様で上下方向に移動し、前記フィルムを上下から挟み込んで押える一対のフィルム押えと、該一対のフィルム押えの上側のフィルム押えと共に移動し、前記フィルムが前記一対のヒーターバー及び前記一対のフィルム押えにより挟み込まれた状態で、前記上側のフィルム押えとは独立して下方に移動して前記フィルムを切断するカッターと、前記一対のヒーターバーの前方側にのみ設けられ、内部に設けられた流路を通るエアが先端から吹き出す構造の冷却板と、を含み、前記一対のフィルム押えは、少なくとも前記カッターの後方側で前記フィルムを挟み込むものであり、前記一対のヒーターバーは、ヒートパイプが組み込まれていないカートリッジヒーターにより構成され、前記フィルムを挟み込む先端が、前記一対のヒーターバー同士で係合する、前記前後方向の正面視で側方向に沿った波形状をなすことを特徴とするガセット袋のシール及び切断装置。
【0010】
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、フィルムにより形成され、内部に製品が充填された状態のガセット袋を対象とするものであり、一対のヒーターバー、一対のフィルム押え、カッター、及び冷却板を含んでいる。一対のヒーターバーは、フィルムのシール機能を担うものであって、互いに接近する態様で上下方向に移動し、フィルムの開口部を上下から挟み込むことで、フィルムを溶着してシールするものである。一対のフィルム押えは、互いに接近する態様で上下方向に移動し、フィルムを上下から挟み込むことで、フィルムの切断のためにフィルムを押えて固定するものである。このとき、一対のフィルム押えは、一対のヒーターバーに後方側で近接する位置に配置されていることで、一対のヒーターバーによりシールされるフィルムのシール部分に近接した位置を押えることになる。又、一対のフィルム押えは、少なくともカッターの後方側でフィルムを挟み込むようになっている。
【0011】
カッターは、フィルムの切断機能を担うものであって、一対のフィルム押えの上側のフィルム押えと共に移動し、上記のようにフィルムが一対のヒーターバー及び一対のフィルム押えにより挟み込まれた状態で、上側のフィルム押えから独立して下方に移動することで、フィルムを切断するものである。ここで、上側のフィルム押えと共に移動するカッターは、そのフィルム押えに近接して配置されるため、一対のヒーターバーに対して後方側に近接することとなり、一対のヒーターバーによりシールされるフィルムのシール部分に近接した位置を切断することになる。しかも、一対のフィルム押えが、少なくともカッターの後方側でフィルムを挟み込むため、カッターは、一対のフィルム押えにより挟み込まれたフィルムの部分と、一対のヒーターバーにより挟み込まれたフィルムの部分との間で、フィルムを切断するものとなる。また、冷却板は、一対のヒーターバーの前方側にのみ設けられ、内部に設けられた流路を通るエアが先端から吹き出す構造を有している。
【0012】
そして、本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一対のヒーターバーがカートリッジヒーターにより構成されているため、露出しないニクロム線はガラステープ等で覆う必要がなく、ヒーターバーの先端形状を平坦にする制約もないものである。そこで、一対のヒーターバーは、フィルムを挟み込む先端の形状が、一対のヒーターバー同士で係合するような、前後方向の正面視で側方向に沿った波形状になっている。これにより、先端形状が平坦な場合よりもフィルムに触れる面積が多くなると共に、ヒーターバー先端の波の頂点部でフィルムのテンションが張られて頂点部でシールされる。更に、フィルムのしわが伸ばされると共に、平坦面でシールされるよりも圧力がかかり易くなるものである。
【0013】
このため、ヒーターバーの上下隙間の調整が不要となるばかりか、従来よりも低温でシールされるものとなり、ヒートパイプが組み込まれなくとも安定してシールされるものとなる。更に、従来よりも低温になることで、従来はヒーターバーの前後に取り付けていた外付け冷却板のうち、フィルム押え側の冷却板が不要となるものである。従って、ヒーターバーにカートリッジヒーターを採用しているにも関わらず、装置の大きさが抑制されてコンパクトなものとなり、位置設定の自由度が増大するものとなる。特に、一方の冷却板が不要となることで、ヒーターバーとフィルム押えとの間の距離、換言すれば、ヒーターバーとカッターとの間の距離が小さくなるため、ガセット袋の端部に残る耳の長さが小さくなるものである。
【0014】
又、一対のヒーターバーは、その先端が波形状であって従来よりも低温であるため、ガラステープ等が使用されずとも、溶けたフィルムが付着し難いものである。従って、付着したフィルムを除去する手間が抑制されると共に、ガラステープ等を交換する手間、溶けたガラステープ等をヒーターバーから除去する手間などがかからず、製品の生産性が向上するものである。なお、ここでの「前後方向」、「前方側」、及び「後方側」といった記載は、フィルムの開口部の開口方向を基準として、各要素の位置関係を示すために例示的に使用したものであり、実際の装置の向きや製品の流れ方向などを限定するものではない。
【0015】
(2)上記(1)項において、前記一対のヒーターバーは、先端がコーティング加工されているガセット袋のシール及び切断装置
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一対のヒーターバーの、フィルムを挟み込む先端がコーティング加工されていることで、溶けたフィルムが付着しないものである。このため、付着したフィルムを除去する手間がかからず、製品の生産性がより向上するものである。
【0016】
(3)上記(1)(2)項において、前記一対のフィルム押えは、前記カッターの前方側で前記フィルムを挟み込む第1押え部と、前記カッターの後方側で前記フィルムを挟み込む第2押え部とを有するガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、カッターによる切断のためにフィルムを押える一対のフィルム押えが、カッターの前方側でフィルムを挟み込む第1押え部と、カッターの後方側でフィルムを挟み込む第2押え部とを有するものである。このため、フィルムの切断時に、上側のフィルム押えと共に移動するカッターは、上側のフィルム押えの第1押え部と第2押え部との間に収容された状態で下方に移動する。そして、上下一対のフィルム押えの第1押え部同士がフィルムを挟み込むと共に、上下一対のフィルム押えの第2押え部同士がフィルムを挟み込んだ状態で、カッターが上側のフィルム押えから独立して更に下方へ移動し、下側のフィルム押えの第1押え部と第2押え部との間まで下降することで、カッターによりフィルムが切断されるものである。このように、フィルムの前後両側が押えられた状態で、その間がカッターにより切断されるため、切断の品質が安定するものである。
【0017】
(4)上記(1)(2)項において、前記一対のフィルム押えは、前記カッターの後方側でのみ前記フィルムを挟み込むものであるガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一対のフィルム押えが、カッターの前方側ではフィルムを挟み込まず、カッターの後方側でのみフィルムを挟み込む構造になっているものである。すなわち、一対のフィルム押えは、前後方向に関して、カッターとヒーターバーとの間でフィルムを押える部位を有さないものである。これにより、一対のヒーターバーとカッターとの間の距離が小さくなることで、ガセット袋の端部に残る耳の長さがより小さくなるものである。なお、カッターがヒーターバーに近くなることで、ヒーターバーの熱がカッターに移ったとしても、特に影響はないと考えられる。
【0018】
更に、上記のような構成であるため、フィルムの切断時に、カッターは、上側のフィルム押えと共に下方へ移動し、上下一対のヒーターバーがフィルムを挟み込むと共に、上下一対のフィルム押えがフィルムを挟み込んだ状態で、上側のフィルム押えから独立して更に下方へ移動する。そして、カッターは、一対のヒーターバーと一対のフィルム押えとの間で、それらによって固定されたフィルムを切断するものである。このように、一対のヒーターバーが、フィルムのシールのために利用されるだけでなく、フィルムの切断時に一対のフィルム押えと共にフィルムを押えるものとしても利用され、この際、一対のヒーターバー同士で係合する先端の波形状によって、フィルムが安定して固定されるものである。従って、一対のフィルム押えの構造が簡素化されるにも関わらず、フィルムが十分に張られた状態でカッターにより切断され、フィルムの切断の品質が維持されるものである。
【0019】
(5)上記(1)から(4)項において、前記一対のフィルム押えは、一方のフィルム押えの先端が、前記側方向に延在する凸条をなし、他方のフィルム押えの先端が、前記側方向に延在する凹条をなすガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一対のフィルム押えのうち、一方のフィルム押えの先端が、側方向に延在する凸条をなすと共に、他方のフィルム押えの先端が、側方向に延在する凹条をなすものである。このため、一対のフィルム押えが互いに接近してフィルムを挟み込んだときに、一対のフィルム押えの先端同士が、凸条と凹条とで噛み合う態様となり、それによってフィルムが引っ張られるため、その状態で行われるカッターによる切断の品質がより安定するものである。しかも、一対のフィルム押えの側方向に延在する凸条及び凹条の組み合わせは、フィルムの幅方向全体を一様に引っ張るものであるため、例えば側方向に沿って凹凸が繰り返し設けられる先端形状と比較して、押えた跡がフィルムに残り難く、製品の美観が損なわれないものである。
【0020】
(6)上記(5)項において、前記一対のフィルム押えは、一方のフィルム押えの先端が弾性部材で形成され、他方のフィルム押えが剛性部材で形成されるガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一対のフィルム押えのうち、一方のフィルム押えの先端が、弾性変形を許容する弾性部材により形成され、残りの他方のフィルム押えが、弾性変形を抑制する剛性部材により形成されるものである。このため、例えば、凸条の先端形状を有するフィルム押えの先端が弾性部材により形成される場合は、剛性部材により形成されたフィルム押えの凹条をなす先端に対して、凸条をなす先端が弾性変形をしながら押し付けられることとなり、隙間なく安定してフィルムが押えられるものとなる。同様に、凹条の先端形状を有するフィルム押えの先端が弾性部材により形成される場合についても、剛性部材により形成されたフィルム押えの凸条をなす先端に対して、凹条をなす先端が弾性変形をしながら押し付けられることとなり、これによっても隙間なく安定してフィルムが押えられるものとなる。更に、何れの場合であっても、凹条の凹部の深さに直接的に依存することなく、凸条と凹条とが密着するため、凹条の凹部の深さが浅く形成されることで、フィルムの余分な弛みが回避されるものである。
【0021】
(7)上記(6)項において、前記弾性部材がシリコンゴムであり、前記剛性部材が耐熱性樹脂であるガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、一方のフィルム押えの先端を形成する弾性部材がシリコンゴムであり、他方のフィルム押えを形成する剛性部材が耐熱性樹脂であるものである。ここで、上記(1)項に記載したように、従来はヒーターバーの前後に取り付けていた外付け冷却板のうち、フィルム押え側の冷却板をなくすと、ヒーターバーとフィルム押えとが隣接することになる。このため、フィルム押えに対して熱が移り易くなるが、それがシリコンゴムや耐熱性樹脂で形成されていることで、熱の影響を受け難くするものである。
【0022】
(8)上記(1)から(7)項において、前記カッターの先端刃は、前記正面視で、側方向に沿った三角波状をなすと共に、側方向中心から側方向両側に向かって、前記三角波状が僅かに上方へ傾いているガセット袋のシール及び切断装置。
本項に記載のガセット袋のシール及び切断装置は、前後方向の正面視で、カッターの先端刃が、側方向に沿った三角波状をなしており、換言すれば、複数の三角状の刃を有するギザギザの所謂ギザ刃になっているものである。更に、同じく正面視で、カッターの先端刃は、側方向中心から側方向両側に向かって、三角波状が僅かに上方へ傾いていることで、側方向の中心近傍の刃の方が、側方向の両側近傍の刃よりも下側へ突出しているものである。これにより、フィルムは、カッターによって幅方向(側方向)の中心近傍から両側方へ向かって徐々に切断されることになるため、その際にフィルムを挟み込んでいるフィルム押えやヒーターバーに余計な負荷がかかることなく、スムーズに切断されるものとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記のような構成であるため、カートリッジヒーター方式によりガセット袋をシールしながらも、装置の大きさを抑制すると共に製品の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図2図1のガセット袋のシール及び切断装置の側面図である。
図3図1のガセット袋のシール及び切断装置の一対のヒーターバーを単体で示しており、(a)は正面図、(b)は先端間が閉じた状態の拡大図である。
図4図1のガセット袋のシール及び切断装置のカッターを単体で示す正面図である。
図5図1のガセット袋のシール及び切断装置により、フィルムをシールする様子を側面から示すイメージ図である。
図6図1のガセット袋のシール及び切断装置により、フィルムを切断する様子を示しており、(a)は側面から示すイメージ図、(b)は(a)の切断箇所近傍の拡大図である。
図7】本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置の別形態を、図6(b)に相当する拡大図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10の構成の一例を示している。なお、図1には、ガセット袋のシール及び切断装置10に隣接する装置において、排出コンベア90上に載置され、製品上押え92及び製品横押え94により上側及び両側が固定されると共に、図示しないストッパにより図中右奥側の面が押えられた状態の、ガセット袋(ガセット付きの包装袋)Wを併せて図示している。
【0026】
このガセット袋Wは、ガセット袋のシール及び切断装置10に至るまでの前工程において、袋単位に切断された筒状のフィルムFの一方の開口部(上述した図1における右奥側の面に位置する)が閉じられた後、他方の開口部から内部に製品が充填された状態である。すなわち、本実施形態のガセット袋のシール及び切断装置10は、上記のような状態のガセット袋Wを対象として、フィルムFの他方の開口部をシールすると共に、フィルムFの余剰部分を切断するものである。以降では、説明の便宜上、図2における右側を前方とする前後方向、図2における紙面と直交する方向を側方向、図2における上下方向を上下方向として説明する。なお、図1には、ガセット袋のシール及び切断装置10によって、他方(後方側)の開口部がシールされた後のガセット袋Wが図示されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、上下一対のヒーターバー12、14、上下一対のフィルム押え30、40、カッター50、冷却板60、62、耳回収ノズル86などを含んでいる。これらの部材は、何れも、フィルムFの幅方向の長さに対応するように、側方向に延在する態様になっている。上下一対のヒーターバー12、14は、後述するようにフィルムFを挟み込みながら加熱してシールするためのものである。ヒーターバー12、14の各々は、カートリッジヒーター16を含むカートリッジヒーター方式のものであって、本実施形態では、図2のような側方向の側面視で、互いに向かい合う先端12a、14aへ向かって先細りとなる形状を有している。
【0028】
又、一対のヒーターバー12、14は、図3(a)に示すように、先端12a、14aが、側方向(図3(a)における左右方向)に沿った波形状をなしており、換言すれば、側方向に沿って凹凸が交互に繰り返し設けられた形状をなしている。そして、それらの波形状は、後述するようにヒーターバー12、14同士が接近して衝合すると、図3(b)に示すように、先端12a、14aが係合して、互いの凹凸が噛み合うような位置関係になっている。更に、一対のヒーターバー12、14は、少なくともその先端12a、14aを含む範囲が、例えばフッ素系樹脂のコーティング材によりコーティング加工されている。
【0029】
図1及び図2に戻り、上下一対のフィルム押え30、40は、後述するようにフィルムFを挟み込んで押えるためのものであり、その先端同士が向き合うようにして、一対のヒーターバー12、14の後方側に隣接している。図5を参照して、本実施形態の一対のフィルム押え30、40は、夫々、第1押え部32、42及び第2押え部34、44を備えている。より詳しくは、上側のフィルム押え30は、上側のヒーターバー12の後方側(図5における左側)に位置する第1押え部32と、第1押え部32よりも後方側に位置する第2押え部34とを備え、それらの間にカッター50が収容されている。又、下側のフィルム押え40は、下側のヒーターバー14の後方側に位置する第1押え部42と、第1押え部42よりも後方側に位置する第2押え部44とを備え、それらの間に空間が設けられている。
【0030】
上側のフィルム押え30は、第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aを含む部位が、弾性変形を許容する弾性部材、本実施形態ではシリコンゴムによって形成され、その他の部位が耐熱性樹脂などによって形成されている。又、下側のフィルム押え40は、その略全体が、弾性変形を抑制する剛性部材、本実施形態では耐熱性樹脂によって形成されている。更に、本実施形態の一対のフィルム押え30、40は、図6(b)に示すように、上側のフィルム押え30の第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aが、側方向(図6(b)における紙面と直交する方向)に延在する凸条をなすと共に、下側のフィルム押え40の第1押え部42の先端42a及び第2押え部44の先端44aが、側方向に延在する凹条をなしている。すなわち、上側のフィルム押え30の先端32a、34aは、図6(b)のような側面視で下側へ向かって先細りとなった凸部が、側方向に沿って一様に設けられている。更に、下側のフィルム押え40の先端42a、44aは、図6(b)のような側面視で下側へ窪んだ凹部が、側方向に沿って一様に設けられている。
【0031】
カッター50は、上述したように上側のフィルム押え30の第1押え部32と第2押え部34との間に収容されており、本実施形態では正面視で図4に示すような形状を有している。すなわち、カッター50は、側方向(図4における左右方向)に沿った三角波状をなす、所謂ギザ刃と呼ばれる先端刃50aを有しており、先端刃50aが複数の三角状の刃52を備え、この先端刃50aを下方へ向けて第1押え部32と第2押え部34との間に収容されている。又、先端刃50aの三角波状は、カッター50の側方向中心Cから側方向両側へ向けて上側へ僅かに傾いており、これにより、複数の三角状の刃52は、側方向中心Cから側方向両側へ向けて、三角状の刃52の位置が徐々に上側へシフトしていく態様で設けられている。本実施形態では、これに限定されるものではないが、側方向に対する先端刃50aの三角波状の傾き角度Rが2°程度になっている。
【0032】
図2図5を参照して、冷却板60、62は、一対のヒーターバー12、14から、ガセット袋Wを形成するフィルムFへの熱移りを抑制するためのものであって、冷却板60が上側のヒーターバー12の前方側に、冷却板62が下側のヒーターバー14の前方側に、夫々設けられている。これらの冷却板60、62は、例えば、内部に設けられた流路を通るエアが、上側の冷却板60の図中左下を向く先端や下側の冷却板62の図中左上を向く先端から吹き出される構造になっている。又、耳回収ノズル86は、下側のフィルム押え40の後方側に隣接して設置されており、後述するようにカッター50によって切断されるフィルムFの余剰部分を、上方を向いた開口部から吸引して、排出ダクト88から排出するようになっている。
【0033】
図1及び図2を参照すると、上側のヒーターバー12、上側のフィルム押え30、及び冷却板60は、横梁64に対して直接或いは間接的に固定されており、下側のヒーターバー14、下側のフィルム押え40、冷却板62、及び耳回収ノズル86は、横梁66に対して直接或いは間接的に固定されている。これらの横梁64、66は、両側方に立設されたポスト70、72にスライダ74、76を介して上下動可能に設けられている。スライダ74、76の各々には結合部78、80が固定されており、それらの結合部78、80に図示しない駆動杆の一端がピン連結される。そして、図示しない駆動部材により、結合部78に連結された駆動杆と結合部80に連結された駆動杆とが、互いに反対方向に上下動するように駆動される。すると、横梁64が下降したときに横梁66が上昇して、上側のヒーターバー12と下側のヒーターバー14とが接近するように移動して衝合すると共に、上側のフィルム押え30と下側のフィルム押え40とが接近するように移動する。又、横梁64が上昇したときには横梁66が下降して、上側のヒーターバー12と下側のヒーターバー14とが互いに離間するように移動すると共に、上側のフィルム押え30と下側のフィルム押え40とが互いに離間するように移動する。
【0034】
横梁64の上下動時には、上側のヒーターバー12及びフィルム押え30と共に、冷却板60と、上側のフィルム押え30に収容されたカッター50も上下動する。更に、横梁64には、シリンダなどの駆動機構が取り付けられており、これらの駆動機構によって、横梁64から独立して上側のフィルム押え30が上下動し、更に、上側のフィルム押え30から独立してカッター50が上下動するようになっている。一方、横梁66の上下動時には、下側のヒーターバー14及びフィルム押え40と共に、冷却板62と耳回収ノズル86も上下動する。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10により、ガセット袋Wを形成するフィルムFの開口部がシールされて余剰部分が切断される際の動作について説明する。まず、図1及び図2に示すように、横梁64が上昇すると共に横梁66が下降した状態において、前方側の開口部が閉じられて後方側の開口部から内部に製品が充填された状態で、ガセット袋Wが排出コンベア90上に載置される。そして、製品上押え92、製品横押え94、図示しないストッパなどでガセット袋Wが押えられ、結合部78に連結された駆動杆の下移動及び結合部80に連結された駆動杆の上移動によって、横梁64が下降し始めると共に、横梁66が上昇し始める。又、これと略同時に、ガセット袋Wの後方側の開口部の両側方へ向かって、図示しない一対のガセット部材が互いに接近するように側方向に移動し始める。
【0036】
上記のような動作により、一対のガセット部材によってガセット袋Wの開口部の両側方が内側へ折り込まれつつ、互いに接近する上下一対のヒーターバー12、14及び上下一対のフィルム押え30、40によって、ガセット袋Wの開口部が閉じられていく。そして、図5に示すように、上下一対のヒーターバー12、14によって、フィルムFの開口部が閉じられた部分が挟み込まれてシールされる。このとき、一対のヒーターバー12、14は、図3(a)に示すように、互いに噛み合うような側方向に沿った波形状をなす先端12a、14aを有していることで、図3(b)に示すように、先端12a、14a同士が係合すると、波形状の凸部分の各頂点部20と凹部分の各谷底部22とで、フィルムFにテンションをかけながら挟み込む。
【0037】
更に、横梁64上の駆動機構によって、図6に示すように、横梁64から独立して上側のフィルム押え30が下降することで、上側のフィルム押え30の第1押え部32及び第2押え部34と、下側のフィルム押え40の第1押え部42及び第2押え部44とで、ヒーターバー12、14によりシールされたフィルムFのシール部分よりも後方側が挟み込まれる。このとき、図6(b)に示すように、剛性部材である耐熱性樹脂で形成され、側方向に沿った凹条をなす、第1押え部42の先端42a及び第2押え部44の先端44aに対して、弾性部材であるシリコンゴムで形成され、側方向に沿った凸条をなす、第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aが押し込まれる。そして、それらの間でテンションがかけられた状態で、フィルムFが挟み込まれる。
【0038】
続いて、横梁64上の駆動機構により、上側のフィルム押え30の第1押え部32と第2押え部34との間に収容されていたカッター50が、下側のフィルム押え40の第1押え部42と第2押え部44との間の空間まで下降することで、フィルムFが切断される。その後、カッター50が収容されると共に上側のフィルム押え30が上昇すると、カッター50による切断部分よりも後方側に位置する、上下の第2押え部34、44の間に挟み込まれていたフィルムFの余剰部分が解放され、耳回収ノズル86によって吸引されて排出ダクト88から排出される。更に、結合部78に連結された駆動杆の上移動及び結合部80に連結された駆動杆の下移動によって、横梁64が上昇すると共に横梁66が下降して、図1及び図2に示すような位置まで移動する。これにより、ガセット袋のシール及び切断装置10による、ガセット袋Wを形成するフィルムFのシール及び切断の動作が終了となる。
【0039】
ここで、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、一対のフィルム押え30、40が、第1押え部32、42を有さない形態を取り得るものである。この場合は、例えば図7に示すように、一対のヒーターバー12、14によりフィルムFを挟み込んでシールする共に、一対のヒーターバー12、14と一対のフィルム押え30、40の第2押え部34、44とで、カッター50の前後でフィルムFを挟み込んだ状態で、フィルムFを切断することになる。
【0040】
更に、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、図1図7に示した構成に限定されるものではなく、別の構成であってもよい。例えば、一対のヒーターバー12、14の先端12a、14aの形状は、互いに係合する側方向に沿った波形状であれば、図3(b)に示すような形状に限定されず、三角波、矩形波、正弦波のような形状であってもよい。又、フィルム押え30は、その先端32a、34aがシリコンゴム以外の弾性部材で形成されていてもよく、フィルム押え40が耐熱性樹脂以外の剛性部材で形成されていてもよい。更に、上側のフィルム押え30の先端32a、34aが側方向に延在する凹条をなすと共に、下側のフィルム押え40の先端42a、44aが側方向に延在する凸条をなしていてもよい。又、カッター50も、図4に示すような形状に限定されるものではなく、例えば、先端刃50aの三角波状が、カッター50の側方向一方の端部から他方の端部へ向けて上側へ僅かに傾斜した形状であってもよい。
【0041】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、図1及び図2に示すように、フィルムFを上下から挟み込むことで、フィルムFを溶着してシールする一対のヒーターバー12、14、フィルムFを上下から挟み込むことで、フィルムFの切断のためにフィルムFを押えて固定する一対のフィルム押え30、40、及び、カッター50を含んでいる。カッター50は、上側のフィルム押え30と共に移動し、フィルムFが一対のヒーターバー12、14及び一対のフィルム押え30、40により挟み込まれた状態で、上側のフィルム押え30から独立して下方に移動することで、フィルムFを切断するものである。
【0042】
そして、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、一対のヒーターバー12、14がカートリッジヒーター16により構成されているため、露出しないニクロム線はガラステープ等で覆う必要がなく、ヒーターバー12、14の先端形状を平坦にする制約もないものである。そこで、一対のヒーターバー12、14は、図3に示すように、フィルムFを挟み込む先端12a、14aの形状が、一対のヒーターバー12、14同士で係合するような、側方向に沿った波形状になっている。これにより、先端形状が平坦な場合よりもフィルムFに触れる面積を多くすることができると共に、先端12a、14aの波の頂点部20でフィルムFのテンションを張って頂点部20でシールすることができる。更に、フィルムFのしわを伸ばすことができ、平坦面でシールするよりも圧力をかけ易くすることができる。
【0043】
このため、ヒーターバー12、14の上下隙間の調整が不要となるばかりか、従来よりも低温でシールすることができ、ヒートパイプが組み込まれなくとも安定してシールすることが可能となる。更に、従来よりも低温になることで、従来はヒーターバー12、14の前後に取り付けていた外付け冷却板のうち、フィルム押え30、40側の冷却板を不要にすることができる。従って、ヒーターバー12、14にカートリッジヒーター16を採用しているにも関わらず、装置10の大きさを抑制してコンパクトにすることができ、位置設定の自由度を増大させることができる。特に、一方の冷却板が不要となることで、ヒーターバー12、14とフィルム押え30、40との間の距離、換言すれば、ヒーターバー12、14とカッター50との間の距離を小さくすることができるため、ガセット袋Wの端部に残る耳の長さを小さくすることが可能となる。又、一対のヒーターバー12、14は、その先端12a、14aが波形状であって従来よりも低温であるため、ガラステープ等を使用せずともコーティング加工されていることで、溶けたフィルムFが付着しないものである。従って、付着したフィルムFを除去する手間、ガラステープ等を交換する手間、溶けたガラステープ等をヒーターバー12、14から除去する手間などがかからず、製品の生産性を向上させることが可能となる。
【0044】
又、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、カッター50による切断のためにフィルムFを押える一対のフィルム押え30、40が、図5及び図6に示すように、カッター50の前方側でフィルムFを挟み込む第1押え部32、42と、カッター50の後方側でフィルムFを挟み込む第2押え部34、44とを有するものである。このため、フィルムFの切断時に、上側のフィルム押え30と共に移動するカッター50は、上側のフィルム押え30の第1押え部32と第2押え部34との間に収容された状態で下方に移動する。そして、上下一対のフィルム押え30、40の第1押え部32、42同士がフィルムFを挟み込むと共に、上下一対のフィルム押え30、40の第2押え部34、44同士がフィルムFを挟み込んだ状態で、カッター50が上側のフィルム押え30から独立して更に下方へ移動し、下側のフィルム押え40の第1押え部42と第2押え部44との間まで下降することで、カッター50によりフィルムFが切断されるものである。このように、フィルムFの前後両側を押えた状態で、その間をカッター50により切断するため、切断の品質を安定させることができる。
【0045】
更に、本実施形態では、図5及び図6に示すように、上側のフィルム押え30の第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aが、側方向に延在する凸条をなすと共に、下側のフィルム押え40の第1押え部42の先端42a及び第2押え部44の先端44aが、側方向に延在する凹条をなすものである。このため、一対のフィルム押え30、40が互いに接近してフィルムFを挟み込んだときに、第1押え部32、42同士及び第2押え部34、44同士が、凸条と凹条とで噛み合う態様となり、それによってフィルムFを引っ張るため、その状態で行うカッター50による切断の品質をより安定させることができる。
【0046】
しかも、一対のフィルム押え30、40の側方向に延在する凸条及び凹条の組み合わせは、フィルムFの幅方向全体を一様に引っ張るものであるため、例えば側方向に沿って凹凸が繰り返し設けられる先端形状と比較して、押えた跡がフィルムFに残り難くなっている。従って、特にカッター50による切断後も耳として残る部位を挟み込む第1押え部32、42において、好適に使用することができる。
【0047】
又、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、上側のフィルム押え30の第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aが、弾性変形を許容する弾性部材により形成され、下側のフィルム押え40の第1押え部42及び第2押え部44が、弾性変形を抑制する剛性部材により形成されるものである。このため、上下のフィルム押え30、40が衝合すると、剛性部材により形成された第1押え部42及び第2押え部44の凹条をなす先端42a、44aに対して、第1押え部32及び第2押え部34の凸条をなす先端32a、34aが、弾性変形をしながら押し付けられることとなり、隙間なく安定してフィルムFを押えることが可能となる。更に、凹条の凹部の深さに直接的に依存することなく、凸条と凹条とが密着するため、凹条の凹部の深さを浅く形成することで、フィルムFの余分な弛みを回避することができる。
【0048】
しかも、上側のフィルム押え30の第1押え部32の先端32a及び第2押え部34の先端34aを形成する弾性部材としてシリコンゴムが利用され、下側のフィルム押え40の第1押え部42及び第2押え部44を形成する剛性部材として耐熱性樹脂が利用されている。ここで、上述したように、従来はヒーターバー12、14の前後に取り付けていた外付け冷却板のうち、フィルム押え30、40側の冷却板をなくすと、図5図6で確認できるように、ヒーターバー12、14とフィルム押え30、40とが隣接することになる。このため、特にヒーターバー12、14の近くになる第1押え部32、42に対して熱が移り易くなるが、それらがシリコンゴムや耐熱性樹脂で形成されていることで、熱の影響を受け難くすることができる。
【0049】
更に、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、図4に示すような前後方向の正面視で、カッター50の先端刃50aが、側方向に沿った三角波状をなしており、換言すれば、複数の三角状の刃52を有するギザギザの所謂ギザ刃になっているものである。更に、同じく図4の正面視で、カッター50の先端刃50aは、側方向中心Cから側方向両側に向かって、三角波状が僅かに上方へ傾いていることで、側方向の中心近傍の刃52の方が、側方向の両側近傍の刃52よりも下側へ突出しているものである。これにより、フィルムFは、カッター50によって幅方向(側方向)の中心近傍から両側方へ向かって徐々に切断されることになるため、その際にフィルムFを挟み込んでいるフィルム押え30、40やヒーターバー12、14に余計な負荷をかけることなく、スムーズに切断することが可能となる。
【0050】
一方、本発明の実施の形態に係るガセット袋のシール及び切断装置10は、図7に示すように、一対のフィルム押え30、40が、カッター50の前方側ではフィルムFを挟み込まず、カッター50の後方側でのみフィルムFを挟み込む構造でもよいものである。すなわち、一対のフィルム押え30、40は、前後方向に関して、カッター50とヒーターバー12、14との間でフィルムFを押える第1押え部32、42を有さなくてもよい。これにより、一対のヒーターバー12、14とカッター50との間の距離をより小さくすることができるため、ガセット袋Wの端部に残る耳の長さをより小さくすることが可能となる。
【0051】
更に、上記のような構成であるため、フィルムFの切断時に、カッター50は、一対のヒーターバー12、14と一対のフィルム押え30、40との間で、それらによって固定されたフィルムFを切断するものである。すなわち、一対のヒーターバー12、14を、フィルムFのシールのために利用するだけでなく、フィルムFの切断時に一対のフィルム押え30、40と共にフィルムFを押えるものとしても利用する。このとき、図3に示したような、一対のヒーターバー12、14同士で係合する先端12a、14aの波形状によって、フィルムFを安定して固定することができる。従って、一対のフィルム押え30、40の構造を簡素化するにも関わらず、フィルムFを十分に張った状態でカッター50により切断することができるため、フィルムFの切断の品質を維持することができる。しかも、一対のフィルム押え30、40により挟み込まれるフィルムFの部位は、カッター50による切断後に余剰部分として破棄されるため、そこに押えた跡や穴ができても問題ないものである。従って、一対のフィルム押え30、40は、図7に示したような先端形状に限らず、より確実にフィルムFを固定するような任意の先端形状を採用することが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10:ガセット袋のシール及び切断装置、12、14:一対のヒーターバー、12a、14a:ヒーターバーの先端、16:カートリッジヒーター、30、40:一対のフィルム押え、32、42:第1押え部、32a、42a:第1押え部の先端、34、44:第2押え部、34a、44a:第2押え部の先端、50:カッター、50a:先端刃、F:フィルム、W:ガセット袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7