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特許7130217単板及び単板を用いた化粧棚装置並びに単板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】単板及び単板を用いた化粧棚装置並びに単板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20220829BHJP
   A47B 96/02 20060101ALI20220829BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20220829BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E04F19/08 Z
A47B96/02 F
A47B55/00
A47B96/02 A
B27M3/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022020201
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522056828
【氏名又は名称】宮崎 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 大輔
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-022122(JP,A)
【文献】実開昭62-164852(JP,U)
【文献】実用新案登録第2528423(JP,Y2)
【文献】特開2006-328841(JP,A)
【文献】特開2021-041014(JP,A)
【文献】特開2019-130262(JP,A)
【文献】実開昭59-120220(JP,U)
【文献】国際公開第2018/164272(WO,A1)
【文献】特開2014-83774(JP,A)
【文献】特開昭62-5806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/00-19/08
A47B 55/00
A47B 96/00-96/06
B27M 1/00- 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体に用いられる単板であり、該単板は所要の厚さを有し、
直角二等辺三角形の上面と、
直角二等辺三角形の各等辺から下面に向けて拡大するように形成され各等辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面と、
直角二等辺三角形の底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面と、を含むことを特徴とする単板。
【請求項2】
3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体に用いられる単板であり、該単板は所要の厚さを有し、
直角二等辺三角形の二等辺に沿う二側辺と元板の短辺長さと同じ長さの高さに対応する上底及び下底を有する台形状の上面と、
二側辺の各辺から下面に向けて拡大するように形成され各辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面と、
台形の下底に対応する下底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面と、を含むことを特徴とする単板。
【請求項3】
請求項1又は2の単板を用いた構造体と、
該構造体を建物の隅角部壁面に固定する固定手段と、を含むことを特徴とする化粧棚装置。
【請求項4】
請求項1又は2の単板を用いた構造体と、
該構造体を建物の隅角部壁面に固定する固定手段と、を含むことを特徴とする建物の補強部材。
【請求項5】
3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体に用いられる単板の製造方法であり、
直方体の元板の短辺長さを高さとする二等辺三角形であってその三角形の頂角となる2つの側辺間の角度を90度とする三角形を設定する工程と、
該三角形の両側辺において上面から下面にかけ、かつ各側辺に直交する方向で斜め下拡大方向に切断面を形成するように切断する工程と、
元板の長手方向に沿って該三角形と両側辺から拡大した切断面ごと交互に上下反転するように、切断面で切り離す工程と、を含むことを特徴とする単板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の隅角部化粧棚等に適用可能な構造体用の単板及びその単板を用いた化粧棚装置、並びに単板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住居用建物内部のホール、部屋、玄関や三和土の周り、建物外壁部分には構造材の接続部分として複数の直角の隅角部が形成されるのが通常である。これらの隅角部は建物構造自体の形態として認識され、あるいは何らの違和感なくやり過ごしている場合が通常であるが、これらの隅角部は下部位置には雑多の荷物の収納場所にされている場合もあるが、その上部側は往々にしてデッドスペースとして放置されているのが通常である。例えば、住居建物の室内の隅角部位置に装飾用の化粧棚を設置することを想起して特許文献1の化粧棚の取付構造を設置しようとしても室内等の隅角部に設置して有効な化粧棚の機能を果たすことは困難と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-84534号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の化粧棚は、棚板と下部側において棚板を支持する棚板支持体と棚板の上側に配置される棚板押えとを有し、棚板押えと支持体とが該棚板を上下から挟み込み状態でビス等所定の締結具にて互いに締結された化粧棚の取付構造を開示している。しかしながら、この特許文献1の棚板構造では単に平面的な壁面に棚を設置する場合等においては相応の効果を発揮しうるが室内壁面が直角状に接合する部分の壁面等で隅角部を正面に見て陳列物を配置する場合には棚の端部分に該当し陳列品の見映えがよくない。また、一般に隅角部に近い部分には棚は設置しない場合が多いのでどうしてもデッドスペースとなってしまい、その有効な活用方法が待望されていた。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な構成により建物室内の隅角部、その他の隅角構造に起因した適用位置で使用可能な隅角部構造体を提供することにある。また、本発明の他の目的はその隅角部構造体を用いた化粧棚装置を提供することである。さらに、本発明の他の目的は隅角部構造体に用いられる単板を提供することである。さらに、本発明の他の目的はその単板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体1に用いられる単板2、3、4であり、該単板は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形2Aの上面upと、直角二等辺三角形の各等辺から下面に向けて拡大するように形成され各等辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面2Ai、2Ajと、直角二等辺三角形2Aの底辺b1から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面bfpと、を含む単板2、3、4から構成される。
【0007】
また、本発明は、3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体1に用いられる単板であり、該単板2、3、4は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形の二等辺に沿う二側辺と元板40の短辺長さSaと同じ長さの高さに対応する上底及び下底を有する台形状の上面tspと、二側辺の各辺から下面に向けて拡大するように形成され各辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面200Ai、200Aj、300Ai、300Aj、400Ai、400Aj・・・と、台形150tの下底に対応する下底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面bfpと、を含む単板150から構成される。
【0008】
また、本発明は、請求項1又は2の単板を用いて3枚の平面の該単板を互いに直角に組み合わせ、略立方体の頂点型にした構造体1と、該構造体を建物の隅角部壁面に固定する固定手段22と、を含む化粧棚装置20から構成される。
【0009】
また、本発明は、請求項1又は2の単板を用いて3枚の平面の該単板を互いに直角に組み合わせ、略立方体の頂点型にした構造体1と、該構造体を建物の隅角部壁面に固定する固定手段22と、を含む建物の補強部材から構成される。
【0010】
また、本発明は、3枚の平面の板を互いに直角に組み合わせ、三角錐体の一面を欠く略立方体の頂点型にした構造体1に用いられる単板150の製造方法であり、直方体の元板40の短辺Sa長さを高さとする二等辺三角形2Aであってその三角形の頂角となる2つの側辺s1p、s2p間の角度を90度とする三角形2Aを設定する工程と、該三角形2Aの両側辺s1p、s2pにおいて上面upから下面npにかけ、かつ各側辺に直交する方向で斜め下拡大方向に切断面2Ai、2Ajを形成するように切断する工程と、元板40の長手方向に沿って該三角形2Aと両側辺s1p、s2pから拡大した切断面2Ai、2Ajごと交互に上下反転するように、切断面2Ai、2Ajで切り離す工程と、を含む単板の製造方法から構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の隅角部構造体、化粧棚装置、単板並びに単板の製造方法によれば、建物その他の建築物、構造物等の偶部において簡易に取り付けて化粧棚として用いることができる。また、建物等の隅部に簡単に取り付けて建築物自体の強度の補強を行える。また、隅角部構造体を用いて簡単かつ短時間で建物内外の隅部等に化粧棚装置を設置することができ、さらに固定手段を用いることにより化粧棚を建物隅部の任意の高さ位置に簡単、かつ短時間で設置することが可能である。また、元板から無駄なく簡単に単板を取得することができ、単板製作上で低コスト化、量産化に資する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る隅角部構造体の使用状態説明図である。
図2図1の隅角部構造体の三角錐状本体の底面を下にして伏せた状態の平面図である。
図3図1の隅角部構造体の右斜め上方からの見下ろし斜視説明図である。
図4図1の隅角部構造体の正面図である。
図5図3の隅角部構造体の右側面図である。
図6図4の隅角部構造体の平面図である。
図7図4のA-A線断面図である。
図8図4のB-B線断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る化粧棚装置の設置状態説明図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る隅角部構造体を構成する単板の材料取り平面説明図である。
図11】本発明の隅角部構造体を構成する図10の単板の正面図である。
図12】(a)は、図11のC-C線断面図である。(b)は、図11のD-D線断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る他の隅角部構造体を構成する単板の材料取り平面説明図である。
図14】本発明の第4実施形態に係る他の隅角部構造体の平面図である。
図15図14の隅角部構造体の斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明するが、本発明は実施形態の構成のみを限定的に含むものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、他の実施形態を用いるようにしてもよい。
【0014】
図1ないし図7は、本発明の1実施形態を示しており、図1は本発明の隅角部構造体を示している。なお、図1ないし図7の隅角部構造体はそのまま建物隅角部等における化粧棚装置として使用可能であり、化粧棚装置として実施する際の実施形態としても示される。
【0015】
図1の隅角部構造体1は、例えば建物室内の内壁が他の内壁と直角に接合されて形成される隅部に取り付けられている状態を示している。図1において、壁面W1とこれと直角に対向して接合される壁面W2との接合部において隅部線j1で示される建物室内の隅部Jが形成され、この隅部Jに密着配置されて実施形態1による隅角部構造体1が取り付けられている。なお、隅部Jは住居用建物内部のホール、部屋、玄関や三和土の周り、建物玄関部分建物外の外壁部分等の隅部、その他の建築物、構造物、構造体等の隅部も含む。
【0016】
図1の隅角部構造体1は、図2、3に示すように三角錐状の本体10と、直角隅部空隙30と、を含む。三角錐状の本体1は、三角錐体の底面以外の三つの側面が互いに直角に接合されるように三個の略三角形単板2、3,4を接合組付けて構成したものである。すなわち、本体1は、例えば三角形の単板により三角錐体を構成した場合の底壁に該当する単板がなく、それに対応して三角錐体の底壁並びに底面がない形状を呈している。
【0017】
図2には、図1の隅角部構造体の三角錐状本体10の底面を下にして伏せた状態の平面図であり、三角錐状本体10は図1、3、4、6に示すように三角錐体の底面に対応する単板を有していない。
【0018】
実施形態において、隅角部構造体1は底面以外の側面部分を形成する3つの三角形の単板2,3,4を互いに直角に接合して設けられている。三角錐体の3つの側面の直角接合構造により図1のように例えば建物室内隅部Jの対向壁W1、W2に三角錐体の2つの単板2,3の側面を密着配置させると、他の側面の単板4は水平な上面を有するように水平に配置される。そして、単板4の上面を物品Gの載せ部として利用することができる。物品は花瓶や写真入り写真立て、記念品等任意の品物を載置させることができる。
【0019】
隅角部構造体1は、三個の略三角形単板のいずれかを水平に配置した状態で三個の単板の内側に形成される直角隅部空隙30を含む。図1、3、4、6では、単板4を水平に配置しており、このとき、壁面W1、W2に密着される単板2、3と単板4とで囲まれる内側部分に三角錐体状の空隙30が形成される。三角錐体状の空隙30の最奥部に例えば直方体の一つの角部としての隅角部100が形成される。直方体の性質から、隣接する単板2,3,4の面は互いに直角に接合されている。図1図3において、隅角部構造体1の正面視で載せ部24に対応する単板4の端面は鉛直方向に沿う端面であり、単板2,3の端面は鉛直方向に沿う面に対して45度で形成されている。単板同士の接合はボンド等の接着剤を用いて行う。
【0020】
隅角部構造体1の三個の略三角形単板に、木を用いる場合には、隣接2側面側の単板に釘、ビスその他任意の壁面固定手段を用いて壁面等に固定することで簡単に化粧棚をスペースに設置することができる。また、単板についてプラスチック、軽金属、金属等を用いる場合には、予め固定用の孔等を用いることにより容易に建物等の隅部に設置することができる。
【0021】
隅角部構造体1を構成する三個の略三角形単板の略三角形とは、3個の単板の材料取り製作時に図10図11のような単板の切片形状で切り離すと図1に示すように内側の隅角部100側は閉じた隅角部を示す一方、図2の隅角部構造体1の外面側の頂部は直角の板面形状のため三角錐状の凹陥部8を形成するためである。単板の切片形状については後に説明される。
【0022】
本実施形態において、3個の単板2,3,4は同一形状の板材から構成されている。三面が直角接合でそれぞれの単板はすべて同一形状の三角錐体であり、単板はそれぞれ三角形板材であるから、製作が簡単で量産に適している。さらに、構造体として強度が高いので建物室内外に設置すると建物構造自体の補強となり地震対策用の補強に好適である。
【0023】
さらに、本実施形態において、三個の単板2,3,4は図1,2,4,6に示すようにそれぞれ直角二等辺三角形の板材から構成されている。これにより、さらに量産化に適し低コストで構造体1を製作することができる。
【0024】
さらに、本実施形態において、図6に示すように三個の単板2,3,4はそれぞれ直角二等辺三角形の等辺に沿う側辺s1、s2と底辺b1を含む板材から構成されている。
これにより、さらに量産化に適し低コストで構造体1を製作することができる。
【0025】
同一形状の板材の3個の単板2,3,4は図7,8に示すように、所要の板厚tを有している。そして、図7の単板3と単板4との接合部の突合せ角度はそれぞれ45度である。また、図8の単板2と単板3との接合部の突合せ角度はそれぞれ45度であるが構造体の正面側となる開放端の端面は単板2と3の直角接合に対応してそれぞれの直角の面に平行な端面となっている。
【0026】
図1の隅角部構造体1は、隣接2側面に対応する単板2,3を建物壁面W1,W2に密着させて単板4により水平な低壁部を形成させ、その水平単板が小形プランタ植物や記念品等の装飾小物6の受台として機能する。
【0027】
図9は本発明の第2実施形態を示しており、この実施形態では第1実施形態の隅角部構造体1を用いた化粧棚装置20を示している。この実施形態では、直角に接合された二つの略三角形単板2,3を建物の隅角部壁面W1,W2に密着状に配置した隅角部構造体1と、隅角部構造体1を建物の隅角部壁面に固定する固定手段22と、を含む。固定手段は、例えば壁面に対して打ち込み、螺子込み等可能なビスや釘等でもよいし、壁面側から突設させた支持棹へのクランプ部材、その他任意の固定手段を用いることができる。そして、他の略三角形単板4が物品の載せ部24とされる。建物側の直角2壁面W1,W2に対して密着配置するだけで載せ部24の水平面が形成されるから、簡単な構造で低コストにより短時間の製作設置作業で化粧棚を建物や構造体の隅部に化粧棚を取り付けることができる。また、建物隅部等で固定手段を用いて任意の高さ位置に化粧棚を簡単、短時間に設置することができる。
【0028】
次に、本発明の第3の実施形態について図10ないし図12を参照して説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る隅角部構造体を製作する際の単板の材料取りを示す説明図である。
【0029】
本実施形態において、例えば木製の一枚の板材から単板2,3,4を製作する場合を示している。単板を製作する前の元板40は、例えば15ミリメートル厚の一枚の長方形板材であり、直方体板として6面を有し、各対向2面は互いに平行で隣接する面はすべて直角に接している。そして、8個の角部はすべて隣接3面が90度の直角接合で形成されている。
【0030】
図10において、直方体の元板40から図11の単板を製作する場合、平面視で元板40の短辺Sa長さを高さとする二等辺三角形であってその三角形の頂角となる2つの側辺間の角度を90度とする三角形2Aを設定する。この三角形2Aの両側辺において上面から下面にかけて斜め下拡大方向に切断面2Ai、2Ajを形成するように切断する(図11,12(a)参照)。このとき、図12(a)に示すように三角形板材の両側辺から各側辺の直交方向であって斜め45度下方に向けて切断される。そして、三角形板材の下面と各斜面とが成す角度は45度となっている。
【0031】
次に、三角形2Aとその側辺拡大部分としての切断面2Ai、2Ajを含む形状を上下反転し三角形2Aの切断面2Ai、2Ajの下端切り離し線9で接する切断面3Ai、3Ajを有する反転三角形3Aを設定する。さらに、三角形3Aとその側辺拡大部分としての切断面3Ai、3Ajを含む形状に対して上下反転位置となる三角形4Aであって、三角形3Aの切断面3Ai、3Ajの下端切り離し線で接する切断面4Ai、4Ajを有する三角形4Aを設定する。以下、直方体板の平面視で短辺長さを高さとし、頂角が90度で他の2つの角がそれぞれ45度の直角二等辺三角形を設定し、それぞれの二等辺から各直交方向下面側拡大方向に向けて切断面2Ai、2Aj、3Ai、3Aj、4Ai、4Aj...を設定し、この切断面と板材の下面との成す角度9θが45度となるようにする。
【0032】
このとき、単板は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形2Aの上面upと、直角二等辺三角形の各等辺から下面に向けて拡大するように形成され各等辺s1p、s2pに直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面2Ai、2Ajと、直角二等辺三角形の底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面bfpと、を含む。このとき、元板40の長辺側に対応する各直角二等辺三角形の部位は底辺と頂部側になるから、単板2、3、4...の各底辺側の端面及び頂部とその両切断面部分の端面木口部分は単板の上下面に対して直角に形成されている。したがって、これらの単板2,3,4の各切断面部分を接着接合させて図9のように隅角部構造体を構成した場合、載せ部24としての水平単板4の正面の端面は正面に平行で、両側板2,3の正面側から見た端面は外側45度方向に向けて配置される。元板40の平面視では下拡大方向45度傾斜の切断面は、破線でしめすように両側辺を外側に拡大させたように破線で示されている。
そして、元板40から設定した複数の交互反転直角二等辺三角形を基本にして各切断面を形成するように丸鋸等で切断するだけで、隅角部構造体1を構成する単板を短時間で複数ないし多数制作することができる。なお、材料取りの際、丸鋸等の刃厚等を考慮してそのぶんを加味して切断線を設定するとよい。
【0033】
切断面を形成する切断機器は丸鋸に限らず、チップソー、高速カッター、超音波、その他の切断機器で切断することができる。
【0034】
このように一枚の板材から単板2,3,4を製作することにより、材料を無駄なく効率的に利用し、しかも短時間で量産することが可能となる。また、低コストにより生産可能である。
【0035】
次に、隅角部構造体に用いられる単板の製造方法について説明すると、上述した隅角部構造体の単板の材料取りについて説明したように、直方体の元板40の短辺Sa長さを高さとする二等辺三角形であってその三角形の頂角となる2つの側辺間の角度を90度とする三角形2Aを設定する。そして、該三角形2Aの両側辺において上面から下面にかけ、かつ各側辺に直交する方向で斜め下拡大方向に切断面2Ai、2Ajを形成するように切断する。さらに、元板の長手方向に沿って該三角形と両側辺から拡大した切断面ごと交互に上下反転するように、切断面で切り離す。これにより、材料自体を無駄なく用いることができ、簡単な製造工程で短時間かつ低コストで隅角部構造体を量産することができる。
【0036】
次に、本発明の第4の実施形態について図13ないし図15を参照して説明する。図13は、本発明の第4実施形態に係る隅角部構造体を製作する際の単板の他の材料取りを示す説明図であり、第3実施形態と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
第4実施形態の単板の材料取り方法は、単板の上面は元板の短辺Sa長さよりも高い頂部を有する直角二等辺三角形の頂部側を水平方向に切り取った略三角形単板を設定している。すなわち、具体的には単板150は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形の二等辺に沿う二側辺と元板40の短辺長さSaと同じ長さの高さに対応する上底及び下底を有する台形状の上面tspと、二側辺の各辺から下面に向けて拡大するように形成され各辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面200Ai、200Aj、300Ai、300Aj、400Ai、400Aj...と、台形150tの下底に対応する下底辺から下面npに対して垂直な面をなす底辺側端面bfpと、を含む。
【0038】
したがって、元板40の短辺Sa長さより高い位置にある頂部側三角形を水平方向に切り取った頂部側の辺を上底とし下辺側を下底とする台形150を設定する。そして、それぞれの二側辺から各直交方向下面側拡大方向に向けて切断面200Ai、200Aj、300Ai、300Aj、400Ai、400Aj...を設定し、この切断面と板材の下面との成す角度9θが45度となるようにする。そして、各切断面を形成するように切断機器で切断することにより図14、15に示すように頂部に三角形状の孔102を開口した隅角部構造体を形成することができる。三角形状の孔102に電球自体を保持させたり電線を通してランプシェードとして用いることができる。
【0039】
上記した実施形態は、木製単板を例として説明したが、本発明の隅角部構造体の単板は金属、プラスチック、複合プラスチック、竹等を用いた単板及びそれによる構造体としてもよい。
【0040】
上記の実施形態による例で実現される隅角部構造体は、底面以外の三側面が互いに直角に接合されるように三個の略三角形単板を組付けて構成した三角錐状の本体と、底面に対応する単板がなく、三個の略三角形単板のいずれかを水平に配置した状態で三個の単板の内側に形成される直角隅部空隙と、を含むことにより、建物その他の建築物、構造物等の偶部において簡易に取り付けて化粧棚として用いることができる。また、建物等の隅部に簡単に取り付けて建築物自体の強度の補強を行える。
【0041】
その際、三個の単板は、同一形状の板材からなる構成とすることにより、隅角部構造体の構成要素である単板の低コスト化、量産化を図れ、隅角部構造体の低コスト化を図れる。それによって、化粧棚装置や建築物等の強度補強具の低コスト化を図れる。
【0042】
また、三個の単板はそれぞれ直角二等辺三角形の板材からなることとすることにより、単板の低コスト化、量産化を図れ、隅角部構造体の低コスト化を図れる。それによって、化粧棚装置や建築物等の強度補強具の低コスト化を図れる。
【0043】
また、三個の単板は、直角二等辺三角形の二つの等辺に沿う側辺と底辺を含む板材からなることとすることにより、単板の低コスト化、量産化を具体的に図れ、隅角部構造体の低コスト化を実現し得る。それによって、化粧棚装置や建築物等の強度補強具の低コスト化を図れる。
【0044】
また、本発明は、直角に接合された二つの略三角形単板を建物の隅角部壁面に密着状に配置した隅角部構造体と、隅角部構造体を建物の隅角部壁面に固定する固定手段と、を含み、他の略三角形単板を物品の載せ部とする隅角部構造体を用いた化粧棚装置の構成であるから、簡単な構成の隅角部構造体を用いて簡単かつ短時間で建物内外の隅部等に化粧棚装置を設置することができる。また、固定手段を用いることにより化粧棚を建物隅部の任意の高さ位置に簡単、かつ短時間で設置することが可能である。
【0045】
また、本発明は隅角部構造体に用いられる単板であり、該単板は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形の上面と、直角二等辺三角形の各等辺から下面に向けて拡大するように形成され各等辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面と、直角二等辺三角形の底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面と、を含むことを特徴とする隅角部構造体に用いられる単板であるから、元板から無駄なく簡単に単板を取得することができ、単板製作上で低コスト化、量産化に資する。
【0046】
また、本発明は請求項2に記載の隅角部構造体に用いられる単板であり、該単板は所要の厚さを有し、直角二等辺三角形の二等辺に沿う二側辺と元板の短辺長さと同じ長さの高さに対応する上底及び下底を有する台形状の上面と、二側辺の各辺から下面に向けて拡大するように形成され各辺に直交する方向の斜め下がり切断面であり該切断面と下面との成す角が45度である切断面と、台形の下底に対応する下底辺から下面に対して垂直な面をなす底辺側端面と、を含む隅角部構造体に用いられる単板であるから、頂部に三角形状孔を形成した隅角部構造体を元板から無駄なく簡単に単板を取得することができ、単板製作上で低コスト化、量産化に資する。
【0047】
また、本発明は、隅角部構造体に用いられる単板の製造方法であり、直方体の元板40の短辺Sa長さを高さとする二等辺三角形であってその三角形の頂角となる2つの側辺間の角度を90度とする三角形2Aを設定する工程と、該三角形2Aの両側辺において上面から下面にかけ、かつ各側辺に直交する方向で斜め下拡大方向に切断面2Ai、2Ajを形成するように切断する工程と、元板の長手方向に沿って該三角形と両側辺から拡大した切断面ごと交互に上下反転するように、切断面で切り離す工程と、を含む隅角部構造体に用いられる単板の製造方法の構成であるから、元板から無駄なく簡単に、かつ高効率的に単板を取得することができ、単板製作上で低コスト化、量産化に資する。
【0048】
以上のように、本発明の隅角部構造体、化粧棚装置、隅角部構造体の単板、単板の製造方法によれば、建物内外等の隅部において簡単、短時間、軽作業で取り付けることができる化粧棚として設置し得る。また、構造体自体の補強の強化を簡単に行える。
【0049】
本発明の隅角部構造体、化粧棚装置、隅角部構造体の単板、単板の製造方法は、上記の実施形態のみに限ることなく、本発明の特許請求の範囲に記載の発明の本質を逸脱しない範囲においてなされる任意の改変も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の隅角部構造体は建物の内外の隅部に化粧棚装置として取り付けられるほか、建物構造物の強度補強、ランプシェード等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 隅角部構造体
2、3,4 略三角形単板
8 三角錐状凹陥部
9 下端切離し線
10 三角錐状本体
20 化粧棚装置
22 固定手段
24 載せ部
30 直角部空隙
40 元板
40 元板
100 隅角部
102 三角形状孔
2A 左端三角形

【要約】
【課題】簡単な構成により建物室内の隅角部等位置で使用可能な隅角部構造体、化粧棚装置等を提供する。
【解決手段】
本発明の隅角部構造体1は、底面以外の三側面が互いに直角に接合されるように三個の略三角形単板2,3,4を組付けて構成した三角錐状の本体10と、底面に対応する単板がなく、三個の略三角形単板のいずれかを水平に配置した状態で三個の単板の内側に形成される直角隅部空隙30と、を含む。底面に対応する単板を有しない三角錐状の本体10を構成することで簡単、低コストで建物隅部等に化粧棚装置を設置し、また、構造体の補強強化を図れる。

【選択図】図1
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