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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】製函装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/48 20170101AFI20220829BHJP
   B65B 43/10 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B31B50/48
B65B43/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019122476
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008064
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄二
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6041101(JP,B2)
【文献】実開昭50-019826(JP,U)
【文献】実開昭59-087402(JP,U)
【文献】実開昭61-043029(JP,U)
【文献】特開平08-197654(JP,A)
【文献】特開2000-108224(JP,A)
【文献】特開平09-239870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00-70/99
B31C 1/00-99/00
B31D 1/00-99/00
B65B 43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底面の一対の対辺に側壁を構成する第一フラップを連続して備え、別の一対の対辺に側壁を構成する第二フラップを連続して備えた展開状態のブランクシートの所定位置を折り曲げて箱を形成する製函装置であって、
前記第一フラップは、前記底面の前記対辺側から第一外側壁,第一額縁片,第一内側壁を連続して有し、
前記第一外側壁と前記第一額縁片の境界部分並びに前記第一額縁片と前記第一内側壁との境界部分が折り曲げられ、前記第一内側壁が折り返されて前記第一外側壁の上に重なる姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第一ガイド部材と、
前記第一外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第一ガイド部材は、昇降移動する機能と、所定の水平方向に移動する機能とを備え、その所定の水平方向は、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に向けて接近離反する方向であり、
前記第一ガイド部材の下端を、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第一外側壁を起立させ、前記第一ガイド部材を前記辺から離れる方向に移動させた状態で、前記第一ガイド部材を上昇移動させるように構成し、
前記第一ガイド部材は、下方に延びる連結プレートと、その連結プレートの下端側であって前記第一フラップ側の面に接続される第一ガイド部を備えることを特徴とする製函装置。
【請求項2】
前記第一フラップは、前記第一額縁片と非接続側に連続して第一係止片を有し、
前記第一係止片は、先端が跳ね上がった姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
前記第一ガイド部材は、前記底面の前記辺から離れた位置から前記水平方向に移動する機能により前記辺に接近して、前記第一係止片及び前記第一内側壁の下端を前記辺の側に位置させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の製函装置。
【請求項3】
前記第二フラップは、前記底面の前記対辺側から第二外側壁,第二額縁片,第二内側壁を連続して有し、
前記第二外側壁,前記第二額縁片並びに前記第二内側壁が延びた姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第二ガイド部材と、
前記第二外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第二ガイド部材の下端を、前記底面の前記第二フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第二外側壁,前記第二額縁片,前記第二内側壁を起立させるようにし、
その起立した姿勢の前記第二額縁片を付勢して、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分を折り曲げるプッシャー部材と、
前記プッシャー部材で折り曲げられた前記第二額縁片とともに延びる前記第二内側壁を下方に付勢して、前記第二額縁片と前記第二内側壁の境界部分を折り曲げる折り曲げ部材とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の製函装置。
【請求項4】
矩形状の底面の一対の対辺に側壁を構成する第一フラップを連続して備え、別の一対の対辺に側壁を構成する第二フラップを連続して備えた展開状態のブランクシートの所定位置を折り曲げて箱を形成する製函装置であって、
前記第一フラップは、前記底面の前記対辺側から第一外側壁,第一額縁片,第一内側壁を連続して有し、
前記第一外側壁と前記第一額縁片の境界部分並びに前記第一額縁片と前記第一内側壁との境界部分が折り曲げられ、前記第一内側壁が折り返されて前記第一外側壁の上に重なる姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第一ガイド部材と、
前記第一外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第一ガイド部材は、昇降移動する機能と、所定の水平方向に移動する機能とを備え、その所定の水平方向は、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に向けて接近離反する方向であり、
前記第一ガイド部材の下端を、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第一外側壁を起立させ、前記第一ガイド部材を前記辺から離れる方向に移動させた状態で、前記第一ガイド部材を上昇移動させるように構成し、
前記第一フラップは、前記第一額縁片と非接続側に連続して第一係止片を有し、
前記第一係止片は、先端が跳ね上がった姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
前記第一ガイド部材は、前記底面の前記辺から離れた位置から前記水平方向に移動する機能により前記辺に接近して、前記第一係止片及び前記第一内側壁の下端を前記辺の側に位置させるようにしたことを特徴とする製函装置。
【請求項5】
前記第二フラップは、前記底面の前記対辺側から第二外側壁,第二額縁片,第二内側壁を連続して有し、
前記第二外側壁,前記第二額縁片並びに前記第二内側壁が延びた姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第二ガイド部材と、
前記第二外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第二ガイド部材の下端を、前記底面の前記第二フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第二外側壁,前記第二額縁片,前記第二内側壁を起立させるようにし、
その起立した姿勢の前記第二額縁片を付勢して、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分を折り曲げるプッシャー部材と、
前記プッシャー部材で折り曲げられた前記第二額縁片とともに延びる前記第二内側壁を下方に付勢して、前記第二額縁片と前記第二内側壁の境界部分を折り曲げる折り曲げ部材とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の製函装置。
【請求項6】
矩形状の底面の一対の対辺に側壁を構成する第一フラップを連続して備え、別の一対の対辺に側壁を構成する第二フラップを連続して備えた展開状態のブランクシートの所定位置を折り曲げて箱を形成する製函装置であって、
前記第一フラップは、前記底面の前記対辺側から第一外側壁,第一額縁片,第一内側壁を連続して有し、
前記第一外側壁と前記第一額縁片の境界部分並びに前記第一額縁片と前記第一内側壁との境界部分が折り曲げられ、前記第一内側壁が折り返されて前記第一外側壁の上に重なる姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第一ガイド部材と、
前記第一外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第一ガイド部材は、昇降移動する機能と、所定の水平方向に移動する機能とを備え、その所定の水平方向は、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に向けて接近離反する方向であり、
前記第一ガイド部材の下端を、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第一外側壁を起立させ、前記第一ガイド部材を前記辺から離れる方向に移動させた状態で、前記第一ガイド部材を上昇移動させるように構成し、
前記第二フラップは、前記底面の前記対辺側から第二外側壁,第二額縁片,第二内側壁を連続して有し、
前記第二外側壁,前記第二額縁片並びに前記第二内側壁が延びた姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、
その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第二ガイド部材と、
前記第二外側壁の下面に接触する下型とを備え、
前記第二ガイド部材の下端を、前記底面の前記第二フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第二外側壁,前記第二額縁片,前記第二内側壁を起立させるようにし、
その起立した姿勢の前記第二額縁片を付勢して、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分を折り曲げるプッシャー部材と、
前記プッシャー部材で折り曲げられた前記第二額縁片とともに延びる前記第二内側壁を下方に付勢して、前記第二額縁片と前記第二内側壁の境界部分を折り曲げる折り曲げ部材とを備えたことを特徴とする製函装置。
【請求項7】
前記プッシャー部材は、前記第二フラップの長手方向の両側に配置し、
前記折り曲げ部材は、前記第二フラップの長手方向の中央に配置したことを特徴とすることを特徴とする請求項3、5、6のいずれか1項に記載の製函装置。
【請求項8】
前記プッシャー部材は、垂直方向に延びる第一抑え部と、その第一抑え部の上端から前方に向けて突出する第二抑え部を有し、
前記第二抑え部の下面は、起立した姿勢の前記第二外側壁と前記第二額縁片との境界部分に対向する高さに設定し、前記プッシャー部材が前記第二額縁片に向かって前進移動すると、前記第二抑え部が前記第二額縁片に接触して付勢し、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分で折り曲げて前記第二額縁片と前記第二内側壁を倒すようにし、その倒した状態で前記第二抑え部の下面が、前記第二額縁片の上面に接触するように構成したことを特徴とるす請求項3、5、6、7のいずれか1項に記載の製函装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製函装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば物品を収納する身箱の形態の一例として、特許文献1等に開示されるような底面の周囲に二重壁とその上部の小幅帯状の額縁片を有する箱がある。特許文献1に開示された製函装置は、展開状態のブランクシートを適宜折り曲げて所望の形状の箱を製造する。この特許文献1に開示された製函装置は、底面と二重壁を構成するフラップの境界に形成されている折り線より内側(底面の中央側に寄った位置)を上型で抑えた状態で、ブランクシートを下降移動し、下型の枠内に挿入する。これにより、当該フラップが下型により立ち上がるとともに折り線の部分で折り線の部分が折れ曲がり、二重壁が底面に対して垂直に立ち上がった形態に形成される。このように二重壁が立ち上がると、当該二重壁の外周面は、底面の周縁上に起立し、二重壁の内側壁は額縁片の分だけ内側に入った箇所に位置する。そして、その内周面が、上型に近接した状態となる。その後、上型は箱に対して相対的に真っ直ぐに上昇移動し、箱外に位置する。上型は、この額縁片の幅を考慮して予め折り線よりも所定距離中央側に寄った内側の位置しているため、上記の相対的に上昇移動する際、二重壁と干渉することなくスムーズに移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6041101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の製函装置は、上型が底面の周縁に設けた折り線よりも、額縁片の幅寸法分だけ内側に接触した状態でブランクシートを下型に押しつけて製函していたため、折り線の位置で綺麗に折り曲げることができず、意図しない所から折れ曲がってしまい、綺麗に製函できないおそれがある。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の製函装置は、矩形状の底面の一対の対辺に側壁を構成する第一フラップを連続して備え、別の一対の対辺に側壁を構成する第二フラップを連続して備えた展開状態のブランクシートの所定位置を折り曲げて箱を形成する製函装置であって、前記第一フラップは、前記底面の前記対辺側から第一外側壁,第一
額縁片,第一内側壁を連続して有し、前記第一外側壁と前記第一額縁片の境界部分並びに前記第一額縁片と前記第一内側壁との境界部分が折り曲げられ、前記第一内側壁が折り返されて前記第一外側壁の上に重なる姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第一ガイド部材と、前記第一外側壁の下面に接触する下型とを備え、前記第一ガイド部材は、昇降移動する機能と、所定の水平方向に移動する機能とを備え、その所定の水平方向は、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に向けて接近離反する方向であり、前記第一ガイド部材の下端を、前記底面の前記第一フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第一外側壁を起立させ、前記第一ガイド部材を前記辺から離れる方向に移動させた状態で、前記第一ガイド部材を上昇移動させるように構成するものを前提とし、以下に示す各構成要素を適宜備えるようにした
【0007】
第一ガイド部材を所定の水平方向に移動する機能を備えることで、第一ガイド部材は、ブランクシートの底面側であって、その底面と第一外側壁との境界部分の直近に接触させることができ、ブランクシートを当該境界部分で折り曲げて第一外側壁を起立させることができるとともに、起き上がった第一外側壁から第一額縁片の幅分だけ内側に位置させることで第一内側壁に干渉することなく、第一ガイド部材を製函された箱の外に移動して型抜けすることができる。
【0008】
(2)前記第一ガイド部材は、下方に延びる連結プレートと、その連結プレートの下端側であって前記第一フラップ側の面に接続される第一ガイド部を備えるとよい。このようにすると、連結プレートは第一ガイド部より内側(底面の中央側)の位置で、例えば第一ガイド部が第一内側壁の先端・下端等を底面の辺側に付勢した状態で、連結プレートが第一額縁片を外に向けて押すことがないようにすることができ、第一外側壁は起立した姿勢を維持できる。
【0009】
(3)前記第一フラップは、前記第一額縁片と非接続側に連続して第一係止片を有し、前記第一係止片は、先端が跳ね上がった姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、前記第一ガイド部材は、前記底面の前記辺から離れた位置から前記水平方向に移動する機能により前記辺に接近して、前記第一係止片及び前記第一内側壁の下端を前記辺の側に位置させるようにするとよい。このようにすると、第一内側壁に続く第一係止片を底面に沿った姿勢にし、第一内側壁ひいては第一外側壁を起立した姿勢にすることができる。
【0010】
(4)前記第二フラップは、前記底面の前記対辺側から第二外側壁,第二額縁片,第二内側壁を連続して有し、前記第二外側壁,前記第二額縁片並びに前記第二内側壁が延びた姿勢で前記製函装置に供給されるようにし、その供給された前記ブランクシートの前記底面に上方から接触する第二ガイド部材と、前記第二外側壁の下面に接触する下型とを備え、前記第二ガイド部材の下端を、前記底面の前記第二フラップに接続される辺に沿った位置で前記底面に接触させた状態で、前記ブランクシートを下降移動させることで、前記辺の部分で折り曲げて前記第二外側壁,前記第二額縁片,前記第二内側壁を起立させるようにし、その起立した姿勢の前記第二額縁片を付勢して、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分を折り曲げるプッシャー部材と、前記プッシャー部材で折り曲げられた前記第二額縁片とともに延びる前記第二内側壁を下方に付勢して、前記第二額縁片と前記第二内側壁の境界部分を折り曲げる折り曲げ部材とを備えるようにするとよい。
【0011】
このようにすると、4つの側壁を何れも額縁片で繋がる外側壁と内側壁を有する二重壁構造の箱を、所望の位置で折り曲げて綺麗に形成することができる。
【0012】
(5)前記プッシャー部材は、前記第二フラップの長手方向の両側に配置し、前記折り曲げ部材は、前記第二フラップの長手方向の中央に配置するとよい。このようにすると、第二フラップの第二額縁片を、第一外側壁との境界部分で綺麗に折り曲げることができる。
【0013】
(6)前記プッシャー部材は、垂直方向に延びる第一抑え部と、その第一抑え部の上端から前方に向けて突出する第二抑え部を有し、前記第二抑え部の下面は、起立した姿勢の前記第二外側壁と前記第二額縁片との境界部分に対向する高さに設定し、前記プッシャー部材が前記第二額縁片に向かって前進移動すると、前記第二抑え部が前記第二額縁片に接触して付勢し、前記第二外側壁と前記第二額縁片の境界部分で折り曲げて前記第二額縁片と前記第二内側壁を倒すようにし、その倒した状態で前記第二抑え部の下面が、前記第二額縁片の上面に接触するように構成するとよい。このようにすると、第二フラップの第二額縁片を、第一外側壁との境界部分で綺麗に折り曲げることができるとともに、第二内側壁を折り曲げる際に、第二額縁片が浮き上がることを抑止でき、第二内側壁と第二額縁片との境界部分で綺麗に折り曲げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第一外側壁を起立させる際に、底面と第一外側壁との境界部分で綺麗に折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る製函装置で製函する対象のブランクシート並びに製函される箱の一例を示す図である。
図2】本発明に係る製函装置の好適な一実施形態に用いられる上型装置を示す図で、(a)は側面図(第二ガイド部材側の図示を省略)、(b)は正面図、(c)は平面図(ベース部材・第一ガイド部材の水平方向に移動する機構の図示を省略)である。
図3】第一フラップを製函する作用・機能を説明する図である。
図4】第二フラップを製函する作用・機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1は、本発明に係る製函装置により組み立てて製函する箱10の一例を示している。同図(a)に示すように、展開状態のブランクシート1は、長方形状の底面2の四辺に、側壁を構成するフラップを連続して備える。各フラップは、底面2の一対の長辺に連続する第一フラップ3、底面2の一対の短辺に連続する第二フラップ4を有する。第一フラップ3は、底面2の長辺側から第一外側壁3a,第一額縁片3b,第一内側壁3c,第一係止片3dが連続して形成される。同様に第二フラップ4は、底面2の短辺側から第二外側壁4a,第二額縁片4b,第二内側壁4c,第二係止片4dが連続して形成される。各部位の境界等の折り曲げる部位には折り線5を形成し、その折り線5の部分で谷折り或いは山折りが行いやすくなるようにしている。折り線は折目線などとも称される。
【0018】
また第一外側壁3aの長手方向両端の短辺に折り線5を介して第一折片6を配置し、第二外側壁4aの長手方向両端の短辺に折り線5を介して第二折片7を配置する。そして、第一折片6と第二折片7とは斜めの折り線5を介して接続される。さらに、第一内側壁3cの長手方向両端の短辺に折り線5を介して耳片8を配置する。
【0019】
本実施形態の製函装置は、上述した図1(a)に示すブランクシート1を適宜折り線5で折り曲げることにより図1(c)に示す箱10を成形する装置である。展開状態のブランクシート1は、集積されてホッパー内に収納され、そのホッパーから一枚ずつ取り出され、搬送ラインに供給される。そしてその供給されたブランクシート1は、搬送ライン上を移動し、本実施形態の製函装置内にセットされる。
【0020】
図2は、本発明に係る製函装置の一実施形態の一部の構成要素である上型装置11の一例を示しており、この上型装置11の下方に、図3に示すように下型12を配置する。上型装置11は、図示省略する駆動機構により昇降移動するベース部材13の下側に、第一ガイド部材15と第二ガイド部材16を配置した構成をとる。ベース部材13は、細長な帯板状からなり、その長手方向の両端側に一対の第一ガイド部材15をそれぞれ配置する。
【0021】
第一ガイド部材15は、ベース部材13に対し、そのベース部材13の長手方向に沿って往復移動可能に取り付ける。すなわち、ベース部材13の両端付近の下面には、それぞれ長手方向に沿って延びるようにガイドレール18を取り付け、そのガイドレール18に対し、移動可能にスライダ19を取り付ける。このスライダ19には、ガイドレール18に沿って水平方向に往復動作する第一シリンダ20のシリンダロッド20aの先端が接続されており、第一シリンダ20の伸縮動作に伴い、スライダ19がガイドレール18に沿って往復直線運動する。これらガイドレール18,スライダ19並びに第一シリンダ20が、第一ガイド部材15を往復移動する駆動手段となる。
【0022】
第一ガイド部材15は、下方に延びる細長な板状の連結プレート22と、その連結プレート22の下端に接続される第一ガイド部23を備える。第一ガイド部23は、平板からなり、連結プレート22の長手方向に直交する方向に延びるように取り付けられる。図1(b)等に示すように、長手方向の両端は、先端に行くにつれて下方傾斜状の斜面となり、正面から見て等脚台形の形態となる。
【0023】
この第一ガイド部23の取付面は、一対の第一ガイド部材15を構成する一対の連結プレート22の対向面と反対側の外面としている。これにより、図2(a),(c)等に示すように、一対の第一ガイド部材15は、内側に連結プレート22が位置し、外側に第一ガイド部23が位置する。そしてその外側の第一ガイド部23が、ブランクシート1の所定部位に接触して、主に第一フラップ3の折り曲げの補助等をする。
【0024】
また連結プレート22はその上端がスライダ19に接続される。これにより、スライダ19の往復動作に追従し、スライダ19と一体になって第一ガイド部材15が水平方向に移動する。この往復動作に伴い、一対の第一ガイド部材15同士は、互いに接近離反する。
【0025】
また、製函装置の動作中、第一ガイド部材15の第一ガイド部23は、底面2の長辺に沿うように位置させ、第一フラップ3より具体的には第一外側壁3aの折り曲げに寄与する。
【0026】
第二ガイド部材16は、ベース部材13に対し相対的に昇降可能に取り付ける。すなわち、ベース部材13の下面の長手方向中央部位に、第二シリンダ30の本体を取り付ける。この第二シリンダ30のシリンダロッド30aは、上下方向に往復動作する。このシリンダロッド30aの先端には、水平方向に延びるように配置される支持プレート28が連結され、その支持プレート28の両端に、それぞれ第二ガイド部29を連結する。図2(c)に示すように、第一ガイド部23は、一対の第二ガイド部29間に入り込んだ状態になる。そして第二ガイド部29が、ブランクシート1の所定部位に接触して主に第二フラップの折り曲げの補助等をする。
【0027】
第二ガイド部材16は、ベース部材13の昇降に伴い一体となって昇降し、さらに、第二シリンダ30の動作に伴い、第二ガイド部材16は、ベース部材13,第一ガイド部材15に対して相対的に昇降移動する。
【0028】
図2(b),(c)に示すように、第二ガイド部29は、所定幅のブロック体からなり、その第二ガイド部29の本体の側面29bと、第一ガイド部23は、略同一線上に位置する。そして、図2(c)に示す平面視で、当該側面29bと第一ガイド部23並びに第二ガイド部29の前面29aを結ぶ仮想線が、ブランクシート1の底面2の周縁と略一致するようにしている。
【0029】
以下、上述した上型装置11の動作を説明しつつ、他の構成要素について説明する。 図1(a)に示す展開状態のブランクシート1は、製函装置に至る上流側の搬送ラインの移動中に、フラップ折り曲げ装置により第一フラップ3の適宜位置が折り曲げられ、第一外側壁3aと第一額縁片3bの間の折り線5,第一額縁片3bと第一内側壁3cの間の折り線5を山折りし、第一内側壁3cと第一係止片3dの間の折り線5を谷折りして図3(a)に示すように、第一外側壁3aは底面2と同一平面上に延び、第一内側壁3cが折り返されて第一外側壁3aの上に重なるとともに、第一係止片3dが上方に跳ね上がった形態となる。
【0030】
製函装置は、ベース部材13が最上方位置にあるとき、図3(a)に示すように、第一ガイド部材15の第一ガイド部23の下端が、下型12の上面より所定距離だけ上方の位置で待機する。この待機位置は、第一ガイド部材15,第一ガイド部23の下端と、下型12の上面の間隔は、ブランクシート1の厚さ以上としている。
【0031】
この待機位置で、第一ガイド部材15と下型12との間の空間内に、図3に示す紙面に対して直交する方向(図2(b)における左右方向)から、上記の所定の形態のブランクシート1が供給される。この供給されたブランクシート1は、底面2と第一外側壁3aとの間の折り線5が、下型12の内周面12aの上方に位置するようにセットされる。
【0032】
第一ガイド部材15は中央側に寄った位置で待機している。そしてブランクシート1がセットされた後、第一ガイド部材15は外側に移動し、第一ガイド部23の下端は、底面2の周縁すなわち、底面2上であって、第一外側壁3aと境界部分に設けた折り線5に沿って直近の位置に接触する。
【0033】
なお、跳ね上がった第一係止片3dは、ほぼ垂直に起立するようにしているが、例えば折曲げが不足等して底面2の上方領域に進入しているような場合でも、本形態では、ブランクシート1のセット時は、第一ガイド部材15は中央に寄った位置にあり、第一ガイド部27は、第一外側壁3aと境界部分に設けた折り線5よりも底面2の中央側に寄った位置にあり、セット後に外側に移動するため、第一ガイド部23の外面側に跳ね上がった姿勢の第一係止片3dが位置する。
【0034】
また本形態では、第一ガイド部23の高さは箱の側壁の高さよりも低く設定されている。これにより、第一外側壁3aを起立する際、第一ガイド部23は、第一内側壁3cの高さ方向の全体ではなく先端(下端)付近を付勢することになる。よって第一内側壁3cは、略逆三角形状に傾斜し、第一額縁片3bを潰さずに製函することができる(図3(b)参照)。
【0035】
また、ベース部材13の下降に伴い一体となって下降移動する際の第一ガイド部23の下端と第二ガイド部29の本体の下端は同一平面上にある(図2(b)等参照)。従って、上述したように第一ガイド部23の下端が、ブランクシート1の底面2に接触した際には、第二ガイド部29の下端もブランクシート1の底面2に接触する(図4(a)等参照)。第一ガイド部23はブランクシート1の底面2の長辺側に接触して抑えるのに対し、この第二ガイド部29は、主に底面2の短辺側に接触して抑える。これにより、第一ガイド部23と第二ガイド部29により、ブランクシート1の底面2の四辺の直近部位が抑えられる。
【0036】
上述したように第一ガイド部材15が外側に移動し、第一ガイド部23が、折り線5の位置に合わせた後、図3(a)に示す状態からベース部材13が下降移動(図3(a)中矢印参照)する。すると、第一ガイド部23並びに第二ガイド部29がブランクシート1の底面2を下方に付勢する。これに伴い、ブランクシート1も下降移動し、下型12内に進入する。すると、当該進入は、図3(b)に示すように底面2の長辺である第一外側壁3aと底面2の境界の折り線5の直近の内側(底面2側)が、第一ガイド部23で抑えられた状態で行われるため、ブランクシート1は、当該折り線5に沿って綺麗に折れ曲がり、底面2の長辺の部分から第一外側壁3aが起立する。また、第一外側壁3aの立ち上がりに伴い、第一額縁片3b並びに第一内側壁3cも立ち上がる。このとき、第一内側壁3cの第一額縁片3bとの接続端側は、第一額縁片3bの幅分だけ内側に位置し、第一内側壁3cの先端(第一額縁片3bと非接続側)は第一ガイド部23に付勢されて第一外側壁3a側に移動する。
【0037】
図3(a)に示すように、本形態では、下型12の内周面12aの上端部は、角部が切除された傾斜面からなるガイド部12bが設けられる。これにより、下降移動するブランクシート1は、その底面2が下型12で区画される空間内にスムーズに案内されて進入し、それに伴い第一外側壁3aも底面2の周縁の折り線5の部分が折り曲げられて起立する。
【0038】
なお、下型12は、底面2の全周に渡って配置するのではなく、好ましくは、底面2の各辺に対し、それぞれ離散的に複数箇所に点在させるとよい。また、その形状も図示の例では、ブロック状の形態の角部を切除した形状としたが、例えば、上下方向に延びる板部材から構成し、その上端を外側に向けて折り曲げた形状とするとよい。
【0039】
その後、第一シリンダ20が駆動(往動作)してシリンダロッド20aが延び、スライダ19とともに第一ガイド部材15が互いに接近する方向(図3(b)中矢印方向)、すなわち、底面2の中央側に移動する。これに伴い、第一額縁片3bの両側の折り線5の部分の弾性復元力等により、第一内側壁3cの先端側が底面2の中央側に向けて移動し、第一外側壁3aと第一内側壁3c間に第一額縁片3bの幅に相当する所定の空間が確保され、その両側壁の上端側は第一額縁片3bが位置する(図3(c)参照)。
【0040】
図3(c)に示すように、第一ガイド部23が底面2の周辺の第一ガイド部23と底面2との境界の折り線5から離れ、第一ガイド部23の上方空間には第一内側壁3c,第一額縁片3bが存在していない。そこで、その状態でベース部材13が上昇移動すると(図3(c)中矢印方向)、第一ガイド部23・第一ガイド部材15は、第一内側壁3c,第一額縁片3bに干渉することなく上昇移動し、箱10の外に遷移する(図3(d)参照)。また、第一ガイド部23の上方移動に伴い、第一ガイド部23が第一係止片3dから離反して第一係止片3dを抑えるものがなくなるため、第一係止片3dと第一内側壁3cとの境界部分の折り線5の弾性復元力も作用して第一係止片3dは倒れて底面2に接触または近接する姿勢をとる。これにより、第一フラップ3の折り曲げ処理が終了する。
【0041】
上述したように、本実施形態では、ブランクシート1の底面2の対向する2辺の周縁を抑える第一ガイド部材15を、昇降移動する機能と所定の水平方向に移動する機能を備えることで、第一ガイド部23は、折り線5の直近に接触させることができ、ブランクシート1を当該折り線5の部分で折り曲げて第一外側壁3aを起立させることができるとともに、起き上がった第一外側壁3aから第一額縁片3bの幅分だけ内側に位置する第一内側壁3cに干渉することなく、箱10の外に移動して型抜けすることができる。
【0042】
また、第二フラップ4の折り曲げ処理は、以下のように行う。すなわち、上述したように、第一ガイド部23がブランクシート1の底面2に接触した際に、第二ガイド部29の下端も底面2に接触する。この接触した際、第二ガイド部29の前面29aが、ブランクシート1の底面2の底面2上であって、第二外側壁4aと境界部分に設けた折り線5に沿って直近の位置に接触する。第二フラップ4は、第一フラップ3と相違し、第二内側壁4cを事前に折り返しておらず、ブランクシート1が下型12の上にセットされた状態では、第二外側壁4a,第二額縁片4b並びに第二内側壁4cは底面2と同一平面上に延びるような形態となる(図示省略)。
【0043】
その状態で、ベース部材13が下降移動すると、第一ガイド部23とともに第二ガイド部29も下降移動し、底面2が下型12内に進入する。これにより、図4(a)に示すように、底面2の短辺である第二外側壁4aと底面2の境界の折り線5の直近の内側(底面2側)が、第二ガイド部29で抑えられた状態で行われるため、ブランクシート1は、当該折り線5に沿って綺麗に折れ曲がり、底面2の短辺の部分から第二外側壁4aが起立する。そして、起立した第二外側壁4aと同一平面上に第二額縁片4b、第二内側壁4c並びに第二係止片4dが位置する。
【0044】
次いで、第二シリンダ30が複動作してシリンダロッド30aの下端が上昇し、それに伴い第二ガイド部材16も上昇して底面2から離れ、箱10の上方に待避する。一方、図4(b)に示すように示すように、第二フラップ4側に位置する外側には、第三シリンダ31のシリンダロッド31aの先端に取り付けられ、起立した第二フラップ4に向けて前後進移動するプッシャー部材32と、底面2の短辺と平行な方向に延びる回転軸33と一体になって所定角度範囲内で正逆回転する折り曲げ部材34を備える。プッシャー部材32は、シリンダロッド31aに接続され、垂直方向に延びる第一抑え部35と、その第一抑え部35の上端から前方に向けて突出する第二抑え部36を有する。第二抑え部36の下面36aは、待機する第二フラップ4の第二外側壁4aと第二額縁片4bとの境界部分の折り線5に対向する高さに設定する。
【0045】
さらに、プッシャー部材32並びに第三シリンダ31の下方には、第四シリンダ41によって第二フラップ4に向けて前後進移動する支持部材42を備える。支持部材42は、ブランクシート1の底面の位置に対応する高さに設定し、支持部材42はその高さ内で水平方向に往復移動する。
【0046】
上述したように、第二ガイド部29の下降移動に伴い、図4(a)に示すように第二外側壁4a等が底面2の周縁の折り線5の部分から折り曲げられて起立した姿勢になる。その状態で、図4(a)矢印で示すように第二ガイド部材16は上昇移動して下型12の上方に向けて待避し、第一ガイド部材15・第一ガイド部23はさらに下降移動する。これにより、ブランクシート1は下降移動し、プッシャー部材32,支持部材42の配置領域に位置する(図4(b)等参照)。
【0047】
図4(b)ではプッシャー部材32並びに支持部材42が第二フラップ4に向けて前進移動して動作位置にあるが、この状態の前に、プッシャー部材32は後退移動した待避位置にあり、支持部材42のみ動作位置にある状態がある。係る状態のときに、ブランクシート1が下降移動すると、図示するようにブランクシート1の底面2がL字状の支持部材42の上面に接触し、支えられる。このとき、ブランクシートの底面2と、起立した第二外側壁4aがL字状の支持部材42の上面と前面に接触するように構成すると、ブランクシート1を安定して支持できるのでよい。この状態では、第二フラップ4は、図4(a)と同様に垂直方向に起立した姿勢でいる。
【0048】
次いで、第二フラップ4が垂直方向に起立した姿勢で待機している状態に対し、第三シリンダ31が往動作してプッシャー部材32が第二フラップ4に向かって前進移動する。すると、プッシャー部材32の第二抑え部36の前面36bが第二フラップ4の第二額縁片4bに接触し、さらにそのままプッシャー部材32が前進移動することで、第二額縁片4bを箱10の内側に向けて付勢する。この付勢力により、第二外側壁4aと第二額縁片4bの境界の折り線5の部分で折り曲がり、図4(b)に示すように、第二額縁片4b並び第二内側壁4cが箱10の内側に向けて水平に延びる姿勢に変位する。この状態では、第二抑え部36の下面36aが、折り曲げられた第二額縁片4bの上面・表面に接触し、例えば折り線5等の弾性復元力により第二額縁片4bが上方に起き上がるのを抑止する。
【0049】
また、本実施形態では、プッシャー部材32を、第二フラップ4の長手方向の左右の両側に所定数(例えば3個ずつ)配置し、長手方向の中央部には設けずに所定の空間を確保する。そして、この中央部位に折り曲げ部材34を配置する。このように、プッシャー部材32を第二フラップ4の長手方向の左右両側に、しかも複数個配置することで、第二フラップ4を第二外側壁4aと第二額縁片4bの折り線5の部分でしっかり折り曲げることができ、第二額縁片4b並び第二内側壁4cを水平方向に折り倒すことができる。
【0050】
一方、折り曲げ部材34は、一端が回転軸33に接続される連結バー38と、その連結バー38の他端に接続される接触部材39を備える。回転軸33が正逆回転すると、連結バー38も回転軸33を中心に回転し、接触部材39が所定の円弧上を往復移動する。そして、図4(b)に示すように連結バー38並びに接触部材39が箱10(底面2)の上方空間より外側領域内に位置する待機位置と、図4(c)に示すように接触部材39が箱10内に入り込み、第二内側壁4cを付勢しつつ底面2付近に至る動作位置との間を往復移動する。
【0051】
また連結バー38は、回転軸33側の第一アーム部38aと接触部材39側の第二アーム部38bを有し、第一アーム部38aと第二アーム部38bのなす角が所定の鈍角になるように設定される。係る鈍角は、図4(c)に示すように、動作位置に至った際に第二アーム部38bが底面2に対して直交する垂直方向に起立する姿勢になるように設定する。
【0052】
そして折り曲げ部材34は、図4(b)に示す待機位置から同図中矢印で示す回転軸33の回転に伴い回転移動すると、図示省略するが、接触部材39は、水平方向に延びた状態で待機する第二内側壁4cと第二係止片4dの境界部分の折り線5の直近に沿うように第二内側壁4c側の表面に接触する。そして、その状態のままさらに折り曲げ部材34が回転移動すると、接触部材39が第二内側壁4cの先端側(第二係止片4d側)を下方に付勢する。このとき、第二額縁片4b側は、第二抑え部36の下面36aにて抑えられているため、当該付勢力を受けて、第二額縁片4bと第二内側壁4cの間の折り線5の部分が折り曲がり、第二額縁片4bは水平方向を維持しながら第二内側壁4cが下方に折り畳まれる。
【0053】
そして、図4(c)に示すように、折り曲げ部材34が動作位置に至ると、第二内側壁4cは、第二外側壁4aの内側に第二額縁片4bの幅だけ空間をおいて垂直に起立した姿勢をとり、この第二内側壁4cに接続される第二係止片4dは、底面2に接触して第二内側壁4cと第二係止片4dとの間の折り線5の部分が谷折りされて底面2に接した姿勢となる。そして、折り曲げ部材34が動作位置に至ると、第一ガイド部23は上昇して上方に退避し、次いで、折り曲げ部材34が待機位置に復帰する。こうすることで、第二係止片4dが第一係止片3dの下に位置される。これにより、第二フラップ4の折り曲げ処理が終了する。
【0054】
この第二フラップ4の折り曲げ処理では、第二外側壁4aと第二額縁片4bとの間の折り線5の部分は、プッシャー部材32の作用によりその位置で綺麗に折り曲げることができ、第二額縁片4bと第二内側壁4cの間の折り線5はプッシャー部材32と折り曲げ部材34によりその位置で綺麗に折り曲げることができ、第二内側壁4cと第二係止片4dの間の折り線5は折り曲げ部材34と底面2によりその位置で綺麗に折り曲げることができる。特に本形態では、折り曲げ部材34が第二内側壁4cに接触して所定方向に付勢する際、底面2,第二外側壁4aは支持部材42で指示され下方並びに水平方向の移動が抑止されるため、より確実に所定の折り線5の部位で折り曲げることができる。
【0055】
以後、第一ガイド部23が上昇した後、回転軸33は逆回転し、折り曲げ部材34は待機位置に復帰し、次の折り曲げに備える。次いで、プッシャー部材32も待機位置に復帰し、支持部材42は配置領域から退避する。また、第一フラップ3並びに第二フラップ4が折り曲げられ、側壁の上端が第一額縁片3b並びに第二額縁片4bによる所定幅の額縁が形成され、外側壁と内側壁の二重壁構造を備えた箱10は、下型12内を通過し、下方の搬送装置上に落下供給され、その搬送装置により搬出される。
【0056】
なお、具体的な説明を省略したが、上述した第一フラップ3(第一外側壁3a)並びに第二フラップ4が下型12により起立して起き上がる際に、第一折片6と第二折片7は隣接する折り線5の部分で折り畳まれるとともに、起立した第二フラップ4の内側に折り畳まれた耳片8が位置する(図1(b)参照)。
【0057】
上述した実施形態では、第二ガイド部材16は、第一外側壁3aが起立した後であって、ベース部材13の下降途中に上昇するようにしている。こうすることで、折り曲げ部材34の動作開始を早めることができ、サイクルタイムを短縮できるのでよい。しかし、第二ガイド部材16は、ベース部材13が下限位置まで到達してから上昇させるようにしてもよい。この場合、第二ガイド部材16が上昇した後に、プッシャー部材32を動作させる。
【0058】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0059】
1 :ブランクシート
2 :底面
3 :第一フラップ
3a :第一外側壁
3b :第一額縁片
3c :第一内側壁
3d :第一係止片
4 :第二フラップ
4a :第二外側壁
4b :第二額縁片
4c :第二内側壁
4d :第二係止片
5 :折り線
10 :箱
11 :上型装置
12 :下型
13 :ベース部材
15 :第一ガイド部材
16 :第二ガイド部材
23 :第一ガイド部
29 :第二ガイド部
32 :プッシャー部材
34 :折り曲げ部材
39 :接触部材
図1
図2
図3
図4