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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】射出成形装置および射出成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20220829BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20220829BHJP
   B29C 44/60 20060101ALI20220829BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20220829BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C44/58
B29C44/60
B29C45/56
B29C45/26
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019146408
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2020090085
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】107143654
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506255902
【氏名又は名称】中原大學
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】陳 夏宗
(72)【発明者】
【氏名】張 詠翔
(72)【発明者】
【氏名】李 冠樺
(72)【発明者】
【氏名】張 哲維
(72)【発明者】
【氏名】蔡 碧霖
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054994(JP,A)
【文献】特開平11-077737(JP,A)
【文献】特開昭61-239917(JP,A)
【文献】特開2020-090086(JP,A)
【文献】特開2012-051268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 45/56
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部分および可動部分を備える鋳型であって、成形キャビティが前記固定部分と前記可動部分との間に形成され、前記可動部分の幅は、前記成形キャビティの幅と等しく、前記可動部分が前記固定部分に対して移動して前記成形キャビティの容積を変化させるように構成され、それにより、前記成形キャビティ内部の圧力が非加圧状態と加圧状態との間で調整される、鋳型と、
前記成形キャビティ内に材料を射出するように構成された射出装置であって、前記材料が被発泡材料を含み、前記被発泡材料が前記加圧状態で気化することが防止され、前記被発泡材料が前記非加圧状態で気化する、射出装置と、
前記成形キャビティ内にガスを供給して前記成形キャビティ内部の前記圧力を増加させるように構成されている、ガス供給装置と、
を備える射出成形装置。
【請求項2】
前記鋳型がガス噴射通路を有し、前記ガス噴射通路が前記成形キャビティの内部と前記成形キャビティの外部とを接続し、前記ガス供給装置が前記ガス噴射通路を介して前記成形キャビティ内に前記ガスを供給するように構成されている、請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
圧力センサをさらに備え、前記圧力センサが前記ガス噴射通路に配置されている、請求項2に記載の射出成形装置。
【請求項4】
鋳型を用意する工程であって、前記鋳型が固定部分および可動部分を備え、成形キャビティが前記固定部分と前記可動部分との間に形成され、前記可動部分の幅は、前記成形キャビティの幅と等しい工程と、
前記可動部分を前記固定部分に対して移動させて前記成形キャビティの容積を低減させ、それにより、前記成形キャビティ内部の圧力が非加圧状態から加圧状態に調整される工程と、
射出装置によって前記成形キャビティ内に材料を射出する工程であって、前記材料が被発泡媒体を含む材料を含み、被発泡媒体を含む前記材料が前記加圧状態で気化することが防止される工程と、
前記可動部分を前記固定部分に対して移動させて前記成形キャビティの前記容積を増加させ、前記成形キャビティ内部の前記圧力を前記非加圧状態に戻す工程であって、被発泡媒体を含む前記材料が前記非加圧状態で気化する工程と、
ガス供給装置によって前記成形キャビティ内にガスを供給して前記成形キャビティ内部の前記圧力を増加させる工程と、
を含む、射出成形方法。
【請求項5】
前記ガスが前記鋳型の前記成形キャビティ内に供給された後、前記材料が前記射出装置によって前記成形キャビティ内に射出される、請求項4に記載の射出成形方法。
【請求項6】
前記射出装置によって前記成形キャビティ内に前記材料を射出した後の所定の時間の後に、前記ガス供給装置が前記ガスの供給を停止する、請求項4または5に記載の射出成形方法。
【請求項7】
前記可動部分を前記固定部分に対して移動させて前記成形キャビティの前記容積を低減させた後、前記材料が前記射出装置によって前記成形キャビティ内に射出される、請求項4から6のいずれか1項に記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記射出装置によって前記成形キャビティ内に前記材料を射出した後の所定の時間の後に、前記可動部分を前記固定部分に対して移動させて前記成形キャビティの前記容積を増加させる、請求項4から7のいずれか1項に記載の射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置および成形方法に関し、詳細には、射出成形装置および射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界発泡技術によって製造された製品は、その発泡特性のために、高い重量低減率、高い衝撃強度、および高い弾性などの特性を示し、したがって、様々な分野に適用されてきた。しかしながら、一方では発泡特性に起因して製品の表面に欠陥が生じやすい。その上、製品の内部の気泡を制御するのが困難であるため、大きな気泡が容易に生成されることがあり、製品の機械的特性が影響を受けることがある。その結果、製品品質および歩留まりが予想よりも低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態は、超臨界発泡技術を採用することによって望ましい品質および歩留まりで製品を製造することが可能な射出成形装置および射出成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によると、射出成形装置は、鋳型および射出装置を含む。鋳型は、固定部分および可動部分を含む。成形凹部が、固定部分と可動部分との間に形成され、可動部分は、固定部分に対して移動して成形キャビティの容積を変化させるように構成され、それにより、成形凹部内部の圧力が加圧状態と非加圧状態との間で調整される。射出装置は、成形凹部内に材料を射出するように構成されている。材料は、被発泡材料を含み、被発泡材料は、加圧状態で気化することが防止され、被発泡材料は、非加圧状態で気化する。
【0005】
本発明の一実施形態によると、射出成形装置は、ガス供給装置をさらに含む。ガス供給装置は、成形キャビティ内部の圧力を増加させるために成形キャビティ内にガスを供給するように構成されている。
【0006】
本発明の一実施形態によると、鋳型は、ガス噴射通路を有し、ガス噴射通路は、成形キャビティの内部と成形キャビティの外部とを接続し、ガス供給装置は、ガス噴射通路を介して成形キャビティ内にガスを供給するように構成されている。
【0007】
本発明の一実施形態によると、射出成形装置は、圧力センサをさらに含む。圧力センサは、ガス噴射通路に配置されている。
【0008】
本発明の一実施形態によると、射出成形方法は、以下を含む。鋳型が用意される。鋳型は、固定部分および可動部分を含み、成形キャビティが固定部分と可動部分との間に形成される。可動部分を固定部分に対して移動させて成形キャビティの容積を低減させ、それにより、成形キャビティ内部の圧力を非加圧状態から加圧状態に調整する。材料は、射出装置によって成形キャビティ内に射出される。材料は、被発泡媒体を含む材料を含み、被発泡媒体を含む材料は、加圧状態で気化することが防止される。可動部分を固定部分に対して移動させて成形キャビティの容積を増加させ、成形キャビティ内部の圧力を非加圧状態に戻す。被発泡媒体を含む材料は、非加圧状態で気化する。
【0009】
本発明の一実施形態によると、射出成形方法は、ガス供給装置によって成形キャビティ内にガスを供給して成形キャビティ内部の圧力を増加させる工程をさらに含む。
【0010】
本発明の一実施形態によると、ガスが鋳型の成形キャビティ内に供給された後、材料が射出装置によって成形キャビティ内に射出される。
【0011】
本発明の一実施形態によると、射出装置によって成形キャビティ内に材料を射出した後の所定の時間の後に、ガス供給装置は、ガスの供給を停止する。
【0012】
本発明の一実施形態によると、可動部分を固定部分に対して移動させて成形キャビティの容積を低減させた後、材料が射出装置によって成形キャビティ内に射出される。
【0013】
本発明の一実施形態によると、射出装置によって成形キャビティ内に材料を射出した後の所定の時間の後に、可動部分を固定部分に対して移動させて成形キャビティの容積を増加させる。
【発明の効果】
【0014】
上記に基づいて、本発明の実施形態では、原材料が鋳型に射出される前に、鋳型の可動部分を移動させて成形キャビティ内部の圧力を増加させる。このようにして、鋳型に射出された材料中の(超臨界流体などの)被発泡材料が発泡するのを防止する。鋳型に射出された原材料の表面が冷却され固化された後、鋳型の可動部分を移動させて成形キャビティ内部の圧力を低下させ、それにより原材料中の超臨界流体は、圧力が低下するとともに発泡を開始する。このようにして、超臨界流体の発泡に起因する非固化状態の原材料の表面に生じる欠陥が回避され、超臨界流体の発泡が均一となる。したがって、製造された製品は、それに応じて望ましい品質および歩留まりを有する。
【0015】
本発明の前述のおよび他の特徴ならびに利点を理解可能にするために、図を伴ういくつかの例示的な実施形態について以下で詳細に説明する。
【0016】
添付の図面は、本発明についてのさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理について説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による射出成形装置を示す概略図である。
【0018】
図2A図1の射出成形装置100の動作プロセスを示す図である。
図2B図1の射出成形装置100の動作プロセスを示す図である。
図2C図1の射出成形装置100の動作プロセスを示す図である。
図2D図1の射出成形装置100の動作プロセスを示す図である。
【0019】
図3A】本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。
図3B】本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。
【0020】
図4図3Aおよび図3Bの射出成形装置の射出成形方法を示すフローチャートである。
【0021】
図5A】本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。
図5B】本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。
【0022】
図6図5Aおよび図5Bの射出成形装置の射出成形方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本発明の現在の好ましい実施形態について詳細に言及し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために、図面および説明において同じ参照番号が使用される。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による射出成形装置を示す概略図である。図1を参照すると、本実施形態の射出成形装置100は、鋳型110、射出装置120、およびガス供給装置130を含む。鋳型110は、固定部分112および可動部分114を含む。成形キャビティ110aは、固定部分112と可動部分114との間に形成されている。可動部分114は、固定部分112に対して移動して成形キャビティ110aの容積を変化させるように構成されている。
【0025】
鋳型110は、ガス噴射通路110bを有する。ガス噴射通路110bは、成形キャビティ110aの内部と成形キャビティ110aの外部とを接続する。ガス供給装置130は、ガス噴射通路110bを介して成形キャビティ110a内にガスを供給するように構成されている。ガスは、例えば、ガス対抗圧技術を採用することによって成形キャビティ110a内に供給されてもよく、ガスは、不活性ガスであってもよい。射出成形装置100は、圧力センサ140をさらに含む。圧力センサ140は、ガス噴射通路110bに配置され、ガスが成形キャビティ110a内に噴射されるときの圧力を検知し、ガス供給装置130が成形キャビティ110a内にガスを噴射するときの噴射圧を制御するように構成されてもよい。
【0026】
可動部分114を移動させる位置、およびガス供給装置130が成形キャビティ110a内にガスを供給するか否かに基づいて、成形キャビティ110a内部の圧力を非加圧状態と加圧状態との間で調整することができる。射出装置120は、成形キャビティ内に材料Mを射出するように構成されている。材料Mは、例えばプラスチック材料であり、材料M中の超臨界流体の気化によって発泡するように、(超臨界流体などの)被発泡材料を含む。超臨界流体は、加圧状態で気化することが防止され、超臨界流体は、非加圧状態で気化する。超臨界流体は、例えば、窒素ガスまたは不活性ガスを加圧することによって製造され、射出装置120においてプラスチック材料と混合されて材料Mを形成する。
【0027】
図2A図2Dは、図1の射出成形装置100の動作プロセスを示す図である。具体的には、射出成形プロセスの前に、制御ユニット50は、駆動機構60を制御して図1の可動部分114を駆動機構60によって図2Aに示す位置まで駆動することができ、それにより、成形キャビティ110aの容積を低減させ、成形キャビティ110a内部の圧力を増加させる。また、ガス供給装置130によってガスを供給することによって成形キャビティ110a内部の圧力を増加させる。したがって、成形キャビティ110a内部の圧力は、図1に示す非加圧状態から図2Aに示す加圧状態に調整される。制御ユニット50は、例えば、コンピュータまたはユーザによって制御可能な他の制御装置であり、駆動機構60は、例えば、モータ、シリンダ、または他の適切な駆動源によって駆動される連結ロッドまたは他の適切な機構である。本発明は、この点に関して制限を課すことは意図していないことに留意されたい。
【0028】
可動部分114を固定部分112に対して移動させて成形キャビティ110aの容積を低減させ、ガス供給装置130によって成形キャビティ110a内にガスを供給した後、図2B図2Cに示すように、射出装置120によって材料Mを成形キャビティ110a内に射出する。この時点では、成形キャビティ110a内部の圧力は、加圧状態である。したがって、鋳型内部の材料M中の超臨界流体によって形成された気泡核Nが発泡するのを防ぐことができる。
【0029】
射出装置120によって成形キャビティ110a内に材料Mを射出した後の所定の時間の後に、鋳型110に射出された材料Mの表面が冷却され固化されると、ガス供給装置130は、ガス供給装置130によるガスの供給を停止して、成形キャビティの圧力の増加を停止する。加えて、図2Cに示す可動部分114を固定部分112に対して図2Dに示す位置まで移動させて成形キャビティ110aの容積を増加させる。このようにして、成形キャビティ110a内部の圧力は、非加圧状態に戻される。したがって、材料M中の超臨界流体によって形成された気泡核Nは、圧力が低下するとともに発泡を開始し、複数の気泡Bが形成される。このようにして、超臨界流体の発泡に起因する非固化状態の材料Mの表面に生じる欠陥が回避され、超臨界流体の発泡が均一になる。したがって、製造された製品は、それに応じて望ましい品質および歩留まりを有する。
【0030】
他の実施形態では、成形キャビティ110a内部の圧力が加圧状態から非加圧状態に戻されるとき、必要に応じて製品サイズによっては、可動部分114を図2Dに示す位置まで完全に戻す必要がない場合がある。その代りに、製品サイズを制御するために、可動部分114を図2Cに示す位置と図2Dに示す位置との間の適切な位置に移動させることができる。また、他の実施形態では、可動部分114を最初に左方向に移動させて成形キャビティ110aの容積を増加させることができ、それにより、材料Mが成形キャビティ110aに射出されるときの圧力が小さくなるため、材料Mは、成形性が向上し、発泡により複数の気泡を形成することができる。次いで、可動部分114を右方向に移動させて材料を圧縮し、それにより、気泡は、互いに接続されて貫通孔を形成し、それによって製品の弾力性を変化させる。
【0031】
他の実施形態では、成形キャビティ110a内部の圧力は、可動部分114を移動させることによってのみ、またはガス供給装置130によってガスを供給することによってのみ変化させるか、または変化させなくてもよい。本発明は、この点に関して制限を課すことは意図していないことに留意されたい。これに関して、図面を参照して以下に実施例を記載する。
【0032】
図3Aおよび図3Bは、本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。図4は、図3Aおよび図3Bの射出成形装置の射出成形方法を示すフローチャートである。図3Aおよび図3Bに示す射出成形装置100Aは、図3Aおよび図3Bに示す実施形態では、成形キャビティ110a内部の圧力を可動部分114を移動させることによってのみ変化させるという点で、図1および図2A図2Dに示す射出成形装置100とは異なる。本動作プロセスは、図1および図2A図2Dに示す実施形態の可動部分114の動作プロセスと同様である。この点に関する詳細が図4を参照して以下に記載される。最初に、鋳型110が用意される。鋳型110は、固定部分112および可動部分114を含む。成形キャビティ110aは、固定部分112と可動部分114との間に形成される(ステップS602)。次いで、可動部分114を、固定部分112に対して図3Aに示す状態に移動させて成形キャビティ110aの容積を低減させ、それにより、成形キャビティ110a内部の圧力が非加圧状態から加圧状態に調整される(ステップS604)。材料Mを射出装置120によって成形キャビティ110a内に射出する。材料Mは、超臨界流体を含む。図3Aに示す加圧状態において超臨界流体が気化することが防止される(ステップS606)。図3Bに示すように可動部分114を固定部分112に対して移動させて成形キャビティ110aの容積を増加させ、それにより、成形キャビティ110a内部の圧力が非加圧状態に戻される。加えて、超臨界流体が気化して、図3Bに示す非加圧状態で発泡を開始する。
【0033】
図5Aおよび図5Bは、本発明の別の実施形態による射出成形装置の動作プロセスを示す図である。図6は、図5Aおよび5Bの射出成形装置の射出成形方法を示すフローチャートである。図5Aおよび図5Bに示す射出成形装置100Bは、図5Aおよび図5Bに示す実施形態では、成形キャビティ110a内部の圧力をガス供給装置130によってガスを供給することによってのみ変化させるか、または変化させないという点で図1および図2A図2Dに示す射出成形装置100とは異なる。本動作プロセスは、図1および2A~図2Dに示す実施形態のガス供給装置130の動作プロセスと同様である。この点に関する詳細が図6を参照して以下に記載される。最初に、ガスがガス供給装置130によって鋳型110の成形キャビティ110aに供給され、それにより、成形キャビティ内部の圧力がガスによって非加圧状態から加圧状態に調整される(ステップS702)。次いで、材料Mを射出装置120によって成形キャビティ内に射出する。材料Mは、(超臨界流体などの)被発泡媒体を含む材料を含む。図5Aに示す加圧状態は、超臨界流体が気化するのを防止する(ステップS704)。ガス供給装置130は、ガスの供給を停止し、それにより、成形キャビティ110a内部の圧力が非加圧状態に戻される。図5Bに示す非加圧状態は、超臨界流体を気化させ、発泡を開始させることを可能にする(ステップS706)。
【0034】
前述の事項に鑑みて、本発明の実施形態では、材料を鋳型に射出する前に、ガス供給装置は、成形キャビティ内にガスを供給して成形キャビティ内部の圧力を増加させ、および/または鋳型の可動部分を移動させて成形キャビティ内部の圧力を増加させる。このようにして、鋳型に射出された材料中の超臨界流体が発泡するのを防止する。鋳型に射出された材料の表面が冷却され固化された後、ガス供給装置は、もはや成形キャビティ内部の圧力を増加させず、それにより、材料の超臨界流体中に形成された気泡核は、圧力が低下するとともに発泡を開始する。このようにして、超臨界流体の発泡に起因する非固化状態の材料の表面に生じる欠陥が回避され、超臨界流体の発泡が均一になる。したがって、製造された製品は、それに応じて望ましい品質および歩留まりを有する。
【0035】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の構造に様々な変更および変形を加えることができることは当業者には明らかであろう。前述の事項に鑑みて、本発明は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に収まる限り、本発明の修正形態および変形形態を網羅することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の射出成形装置は、射出成形プロセスにおいて適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10:光検知装置
50:制御ユニット
60:駆動機構
100、100A、100B:射出成形装置
110:鋳型
110a:成形キャビティ
110b:ガス噴射通路
112:固定部分
114:可動部分
120:射出装置
130:ガス供給装置
140:圧力センサ
B:気泡
M:材料
N:気泡核
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6