(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ゴルフパッティング練習機
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
A63B69/36 514H
(21)【出願番号】P 2021005370
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0009130
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521024271
【氏名又は名称】ワイティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンテク
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-111170(JP,U)
【文献】登録実用新案第3033837(JP,U)
【文献】特表2017-524509(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154792(JP,U)
【文献】実公昭36-020905(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッティング後のボールを容易に且つ精度よく回収するためのパッティング練習機であって、
外力により曲げ変形され、
曲げ変形後の弾性
復元力により元に戻る
ことにより、ボールをユーザの位置へ戻らせるロッド状の弾性部材と、
前記弾性部材に
対し前記ボールを戻らせる方向とは反対方向の外力をかけ、前記外力による曲げモーメントを
前記弾性部材に与える作動部と、
前記作動部の動作をスイッチングするスイッチと、
前記スイッチのスイッチングにより、前記作動部へ電力を供給する電源部と、
前記ボールの往復経路を成すレール部と、を含
み、
前記作動部は、クランクシャフト及びクランクアームを含み、
前記クランクアームの長さを変更することにより、前記弾性部材の弾性復元力を調整できるパッティング練習機。
【請求項2】
前記スイッチは、前記ボールの往復経路の底面に位置し、ボールによりスイッチングされる、請求項
1に記載のパッティング練習機。
【請求項3】
前記スイッチは、機械的または静電気的にスイッチングされる、請求項
2に記載のパッティング練習機。
【請求項4】
前記レール部は、前記ボールの往復経路に沿った楔形となっており、
前記スイッチは、前記ボールの往復経路の底面に位置する、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載のパッティング練習機。
【請求項5】
前記弾性部材の材料は、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、及び硬質ゴムからなる群より一つ以上選択されたものである、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のパッティング練習機。
【請求項6】
前記弾性部材の表面に設けられた緩衝部材を更に含む、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のパッティング練習機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経済性やユーザ利便性の高いシンプルな構造のゴルフパッティング練習機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフにおいて、パッティングは、パター等に用いて、グリーン上のボールをホールに入れるストロークであって、グリーンの傾斜や凹凸、ボールまでの距離等を把握したうえで、慎重に打つ必要があり、多くの練習を要する。ところが、実際にグリーンで十分な練習をこなすことが容易ではないことから、屋内で練習するための環境づくりが必要である。
【0003】
そこで、パッティング練習を行うための種々の装置が開発されており、通常のパッティング練習装置は、所定の長さを有し、パッティングポイントからホールカップに向けて傾斜したグリーン部と、パッティングされたボールの離脱を防止するための側壁と、を備えている。しかし、このようなパッティング練習装置では、ホールカップに向けてパッティングされたボールを、ユーザが自ら回収しなければならないので、手間がかかる。
【0004】
そこで、パッティングされたボールを回収するための装置が考案されているが、構造が複雑で、回収しようとした目標点から外れやすい等の問題があった。
【0005】
ここに、本発明者は、構造がシンプルながら、ボールを精度よくユーザに戻らせることができるように工夫を重ね、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来の問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、シンプルな構造ながら、ユーザ利便性の高いパッティング練習機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、外力により曲げ変形され、弾性により元に戻るロッド状の弾性部材と、前記弾性部材に曲げモーメントを与える作動部と、前記作動部の動作をスイッチングするスイッチと、前記スイッチのスイッチングにより、前記作動部へ電力を供給する電源部と、ボールの往復経路を成すレール部と、を含むパッティング練習機が提供される。
【0008】
一実施例において、前記パッティング練習機は、曲げ変形された弾性部材の弾性復元力により、ボールをユーザの位置へ戻らせることができる。
【0009】
一実施例において、前記作動部は、クランクシャフト及びクランクアームを含む。
【0010】
一実施例において、前記スイッチは、ボールの往復経路の底面に位置し、ボールによりスイッチングされる。
【0011】
一実施例において、前記スイッチは、機械的または静電気的にスイッチングされる。
【0012】
一実施例において、前記レール部は、ボールの往復経路に沿った楔形となっており、前記スイッチは、ボールの往復経路の底面に位置する。
【0013】
一実施例において、前記弾性部材の材料としては、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastics)、及び硬質ゴム(hard rubber)からなる群より一つ以上選択することができる。
【0014】
一実施例において、前記パッティング練習機は、前記弾性部材の表面に設けられた緩衝部材を更に含んでいて良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパッティング練習機によると、ボールを精度よくユーザに戻らせることができる。
【0016】
また、本発明のパッティング練習機は、構造がシンプルで故障する恐れが少なく、また、生産性が高くて経済性が良い。
【0017】
なお、本発明の効果は、上記の効果に限るものではなく、本発明の発明の詳細な説明や特許請求の範囲に記載された発明の構成より、推論可能な全ての効果を含むと、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例に係るパッティング練習機の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るパッティング練習機の作動メカニズムを示した図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るパッティング練習機の平面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るパッティング練習機の背面図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係るパッティング練習機の作動部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明について説明するが、本発明は、様々な態様として実現されることができ、以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
なお、図面においては、本発明を明確に説明するために必要性の低い部分については省略されており、本明細書の全体においては、類似な構成について類似な符号が付されている。
【0021】
また、本明細書に用いられた用語は、本発明での機能を考慮しながら、できるだけ周知のものが採用されているものの、その意味は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の意図や、判決例、新技術の出願等の事情により、異なることもある。
【0022】
更に、本出願人の任意で選定された用語もあり得て、この場合、本発明の詳細な説明の該当する部分に、その意味について詳細に記載されている。そのため、本明細書で用いられた用語は、単に該用語の名称ではなく、該用語が有する意味や、本発明の全般にわたる内容に基づいて、理解されるべきである。
【0023】
なお、本明細書の全体において、ある構成が他の構成と「接続」されているとは、「直に接続」される場合だけでなく、第3の部材等を介して「接続」される場合も含まれることにする。また、ある要素がある構成を「含む」とは、反する記載が示されていない限り、他の構成を排除するのではなく、他の構成を更に含む場合もあることにする。
【0024】
更に、本明細書に記載の「・・ユニット」や、「・・手段」、「・・部」、「・・部材」等の用語は、1つ以上の機能や作用を行う包括的な構成の単位を意味する。
【0025】
以下に、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
【0026】
本発明の一態様によると、外力により曲げ変形され、弾性により元に戻るロッド状の弾性部材100と、弾性部材100に曲げモーメント(bending moment)を与える作動部200と、作動部200の動作をスイッチング(switching)するスイッチ300と、スイッチ300のスイッチングにより、作動部200へ電力を供給する電源部400と、ボールの往復経路を成すレール部500と、を含むパッティング練習機10が提供される。
【0027】
図1を参照すると、パッティング練習機10は、ロッド状の弾性部材100、作動部200、スイッチ300、電源部400、及びレール部500を含む。
【0028】
パッティング練習機10は、屋内でのゴルフパッティングの練習をアシストする装置であって、ホールカップに該当するエリアと、レールと、を含む。
【0029】
パッティング練習機10は、ボールがホールカップに該当するエリアに入ると、ロッド状の弾性部材100により、ボールをユーザの位置へ戻らせることができる。
【0030】
パッティング練習機10は、ユーザ利便性や経済性を実現するとともに、故障を抑制できるようにシンプルな構造となっており、ボールの戻る経路を一定に維持することができる。
【0031】
弾性部材100は、固定部600により一端が支持された状態で、外力により曲げ変形をしてから、元の位置へ戻るロッド状のものであって良い。
【0032】
ロッド状(stick type)とは、細長い形状を意味し、平らで長い形状や、円柱、直六面体等の形状を含む。
【0033】
弾性部材100は、板バネを含むバネ等の金属材質でも良く、弾性復元力があれば、合成材料や炭素繊維など、種々の材料を用いることができる。
【0034】
図2を参照すると、固定部600に支持された弾性部材100は、外力により反らされてから元に戻る弾性力により、ボールを打つことができ、これにより、ボールは、ホールカップエリアへ入った方向へと折り返される。
【0035】
作動部200は、弾性部材100に曲げモーメントを与える。作動部200は、弾性部材100に外力をかけ、該弾性部材100を反らせる。そして、該外力を外すことにより、弾性部材100に復元力(弾性力)を発生させる。なお、作動部200は、弾性部材100を反らせることにより、曲げモーメントを与えることができれば、その形態等において、特に制限はない。
【0036】
本発明の一態様によると、作動部200は、クランクシャフト及びクランクアームを含んでいて良く、クランクシャフトに回転力を与えるための回転手段を有しても良い。
【0037】
一般に、回転手段は、電気エネルギーを供給されることにより回転する電動機ではあるが、回転力を与えることができれば、その種類において、特に制限はない。
【0038】
クランクシャフが軸を中心に回転することにより、クランクシャフトより一方向に突出したクランクアームも回転することができる。
【0039】
図2を参照すると、クランクアームは、回転運動を通じて、弾性部材に曲げモーメントを与えることができる。
【0040】
一実施例において、クランクアームは、反時計回り方向に回転することにより、弾性部材100と接触し(
図2の(a))、更に回転することにより、弾性部材100を反らせ(
図2の(b))、所定の閾値を超えると、弾性部材100にかけられた曲げモーメントが外され、弾性力により元の位置へ戻ることで、ボールを弾き返すことになる(
図2の(c))。
【0041】
ここで、クランクアームの長さは、可変であって良い。、クランクアームが変更可能なことにより、弾性部材100に与えられる曲げモーメントを調整することができる。
【0042】
即ち、クランクアームの長さを増やせば、クランクシャフトの回転により弾性部材100にかかる最大曲げモーメントが大きくなり、一方で、クランクアームの長さを減らせば、弾性部材100にかかる最大曲げモーメントが小さくなることから、クランクアームの長さを変更することにより、好適な復元力を実現することができる。
【0043】
スイッチ300は、作動部200の動作をスイッチングすることができる。これにより、ボールは元の位置へ戻ることができる。
【0044】
スイッチ300は、電気回路の開閉器であって、機械的または静電気的にスイッチングされる。即ち、スイッチ300は、ボールの重量により、機械的にスイッチングされても良く、ボールとの接触に伴う静電気的な変化により、スイッチングされても良いが、ボールと接触することによりスイッチングできれば良く、その方式において、特に制限はない。
【0045】
ここで、スイッチ300は、ボールの往復経路の底面に設けられ、ボールとの接触によりスイッチングされる。
【0046】
図3及び
図4を参照すると、スイッチ300は、レール上に設けられており、ボールは、ユーザのパッティングにより、レールの上を進んで、スイッチ300と接触する。ボールがスイッチ300と接触することにより、スイッチングが行われ、該スイッチングにより、電源部400が作動部200へ電力を供給する。
【0047】
作動部200には、弾性部材100に曲げモーメントを与えるためのパワーが求められ、電源部400は、作動部200を動作させるための電力を供給する。なお、電源部400は、作動部200またはパッティング練習機10を駆動するための電力を蓄電または供給できる手段であれば良く、特に制限はない。例えば、バッテリーやパワーサプライであって良い。
【0048】
レール部500は、ボールの往復経路を成す。レール部は、ユーザのパッティングによりボールが通過する経路を提供し、その材料や形状に特に制限はなく、具体的には、例えば、芝生の上でパッティングをする効果をもたらすために、人工芝やカーペットで制作されたマットタイプであって良い。
【0049】
なお、レール部500は、中央部に、スイッチ300が設けられる半円形の凹部(図示せず)を有することができる。凹部は、半円形でへこんでいることから、パッティングされたボールが凹部に入り、止まることができる。このように、凹部は、ボールが止まり、スイッチ300と接触できるエリアを提供するので、ボールが弾性部材100と衝突するに適切な位置に設けられれば良い。
【0050】
また、レール部500は、ボールの往復経路に沿った楔形からなり、スイッチ300は、ボールの往復経路の底面に位置することができる。
【0051】
なお、ボールは、レール部500を進んで、最後にスイッチ300と接触し、止まることから、レール部500は、ボールが所定の位置に精度よく止まれるように制作すれば良い。
【0052】
そこで、レール部500は、下流に向けて傾斜(約1~10°)し、ボールの進む方向に向けて幅が次第に狭くなる楔形とすることにより、パッティング時にボールが確実にスイッチ300と接触する構造が成し遂げられる。
【0053】
即ち、レール部500は、ボールの進む方向に向けて、底面の高さは次第に低くなり、幅は次第に狭くなる構造のため、レールの上を進むボールが、底面に位置するスイッチ300を確実にスイッチングすることができる。
【0054】
前述のパッティング練習機10は、パッティングされたボールにより、スイッチ300がスイッチングされ、曲げ変形した弾性部材100の弾性復元力により、ボールを戻らせることができる。
【0055】
前述の実施例では、作動部200について、クランクシャフト及びクランクアームを有する回転方式にて説明したが、他の例では、作動部200は、直線方向に往復移動するレバーのような形態であっても良い。
【0056】
図5を参照すると、作動部200は、段差が形成されたレバー式であって、レバーが内側に移動した際に、弾性部材100に曲げモーメントが与えられ、所定の閾値を超えると、弾性部材100に復元力が働くようにすることができる。
【0057】
弾性部材100は、外力により変形してから、元の形状に戻れるのであれば良く、具体的に、弾性部材100の材料は、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastics)、及び硬質ゴム(hard rubber)からなる群より一つ以上選択することができるが、これに限定されない。
【0058】
なお、パッティング練習機10は、弾性部材100の表面に設けられた緩衝部材を更に含むことができる。弾性部材100は、ボールとの衝突により、騒音が起こす恐れがあり、騒音を抑えるために、弾性部材100の表面に緩衝材を取り付けることができる。
【0059】
緩衝部材は、柔らかい材質で、ボールとの衝突により発生する衝撃を吸収できれば、材料において特に制限はなく、例えば、軟質プラスチックや、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンゴム等であって良い。
【0060】
前述した本発明の詳細な説明は、例示のためのもので、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずに、他の態様へ容易に至ることが可能と、理解されるべきである。即ち、前述した本発明の実施形態は、全ての面において例示であって、限定的なものではないと、理解されるべきである。例えば、各構成要素において、本明細書で一体型として説明されたといえ、分離型として実施することも可能であり、同様に、分離型として説明されたといえ、一体型として実施することも可能である。
【0061】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲により示されるもので、該特許請求の範囲の意味やカバレージ、そして、その均等域より導かれる全ての改良や変形の形態が、本発明の範囲に含まれると、解釈されるべきである。
【0062】
本願は、2020年1月23日に出願された韓国特許出願第10-2020-0009130号に基づきその優先権を主張するものであり、同韓国出願の全内容を参照することにより本願に援用する。
【符号の説明】
【0063】
10:パッティング練習機
100:弾性部材
200:作動部
300:スイッチ
400:電源部
500:レール部
600:固定部