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特許7130281情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/375 20210101AFI20220829BHJP
   A61B 5/374 20210101ALI20220829BHJP
   A61B 5/378 20210101ALI20220829BHJP
   A61B 5/38 20210101ALI20220829BHJP
   A61B 5/381 20210101ALI20220829BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20220829BHJP
   G16H 20/70 20180101ALI20220829BHJP
【FI】
A61B5/375
A61B5/374
A61B5/378
A61B5/38
A61B5/381
A61M21/02 J
G16H20/70
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021152840
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300014554
【氏名又は名称】株式会社メディアシーク
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直紀
(72)【発明者】
【氏名】向後 良規
(72)【発明者】
【氏名】平井 祐希
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲郎
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-205183(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195082(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1699623(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/369-5/386
A61B 5/16
G16H 20/70
A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法に対応する、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含む通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記コンテンツと前記コンテンツの種別とを関連付けて記憶する記憶部と、
複数の前記ユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部と、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部と、
前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記コンテンツのうち、 前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に関連付けられている一以上のコンテンツのいずれかを前記ユーザの端末に出力し、当該通知方法情報に含まれている前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部と、
前記複数のコンテンツそれぞれを出力したときに前記状態特定部が特定した前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記複数のコンテンツのうち、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度が相対的に高いコンテンツを効果的コンテンツとして特定するコンテンツ特定部と、
を有し、
前記通知部は、前記コンテンツ特定部が前記効果的コンテンツを特定したことに応じて、特定した前記効果的コンテンツを前記ユーザの端末に出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記効果的コンテンツに関連付けて前記記憶部に記憶されている属性を特定し、特定した属性と関連付けて前記記憶部に記憶されている一以上のコンテンツを前記ユーザの端末に出力する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、複数の前記分析方法情報を関連付けて記憶する記憶部と、
複数の前記ユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部と、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部と、
前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部と、
前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部と、
前記通知部により前記脳波の状態を通知する前の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第1状況情報と、複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により前記脳波の状態を分析し、前記通知部により当該脳波の状態を通知した後の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第2状況情報とを取得し、前記第1状況情報と、前記第2状況情報とに基づいて、相対的に前記改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す前記第2状況情報を特定し、特定した第2状況情報を取得した時に用いられた分析方法を、前記改善対象状態の改善に適した分析方法に特定し、前記記憶部において、前記改善対象状態に関連付けられる前記分析方法を、特定した分析方法に限定する更新部と、
を有する情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する複数の通知方法のいずれかを示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
複数の前記ユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部と、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部と、
前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部と、
前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部と、
を有し、
複数の前記通知方法は、
前記ユーザの端末にコンテンツである音声を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツにノイズ音を付加することにより前記脳波の状態を通知する第1通知方法、
前記ユーザの端末にコンテンツである映像を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツの解像度を変化させる第2通知方法、
前記ユーザの近傍に配置される芳香物質を発生可能な装置に、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて芳香物質を発生させる第3通知方法、
前記第1通知方法から前記第3通知方法のうちの少なくとも2つの通知方法を組み合わせた第4通知方法、
を含み、
前記通知部は、前記選択部が選択した改善対象に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記第1通知方法から前記第4通知方法のいずれかの通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記分析方法情報と、複数のユーザの属性を示す属性情報と、複数のユーザの属性それぞれに対応する複数の前記通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶し、
前記通知部は、前記対象ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記属性情報を特定することにより、前記対象ユーザの属性を特定し、前記選択部が選択した改善対象状態と、特定した前記対象ユーザの属性とに関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知方法情報は、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含み、
前記選択部は、前記対象ユーザから、前記選択部が選択した前記改善対象状態に関連付けられている通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に対応するコンテンツの選択を受け付け、
前記通知部は、前記選択部が選択した前記コンテンツを前記ユーザの端末に出力し、前記改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する前に、所定時間において前記状態特定部が特定した前記脳波の状態に基づいて、前記対象ユーザの脳波の状態が変化する範囲を特定し、前記変化する範囲内に、前記脳波の状態が前記改善対象状態の改善に対して良好な状態であるか、前記脳波の状態が前記改善対象状態の改善に対して良好ではない状態であるかを判別するための閾値を設定し、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記閾値と比較した結果に対応する態様で、前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択するステップと、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得するステップと、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法に対応する、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含む通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記コンテンツと前記コンテンツの種別とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定するステップと、
前記記憶部に記憶されている複数の前記コンテンツのうち、 選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に関連付けられている一以上のコンテンツのいずれかを前記ユーザの端末に出力し、当該通知方法情報に含まれている前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知するステップと、
前記複数のコンテンツそれぞれを出力したときに特定された前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記複数のコンテンツのうち、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度が相対的に高いコンテンツを効果的コンテンツとして特定するステップと、
前記効果的コンテンツが特定されたことに応じて、特定された前記効果的コンテンツを前記ユーザの端末に出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択するステップと、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得するステップと、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、複数の前記分析方法情報を関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定するステップと、
選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知するステップと、
前記脳波の状態を通知する前の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第1状況情報と、複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により前記脳波の状態を分析し、当該脳波の状態を通知した後の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第2状況情報とを取得し、前記第1状況情報と、前記第2状況情報とに基づいて、相対的に前記改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す前記第2状況情報を特定し、特定した第2状況情報を取得した時に用いられた分析方法を、前記改善対象状態の改善に適した分析方法に特定し、前記記憶部において、前記改善対象状態に関連付けられる前記分析方法を、特定した分析方法に限定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択するステップと、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得するステップと、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する複数の通知方法のいずれかを示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定するステップと、
選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知するステップと、
を有し、
複数の前記通知方法は、
前記ユーザの端末にコンテンツである音声を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツにノイズ音を付加することにより前記脳波の状態を通知する第1通知方法、
前記ユーザの端末にコンテンツである映像を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツの解像度を変化させる第2通知方法、
前記ユーザの近傍に配置される芳香物質を発生可能な装置に、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて芳香物質を発生させる第3通知方法、
前記第1通知方法から前記第3通知方法のうちの少なくとも2つの通知方法を組み合わせた第4通知方法、
を含み、
前記通知するステップにおいて、前記コンピュータは、選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記第1通知方法から前記第4通知方法のいずれかの通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法に対応する、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含む通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記コンテンツと前記コンテンツの種別とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部、及び、
前記記憶部に記憶されている複数の前記コンテンツのうち、 選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に関連付けられている一以上のコンテンツのいずれかを前記ユーザの端末に出力し、当該通知方法情報に含まれている前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部、
前記複数のコンテンツそれぞれを出力したときに前記状態特定部が特定した前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記複数のコンテンツのうち、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度が相対的に高いコンテンツを効果的コンテンツとして特定するコンテンツ特定部、
として機能させ
前記通知部は、前記コンテンツ特定部が前記効果的コンテンツを特定したことに応じて、特定した前記効果的コンテンツを前記ユーザの端末に出力する、
プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、複数の前記分析方法情報を関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部、及び、
選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている複数の前記通知方法情報のいずれかが示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部、
前記通知部により前記脳波の状態を通知する前の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第1状況情報と、複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により前記脳波の状態を分析し、前記通知部により当該脳波の状態を通知した後の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第2状況情報とを取得し、前記第1状況情報と、前記第2状況情報とに基づいて、相対的に前記改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す前記第2状況情報を特定し、特定した第2状況情報を取得した時に用いられた分析方法を、前記改善対象状態の改善に適した分析方法に特定し、前記記憶部において、前記改善対象状態に関連付けられる前記分析方法を、特定した分析方法に限定する更新部と、
として機能させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部、
前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部、
複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する複数の通知方法のいずれかを示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部、及び、
選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部、
として機能させ、
複数の前記通知方法は、
前記ユーザの端末にコンテンツである音声を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツにノイズ音を付加することにより前記脳波の状態を通知する第1通知方法、
前記ユーザの端末にコンテンツである映像を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツの解像度を変化させる第2通知方法、
前記ユーザの近傍に配置される芳香物質を発生可能な装置に、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて芳香物質を発生させる第3通知方法、
前記第1通知方法から前記第3通知方法のうちの少なくとも2つの通知方法を組み合わせた第4通知方法、
を含み、
前記通知部は、前記コンピュータは、選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記第1通知方法から前記第4通知方法のいずれかの通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波を示す脳波情報に関する処理を行う情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳波を測定する被験者に対して脳波の測定状態を認識させ、被験者が意図したように脳波を調整させる訓練を行うことにより脳機能を高めるニューロフィードバックが知られている。例えば、特許文献1には、被験者がリラックスするときの脳波が検出されるように、被験者に自身の脳活動を修正させる訓練であるニューロフィードバックを行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2020-501625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ニューロフィードバックでは、被験者がリラックスできるような脳波を発生できるようにする訓練だけでなく、集中力を高められるように脳波を発生できるようにする訓練や、認知症や抑うつが軽減されるように脳波を発生できるようにする訓練も存在し、これらの訓練それぞれで、脳波の分析方法も異なっている。しかしながら、従来、ユーザが改善したい能力又は症状に対応した分析方法により脳波を分析し、脳機能を高める訓練を行うことができる装置は提供されていなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが改善したい能力又は症状に対応して脳機能を高める訓練を実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部と、複数の前記ユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部と、前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部と、前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部と、前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、前記複数のユーザ状態のそれぞれに対し、前記分析方法情報と、複数のユーザの属性を示す属性情報と、複数のユーザの属性それぞれに対応する複数の前記通知方法情報とを関連付けて記憶するとともに、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの属性を示す属性情報とを関連付けて記憶し、前記通知部は、前記対象ユーザの前記ユーザ識別情報に関連付けられている前記属性情報を特定することにより、前記対象ユーザの属性を特定し、前記選択部が選択した改善対象状態と、特定した前記対象ユーザの属性とに関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知してもよい。
【0008】
前記通知方法情報は、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含み、前記選択部は、前記対象ユーザから、前記選択部が選択した前記改善対象状態に関連付けられている通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に対応するコンテンツの選択を受け付け、前記通知部は、前記選択部が選択した前記コンテンツを前記ユーザの端末に出力し、前記改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す通知方法情報に含まれている前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知してもよい。
【0009】
前記通知方法情報は、前記脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、前記脳波の状態に基づいて前記コンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含み、前記記憶部は、複数の前記コンテンツと前記コンテンツの種別とを関連付けて記憶し、前記通知部は、前記記憶部に記憶されている複数の前記コンテンツのうち、前記選択部が選択した前記改善対象状態に関連付けられている通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に関連付けられている一以上のコンテンツのいずれかを前記ユーザの端末に出力し、当該通知方法情報に含まれている前記コンテンツの内容を変化させる態様で前記コンテンツの内容を変化させることにより、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知し、前記複数のコンテンツそれぞれを出力したときに前記状態特定部が特定した前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記複数のコンテンツのうち、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度が相対的に高いコンテンツを効果的コンテンツとして特定するコンテンツ特定部をさらに有し、前記通知部は、前記コンテンツ特定部が前記効果的コンテンツを特定したことに応じて、特定した前記効果的コンテンツを前記ユーザの端末に出力してもよい。
【0010】
前記通知部は、前記効果的コンテンツに関連付けて前記記憶部に記憶されている属性を特定し、特定した属性と関連付けて前記記憶部に記憶されている一以上のコンテンツを前記ユーザの端末に出力してもよい。
【0011】
前記記憶部は、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、複数の前記分析方法情報を関連付けて記憶させ、前記状態特定部は、前記選択部が選択した改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定し、前記情報処理装置は、前記通知部により前記脳波の状態を通知する前の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第1状況情報と、複数の前記分析方法情報のいずれかが示す分析方法により前記脳波の状態を分析し、前記通知部により当該脳波の状態を通知した後の前記対象ユーザの前記改善対象状態の状況を示す第2状況情報とを取得し、前記第1状況情報と、前記第2状況情報とに基づいて、相対的に前記改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す前記第2状況情報を特定し、特定した第2状況情報を取得した時に用いられた分析方法を、前記改善対象状態の改善に適した分析方法に特定し、前記記憶部において、前記改善対象状態に関連付けられる前記分析方法を、特定した分析方法に限定する更新部をさらに有してもよい。
【0012】
前記通知部は、前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する前に、所定時間において前記状態特定部が特定した前記脳波の状態に基づいて、前記対象ユーザの脳波の状態が変化する範囲を特定し、前記変化する範囲内に、前記脳波の状態が前記改善対象状態の改善に対して良好な状態であるか、前記脳波の状態が前記改善対象状態の改善に対して良好ではない状態であるかを判別するための閾値を設定し、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記閾値と比較した結果に対応する態様で、前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知してもよい。
【0013】
複数の前記通知方法は、前記ユーザの端末にコンテンツである音声を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツにノイズ音を付加することにより前記脳波の状態を通知する第1通知方法、前記ユーザの端末にコンテンツである映像を出力するとともに、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて、前記コンテンツの解像度を変化させる第2通知方法、前記ユーザの近傍に配置される芳香物質を発生可能な装置に、前記対象ユーザの脳波の状態に基づいて芳香物質を発生させる第3通知方法、前記第1通知方法から前記第3通知方法のうちの少なくとも2つの通知方法を組み合わせた第4通知方法、を含み、前記通知部は、前記選択部が選択した改善対象に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記第1通知方法から前記第4通知方法のいずれかの通知方法に基づいて、前記状態特定部が特定した前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択するステップと、前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得するステップと、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定するステップと、選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部、前記対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部、複数の前記ユーザ状態のそれぞれに対し、前記ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、前記分析により特定されたユーザの脳波の状態を前記ユーザに通知する通知方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部において、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている前記分析方法情報が示す分析方法により、前記脳波情報が示す前記対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部、及び、選択された改善対象状態に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記通知方法情報が示す前記通知方法に基づいて、特定された前記脳波の状態を前記対象ユーザに通知する通知部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが改善したい能力又は症状に対応して脳機能を高める訓練を実施することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
図3】組み合わせ情報の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
図6】第3実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは、ユーザの脳機能を高める訓練を実施するためのシステムである。図1に示すように、情報処理システムSは、情報処理装置1と、ユーザ端末2と、脳波測定装置3とを有する。情報処理装置1は、インターネット回線や携帯電話網等の通信ネットワークを介して脳波を測定する対象ユーザが所持するユーザ端末2と通信可能に接続されており、対象ユーザの脳波の状態を特定してユーザ端末2に通知するコンピュータである。
【0019】
ユーザ端末2は、例えばユーザが所持するスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の端末である。ユーザ端末2は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、無線LAN等の無線通信、又は、USB(登録商標)等の有線通信を介して、対象ユーザの脳波を測定する脳波測定装置3と通信可能に接続されている。
【0020】
第1実施形態において、情報処理装置1は、ユーザ端末2から、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態の選択を受け付けることにより、改善対象状態を選択する(図1の(1))。改善対象状態は、例えば、短期記憶力が低下している状態、認知症になっている状態、慢性的な疼痛があるという状態、及びうつ病になっている状態のように、心身に改善の余地がある状態である。
【0021】
情報処理装置1は、脳波測定装置3において測定された対象ユーザの脳波を示す脳波情報を、ユーザ端末2を介して、脳波測定装置3から取得する(図1の(2))。情報処理装置1は、複数のユーザ状態のそれぞれに対し、脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、ユーザの脳波の状態をユーザに通知する方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶している。情報処理装置1は、選択された改善対象状態に関連付けられている分析方法情報を特定することにより、脳波の分析に用いる分析方法を特定する(図1の(3))。
【0022】
情報処理装置1は、特定した分析方法により脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定する(図1の(4))。情報処理装置1は、選択された改善対象状態に関連付けられている通知方法情報が示す通知方法により、特定した脳波の状態をユーザ端末2に通知することにより、特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する(図1の(5))。
【0023】
このようにすることで、情報処理システムSでは、ユーザが改善したい能力又は症状に対して適切であると考えられる分析方法及び通知方法を選択し、改善したい能力又は症状に対応する脳機能を高める訓練を効果的に実施することができる。
【0024】
[情報処理装置1の構成]
続いて、情報処理装置1の構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る情報処理装置1の構成を示す図である。図2に示すように、情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0025】
通信部11は、インターネット回線や携帯電話網等の通信ネットワークに接続するためのインターフェースである。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部12は、制御部13を、選択部131、取得部132、状態特定部133及び通知部134として機能させるプログラムを記憶している。
【0026】
また、記憶部12は、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、ユーザの脳波の分析に対応する分析方法を示す分析方法情報と、分析により特定されたユーザの脳波の状態をユーザに通知する方法を示す通知方法情報とを関連付けた組み合わせ情報を記憶する。
【0027】
図3は組み合わせ情報の一例を示す図である。図3に示すように、複数のユーザ状態のそれぞれに対し、分析方法を示す分析方法情報と、通知方法を示す通知方法情報とが関連付けられていることが確認できる。図3では、通知方法情報として、通知方法を特定するための通知方法の名称が示されている。図3に示すように、ユーザの症状又は能力は、脳機能を訓練することにより改善する症状又は能力であり、図3に示すように短期記憶力、認知症、うつ病、慢性疼痛、ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder、注意欠如、多動症)が挙げられる。また、分析方法には、周波数解析、信号源推定、コヒーレンス、事象関連電位、及びこれらの分析方法の組み合わせが含まれる。
【0028】
周波数解析は、例えば、脳波の周波数スペクトル解析を行い、α波、β波、θ波等の周波数帯ごとの脳波の強度を分析する分析方法である。信号源推定は、脳波測定装置3が対象ユーザの頭部の複数個所から測定した脳波に基づいて、脳波の発生元を分析する分析方法である。脳波の発生元を分析することにより、活性化している脳機能を特定することができる。
【0029】
コヒーレンスは、例えば2つの部位で測定した脳波の位相の揃い具合を特定し、揃い具合に基づいて脳内に構築されたネットワークを分析する分析方法である。事象関連電位は、対象ユーザが物体を見たり考えたりしたことに対して生じる脳波を特定する分析方法である。
【0030】
例えば、ユーザ状態の一つである短期記憶力の改善には、周波数解析を用いた脳波の分析が適していると考えられており、図3に示すように、短期記憶力に対して、分析方法として周波数解析が関連付けられていることが確認できる。他のユーザ状態のそれぞれに対しても、効果的であると考えられている分析方法が関連付けられている。
【0031】
通知方法情報は、図3に示すように通知方法の名称を含むとともに、脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別と、脳波の状態に基づいてコンテンツの内容を変化させる態様との組み合わせを示す情報を含んでいる。コンテンツの種別は、例えば、「音声」、「映像」、「芳香」であり、コンテンツの内容を変化させる態様には、「品質の変化」、「芳香の強さの変化」が含まれている。
【0032】
また、通知方法には、第1通知方法としての音声通知、第2通知方法としての映像通知、第3通知方法としての芳香通知、第4通知方法としての、第1通知方法から第3通知方法のうちの少なくとも2つの通知方法を組み合わせた通知方法とが含まれる。
【0033】
例えば、第1通知方法としての音声通知を示す通知方法情報には、脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別としての「音声」と、コンテンツの内容を変化させる態様としての「品質の変化」との組み合わせを示す情報が含まれている。音声通知は、当該組み合わせを示す情報に基づいて、ユーザ端末2にコンテンツである音声を出力するとともに、対象ユーザの脳波の状態に基づいて、コンテンツにノイズ音を付加することにより脳波の状態を通知する。
【0034】
また、第2通知方法としての映像通知を示す通知方法情報には、脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別としての「映像」と、コンテンツの内容を変化させる態様としての「品質の変化」との組み合わせを示す情報が含まれている。映像通知は、当該組み合わせを示す情報に基づいて、ユーザ端末2にコンテンツである映像を出力するとともに、対象ユーザの脳波の状態に基づいて、コンテンツの解像度を変化させることにより脳波の状態を通知する。
【0035】
また、第3通知方法としての芳香通知を示す通知方法情報には、脳波の状態の通知に用いるコンテンツの種別としての「芳香」と、コンテンツの内容を変化させる態様としての「芳香の強さの変化」との組み合わせを示す情報が含まれている。芳香通知は、当該組み合わせを示す情報に基づいて、ユーザの近傍に配置され、芳香物質を発生可能な芳香発生装置(不図示)に、対象ユーザの脳波の状態に対応する量の芳香物質を発生させることにより、脳波の状態を通知する。芳香発生装置は、情報処理装置1又はユーザ端末2の少なくともいずれかと通信する機能を有しており、芳香発生装置は、情報処理装置1又はユーザ端末2からの指示に基づいて芳香物質を発生する。ここで、芳香発生装置が出力する芳香物質は、例えばユーザを覚醒させたりリラックスさせたりする等の、ユーザの脳に作用することが実証されている芳香に対応する芳香物質であるものとする。
【0036】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、選択部131、取得部132、状態特定部133及び通知部134として機能する。
【0037】
選択部131は、複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善するユーザ状態である改善対象状態を選択する。例えば、ユーザ端末2には、脳機能を高めるためのアプリケーションプログラムがインストールされている。ユーザ端末2は、当該アプリケーションプログラムが実行されたことに応じて、脳機能の訓練の開始を要求する訓練開始要求を情報処理装置1に送信する。選択部131は、訓練開始要求を受信すると、ユーザ端末2に、複数のユーザ状態のいずれかの選択を受け付ける状態選択画面を表示させる。選択部131は、状態選択画面を介して、対象ユーザから改善対象状態の選択を受け付けることにより、改善対象状態を選択する。
【0038】
また、選択部131は、対象ユーザから、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けられている通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に対応するコンテンツの選択を受け付ける。例えば、選択部131は、状態選択画面により改善対象状態の選択を受け付けると、記憶部12に記憶されている組み合わせ情報において、当該改善対象状態に関連付けられている分析方法情報及び通知方法情報を特定する。そして、選択部131は、対象ユーザから、特定した通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に対応し、予め記憶部12に記憶されている複数のコンテンツのいずれかの選択を受け付けるコンテンツ選択画面をユーザ端末2に表示させる。選択部131は、コンテンツ選択画面を介して、対象ユーザからコンテンツの選択を受け付けることにより、コンテンツを選択する。ここで、対象ユーザが選択可能なコンテンツは、ユーザ端末2に記憶されているコンテンツであってもよい。
【0039】
なお、選択部131は、対象ユーザからコンテンツの選択を受け付けることにより、コンテンツを選択したが、これに限らない。選択部131は、対象ユーザからコンテンツの選択を受け付けずに、予め記憶部12に記憶されている複数のコンテンツのうち、一つのコンテンツをランダムに選択してもよい。
【0040】
取得部132は、対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する。例えば、取得部132は、選択部131が改善対象状態及びコンテンツを選択すると、ユーザ端末2を介して、脳波測定装置3に、脳波情報の取得要求を送信する。脳波測定装置3は、脳波情報の取得要求を受信したことに応じて、対象ユーザの脳波を測定する。脳波測定装置3は、測定した脳波を示す脳波情報を、ユーザ端末2を介して情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、脳波測定装置3から送信された脳波情報を受信することにより、脳波情報を取得する。
【0041】
状態特定部133は、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている分析方法情報が示す分析方法により、取得部132が取得した脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定する。例えば、状態特定部133は、取得部132が取得した脳波情報が示す対象ユーザの脳波を、改善対象状態に関連付けられている分析方法情報が示す分析方法により分析する。そして、状態特定部133は、当該分析方法により分析した結果に基づいて、脳波の状態を示すスコアを算出する。状態特定部133は、脳波の状態が、改善対象状態に対応する基準的な状態に対して良好な状態であればあるほど、スコアが高くなるようにスコアを算出するものとする。状態特定部133は、過去に特定された対象ユーザの脳波の状態のよりも改善したレベルが高いほどスコアが高くなるようにスコアを算出してもよい。
【0042】
例えば、状態特定部133は、選択部131が選択した改善対象状態が短期記憶力である場合、図3に示すように、短期記憶力に関連付けられている分析方法である周波数解析により、所定時間(例えば1秒)おきに、脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定する。例えば、状態特定部133は、周波数解析により特定される、脳波情報が示す対象ユーザの脳波に含まれるα波の強度に基づいて、脳波の状態を示すスコアを算出する。
【0043】
通知部134は、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている通知方法情報が示す通知方法に基づいて、状態特定部133が特定した脳波の状態を、対象ユーザに通知する。具体的には、通知部134は、選択部131が選択したコンテンツを予め定められた訓練時間にわたってユーザ端末2に出力する。通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態に基づいて、コンテンツの内容を変化させることにより、当該脳波の状態を対象ユーザに通知する。
【0044】
より具体的には、通知部134は、選択された改善対象状態に関連付けて記憶されている通知方法情報に含まれているコンテンツの内容を変化させる態様でコンテンツの内容を変化させることにより、状態特定部133が特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する。通知部134は、選択部131が選択した改善対象に関連付けて記憶部12に記憶されている第1通知方法から第4通知方法のいずれかの通知方法に基づいて、状態特定部133が特定した脳波の状態を前記対象ユーザに通知する。
【0045】
例えば、通知部134は、選択された改善対象状態が短期記憶力である場合、図3に示すように、短期記憶力に関連付けられている通知方法情報により、短期記憶力に対応する脳波の状態の通知方法を、音声通知及び芳香通知と特定する。そして、通知部134は、通知方法情報に含まれる組み合わせを示す情報を参照し、コンテンツの種別を「音声」と特定するとともに、コンテンツの内容を変化させる態様を「品質の変化」及び「芳香の強さの変化」と特定する。通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態に基づいて、ユーザ端末2にコンテンツとしての音声の品質を変化させる処理と、芳香発生装置に発生させる芳香物質の量を変化させる処理とを行うことにより、脳波の状態を対象ユーザに通知する。
【0046】
まず、通知部134は、訓練の仕方を示すメッセージをユーザ端末2に出力させる。例えば、通知部134は、「音楽がきれいに聞こえるように意識してください。」というメッセージを対象ユーザに通知するようにユーザ端末2に指示する。
【0047】
その後、通知部134は、短期記憶力の改善状況が良好であることを脳波の状態が示している場合に、音声に対してノイズを重畳させないことをユーザ端末2に指示するとともに、芳香物質を発生可能な芳香発生装置が芳香を発生するように芳香発生装置を制御する。具体的には、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが所定の閾値以上であり、短期記憶力の改善に対して良好な状態であると特定すると、音声にノイズ音を重畳しないようにユーザ端末2を制御するとともに、ユーザの近傍に配置されている芳香発生装置が芳香を発生するように芳香発生装置を制御する。所定の閾値は、脳波の状態が、改善対象状態の改善に対して良好な状態であるか否かを判定するための閾値である。
【0048】
一方、通知部134は、短期記憶力の改善状況が良好であることを脳波の状態が示していない場合に、音声に対してノイズを重畳することをユーザ端末2に指示するとともに、芳香物質を放出しないように芳香発生装置を制御する。具体的には、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが所定の閾値未満であり、短期記憶力の改善に対して良好な状態ではないと特定すると、音声にノイズ音を重畳するようにユーザ端末2を制御するとともに、芳香発生装置が芳香を発生しないように芳香発生装置を制御する。通知部134は、脳波の状態を示すスコアに対応する大きさ、周波数又はパターンのノイズ音をユーザ端末2に重畳させたり、脳波の状態を示すスコアに対応する量又は種類の芳香を芳香発生装置に発生させたりしてもよい。
【0049】
また、通知部134は、選択された改善対象状態が認知症である場合、図3に示すように、認知症に関連付けられている通知方法情報に基づいて、認知症に対して脳波の状態を通知する方法を映像通知と特定する。そして、通知部134は、通知方法情報に含まれている組合せを示す情報を参照し、コンテンツの種別を「映像」と特定するとともに、コンテンツの内容を変化させる態様を「品質の変化」と特定する。
【0050】
まず、通知部134は、訓練の仕方を示すメッセージをユーザ端末2に出力させる。例えば、通知部134は、「映像が鮮明に見えるように意識してください。」というメッセージを対象ユーザに通知するようにユーザ端末2に指示する。
【0051】
その後、通知部134は、認知症の改善状況が良好であることを脳波が示している場合に、コンテンツとしての映像の解像度を低下させないことをユーザ端末2に指示する。具体的には、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが所定の閾値以上であり、認知症の改善に対して良好な状態であると特定すると、映像の解像度を低下させずに、当該映像を出力するようにユーザ端末2を制御する。
【0052】
一方、通知部134は、認知症の改善状況が良好であることを脳波が示していない場合に、映像の解像度を低下させることをユーザ端末2に指示する。具体的には、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが所定の閾値未満であり、認知症の改善に対して良好な状態ではないと特定すると、映像の解像度を低下させるようにユーザ端末2を制御する。このようにすることで、情報処理装置1は、脳波の状態が、改善対象状態の改善に対して良好な状態であるか否かを対象ユーザに認識させることができる。
【0053】
なお、ユーザの属性により、改善対象に対する通知方法を異なる方法にすることが望ましいという場合がある。例えば、ユーザの属性が高齢者である場合には、映像のみ又は音声のみでは脳波の状態が認識しにくく、ユーザの属性が高齢者ではない場合には、映像のみ又は音声のみであっても脳波の状態の認識に問題がないと考えられる。
【0054】
これに対し、記憶部12は、複数のユーザ状態のそれぞれに対し、分析方法情報と、複数のユーザの属性を示す属性情報と、複数のユーザの属性それぞれに対応する複数の通知方法情報とを関連付けて記憶するようにしてもよい。また、情報処理装置1は、予めユーザ端末2のユーザから、ユーザの属性を示す属性情報を受け付けておき、当該ユーザに対して付与されたユーザを識別するためのユーザIDと、当該属性情報とを関連付けて記憶部12に記憶させるようにしてもよい。ここで、ユーザの属性は、高齢者であるか否かを特定するために用いられる年齢情報に限らず、性別、職業、自身が認識している性格等の属性も含まれていてもよい。
【0055】
この場合、選択部131は、例えば、対象ユーザから改善対象状態の選択を受け付ける場合に、ユーザ端末2から対象ユーザのユーザIDを取得する。そして、通知部134は、選択部131が取得した当該対象ユーザのユーザIDに関連付けられている属性情報を特定することにより、対象ユーザの属性を特定する。通知部134は、選択部131が選択した改善対象状態と、特定した対象ユーザの属性とに関連付けて記憶部12に記憶されている通知方法に基づいて、状態特定部133が特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザの属性に合わせて脳波の状態を通知し、脳の訓練を効果的に行うことができる。
【0056】
また、複数の対象ユーザのそれぞれにおいて、測定できる脳波の状態の範囲が異なる。例えば、複数の対象ユーザのそれぞれが同一の訓練を行っても、対象ユーザ間で測定される脳波の強度が異なったり、活性化する脳の範囲が異なったりする。
【0057】
そこで、通知部134は、脳波の状態を対象ユーザに通知する前に、所定時間において状態特定部133が特定した脳波の状態に基づいて、対象ユーザの脳波の状態が変化する範囲を特定する。所定時間は、脳波の状態の変化を特定可能な時間であって、訓練時間に比べて短い時間である。そして、通知部134は、脳波の状態が変化する範囲内に、脳波の状態が改善対象状態の改善に対して良好な状態であるか、脳波の状態が改善対象状態の改善に対して良好ではない状態でないかを判別するための閾値を設定する。
【0058】
例えば、通知部134は、所定時間にわたって状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアの最大値と最小値とを特定することにより、対象ユーザの脳波の状態が変化する範囲を特定する。そして、通知部134は、改善に対して良好な状態であるか否かを判定するための所定の閾値を、特定した最大値と最小値との間に設定する。
【0059】
そして、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を閾値と比較した結果に対応する態様で脳波の状態を対象ユーザに通知する。具体的には、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが、設定した所定の閾値未満であり、改善対象状態の改善に対して良好な状態ではないと特定すると、映像の解像度を低下させたり、音声にノイズを重畳させたりするようにユーザ端末2に指示を通知する。一方、通知部134は、状態特定部133が特定した脳波の状態を示すスコアが、設定した所定の閾値以上であり、改善対象状態の改善に対して良好な状態であると特定すると、映像の解像度を低下させなかったり、音声にノイズを重畳させなかったりするようにユーザ端末2に指示を通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、対象ユーザの脳波の測定状況に対応して、脳波の状態が良好であるか否かを対象ユーザが認識できるように通知することができる。
【0060】
[情報処理装置1における処理の流れ]
続いて、情報処理装置1における処理の流れについて説明する。図4は、第1実施形態に係る情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートでは、説明を簡単にするため、コンテンツは音声であり、音声に対してノイズを重畳させるか否かにより、脳波の状態を対象ユーザに通知するものとする。
【0061】
まず、選択部131は、ユーザ端末2を介して、対象ユーザから複数のユーザ状態のうち、対象ユーザが改善するユーザ状態である改善対象状態の選択を受け付けることにより、改善対象状態を選択する(S1)。続いて、選択部131は、記憶部12に記憶されている組み合わせ情報において、選択した改善対象状態に関連付けられている分析方法情報及び通知方法情報を特定する(S2)。
【0062】
続いて、選択部131は、特定した通知方法情報に含まれているコンテンツの種別を特定し、対象ユーザから、特定したコンテンツの種別に対応するコンテンツの選択を受け付けることにより、改善対象状態に対応する訓練に用いるコンテンツを選択する(S3)。
【0063】
続いて、取得部132は、ユーザ端末2を介して脳波測定装置3から、対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する(S4)。
続いて、状態特定部133は、S2において特定した分析方法情報が示す分析方法により、取得した脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を示すスコアを特定する(S5)。
【0064】
続いて、通知部134は、S5において特定された脳波の状態を示すスコアが所定の閾値以上であるか否かを判定する(S6)。通知部134は、脳波の状態を示すスコアが所定の閾値以上であると判定すると、S7に処理を移し、コンテンツとしての音声にノイズを重畳させないことをユーザ端末2に指示する。通知部134は、脳波の状態を示すスコアが所定の閾値未満であると判定すると、S8に処理を移し、コンテンツとしての音声にノイズを重畳させることをユーザ端末2に指示する。このように、脳波の状態を示すスコアが良好である場合のみ、コンテンツとしての音声にノイズが重畳されず、音声がはっきりと聞こえることから、対象ユーザは、脳波の状態が良好であることを認識することができる。
【0065】
なお、通知部134は、脳波の状態を示すスコアに応じて、音声に重畳させるノイズの態様を変化させてもよい。通知部134は、例えば、スコアが低いほどノイズを大きくする。通知部134がこのように動作することで、対象ユーザは、ノイズが小さくなるように意識を変えるように努めるので、脳波の状態が良好になるような意識の持ち方を身に着けやすくなり、改善対象状態が改善しやすくなる。
【0066】
続いて、通知部134は、脳波情報の取得を開始してから、予め定められた訓練時間が経過したか否かを判定する(S9)。通知部134は、訓練時間が経過したと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了し、訓練時間が経過していないと判定すると、S4に処理を移す。
【0067】
[第1実施形態における効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善するユーザ状態である改善対象状態を選択し、対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する。情報処理装置1は、選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている分析方法情報が示す分析方法により、脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定し、選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている通知方法情報が示す通知方法に基づいて、特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する。このようにすることで、情報処理装置1は、ユーザが改善したい能力又は症状に対応して脳機能を高める訓練を実施することができる。
【0068】
<第2実施形態>
[脳波の訓練に適したコンテンツを特定する]
続いて、第2実施形態について説明する。第1実施形態に係る情報処理装置1では、選択部131が、対象ユーザからコンテンツの選択を受け付けることによりコンテンツを選択するか、ランダムにコンテンツを選択するものとした。これに対し、第2実施形態に係る脳機能を高める訓練に適したコンテンツを特定し、当該コンテンツを訓練に用いる点で第1実施形態と異なる。以下に、第2実施形態に係る情報処理装置1について説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0069】
図5は、第2実施形態に係る情報処理装置1の構成を示す図である。図5に示すように、第2実施形態に係る情報処理装置1の制御部13は、コンテンツ特定部135を有する。
第2実施形態に係る通知部134は、記憶部12に記憶されている複数のコンテンツのうち、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けられている通知方法情報に含まれているコンテンツの種別に関連付けられている一以上のコンテンツのいずれかをユーザ端末2に出力する。そして、通知部134は、状態特定部133が特定した対象ユーザの脳波の状態に基づいて、当該通知方法情報に含まれているコンテンツの内容を変化させる態様でコンテンツの内容を変化させることにより、当該脳波の状態を対象ユーザに通知する。
【0070】
コンテンツ特定部135は、対象ユーザにより脳機能の訓練が複数回行われ、通知部134により複数のコンテンツが出力された後、脳機能を高める訓練に適したコンテンツである効果的コンテンツを特定する。具体的には、コンテンツ特定部135は、改善対象状態に対応して複数のコンテンツそれぞれを出力したときに状態特定部133が特定した対象ユーザの脳波の状態に基づいて、複数のコンテンツのうち、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度が相対的に高いコンテンツを、効果的コンテンツとして特定する。
【0071】
通知部134は、コンテンツ特定部135が改善対象状態に対応して効果的コンテンツを特定したことに応じて、特定した効果的コンテンツをユーザ端末2に出力する。具体的には、通知部134は、コンテンツ特定部135により改善対象状態に対して効果的コンテンツが特定された後、新たに当該改善対象状態に対応する脳機能を高める訓練を実施する場合、当該効果的コンテンツをユーザ端末2に出力して、訓練を実施する。
【0072】
なお、通知部134は、コンテンツ特定部135が特定した効果的コンテンツに関連付けて記憶部12に記憶されているコンテンツの属性を特定してもよい。そして、通知部134は、特定した属性と関連付けて記憶部12に記憶されている一以上のコンテンツのいずれかを、ユーザ端末2に出力し、訓練を実施してもよい。このようにすることで、第2実施形態に係る情報処理装置1は、効果的コンテンツを出力して訓練を行うことにより、改善対象状態に対する改善効果が高い脳波の状態が出現する頻度を高めて、効率的に脳の機能を高めることができる。
【0073】
<第3実施形態>
[改善対象に適した分析方法を特定する]
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る情報処理装置1は、改善対象に対して適した分析方法を特定する点で第1実施形態と異なる。
図6は、第3実施形態に係る情報処理装置1の構成を示す図である。図6に示すように、第3実施形態に係る情報処理装置1の制御部13は、更新部136を有する。
【0074】
第3実施形態に係る記憶部12は、複数の対象ユーザに対して脳機能の訓練が実施される前に、複数のユーザ状態のそれぞれに、複数の分析方法情報を記憶する。これにより、一つの改善対象状態に対し、複数の分析方法のいずれかにより脳波の分析が行われる。すなわち、状態特定部133は、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている複数の分析方法情報のいずれかが示す分析方法により、脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定する。その後、通知部134は、選択部131が選択した改善対象状態に関連付けて記憶部12に記憶されている通知方法情報が示す通知方法に基づいて、状態特定部133が特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する。
【0075】
更新部136は、通知部134により脳波の状態を通知する前の対象ユーザの改善対象状態の状況を示す第1状況情報と、複数の分析方法情報のいずれかが示す分析方法により脳波の状態を分析し、通知部134により当該脳波の状態を通知した後の対象ユーザの改善対象状態の状況を示す第2状況情報とを取得する。例えば、更新部136は、通知部134により脳波の状態を通知する前と、脳波の状態を通知した後とのそれぞれにおいて、改善対象状態の状況を特定するためのテストを対象ユーザに対して実施し、第1状況情報と、第2状況情報とを取得する。第1状況情報と、第2状況情報とは、例えばテストの点数であってもよい。
【0076】
そして、更新部136は、取得した第1状況情報と、第2状況情報とに基づいて、相対的に改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す第2状況情報を特定する。例えば、更新部136は、第1状況情報が示すテストの点数との差分が相対的に大きい点数を有する第2状況情報を、相対的に改善対象状態の改善の度合いが高いことを示す第2状況情報として特定する。更新部136は、特定した第2状況情報を取得した時に用いられた分析方法を、改善対象状態の改善に適した分析方法に特定する。更新部136は、記憶部12において、当該改善対象状態に関連付けられる分析方法を、特定した分析方法のみとし、当該改善対象状態に関連付けられる分析方法を、特定した分析方法に限定する。
【0077】
このようにすることで、第3実施形態に係る情報処理装置1は、改善対象に関連付けられている複数の分析方法のうち、改善対象状態の改善に適した分析方法を特定した後に、当該分析方法により脳波の分析を行うことができるので、対象ユーザの改善対象状態を効率的に改善することができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、上述の実施形態では、ユーザ端末2と通信可能に接続された情報処理装置1が、選択部131、取得部132、状態特定部133、及び通知部134として機能したが、これに限らない。例えば、ユーザ端末2に、選択部131、取得部132、状態特定部133、及び通知部134として機能する訓練プログラムを記憶させておき、ユーザ端末2が、当該訓練プログラムを実行することにより、選択部131、取得部132、状態特定部133、及び通知部134として機能してもよい。また、情報処理装置1と、ユーザ端末2とが協働することにより、選択部131、取得部132、状態特定部133、及び通知部134として機能してもよい。
【0079】
また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理装置
2 ユーザ端末
3 脳波測定装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 選択部
132 取得部
133 状態特定部
134 通知部
135 コンテンツ特定部
136 更新部
S 情報処理システム
【要約】
【課題】ユーザが改善したい能力又は症状に対応して脳機能を高める訓練を実施可能とする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザの症状又は能力を示す複数のユーザ状態のそれぞれに対し、ユーザの脳波の分析方法を示す分析方法情報と、当該分析により特定されたユーザの脳波の状態をユーザに通知する方法を示す通知方法情報とを関連付けて記憶する記憶部12と、複数のユーザ状態のうち、脳波を検出する対象ユーザが改善する対象のユーザ状態である改善対象状態を選択する選択部131と、対象ユーザの脳波を示す脳波情報を取得する取得部132と、選択された改善対象状態に関連付けられている分析方法情報が示す分析方法により、脳波情報が示す対象ユーザの脳波の状態を特定する状態特定部133と、選択された改善対象状態に関連付けられている通知方法情報が示す通知方法に基づいて、特定した脳波の状態を対象ユーザに通知する通知部134と、を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6