(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】循環式ピストン・エンジンのための空気燃料システム
(51)【国際特許分類】
F02B 53/00 20060101AFI20220829BHJP
F02B 55/02 20060101ALI20220829BHJP
F02B 53/10 20060101ALI20220829BHJP
F02B 53/04 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
F02B53/00 Z
F02B55/02 C
F02B53/10 D
F02B53/04 J
F02B53/04 W
(21)【出願番号】P 2021521338
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(86)【国際出願番号】 US2019059457
(87)【国際公開番号】W WO2020092946
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-20
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514208965
【氏名又は名称】ダブリュビー デベロップメント カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WB Development Company LLC
【住所又は居所原語表記】64 Country Lane Marlborough, MA 01752 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】ボーニン,ウォルター,ティー
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117707(JP,A)
【文献】国際公開第2010/095225(WO,A1)
【文献】特開2003-336526(JP,A)
【文献】特開昭50-066609(JP,A)
【文献】特開昭63-227901(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2808484(EP,A1)
【文献】特表2010-501778(JP,A)
【文献】特表2016-505762(JP,A)
【文献】特表2018-513301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 53/00
F02B 55/02
F02B 53/10
F02B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって保持される燃焼アセンブリであって、
前記エンジンによって規定される環状ボアと、
前記環状ボア内に配設された燃焼ピストン・アセンブリとを備え、前記燃焼ピストン・アセンブリが、
一組のピストンと、
前記燃焼ピストン・アセンブリの各ピストンに接続され、前記燃焼ピストン・アセンブリの回転方向に沿って、前記燃焼ピストン・アセンブリの各ピストンを超える燃焼ガスの流れを制限するように構成された、第1の封止リングと、
前記燃焼ピストン・アセンブリの各ピストンに接続され、前記環状ボアと前記エンジンによって保持される少なくとも1つの流体導管との間の選択的アクセスを提供するように構成された、第2の封止リングとを備える、燃焼アセンブリと、
少なくとも1つのバルブであって、前記燃焼ピストン・アセンブリが前記環状ボア内で前記少なくとも1つのバルブに近接する第1の配置から前記少なくとも1つのバルブより遠位側の第2の配置へと移動することを可能にする、前記環状ボア内の第1の位置と、燃焼チャンバを前記燃焼ピストン・アセンブリに対して前記第2の配置で規定する、前記環状ボア内の第2の位置との間で移動するように構成された、少なくとも1つのバルブと
を備える、エンジン。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバルブが、円形の面板と前記面板の外周に配設された壁構造とを有する少なくとも1つのロータリー・バルブを備え、前記壁構造の回転軸が前記燃焼ピストン・アセンブリのピストンの回転軸に対して実質的に垂直であるようにして、前記少なくとも1つのロータリー・バルブの一部分が前記環状ボア内に配設される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記少なくとも1つのロータリー・バルブに接続された回転駆動メカニズムを更に備え、前記回転駆動メカニズムが、前記少なくとも1つのロータリー・バルブを、前記壁構造の開口部を前記環状ボアと整列させて、前記燃焼ピストン・アセンブリの前記ピストンが前記環状ボア内で前記ロータリー・バルブに対する第1の配置から前記ロータリー・バルブに対する第2の配置へと移動することを可能にする、第1の位置と、チャンバを前記燃焼ピストン・アセンブリの前記ピストンに対して前記第2の配置で規定する、第2の位置との間で回転させるように構成された、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
空気を空気源から受け入れるように構成された前記少なくとも1つの流体導管に、燃料を提供するように構成された、燃料噴射器を更に備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記第2の封止リングが少なくとも1つの開口部を規定し、
前記燃焼ピストン・アセンブリが、前記第2の封止リングを、
前記第2の封止リングの壁部分を前記少なくとも1つの流体導管と整列させて、前記少なくとも1つの流体導管から前記燃焼室内への混合気の流れを軽減する、第1の位置と、
前記第2の封止リングの前記少なくとも1つの開口部を前記少なくとも1つの流体導管と整列させて、前記少なくとも1つの流体導管から前記燃焼室内への混合気の流れを容易にする、第2の位置との間で位置付けるように構成された、請求項1に記載のエンジン。
【請求項6】
前記第2の封止リングが少なくとも1つの開口部を規定し、
前記燃焼ピストン・アセンブリが、前記第2の封止リングを、
前記第2の封止リングの壁部分を前記少なくとも1つの流体導管と整列させて、前記環状ボア内に位置する空気の圧縮中、前記環状ボアから前記少なくとも1つの流体導管への空気の送達を軽減する、第1の位置と、
前記第2の封止リングの前記少なくとも1つの開口部を前記少なくとも1つの流体導管と整列させて、前記環状ボア内および各ピストンの前方に位置する圧縮空気の流れが前記少なくとも1つの流体導管を通って流れるのを容易にする、第2の位置との間で位置付けるように構成された、請求項1に記載のエンジン。
【請求項7】
前記エンジンによって保持される圧縮アセンブリを更に備え、前記圧縮アセンブリが、
前記ハウジングによって規定され、前記ハウジングによって規定される前記環状ボアに対して実質的に平行に配設された、環状圧縮チャネルと、
前記環状圧縮チャネル内に配設された圧縮ピストン・アセンブリとを備え、前記圧縮ピストン・アセンブリが、
前記環状圧縮チャネル内に配設された一組の圧縮ピストンと、
前記一組の圧縮ピストンの各圧縮ピストンに接続され、前記環状圧縮チャネルと前記エンジンによって保持される少なくとも1つの圧縮された流体導管との間に選択的なアクセスを提供するように構成された、圧縮ピストン封止リングとを備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
前記圧縮ピストン封止リングが少なくとも1つの開口部を規定し、
前記圧縮ピストン・アセンブリが、前記圧縮ピストン封止リングを、
前記圧縮ピストン封止リングの壁部分を前記少なくとも1つの流体導管と整列させて、前記環状圧縮チャネル内に位置する空気の圧縮中、前記環状圧縮チャネルから前記少なくとも1つの圧縮された流体導管への空気の送達を軽減する、第1の位置と、
前記圧縮ピストン封止リングの前記少なくとも1つの開口部を前記少なくとも1つの圧縮された流体導管と整列させて、前記環状圧縮チャネル内および各ピストンの前方に位置する圧縮空気の流れが前記少なくとも1つの圧縮された流体導管を通って流れるのを容易にする、第2の位置との間で位置付けるように構成された、請求項7に記載のエンジン。
【請求項9】
前記圧縮アセンブリと前記燃焼アセンブリとの間に配設され、前記圧縮アセンブリの前記少なくとも1つの圧縮された流体導管と前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管との間に配設される開口部を規定する、ベース・プレートを備え、
前記燃焼ピストン・アセンブリが、前記燃焼ピストンと前記エンジンの駆動軸との間に配設される延長部分を備え、前記延長部分が、前記ベース・プレートによって規定される前記開口部と選択的に整列されて、前記少なくとも1つの圧縮された流体導管から前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管への圧縮空気の流れを容易にするように構成された、開口部を規定する、請求項7に記載のエンジン。
【請求項10】
前記燃焼ピストン・アセンブリが、前記延長部分を、
前記延長部分の壁部分を前記ベース・プレートによって規定される前記開口部と整列させて、前記圧縮アセンブリの前記少なくとも1つの圧縮された流体導管から前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管への圧縮空気の送達を軽減する、第1の位置と、
延長部分の前記開口部を前記ベース・プレートによって規定される前記開口部と整列させて、前記圧縮アセンブリの前記少なくとも1つの圧縮された流体導管から前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管への圧縮空気の流れを容易にする、第2の位置との間で位置付けるように構成された、請求項9に記載のエンジン。
【請求項11】
前記圧縮アセンブリと流体連通して配設され、前記少なくとも1つの圧縮された流体導管から圧縮空気を受け入れるように構成された、空気リザーバを更に備える、請求項7に記載のエンジン。
【請求項12】
前記空気リザーバが、前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管と流体連通して配設される、請求項11に記載のエンジン。
【請求項13】
前記空気リザーバと前記燃焼アセンブリの前記少なくとも1つの流体導管との間で流体連通して配設される、空気制御バルブを更に備える、請求項12に記載のエンジン。
【請求項14】
前記空気制御バルブと前記エンジンの燃料噴射器との間に配設され、空気制御バルブ設定に比例して前記燃料噴射器の動作を調節するように構成された、フィードバック制御システムを更に備える、請求項13に記載のエンジン。
【請求項15】
前記エンジンによって保持される前記少なくとも1つの流体導管の近傍に配設される点火デバイスを更に備え、前記燃焼ピストン・アセンブリが、前記一組のピストンの各ピストンを、
前記一組のピストンの各ピストンを対応する点火デバイスと整列させて、前記燃焼室内における混合気の点火を軽減する、第1の位置と、
前記一組のピストンの各ピストンと対応する点火デバイスとの整列をずらして、前記燃焼室内における前記混合気の点火を促進する、第2の位置との間で位置付けるように構成された、請求項1に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来のピストン・エンジンは、クランクシャフトを駆動するのに使用される複数のシリンダ・アセンブリを含む。クランクシャフトを駆動するために、各シリンダ・アセンブリは、燃料噴射器を介して燃料ポンプによって提供されるものなどの燃料を要する。動作中、各シリンダ・アセンブリの点火プラグが、燃料噴射器から受け入れられた混合気に点火し、混合気を膨張させる。点火された混合気の膨張によって、シリンダ・アセンブリ・ハウジング内にあるシリンダ・アセンブリのピストンが変位して、クランクシャフトを回転させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
従来のピストン・エンジンとは対照的に、本発明の実施形態は、循環式ピストン・エンジンのための空気燃料システムに関する。1つの構成例では、循環式ピストン・エンジンは、燃焼プロセス中にエンジンに入る空気圧を管理するように構成された、燃焼ピストン・アセンブリを含む。例えば、燃焼ピストン・アセンブリは、エンジンのハウジングによって規定される環状ボア内に配設された一組のピストンを含む。
【0003】
燃焼ピストン・アセンブリは更に、第1および第2の封止リングを含むことができる。第1の封止リングは、ピストンと関連するバルブとの間に形成された燃焼室内における燃焼後の、ピストンに対する燃焼ガスのガス漏れを軽減するように構成される。第2の封止リングは、環状ボアと、エンジンによって保持される、比較的高圧の空気の導管など、1つまたは複数の流体導管との間に選択的なアクセスを提供するように構成される。例えば、第2の封止リングは、流体導管に対して整列がずれたとき、流体導管を環状ボアから隔離し、それによって流体導管と環状ボアとの間の空気の流れを軽減する、多数の開口部を規定することができる。流体導管と整列されると、開口部は、流体導管と環状ボアとの間の空気の流れを可能にする。
【0004】
一実施形態では、エンジンは、ハウジングと、ハウジングによって保持される燃焼アセンブリとを含む。燃焼アセンブリは、エンジンによって規定された環状ボアと、環状ボア内に配設された燃焼ピストン・アセンブリとを含む。燃焼ピストン・アセンブリは、一組のピストンと、燃焼ピストン・アセンブリの各ピストンに接続された第1の封止リングと、燃焼ピストン・アセンブリの各ピストンに接続された第2の封止リングとを含む。第2の封止リングは、環状ボアとエンジンによって保持される少なくとも1つの流体導管との間に選択的なアクセスを提供するように構成される。エンジンは、燃焼ピストン・アセンブリが環状ボア内で少なくとも1つのバルブに近接する第1の配置から少なくとも1つのバルブより遠位側の第2の配置へと移動することが可能になる、環状ボア内の第1の位置と、燃焼チャンバを燃焼ピストン・アセンブリに対して第2の配置で規定する、環状ボア内の第2の位置との間で移動するように構成された、少なくとも1つのバルブを含む。
【0005】
上述および他の目的、特徴、および利点は、添付図面に図示されるような、本発明の特定の実施形態についての以下の記載から明白となるであろう。図面中、異なる図面全体を通して、同様の参照符号は同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、その代わりに、本発明の様々な実施形態の原理を例示するにあたって強調している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】1つの構成例による、循環式ピストン・エンジンを示す上から見た概略断面図である。
【
図1B】封止リングの開口部がエンジンの流体導管と整列されている、
図1Aの循環式ピストン・エンジンを示す上から見た概略断面図である。
【
図1C】1つの構成例による、
図1Bの循環式ピストン・エンジンを示す概略横断面図である。
【
図2】1つの構成例による、
図1Aの一組のロータリー・バルブおよび循環式ピストン・エンジンを示す概略部分斜視図である。
【
図3A】1つの構成例による、ロータリー・バルブの概略側面図である。
【
図3B】1つの構成例による、
図1Bのロータリー・バルブを示す概略底面図である。
【
図3C】1つの構成例による、
図1Bのロータリー・バルブを示す概略上面斜視図である。
【
図3D】ロータリー・バルブ・アセンブリの回転駆動メカニズムを示す概略下面断面図である。
【
図3E】1つの構成例による、
図3Dの回転駆動メカニズムを示す概略側面図である。
【
図4】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第1の位置に配設された燃焼ピストン・アセンブリを有する、
図1Aの循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図5】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第2の位置に配設された燃焼ピストン・アセンブリを有する、
図4の循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図6】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第3の位置に配設された燃焼ピストン・アセンブリを有する、
図4の循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図7】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第1の位置に配設された燃焼ピストン・アセンブリを有する、
図1Aの循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図8】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第2の位置に配設された燃焼ピストン・アセンブリを有する、
図7の循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図9】1つの構成例による、燃焼チャネルおよび空気圧縮チャネルを有する循環式ピストン・エンジンを示す概略部分断面図である。
【
図10】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第1の位置に配設された圧縮アセンブリを有する、
図9の循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図11】1つの構成例による、エンジンの流体導管に対して第2の位置に配設された圧縮アセンブリを有する、
図10の循環式ピストン・エンジンの一部分を示す概略断面図である。
【
図12】1つの構成例による、空気燃料管理システムの概略横断面図である。
【
図13A】1つの構成例による、空気燃料管理システムのベース・プレートの開口部に対して第1の位置に配設された、燃焼ピストン・アセンブリの開口部を示す概略横断面図である。
【
図13B】1つの構成例による、
図13Aの空気燃料管理システムを示す概略上面図である。
【
図13C】1つの構成例による、空気燃料管理システムのベース・プレートの開口部に対して第2の位置に配設された、燃焼ピストン・アセンブリの開口部を示す概略横断面図である。
【
図14】1つの構成例による、空気燃料管理システムの概略横断面図である。
【
図15】1つの構成例による、空気燃料管理システムの概略横断面図である。
【
図16A】1つの構成例による、第1の位置に配設された燃焼制御システムを示す概略横断面図である。
【
図16B】1つの構成例による、第2の位置に配設された
図16Aの燃焼制御システムを示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
循環式ピストン・エンジンは、燃焼プロセス中にエンジンに入る空気圧を管理するように構成された、燃焼ピストン・アセンブリを含む。例えば、燃焼ピストン・アセンブリは、エンジンのハウジングによって規定された環状ボア内に配設された一組のピストンを含む。燃焼ピストン・アセンブリは更に、第1および第2の封止リングを含むことができる。第1の封止リングは、ピストンと関連するバルブとの間に形成された燃焼室内における燃焼後の、ピストンに対する燃焼ガスのガス漏れを軽減するように構成される。第2の封止リングは、環状ボアと、エンジンによって保持される、比較的高圧な空気の導管など、1つまたは複数の流体導管との間に選択的なアクセスを提供するように構成される。例えば、第2の封止リングは、流体導管に対して整列がずれたとき、流体導管を環状ボアから隔離し、それによって流体導管と環状ボアとの間の空気の流れを緩和し、流体導管と整列されたとき、流体導管と環状ボアとの間の空気の流れを可能にする、多数の開口部を規定することができる。
【0008】
図1Aおよび
図1Bは、1つの構成例による、循環式ピストン・エンジン10の概略図を示している。エンジン10は、第1および第2のハウジング壁15、17の間でエンジンによって規定される環状チャネルまたはボア14を含む、燃焼アセンブリ25を有するハウジング12を含む。エンジン10は更に、燃焼ピストン・アセンブリ16とバルブ・アセンブリ18とを含む。
【0009】
環状ボア14はハウジング12の外周に配設される。環状ボア14は様々なサイズで構成することができるが、1つの構成例では、環状ボア14は、燃焼ピストン・アセンブリ16の回転軸21に対して約30.48cm(約12インチ)の半径を有するように構成される。かかる構成を用いて、環状ボア14の比較的大きい半径により、エンジン燃焼室が回転軸21から最大距離に配設され、燃焼ピストン・アセンブリ16が、回転軸21に配設され燃焼ピストン・アセンブリ16に結合された、駆動軸20などの関連する駆動メカニズムに対して、比較的大きいトルクを発生させることが可能になる。
【0010】
環状ボア14は、様々な形状を有する断面積を備えて構成することができる。例えば、燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24がほぼ長方形の断面積を規定する場合、環状ボア14もそれに対応する長方形の断面積を規定することができる。かかる構成例では、環状ボア14の断面積はピストン24の断面積よりも大きいので、動作中にピストン24が環状ボア14内で移動することが可能になる。
【0011】
燃焼ピストン・アセンブリ16は、環状ボア14内に配設される任意の数の個々のピストン24を含むことができる。例えば、図示される構成例では、燃焼ピストン・アセンブリ16は、ピストン24を駆動軸20に結合する延長部分28の周囲で環状ボア14内に配設される、4つのピストン24-1~24-4を含む。ピストン24は、延長部分28の周囲に様々な配置で配設することができるが、1つの構成例では、対向するピストンは互いに対して約180°の角度配向で配設され、隣接するピストンは互いに対して約90°の角度配向で配設される。例えば、図示されるように、第1および第3のピストン24-1、24-3は互いに対して約180°で配設され、第2および第4のピストン24-2、24-4は互いに対して約180°で配設される。それに加えて、第1および第2のピストン24-1、24-2は約90°の相対角度配向で配設され、第2および第3のピストン24-2、24-3は約90°の相対角度配向で配設され、第3および第4のピストン24-3、24-4は約90°の相対角度配向で配設され、第4および第1のピストン24-4、24-1は約90°の相対角度配向で配設される。
【0012】
動作中、燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24は、環状ボア14で時計方向または反時計方向のどちらかで回転するように構成される。かかる回転によって、関連する駆動メカニズムが回転する。
【0013】
引き続き
図1Aおよび
図1Bを参照すると、ピストン24はそれぞれ、約40.64cm~50.80cm(約16インチ~20インチ)の距離など、比較的大きいストローク距離に沿ってボア14内を後続のバルブ・アセンブリ18に向かって移動する。1つの構成例では、ストローク長の終わりなど、ボア14内の特定の地点で、各ピストン24は、後続のバルブ・アセンブリ18の近位側になどに配設される、チャンバ110内に含まれる使用済みガスを雰囲気へと通気する、対応する排気ポートを通る。例えば、ピストン24-1が排気ポートを通る際、ピストン24-1とロータリー・バルブ30-1との間のチャンバ110に含まれる使用済みガスは、排気ポートを介してチャンバ26-1を出ることができる。
【0014】
燃焼ピストン・アセンブリ16はまた、第1のまたは外側封止リング102と第2のまたは内側封止リング104とを有する、封止アセンブリ101を含む。
【0015】
図1Aおよび
図1Bに示されるように、第1の封止リング102は、ピストン24とバルブ・アセンブリ18の関連するバルブとの間に形成される燃焼室110内における燃焼後の、ピストン24に対する燃焼ガスのガス漏れを軽減するように構成される。1つの構成例では、第1の封止リング102は、ピストン24の外周の周りに延在し、燃焼ピストン・アセンブリ16の各ピストン24に結合される。例えば、第1の封止リング102は、各ピストン24の外面に結合され、各ピストン24の外面とハウジング12の第2の壁17の内側部分19との間に配設されて、間に垂直方向の隙間空間を規定する。更に、第1の封止リング102および各ピストン24は、環状ボア14の天井壁と床との間にそれぞれ横方向の隙間空間を規定する。垂直方向および横方向の隙間空間は様々な寸法を有することができるが、1つの構成例では、各隙間空間は約0.0254mm~0.0381mm(約0.001~0.0015インチ)の長さを規定する。更に、1つの構成例では、垂直方向および横方向の隙間空間は、第1の封止リング102とハウジング12の環状ボア14の内壁19、天井壁、および床との間の直接接触を最小限に抑える、空気または油を含む潤滑流体などの潤滑剤を含むことができる。
【0016】
図1Aおよび
図1Bに提供されるように、第1の封止リング102は、ハウジング12の第2の壁17に近接して配置される連続壁構造として構成することができる。1つの構成例では、
図4~
図6に示されるように、第1の封止リング102は、壁構造の円周の周りに配設される一組の開口部125を規定することができる。これらの開口部125は、ロータリー・バルブ30と関連付けられた溶接接合部または溶接部が環状ボア14内で回転するのを可能にしながら、第1の封止リング102との干渉を軽減するように構成される。
【0017】
例えば、
図3Dを参照すると、また後述するように、各ロータリー・バルブ24は、面板などのバルブ・ハウジングと、面板の外周に配設される壁構造とを含むことができる。メーカーは、壁構造の対向する端部を互いに溶接して、溶接接合部31を作製することができる。しかしながら、溶接接合部31を回転させてハウジング12に入れることで、潜在的に燃焼ピストン・アセンブリ16の回転と干渉する場合がある。開口部125を第1の封止リング102の円周の周りに位置付けることによって、ロータリー・バルブ30および関連する溶接接合部をハウジング12を通して回転させるとともに、燃焼ピストン・アセンブリ16との干渉を軽減することができる。
【0018】
第2の封止リング104は、環状ボア14とエンジン10によって保持される1つまたは複数の流体導管106との間に選択的なアクセスを提供するように構成される。例えば、第2の封止リング104は、各ピストン24の内面に結合され、各ピストン24の内面とハウジング12の第1の壁15の内側部分23との間に配設されて、間に垂直方向の隙間空間を規定する。垂直方向の隙間空間は様々な寸法を有することができるが、1つの構成例では、垂直方向の隙間空間は約0.0254mm~0.0381mm(約0.001~0.0015インチ)の長さを規定する。更に、1つの構成例では、垂直方向の隙間空間は、第2の封止リング104と第1の壁15の内側部分23との間の直接接触を最小限に抑える、空気または油を含む潤滑流体などの潤滑剤を含むことができる。
【0019】
第2の封止リング104は、各開口部108が燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24の近傍に配設された一組の開口部108を規定する。燃焼ピストン・アセンブリ16は、第2の封止リング104の壁部分27を対応する流体導管106と整列させる第1の位置と、第2の封止リング104の開口部108を少なくとも1つの流体導管106と整列させる第2の位置との間で、第2の封止リング104を位置付けるように構成される。
【0020】
第2の封止リング104の開口部108が流体導管106と整列されず、壁部分27が流体導管106の上に配設された場合、第2の封止リング104は、
図1Cに示されるような加圧空気リザーバ350によって提供される比較的高圧の空気、または流体導管106から環状ボア14内に規定された燃焼室110内への混合気など、流体の流れを軽減する。しかしながら、燃焼ピストン・アセンブリ16は封止リング104およびピストン24を、図示されるような反時計方向などで回転させるので、燃焼ピストン・アセンブリ16は、
図1Bおよび
図1Cに示されるように、第2の封止リング104の開口部108を流体導管106と整列させることができる。かかる位置付けによって、燃焼ピストン・アセンブリ16は、ピストン24とロータリー・バルブ・アセンブリ18のロータリー・バルブ30との間の環状ボア空間として、燃焼室110を規定する。更に、この位置付けは、流体導管106を介して比較的高圧の空気を燃焼室110と交換するのを可能にすることができ、ならびに/あるいは燃焼室110内への比較的高圧の混合気の流れを容易にすることができる。
【0021】
例えば、
図1A~
図1Cに示されるように、燃料噴射器112-1は対応する流体導管106に結合することができる。動作中、流体導管106は、燃料を燃料噴射器112-1から、比較的高圧の空気を空気源350から受け入れることができる。燃料および空気を実質的に同時に導入することによって作られる乱流によって、燃料および空気を燃焼前に流体導管106内で混合することができるので、流体導管106はこの組合せを混合気として燃焼室110に提供する。
【0022】
別の例では、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、燃料噴射器112-2は、流体導管106の近傍で、第1のエンジン壁15などエンジン10に結合することができる。動作中、燃料噴射器112-2および流体導管106は、燃料および比較的高圧の空気をそれぞれ燃焼室110に提供する。燃料および空気を実質的に同時に導入することによって作られる乱流によって、燃料および空気を燃焼前に燃焼室110内で混合することができる。
【0023】
上述したように、流体導管106は、高圧空気源350と流体連通して配設することができる。1つの構成例では、高圧空気源は、動作中に補給することができる多量の比較的高圧(例えば、約1.38MPa~1.55MPa(約200~225psi))の空気を貯蔵するように構成された、空気リザーバ350であることができる。高圧空気源350は、様々な圧力で空気を包含することができるが、1つの構成例では、高圧空気源350は、約0.83MPa(約120psi)よりも高い圧力で空気を包含することができ、約1.21MPa(約175psi)よりも高い圧力で空気を包含することができる。比較的高圧の空気を流体導管106または燃焼室110に受け取ると、エンジン10は、混合気の比較的高速の燃焼を提供することができ、それはエンジン10の比較的高い動作効率につながる。
【0024】
上述したように、第1および第2の封止リング102、104は各ピストン24に結合され、動作中、燃焼ピストン・アセンブリ16がエンジン10内で動作するにつれて、ピストン24とともに回転するように構成される。第1および第2の封止リング102、104は、様々な方式でピストン24に接続することができる。例えば、第1および第2の封止リング102、104は、締結具を使用して、燃焼ピストン・アセンブリ16の各ピストン24に結合することができる。別の例では、第1および第2の封止リング102、104は、各ピストン24に溶接することができ、または各ピストン24と摩擦嵌め接続を形成することができる。第1および第2の封止リング102、104が燃焼ピストン・アセンブリ16の各ピストン24に結合されることで、封止リング102、104は、横方向および垂直方向の安定性をピストン24に提供し、それによって、燃焼後のピストン荷重によって生じるような各ピストン24に対する曲げ力の生成が最小限に抑えられる。
【0025】
第1および第2の封止リング102、104は、様々な材料から製造することができる。1つの構成例では、封止リング102、104は、燃焼ピストン・アセンブリ16を形成する材料の熱膨張係数に実質的に等しい、熱膨張係数を有する材料から製造することができる。そのため、動作中、エンジン10の温度が変化するにつれて、第1および第2の封止リング102、104が、燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24と実質的に同じ速度で膨張または収縮する。
【0026】
バルブ・アセンブリ18は様々な方式で構成することができる。一実施形態では、バルブ・アセンブリ18は、各ロータリー・バルブ30が燃焼ピストン・アセンブリ16のそれぞれのピストン24に対する燃焼室110を規定するように構成された、一組のロータリー・バルブ30を含む。
【0027】
例えば、更に
図2を参照すると、各ロータリー・バルブ30は、ピストン24の回転軸21に実質的に垂直である回転軸56を中心にして回転するように構成される。各ロータリー・バルブ30がハウジング12および環状ボア14に対して回転することによって、対応するピストン24に対して一時的な燃焼室110が作製される。例えば、
図2に示されるように、ハウジング12は、ロータリー・バルブ30が中を通って延在する環状ボア14に対して、対向する開口部115、116を規定する。具体的には、
図2の第1のロータリー・バルブ30-1を参照すると、ハウジング12は、第1のまたは上側表面を通る第1の開口部115-1と、第2のまたは下側表面を通る対向する第2の開口部116-1とを規定する。第1のロータリー・バルブ30-1は、第1の開口部115-1を通って環状ボア14に入り、第2の開口部116-1を通る。かかる構成により、各ロータリー・バルブ30の一部分は、エンジン10の動作中、環状ボア14内に回転可能に配設される。
【0028】
図3A~
図3Cに示されるように、ロータリー・バルブ・アセンブリ18の各ロータリー・バルブ30は、実質的に円形でカップ状の構造として製造される。例えば、各ロータリー・バルブ30は、円形の面板などの面板52と、面板52の外周に配設された、ループ状の壁構造などの壁構造50とを含むことができる。ロータリー・バルブ30のループ状の壁構造50は、スロット100が環状ボア14内を移動するピストン24と位置合わせされたとき、ピストン24がそれぞれ環状ボア14内で回転することを可能にするように構成された、開口部またはスロット100を規定する。
【0029】
使用の際、バルブ・アセンブリ18は、ループ状の壁構造50が、ピストン回転サイクルの大部分に対してピストン24とともに隔壁を形成し、ピストン24に対する燃焼室を規定するように、各ロータリー・バルブ30を回転させることができる。ロータリー・バルブ30の回転は、各ロータリー・バルブ30によって規定される各スロット100が環状ボア14と一時的に整列されて、ピストン24が環状ボア14内で、ロータリー・バルブ30に近接した第1の配置からロータリー・バルブ30の遠位側の第2の配置へと移動するのを可能にするようにタイミングが取られる。
【0030】
ピストン24およびロータリー・バルブ・アセンブリ18は、駆動メカニズム20から約30.48cm(約12インチ)の距離など、エンジン・ハウジング12の外周に配設される。回転方向に正接し、駆動メカニズム20からの距離に垂直な方向に沿って、ピストン24に適用される燃焼力とともに使用する際、かかる燃焼力は駆動メカニズム20におけるトルクを最大限にすることができる。それに加えて、ピストン24の比較的長いストロークパス、排気ポートの存在、およびボア14内で発生する燃焼イベントの数をカスタマイズするエンジン10の能力は、エンジン10の性能を向上させることができる。例えば、エンジン10は、約25~30%の効率を有する従来のエンジンと比べて、比較的高いトルク(例えば、平均トルク約622.147kgf・m(約4500ft・lbs))および効率(例えば、約60%の効率)を有する比較的高い連続出力(例えば、分速800回転で約685馬力)を生成することができる。
【0031】
各ロータリー・バルブ30は様々な材料から製造することができるが、1つの構成例では、ロータリー・バルブ30は、ハウジング12に対して回転する際に、約2204.44℃(約4000°F)を超える燃焼温度および約6.895MPa(約1000psi)の圧力に耐えることができる、1つまたは複数の材料から製造される。
【0032】
様々なタイプの回転駆動メカニズムを利用して、各ロータリー・バルブ30を環状ボア14内で回転させることができる。例えば、
図3Dおよび
図3Eは、ロータリー・バルブ・アセンブリ18の回転駆動メカニズム60の概略下面断面図および概略側面図をそれぞれ示している。回転駆動メカニズム60は、駆動メカニズム20に接続された駆動歯車62を含むことができる。回転駆動メカニズム60はまた、駆動歯車62およびロータリー・バルブ30と動作可能に連通して配設された、一組のロータリー・バルブ歯車64を含むことができる。例えば、一組のロータリー・バルブ歯車64は、回転駆動メカニズム60とそれぞれ噛合する、第1、第2、第3、および第4のロータリー・バルブ歯車66-1、66-2、66-3、および66-4を含むことができる。駆動歯車62および一組のロータリー・バルブ歯車64は様々な方式で構成することができるが、1つの構成例では、駆動歯車62とロータリー・バルブ歯車64のそれぞれとは傘歯車として構成される。
【0033】
ロータリー・バルブ歯車64-1~64-4はそれぞれ、それぞれの軸66-1、66-2、66-3、および66-4を介して、対応する第1、第2、第3、および第4のロータリー・バルブ30-1、30-2、30-3、および30-4とも接続される。例えば、各軸66は、対応するロータリー・バルブ30のループ状の壁構造50内へと延在し、軸の長手方向軸線がロータリー・バルブ30の回転軸56と実質的に共線であるようにして、そのロータリー・バルブの面板52に接続する。
【0034】
かかる構成により、駆動メカニズム20および駆動歯車62が回転するにつれて、対応するロータリー・バルブ歯車64、軸66、およびロータリー・バルブ30それぞれも同様に回転する。例えば、駆動メカニズム20および駆動歯車62が回転軸21を中心にして時計方向で回転することによって、ロータリー・バルブ歯車66-1~66-4、軸66-1~66-4、およびロータリー・バルブ30-1~30-4が、それらそれぞれの回転軸52-1~52-4を中心にして回転する。そのため、回転駆動メカニズム60は、各ロータリー・バルブ30を、壁構造50の開口部100を環状ボア14と整列させて、燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24が環状ボア14内でロータリー・バルブ30に対する第1の配置からロータリー・バルブ30に対する第2の配置へと移動するのを可能にする、第1の位置と、第2の配置にある燃焼ピストン・アセンブリ16のピストン24に対してチャンバを規定する、第2の位置(
図2を参照)との間で回転させることができる。
【0035】
1つの構成例では、
図4~
図6に示されるように、第2の封止リング104は、燃焼プロセス中、流体導管106を環状ボア14に対して選択的に開放し隔離するように構成される。注目すべきことに、環状ボア14、連続的に配設されたピストン24、流体導管106、およびロータリー・バルブ30は、明瞭にするため、曲線状ではなく線形的に整列して示される。
【0036】
図4では、各ピストン24-1、24-1が各ロータリー・バルブ30-1、30-2の対応する開口部100を通過すると、ロータリー・バルブ30-1、30-2は回転し続けて、壁構造50を環状ボア14内に導入する。燃焼ピストン・アセンブリ16のこの位置付けにより、第2の封止リング104の壁27は、流体導管106-1、106-2の近傍に配設され、それによって流体導管106-1、106-2が環状ボア14から隔離される。それに加えて、方向120に沿ったピストン24の運動が、先の燃焼によって発生した排気を排気チャネル114-1、114-2内へと追いやり、それによってチャネルの前方が空く。例えば、方向120に沿った第2のピストン24-2の回転が、環状ボア14内の排気を排気チャネル114-1へと追いやり、チャネルが次に排気を雰囲気へと方向付ける。
【0037】
図5では、ロータリー・バルブ30-1、30-2の壁構造50は、環状ボア14内に配設されて、対応するピストン24-1、24-2に対して隔壁を形成する。更に、燃焼ピストン・アセンブリ16は方向120に沿って回転し続ける。燃焼ピストン・アセンブリ16のこの位置付けにより、第2の封止リング104の壁27は、流体導管106-1、106-2の遠位側に配設され、第2の封止リング104の開口部108-1、108-2は、流体導管106-1、106-2の近傍に配設され、それによって流体導管106-1、106-2と燃焼室110-1、110-2との間の流体連通が可能になる。流体導管106-1、106-2内の圧力が対応する燃焼室110-1、110-2よりも高いことにより、流体導管106-1、106-2は、加圧空気リザーバ350などからの加圧空気122-1、122-2か、または混合気122-1、122-2のどちらかを、それぞれの燃焼室110-1、110-2内へと送達することができる。
【0038】
図6では、燃焼ピストン・アセンブリ16を方向120に沿って続けて回転させることで、第2の封止リング104の開口部108-1、108-2がエンジン10の第1のハウジング壁15の近傍に、第2の封止リング104の壁27が流体導管106-1、106-2の近傍に配設され、それによって流体導管106-1、106-2が環状ボア14から隔離される。この時点で、各燃焼室110-1、110-2内の混合気の点火が開始され、燃焼が始まる。プロセスは、各ピストン24-1、24-2が次の続けて配置された排気ポートを通ると繰り返される。
【0039】
上述したように、流体導管106は、加圧空気リザーバ350などからの加圧空気か、または混合気のどちらかを、環状ボア14内に規定されたそれぞれの燃焼室110に送達するように構成される。1つの構成例では、後述するように、流体導管106はまた、燃焼プロセス中に発生した環状ボア14からの圧縮空気を受け入れ、圧縮空気を加圧空気リザーバ350に送達するように構成することができる。
【0040】
図7に示されるように、燃焼ピストン・アセンブリ16は、第2の封止リング104を、第2の封止リング104の壁部分27を対応する流体導管106と整列させる第1の位置に位置付けて、環状ボア14内に位置する空気の圧縮中、環状ボア14から流体導管106への空気の送達を軽減するように構成される。例えば、ピストン24-1、24-2が環状ボア14内で方向120に沿って回転するにつれて、各ピストンは、対応する吸気チャネル130-2、130-3から空気を引き出し、燃料噴射器112-1、112-2は、対応する燃焼室110-1、110-2内へと燃料を注入する。更に、燃焼ピストン・アセンブリ16を回転させることで、第2の封止リング104の開口部108-1、108-2がエンジン10の第1のハウジング壁15の近傍に配設され、第2の封止リング104の壁が流体導管106-1、106-2の近傍に配設され、それによって流体導管106-1、106-2が環状ボア14から隔離される。そのため、ピストン24-1、24-2の回転によって、各ピストンの前方にある空気が閉止されたロータリー・バルブ30に対して圧縮される。例えば、第1のピストン24-1の回転によって、空気が第1の閉止されたロータリー・バルブ30-1に対して圧縮され、第2のピストン24-2の回転によって、空気が第2の閉止されたロータリー・バルブ30-2に対して圧縮される。
【0041】
それに加えて、燃焼ピストン・アセンブリ16は、第2の封止リング104を、第2の封止リング104の開口部108を対応する流体導管106と整列させる第2の位置に位置付けて、環状ボア14内および各ピストン24の前方に位置する圧縮空気の流れが流体導管106を通って流れるのを容易にするように構成される。例えば、動作中、空気の圧縮は、第2の封止リング104の開口部108-1、108-2が流体導管106-1、106-2の開口部と整列するまで継続する。
図8に示されるように、燃焼ピストン・アセンブリ16を更に回転させることにより、第2の封止リング104の開口部108-1、108-2が流体導管106-1、106-2の近傍に配設され、第2の封止リング104の壁が第1のハウジング壁15の近傍に配設される。かかる位置付けによって、流体導管106-1、106-2と環状ボア14との間の流体連通が可能になり、それによって加圧空気が環状ボア14から導管106-1、106-2を通って、加圧空気リザーバ350へと流れることが可能になる。
【0042】
上述したように、燃料の燃焼および空気の圧縮の両方を、エンジン10によって規定される単一の環状ボア14内で行うことができる。1つの構成例では、エンジン10は、圧縮プロセスを燃焼プロセスから分離するために、別個の燃焼および圧縮チャネルを含むことができる。例えば、エンジン10は、比較的軽量の材料から機械加工または形成することができる圧縮チャネルを含む、空気圧縮アセンブリを有して構成することができる。それに加えて、圧縮チャネルの容積は対応する燃焼チャネルよりも大きい容積であることができる。かかる容積の差によって、空気圧縮アセンブリの空気容量が燃焼アセンブリ25と比較して増加し、それによって補助デバイスの必要性が最小限に抑えられるかまたは排除される。クランクシャフト、接続ロッド、釣り合い重り、カムシャフトなどがないため、統合された空気圧縮アセンブリを有するこのエンジンは、従来のクランクシャフト・ベースのエンジンよりも50%軽量であることができ、従来の100%に近い出力を生成する。
【0043】
例えば、
図9は、空気圧縮アセンブリ230を有する循環式ピストン・エンジン10の概略部分横断面図を示している。空気圧縮アセンブリ230は、動作中に燃料噴射器112に送達することができる、エンジン10の圧縮空気源として構成される。
【0044】
1つの構成例では、空気圧縮アセンブリ230は、ハウジング12によって規定される環状圧縮チャネル242を含むことができる。図示されるように、圧縮チャネル242は、回転軸21に沿って、燃焼チャネル(即ち、環状ボア)14の軸線方向上方に、また実質的にそれに平行に配設することができる。空気圧縮アセンブリ230はまた、環状圧縮チャネル242内に配設された圧縮ピストン・アセンブリ304を含む。圧縮ピストン・アセンブリ304は、駆動軸(図示せず)に結合され、環状圧縮チャネル242内に配設された、一組の圧縮ピストン240を含むことができる。更に、
図10および
図11に示されるように、圧縮ピストン・アセンブリ304は、各圧縮ピストン240に接続された圧縮ピストン封止リング204を含むことができる。圧縮ピストン封止リング204は、後述するように、環状圧縮チャネル242とエンジン10によって保持される圧縮された流体導管206との間に選択的なアクセスを提供するように構成される。
【0045】
図9に戻ると、動作中、両方の組のピストン24、240は実質的に同じ速度で回転する。図示されるように、各圧縮ピストン240は、各ピストン240それぞれの近位側にオフセット距離Dで配設される。オフセット距離Dによって、単一の開口部100を有する単一のロータリー・バルブ30が、両方のチャネル14、242のロータリー・バルブとして役立つことが可能になる。
【0046】
空気圧縮アセンブリ230の動作中、
図10および
図11を参照して上述したように、圧縮ピストン・アセンブリ304は、圧縮ピストン封止リング204を、圧縮ピストン封止リング204の壁部分227を対応する流体導管206と整列させる第1の位置に配設して、環状圧縮チャネル242内に位置する空気の圧縮中、環状圧縮チャネル242から圧縮された流体導管206への空気の送達を軽減するように構成される。圧縮ピストン・アセンブリ304は更に、圧縮ピストン封止リング204を、圧縮ピストン封止リング204の開口部208を圧縮された流体導管206と整列させる第2の位置に配設して、環状圧縮チャネル242内および各ピストン240の前方に位置する圧縮空気の流れが圧縮された流体導管206を通って流れるのを容易にするように構成される。
【0047】
例えば、
図10に示されるように、第1の位置では、圧縮ピストン封止リング204の開口部208-1、208-2がエンジン10の第1のハウジング壁15の近傍に配設され、圧縮ピストン封止リング204の壁227が流体導管206-1、206-2の近傍に配設され、それによって流体導管206-1、206-2が環状圧縮チャネル242から隔離される。この位置付けにより、ピストン240-1、240-2が環状ボア242内で方向120に沿って回転するにつれて、ピストン240-1、240-2は、それぞれの閉止されたロータリー・バルブ30-1、30-2に対して真空を作り出し、空気をエンジン10の外部から吸気チャネル232-1、232-2を介して引き込む。そのため、吸気チャネル232-1、232-2は、ピストン240-1、240-2とロータリー・バルブ30-1、30-2との間のそれぞれの容積234-1、234-2に、非圧縮空気を充填する。またこの位置付けにより、ピストン240-1、240-2が環状ボア242内で方向120に沿って回転するにつれて、各ピストン240-1、240-2は、その前方に配設されたチャンバ236-1、236-2内の空気を圧縮する。例えば、第2のピストン240-2は、先に第1のピストン240-1によってチャンバ236-2に引き込まれた、チャンバ236-2内に位置する空気を圧縮する。
【0048】
図11に示されるように、方向120に沿ったピストン240-1、240-2の運動によって、ピストン240-1、240-2は、圧縮ピストン封止リング204の開口部208-1、208-2が流体導管206-1、206-2に接近し、それらと実質的に整列されるまで、チャンバ236-1、236-2内の空気を圧縮し続ける。かかる位置付けによって、流体導管206-1、206-2と環状ボア14との間の流体連通が可能になる。開口部208-1、208-2が流体導管206-1、206-2と整列すると、チャンバ236-1、236-2内に収容された圧縮空気は、流体導管206-1、206-2に入り、例えば、加圧空気リザーバ350に流れ込む。
【0049】
上述したように、流体導管206-1、206-2は、空気圧縮アセンブリ230によって生成された加圧空気を加圧空気リザーバ350に提供するように構成される。かかる説明は単なる例示として提供される。1つの構成例では、
図12によって示されるように、エンジン10は、流体導管206が加圧空気の少なくとも一部分を燃焼アセンブリ25の流体導管106へと方向付けることを可能にするように構成された、空気燃料管理システム300を含むことができる。
【0050】
図12、
図13A、
図13B、および
図13Cを参照すると、空気燃料管理システム300は、燃焼アセンブリ25と空気圧縮アセンブリ230との間に配設されたベース・プレート310を含む。ベース・プレート310は、圧縮アセンブリ230の流体導管206に対する開口部312を規定する。エンジン10はまた、燃焼アセンブリ25と関連付けられた燃焼ピストン・アセンブリ302と、圧縮アセンブリ230と関連付けられた圧縮ピストン・アセンブリ304とを含む。例えば、燃焼ピストン・アセンブリ302は、延長部分306によって駆動軸20に結合されたピストン24を含むことができ、圧縮ピストン・アセンブリ304は、延長部分308によって駆動軸20に結合されたピストン240を含むことができる。1つの構成例では、燃焼ピストン・アセンブリ302の延長部分306は、ベース・プレート310の開口部312と選択的に整列されて、圧縮空気が加圧された流体導管206から流体導管106へと流れることを可能にするように構成された開口部314を規定する。
【0051】
例えば、燃焼ピストン・アセンブリ302は、延長部分306を、
図13Aおよび
図13Bに示されるような第1の位置に位置付けて、延長部分306の壁部分317をベース・プレート310によって規定される開口部312と整列させるように構成される。壁317の部分が開口部312を閉塞している状態で、かかる位置付けは、圧縮アセンブリ230の圧縮された流体導管206から燃焼アセンブリ25の流体導管106への圧縮空気319の送達を軽減することができる。
【0052】
更なる動作中、燃焼ピストン・アセンブリ302は、延長部分306を、
図13Cに示されるような第2の位置に位置付けて、延長部分306の開口部314をベース・プレート310によって規定される開口部312と整列させて、圧縮アセンブリ230の少なくとも1つの圧縮された流体導管206から燃焼アセンブリ25の流体導管106への圧縮空気319の流れを容易にするように構成される。例えば、
図13Bおよび
図13Cに示されるように、方向315に沿った延長部分306の回転によって、延長部分306の開口部314とベース・プレート310の開口部312とが徐々に整列され、それにより、燃焼アセンブリ25への加圧空気送達のタイミングおよび持続時間が制御される。したがって、延長部分306の開口部314とベース・プレート310の開口部312との間に重なりがある状態で、加圧空気は流体導管106内へと移動することができる。
【0053】
1つの構成例では、開口部312、314の相対的な幾何学形状は、圧縮された流体導管206から燃焼アセンブリ25の流体導管106への加圧空気の送達の持続時間を規定することができる。例えば、図示されるように、各開口部314、312は実質的に卵形で構成され、卵形はそれぞれ対応する長さL1、L2の長軸を有する。動作中、延長部分306がベース・プレート310を超えて回転するにつれて、長さL1、L2に沿った開口部314、312の重なりが、加圧された流体導管206から流体導管106への加圧空気の流れの持続時間を規定する。例えば、L1=L2の場合、加圧された流体導管206から流体導管への加圧空気の送達の合計持続時間は2Lである(即ち、L1がL2を超えるのにかかる時間量)。
【0054】
上述したように、空気燃料管理システム300は、燃焼ピストン・アセンブリ302の延長部分306によって規定される開口部314とベース・プレート310によって規定される開口部312との選択的な整列を利用して、加圧された流体導管206から流体導管106への加圧空気の流れを制御することができる。1つの構成例では、
図12に戻ると、ベース・プレート310は、開口部312と加圧された流体導管206との間に配設された空気制御バルブ(図示せず)を含むことができる。かかる構成を用いて、空気制御バルブは、加圧された流体導管206が特定の空気圧に達するのに応答して、開くように構成することができる。そのため、空気制御バルブは、加圧空気を加圧された流体導管206から流体導管106へと送達するスロットルとして作用することができる。
【0055】
1つの構成例では、空気燃料管理システム300はまた、圧縮ピストン・アセンブリ304と燃焼ピストン・アセンブリ302との間の加圧空気の流れを更に制御する、静止バルブを含むことができる。例えば、燃焼ピストン・アセンブリ302は、内側封止リング104の近傍に配設された静止バルブ316を含むことができ、圧縮ピストン・アセンブリ304は、圧縮ピストン封止リング204の近傍に配設された静止バルブ318を含むことができる。封止リング104、204は、静止バルブ316、318に対して回転するように構成される。
【0056】
動作中、封止リング104、204の回転によって、内側封止リング104、204によって規定される開口部108、208とそれぞれの静止バルブ316、318との間が徐々に整列され、また整列しなくなる。封止リング204によって規定される開口部208が静止バルブ318と整列されると、加圧空気は圧縮アセンブリ230から圧縮された流体導管206へと流れることができる。更に、内側封止リング104によって規定される開口部108が静止バルブ316と整列されると、加圧空気は流体導管106から燃焼アセンブリ25へと流れることができる。開口部108、208と静止バルブ316、318との間の相互作用によって、圧縮アセンブリ230から流体導管206へ、また流体導管106から燃焼アセンブリ25内への圧縮空気の流れのタイミングおよび持続時間がもたらされる。
【0057】
1つの構成例では、燃焼ピストン・アセンブリ302の回転の速度は、一回転当たりの燃焼回数によって制御される。例えば、燃焼ピストン・アセンブリ302の回転の速度は、燃料噴射器112の燃焼順序によって決定することができる。4つのピストン・エンジンの4つの燃料噴射器112は、全出力で一回転当たり16回燃焼することができる。あるいは、エンジン10は、燃料噴射器を一回転当たり1~16回の間で任意の回数燃焼させて、16の速度設定を提供することができる。燃焼アセンブリ25の燃焼室は、適切な噴射機112を使用不能にし、圧縮アセンブリ230の吸気チャネル130と関連付けられた吸気バルブ233を閉止することによって、燃焼しないようにして、不要な空気の圧縮を軽減することができる。更に、速度管理を達成するため、燃料噴射器112を、燃焼アセンブリ25の燃焼室の入口の直ぐ前の体積に配設することができる。
【0058】
1つの構成例では、
図14および
図15に示されるように、エンジン10は、加圧された流体導管206が圧縮アセンブリ230によって生成された加圧空気を空気リザーバ350へと方向付けることを可能にするように構成された、空気燃料管理システム340を含む。かかる構成例は、空気燃料管理システム340に、空気および燃料の混合プロセスに対する制御、ならびにエンジン始動手順の管理を提供する。
【0059】
例えば、燃焼ピストン・アセンブリ302は、内側封止リング104の近傍に配設された静止バルブ316を含み、圧縮ピストン・アセンブリ304は、封止リング204の近傍に配設された静止バルブ318を含む。封止リング104、204は、静止バルブ316、318に対して回転するように構成される。動作中、封止リング104、204の回転によって、封止リング104、204によって規定される開口部108、208とそれぞれの静止バルブ316、318とが徐々に整列され、また整列しなくなる。例えば、圧縮ピストン封止リング204に関して、開口部208が静止バルブ318と整列されると、圧縮アセンブリ230によって生成された圧縮空気が流体導管206を介して圧縮アセンブリ230を出て、導管が次に、加圧空気を空気リザーバ350へと方向付けて貯蔵する。圧縮ピストン封止リング104に関して、開口部108が静止バルブ316と整列されると、空気燃料管理システム340は、加圧空気リザーバ350と流体導管106との間に配設された空気制御バルブ352を開放して、加圧空気を空気リザーバ350から流体導管106内へと導入する。更に、燃料噴射器112の起動によって燃料が流体導管106に提供される。圧縮ピストン封止リング104を静止バルブ316に対して更に回転させることで、更に開口部108が静止バルブ316と整列され、それによって次に、流体導管106内の加圧混合気が燃焼アセンブリ25によって規定される燃焼室に入ることが可能になる。
【0060】
1つの構成例では、加圧空気リザーバ350は、エンジン10を始動するのに使用される大量の加圧空気を貯蔵するように構成される。例えば、エンジン点火の前は、エンジン10のピストン24は非回転状態で配設される。しかしながら、燃焼アセンブリ25は、ピストン24がエンジン10内で回転し始めると、空気および燃料を燃焼室に提供するように構成される。エンジン点火プロセス中、エンジン10内におけるピストン24の回転を開始するために、空気リザーバ350は空気をピストン・アセンブリ25に送達する。エンジン10の回転に続いて、1つまたは複数の燃料噴射器112を対応する点火プラグまたはグロー・プラグ400とともに燃焼させて、混合気に点火してピストン24の回転を継続することができる。したがって、加圧空気リザーバ350を使用してエンジンを始動させることで、点火プロセスの一部としてのバッテリーの必要性が軽減される。
【0061】
1つの構成例では、引き続き
図15を参照すると、エンジン10は、各燃料噴射器112と加圧空気リザーバ350と関連付けられた対応する空気制御バルブ352との間を電気的に連通して配設された、フィードバック制御システム400を含む。フィードバック制御システム400は、空気制御バルブ352に対する設定に比例して、燃料噴射器112の動作を調節するように構成される。例えば、動作中、ユーザは、スロットル・コントローラを使用して空気制御バルブ352を調節して、エンジン10の速度を制御することができる。かかる調節により、空気制御バルブ352は、バルブ位置信号402をフィードバック制御システム400に提供することができる。燃料噴射器112の比例的動作を維持するために、フィードバック制御システム400は、バルブ位置信号402に基づいて燃料噴射器動作信号404を生成することができ、燃料噴射器動作信号404を燃料噴射器112に送信することができる。燃料噴射器動作信号404は次に、燃料噴射器112に、流体チャネル106へと送達される燃料の量を調節させる。そのため、燃料噴射器112によって提供される燃料の量は、流体チャネル106に提供される空気の量に比例する。
【0062】
動作中、エンジン10は、点火プラグまたはグロー・プラグなどの混合気点火デバイスを利用して、燃焼室内の混合気に点火することができる。1つの構成例では、エンジン10は、燃焼制御システムを用いて、混合気点火デバイスの比較的正確な点火制御を提供するように構成される。かかる制御は、燃焼室内の混合気が点火デバイスを急冷する確率を軽減することができる。
【0063】
図16Aを参照すると、燃焼制御システム375は、流体導管106に対して第1の配置に配設された第1の混合気点火デバイス400と、流体導管106に対して第2の位置402に配設された第2の点火デバイス402とを含む。図示されるように、第2の点火デバイス402は、第1の点火デバイス400に対して遠位位置に配設される。ピストン24は、燃焼制御システム375の一部を形成し、第1および第2の点火デバイス400、402を連続的に露出させて、デバイス400、402の動作を選択的に制御するように構成される。
【0064】
1つの構成例では、動作中、燃焼ピストン・アセンブリ302は、ピストン24を、ピストンを対応する点火デバイス400、402と整列させる第1の位置に位置付けて、燃焼室110内の混合気405の点火を軽減するように構成される。例えば、図示されるように、燃焼ピストン・アセンブリ302は、ピストン24を両方の点火デバイス400、402の近傍に配設して、デバイス400、402を被覆する。燃焼ピストン・アセンブリ302は更に、封止リング104の開口部108を流体導管106と整列させて、流体導管106が混合気405を、ロータリー・バルブ30とピストンとの間のエンジン10の燃焼室110内へと導入することを可能にする。図示されるように、開口部108は、流体導管106が混合気405を円形運動で燃焼室110内へと方向付けるように、封止リングおよび流体導管106に対して角度を付けられる。かかる円形運動は、燃焼室110内の乱流を作って、混合気405の比較的迅速な燃焼を可能にすることができる。
【0065】
図16Bを参照すると、燃焼ピストン・アセンブリ302は更に、ピストン24を、点火デバイスに対するピストン24の整列がずれる第2の位置に位置付けて、燃焼室110内の混合気405の点火を促進するように構成される。例えば、図示されるように、燃焼ピストン・アセンブリ302は、封止リング104の開口部108をエンジン壁17に対して方向404に沿って配設して、流体導管106を閉止する。燃焼ピストン・アセンブリ302は更に、ピストン24を方向404に沿って両方の点火デバイス400、402の近傍に配設して、デバイス400、402を連続的な形で露出させ、それによって燃焼室110内のいくつかの地点における混合気105の点火を促進する。
【0066】
本発明の様々な実施形態について特に図示し記載してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が行われてもよいことが、当業者には理解されるであろう。