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特許7130314信用度判定システム、信用度判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】信用度判定システム、信用度判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20220829BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022523373
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021024215
【審査請求日】2022-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブロール サティアン
(72)【発明者】
【氏名】コンダパカ マノゥチ
(72)【発明者】
【氏名】菅原 崇
(72)【発明者】
【氏名】梅田 卓志
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-123649(JP,A)
【文献】特開2014-149728(JP,A)
【文献】特開2007-52557(JP,A)
【文献】特開2019-109831(JP,A)
【文献】特開2016-157395(JP,A)
【文献】特開2020-102013(JP,A)
【文献】特表2018-536940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0279297(US,A1)
【文献】“パネルディスカッション 「デジタル化による社会変革をリードするためには?」”,知的資産創造,株式会社野村総合研究所,2017年12月20日,第26巻, 第1号,pp. 36~51,ISSN:0919-7133
【文献】野村総合研究所デジタル基盤開発部,“3.2 情報銀行と信用スコア”,ITロードマップ 2019年版,東洋経済新報社,2019年03月21日,pp.194~214,ISBN:978-4-492-58114-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目人物の信用度を判定する信用度判定システムであって、
それぞれが人物のペアを分類したクラスタに対応付けられる複数の学習済の機械学習モデルと、
前記注目人物と参照人物との関係に対応付けられる値に基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物とのペアが分類される前記クラスタ を特定する関係性特定手段と、
特定されるクラスタに対応する前記機械学習モデルに、 当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標を表すデータを入力した際の出力に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定する近さスコア決定手段と、
少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定する信用度判定手段と、
を含むことを特徴とする信用度判定システム。
【請求項2】
前記関係性特定手段は、第1のコンピュータシステムに登録されている前記注目人物のアカウントデータと、第2のコンピュータシステムに登録されている前記参照人物のアカウントデータと、に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との関係性を特定する、
ことを特徴とする請求項に記載の信用度判定システム。
【請求項3】
複数の人物のそれぞれの属性に基づいて、互いに関係がある人物のペアを特定するペア特定手段と、
前記注目人物と関係がある人物として特定される人物、及び、関係がある人物として特定される人物が所定数以上前記注目人物と共通する人物を、前記参照人物として特定する参照人物特定手段と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信用度判定システム。
【請求項4】
前記関係性特定手段は、前記注目人物と前記参照人物との家族としての関係を特定する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の信用度判定システム。
【請求項5】
前記信用度判定手段は、前記注目人物のクレジットスコアを判定する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の信用度判定システム。
【請求項6】
前記関係性特定手段は、名字、IPアドレス、住所、クレジットカード番号、年齢差、又は、性別のうちの少なくとも1つに基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との関係性を特定する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の信用度判定システム。
【請求項7】
前記信用度判定手段は、前記注目人物に関する情報に基づいて、前記注目人物の信用度を判定する第1判定を実行し、
前記信用度判定手段は、前記第1判定によって判定された前記注目人物の信用度が所定のレベル以下である場合、あるいは、前記第1判定によって前記注目人物の信用度が判定され得なかった場合に、少なくとも1人の前記参照人物に関する情報に基づいて、前記注目人物の信用度を判定し直す第2判定を実行する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の信用度判定システム。
【請求項8】
注目人物の信用度を判定する信用度判定方法であって、
それぞれが人物のペアを分類した複数のクラスタのうちから、前記注目人物と参照人物との関係に対応付けられる値に基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物とのペアが分類される前記クラスタ を特定するステップと、
それぞれが前記クラスタに対応付けられる複数の学習済の機械学習モデルのうちの、特定されるクラスタに対応する前記機械学習モデルに、 当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標を表すデータを入力した際の出力に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定するステップと、
少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定するステップと、
を含むことを特徴とする信用度判定方法。
【請求項9】
注目人物の信用度を判定するコンピュータに、
それぞれが人物のペアを分類した複数のクラスタのうちから、前記注目人物と参照人物との関係に対応付けられる値に基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物とのペアが分類される前記クラスタ を特定する手順、
それぞれが前記クラスタに対応付けられる複数の学習済の機械学習モデルのうちの、特定されるクラスタに対応する前記機械学習モデルに、 当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標を表すデータを入力した際の出力に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定する手順、
少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定する手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信用度判定システム、信用度判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照会結果ファイルに含まれる各貸金契約の借入残高が、貸金業法の総量規制で定められる借入上限額以下になっているか否かを判定する技術が記載されている。また、特許文献1には、婚姻関係にある人物同士がそれぞれ貸金契約を結んでおり借入残高を積算した場合の借入上限額として、収入の多い方の契約者について設定されている借入上限額を用いてもよいし、両者の借入上限額の合計を用いてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-301236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、信用情報機関に登録されている貸金契約の情報に基づいて上述の判定が行われている。そのため、ある人物の信用度を特許文献1に記載の技術を用いて判定しようとしても、この人物の与信の情報がなければこの人物の信用度を的確に判定することができない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の1つは、与信の情報がない人物の信用度を的確に判定できる信用度判定システム、信用度判定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る信用度判定システムは、注目人物の信用度を判定する信用度判定システムであって、前記注目人物と参照人物との関係性を特定する関係性特定手段と、前記注目人物と前記参照人物との関係性に対応する判断基準に従って、当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定する近さスコア決定手段と、少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定する信用度判定手段と、を含む。
【0007】
本発明の一態様では、前記近さスコア決定手段は、前記注目人物と前記参照人物との関係性に対応する学習済の機械学習モデルに前記指標を表すデータを入力した際の出力に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との近さを示す前記近さスコアを決定する。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記関係性特定手段は、第1のコンピュータシステムに登録されている前記注目人物のアカウントデータと、第2のコンピュータシステムに登録されている前記参照人物のアカウントデータと、に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との関係性を特定する。
【0009】
また、本発明の一態様では、複数の人物のそれぞれの属性に基づいて、互いに関係がある人物のペアを特定するペア特定手段と、前記注目人物と関係がある人物として特定される人物、及び、関係がある人物として特定される人物が所定数以上前記注目人物と共通する人物を、前記参照人物として特定する参照人物特定手段と、をさらに含む。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記関係性特定手段は、前記注目人物と前記参照人物との家族としての関係を特定する。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記信用度判定手段は、前記注目人物のクレジットスコアを判定する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記関係性特定手段は、人物間の関係に対応付けられる値に基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との関係性を特定する。
【0013】
この態様では、前記関係性特定手段は、名字、IPアドレス、住所、クレジットカード番号、年齢差、又は、性別のうちの少なくとも1つに基づくクラスタリングの結果に基づいて、前記注目人物と前記参照人物との関係性を特定してもよい。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記信用度判定手段は、前記注目人物に関する情報に基づいて、前記注目人物の信用度を判定する第1判定を実行し、前記信用度判定手段は、前記第1判定によって判定された前記注目人物の信用度が所定のレベル以下である場合、あるいは、前記第1判定では前記注目人物の信用度が判定され得なかった場合に、少なくとも1人の前記参照人物に関する情報に基づいて、前記注目人物の信用度を判定し直す第2判定を実行する。
【0015】
また、本発明に係る信用度判定方法は、注目人物の信用度を判定する信用度判定方法であって、前記注目人物と参照人物との関係性を特定するステップと、前記注目人物と前記参照人物との関係性に対応する判断基準に従って、当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定するステップと、少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定するステップと、を含む。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、注目人物の信用度を判定するコンピュータに、前記注目人物と参照人物との関係性を特定する手順、前記注目人物と前記参照人物との関係性に対応する判断基準に従って、当該注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標に基づいて、当該注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定する手順、少なくとも1人の前記参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される前記近さスコアとに基づいて、前記注目人物の信用度を判定する手順、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る信用度判定システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る信用度判定システムの機能の一例を示す機能ブロック図である。
図3】IPアドレスデータの値が共通していることの一例を模式的に示す図である。
図4】グラフデータの一例を示す図である。
図5】住所データの値が共通していることの一例を模式的に示す図である。
図6】グラフデータの一例を示す図である。
図7】クレジットカード番号データの値が共通していることの一例を模式的に示す図である。
図8】グラフデータの一例を示す図である。
図9】グラフデータの一例を示す図である。
図10】クラスタの一例を示す図である。
図11】分類の可視化の一例を示す図である。
図12】機械学習モデルを用いた近さスコアの決定の一例を示す図である。
図13】機械学習モデルの学習の一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る信用度判定システムで行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る信用度判定システム1の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る信用度判定システム1は、例えば、サーバコンピュータやパーソナルコンピュータなどのコンピュータであり、プロセッサ10、記憶部12、通信部14、操作部16、及び、出力部18を含む。なお、本実施形態に係る信用度判定システム1に、複数台のコンピュータが含まれていてもよい。
【0020】
プロセッサ10は、例えば、信用度判定システム1にインストールされるプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ等のプログラム制御デバイスである。記憶部12は、例えばROMやRAM等の記憶素子や、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。記憶部12には、プロセッサ10によって実行されるプログラムなどが記憶される。通信部14は、例えば、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースであり、インターネット等のコンピュータネットワークを介して、他のコンピュータや端末との間でデータを授受する。
【0021】
操作部16は、入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイスやキーボード等を含む。操作部16は、操作内容をプロセッサ10に伝達する。出力部18は、例えば、液晶表示部又は有機EL表示部等のディスプレイや、スピーカ等の音声出力デバイス等の出力デバイスである。
【0022】
なお、記憶部12に記憶されるものとして説明するプログラム及びデータは、ネットワークを介して他のコンピュータから供給されるようにしてもよい。また、信用度判定システム1のハードウェア構成は、上記の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、信用度判定システム1に、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)や外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)が含まれていてもよい。例えば、情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータが読取部や入出力部を介して信用度判定システム1に供給されるようにしてもよい。
【0023】
本実施形態に係る信用度判定システム1では例えば、信用情報機関に与信の情報が登録されていない人物(以下、注目人物と呼ぶ。)の信用度が判定される。
【0024】
以下、本実施形態に係る信用度判定システム1の機能、及び、信用度判定システム1で実行される処理についてさらに説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る信用度判定システム1で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る信用度判定システム1で、図2に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図2に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0026】
図2に示すように、本実施形態に係る信用度判定システム1には、機能的には例えば、人物属性データ取得部20、グラフデータ生成部22、参照人物特定部24、関係性特定部26、近さスコア決定部28、クレジットスコア取得部30、信用度判定部32、が含まれる。
【0027】
人物属性データ取得部20、クレジットスコア取得部30は、通信部14を主として実装される。グラフデータ生成部22、参照人物特定部24、関係性特定部26、信用度判定部32は、プロセッサ10を主として実装される。近さスコア決定部28は、プロセッサ10及び記憶部12を主として実装される。
【0028】
以上の機能は、コンピュータである信用度判定システム1にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ10で実行することにより実装されてもよい。また、このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して信用度判定システム1に供給されてもよい。
【0029】
本実施形態に係る信用度判定システム1は、例えば、電子商取引システム40、ゴルフ場予約システム42、旅行予約システム44、カード管理システム46、などといった複数のコンピュータシステムと通信可能になっている(図3図5、及び、図7参照)。これらのコンピュータシステムのそれぞれには、当該コンピュータシステムを利用するユーザに関する情報であるアカウントデータが登録されている。そして、信用度判定システム1は、これらのコンピュータシステムにアクセスして、当該コンピュータシステムに登録されているアカウントデータを取得できるようになっている。
【0030】
アカウントデータには、例えば、ユーザID、氏名データ、住所データ、年齢データ、性別データ、電話番号データ、携帯電話番号データ、クレジットカード番号データ、IPアドレスデータ、などが含まれる。
【0031】
ユーザIDは、例えば、当該コンピュータシステムにおける当該ユーザの識別情報である。氏名データは、例えば、当該ユーザの氏名(名字及び名前)を示すデータである。住所データは、例えば、当該ユーザの住所を示すデータである。当該コンピュータシステムが電子商取引システム40である場合に、住所データが、当該ユーザが購入した商品の送付先の住所を示していてもよい。年齢データは、例えば、当該ユーザの年齢を示すデータである。性別データは、例えば、当該ユーザの性別を示すデータである。電話番号データは、例えば、当該ユーザの電話番号を示すデータである。携帯電話番号データは、例えば、当該ユーザの携帯電話番号を示すデータである。クレジットカード番号データは、例えば、当該ユーザが当該コンピュータシステムでの決済において利用するクレジットカードのカード番号を示すデータである。IPアドレスデータは、例えば、当該ユーザが使用するコンピュータのIPアドレス(例えば、送信元のIPアドレス)を示すデータである。
【0032】
人物属性データ取得部20は、本実施形態では例えば、注目人物を含む複数の人物についての、当該人物の属性を示す人物属性データを取得する。ここで人物属性データの一例としては、上述のアカウントデータが挙げられる。人物属性データ取得部20は、例えば、上述の複数のシステムのそれぞれから、当該人物のアカウントデータを取得する。
【0033】
グラフデータ生成部22は、本実施形態では例えば、複数の人物のそれぞれの属性に基づいて、互いに関係がある人物のペアを特定する。グラフデータ生成部22は、複数の人物の人物属性データに基づいて、互いに関係がある人物のペアを特定してもよい。なお、本実施形態に係るグラフデータ生成部22は、請求の範囲に記載の、複数の人物のそれぞれの属性に基づいて、互いに関係がある人物のペアを特定するペア特定手段の一例に相当する。
【0034】
グラフデータ生成部22は、例えば、注目人物を含む複数の人物にそれぞれ対応付けられるノードデータ50と、互いに関係がある人物のペアに対応付けられるリンクデータ52と、を含むグラフデータを生成する(図4図6図8、及び、図9参照)。
【0035】
例えば、図3に示すように、電子商取引システム40に、ユーザAのアカウントデータが登録されていることとする。また、ゴルフ場予約システム42に、ユーザBのアカウントデータが登録されていることとする。また、旅行予約システム44に、ユーザCのアカウントデータが登録されていることとする。
【0036】
そして、電子商取引システム40に登録されているユーザAのIPアドレスデータの値、ゴルフ場予約システム42に登録されているユーザBのIPアドレスデータの値、及び、旅行予約システム44に登録されているユーザCのIPアドレスデータの値が同じであるとする。
【0037】
この場合、グラフデータ生成部22は、図4に示すように、ユーザAに対応付けられるノードデータ50a、ユーザBに対応付けられるノードデータ50b、ユーザCに対応付けられるノードデータ50c、ユーザAがユーザBと関係があることを示すリンクデータ52a、ユーザAがユーザCと関係があることを示すリンクデータ52b、ユーザBがユーザCと関係があることを示すリンクデータ52c、を含むグラフデータを生成する。
【0038】
IPアドレスが同じであるユーザは同じコンピュータを利用しているものと推察される。そのため、本実施形態ではこのようなユーザは互いに関連付けられるようになっている。
【0039】
また、例えば、図5に示すように、電子商取引システム40に、ユーザD、ユーザE、及び、ユーザFのアカウントデータが登録されていることとする。
【0040】
そして、電子商取引システム40に登録されているユーザDの住所データの値、ユーザEの住所データの値、及び、ユーザFの住所データの値が同じであるとする。
【0041】
この場合、グラフデータ生成部22は、図6に示すように、ユーザDに対応付けられるノードデータ50d、ユーザEに対応付けられるノードデータ50e、ユーザFに対応付けられるノードデータ50f、ユーザDがユーザEと関係があることを示すリンクデータ52d、ユーザDがユーザFと関係があることを示すリンクデータ52e、ユーザEがユーザFと関係があることを示すリンクデータ52f、を含むグラフデータを生成する。
【0042】
住所が同じであるユーザは同居しているものと推察される。そのため、本実施形態ではこのようなユーザは互いに関連付けられるようになっている。
【0043】
また、例えば、図7に示すように、電子商取引システム40に、ユーザGのアカウントデータが登録されていることとする。また、ゴルフ場予約システム42に、ユーザHのアカウントデータが登録されていることとする。また、旅行予約システム44に、ユーザIのアカウントデータが登録されていることとする。
【0044】
そして、電子商取引システム40に登録されているユーザGのクレジットカード番号データの値、ゴルフ場予約システム42に登録されているユーザHのクレジットカード番号データの値、及び、旅行予約システム44に登録されているユーザIのクレジットカード番号データの値が同じであるとする。
【0045】
この場合、グラフデータ生成部22は、図8に示すように、ユーザGに対応付けられるノードデータ50g、ユーザHに対応付けられるノードデータ50h、ユーザIに対応付けられるノードデータ50i、ユーザGがユーザHと関係があることを示すリンクデータ52g、ユーザGがユーザIと関係があることを示すリンクデータ52h、ユーザHがユーザIと関係があることを示すリンクデータ52i、を含むグラフデータを生成する。
【0046】
クレジットカード番号が同じであるユーザは親子等の家族であるものと推察される。そのため、本実施形態ではこのようなユーザは互いに関連付けられるようになっている。
【0047】
なお、互いに関係がある人物のペアに該当するか否かの判断基準は、以上で説明したものには限定されない。
【0048】
また、以上で説明した、互いに関係があると特定された人物を関連付けるリンクデータ52が示すリンクを明示的リンクと呼ぶこととする。
【0049】
ここで例えば、第1の人物と明示的リンクで接続されている人物と、第2の人物と明示的リンクで接続されている人物と、が所定数以上(例えば、3人以上)共通しているとする。この場合、本実施形態では例えば、グラフデータ生成部22は、当該第1の人物が当該第2の人物と関係があることを示すリンクデータ52を生成する。このようにして生成されるリンクデータ52が示すリンクを黙示的リンクと呼ぶこととする。
【0050】
例えば、図9に示すように、明示的リンクを示すリンクデータ52jによって、ユーザJに対応付けられるノードデータ50jとユーザKに対応付けられるノードデータ50kとが接続されていることとする。また、明示的リンクを示すリンクデータ52kによって、ユーザJに対応付けられるノードデータ50jとユーザLに対応付けられるノードデータ50lとが接続されていることとする。また、明示的リンクを示すリンクデータ52lによって、ユーザJに対応付けられるノードデータ50jとユーザMに対応付けられるノードデータ50mとが接続されていることとする。
【0051】
また、明示的リンクを示すリンクデータ52mによって、ユーザKに対応付けられるノードデータ50kとユーザNに対応付けられるノードデータ50nとが接続されていることとする。また、明示的リンクを示すリンクデータ52nによって、ユーザLに対応付けられるノードデータ50lとユーザNに対応付けられるノードデータ50nとが接続されていることとする。また、明示的リンクを示すリンクデータ52oによって、ユーザMに対応付けられるノードデータ50mとユーザNに対応付けられるノードデータ50nとが接続されていることとする。
【0052】
この場合、グラフデータ生成部22は、ユーザJがユーザNと関係があることを示すリンクデータ52p(黙示的リンクを示すリンクデータ52p)を生成する。このようにして、ユーザNが、ユーザJと関係がある人物として特定されることとなる。
【0053】
また、例えば、第1の人物と明示的リンク又は黙示的リンクで接続されている人物と、第2の人物と明示的リンク又は黙示的リンクで接続されている人物と、が所定数以上(例えば、3人以上)共通しているとする。この場合、グラフデータ生成部22が、当該第1の人物が当該第2の人物と関係があることを示すリンクデータ52(黙示的リンクを示すリンクデータ52)を生成してもよい。
【0054】
なお、グラフデータ生成部22は、アカウントデータとは異なる人物属性データに基づいて、グラフデータを生成してもよい。
【0055】
参照人物特定部24は、本実施形態では例えば、注目人物と関係がある人物である参照人物を特定する。ここで、参照人物特定部24は、注目人物と関係がある人物として特定される人物、及び、関係がある人物として特定される人物が所定数以上注目人物と共通する人物を、参照人物として特定してもよい。また、参照人物特定部24は、注目人物の属性と、複数の人物の属性と、に基づいて、当該複数の人物のうちから、参照人物を特定してもよい。
【0056】
参照人物特定部24は、例えば、注目人物に対応付けられるノードデータ50と、明示的リンク又は黙示的リンクを示すリンクデータ52によって接続されるノードデータ50に対応付けられる人物を、当該注目人物に対する参照人物として特定してもよい。
【0057】
関係性特定部26は、本実施形態では例えば、注目人物と参照人物との関係性を特定する。ここで、関係性特定部26が、注目人物のアカウントデータと、参照人物のアカウントデータと、に基づいて、注目人物と参照人物との関係性を特定してもよい。ここで、注目人物のアカウントデータが登録されているコンピュータシステムと参照人物のアカウントデータが登録されているコンピュータシステムとは異なっていてもよい。例えば、電子商取引システム40に登録されている、注目人物のアカウントデータと、ゴルフ場予約システム42に登録されている、参照人物のアカウントデータと、に基づいて、注目人物と参照人物との関係性を特定してもよい。
【0058】
また、関係性特定部26は、注目人物と参照人物との家族としての関係を特定してもよい。
【0059】
関係性特定部26は、例えば、リンクデータ52で接続されているノードデータ50のペアを特定する。そして、関係性特定部26は、当該ペアに対応付けられる2人の人物の人物属性データに基づいて、当該ペアに対応付けられるペア属性データを生成する。
【0060】
ペア属性データには、例えば、IP共通フラグ、住所共通フラグ、クレジットカード番号共通フラグ、名字同一フラグ、年齢差データ、ペア性別データ、などが含まれる。
【0061】
IP共通フラグは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれるIPアドレスデータの値と他方のアカウントデータに含まれるIPアドレスデータの値とが同じであるか否かを示すフラグである。例えば、所与の日においてIPアドレスデータの値が同じである場合はIP共通フラグの値に1が設定され、IPアドレスデータの値が異なる場合はIP共通フラグの値に0が設定されてもよい。
【0062】
住所共通フラグは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれる住所データの値と他方のアカウントデータに含まれる住所データの値とが同じであるか否かを示すフラグである。例えば、住所データの値が同じである場合は住所共通フラグの値に1が設定され、住所データの値が異なる場合は住所共通フラグの値に0が設定されてもよい。
【0063】
クレジットカード番号共通フラグは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれるクレジットカード番号データの値と他方のアカウントデータに含まれるクレジットカード番号データの値とが同じであるか否かを示すフラグである。例えば、クレジットカード番号データの値が同じである場合はクレジットカード番号共通フラグの値に1が設定され、クレジットカード番号データの値が異なる場合はクレジットカード番号共通フラグの値に0が設定されてもよい。
【0064】
名字同一フラグは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれる氏名データが示す名字と他方のアカウントデータに含まれる氏名データが示す名字とが同じであるか否かを示すフラグである。例えば、氏名データが示す名字が同じである場合は名字同一フラグの値に1が設定され、氏名データが示す名字が異なる場合は名字同一フラグの値に0が設定されてもよい。
【0065】
年齢差データは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれる年齢データの値と他方のアカウントデータに含まれる年齢データの値との差を示すデータである。
【0066】
ペア性別データは、例えば、当該ペアのうちの一方のアカウントデータに含まれる性別データの値と他方のアカウントデータに含まれる性別データの値との組合せを示すデータである。
【0067】
そして、関係性特定部26は、複数のペアのそれぞれに対応付けられるペア属性データの値に基づいて、一般的なクラスタリング手法を用いたクラスタリングを実行することで、当該複数のペアを、図10に示すような複数のクラスタ54に分類する。
【0068】
図10は、複数のペアが、5つのクラスタ54(54a、54b、54c、54d、及び、54e)に分類された様子の一例を模式的に示す図である。図10に示されているバツ印は、ペアに対応付けられる。そして、複数のバツ印のそれぞれは、当該バツ印に対応するペアのペア属性データの値に対応付けられる位置に配置されている。
【0069】
図10の例では、複数のペアが5つのクラスタ54に分類されているが、複数のペアが分類されるクラスタ54の数は5つには限定されず、例えば、複数のペアが4つのクラスタ54に分類されてもよい。
【0070】
図11は、複数のペアが4つのクラスタ54に分類された場合における、当該分類の可視化の一例を示す図である。
【0071】
図11に示すように、住所が同じであり、性別が同じであり、年齢差がX歳より大きく、名字が同じペアは、第1クラスタに分類されてもよい。また、住所が同じであり、性別が同じであり、年齢差がX歳以下であり、名字が同じペアは、第2クラスタに分類されてもよい。また、住所が同じであり、性別が異なり、年齢差がY歳より大きく、名字が同じペアは、第3クラスタに分類されてもよい。また、住所が同じであり、性別が異なり、年齢差がY歳以下であり、名字が同じペアは、第4クラスタに分類されてもよい。
【0072】
この場合、第1クラスタは、例えば同性の親子に対応付けられるクラスタ54であるものと推察される。また、第2クラスタは、例えば同性の兄弟に対応付けられるクラスタ54であるものと推察される。また、第3クラスタは、例えば異性の親子に対応付けられるクラスタ54であるものと推察される。また、第4クラスタは、例えば夫婦、または異性の兄弟に対応付けられるクラスタ54であるものと推察される。
【0073】
以上で説明したようにして、関係性特定部26が、人物間の関係に対応付けられる値に基づくクラスタリングの結果に基づいて、注目人物と参照人物との関係性を特定してもよい。また、関係性特定部26が、名字、IPアドレス、住所、クレジットカード番号、年齢差、又は、性別のうちの少なくとも1つに基づくクラスタリングの結果に基づいて、注目人物と参照人物との関係性を特定してもよい。
【0074】
近さスコア決定部28は、本実施形態では例えば、注目人物と参照人物との関係性に対応する判断基準に従って、注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標に基づいて、注目人物と当該参照人物との近さを示す近さスコアを決定する。
【0075】
ここで、近さスコア決定部28が、それぞれ上述のクラスタ54に対応付けられる学習済の機械学習モデルを含んでいてもよい。例えば、複数のペアが5つのクラスタ54に分類される場合には、近さスコア決定部28が、5つの機械学習モデルを含んでいてもよい。
【0076】
そして、近さスコア決定部28は、注目人物と参照人物との関係性に対応する学習済の機械学習モデルに、注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標を表すデータを入力した際の出力に基づいて、注目人物と参照人物との近さを示す近さスコアを決定してもよい。この場合、学習済の機械学習モデルにおいて実装された入出力関係が、上述の判断基準に相当する。
【0077】
図12に示すように、近さスコア決定部28が、n番目の機械学習モデルである第n機械学習モデルに、第n機械学習モデルに対応付けられるクラスタ54に分類されたペアに対応する入力データを入力してもよい。例えば、近さスコア決定部28が5つの機械学習モデルを含む場合は、上述の値nは、1以上5以下の整数のうちのいずれかとなる。そして、近さスコア決定部28が、当該入力データの入力に応じて第n機械学習モデルから出力される出力データの値を、当該ペアについての近さスコアの値として決定するようにしてもよい。
【0078】
ペアに対応付けられる入力データには、例えば、当該ペアに対応付けられるペア属性データの一部又は全部が含まれるようにしてもよい。また、入力データに、ペア属性データに含まれていないデータが含まれるようにしてもよい。例えば、入力データに、電子商取引システム40の利用履歴を示すデータや、近さスコア決定部28によってSNS等の他の情報源から取得されるデータなどが含まれていてもよい。より具体的には例えば、入力データに、ペア間の単位期間あたりの通話回数やメッセージのやり取りの回数、一方が他方に送ったギフトの数、ペアにおける共通のフレンドの数、などを示すデータが含まれるようにしてもよい。
【0079】
また、ペアに対応付けられる入力データに含まれるデータの種類は、当該ペアが属するクラスタ54によって同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、第1機械学習モデルに入力される入力データに含まれるデータの種類と、第2機械学習モデルに入力される入力データに含まれるデータの種類と、が異なっていてもよい。
【0080】
本実施形態では例えば、近さスコア決定部28による近さスコアの決定に先立って、予め、第n機械学習モデルに対応付けられる所与の複数の訓練データを用いた、第n機械学習モデルの学習が実行される。この訓練データは、例えば、当該第n機械学習モデルに対応付けられるクラスタ54における近さスコアの決定が妥当なものとなるよう予め準備されたものである。
【0081】
ここで、第n機械学習モデルに対して、弱教師あり学習による学習が行われてもよい。例えば、訓練データに、図13に示すような、第n機械学習モデルに入力される入力データと同じ種類のデータが含まれている学習入力データと、学習入力データの入力に応じて第n機械学習モデルから出力される出力データと比較される教師データと、が含まれていてもよい。
【0082】
ここで例えば、上述の近さスコアが、0又は1のいずれかの値をとるとする。例えば、ペアが近い関係にある場合には、当該ペアの近さスコアの値として1が決定され、そうでない場合に、当該ペアの近さスコアの値として0が決定されるとする。
【0083】
この場合、教師データが、対応する学習入力データにおける妥当な近さスコアの値、及び、この値が妥当である確率を示すデータを含んでいてもよい。
【0084】
そして、例えば、訓練データに含まれる学習入力データの入力に応じて第n機械学習モデルから出力される出力データの値と、当該訓練データに含まれる教師データの値と、に基づいて、第n機械学習モデルのパラメータの値を更新する弱教師あり学習が実行されてもよい。
【0085】
なお、上述の近さスコアは、0又は1のいずれかの値をとるバイナリデータである必要はない。例えば、上述の近さスコアが、当該ペアが近い関係にあるほど大きな値となる実数値(例えば、0以上10以下の実数値)や、多段階の整数値(例えば、1以上10以下の整数値)であっても構わない。
【0086】
また、機械学習モデルの学習手法は、弱教師あり学習には限定されない。
【0087】
一具体例として、兄弟の関係があるペアについて考察する。この場合、当該ペアに対応付けられる入力データが、兄弟という関係に対応する学習済の機械学習モデルに入力される。そして例えば、このペアについて住所データの値が同じであり、このペアの一方が他方に送ったギフトの数が50であり、このペアの今までの通話回数が1200回である場合には、値が1である出力データが出力されるような学習が実行されてもよい。また例えば、このペアについて住所データの値が異なっており、このペアの一方が他方に送ったギフトの数が2であり、このペアの今までの通話回数が30回である場合には、値が0である出力データが出力されるような学習が実行されてもよい。
【0088】
そして、近さスコアに対応する出力データの値が1となるか0となるかの判断基準(例えば閾値)が、機械学習モデルによって異なっていてもよい。
【0089】
クレジットスコア取得部30は、本実施形態では例えば、参照人物のクレジットスコアを示すクレジットスコアデータを取得する。
【0090】
クレジットスコア取得部30は、信用情報機関のシステムにアクセスして、当該システムから参照人物のクレジットスコアを示すクレジットスコアデータを取得してもよい。
【0091】
クレジットスコア取得部30は、カード管理システム46にアクセスして、カード管理システム46から参照人物のクレジットスコアを示すクレジットスコアデータを取得してもよい。
【0092】
信用度判定部32は、本実施形態では例えば、少なくとも1人の参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される注目人物との近さスコアとに基づいて、注目人物の信用度を判定する。
【0093】
ここで参照人物に関する情報の一例として、クレジットスコア取得部30が取得する、当該参照人物のクレジットスコアを示すクレジットスコアデータが挙げられる。
【0094】
また、信用度判定部32は、注目人物の信用度の一例として、注目人物のクレジットスコアを判定してもよい。例えば、信用度判定部32は、近さスコアによるクレジットスコアの重み付き平均値を、注目人物のクレジットスコアとして判定してもよい。
【0095】
例えば、ある注目人物について、参照人物がm人いるとする。この場合、このm人の参照人物についての、クレジットスコアデータの値と当該参照人物と当該注目人物とのペアに対応付けられる近さスコアの値との積を合計した値pが計算されてもよい。そして、このm人の参照人物についての、当該参照人物と当該注目人物とのペアに対応付けられる近さスコアの値を合計した値qが計算されてもよい。そして、値pを値qで割った値が、注目人物のクレジットスコアとして判定されてもよい。
【0096】
なお、信用度判定部32は、参照人物のクレジットスコアに基づいて、注目人物の信用度を判定する必要はない。例えば、信用度判定部32が、例えば、参照人物の収入、参照人物の知名度、人口統計などに基づいて、注目人物の信用度を判定してもよい。
【0097】
また、信用度判定部32が判定する注目人物の信用度は、注目人物のクレジットスコアには限定されない。例えば、信用度判定部32が、注目人物の与信限度額を判定してもよい。また、例えば、信用度判定部32が、任意の会員サービスに対する新規ユーザ登録や、任意のインターネット通販やフリーマーケットサービスの利用代金の後払いを許可するか否か等を判定してもよい。
【0098】
ここで、本実施形態に係る信用度判定システム1で行われる、ある注目人物についての信用度を判定する処理の流れの一例を、図14に例示するフロー図を参照しながら説明する。以下の処理例では、注目人物を含む複数の人物についてのグラフデータが既に生成されており、複数のペアについて、当該ペアに対応付けられるクラスタ54が特定されていることとする。また、各クラスタ54に対応付けられる機械学習モデルが既に学習済であることとする。また、値pの初期値、及び、値qの初期値として0が設定されていることとする。
【0099】
まず、参照人物特定部24が、注目人物に対応するノードデータ50と明示的リンク又は黙示的リンクで接続されているノードデータ50に対応する人物を、参照人物として特定する(S101)。ここでは例えば、少なくとも1人の参照人物が特定されるとする。
【0100】
そして、関係性特定部26が、S101に示す処理で特定された参照人物のうちから、S103~S109に示す処理がまだ実行されていない参照人物を1人選択する(S102)。
【0101】
そして、関係性特定部26が、当該注目人物とS102に示す処理で選択された参照人物とのペアに対応するクラスタ54を特定する(S103)。
【0102】
そして、近さスコア決定部28が、当該注目人物とS102に示す処理で選択された参照人物とのペアに対応する入力データを生成する(S104)。
【0103】
そして、近さスコア決定部28が、S104に示す処理で生成された入力データを、S103に示す処理で特定されたクラスタ54に対応付けられる学習済の機械学習モデルに入力する(S105)。
【0104】
そして、近さスコア決定部28が、S105に示す処理で実行された入力に応じて、機械学習モデルから出力される出力データに基づいて、当該注目人物と当該参照人物とのペアに対応付けられる近さスコアの値を決定する(S106)。
【0105】
そして、クレジットスコア取得部30が、当該参照人物のクレジットスコアデータを取得する(S107)。
【0106】
そして、信用度判定部32が、値pに、S107に示す処理で取得されたクレジットスコアデータの値とS106に示す処理で決定された近さスコアの値との積p1を加算する(S108)。
【0107】
そして、信用度判定部32が、値qに、S106に示す処理で決定された近さスコアの値q1を加算する(S109)。
【0108】
そして、関係性特定部26が、S101に示す処理で特定された参照人物のすべてについてS103~S109に示す処理が実行されたか否かを確認する(S110)。
【0109】
S101に示す処理で特定された参照人物のすべてについてS103~S109に示す処理が実行されていない場合は(S110:N)、S102に示す処理に戻る。
【0110】
S101に示す処理で特定された参照人物のすべてについてS103~S109に示す処理が実行された場合は(S110:Y)、信用度判定部32は、値pを値qで割った値を、注目人物のクレジットスコアとして特定して(S111)、本処理例に示す処理は終了される。
【0111】
このようにして、本実施形態によれば、与信の情報がない人物の信用度を的確に判定できることとなる。
【0112】
本実施形態は、対応するノードデータ50がグラフデータに含まれていない新規の注目人物についての信用度の判定にも用いることができる。例えば、新規の注目人物の人物属性データに基づいて、当該注目人物に対応するノードデータ50、及び、当該ノードデータ50と接続される少なくとも1つのリンクデータ52が生成されてもよい。そして、リンクデータ52によって当該注目人物に対応するノードデータ50と接続される人物が、当該注目人物の参照人物として特定されてもよい。
【0113】
そして、特定される少なくとも1人の参照人物のそれぞれについて、当該参照人物と当該注目人物とのペアに対応するペア属性データが生成されてもよい。そして、ペア属性データと、既に行われたクラスタリングの結果と、に基づいて、当該参照人物と当該注目人物との関係に対応するクラスタ54が特定されてもよい。
【0114】
そして、特定される少なくとも1人の参照人物のそれぞれについて、特定されるクラスタ54に対応する学習済の機械学習モデルが特定されてもよい。そして、当該参照人物と当該注目人物とのペアに対応する入力データを当該機械学習モデルに入力した際の当該機械学習からの出力に基づいて、当該ペアについての近さスコアが決定されてもよい。
【0115】
そして、上述のように、各参照人物についての、近さスコアとクレジットスコアとに基づいて、新規の注目人物の信用度が判定されてもよい。
【0116】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0117】
例えば、信用度判定部32は、注目人物に関する情報に基づいて、当該注目人物の信用度を判定する第1判定を実行してもよい。第1判定では、当該注目人物以外の人物の情報(例えば上述の参照人物の情報)を用いず、注目人物に関する情報のみに基づいて、当該注目人物の信用度が判定されるようにしてもよい。
【0118】
そして、信用度判定部32は、上述の第1判定によって判定された注目人物の信用度が所定のレベル以下であった(例えば注目人物のクレジットスコアの値が所定値以下であった)場合に、上述のようにして、少なくとも1人の参照人物に関する情報に基づいて、当該注目人物の信用度を判定し直す第2判定を実行してもよい。
【0119】
また、信用度判定部32は、上述の第1判定では注目人物の信用度が判定され得なかった場合に、上述のようにして、少なくとも1人の参照人物に関する情報に基づいて、当該注目人物の信用度を判定し直す第2判定を実行してもよい。
【0120】
また、上記の具体的な文字列や数値及び図面中の具体的な文字列や数値は例示であり、これらの文字列や数値には限定されない。
【要約】
与信の情報がない人物の信用度を的確に判定できる信用度判定システム、信用度判定方法及びプログラムを提供する。関係性特定部(26)は、注目人物と参照人物との関係性を特定する。近さスコア決定部(28)は、注目人物と参照人物との関係性に対応する判断基準に従って、注目人物と当該参照人物との関係の強さを示す指標に基づいて、注目人物と参照人物との近さを示す近さスコアを決定する。信用度判定部(32)は、少なくとも1人の参照人物についての、当該参照人物に関する情報と当該参照人物について決定される近さスコアとに基づいて、注目人物の信用度を判定する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14