(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】溶接の方法および溶接された物品
(51)【国際特許分類】
B23K 9/04 20060101AFI20220829BHJP
C22C 19/05 20060101ALI20220829BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20220829BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20220829BHJP
B23K 35/30 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
B23K9/04 A
B23K9/04 K
B23K9/04 N
B23K9/04 S
C22C19/05 B
C22C19/05 C
F01D25/00 L
F02C7/00 C
F02C7/00 D
B23K35/30 320Q
B23K35/30 340L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018020627
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】デチャオ・リン
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-152918(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01595633(EP,A1)
【文献】特開昭61-232068(JP,A)
【文献】特開平04-253571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/04
C22C 19/05
F01D 25/00
F02C 7/00
B23K 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接の方法であって、
基板(10)と、前記基板(10)に重なり合わずに溶接された少なくとも1つの溶接ビード(12)とを含む物品を提供するステップであって、前記基板(10)上の溶接ビード(12)と溶接ビード(12)との間に少なくとも1つのギャップ(14)が画定される、前記ステップと、
その後、アーク溶接機によるアーク走査によって
前記基板(10)上の
前記少なくとも1つのギャップ(14)を充填するために少なくとも1つの充填ビード(16)を溶接
し、ビルドアップ溶接を提供するステップ
とを含み、
前記アーク走査は、前記アーク溶接機の溶接アークを振動するように前後に動かしながら、溶接中に溶接方向に沿ってアークを移動させることを含む、方法。
【請求項2】
溶接の方法であって、
アーク溶接機によるアーク走査によって基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填するために少なくとも1つの充填ビード(16)を溶接するステップを含み、前記基板(10)上の溶接ビード(12)と溶接ビード(12)との間に前記ギャップ(14)が画定され、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)は重なり合わず、
前記アーク走査は、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の表面輪郭線(20,22)と前記少なくとも1つのギャップ(14)を画定する前記基板(10)との間で前記アーク溶接機を前後に振動させるステップを含む
、方法。
【請求項3】
溶接の方法であって、
アーク溶接機によるアーク走査によって基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填するために少なくとも1つの充填ビード(16)を溶接するステップを含み、前記基板(10)上の溶接ビード(12)と溶接ビード(12)との間に前記ギャップ(14)が画定され、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)は重なり合わず、
前記溶接は、約0.5mm以下の前記基板(10)内への溶融深さを生成し、前記少なくとも1つの充填ビード、前記少なくとも1つの溶接ビード、ならびに前記少なくとも1つの充填ビードおよび前記少なくとも1つの溶接ビードの下の前記基板(10)の熱影響領域は、マイクロクラックがなく、かつマクロクラックがない
、方法。
【請求項4】
溶接の方法であって、
アーク溶接機によるアーク走査によって基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填するために少なくとも1つの充填ビード(16)を溶接するステップを含み、前記基板(10)上の溶接ビード(12)と溶接ビード(12)との間に前記ギャップ(14)が画定され、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)は重なり合わず、
前記少なくとも1つの充填ビード(16)は複数の充填ビード(16)を含み、前記方法は、前記複数の充填ビード(16)を前記基板(10)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)に不連続な順序で溶接するステップを含む
、方法。
【請求項5】
溶接の方法であって、
複数の溶接ビード(12)を基板(10)上に溶接するステップであって、前記複数の溶接ビード(12)は重なり合わず、前記複数の溶接ビード(12)は、前記複数の溶接ビード(12)の隣接する対の間に形成された複数のギャップ(14)を画定する、ステップと、
複数の充填ビード(16)をアーク走査しながらアーク溶接機で前記基板(10)上に溶接するステップと、を含み、前記
複数の充填ビード(16)は、前記ギャップ(14)を充填するために、前記基板(10)および前記基板(10)上の前記溶接ビード(12)に溶接され、前記
複数の充填ビード(16)は不連続な順序で溶接される、方法。
【請求項6】
前記基板(10)は、重量で、約9%~約10%のコバルト(Co)、約9.3%~約9.7%のタングステン(W)、約8.0~約8.7%のクロム(Cr)、約5.25~約5.75%のアルミニウム(Al)、約2.8~約3.3%のタンタル(Ta)、約1.3~約1.7%のハフニウム(Hf)、約0.9%以下のチタン(Ti)、約0.6%以下のモリブデン(Mo)、約0.2%以下の鉄(Fe)、約0.12%以下のケイ素(Si)、約0.1%以下のマンガン(Mn)、約0.1%以下の銅(Cu)、約0.1%以下の炭素(C)、約0.1%以下のニオブ(Nb)、約0.02%以下のジルコニウム(Zr)、約0.02%以下のホウ素(B)、約0.01%以下のリン(P)、約0.004%以下の硫黄(S)、付随的な不純物、および残部のニッケル(Ni)の第1の組成と、重量で、約9.75%のCr、約7.5%のCo、約6.0%のW、約4.2%のAl、約4.8%のTa、約3.5%のTi、約1.5%のMo、約0.08%のC、約0.009%のジルコニウム(Zr)、約0.009%のB、付随的な不純物、および残部のNiの第2の組成と、からなる群から選択され
た超合金を含む、請求項1
乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの溶接ビード(12)を前記基板(10)に溶接して前記少なくとも1つのギャップ(14)を形成するステップをさらに含む、請求項1
乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
溶接された物品であって、
超合金を含む基板(10)と、
前記基板(10)に重なり合わないように溶接された少なくとも1つの溶接ビード(12)と、
少なくとも1つの充填ビード(16)を含み、前記少なくとも1つの充填ビード(16)の各々は、前記基板(10)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)もしくは前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の一対に溶接されて、
溶接ビード(12)と溶接ビード(12)との間に画定された前記基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填し、前記少なくとも1つの充填ビード(16)、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)、および前記基板(10)の熱影響領域は、マイクロクラックがなく、かつマクロクラックがな
く、
前記少なくとも1つの充填ビード(16)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)と前記基板(10)との溶融深さは、約0.5mm以下である
、溶接された物品。
【請求項9】
前記溶接された物品は、タービン構成要素である、請求項
8に記載の溶接された物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、溶接の方法および溶接された物品に関する。より具体的には、本実施形態は、基板への入熱が低いビルドアップ溶接の方法および溶接中にクラックが発生しない溶接された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビルドアップ溶接では、溶接ビードの連続する重なり合う列がベース材料上に堆積され、ビルドアップ溶接領域が形成される。ベース材料は、ビルドアップ溶接中に溶接装置から必要とされる入熱量を減少させるために従来から予熱されている。R108やGTD444などのクラック傾向のある材料では、これらの従来の方法でベース材料に多量の熱を投入すると、ビルドアップ溶接時にマクロクラックやマイクロクラックが発生して、そのような材料の修復が複雑になる。
【0003】
この問題は、ガンマプライム(γ’)相の割合が高いニッケル基超合金において特に深刻である。溶接堆積におけるより大きなクラックは、様々な充填材料で任意の種類の希釈によって除去することができるが、熱影響領域におけるマイクロクラックの除去は従来の溶接プロセスでは不可能である。場合によっては、ろう付けおよび熱間静水圧プレス(HIP)がこのようなマイクロクラックを処理することができるが、ろう付けおよびHIPはアーク溶接よりもコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0014284号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、溶接の方法は、アーク溶接機を用いたアーク走査により少なくとも1つの充填ビードを溶接して基板上の少なくとも1つのギャップを充填するステップを含む。ギャップは、基板上の少なくとも1つの溶接ビードによって画定される。溶接ビードは重なり合わない。
【0006】
別の実施形態では、溶接された物品は、クラック傾向のある超合金を含む基板と、基板に重なり合わないように溶接された少なくとも1つの溶接ビードと、少なくとも1つの充填ビードと、を含む。各充填ビードは、基板および溶接ビードもしくは一対の溶接ビードに溶接され、溶接ビードまたは一対の溶接ビードによって画定される基板上の少なくとも1つのギャップを充填する。充填ビード、溶接ビード、および基板の熱影響領域は、マイクロクラックがなく、かつマクロクラックがない。
【0007】
別の実施形態では、溶接の方法は、複数の溶接ビードを基板上に溶接するステップと、複数の充填ビードをアーク走査しながらアーク溶接機で基板上に溶接するステップと、を含む。溶接ビードは重なり合わない。溶接ビードは、溶接ビードの隣接する対の間に形成されるギャップを画定する。充填ビードは、基板および基板上の溶接ビードに溶接されて、ギャップを充填する。充填ビードは不連続な順序で溶接される。
【0008】
本発明の他の特徴および利点が、本発明の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態における3つの溶接ビードを有する溶接された物品基板の溶接方向に垂直な平面内の概略側面図である。
【
図2】溶接ビードのうちの2つの間に充填ビードを有する
図1の溶接された物品の概略側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態における完成した溶接された物品の一部の概略側面図である。
【
図4】基板上に溶接領域を形成する交互の溶接ビードと充填ビードの
図3の溶接された物品の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可能な限り、同一の符号が同一の部品を表すように図面の全体にわたって使用される。
【0011】
アーク走査と、基板および溶接された物品の1つまたは複数の溶接ビードに溶接された1つまたは複数の充填ビードを含むビルドアップ溶接と、を用いたビルドアップ溶接の方法が提供される。
【0012】
本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示した特徴の1つまたは複数を含まない概念と比較して、熱影響領域(HAZ)の生成が少なく、より均一な入熱を提供し、基板へのより少ない入熱を提供し、より小さい溶融深さを提供し、基板および溶接部における熱の集中を少なくし、マイクロクラックのないビルドアップ溶接を生成し、マクロクラックのないビルドアップ溶接を生成し、クラックのないビルドアップ溶接を生成し、ビルドアップ溶接によって小さな部品から大きい部品への不整合部品の修復を可能にし、ビルドアップ溶接による小さな部品から大きい部品への摩耗部品の修復を可能にし、あるいはそれらの組み合わせを可能にする。
【0013】
図1を参照すると、溶接ビード12のセットは、溶接ビード12の間にギャップ14が存在するように、基板10に重なり合わないように溶接される。溶接ビード12は、溶接ビード12の長さに沿って形状が均一または実質的に均一であることが好ましい。溶接ビード12は、好ましくは、溶接ビード12の間に形成されるギャップ14が実質的に均一な幅のチャネルであるように、隣接する溶接ビード12の各対の間の所定の溶接ビード間隔で基板10に適用される。
【0014】
図1および
図2を参照すると、溶接ビード12が配置されると、隣接する溶接ビード12の間の各ギャップ14に充填ビード16が堆積される。充填ビード16は、第1の溶接ビード12の表面輪郭20、ギャップ14と隣接する溶接ビード12との間の基板10の露出表面、および隣接する溶接ビード12の表面輪郭22を含むギャップ14の表面に沿って溶接方向に対して横方向にアークからの熱を分配するためにアーク走査によってギャップ14に適用されることが好ましい。各充填ビード16は、隣接する溶接ビード12が重なり合うことなく、隣接する充填ビード16が重なり合うことなく、完全に融着して、基板10および隣接する溶接ビード12に溶接されることが好ましい。
【0015】
図3および
図4を参照すると、溶接領域18は、基板10上の溶接ビード12間のすべてのギャップ14を充填ビード16で充填することによって構築される。充填ビード16の高さは、溶接ビード12の高さよりも高くてもよく、低くてもよく、またはそれに等しくてもよい。
図4において、溶接ビード12は、充填ビード16が終端する場所を越えて延在し、したがって画像の底部に見える。
【0016】
いくつかの実施形態では、溶接はビルドアップ溶接である。本明細書で使用する「ビルドアップ溶接」は、材料、すなわち溶接金属を基板10に付加する溶接である。いくつかの実施形態では、ビルドアップ溶接は、製造中に基板10の不整合により失われた材料を交換するために基板10に材料を付加する。いくつかの実施形態では、ビルドアップ溶接は、使用中に摩耗により失われた材料を基板10に対して置き換えるために、材料を基板10に付加する。
【0017】
本明細書では、「アーク走査」とは、溶接中にアークを溶接方向に沿って概ね平行移動させながら、アーク溶接機の溶接アークを振動または揺動するように前後に動かすことを指す。アーク走査は、自動または手動で行うことができる。
【0018】
本明細書で使用される「クラック傾向」とは、材料の溶融温度に近いがそれ以下の温度に加熱されたときに材料がマイクロクラックまたはマクロクラックを形成する傾向を指す。
【0019】
本明細書では、「重なり合わない」「重なり合わずに」、および「重ならずに」とは、2つの溶接ビードが互いに隣接して配置され、基板上の2つの溶接ビード間の空間を橋渡しする溶接材料がほとんどまたは全くないことをいう。いくつかの実施形態では、隣接する溶接ビードの溶接材料の1%未満が重なり合う。いくつかの実施形態では、隣接する溶接ビードの溶接材料のいずれも重なり合わない。
【0020】
ビルドアップ溶接プロセス中の熱管理は、クラック傾向のある基板材料であっても、クラックのないビルドアップ溶接を生成する。熱管理は、基板10に加えられる熱量を著しく減少させ、HAZのサイズを著しく減少させる。ビルドアップ溶接プロセスは、運用から取り除かれた摩耗した部品もしくは物品または不整合の部品もしくは物品を修復するために使用することができる。ビルドアップ溶接プロセスは、好ましくは、基板10を予熱することなく行われる。堅牢なプロセスは、クラック傾向のある超合金上にクラックのない金属のビルドアップ溶接を提供する。
【0021】
基板10上に重なり合わない溶接ビード12を最初に堆積することにより、アーク溶接および溶接ビード12からの熱がより良好に管理される。熱が基板10上により均一に分布され、また、一連の重なり合った溶接ビード12を適用して、新たに配置された各溶接ビード12が以前に配置された溶接ビード12と重なる溶接領域を形成する従来のビルドアップ溶接プロセスと比較して、溶接ビード12の下の熱集中が低減される。溶接ビード12は、アーク走査のない従来の直線溶接によって基板10に適用することができる。しかしながら、より良好な熱管理のために、溶接ビード12は、溶接ビード12のベースの幅に対応するか、または実質的にそれに対応する幅に対して、アークからの熱を溶接方向に関して横方向に分散させるために、アーク走査によって適用されてもよい。
【0022】
溶接ビード12は基板10に完全に融着されており、溶接プロセス中に溶接アークによって基板10の表面層が溶融する必要がある。基板10の表面に適用された充填材料は、基板材料を希釈し、基板10の表面の溶融温度を低下させる。溶接アークは熱の不均一なガウス分布を提供するが、溶接ビード12の溶接中のアーク走査は、溶接ビード12が適用される場所の下の基板10にわたって熱のより均一な分布を可能にする。完全融着のための十分な溶融は、アーク走査を用いた場合ではアーク走査を用いない場合よりも基板10のより低い温度最大で達成される。さらなる熱管理、基板10に加えられる熱量の低減、およびHAZのサイズの縮小のために、溶接ビード12は不連続な順序で配置されてもよく、あるいは特定の溶接ビード12の溶接の間に基板10が冷却される時間が許容されてもよい。
【0023】
基板10上の隣接する溶接ビード12間および隣接する溶接ビード12の隣接面上のギャップ14におけるアーク走査による充填ビード16のその後の堆積により、アーク溶接および充填ビード16からの熱はより良好に管理される。熱は、基板10および隣接する溶接ビード12上により均一に分布し、アーク走査なしで充填ビード16を適用するプロセスと比較して、充填ビード16の下の熱集中が低減される。充填ビードは、充填ビード16の幅に対応するか、または実質的にそれに対応する幅に対して、アークからの熱を溶接方向に関して横方向に分散させるために、アーク走査によって適用される。
【0024】
充填ビード16は、基板10および隣接する溶接ビード12の隣接面に完全に融着され、それは、溶接プロセス中に溶接アークによって基板10の表面層および隣接する溶接ビード12の隣接面を溶融させる必要がある。基板10の表面および隣接する溶接ビード12の隣接面に適用された充填材料は、基板10の表面および隣接する溶接ビード12の隣接面の溶融温度を低下させる。充填ビード16の溶接中のアーク走査は、充填ビード16が適用される場所の下の基板10および隣接する溶接ビード12の隣接面にわたって熱のより均一な分布を可能にする。完全融着のための十分な溶融は、アーク走査を用いた場合ではアーク走査を用いない場合よりも基板10および隣接する溶接ビード12におけるより低い温度最大で達成される。さらなる熱管理、基板10および隣接する溶接ビード12に加えられる熱量の低減、ならびにHAZのサイズの縮小のために、充填ビード16は不連続な順序で配置されてもよく、あるいは特定の充填ビード16の溶接の間に基板10および溶接ビード12が冷却される時間が許容されてもよい。
【0025】
結果として生じるビルドアップ溶接は、完全に融着され、細孔がなく、クラックがないことが好ましい。物品または部品に応じて、ビルドアップ溶接が機械加工され、ビルドアップ溶接の完了後に、運用に戻されるかまたは運用される前に物品または部品が熱処理されてもよい。
【0026】
溶接ビード12は、溶接ビード12が重なり合わず、溶接ビード12が少なくとも1つのギャップ14を形成するように表面上に配置されてもよく、各ギャップ14は充填ビード16によって充填される適切な幅を有する。いくつかの実施形態では、基板10は、平坦または実質的に平坦な表面を有し、溶接ビード12は、互いに平行に配置された不連続な直線ビードであり、隣接する不連続な直線ビードの各対の間に直線チャネルを形成する。いくつかの実施形態では、基板10は平坦または実質的に平坦な表面を有し、溶接ビード12は、連続した湾曲ビードの隣接部分の間に連続した湾曲ギャップ14を形成する、螺旋などの重なり合わない連続した湾曲ビードである。いくつかの実施形態では、基板は湾曲面を有する。いくつかの実施形態では、基板10は円筒状または実質的に円筒状であり、溶接ビード12は湾曲面上で互いに平行に配置された不連続なリングであり、隣接するリングの各対の間に円形チャネルであるギャップ14を提供する。いくつかの実施形態では、基板10は円筒状または実質的に円筒状であり、溶接ビード12は、湾曲面の周りのコルクスクリューの進行において連続したギャップ14を形成する円筒の湾曲面の周りに重なり合わない連続したコルクスクリューである。他の実施形態では、基板10は不規則なまたは不均一な表面形状を有する。
【0027】
この方法には、限定しないが、ハードフェーシング、不整合の新しい製作物の回収、稼働中の部品または物品のサービス、またはタービンシュラウド、タービンノズル、もしくはタービンバケットを含むがこれらに限定されない稼働中の部品もしくは物品の修復を含む多くの用途を有してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、この方法は手動で実施される。他の実施形態では、この方法は、ロボットまたはコンピュータなどによって自動化される。いくつかの実施形態では、この方法は、損傷した物品上の溶接を構築して、部品または物品の寸法を復元するか、あるいは部品または物品を修復する。
【0029】
いくつかの実施形態では、充填ビード16は、高速アーク走査/揺動/振動溶接プロセスで形成され、ノズル、バケット、およびシュラウドを含むが、これらに限定されない、タービンに通常使用されるクラック傾向のある材料の上に、より多くの金属を構築し、またはキャビティもしくはクラックを充填する。いくつかの実施形態では、このプロセスは、熱影響領域(HAZ)がHAZ内の基板10のミクロ組織に影響を及ぼすのに十分高い温度まで熱を蓄積する機会を持たないように、約0.5mm(約0.020インチ)未満の溶接溶融深さを提供する。アークの移動速度は、好ましくは約2m/分~約5m/分(約80インチ/分(ipm)~約200ipm)の範囲である。
【0030】
いくつかの実施形態では、この方法は、任意の2つの隣接する溶接ビード12間の約4mm~約5mm(約0.15in~約0.2in)の範囲の中心間距離を有する重なり合わない溶接ビード12の群を配置するステップと、アーク走査、揺動、または振動を使用して充填ビード16を堆積させ、溶接ビード12の各対の間のギャップ14を充填するステップと、を含む。本開示の特定の実施形態によれば、この方法は、溶接ビード12および充填ビード16を配置する際に、基板10上に熱をより均一に分布させることができる。アークは、タングステン不活性ガス(TIG)または金属不活性ガス(MIG)のいずれかであってもよく、充填ビード16を形成するとき常に移動する状態、より具体的には高速揺動状態に維持される。手動溶接トーチで操作する場合には、トーチは常に手首で連続的に振られる。上述したように、振動の振幅は、好ましくは、アーク溶接機が、ギャップ14が十分に充填されるまで充填ビード16を構築するために溶接方向に同時に並進しながら、第1の溶接ビード12の表面輪郭線20と隣接する溶接ビード12の表面輪郭線22との間で前後の経路に沿って材料を堆積するように選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、溶接ビード12は、約1.5m/分~約3m/分(約60ipm~約120ipm)の範囲の溶接速度で重なり合わずに基板10上に構築される。熱は、溶接ビード12を溶接領域の重なり合わない位置に配置し、その後溶接ビード12の間のギャップ14に充填ビード16を配置することにより、より均等に分布される。いくつかの実施形態では、溶接ビード12は、約4mm~約6mm(約0.16in~約0.24in)の範囲の中心間距離で離間されている。充填ビード16は、約3m/分(約120ipm)までの溶接速度でアーク走査で適用され、隣接する溶接ビード12の各対の間に生成されたギャップ14を充填する。充填ビード16も重なり合わないことが好ましい。
【0032】
いくつかの実施形態では、平坦な基板10上に重なり合わずに単一の溶接堆積物が形成されるか、または重なり合わずに円筒の湾曲面に螺旋状の溶接堆積物が形成される。単一の溶接堆積物の間に形成された溶接堆積物の間の空き空間は、アーチ走査により充填され、堆積物層を作るための完全な融解のためにこれらの溶接トウにアークを適用する。充填ビード16は、2つの前に形成された溶接ビード12の隣接する2つの半側を好ましくは覆うアーク走査を用いて溶接堆積物の対の間の空き空間を十分に充填し、あるいは湾曲した表面に対して充填ビード16が溶接ビード12の間の空き空間を充填して、基板10の表面上の溶接ビルドアップを完成させる。
【0033】
アーク走査は、充填ビード16の堆積中にギャップ14での基板10の熱集中を低減させる。また、ギャップ14に重なり合わない充填ビード16を堆積させることにより、充填ビード16からの熱は、基板10上および溶接ビード12の一部により均一に分布し、新しく配置された各溶接ビード12または充填ビード16が以前に配置された溶接ビード12または充填ビード16に重なる溶接領域を形成するように一連の重なり合う溶接ビード12または充填ビード16を適用することと比較して、充填ビード16の下の熱集中が低減される。
【0034】
充填ビード16は、ギャップ14を連続的にまたは交互に不連続な順序で充填するように適用され、熱の集中を最小にし、基板10および溶接ビード12上の熱分布の均一性を最大にすることができる。いくつかの実施形態では、不連続な順序は、HAZのサイズを縮小または最小にするように選択された所定の順序である。
【0035】
いくつかの実施形態では、基板10は、1つの理由または別の理由により一般に溶接できないと考えられている材料を含む。いくつかの実施形態では、基板10は、クラック傾向のある超合金である。
【0036】
いくつかの実施形態では、溶接ワイヤはN263である。いくつかの実施形態では、溶接ワイヤはIN625である。いくつかの実施形態では、基板10はR108である。いくつかの実施形態では、基板10はGTD444である。
【0037】
本明細書で使用される「N263」は、重量で、約19%~約21%のクロム(Cr)、約19%~約21%のコバルト(Co)、約5.6%~約6.1%のモリブデン(Mo)、約1.9%~約2.4%のチタン(Ti)、約0.6%以下のアルミニウム(Al)、約0.6%以下のマンガン(Mn)、約0.4%以下のケイ素(Si)、約0.2%以下の銅(Cu)、付随的な不純物、および残部のニッケル(Ni)の組成を含む合金を指す。
【0038】
本明細書で使用される「IN625」は、重量で、約20%~約23%のCr、約8%~約10%のMo、約5%以下の鉄(Fe)、約3.2%~約4.2%のニオブ(Nb)+タンタル(Ta)、約1%以下のCo、約0.5%以下のMn、約0.5%以下のSi、約0.4%以下のAl、約0.4%以下のTi、約0.1%以下の炭素(C)、付随的な不純物、および残部(少なくとも58%)のNiの組成を含む合金を指す。
【0039】
本明細書で使用される「R108」は、重量で、約9%~約10%のCo、約9.3%~約9.7%のタングステン(W)、約8.0%~約8.7%のCr、約5.25%~約5.75%のAl、約2.8%~約3.3%のTa、約1.3%~約1.7%のハフニウム(Hf)、約0.9%以下のTi(例えば、約0.6%~約0.9%のTi)、約0.6%以下のMo(例えば、約0.4%~約0.6%のMo)、約0.2%以下のFe、約0.12%以下のSi、約0.1%以下のMn、約0.1%以下のCu、約0.1%以下のC(例えば、約0.07%~約0.1%のC)、約0.1%以下のNb、約0.02%以下のジルコニウム(Zr)(例えば、約0.005%~約0.02%のZr)、約0.02%以下のホウ素(B)(例えば、約0.01%~約0.02%のB)、約0.01%以下のリン(P)、約0.004%以下の硫黄(S)、付随的な不純物、および残部のNiの組成を含む合金を指す。
【0040】
本明細書で使用される「GTD444」は、重量で、約9.75%のCr、約7.5%のCo、約6.0%のW、約4.2%のAl、約4.8%のTa、約3.5%のTi、約1.5%Mo、約0.08%のC、約0.009%のZr、約0.009%のB、付随的な不純物、および残部のNiの組成を含む合金を指す。
【0041】
R108およびGTD444スラブの溶接ワイヤとしてN263を使用するプロセスの実施では、溶接された状態、溶体化熱処理された状態、および溶体化+老化状態で溶接部およびHAZにクラックは見られなかった。このプロセスは、他の材料にも同様に使用することができ、新しい材料または使用済み材料の修復もしくは保守のいずれかに使用することができる。
【0042】
約2m/分~約5m/分(約80ipm~約200ipm)の範囲の高速でのアーク走査、揺動、または振動が熱集中を低減させ、各溶接部の溶融深さを約0.5mm(約0.020インチ)未満に減少させるので、HAZはマクロクラックまたはマイクロクラックが発生する温度に加熱される機会を有さない。
【0043】
本開示によれば、2ステップ溶接プロセスは、溶接部またはHAZのいずれかにおいてクラック形成の機会を最小にする。このプロセスは、ノズル、バケット、またはシュラウドを含むがこれらに限定されないタービン部品を回収するために実施することができる。このプロセスは、新しい材料または使用済み材料の修復もしくは保守のいずれかに実施することができる。
【実施例】
【0044】
このプロセスの有効性は、従来の溶接プロセスと比較して実証された。従来のプロセスでは、アーク走査を行わずにビードを構築し、クラックが形成された。本プロセスでは、約5m/分(約200ipm)までの溶接速度でのアーク走査により、溶接部またはHAZにクラックの心配がなく、約0.25mm(約0.01インチ)未満の溶融深さが得られた。
【0045】
実施例1
R108スラブ上のN263のビードを溶接するためのアーク走査のない従来のMIG(ガス金属アーク溶接)またはTIG(ガスタングステンアーク溶接)溶接では、HAZに約2.00mm(約0.079インチ)の長さのクラックが生じた。
【0046】
実施例2
このプロセスは、溶接ワイヤとしてN263を用いてR108スラブ基板10を首尾よく溶接した。最初に、溶接ビード12のセットを堆積させるために、アーク走査のない従来のMIG溶接が実施された。溶接ビード12は、それぞれ直径が約3.0mm~約3.6mm(約0.12in~約0.14in)であり、約4.1mm~約4.3mm(約0.16in~約0.17in)離間(中心間距離)していた。次に、溶接ビード12間のギャップ14を充填するために、約3m/分(約120ipm)のアーク走査速度でのアーク走査を伴う冷間金属移送(CMT)MIG溶接機を使用して、常にトーチを揺り動かしながら充填ビード16のセットを堆積させた。
【0047】
その後、溶接部を3つの異なる条件で評価した。すなわち、溶接後、約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理の後、および約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理に続いて約845℃(約1550°F)で約4時間の老化熱処理の後である。カットアップ評価により、充填ビード16の溶接について、溶接部およびHAZにおいて材料にクラックがないことが示された。充填ビード16の溶融深さは、約0.25mm(約0.010インチ)未満であった。
【0048】
実施例3
このプロセスは、溶接ワイヤとしてIN625を用いてR108スラブ基板10を首尾よく溶接した。溶接部を3つの異なる条件で評価した。すなわち、溶接後、約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理の後、および約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理に続いて約845℃(約1550°F)で約4時間の老化熱処理の後である。カットアップ評価により、充填ビード16の溶接について、溶接部およびHAZにおいて材料にクラックがないことが示された。
【0049】
実施例4
このプロセスは、溶接ワイヤとしてN263を用いてGTD444スラブ基板10を首尾よく溶接した。溶接部を3つの異なる条件で評価した。すなわち、溶接後、約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理の後、および約1120℃(約2050°F)で約2時間の溶接後溶体化熱処理に続いて約845℃(約1550°F)で約4時間の老化熱処理の後である。カットアップ評価により、充填ビード16の溶接について、溶接部およびHAZにおいて材料にクラックがないことが示された。
【0050】
本発明を1つまたは複数の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、その要素を種々変更させることができ、均等物で置換することができることは当業者によって理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料に適応させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内に属するすべての実施形態を含むことになることを意図している。さらに、詳細な説明で特定されるすべての数値は、正確な値と近似値の両方が明示的に特定されているように解釈されるべきである。
[実施態様1]
溶接の方法であって、
アーク溶接機によるアーク走査によって基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填するために少なくとも1つの充填ビード(16)を溶接するステップを含み、前記ギャップ(14)は前記基板(10)上の少なくとも1つの溶接ビード(12)によって画定され、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)は重なり合わない、方法。
[実施態様2]
前記アーク走査は、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の表面輪郭線(20,22)と前記少なくとも1つのギャップ(14)を画定する前記基板(10)との間で前記アーク溶接機を前後に振動させるステップを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記基板(10)はクラック傾向のある超合金を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
前記クラック傾向のある超合金は、重量で、約9%~約10%のコバルト(Co)、約9.3%~約9.7%のタングステン(W)、約8.0~約8.7%のクロム(Cr)、約5.25~約5.75%のアルミニウム(Al)、約2.8~約3.3%のタンタル(Ta)、約1.3~約1.7%のハフニウム(Hf)、約0.9%以下のチタン(Ti)、約0.6%以下のモリブデン(Mo)、約0.2%以下の鉄(Fe)、約0.12%以下のケイ素(Si)、約0.1%以下のマンガン(Mn)、約0.1%以下の銅(Cu)、約0.1%以下の炭素(C)、約0.1%以下のニオブ(Nb)、約0.02%以下のジルコニウム(Zr)、約0.02%以下のホウ素(B)、約0.01%以下のリン(P)、約0.004%以下の硫黄(S)、付随的な不純物、および残部のニッケル(Ni)の第1の組成と、重量で、約9.75%のCr、約7.5%のCo、約6.0%のW、約4.2%のAl、約4.8%のTa、約3.5%のTi、約1.5%のMo、約0.08%のC、約0.009%のジルコニウム(Zr)、約0.009%のB、付随的な不純物、および残部のNiの第2の組成と、からなる群から選択される、実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
前記少なくとも1つの充填ビード(16)、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)、ならびに前記少なくとも1つの充填ビード(16)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の下の前記基板(10)の熱影響領域は、マイクロクラックがなく、かつマクロクラックがない、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
前記アーク溶接機は、金属不活性ガス(MIG)溶接機である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
前記アーク溶接機は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接機である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
前記少なくとも1つの溶接ビード(12)を前記基板(10)に溶接して前記少なくとも1つのギャップ(14)を形成するステップをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
前記溶接は、約0.5mm以下の前記基板(10)内への溶融深さを生成する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様10]
前記少なくとも1つの充填ビード(16)は複数の充填ビード(16)を含み、前記方法は、前記複数の充填ビード(16)を前記基板(10)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)に不連続な順序で溶接するステップを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様11]
前記少なくとも1つのギャップ(14)は、約4mm~約6mmの範囲の中心間幅を有する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様12]
前記溶接は、約2m/分~約5m/分の範囲のアーク移動速度で行われる、実施態様1に記載の方法。
[実施態様13]
前記充填ビード(16)および前記溶接ビード(12)は、ビルドアップ溶接を形成する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様14]
前記基板(10)はタービン構成要素の部品である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様15]
溶接された物品であって、
クラック傾向のある超合金を含む基板(10)と、
前記基板(10)に重なり合わないように溶接された少なくとも1つの溶接ビード(12)と、
少なくとも1つの充填ビード(16)を含み、前記少なくとも1つの充填ビード(16)の各々は、前記基板(10)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)もしくは前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の一対に溶接されて、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)または前記少なくとも1つの溶接ビード(12)の一対によって画定された前記基板(10)上の少なくとも1つのギャップ(14)を充填し、前記少なくとも1つの充填ビード(16)、前記少なくとも1つの溶接ビード(12)、および前記基板(10)の熱影響領域は、マイクロクラックがなく、かつマクロクラックがない、溶接された物品。
[実施態様16]
前記少なくとも1つの充填ビード(16)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)と前記基板(10)との溶融深さは、約0.5mm以下である、実施態様15に記載の溶接された物品。
[実施態様17]
前記溶接された物品は、タービン構成要素である、実施態様15に記載の溶接された物品。
[実施態様18]
前記少なくとも1つの充填ビード(16)および前記少なくとも1つの溶接ビード(12)は、ビルドアップ溶接を形成する、実施態様15に記載の溶接された物品。
[実施態様19]
溶接の方法であって、
複数の溶接ビード(12)を基板(10)上に溶接するステップであって、前記複数の溶接ビード(12)は重なり合わず、前記複数の溶接ビード(12)は、前記複数の溶接ビード(12)の隣接する対の間に形成された複数のギャップ(14)を画定する、ステップと、
前記複数の充填ビード(16)をアーク走査しながらアーク溶接機で前記基板(10)上に溶接するステップと、を含み、前記充填ビード(16)は、前記ギャップ(14)を充填するために、前記基板(10)および前記基板(10)上の前記溶接ビード(12)に溶接され、前記充填ビード(16)は不連続な順序で溶接される、方法。
[実施態様20]
前記基板(10)は、クラック傾向のある超合金を含み、前記溶接ビード(12)および前記基板(10)の熱影響領域は、前記溶接後にマイクロクラックがなく、かつマクロクラックがない、実施態様19に記載の方法。
【符号の説明】
【0051】
10 基板
12 溶接ビード
14 ギャップ
16 充填ビード
18 溶接領域
20 表面輪郭、表面輪郭線
22 表面輪郭、表面輪郭線