IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7130407自動車天井基材用発泡芯材およびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】自動車天井基材用発泡芯材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/36 20060101AFI20220829BHJP
   C08J 9/228 20060101ALI20220829BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
C08J9/36 CEZ
C08J9/228 CET
B60R13/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018068962
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178262
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 正太郎
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-283482(JP,A)
【文献】特開平03-137140(JP,A)
【文献】特開平07-258450(JP,A)
【文献】特開2012-166387(JP,A)
【文献】特開2009-145694(JP,A)
【文献】特開2012-172015(JP,A)
【文献】特開2016-155959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
B29C 44/00-44/60、67/20
B60R 13/01-13/04、13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物であり、密度が10~30kg/mであり、
前記ビーズ発泡成形体のスライス物は、実質的に表面スキンの無いビーズ発泡成形体であり、
前記ビーズ発泡成形体は、110℃、4時間の条件における加熱寸法変化率が1%以下である、 自動車天井基材用発泡芯材。
【請求項2】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスし、密度が10~30kg/mのスライス物を得る工程を含み、
前記ビーズ発泡成形体のスライス物は、実質的に表面スキンの無いビーズ発泡成形体であり、
前記ビーズ発泡成形体は、110℃、4時間の条件における加熱寸法変化率が1%以下である、 自動車天井基材用発泡芯材の製造方法。
【請求項3】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスしてなる、密度が10~30kg/mのスライス物を自動車天井基材用発泡芯材として用い、
前記ビーズ発泡成形体のスライス物は、実質的に表面スキンの無いビーズ発泡成形体であり、
前記ビーズ発泡成形体は、110℃、4時間の条件における加熱寸法変化率が1%以下である、 ビーズ発泡成形体の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車天井基材用発泡芯材は、自動車天井の外装材(金属板)と車内側表皮材(カーペット等)との間に設置されている。そして、自動車天井基材用発泡芯材には、外装材が高温になるため、110℃程度の耐熱性が求められると共に、吸音性(車内での会話の明瞭性を確保するために、会話音等の反射を抑制する性質)、断熱性(車内温度の安定化のために、外装材との熱交換を抑制する性質)、および緩衝性(事故で車内の人が天井に衝突したときに衝撃を吸収する性質)が求められる。さらに、ルームランプ等の重量で天井が垂れ下がらないための強度と、自動車製造時において天井を取り付けるときに必要な強度とが必要であり、ガラス繊維等と自動車天井基材用発泡芯材とを積層することで必要な強度が発現されている。
【0003】
従来、自動車天井基材用発泡芯材として、耐熱性および強度を向上させるために、ポリウレタンフォームシートや、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂等の押出発泡シートが使用されている。具体的には、ポリウレタンフォームをスライスしたシートや、押出発泡シート等の、厚さが5mm程度である発泡体が、自動車天井基材用発泡芯材として使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を基材樹脂とする、発泡倍率が16~25倍、独立気泡率が80%以上、かつ目付が80~120g/mである発泡層の両面に、熱可塑性樹脂を基材樹脂とする、片面目付が60~90g/mである非発泡層が積層されてなる熱可塑性樹脂発泡積層シートが記載されている。また、特許文献2には、UL規格のUL-94垂直法に準拠して測定される難燃性がV-0またはV-1である、ポリフェニレンエーテル系樹脂と難燃剤とを含む基材樹脂からなる発泡ビーズ成形体からなる発泡層と、少なくとも一層の樹脂層とを備える多層構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-111388号公報
【文献】特開2012-166387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリウレタンフォームシートは、自動車用部材として要求される難燃性を得るため、並びに、自動車天井基材用発泡芯材として要求される強度、断熱性および緩衝性を得るためには、密度を大きくする必要がある。それゆえ、自動車の軽量化を図ることが性能面から難しいという問題がある。即ち、ポリウレタンフォームシートは、シートの低密度化に限界があり、軽量化が難しい。また、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂等の押出発泡シートは、同密度において、ポリウレタンフォームシートと比較して強度に優れるものの、押出発泡で低密度(軽量)のシートを作製することは難しく、自動車の軽量化を図ることが製造面から難しいという問題がある。即ち、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂等の押出発泡シートは、シートの低密度化に限界があり、軽量化が難しい。
【0007】
また、一般的にビーズ発泡成形体は、予め発泡させた発泡粒子を所定形状の金型に充填して成形することで所望の形状に成形することができる。それゆえ、押出発泡と比較して、低密度のビーズ発泡成形体を得ることが容易である。しかしながら、発泡成形体が厚さ5mm程度のシート状である(薄い)場合は、金型への発泡粒子の充填が困難であり、製造することが難しい。特に、低密度にするほど発泡粒子の直径が大きくなるため、低密度のシート状ビーズ発泡成形体は製造面から難しいという問題がある。即ち、ビーズ発泡成形体は、シートの低密度化に限界があり、軽量化が難しい。
【0008】
本発明の一態様は、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材およびその製造方法を安価に提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る自動車天井基材用発泡芯材は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物であり、密度が10~30kg/mであることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の一態様に係る自動車天井基材用発泡芯材の製造方法は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスし、密度が10~30kg/mのスライス物を得る工程を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材およびその製造方法を安価に提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。尚、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、「質量」と「重量」とは同義語であると見なす。
【0013】
従来、一般的な発泡性ポリスチレン粒子から、2m×1m×0.5m程度のブロック状のビーズ発泡成形体が製造されている。このブロック状のビーズ発泡成形体をスライスして、厚さ50~100mm程度の板状のビーズ発泡成形体を得ることは知られている。しかしながら、発泡性ポリスチレン粒子から製造されるビーズ発泡成形体は非常に安価であり、ビーズ発泡成形体の価値と比較してスライスに掛かるコストが高すぎるので、特に厚さが薄くなるほどスライスに掛かるコストがビーズ発泡成形体の価値よりも高くなってしまう。このため、ブロック状のビーズ発泡成形体をスライスして、厚さ5mm程度のシート状のビーズ発泡成形体を製造することは通常行われていない。
【0014】
また、一般的な発泡性ポリスチレン粒子から得られるビーズ発泡成形体の耐熱性は80℃程度であり、自動車天井基材用発泡芯材としては適さない。耐熱性を向上させるために、ガラス転移温度がポリスチレン樹脂よりも高い耐熱性樹脂を含むビーズ発泡成形体とする場合には、金型に充填して成形するときに必要な水蒸気温度(圧力)を、一般的な発泡性ポリスチレン粒子でビーズ発泡成形体を成形するときよりも高くする必要がある。このため、ブロック状のビーズ発泡成形体を製造する場合には、当該ビーズ発泡成形体内部の密度のバラツキが大きくなる傾向がある(金型表面に近いほど密度が大きくなる)。それゆえ、ガラス転移温度がポリスチレン樹脂よりも高い耐熱性樹脂を含むブロック状のビーズ発泡成形体を製造することは一般的に行われていない。
【0015】
これに対して、本発明者は、ガラス転移温度がポリスチレン樹脂よりも高い耐熱性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂を選択した場合に、ブロック状のビーズ発泡成形体内部の密度のバラツキが従来考えられていたほど大きくなく、自動車天井基材用発泡芯材として利用できることを見出した。特に、耐熱性として110℃×4時間の条件を満足する程度のポリフェニレンエーテル系樹脂の配合量であれば、ブロック状のビーズ発泡成形体内部の密度のバラツキが十分小さいことも見出した。また、一般的な発泡性ポリスチレン粒子から得られる安価なビーズ発泡成形体ではスライスに掛かるコストが高いため、薄くスライスすることは行われなかったのに対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を選択した場合には、耐熱性が付与されたビーズ発泡成形体のスライス物とすることで価値が向上し、特に自動車天井基材用発泡芯材として従来よりも安価に提供すること、および軽量化ができるようになった。
【0016】
即ち、自動車天井基材用発泡芯材の提供を目的として鋭意検討する上で生じた、一般的な発泡性ポリスチレン粒子から得られるビーズ発泡成形体をスライス物とするときのコスト面での課題、一般的な発泡性ポリスチレン粒子から得られるビーズ発泡成形体は自動車天井基材用発泡芯材として耐熱性に劣るという課題、並びに、ガラス転移温度がポリスチレン樹脂よりも高い耐熱性樹脂を含むブロック状のビーズ発泡成形体を製造する場合の密度のバラツキの課題は、本発明者が独自に見出した課題である。本発明者は、これら課題を一挙に解決して、自動車天井基材用発泡芯材として好適な、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物を提供することを可能とした。
【0017】
本発明の一実施の形態における自動車天井基材用発泡芯材は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物であり、密度が10~30kg/mである。また、本発明の一実施の形態における自動車天井基材用発泡芯材の製造方法は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスし、密度が10~30kg/mのスライス物を得る工程を含む方法である。一般的に、ビーズ発泡成形は、押出発泡成形よりも低密度(軽量)の発泡成形体を容易に得ることができる。それゆえ、ビーズ発泡成形によってより低密度の発泡成形体を製造し、当該発泡成形体をスライスして所望の厚さにすることにより、軽量の自動車天井基材用発泡芯材を作製することができる。
【0018】
以下、本発明の一実施の形態におけるビーズ発泡成形体に関して、その製造方法と共に説明する。
【0019】
本発明の一実施の形態におけるビーズ発泡成形体は、所望の発泡倍率まで発泡させてなる予備発泡粒子を所定の大きさおよび形状の金型に入れて蒸気加熱することにより作製される。予備発泡粒子は、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンエーテル系樹脂を含み、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂粒子(発泡性熱可塑性樹脂粒子)を所定の条件で蒸気加熱してなる粒子である。
【0020】
〔熱可塑性樹脂〕
熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む。本発明の一実施の形態におけるポリフェニレンエーテル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表される重合体である。
【0021】
【化1】
【0022】
一般式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、または、ハロゲンと一般式(1)中のベンゼン環との間に少なくとも二個の炭素原子を有するハロアルキル基またはハロアルコキシ基であって第3α-炭素を含まない置換基を示す。また、nは重合度を示す整数である。
【0023】
一般式(1)で表されるポリフェニレンエーテル系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジラウリル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-ジフェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジメトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メトキシ-6-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-ステアリルオキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ブロモ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-クロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジベンジル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-クロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブロモ-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられるが、これら樹脂に限定されない。この中でも特に、一般式(1)中のRおよびRが炭素数1~4のアルキル基であり、RおよびRが水素若しくは炭素数1~4のアルキル基である構造に相当するポリフェニレンエーテル系樹脂がより好ましい。これら樹脂は一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、架橋されたポリフェニレンエーテル系樹脂を用いてもよい。
【0024】
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、必要に応じて、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリアミドに代表されるエンプラ系樹脂、或いはポリフェニレンスルファイドに代表されるスーパーエンプラ系樹脂等の、他の一種類以上の樹脂と混合して用いてもよい。これら樹脂の中でも、加工性を向上させる点で、ポリスチレン系樹脂と混合して用いることがより好ましい。
【0025】
〔発泡剤〕
発泡剤は、特に限定されず、一般的に用いられているガスを使用することができる。発泡剤としては、具体的には、例えば、空気、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス、アンモニアガス、水素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス等の無機ガス;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC-245fa、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-225ca等のフルオロカーボン;トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)等のハイドロフルオロオレフィン;プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-アミルケトン、メチルn-ヘキシルケトン、エチルn-プロピルケトン、エチルn-ブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等のカルボン酸エステル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;等が挙げられる。
【0026】
難燃性を向上させる点で、発泡剤は可燃性や支燃性を備えていないことが好ましく、また、ガスの安全性の観点から、無機ガスがより好ましい。また、無機ガスは、飽和炭化水素等の有機ガスに比べて熱可塑性樹脂に溶け難く、しかも、発泡工程や成形工程の後、熱可塑性樹脂からガスが抜け易いので、ビーズ発泡成形体の経時での寸法安定性により優れるという利点もある。さらに、残存ガスによる熱可塑性樹脂の可塑化も起こり難く、成形後、より早い段階から優れた耐熱性を発現し易いという利点もある。無機ガスの中でも、熱可塑性樹脂への溶解性、取り扱いの容易さの観点から、炭酸ガスがより好ましい。また、炭酸ガスの含浸量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子全量に対して、3~13質量%であることが好ましく、3.5~10質量%であることがより好ましい。
【0027】
一方、より低密度のビーズ発泡成形体を得るには、発泡剤は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む熱可塑性樹脂に対して可塑性を付与することが好ましく、具体的には炭素数3~6の飽和炭化水素がより好ましい。そして、炭素数3~6の飽和炭化水素の中でも、熱可塑性樹脂への可塑性の付与、および取り扱いの容易さの観点から、炭素数4~5の飽和炭化水素がさらに好ましい。また、飽和炭化水素の含浸量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子全量に対して、3~13質量%であることが好ましく、3.5~10質量%であることがより好ましい。
【0028】
〔その他〕
また、発泡性熱可塑性樹脂粒子は、難燃性を向上させる点で、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等の難燃剤をさらに含んでいてもよい。さらに、発泡性熱可塑性樹脂粒子は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、染料、耐候性改良剤、耐衝撃改質剤、ガラスビーズ、無機充填材、タルク等の核剤等を含んでいてもよい。
【0029】
〔発泡性熱可塑性樹脂粒子〕
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、例えば、押出機を用いて熱可塑性樹脂、発泡剤、および〔その他〕に記載した各種成分を溶融混練した後、粒子状(ペレット)に切断する溶融混練法を用いて製造することができる。発泡性熱可塑性樹脂粒子に含まれる樹脂成分(ポリフェニレンエーテル系樹脂+他の一種類以上の樹脂)の含有量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子全量に対して、50~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましい。
【0030】
〔予備発泡粒子〕
ビーズ発泡成形体の作製に用いる予備発泡粒子は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を所望の発泡倍率に発泡させてなる粒子である。予備発泡粒子は、平均粒子径が0.5~10mmであることが好ましく、0.7~5mmであることがより好ましい。予備発泡粒子の平均粒子径が0.5~10mmであることにより、複雑で微細な形状を有するビーズ発泡成形体の成形がより一層容易になる。
【0031】
予備発泡粒子の独立気泡率は高いほどよく、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。独立気泡率が50%以上であることにより、ビーズ発泡成形体への成形加工性がより優れる予備発泡粒子となる傾向にある。
【0032】
〔ビーズ発泡成形体の製造方法〕
本発明の一実施の形態におけるビーズ発泡成形体は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む熱可塑性樹脂に発泡剤を含浸させて(含浸工程)、発泡性熱可塑性樹脂粒子とした後、当該発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させることによって予備発泡粒子を形成し(発泡工程)、得られた予備発泡粒子を金型内に充填し、発泡成形させる(成形工程)ことによって作製される。
【0033】
(含浸工程)
含浸工程において、熱可塑性樹脂に発泡剤を含浸(含有)させて発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る方法は、特に限定されず、一般的に行われている方法を適用することができる。発泡剤を含有させる方法としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子を予め作製し、水等の懸濁系を利用して水性媒体中で当該熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法(懸濁含浸法)、押出機等で溶融させた熱可塑性樹脂に発泡剤を含浸させてなる発泡剤含有溶融熱可塑性樹脂をペレット化する方法(押出法)等が挙げられる。この中でも、押出法が特に好ましい。押出法は、高温・高圧状態で発泡剤を熱可塑性樹脂に容易に含浸させることができるため、懸濁含浸法と比較して生産性が高い。溶融混練や切断の具体的な条件は、特に制限されない。尚、WO2017/043618に記載の製造方法も、適宜、本明細書に援用し得る。
【0034】
含浸工程を行うことにより、ポリフェニレンエーテル系樹脂と発泡剤とを含む発泡性熱可塑性樹脂粒子が形成される。
【0035】
(発泡工程)
発泡工程における具体的な発泡方法は、特に限定されず、例えば、高圧雰囲気下から低圧雰囲気下に一気に開放し、発泡性熱可塑性樹脂粒子に溶解しているガスを膨張させる方法、または、水蒸気等によって加熱し、発泡性熱可塑性樹脂粒子に溶解しているガスを膨張させる方法等が挙げられる。この中でも特に、水蒸気等によって加熱する方法がより好ましい。水蒸気等によって加熱する方法は、高圧雰囲気下から低圧雰囲気下に一気に開放する方法と比較して、予備発泡粒子内部の気泡のサイズが均一になり易く、また、発泡倍率の制御、特に高い発泡倍率の制御を行い易い利点がある。
【0036】
発泡工程における具体的な発泡条件としては、例えば、水蒸気によって加熱する方法では、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.05~0.5MPaの水蒸気を50~500秒間導入する条件、より好ましくは0.1~0.3MPaの水蒸気を100~300秒間導入する条件が挙げられる。但し、発泡条件は、所望の発泡倍率まで発泡させることができる条件であればよく、上記条件に限定されない。
【0037】
発泡性熱可塑性樹脂粒子を所望の発泡倍率まで発泡させることによって予備発泡粒子を形成する発泡工程においては、一段階で(一次発泡を行って)所望の発泡倍率まで発泡させてもよく、多段階で(二次発泡や三次発泡を行って)所望の発泡倍率まで発泡させてもよい。
【0038】
発泡工程を行うことにより、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含む、所望の発泡倍率の予備発泡粒子が形成される。
【0039】
(成形工程)
成形工程における具体的な成形方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、加熱することによって発泡させると同時に粒子同士を融着させた後、冷却によって固化させてビーズ発泡成形体を成形する方法が挙げられるが、これに限定されない。金型内への予備発泡粒子の充填方法としては、例えば、金型を多少開いた状態で充填するクラッキング法や、金型を閉じた状態で加圧して、圧縮した予備発泡粒子を充填する圧縮法、圧縮した予備発泡粒子を充填した後にクラッキングを行う圧縮クラッキング法等が挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
金型内に充填する予備発泡粒子の量は、金型の大きさ(キャビティの容量)や所望するビーズ発泡成形体の発泡倍率および密度に応じて調節すればよく、特に限定されない。成形工程における具体的な成形条件としては、例えば、予備発泡粒子を金型内に充填して、0.05~0.5MPaの水蒸気を10~120秒間導入する条件、より好ましくは0.2~0.4MPaの水蒸気を30~80秒間導入する条件が挙げられる。但し、成形条件は、予備発泡粒子を発泡させて粒子同士を十分に融着させることができる条件であればよく、上記条件に限定されない。
【0041】
成形工程を行うことにより、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体が作製される。
【0042】
(ビーズ発泡成形体の物性)
上記製造方法によって、金型に応じた大きさおよび形状のビーズ発泡成形体が作製される。上記ビーズ発泡成形体の融着率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。尚、ビーズ発泡成形体の物性の測定方法は、後述する実施例にて説明する。
【0043】
〔ビーズ発泡成形体のスライス物〕
本発明の一実施の形態におけるビーズ発泡成形体の使用方法は、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスしてなる、密度が10~30kg/mのスライス物を自動車天井基材用発泡芯材として用いる方法である。
【0044】
上記製造方法によって作製されたビーズ発泡成形体をスライサーで切出すことにより、ビーズ発泡成形体のスライス物が作製される。即ち、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体をスライスし、密度が10~30kg/mのスライス物を得る工程を行うことにより、自動車天井基材用発泡芯材として好適に使用することができるスライス物が製造される。
【0045】
ビーズ発泡成形体のスライス物は、自動車の車種や天井の大きさ等に応じて、その形状、並びに、厚さを含めた大きさが設定される。即ち、ビーズ発泡成形体は、自動車の車種や天井の大きさ等に応じた、所望の厚さにスライスされることによって、自動車天井基材用発泡芯材として好適に用いられる。スライス物の具体的な厚さは、通常、1.0~10.0mmであり、好ましくは2.0~6.0mmである。
【0046】
ビーズ発泡成形体は、例えばスライス機器を用いて所望の厚さにスライスすればよいものの、スライスする具体的な方法は、特に限定されない。スライス機器としては、工業用軟質材、ゴムシートをスライスすることができる機器であればよく、例えば、バーチカルスライサーや、株式会社ニッピ機械製のNP-120RSが挙げられる。
【0047】
上記ビーズ発泡成形体のスライス物は、表面スキンの無いビーズ発泡成形体である。表面スキンの無いビーズ発泡成形体とすることで、スライス物の表面には予備発泡粒子の内部のセル構造が露出する。このため、当該スライス物は、セル構造が露出していないスライス物と比較して、他の素材と接着剤で接着複合する場合の接着性が向上し、さらには自動車天井基材用発泡芯材として用いた場合の吸音性が向上する。
【0048】
尚、ビーズ発泡成形体の表面スキンとは、ビーズ発泡成形体を成形するときに生じる、金型と接触していた表面部分のことを指す。表面スキンでは、予備発泡粒子の内部のセル構造は露出していない。また、従来技術において、押出発泡シートを自動車天井基材用発泡芯材として利用している例があるものの、押出発泡シートにも表面スキンが存在する(押出発泡後、直ちに冷却される外表面部分が表面スキンとなる)ため、予備発泡粒子の内部のセル構造は露出していない。
【0049】
従って、従来技術である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂の押出発泡シートと比較して、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物は、自動車天井基材用発泡芯材として用いた場合に、吸音性と接着性に優れる。
【0050】
但し、コスト低減等のために、ビーズ発泡成形体における厚さ方向の端面等は、性能を損なわない範囲で表面スキンが部分的に残存していてもよい。具体的には、ビーズ発泡成形体の表面積の20%以下程度であれば、性能が損なわれないので、表面スキンが残存していてもよい。従って、本発明において「実質的に表面スキンの無い」とは、本発明に係る自動車天井基材用発泡芯材としての性能を損なわない範囲で、表面スキンが部分的に残存していてもよいことを意図しており、具体的には「表面スキンが表面積の20%以下である」ことを指す。
(ビーズ発泡成形体のスライス物の物性)
上記ビーズ発泡成形体のスライス物は、110℃、4時間の条件における加熱寸法変化率が1%以下であり、0.5%以下であることがより好ましい。上記ビーズ発泡成形体のスライス物の平均セル径は、100~800μmであり、200~500μmであることがより好ましい。尚、ビーズ発泡成形体のスライス物の物性測定方法は、後述する実施例にて説明する。
【0051】
ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むビーズ発泡成形体のスライス物が上述した物性を満足することにより、特に密度を満足することにより、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材を安価に提供することができる。
【0052】
尚、自動車天井基材用発泡芯材は、例えば、その両面にガラスマットおよび表皮層(アルミホイル)等が積層された積層体とされた後、自動車の天井(外装材の裏面)に装着されて使用される。
【0053】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0054】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
[予備発泡粒子の発泡倍率の測定]
予備発泡粒子の発泡倍率は、嵩容積が2000ccになるように予備発泡粒子をメスシリンダーに入れてその重量を測定し、以下の式
発泡倍率(cc/g)=2000cc/予備発泡粒子の重量(g)
を用いて算出した。
【0056】
[ビーズ発泡成形体の融着率の測定]
ビーズ発泡成形体をその中心で割り、得られた断面の全粒子数を数えた。次に、断面における、粒子が割れてその内部の気泡を確認することができる粒子の数(破壊粒子数)を数えた。そして、融着率は、以下の式
融着率(%)=(破壊粒子数/全粒子数)×100
を用いて算出した。
【0057】
[スライス物の密度の測定]
スライス物の密度は、JIS K 7222:2005に準拠して、以下の式
密度(kg/m)=発泡体の重量(kg)/発泡体の体積(m
を用いて算出した。
【0058】
[加熱寸法変化率の評価]
ビーズ発泡成形体から縦150mm×横150mm×厚さ4mmに切り出した試験片(スライス物)を用いて、JIS K 6767:1999(高温時の寸法安定性:B法)に準拠して、110℃で4時間後の加熱寸法変化率(耐熱性)を測定した。そして、結果を、
○:加熱寸法変化率が1.0%未満
×:加熱寸法変化率が1.0%以上
で示した。
【0059】
[平均セル径の評価]
ビーズ発泡成形体から縦150mm×横150mm×厚さ4mmに切り出した試験片(スライス物)を、カミソリで切削し、その断面を光学顕微鏡で観察して、断面における1000μm×1000μm四方の範囲内に存在するセル数を計測した。そして、以下の式
平均セル径(μm)=2×[1000μm×1000μm/(セル数×π)]1/2
を用いて算出した値を平均セル径(面積平均径)とした。尚、試験片5個の平均セル径を算出し、その平均値を水準の平均セル径とした。
【0060】
〔実施例1〕
[発泡性熱可塑性樹脂粒子の形成]
熱可塑性樹脂としてのポリスチレン系樹脂(PSジャパン株式会社製;680)42.86重量部およびポリフェニレンエーテル系樹脂(SABIC innovative Plastics IP BV製;NORYL PKN4752)57.14重量部と、タルク(林化成株式会社製;タルカンパウダーPK-S)0.4重量部とを、トータル供給量が50kg/hrとなるように、口径40mmの同方向噛み合い二軸押出機(第一押出機)(株式会社テクノベル製)に供給した。そして、二軸押出機の原料フィード部以降のシリンダ温度を280℃として、供給物を溶融混練した。次いで、二軸押出機の原料フィード部以降のシリンダの途中部分に、溶融混練して得た溶融物100重量部に対して、発泡剤としての混合ペンタン(n-ペンタン80重量%とイソペンタン20重量%との混合物(エスケイ産業株式会社製))8.0重量部を圧入し、さらに溶融混練した。
【0061】
その後、得られた熱可塑性樹脂溶融物(発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂溶融物)を、270℃に設定した継続管を通じて、口径90mmの単軸押出機(第二押出機)(株式会社日本製鋼所製)に供給した。単軸押出機の先端には、温度を230℃に設定したギアポンプ、スクリーンチェンジャー、およびダイバータバルブを接続し、ダイバータバルブの下流側には、直径0.65mm、ランド長5.0mmの小孔を54個有する、温度を300℃に設定したダイを接続した。そして、単軸押出機のシリンダ温度を230℃として、熱可塑性樹脂溶融物を混練した後、単軸押出機の先端に接続したダイから、溶融混練して得た溶融物を押出(吐出)量54.0kg/hrで、温度85℃および水圧1.4MPaの加圧水中に押出した。
【0062】
その直後、6枚の刃を有する回転カッターを用い、1780rpmの回転数でカッターを回転させて溶融物を切断して粒子化した。これにより、型内成形用の発泡性熱可塑性樹脂粒子を形成した。得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の粒重量は、平均で1.57mgであった。
【0063】
[予備発泡粒子の形成]
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡機に投入し、0.26MPaの水蒸気を150秒間導入して発泡させた。これにより、予備発泡粒子を形成した。得られた予備発泡粒子の発泡倍率は64倍であった。
【0064】
[ビーズ発泡成形体の作製]
得られた予備発泡粒子を、発泡ポリプロピレン用成形機に取り付けた金型(型内成形用金型)内に充填して、0.36MPaの水蒸気を60秒間導入して型内発泡させた。その後、上記金型に40℃の温水を90秒間噴霧して冷却した。金型内の熱可塑性樹脂発泡成形体が金型を押す圧力が0.015MPa(ゲージ圧力)になるまで、金型内に熱可塑性樹脂発泡成形体を保持した後、熱可塑性樹脂発泡成形体を取り出して、長さ400mm×幅300mm×厚さ50mmの直方体形状の熱可塑性樹脂発泡成形体を作製した。ビーズ発泡成形体である上記熱可塑性樹脂発泡成形体の融着率は95%であった。
【0065】
[ビーズ発泡成形体のスライス物]
得られた熱可塑性樹脂発泡成形体の表面スキンを取り除くため、熱可塑性樹脂発泡成形体の六面を鋸刃のバーチカルスライサーで切出して、表面から厚さ5mmの熱可塑性樹脂発泡成形体片を除去した。これにより、長さ390mm×幅290mm×厚さ40mmの、表面スキンが無い熱可塑性樹脂発泡成形体を作製した。
【0066】
そして、表面スキンが無い熱可塑性樹脂発泡成形体を鋸刃のバーチカルスライサーで切出して、150mm×150mm×4mmの試験片を得た。ビーズ発泡成形体のスライス物である上記試験片は、表面に予備発泡粒子の内部のセル構造が露出している。
【0067】
[評価]
上記試験片を用いてビーズ発泡成形体のスライス物を評価したところ、密度は15.0kg/mであり、加熱寸法変化率は「○」であり、平均セル径は420μmであった。
【0068】
それゆえ、実施例1で得られたビーズ発泡成形体のスライス物は、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材として好適に用いられることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の一態様に係る自動車天井基材用発泡芯材は、自動車天井の外装材(金属板)と車内側表皮材(カーペット等)との間に設置され、所望の耐熱性および強度を備え、かつ軽量の自動車天井基材用発泡芯材として好適に用いられる。