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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】輸送用血液恒温装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20220829BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20220829BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220829BHJP
   B60P 3/00 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25B49/02 570A
F25D11/00 101D
B60P3/00 N
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018084861
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019190753
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596108771
【氏名又は名称】エア・ウォーター物流株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515118014
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】大戸 英樹
(72)【発明者】
【氏名】安芸 誠
(72)【発明者】
【氏名】星野 美恵
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 正
(72)【発明者】
【氏名】落合 優
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-064544(JP,A)
【文献】特開2017-141991(JP,A)
【文献】特開平07-071803(JP,A)
【文献】実公昭64-004067(JP,Y2)
【文献】特開2002-181439(JP,A)
【文献】特開2002-147818(JP,A)
【文献】特開平06-016083(JP,A)
【文献】特開2001-122128(JP,A)
【文献】特開2016-63389(JP,A)
【文献】特開平8-271110(JP,A)
【文献】特開2014-69630(JP,A)
【文献】特開2011-185547(JP,A)
【文献】特開2004-69246(JP,A)
【文献】特開平7-318175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 49/02
F25D 11/00 - 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却手段を用いて血液を低温状態に維持して輸送するための輸送用血液恒温装置であって、
前記冷却手段は、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮して放熱させる凝縮器と、
前記凝縮器によって凝縮された冷媒を減圧する膨張器と、
前記膨張器によって減圧された冷媒を吸熱する蒸発器とを備えるものであり、
さらに、前記輸送用血液恒温装置は、前記圧縮機の稼働情報を記録及び/又は表示する稼働状態監視手段を備え、
前記稼働状態監視手段が、前記圧縮機の稼働開始時刻、再稼働開始時刻及び稼働停止時刻に基づき稼働時間を計時し、当該稼働時間を積算する稼働時間積算部と、
前記圧縮機の稼働開始時刻、再稼働開始時刻、稼働停止時刻及び稼働時間、並びに前記稼働時間積算部により算出された稼働積算時間を記憶する記憶部とを有しており、
前記稼働時間積算部が、前記圧縮機に通電されて前記圧縮機が稼働又は再稼働し、前記圧縮機の稼働に関する信号を受信したとき、前記圧縮機の稼働開始時刻又は再稼働開始時刻を計時して前記記憶部に記憶させ、前記圧縮機の稼働が停止し、前記圧縮機の稼働停止に関する信号を受信したとき、前記圧縮機の稼働停止時刻を計時して前記記憶部に記憶させるものであり、
さらに前記稼働時間積算部は、前記圧縮機に電力が供給されているが、前記圧縮機が稼働していない場合、及び瞬時停電の場合に、前記圧縮機の稼働が停止しているものとして稼働停止時刻を計時し、前記記憶部に記憶させる輸送用血液恒温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を任意の低温状態に維持して輸送するための輸送用血液恒温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凍結血液を低温状態で輸送する際には、ドライアイスや氷を入れた発泡スチロール等の断熱容器を、冷凍車で輸送していた。そして、凍結血液の集荷の際には、当該凍結血液を冷凍車から出し入れすることから、冷凍車の庫内温度を一定の低温状態に維持することが困難であった。
【0003】
このような問題点に対し、特許文献1では、運搬車に収納されている貯蔵庫に、当該貯蔵庫の内部温度を検出する温度検出手段と、温度異常警報信号発生手段と、当該温度異常警報信号発生手段からの温度異常警報信号を受けて作動する温度異常警報信号受信手段と、これに接続する温度異常警報手段とを設け、これにより、運搬車の乗務員が温度異常警報手段により示される警報を管理して搬送することが可能な管理輸送方法が開示されている。そして、この管理輸送方法によれば、このような構成を採用することにより、従来の冷凍車による輸送方法と比べ、貯蔵庫自体を、電源の供与だけで所要の定温に保持されるよう完全に管理することができるとされている。
【0004】
前記の通り特許文献1に開示の発明は、貯蔵庫の庫内温度の異常を検出し、これを警報で報知することにより当該庫内温度の管理を可能にするものである。しかし、前記の様な構成の発明では、庫内温度を上昇させる原因が貯蔵庫の庫内を低温状態に維持する冷却手段によるものか否か確認することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-16083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、血液を低温状態に維持する冷却手段の稼働情報を記録及び/又は表示することが可能な輸送用血液恒温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題は、以下に述べる発明により解決される。
即ち、本発明に係る輸送用血液恒温装置は、前記の課題を解決する為に、冷却手段を用いて血液を低温状態に維持して輸送するための輸送用血液恒温装置であって、前記冷却手段は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮して放熱させる凝縮器と、前記凝縮器によって凝縮された冷媒を減圧する膨張器と、前記膨張器によって減圧された冷媒を吸熱する蒸発器とを備えるものであり、さらに、前記輸送用血液恒温装置は、前記圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器の少なくとも何れか1つの稼働情報を記録及び/又は表示する稼働状態監視手段を備える。
【0008】
前記構成における稼働状態監視手段は、圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器の少なくとも何れか1つの稼働情報を記録及び/又は表示するものである。これにより、冷却手段を構成する各部の稼働状態を経時的に記録し、把握することが可能になる。その結果、例えば、圧縮機の停止に起因して輸送用血液恒温装置内の温度が上昇し、低温状態を維持できなかった場合にも、稼働状態の記録を確認することで原因の特定を容易にすることができる。また、圧縮機等の各構成における性能の低下等も把握することが可能になる。
【0009】
前記の構成に於いては、前記稼働状態監視手段が、前記圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器の少なくとも何れか1つの稼働時間を計時し、当該稼働時間を積算する稼働時間積算部と、前記稼働時間積算部により得られた稼働積算時間を記憶する記憶部とを備えることができる。
【0010】
稼働状態監視手段が、圧縮機等の稼働時間を計時して当該稼働時間を積算する稼働時間積算部を備え、さらに、得られた稼働積算時間を記録部が記録することで、圧縮機等の寿命の予測や測定を可能にする。これにより、圧縮機の不具合が発生する前に当該圧縮機を新品のものに交換するなどして、輸送用血液恒温装置の故障を未然に防止することができる。
【0011】
また前記の構成に於いて、前記稼働時間積算部は、前記圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器の少なくとも何れか1つの稼働状態毎の稼働時間を計時し積算するものとすることができる。
【0012】
血液の輸送中は、血液が凍結するなどの低温状態を保持する必要がある。しかし、不測の原因により輸送中に温度が上昇して低温状態が解除され、その後に再び血液が冷却されて低温状態になった場合、単に圧縮機等の稼働時間を計時するだけでは、その様な温度変化を把握することは困難となる。しかし、前記構成の様に、稼働時間積算部が圧縮機等の稼働状態毎の稼働時間を計時し積算することで、稼働状態と稼働時間を良好な精度で把握することができる。これにより、測定の精度や圧縮機等の寿命の予測を一層向上させることができる。その結果、血液に含まれる成分が、不十分な温度管理に起因して輸送中に変性する等して劣化するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明の輸送用血液恒温装置によれば、冷却手段における圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器の少なくとも何れか1つの稼働情報を記録及び/又は表示する稼働状態監視手段を備える。これにより、本発明では、血液を任意の低温状態に維持できなかった原因が冷却手段にあるのか、さらに冷却手段に原因があるとした場合、当該冷却手段のどの構成の稼働に問題があったのかを容易に特定することができる。その結果、本発明によれば、従来と比較して、さらに安定性に優れた輸送用血液低温装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の一形態に係る輸送用血液恒温装置を備えた運搬車の概略構成の一部を切り欠きして表す説明図である。
図2図2(a)は、前記輸送用血液恒温装置の概略構成を表す正面図であり、同図(b)は血液恒温装置の側面図である。
図3】前記輸送用血液恒温装置の概略構成を表す断面模式図である。
図4】前記輸送用血液恒温装置における冷却手段及び制御手段の概略構成を表す説明図である。
図5】前記輸送用血液恒温装置の制御構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
先ず、本実施の形態の血液恒温装置を運搬する運搬車について、図1に基づき説明する。図1は、血液恒温装置を備えた運搬車の概略構成の一部を切り欠きして表す説明図である。図1に示すように、本実施の形態の血液恒温装置10は、これを複数収納することが可能な運搬車1での輸送に使用される。運搬車1は、血液恒温装置10を所定数だけ積み替え自在に積載可能な積荷室2と、電源部3とを少なくとも備える。電源部3としては特に限定されず、例えば、運搬車1のエンジンにより稼働させることが可能な交流発電機等による車載発電機が挙げられる。血液恒温装置10は、当該血液恒温装置10に設けられた、プラグを備える電源コード(詳細については後述する。)を、電源部3に電気的に接続することにより駆動可能となる。
【0016】
次に、本実施の形態の血液恒温装置10について説明する。図2(a)は前記血液恒温装置の概略構成を表す正面図であり、同図(b)は血液恒温装置の側面図である。図3は、前記血液恒温装置の概略構成を表す断面模式図である。図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、血液恒温装置10は、本体部11aと、冷却手段12と、制御手段13とを少なくとも備える。本実施の形態の血液恒温装置10は、冷却手段12及び制御手段13を備えることにより、凍結血液や凍結血漿等の血液を冷却し、かつ、任意の低温状態に維持することを可能にする。
【0017】
本体部11aには、図2(a)及び2(b)に示すように、ハンドル11bの操作により開閉自在な扉11cが、ヒンジ11dにより蝶着されている。また、本体部11aの上部には、血液恒温装置10の内部の庫内温度を表示する温度計11hと、プラグを備えた電源コード11eとが設けられており、血液恒温装置10は当該電源コード11eを介して電源が供与されることにより稼働する。また、本体部11aの側面には取手11gが設けられている。さらに、血液恒温装置10の下部には、ストッパ11jを備えたキャスター11iが設けられている。
【0018】
本体部11aは、発泡合成樹脂や真空断熱材等から成る断熱材を側壁の内部に収容しており、外部との間で熱移動ないし熱伝達を抑制する断熱機能を備えている。また、本体部11aの外壁は、例えば、アルミニウム材等からなる熱反射性を備えた外壁材で構成されている。また、扉11cも本体部11aと同様に、内部に断熱材を収容しており、さらに扉11cの外壁も、熱反射性を備えた前記外壁材で構成されている。
【0019】
冷却手段12は、図3に示すように、冷媒を用いて閉サイクルの冷凍サイクルを形成可能に構成されている。具体的には、冷却手段12は、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁(膨張器)16及び蒸発器17を少なくとも備える。また、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16及び蒸発器17はこれらを順次接続する冷媒配管も備える。
【0020】
圧縮機14は、吸入された冷媒を圧縮して冷媒配管の一つである吐出管23に吐出する機能を有する。圧縮機14は、制御手段13に電気的に接続されている。
【0021】
凝縮器15は、内部を流通する高温(高圧)の冷媒を、凝縮器ファン(外気ファン)15aにより供給される外気を用いて冷却する機能を有する。凝縮器15内で凝縮(液化)された冷媒は、液管24を流通して膨張弁16に供給される。尚、液管24には、液化された冷媒を一時的に貯留して冷媒量を調整するための受液器(レシーバタンク)を設けてもよい。
【0022】
膨張弁16は、凝縮器15で凝縮された冷媒を減圧して蒸発器17に供給する機能を有する。また、膨張弁16は、当該膨張弁16の開度に応じて蒸発器17に流入する冷媒流量が調整されるように構成されている。また、膨張弁16により減圧された冷媒は、気液二相状態のまま冷媒配管25を介して蒸発器17に供給される。
【0023】
蒸発器17は、気液二相状態の冷媒を蒸発させる機能を有する。冷媒は、蒸発器17内で蒸発潜熱を得ながら蒸発し、この際、本体部11a内の空気から熱が奪われる。また、蒸発器17の近傍には、本体部11a内と蒸発器17との間で空気を循環させる庫内ファンモータ30(庫内風回路)が設置されている。また、蒸発後の冷媒は気相を多く含むガス状態となって吸入管26を介して圧縮機14に戻される。
【0024】
以上の様に、冷却手段12では、圧縮機14から吐出された冷媒が、矢印Aで示す方向に沿って、吐出管23、凝縮器15、液管24、膨張弁16、冷媒配管25、蒸発器17及び吸入管26の順に流通して、圧縮機14に吸入される。
【0025】
吐出管23には、圧縮機14から吐出される冷媒の温度を検出する温度センサ21と、圧縮機14から吐出される冷媒の圧力を検出する圧力センサ22とが設けられている。凝縮器15の出口には、凝縮器15から流出する冷媒の温度を検出する凝縮器温度センサ27が設けられている。凝縮器15の凝縮器ファン15aにおけるファンモータの回転数は、この凝縮器温度センサ27により検出された測定値に基づいて制御される。蒸発器17の出口には、蒸発器17から流出する冷媒の温度を検出する温度センサ29が設けられている。本体部11aの内部には、庫内の空気温度を検出する庫内温度センサ28が設けられている。さらに、温度センサ21、圧力センサ22、凝縮器温度センサ27、庫内温度センサ28及び温度センサ29は、制御手段13に電気的に接続されている。
【0026】
制御手段13は、冷却手段12の動作を制御すると共に、当該冷却手段12の稼働情報を記録及び/又は表示する機能も備える。従って、制御手段13は本発明の稼働状態監視手段であると換言することもできる。制御手段13は、具体的には、図4に示すように、制御部31、記憶部としてのROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33及び稼働時間積算部34を少なくとも備える。図4は、血液恒温装置10における冷却手段12及び制御手段13の概略構成を表す説明図である。尚、「稼働情報」とは、冷却手段12、より詳細には圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16及び蒸発器17の稼働開始時刻(再稼働開始時刻を含む。)、稼働停止時刻及び積算稼働時間等に関する情報を意味する。
【0027】
制御部31は、吐出管23に設けられた温度センサ21、圧力センサ22、凝縮器温度センサ27、庫内温度センサ28及び温度センサ29からの信号に基づき所定の判断を行い、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16、及び本体部11aに設けられた庫内ファンモータ30を制御する。ROM32には、制御部31が実行する制御プログラムが格納されている。また、ROM32は、稼働時間積算部34で積算された稼働時間のデータを格納する。RAM33は、制御プログラムを実行する際の制御変数等を一時保存する作業用メモリとして用いられる。稼働時間積算部34は、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16及び蒸発器17の少なくとも何れか1つの稼働時間を計時し、当該稼働時間を積算する。
【0028】
次に、制御手段13を用いた冷却手段12の制御、及び稼働状態の監視動作について、図5に基づき以下に説明する。図5は、血液恒温装置10の制御構成を表すブロック図である。
【0029】
例えば、冷却手段12の稼働(又は再稼働)は、制御手段13における制御部31の指令に基づき、電源部3から圧縮機14に通電されることにより実行される。圧縮機14に通電され、圧縮機14が稼働(又は再稼働)すると、圧縮機14の稼働に関する信号を受信した制御部31は、圧縮機14の稼働開始時刻をROM32に記録する。また、圧縮機14の稼働が停止すると、当該圧縮機14の稼働停止に関する信号を受信した制御部31が、圧縮機14の稼働停止時刻をROM32に記録する。
【0030】
ここで、圧縮機14の稼働停止には、様々な原因が挙げられる。例えば、圧縮機14が稼働(又は再稼働)すると、蒸発器17や吸入管26に溜まり込んでいた冷媒が圧縮機14に吸入されると共に吐出管23へと吐出される。この際、低圧側の冷媒が高圧側へと吐出されることに起因して高圧側の冷媒の圧力が急激に上昇する場合がある。また、冷媒の流量不足や、冷媒の温度上昇の場合にも冷媒の圧力が上昇することがある。そして、温度センサ21による温度上昇や圧力センサ22による圧力上昇の検出結果に基づいて、圧縮機14の保護動作が必要であると制御部31が判断した場合には、圧縮機14を強制的に停止させ(高圧異常停止)、制御手段13における出力部(図示しない)が高圧警報を発報する。さらにその後、制御部31は、圧縮機14の停止に関する信号を受信すると、当該圧縮機14の稼働停止時刻をROM32に記録する。
【0031】
また、圧縮機14が、当該圧縮機14を可変速駆動させるインバータ装置(図示しない)を備える場合に、制御部31とインバータ装置との間に通信エラーが発生し、圧縮機14が停止するときにも、制御部31は圧縮機14の稼働停止時刻をROM32に記録する。
【0032】
また、凝縮器15の凝縮器ファン15aにおけるファンモータの回転数をモニタリングし、当該ファンモータの停止を検知した場合には、制御部31は圧縮機14に対し強制停止の指令を行う。この場合にも、その後、制御部31が圧縮機14の停止に関する信号を受信したときは、当該圧縮機14の稼働停止時刻をROM32に記録する。
【0033】
さらに、庫内温度センサ28は本体部11a内部の庫内温度を検知し、検知した温度に基づき制御部31は圧縮機14の回転数及びON/OFFの制御を行う。例えば、庫内ファンモータ30の停止等の動作異常により、庫内温度センサ28により検知される庫内温度が設定温度よりも高くなっている場合には、電力の供給により圧縮機14の稼働が継続され、あるいは再稼働されることによって、本体部11a内の冷却が維持される。その一方、庫内温度が設定温度よりも低くなっている場合には、電力供給の停止により圧縮機14の稼働が停止されることによって、本体部11a内の冷却が抑制され、庫内温度が設定温度となる様に制御される。そして、制御部31は、制御部31による圧縮機14のON/OFF制御の際にも、圧縮機14の稼働開始時刻及び稼働停止時刻をROM32に記録する。
【0034】
尚、稼働時間積算部34により、圧縮機14等の稼働時間を積算し、得られた稼働積算時間をROM33に格納させるようにしてもよい。稼働積算時間の記録は、例えば、予め設定した期間内で行うことも可能である。圧縮機14等の稼働積算時間を記録することで、圧縮機14等の寿命の時期等の予測可能性が高まる。また、圧縮機14等の稼働停止時刻の記録には、当該圧縮機14等が瞬時停電する場合を含めてもよい。瞬時停電とは、例えば、電源部3から圧縮機14等に供給されるAC電圧が、電圧検出器等において100ms以上の間、無電圧検知される場合を意味する。
【0035】
また、稼働時間積算部34による稼働時間の積算は、圧縮機14等の稼働状態毎に行ってもよい。例えば、制御部31の指令により、圧縮機14に電源部3から電力が供給されているが、圧縮機14が稼働していない場合には、圧縮機14の稼働が停止していることをROM32に記録する。
【0036】
また、稼働積算時間を含む稼働情報は、制御手段13の制御部31の指令に基づき、本体部11aの任意の位置に設けられた表示部(図示しない)に表示させる様にしてもよい。表示部については特に限定されず、液晶ディスプレイ等の公知のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 運搬車
2 積荷室
3 電源部
10 血液恒温装置
11a 本体部
11b ハンドル
11c 扉
11d ヒンジ
11e 電源コード
11g 取手
11h 温度計
11i キャスター
11j ストッパ
12 冷却手段
13 制御手段(稼働時間監視手段)
14 圧縮機
15 凝縮器
15a 凝縮器ファン
16 膨張弁
17 蒸発器
21 温度センサ
22 圧力センサ
23 吐出管
24 液管
25 冷媒配管
26 吸入管
27 凝縮器温度センサ
28 庫内温度センサ
29 温度センサ
30 庫内ファンモータ
31 制御部
32 ROM
33 RAM
34 稼働時間積算部
図1
図2
図3
図4
図5