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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】モータ及びバルブ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/08 20060101AFI20220829BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20220829BHJP
   F16K 31/53 20060101ALI20220829BHJP
   F16K 3/08 20060101ALI20220829BHJP
   H02K 5/167 20060101ALI20220829BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220829BHJP
   F16C 17/26 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H02K7/08 Z
F16K31/04 A
F16K31/53
F16K3/08
H02K5/167 A
H02K7/116
F16C17/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018105043
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019213280
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/093443(WO,A1)
【文献】特開2013-207960(JP,A)
【文献】実開昭54-155530(JP,U)
【文献】実開昭54-072245(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/167
H02K 7/00 - 7/20
F16K 3/08
F16K 31/04
F16K 31/53
F16C 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットがロータ本体の外周に固定されているロータと、
前記ロータを前記ロータ本体を介して回転可能に支持する支軸と、
前記ロータの前記支軸の長手方向における一端側に設けられて前記支軸に対して摺動可能に接する第1軸受部と、
前記ロータの前記支軸の長手方向における他端側に設けられて前記支軸に対して摺動可能に接する第2軸受部と、を備え、
前記第1軸受部は、前記支軸に対して設定されたクリアランスで摺動可能に接触し、
前記第2軸受部は、前記支軸に対して弾性的に押し付けられた状態で摺動可能に接触する弾性軸受部を備え、
前記弾性軸受部は、前記支軸の長手方向において前記第1軸受部の位置を一端側の軸受部とする他端側の軸受部として位置し、
前記第2軸受部は、
前記ロータ本体と別体に形成され、
前記ロータ本体に係合されて一体に回転するように構成されており、
前記ロータ本体には、係合される前記第2軸受部を保持する複数の凸部が設けられている、
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載されたモータにおいて、
前記弾性軸受部は、前記第2軸受部の本体部から前記支軸の長手方向で且つ前記第1軸受部から離れる方向に延設された複数の弾性アーム部で構成され、
前記複数の弾性アーム部は、前記弾性アーム部の先端側に前記支軸に対して摺動可能に接触する接触部を備える、ことを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項2に記載されたモータにおいて、
前記複数の弾性アーム部は、前記支軸が前記複数の弾性アーム部で囲われる内側に挿入されると前記支軸の外径に倣って撓み変形し、この撓み変形の反力によって前記支軸に押し付けられる、ことを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載されたモータにおいて、
前記複数の弾性アーム部は、前記支軸の周方向に等分割されて位置する、ことを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記第2軸受部は、前記複数の弾性アーム部を囲う囲い部を備え、
前記弾性アーム部のアーム先端位置は、前記延設の方向を高さ方向としたときに前記囲い部の高さより低い、ことを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記第2軸受部は、前記アーム先端側に弾性部材の前記一端側への付勢力を受ける受け部を備える、ことを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記弾性軸受部は、前記支軸に対して面接触している、ことを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記第2軸受部の本体部の外周面が前記複数の凸部と接触して前記第2軸受部の前記ロータ本体に対する位置が決まる(固定された状態となる)ように構成されている、ことを特徴とするモータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記ロータ本体の前記支軸と対向する部分であって前記第1軸受部と前記第2軸受部との間の領域には、前記支軸と接触しない逃げ部が形成されている、ことを特徴とするモータ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載されたモータにおいて、
前記支軸は、
前記第1軸受部側の一端部がモータの基台に回転不能に固定され、
前記第2軸受部側の他端部は回転方向に非固定である、ことを特徴とするモータ。
【請求項11】
流体入口、流体口および弁座面を備え、前記弁座面で前記流体入口および前記流体出口のうちの少なくとも一方の口が開口する基台と、
前記弁座面との間に前記流体入口および前記流体出口が連通するバルブ室を区画しているカバーと、
前記バルブ室内に回転可能に配置され、前記弁座面と摺動する接触面を備え、回転することで前記流体の流路の切り換えが行われる弁体と、
前記弁座面と直交する軸線回りに前記弁体を回転させる弁体駆動機構と、を備えるバルブ駆動装置であって、
前記弁体駆動機構は、請求項1から10のいずれか一項に記載されているモータを動力源として前記弁体を回転させる、ことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項12】
請求項11に記載されたバルブ駆動装置において、
モータの前記支軸は、
前記第1軸受部側の一端部が前記基台に回転不能に固定され、
前記第2軸受部側の他端部は回転方向に非固定であり、
前記支軸の前記一端側であって、前記基台と前記ロータ本体との間にピニオンが配置され、
前記ピニオンは、前記ロータ本体の前記第1軸受部側に前記ロータと一体に回転するように取り付けられ、
前記ピニオンと噛み合う減速歯車を介して、前記弁体が回転するように構成されている、ことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載されたバルブ駆動装置において、
前記支軸の前記他端側には、前記ロータに対して前記基台に向かう方向の付勢力を付与する弾性部材が、前記第2軸受部に前記付勢力を作用する状態で配置されている、ことを特徴とするバルブ駆動。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関し、詳しくは、ロータを支軸(固定軸)に回転可能に支持するための軸受を備えたモータ、更に該モータを備えたバルブ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のモータとして、特許文献1に記載されているモータが挙げられる。このモータは、ロータ20の一方の端部に設けられた第1の軸受部301と、ロータ20の他方の端部に設けられた第3の軸受部35と、第1の軸受部301と第3の軸受部35との間に設けられた第2の軸受部302の3か所の軸受部によって、ロータ20は支軸12に対して回転可能に支持されている。第2の軸受け部302は付勢部を備え、付勢部によって支軸12に対して回転可能に支持されている。更に、第1の軸受部301と第3の軸受部35との間には潤滑剤が充填された潤滑剤充填空間Sが形成されると共に、潤滑剤充填空間S内に第2の軸受部302が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/093443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモータは、ロータ20が、第1の軸受部301と、第3の軸受部35と、これらの軸受部301、35の間に設けられた付勢部を備える第2の軸受部302との、3か所の軸受部によって支軸12に対して回転可能に支持されている。更に、第1の軸受部301と第3の軸受部35との間には潤滑剤が充填された潤滑剤充填空間Sが形成されている。この構造により、軸受部301、35と支軸12とのクリアランスのバラツキに基づく騒音を軽減できるとされている。
しかし、軸受部が3か所に存在し、更に付勢部を備えた第2の軸受部302は潤滑剤充填空間S内に配設されているので、その軸受構造が複雑であり、製造するのが簡単ではない問題がある。
【0005】
本発明の目的は、構造簡単にして軸受部と支軸とのクリアランスのバラツキに基づく騒音を軽減できるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るモータは、マグネットがロータ本体の外周に固定されているロータと、前記ロータを前記ロータ本体を介して回転可能に支持する支軸と、前記ロータの前記支軸の長手方向における一端側に設けられて前記支軸に対して摺動可能に接する第1軸受部と、前記ロータの前記支軸の長手方向における他端側に設けられて前記支軸に対して摺動可能に接する第2軸受部と、を備え、前記第1軸受部は、前記支軸に対して設定されたクリアランスで摺動可能に接触し、前記第2軸受部は、前記支軸に対して弾性的に押し付けられた状態で摺動可能に接触する弾性軸受部を備え、前記弾性軸受部は、前記支軸の長手方向において前記第1軸受部の位置を一端の軸受部とする他端の軸受部として位置することを特徴とする。
【0007】
ここで、「前記弾性軸受部は、前記支軸の長手方向において前記第1軸受部の位置を一端の軸受部とする他端の軸受部として位置する」において、前記弾性軸受部は、「他端の軸受部として位置する」とは、この弾性軸受部よりも外側、即ち第1軸受部と反対側には、第1軸受部と同様の構成の他の軸受部は設けられていないことを意味する。
【0008】
本態様によれば、前記第2軸受部は、前記支軸に対して弾性的に押し付けられた状態で摺動可能に接触する弾性軸受部を備える。そして、前記弾性軸受部は、前記支軸の長手方向において前記第1軸受部の位置を一端の軸受部とする他端の軸受部として位置する。
言い換えると、前記ロータの一端側は設定クリアランスの第1軸受部により前記支軸に支持されるが、前記ロータの他端側は弾性軸受部によって支持される。
このように、前記ロータの両端の軸受部のうちの一方を弾性軸受部とした簡単な軸受構造によって、前記軸受部と前記支軸とのクリアランスのバラツキを前記弾性軸受部の弾性変形によって吸収することができ、また、ロータ回転時の振動に基づく騒音を軽減することができる。
【0009】
本発明に係る上記モータにおいて、前記弾性軸受部は、前記第2軸受部の本体部から前記支軸の長手方向で且つ前記第1軸受部から離れる方向に延設された複数の弾性アーム部で構成され、前記複数の弾性アーム部は、前記弾性アーム部の先端側に前記支軸に対して摺動可能に接触する接触部を備えることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記弾性軸受部は、前記第1軸受部から離れる方向に延設された複数の弾性アーム部で構成され、前記弾性アーム部の先端側に前記支軸に対して摺動可能に接触する接触部を備える。この弾性アーム部の構造にしたことにより、構造がシンプルになり、以って上記効果の得られる弾性軸受部を容易に製造することができる。
【0011】
本発明に係る上記モータにおいて、前記複数の弾性アーム部は、前記支軸が前記複数の弾性アーム部で囲われる内側に挿入されると前記支軸の外径に倣って撓み変形し、この撓み変形の反力によって前記支軸に押し付けられることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、弾性アーム部は、前記支軸が前記複数のアーム部で囲われる内側に挿入されると前記支軸の外径に倣って撓み変形し、この撓み変形の反力によって前記支軸に押し付けられる。従って、前記支軸への組付けを容易に行うことができる。
【0013】
本発明に係る上記モータにおいて、前記複数の弾性アーム部は、前記支軸の周方向に等分割されて位置することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、弾性アーム部の均等な付勢力を容易に実現することができる。
【0015】
本発明に係る上記モータにおいて、前記第2軸受部は、前記複数の弾性アーム部を囲う囲い部を備え、前記弾性アーム部のアーム先端位置は、前記延設の方向を高さ方向としたときに前記囲い部の高さより低いことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記弾性アーム部のアーム先端位置は、前記延設の方向を高さ方向としたときに前記囲い部の高さより低い。この囲い部により、弾性アーム部が不用意に損傷する虞を低減することができる。
【0017】
本発明に係る上記モータにおいて、前記第2軸受部は、前記アーム先端側に弾性部材の前記一端側への付勢力を受ける受け部を備えることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記第2軸受部は、前記アーム先端側に弾性部材の前記一端側への付勢力を受ける受け部を備える。従って、弾性部材を容易に設置することができ、またロータの支軸に沿う移動を確実に抑制することができる。
【0019】
本発明に係る上記モータにおいて、前記弾性軸受部は、前記支軸に対して面接触していることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記弾性軸受部は、前記支軸に対して面接触しているので、前記ロータの回転を安定させることができる。
【0021】
本発明に係る上記モータにおいて、前記第2軸受部は、前記ロータ本体と別体に形成され、前記ロータ本体に係合されて一体に回転するように構成されていることを特徴とする。
ここで「係合」とは、第2軸受部がロータ本体と一体に回転することを実現する構造であればよい意味で使われており、例えば凸部と凹部による係止による回転方向への一体化、スナップフィットによる回転方向への一体化、圧入構造による回転方向への一体化等が挙げられる。
【0022】
本態様によれば、前記第2軸受部は、前記ロータ本体と別体に形成され、前記ロータ本体に係合されて一体に回転するように構成されている。これにより、弾性軸受部としての使用に適した特性の材料をロータ本体の材料と切り離して選定することが可能となり、適切な材料を選定する自由度が向上する。
【0023】
本発明に係る上記モータにおいて、前記ロータ本体には、係合される前記第2軸受部を保持する複数の凸部が設けられていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記ロータ本体には前記第2軸受部を保持する複数の凸部が設けられているので、係合された前記第2軸受部を強固に保持することができる。
【0025】
本発明に係る上記モータにおいて、前記第2軸受部の本体部の外周面が前記複数の凸部と接触して前記第2軸受部の前記ロータ本体に対する位置が決まるように構成されていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記第2軸受部の本体部の外周面が前記複数の凸部と接触して前記第2軸受部の前記ロータ本体に対する位置が決まる。即ち、前記第2軸受部が前記ロータ本体に対して前記凸部との接触によって位置決めされて固定された状態となるように構成されている。これにより、別体の前記第2軸受部の前記ロータ本体に対する組付けを容易に行うことができる。
【0027】
本発明に係る上記モータにおいて、前記第2軸受部は、前記ロータ本体と一体成形により形成されて一体に回転するように構成されていることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記第2軸受部は、前記ロータ本体と一体成形により形成されるので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0029】
本発明に係る上記モータにおいて、前記ロータ本体の前記支軸と対向する部分であって前記第1軸受部と前記第2軸受部との間の領域には、前記支軸と接触しない逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記逃げ部を設けたことにより、前記軸受部と前記支軸とのクリアランスのバラツキを前記弾性軸受部の弾性変形によって吸収する効果、また、ロータ回転時の振動に基づく騒音を軽減する効果を、一層効果的に得ることができる。
【0031】
本発明に係る上記モータにおいて、前記支軸は、前記第1軸受部側の一端部がモータの基台に回転不能に固定され、前記第2軸受部側の他端部は回転方向に非固定であることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、このような支軸が片持ち構造であるモータに適用することで、有効な効果を得ることができる。
【0033】
本発明に係るバルブ駆動装置は、流体入口、流体出口および弁座面を備え、前記弁座面で前記流体入口および前記流体出口のうちの少なくとも一方の口が開口する基台と、前記弁座面との間に前記流体入口および前記流体出口が連通するバルブ室を区画しているカバーと、前記バルブ室内に回転可能に配置され、前記弁座面と摺動する接触面を備え、回転することで前記流体の流路の切り換えが行われる弁体と、前記弁座面と直交する軸線回りに前記弁体を回転させる弁体駆動機構と、を備えるバルブ駆動装置であって、前記弁体駆動機構は、上記態様に記載されているモータを動力源として前記弁体を回転させることを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、流体の流量を調整する弁体駆動機構を備えるバルブ駆動装置において、上記いずれか一つの態様のモータを前記弁体駆動機構の動力源として前記弁体を回転させることで、前記各態様の効果を得ることができる。
【0035】
本発明に係る上記バルブ駆動装置において、モータの前記支軸は、前記第1軸受部側の一端部が前記基台に回転不能に固定され、前記第2軸受部側の他端部は回転方向に非固定であり、前記支軸の前記一端側であって、前記基台と前記ロータ本体との間にピニオンが配置され、前記ピニオンは、前記ロータ本体の前記第1軸受部側に前記ロータと一体に回転するように取り付けられ、前記ピニオンと噛み合う減速歯車を介して、前記弁体が回転するように構成されていることを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、前記ピニオンと噛み合う減速歯車を介して、前記弁体が回転するように構成されている。これにより、減速歯車によりモータの回転を減速して伝達することが可能になる。また、減速機構を有しない直動方式のモータに比べて、マグネットサイズとモータサイズを小さくでき、出力トルクのアップが期待できる。
【0037】
本発明に係る上記バルブ駆動装置において、前記支軸の前記他端側には、前記ロータに対して前記基台に向かう方向の付勢力を付与する弾性部材が、前記第2軸受部に前記付勢力を作用する状態で配置されていることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、前記支軸の前記他端側には、前記ロータに対して前記基台に向かう方向の付勢力を付与する弾性部材が、前記第2軸受部に前記付勢力を作用する状態で配置されている。これにより、ロータの支軸に沿う移動を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、構造簡単にして軸受部と支軸とのクリアランスのバラツキに基づく騒音を軽減できるモータ及びそれを備えるバルブ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施形態を示す図で、バルブ駆動装置の外観を表す斜視図。
図2】本発明の実施形態を示す図で、バルブ駆動装置の内部構造を表す分解斜視図。
図3】本発明の実施形態を示す図で、バルブ駆動装置を一部破断して表す斜視図。
図4】本発明の実施形態を示す図で、モータとバルブ駆動装置を表す側断面図。
図5】本発明の実施形態を示す図で、第2軸受部材を表す斜視図。
図6】本発明の実施形態を示す図で、バルブ駆動装置を表すカバーを取り外した状態で、ロータの一部を仮想線にして内部の部材を実線で表した斜視図。
図7】本発明の実施形態を示す図で、弁体駆動機構を表す分解斜視図。
図8】本発明の実施形態を示す図で、基台と弁体の位置関係を表す斜視図。
図9】本発明の実施形態を示す図で、弁体を表す底面側からの斜視図。
図10】本発明の実施形態を示す図で、弁体の回転角度(step数)と弁体の開閉動作の関係を表すグラフ。
図11】本発明の実施形態を示す図で、弁体が原点位置から図10の各ステップ回転した状態の弁体と弁座面の位置関係を表す平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態に係るモータ及びバルブ駆動装置を、図1図11に表す実施形態を例にとって、これらの図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下の説明では最初に図1図4に基づいて本実施形態のモータの概略の構成と、該モータを備える本実施形態のバルブ駆動装置の概略の構成について説明する。
次に、図3図5に基づいて本実施形態のモータの具体的構成と、その作用、効果について説明する。
【0042】
次に、図1図4に及び図6図9に基づいて本実施形態のバルブ駆動装置の具体的構成について説明し、続いて図10図11に基づいて本実施形態のバルブ駆動装置の作動態様を、弁体の回転角度(step数)と弁体の開閉動作の関係を中心に説明し、その後、本実施形態のバルブ駆動装置の作用、効果に言及する。
最後に、このようにして構成される本実施形態とは部分的構成を異にする本発明の他の実施形態について簡単に説明する。
【0043】
(1)モータの概略の構成(図1図4参照)
本発明の実施形態に係るモータ1は、マグネット3がロータ本体5の外周に固定されているロータ7と、ロータ7を、ロータ本体5を介して回転可能に支持する支軸9と、ロータ7の支軸9の長手方向Zにおける一端A側に設けられて支軸9に対して摺動可能な状態で接する第1軸受部11と、ロータ7の支軸9の長手方向Zにおける他端B側に設けられて支軸9に対して摺動可能な状態で接する第2軸受部13と、を備える。そして、第1軸受部11は、支軸9に対して設定されたクリアランスを有した状態で摺動可能に接触し、第2軸受部13は、支軸9に対して弾性的に押し付けられた状態で摺動可能に接触する弾性軸受部15を備えている。
更に、弾性軸受部15は、支軸9の長手方向Zにおいて第1軸受部11の位置を一端A側の軸受部とする他端B側の軸受部として位置している。
【0044】
また、第1軸受部11と第2軸受部13を介してロータ7が取り付けられた支軸9は、一端A側がモータ1の一例として円板状の基台2に対して回転不能な状態(固定状態)で固定されている。一方、支軸9の他端B側は、基台2の周縁部から図3及び図4中、上方に立ち上げられているカバー4の天板に形成さられている凹部4aに嵌まって回転方向Rに非固定な状態で取り付けられている。
【0045】
また、カバー4を挟んでロータ7の外周には、ステータコア18とコイル19を備えたステータ17が配置されている。ステータ17の外方には、ステータ17の上面の一部と外周面を覆うハウジング21が一例として設けられている。
また、本実施形態では、ピニオン25は、図3及び図4中において上方の位置に、ロータ本体5に設けた係合凹部6に係合する係合爪23が設けられている。ピニオン25は、これら係合凹部6と係合爪23を備える係合構造22によってロータ7と一体になって支軸9を回転中心として回転するように構成されている。
図3及び図4に表したように、ピニオン25はロータ7の下方に位置し、モータ1によって生起された回転動を外部に出力する。
【0046】
(2)バルブ駆動装置の概略の構成(図1図4参照)
本実施形態に係るバルブ駆動装置31は、流体入口33、流体出口35および弁座面37を有する弁座36を備え、弁座面37で流体入口33および流体出口35のうちの少なくとも一方の口が開口する基台2と、弁座面37との間に流体入口33および流体出口35が連通するバルブ室27を区画しているカバー4と、バルブ室27内に回転可能に配置され、弁座面37と摺動する接触面39を備える。更に、回転することで流体Sの流路の切り換えが行われる弁体38と、弁座面37と直交する軸線L1(図4図7図8)の回りに弁体38を回転させる弁体駆動機構41と、を備えている。
そして、弁体駆動機構41は、その動力源として前述したロータ7、支軸9、第1軸受部11及び第2軸受部13を備える本実施形態に係るモータ1を使用している。
【0047】
また、本実施形態では、基台2の中心からモータ1の支軸9が立ち上げられており、支軸9の外方領域に流体入口33と、弁座36を取り付けるための開口29と、が形成されている。
開口29に取り付けられる弁座36には、第1流体出口35Aと、第2流体出口35Bと、の二つの流体出口35が形成されている。そして、流体入口33、第1流体出口35Aおよび第2流体出口35Bには、図3及び図4に表したように、下方に延びる一本の流入管43と二本の流出管45A、45Bがそれぞれ接続されている。
【0048】
(3)モータの具体的構成(図3図5参照)
本実施形態では、モータ1は一例としてステッピングモータによって構成されている。モータ1の第2軸受部13は、図示のように上部に、水平方向に張り出すフランジ部47が形成された一例として円筒状の本体部46と、弾性軸受部15と、を備えている。弾性軸受部15は、本体部46の中心に所定深さの凹部48が形成されている。そして、凹部48の底面から支軸9の長手方向Zで且つ第1軸受部11から離れる方向(図3図4中、上方)に、一例として3つの弾性アーム部49が延設されることで弾性軸受部15が構成されている。
弾性アーム部49は、支軸9の軸線Lを中心とする円弧状に湾曲した板材によって構成されており、該板材の幅寸法と厚みは一例として凹部48の底面に接続される基部側で幾分大きく、支軸9に対して摺動可能に接触するアーム先端側の接触部51で幾分小さくなるように形成されている。
【0049】
また、3つの弾性アーム部49の先端の接触部51の内面の径は、支軸9が挿入される前の状態では、支軸9の外径よりも幾分小さめに形成されている。これにより、3つの弾性アーム部49は、支軸9が3つの弾性アーム部49で囲われる内側に挿入されると支軸9の外径に接触部51が接触するため、該外径に倣って外側に撓み変形し、この撓み変形の反力によって接触部51が支軸9に対して押し付けられるように構成されている。
また、3つの弾性アーム部49は、支軸9の周方向に等間隔で配置されており、本実施形態では、周方向に角度が120°間隔で三分割されて設けられている。
【0050】
また、本体部46のフランジ部47の上面には、凹部48の周面に沿って上方に立ち上げられ、3つの弾性アーム部49を外方から囲う囲い部53が備えられている。
そして、本実施形態では、弾性アーム部49の延設の方向を高さ方向としたときの弾性アーム部49のアーム先端位置の高さH1が、囲い部53の高さH2よりも低くなるように形成されている。
【0051】
また、本実施形態では、図3図4に表したように、第2軸受部13とカバー4の天板の内面との間に一例として板バネ様のバネ座金によって構成される弾性部材55が縮設されている。
そして、図5に表したように、第2軸受部13の囲い部53の上面が、弾性部材55が当接する受部57になっている。そして、この受け部57によって弾性部材55が有する一端A側への付勢力を受け、以って第2軸受部13の上方への脱落や移動を規制するように構成されている。
【0052】
また、3つの弾性アーム部49の先端の接触部51における内面の曲率半径は、接触する支軸9の外径の曲率半径とほぼ同じになるように設定されている。これにより、弾性軸受部15は支軸9に対して面接触するように構成されている。
また、本実施形態では、第2軸受部13は、ロータ本体5と別体の部材によって形成されており、ロータ本体5に係合されて一体に回転するように構成されている。即ち、第2軸受部13の本体部46をロータ本体5に形成された凹部8に挿入して両者を係合させることで、第2軸受部13がロータ本体5と一体になって回転するように構成されている。
【0053】
また、本実施形態では、図5に表したように、ロータ本体5の凹部8の内周面には、係合される第2軸受部13の本体部46の外周面に圧接状態で接触することで第2軸受部13を保持して、第2軸受部13のロータ本体5に対する位置を決める(固定された状態にする)複数の凸部59が周方向に間隔をあけて設けられている。
更に、本実施形態では、ロータ本体5の支軸9の外周面と対向する部分であって第1軸受部11と第2軸受部13の間の領域には、支軸9と接触しないように第1軸受部11と第2軸受部13の内径よりも大径に形成される逃げ部61が設けられている。
【0054】
そして、このようにして構成される本実施形態に係るモータ1によれば、従来、三つ設けられていた軸受部を二つにして部品点数を少なくすることで構造が簡単なモータ1を提供できるようになる。
また、モータ1の動作時に生ずるロータ7と支軸9の振動の揺れ幅は、基台2に固定されている支軸9の一端A側よりも、機械的拘束力を受けていない支軸9の他端B側で大きくなる傾向がある。本実施形態では、支軸9の他端B側に、弾性アーム部49の作用で支軸9の他端B側の振動の揺れ幅を小さくする弾性軸受部15を備える第2軸受部13が設けられている。この第2軸受部13の弾性軸受部15により、第1軸受部11と支軸9とのクリアランスと更に該クリアランスのバラツキによって生ずるロータ7と支軸9との間で生じる振動を小さくし、該振動によって生ずる騒音(ノイズ)の発生を軽減することが可能になる。
【0055】
(4)バルブ駆動装置の具体的構成(図1図4及び図6図9参照)
本実施形態に係るバルブ駆動装置31は、例えば冷蔵庫の庫内冷却用の冷媒(流体)Sの供給量を調節するために使用される。図1に表したように、バルブ駆動装置31は、モータ1、基台2、カバー4、弁座36、弁体38及び弁体駆動機構41が収容されているバルブ本体63と、バルブ本体63から平行に延びる一本の流入管43と、二本の流出管45A、45Bと、を有している。
また、バルブ本体63には、外部に設けられる制御装置との電気的な接続を確保するための図示しないコネクタと、バルブ駆動装置31を冷蔵庫内等に取り付けるための取付けプレート65と、が備えられている。
【0056】
バルブ本体63の内部には、前述したように一例として円板状の基台2と、基台2を覆い、下部で径が大きく上部で径の小さな段付きカップ状で一例として非磁性材料(例えばステンレス鋼製)のカバー4が設けられている。また、基台2とカバー4によって密閉された内部空間がバルブ室27になっている。また、基台2には開口29が形成されており、この開口29を利用して弁座36が取り付けられている。
また、基台2の外周縁には環状の段部67が形成されていて、この段部67にカバー4の開口した底部外周縁に形成されているフランジ部4bが係合して取り付けられるように構成されている。
【0057】
弁座36は、一例として上部が小径、下部が大径の段付きの円筒状の部材で、弁座36には支軸9の長手方向Zに貫通する二つの流体出口35A、35Bが形成されている。
また、弁座36の平坦な上面は弁座面37になっており、流体出口35A、35Bに対して下方から二本の流出管45A、45Bがそれぞれ取り付けられている。
【0058】
また、弁座36の中心には、弁座面37と交差する支軸9の長手方向Zに平行に延びる取付け軸69が立ち上げられている。取り付け軸69の上端部は、バルブ室27内に配置される図示しない支持プレートによって一例として支持されている。尚、取付け軸69の軸線L1は、支軸9の軸線Lと平行で一定距離オフセットされた基台2の外周寄りの位置に設けられている。
取付け軸69には、円板状の弁体38が回転可能な状態で取付けられている。この弁体38は、取付け軸69の軸線L1回りに回転可能な状態で弁座面37上に載置されている。
【0059】
弁体38は、図8及び図9に表したように、上面は接続部となっており、下面が接触面になっているため、両者の形状が異なっている。具体的には、本実施例では。上面側は円形、下面側は円形の一部(例えば160°位の範囲)を切除した扇形に形成されている。
また、扇形に形成された弁体38の底面が弁座面37と接触する接触面39になっており、この扇形部分が当該弁体38の閉領域C、残りの切除された部分が開領域Oになっている。この他、弁体38の閉領域Cには、冷媒Sの流量を微調整するための絞り孔71が形成されている。
【0060】
弁体駆動機構41は、駆動源としてモータ1を使用しており、該モータ1の支軸9の一端A側において、ロータ本体5と一体に回転するように設けられているピニオン25と、ピニオン25と噛み合う減速歯車73と、更に弁体38と、を備えることによって一例として構成されている。
尚、減速歯車73は、ピニオン25よりも大径で歯数が多く形成されており、これにより減速歯車73とピニオン25は減速機構を構成している。
【0061】
また、図7に表したように、本実施形態では、弁体38が原点に復帰する時に生じる衝撃音を小さくするための機構としてロータ脱調抑制機構75が設けられている。そして、このロータ脱調抑制機構75は、減速歯車73に設けられ回動軸L2を中心に回動するレバー77と、ピニオン25の上部において支軸9の長手方向Zと平行に延びる一例として4つの凸部79と、常時レバー77をピニオン25側に圧接するように付勢する一例として捩じりコイルバネによって構成される付勢バネ81と、を備えることによって一例として構成されている。
【0062】
さらに、レバー77が取り付けられる部位の減速歯車73には欠歯部83が形成されていて、この欠歯部83とピニオン25が対向したときに、ピニオン25が空転して減速歯車73に回転が伝達されないように構成されている。即ち、ロータ7と一体にピニオンが回転を継続しても、この回転は前記欠歯部83の存在によって空転となり、減速歯車73には伝わらない。この空転時には、ピニオン25の上部に位置する凸部79がレバー77を付勢バネ81のバネ力に抗して押して後退させることで、脱調なくピニオン25の回転が継続される。
弁体38の開閉動作を行うために、ピニオンを前記と逆方向(正転方向)に回転させると、先ずは凸部79がレバー77の被当接部に当接し、該レバー77が押され、これにより減速歯車73が回転し始め、ピニオン25が減速歯車73の欠歯部83ではない歯車部分と対向する位置関係になって噛み合い、その後はピニオン25から動力伝達されて減速歯車73が回転し、弁体38の開閉動作が行われる。
また、減速歯車73の下面側と弁体38の上面側には、両者を一体に係合するための図示しない凹凸係合構造が設けられている。
【0063】
(5)バルブ駆動装置の作動態様(図10図11A図11参照)
次に、このようにして構成される本実施形態に係るバルブ駆動装置の作動態様を、弁体38の回転角度(step数)と弁体38の開閉動作の関係を中心に説明する。
バルブ駆動装置31の駆動源となるモータ1に電力を供給し、コイル19に所定の方向の電流を流すと、ロータ7は正転方向に回転を始める。ロータ7の回転は、ロータ本体5を介して第1軸受部11の下方に位置するピニオン25に伝達される。
【0064】
ピニオン25の回転は、ピニオン25に噛み合う減速歯車73に減速された状態で伝達され、減速歯車73と一体に回転する弁体38に伝達される。
そして、弁体38の回転角度(step数)と弁体38の開閉動作の関係は、図10に表すようになっている。先ず、弁体38が原点位置に位置している状態では、弁体38と弁座面37の位置関係は、図11に表すようになっており、弁座面37の第1流体出口35Aと第2流体出口35Bは、共に開状態になっている。
【0065】
従って、流入管45を通って、流体入口33からバルブ室27内に流入した冷媒Sは、二つの流体出口35A、35B及び二本の流出管45A、45Bを通って所定の流量が冷蔵庫の冷却管路に供給される。
尚、この状態は図11に表す弁体38が原点位置(stepS0)からstepS1正転方向に回転した位置でも継続される。
【0066】
弁体38が図11に表す原点位置からstepS2正転方向に回転した位置では、第1流体出口35Aは依然として開状態であるが、第2流体出口35Bは弁体38の接触面39によって、その多くの部分が閉塞される。
ただし、この位置では弁体38に形成されている絞り孔71が第2流体出口35Bと連通しているため、第2流体出口35Bには、絞り孔71を通って流れる流量が制限された冷媒Sが流れ込む。
【0067】
更に、弁体38が正転方向に回転して、図11に表す原点位置からstepS3回転した位置に来ると、絞り孔71と第2流体出口35Bの位置がずれるため、第1流体出口35Aは開状態、第2流体出口35Bは閉状態となる。
更に、弁体38が正転方向に回転して、図11に表す原点位置からstepS4回転した位置に来ると、今度は絞り孔71と第1流体出口35Aの位置が一致し、絞り孔71を通って流れる流量が制限された冷媒Sが第1流体出口35Aに流れ込む。尚、第2流体出口35Bは依然として閉状態である。
【0068】
更に、弁体38が正転方向に回転して、図11に表す原点位置からstepS5回転した位置に来ると、絞り孔71と第1流体出口35Aの位置がずれるため、第1流体出口35Aと第2流体出口35Bは、共に閉状態になる。
そして、弁体38が正転方向に回転して、図11に表す原点位置からstepS6回転した位置に来ると、弁体38の接触面39によって閉塞されていた第2流体出口35Bが開状態となり、第1流体出口35Aは引き続き閉状態になって弁体38による一連の開閉動作が終了する。
【0069】
図11に表す原点位置から正転方向にstepS6回転した位置に弁体38が到達すると、モータ1の回転方向が逆になって弁体38は逆転方向に回転するようになる。そして、弁体38が図11に表す原点位置に戻り、更に弁体38を逆転方向に回転させると、ピニオン25は減速歯車73の欠歯部83と対向する状態になって両者の噛み合いが解除され、ロータ脱調抑制機構75が作動して弁体38の原点復帰時の衝撃を小さくして騒音(ノイズ)の発生を抑制する。
次に、モータ1を正転方向に回転させると、ロータ脱調抑制機構75を介して減速歯車73に動力が伝わって回転し、図11のピニオン25と減速歯車73が噛み合う状態に戻る。
【0070】
このようにして構成される本実施形態に係るバルブ駆動装置31によれば、構造が簡単で、動作時の振動の小さなモータ1を有するバルブ駆動装置31が提供できるようになる。
また、モータ1の振動は、第2軸受部13、ロータ7、第1軸受部11及びピニオン25を介して弁体駆動機構41にも伝達されるが、前記振動の小さなモータ1により、弁体38の円滑で騒音(ノイズ)の小さな弁動作が実行されるようになる。
【0071】
[他の実施形態]
本発明に係るモータ1及びバルブ駆動装置31は、以上述べた実施形態のような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0072】
例えば、弾性アーム部49の数は、前記実施形態では3つとしたが、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。また、弾性軸受部15を弾性アーム部49以外の他の構成(例えば弾性変形可能な合成ゴムやウレタンゴム等)によって構成することも可能である。
また、前記実施形態では第2軸受部13とロータ本体5を別部材によって構成したが、第2軸受部13とロータ本体5を一体成形によって成形するようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、片持ち式の支軸9に対して第1軸受部11と第2軸受部13を適用したが、両持ち式の支軸9に対して第1軸受部11と第2軸受部13の構成を適用することも可能である。
また、前記実施形態では、弁座面37に対して流体出口35を設ける構成が採用されているが、弁座面37に対して流体入口33を設けて、基台2の他の部位に流体出口35を設ける構成を採用することも可能である。
【0074】
また、前記実施形態では、弁体駆動機構41としてピニオン25と減速歯車73を使用してモータ1の出力を減速して弁体38に伝える減速方式の構成が採用されているが、ピニオン25と減速歯車73を省略して、ロータ7の回転を直接弁体38に伝える直動方式の弁体駆動機構41を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…モータ、2…基台、3…マグネット、4…カバー、4a…凹部、
4b…フランジ部、5…ロータ本体、6…係合凹部、7…ロータ、8…凹部、
9…支軸、11…第1軸受部、13…第2軸受部、15…弾性軸受部、
17…ステータ、18…ステータコア、19…コイル、21…ハウジング、
22…係合構造、23…係合爪、25…ピニオン、27…バルブ室、29…開口、
31…バルブ駆動装置、33…流体入口、35…流体出口、36…弁座、
37…弁座面、38…弁体、39…接触面、41…弁体駆動機構、43…流入管、
45…流出管、46…本体部、47…フランジ部、48…凹部、49…弾性アーム部、
51…接触部、53…囲い部、55…弾性部材、57…受け部、59…凸部、
61…逃げ部、63…バルブ本体、65…取付けプレート、67…段部、
69…取付け軸、71…絞り孔、73…減速歯車、75…ロータ脱調抑制機構、
77…ロックレバー、79…上段凸部、81…付勢バネ、83…欠歯部、
Z…長手方向、A…一端、B…他端、R…回転方向、S…流体(冷媒)、
L…軸線(回転軸)、H…高さ、C…閉領域、O…開領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11