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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】メモリー装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 13/00 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
G11C13/00 400F
G11C13/00 210
G11C13/00 400D
G11C13/00 270F
G11C13/00 480D
G11C13/00 480E
G11C13/00 480K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018199096
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2019087295
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0145467
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0031600
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】林 菜▲うく▼
(72)【発明者】
【氏名】羅 太熙
(72)【発明者】
【氏名】鮮于 禎
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲よん▼▲じゅん▼
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216047(JP,A)
【文献】特開2008-276928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ素子、及び前記スイッチ素子と連結されて相変化物質を有する情報格納素子を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、
前記メモリーセルに動作電流を入力して前記メモリーセルに対する制御動作を実行するメモリーコントローラーであって、前記動作電流の入力前及び後のうち少なくとも何れかのタイミングにおいて、前記メモリーセル内で前記情報格納素子から前記スイッチ素子に流れる補償電流を前記メモリーセルに入力するメモリーコントローラーと、を含み、
前記メモリーコントローラーは、前記メモリーセルがセット状態を有する場合には、前記動作電流の入力前に前記補償電流を前記メモリーセルに入力し、前記メモリーセルがリセット状態を有する場合には、前記動作電流の入力後に前記補償電流を前記メモリーセルに入力するメモリー装置。
【請求項2】
前記制御動作は、前記メモリーセルに格納されたデータを読み出す読み出し動作と、前記メモリーセルにデータを格納するプログラム動作と、を含む、請求項1に記載のメモリー装置。
【請求項3】
前記制御動作が前記プログラム動作である場合に、前記メモリーコントローラーは、前記動作電流の入力後に前記補償電流を前記メモリーセルに入力する、請求項2に記載のメモリー装置。
【請求項4】
前記動作電流と前記補償電流は、前記メモリーセル内で互いに反対方向に流れる、請求項3に記載のメモリー装置。
【請求項5】
前記補償電流の大きさは、前記動作電流の大きさより小さい、請求項3に記載のメモリー装置。
【請求項6】
前記メモリーコントローラーは、リセット状態にある前記メモリーセルにのみ前記補償電流を入力する、請求項3に記載のメモリー装置。
【請求項7】
前記制御動作が前記読み出し動作である場合に、前記メモリーコントローラーは、前記動作電流の入力前または後に前記補償電流を前記メモリーセルに入力する、請求項2に記載のメモリー装置。
【請求項8】
前記動作電流と前記補償電流は、前記メモリーセル内で互いに同一の方向に流れる、請求項7に記載のメモリー装置。
【請求項9】
前記補償電流の大きさは、前記動作電流の大きさより大きい、請求項7に記載のメモリー装置。
【請求項10】
前記補償電流が前記メモリーセルに入力される時間は、前記動作電流が前記メモリーセルに入力される時間より短い、請求項7に記載のメモリー装置。
【請求項11】
前記メモリーコントローラーは、セット状態にある前記メモリーセルにのみ前記補償電流を入力する、請求項7に記載のメモリー装置。
【請求項12】
前記メモリーコントローラーは、複数のパルスを順に発生させて前記メモリーセルに前記補償電流を入力する、請求項1ないし11のうち何れか一項に記載のメモリー装置。
【請求項13】
前記スイッチ素子はオボニック閾値スイッチ素子を含む、請求項1ないし12のうち何れか一項に記載のメモリー装置。
【請求項14】
第1電極、前記第1電極に連結されるスイッチ素子、前記スイッチ素子と連結される情報格納素子、及び前記情報格納素子に連結される第2電極を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、
前記メモリーセルに読み出し電流を入力して前記メモリーセルに格納されたデータを読み出すメモリーコントローラーであって、前記読み出し電流の入力前及び後のうち少なくとも何れかのタイミングにおいて、前記第2電極に補償電流を入力するメモリーコントローラーと、を含み、
前記読み出し電流は、前記情報格納素子に含まれる相変化物質で相変化を発生させ得る第1臨界電流より小さく、前記補償電流は前記第1臨界電流より大きいメモリー装置。
【請求項15】
前記メモリーコントローラーは、前記第1電極及び前記第2電極の何れか1つに前記読み出し電流を入力する、請求項14に記載のメモリー装置。
【請求項16】
前記補償電流が入力される時間は、前記読み出し電流が入力される時間より短い、請求項14又は15に記載のメモリー装置。
【請求項17】
前記メモリーコントローラーは、セット状態を有する前記メモリーセルにのみ前記補償電流を入力する、請求項14ないし16のうち何れか一項に記載のメモリー装置。
【請求項18】
第1電極、前記第1電極に連結されるスイッチ素子、前記スイッチ素子と連結される情報格納素子、及び前記情報格納素子に連結される第2電極を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、
前記メモリーセルにプログラム電流を入力して前記メモリーセルにデータを格納し、前記プログラム電流の入力後に前記第2電極に補償電流を入力するメモリーコントローラーと、を含み、
前記プログラム電流と前記補償電流は、前記情報格納素子に含まれる相変化物質で相変化を発生させ得る第1臨界電流より大きいメモリー装置。
【請求項19】
前記メモリーコントローラーは、前記第1電極に前記プログラム電流を入力する、請求項18に記載のメモリー装置。
【請求項20】
前記メモリーコントローラーは、前記プログラム電流によってリセット状態に設定された前記メモリーセルにのみ前記補償電流を入力する、請求項18又は19に記載のメモリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗を用いたメモリー装置は、相変化メモリー装置(PRAM:Phase change Random Access Memory)、抵抗メモリー装置(ReRAM:Resistive RAM)、磁気メモリー装置(MRAM:Magnetic RAM)などを含む。電荷を充電または放電する方式によりデータを記録する動的メモリー装置(DRAM:Dynamic RAM)とは異なり、抵抗を用いたメモリー装置は、抵抗の変化を用いてデータを記録または消去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態における課題の1つは、メモリーセルのそれぞれのセンシングマージンを増加させるとともに、動作中にメモリーセルで発生する意図しないしきい値電圧の変化を最小化することができるメモリー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によるメモリー装置は、スイッチ素子、及び上記スイッチ素子と連結されて相変化物質を有する情報格納素子を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、上記メモリーセルに動作電流を入力して上記メモリーセルに対する制御動作を実行するメモリーコントローラーであって、上記動作電流の入力前及び後のうち少なくとも何れかのタイミングにおいて、上記メモリーセル内で上記情報格納素子から上記スイッチ素子に流れる補償電流を上記メモリーセルに入力するメモリーコントローラーと、を含む。
【0005】
本発明の一実施形態によるメモリー装置は、第1電極、上記第1電極に連結されるスイッチ素子、上記スイッチ素子と連結される情報格納素子、及び上記情報格納素子に連結される第2電極を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、上記メモリーセルに読み出し電流を入力して上記メモリーセルに格納されたデータを読み出すメモリーコントローラーであって、上記読み出し電流の入力前及び後のうち少なくとも何れか1のタイミングにおいて、上記第2電極に補償電流を入力するメモリーコントローラーと、を含む。
【0006】
本発明の一実施形態によるメモリー装置は、第1電極、上記第1電極に連結されるスイッチ素子、上記スイッチ素子と連結される情報格納素子、及び上記情報格納素子に連結される第2電極を有する複数のメモリーセルを含むメモリーセルアレイと、上記メモリーセルにプログラム電流を入力して上記メモリーセルにデータを格納するメモリーコントローラーであって、上記プログラム電流の入力後に上記第2電極に補償電流を入力するメモリーコントローラーと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によると、メモリーセルからデータを読み出すこと、メモリーセルにデータを記録することなどの制御動作を実行する前及び/または後に所定の補償電流を入力することができ、補償電流は、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れることができる。したがって、制御動作が実行される前及び/または後にメモリーセルのセンシングマージンを効果的に確保することができ、メモリー装置を安定して動作させることができる。
【0008】
本発明の多様且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるメモリー装置を簡単に示したブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるメモリー装置に含まれるメモリーセルアレイを簡単に示した図である。
図3】本発明の一実施形態によるメモリー装置に含まれるメモリーセルの構造を簡単に示した図である。
図4】本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。
図5】本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。
図6】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。
図7】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し動作を説明するために提供される図である。
図8】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し動作を説明するために提供される図である。
図9】(a)、(b)及び(c)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
図10】(a)、(b)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し動作を説明するために提供される図である。
図11】(a)~(e)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
図12】(a)~(c)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。
図13】本発明の一実施形態によるメモリー装置のプログラム動作を説明するために提供される図である。
図14】(a)~(c)は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
図15】本発明の一実施形態によるメモリー装置を含む電子機器を簡単に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を次のように説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態によるメモリー装置を簡単に示したブロック図である。図2は本発明の一実施形態によるメモリー装置に含まれるメモリーセルアレイを簡単に示した図である。
【0012】
先ず、図1を参照すると、本発明の一実施形態によるメモリー装置10は、メモリーコントローラー20と、メモリーセルアレイ30と、を含むことができる。メモリーコントローラー20は、コントロールロジック21、ロードライバ22、及びコラムドライバ23などを含むことができる。メモリーセルアレイ30は複数のメモリーセルMCを含むことができる。
【0013】
一実施形態において、ロードライバ22は第1導電性ラインCL1を介してメモリーセルMCと連結され、コラムドライバ23は第2導電性ラインCL2を介してメモリーセルMCと連結されることができる。一実施形態において、ロードライバ22は、データを記録または読み出すメモリーセルMCを選択するためのアドレスデコーダー回路を含むことができ、コラムドライバ23は、メモリーセルMCにデータを記録するか、メモリーセルMCからデータを読み出すための読み出し/書き込み回路を含むことができる。ロードライバ22とコラムドライバ23の動作は、コントロールロジック21によって制御されることができる。ロードライバ22とコラムドライバ23のそれぞれは、第1導電性ラインCL1と第2導電性ラインCL2を介してメモリーセルMCと連結されることができる。一例として、第1導電性ラインCL1と第2導電性ラインCL2は、それぞれワードラインとビットラインに対応することができる。
【0014】
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるメモリーセルアレイ30は複数のメモリーセルMCを含むことができる。メモリーセルMCは第1導電性ラインCL1と第2導電性ラインCL2が交差する地点に設けられることができる。すなわち、メモリーセルMCのそれぞれは、1つの第1導電性ラインCL1と1つの第2導電性ラインCL2に連結されることができる。
【0015】
メモリーセルMCのそれぞれは、スイッチ素子SWと、情報格納素子VRと、を含むことができる。一実施形態において、スイッチ素子SWは、PN接合ダイオード、ショットキーダイオード、及びオボニック閾値スイッチ(OTS)の少なくとも1つを含むことができる。一方、一実施形態において、情報格納素子VRは、カルコゲナイド(Chalcogenide)物質及び超格子(Super-lattice)の何れか1つを有する相変化物質で形成されることができる。すなわち、情報格納素子VRは、加熱時間及び温度などによって非晶質相と結晶質相への相転移が可能な相変化物質を含むことができる。情報格納素子VRとスイッチ素子SWは、互いに直列に連結されることができる。
【0016】
メモリーコントローラー20は、第1導電性ラインCL1と第2導電性ラインCL2を介して、複数のメモリーセルMCのそれぞれに含まれる情報格納素子VRの相変化物質を非晶質相または結晶質相に相転移させることで、データを記録または消去することができる。一実施形態において、メモリーコントローラー20は、メモリーセルMCに含まれる情報格納素子VRの相変化物質を非晶質相に相転移させることで、情報格納素子VRの抵抗を増加させ、データを記録することができる。これに対し、メモリーコントローラー20は、メモリーセルMCに含まれる情報格納素子VRの相変化物質を結晶質相に相転移させることで、情報格納素子VRの抵抗を減少させ、データを消去することができる。メモリーコントローラー20は、複数のメモリーセルMCのそれぞれに含まれる情報格納素子VRの抵抗またはしきい値電圧を検出することで、複数のメモリーセルMCのそれぞれのデータを読み出すことができる。
【0017】
図3は本発明の一実施形態によるメモリー装置に含まれるメモリーセルの構造を簡単に示した図である。図3を参照すると、本発明の一実施形態によるメモリー装置100は、第1ワードライン101とビットライン103との間に設けられる第1メモリーセルMC1と、第2ワードライン102とビットライン103との間に設けられる第2メモリーセルMC2と、を含むことができる。第1メモリーセルMC1と第2メモリーセルMC2は、それぞれ独立したメモリーセルとして動作することができる。
【0018】
第1メモリーセルMC1は、第1加熱電極110、第1情報格納素子120、及び第1スイッチ素子130などを含むことができる。第1スイッチ素子130は、第1スイッチ電極131、第2スイッチ電極132、及びその間に配置される第1選択層133などを含むことができる。一実施形態において、第1選択層133はオボニック閾値スイッチ(Ovonic Threshold Switch、OTS)物質を含むことができる。第1スイッチ電極131と第2スイッチ電極132との間にしきい値電圧より大きい電圧が印加されると、第1選択層133を介して電流が流れることができる。
【0019】
第1情報格納素子120は相変化物質を含むことができ、一実施形態において、カルコゲナイド物質を含むことができる。一例として、第1情報格納素子120はGe-Sb-Te(GST)を含むことができ、第1情報格納素子120に含まれる元素の種類及びその化学的組成比に応じて、第1情報格納素子120の結晶化温度、融点、結晶化エネルギーによる相変化速度などが決定されることができる。
【0020】
第2メモリーセルMC2は第1メモリーセルMC1と類似の構造を有することができる。図3を参照すると、第2メモリーセルMC2は、第2加熱電極140、第2情報格納素子150、及び第2スイッチ素子160などを含むことができる。第2加熱電極140、第2情報格納素子150、及び第2スイッチ素子160のそれぞれの構造及び特徴は、第1加熱電極110、第1情報格納素子120、及び第1スイッチ素子130と類似する。以下、第1メモリーセルMC1を例示として参照し、データを記録及び消去する方法を説明する。
【0021】
第1ワードライン101とビットライン103を介して電圧が供給されると、第1加熱電極110と第1情報格納素子120との界面で、上記電圧によるジュール熱(Joule Heat)が発生することができる。上記ジュール熱により、第1情報格納素子120を構成する相変化物質が非晶質相から結晶質相に変わるか、結晶質相から非晶質相に変わることができる。第1情報格納素子120は、非晶質相で高い抵抗を有し、結晶質相で低い抵抗を有することができる。一実施形態において、第1情報格納素子120の抵抗値に応じて、データ「0」または「1」を定義することができる。
【0022】
第1メモリーセルMC1にデータを記録するために、第1ワードライン101とビットライン103を介してプログラム電圧を供給することができる。上記プログラム電圧は、第1スイッチ素子130に含まれるオボニック閾値スイッチ物質のしきい値電圧より大きいため、第1スイッチ素子130を介して電流が流れることができる。上記プログラム電圧により、第1情報格納素子120に含まれる相変化物質が非晶質相から結晶質相に変わることができ、これによって第1メモリー領域にデータを記録することができる。一実施形態において、第1情報格納素子120に含まれる相変化物質が結晶質相を有する場合を、セット(set)状態と定義することができる。
【0023】
一方、第1メモリーセルMC1に記録されたデータを消去するために、第1情報格納素子120に含まれる相変化物質を結晶質相から非晶質相に戻すことができる。一例として、第1ワードライン101とビットライン103を介して所定の消去電圧を供給することができる。上記消去電圧により、第1情報格納素子120に含まれる相変化物質が結晶質相から非晶質相に変わることができる。一例として、上記消去電圧の最大値は、上記プログラム電圧の最大値より大きいことができ、上記消去電圧が供給される時間は、上記プログラム電圧が供給される時間より短いことができる。
【0024】
上述のように、情報格納素子120、150に含まれる相変化物質の状態に応じて情報格納素子120、150の抵抗値が変わることができ、メモリーコントローラーは、情報格納素子120、150の抵抗からデータ「0」と「1」を区分することができる。したがって、情報格納素子120、150に含まれる相変化物質の状態に応じて現れる情報格納素子120、150の抵抗差が大きいほど、メモリーコントローラーがデータを正確に記録または読み取ることができる。
【0025】
図4及び図5は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。
【0026】
本発明の一実施形態によるメモリー装置は、メモリーコントローラー220がメモリーセル210に供給する電源によって動作することができる。図4及び図5を参照すると、メモリーコントローラー220は、第1方向に流れる第1電流I1と、第2方向に流れる第2電流I2の少なくとも1つをメモリーセル210に入力することができる。一実施形態において、第1方向と第2方向は互いに反対方向であることができる。
【0027】
メモリーセル210は、下部電極211、加熱電極212、情報格納素子214、スイッチ素子215、及び上部電極216などを含むことができる。下部電極211と上部電極216は、ワードラインまたはビットラインなどを介して、メモリーコントローラー220が出力する電圧の供給を受けることができる。加熱電極212の周辺には絶縁層213が設けられることができ、加熱電極212と隣接する情報格納素子214の一部領域214aで、第1電流I1または第2電流I2による相変化が発生することができる。
【0028】
図4を参照すると、メモリーコントローラー220によって第1方向に供給される第1電流I1は、メモリーセル210内でスイッチ素子215から情報格納素子214に流れることができる。反対に、図5を参照すると、第2方向に供給される第2電流I2は、メモリーセル210内で情報格納素子214からスイッチ素子215に流れることができる。したがって、ペルチェ効果(Peltier Effect)により、加熱電極212で発生する熱による影響は、第2電流I2を供給する時が、第1電流I1を供給する時に比べて少ないことができる。
【0029】
一実施形態において、データを記録するためのプログラム(program)動作は、第1方向にプログラム電流を入力することで実行されることができる。一実施形態において、プログラム電流により、情報格納素子214が結晶質相から非晶質相に変わることができる。メモリーコントローラー220は、メモリーセル210の抵抗が大きい場合、メモリーセル210がプログラムされていると判断することができる。
【0030】
一方、メモリーセル210のデータを判別するための読み出し(read)動作は、第1方向または第2方向に読み出し電流を入力することで実行されることができる。読み出し動作によってメモリーセル210で意図しない情報格納素子214の状態変化が発生することを防止するために、読み出し電流はプログラム電流に比べて小さい大きさを有することができる。メモリーコントローラー220は、読み出し電流をメモリーセル210に供給してメモリーセル210の抵抗値を測定することができ、上記抵抗値の大きさに基づいて、メモリーセル210にデータが記録されているか否かを判断することができる。
【0031】
本発明の一実施形態によるメモリー装置では、メモリーセル210に含まれる情報格納素子214の相変化現象を用いてデータを記録または消去することができる。一例として、情報格納素子214が結晶質相を有して相対的に低い抵抗値を有する時と、情報格納素子214が非晶質相を有して相対的に高い抵抗値を有する時を区分して、データ「0」と「1」をプログラムして読み出すことができる。したがって、情報格納素子214の状態による、メモリーセル210から検出される電圧の差が大きいほど、メモリーコントローラー220がメモリーセル210に記録されたデータを正確に読み出すことができる。
【0032】
一方、スイッチ素子215ではドリフト(drift)現象が発生し得る。このドリフト現象により、情報格納素子214の状態による、メモリーセル210から検出される電圧の差が減少し得る。一例として、スイッチ素子215で発生するドリフト現象により、情報格納素子214が結晶質相を有するメモリーセル210の全体抵抗が増加し得て、結果として、情報格納素子214の状態によるメモリーセル210の電圧差が減少し得る。そのため、ドリフト現象により、メモリーセル210に格納されたデータを正確に読み出すことができない問題が発生する恐れがある。
【0033】
本発明の一実施形態では、メモリーコントローラー220がメモリーセル210に記録されたデータを読み出す前に、補償電流をメモリーセル210に入力することで、ドリフト現象による問題を解決することができる。一実施形態において、メモリーコントローラー220は、第2電流I2と同一の第2方向に補償電流を入力することができ、情報格納素子214に与える影響を最小化しながら、補償電流でスイッチ素子215のみをターンオンさせることができる。したがって、スイッチ素子215で発生するドリフト現象によって結晶質相の情報格納素子214を有するメモリーセル210の抵抗が増加することを補償することができる。
【0034】
一実施形態において、補償電流は、読み出し動作が完了した後に入力されてもよい。読み出し動作が完了した後に入力される補償電流は、スイッチ素子215のドリフト現象によるメモリーセル210の抵抗増加を補償するか、または読み出し電流によって増加したメモリーセル210の抵抗を補償することができる。または、一実施形態において、読み出し動作の前及び後の両方に補償電流を入力してもよい。
【0035】
また、本発明の一実施形態では、メモリーコントローラー220がメモリーセル210にプログラム電圧を供給した後、情報格納素子214を迅速に安定化させるための目的として、補償電流をメモリーセル210に入力してプログラム動作を完了することができる。プログラム動作でメモリーセル210に入力される補償電流は、プログラム電圧によって非晶質相に相変化された情報格納素子214内でドリフト現象を起こすエネルギーを供給するための電圧であることができる。補償電流により、情報格納素子214が非晶質相で迅速に安定化されることができ、結果として、情報格納素子214の抵抗値が迅速に増加することができる。したがって、情報格納素子214の相変化によるメモリーセル210の抵抗差を増加させることができ、メモリーコントローラー220がメモリーセル210に記録されたデータを正確に読み出すことができる。プログラム動作後に入力される補償電流は、メモリーセル210に与える影響を最小化するために、第2電流I2と同一の第2方向に入力されることができる。
【0036】
図6は本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。先ず、図6(a)を参照すると、セット状態(set state)を有するメモリーセルに読み出し電流を入力する時に検出されるセット読み出し電圧分布300と、リセット状態(reset state)を有するメモリーセルに読み出し電流を入力する時に検出されるリセット読み出し電圧分布400が示されている。一実施形態において、セット状態は、情報格納素子が結晶質相を有する状態であり、リセット状態は、情報格納素子が非晶質相を有する状態であることができる。セット状態で情報格納素子が相対的により低い抵抗を有するため、セット読み出し電圧分布300がリセット読み出し電圧分布400に比べて小さいことができる。
【0037】
図6(a)に示した一実施形態は、スイッチ素子などでドリフト現象などが発生しない理想的な場合であって、セット読み出し電圧分布300は第1セット分布301を有し、リセット読み出し電圧分布400は第1リセット分布401を有することができる。図6(a)を参照すると、第1セット分布301と第1リセット分布401との間に所定のセンシングマージンSMが存在することができる。メモリーコントローラーは、メモリーセルから検出した読み出し電圧を、センシングマージンSM内に位置する基準電圧VREFと比較することで、メモリーセルの状態をセット状態とリセット状態のうち1つに決定することができる。
【0038】
次に、図6(b)に示した実施形態は、セット状態を有するメモリーセルのスイッチ素子でドリフト現象が発生する場合に相当する。図6(b)を参照すると、メモリーセルのスイッチ素子で発生するドリフト現象により、セット読み出し電圧分布300が第1セット分布301から第2セット分布302に増加する。図6(b)に示した実施形態を図6(a)に示した実施形態と比較すると、セット読み出し電圧分布300が第2セット分布302に増加することにより、センシングマージンSMが減少し得る。第1セット分布301と第2セット分布302との差が大きいと、第2セット分布302の一部が基準電圧VREFと重なることもあり、メモリーコントローラーがメモリーセルからデータを読み出す読み出し動作でエラーが発生する恐れがある。
【0039】
図7及び図8は、本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し動作を説明するために提供される図である。
【0040】
先ず、図7を参照すると、本発明の一実施形態では、読み出し電流IRDを入力した後に補償電流ICPを入力することができる。図7(a)を参照すると、補償電流ICPは読み出し電流IRDと反対方向に入力されることができる。一例として、読み出し電流IRDは、メモリーセル内でスイッチ素子から情報格納素子に流れるように入力されることができ、補償電流ICPは、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、補償電流ICPは、情報格納素子に与える影響を最小化しながらスイッチ素子をターンオンさせることができ、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0041】
次に、図7(b)を参照すると、補償電流ICPと読み出し電流IRDが同一の方向に入力されてもよい。図7(b)に示した一実施形態において、補償電流ICPと読み出し電流IRDは、両方ともメモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、読み出し電流IRDによってメモリーセルのヒーターで発生する熱が最小化されることができ、情報格納素子で発生し得る相変化現象を効果的に抑えることができる。また、補償電流ICPを用いて、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0042】
一方、図8に示した一実施形態では、読み出し電流IRDを入力する前に補償電流ICPを入力することができる。図8(a)を参照すると、補償電流ICPは読み出し電流IRDと反対方向に入力されることができる。一例として、読み出し電流IRDは、メモリーセル内でスイッチ素子から情報格納素子に流れるように入力されることができ、補償電流ICPは、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、補償電流ICPは、情報格納素子に与える影響を最小化しながらスイッチ素子をターンオンさせることができ、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0043】
図8(b)に示した一実施形態では、補償電流ICPと読み出し電流IRDが同一の方向に入力されることができる。図8(b)に示した一実施形態において、補償電流ICPと読み出し電流IRDは、両方ともメモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、読み出し電流IRDによってメモリーセルのヒーターで発生する熱が最小化されることができ、情報格納素子で発生し得る相変化現象を効果的に抑えることができる。また、補償電流ICPを用いて、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0044】
図7及び図8を参照して説明した実施形態において、補償電流ICPの大きさは読み出し電流IRDの大きさより大きく、補償電流ICPの入力時間は、読み出し電流IRDの入力時間より短いことができる。一例として、読み出し電流IRDは、情報格納素子で相変化が発生し得る大きさを有する第1臨界電流より小さいのに対し、補償電流ICPは、上記第1臨界電流より大きいことができる。但し、本発明の多様な実施形態によって、補償電流ICPの大きさ及び入力時間は多様に変形可能である。一実施形態において、図7及び図8に示した実施形態と異なって、補償電流ICPは、複数回にわたって発生するパルスによってメモリーセルに入力されてもよい。
【0045】
図9は本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
【0046】
一例として、図9はメモリーセルから検出されるセット読み出し電圧分布300とリセット読み出し電圧分布400を示した図である。先ず、図9(a)を参照すると、セット状態を有するメモリーセルの第1セット分布301と、リセット状態を有するメモリーセルの第1リセット分布401との間に所定のセンシングマージンSMが存在することができる。メモリーコントローラーは、メモリーセルに読み出し電流IRDを入力して獲得した読み出し電圧を、センシングマージンSM内に存在する基準電圧VREFと比較してメモリーセルのデータを読み取ることができる。
【0047】
本発明の一実施形態では、多様な要因によって、図9(b)に示したようにセット読み出し電圧分布300が第2セット分布302のように増加してしまうかもしれない。一実施形態において、セット読み出し電圧分布300は、スイッチ素子で発生するドリフト現象、または読み出し電流IRDによって情報格納素子で弱い相変化が発生するソフトプログラム現象などによって増加し得る。セット読み出し電圧分布300が増加してセンシングマージンSMが減少すると、読み出し動作の正確度において問題が発生する恐れがある。本発明の一実施形態では、読み出し電流IRDを入力する前または後に、メモリーセルに補償電流ICPを入力することで上記のような問題を解決することができる。
【0048】
図9(c)は、補償電流ICPを入力することで現れるメモリーセルの読み出し電圧分布を示した図である。図9(c)を参照すると、読み出し電流IRDを入力する前または後に入力された補償電流ICPにより、スイッチ素子のドリフト現象などが除去されることができ、セット読み出し電圧分布300が第2セット分布302から第3セット分布303に減少することができる。したがって、セット読み出し電圧分布300とリセット読み出し電圧分布400との間のセンシングマージンSMが増加することができ、読み出し動作の正確度を改善することができる。
【0049】
図10は本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し動作を説明するために提供される図である。先ず、図10を参照すると、本発明の一実施形態では、読み出し電流IRDの入力前後に第1及び第2補償電流ICP1、ICP2を入力することができる。図10(a)に示した一実施形態において、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2は読み出し電流IRDと反対方向に入力されることができる。一例として、読み出し電流IRDは、メモリーセル内でスイッチ素子から情報格納素子に流れるように入力されるのに対し、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2は、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2は、情報格納素子に与える影響を最小化しながらスイッチ素子をターンオンさせることができ、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0050】
次に、図10(b)を参照すると、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2と読み出し電流IRDが同一の方向に入力されてもよい。図10(b)に示した一実施形態において、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2と読み出し電流IRDは、何れもメモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。したがって、読み出し電流IRDによってメモリーセルのヒーターで発生する熱が最小化されることができ、情報格納素子で発生し得る相変化現象を効果的に抑えることができる。また、第1及び第2補償電流ICP1、ICP2を用いて、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。
【0051】
図10には、第1補償電流ICP1が第2補償電流ICP2より小さい大きさを有すると示されているが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。実施形態によって、第1補償電流ICP1と第2補償電流ICP2は互いに同一の大きさを有してもよく、または第1補償電流ICP1が第2補償電流ICP2より小さくてもよい。一方、第1補償電流ICP1と第2補償電流ICP2のそれぞれの入力時間も、多様に選択可能である。
【0052】
図11は本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
【0053】
一例として、図11は、図10に示したように、メモリーセルに読み出し電流IRDを入力する前と後に第1及び第2補償電流ICP1、ICP2をそれぞれ入力する場合に現れる読み出し電圧分布を示した図である。図11を参照すると、メモリーセルのセット読み出し電圧分布310とリセット読み出し電圧分布410との間にセンシングマージンSMが存在することができる。
【0054】
先ず、図11(a)を参照すると、セット状態を有するメモリーセルの読み出し電圧は第1セット分布311を有し、リセット状態を有するメモリーセルの読み出し電圧は第1リセット分布411を有することができる。メモリーセルから検出される読み出し電圧分布が図10(a)と同一である場合、メモリーコントローラーは、メモリーセルに読み出し電流IRDを入力して読み出し電圧を獲得し、上記読み出し電圧を基準電圧VREFと比較してメモリーセルのデータを読み出すことができる。上記基準電圧VREFはセンシングマージンSM内に含まれる電圧であることができる。
【0055】
但し、本発明の一実施形態では、多様な要因によって、図11(b)に示したようにセット読み出し電圧分布310が変わり得る。一実施形態において、セット読み出し電圧分布310は、スイッチ素子で発生するドリフト現象、及び/または読み出し電流IRDによって情報格納素子で弱い相変化が発生するソフトプログラム現象などにより、第2セット分布312に増加し得る。セット読み出し電圧分布310が第2セット分布312に増加してセンシングマージンSMが減少すると、読み出し動作の正確度において問題が発生する恐れがある。本発明の一実施形態では、読み出し電流IRDを入力する前及び後に、メモリーセルに第1及び第2補償電流ICP1、ICP2を入力することで上記のような問題を解決することができる。
【0056】
図11(c)は、第1補償電流ICP1を入力した後に現れるメモリーセルの読み出し電圧分布を示した図である。図11(c)を参照すると、読み出し電流IRDを入力する前に入力される第1補償電流ICP1により、スイッチ素子のドリフト現象などが除去されることができ、セット読み出し電圧分布310が第2セット分布312から第3セット分布313に減少することができる。したがって、セット読み出し電圧分布310とリセット読み出し電圧分布410との間のセンシングマージンSMが増加することができ、読み出し動作の正確度を改善することができる。
【0057】
次に、図11(d)を参照すると、読み出し電流IRDによってメモリーセルの情報格納素子で弱い相変化が発生し得る。これにより、セット読み出し電圧分布310が第3セット分布313から第4セット分布314に増加し得る。このような読み出し電流IRDによるソフトプログラム現象により、センシングマージンSMが減少し得る。これが、次に実行される読み出し動作の正確度を低下させる原因となり得る。
【0058】
本発明では、読み出し電流IRDを入力してメモリーセルのデータを読み出した後、第2補償電流ICP2を入力することで、上記のようなセンシングマージンSMの減少を補償することができる。図11(e)を参照すると、第2補償電流ICP2により、セット読み出し電圧分布310が第5セット分布305に減少することができ、これによってセンシングマージンSMが増加することができる。したがって、後に実行される読み出し動作で十分なセンシングマージンSMを確保することができ、読み出し動作のエラー率を最小化することができる。
【0059】
図12は本発明の一実施形態によるメモリー装置の動作を説明するために提供される図である。図12を参照すると、セット状態を有するメモリーセルから検出されるセット読み出し電圧分布500と、リセット状態を有するメモリーセルから検出されるリセット読み出し電圧分布600が示されている。セット読み出し電圧とリセット読み出し電圧は、セット状態を有するメモリーセルとリセット状態を有するメモリーセルのそれぞれに所定の読み出し電流を入力して検出する電圧であることができる。上述のように、セット状態のメモリーセルがリセット状態のメモリーセルに比べて相対的により低い抵抗を有するため、セット読み出し電圧分布500はリセット読み出し電圧分布600より小さいことができる。
【0060】
図12(a)は、メモリー装置に含まれるメモリーセルがプログラムされていない状態を示したグラフである。すなわち、図12(a)は、全てのメモリーセルがセット状態を有する状態に対応し、セット読み出し電圧分布500のみが現れる。
【0061】
図12(b)は、メモリー装置に含まれるメモリーセルのうち一部がプログラムされ、リセット状態に転換された状態を示したグラフである。図12(b)を参照すると、セット読み出し電圧分布500とともにリセット読み出し電圧分布600が現れ、セット読み出し電圧分布500は第1セット分布501を有し、リセット読み出し電圧分布600は第1リセット分布601を有することができる。第1セット分布501と第1リセット分布601との間にはセンシングマージンSMが存在することができる。メモリー装置は、メモリーセルのそれぞれから検出した読み出し電圧を、センシングマージンSMに含まれる所定の基準電圧VREFと比較することで、メモリーセルのそれぞれにプログラムされたデータを読み出す読み出し動作を行うことができる。
【0062】
セット読み出し電圧分布500とリセット読み出し電圧分布600との間のセンシングマージンSMが大きいほど、読み出し動作のエラー率を低減することができる。本発明の一実施形態によるメモリー装置では、メモリーセルにデータを記録するプログラム動作により、メモリーセルに含まれる情報格納素子が結晶質相から非晶質相に変わることができる。但し、情報格納素子が非晶質相で安定化され、メモリーセルの抵抗が増加するまでには時間がさらに必要であり得る。したがって、プログラム動作の直後には、図12(b)のようにセンシングマージンSMが十分に確保されない可能性がある。
【0063】
図12(c)は、プログラム動作が終了して時間が経過した後のセット読み出し電圧分布500とリセット読み出し電圧分布600を示したグラフである。上述のように、プログラム動作が終了して時間が経過するにつれて、リセット状態に転換されたメモリーセルの情報格納素子が非晶質相で安定化されることができる。したがって、図12(c)に示したように、リセット読み出し電圧分布600が第1リセット分布601から第2リセット分布602に増加することができる。
【0064】
但し、リセット状態にプログラムされたメモリーセルが安定化されてリセット読み出し電圧分布600が増加するまでには時間が必要であるため、プログラム動作の直後にはセンシングマージンSMを効果的に確保することができない。また、プログラム動作が終了して時間が経過するにつれて、メモリーセルのスイッチ素子で発生するドリフト現象により、メモリーセルの抵抗が増加し得る。特に、セット状態を有するメモリーセルで発生するドリフト現象により、セット状態のメモリーセルの抵抗が増加し得る。したがって、図12(c)に示したように、セット読み出し電圧分布500が第1セット分布501から第2セット分布502に増加し得て、センシングマージンSMがプログラム動作の直後に比べて大きく増加しない可能性がある。
【0065】
本発明では、メモリーセルにデータを記録するためのプログラム電流を入力した後、所定の補償電流をメモリーセルに入力することで、上記のような問題を解決することができる。以下、図13及び図14を参照して説明する。
【0066】
図13は本発明の一実施形態によるメモリー装置のプログラム動作を説明するために提供される図であり、図14は本発明の一実施形態によるメモリー装置の読み出し電圧分布を示した図である。
【0067】
先ず、図13を参照すると、本発明の一実施形態では、プログラム電流IPGMを入力した後に補償電流ICPを入力することができる。補償電流ICPはプログラム電流IPGMと反対方向に入力されることができる。一例として、プログラム電流IPGMは、メモリーセル内でスイッチ素子から情報格納素子に流れるように入力されることができ、補償電流ICPは、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように入力されることができる。
【0068】
一実施形態において、補償電流ICPは、プログラム電流IPGMによって情報格納素子が非晶質相に転移されたリセット状態のメモリーセルに入力されることができる。補償電流ICPにより、リセット状態のメモリーセルに含まれた情報格納素子が、非晶質相で迅速に安定化されることができるため、リセット状態のメモリーセルの抵抗が迅速に増加することができる。したがって、プログラム動作後に迅速にセンシングマージンを確保することができ、メモリー装置を正確に動作させることができる。
【0069】
また、一実施形態において、補償電流ICPは、リセット状態のメモリーセルの他に、プログラム電流IPGMが入力されていないセット状態のメモリーセルにも入力されることができる。セット状態のメモリーセルに入力される補償電流ICPは、スイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。したがって、補償電流ICPにより、セット状態のメモリーセルの抵抗が増加することを防止することができ、結果として、セット状態のメモリーセルとリセット状態のメモリーセルとの間のセンシングマージンを増加させることができる。
【0070】
補償電流ICPの大きさと入力時間は多様に決定されることができる。一例として、補償電流ICPの大きさ及び入力時間は、プログラム電流IPGMの大きさ及び入力時間とそれぞれ類似することができる。プログラム電流IPGMと補償電流ICPは、情報格納素子で相変化を起こし得る大きさを有する第1臨界電流より大きいことができる。
【0071】
図14はメモリーセルに所定の読み出し電流を入力して検出した読み出し電圧分布を示した図である。先ず、図14(a)を参照すると、プログラム動作が実行される前には、セット読み出し電圧分布500のみが現れることができる。プログラム電流IPGMが一部のメモリーセルに入力されると、図14(b)に示したように、セット読み出し電圧分布500とともにリセット読み出し電圧分布600を獲得することができる。セット読み出し電圧分布500は第1セット分布501を有し、リセット読み出し電圧分布600は第1リセット分布601を有することができ、第1セット分布501と第1リセット分布601との間にはセンシングマージンSMが存在することができる。
【0072】
本発明の一実施形態では、プログラム電流IPGMが入力された後、補償電流ICPをメモリーセルに入力することができる。上述のように、補償電流ICPは、リセット状態のメモリーセルにのみ入力されるか、またはリセット状態のメモリーセルとセット状態のメモリーセルの両方に入力されることができる。
【0073】
リセット状態のメモリーセルに入力される補償電流ICPは、リセット状態を有するメモリーセルの情報格納素子を非晶質相で迅速に安定化させることができる。したがって、図14(c)に示したように、補償電流ICPにより、リセット読み出し電圧分布600が第2リセット分布602まで迅速に増加して安定化されることができる。
【0074】
また、本発明の一実施形態では、セット状態のメモリーセルにもプログラム動作後に補償電流ICPが入力されることができる。セット状態のメモリーセルに入力される補償電流ICPは、セット状態を有するメモリーセルのスイッチ素子で発生するドリフト現象を除去することができる。ドリフト現象はメモリーセルの抵抗を増加させる要因となり得るため、補償電流ICPは、セット読み出し電圧分布500が第1セット分布501から増加することを最小化することができる。
【0075】
まとめると、補償電流ICPにより、セット読み出し電圧分布500の増加を最小化し、リセット読み出し電圧分布600を迅速に増加及び安定化させることができる。したがって、図14(c)に示したようにセンシングマージンSMを増加させることができ、結果として、メモリー装置の読み出し動作の正確度を改善することができる。
【0076】
本発明の多様な実施形態では、メモリーセルに動作電流を入力する前及び/または後に、メモリーセルに補償電流を入力して多様な効果を得ることができる。一実施形態において、動作電流は、メモリーセルからデータを読み出すための読み出し電流、またはメモリーセルにデータを記録するためのプログラム電流であることができる。補償電流の大きさ及び入力時間は、動作電流の大きさ及び入力時間などを考慮して多様に選択可能である。
【0077】
補償電流は、メモリーセル内で情報格納素子からスイッチ素子に流れるように、メモリーセルに入力されることができる。実施形態によって、補償電流が流れる方向は、動作電流が流れる方向と同一または異なることができる。動作電流がプログラム電流である場合、補償電流は動作電流と反対方向に流れることができる。動作電流が読み出し電流である場合、動作電流と補償電流は同一方向または異なる方向に流れることができる。
【0078】
一例として、読み出し電流の前及び/または後に入力される補償電流は、セット状態を有するメモリーセルで発生するドリフト現象、及び読み出し電流によってスイッチ素子がターンオンされて情報格納素子の一部が非晶質相に転移されるソフトプログラム現象などを補償することができる。一方、プログラム電流の後に供給される補償電流は、リセット状態のメモリーセルで情報格納素子を迅速に安定化させ、センシングマージンの確保に寄与することができる。
【0079】
図15は本発明の一実施形態によるメモリー装置を含む電子機器を簡単に示したブロック図である。図15に示した実施形態による電子機器1000は、ディスプレイ1010、入出力部1020、メモリー1030、プロセッサー1040、及びポート1050などを含むことができる。ディスプレイ1010、入出力部1020、メモリー1030、プロセッサー1040、及びポート1050などの構成要素は、バス1060を介して互いに通信することができる。上記に示した構成要素の他に、電子機器1000は、電源装置、通信部、センサー部などをさらに含むことができる。
【0080】
プロセッサー1040は、特定演算や命令語及びタスクなどを行うことができる。プロセッサー1040は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサーユニット(MCU)、またはアプリケーションプロセッサー(AP)などであることができ、バス1060を介して、ディスプレイ1010、入出力部1020、メモリー1030、ポート1050などの他の構成要素と通信することができる。
【0081】
図15に示した電子機器1000に含まれるメモリー1030は、本発明の多様な実施形態によるメモリー装置を含むことができる。一例として、メモリー1030は、図1から図14を参照して説明した多様な実施形態によるメモリー装置として実現されることができる。メモリー1030は複数のメモリーセルを含むことができ、読み出し/プログラムなどの制御動作を実行するための動作電流の入力前及び/または後に、所定の補償電流をメモリーセルに入力することができる。補償電流は、メモリーセルで発生するドリフト現象、ソフトプログラム現象などを補償するか、またはリセット状態にプログラムされたメモリーセルを迅速に安定化させ、読み出し動作に必要なセンシングマージンの確保に寄与することができる。
【0082】
本発明は、上述の実施形態及び添付図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、請求の範囲に記載された本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0083】
10 メモリー装置
20 メモリーコントローラー
30 メモリーセルアレイ
100、210 メモリーセル
220 メモリーコントローラー
300、500 セット読み出し電圧分布
400、600 リセット読み出し電圧分布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15