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  • 特許-免震構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】免震構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20220829BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20220829BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20220829BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
E04H9/02 331Z
E04H9/14
E02D27/34 B
E02D27/12 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019003499
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020111968
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100116920
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光
(72)【発明者】
【氏名】大輪 聡司
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏武
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 忠幸
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-125178(JP,A)
【文献】特開2001-164581(JP,A)
【文献】特開2001-182365(JP,A)
【文献】特開2017-222992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/16
E02D 27/10-27/18
E02D 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の基礎部の上部に免震部を設けた免震構造において、
前記基礎部は、杭頭の高さが互いに異なる第1基礎杭と第2基礎杭とを含み、
前記第2基礎杭の杭頭が地面レベルより高い位置にあり且つ前記構造物の地上1階のフロアレベルより高い位置にあ
前記免震部は、前記第1基礎杭及び前記第2基礎杭にそれぞれ支持されて、前記第1基礎杭及び前記第2基礎杭のそれぞれの杭頭の位置に設けられており
前記第1基礎杭の杭頭に設けられた前記免震部は前記地上1階のフロアレベルより低い位置に存在する、
免震構造。
【請求項2】
前記基礎部は前記第2基礎杭を複数有し、
前記第2基礎杭同士の間に水平方向に延びる補強梁が架設されている、
請求項に記載の免震構造。
【請求項3】
前記構造物は、地下階のない構造物である、
請求項1又は2に記載の免震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の免震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物の免震構造に関するものとして、例えば、特開2017-222992号公報に記載されるように、構造物の基礎部などに免震装置を設ける免震構造が知られている。この免震構造は、地上階に構築される柱の上部に免震装置を設け、地下に免震ピットを構築せずに免震化を図り、施工工数の削減を図ろうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-222992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような免震構造を有する構造物において早期に構築を行いたい場合がある。しかしながら、上述した免震構造では、地上階に免震装置を設置するために柱を構築する必要がある。このため、免震構造物の工期を短縮することが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、構造物の工期の短縮が図れる免震構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る免震構造は、構造物の基礎部の上部に免震部を設けた免震構造において、基礎部は、杭頭の高さが異なる複数の基礎杭を含み、複数の基礎杭は、杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭を含み、免震部は、複数の基礎杭に支持されて設けられている。この免震構造によれば、複数の基礎杭は杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭を含み、その基礎杭に支持されて免震部が設けられている。すなわち、地面レベルから上方に突出させて基礎杭が設けられ、その基礎杭に支持されて免震部が設けられている。このため、基礎杭の上部に柱を設けることを省略して免震部を設置することができる。従って、免震構造を有する構造物の工期短縮を図ることができる。
【0007】
また、本発明に係る免震構造において、免震部は、複数の基礎杭の杭頭の位置に設けられていてもよい。この場合、複数の基礎杭は杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭を含み、その基礎杭の杭頭の位置にも免震部が設けられている。すなわち、地面レベルから上方に突出させて基礎杭が設けられ、その基礎杭の杭頭の位置に免震部が設けられている。このため、基礎杭の上部に柱を設けることを省略して免震部を設置することができる。従って、免震構造を有する構造物の工期短縮を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係る免震構造において、複数の基礎杭は、杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭を複数有し、杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭の間に水平方向に延びる補強梁が架設されていてもよい。この場合、杭頭が地面レベルより高い位置にある基礎杭の間に水平方向に延びる補強梁が架設されることにより、基礎杭の耐力の向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る免震構造において、構造物は、地下階のない構造物であってもよい。この場合、構造物の地上階において使用しない低層階があるときに、そのような低層階において免震部を設置するための柱の構築を省略できる。従って、構造物の工期短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、免震構造を有する構造物の工期を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る免震構造の概要説明図である。
図2図1の免震構造における補強梁の説明図である。
図3図1の免震構造を用いた構造物の杭の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係る免震構造1の概要説明図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る免震構造1は、構造物10の基礎部11の上部に免震部12を設けて構成されている。構造物10は、例えば鉄筋コンクリート造の建築物であって、基礎部11、免震部12及び上部構造体15を備えている。上部構造体15は、建築物として機能する部位であり、例えば水平方向に延びる梁13と鉛直方向に延びる柱14を有している。図1では、説明の便宜上、上部構造体15として、梁13及び柱14の躯体のみを図示している。構造物10は、最下階が地上の一階であり、地下階のない建物である。構造物10の基礎部11は、構造物10の下部に設けられ、上部構造体15の荷重を地盤に伝達する部位である。基礎部11としては、例えば杭基礎が用いられる。基礎部11は、複数の基礎杭により構成され、第一杭111と第二杭112を有している。
【0015】
第一杭111と第二杭112は、杭頭の高さが異なる基礎杭であり、例えば既製杭が用いられる。なお、第一杭111と第二杭112として、場所打ち杭を用いる場合もある。第一杭111と第二杭112は、複数設けられており、図1では二つずつ示されている。なお、第一杭111と第二杭112は、構造物10の構造に応じて設けられ、それぞれ単一に設けられる場合もあるし、二つ以上設けられる場合もある。また、基礎部11は、杭頭の高さが異なる基礎杭を備えるものであれば、杭頭の高さの異なる三種類以上の杭を備えるものであってもよい。
【0016】
第二杭112の杭頭112aは、第一杭111の杭頭111aより高い位置にある。例えば、第一杭111の杭頭111aは地面レベルGLより低い位置にあり、第二杭112の杭頭112aは地面レベルGLより高い位置にある。地面レベルGLは、構造物10の構築地点における地盤レベルであって、地盤の高さを意味する。第一杭111及び第二杭112には、杭頭接合部113が設けられている。杭頭接合部113は、第一杭111の杭頭111a及び第二杭112の杭頭112aに取り付けられる。杭頭接合部113としては、例えばパイルキャップが用いられる。この杭頭接合部113は、第一杭111及び第二杭112と免震部12ないし上部構造体15とを接続する機能を担っている。杭頭接合部113は、例えば、筒状であって上面を閉塞した形状とされ、鋼製のものが用いられる。なお、ここでは、第二杭112の杭頭112aの位置は、第二杭112に取り付けられる杭頭接合部113の上端面の位置としているが、その他の位置とする場合もある。例えば、第二杭112に杭頭接合部113を取り付けない場合、第二杭112の上端面の位置を杭頭の位置としてもよい。
【0017】
第二杭112の杭頭112aは、地上階の最下階の基本のフロアレベルFLより高い位置とされる。つまり、第二杭112は、構造物10の最下階のフロアレベルFLより高い位置に突出して設けられている。なお、図1の構造物10では、地面レベルGLと地上階の最下階の基本のフロアレベルFLが同じ高さとなっている。
【0018】
第二杭112が地面レベルGL又は最下階のフロアレベルFLより高い位置に突出して設けられることにより、第二杭112が設けられるフロア領域において最下階の柱の全部又は一部の構築を省略することができる。また、第二杭112が地面レベルGL又は最下階のフロアレベルFLより高い位置に突出して設けられることにより、免震部12を設置するための地下のスペースを形成する必要がない。このため、土砂の掘削、掘削土の排出などの作業が不要となる。
【0019】
図2に示すように、第二杭112と第二杭112の間に補強梁114を架設してもよい。すなわち、構造物10のフロアから突出する第二杭112と第二杭112の間に、水平方向に延びる補強梁114を架設してもよい。補強梁114は、第二杭112において構造物10のフロアから突出する部分に接合される。補強梁114は、例えば、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の梁により構成され、杭頭接合部113と杭頭接合部113の間に架設される。補強梁114を設けることより、第二杭112と第二杭112の間が固着されて杭頭の耐力が強化される。このため、第二杭112をフロアレベルFL又は地面レベルGLから突出させても構造物10の強度が低下することを抑制することができる。また、補強梁114に加えて、耐震壁を設けてもよい。例えば、第二杭112と第二杭112の間であって補強梁114の下方に位置に耐震壁を設けてもよい。このような耐震壁を設けることにより、第二杭112が突出する領域において構造物10の強度が低下することがさらに抑制される。なお、図1において、第一杭111と第一杭111の間に補強梁114を架設してもよい。すなわち、隣り合う第一杭111の杭頭接合部113と第一杭111の杭頭接合部113と間に補強梁114を架設してもよい。補強梁114を設けることより、第一杭111と第一杭111の間が固着されて杭頭の耐力強化を図ることができる。また、図2において、杭頭接合部113以外の位置と杭頭接合部113以外の位置の間に補強梁114を架設してもよい。つまり、第二杭112において、杭頭接合部113の間の補強梁114のほかに、杭頭接合部113以外の位置(例えば第二杭112の中間位置)の間に補強梁114を架設してもよい。また、第二杭112において、杭頭接合部113の間の補強梁114に代えて、杭頭接合部113以外の位置(例えば第二杭112の中間位置)の間に補強梁114を架設してもよい。
【0020】
図1において、第二杭112のフロアレベル又は地面レベルGLからの突出長Hは、例えば構造物10の一階分の高さとしてもよいし、一階の途中の高さとしてもよい。具体的には、第二杭112の突出長Hは、800mm~6000mmとされる。このように第二杭112の突出させることにより、第二杭112を構造物10の一階分突出させることができ、また一階の途中の高さまで突出させることができる。
【0021】
構造物10において、第二杭112が突出するフロアスペースは、他の領域(第二杭112が突出してない領域)と比べてフロアレベルを高く設けられる。図1において、第二杭112が突出していないスペース16bのフロアレベルFLは、地面レベルGLと同じ高さであるが、第二杭112が突出しているスペース16aのフロアレベルFLは、地上二階のフロアレベルとなっている。この場合、第二杭112が突出する一階のスペース16aは、施設として使用されない。このため、スペース16aの内装工事は不要である。一方、第二杭112が突出していないスペース16bは、事務所、店舗、倉庫、駐車場などの施設として使用される。図1では、スペース16bが駐車場として使用される場合を例示している。なお、図1では、第二杭112が突出していないスペース16bは、上部構造体15の内部空間となっているが、上部構造体15から外側の外部空間であってもよい。
【0022】
このように、構造物10において、第二杭112を突出させてフロアレベルFLを高く設けることにより、高潮、津波、洪水などの水害、災害が生じた場合に構造物10における被害を抑制することができる。また、フロアレベルFLを高く設けることにより、構造物10を物流施設として有効利用することができる。すなわち、一階の一部を高床として設けることにより、トラックなどの貨物車両の荷台とフロア高さを合わせることができ、貨物車両における荷物の搬入、搬出を円滑に行うことが可能となる。
【0023】
構造物10において、第一杭111は、第二杭112の外側に設けられている。例えば、図3に示すように、構造物10の構築領域Rにおいて、第一杭111は、第二杭112に対し構築領域Rの外縁側に配置されている。図3では、構築領域Rの中心に第二杭112が設けられ、この第二杭112の外側に第一杭111が設けられている。このように、第一杭111及び第二杭112を設けることにより、構造物10の外側のスペースを駐車場や荷捌き場として使用することができる。つまり、構造物10の外側のスペースを車両の駐車スペースとして用いることができ、トラックなどの荷物を搬入、搬出するスペースとして用いることができる。なお、図3では、第二杭112が全て中心位置に設けられているが、第二杭112の一部が構築領域Rの外側の位置に設けられていてもよい。また、構造物10の構造によっては、図3に示す本数以外の設置数で第一杭111及び第二杭112を設けてもよい。
【0024】
図1において、基礎部11の上部には、免震部12が設けられている。すなわち、免震部12は、複数の基礎杭に支持されて設けられており、第一杭111及び第二杭112の上部に設置されている。免震部12は、構造物10の震動を抑制する部位であり、例えば積層ゴム免震、転がり免震又はすべり免震などを利用した公知の装置を用いることができる。また、オイルダンパなどを用い震動エネルギを吸収する機能を備えていてもよい。免震部12は、第一杭111及び第二杭112の杭頭111a及び杭頭112aの位置に設けられている。具体的には、免震部12は、第一杭111及び第二杭112の杭頭接合部113の天端に設置されている。この免震部12は、地震発生時などに生ずる震動が上部構造体15へ伝達されないように免震機能を発揮する。なお、図1では、免震部12が杭頭接合部113上に取り付けられているが、第一杭111及び第二杭112に杭頭接合部113が取り付けられていない場合には第一杭111及び第二杭112の天端に免震部12が取り付けられてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係る免震構造1における構造物10の施工性について説明する。
【0026】
図1において、構造物10は、最下階(図1では地上1階)において、第二杭112が地面レベルGL及びフロアレベルFLを超えて上方へ突出して設けられている。そして、第二杭112の杭頭に免震部12が設けられている。このため、構造物10の最下階において、免震部12を地面レベルGL及びフロアレベルFLの上方位置に設置する場合であっても、第二杭112が突出する領域では免震部12を設置するための柱を構築する必要がない。従って、構造物10の構築のための施工コストを低減することができる。また、構造物10の構築のための工期を短くすることができる。
【0027】
また、第二杭112が突出する領域では、免震部12が地面レベルGL及びフロアレベルFLの上方位置に設置されているため、免震部12を設置するための地下スペースを形成する必要がない。このため、地下スペースを形成するための土砂の掘削、掘削土の排出などの作業が不要である。従って、構造物10の構築のための施工コストを低減することができ、構造物10の構築のための工期を短くすることができる。
【0028】
これに対し、構造物10の最下階において、一部のフロアレベルを上げて高床構造とする場合に免震部12を全て構造物10のフロアレベルの下方に設置すると、高床構造の領域では施設として用いられない箇所においても柱を構築する必要がある。このため、構造物10の構築の施工コストが高いものとなり、構造物10の工期が長くなってしまう。また、構造物10の地下部分において、免震部12を設置するための地下スペースを形成する必要がある。このため、地下スペースを形成するための土砂の掘削、掘削土の排出などの作業が必要となる。従って、構造物10の構築のための施工コストが高くなってしまい、構造物10の構築のための工期も長くなる。そこで、本実施形態に係る免震構造1は、このような不都合を解消すべく、第二杭112を地面レベルGL又はフロアレベルFLより上方に突出させて設け、この第二杭112の上部に免震部12を設置している。これにより、免震部12の設置のための柱の構築を省略することできる。また、免震部12の設置のための地下スペースの構築を削減することができる。従って、構造物10の施工コストを低減し、構造物10の工期の短縮化が図れるのである。
【0029】
また、免震部12を地上階に設けるにあたり、地上階に構築される柱の上部に免震部12を設けることも考えられる。しかしながら、このように免震部12を設けようとすると、免震部12を設置するための柱を設ける必要がある。このため、構造物の構築の施工コストが十分に低減できず、構造物10の工期も十分に低減することができない。本実施形態に係る免震構造1は、このような不都合を解消すべく、基礎杭を地面レベルGL又はフロアレベルより上方に突出させることにより、免震部12の設置のための柱の構築を削減している。そして、構造物10の施工コストを低減し、構造物10の工期の低減を図っているのである。
【0030】
ところで、図2に示すように、免震構造1において、第二杭112の上部には補強梁114が設けられている。補強梁114は、フロアレベルから上方へ突出した第二杭112と第二杭112の間に架設され、第二杭112の耐力を強化している。このため、構造物10の柱に代えて第二杭112を用いた場合であっても、構造物10の躯体として十分に機能させることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態に係る免震構造1によれば、複数の基礎杭は地面レベルGLより高い位置に杭頭を有する第二杭112を含み、その第二杭112の杭頭の位置にも免震部12が設けられている。すなわち、地面レベルGLから上方に突出させて第二杭112が設けられ、その第二杭112の杭頭の位置に免震部12が設けられている。このため、第二杭112の上部に柱を設けることなく、免震部12を設置することができる。従って、免震部12を設置するための柱の構築を省略でき、免震構造を有する構造物10の工期短縮を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る免震構造1によれば、地面レベルGLより高い位置に杭頭を有する第二杭112と第二杭112の間に水平方向に延びる補強梁114が架設されることにより、第二杭112の耐力の向上を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態に係る免震構造1によれば、構造物10が地下階のない構造物とされる。この場合、構造物10の地上階において使用しない低層階があるときに、そのような低層階において免震部12を設置するための柱の構築を省略できる。従って、構造物10の工期短縮を図ることができる。
【0034】
以上、本発明を上述の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、図2に示すように、免震部12が第一杭111及び第二杭112の上部に設置されているが、免震部12は補強梁114上に設けられていてもよい。この場合であっても、免震部12は、補強梁114を介して複数の基礎杭に支持されて設けられている。このため、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。すなわち、第二杭112の上部に柱を設けることなく免震部12を設置することができる。従って、免震部12を設置するための柱の構築を省略して、免震構造を有する構造物10の工期短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…免震構造、10…構造物、11…基礎部、12…免震部、13…梁、14…柱、15…上部構造体、16a…スペース、16b…スペース、111…第一杭、112…第二杭、113…杭頭接合部、114…補強梁、FL…フロアレベル(基本のフロアレベル)、FL…フロアレベル(高床のフロアレベル)、R…構築領域。
図1
図2
図3