(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】水性インク印刷機において被覆基材上の画像を乾燥させるための印刷機および乾燥機
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220829BHJP
F26B 13/10 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B41J2/01 125
F26B13/10 H
B41J2/01 305
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2019038270
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム・ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】チュ-ヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-088474(JP,A)
【文献】特開2012-171228(JP,A)
【文献】特開2006-184403(JP,A)
【文献】特開2006-103230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0326890(US,A1)
【文献】特開2001-318453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41F 21/00-30/06
F26B 1/00-25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性インク印刷機であって、
基材上に水性インク画像を形成するために、少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動する前記基材上に前記水性インク滴を噴射するように構成されている、少なくとも1つの印刷ヘッドと、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して基材を移動させるための第1の基材搬送部と、
前記第1の基材搬送部から基材を受容し、前記複数の基材内の各基材を第2の基材搬送部に独立して解放する前に、前記基材上の前記水性インク画像を乾燥するために、複数の前記基材を所定の期間保持するように構成されている乾燥機であって、前記乾燥機が、前記基材の1つの端部が前記基材の反対側の端部よりも高い重力ポテンシャルである配向で各基材を保持する、乾燥機と、を備え、前記乾燥機が、
ハウジングと、
前記第1の基材搬送部の水平面に対して垂直な軸から、所定の角度範囲内で垂直に配向された複数のエンドレスベルトであって、各エンドレスベルトが、より高い重力ポテンシャルである前記エンドレスベルトの端部で枢動部材を伴って構成されている、エンドレスベルトと、を備え、各エンドレスベルトが、
第1の電気絶縁層と、
前記第1の電気絶縁層上に位置決めされた第1の導電層であって、前記第1の導電層が、電気
的接地に電気的に接続されている、第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置決めされた第2の
電気絶縁層と、
複数の導電性ストリップであって、前記導電性ストリップが、電圧供給
部に電気的に接続されることに応じて、前記
導電性ストリップの縁部で静電界が形成されることを可能に
し、
前記第1および前記第2の電気絶縁層、前記第1の導電層、及び前記複数の導電性ストリップが静電エンドレスベルトを形成する、前記第2の電気絶縁層上に所定のパターンで配置された複数の導電性ストリップと、を備え、
1対1対応で前記枢動部材に動作可能に接続された複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが
、操作された
前記アクチュエータによって枢動される前記枢動部材に関連付けられた前記エンドレスベルト上に基材を移動させることを可能にするか、また
は操作された
前記アクチュエータによって枢動される前記枢動部材に関連付けられた前記エンドレスベルト上に基材を移動させることを防止するために、前記枢動部材を選択的に枢動させるように前記アクチュエータを操作するように構成されている、コントローラと、をさらに備える、水性インク印刷機。
【請求項2】
前記所定のパターンが、前記複数の導電性ストリップ内の前記導電性ストリップの第1の群から第1の電気導体、および前記複数の導電性ストリップ内の導電性ストリップの第2の群から第2の電気導体を形成する、請求項1に記載の水性インク印刷機。
【請求項3】
前記所定のパターンが、各導電性ストリップの1つの端部で前記複数の導電性ストリップを共に電気的に接続し、前記複数の導電性ストリップ内の各導電性ストリップの反対側の端部を電気的に絶縁する、請求項1に記載の水性インク印刷機。
【請求項4】
前記乾燥機が、
前記ハウジング内の空気を所定の範囲内の温度まで加熱するための少なくとも1つのヒータをさらに備える、請求項1に記載の水性インク印刷機。
【請求項5】
前記少なくとも1つのヒータが、電磁放射体のアレイである、請求項4に記載の水性インク印刷機。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒータが、対流式ヒータである、請求項4に記載の水性インク印刷機。
【請求項7】
前記乾燥機が、
電圧を生成するように構成された電圧源と、
複数のスイッチであって、各スイッチが、1対1対応で前記静電エンドレスベルトと電気的に接続するように構成されている、複数のスイッチと、
前記複数のスイッチと動作可能に接続された前記コントローラであって、前記コントローラが、各静電エンドレスベルトを他の静電エンドレスベルトから独立して前記電圧源に接続するために、前記スイッチを操作するようにさらに構成されている、前記コントローラと、をさらに備える、請求項6に記載の水性インク印刷機。
【請求項8】
前記ハウジングが、蒸発した水分および溶剤が前記ハウジングから出ることを可能にするための通気開口部を有する、請求項4に記載の水性インク印刷機。
【請求項9】
水性インク印刷機のための乾燥機であって、前記乾燥機が、
ハウジングと、
前記ハウジング内で垂直に配向された複数のエンドレスベルトであって、各エンドレスベルトが、より高い重力ポテンシャルである前記エンドレスベルトの端部で枢動部材を伴って構成されている、エンドレスベルトであって、各エンドレスベルトが、
第1の電気絶縁層と、
前記第1の電気絶縁層上に位置決めされ、電気的接地に電気的に接続されている、第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置決めされた第2の電気絶縁層と、
複数の導電性ストリップであって、前記導電性ストリップが電圧供給部に電気的に接続されることに応じて、前記
導電性ストリップの縁部で静電界が形成されることを可能にする、前記第2の電気絶縁層上に所定のパターンで配置された複数の導電性ストリップと、を備えるエンドレスベルト、を備え、
1対1対応で前記枢動部材に動作可能に接続された複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが
、操作された
前記アクチュエータによって枢動される前記枢動部材に関連付けられた前記エンドレスベルト上に基材を移動させることを可能にするか、また
は操作された
前記アクチュエータによって枢動される前記枢動部材に関連付けられた前記エンドレスベルト上に基材を移動させることを防止するために、前記枢動部材を選択的に枢動させるように前記アクチュエータを操作するように構成されている、コントローラと、をさらに備える、乾燥機。
【請求項10】
前記所定のパターンが、前記複数の導電性ストリップ内の前記導電性ストリップの第1の群から第1の電気導体、および前記複数の導電性ストリップ内の導電性ストリップの第2の群から第2の電気導体を形成する、請求項9に記載の乾燥機。
【請求項11】
前記所定のパターンが、各導電性ストリップの1つの端部で前記複数の導電性ストリップを共に電気的に接続し、前記複数の導電性ストリップ内の各導電性ストリップの反対側の端部を電気的に絶縁する、請求項9に記載の乾燥機。
【請求項12】
前記ハウジング内の空気を所定の範囲内の温度まで加熱するための少なくとも1つのヒータをさらに備える、請求項9に記載の乾燥機。
【請求項13】
前記少なくとも1つのヒータが、電磁放射体のアレイである、請求項12に記載の乾燥機。
【請求項14】
前記少なくとも1つのヒータが、対流式ヒータである、請求項12に記載の乾燥機。
【請求項15】
前記ハウジングが、蒸発した水分および溶剤が前記ハウジングから出ることを可能にするための通気開口部を有する、請求項12に記載の乾燥機。
【請求項16】
電圧を生成するように構成された電圧源と、
複数のスイッチであって、各スイッチが、1対1対応で前記静電エンドレスベルトと電気的に接続するように構成されている、複数のスイッチと、
前記複数のスイッチと動作可能に接続された前記コントローラであって、前記コントローラが、各静電エンドレスベルトを前記他の静電エンドレスベルトから独立して前記電圧源に接続するために、前記スイッチを操作するようにさらに構成されている、コントローラと、をさらに備える、請求項15に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、水性インク印刷システムに関し、より具体的にはこのような印刷機における乾燥システムに関する。
【0002】
既知の水性インク印刷システムは、被覆されていない基材上に画像を印刷する。画像が基材上に直接印刷されるかまたは中間転写部材の周りに構成されたブランケットから転写されるかにかかわらず、一度画像を基材上におくと、インク中の水分および他の溶剤を実質的に除去して画像を基材に定着させなければならない。乾燥機は、典型的には、水分および溶剤の除去のために、ブランケットからの画像の転写の後、または画像が基材上に印刷された後に位置決めされる。印刷機の比較的高速な動作を可能にするために、乾燥機は、基材およびインクを典型的には100℃に達する温度に加熱する。被覆されていない基材は、概して、基材の表面から液体を効果的に除去するために、約500~750ミリ秒等の、比較的短時間の間、乾燥機によって生成される高温への曝露を必要とする。
【0003】
被覆基材には、水性インク画像が所望される。被覆基材は、高品質の画像パンフレットおよび雑誌の表紙に典型的に使用される。しかしながら、これらの被覆基材は、現在既知の乾燥機によって不十分な量で水分および溶剤がインク画像から除去されるので、インク画像から水分を除去することに伴う課題を悪化させる。既知の乾燥機の不適切さに対処するための1つのアプローチは、第1の乾燥機によって行われる均一な乾燥を繰り返す1つ以上の均一乾燥段を、第1の乾燥機の後に、加えることである。このアプローチは、他の均一な乾燥段を追加することによって、印刷機の設置面積が大幅に長くなり、印刷機が消費するエネルギが増加するという問題がある。また、水性インク印刷システムに均一な乾燥段を加えることは、システムの複雑さを増し、システムの信頼性に影響を与え得る。他のアプローチは、均一な乾燥段によって生成される温度を上げることであるが、しかしながら、均一乾燥段によって生成される温度には上限が存在する。ある時点で、温度は、いくつかの基材を劣化させるレベルに達し得、または基材のより高い温度が、出力された基材の積層が、印刷された文書の快適な回収にはあまりにも多くの熱を保持する結果となり得る。画像を処理する時間、印刷機の設置面積、印刷システムの複雑さ、または基材を上昇させる温度を著しく増加させることなく、被覆紙上のインク画像を効率的に処理することを可能にする乾燥デバイスおよび方法の開発が、有益であろう。
【0004】
新規の水性インク印刷システムは、目立つ付加的な複雑さ、または乾燥温度の大幅な上昇なしに、水性インク画像の効率的な乾燥を可能にする乾燥システムを含む。印刷システムは、少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して移動する基材上に水性インク滴を噴射して、基材上に水性インク画像を形成するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して基材を移動させるための第1の基材搬送部と、第1の基材搬送部から基材を受容し、複数の基材を所定の期間保持して、複数の基材内の各基材を第2の基材搬送部に独立して解放する前に、基材上の水性インク画像を乾燥させるように構成された乾燥機であって、基材の1つの端部が基材の反対側の端部よりも高い重力ポテンシャルである配向で各基材を保持する、乾燥機と、を含む。
【0005】
水性インク印刷システム用の乾燥機は、目立つ付加的な複雑さ、または乾燥温度の大幅な上昇なしに水性インク画像の効率的な乾燥を可能にする。乾燥機は、ハウジングと、ハウジング内で垂直に配向された複数のエンドレスベルトであって、各エンドレスベルトが、より高い重力ポテンシャルであるエンドレスベルトの端部で枢動部材を伴って構成されている、エンドレスベルトと、1対1対応で枢動部材に動作可能に接続された複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、コントローラが、枢動部材を選択的に枢動させるようにアクチュエータを操作して、操作されたアクチュエータによって枢動される枢動部材に関連付けられたエンドレスベルト上に基材を移動させることを可能にするか、または操作されたアクチュエータによって枢動される枢動部材に関連付けられたエンドレスベルト上に基材を移動させることを防止するように構成されている、コントローラと、を含む。
【0006】
目立つ付加的な複雑さ、または乾燥温度の大幅な上昇なしに水性インク画像の効率的な乾燥を可能にする乾燥システムを含む、水性インク印刷システムの前述の態様および他の特徴が、添付の図面と関連して、以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】印刷機内の印刷済み基材の処理を遅滞させることなく印刷済み基材が熱に暴露される滞留時間を長くする水性インク印刷システムの概略図である。
【
図1B】
図1Aの水性インク印刷システムにおける乾燥機のブロック図を例解する。
【
図2】
図1の乾燥機における第1のベイの搭載を例解する。
【
図3A】
図1の乾燥機における第2のベイの搭載を例解する。
【
図3B】
図1の乾燥機における最後のベイの搭載を例解する。
【
図4】乾燥機の第1のベイからの乾燥済みの基材の解放、および他の印刷済み基材を伴うベイの再搭載を例解する。
【
図5A】
図1に示される印刷機の各ベイに使用される静電ベルトの側面図である。
【
図5C】
図1に示される印刷機の各ベイに使用することができる静電ベルトの代替的な実施形態の上面図である。
【
図6】空気圧がベルトに抗して基材を保持することを可能にするための孔を有する搬送ベルトにより支持された基材上で水性インク画像を乾燥させることによって製造されたアーティファクトを例解する。
【
図7A】
図1のシステムのためのエンドレスベルトの代替的な実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、これまでに既知の乾燥機を印刷機に追加することから生じるエネルギ消費量および基材温度上昇なしに、被覆紙上に画像を印刷するように構成された水性印刷システム100のブロック図を図示する。システム100は、1つ以上の印刷ヘッドアレイ104を有するマーキング材料モジュール102と、乾燥機108と、出力モジュール112と、を含む。印刷ヘッドアレイ104は、基材が印刷ヘッドを通過して基材上にインク画像を形成する際、基材搬送部106によって運ばれた基材上に水性インク滴を噴射するための既知の様式でコントローラ224によって操作される。乾燥機108は、水性インク印刷システムにおける従来既知の乾燥機のように一度に1つずつではなく、同時に多くの基材を乾燥させるように、かつ被覆基材上の水性インクが基材の表面から基材の本体内に移動することを可能にする温度に、基材を加熱するように構成されている。この目的を達成するために、乾燥機108は、基材上のインク画像を接触に寛容性にするために十分な時間をかけて、基材をヒータ210によって生成された熱に曝すために、先入れ先出し(FIFO)バッファとして操作されるハウジング204内で一連の保持ベイ208として構成される。ヒータ210は、ハウジング204内に位置決めされて、ハウジング内に封入された空気を加熱し、ベイ208内に保持された基材を乾燥させる。これらのヒータ210は、赤外線(IR)放射体、マイクロ波放射体、または対流式ヒータ等のより一般的なヒータ等、様々なタイプの電磁放射線の放射体のアレイであり得る。乾燥機108の保持ベイ208は、所定の順序で印刷済み基材を受容し、次いで、印刷済み基材を所定の順序で基材搬送部240に解放し、さらなる処理のために基材を出力モジュール112に供給する。出力モジュール処理の後、基材は、基材搬送部244によって出力トレイ114に運ばれる。基材が乾燥機108内に保持されている間の熱への曝露時間は、基材の温度を、基材中の溶剤の粘度を低下させ、それによって、溶剤が基材の表面から基材の本体内へ移動するようなレベルまで上昇させることを可能にする。このため、インク画像は、紙の品質を低下させる可能性がある温度に基材を曝すことなく、接触に寛容性になる。次いで、基材は、ユーザが取り扱うことができる温度で出力トレイ114に積み重ねられ得る。図において、6つの保持ベイが示されているが、より少ないまたはより多いベイを設けることもある。
【0009】
ハウジング204内の単一の保持ベイ208の構成部品は、
図1Bに図示される。各ベイ208は、処理方向において乾燥機108の長さを短くするために、処理方向に対してある角度で配向される。この角度配向は、この文書において垂直に配向されていると記載されているが、エンドレスベルト212は、基材搬送部106または基材搬送部240に対して平行な平面に対して垂直ではない。このため、本文書内で使用されるように「垂直に配向された」は、基材が載っているベルトの長さが、より低い重力ポテンシャルであるエンドレスベルトの反対側の端部よりもより高い重力ポテンシャルである1つの端部を有するように配向されたエンドレスベルトを意味する。本文書内で意味される際の垂直に配向されるように、エンドレスベルトは、
図1Aに図示されるように、基材搬送部106の平面に対して垂直である軸の45度以内のいずれかの側面である。各ベイ208は、ローラ228を中心に回転する静電エンドレスベルト212を含み、そのうちの少なくとも1つは、アクチュエータ232によって駆動されて、ローラ228を中心にエンドレスベルトを回転させる。各アクチュエータ232は、コントローラ224に動作可能に接続されているので、コントローラは、アクチュエータ232を選択的に操作して、互いに独立してローラ228を中心にエンドレスベルト212の回転を開始および停止させることができる。静電エンドレスベルト212の構造は、以下でより詳細に考察される。各ベイ208のベルト212は、ベルト212がベルト212に抗してベイ内に基材を保持する静電界を生成するように、コントローラ224によって操作されるスイッチ230を通じて電圧源218に電気的に接続される。搬送部106に最も近い各ベイ208の端部で、クロスプロセス方向に乾燥機108を通る経路の幅を横切って離間配置された枢動部材216がある。各ベイは、そのベイ用の枢動部材216に動作可能に接続された関連アクチュエータ220を有する。コントローラ224は、各アクチュエータ220に動作可能に接続されて、枢動部材216を回転させるようにアクチュエータ220を操作して、ベイ208への入り口を選択的に開閉する。センサ236は、枢動部材216が位置付けられるベイの端部と反対側のベイ208の1つの端部に位置決めされる。センサ236は、検出されている基材の前縁部を示す信号を生成するように構成され、コントローラ224は、センサ236に動作可能に接続されて、検出されている基材の前縁部に応じてローラ228を中心にエンドレスベルト212の回転を停止するようにアクチュエータ232を非作動にし、そのため基材がベイ208に残る。
【0010】
例解目的のために簡略化されており、
図1Aおよび
図1Bを参照して見られるべきである、
図2に示されるように、基材124は、マーキングモジュール102を出て、乾燥機108に入る。コントローラ224は、マーキングモジュール102に最も近いベイ208用のアクチュエータ220を操作し、そのため枢動部材216が、エンドレスベルト212に直接隣接する位置に回転して、ベイへのアクセスを提供する。付加的に、コントローラ224は、エンドレスベルト212をローラ228を中心に回転させるために、マーキングモジュールに最も近いベイ208内のエンドレスベルト212のためのローラ228のうちの1つを駆動させるようにアクチュエータ232を操作して、一方でまた電圧源218からエンドレスベルト212に電圧を適用するようにスイッチ230を操作する。乾燥機108に入る基材124は、エンドレスベルト212およびマーキングモジュールに最も近いベイの入り口へのベルト212の回転によって生成された静電引力によって引き込まれる。ベルトは、基材の前縁部がベイの入口と反対側のベイの端部近くの位置に達するまで回転し続け、その時点でセンサ236は、基材がベイ内に完全に入っていることを示す信号を生成し、コントローラ224がベルト212の回転を停止させるようにアクチュエータ232を非作動にする。コントローラ224はまた、マーキングモジュール102に最も近いベイ208用の枢動部材216の回転を逆転させるようにアクチュエータ220を操作して、マーキングモジュールに最も近いベイ208へのアクセスを遮断する。
【0011】
例解目的のために簡略化されており、
図1Aおよび
図1Bを参照して見られる、
図3Aに示されるように、第2の基材は、マーキングモジュール102を出て、乾燥機108に入る。コントローラ224は、マーキングモジュール102に次に最も近いベイ208用のアクチュエータ220を操作し、そのためそのベイ用の枢動部材216が、ベイへのアクセスを提供する位置に回転し、一方でマーキングモジュール102に最も近いベイ208用の枢動部材はそのベイへのアクセスを遮断し続ける。付加的に、コントローラ224は、エンドレスベルト212をローラ228を中心に回転させるために、マーキングモジュール102に次に最も近いベイ208内のエンドレスベルト212のためのアクチュエータ232を操作し、一方でまたそのベイ内のエンドレスベルト212に電圧を適用するようにスイッチ230を操作する。乾燥機108に入る基材は、マーキングモジュール102に最も近いベイ208へのアクセスを遮断する枢動部材216の上を通過し、そのため基材の前縁部は次に近いベイ208への入口に達し、エンドレスベルト212およびそのベイへのベルトの回転によって生成された静電引力によって引き込まれる。ベルトは、基材の前縁部がベイの入口と反対側のベイの端部近くの位置に達するまで回転し続け、その時点でセンサ236は、基材がベイ内に完全に入っていることを示す信号を生成し、コントローラ224がベルト212の回転を停止させるようにアクチュエータ232を非作動にする。コントローラ224はまた、マーキングモジュール102に次に最も近いベイ208用の枢動部材216の回転を逆転させるようにアクチュエータ220を操作して、そのベイへのアクセスを遮断する。コントローラ224は、
図3Bに示されるように、各ベイが、対応する各ベイ内のエンドレスベルト216に取り付けられた無印刷の側面を有する印刷済み基材を収容するまで、同様の様式で、連続する各ベイに対してアクチュエータ228および220を操作し続ける。
【0012】
例解目的のために簡略化されており、
図1Aおよび
図1Bを参照して見られるべきである、
図4に示されるように、コントローラ224は、マーキングモジュール102に最も近いベイ208において電圧源218をエンドレスベルト212に接続するスイッチ230を非作動にすることによって、マーキングモジュール102から最も離れたベイ208内のセンサ236からの信号に応答し、ローラ228を中心にエンドレスベルト212の回転を再開するようにアクチュエータ228を作動させる。この動作は、基材がベイ208を出て、基材搬送部240によって受容される際、基材をエンドレスベルト212から分離することを可能にする。基材の後部分がマーキングモジュールに最も近いベイ208を離れる際、コントローラ224は、マーキングモジュール102に最も近いベイ208用の枢動部材216を回転するようにアクチュエータ220を操作して、そのベイの入り口を開放し、一方でまた、そのベイ内のエンドレスベルト212を電圧源218に再接続するようにスイッチ230を作動させる。このため、乾燥機108に入る次の基材は、搬送部240が搬送部106に最も近いベイから出た基材124を出力モジュール112内の搬送部244に運搬する際、マーキングモジュール102に最も近いベイ208に転用される。連続する各ベイについて、コントローラ224は、ベイから基材12を排出し、次に入る基材のためのベイへの入口を開放するように、アクチュエータ220、228、およびスイッチ230を操作する。このため、乾燥機108に入る各基材は、その全期間にわたって基材を搬送する必要なしに、同じ期間にわたって乾燥機によって熱に曝される。
【0013】
エンドレスベルト216の構造の側面図が、
図5Aにおいてより詳細に示される。エンドレスベルト212は、Mylar等の電気絶縁材料404の平面層を有し、その上に層404とほぼ同一のサイズの導電性材料408の平面層が敷設される。この導電層408は、電気的接地に接続されて、エンドレスベルト212の接地面を形成する。導電層408とほぼ同一のサイズの電気絶縁材料412の別の平面層が、層408上に敷設される。導電性材料の交互ストリップ416が、層412上に敷設される。
図5Aの側面図において、これらのストリップ416は、材料の平面のようである。
図5Bに示されるエンドレスベルト212の上面図により、ストリップ416は、端部ストリップによって共に接続された端部を除いて、互いにストリップを間隔を空けて分離している配置で構成されていることが明らかである。
図5Bに示されるように、ストリップ416A、416B、および416Cは、1つの電気導体を形成するために端部ストリップ416Dによって接続され、一方でストリップ416Eおよび416Fは、第2の電気導体を形成するために端部ストリップ416Gによって接続される。この配置は、2つの導体が約500V~約1500Vの範囲内の電圧源に電気的に接続されたとき、より強い静電力の形成を援助するために、電気絶縁材料412のバンド420を曝し、導体の密度を高める。電界は、導体の端部で生成され、電界は、導体に印加された電圧に比例する。電気絶縁材料の付加的な層は、導体を互いから、およびベイ内の環境から絶縁するために、導電ストリップの上に位置決めすることができる。一実施形態において、導電ストリップは、5mm幅であり、ストリップ間のギャップは、5mmである。エンドレスベルト216の代替的な実施形態が、
図5Cに示される。この実施形態において、全ての導電ストリップ416は、電気絶縁材料のバンド420を曝すためにベルトの片側だけに沿って延びる導電性ストリップ424によって電気的に接続される。
【0014】
ベイ208を有する乾燥機108の別の利点は、基材の乾燥差の排除である。従来既知の乾燥機による基材の乾燥差は、水平な基材が乾燥機を通り抜ける際にそれらを支持する搬送ベルト内の孔によって引き起こされる。搬送ベルトは、負の空気圧源とベルトによって運ばれる基材との間に位置決めされ、それによって、空気は基材および孔を通して負の空気圧によって引き込まれ、基材を搬送ベルトに抗して保持する助けとなる圧力を生成し得る。搬送ベルトの孔と整列する基材の部分を通る空気流は、それらの部分を搬送ベルトの中実領域に当たる領域よりも低温に保つ。これらのより低温の領域は、中実ベルト領域に隣接するより高温の領域ほど多くの水分および溶剤を蒸発させない。この温度差が、
図6内に矢印で示されるように、インク画像内にアーティファクトを生成する。各静電エンドレスベルトによって生成された静電引力で各ベイ内に基材を保持することによって、ベルト孔が排除され、乾燥機108が、基材表面にわたってより均一な乾燥を提供し、それによって乾燥差によって引き起こされたアーティファクトが生成されない。
【0015】
上記に記載された実施形態は、各ベイ内で基材を保持するために、各ベイ内に静電エンドレスベルトを使用している。代替的な実施形態が、
図7Aおよび
図7Bに示される。
図7Aにおいて、エンドレスベルト704の側面図が、基材の前縁部を保持するためにベルトの幅を横切るクロス部材708を有して図示される。
図7Bの正面図は、ベルト704の表面を横切るクロス部材708の延伸部を示す。エンドレスベルトが、所定の熱暴露時間への到達に応じて回転する際、クロス部材は、
図7A内の矢印によって示されるように、エンドレスベルトの後側に運ばれ、基材は、ベイから第2の搬送部240(例えば、
図2)に離される。