(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】画像せん断によるデジタル画像と用紙の位置合わせエラー補正
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20220829BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2019052394
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】チュ-ヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンビル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・マシュー・ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087557(JP,A)
【文献】特開2017-087432(JP,A)
【文献】特開2017-071065(JP,A)
【文献】特開2007-050601(JP,A)
【文献】特開2000-238259(JP,A)
【文献】特開2012-206323(JP,A)
【文献】米国特許第08363261(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0061786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像と用紙の位置合わせエラーを補正する方法であって、
プロセッサによって、印刷デバイスの位置合わせシステムを通過する用紙の位置ずれ量を検出することと、
前記プロセッサによって、前記位置ずれ量が所定の閾値より大きいことを判定することと、
前記プロセッサによって、前記用紙上に印刷されるデジタル画像に、欠落ジェット
処理が前記デジタル画像に適用される前に交差処理方向画像せん断を適用することであって、
前記交差処理方向画像せん断が交差処理方向に第1の数の垂直走査線をシフトさせ、前記垂直走査線の数が前記位置ずれ量に基づく、適用することと、
前記プロセッサによって、前記デジタル画像に、前記交差処理
方向画像せん断が適用された後で前記欠落ジェット処理を適用することと、
前記プロセッサによって、第2の数の水平走査線に、前記交差処理方向の前記第1の数の垂直走査線を含む処理方向で処理方向
画像せん断を適用することであって、前記第2の数の水平走査線が前記位置ずれ量の関数に基づいている、適用することと、
前記プロセッサによって、前記交差処理方向画像せん断、前記欠落ジェット処理、および適用される前記処理方向画像せん断を用いて、前記デジタル画像を前記用紙に印刷するように、前記印刷デバイスの複数のプリントヘッドを制御することと、を含み、
前記関数が、前記デジタル画像の解像度と、前記デジタル画像の幅と、前記位置ずれ量とを掛けたものを含む、方法。
【請求項2】
前記交差処理方向画像せん断が、単純ステップピクセルシフトまたは段階的ピクセルシフトで前記第1の数の走査線に適用される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、印刷デバイスにおける位置合わせエラーに関し、より詳細には、画像せん断を行って、デジタル画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための方法および装置に関する。
【0002】
印刷デバイスは、印刷媒体上に画像を印刷するために使用することができる。印刷媒体は、画像を印刷させるために、搬送経路および画像形成経路に沿って印刷デバイスを通って供給され得る。搬送経路および画像形成経路に沿って、印刷媒体に対する画像のミスアライメントを引き起こす処理エラーが発生する可能性のある特定の場所がある。
【0003】
例えば、印刷デバイスは位置合わせシステムを有することができる。位置合わせシステムは、印刷画像が印刷媒体と正しく位置合わせされるように印刷媒体を画像形成システムに正しく供給することを担当してもよい。印刷媒体のサイズおよび重量がますます大きくなるにつれて、現在設計されている位置合わせシステムがより大きな印刷媒体を扱うことがますます困難になる可能性がある。
【0004】
本明細書に示す態様によれば、画像せん断を適用して、デジタル画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための方法、非一時的コンピュータ可読媒体、および装置が提供される。実施形態の1つの開示された特徴は、印刷デバイスのプロセッサによって行われ、印刷デバイスの位置合わせシステムを通って移動する用紙の位置ずれ量を検出し、位置ずれ量が所定の閾値より大きいと判定し、用紙に印刷されることとなるデジタル画像に画像せん断を適用し、印刷デバイスの複数のプリントヘッドを制御し、適用された画像せん断を用いてデジタル画像を用紙に印刷する方法である。
【0005】
実施形態の別の開示された特徴は、複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、複数の命令は、プロセッサによって実行されたときに、印刷デバイスの位置合わせシステムを通って移動する用紙の位置ずれ量を検出し、位置ずれ量が所定の閾値より大きいと判定し、用紙に印刷されることとなるデジタル画像に画像せん断を適用し、適用された画像せん断を用いてデジタル画像を用紙に印刷するよう印刷デバイスの複数のプリントヘッドを制御する動作をプロセッサに行わせる命令を含んでいる。
【0006】
実施形態の別の開示された特徴は、プロセッサと、複数の命令を記憶するコンピュータ可読媒体とを含む装置であって、複数の命令は、プロセッサによって実行されたときに、印刷デバイスの位置合わせシステムを通って移動する用紙の位置ずれ量を検出し、位置ずれ量が所定の閾値より大きいと判定し、用紙に印刷されることとなるデジタル画像に画像せん断を適用し、適用された画像せん断を用いてデジタル画像を用紙に印刷するよう印刷デバイスの複数のプリントヘッドを制御する動作をプロセッサに行わせる命令を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の印刷デバイス例のブロック図を示す。
【
図2】本開示のデジタル画像と用紙の位置合わせエラーの一例を示す。
【
図4】画像せん断を適用してデジタル画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための本開示の例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図5】本明細書に記載の機能を行う際に使用するのに適した例示的なコンピュータのハイレベルブロック図を示す。
【0008】
本開示は、画像せん断によってデジタル画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための方法および装置に関する。上述のように、印刷デバイスは位置合わせシステムを有することができる。位置合わせシステムは、印刷画像が印刷媒体と正しく位置合わせされるように印刷媒体を画像形成システムに正しく供給することを担当してもよい。印刷媒体のサイズおよび重量がますます大きくなるにつれて、現在設計されている位置合わせシステムがより大きな印刷媒体を扱うことがますます困難になる可能性がある。
【0009】
いくつかのシステムは、用紙を機械的に動かして画像経路に適切に位置合わせすることによって位置合わせエラーを取り除くことを試みる。例えば、システムは、印刷画像が印刷媒体と位置合わせするように印刷媒体を回転させて位置ずれを除去することができる。言い換えれば、位置合わせは、印刷画像の境界または端部が印刷媒体の端部と平行であると定義することができる。
【0010】
機械的な解決策では、適切に処理できる用紙の長さまたはサイズに制限がある。さらに、印刷デバイスが様々な異なるサイズの印刷媒体を取り扱わなければならない可能性がある特定のシナリオでは、機械的解決策は適切ではない可能性がある。
【0011】
本開示の実施形態は、デジタル画像と用紙の位置合わせエラーを補正するために画像せん断を使用する。言い換えれば、印刷媒体を機械的に調整するのではなく、本開示は、画像経路を通過するときにずれている可能性がある印刷媒体上の印刷画像を調整するためにデジタル解決策を適用する。一実施形態では、位置合わせエラーを補正するための機械的解決策に加えて、本開示のデジタル解決策を適用することができる。
【0012】
図1は、本開示の例示的な印刷デバイス100のブロック図を示す。印刷デバイス100は、多機能デバイス(MFD)、コピー機、レーザプリンタ、インクジェットプリンタなどの任意の種類の印刷デバイスとすることができる。
【0013】
一実施形態では、印刷デバイス100は、位置合わせシステム102、デジタルフロントエンド(DFE)104、および印刷システム106を含み得る。印刷デバイス100は、
図1において説明を容易にするために簡略化されており、示されていない追加の構成要素/システムを含むことができることに留意されたい。例えば、印刷デバイス100はまた、供給トレイ、仕上げモジュール、搬送経路構成要素、両面復路などを含むことができる。
【0014】
一実施形態では、位置合わせシステム102は少なくとも1つのセンサ108を含み得る。センサ108は、電荷結合素子(CCD)センサ、容量センサ、ビデオカメラセンサなどであり得る。センサ108は、印刷のために位置合わせシステム102に入る用紙の位置を検出することができる。一実施形態では、位置は、用紙の位置ずれ量を指すことがある。位置ずれ量は、処理方向に対するミスアライメント角度として定義されてもよい。用紙がずれていると、デジタル画像の印刷中に画像と用紙の位置合わせエラーが発生することがある。
【0015】
図2は、画像と用紙の位置合わせエラーの一例を示す。例えば、用紙202は、処理方向208において、印刷システム106に向かって位置合わせシステム102を離れるときに位置ずれすることがある。
図2は、処理方向208に対する位置ずれ量を測定する位置ずれ角度228を示す。一例では、位置ずれ角228はミリラジアンで測定されてもよい。
【0016】
一実施形態では、用紙202が傾いていると、用紙202上に印刷されているデジタル画像204および206が用紙202と位置ずれになり、画像と用紙の位置合わせエラーを引き起こす可能性がある。場合によっては、画像と用紙の位置合わせエラーが目立たないこともある。しかしながら、用紙202の位置ずれが十分に大きい場合には、画像と用紙の位置合わせエラーは目立つことがあり得る。
【0017】
例えば、
図2において、画像204および206の端部212は、用紙202の端部210と平行ではない場合がある。さらに、画像204および206の端部214は、用紙202の端部216と平行でない場合がある。言い換えれば、用紙202の右側の端部212と210との間の距離218は、用紙202の左側の端部212と210との間の距離220より小さい場合があり、逆もまた同様である。さらに、用紙202の頂部における端部214と216との間の距離222は、用紙202の底部における端部214と216との間の距離224よりも大きい場合があり、逆もまた同様である。
【0018】
上述のように、いくつかの印刷デバイスは、用紙202の位置合わせを制御するために機械的設計を介して画像と用紙の位置合わせエラーを補正しようと試みる。しかしながら、機械的な解決策は、効率的ではなく、十分に速くない可能性があり、または用紙202が大きすぎるかまたは長すぎる場合は、画像と用紙の位置合わせエラーを補正することができない可能性がある。しかしながら、本開示は、デジタル画像204および/または206にデジタル補正を適用して、DFE104内の様々なモジュールを使用して画像と用紙の位置合わせエラーを補正する。
【0019】
図1に戻って参照すると、一実施形態において、DFE104は、プロセッサ110、メモリ112、せん断前モジュール114、画像せん断モジュール116、およびせん断後モジュール118を含み得る。一実施形態では、プロセッサ110は、印刷システム106内のセンサ108、メモリ112、せん断前モジュール114、画像せん断モジュール116、せん断後モジュール118、およびプリントヘッド120に連結することができる。
【0020】
プロセッサ110は、センサ108によって検出された位置ずれ量を受け取ることができる。プロセッサ110は、検出された位置ずれ量に基づいて画像と用紙の位置合わせエラーを補正するために、せん断前モジュール114、画像せん断モジュール116、せん断後モジュール118、およびプリントヘッド120の動作を制御することができる。プロセッサ110は、メモリ112に記憶されている命令を実行することができる。メモリ112はまた、以下でさらに詳細に説明するように、画像せん断処理中にピクセルおよび走査線情報を一時的に記憶するためのバッファとして使用することもできる。
【0021】
一実施形態では、せん断前モジュール114は、デジタル画像(例えば、デジタル画像204および/または206)に対して様々なせん断前処理を行うことができる。せん断前モジュール114は、縁の太り(edge growth)、線幅制御、色補正などの動作を行うためにプロセッサ110によって実行される異なる構成要素または命令を含むことができる。言い換えれば、せん断前モジュール114は
図1では単一のブロックとして示されているが、せん断前モジュール114は、それぞれ異なるせん断前処理を行う複数の異なるモジュールまたは構成要素から構成されてもよい。
【0022】
一実施形態では、画像せん断モジュール114は、デジタル画像に画像せん断を適用するための動作を行うためにプロセッサ110によって実行される命令を含むことができる。画像せん断は、処理方向、交差処理方向、または処理と交差処理方向の両方に適用することができる。
【0023】
一実施形態では、画像せん断は、用紙の位置ずれ量を補償する方向にデジタル画像を徐々にシフトさせるために、走査線またはピクセルブロックをシフトさせることを含み得る。言い換えれば、用紙がインボード方向に1.0ミリラジアンだけずれている場合、画像せん断は、デジタル画像と用紙の端部が平行または位置合わせするように、デジタル画像をインボード方向に1.0ミリラジアンずつ段階的にシフトさせようとし得る。
【0024】
いくつかの例では、画像せん断が交差処理方向にのみ適用されるとき、横方向の端部(例えば、用紙202の端部210とデジタル画像204および206の端部212)を補正することができる。しかしながら、前側端部および後側端部(例えば、用紙202の端部216ならびにデジタル画像204および206の端部214)は、ミスアライメントのままである可能性がある。言い換えると、画像せん断を適用することは、印刷されるデジタル画像と用紙との間の位置合わせを補正するために画像を単に回転させることと同じではない。
【0025】
上述したように、画像せん断は交差処理方向に適用することができる。一実施形態では、交差処理方向における画像せん断は、1ピクセルサイズだけ位置ずれ方向に垂直走査線の数をシフトさせることができる。一実施形態では、垂直走査線の数は位置ずれ量に基づき得る。例えば、位置ずれ量が0.5ミリラジアンであるとセンサ108によって検出された場合、2,000垂直走査線ブロック毎に1ピクセルずつ位置ずれ方向にシフトすることができる。一実施形態では、垂直走査線は、単純工程ピクセルシフトでシフトされてもよく、または段階的にシフトされてもよい。
【0026】
図3は、交差処理方向画像せん断の例を示している。
図3において、元のデジタル画像302は、垂直走査線310
1~310
n(本明細書では個別に垂直走査線310とも呼ばれ、または集合的に複数の垂直走査線310とも呼ばれる)および水平走査線314
1~314
m(本明細書では個別に水平走査線314とも呼ばれ、または集合的に複数の水平走査線314とも呼ばれる)を有してもよい。各垂直走査線は、312
1~312
mのピクセル(本明細書では個別にピクセル312と呼ばれ、または集合的に、複数のピクセル312とも呼ばれる)で構成されてもよい。
【0027】
図3は、任意の数の垂直走査線310、水平走査線314、およびピクセル312を有する元のデジタル画像302を示すことを意図していることに留意されたい。したがって、元の画像302は8×8ピクセルブロックからなるように見えるが、それはそのように限定されないことに留意されたい。加えて、本明細書に記載されたいかなる数値例も、
図3に示されるような8×8ピクセルブロックを必ずしも反映することを意図するものではない。
【0028】
一実施形態では、単純工程のピクセルシフト304は、単一ステップにおける位置ずれ量に基づいて垂直走査線の数をシフトすることを含み得る。例えば、
図3に示されるように、単純工程ピクセルシフト304は、一度に4つの垂直走査線を1ピクセルサイズだけシフトすることができる。したがって垂直走査線310
1~310
4は、単一のステップで一緒にシフトさせてもよい。
【0029】
一実施形態では、段階的ピクセルシフト306は、画像せん断が目立たなくなるように垂直走査線の数を段階的にシフトすることを含み得る。例えば、垂直走査線3101は、フルピクセルサイズだけシフトされてもよい。垂直走査線3102は、ピクセルサイズの4分の3だけシフトされてもよい。垂直走査線3103は、ピクセルサイズの半分だけシフトされてもよい。垂直走査線3104は、ピクセルサイズの4分の1だけシフトされてもよく、以下同様である。一実施形態では、シフト量は、位置ずれ量に基づいてシフトされるピクセル312のサイズを垂直走査線の数で除算したものとすることができる。
【0030】
一実施形態では、画像せん断モジュール116が単純工程ピクセルシフト304を適用するのか、または段階的ピクセルシフト306を適用するのかは、事前に決定され得る。一実施形態では、適用されるピクセルシフトの種類は、印刷解像度およびデジタル画像経路に沿ったデジタル画像処理の特定の段階(例えば、ハーフトーン/2値画像処理経路またはコントーン画像経路)に基づいてもよい。例えば、高解像度プリンタの場合は単純工程ピクセルシフト304を適用することができ、低解像度プリンタの場合は段階的ピクセルシフト306を適用することができる。さらに、単純工程ピクセルシフト304は、ハーフトーンまたはコントーン画像処理のいずれにも適用することができるが、段階的ピクセルシフト306は、コントーン印刷にのみ適用することができる。
【0031】
単純工程ピクセルシフト304は、段階的ピクセルシフト306よりも速く、メモリおよび処理リソースをより少なく消費することができる。しかしながら、単純工程ピクセルシフト304は、段階的ピクセルシフト306よりも目立つことがある。シフトされる垂直走査線の数は、センサ108によって検出される位置ずれ量に応じて可変であり得る。
【0032】
一実施形態では、せん断後モジュール118は、画像せん断が交差処理方向に適用された後に、欠落ジェット処理をデジタル画像に適用することができる。欠落ジェット処理は、欠落ジェットを補償するためにいくつかの印刷デバイス(例えば、インクジェットプリンタ)に適用されるプロセスであり得る。
【0033】
例えば、インクジェットプリンタが1インチ当たり1,000ドットで印刷する場合、インクジェットプリンタは、交差処理方向に沿ってそれぞれの位置にインクドットを落下させる1インチ当たり1,000個のインクジェットを有し得る。インクジェットプリンタは、インクジェットが特定の位置で発射されていないかどうかを検出することができる(例えば、インクジェットが詰まっている可能性がある)。例えば、交差処理方向のインクジェット番号97が発射されていないことをインクジェットプリンタが検出した場合、インクジェットプリンタは、隣接するインクジェット(例えば、インクジェット番号96および98)を介して追加のインクを分配し、インクジェット番号97からの欠落ドットを補償することができる。
【0034】
しかしながら、画像せん断がデジタル画像に適用される前に欠落ジェット処理がデジタル画像に適用される場合、欠落ジェット処理は、上述のように、垂直走査線310のシフトに起因して誤った位置で補償する可能性がある。したがって、本開示は、欠落ジェット処理が適用される前に交差処理方向の画像せん断が適用されることを確実にする。
【0035】
一実施形態では、せん断後モジュール118はまた、処理方向に画像せん断を適用してもよい。しかしながら、処理方向の画像せん断も、画像せん断モジュール116によって実行されてもよいことに留意されたい。
【0036】
一実施形態では、処理方向の画像せん断は任意であり得る。一実施形態では、処理方向の画像せん断は、処理方向の画像と用紙の位置合わせエラーを調整するために、処理方向の水平走査線314の数をシフトさせることができる。言い換えれば、処理方向における画像せん断は、
図2に示すように、デジタル画像204および206の端部214を用紙202の端部216に位置合わせすることができる。
【0037】
一実施形態では、シフトされる水平走査線314の数は位置ずれ量の関数であり得る。一例では、関数は、解像度と用紙幅と位置ずれ量を掛けたもので構成されもよい。例えば、幅14インチの用紙に対して1インチ当たり1,200ドットの解像度で1ミリラジアン(1/1,000ラジアン)の場合、画像幅を横切って約17ピクセルの合計シフトを適用することができる。
【0038】
一例では、処理方向における画像せん断は、ピクセル312の「ブロック」をシフトさせることがある。一実施形態では、ブロックサイズは位置ずれ量の逆数であり得る。1ミリラジアンの上記の例を使用すると、1/1,000ラジアンの逆数は1,000ピクセルになる。結果として、処理方向に14インチの幅を横切って17ピクセルの合計せん断量を達成するために、1,000ピクセルの各ブロックを1ピクセルずつシフトする必要がある。言い換えれば、処理方向の画像せん断は、処理交差方向の垂直走査線の数および処理方向の水平走査線の数を含むことができる。
【0039】
図1に戻って参照すると、一実施形態では、位置ずれ量が所定の閾値よりも大きい場合、画像せん断モジュール116および/またはせん断後モジュール118が起動され得る。例えば、多少のずれは目立たない場合がある。一例では、所定の閾値は、0.1ミリラジアンの位置ずれ、0.5ミリラジアンの位置ずれ、1ミリラジアンの位置ずれなどであり得る。センサ108によって検出された位置ずれ量は、所定の閾値と比較することができる。位置ずれ量が所定の閾値よりも大きい場合、プロセッサ110は画像せん断モジュール116および/またはせん断後モジュール118を実行してもよい。
【0040】
一実施形態では、印刷システム106はプリントヘッド120を含み得る。プリントヘッド120は、インクジェットプリントヘッド、トナーベースの画像形成/現像サブシステムなどであり得る。プリントヘッド120は、用紙202上にデジタル画像204および206を印刷するために任意の印刷流体を分配することができる。一実施形態では、画像せん断をデジタル画像に適用した後、プロセッサ110は、用紙202上に画像せん断を適用してデジタル画像204および206を印刷するように印刷システム106内のプリントヘッド120を制御することができる。結果として、デジタル画像204および206は、用紙202と適切に位置合わせされ得、そして画像と用紙の位置合わせエラーは、除去されるかまたは排除され得る。
【0041】
したがって、本開示の印刷デバイス100は、用紙202の位置を調整するために機械的な解決策を使用するのではなく、画像せん断を適用することによって画像と用紙の位置合わせエラーを補正することができる。本開示は、画像と用紙の位置合わせエラーに対してより効率的な補正を提供することができる。
【0042】
図4は、画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための例示的な方法400のフローチャートを示す。一実施形態では、方法400の1つ以上のステップまたは動作は、印刷デバイス100、または
図5に示され以下に説明されるようなコンピュータ/プロセッサによって行われてもよい。
【0043】
ブロック402において、方法400が開始する。ブロック404において、方法400は、印刷デバイスの位置合わせシステムを通過する用紙の位置ずれ量を検出する。一実施形態では、位置ずれ量は位置合わせシステム内のセンサによって検出することができる。例えば、センサは、用紙の前側端部の両側が同時にセンサと交差するかどうかを検出することができる。前側端部の反対側がセンサと異なる時間に交差する場合、センサは、前側端部の両側がセンサと交差した時間の差に基づいて、ミリラジアン単位で位置ずれ量を計算することができる。
【0044】
ブロック406において、方法400は、位置ずれ量が所定の閾値より大きいと判定する。位置ずれ量はプロセッサに送信されてもよく、次いでプロセッサは位置ずれ量を所定の閾値と比較し得る。位置ずれ量が所定の閾値以上である場合、用紙に印刷されるデジタル画像に画像せん断を適用することができる。
【0045】
ブロック408において、方法400は、用紙に印刷されるデジタル画像に画像せん断を適用する。一実施形態では、上述のように、画像せん断は交差処理方向に適用することができる。適用可能であれば、欠落ジェット処理が適用される前に、交差処理方向の画像せん断が適用されることに留意されたい。
【0046】
一実施形態では、上述のように、画像せん断を処理方向にも適用することができる。適用可能であれば、処理方向の画像せん断は、欠落ジェット処理が適用される前または後に適用することができる。
【0047】
任意選択のブロック410において、方法400は、画像せん断が適用された後に欠落ジェット処理をデジタル画像に適用する。上述のように、欠落ジェット処理は、インクジェットプリンタにおいて発射に失敗したインクジェットを補償することができる。欠落ジェット処理が適用される場合は、交差処理方向の画像せん断が適用された後にのみ適用されてもよい。上記のように、いくつかの実施形態では、欠落ジェット処理が適用された後に、処理方向の画像せん断を適用することができる。
【0048】
ブロック412において、方法400は、印刷デバイスの複数のプリントヘッドを制御して、適用された画像せん断を用いてデジタル画像を用紙に印刷する。例えば、プリントヘッドは、処理されたデジタル画像に従って、適用された画像せん断を用いてインクを分配することができる。その結果、デジタル画像は、少なくともデジタル画像の横方向の端部と用紙とが位置合わせするか、または平行になるように印刷することができる。
【0049】
言い換えれば、画像せん断が処理方向に適用されていない場合、デジタル画像の前側端部および後側端部は、用紙の前側端部および後側端部と位置合わせされていない、または平行ではない可能性がある。言い換えれば、本開示に適用される画像せん断は、デジタル画像を用紙と位置合わせするためにデジタル画像を単に回転させることではない。ブロック414において、方法400は終了する。
【0050】
なお、
図4の判定動作を記載したブロックまたは決定を伴うブロックは、判定動作の両方の分岐が実行されることを必ずしも必要としないことに留意されたい。換言すれば、判定動作の分岐の1つは、任意のステップとみなすことができる。さらに、上述した方法400の1つ以上のステップ、ブロック、機能または動作は、本開示の例示的な実施形態から逸脱することなく、任意のステップを含んでもよく、あるいは、上述したものとは異なる順序で組み合わせ、分離され、および/または行われてもよい。
【0051】
図5は、本明細書に記載された機能を行うために専用とされるコンピュータのハイレベルブロック図を示している。
図5に示されるように、コンピュータ500は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素502(例えば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサまたはマルチコアプロセッサ)と、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などのメモリ504と、画像と用紙の位置合わせエラーを補正するためのモジュール505と、様々な入力/出力デバイス506(例えば、これらに限定されるものではないが、テープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ、またはコンパクトディスクドライブを含む記憶デバイス、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、音声合成装置、出力ポート、入力ポート、およびユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロホンなど))とを備える。プロセッサ要素は1つしか示されていないが、コンピュータが複数のプロセッサ要素を使用してもよいことに留意されたい。
【0052】
本開示は、ソフトウェアで、ならびに/またはハードウェアデバイス、コンピュータもしくは他の任意のハードウェア等価物(例えば、印刷デバイス100)上に展開されたソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで実施することができることに留意されたい。例えば、上述の方法に関するコンピュータ可読命令を使用して、ハードウェアプロセッサを構成して、上に開示した方法のステップ、機能、および/または動作を行うことができる。一実施形態では、画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための本モジュールまたは処理505についての命令およびデータ(例えば、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアプログラム)は、メモリ504にロードされ、例示的な方法400に関連して上述したようなステップ、機能または動作を実施するようにハードウェアプロセッサ要素502により実行され得る。さらに、ハードウェアプロセッサが命令を実行して「動作」を行うとき、これは、ハードウェアプロセッサが動作を直接行うこと、ならびに/あるいは他のハードウェアデバイスもしくは構成要素(例えば、コプロセッサなど)を促進して、もしくはそれらに指示して、動作を行わせるか、またはそれらと協働して動作を行うことを含み得る。
【0053】
上述した方法に関するコンピュータ可読命令またはソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラミングされたプロセッサまたは専用プロセッサとして認識され得る。そのため、本開示の(関連するデータ構造を含む)画像と用紙の位置合わせエラーを補正するための本モジュール505は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気または光学ドライブ、デバイスまたはディスケットなど、有形または物理的(広くは非一時的)コンピュータ可読記憶デバイスまたは媒体に記憶され得る。より具体的には、コンピュータ可読記憶デバイスは、プロセッサまたはコンピュータもしくはアプリケーションサーバなどのコンピューティングデバイスによってアクセスされることになるデータおよび/または命令などの情報を記憶する能力を提供する任意の物理的デバイスを備えることができる。