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特許7130583配線・配管材支持装置、配線・配管材の配設構造、支持バー固定装置、及び支持バー台座
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】配線・配管材支持装置、配線・配管材の配設構造、支持バー固定装置、及び支持バー台座
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20220829BHJP
   F16L 3/24 20060101ALI20220829BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20220829BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20220829BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20220829BHJP
   F16B 7/14 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H02G3/30
F16L3/24 C
F16B2/20 B
F16B45/00 A
F16B7/04 302D
F16B7/14 M
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019054047
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020156251
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-110486(JP,U)
【文献】実公昭46-015548(JP,Y1)
【文献】特開平05-336642(JP,A)
【文献】特開2004-140985(JP,A)
【文献】特開2007-032656(JP,A)
【文献】実開平07-019688(JP,U)
【文献】米国特許第08550259(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
F16L 3/24
F16B 2/20
F16B 45/00
F16B 7/04
F16B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の支持バーと、
壁面への固定部、及び前記支持バーを壁面に対して離間した位置で、かつ当該支持バーの延びる方向が前記壁面に相対的に沿うように保持する保持部を備えた複数の支持バー台座と、
前記支持バーの外面を挟持して当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具と、
から成り、
前記複数の支持バー台座は、前記支持バーの延びる方向に所定間隔をおいて配置されて、当該支持バーを保持可能であり、
前記支持バーが壁面に対して離間した位置とは、少なくとも前記配線・配管材支持具が取着部を介して当該支持バーに取着可能となるような当該壁面からの間隔を有する位置であることを特徴とする配線・配管材支持装置。
【請求項2】
棒状の支持バーと、
壁面への固定部、及び前記支持バーを壁面に対して離間した位置で、かつ当該支持バーの延びる方向が前記壁面に相対的に沿うように保持する保持部を備えた支持バー台座と、
前記支持バーの外面を挟持して当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた2つの配線・配管材支持具と、
から成り、
前記2つの配線・配管材支持具は、前記支持バーを保持する1つの前記支持バー台座を挟むようにして、その両側にそれぞれ取着可能であり、
前記支持バーが壁面に対して離間した位置とは、少なくとも前記配線・配管材支持具が取着部を介して当該支持バーに取着可能となるような当該壁面からの間隔を有する位置であることを特徴とする配線・配管材支持装置。
【請求項3】
配線・配管材を壁面に沿って配設する構造であって、
棒状の支持バーが、壁面に固定された支持バー台座の保持部に保持されて、前記壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行に設置され、
前記支持バーは、当該支持バーの延びる方向に所定間隔をおいて配置された複数の前記支持バー台座に保持され、
当該支持バーには、当該支持バーの外面を挟持して、当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具が、前記支持部により配線・配管材を支持した状態で、前記取着部を介して前記支持バーに取着されていることを特徴とする配線・配管材の配設構造。
【請求項4】
配線・配管材を壁面に沿って配設する構造であって、
棒状の支持バーが、壁面に固定された支持バー台座の保持部に保持されて、前記壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行に設置され、
当該支持バーには、当該支持バーの外面を挟持して、当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具が、前記支持部により配線・配管材を支持した状態で、前記取着部を介して前記支持バーを保持している1つの前記支持バー台座を挟むようにして、その両側にそれぞれ取着されていることを特徴とする配線・配管材の配設構造。
【請求項5】
前記支持バーと前記壁面との間の隙間に、前記配線・配管材の取着部の一部が入り込んで、前記支持バーに対して前記壁面と反対側に前記配線・配管材支持具の支持部が配置されていることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の配線・配管材の配設構造。
【請求項6】
支持バーを壁面に固定する装置であって、
壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行となるように棒状の支持バーを保持するために、当該支持バーの延在方向に所定間隔をおいて壁面に対して固定配置される少なくとも2つの支持バー支持体と、
前記2つの支持バー支持体の間において、前記支持バーを壁面に固定するための支持バー中間固定具、
とから成り、
前記支持バー中間固定具は、前記2つの支持バー支持体が壁面から離間した位置と同位置において、抱持部により前記支持バーを抱持し、しかも固定部で前記壁面に固定可能であることを特徴とする支持バー固定装置。
【請求項7】
前記支持バー中間固定具は、前記2つの支持バー支持体の間において支持されている支持バーを壁面から離れる方向に撓ませることで、前記支持バーと壁面との間に配置可能であり、当該配置状態で、支持バーに対して抱持可能であると共に、壁面に対して固定可能であることを特徴とする請求項6に記載の支持バー固定装置。
【請求項8】
前記支持バー中間固定具は、前記壁面に固定するための固定部と、前記支持バーに対して抱持される抱持部とを備え、
前記抱持部は、一対の抱持片が前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを前記一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーに当該一対の抱持片が抱持される構成であり、
前記支持バー中間固定具の抱持部は、前記2つの支持バー支持体により支持された支持バーの壁面からの離間距離と同一距離で、当該支持バーを抱持可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の支持バー固定装置。
【請求項9】
前記支持バー中間固定具は、壁面に固定した状態で、前記支持バーを抱持可能であって、しかも、抱持している支持バーに対して前記抱持部を回動させることで、当該支持バーを非抱持状態とすることが可能であることを特徴とする請求項8に記載の支持バー固定装置。
【請求項10】
前記支持バー中間固定具と、前記支持バー支持体とは、同一形状であることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の支持バー固定装置。
【請求項11】
配線・配管材支持具を取着するための棒状の支持バーを壁面に固定するための支持バー台座であって、
前記壁面への固定部を有する固定台座と、前記支持バーを保持する保持部を有する保持体とから成り、
前記固定台座と前記保持体とは、回動組付け部を介して回動可能に組み付けられ、
前記保持体の保持部は、前記固定台座を壁面に固定した状態で、前記支持バーを、壁面から離間した位置で当該壁面と平行に保持可能であることを特徴とする支持バー台座。
【請求項12】
前記保持体の保持部は、一対の抱持片が、当該一対の抱持片で抱持される前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを当該一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーは当該一対の抱持片に抱持されることを特徴とする請求項11に記載の支持バー台座。
【請求項13】
壁面への固定部と、配線・配管材支持具が取着される棒状の支持バーを保持する保持部とを備え、当該支持バーを壁面に固定するための支持バー台座であって、
前記保持部は、一対の抱持片が、当該一対の抱持片で抱持される前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを前記一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーが当該一対の抱持片に抱持される構成であり、
前記壁面に固定した状態で、前記支持バーは、前記壁面から離間した位置で、前記壁面に対して平行に保持される構成であることを特徴とする支持バー台座。
【請求項14】
前記支持バーを保持した状態で、当該支持バーとの干渉を避けて前記固定部を介して前記壁面に固定可能であることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の支持バー台座。
【請求項15】
前記固定部は、前記保持部が保持する支持バーと壁面との離間範囲に納まる高さであることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載の支持バー台座。
【請求項16】
前記保持部は、前記支持バーを構成する寸切りボルトを保持可能であることを特徴とする請求項11ないし15のいずれかに記載の支持バー台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に固定される支持バーの任意の位置に配線・配管材を取着可能な配線・配管材支持装置、配線・配管材の配設構造、支持バー固定装置、及び支持バー台座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面に沿って複数のケーブル(配線・配管材)Pを配設するための従来構造のケーブル支持具として、特許文献1に開示のものが知られている。当該ケーブル支持具は、長手方向に沿って所定間隔をおいて複数の連続孔1Aが設けられて、壁面との間に間隔を有して配置される長方形板状の取付金具1と、当該取付金具1の各連続孔1Aのそれぞれに取着可能な特定サイズのケーブルPを支持するためのケーブル支持具2とから成る。
【0003】
よって、上記ケーブル支持具では、取付金具1に対してケーブルPの配置位置は定められていて、取付金具1に隣接して支持されるケーブルPの間隔は定められているため、当該間隔を調整することは不能であると共に、前記ケーブル支持具2は、特定サイズのケーブルPのみを支持可能であるため、支持するケーブルPのサイズが変更されると、これに対応した別のケーブル支持具を使用する必要があり、使い勝手が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-52115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、全長に亘って同一断面形状の支持バーを壁面に沿って設置することで、当該支持バーの任意の位置に配線・配管材を取着可能にして、配線・配管材の配設の自由度を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、棒状の支持バーと、
壁面への固定部、及び前記支持バーを壁面に対して離間した位置で、かつ当該支持バーの延びる方向が前記壁面に相対的に沿うように保持する保持部を備えた複数の支持バー台座と、
前記支持バーの外面を挟持して当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具と、
から成り、
前記複数の支持バー台座は、前記支持バーの延びる方向に所定間隔をおいて配置されて、当該支持バーを保持可能であり、
前記支持バーが壁面に対して離間した位置とは、少なくとも前記配線・配管材支持具が取着部を介して当該支持バーに取着可能となるような当該壁面からの間隔を有する位置であることを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、棒状の支持バーは、固定部を介して壁面に固定される支持バー台座を介して当該壁面に対して相対的に沿うように、換言すると、当該壁面に対して平行となるように、当該壁面に対して離間した位置に配置される。ここで、支持バーが壁面に対して離間した位置とは、少なくとも前記配線・配管材が取着部を介して当該支持バーに取着可能となるような当該壁面からの間隔を有する位置であるため、当該壁面に対して離間して、当該壁面に対して平行に配置された支持バーの任意の位置に、配線・配管材支持具が自身の取着部を介して取着されて、当該配線・配管材の支持部により配線・配管材が支持される。
【0008】
棒状をなす支持バーは、自身を壁面に固定している支持バー台座の部分を除いて、長手方向に沿った任意の位置に配線・配管材を取着可能であるため、当該支持バーに対して隣接して取着されている配線・配管材支持具の間隔を自在に調整できる。この結果、複数の配線・配管材支持具、及び1本の支持バーを介して壁面に対して支持される複数の配線・配管材の個々の配置位置と、支持される配線・配管材の総本数を自在に調整できると共に、配線・配管材の配置後においても、その配置位置の変更も可能となって、配線・配管材の配設の自由度が高められる。
【0009】
また、配線・配管材支持具を介して支持バーに支持される配線・配管材のサイズが変更された場合には、当該サイズの配線・配管材に対応した配線・配管材支持具を選択して、支持バーに取着することで、支持バーに対して異なるサイズの配線・配管材の支持も可能となる。その理由は、例えば配線・配管材のサイズが大きくなった場合には、これに対応して配線・配管材支持具のサイズも大きくなることが多いが、支持バーに対する配線・配管材支持具の取着は、当該支持具の間隔を広くして任意の位置に取着可能であるため、配線・配管材のサイズの変更に対しても対応可能となる。
更に、請求項1の発明によれば、前記複数の支持バー台座は、前記支持バーの延びる方向に所定間隔をおいて配置されて、当該支持バーを保持可能であるので、複数の支持バー台座に保持されているため、支持バーの配置位置が不動状態で確定され、配線・配管材支持具を介して配線・配管材を安定して支持できる。
【0010】
請求項2の発明は、棒状の支持バーと、
壁面への固定部、及び前記支持バーを壁面に対して離間した位置で、かつ当該支持バーの延びる方向が前記壁面に相対的に沿うように保持する保持部を備えた支持バー台座と、
前記支持バーの外面を挟持して当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた2つの配線・配管材支持具と、
から成り、
前記2つの配線・配管材支持具は、前記支持バーを保持する1つの前記支持バー台座を挟むようにして、その両側にそれぞれ取着可能であり、
前記支持バーが壁面に対して離間した位置とは、少なくとも前記配線・配管材支持具が取着部を介して当該支持バーに取着可能となるような当該壁面からの間隔を有する位置であることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明の段落「0007」~「0009」に記載の作用効果に加えて、支持バーにおける特定の支持バー台座の両側にそれぞれ配線・配管材支持具が取着されているため、支持バー台座を挟んで当該支持バーに取着された各配線・配管材支持具と、壁面に固定された支持バー台座との距離が短くなって、当該各配線・配管材支持具を支持バーに安定して取着できるという特有の作用効果を有する。
【0012】
請求項3の発明は、配線・配管材を壁面に沿って配設する構造であって、
棒状の支持バーが、壁面に固定された支持バー台座の保持部に保持されて、前記壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行に設置され、
前記支持バーは、当該支持バーの延びる方向に所定間隔をおいて配置された複数の前記支持バー台座に保持され、
当該支持バーには、当該支持バーの外面を挟持して、当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具が、前記支持部により配線・配管材を支持した状態で、前記取着部を介して前記支持バーに取着されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明を、「配線・配管材の配設構造」の面から把握して表現したものであって、請求項1の発明と同一の作用効果を有する。
【0014】
請求項4の発明は、配線・配管材を壁面に沿って配設する構造であって、
棒状の支持バーが、壁面に固定された支持バー台座の保持部に保持されて、前記壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行に設置され、
当該支持バーには、当該支持バーの外面を挟持して、当該支持バーの任意の位置に取着可能な取着部、及び配線・配管材を支持する支持部を備えた配線・配管材支持具が、前記支持部により配線・配管材を支持した状態で、前記取着部を介して前記支持バーを保持している1つの前記支持バー台座を挟むようにして、その両側にそれぞれ取着されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2の発明を、「配線・配管材の配設構造」の面から把握して表現したものであって、請求項2の発明と同一の作用効果を有する。
【0016】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記支持バーと前記壁面との間の隙間に、前記配線・配管材の取着部の一部が入り込んで、前記支持バーに対して前記壁面と反対側に前記配線・配管材支持具の支持部が配置されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、前記支持バーと前記壁面との間の隙間に、配線・配管材の取着部の一部が入り込むことで、前記隙間を利用して、支持バーに配線・配管材が取着されて、当該支持バーにおける前記壁面と反対側の自由空間に配線・配管材支持具が配置される構造であるため、当該配線・配管材支持具を壁面に近接して配置させることができ、ひいては、当該配線・配管材支持具に支持される配線・配管材を壁面に近接させられる。この結果、壁面に対する配線・配管材支持具の占有空間を小さくできる。
【0018】
請求項6の発明は、支持バーを壁面に固定する装置であって、
壁面に対して離間した位置で、当該壁面に対して平行となるように棒状の支持バーを保持するために、当該支持バーの延在方向に所定間隔をおいて壁面に対して固定配置される少なくとも2つの支持バー支持体と、
前記2つの支持バー支持体の間において、前記支持バーを壁面に固定するための支持バー中間固定具、
とから成り、
前記支持バー中間固定具は、前記2つの支持バー支持体が壁面から離間した位置と同位置において、抱持部により前記支持バーを抱持し、しかも固定部で前記壁面に固定可能であることを特徴としている。
【0019】
請求項6の発明によれば、棒状の支持バーを保持する2つの支持バー支持体の間に配置される支持バー中間固定具は、当該2つの支持バー支持体と同様に壁面に固定され、しかも当該2つの支持バー支持体が壁面から離間した位置と同位置において、抱持部により前記支持バーを抱持する構成である。その結果、当該支持バーは、その全長に亘って壁面から同一間隔を保持して、2つの支持バー支持体及び支持バー中間固定具の計3つの固定部材により壁面に固定される構造となるので、壁面に対して支持バーが平行に配置された状態で、当該壁面に対して支持バーをしっかり固定できる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記支持バー中間固定具は、前記2つの支持バー支持体の間において支持されている支持バーを壁面から離れる方向に撓ませることで、前記支持バーと壁面との間に配置可能であり、当該配置状態で、支持バーに対して抱持可能であると共に、壁面に対して固定可能であることを特徴としている。
【0021】
請求項7の発明によれば、2つの支持バー支持体により支持バーが壁面に固定されたままで、支持バーにおける前記2つの支持バー支持体の間に、後付けで支持バー中間固定具を配置固定して、支持バーにおける当該支持バー中間固定具の部分を当該支持バー中間固定具に抱持できる。この結果、2つの支持バー支持体により支持バーが壁面に固定された後において、当該2つの支持バー支持体を取り外すことなく、新たな支持バー中間固定具により、当該支持バーの中間部を支持することが可能となって、施工の自由度が高められると共に、2つの支持バー支持体を用いて支持バーを壁面に固定した後に、計3つの固定部材により支持バーを壁面に固定可能となって、当該支持バーの固定スパンが短くでき、壁面に対して支持バーをしっかり固定できる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項6又は7の発明において、前記支持バー中間固定具は、前記壁面に固定するための固定部と、前記支持バーに対して抱持される抱持部とを備え、
前記抱持部は、一対の抱持片が前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを前記一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーに当該一対の抱持片が抱持される構成であり、
前記支持バー中間固定具の抱持部は、前記2つの支持バー支持体により支持された支持バーの壁面からの離間距離と同一距離で、当該支持バーを抱持可能であることを特徴としている。
【0023】
請求項8の発明によれば、2つの支持バー支持体の間に配置される支持バー中間固定具は、一対の抱持片が前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを前記一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーを当該一対の抱持片に抱持させる抱持部を備えているので、支持バーの長手方向の中間部を、簡単な回動操作により、支持バー中間固定具の抱持部にしっかり抱持させられる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記支持バー中間固定具は、壁面に固定した状態で、前記支持バーを抱持可能であって、しかも、抱持している支持バーに対して前記抱持部を回動させることで、当該支持バーを非抱持状態とすることが可能であることを特徴としている。
【0025】
請求項9の発明によれば、支持バーの長手方向の中間部を支持バー中間固定具で抱持した状態で、その抱持部を支持バーに対して回動させることで、当該支持バーを非抱持状態にできるので、例えば、支持バー中間固定具が配置されていた部分に配線・配管材を配置する必要が生じた場合等に対応可能となる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項6ないし9のいずれかの発明において、前記支持バー中間固定具と、前記支持バー支持体とは、同一形状であることを特徴としている。
【0027】
請求項10の発明によれば、支持バーを壁面に固定するための支持バー中間固定具と支持バー支持体とが同一形状であるため、その製作、管理、取り扱い等が容易となる。
【0028】
請求項11の発明は、配線・配管材支持具を取着するための棒状の支持バーを壁面に固定するための支持バー台座であって、
前記壁面への固定部を有する固定台座と、前記支持バーを保持する保持部を有する保持体とから成り、
前記固定台座と前記保持体とは、回動組付け部を介して回動可能に組み付けられ、
前記保持体の保持部は、前記固定台座を壁面に固定した状態で、前記支持バーを、壁面から離間した位置で当該壁面と平行に保持可能であることを特徴としている。
【0029】
請求項11の発明によれば、前記固定台座と前記保持体とは、回動組付け部を介して回動可能に組み付けられているため、支持バー台座の保持部で支持バーを保持した状態で、その固定台座を壁面に固定する支持バー台座の「後付け」において、支持バーの直下に固定台座の固定部が配置されて、当該固定台座の壁面への固定が不能となるのを回避するために、回動組付け部により、固定台座と保持体とを相対的に回動させて、固定台座の固定部を支持バーの直下から回避させることで、壁面に対する支持バー台座の固定が可能となる。また、壁面に支持バー台座が予め固定されている「先付け」の場合においても、予め壁面に固定されている固定台座に対して保持体を回動させることで、当該保持体に保持される棒状の支持バーの配置方向(延在方向)を定めることが可能となる。
【0030】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記保持体の保持部は、一対の抱持片が、当該一対の抱持片で抱持される前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを当該一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーは当該一対の抱持片に抱持されることを特徴としている。
【0031】
請求項12の発明によれば、保持体の保持部を構成する一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを当該一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーは当該一対の抱持片に抱持される構成であるので、支持バー台座の「先付け」及び「後付け」のいずれの場合においても、その保持体の保持部に対する支持バーの保持操作を容易に行えて、前記支持バーに対して一対の抱持片をしっかり保持できる。
【0032】
請求項13の発明は、壁面への固定部と、配線・配管材支持具が取着される棒状の支持バーを保持する保持部とを備え、当該支持バーを壁面に固定するための支持バー台座であって、
前記保持部は、一対の抱持片が、当該一対の抱持片で抱持される前記支持バーの軸方向に所定間隔をおいて対向して形成され、当該一対の抱持片の間に支持バーを、当該一対の抱持片の離間方向に対して傾斜配置させた状態で、当該支持バーを前記一対の抱持片に対して相対的に回動させることで、当該支持バーが当該一対の抱持片に抱持される構成であり、
前記壁面に固定した状態で、前記支持バーは、前記壁面から離間した位置で、前記壁面に対して平行に保持される構成であることを特徴としている。
【0033】
請求項13の発明は、請求項11の発明において、固定台座に対応する固定部と、保持体に対応する保持部とが、回動組付け部を介して回動可能に組み付けられている要件を欠落させた点が異なるのみであり、支持バーを壁面に固定した状態で、当該支持バーは、当該壁面から離間した位置で、当該壁面に対して平行に保持される構成は同一である。
【0034】
請求項14の発明は、請求項11ないし13のいずれかに記載の発明において、前記支持バーを保持した状態で、当該支持バーとの干渉を避けて前記固定部を介して前記壁面に固定可能であることを特徴としている。
【0035】
請求項14の発明によれば、支持バー台座の保持部に支持バーを保持させた後に、当該支持バーとの干渉をさけて、当該支持バー台座の固定部を壁面に固定できるので、支持バーに対して支持バー台座が取着された状態において、当該支持バー台座を壁面に固定する「後付け」において、当該支持バー台座を壁面に固定できて、当該支持バーを壁面に対して平行に配置固定するための施工の自由度が高められる。
【0036】
請求項15の発明は、請求項11ないし14のいずれかの発明において、前記固定部は、前記保持部が保持する支持バーと壁面との離間範囲に納まる高さであることを特徴としている。
【0037】
請求項15の発明によれば、支持バー台座の固定部は、前記保持部が保持する支持バーと壁面との離間範囲に納まる高さであるため、当該支持バー台座を壁面に「先付け」した場合には、当該支持バー台座の固定部の直上に支持バーを重なった状態で配置させることもできて、支持バーに対する支持バー台座の配置位置の自由度が高められると共に、当該支持バーに対する支持バー台座の収まり(配置状態)がよくなって、見栄えがよくなる。
【0038】
請求項16の発明は、請求項11ないし15のいずれかの発明において、前記保持部は、前記支持バーを構成する寸切りボルトを保持可能であることを特徴としている。
【0039】
寸切りボルトは、その表面のねじ山の凹凸が抵抗となって、支持バー台座の保持部に支持バーを保持させた状態で、当該支持バーが軸方向にずれない利点があると共に、配線・配管材の施工業者は、外径及び長さの異なる種々の寸切りボルトを常時保有していることが多いので、入手が容易でもある。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、棒状の支持バーは、固定部を介して壁面に固定される支持バー台座を介して当該壁面に対して平行となるように、しかも当該壁面に対して離間した位置に配置される。よって、支持バーは、自身を壁面に固定している支持バー台座の部分を除いて、長手方向に沿った任意の位置に配線・配管材を取着可能であるため、当該支持バーに隣接して取着されている配線・配管材支持具の間隔を自在に調整でき、この結果、複数の配線・配管材支持具と、1本の支持バーを介して壁面に対して支持される複数の配線・配管材の個々の配置位置と、支持される総本数を自在に調整できると共に、配線・配管材の配置後においても、その配置位置の変更が可能である。
【0041】
また、配線・配管材支持具を介して支持バーに支持される配線・配管材のサイズが変更された場合には、当該サイズの配線・配管材に対応した配線・配管材支持具を選択して、支持バーに取着することで、支持バーに対して異なるサイズの配線・配管材の支持も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】支持バー台座Vを構成する固定台座Fと保持体Hとを分離させた状態の斜視図である。
図2】(a),(b)は、それぞれ固定台座Fと保持体Hとが組み付けられた支持バー台座Vを異なる方向から見た斜視図である。
図3】(a),(b)は、それぞれ支持バー台座Vを構成する固定台座Fと保持体Hとが、回動方向に沿って相対的に異なる位置に配置された状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、固定台座Fと保持体Hとの組付け回動中心Cと、釘固定用スリーブ13の軸心とを結ぶ方向と、取着体Aの一対の抱持片26で抱持される支持バーBの軸心方向とが直交した状態の支持バー台座Vの平面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のX1 -X1 線及びY-Y線の断面図である。
図5】(a)は、固定台座Fと保持体Hとの組付け回動中心Cと、釘固定用スリーブ13の軸心とを結ぶ方向と、取着体Aの一対の抱持片26で抱持される寸切りボルトから成る支持バーBの軸心方向とが合致した状態の支持バー台座Vの平面図であり、(b)は、(a)のX2 -X2 線の断面図である。
図6】(a),(b)は、支持バー台座Vの保持体Hに対して支持バーBを保持させる前後の斜視図である。
図7】(a)は、支持バー台座Vの保持体Hに対して支持バーBが保持された状態の正面図であり、(b)は、(a)のZ-Z線断面図である。
図8】支持バー台座Vの保持体Hで保持された支持バーBの軸心に対して固定台座Fの配置位置が変更可能であることを示す平面図である。
図9】(a),(b)は、支持バーBの一端部に支持バー台座Vが「先付け」により取着されて、当該支持バーBの延在方向を定めた後に、当該支持バー台座Vを壁面W1 (W2 )に固定する前後の図である。
図10】(a),(b)は、それぞれ施工済の支持バーBの取外し前後の斜視図である。
図11】(a),(b)は、それぞれ垂直配置された支持バーBが一対の支持バー台座Vを用いて側壁面W1 に固定された状態の正面図、及び断面図である。
図12】垂直配置状態で側壁面W1 に固定された支持バーBに、3個の配線・配管材支持具S1 を用いて3本のケーブルKがピッチP1 をおいて支持された状態の斜視図である。
図13】同様の支持バーBに、4本のケーブルKがピッチP2 をおいて支持された状態の斜視図である。
図14】(a),(b)は、それぞれ配線・配管材支持具S1 の取着部31を異なる方向から見た斜視図である。
図15】(a)は、配線・配管材支持具S1 の正面図であり、(b),(c)は、それぞれ支持バーBに取着される前後の配線・配管材支持具S1 の平面図である。
図16】垂直配置状態で側壁面W1 に固定された支持バーBに、2個の配線・配管材支持具S2 を用いて積層状態の2組のケーブルKが支持された状態の斜視図である。
図17】配線・配管材支持具S2 を背面側から見た斜視図である。
図18】(a),(b)は、それぞれ垂直配置された支持バーBを2個の支持バー台座Vで側壁面W1 に固定配置した状態で、当該支持バーBの両端の保持間隔が長い場合において、当該支持バーBをわん曲させて、その中央部に別の支持バー台座Vを配置する前後を示す斜視図ある。
図19】天井壁面W2 に水平に固定配置された支持バーBに、配線・配管材支持具S3 を用いて3層に積層状態の3組のケーブルKを支持した状態の正面図である。
図20】天井壁面W2 に形成された凹部73を跨いで支持バーBが固定配置された状態を示す正面図である。
図21】側壁面W1 に垂直配置状態で固定された支持バーBが、当該側壁面W1 の上端部に形成された大きな段差部74を超えて配置されている状態を示す正面図である。
図22】側壁面W1 に水平配置状態で固定された複数本の支持バーBに対して2本のパイプ体D3 が配線・配管材支持具S3 を用いて垂直に支持された状態を示す斜視図である。
図23】垂直配置された短い支持バーBが1個の支持バー台座Vにより側壁面W1 に固定され、当該支持バーBに配線・配管材支持具S2 を介して3層のケーブルKが支持された状態を示す斜視図である。
図24】固定台座F’と保持体H’とが一体となった支持バー台座V’の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。支持バー台座Vは、支持バーBを側壁面W1 ,天井壁面W2 等の壁面に対して平行に固定するための固定部材であって、図1図5に示されるように、壁面に固定される固定部2を有する固定台座Fと、当該固定台座Fに対して係止構造により回動可能に組み付けられる正八角形厚板状の保持体Hとで構成される。固定台座Fと保持体Hとは、いずれも樹脂の射出成形により形成される。
【0044】
固定台座Fは、保持体Hが回動可能に組み付けられる正八角形盤状の回動組付け部1と、壁面に固定される固定部2とが一体に形成され、裏面側には、2つの凹部3,4〔図2(b)参照〕を有しているが、当該各凹部3,4の周辺部を形成する部分の端面は、壁面に密着可能なように、前記固定部2の底板部18の底面と同一の平面上に存在している。固定台座Fの回動組付け部1は、全周に亘って一定厚を有していて、保持体Hの全体形状に対応して正八角形盤状をなしており、上面側には、保持体Hの不完全円環壁部22及び対向配置された一対の弾性壁部23を収容して配置可能とする非貫通の円環状の配置空間部5が形成され、当該配置空間部5の内側に、前記不完全円環壁部22の変形を防止するための配置空間部5と同心の円リング状の変形防止部6が形成されている。円リング状の変形防止部6の内側は、貫通孔となっている。円リング状の変形防止部6の端面を含む回動組付け部1の各部の端面は、保持体Hを密着可能とするために、同一平面上に配置されている。
【0045】
前記配置空間部5の内周面5aにおける対向する部分には、一対の被係止爪7が形成されている。一対の被係止爪7は、前記配置空間部5の内周面5aに沿って形成されているため、円弧状をなしている。なお、正八角形盤状の回動組付け部1の複数の対向辺部のうち固定台座Fの対向側面となる各辺部には、正八角形厚板状の保持体Hが当該回動組付け部1に、外形が合致した状態で組み付けられたことを視認可能とする合致視認用凹部8が厚さ方向に沿って形成されている。また、前記配置空間部5の底面を形成する中間底部9における前記一対の被係止爪7に対応する部分には、射出成形時においてアンダーカット部となる当該一対の被係止爪7を成形可能とするためのスライド型の存在により形成された貫通孔部11が形成されている。
【0046】
また、支持バー台座Vの回動組付け部1には、当該支持バー台座Vを壁面に固定するための固定部2が一体に形成され、図4(c)に示されるように、当該固定部2は、回動組付け部1の中間底部9よりも下方側(壁面に固定された状態で当該壁面の側)に配置され、当該回動組付け部1と固定部2との段差による一体連結強度の低下を防止するために、両部1,2は、その周縁部において一対の傾斜補強壁部12で連結されている。図4及び図5に示されるように、固定部2は、回動組付け部1に連結された側から、先端側である釘固定用スリーブ13の側に向けて漸次幅が狭く形成されて、当該釘固定用スリーブ13が設けられている部分は、正面視において当該釘固定用スリーブ13の軸心を中心とする半円状に形成されている。固定部2の上面側には、釘固定用スリーブ13の軸心を中心とする円形の凹部14が形成されて、当該凹部14の底部には、前記釘固定用スリーブ13が起立して一体に形成されて、支持バー台座Vを壁面に固定する際に、当該壁面に密着する底板部18が設けられ、当該底板部18の中心部に、釘固定用スリーブ13が起立して一体に形成されている。釘固定用スリーブ13には、釘Nを挿通させる釘挿通孔15が貫通して形成され、当該釘固定用スリーブ13の外周面には、複数のリブ16が周方向に一定間隔をおいて全高に亘って形成され、当該釘固定用スリーブ13の外周には、釘打機(図示せず)の衝撃力により、釘固定用スリーブ13及びその外周の各リブ16が押し潰される際に、周囲に無造作に拡がるのを規制するリング状の規制壁17が形成されている。なお、図4(c)に示されるように、釘固定用スリーブ13は、回動組付け部1の上面まで達しており、リング状の規制壁17は、前記凹部14の深さの半分程度である。
【0047】
一方、保持体Hは、正八角形厚板状の本体部21の裏面に、円環方向に沿って同一周長の一対の分割不完全円環壁部22aから成る不完全円環壁部22が対向配置された状態で突出して形成され、各分割不完全円環壁部22aの間に、一対の弾性壁部23が対向配置された状態で突出して形成されている。換言すると、不完全円環壁部22は、円環の対向する2箇所を欠落させて形成される。一対の弾性壁部23及び一対の分割不完全円環壁部22aの外側には、それぞれ前記固定台座Fの回動組付け部1に設けられた各被係止爪7が係止される第1及び第2の各係止爪24,25が、円環方向の全周に亘って形成されている。第1係止爪24には、固定台座Fと保持体Hとを互いに押圧させて、当該保持体Hの第1係止爪24を固定台座Fの被係止爪7に係止させる際に、当該被係止爪7の傾斜弾接面7aを弾接させる傾斜弾接面24a〔図4(b)参照〕が形成されている。しかし、第2係止爪25と被係止爪7との係止は、固定台座Fと保持体Hとが、被係止爪7と第1係止爪24との係止構造により連結された後に、両部材F,Hを相対的に回動させることで、はじめて係止する構造になっているので、当該第2係止爪25における前記第1係止爪24の傾斜弾接面24aに対する面は、本体部21の内面に対して垂直に形成されている〔図4(c)及び図5(b)参照〕。保持体Hの不完全円環壁部22と一対の弾性壁部23とは、前記固定台座Fに対して当該保持体Hを相対的に回動可能に組み付けるための回動組付け部20を構成している。
【0048】
また、本体部21の外面における正八角形の対向する各辺の間には、支持バーBに対して取外し可能な一対の抱持片26が、当該一対の抱持片26で抱持される支持バーBの軸方向に沿って所定間隔をおいて対向して形成されている。横断面が円弧状をした一対の抱持片26は、弾性変形可能であって、互いに反対の方向に支持バーBの挿入開口26aが形成されている。ここで、各弾性壁部23は、不完全円環壁部22に比較して薄肉であって、しかも円環方向に沿った周長が短いので、当該円環方向と直交する円環直交方向(円リング状の変形防止部の半径方向)に沿った外力が作用すると、円環直交方向に沿って弾性変形されるが、各分割不完全円環壁部22aは、円環方向に沿った周長が弾性壁部23に比較して遥かに長いので、円環直交方向の外力が作用しても、変形されない構造となっている。また、正八角形厚板状の本体部21における一対の抱持片26が設けられていない残りの6辺の各部分には、固定台座Fの回動組付け部1と保持体Hの本体部21との各辺の合致状態を視認するための合致視認用凹部27がそれぞれ形成されている。なお、図2図5において、28は、保持体Hの本体部21の表面に形成されて、支持バーBが寸切りボルトである場合に、当該寸切りボルトの雄ねじ部と部分螺合されて、保持体Hに対して寸切りボルトが軸方向にずれるのを防止する部分雌ねじ部を示す。
【0049】
そして、図1に示されるように、固定台座Fの一対の被係止爪7と保持体Hの各弾性壁部23に形成された一対の第1係止爪24とを、円環方向に沿って位相を合致させた状態で、当該固定台座Fと保持体Hとを互いに押圧させると、保持体Hの各分割不完全円環壁部22aと各弾性壁部23とが円環方向に沿って連続して円環壁部となった部分が、固定台座Fの配置空間部5における円リング状の変形防止部6の外側に挿入配置されると共に、保持体Hの各弾性壁部23が内方に弾性変形された後に、原形状に復元することで、保持体Hの各弾性壁部23の外側に設けられた各第1係止爪24と、固定台座Fの各被係止爪7とが互いに係止される。これにより、固定台座Fと保持体Hとは、各回動組付け部1,20を介して固定台座Fの円リング状の変形防止部6の軸心を回動中心Cとして、自由回転可能(360°を超える回転が可能であること)に組み付けられる。
【0050】
また、固定台座Fと保持体Hとが相対的に回動可能に組み付けられた支持バー台座Vは、釘固定用スリーブ13の釘挿通孔15に釘Nを挿通した状態で、釘打機により、当該釘Nに衝撃力を加えて、釘固定用スリーブ13及びその周囲の各リブ16が押し潰すことで、当該釘Nが壁面に突刺されて、当該壁面W1 (W2 )に支持バー台座Vが固定される(図10及び図11参照)。
【0051】
このため、上記した支持バー台座Vを使用して、棒状の支持バーBを側壁面W1 、天井壁面W2 等の壁面に、平行を維持して固定配置して、当該壁面に固定配置された支持バーBに、1ないし複数の配線・配管材支持具S1 ,S2 を取着して、各配線・配管材支持具S1 ,S2 に、それぞれ配線・配管材であるケーブルK又はパイプ体D1 ~D3 が支持される(図11図12図16及び図18参照)。そして、支持バーBは、棒状をなしているため、当該支持バーBにおける当該支持バーBを壁面に固定している支持バー台座Vの配置部を除く残りの任意の部分に、1ないし複数の配線・配管材支持具S1 ,S2 を取着可能である。その結果、支持バーBに取着される配線・配管材支持具S1 ,S2 の取着位置、及びその数を任意に変えられるため、各配線・配管材支持具S1 ,S2 に隣接して支持される各ケーブルK、パイプ体D1 ~D3 等の配線・配管材の間隔を、当該配線・配管材のサイズ等に応じて自在に調整できる。
【0052】
また、配線・配管材支持具S1 ,S2 を介して支持バーBに支持されるケーブルK、パイプ体D1 ~D3 等の配線・配管材のサイズが変更された場合には、当該サイズの配線・配管材に対応した配線・配管材支持具を選択して、支持バーBに取着することで、支持バーBに対して異なるサイズの配線・配管材の支持も可能となる。その理由は、例えば配線・配管材のサイズが大きくなった場合には、これに対応して配線・配管材支持具のサイズも大きくなることが多いが、支持バーBに対する配線・配管材支持具の取着は、当該支持具の間隔を広くして任意の位置に取着可能であるため、配線・配管材のサイズの変更に対しても対応可能となる。
【0053】
ここで、支持バーBとして、実施例では、全長に亘って雄ねじ部が形成された寸切りボルトが例示されている。寸切りボルトは、「長ねじ」とも称されており、全長に形成された雄ねじ部のねじ山を利用することで、当該雄ねじ部と、保持体Hにおける当該寸切りボルトの当接部に形成された部分雌ねじ部との螺合によって、支持バー台座Vを構成する保持体Hに対する寸切りボルトの保持固定、及び当該寸切りボルトに対する配線・配管材支持具S1 ,S2 の取着部31,41の取着固定において、当該寸切りボルトに対して前記支持バー台座Vの保持体H、及び配線・配管材支持具S1 ,S2 の取着部31,41が、当該寸切りボルトの軸方向に沿って相対的にずれるのを防止できる利点がある。しかも、配線・配管材の施工業者は、サイズの異なる複数の寸切りボルトを保有していることが多いので、簡単に入手できる。しかし、本発明においては、支持バーBは、形状的には「棒状」であることのみが要件であって、外周に雄ねじ Vが形成されていない丸バー、断面が角形の角バー等の使用も可能である。
【0054】
支持バー台座Vの保持体Hに、寸切りボルトから成る支持バーBを保持させるには、図6(a)に示されるように、当該保持体Hを構成する一対の抱持片26の間に支持バーBを配置させた状態で、即ち、当該一対の抱持片26の離間方向に対して抱持予定の支持バーBの軸心を交差させた状態で、当該抱持予定の支持バーBを回動しないように保持しておいて、支持バー台座Vの固定台座Fに対して保持体Hを図示で反時計方向に回動させて、図6(b)及び図7に示されるように、一対の抱持片26に支持バーBを抱持させることで、支持バー台座Vに対して支持バーBが保持される。逆に、支持バー台座Vの固定台座Fに対して保持体Hを回動しないように維持した状態で、当該保持体Hに対して支持バーBの全体を、図示で時計方向に回動させることで、一対の抱持片26に支持バーBを抱持させて、支持バー台座Vに対して支持バーBを保持させることもできる。このように、支持バー台座Vの保持体Hの一対の抱持片26の間に支持バーBを配置して、そのいずれか一方を回動しないように維持した状態で、当該保持体と支持バーBとを相対的に回動させることで、一対の抱持片26に支持バーBを抱持させて、支持バー台座Vに対して支持バーBを保持させられる。
【0055】
また、図6(b)及び図7(b)では、一対の抱持片26で抱持された支持バーBと、支持バー台座Vを構成する固定台座Fとの配置関係は、当該支持バーBの軸心又は当該軸心の延長線の直下に、固定台座Fに設けられた釘固定用スリーブ13が配置される関係、換言すると、支持バー台座Vが壁面W1 (W2 )に固定された状態において、当該固定台座Fの固定部2は、保持体Hで保持された支持バーBと壁面W1 (W2 )との間の空間部に配置される関係となっているため、狭い場所においても、支持バー台座Vの固定が可能となって、当該支持バー台座Vの固定に係る施工の自由度が高められると共に、支持バーに対する支持バー台座の収まりがよくなって、支持バーと支持バー台座とが整然と配置される。
【0056】
また、支持バー台座Vを構成する固定台座Fと保持体Hとは、各回動組付け部1,20の共通の回動中心Cを中心にして自由回動可能な構造となっているために、図8に示されるように、保持体Hで保持された支持バーBの軸心又はその延長線に対する固定台座Fの配置位置は、自由に変更できる。この構造により、壁面に支持バー台座Vを先に固定しておいて、その後に、当該壁面に固定された1又は複数の支持バー台座Vの保持体Hに対して支持バーBを保持させるという支持バー台座Vの「先付け」と、1又は複数の支持バー台座Vの保持体Hに支持バーBを先に保持させておき、その後に、支持バーBの延在方向(配置方向)を確定させた後に、1又は複数の支持バー台座Vを壁面に固定させるという支持バー台座Vの「後付け」とを自在に選択できると共に、複数の支持バー台座Vを使用して支持バーBを壁面に固定配置させる場合には、両工法の併用も可能であって、支持バー台座Vの「先付け」及び「後付け」の選択が可能となり、その結果、配線・配管材の施工の自由度が高められるのが、本実施例の特有の利点である。支持バー台座Vの「後付け」の場合には、当該支持バーB、及び周辺に障害物が存在する場合には、当該障害物との干渉を回避して、当該支持バーBの延在方向を定めながら、当該支持バー台座Vを固定できる利点がある。
【0057】
図8において、支持バー台座Vを構成する固定台座Fのうち、実線で示す「第1位置」では、釘固定用スリーブ13の直上に支持バーBが存在する場合には、当該支持バー台座Vは「先付け」のみ施工可能であり、1点鎖線又は2点鎖線で示す前記「第1位置」を除く「第2位置」では、支持バー台座Vは「先付け」及び「後付け」のいずれでも可能である。2点鎖線は、例えば、支持バー台座Vの配置位置の周辺に存在する障害物71を回避して、支持バー台座Vを配置する例である。即ち、支持バー台座Vの「先付け」は、無条件に可能であるが、支持バー台座Vを構成する固定台座Fに対して保持体Hが回動可能な構造であるので、支持バーBに予め取着された支持バー台座Vの「後付け」に関しては、支持バーBに対する支持バー台座Vの固定台座Fの固定部2の干渉を回避する位置に当該固定部2を配置させることを条件として、可能である。支持バー台座Vの「先付け」及び「後付け」は、支持バーBの配置固定対象である各種壁面における当該支持バーの配置高さ位置、当該壁面上における干渉物の存在、施工者特有の作業上の癖等を考慮して、自在に選択可能である。
【0058】
本実施例の支持バー台座Vは、固定台座Fと保持体Hとが相対的に回動可能な構造となっているため、固定部2が一つであっても、固定台座Fと保持体Hとを相対的に回動させることて、上記した「第1位置」及び「第2位置」のいずれの場合でも、同一の固定部2によって、支持バー台座Vを壁面に固定可能であるが、当該固定台座Fに「第1位置」及び「第2位置」に対応する固定部をそれぞれ個別に設けてもよい。
【0059】
ここで、支持バーBは、側壁面W1 、天井壁面W2 などの各種壁面上において、当該支持バーBの固定配置位置及びその延在方向を定めて固定配置される。当該支持バーBの延在方向を定めるには、(1)各種壁面における支持バーBの延在方向上に存在する「特定線分」上に予め1ないし複数(多くの場合は、複数)の支持バー台座Vを「先付け」により固定して、「先付け」された複数の支持バー台座Vの保持体Hに対して支持バーBを保持させる「第1施工方法」と、(2)特定の1つの支持バー台座Vを前記「特定線分」上の特定位置に「先付け」で固定しておき、支持バーBの一端部又は中間部に、別の支持バー台座Vを取着した後に、当該支持バーBを前記「特定線分」上に配置されるまで、固定済の支持バー台座Vの回動中心Cを中心にして回動させて、当該支持バーBの配置位置を確定させ、この状態で、当該支持バーBの他端部に取着された別の支持バー台座Vを壁面類に「後付け」で固定する「第2施工方法」とがある。
【0060】
図9に、上記した「第2施工方法」の具体例が示されている。図9(a)は、支持バーBの延在方向Qに沿った「特定線分」上に、1つの支持バー台座Vが「先付け」により固定されている。「特定線分」上に支持バー台座Vが固定されているとは、当該支持バー台座Vの回動中心Cと釘固定用スリーブの軸心のいずれもが前記「特定線分」上に位置していることをいう。次に、「特定線分」上に「先付け」により固定された支持バー台座Vの保持体Hに、他端部に別の支持バー台座Vが予め取着された支持バーBの一端部を支持させる。この状態では、他端部に別の支持バー台座Vが取着された支持バーBは、図9(a)に示されるように、側壁面W1 に固定済の支持バー台座Vの回動中心Cを中心に左右に振れ動き可能となっている。その後に、支持バーBを振れ動かして自身の延在方向Q上に存在する前記「特定線分」上に支持バーBを配置させた状態で、当該支持バーBの他端部に取着されている支持バー台座Vを側壁面W1 に「後付け」で固定させると、図9(b)に示されるように、当該支持バーBは、定められた延在方向Qに沿って配置される。なお、「後付け」に係る支持バー台座Vは、その固定部2を側方にずらすことで、支持バーBとの干渉を回避して側壁面W1 に固定させる必要がある。
【0061】
また、図10には、施工済の支持バーBの取外し前後の斜視図が示されている。支持バー台座Vは、固定台座Fに対して保持体Hが回動可能であるので、支持バーBの施工後において、何らかの理由により、当該支持バーBの配置空間72の利用の必要が発生した場合等においては、施工済の支持バー台座Vの固定台座Fに対して保持体Hを回動させることで、当該支持バーBの取外しを簡単に行える。これにより、支持バーBが配置されていた配置空間72を利用できる。
【0062】
上記した支持バーB及び支持バー台座Vを用いて、側壁面W1 に複数本のケーブルKを水平に配置するには、以下のようにして行う。図11及び図12には、2個の支持バー台座Vを用いて、側壁面W1 に対して支持バーBが、当該側壁面W1 に対して平行であって、しかも絶対空間に対して垂直に固定配置されている。即ち、支持バーBの両端部は、側壁面W1 に固定された各支持バー台座Vの各保持体Hに保持され、本施工例では、各支持バー台座Vの各保持体Hで保持された支持バーBの両端は、当該各支持バー台座Vの固定台座Fの釘固定用スリーブ13の部分まで達していないので、側壁面W1 に対する各支持バー台座Vの固定は、「先付け」及び「後付け」のいずれでも可能であり、更に、併用も可能である。なお、図7(b)で2点鎖線、及び図8で実線で示されるように、支持バーBが支持バー台座Vの釘固定用スリーブ13の部分まで達している場合には、当該支持バーBと側壁面W1 との間に支持バー台座Vの固定台座Fを配置させる場合には、当該支持バー台座Vは、「先付け」による他はない。
【0063】
そして、図11図13に示されるように、2個の支持バー台座Vを用いて側壁面W1 に対して平行であって、絶対空間に対して垂直配置された支持バーBには、配線・配管材支持具S1 を介して複数本のケーブルKが水平に支持される。配線・配管材支持具S1 は、図12図15に示されるように、金属で成形されて、支持バーBに取着される取着部31と、当該取着部31に一体に設けられて配線・配管材支持具S1 を支持するU字状の支持部32とから成る。
【0064】
取着部31は、対向する側板部33a,33bの一方の側端部が連結板部34で連結されていて、各側板部33a,33bを、開口側が互いに近接するように押圧させた状態で、当該押圧力を解除させると、開口が広くなる原形状に復元するような弾性復元力を有している。一方の側板部33aの上下の各端部に、それぞれ挟持板部35aが他方の側板部33bの側に向け、しかも上下方向に沿って対向するように形成されていると共に、他方の側板部33bの上下の各端部に、それぞれ挟持板部35bが前記各挟持板部35aの内側に配置されるようにして、上下方向に対向した状態で形成された構成である。これにより、各側板部33a,33bの上下端部において、それぞれ一組となった各挟持板部35a,35bが所定間隔をおいて上下方向に重なった状態で配置される。一組となった各挟持板部35a,35bには、連結板部34と反対側に開口した深溝部36a,36bが形成され、各深溝部36a,36bの奥部の対向する部分には、支持バーBの外径に対応した円弧状凹部37a,37bがそれぞれ形成されている。このため、各側板部33a,33bの開口側が狭くなるように押圧させて、各深溝部36a,36bの開口の合致幅を広くして、当該合致状態の開口から支持バーBを各深溝部36a,36bに挿入して、前記押圧力を解除すると、各側板部33a,33bの開口側が離間して、各深溝部36a,36bの各円弧状凹部37a,37bの間に支持バーBが、前記各側板部33a,33bの弾性復元力により挟持されることで、当該支持バーBに配線・配管材支持具S1 が取着される〔図15(c)参照〕。なお、支持部32は、支持バーBを挿入させる挿通開口の側から奥部に向けて幅広となるようなU字状をなしている。
【0065】
そして、側壁面W1 と平行を保持して絶対空間に対して垂直配置された支持バーBに対して配線・配管材支持具S1 を用いてケーブルKを支持させるには、図12に示されるように、上記した要領により、支持バーBに対して取着部31により複数の配線・配管材支持具S1 を垂直方向に垂れ下がった状態で取着させ、各配線・配管材支持具S1 の支持部32の挿入開口からケーブルKを挿入して支持させる。これにより、複数本(図示例では3本)のケーブルKが上下方向に沿って一定ピッチP1 をおいて水平に支持される。
【0066】
配線・配管材支持具S1 は、支持バーBの任意の位置に取着可能であるので、同一の支持バーBに対して支持されるケーブルKの本数を増減させられる。図13は、支持バーBに対する配線・配管材支持具S1 の取着位置を変更することで、支持バーBに支持されるケーブルKの本数を3本から4本に増加させた場合であって、4本のケーブルKは、前記ピッチP1 よりも小さなピッチP2 で配置さる。
【0067】
また、図16には、2個の支持バー台座Vを用いて側壁面W1 に対して平行であって、絶対空間に対して垂直に固定配置された前記支持バーBに、配線・配管材支持具S2 を介して3層に積層状態の2組のケーブルKが水平に支持された状態が示されている。配線・配管材支持具S2 は、図16及び図17に示されるように、樹脂で成形されて、背面側に配置される取着部41と、前面側に配置される支持部42とが一体に形成され、当該取着部41は、前記支持バー台座Vの保持体Hに設けられた2個の抱持片26と同一構造の2個の取着片41aが本体板部43における支持部42と反対側に一体に設けられた構成であり、前記支持部42は、当該本体板部43を一部に含んでU字状に形成されている。本体板部43には、支持部42の挿入開口を覆って、当該支持部42で支持しているケーブルKが抜け出るのを防止する弾性変形可能な抜止片44が設けられている。配線・配管材支持具S2 の支持部42には、当該抜止片44を内方に弾性変形させることで、挿入開口からケーブルKが内部に入り込んで支持され、当該ケーブルKが支持された状態では、前記抜止片44は、原形状に復元することで、挿入開口を覆って当該ケーブルKの抜け出しを防止する。
【0068】
前記側壁面W1 と平行を保持して絶対空間に対して垂直配置された支持バーBに対する前記配線・配管材支持具S2 の取着は、当該支持バーBに対する支持バー台座Vの保持体Hの保持と同一操作にて行われる。即ち、配線・配管材支持具S2 の2個の取着片41aの離間方向を支持バーBに対して交差するように配置させて、当該2個の取着片41aの間に支持バーBを相対的に挿入配置させ、この状態で、当該配線・配管材支持具S2 の全体を所定方向に回動させると、2個の取着片41aを介して支持バーBに配線・配管材支持具S2 が取着される。
【0069】
また、上記したように、垂直配置された支持バーBを側壁面W1 に対して平行に固定配置して、当該支持バーBに配線・配管材支持具S1 (S2 )を介して単体のケーブルK又は積層状態のケーブルKを支持した場合には、当該ケーブルKが支持バーBに及ぼす力は、軸方向力のみであって、曲げ力ではないため、当該支持バーBは、大きな曲げ強度を必要としない。即ち、支持バー台座Vの保持体Hに対する支持バーBの軸方向への滑りを防止する構造は必要となるが、支持バーB自体の外径は、それ程大きくしなくても済む利点がある。
【0070】
また、図18(a),(b)には、垂直配置された支持バーBを2個の支持バー台座Vで側壁面W1 に固定配置した状態で、当該支持バーBの両端の保持間隔が長い場合において、当該支持バーBをわん曲させて、その中央部に別の支持バー台座Vを配置する前後の各状態が斜視図で図示されている。即ち、支持バーBを側壁面W1 に2個の支持バー台座Vを用いて固定配置した後に、当該支持バーBの保持間隔が長いために、その中間部に別の支持バー台座Vを配置することで、側壁面W1 に対する支持バーBの固定強度を高めたい場合である。
【0071】
この場合には、保持間隔の長い支持バーBの中間部を側壁面W1 から持ち上げて、当該側壁面W1 から離間する方向に撓ませることで、側壁面W1 との離間距離を大きくし、当該離間距離が大きくなった部分に、支持バー台座Vの保持体Hの一対の抱持片26を挿入配置させ、この状態で、固定台座Fに対して保持体Hを回動させることで、相対的に一対の抱持片26に対して既に配置されている支持バーBの中間部を抱持させる。これにより、側壁面W1 との離間距離が大きくなるように撓まされていた支持バーBは、原形状である棒状に復元して、当該支持バーBの保持間隔が短くなって、パイプ体D1 に対する支持強度が高められる。なお、支持バーBの中間部に追加的に配置された支持バー台座Vの固定部2は、当該支持バーBの直下から側方にずれた位置に配置させて、当該固定部2の釘固定用スリーブ13の釘挿通孔15に挿通された釘Nを側壁面W1 に打ち込んで、追加された支持バー台座Vを側壁面W1 に固定する。
【0072】
支持バーBの両端部を当初より支持している2個の支持バー台座V、及び当該支持バーBの中間部に後に配置されて、当該支持バーBの中間部を支持する支持バー台座Vは、それぞれ請求項6の「支持バー支持体」及び「支持バー中間固定具」の実施例に相当する。また、上記とは逆に、支持バーBを撓ませることで、支持バーBの中間部を支持している支持バー台座Vを取り外すことも可能である。
【0073】
ここで、従来において、天井面から支持ブラケットにより吊ボルトを吊り下げて、当該吊ボルトに配線・配管材を支持させる構造はあったが、当該吊ボルトは、その上端である天井面に近い端部のみが支持ブラケットにより支持されて、天井面から大きく離れた当該吊ボルトの先端部(下端部)は、非支持状態となっているため振れ易く、配線・配管材の支持が安定しない問題があり、当該問題を回避するには、吊ボルトの中間部から先端部に至る部分に振止め部材を連結して、吊ボルトの振れ止めを行う必要があった。また、振止め部材により当該吊ボルトの振れが止められても、当該振止め部材は、吊ボルトの周辺空間を大きく占有すると共に、当該振止め部材に対して他の物品が衝突する危険もある。しかし、本発明においては、垂直配置された支持バーBは、その複数箇所で支持バー台座Vにより側壁面W1 に不動状態でしっかり固定されているため、当該支持バーBに支持される配線・配管材の支持が安定化すると共に、当該支持バーBの占有空間も最小化できる。
【0074】
また、図19には、天井壁面W2 に水平に固定配置された支持バーBに、配線・配管材支持具S3 を用いて3層に積層状態のケーブルKを支持した状態の正面図が示されている。天井壁面W2 には、2個の前記支持バー台座Vを用いて支持バーBが当該天井壁面W2 に対して平行を維持して水平配置状態で固定されている。なお、支持バーBに対する支持バー台座Vの配置は、図8で2点鎖線で示される配置である。配線・配管材支持具S3 は、支持バーBの外径に対応する断面円弧状の本体部51に、前記配線・配管材支持具S2 の一対の取着片41aと同一構成の一対の取着片52が一体に形成されて、当該本体部51の長手方向の一端部における一対の取着片52と反対側に、一方向にのみ係止可能な多数の係止突起(図示せず)が連続して設けられた結束バンド体53の一端部が固着されると共に、当該結束バンド体53を挿通させる挿通孔(図示せず)が形成されたバンド体支持部54が一体に形成されている。バンド体支持部54の挿通孔に対する結束バンド体53の移動は、当該結束バンド体53を引っ張って、その結束に寄与する結束長が短くなる方向への移動のみが可能であって、その結束長が長くなる逆方向の移動は阻止される構造になっており、この構造により、当該結束バンド体53によって、積層状態のケーブルKの結束が可能となる。なお、図19において、53aは、結束バンド体53の端部を示す。
【0075】
これにより、天井壁面W2 と平行であって、絶対空間に対して水平となって当該天井壁面W2 に固定配置された支持バーBの任意の位置に、配線・配管材支持具S3 を介して積層状態のケーブルKを支持できる。即ち、支持バーBに支持される積層状態のケーブルKの数、及び配置ピッチを自在に変えられる。
【0076】
また、本発明においては、側壁面W1 、天井壁面W2 等の側面に固定される支持バー台座Vを用いて支持バーBを当該壁面に対して平行に固定しているため、例えば、図20に示されるように、天井壁面W2 の一部に凹部73が存在する場合のように、天井壁面W2 における当該凹部73を跨いだ両側の部分に、支持バー台座Vを用いて支持バーBを固定することが可能となる。図20の例では、配線・配管材支持具S3 を介して支持バーBに支持される3層に積層状態のケーブルKは、当該支持バーBの上方、即ち、前記凹部73に配置することが可能となって、当該ケーブルKの配置による当該支持バーBの周辺の占有空間を少なくできる。
【0077】
また、図21に示される施工例は、建物の側壁面W1 の途中に大きな段差部74が存在し、垂直配置された支持バーBは、その上端部が、当該段差部74に大きく入り込んで、当該支持バーBの下端部と中央部の2箇所が支持バー台座Vを介して側壁面W1 に対して平行を維持して当該側壁面W1 に固定されることで、上端部から所定長の部分が前記段差部74の側方に配置されて、片持ち支持されている。支持バーBに取着される配線・配管材支持具S4 は、前記配線・配管材支持具S1 を構成する取着部31と同一構成の取着部61と、当該取着部61における前記取着部31の側板部33bに対応する側板部に設けられた固定孔(図示せず)にビス63を介して取付けられるフック状の支持部62とから成る。なお、配線・配管材支持具S4'は、取着部61の両側板部にそれぞれフック状の支持部62が取付けられた構成である。支持バーBにおける2個の支持バー台座Vの間には、配線・配管材支持具S4 を介して2本のパイプ体D2 が支持され、当該支持バーBにおける片持ち支持されている部分には、配線・配管材支持具S4'を介して当該支持バーBの両側に、それぞれ2本のパイプ体D2 が支持され、一方側の2本のパイプ体D2 は、前記段差部74に入り込んだ状態で支持されている。
【0078】
更に、図22には、側壁面W1 に水平配置状態で固定された複数本の支持バーBに対してパイプ体D3 が配線・配管材支持具S3 を用いて垂直に支持された状態が斜視図で示されている。即ち、上下方向に所定間隔をおいて側壁面W1 に対して水平を維持して水平配置された各支持バーBは、その両端部が支持バー台座Vで支持されて、側壁面W1 に固定されている。各支持バーBには、前記配線・配管材支持具S3 が一対の取着片52によって取着され、各支持バーBの手前側において垂直方向に配管された複数本(実施例では2本)のパイプ体D3 は、各配線・配管材支持具S3 の結束バンド体53により、各支持バーBに結束・支持されている。これにより、複数本のパイプ体D3 は、各支持バーBの部分において、配線・配管材支持具S3 によって当該各支持バーBに支持されることで、側壁面W1 に沿って平行を維持して垂直配置される。
【0079】
また、支持バー台座Vを構成する固定台座Fと保持体Hとは、各回動組付け部1,20の回動中心Cを中心として相対的に回動可能な構造となっており、この構造により、当該支持バーBを壁面に対して支持固定する際に、上記した特有の作用効果が奏されるが、当該支持バーBの壁面に対する支持固定後には、固定台座Fと保持体Hとを一体化させた方が、壁面に対する支持バーBの支持固定の安定性が高まるので、例えば、保持体Hの本体部21と、固定台座Fの配置空間部5の外側の部分とをビスで回動不能に固定するとよい。
【0080】
また、図23には、垂直配置された短い支持バーBが1個の支持バー台座Vにより側壁面W1 に固定され、当該支持バーBに配線・配管材支持具S2 を介して3層のケーブルKが支持された状態の斜視図が示されている。このように、短い支持バーBを垂直配置して、当該支持バーBに配線・配管材支持具S2 を介して3層のケーブルKを支持する場合には、当該短い支持バーBには、上記したように、軸方向力のみが作用して、曲げ力は作用せず、しかも支持バー台座Vの保持部を校正する一対の抱持片26は、支持バーBの軸方向に沿って所定距離をおいて配置されているため、短い支持バーBは、1つの支持バー台座Vのみで側壁面W1 に固定支持させることが可能となる。
【0081】
また、上記実施例の支持バー台座Vは、これを構成する固定台座Fと保持体Hとが相対的に回動する構造であり、当該構造により、上記した各利点が生ずるが、本発明に係る支持バー台座においては、図24に示されるように、固定台座F’と保持体H’は、一体構造であってもよい。支持バー台座V’の保持体H’を構成する一対の抱持片26は、固定面側に開口した凹部を有する盤状の固定台座F’に一体に設けられ、当該固定台座F’には、一対の抱持片26で抱持される支持バーBの軸方向と直交する方向に沿って計3個の釘孔65が等間隔で形成され、中央の釘孔65は、一対の抱持片26で抱持される支持バーBの軸心の直下に形成されている。このように計3個の釘孔65を有することで、支持バー台座V’を「先付け」する場合には、いずれか1つ以上の釘孔65を用いて、当該支持バー台座V’を壁面に固定すると共に、支持バー台座V’を「後付け」する場合には、両端の2つの釘孔65の一方又は双方を用いて、当該支持バー台座V’を側面に固定する。なお、両端の2個の釘孔65は、支持バーBが配置された状態で、当該支持バーBと干渉しないで釘打ち可能な位置に設けられている。
【0082】
また、図20に近い配置例が示されているように、配線・配管材を支持する配線・配管材支持具のサイズが比較的小さい場合には、支持バー台座Vの保持体Hの部分を嵩上げして、嵩上げされた各保持体Hで保持される支持バーBと側面との間の空間部に、配線・配管材支持具を配置して、当該支持具に配線・配管材を支持させることも可能であって、側面からの占有空間を小さくできる利点がある。
【符号の説明】
【0083】
B:支持バー
C:回動中心
1 ~D3 :パイプ体(配線・配管材)
F:固定台座
H:保持体
K:ケーブル(配線・配管材)
1,P2 :配線・配管材の配設ピッチ
Q:支持バーの延在方向
1 ~S4 :配線・配管材支持具
V:支持バー台座
1 :側壁面(壁面)
2 :天井壁面(壁面)
1:固定台座の回動組付け部
2:固定部
20:保持体の回動組付け部
26:抱持片(抱持部、保持部)
31,41,61:取着部
32,42,62:支持部
53:結束バンド体(支持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
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図24