(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】作業車両の昇降装置及び作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 59/043 20060101AFI20220829BHJP
A01B 63/00 20060101ALI20220829BHJP
B60K 25/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A01B59/043 Z
A01B63/00 Z
B60K25/00 A
(21)【出願番号】P 2019120303
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】満居 成紀
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-54755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/043
A01B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に揺動可能に支持されるロアリンクと、
前記ロアリンクに連結されるリフトロッドと、
前記ロアリンクの上部に配置され且つ前記作業車両に揺動可能に支持される第1支持部と、前記リフトロッドを揺動可能に支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する本体部と、前記本体部の中途部に設けられ且つ伸縮自在なリフトシリンダが取り付けられる取付部とを有するリフトアームと、
を備え、
前記本体部は、前記第1支持部と前記取付部との間に設けられた第1延設部と、前記第2支持部と前記取付部との間に設けられ且つ開口部を有する第2延設部とを有し
、
前記第1延設部は中実の棒材から構成され、前記第2延設部は前記開口部が形成された中空の部材から構成され、前記第2延設部の断面積が前記第1延設部の断面積より小さくなっている作業車両の昇降装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第2延設部から分岐し且つ前記第2支持部に延設して、前記リフトロッドを揺動可能に支持する第3支持部を有し、
前記開口部は、前記第2延設部において、前記第3支持部が前記第2延設部から分岐する分岐部と前記取付部との間に設けられている請求項
1に記載の作業車両の昇降装置。
【請求項3】
前記開口部は、前記第2延設部に少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の作業車両の昇降装置。
【請求項4】
前記請求項1~
3のいずれかに記載の作業車両の昇降装置と、
前記作業車両の昇降装置に装着される作業装置と、
を備えている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業機に備えられた作業車両の昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業機は、作業車両と作業装置とを備えている。作業車両は、作業装置を牽引しながら走行する。作業装置は、特許文献1に示されるように、3点リンク機構の昇降装置(連結装置)を介して、作業機の後部に取り付けられる。
昇降装置は、リフトアームと、トップリンクと、ロアリンクと、リフトロッドと、リフトシリンダと、を有している。リフトアームは、前端部が作業車両の後上部に揺動自在に支持され、後方に向けて延びている。このリフトアームは、左右一対設けられている。トップリンクは、左右一対のリフトアームの間に配置され、前端部が作業車両の後部に揺動自在に支持されている。ロアリンクは、前端部が作業車両の後下部に揺動自在に支持され、後方に向けて延びている。リフトロッドは、上端部がリフトアームの後端部に接続されており、下端部がロアリンクに接続されている。リフトシリンダは、リフトアームに接続され、リフトアームを上下方向に揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、作業機を用いて、例えば圃場等で作業を行う場合、作業機は悪路である圃場を走行する。このとき、作業機に昇降装置を介して取り付けられたインプルメント(作業装置)に大きな負荷が掛かる。
具体的には、インプルメントを持ち上げるリフトシリンダが接続されているリフトアームに対して、大きな負荷が掛かる。例えば、圃場を耕耘するとき、作業機は悪路を走行するため、リフトアームに対して捻れが加わる。作業中にリフトアームに捻れの負荷が加わり続けることから、リフトアームは、部品の剛性を向上させるため、大きくて重い構造となっていた。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、リフトアームの強度を確保しつつ、高負荷の掛かっていない部位を減肉して重量を低減させることができる作業車両の昇降装置及び作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
作業車両の昇降装置は、作業車両に揺動可能に支持されるロアリンクと、前記ロアリンクに連結されるリフトロッドと、前記ロアリンクの上部に配置され且つ前記作業車両に揺動可能に支持される第1支持部と、前記リフトロッドを揺動可能に支持する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する本体部と、前記本体部の中途部に設けられ且つ伸縮自在なリフトシリンダが取り付けられる取付部とを有するリフトアームと、を備え、前記本体部は、前記第1支持部と前記取付部との間に設けられた第1延設部と、前記第2支持部と前記取付部との間に設けられ且つ開口部を有する第2延設部とを有し、前記第1延設部は中実の棒材から構成され、前記第2延設部は前記開口部が形成された中空の部材から構成され、前記第2延設部の断面積が前記第1延設部の断面積より小さくなっている。
【0007】
前記本体部は、前記第2延設部から分岐し且つ前記第2支持部に延設して、前記リフトロッドを揺動可能に支持する第3支持部を有し、前記開口部は、前記第2延設部において、前記第3支持部が前記第2延設部から分岐する分岐部と前記取付部との間に設けられている。
【0008】
前記開口部は、前記第2延設部に少なくとも一つ以上設けられている。
作業機は、前記作業車両の昇降装置と、前記作業車両の昇降装置に装着される作業装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の作業車両の昇降装置によれば、リフトアームの強度を確保しつつ、高負荷の掛かっていない部位を減肉して重量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】作業機の一例であるトラクタの全体の概要を模式的に示した側面図である。
【
図2】本発明の昇降装置の概要を模式的に示した図である。
【
図3】本発明の昇降装置に備えられるリフトアームの概要を模式的に示した図である。
【
図4】本発明の昇降装置に備えられるリフトアームの平面図である。
【
図5】悪路走行を想定したときのリフトアームの解析条件を示した図である。
【
図6】悪路走行を想定したときのリフトアームの解析結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の作業車両の昇降装置10及びこの昇降装置10を備える作業機1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
図1に、作業機1の一例であるトラクタ1の概要を示す。トラクタ1を例に挙げて説明するが、作業機1はトラクタ1に限定されず、田植機等の農業機械であってもよい。
【0012】
図1に示すように、トラクタ1は、作業装置2と、機体(作業車両)3とを備えている。機体3には、原動機4と、変速装置5と、走行装置6とが搭載されている。
原動機4は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関や、電動モータ等である。本実施形態では、原動機4は、ディーゼルエンジンである。変速装置5は、変速することによって走行装置6の推進力を切換可能である。また、変速装置5は、走行装置6の前進と後進の切換も可能である。
【0013】
走行装置6は、前輪6Fと後輪6Rを有する装置である。前輪6Fは、タイヤ型であってもよいし、クローラ型であってもよい。また、後輪6Rも、タイヤ型であってもよいし、クローラ型であってもよい。
機体3には、作業者が搭乗可能なキャビン7が設けられている。このキャビン7内には、運転席8と操舵装置9とが設けられている。運転席8に着座した作業者が操舵装置9を操作することにより、トラクタ1を操縦する。
【0014】
また、機体3の後部には、昇降装置10が設けられている。昇降装置10には、作業装置2が着脱可能である。また、昇降装置10は、装着された作業装置2を昇降可能である。
作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、
図1では、作業装置2として耕耘装置を機体3に取り付けた例を示している。
【0015】
図2に、本発明の昇降装置10の概要を示す。
図2に示すように、昇降装置10は、ロアリンク11と、リフトロッド12と、リフトアーム13と、トップリンク14と、リフトシリンダ15と、を備えている。また、変速装置5の後上部には、軸心が左右方向を向く横軸16が設けられている。
ロアリンク11は、機体3(作業車両)に揺動可能に支持されている。ロアリンク11は、ロアリンク11Lと、ロアリンク11Rと、を含む。
【0016】
ロアリンク11Lは、機体3の後下部の左側に取り付けられている。ロアリンク11Lは、前端部が変速装置5の後下部において上方又は下方に揺動自在に支持されている。ロアリンク11Lは、後方に向けて延びている。
ロアリンク11Rは、機体3の後下部の右側に取り付けられている。ロアリンク11Rは、前端部が変速装置5の後下部において上方又は下方に揺動自在に支持されている。ロアリンク11Rは、後方に向けて延びている。
【0017】
リフトロッド12は、ロアリンク11に連結されている。リフトロッド12は、リフト
ロッド12Lと、リフトロッド12Rと、を含む。
リフトロッド12Lは、上端部がリフトアーム13Lの後端部に接続されており、下端部がロアリンク11Lの長さ方向の中途部に接続されている。リフトロッド12Rは、上端部がリフトアーム13Rの後端部に接続されており、下端部がロアリンク11Rの長さ方向の中途部に接続されている。
【0018】
リフトアーム13は、前端部が変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に、上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム13は、リフトシリンダ15の駆動によって揺動(昇降)する。リフトアーム13は、リフトアーム13Lと、リフトアーム13Rと、を含む。
リフトアーム13Lは、機体3の後上部の左側に取り付けられている。リフトアーム13Lは、前端部が変速装置5の後上部に設けられた横軸16回りに、上方又は下方に揺動自在に支持されている。リフトアーム13Lは、後方に向けて延びている。
【0019】
リフトアーム13Rは、機体3の後上部の右側に取り付けられている。リフトアーム13Rは、前端部が変速装置5の後上部に設けられた横軸16回りに、上方又は下方に揺動自在に支持されている。リフトアーム13Rは、後方に向けて延びている。
トップリンク14は、リフトアーム13Lとリフトアーム13Rとの間に配置されている。トップリンク14は、前端部が変速装置5の後上部において上方又は下方に揺動自在に支持されている。トップリンク14は、後方に向けて延びている。
【0020】
ロアリンク11の後端部とトップリンク14の後端部には、作業装置2を連結可能なジョイント17が設けられている。ロアリンク11の後端部とトップリンク14の後端部に、ジョイント17を介して作業装置2を連結することにより、作業装置2は機体3の後部に昇降可能に連結される。
リフトシリンダ15については、油圧シリンダが採用されている。リフトシリンダ15は、制御弁(図示せず)を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁は、電磁弁等であって、リフトシリンダ15を伸縮させる。
【0021】
リフトシリンダ15は、リフトシリンダ15Lと、リフトシリンダ15Rと、を含む。リフトシリンダ15Lは、上端部がリフトアーム13Lに接続され、下端部が変速装置5の左下部に接続されている。リフトシリンダ15Rは、上端部がリフトアーム13Rに接続され、下端部が変速装置5の右下部に接続されている。
リフトシリンダ15Lが駆動すると、リフトアーム13Lが昇降するとともに、リフトロッド12Lを介してリフトアーム13Lと連結されたロアリンク11Lが昇降する。リフトシリンダ15Rが駆動すると、リフトアーム13Rが昇降するとともに、リフトロッド12Rを介してリフトアーム13Rと連結されたロアリンク11Rが昇降する。
【0022】
このように、リフトシリンダ15を駆動させることによって、作業装置2がロアリンク11の前部を支点として昇降することにより、作業装置2の高さの調整と、車体幅方向の傾きの調整を行うことができる。
詳しくは、リフトシリンダ15Lとリフトシリンダ15Rの両方を同じ駆動をさせることで、作業装置2の高さの調整を行う。一方、リフトシリンダ15Lとリフトシリンダ15Rのいずれか一方を駆動させることで、作業装置2の傾きの調整を行う。
【0023】
次に、本発明の昇降装置10のリフトアーム13について、さらに詳細に説明する。
図3、
図4に、本発明の昇降装置10のリフトアーム13の概要を示す。なお、リフトアーム13の構成や形状については一例であり、例示する構成や形状に限定されない。
図3、
図4に示すように、リフトアーム13は、第1支持部18と、第2支持部19と、本体部20と、取付部24と、を有している。
【0024】
第1支持部18は、リフトアーム13の前端部に設けられている。第1支持部18は、ロアリンク11の上部に配置されている。第1支持部18は、作業車両(機体3)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。第1支持部18には、軸心が車体幅の方向(左右方向)を向く貫通孔18Aが形成されている。貫通孔18Aの内周には、内歯車(スプライン)が形成されている。すなわち、第1支持部18は、円筒状に形成された部材である。
【0025】
第1支持部18は、貫通孔18Aの内歯車が横軸16の外周に形成された外歯車(スプライン)に噛み合うことで、横軸16に対して供回り可能に固定される。横軸16が回転することにより、第1支持部18が横軸16回りに回転する。
第2支持部19は、リフトアーム13の後端部に設けられている。第2支持部19は、リフトロッド12を揺動可能に支持する。第2支持部19には、軸心が車体幅の方向(左右方向)を向く貫通孔19Aが形成されている。すなわち、第2支持部19は、円筒状に形成された部材である。貫通孔19Aとリフトロッド12の貫通孔に軸部27が挿入されることにより、リフトロッド12が回動自在に支持される。
【0026】
本体部20は、第1支持部18と、第2支持部19とを連結する。本体部20は、第1延設部21と、第2延設部22とを有している。
第1延設部21は、第1支持部18から後方に向かって設けられている。つまり、第1延設部21は、第1支持部18と取付部24との間に設けられている。第1延設部21は、中実の棒材で形成されている。第1延設部21は、リフトロッド12とリフトシリンダ15等から加わる荷重に対して耐え得る強度を有している。
【0027】
第2延設部22は、取付部24から後方に向かって設けられている。つまり、第2延設部22は、第2支持部19と取付部24との間に設けられている。第2延設部22は、開口部26を有している。第2延設部22は、開口部26が形成されていることにより、トラス状の構造となっている。なお、開口部26については、後ほど説明する。
さらに、本体部20は、分岐部25を有している。分岐部25は、第2延設部22の長手方向中途部から二股に分岐し且つ、後方に向かって延設されている。分岐部25の後端部には、第3支持部23が設けられている。
【0028】
第3支持部23は、第2支持部19と対面する位置に設けられている。第3支持部23は、リフトロッド12を揺動可能に支持する。第3支持部23には、軸心が車体幅の方向(左右方向)を向く貫通孔23Aが形成されている。貫通孔23Aは、貫通孔19Aと対面する位置に設けられている。すなわち、第3支持部23は、第2支持部19と同様に、円筒状に形成された部材である。
【0029】
分岐された第3支持部23と第2支持部19との間に、リフトロッド12の上端部が嵌り込み、貫通孔19A,23Aとリフトロッド12の貫通孔に軸部27が挿入されることにより、リフトロッド12の上端が回動自在に支持される。軸部27に対してリフトロッド12の連結部29は、ボールジョイントなどの回動連結具30等によって連結されている。つまり、リフトアーム13の前端部はスプライン連結され、リフトアーム13の後端部は少なくとも幅方向に揺動自在に回動連結されている。
【0030】
取付部24は、本体部20の長手方向中途部に設けられている。取付部24には、伸縮自在なリフトシリンダ15が取り付けられる。
取付部24は、第1延設部21の後端部に設けられ、リフトシリンダ15の上端部を支持する。取付部24は、下方に向かって突出状に形成されている。取付部24には、軸心が車体幅の方向(左右方向)を向く貫通孔24Aが形成されている。すなわち、取付部24は、円筒状に形成された部材である。
【0031】
取付部24にリフトシリンダ15の上端部が取り付けられ、貫通孔24Aとリフトシリンダ15の貫通孔に軸部28が挿入されることにより、リフトシリンダ15が回動自在に支持される。
さて、第2延設部22には、左右方向に貫通して開口された開口部26が設けられている。詳しくは、開口部26は、第2延設部22において、第3支持部23が第2延設部22から分岐する分岐部25と取付部24との間に設けられている。開口部26は、取付部24から二股に分岐する第2延設部22の長手方向中途部の分岐部25までの間に形成されている。すなわち、開口部26は、第2延設部22の前側に形成されている。言い換えれば、開口部26は、第2延設部22が二股に分岐した後側(分岐部25等)には形成されない。
【0032】
開口部26は、第2延設部22に少なくとも一つ以上設けられている。また、開口部26の形状については、円筒状でもよいし、角筒状でもよい。
図4に示すように、第2延設部22は、長手方向に対して直交する方向の断面積(断面X-X)が、第1延設部21の断面積(断面Y-Y)より小さいものとされている。
すなわち、第1延設部21は、リフトロッド12とリフトシリンダ15等から加わる荷重に対して耐え得る強度を備えるため、中実である。一方で、第2延設部22は、高負荷とならないため、開口部26が形成されて中空となっている。そのため、第2延設部22の断面積(断面X-X)が、第1延設部21の断面積(断面Y-Y)より小さいものとなっている。
【0033】
次に、本発明のリフトアーム13の解析条件及び解析結果について、説明する。
ディスクプラウ(作業装置2)を装着した状態で整備されていない悪路(例えば、圃場等)を長時間走行するときのリフトアーム13に掛かる負荷の状況を想定して、リフトアーム13の解析条件を決定した。
図5に、悪路走行を想定したときのリフトアーム13の解析条件を示す。
【0034】
図5に示すように、ディスクプラウの慣性力と釣り合うため、リフトシリンダ15がリリーフ圧に達した際の荷重から、3点リンク機構の昇降装置10を用いて各部位の荷重を算出した。その際のプラウ重心に発生する慣性力は、リンク計算より約3~4Gに相当する。
図6に、悪路走行を想定したときのリフトアーム13の解析結果(ミーゼス応力分布)を示す。
【0035】
図6に示すように、リフトアーム13に高応力が生じていることがわかる。例えば、第1支持部18と第1延設部21との部位に、高応力が生じることがわかった。この解析結果から、リフトアーム13に掛かる荷重の傾向を再現することができていると確認した。また、解析結果より、リフトアーム13において高い強度が必要な部位にのみ、リフトロッド12とリフトシリンダ15等から加わる荷重に対して耐え得る強度を備える必要があると知見した。
【0036】
上記の解析結果に基づき、第1延設部21を負荷に耐え得る中実の棒材とし、第2延設部22の分岐手前に開口部26を設けて減肉して中空の部材とし、リフトアーム13をトラス状の構造とした。
以上、本発明の作業車両の昇降装置10によれば、リフトアーム13の強度を確保しつつ、高負荷の掛かっていない部位を減肉して重量を低減させることができる。加えて、リフトアーム13の製造コストも抑制可能となる。
【0037】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 作業機(トラクタ)
2 作業装置
3 作業車両(機体)
4 原動機
5 変速装置
6 走行装置
6F 前輪
6R 後輪
7 キャビン
8 運転席
9 操舵装置
10 昇降装置
11 ロアリンク
12 リフトロッド
13 リフトアーム
14 トップリンク
15 リフトシリンダ
16 横軸
17 ジョイント
18 第1支持部
18A 貫通孔
19 第2支持部
19A 貫通孔
20 本体部
21 第1延設部
22 第2延設部
23 第3支持部
23A 貫通孔
24 取付部
24A 貫通孔
25 分岐部
26 開口部
27 軸部
28 軸部
29 連結部
30 回動連結具