(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】プリント回路配線の修復
(51)【国際特許分類】
H05K 3/22 20060101AFI20220829BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H05K3/22 D
H05K3/10 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019194619
(22)【出願日】2019-10-25
(62)【分割の表示】P 2014250687の分割
【原出願日】2014-12-11
【審査請求日】2019-11-22
(32)【優先日】2013-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ゼノウ
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィ コトラー
(72)【発明者】
【氏名】ショシャナ ナギド
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-098251(JP,A)
【文献】特表2012-519390(JP,A)
【文献】特開平02-183592(JP,A)
【文献】特開2006-261228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/22
H05K 3/10
H05K 1/11
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階と、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、前記欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して前記欠陥を修復する、段階と、
前記金属パッチを形成する段階の後、前記欠陥の前記サイトを後処理するためにレーザビームを向ける段階と、
を備え、
前記導電配線は、所定の3次元プロファイル(3Dプロファイル)を有し、前記レーザビームを向ける段階は、前記金属パッチを前記導電配線の前記3Dプロファイルに一致させるよう前記サイトから材料をアブレーションする段階を含み、
前記材料をアブレーションする段階は、前記金属パッチの表層を酸化するが前記金属
パッチの表面をアブレーションするには不十分であるように選択された第1エネルギレベルを有する複数の第1のレーザパルスと、酸化された前記表層を除去するよう選択された、前記第1エネルギレベルよりも大きい第2エネルギレベルを有する複数の第2レーザパルスとを、前記金属パッチから前記材料を取り除くよう交互に、連続的に加える段階を含む、
方法。
【請求項2】
前記レーザビームを向ける段階は、前記材料をアブレーションする前及び後に前記金属パッチの形状を監視するために、前記金属パッチの3D画像を形成する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電配線は、複数の第1の横方向の寸法を有し、前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前記導電配線の対応する第1の横方向の寸法より大きい第2の横方向の寸法を有するように前記金属パッチを形成する段階を含み、前記材料をアブレーションする段階は、前記金属パッチの前記第2の横方向の寸法を減じる段階を含む、請求項1、2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の横方向の寸法は、高さ寸法及び幅寸法のうちの少なくとも1つを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビームを向ける段階は、前記金属パッチをアニールする複数のレーザパルスを加える段階を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
回路修復の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して前記欠陥を修復し、さらに、前記金属パッチを形成した後、前記欠陥の前記サイトを後処理するためにレーザビームを向ける、光学アセンブリと、
を備え、
前記導電配線は、所定の3次元プロファイル(3Dプロファイル)を有し、前記サイトを後処理することは、前記金属パッチを前記導電配線の前記3Dプロファイルに一致させるよう前記レーザビームを用いて前記サイトから材料をアブレーションすることを含み、
前記材料をアブレーションすることは、前記金属パッチの表層を酸化するが前記金属
パッチの表面をアブレーションするには不十分であるように選択された第1エネルギレベルを有する複数の第1のレーザパルスと、酸化された前記表層を除去するよう選択された、前記第1エネルギレベルよりも大きい第2エネルギレベルを有する複数の第2レーザパルスとを、前記金属パッチから前記材料を取り除くよう交互に、連続的に加えることを含む、
装置。
【請求項7】
前記光学アセンブリは、前記材料をアブレーションする前及び後に前記金属パッチの形状を監視するために、前記金属パッチの3D画像を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記導電配線は、複数の第1の横方向の寸法を有し、前記光学アセンブリは、レーザ放射の前記複数のパルスを向けて、前記導電配線の対応する第1の横方向の寸法より大きい第2の横方向の寸法を有するように前記金属パッチを形成し、前記材料をアブレーションすることは、前記金属パッチの前記第2の横方向の寸法を減じることを含む、請求項6,7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の横方向の寸法は、高さ寸法及び幅寸法のうちの少なくとも1つを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記サイトを後処理することは、前記金属パッチをアニールする前記レーザビームを加えることを含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してレーザ有機物質移動に関し、特に回路配線内の開放金属欠陥を修復する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年12月15日に出願された米国仮特許出願61/916,233の利益を主張する。本出願は、2010年2月7日に出願されたPCT特許出願PCT/IL2010/000106の国内段階において、2011年7月26日に出願された米国特許出願13/146,200の一部継続でもある。これらの関連出願のすべてが、参照により本明細書に組み込まれる。
レーザ直接描画(LDW)技術において、レーザビームは、制御された物質の除去又は堆積により、空間的に分解された3次元構造を用いてパターン化された表面を生成するために使用される。レーザ誘起前方転写(LIFT)は、表面上にマイクロパターンを堆積するのに適用できるLDW技術である。
【0003】
LIFTにおいて、レーザ光子は、小容量の物質をドナーフィルムからアクセプタ基板に向けて打ち出す駆動力を提供する。通常、レーザビームは、非吸収キャリア基板上に被覆されるドナーフィルムの内側と相互作用する。言い換えると、入射レーザビームは、光子がフィルムの内面により吸収される前に透明キャリアを通って伝搬する。特定のエネルギ閾値の上で、物質は、ドナーフィルムから基板の表面に向かって放出される。ここで、基板は、一般に、当技術分野で知られているLIFTシステム内で、ドナーフィルムに近接或いは接触して配置される。適用されたレーザエネルギは、照射されたフィルムの容量内に生成される前方推進の推力を制御するために変えることができる。Nagel及びLippertは、Nanomaterials: Processing and Characterization with Lasers, Singh et al., eds.(Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, 2012), pages 255-316に公表された「Laser-Induced Forward Transfer for the Fabrication of Devices」に、微細加工におけるLIFTの原理及び応用の有用な調査を提供する。
【0004】
電気回路の修復におけるLIFTの使用は、当該技術分野において知られている。例えば、開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/100635号は、回路基板上に形成された導体の修復領域を前処理するためにレーザが用いられる電気回路を修復するシステム及び方法を記載する。レーザビームは、ドナー基板の部分をそこから分離されて、所定の導体位置に移動させるように、ドナー基板に適用される。
【発明の概要】
【0005】
以下に記載される本発明の実施形態は、特に(しかし、もっぱらではない)プリント回路基板のような基板上の金属配線を修復するのに有用なLIFTの改良された方法及びシステムを提供する。
【0006】
本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を提供する段階を含み、ドナーフィルムは厚みδ及び熱拡散率αを有し、熱拡散時間τ=(δ2/4α)により特徴づけられる、材料堆積の方法が提供される。ドナー基板は、アクセプタ基板に近接し、第2の面をアクセプタ基板に向けて、位置決めされる。ドナーフィルムの熱拡散時間の2倍以下のパルス時間を有するレーザ放射のパルスが向けられて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、アクセプタ基板上にドナーフィルムからの溶融物質の液滴の放出を誘導する。
【0007】
幾つかの実施形態において、ドナーフィルムは、金属を含む。典型的な実施形態では、δ≦1μmであり、レーザパルスのパルス時間は5ナノ秒未満又は場合によっては2ナノ秒未満である。
【0008】
さらに又は代替的に、パルスを向ける段階は、液滴のアクセプタ基板への付着を促進するように選択された第1パルスエネルギで、レーザ放射の第1パルスを向け、それにより、レーザ放射の第2のパルスを向ける段階に続いて、第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、アクセプタ基板上に初期金属層を形成して、液滴が初期金属層の上に金属を積み上げる段階を含む。
【0009】
開示の実施形態では、アクセプタ基板は、プリント回路基板であり、パルスを向ける段階は、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するように、金属の堆積を誘導する段階を含む。
【0010】
通常、パルス時間は、ドナーフィルムの熱拡散時間より短いまたは等しい。
【0011】
開示の実施形態では、パルスを向ける段階は、レーザ放射をフォーカスして、ドナーフィルムの厚みδの少なくとも10倍であるビームスポットサイズでドナーフィルム上に衝突する段階を含む。
【0012】
本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を提供する段階であり、ドナーフィルムは金属を含む、提供する段階を備える、材料堆積の方法が提供される。ドナー基板は、アクセプタ基板に近接して、第2の面を前記アクセプタ基板に向け、ドナーフィルムとアクセプタ基板との間に少なくとも0.1mmのギャップを設けて、位置決めされる。レーザ放射のパルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、アクセプタ基板上にギャップを介してドナーフィルムからの金属の溶滴の放出を誘導するよう、向けられる。
【0013】
幾つかの実施形態では、ドナーフィルムとアクセプタ基板との間のギャップは、少なくとも0.2mm、又は0.5mmであるとともに、レーザ放射のパルスは、ドナーフィルム上に衝突する。
【0014】
さらに、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階を含む回路修復の方法が提供される。レーザビームは、プリント回路基板上の欠陥のサイトを前処理するために向けられる。サイトの前処理の後、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板は、欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めされる。レーザ放射のパルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥サイトにドナーフィルムからの溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するよう、向けられる。
【0015】
幾つかの実施形態では、レーザビームを向ける段階は、サイトからレーザアブレーションにより金属を取り除く段階を含む。開示の実施形態では、欠陥が導電配線内に裂け目を含むと、金属を取り除く段階は、裂け目に隣接する導電配線のエッジを前成形する段階を含む。一実施形態では、エッジを前成形する段階は、導電配線を、場合によっては導電配線内に階段スロープを形成することにより、導電配線のエッジを裂け目に向けて傾けさせるように、アブレーションする段階を含む。
【0016】
さらに又は代替的に、エッジを前成形する段階は、導電配線内のトレンチを、導電配線への液滴の付着を促進するよう、アブレーションする段階を含んでよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、レーザ放射のパルスを向ける段階は、前成形されたエッジを上に越えて延在するように、導電配線の上に溶滴を堆積する段階を含む。さらに又は代替的に、レーザ放射のパルスを向ける段階は、導電配線のプロファイルに一致するパッチを欠陥サイト内に形成するよう、導電配線の上に溶滴を堆積する段階を含む。
【0018】
他の実施形態では、レーザビームを向ける段階は、サイトの近傍の基板を粗くし、それにより基板への液滴の付着を促進するよう、プリント回路基板の基板の上にレーザビームを走査する段階を含む。一実施形態では、レーザビームを走査する段階は、基板内に穴のパターンを形成する段階を含み、穴のパターンは非直線でよい。
【0019】
開示の実施形態では、レーザビームを向ける段階は、導電配線への液滴の付着を促進するよう、レーザビームを用いて、サイトの近傍の導電配線から酸化物層をアブレーションする段階を含む。
【0020】
さらに又は代替的に、欠陥を修復する段階は、導電配線内にパッチを形成する段階を含み、方法は、欠陥を修復する段階の後、パッチを後処理するためにレーザビームを向ける段階を含む。
【0021】
さらに、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトを識別する段階を含む回路修復の方法が提供される。対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板は、プリント回路基板に近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めされる。レーザ放射の第1パルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥のサイト上にドナーフィルムからの第1の溶滴の放出を誘導するよう向けられる。第1のパルスは、プリント回路基板の基板への液滴の付着を促進して、それによりサイトで基板上に初期金属層を形成するよう選択された第1パルスエネルギを有する。レーザ放射の第2のパルスは、第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、ドナー基板の第1の面を通し、ドナーフィルム上に衝突して、ドナーフィルムから初期金属層への第2の溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するよう向けられる。
【0022】
一実施形態では、方法は、第2のパルスを向ける段階の後、欠陥を修復する金属をアニールするよう、液滴を再溶融するためにレーザビームを向ける段階を含む。さらに又は代替的に、方法は、レーザビームを、ドナーフィルムとプリント回路基板との間を飛ぶ第2の液滴を加熱するために向ける段階を含む。
【0023】
さらに、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の第1の金属材料を有する導電配線内の欠陥のサイトを識別する段階を含む回路修復の方法が提供される。対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、第1の金属材料より高いガルバニー電位を有し、第2の金属材料を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板が、欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めされる。レーザ放射のパルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥のサイト上にドナーフィルムからの第2の金属材料の溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するとともにガルバニック腐食を防止するよう、向けられる。
【0024】
一実施形態では、第1の金属材料は銅を含み、第2の金属材料は銅合金を含む。
【0025】
さらに又は代替的に、方法は、犠牲金属層を欠陥のサイトで第2の金属材料の上に堆積する段階を含み、犠牲金属層は第2の金属材料より低いガルバニーポテンシャルを有する。
【0026】
さらに、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階を含む回路修復の方法が提供される。対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板は、欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めされる。レーザ放射のパルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥サイト上にドナーフィルムからの溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して欠陥を修復するよう、向けられる。金属パッチを形成する段階の後、欠陥のサイトを後処理するためにレーザビームが向けられる。
【0027】
通常、導電配線は、所定の3次元(3D)プロファイルを有し、レーザビームを向ける段階は、パッチを導電配線の3Dプロファイルに一致させるようサイトから材料をアブレーションする段階を含む。一実施形態では、材料をアブレーションする段階は、パッチの表層を酸化するよう選択された第1エネルギレベルで第1のレーザパルスと、酸化された表層を除去するよう選択された、第1エネルギレベルよりも大きい第2エネルギレベルを有する第2レーザパルスとを、パッチから材料を取り除くよう交互に、連続的に加える段階を含む。さらに又は代替的に、レーザビームを向ける段階は、材料をアブレーションする前及び後にパッチの形状を監視するために、パッチの3D画像を形成する段階を含む。
【0028】
開示の実施形態では、レーザ放射のパルスを向ける段階は、導電配線の対応する第1の横方向の寸法より大きい第2の横方向の寸法を有するようにパッチを形成する段階を含み、材料をアブレーションする段階は、パッチの第2の横方向の寸法を減じる段階を含む。第2の横方向の寸法は、高さ寸法及び幅寸法のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
さらに又は代替的に、レーザビームを向ける段階は、金属パッチをアニールするレーザパルスを加える段階を含む。
【0030】
本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階を含む回路修復の方法が提供される。対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板は、標的領域に近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めされる。レーザ放射のパルスは、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上にドナーフィルムからの溶滴の2次元アレイの放出を誘導し、それにより標的領域をカバーするよう、向けられる。
【0031】
通常、レーザ放射のパルスを向ける段階は、アレイ内の液滴の空間密度を設定することにより、標的領域の範囲の厚みを制御する段階を含む。
【0032】
開示の実施形態では、レーザ放射のパルスを向ける段階は、六角形状のパターン内の標的領域上に液滴をプリントする段階を含む。
【0033】
さらに、本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む材料堆積の装置が提供される。ドナーフィルムは厚みδ及び熱拡散率αを有し、熱拡散時間τ=(δ2/4α)により特徴づけられる。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、アクセプタ基板に近接し、第2の面をアクセプタ基板に向けて、位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、ドナーフィルムの熱拡散時間の2倍以下のパルス時間を有するレーザ放射のパルスを向け、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、アクセプタ基板上にドナーフィルムからの溶融物質の液滴の放出を誘導するよう構成される。
【0034】
さらに、本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む材料堆積の装置が提供される。ドナーフィルムは、金属を含む。位置決めアセンブリは、ドナー基板をアクセプタ基板に近接して、第2の面をアクセプタ基板に向け、ドナーフィルムとアクセプタ基板との間に少なくとも0.1mmのギャップを設けて、位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザ放射のパルスを向けて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、アクセプタ基板上にギャップを介してドナーフィルムからの金属の溶滴の放出を誘導するよう構成される。
【0035】
さらに、本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む回路修復の装置が提供される。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザビームを向けて、プリント回路基板上の欠陥のサイト上に衝突して、サイトを前処理し、その後、レーザ放射のパルスを向けて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥サイト上にドナーフィルムからの溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するよう構成される。
【0036】
さらに、本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む回路修復の装置が提供される。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、プリント回路基板に近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザ放射の第1パルスを、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥のサイト上にドナーフィルムからの第1の溶滴の放出を誘導するよう向けるように構成され、第1のパルスは、プリント回路基板の基板への液滴の付着を促進して、それによりサイトで基板上に初期金属層を形成するよう選択された第1パルスエネルギを有する。光学アセンブリは、レーザ放射の第2のパルスを、第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、ドナー基板の第1の面を通し、ドナーフィルム上に衝突して、ドナーフィルムから初期金属層への第2の溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するよう向けるよう構成される。
【0037】
また、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の第1の金属材料を含む導電配線内の欠陥を修復する装置が提供される。装置は、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、第1の金属材料より高いガルバニー電位を有し、第2の金属材料を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザ放射のパルスを向けて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥のサイト上にドナーフィルムからの第2の金属材料の溶滴の放出を誘導し、それにより欠陥を修復するとともにガルバニック腐食を防止するよう構成される。
【0038】
さらに、本発明の実施形態によると、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む回路修復の装置が提供される。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトに近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザ放射のパルスを向けて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上の欠陥サイト上にドナーフィルムからの溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して欠陥を修復するよう構成され、さらに、金属パッチを形成した後、欠陥のサイトを後処理するためにレーザビームを向けるよう構成される。
【0039】
さらに、本発明の実施形態によると、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復する装置が提供される。装置は、対向する第1及び第2の面と第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を含む。位置決めアセンブリは、ドナー基板を、標的領域に近接して、第2の面をプリント回路基板に向けて位置決めするよう構成される。光学アセンブリは、レーザ放射のパルスを向けて、ドナー基板の第1の面に通し、ドナーフィルム上に衝突して、プリント回路基板上にドナーフィルムからの溶滴の2次元アレイの放出を誘導し、それにより標的領域をカバーするよう構成される。
【0040】
本発明は、以下の図面とともに、次の実施形態の詳細な説明より、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気回路を修復するシステムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、
図1のシステムの詳細を示す概略側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、電気回路の修復のプロセスを概略的に示すフローチャートである。
【
図4A】本発明の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。
【
図4B】本発明の別の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略図である。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。
【
図6】本発明のさらなる実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略上面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、調製及び修復後のプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態に係る、修復のための欠陥サイトの調製において用いられるレーザビーム走査パターンの概略上面図である。
【
図8B】本発明の実施形態に係る、修復のためのサイトを調製する欠陥サイトの領域内に生成される穴のパターンの概略上面図である。
【
図8C】本発明の実施形態に係る、修復のためのサイトを調製する欠陥サイトの領域内に生成される穴のパターンの概略上面図である。
【
図9A】本発明の実施形態に係る、サイトに向けての金属液滴のLIFT駆動放出を示す、プリント回路内の欠陥サイトの概略断面図である。
【
図9B】本発明の実施形態に係る、金属液滴のLIFT駆動放出の後のドナーフィルムの概略図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る、基板上の金属液滴の堆積におけるステージを示す概略断面図である。
【
図11A】本発明の実施形態に係る、基板上の金属液滴のパターンの堆積における連続ステージを示す、基板上のサイトの概略図である。
【
図11B】本発明の実施形態に係る、基板上の金属液滴のパターンの堆積における連続ステージを示す、基板上のサイトの概略図である。
【
図11C】本発明の実施形態に係る、基板上の金属液滴のパターンの堆積における連続ステージを示す、基板上のサイトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[概要]
【0043】
プリント回路基板が、より薄く、より密集した導電配線を用いることでより密になるにつれて、配線内の欠陥を修復するのがますます困難になっている。LIFTは、少なくとも理論的には、これらの困難な状況において効率的に修復するために用いることができる方法として有望である。しかし、工場の床の上でのプリント回路の修復に適切な機能を有する実際のLIFTシステムは、まだ開発及び配備されていない。
【0044】
以下に記載される本発明の実施形態は、LIFTの能力と有用性を高める方法及び装置を提供する。これらの実施形態により提供される拡張機能は、LIFTドナーフィルムからの金属液滴の放出により、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するのに特に有用である。本発明は、この特定の用途の文脈に限定されるものでないが、本明細書に記載される実施形態の態様は、必要な変更を加えて、金属及び非金属材料の両方のプリントを含む、他の種類のアクセプタ基板上のLIFTベースプリントに適用してもよい。
【0045】
当該分野で知られている金属プリントのLIFTベースシステムでは、ドナーフィルム上に衝突する高エネルギレーザパルスは、微小な金属液滴のスプレーをフィルムから放出させる。そのようなシステムを非常に微細な特徴をプリントするために使用するには(プリント回路配線内の欠陥を修復するなど)、ドナー基板をアクセプタ基板に極近接して、通常50μm未満離して、保持する必要がある。この非常に小さいドナー-アクセプタ距離は、実際の修復を実行するためにシステムを位置合わせし、制御するのに幾つかの実際的な困難を生じる。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態は、この困難を、レーザパルスエネルギと持続時間の異なる、新しいドメインで動作することにより克服する。特に、開示の実施形態は、5ナノ秒未満、通常2ナノ秒未満、多くの場合1ナノ秒未満の短レーザパルスを使用する。ドナーフィルムの厚み、パルスエネルギ、及びドナーフィルム上でのレーザスポットサイズは、短パルス時間とともに選択され、一般に、各レーザパルスはドナー材料の単一液滴を直接的に前方に、ドナー基板の表面に対する法線に対して小角のずれ(通常、約5mrad以下)のみで、放出させる。結果として、ドナーとアクセプタ基板との間の少なくとも100μm、通常少なくとも200μm又はさらに300μ以上のギャップを設けて、アクセプタ基板から比較的離れたドナー基板を用いて、確実且つ正確に動作することができる。
【0047】
これらの実施形態の原理は、レーザビームのパルス幅が、ドナーフィルムを通る熱の拡散時間にほぼ匹敵することである。結果として、液滴が、当該分野で知られているほとんどのLIFTシステムにおける液滴温度より低いと思われる制御された温度で生成され、放出される。特に、厚みδ及び熱拡散率αを有するドナーフィルムに対して、特有の熱拡散時間はτ=(δ2/4α)により与えられる。ドナー基板は、アクセプタ基板に近接し、ドナーフィルムが形成される表面をアクセプタ基板に向けて、配置される。ドナーフィルムの熱拡散時間の2倍以下、おそらくは熱拡散時間に等しい又は未満のパルス時間を有するレーザ放射のパルスは、ドナー基板の外表面を通り、ドナーフィルム上に衝突するよう向けられる。これらの短いパルスは、ドナーフィルムからアクセプタ基板上への溶融物質の液滴の制御された放出を誘導する。
【0048】
発明者らは、レーザビームをドナーフィルム上にルーズに、ドナーフィルムの厚みδの少なくとも10倍であるビームスポットサイズでフォーカスすることが、単一液滴の所望の十分制御された放出を誘導するのに有用であることも発見した。幾つかのケースでは、スポットサイズは、ドナーフィルムの厚みの20倍以上、さらに40倍以上であってよい。
【0049】
発明者らは、本明細書に記載の技術を用いるLIFTベース修復が、通常の大気条件においても十分機能し、修復が不活性条件の下で又は真空中で行われることを要しないことを見出した。そのような修復は修復材料の実質的に酸化しないで、パッチを通して良好な導電性をもたらす。
【0050】
本発明の幾つかの実施形態では、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別した後、LIFT処理が適用されて欠陥を修復する前に、レーザビームは、プリント回路基板上の欠陥のサイトを前処理するように向けられる。前処理において用いられるビームは、LIFT処理に用いられる同一レーザ(異なるビームパラメータを有するが)又は異なるレーザにより生成されてよい。
【0051】
多くの前処理技術が、続く記載に開示される。これらの前処理技術は、上述の新しいLIFT技術に関連して最適に適用されてよい。しかし、それらは、当該分野において知られている他のLIFTベース方法に関連して代替的に用いられてよい。特定の実施形態では、レーザビームは、通常、導電配線をアブレーションすることにより、裂け目に隣接する導電配線のエッジを前成形し、それにより、導電配線のエッジを裂け目に向けて傾けさせるために用いられてよい。この文脈における用語「スロープ」は、連続スロープだけでなく、階段構造のような段階スロープも示す。
【0052】
さらに又は代替的に、トレンチは、液滴の導電配線への付着を促進するよう、欠陥に隣接する導電配線内で除去されてよい。そのような浸透はパッチを弱める腐食をもたらす傾向があるため、トレンチは、元の金属と加えられた金属の修復パッチとの間への浸透に続く処理段階において用いられるエッチング液を抑制するよう、都合良くレイアウトしてよい。
【0053】
それに加えて、さらに又は代替的に、修復サイトの近傍の基板を粗くし、それにより基板への液滴の付着を促進するよう、レーザビームは、プリント回路基板の基板の上を走査してよい。通常、レーザビームは、表面に当たる金属液滴を捉えて固定するように選択された深さとサイズを有する表面内のトレンチ又は穴のいずれかの明確なパターンを生成する。パターンの密度は、通常、製造試験基準及び用途の要求を満たす十分な付着力を提供するよう、基板及びドナーフィルムの材料の特性に基づいて選択される。幾つかの実施形態において、穴は、腐食性のエッチング液の浸透を抑制するように選択された非直線パターン内に生成される。
【0054】
別の前処理ステップとして、レーザビームは、導電配線への液滴の付着を促進するよう、導電配線上に通常形成される酸化物層を除去するのに用いられてよい。
【0055】
プリント回路基板上の開いた回路欠陥を修復すると、ドナーフィルムから放出される初期金属液滴は誘電体基板に必ず付着する。上述のように基板をあらくすることで付着を促進することができるが、発明者らは、高い熱エネルギ(すなわち、高温)を有する液滴は、それらが基板に当たると跳ね返り、散乱する傾向にあることを見出した。従って、本発明の幾つかの実施形態では、散乱を低減してこの問題を克服するために、LIFTプロセスにおけるレーザ放射の初期パルスを、初期の液滴が最小量の超過熱エネルギで基板に到達するように選択された相対的に低いパルスエネルギに調節する。これらの液滴は、直ぐに固まる傾向にある。ここで、それらは、サイトで基板上に載り、そして初期金属層を形成する。
【0056】
次のレーザパルスは、それらが形成する溶滴が初期金属層に容易に付着し、そして層を構築して欠陥を修復するため、望ましくは、大きなパルスエネルギを有してよい。高エネルギで形成されるより熱い液滴は、実際、硬化した液滴の集合より機械的及び化学的により安定する傾向がある、一体化された固体塊を形成するのに有利である。液滴の固体塊への一体化は、レーザビームを向けて液滴を再溶融し、そして金属をアニールすることにより、液滴の堆積後に促進され得る。
【0057】
さらに又は代替的に、追加のレーザ加熱を、堆積段階の間(初期金属層が基板上に堆積した後)に用いて、ドナーフィルムとプリント回路基板の間を飛ぶ液滴を熱してよい。この加熱は、追加のレーザを用いて又は液滴を生成するのに用いられる同一のレーザにより、実行することができる。後者の場合に、ビームが成形されて時間的に少なくとも2つのパルスを提供すると、1つ目が液滴噴射を誘導し、2つ目が噴射後の液滴を加熱する(数10から数100ナノ秒のオーダーのパルス間の典型的遅延を伴う)。
【0058】
発明者らが金属配線のLIFTベース修復において気が付いたさらなる問題は、修復パッチ内の金属のガルバニック腐食である。この問題を回避するために、本発明の実施形態では、修復に用いられるドナーフィルムは、修復される配線の材料と異なる金属組成を備える。特に、ドナーフィルム内の金属材料は、配線より高いガルバニー電位を有するように選択される。例えば、銅配線を修復するために、少量の別の金属、通常、金、銀、又は白金のような貴金属が加えられた銅合金が、LIFTドナーとして用いられ得る。
【0059】
以下に記載される本発明の追加の実施形態は、通常、LIFTベース修復ステップが完了した後で適用される後処理ステップを提供する。これらのステップは、例えば、金属パッチの安定性及び耐腐食性を向上するとともに、パッチの体積の外側に不要な過剰な材料を取り除くために向けられる。
【0060】
上に概説し、以下にさらに記載する技術は、プリント回路配線内の欠陥を正確に、都合良く、また確実に修復するのに組み合わせて最適に用いられ得る。代替的に、これらの技術のそれぞれは、他のシステム及び方法を用いて実行されるLIFTベース修復を促進するために、個別に又は選択されたサブコンビネーションにおいて用いられ得る。さらに、これらの技術の少なくとも幾つかは、様々な他の種類のアクセプタ基板上での2又は3次元構造のLIFTベースプリントのような、他の用途において用いられ得る。
【0061】
[システムの説明]
【0062】
図1は、本発明の実施形態に係る電気回路を修復するシステムの概略図である。このシステムは、上記の米国特許出願13/146,200に記載されたシステムと同様の設計であるが、本明細書に記載されるように様々な改良を含む。このシステム及びそのコンポーネントは、単に、本明細書に記載の技術が実装される環境の種類を示すためにここに示される。これらの技術は、同様に、他のタイプの適切な装置を用いて、また他の構成において実行され得る。
【0063】
図1のシステムは、取付面24上に保持されるプリント回路基板(PCB)22のような電気回路上で動作する修復装置20の周りに構築される。用語「プリント回路基板」及び「PCB」は、本明細書において、概して、誘電体のタイプ及び堆積に用いられるプロセスに関係なく、導電配線が堆積される任意の種類の誘電体基板を示すために用いられる。装置20は、PCB22内の様々なタイプの欠陥を修復するために用いられ得るが、以下に記載される実施形態は、特に、適切な位置でPCBに導電性材料を加えることにより修復される導電配線40内の裂け目42のような、欠けている導体の欠陥を修復するのに向けられる。
【0064】
装置20は、
図2により詳細に示すように、LIFT及びPCB22上での関連する処理に適当なレーザ及び光学系を含む光学アセンブリ26を備える。(代替的に、レーザは、アセンブリ26への適当な光学接続を用いて、不図示の分離ユニット内に含まれてよい。)通常、光学アセンブリは、修復の前、間、及び後に、PCB22上の欠陥サイトの拡大像を形成する検査光学系(不図示)も有する。ブリッジ28の形態の位置決めアセンブリは、PCB22上の欠陥サイトの上の光学アセンブリ26を、装置20の軸に沿った直線移動により位置決めする。コントロールユニット30は、光学及び位置決めアセンブリの動作を制御して、以下に記載するような必要な検査及び修復動作を実行する。
【0065】
通常、コントロールユニット30は、適当なユーザインターフェース及びソフトウェアと共にプロセッサ34及びディスプレイ36を含む汎用コンピュータを備えるオペレータ端末32と通信する。インセット38内に示すように、配線40内の裂け目42のようなPCB22上に見られる欠陥は、ディスプレイ36上に表示され得る。そのような欠陥のそれぞれのサイト44は、プロセッサ34により識別される。プロセッサ34は、そのようなサイト44のそれぞれにて適用する、通常、本明細書に記載するような装置20により実行される前処理、LIFT,及び後処理ステップを含む修復プランを制作する。欠陥の識別及び修復の計画のステップは、プロセッサ34により自動的に、又はオペレータ制御の下で手動的に、又は最も典型的には自動及び手動ステップの組み合わせにより実行され得る。装置20が計画を実行すると、その結果として、欠陥44がLIFTにより生成される金属修復パッチ46を用いて充填される。
【0066】
図2は、本発明の実施形態に係る、装置20、特に光学アセンブリ26の詳細を示す概略側面図である。レーザ50は、適当な光学系52によりフォーカスされたパルス光を放出する。レーザは、例えば、コントロールユニット30により都合良く制御されるパルス振幅及び持続時間を可能にする倍周波数出力を有するパルスNd:YAGレーザを備え得る。光学系52は、レーザビームにより形成される焦点の位置とサイズを調整するために、同様に制御可能である。従って、レーザ及び光学パラメータを適切に調整することにより、前処理、LIFT、後処理ステップの幾つか又はすべてについて同一のレーザ50を使用することができる。
【0067】
代替的に、異なるビーム特性を有する追加のレーザ(不図示)は、これらのステップの幾つかについて用いられ得る。そのような追加のレーザは、用いられる場合、光学設定を簡素化するためにレーザ50と同一の波長で動作するのが望ましい。
【0068】
光学アセンブリ26が、LIFT構成における
図2に示される。光学系52は、ドナーフィルム58を有するドナー基板56を備えるドナーシート54上に、レーザ50からのビームの焦点を合わせる。通常、基板56は、ガラス又はプラスチックシートのようなトランスペアレントな光学材料を備えるとともに、配線42の修復に対して、フィルム58は、約1μmのフィルム厚みを有する銅又は銅合金のような適当な金属材料を備える。レーザ50からのビームは、(モーションアセンブリ28により)欠陥42のサイトに位置合わせされ、ドナーシート54は、PCB22の基板41からの所望のギャップ幅Dにてサイトの上に位置決めされる。通常、先に述べたように、このギャップ幅は少なくとも0.1mmであり、発明者らは、以下に記載するようなレーザビームパラメータの適当な選択を条件として、0.2mm、又はさらには0.5mm、又はより大きいギャップ幅を用いることができることを見出した。光学系52は、レーザビームを、基板56の外表面を通してフィルム58上にフォーカスし、それにより、溶解金属の液滴をフィルムから、ギャップを越えてPCB22上に放出させる。このLIFTプロセスは、
図9A,
図9B,及び
図10を参照して、以下により詳細に説明される。
【0069】
[プロセスフロー]
【0070】
図3は、本発明の実施形態に係る、電気回路の修復のプロセスを概略的に示すフローチャートである。プロセスは、明瞭性のため、装置20のコンポーネント及びPCB22を参照して説明されるが、先に述べたように、プロセスのステップは、他の用途環境において、必要な変更を加えて同様に実行され得る。
【0071】
図3のプロセスでは、続く金属印刷段階62の効率を高めるために、欠陥サイト44は、まず前処理段階60で前処理される。前処理段階60は、以下の1又は複数を含む幾つかの処理を含んでよい。
【0072】
導電性材料が修復される領域から取り除かれる導体前成形ステップ66。通常、欠陥42の近傍の配線40のエッジは、金属パッチの既存の導体への付着を促進するよう(特に、次の処理ステップにおいて用いられる腐食性の化学物質によるエッチング除去から、加えられるパッチを保護する観点から)、またパッチを修復される配線の元のプロファイルに一致させるように、成形される。さらに又は代替的に、配線40の変形のような、欠陥に関連する過剰の金属は、この段階で取り除かれ得る。ステップ66は、下で、
図4A、
図4B、
図5、及び
図6を参照してより詳細に説明される。
【0073】
欠陥サイト44の近傍の基板41が処理されて金属液滴の基板への付着を促進する基板調製ステップ68。このステップにて薄層状の基板を粗くすること、すなわち液滴が付着する表面積を増加する基板内に穴及び/又はトレンチを生成することは有益である。ステップ68は、下で、
図8Aから
図8Cを参照してより詳細に説明される。
【0074】
通常、経時的に配線40の表面上に形成される酸化層(銅酸化物のような)は、金属液滴の既存の配線への付着を促進するために取り除かれる酸化物除去ステップ70。発明者らは、配線40上に1J/cm2のオーダーのフルエンス(F)を有するパルスを放出するようにレーザ50を制御することにより、銅酸化物層を迅速且つ効率的に取り除くことができることを見出した。(本記載及び特許請求の範囲では、スポット径は、ガウシアンレーザビームを仮定して、4σ幅を用いて指定され、計算されたフルエンス値は、スポット径により割られたパルスエネルギを示す。)
【0075】
欠陥サイトが調製されると、装置20は、
図2に示される構成において操作されて、印刷段階62において実際の修復を実行する。この段階は、
図9A、
図9B、及び
図10において特に示される。
【0076】
裂け目42が、段階62においてパッチ46を用いて充填された後、後処理段階64において修復のロバスト性を高めるために、多くの追加のステップが実行されてよい。通常、修復サイトは、元の金属配線40ほど強くなくてよく、従って、次のPCB22の組立段階及びPCBの使用時において損傷を受けやすい。そのような損傷の受けやすさを軽減するために、段階64は、以下のステップの1又は複数を含む幾つかの処理を含んでよい。
【0077】
レーザ50が余剰の材料を基板41から除去して、修復パッチ46をトリミングし、周囲の表面上に蓄積された破片を取り除くクリーニングステップ72。
【0078】
レーザ50がパッチ46から材料を除去して、パッチを元のPCB設計ルールに一致させるパッチレベリングステップ73。
【0079】
レーザ50がパッチ46内の金属の液滴を再溶解して、パッチ、特にその外表面を滑らかにし、均質化する局所的アニーリングステップ74。
【0080】
追加の犠牲層がパッチ46の上に堆積される層プリントステップ76。
【0081】
これらのステップの理論的根拠及びそれらの実装の詳細は、以下に、特に「修復サイトの後処理」の章に記載される。
【0082】
[修復サイトの前処理]
【0083】
図4Aは、本発明の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。 この実施形態は、発明者らにより発見された問題について述べる。LIFTを適用して、配線40内の裂け目42を修復すると、マイクロボイドが切断された配線の鋭い角の内側のプリントされた金属内に形成する傾向がある。これらのマイクロボイドは、エッチング液がボイドに浸透するにつれて、次のエッチングステップの間に修復の質を損ない、寄生容量をもたらし、金属の完全性を弱める。従って、ステップ66では、レーザ50が適用されて、配線40を除去し、配線のエッジを裂け目に向けて傾けさせる。
【0084】
実際問題として、連続スロープをアブレーションするのは困難であるが、発明者らは、均等な効果が、
図4Aに示されるような階段スロープ80をアブレーションすることにより達成することができることを見出した。通常、顕著なマイクロボイドは、ステップの高さ10μm又はより大きい高さで生じ得る。従って、スロープ80内のステップは高さ10μmより低いのが望ましい。発明者らは、7μmステップが良い結果を与えることを見出した。所望のステップを生成するために、光学系52は、通常、約5μmの配線40上のスポット径を与えるよう調節される。
【0085】
図4Bは、本発明の別の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略図である。この実施形態は、本例において、裂け目42が配線40と広いパッド82の間で生じていることを除いて、
図4Aと同様である。この場合、パッド82はステップ66で除去され、2次元内で開口する階段スロープ84を生成する。ステップ66の目的に対する代替的スロープ構成が、当業者に明らかであり、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0086】
通常、PCB内の配線は、誘電体基板の積層と交互に複数の連続層内に形成される。 本明細書に記載の修復は、誘電体の次の層がかぶせられる前に、導体の任意の層において実行され得る。しかし、誘電体をかぶせるに先立って、PCBの表面を清浄するために、「ソフトエッチング」プロセスが一般に適用される。発明者らは、このソフトエッチングは、パッチと既存の配線の間のインターフェースでちょうど形成された金属パッチをアンダーカットする傾向にあり、それによりパッチと配線の間の付着を弱めることを見出した。この問題についての多くの可能なソリューションが以下に説明される。
【0087】
図5は、本発明の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。この場合、階段スロープ80は、より広いアッパーステップ86を加えることにより拡張されている。結果として、幾つかのアンダーカットがソフトエッチングの結果として生じても、パッチ46と配線40の間の接触面積は、良好な付着を確保するのにまだ十分である。
【0088】
図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る、修復のために調製されたプリント回路における欠陥サイトの概略上面図である。この場合、レーザ50は、配線40の上面内のトレンチ88、90を除去するために操作される。これらのトレンチは、パッチのプリント金属と下にある配線の間の接触面積を増やし、それにより付着を促進する。トレンチは、配線の長さに沿って、又は配線を越えて、または
図6に示すように両方に沿って配置され得る。(図中に示される2つの配線方向の組み合わせは、特に、パッチの側面の真下にエッチング液の浸透を防止するのに有用である。)発明者らは、パルス当たり3-4μJでレーザ50を動作し、レーザビームを配線40の表面上で5-9μmのスポット径にフォーカスすることにより、そのようなトレンチを生成するのに良い結果を得ている。代替的に、穴のパターンは、例えば
図8B及び
図8Cに示すように、同様の目的で用いることができる。
【0089】
図7は、本発明の実施形態に係る、調製及び修復後のプリント回路における欠陥サイトの概略断面図である。この図は、印刷段階62においてパッチ46の堆積後の欠陥を示すことから、実際にはステップ68に関係しない。それにもかかわらず、それはソフトエッチングに続く弱められたパッチ付着の問題に対する更なるソリューションを提供するから、ここに示す。この場合、溶解金属液滴が、段階62において配線40の上に堆積されて、それによりパッチ46が配線の前成形されたエッジの上を越えて延在する。結果として、パッチのエッジ92は、配線40の上部の上に突出し、それにより、パッチと配線の間のインターフェースをアンダーカットから保護する。このソリューションは、それ自体又は上述の前処理ソリューションとの組み合わせにおいて用いることができる。
【0090】
代替的に、パッチ46は、エッジ92を加えることなく、配線40の寸法プロファイルに正確に一致するようプリントされてよい。もし必要であれば、あらゆる過剰の金属は、さらに以下に説明するように、ステップ73にて取り除かれてよい。
【0091】
図8Aは、本発明の実施形態に係る、ステップ68での修復のための欠陥サイトの調製において用いられるレーザビーム走査パターン100,102の概略上面図である。ステップ68の必要は、修復下にあるPCBにおいて用いられる基板のタイプに依存する。基板の粗さは、金属液滴の基板への付着強化において有用であり、段階62にてPCB基板上へ放出される金属液滴は、基板が滑らかすぎると十分に付着し得ない。この問題を軽減するために、レーザ50のビームを基板の上に走査して、修復サイトの近傍の基板を粗くし、それにより、液滴の基板への付着を促進してよい。
【0092】
あらゆる適当な走査パターンを、この目的のために用いることができる。例えば、
図8Aに示す直交ラスタパターン100及び102を、基板内にマイクロキャビティのアレイを形成するのに用いることができる。レーザ50を、基板上で約13μmのスポット径及び走査ライン間の約20μmのピッチでもって約2μJのパルスを放出するよう設定することで、適切な結果が得られる。パターン100及び102は、段階62内でその後に形成されるパッチの実際の幅を越えて延在するのが望ましい。
【0093】
図8Bは、本発明の実施形態に係る、修復のためのサイトを調製する欠陥サイトの領域内に生成される穴101のパターン103の概略上面図である。穴101は、基板41内に形成される、通常、2-8μmの範囲内の深さを有する小さい穴を備える。レーザパラメータは、通常、穴101の直径が、例えば4-10μmの範囲の予想される液滴の直径(LIFT条件に依存する)よりわずかに大きくなるように調節される。隣接する穴の間の距離は小さく、通常、修復領域内に高い穴密度を提供するよう穴の直径より小さい。
【0094】
図8Cは、本発明の代替的な実施形態に係る、欠陥サイトの領域内に生成される穴101のパターン105の概略上面図である。この図に示すように、穴101を直線格子上にレイアウトする必要はなく、実際、他のレイアウトが、穴の密度を増大し、穴の間の空間内に溶媒の浸透を抑制するのに望ましい。例えば、
図8C内の穴101は、パターンに加えられる特定量の無秩序をもって、略三角配置でレイアウトされる。その結果として、溶媒溶剤が穴の間を横切ることのできる界面パス106は、穴が直線格子内にレイアウトされた場合の均等パスより相当に長く且つ狭い。
【0095】
[LIFTプリント]
【0096】
図9Aは、本発明の実施形態に係る、サイトに向かうドナーフィルム58からの金属液滴106のLIFT駆動放出を示す、欠陥サイト42の概略断面図である。この図は、その持続時間がフィルムを通る熱拡散に必要な時間に匹敵するレーザパルスを有する照射フィルム58の効果を示す。先に述べたように、厚みδ(すなわち、
図9A内の垂直方向の寸法)及び熱拡散率αを有するドナーフィルムに対して、フィルムを通る熱拡散時間はτ=(δ
2/4α)である。銅の熱拡散率αは約1cm
2/秒であり、厚みδ=1μmの銅膜に対して、τはおよそ0.25ナノ秒になる。
【0097】
当該分野で知られている金属液滴のLIFTプリントの技術は、通常、約200nm未満の厚みのドナー金属フィルムを用いて、少なくとも10ナノ秒のレーザパルス時間を用いる。この領域では、パルス幅は、熱拡散時間より何倍も長く、その結果、粘性の液体層と同様の噴出特性を有するフィルム内に拡張された溶解領域(溶解プール)が形成される。この場合、多くの小さい液滴が乏しい方向性をもって放出される。この領域内への液滴を正確な堆積するために、ドナー及びアクセプタが共に極近接して配置されなければならない。
【0098】
一方、本実施形態では、極短いレーザパルス時間が用いられる。最適には、パルス時間は、熱拡散時間τの2倍以下、おそらくはτに等しい、それともそれ未満に制限され得る。言い換えると、サブナノ秒レーザパルスが、通常、厚みδ=1μmの銅膜から液滴を放出するために用いられる。代替的に、幾つかの条件において、パルスは2ナノ秒、あるいは幾つかの場合には5ナノ秒としてよい。通常、レーザパルスは、3-4μJの範囲内のビームエネルギを有する。少なくとも特定のLIFTステップに対して、少なくともドナーフィルムの厚みδの10倍のビーム直径、例えば、20-30μmのビーム直径の大きなレーザビーム面積が望ましい。
【0099】
図9Bは、本発明の実施形態に係る、液滴106のLIFT駆動放出の後のドナーフィルム58の概略図である。上述のレーザパルスパラメータの選択は、ドナーフィルム内に「火山」パターン104を生じる。この「火山噴出」型は、単一液滴106を、通常、フィルム表面の法線の約5mradの範囲内の高い指向性で、放出させる。
【0100】
液滴放出の高い指向性の重要な結果は、相対的に大きなギャップDをドナーシート54とアクセプタ基板41の間に、プリントの正確さを妥協することなく、可能とすることである。これらの状況下のドナー基板56は、フィルム58を少なくとも0.1mmアクセプタ基板から離して、容易に位置決めすることができ、通常、少なくとも0.2mmアクセプタ基板から離して、或いはレーザ放射のパルスがドナーフィルムに衝突する限り、0.5mmまで離して位置決めすることができる。
【0101】
図10は、本発明の実施形態に係る、基板41上の欠陥サイトでの金属液滴の堆積におけるステージを示す概略断面図である。この実施形態では、薄い銅層110が、シード層として使われるために、最初に誘電体基板41上にプリントされる。その後、追加の金属液滴112は、十分の材料が積み上げられて欠陥を修復するまで、層110上に堆積される。
【0102】
図10内の第1段階は、基板自体(通常、有機薄層)に載り、作用する銅の液滴により特徴づけられるとともに、第2ステップでは、液滴は基板と直接作用しないプリント銅上に載る。高い熱エネルギを有する基板上に載る溶解金属液滴は、頻繁に、基板から跳ね返り、初期標的から幾らかの距離離れて載る。この跳ね返り効果は、シード層の生成において、大きなフットプリント及び低減された効率をもたらす。この効果を回避するために、本発明の実施形態では、レーザパルスパラメータ(エネルギ、パルス時間、及びビームサイズ)は上述のように制御されて、後のプロセス段階に対して下げられた温度を有する大きな溶滴が、基板41上に初期層110を生成している間、フィルム58から放出される。基板に当たる際、これらの大きな液滴は、跳ね返るというよりも、場所内に付着して拡がる傾向にある。
【0103】
この「拡がり型」が機能すると、層110の幅と高さは、レーザパルスエネルギを調整することにより制御することができる。パターンが微細になるほど(すなわち、修復されるラインが狭いほど)、この段階で用いられるレーザパルスエネルギが低くなる。
【0104】
他方、追加の液滴112の構成を積み上げるために、より高いレーザパルスエネルギが、プロセスの効率と質の両方を高めるのに望ましい。より高いパルスエネルギは、別個の硬化した球体を成長するというより、より多くの固体塊を形成するように、層110に及び互いに溶け込む傾向にある、より熱い液滴を生じる。
【0105】
基板41の標的領域(上記の例における修復サイトのような)の上にパッチを生成するために、レーザ放射をドナーフィルムに加えて、アクセプタ基板の標的領域をカバーする液滴の2次元アレイを放出させる。追加の液滴112がプリントされる際のパッチの厚みの成長速度は、プリントシナリオと液滴の間のオーバーラップとに依存する。これらのプリントパラメータも、多孔性又はプリント構成のコンパクトさを定義する。例えば、ドナーフィルム58上のレーザスポット間の最小距離D=Dx=Dyを与えると、液滴空間密度は、基板41上の標的領域内の行又は列のそれぞれに沿ってプリントされて、液滴は間隔dx=dy=D/kで等分布する、液滴の数を示す整数kにより定義することができる。ほとんどの実際のケースでは、装置20及び装置におけるLIFTプリントプロセスのパラメータの制約を与えると、寸法Dは約30μmである。各層により加えられるパッチ厚みhkは、整数kの離散関数である。発明者らは、一般に、次の関係が成り立つことを見出した。
【0106】
【0107】
ここで、h0は一定であり、通常0.1と0.5μmの間で変化する。
【0108】
従って、標的領域の範囲の厚みは、アレイ内の液滴の空間密度をおよそ設定することにより、制御されることができる。従って、良好の厚み分解能を達成するために、kは可能な限り小さいことが望ましいが、他方、kの大きな値は、(特に液滴の境界での抵抗を下げる)よりコンパクトな構成を達成するのに望ましい。通常のシナリオでは、D≒30μmを与えると、発明者らは、kの値は7以上になるはずであることを見出した。従って、厚み分解能hkは、5μmのオーダー又はそれより大きい。
【0109】
LIFTプリントパッチのより微細な高さ分解能を達成する1つの方法は、この制限にもかかわらず、実際に必要とされるよりもより大きい高さにパッチをオーバープリントし、そしてレベリングステップ73にてパッチを(プリントステップ62において用いられた同一のレーザ又は別のレーザを用いて)除去することである。過剰な高さのアブレーションは、この目的のために用いられるレーザに応じて、1μm未満の高さ分解能の達成を可能にする。代替的に、局所的、機械的研磨が、この目的のために用いられることができる。さらに又は代替的に、装置20は、プリント及び/又は次のアブレーションの間、パッチ高さフィードバックを提供するために、パッチの3次元測定を実行するセンサ(不図示)を含んでよい。
【0110】
図11A-
図11Cは、本発明の実施形態に係る、サイトでの金属液滴のパターンの堆積における連続ステージを示す、基板124上の修復サイト120の概略図である。この実施形態では、液滴122、124、126は、基板124に、最もコンパクトな可能な方法においてパッチ領域を満たすために六角形状のハニカムパターンにプリントされる。
【0111】
前の例のように、次元Dx×Dyのセル(この場合においては必ずしも正方形ではない)は、X及びY方向(
図11Aから
図11Cにおける水平及び垂直方向)に、整数密度kにより、上で定義したように、水平及び垂直方向の液滴の間隔dx及びdyで分割される。これらの間隔を有する液滴122の第1の六角形状アレイは、
図11Aに示すようにプリントされる。光学アセンブリ26は、
図11Bに示すように液滴122の間のギャップの一部を満たす液滴126の追加のアレイをプリントするため、次のベクトルにより、修復サイト120に対してシフトされる(又はその逆)。
【0112】
【0113】
液滴128のさらなるアレイは、次のベクトルにより、修復サイトをシフトすることによりプリントされる。
【0114】
【0115】
従って、液滴間のギャップのすべてが、
図11Cに示すように満たされる。シフトが任意の所望の順序で実行されてよく、必ずしも
図11A-
図11Cに示されない。
【0116】
随意に、層110に当たる液滴112の温度は、レーザビームを向けてドナーフィルム58とプリント回路基板の間を飛ぶ液滴を加熱することにより、さらに上がり得る。このアプローチを用いて(不図示)、液滴温度を、それ自体の放出プロセスにより達成できる最大温度を超えて上げることができる。レーザビームは、各液滴に、それが形成された後、ドナーフィルムからアクセプタに飛んでいる間に、追加の熱エネルギを提供する。
【0117】
そのような余分の加熱は、例えば、追加のレーザ照射を、液滴を放出するのに用いられるパルスレーザビームと直線上に設けることにより、達成できる。追加のレーザビームは、ドナーフィルム内に形成される火山パターン104の穴を通り、そしてそれがアクセプタに当たるまで、金属液滴を加熱し続けることができる。ドナーフィルムから形成され、分離した後の液滴の加熱は純粋な熱プロセスであり、フィルムからの液滴の機械的放出の可能な歪みを回避する。原理上、液滴は、このように、その蒸発温度近くまで加熱することができる。結果として、加熱された液滴は、載った際に、既に堆積した金属の幾つかを再溶融し、それにより液滴の付着を促進する十分な熱エネルギを有する。
【0118】
放出された液滴を加熱するのに用いられる追加のレーザビームは、パルスがその表面を蒸発することなく液滴容量を効率的に加熱するのに十分長ければ、CW又はパルスのいずれであってよい。パルス時間は、望ましくは、溶解金属液滴内の熱拡散時間より長くあるべきであるが、ドナーからアクセプタへ液滴の飛ぶ時間(通常、マイクロ秒のオーダー)より短くあるべきである。
【0119】
上述の液滴加熱の技術に加えて又は代えて、修復パッチ46内の液滴の単一塊への凝固は、ステップ74にてパッチをアニーリングすることにより、後処理段階64において促進することができる。パルスレーザ(通常、3-4μJのパルス及び5-13μmの範囲における修復パッチ上の焦点スポット径)を用いて再溶解する表面は、均一性、表面平滑性、金属層の全体的な品質を高めて、化学的攻撃を受け難くする。レーザパルスの持続時間が長いほど再溶解はプリント金属層内に深く入り、熱は金属内に深く伝わり、より完全に再溶解を起こす。
【0120】
代替的には、上述のように、パッチが過剰な高さに重ねてプリントされ、そしてステップ73にてレーザアブレーションによりダウントリミングされると、ステップ74にて実行される追加の平滑化は不要になる。発明者らは、パッチ表面から3-4μmをアブレーションすると、付加的な利点として、特にアブレーションレーザを高いパルスエネルギで操作すると、アニーリングにより達成されるそれと同様の平滑度が得られることを見出した。
【0121】
マイクロエッチングステップ(ソフトエッチングとも参照される)は、酸化物を取り除いて、層の間の良好な接触と良好な付着を促進するために、一般に、連続層の薄層の間にPCB製造において実行される。この種類のマイクロエッチングは、同様に、上述のように欠落したところに金属が加えられる修復セッションの後に実行される。従って、修復に用いられる金属材料は、マイクロエッチングプロセスに耐えられることが重要である。
【0122】
マイクロエッチングは、パッチ46と配線40の間のインターフェースにガルバニック腐食を生じ易い。ガルバニック腐食は、接触している2つの金属部分の間のポテンシャル差が腐食性の電気化学的効果を駆動するプロセスであり、金属部分が液によりカバーされると(それらがマイクロエッチング中にあるような)、この効果は電気分解プロセスにより加速される。問題の2つの金属部分間の面積比も、腐食速度に決定的な効果を有する。従って、プリント金属パッチ46の小さい面積がはるかに大きい、元の銅回路配線40よりわずかに低いポテンシャルを有すると、パッチは迅速に、おそらくはほんの数秒で離れて腐食され得る。そのようなポテンシャル差は、修復パッチに用いられる純粋な銅液滴に対してこれらの配線のポテンシャルをわずかに上げることができるPCBの銅配線内の少量の他の金属イオンにより生じ得る。
【0123】
この問題を克服するために、ドナーフィルム58は、銅より高いガルバニー電位を有する追加の金属材料を備えてよい。言い換えると、フィルム58は、通常、プリントされたパッチを保護するために、それをより陰極にするのに十分な、わずかにドープしされた銅合金を含む。通常、銀、金、又は白金のような貴金属又はそのような金属の組み合わせの1-2%のオーダーの低い割合で加えることで、所望の保護を提供するのに十分である。
【0124】
[修復サイトの後処理]
【0125】
上述のステップに加えて又は代わりに、様々な処理が、腐食及び他の損傷からパッチ46を保護するために、後処理段階64において適用されてよい。例えば、先に説明したようにアニーリングステップ74は、化学的攻撃に曝される外部表面積を低減するため、パッチの腐食への耐性を増大するのに有用であり得る。パッチ46の表面上で溶滴を再溶解することにより、ステップ74は、腐食攻撃を受けやすい液滴間のインターフェース領域を減らす。
【0126】
さらに又は代替的に、犠牲金属層がパッチ46の上にプリントされてよい。この犠牲層は、通常、パッチの製造に用いられる銅(又は他の金属)より低いガルバニーポテンシャルを有するスズのような金属を含む。犠牲層は、続いて、マイクロエッチングステップの間にエッチング除去されるが、下にあるパッチは保護される。効果的な犠牲層は、プリントされた純粋な銅層、或いは陽極銅層であってよい(Al、Mg、又は他の適当な元素のような低いポテンシャル金属の配線を用いる銅からなる)。
【0127】
先に述べたように、ステップ73(
図3)は、(加えられた)金属パッチ46を元のPCB設計ルールに一致して、超過のパッチの高さ及び/又は幅を取り除くようにレベルするために適用されてよい。通常、ステップ62の結果として、金属パッチは、配線40より大きな横方向の寸法を有する。これは、パッチが垂直又は水平方向のいずれか、又は両方において、配線40の元のラインの厚みより厚いことを意味する。ステップ73では、十分制御された段階的なレーザアブレーションプロセスを、パッチ46の上部層から過剰の金属を徐々に取り除くために用いて、元の配線40のそれに近い値にパッチ全体の厚み(横方向の寸法)をもたらすことができる。
【0128】
同一の種類のプロセスを、パッチ幅に関するステップ62及び73にて適用してよい。液滴は、ステップ62にて、レーザ50により、配線40の元のラインの幅より大きい幅を超えて、基板41上にプリントされてよい。そして、ステップ73にて、レーザは、パッチの側面、同様に上部から過剰な材料を除去する。このアブレーションは、パッチの側面を平坦にする望ましい効果も達成し、それにより、上述したように、その均一性を高め、化学的攻撃に対する脆弱性を低減する。
【0129】
過剰の金属は、レーザが異なるエネルギレベルで操作される反復二段階プロセスにおいて、ステップ73にて取り除くことができる。第1のステップでは、レーザは、酸化を起こすには十分だが、パッチ46の表面をアブレーションするには不十分の低エネルギパルスを放出する。第2のステップでは、レーザは、第1のステップにおいて形成された酸化物層を除去する高エネルギパルスを放出する。これらの2つのステップは、所望の量の材料が取り除かれるまで、反復的に繰り返される。
【0130】
ステップ73は、パッチ46の3D成形を促進して、それを配線40の元の3D形状に極一致させるインライン3Dイメージングと関連して実行されてよい。レーザビームをフォーカスするのに用いられる同一の光学対物レンズを、3D画像情報を獲得するのに用いることができる。特に、幾つかの画像を取ることにより、画像から画像にわずかにシフトされる対物レンズの焦点を用いて、3D構成を回復するために、深さ情報を抽出することができる。
【0131】
上述の実施形態は例として引用されていることが理解されよう、また、本発明は、特に上で示され、記載されたものに限定されるものではないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方、前述の説明を読めば当業者が想到する、先行技術において開示されてない変形及び変更を含む。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の構成もまた開示される。
[項目1]
材料堆積の方法であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を提供する段階であり、前記ドナーフィルムは厚みδ及び熱拡散率αを有し、熱拡散時間τ=(δ
2
/4α)により特徴づけられる、段階と、
前記ドナー基板を、アクセプタ基板に近接し、前記第2の面を前記アクセプタ基板に向けて、位置決めする段階と、
前記ドナーフィルムの前記熱拡散時間の2倍以下のパルス時間を有するレーザ放射の複数のパルス(複数のレーザパルス)を向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記アクセプタ基板上に前記ドナーフィルムからの溶融物質の複数の液滴の放出を誘導する、段階と、
を備える方法。
[項目2]
前記ドナーフィルムは、金属を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
δ≦1μmであり、前記複数のレーザパルスの前記パルス時間は5ナノ秒未満である、項目2に記載の方法。
[項目4]
前記複数のレーザパルスの前記パルス時間は2ナノ秒未満である、項目3に記載の方法。
[項目5]
前記複数のパルスを向ける段階は、前記複数の液滴の前記アクセプタ基板への付着を促進するように選択された第1パルスエネルギで、前記レーザ放射の複数の第1パルスを向け、それにより、前記レーザ放射の複数の第2のパルスを向ける段階に続いて、前記第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、前記アクセプタ基板上に初期金属層を形成して、前記複数の液滴が前記初期金属層の上に前記金属を積み上げる段階を含む、項目2から4のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
前記アクセプタ基板は、プリント回路基板であり、前記複数のパルスを向ける段階は、前記プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するように、前記金属の堆積を誘導する段階を含む、項目2から5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記パルス時間は、前記ドナーフィルムの前記熱拡散時間より短いまたは等しい、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記ドナー基板は、前記第2の面を前記アクセプタ基板から少なくとも0.1mm離して位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
前記ドナー基板は、前記アクセプタ基板から少なくとも0.2mm離れて前記第2の面に位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記複数のパルスを向ける段階は、前記レーザ放射をフォーカスして、前記ドナーフィルムの前記厚みδの少なくとも10倍であるビームスポットサイズで前記ドナーフィルム上に衝突する、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前記レーザ放射を前記ドナーフィルムに加えて、前記アクセプタ基板の標的領域をカバーする複数の液滴のアレイの前記放出を引き起こす段階を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
[項目12]
材料堆積の方法であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を提供する段階であり、前記ドナーフィルムは金属を含む、段階と、
前記ドナー基板をアクセプタ基板に近接して、前記第2の面を前記アクセプタ基板に向け、前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板との間に少なくとも0.1mmのギャップを設けて、位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記アクセプタ基板上に前記ギャップを介して前記ドナーフィルムからの前記金属の複数の溶滴の放出を誘導する、段階と、
を備える方法。
[項目13]
前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板との間の前記ギャップは、少なくとも0.5mmであるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記アクセプタ基板はプリント回路基板であり、前記複数のパルスを向ける段階は、前記プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するように、前記金属の堆積を誘導する段階を含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階と、
前記プリント回路基板上の前記欠陥のサイトを前処理するためにレーザビームを向ける段階と、
前記サイトの前処理の後、対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、前記欠陥の前記サイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記サイトに前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復する、段階と、
を備える方法。
[項目16]
前記レーザビームを向ける段階は、前記サイトからレーザアブレーションにより金属を取り除く段階を含む、項目15に記載の方法。
[項目17]
前記欠陥は、前記導電配線内の裂け目を含み、前記金属を取り除く段階は、前記裂け目に隣接する前記導電配線のエッジを前成形する段階を含む、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記エッジを前成形する段階は、前記導電配線を、前記導電配線の前記エッジを前記裂け目に向けて傾けさせるように、アブレーションする段階を含む、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記導電配線をアブレーションする段階は、前記導電配線内に階段スロープを形成する段階を含む、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記エッジを前成形する段階は、前記導電配線内の複数のトレンチを、前記導電配線への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、アブレーションする段階を含む、項目17から19のいずれか一項に記載の方法。
[項目21]
前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前成形された前記エッジを上に越えて延在するように、前記導電配線の上に前記複数の溶滴を堆積する段階を含む、項目17から20のいずれか一項に記載の方法。
[項目22]
前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前記導電配線のプロファイルに一致するパッチを前記サイト内に形成するよう、前記導電配線の上に前記複数の溶滴を堆積する段階を含む、項目17から21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
前記レーザビームを向ける段階は、前記サイトの近傍の前記基板を粗くし、それにより前記基板への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、前記プリント回路基板の基板の上に前記レーザビームを走査する、項目15から22のいずれか一項に記載の方法。
[項目24]
前記レーザビームを走査する段階は、前記基板内に複数の穴のパターンを形成する段階を含む、項目23に記載の方法。
[項目25]
前記複数の穴の前記パターンは、非直線である、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記レーザビームを向ける段階は、前記導電配線への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、前記レーザビームを用いて、前記サイトの近傍の前記導電配線から酸化物層をアブレーションする段階を含む、項目15から25のいずれか一項に記載の方法。
[項目27]
前記欠陥を修復する段階は、前記導電配線内にパッチを形成する段階を含み、前記方法は、前記欠陥を修復する段階の後、前記パッチを後処理するために前記レーザビームを向ける段階を備える、項目15から26のいずれか一項に記載の方法。
[項目28]
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトを識別する段階と、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、前記プリント回路基板に近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数の第1のパルスを、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の第1の溶滴の放出を誘導するよう向ける段階であり、前記複数の第1のパルスは、前記プリント回路基板の基板への前記複数の第1の溶滴の付着を促進して、それにより前記サイトで前記基板上に初期金属層を形成するよう選択された第1パルスエネルギを有する、段階と、
前記レーザ放射の複数の第2のパルスを向ける段階であり、前記第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、前記ドナー基板の前記第1の面を通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記ドナーフィルムから前記初期金属層への複数の第2の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復する、段階と、
を備える方法。
[項目29]
前記ドナー基板は、前記第2の面を前記プリント回路基板から少なくとも0.1mm離して位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記複数の第1のパルス及び前記複数の第2のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目28に記載の方法。
[項目30]
前記複数の第2のパルスを向ける段階の後、前記欠陥を修復する前記金属をアニールするよう、前記複数の第2の溶滴を再溶融するためにレーザビームを向ける段階を備える、項目28または29に記載の方法。
[項目31]
レーザビームを、前記ドナーフィルムと前記プリント回路基板との間を飛ぶ前記複数の第2の溶滴を加熱するために向ける段階を備える、項目28から30のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の第1の金属材料を有する導電配線内の欠陥のサイトを識別する段階と、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、前記第1の金属材料より高いガルバニー電位を有し、第2の金属材料を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、前記欠陥の前記サイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの前記第2の金属材料の複数の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復するとともにガルバニック腐食を防止する、段階と、
を備える方法。
[項目33]
前記第1の金属材料は銅を含み、前記第2の金属材料は銅合金を含む、項目32に記載の方法。
[項目34]
犠牲金属層を前記欠陥の前記サイトで前記第2の金属材料の上に堆積する段階を備え、前記犠牲金属層は前記第2の金属材料より低いガルバニーポテンシャルを有する、項目32または33に記載の方法。
[項目35]
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階と、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、前記欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して前記欠陥を修復する、段階と、
前記金属パッチを形成する段階の後、前記欠陥の前記サイトを後処理するためにレーザビームを向ける段階と、
を備える方法。
[項目36]
前記導電配線は、所定の3次元プロファイル(3Dプロファイル)を有し、前記レーザビームを向ける段階は、前記パッチを前記導電配線の前記3Dプロファイルに一致させるよう前記サイトから材料をアブレーションする段階を含む、項目35に記載の方法。
[項目37]
前記材料をアブレーションする段階は、前記パッチの表層を酸化するよう選択された第1エネルギレベルで複数の第1のレーザパルスと、酸化された前記表層を除去するよう選択された、前記第1エネルギレベルよりも大きい第2エネルギレベルを有する複数の第2レーザパルスとを、前記パッチから前記材料を取り除くよう交互に、連続的に加える段階を含む、項目36に記載の方法。
[項目38]
前記レーザビームを向ける段階は、前記材料をアブレーションする前及び後に前記パッチの形状を監視するために、前記パッチの3D画像を形成する段階を含む、項目36または37に記載の方法。
[項目39]
前記導電配線は、複数の第1の横方向の寸法を有し、前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前記導電配線の対応する第1の横方向の寸法より大きい第2の横方向の寸法を有するように前記パッチを形成する段階を含み、前記材料をアブレーションする段階は、前記パッチの前記第2の横方向の寸法を減じる段階を含む、項目36から38のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記第2の横方向の寸法は、高さ寸法及び幅寸法のうちの少なくとも1つを有する、項目39に記載の方法。
[項目41]
前記レーザビームを向ける段階は、前記金属パッチをアニールする複数のレーザパルスを加える段階を含む、項目35から40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]
回路修復の方法であって、
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を識別する段階と、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板を、標的領域に近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする段階と、
レーザ放射の複数のパルスを向ける段階であり、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の2次元アレイの放出を誘導し、それにより前記標的領域をカバーする、段階と、
を備える方法。
[項目43]
前記レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、前記アレイ内の前記複数の溶滴の空間密度を設定することにより、前記標的領域の範囲の厚みを制御する段階を含む、項目42に記載の方法。
[項目44]
レーザ放射の前記複数のパルスを向ける段階は、六角形状のパターン内の前記標的領域上に前記複数の溶滴をプリントする段階を含む、項目42または43に記載の方法。
[項目45]
材料堆積の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板であり、前記ドナーフィルムは厚みδ及び熱拡散率αを有し、熱拡散時間τ=(δ
2
/4α)により特徴づけられる、ドナー基板と、
前記ドナー基板を、アクセプタ基板に近接し、前記第2の面を前記アクセプタ基板に向けて、位置決めする位置決めアセンブリと、
前記ドナーフィルムの前記熱拡散時間の2倍以下のパルス時間を有するレーザ放射の複数のパルス(複数のレーザパルス)を向け、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記アクセプタ基板上に前記ドナーフィルムからの溶融物質の複数の液滴の放出を誘導する、光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目46]
前記ドナーフィルムは、金属を含む、項目45に記載の装置。
[項目47]
δ≦1μmであり、前記複数のレーザパルスの前記パルス時間は5ナノ秒未満である、項目46に記載の装置。
[項目48]
前記複数のレーザパルスの前記パルス時間は2ナノ秒未満である、項目47に記載の装置。
[項目49]
前記光学アセンブリは、前記複数の液滴の前記アクセプタ基板への付着を促進するように選択された第1パルスエネルギで、前記レーザ放射の複数の第1パルスを向け、前記ドナーフィルム上に衝突し、それにより、前記レーザ放射の複数の第2のパルスを向ける段階に続いて、前記第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、前記アクセプタ基板上に初期金属層を形成して、前記複数の液滴が前記初期金属層の上に前記金属を積み上げる段階を含む、項目46から48のいずれか一項に記載の装置。
[項目50]
前記アクセプタ基板は、プリント回路基板であり、前記光学アセンブリは、前記プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するために、前記金属の堆積を誘導するよう前記複数のパルスを向ける、項目46から49のいずれか一項に記載の装置。
[項目51]
前記パルス時間は、前記ドナーフィルムの前記熱拡散時間より短いまたは等しい、項目45から50のいずれか一項に記載の装置。
[項目52]
前記ドナー基板は、前記第2の面を前記アクセプタ基板から少なくとも0.1mm離して位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目45から51のいずれか一項に記載の装置。
[項目53]
前記ドナー基板は、前記第2の面を前記アクセプタ基板から少なくとも0.2mm離して位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目52に記載の装置。
[項目54]
前記光学アセンブリは、前記レーザ放射をフォーカスして、前記ドナーフィルムの前記厚みδの少なくとも10倍であるビームスポットサイズで前記ドナーフィルム上に衝突する、項目45から53のいずれか一項に記載の装置。
[項目55]
前記光学アセンブリは、前記レーザ放射を前記ドナーフィルムに加えて、前記アクセプタ基板の標的領域をカバーする複数の液滴のアレイの前記放出を引き起こす、項目45から54のいずれか一項に記載の装置。
[項目56]
材料堆積の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されるドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板であり、前記ドナーフィルムは金属を含む、ドナー基板と、
前記ドナー基板をアクセプタ基板に近接して、前記第2の面を前記アクセプタ基板に向け、前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板との間に少なくとも0.1mmのギャップを設けて、位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記アクセプタ基板上に前記ギャップを介して前記ドナーフィルムからの前記金属の複数の溶滴の放出を誘導する、光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目57]
前記ドナーフィルムと前記アクセプタ基板との間の前記ギャップは、少なくとも0.5mmであるとともに、前記レーザ放射の前記複数のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目56に記載の装置。
[項目58]
前記アクセプタ基板はプリント回路基板であり、前記光学アセンブリは、前記プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復するために、前記金属の堆積を誘導するよう前記複数のパルスを向ける、項目56または57に記載の装置。
[項目59]
回路修復の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザビームを向けて、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に衝突して、前記サイトを前処理し、その後、レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復する光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目60]
前記サイトを前処理することは、前記サイトからレーザアブレーションにより金属を取り除くことを含む、項目59に記載の装置。
[項目61]
前記欠陥は、前記導電配線内の裂け目を含み、前記サイトを前処理することは、前記裂け目に隣接する前記導電配線のエッジを前成形することを含む、項目60に記載の装置。
[項目62]
前記エッジを前成形することは、前記導電配線を、前記導電配線の前記エッジを前記裂け目に向けて傾けさせるように、アブレーションすることを含む、項目61に記載の装置。
[項目63]
前記導電配線をアブレーションすることは、前記導電配線内に階段スロープを形成することを含む、項目62に記載の装置。
[項目64]
前記エッジを前成形することは、前記導電配線内の複数のトレンチを、前記導電配線への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、アブレーションすることを含む、項目61から63のいずれか一項に記載の装置。
[項目65]
前記光学アセンブリは、前記レーザビームを向けて、前記前成形されたエッジを上に越えて延在するように、前記導電配線の上に前記複数の溶滴の堆積を誘導する、項目61から64のいずれか一項に記載の装置。
[項目66]
前記光学アセンブリは、前記レーザビームを向けて、前記導電配線のプロファイルに一致するパッチを前記サイト内に形成するよう、前記導電配線の上に前記複数の溶滴の堆積を誘導する、項目61から65のいずれか一項に記載の装置。
[項目67]
前記光学アセンブリは、前記サイトの近傍の前記基板を粗くし、それにより前記基板への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、前記プリント回路基板の基板の上に前記レーザビームを走査する、項目59から66のいずれか一項に記載の装置。
[項目68]
前記レーザビームは、前記基板内に複数の穴のパターンを形成するよう操作される、項目67に記載の装置。
[項目69]
前記複数の穴の前記パターンは、非直線である、項目68に記載の装置。
[項目70]
前記光学アセンブリは、前記レーザビームを向けて、前記導電配線への前記複数の溶滴の付着を促進するよう、前記サイトの近傍の前記導電配線から酸化物層を除去する、項目59から69のいずれか一項に記載の装置。
[項目71]
前記欠陥を修復することは、前記導電配線内にパッチを形成することを含み、前記光学アセンブリは、前記欠陥を修復した後、前記パッチを後処理するために前記レーザビームを向ける、項目59から70のいずれか一項に記載の装置。
[項目72]
回路修復の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて金属を含むドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、プリント回路基板に近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数の第1のパルスを、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の欠陥のサイト上に前記ドナーフィルムからの複数の第1の溶滴の放出を誘導するよう向ける光学アセンブリであり、前記複数の第1のパルスは、前記プリント回路基板の基板への前記複数の第1の溶滴の付着を促進して、それにより前記サイトで前記基板上に初期金属層を形成するよう選択された第1パルスエネルギを有する、光学アセンブリと、を備え、
前記光学アセンブリは、前記レーザ放射の複数の第2のパルスを、前記第1パルスエネルギより大きい第2パルスエネルギで、前記ドナー基板の前記第1の面を通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記ドナーフィルムから前記初期金属層への複数の第2の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復するよう向ける、装置。
[項目73]
前記ドナー基板は、前記第2の面を前記プリント回路基板から少なくとも0.1mm離して位置決めされるとともに、前記レーザ放射の前記第1及び第2のパルスは、前記ドナーフィルム上に衝突する、項目72に記載の装置。
[項目74]
前記光学アセンブリは、前記複数の第2のパルスを向けた後、前記欠陥を修復する前記金属をアニールするよう、前記複数の第2の溶滴を再溶融するためにレーザビームを向ける、項目72または73に記載の装置。
[項目75]
前記光学アセンブリは、レーザビームを、前記ドナーフィルムと前記プリント回路基板との間を飛ぶ前記複数の第2の溶滴を加熱するために向ける、項目72から74のいずれか一項に記載の装置。
[項目76]
プリント回路基板上の第1の金属材料を含む導電配線内の欠陥を修復する装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、前記第1の金属材料より高いガルバニー電位を有し、第2の金属材料を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、前記欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの前記第2の金属材料の複数の溶滴の放出を誘導し、それにより前記欠陥を修復するとともにガルバニック腐食を防止する、光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目77]
前記第1の金属材料は銅を含み、前記第2の金属材料は銅合金を含む、項目76に記載の装置。
[項目78]
前記光学アセンブリは、前記欠陥の前記サイトで前記第2の金属材料の上への犠牲金属層の堆積を誘導し、前記犠牲金属層は前記第2の金属材料より低いガルバニーポテンシャルを有する、項目76または77に記載の装置。
[項目79]
回路修復の装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、プリント回路基板上の導電配線内の欠陥のサイトに近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上の前記欠陥の前記サイト上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の放出を誘導し、それにより金属パッチを形成して前記欠陥を修復し、さらに、前記金属パッチを形成した後、前記欠陥の前記サイトを後処理するためにレーザビームを向ける、光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目80]
前記導電配線は、所定の3次元プロファイル(3Dプロファイル)を有し、前記サイトを後処理することは、前記パッチを前記導電配線の前記3Dプロファイルに一致させるよう前記レーザビームを用いて前記サイトから材料をアブレーションすることを含む、項目79に記載の装置。
[項目81]
前記材料をアブレーションすることは、前記パッチの表層を酸化するよう選択された第1エネルギレベルで複数の第1のレーザパルスと、酸化された前記表層を除去するよう選択された、前記第1エネルギレベルよりも大きい第2エネルギレベルを有する複数の第2レーザパルスとを、前記パッチから前記材料を取り除くよう交互に、連続的に加えることを含む、項目80に記載の装置。
[項目82]
前記光学アセンブリは、前記材料をアブレーションする前及び後に前記パッチの形状を監視するために、前記パッチの3D画像を形成する、項目80または81に記載の装置。
[項目83]
前記導電配線は、複数の第1の横方向の寸法を有し、前記光学アセンブリは、レーザ放射の前記複数のパルスを向けて、前記導電配線の対応する第1の横方向の寸法より大きい第2の横方向の寸法を有するように前記パッチを形成し、前記材料をアブレーションすることは、前記パッチの前記第2の横方向の寸法を減じることを含む、項目80から82のいずれか一項に記載の装置。
[項目84]
前記第2の横方向の寸法は、高さ寸法及び幅寸法のうちの少なくとも1つを有する、項目83に記載の装置。
[項目85]
前記サイトを後処理することは、前記金属パッチをアニールする前記レーザビームを加えることを含む、項目79から84のいずれか一項に記載の装置。
[項目86]
プリント回路基板上の導電配線内の欠陥を修復する装置であって、
対向する第1及び第2の面と前記第2の面上に形成されて、金属を有するドナーフィルムとを有するトランスペアレントなドナー基板と、
前記ドナー基板を、標的領域に近接して、前記第2の面を前記プリント回路基板に向けて位置決めする位置決めアセンブリと、
レーザ放射の複数のパルスを向けて、前記ドナー基板の前記第1の面に通し、前記ドナーフィルム上に衝突して、前記プリント回路基板上に前記ドナーフィルムからの複数の溶滴の2次元アレイの放出を誘導し、それにより前記標的領域をカバーする光学アセンブリと、
を備える装置。
[項目87]
前記光学アセンブリは、前記アレイ内の前記複数の溶滴の空間密度を変更して、前記標的領域の範囲の厚みを制御する、項目86に記載の装置。
[項目88]
前記光学アセンブリは、六角形状のパターン内の前記標的領域上に前記複数の溶滴をプリントする、項目86または87に記載の装置。