(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置、および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21V 17/00 20060101AFI20220829BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220829BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220829BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220829BHJP
【FI】
F21V17/00 200
F21V5/00 510
G02B3/00
F21S2/00 480
(21)【出願番号】P 2019509930
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2018012554
(87)【国際公開番号】W WO2018181387
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017063376
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(72)【発明者】
【氏名】平加 健介
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216322(JP,A)
【文献】特開2009-049239(JP,A)
【文献】特開2013-242499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 17/00
F21V 5/00
G02B 3/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体と、複数の脚部と、
下方向に突出する下方向凸部を有し、
前記レンズ本体は、
下面側に、発光素子からの出射光を入射する入射領域を有し、
上面側に、前記入射領域からの入射光を外部に出射する出射領域を有し、
前記脚部は、
前記発光素子が実装される基板への実装用の脚部であり、
前記レンズ本体の下面に、下方向に突出して配置され、
前記複数の脚部は、
前記レンズ本体の下面側の中心を中心とする同一円周上に、等間隔で配置され、
前記下方向凸部は、
前記レンズ本体の下面側に配置され、
前記同一円周上に配置されており、
下記条件
1を満たすことを特徴とする光束制御部材。
(条件1)
幅が異なる2本の溝に対して、前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される
。
【請求項2】
前記脚部の数が、3以上である、請求項
1記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記脚部の数が、3つであり、
前記下方向凸部の数が、2つであり、
隣り合う前記脚部の間に1つの前記凸部が配置されている、請求項
1または2記載の光束制御部材。
【請求項4】
レンズ本体と、複数の脚部とを有し、
前記レンズ本体は、
下面側に、発光素子からの出射光を入射する入射領域を有し、
上面側に、前記入射領域からの入射光を外部に出射する出射領域を有し、
前記脚部は、
前記発光素子が実装される基板への実装用の脚部であり、
前記レンズ本体の下面に、下方向に突出して配置され、
前記複数の脚部のうち、少なくとも1つ脚部の断面が、楕円形状であり、残りの脚部の断面が、円形状であり、
下記条件1を満たすことを特徴とする光束制御部材。
(条件1)
幅が異なる2本の溝に対して、前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される。
【請求項5】
前記脚部の数が、3以上である、請求項
4記載の光束制御部材。
【請求項6】
前記複数の脚部は、
前記レンズ本体の下面側の中心を中心とする同一円周上に、等間隔で配置されている、請求項
4または5記載の光束制御部材。
【請求項7】
前記楕円形状の脚部の数が2つであり、
前記円形状の脚部の数が1つであり、
前記2つの楕円形状の脚部は、
それぞれの短手方向の直径が、前記円形状の脚部の直径と同じであり、
それぞれの長手方向が、平行である、請求項
4から6のいずれか一項に記載の光束制御部材。
【請求項8】
基板と、発光素子と、前記光束制御部材とを有し、
前記基板上に、
複数の発光素子が実装され、
前記発光素子を覆うように、前記光束制御部材が実装され、
前記光束制御部材が、請求項1から
7のいずれか一項に記載の光束制御部材であることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
複数の光束制御部材を、溝を有するレールに通過させて整列させる整列工程と、
前記レールを通過して整列した複数の光束制御部材を、それぞれ、整列した向きのまま、発光素子が実装された基板上へ移動し、前記発光素子を覆うように実装する実装工程とを有し、
前記光束制御部材が、請求項1から
7のいずれか一項に記載の光束制御部材であり、
前記整列工程が、下記条件
1’を満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
(条件1’)
前記レールが、幅が異なる2本の溝を有し、前記光束制御部材の前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDに代表される発光素子から出射された光の配光を制御するレンズである光束制御部材、発光装置、および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示装置には、表示パネルに光を照射する面光源装置であるバックライトが配置されている。前記バックライトは、例えば、発光素子としてLEDが実装されたLED基板と、前記LEDからの出射光を拡散させるレンズとを有する。前記LED基板は、一般的に、短冊状であり、その長手方向において、所定の間隔でLEDが実装されている。そして、さらに、前記LED基板上に、前記LEDを覆うように前記レンズが実装されている。前記レンズは、例えば、下面側にはLEDから出射された光を入射する入射領域を有し、上面側には前記入射領域から入射した光を外部に出射する出射領域を有し、下面側に前記基板に実装するための凸状の脚部を有している。前記LED基板に対して、前記レンズは、前記脚部の先端において、接着剤等による接着で、実装されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記レンズは、例えば、前記入射領域や前記出射領域が回転対称(円対称、2回対象、4回対象等)に形成され、この回転軸は、前記レンズの中心軸と一致する。そして、前記レンズは、例えば、前記LED基板の種類や目的等から、前記レンズの中心軸を回転軸とした回転方向の向きを、前記LED基板において、所望の向きに整列させることが望ましい場合がある。しかし、前述の通り、前記レンズは、一般的に、入射領域や出射領域が回転対称であるため、前記LED基板上に実装する際、例えば、前記LED基板の長手方向に対して、前記レンズの回転方向の向きを、所望の向きに整列させることが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、例えば、前記回転方向における向きを容易に整列することができる、バックライトの発光素子用のレンズ(すなわち、光束制御部材)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の光束制御部材は、
レンズ本体と、複数の脚部とを有し、
前記レンズ本体は、
下面側に、発光素子からの出射光を入射する入射領域を有し、
上面側に、前記入射領域からの入射光を外部に出射する出射領域を有し、
前記脚部は、
前記発光素子が実装される基板への実装用の脚部であり、
前記レンズ本体の下面に、下方向に突出して配置され、
下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。
(条件1)
幅が異なる2本の溝に対して、前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される。
(条件2)
1本の溝に対して、前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、前記レンズ本体または前記全ての脚部が、前記溝に収容される。
【0007】
本発明の発光装置は、
基板と、発光素子と、前記光束制御部材とを有し、
前記基板上に、
複数の発光素子が実装され、
前記発光素子を覆うように、前記光束制御部材が実装され、
前記光束制御部材が、前記本発明の光束制御部材であることを特徴とする。
【0008】
本発明の発光装置の製造方法は、
複数の光束制御部材を、溝を有するレールに通過させて整列させる整列工程と、
前記レールを通過して整列した複数の光束制御部材を、それぞれ、整列した向きのまま、発光素子が実装された基板上へ移動し、前記発光素子を覆うように実装する実装工程とを有し、
前記光束制御部材が、前記本発明の光束制御部材であり、
前記整列工程が、下記条件1’または下記条件2’を満たすことを特徴とする。
(条件1’)
前記レールが、幅が異なる2本の溝を有し、前記光束制御部材の前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される。
(条件2’)
前記レールが、1本の溝を有し、前記光束制御部材の前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、前記レンズ本体または前記全ての脚部が、前記溝に収容される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光束制御部材は、前記条件1または条件2を満たすことから、例えば、対応する溝を有するレールを通過させるのみで、前記光束制御部材の回転方向の向きを、所定の方向に制御できる。このため、例えば、バックライトの構成である発光装置を製造する際に、前記光束制御部材の向きを所定の方向に向かせた状態で、LED基板上に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(A)は、実施形態1Aの光束制御部材10の上面図、(B)は、下面図、(C)は、(A)および(B)におけるI-I方向から見た断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1Aにおける光束制御部材10と溝との関係を示す概略図である。
【
図3】
図3(A)は、実施形態1Bの光束制御部材30の上面図、(B)は、下面図、(C)は、(A)および(B)におけるII-II方向から見た断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1Bにおける光束制御部材30と溝との関係を示す概略図である。
【
図5】
図5(A)は、実施形態2Aの光束制御部材50の上面図、(B)は、下面図、(C)は、(A)および(B)におけるIII-III方向から見た断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2Aにおける光束制御部材50と溝との関係を示す概略図である。
【
図7】
図7(A)は、実施形態2Bの光束制御部材70の上面図、(B)は、下面図、(C)は、(A)および(B)におけるIV-IV方向から見た断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2Bにおける光束制御部材70と溝との関係を示す概略図である。
【
図9】
図9(A)は、実施形態1Cの光束制御部材90の上面図、(B)は、下面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1Cにおける光束制御部材90と溝との関係を示す概略図である。
【
図11】
図11(A)は、実施形態1Dの光束制御部材110の上面図、(B)は、下面図である。
【
図12】
図12は、実施形態1Dにおける光束制御部材110と溝との関係を示す概略図である。
【
図13】
図13(A)は、実施形態2Cの光束制御部材130の上面図、(B)は、下面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2Cにおける光束制御部材130と溝との関係を示す概略図である。
【
図15】
図15は、実施形態2Dにおける光束制御部材150と溝との関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記脚部の数が、3以上である。
【0012】
本発明の光束制御部材は、例えば、さらに、下方向に突出する下方向凸部を有し、
前記凸部は、前記レンズ本体の下面側に配置され、前記条件1を満たす。
【0013】
本発明の光束制御部材において、例えば、前記複数の脚部は、前記レンズ本体の下面側の中心を中心とする同一円周上に、等間隔で配置され、前記下方向凸部は、前記同一円周上に配置されている。
【0014】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記脚部の数が、3つであり、前記下方向凸部の数が、2つであり、隣り合う前記脚部の間に1つの前記凸部が配置されている。
【0015】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記複数の脚部のうち、少なくとも1つ脚部の断面が、楕円形状であり、残りの脚部の断面が、円形状であり、前記条件1を満たす。
【0016】
本発明の光束制御部材において、例えば、前記複数の脚部は、前記レンズ本体の下面側の中心を中心とする同一円周上に、等間隔で配置されている。
【0017】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記楕円形状の脚部の数が2つであり、前記円形状の脚部の数が1つであり、前記2つの楕円形状の脚部は、それぞれの短手方向の直径が、前記円形状の脚部の直径と同じであり、それぞれの長手方向が、平行である。
【0018】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記複数の脚部の数が3つであり、前記レンズ本体の下面側において、それぞれの前記脚部が、二等辺三角形の頂点となるように、配置されており、前記条件2を満たす。
【0019】
本発明の光束制御部材は、例えば、さらに、径方向外側に突出する径方向凸部を有し、前記凸部は、前記レンズ本体の側面から外方向に向かって配置され、前記条件2を満たす。
【0020】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記レンズ本体の側面の任意の箇所と、前記任意の箇所から前記レンズ本体の中心線を挟んだ反対側の側面に、一対の前記径方向凸部が配置されている。
【0021】
本発明の光束制御部材は、基板上に実装された光学素子からの出射光を入射し、外部に出射するレンズであり、例えば、バックライト用に使用される。このため、本発明の光束制御部材は、例えば、バックライトの光学素子用のレンズということもできる。前記光学素子は、特に制限されず、例えば、LED等があげられる。
【0022】
本発明の光束制御部材において、光の拡散性は、何ら制限されない。光の拡散性が、異方拡散性の場合、拡散特性の向きを揃える際等に、本発明の光束制御部材が使用できる。また、例えば、光束制御部材を成形する際に樹脂を注入するためのゲートが、光束制御部材の側面に形成される。光の拡散性が、等方拡散性の場合には、ゲートの位置がバックライトの出射面上で明部として認識される場合があり、この明部を周辺部材によって対策するには、決まった向きで光束制御部材が配置される必要がある。本発明の光束制御部材は、そのような場合にゲートの向きを揃えるために使用してもよい。
【0023】
本発明の光束制御部材は、例えば、前記条件1を満たす第1の光束制御部材と、前記条件2を満たす第2の光束制御部材とがあげられる。以下に、本発明の光束制御部材の実施形態を示す。特に示さない限り、各実施形態は、その他の実施形態の記載を援用できる。以下の実施形態において、本発明の光束制御部材を実装する対象の発光素子として、LEDを例示するが、本発明は、この例示には制限されず、LED以外の発光素子にも同様に適用できる。
【0024】
まず、本発明の第1の光束制御部材の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。各図において、同一箇所には同一符号を付している。なお、図においては、説明の便宜上、各部の構造は、適宜、簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、図の条件には制限されない。実施形態1Aおよび1Bは、四回対称の異方性レンズの具体例であり、実施形態1Cおよび1Dは、二回対称の異方性レンズの具体例であるが、本発明において、拡散性の種類は、何ら制限されず、等方性でも異方性でもよく、多様な種類のレンズに対応できる。
【0025】
[実施形態1A]
図1に、前記第1の光束制御部材の一例を示す。
図1において、(A)は、光束制御部材10の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図であり、(C)は、前記(A)および(B)をI-I方向から見た断面図である。なお、各図の下の矢印は、上方向から見た平面図、下方向から見た平面図、および断面図における同一方向を示すために、便宜上、付した矢印である(以下、同様)。
【0026】
本実施形態の光束制御部材10は、レンズ本体11と、脚部13(13a、13b、13c)と、下方向凸部15(15a、15b)とを有する。レンズ本体11は、その上面11a側に、前記発光素子からの出射光を入射する入射領域を有し、その下面11b側に、前記入射領域からの入射光を外部に出射する出射領域を有し、前記LED基板への実装側となる。レンズ本体11の下面11b側は、中央に、前記LED基板上のLEDを覆うための凹部14を有し、凹部14の周りに、脚部13a、13b、13cが配置されている。レンズ本体11の下面11b側は、脚部13aと13cとの間、脚部13bと13cとの間に、それぞれ、下方向凸部15a、15bが配置されている。
図1に示すように、光束制御部材10は、例えば、側面側にゲート16が残存してもよい。ゲート16は、複数の光束制御部材10を同時に成型し、複数の光束制御部材10が連なった成型体から各光束制御部材10を切り出した際、光束制御部材10の側面に残存する凸状の部位である。ゲート16は、例えば、あってもよく、無くてもよく、ゲート16がある場合、例えば、さらに、前記回転方向の向きを目視等で確認する際の目印として利用することができる。
【0027】
レンズ本体11は、光を拡散できればよく、その種類は、特に制限されない。レンズ本体11は、例えば、等方性レンズでもよいし、異方性レンズでもよい。前記異方性レンズをLED基板に実装する場合、その性質から、前記回転方向を揃えることが好ましい。本発明によれば、前述のように、容易にレンズの回転方向を揃えることができるため、本発明は、特に、レンズ本体11を異方性レンズとする場合に有用である。
【0028】
レンズ本体11の形状および大きさは、特に制限されない。レンズ本体11の形状は、例えば、円状、角状等があげられる。前記円状は、例えば、円、真円、楕円等があげられる。前記角状は、例えば、正方系、長方形、多角形等があげられ、その角部は、例えば、丸みを有してもよい。レンズ本体11の大きさは、特に制限されず、円状の場合、例えば、中心を通る直径が、10~20mmであり、角状の場合、例えば、中心を通る長さが、10~15mmである。
【0029】
レンズ本体11の材質は、特に制限されず、例えば、光を透過させる材質である。前記材質は、例えば、ガラス、透明樹脂等があげられ、前記透明樹脂は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂等があげられる。脚部13および下方向凸部15は、例えば、レンズ本体11と一体成型できることから、これらの材質も、例えば、同様である。
【0030】
レンズ本体11の下面11b側における凹部14は、前述のように、例えば、LED基板に実装する際、LEDを覆う領域となり、主として、この凹部14の内面からレンズ本体11内に、LEDから出射される光が入射する。凹部14の大きさは、特に制限されず、例えば、LED基板におけるLEDの大きさに応じて、適宜決定できる。
【0031】
脚部13a、13b、13cは、例えば、レンズ本体11の下面11bの中心を中心とする同一円周上に配置されており、具体的には、脚部13の軸中心が、前記同一円周上に配置されている。脚部13a、13b、13cは、例えば、前記同一円心上に、等間隔で配置されており、レンズ本体11の下面11bの中心に対して、例えば、同様の角度(例えば、120°)で配置されているともいえる。このようにバランスよく配置することで、例えば、より安定した成形性が得られる。
【0032】
脚部13の形状および大きさは、特に制限されない。脚部13の形状は、例えば、円柱状、角柱状等があげられる。脚部13は、例えば、その断面が、上下方向において同じ大きさでもよいし、上から下方向に向かって狭まっていく形状でもよい。
【0033】
脚部13は、下方向の先端において、接着剤等により、前記LED基板に実装される。このため、脚部13の下方向の先端は、例えば、相対的に小さい面積であることが好ましい。これによって、本発明の光束制御部材が実装されたLED基板について、例えば、前記接着剤等による光学的特性への影響を、より抑制することができる。
【0034】
本実施形態において、脚部13は、3つ(13a、13b、13c)であるが、これには制限されない。脚部13の数は、特に制限されず、例えば、3以上である。3つの脚部で前記基板に接着した場合、例えば、前記基板への接着面積が小さな脚部であっても、前記基板に対するレンズ本体11の実装時の傾きを、十分に抑制することができる。
【0035】
下方向凸部15a、15bは、例えば、脚部13が配置されている前記同一円周上に、配置されており、具体的には、下方向凸部15の軸中心が、前記同一円周上に配置されている。下方向凸部15a、15bは、脚部13aと13cとの間、脚部13bと13cとの間に、それぞれ、配置されている。下方向凸部15a、15bは、例えば、脚部13aと13cとから等距離に配置され、下方向凸部15bも、例えば、脚部13bと13cとから等距離に配置される。
【0036】
脚部13と下方向凸部15との大きさの関係は、特に制限されない。光束制御部材10を金型成形する場合、下方向凸部15は、例えば、金型キャビティ内で成形した光束制御部材10を、突出しピンにより前記金型キャビティ内から突き出す際の、突き出しピン痕を代用することができる。この場合、下方向凸部15の寸法は、例えば、突き出しピンとして十分な径寸法であることが好ましい。
【0037】
脚部13の長さと下方向凸部15の長さとの関係は、特に制限されない。光束制御部材10は、脚部13により前記基板に実装されるため、例えば、脚部13を前記基板に接着した際に、下方向凸部15は、前記基板と干渉しない長さである。また、本実施形態の光束制御部材10は、前述のように、条件1を満たすことから、脚部13および下方向凸部15の長さは、例えば、前記条件1における2本の溝に挿入され得る長さであって、且つ、前記基板に対するレンズ本体11を、LEDからの出射光をレンズ本体11内に適切に入射できる高さに固定できる程度の長さに設定する。
【0038】
つぎに、
図2に、光束制御部材10と、幅が異なる2本の溝との関係の概略を示す。
図2における光束制御部材10は、
図1(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
【0039】
図2(A)に示すように、光束制御部材10は、下方向凸部15a、15bを有することによって、所定の方向を向いた場合にのみ、全ての脚部13と全ての下方向凸部15とが、幅が異なる2本の平行する溝R1、R2のいずれかに収容されるように制御できる。具体的には、
図2(A)に示すように、光束制御部材10は、幅が異なる2本の溝R1、R2のうち、相対的に幅が大きい溝R1に対して、下方向凸部15b、脚部13cおよび下方向凸部15aが収容され、相対的に幅が小さい溝R2に対して、脚部13a、13bが収容されるように設計されている。このため、複数の光束制御部材10を、平行する溝R1、R2を有するレールを通過させることによって、光束制御部材10は、いずれも、
図2(A)に示すような方向を向くことで、前記レールを通過することができる。つまり、前記レールを通過させることで、複数の光束制御部材10の向きを、全て揃えることが可能になる。
【0040】
光束制御部材10における脚部13ならびに下方向凸部15の大きさおよび配置と、前記レールの溝R1、R2の幅とは、例えば、いずれを基準に設定することもできる。例えば、前者の大きさと配置を予め設定することで、後者の幅を設定することもできるし、後者の幅を予め設定することで、前者の大きさおよび配置を設定することもできる。
【0041】
溝R2は、脚部13a、および脚部13bを収容することから、溝R2の幅は、例えば、脚部13a、13bの直径に応じて設定できる。溝R2の幅(r2)は、例えば、溝R1の幅(r1)よりも小さく、両者の公差を考慮して、直径が最大となった場合の脚部13a、脚部13bが収容でき、且つ、下方向凸部15b、脚部13c、および下方向凸部15aを収容できない幅に設定される。
【0042】
溝R1は、下方向凸部15b、脚部13c、および下方向凸部15aを収容することから、溝R1の幅は、脚部13cの直径と、下方向凸部15aおよび15bの直径と、前者と後者との距離等に応じて設定できる。
【0043】
本実施形態の光束制御部材10は、仮に、
図2(A)に示す溝R1およびR2の軸方向に対する向きが変わった場合、光束制御部材10の脚部13と下方向凸部15は、溝R1、R2には、収まらない。例えば、
図2(A)に示す光束制御部材10の向きを、回転させて、
図2(B)に示すような方向に向けたとする。この場合、溝R2に、脚部13aは収容されるが、残りの脚部13b、下方向凸部15b、脚部13cおよび下方向凸部15aは、溝R1に収容できない。
図2(A)に示すように、溝R1は、脚部13cの側面と、下方向凸部15aおよび15bの側面とから、その幅が決定されている。このため、
図2(A)に示すように、下方向凸部15aおよび15bの側面を通る直線と、脚部13cの側面を通る直線との幅は、溝R1に収まるが、
図2(B)に示すように、回転すると、脚部13は、溝R1とR2に収まっても、下方向凸部15a、15bが収まらない。このように、光束制御部材10は、所定の方向においてのみ、2本の溝R1、R2を通過させることができる。
【0044】
[実施形態1B]
図3に、前記第1の光束制御部材のその他の例を示す。
図3において、(A)は、光束制御部材30の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図であり、(C)は、前記(A)および(B)をII-II方向から見た断面図である。
【0045】
本実施形態の光束制御部材30は、レンズ本体11の下面11b側において、下方向凸部15を有さず、3つの脚部33のうち、1つが、断面が円形状の脚部33cであり、2つが、断面が楕円形状の脚部33a、33bである以外は、前記実施形態1Aと同じである。
【0046】
楕円形状の脚部33a、33bの大きさは、特に制限されない。楕円形状の脚部33a、33bの短手方向の直径は、例えば、円形状の脚部33cの直径と同じである。
【0047】
レンズ本体11の下面11b側において、楕円形状の脚部33a、33bは、それぞれの長手方向が、平行に位置するように、配置されている。この際、楕円形状の脚部33a、33bは、それぞれの長手方向が、同一直線上に載る向きでもよいし、
図3(A)および(B)に示すように、それぞれの長手方向が、平行する2本の直線上に載る向きでもよい。
【0048】
楕円形状の脚部33a、33bは、例えば、その先端が、円形状の脚部33cの先端と同一径の円形状部分を有してもよい。この場合、楕円形状の脚部33a、33bの先端の円形状部分、および円形状の脚部33cの先端の円形状部分は、例えば、レンズ本体11の下面11bの中心を中心とする同一円周上に配置されている。楕円形状の脚部33a、33bの円形状の先端は、例えば、金型成形における突出しピン痕として、円形状の脚部33cの円形状の先端と同様に形成できる。
【0049】
楕円形状の脚部33a、33bは、前記実施形態1Aと同様に、下方向の先端の面積は、相対的に小さいことが好ましい。このため、楕円形状の脚部33a、33bにおいて、それらの先端の面積は、例えば、円形状の脚部33cと同様であることが好ましい。
【0050】
本実施形態において、脚部33は、3つ(33a、33b、33c)であるが、これには制限されない。脚部33の数は、特に制限されず、例えば、3以上である。また、脚部33のうち、楕円形状の脚部の数は、特に制限されず、例えば、脚部33が3つの場合、そのうち2つが楕円形状の脚部である。
【0051】
つぎに、
図4に、光束制御部材30と、幅が異なる2本の溝との関係の概略を示す。
図4における光束制御部材30は、
図3(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
【0052】
図4(A)に示すように、光束制御部材30は、楕円形状の脚部33a、33bを有することによって、所定の方向を向いた場合にのみ、全ての脚部33が、幅が異なる2本の平行する溝R1、R2のいずれかに収容されるように制御できる。具体的には、
図4(A)に示すように、光束制御部材30は、幅が異なる2本の溝R1、R2のうち、相対的に幅が大きい溝R1に対して、楕円形状の脚部33b、33aが収容され、相対的に幅が小さい溝R2に対して、円形状の脚部13cが収容されるように設計されている。このため、複数の光束制御部材30を、平行する溝R1、R2を有するレールを通過させることによって、光束制御部材30は、いずれも、
図4(A)に示すような方向を向くことで、前記レールを通過することができる。つまり、前記レールを通過させることで、複数の光束制御部材30の向きを、全て揃えることが可能になる。
【0053】
光束制御部材30における楕円形状の脚部33a、33bおよび円形状の脚部33cの大きさと、前記レールの溝R1、R2の幅とは、例えば、いずれを基準に設定することもできる。例えば、前者の大きさと配置を予め設定することで、後者の幅を設定することもできるし、後者の幅を予め設定することで、前者の大きさおよび配置を設定することもできる。
【0054】
溝R2は、円形状の脚部33cを収容することから、溝R2の幅は、例えば、円形状の脚部33cの直径に応じて設定できる。溝R2の幅(r2)は、例えば、溝R1の幅(r1)よりも小さく、両者の公差を考慮して、最大径の脚部33cを収容でき、且つ、楕円形状の脚部33a、33bの長手方向の寸法よりも狭い幅に設計される。
【0055】
溝R1は、楕円の脚部33a、33bを収容することから、溝R1の幅は、楕円の脚部33a、33bの長手方向の直径に応じて設定できる。
【0056】
本実施形態の光束制御部材30は、仮に、
図4(A)に示す溝R1およびR2の軸方向に対する向きが変わった場合、光束制御部材30の脚部33は、溝R1、R2には、収まらない。例えば、
図4(A)に示す光束制御部材30の向きを、回転させて、
図4(B)に示すような方向に向けたとする。この場合、溝R1に楕円の脚部33aが収容され、溝R2に楕円の脚部33bが収容されるが、残りの円の脚部33cは、いずれの溝R1、R2にも収容できない。このように、光束制御部材30は、所定の方向においてのみ、2本通過させることができる。
【0057】
[実施形態1C]
図9に、前記第1の光束制御部材のその他の例を示す。
図9において、(A)は、光束制御部材90の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図である。
図9において、脚部93(93a、93b、93c)と下方向凸部95(95a、95b)は、
図1における脚部13(13a、13b、13c)と下方向凸部15(15a、15b)と、それぞれ同じ形状および配置である。
【0058】
本実施形態の光束制御部材90において、レンズ本体91の形状は、楕円型であり、レンズ本体91の下面91bにおけるLEDを覆うための凹部94が楕円であり、4箇所に側方向凸部(すなわち、外側に向かって突出する凸部)96がある以外は、前記実施形態1Aと同じである。側方向凸部96は、例えば、光束制御部材90の取り扱い時に、その光学面に傷をつけないようにしたり、その寸法の測定時に光束制御部材90を固定するための位置決め用に形成してもよい。
【0059】
つぎに、
図10に、光束制御部材90と、幅が異なる2本の溝との関係の概略を示す。
図10における光束制御部材90は、
図9(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
図10(A)および(B)に示すように、前記実施形態1Aと同様に、光束制御部材90は、所定の方向においてのみ、2本の溝R1、R2を通過させることができる。
【0060】
[実施形態1D]
図11に、前記第1の光束制御部材のその他の例を示す。
図11において、(A)は、光束制御部材110の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図である。
図11において、脚部113(113a、113b、113c)は、
図3における脚部33(33a、33b、33c)と、それぞれ同じ形状および配置である。
【0061】
本実施形態の光束制御部材110において、レンズ本体111の形状は、楕円型であり、レンズ本体111の下面111bにおけるLEDを覆うための凹部114が楕円であり、4箇所に側方向凸部116がある以外は、前記実施形態1Bと同じである。
【0062】
つぎに、
図12に、光束制御部材110と、幅が異なる2本の溝との関係の概略を示す。
図12における光束制御部材110は、
図11(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
図12(A)および(B)に示すように、前記実施形態1Bと同様に、光束制御部材110は、所定の方向においてのみ、2本の溝R1、R2を通過させることができる。
【0063】
つぎに、本発明の第2の光束制御部材の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。各図において、同一箇所には同一符号を付している。なお、図においては、説明の便宜上、各部の構造は、適宜、簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、図の条件には制限されない。
【0064】
[実施形態2A]
図5に、前記第2の光束制御部材の例を示す。
図5において、(A)は、光束制御部材50の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図であり、(C)は、前記(A)および(B)をIII-III方向から見た断面図である。
【0065】
本実施形態の光束制御部材50は、レンズ本体11の下面11b側において、下方向凸部15を有さず、3つの脚部33が、二等辺三角形となるように配置されている以外は、前記実施形態1Aと同じである。
【0066】
光束制御部材50の下面11b側において、脚部53a、53b、53cは、それぞれの中心が二等辺三角形となるように配置されており、下面11b側の中心が、例えば、前記二等辺三角形の中心となる。前記二等辺三角形の大きさは、特に制限されない。
【0067】
つぎに、
図6に、光束制御部材50と、溝との関係の概略を示す。
図6における光束制御部材50は、
図5(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
【0068】
図6(A)に示すように、光束制御部材50は、脚部53a、53b、53cの配置が二等辺三角形となることで、所定の方向を向いた場合にのみ、全ての脚部53が、1本の溝Rに収容されるように制御できる。具体的には、
図6(A)に示すように、光束制御部材50は、脚部53で構成される二等辺三角形の底辺の方向が、溝Rの幅方向と平行となった状態において、溝Rに対して、全ての脚部53が収容されるように設計されている。このため、複数の光束制御部材50を、溝Rを有するレールを通過させることによって、光束制御部材50は、いずれも、
図6(A)に示すような方向を向くことで、前記レールを通過することができる。つまり、前記レールを通過させることで、複数の光束制御部材50の向きを、全て揃えることが可能になる。
【0069】
光束制御部材50における脚部53で構成される二等辺三角形の大きさと、前記レールの溝Rの幅とは、例えば、いずれを基準に設定することもできる。例えば、前者の大きさと配置を予め設定することで、後者の幅を設定することもできるし、後者の幅を予め設定することで、前者の大きさおよび配置を設定することもできる。
【0070】
溝Rの幅は、例えば、脚部53で構成される二等辺三角形の底辺の長さと、等辺の長さに応じて設定できる。溝Rの幅は、例えば、前記二等辺三角形の底辺の長さを超え、等辺の長さ未満である。
【0071】
本実施形態の光束制御部材50は、仮に、
図6(A)に示す溝Rの軸方向に対する向きが変わった場合、光束制御部材50の脚部53は、溝Rには、収まらない。例えば、
図6(A)に示す光束制御部材50の向きを、回転させて、
図6(B)に示すような方向に向けたとする。この場合、溝Rの幅方向よりも、脚部53で構成される二等辺三角形の等辺の長さが大きくなるため、脚部53の全ては、溝に収容できない。このように、光束制御部材50は、所定の方向においてのみ、溝Rを通過させることができる。
【0072】
[実施形態2B]
図7に、前記第2の光束制御部材の他の例を示す。
図7において、(A)は、光束制御部材70の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図であり、(C)は、前記(A)および(B)をIV-IV方向から見た断面図である。
【0073】
本実施形態の光束制御部材70は、レンズ本体11が下方向凸部15を有さず、径方向外側に突出する径方向凸部71a、71bを有する以外は、前記実施形態1Aと同じである。
【0074】
図7は、2つの径方向凸部71a、71bを有する形態を示したが、前記径方向凸部は、例えば、1つでもよいし、2つ以上でもよい。2つ以上の径方向凸部を有する場合、
図7のように、例えば、レンズ本体11の対角線上の一対の側面に、それぞれ、径方向凸部71a、71bが配置されていることが好ましい。
【0075】
径方向凸部71a、71bは、それぞれ、レンズ本体11の側面から外方向に向かって配置されている。径方向凸部71a、71bの大きさは、特に制限されず、レンズ本体11の外周において、径方向凸部71a、71bとレンズ本体11の中心とを通る直線の長さが、中心を通るそれ以外の直線よりも長くなるような形状であればよい。
【0076】
つぎに、
図8に、光束制御部材80と、溝との関係の概略を示す。
図8における光束制御部材80は、
図7(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
【0077】
図8(A)に示すように、光束制御部材70は、レンズ本体11の側面に、径方向外側に突出する径方向凸部71a、71bを有することで、所定の方向を向いた場合にのみ、光束制御部材70が、1本の溝Rに収容されるように制御できる。具体的には、
図8(A)に示すように、光束制御部材70は、径方向凸部71a、71bの突出方向が、溝Rの幅方向と垂直方向になった状態において、溝Rに対して、光束制御部材70が収容されるように設計されている。このため、複数の光束制御部材70を、溝Rを有するレールを通過させることによって、光束制御部材70は、いずれも、
図8(A)に示すような方向を向くことで、前記レールを通過することができる。つまり、前記レールを通過させることで、複数の光束制御部材70の向きを、全て揃えることが可能になる。
【0078】
光束制御部材70における径方向凸部71a、71bの大きさと、前記レールの溝Rの幅とは、例えば、いずれを基準に設定することもできる。例えば、前者の大きさと配置を予め設定することで、後者の幅を設定することもできるし、後者の幅を予め設定することで、前者の大きさおよび配置を設定することもできる。
【0079】
光束制御部材70において、径方向凸部71aと71bとを結ぶ線の長さ(i)は、これに垂直な方向の長さ(j)よりも長く設計される。そして、溝Rの幅は、例えば、径方向凸部71a、71bの突出方向の長さ(i)、または、径方向凸部71aと71bとを結ぶ線の長さ(突出方向の長さ)に応じて設定できる。溝Rの幅は、例えば、前記垂直な方向の長さ(j)を超え、径方向凸部71aと71bとを結ぶ線の長さ(i)未満である。
【0080】
本実施形態の光束制御部材70は、仮に、
図8(A)に示す溝Rの軸方向に対する向きが変わった場合、光束制御部材70は、溝Rには、収まらない。例えば、
図8(A)に示す光束制御部材70の向きを、回転させて、
図8(B)に示すような方向に向けたとする。この場合、溝Rの幅方向よりも、光束制御部材70の幅が大きくなるため、光束制御部材70は、溝に収容できない。このように、光束制御部材70は、所定の方向においてのみ、溝Rを通過させることができる。
【0081】
[実施形態2C]
図13に、前記第2の光束制御部材のその他の例を示す。
図13において、(A)は、光束制御部材130の上方向から見た平面図であり、(B)は、下方向から見た平面図である。
図13において、脚部133(133a、133b、133c)は、
図5における脚部53(53a、53b、53c)と、同じ形状および配置である。
【0082】
本実施形態の光束制御部材130において、レンズ本体131の形状は、楕円型であり、レンズ本体131の下面131bにおけるLEDを覆うための凹部134が楕円であり、4箇所に側方向凸部136がある以外は、前記実施形態2Aと同じである。
【0083】
つぎに、
図14に、光束制御部材130と、溝との関係の概略を示す。
図14における光束制御部材130は、
図13(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
図14(A)および(B)に示すように、前記実施形態2Aと同様に、光束制御部材130は、所定の方向においてのみ、溝Rを通過させることができる。
【0084】
[実施形態2D]
前記第2の光束制御部材のその他の例を示す。本実施形態の光束制御部材は、実施例1Cと同じ
図9の光束制御部材である。
【0085】
光束制御部材90は、レンズ本体91の側面に、径方向外側に突出する4つの側方向凸部96を形成した場合、隣接する2つの側方向凸部96に1本、計2本の接線を引くことができる。そこで、その2本の接線間の幅となる溝Rを形成することで、所定の方向を向いた場合にのみ、光束制御部材90が、1本の溝Rに収容されるように制御できる。具体的には、
図15(A)に示すように、光束制御部材90は、側方向凸部96(96a、96b、96c、96d)の突出方向が、溝Rの幅方向と垂直方向になった状態において、溝Rに対して、光束制御部材90が収容されるように設計されている。
【0086】
つぎに、
図15に、光束制御部材90と、溝との関係の概略を示す。
図15における光束制御部材90は、
図9(B)と同様に、下方向から見た平面図である。
図15(A)および(B)に示すように、前記実施形態2Bと同様に、光束制御部材90は、所定の方向においてのみ、溝Rを通過させることができる。
【0087】
(発光装置)
本発明の発光装置は、前述のように、基板と、発光素子と、前記光束制御部材とを有し、前記基板上に、複数の発光素子が実装され、前記発光素子を覆うように、前記光束制御部材が実装され、前記光束制御部材が、前記本発明の光束制御部材であることを特徴とする発光装置。
【0088】
本発明の発光装置は、前記本発明の光束制御部材を使用することがポイントであって、その他の構成および条件は、何ら制限されない。本発明の発光装置は、例えば、バックライト用の光学素子基板ということもできる。
【0089】
本発明の発光装置に使用する本発明の光束制御部材は、前述のように、その方向を制御することができる。したがって、本発明の発光装置において、前記基板上に配置される前記光束制御部材は、所望の方向を向いて実装することができる。
【0090】
(発光装置の製造方法)
本発明の発光装置の製造方法は、前述のように、
複数の光束制御部材を、溝を有するレールに通過させて整列させる整列工程と、
前記レールを通過して整列した複数の光束制御部材を、それぞれ、整列した向きのまま、
発光素子が実装された基板上へ移動し、前記発光素子を覆うように実装する実装工程とを有し、
前記光束制御部材が、前記本発明の光束制御部材であり、
前記整列工程が、下記条件1’または下記条件2’を満たすことを特徴とする発光装置の製造方法。
(条件1’)
前記レールが、幅が異なる2本の溝を有し、前記光束制御部材の前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、少なくとも1つの脚部が一方の溝に収容され、残りの全ての脚部が他方の溝に収容される。
(条件2’)
前記レールが、1本の溝を有し、前記光束制御部材の前記レンズ本体を所定の一方向またはその逆方向に向けた場合にのみ、前記レンズ本体または前記全ての脚部が、前記溝に収容される。
【0091】
本発明の製造方法は、前記本発明の光束制御部材を使用することがポイントであって、その他の構成および条件は、何ら制限されない。本発明の発光装置は、例えば、バックライト用のLED基板の製造方法ということもできる。
【0092】
本発明の製造方法に使用する本発明の光束制御部材は、前述のように、その方向を制御することができる。したがって、前記整列工程において、前記光束制御部材を、前記レールに通過させ整列させることで、複数の光束制御部材の向きを一方向に制御することができる。このため、例えば、異方性レンズのように、前記光束制御部材の方向を一定に制御しなければならない場合、本発明の製造方法は、容易に方向を制御することができる。
【0093】
本発明の製造方法は、前記条件1’を満たす第1の製造方法と、前記条件2’を満たす第2の製造方法とを含み、前記第1の製造方法は、前記本発明の第1の光束制御部材を使用でき、前記第2の製造方法は、前記本発明の第2の光束制御部材を使用できる。本発明の製造方法は、前記本発明の光束制御部材の記載を援用できる。
【0094】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0095】
この出願は、2017年3月28日に出願された日本出願特願2017-063376を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明の光束制御部材は、前記条件1または条件2を満たすことから、例えば、前記光束制御部材を、対応する溝を有するレールを通過させるのみで、所定の方向を向くように制御することができる。このため、例えば、バックライトの構成である発光装置を製造する際に、前記光束制御部材の向きを所定の方向に向かせた状態で、LED基板上に実装することができる。
【符号の説明】
【0097】
10、30、50、70、90、110、130 光束制御部材
11、91、111、131 レンズ本体
13、33、53、93、113、133 脚部
14、94、114、134 凹部
15、95 下方向凸部
71 径方向凸部
16 ゲート
96、116、136 側方向凸部