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特許7130624高N/ISO比アルデヒド生成物の調製のための安定なヒドロホルミル化触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】高N/ISO比アルデヒド生成物の調製のための安定なヒドロホルミル化触媒
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/50 20060101AFI20220829BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20220829BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20220829BHJP
   C07F 9/50 20060101ALI20220829BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
C07C45/50
C07C47/02
B01J31/24 Z
C07F9/50 CSP
C07B61/00 300
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019511752
(86)(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017048999
(87)【国際公開番号】W WO2018044827
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】15/253,342
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイムズ デボン
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-519941(JP,A)
【文献】Yongjun Yan et al.,Advanced Synthesis & Catalysis,2007年,Vol.349, No.10,p.1582-1586
【文献】Koichi Mikami et al.,Organic letters,2005年,Vol.7, No.26,p.5777-5780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物の存在下でオレフィンを水素及び一酸化炭素と接触させてアルデヒドを製造することを含む、アルデヒドの製造方法であって、前記触媒組成物はロジウム源及び四座配位子を含み、前記四座配位子は以下の構造:
【化1】
(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、またはヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、またはヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基から選択され、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル官能基、アリールもしくはアルキルエーテル官能基、エステル官能基、CF 、カルボン酸アミド官能基またはスルホン酸官能基のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルデヒドは15:1~100:1のN:I比で製造される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記オレフィンは非置換直鎖α-オレフィンである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記オレフィンはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン又はそれらの混合物である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記オレフィンは2-ビニル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、1,8-オクタジエン、シス-ブテン-2、トランス-ブテン-1、シス-オクテン-2、トランス-オクテン-2又はアリルアルコールである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
反応温度は25℃~140℃の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
反応温度は80℃~125℃の範囲である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
反応温度は90℃~110℃の範囲である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
反応圧力は101.4kPa(14.7psig)~3447kPa(500psig)の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
反応圧力は689kPa(100psig)~2068kPa(300psig)の範囲である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
1時間当たりに供給されるオレフィン対反応器中に存在するロジウム源のモル比は1,000,000:1~1000:1である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
1時間当たりに供給されるオレフィン対反応器中に存在するロジウム源のモル比は300,000:1~50,000:1である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
オレフィン対反応器中に存在するロジウム源のモル比は10,000:1~100:1である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
オレフィン対反応器中のロジウム源のモル比は10,000:1~2000:1である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は50:1~1:1の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は15:1~2:1の範囲である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は12:1~3:1の範囲である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ロジウム源及び以下の構造
【化2】
(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、またはヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、またはヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基から選択され、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル官能基、アリールもしくはアルキルエーテル官能基、エステル官能基、CF 、カルボン酸アミド官能基またはスルホン酸官能基のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)
を含む四座配位子を含む、触媒組成物。
【請求項19】
触媒組成物とともに使用するように適応された四座配位子であって、以下の構造:
【化3】
(上式中、R=フェニルであり、
R'=フェニルであり、
R'' =Hであり、
P=リン原子である)
を含む四座配位子。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ヒドロホルミル化反応は「オキソアルコール」という用語で一般に知られている非常に大量の誘導体の調製にとって商業的に非常に重要である。プロピレンのヒドロホルミル化において、直鎖n-ブチルアルデヒド/副生成物イソブチルアルデヒドの比(N/Iso比)は、n-ブタノール、2-エチルヘキサノール及びこれらの誘導体の直鎖n-ブチルアルデヒド生成物からの調製のためのプロピレンの有効使用において非常に重要である。多くの商業事案において、高いN/Iso比の生成物を得る必要がある。同様に、より高分子量の直鎖α-オレフィンのヒドロホルミル化を行うならば、より価値の低い枝分かれ異性体とは対照的に、直鎖状異性体アルデヒド生成物を選択的に調製する必要がある。
【0002】
ロジウムを含む共触媒としてのトリアリールホスフィン変性剤又は配位子の使用は、米国特許第3,527,809号及び同第4,247,486号明細書に開示されている。好ましい配位子はトリフェニルホスフィンであった。この特許技術は、大量の配位子、典型的には触媒溶液中10質量%までの量の配位子を使用した場合に、8/1~12/1のブチルアルデヒドN/Iso比が達成可能であることを示した。トリフェニルホスフィンは単座配位子として知られており、これは配位子分子がロジウム触媒と配位するための1個のリン原子を有することを意味する。さらなる研究は、高濃度のトリフェニルホスフィンが存在する場合に、ロジウム触媒は高いN/Iso比を調製するためにより選択的であり、2つの配位子が触媒サイクル中にロジウムと配位することを可能にすることを示した。米国特許第4,277,627号明細書に開示されているように、高濃度の単座配位子の使用及び低められた反応器温度の使用によっても、触媒をより長い運転時間にわたってより安定にすることができることが見出された。
【0003】
ロジウムとの二座配位子の設計及び使用は、高いN/Iso比でアルデヒド生成物を調製することができる新しいヒドロホルミル化触媒系の開発において特に成功している。ロジウムと組み合わせた置換2,2’-ビフェノールの立体障害ビスホスフィットの使用は、30/1のN/Iso比を有するブチルアルデヒドを調製する(米国特許第4,885,401号明細書)。Van Leeuwenら(Organometallics 2002,21、pp.3873-3883)は、1-ヘキセンからの直鎖アルデヒド生成物の調製のために非常に選択的である、ロジウムとの配位子2,2’-ビフェノールのビス(ジピロリルホスホルアミダイト)エステルの使用を開示した。これら2つの二座配位子は、リン原子がシグマ結合で酸素及び/又は窒素ヘテロ原子に結合していることを特徴とする。直鎖状生成物を製造するのに選択的であるが、これらのクラスのリン化合物は、反応器中に存在するアルデヒド及びアルコール副生成物との酸触媒反応によって時間とともに分解する傾向がある。市販のビス-ホスフィット触媒系の場合には、米国特許第5,929,289号及び同第5,364,950号明細書に開示されているようにヒドロホルミル化反応の生成物と反応するこの種の配位子の自然経過を緩和するための多くの方法が特許文献に開示されている。
【0004】
3個の炭素原子結合に結合しているリンをベースとする他の二座配位子は様々な程度のN/Iso比選択性でのアルデヒド生成物の調製に成功している。米国特許第4,193,943号及び同第5,789,624号明細書に開示されているように、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン配位子及び置換型は、ロジウムとともに、10/1のN/Iso比でヘプタナールを調製することが報告されている。ロジウムと組み合わせた二座配位子「DIOP」は約4/1のN/Iso比でブチルアルデヒドを生成した(米国特許第4,201,714号明細書)。ロジウムと組み合わせた1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼンは、米国特許第4,960,949号明細書において、2.28/1のN/Iso比でブチルアルデヒドを生成した。ロジウムと組み合わせた二座配位子α, β-ビス(ジフェニルホスフィノ)-2-エチルトルエンは、米国特許第4,774,362号明細書において、5.9/1のN/Iso比でブチルアルデヒドを生成した。
【0005】
2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1'-ビフェニル及びそれらの誘導体をベースとする二座配位子は、ロジウムと組み合わせた触媒配位子として有用であり、それにより、25/1を超えるN/Iso比でブチルアルデヒドを生成する活性ヒドロホルミル化触媒を生成する。これらは米国特許第4,694,109号、同第4,755,624号及び同第4,760,194号明細書に開示されている。2,2’-ビス(ジベンゾホスホリルメチル)-1,1’-ビフェニルの誘導体をベースとする別の二座配位子は、100 /1を超えるN/Iso比でブチルアルデヒドを生成した(米国特許第5,332,846号明細書)。
【0006】
一般にトリオルガノホスフィン二座配位子として知られている二リン二座配位子は、3個の炭素原子に結合しているリン原子をベースとする。それらは、ヒドロホルミル化反応器中に存在するアルデヒド生成物及びアルコール副生成物との反応によってもたらされる化学分解反応に対する触媒安定性の利点を有する。この利点にもかかわらず、トリオルガノホスフィン配位子触媒系は、特にトリフェニルホスフィン配位子を使用する場合には、ロジウム触媒ヒドロホルミル化中に「固有失活」を受ける可能性がある。これは米国特許第4,277,627号明細書にある程度詳細に開示されている。この特許は、高い配位子/Rhモル比及び比較的に低い反応温度が、ヒドロホルミル化中の活性触媒を固有失活に対して安定化させることを示した。固有失活は、劣化したトリオルガノホスフィン配位子の分解生成物によって結合された複数のロジウム原子を取り込んだ不活性化合物の生成による回収触媒溶液の漸進的な暗色化によって現れる。これらの暗色材料は一般にロジウムクラスターとして知られている。したがって、安定な触媒は典型的に淡黄色のままであることが観測されるが、一方、安定性の低い配位子は、これらの不活性材料が触媒中に蓄積するにつれて、琥珀色からオレンジ色、そして最終的には濃い琥珀色及び褐色へと次第に暗色化する。
【0007】
X. Zhangは、「テトラホスフィン」配位子、すなわち、2,2',6,6'-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニルの使用を“Advances in Synthetic Catalysis” 2007, 349, pp. 1582-1586に開示しており、ヒドロホルミル化条件下でロジウムと組み合わせてそれぞれ1-オクテン又は1-ヘキセンを用いて高い直鎖/枝分かれ生成物比でノナナール又はヘプタナールを製造することができると主張している。さらに、彼らは、規定の四座配位子を有することにより、触媒は、より高い反応温度で、対応する2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1'-ビフェニル配位子BISBI(米国特許第4,694,109号明細書の触媒)よりも高い比で直鎖/枝分かれ比生成物を生成することが可能であることを示している。彼らはその文献中で、配位子分子上に利用可能な追加のリン結合部位を有することが触媒を安定化させてより高い温度でより高いN/Iso比選択性を達成するのに役立ったものと主張している。これはヒドロホルミル化の技術における改善を構成するが、商業的ヒドロホルミル化用途の場合のように大量が必要とされる場合に、彼らの実績のあるリガンドは比較的に合成的に入手可能でない。
【0008】
Zhangのテトラホスフィンは、1)-78℃でのピレンのオゾン処理、2)得られたオゾン化物の-78℃でのヨウ化ナトリウムによる慎重な還元、3)得られた1,1’-ビフェニル-2,2'、6,6'-テトラカルボキシアルデヒドの単離及び精製、4)これの水素化ホウ素ナトリウムによるテトラアルコール誘導体への還元、5)三臭化リンによるテトラアルコールの四臭化物誘導体への転化、6)塩化リチウムを用いた四臭化物の四塩化物への転化、7)四塩化物とリチウムジフェニルホスフィドとの反応での最終「テトラホスフィン」の調製を含む手順によって調製される。四臭化物への調製は、I. AgranetらJ. Org. Chem. 44, pp. 1936-1941 (1979)の文献においてZhangにより開示されている。
【0009】
当該技術分野における改良にもかかわらず、高いN/Iso比で生成物を製造しそして商業的用途にとって経済的に入手可能である、長期間安定な活性ヒドロホルミル化触媒を得る必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0010】
発明の要約
1つの実施形態によれば、本開示は、触媒組成物の存在下でオレフィンを水素及び一酸化炭素と接触させてアルデヒドを製造することを含むアルデヒドの製造方法を教示し、ここで、触媒組成物はロジウム源及び四座配位子を含み、前記四座配位子は以下の構造:
【化1】
(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されており、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されており、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基であり、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル、アリール又はアルキルエーテル、単一の酸素結合を介して結合したエステル、CF、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びスルホン酸のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)を含む。
この方法は、約15:1から最大で約100:1までであり、あるいは、約15:1から最大で約50:1までであるノルマル:イソ比でアルデヒドを製造する。
【0011】
別の実施形態によれば、本開示は、ロジウム源及び以下の構造を含む四座配位子を含む触媒組成物を教示する。
【化2】
(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されており、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されており、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基であり、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル、アリール又はアルキルエーテル、単一の酸素結合を介して結合したエステル、CF、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びスルホン酸のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)
【0012】
別の代替実施形態によれば、本開示は、触媒組成物と共に使用するように適応された四座配位子を教示し、該四座配位子は以下の構造:
【化3】
(上式中、R=フェニルであり、
R'=フェニルであり、
R''=Hであり、
P=リン原子である)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本開示は、高い直鎖/枝分かれ生成物比でヒドロホルミル化生成物を製造することができそして比較的に高い反応温度での長期間運転に対して安定である四座トリオルガノホスフィン配位子と組み合わせて使用される低圧ロジウム系ヒドロホルミル化触媒を教示する。本発明の四座配位子は新規化合物を表しそしてロジウムヒドロホルミル化触媒を変性して高い直鎖/枝分かれ比でアルデヒド生成物を製造するその能力において特異的である。同様に、この化合物の前駆体、すなわち、2,2', 2'', 5'-テトラメチル-1,1':4'-1''-ターフェニルは、2-クロロマグネシウム-又は2-ブロモマグネシウムトルエンと、パラ-キシレンの誘導体である2,5-ジブロモ-もしくは2,5-ジクロロ-1,4-ジメチルベンゼンのいずれかとのアリールカップリング反応によって入手可能である。
【0014】
本発明の四座配位子は、ターフェニル環の4個のベンジルメチル基のそれぞれの1個の水素原子がR, R'-ジ-オルガノホスフィン部分で置換されている。R, R '基は同一であっても又は異なっていてもよく、そしてアリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール又はヒドロカルビルアルキルであることができる。同様に、R, R'基は、置換基がヒドロホルミル化反応に対して毒として作用しない限り、エーテル、フルオロ、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドなどのヘテロ原子基とともに存在する置換を有することができる。同様に、ターフェニル環はまた、2,2', 2'', 5'-テトラキス(R, R'-ホスフィノメチル)基によって占められていない利用可能な位置に置換基R''を有することができる。これらは、Hに加えて、上に列挙したアリール、t-ブチル及びヘテロ原子基のような基を含むことができるが、ただし、これらの基はヒドロホルミル化反応に対する毒として作用しない。
【0015】
四座配位子の純度が毒として作用するある種の異性体不純物を含まないことが触媒の成功にとって非常に重要である。したがって、例えば1,1':4', 1''-ターフェニル骨格の外側フェニル環上で互いにメタ位に位置する2つの(R, R'-ホスフィノメチル)部分を有する不純物が存在しないことが望ましい。このコンフィグレーションは完全に不活性なヒドロホルミル化触媒をもたらす。そのような毒の例としては、とりわけ、2,2', 2'', 4-テトラキス(R, R'-ホスフィノメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニル及び2,2', 3'', 5''-テトラキス(R, R'-ホスフィノメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニルが挙げられる。
【0016】
三座配位子又は五座配位子のいずれかであることができる他の不純物は、それらが1つの芳香環上で互いにメタ配置で存在するR, R’-ホスフィノメチル部分を有する場合には毒と考えられる。非限定的な例として、これは2,2', 4-トリス(R, R'-ホスフィノメチル)-5'-メチル-1,1':4', 1''-ターフェニル及び2,2', 2'', 4,5'-ペンタキス(R, R'-ホスフィノメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニル及びその他のメタ基準に適合するものが挙げられる。本開示の2,2', 2'', 5'-テトラキス(R, R'-ホスフィノメチル)配位子は、触媒溶液中に存在する配位子混合物において、分子上に利用可能な4つの結合部位を有することによって優勢であり、高い直鎖/枝分かれ比でアルデヒド生成物を製造するための触媒の効率を低下させる可能性がある、オキソ活性三座又は五座不純物が最小限で存在することが望ましい。本開示の四座配位子の一般的な説明を以下に示す。
【化4】
【0017】
R、R '及びR''は、本出願の本文に記載の通りである。
【0018】
反応器中に存在するロジウムに対する本開示の四座配位子のモル比は、高い直鎖/枝分かれ比を有するアルデヒド生成物へと直鎖オレフィンをヒドロホルミル化することができる活性触媒を形成するために少なくとも0.5/1であるべきである。通常、過剰の配位子は、反応器フィード中に存在する微量の酸素による配位子の損失に対する緩衝剤として使用される。したがって、モル比は、50/1以上の高さから1.5/1まで下がっていてもよく、望ましい範囲は2/1~15/1又は3/1~12/1である。反応器中に存在するロジウムの濃度は、約1mgロジウム/リットルから最大約500mgロジウム/リットル以上まで変化しうる。ロジウムの触媒活性及び高コストは望ましい濃度を典型的には50mgロジウム/リットル~300mgロジウム/リットルの範囲とする。
【0019】
ロジウムが溶解して本発明の配位子と活性錯体を形成することができ、かつロジウムと結合したアニオンがヒドロホルミル化反応に対する毒として作用しない限り、ロジウムのほぼあらゆる供給源を使用することができる。したがって、三塩化ロジウム、硫酸ロジウム、酢酸ロジウム、2-エチルヘキサン酸ロジウムなどのロジウムの塩などを使用することができる。他の供給源としては、Rh(I)(CO)(Cl)、トリス(トリフェニルホスフィン)Rh(CO)H、Rh(CO)16、Rh(CO)12及びRh(I)アセチルアセトナト(CO)などの錯体を挙げることができる。望ましいロジウム源は、強い鉱酸の形成につながり得るアニオンを導入しないものである。したがって、望ましいロジウム源は、アセテート及び2-エチルヘキサノエートなどのカルボン酸のロジウム塩、及び、Rh(I)アセチルアセトナト(CO)及びゼロ価ロジウムカルボニル錯体などの塩化物を含まないロジウムカルボニル錯体種が挙げられる。トリス(トリフェニルホスフィン)Rh(CO)Hも使用することができる。
【0020】
反応器設計は、ヒドロホルミル化の技術分野において使用される典型的なものでありうる。したがって、反応器はバッチ式オートクレーブ、液体オーバーフロー及び液体触媒再循環を伴うバブルカラム反応器、触媒を含む定置高沸点液相から揮発性アルデヒド生成物オーバーヘッドを取り出すためのガスストリッピングを伴う撹拌タンク反応器、バブルカラムガスストリッピング反応器などが挙げられる。
【0021】
バッチオートクレーブの場合の反応器中に存在するオレフィン/ロジウムのモル比は、典型的には10,000/1以上から100/1の少量までであり得る。ロジウムのコストという経済的理由から、オレフィン/Rhモル比は2000/1から10,000/1の範囲でできるだけ高いことが望ましい。反応器中に存在するオレフィン/ロジウムの比が容易に決定されない連続フィード及び生成物抜出反応器の場合には、供給されるオレフィンの毎時当たりのモル/反応器中に存在するロジウムのモルの比は1,000,000/1以上から1,000/1までであり、典型的な範囲は、特にプロピレンが直鎖オレフィンとして使用される場合に、300,000/1~50,000/1である。
【0022】
反応器蒸気は、水素、一酸化炭素、揮発性オレフィンに加えて存在するあらゆる不活性ガスからなり、全反応器圧力を形成する。実際には、本発明の低圧ヒドロホルミル化触媒は、500psig(3446kPa)以上~14.7psig(101.3kPa)のゲージ圧で作動することができる。好ましい圧力範囲は100psig(689kPa)~300psig(2068kPa)である。
【0023】
反応器蒸気空間内に存在する反応体の量は本開示の触媒にとって重要である。これは通常、アルデヒドを含まない基準で反応器出口ガス中に存在する個々の反応体の絶対分圧として測定される。標準的な工学計算を使用して、分圧は、反応器圧力の測定と組み合わせたガスクロマトグラフ分析などの標準的な分析手順によって決定することができる。圧力は絶対分圧で表され、絶対分圧には、ゲージ圧に加えてさらに1気圧が含まれる。各成分の分圧は、出口ガス中に存在する反応体「a」のモル分率(Xa)を決定しそしてこれに反応器中の絶対圧力を掛けることによって計算される。したがって、出口ガス組成の25モルパーセント(XCO=0.25)を占め、260psiゲージ(1792kPa)の反応器圧力を示す一酸化炭素の場合には、絶対分圧は次のようになる。
CO分圧= 0.25 ×(260 + 14.7 psiゲージ)= 68.7 psi絶対圧(473 kPa絶対圧)
【0024】
ブチルアルデヒド製造の場合の水素及びプロピレンなどの他の反応体も同様に計算されるであろう。
【0025】
100psig~300psig(689~2068kPa)の範囲の反応器ゲージ圧力範囲で測定したときの一酸化炭素及び水素の反応器出口分圧範囲は、一酸化炭素については10~150psi絶対圧(69~1034kPa)の範囲であることができ、水素については、30~150 psi絶対圧(207~1034 kPa)の範囲であることができる。より望ましい範囲は、一酸化炭素については20~40psi絶対圧(138~276kPa)、そして水素については40~130psi絶対圧(276~896kPa)である。一酸化炭素についての25~35psi絶対圧(172~241kPa)及び水素についての50~100psi絶対圧(345~689kPa)の絶対分圧の範囲も望ましい。
【0026】
オレフィンが蒸気として存在するプロピレンヒドロホルミル化の特別な場合には、反応器出口ガス中のプロピレンの分圧は30~160psi絶対圧(207~1143kPa)であり、別の実施態様においては50~100psi絶対圧(345~848kPa)である。プロピレンをヒドロホルミル化するときの一酸化炭素及び水素の分圧は全ての直鎖オレフィンヒドロホルミル化について上述したものと同じである。
【0027】
反応器出口ガス中の不活性材料の分圧は、一酸化炭素、水素の分圧範囲が使用され、そしてブチルアルデヒド製造の場合にプロピレンが使用される限り、触媒の性能に有意な程度に影響を及ぼさない。
【0028】
反応器温度は、通常、反応器中に存在するロジウム触媒1g当たり1時間当たりに生成されるアルデヒド生成物の量によって測定される触媒活性と、固有触媒失活による触媒活性の損失速度との両方に影響を及ぼす。触媒活性及び触媒失活速度の両方は反応器温度の上昇と共に増加する。したがって、反応器温度は、ヒドロホルミル化反応を実施するために25℃~140℃の範囲であることができる。別の実施形態において、温度範囲は80~125℃又は90~110℃である。
【0029】
オレフィンフィードは、直鎖アルデヒド生成物を有することの望ましさが最も重要である場合に、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどを含む任意のα-オレフィンであることができる。同様に、1,8-オクタジエンなどのジオレフィン及び他の類似のα-ω直鎖非共役ジエンを使用して直鎖ジアルデヒド誘導体を調製することができる。
【0030】
シス及びトランス-ブテン-2ならびにシス及びトランス-オクテン-2などの内部オレフィン、ならびに同様の内部オレフィンは、本発明の触媒を含むフィードと考えることができる。“J. Amer. Chem. Soc.” 2006, 128, 16058 - 16061においてX.Zhangらによって述べられているように、特定のヒドロホルミル化条件下において、内部オレフィン異性化がこれらの種類の材料から直鎖アルデヒド生成物の調製をもたらし得ることを示す条件は文献で検討されている。
【0031】
エステル、フルオロ、芳香環、アルキル基及びR、R '、R''において上記で定義された他の基から炭化水素への単結合酸素結合を有するエーテル、アルコール、エステル のヘテロ原子含有基による置換も、これらの基がヒドロホルミル化反応に対する毒として作用しない限り、オレフィン上に存在してもよい。理想的には、直鎖アルデヒド生成物の製造のための高度に選択的な触媒を有するという最大の利益を得るためには、α-オレフィン上の置換基の位置はα-オレフィンの少なくとも3-炭素上にあるべきであり、又は、オレフィンが3炭素より長いならば除去されるべきである。これはまた、二環式オレフィン2-ビニル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、及び、他のオレフィン、例えば、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、アリルアルコールなどをも含みうる。
【0032】
ヒドロホルミル化反応に毒でない限り、ヒドロホルミル化触媒とともに使用するための溶媒として、いかなる液体媒体を使用してもよい。したがって、溶媒としては、アルデヒド生成物、オレフィンフィード、炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル、生成したアルデヒド生成物のアルドール縮合生成物、置換カルボン酸アミド及びそれぞれの混合物を挙げることができる。溶媒の選択は、ヒドロホルミル化される特定のフィード及び関与する反応器の設計に依存しうる。例えば、低沸点アルデヒド生成物の除去のためにガスストリッピング蒸気除去を使用する反応器においては、高沸点溶媒は好ましい。本発明の触媒は、反応器中に存在するアルデヒド又はヒドロキシル含有副生成物の作用により分解されないので有利である。
【実施例
【0033】

一般的な分析方法
30m×0.32mmIDのDB-5媒体フィルムキャピラリーカラムを備えたHewlett-Packard5890自動注入器FIDガスクロマトグラフを実験室及び製品サンプル分析に使用した。HプロトンNMR及び31P NMRスペクトルは、Oxford 400NMRスペクトロメーターを用いて行った。ガスクロマトグラフ-質量分析は5975 XL B / CI MS D計器を用いて行った。
【0034】
例1 10/1 TPP/NiBrの存在下での2-クロロマグネシウムトルエンの2,5-ジブロモ-p-キシレンとの反応による2,2', 2'',5'-テトラメチル-1,1':4', 1''-ターフェニル前駆体の調製
本例は、本発明の組成物により4個のメチル基を有する炭化水素前駆体を調製するジアリール化反応を示す。
【0035】
1リットルの三つ口フラスコは、テフロン(登録商標)コーティングされた磁気撹拌機、窒素雰囲気のグリコール冷却還流凝縮器、500ミリリットル均圧添加漏斗、読み出し装置付き熱電対、任意の加熱マントル/温水浴及び磁気撹拌機を装備していた。フラスコに、無水NiBr 0.55グラム/2.5ミリモル、TPP(トリフェニルホスフィン)6.55グラム/25ミリモル、2,5-ジブロモ-p-キシレン52.8グラム/0.20モル及び50ml/44.3グラムの試薬級o-キシレンを装填した。混合物を30分間加熱還流することにより、NiBr/TPP錯体の緑色溶液を形成した。50℃に冷却した後に、150mlの乾燥THF溶媒を加えた。500mlの均圧添加漏斗に、400mlの、THF中1.0モル濃度の2-クロロマグネシウムトルエン溶液/0.40モルを装填し、それをフラスコの中央ネックに置いた。
【0036】
カップリング反応は、グリニャール反応体をフラスコに2時間45分かけて滴下添加することによって50℃で実施した。添加の過程で反応混合物は赤橙色に変わり、次いで褐色に変わった。添加完了後に、フラスコを50℃でさらに1時間撹拌し、次いで周囲温度に冷却した。
【0037】
粗製反応生成物を35mlの濃塩酸及び115mlの脱イオン水で処理し、続いて3mlの50%過酸化水素水溶液を添加した。漏斗で分離した後、有機層を100mlずつの1%NaCl水溶液で2回洗浄した。溶媒混合物からの生成物の結晶化を防ぐために、洗浄工程中にトルエン100mlを添加しなければならなかった。
【0038】
次いで、粗製有機材料を窒素でストリッピングし、次いで60℃で0.5kPa真空に供して、低沸点不純物の大部分を除去した。粘着性のある薄黄色の結晶の正味重量は73グラムであった。この材料を還流下で200mlの異性体ヘキサンに溶解し、撹拌しながら周囲温度に冷却した。所望の生成物は結晶化した。次にこれを粗いガラスフリットでろ過し、結晶を50mlずつの異性体ヘキサンで4回洗浄した。真空中で乾燥した後に、理論収率の31%を表す、18.11グラムの正味収量の所望の白色結晶生成物が得られた。この材料はガスクロマトグラフ分析により純度97%であった。
【0039】
プロトンNMRスペクトルは、TMSに対するppmで示した:2H(S)6.98ppm 2’,5’芳香族C-H; 8H(重複二重項)7.15-7.30ppmの外環の芳香族C-H; 6H(S)2.12ppm2,2''ベンジルCH;6H(S)2.02 2’, 5’-ベンジルCH
【0040】
例2 2,2’, 2'', 5’-テトラメチル-1,1’:4’, 1''-ターフェニルの四臭素化-本発明の配位子の前駆体
装置は1リットルのフラスコであり、「S」及び直線状「Y」アダプターを介してグリコール冷却還流凝縮器に接続した。還流凝縮器の頂部は窒素雰囲気に対して「T」を有し、凝縮器の頂部を横切って掃引した。125ミリリットルの均圧添加漏斗を「Y」アダプターの他方の脚に配置した。フラスコは、テフロン(登録商標)コーティングされた磁気攪拌棒、加熱マントル及びフラスコの内容物を照射するための250ワットの「サンランプ」を有していた。
【0041】
フラスコに2,2’, 2'', 5’-テトラメチル-1,1’:4’, 1''-ターフェニルX-002250-090 14.32グラム/ 50ミリモル及び250mlのCHClを装填した。125添加漏斗に分子臭素32.0グラム/10.26ml/200ミリモル及び40mlのCHClを装填しそしてその場で混合した。
【0042】
混合物を攪拌しながら穏やかに還流するように加熱し、サンランプを点灯し、次いで臭素溶液を滴下して加えることにより反応を実施した。全添加時間は5時間5分であった。溶液をさらに3分間照射したところ、CHClの下降管から全てのオレンジ色が除去された。しかしながら、反応溶液は赤色のままであった。溶解したHBrを追い出すために還流をさらに20分間続けた。
【0043】
粗製溶液を周囲温度にて窒素でストリッピングし、次いで4.7mmHg(0.62kPa)の圧力に供して全ての溶媒を除去した。得られた黄橙色の「タフィー」の正味重量は29.06グラム(理論重量30.1グラム)であった。粗製生成物を80℃に加熱した60mlのトルエンから再結晶し、次いで撹拌しながらゆっくり冷却した。少量の保持された「タフィー」を使用して混合物に約60℃で播種して結晶化を誘導した。得られたスラリーを週末にわたって周囲温度で撹拌し、その後、粗いガラスフリットでろ過した。フィルターケーキを2×10mlの周囲温度のトルエンで洗浄し、吸引乾燥し、次いで4.8mmHg(0.63kPa)の圧力に供し、付着している溶媒を除去した。白色粉末の正味重量は11.75グラム(理論重量の39%)であった。この材料はCDClに対して約5%の溶解度を示す。
【0044】
1H NMRスペクトル: 2H (S) 7.55 ppm 3’,6’-芳香族C-H; 8H 重複(DD) 7.35-7.50 ppm 芳香族C-H; 4H (DD) 4.4 ppm J = 0.15 ppm CH-Br; 4H (DD) 4.2 ppm J = 0.15 ppm CH-Br。微量不純物、CHBr ベンザル、6.31及び6.38 ppm、ベンジルCH、2.35, 2.16及び2.12 ppm。
【0045】
例3 LiCl交換による2,2', 2'', 5'-テトラ(ブロモメチル)-1,1':4 ', 1''-ターフェニルの2,2', 2'', 5'-テトラ(クロロメチル)1,1':4', 1''-ターフェニルへの転化
これは本発明の配位子への直接の前駆体である。これは、LiCl交換反応において再結晶テトラブロモ化合物を使用している。
【0046】
500ミリリットルのエルレンマイヤーフラスコを使用した。フラスコは、ストッパー付きの標準的なテーパージョイント及びテフロン(登録商標)コーティングされた磁気撹拌棒を有していた。使用前にフラスコを窒素でパージした。フラスコに再結晶2,2', 2'', 5'-テトラ(ブロモメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニルX-002250-095を9.03グラム/15ミリモル及び200mlの乾燥DMF(ジメチルホルムアミド)を装填した。材料を周囲温度で撹拌して、均一溶液を形成した。粉末状の無水LiCl 12.70グラム/300ミリモルを攪拌混合物に周囲温度で部分分けして加えた。これを周囲温度で40時間撹拌した。混合物はこの時間の終わりに均質であった。
【0047】
混合物を氷水浴で外部から冷却し、75mlの冷たい5%HCl水溶液で処理し、2層を形成した。ジエチルエーテル(150ml)を加えたところ、これも2層混合物を形成したが、生成物の結晶懸濁液を含んでいた。エーテル抽出物と共に残っている懸濁液で層を分離した。水層を2×100mlのジエチルエーテルで再抽出した。合わせたエーテル抽出物は今や均質であった。これを2×50mlの80/20v/v飽和NaCl/DI水溶液で洗浄した。
【0048】
抽出物を100グラムの無水NaSOで乾燥すると、生成物が沈殿し始めた。100mlのCHClを添加することによりこれを分割した。次にこれをろ過し、NaSOケーキを2×50mlのCHClで洗浄して、形成された生成物のすべてを得た。
【0049】
窒素でストリッピングしそしてろ液残留物を4.8mmHg(0.63kPa)の圧力に供した後に、6.09グラムの白色結晶性固体の正味重量又はテトラクロロ化合物の理論重量の95.7%が得られた。サンプルをTHFに溶解し、この報告に開示されている方法を用いてガスクロマトグラフィーにより分析した。生成物は34.2分の保持時間を有しそして高沸点生成物ピーク面積の80%を示した。各面積の10%を表す2つのより小さなピークが31.25分及び32.0分の溶出時間で観察され、モノメチル、トリクロロ副生成物の2つの異性体であると思われる。
【0050】
材料の1H NMR: 2H (DD) 7.60 ppm芳香族C-H; 2H (DD) 7.35 ppm 2’,5’芳香族C-H(?); 6H重複(DD) 7.40-7.50 ppm 芳香族C-H; 8H 重複(DD) 4.25-4.50 ppm CH-Cl;観測された不純物tr. CHCl 5.28 ppm; tr. 2.12及び2.15 ppm ベンジルCH
【0051】
例4 テトラクロロ前駆体を使用した2,2’, 2'', 5’-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’:4’, 1''-ターフェニル-本発明の配位子-の調製
装置は、テフロン(登録商標)コーティングされた磁気撹拌棒、窒素雰囲気、50ミリリットルの均圧添加漏斗及び任意の氷水浴を備えた250ミリリットルの三つ口フラスコであった。フラスコ及び漏斗を装填するための全ての取扱いは窒素グローブボックス中で行われた。使用前に全ての溶媒及び試薬を窒素でパージした。
250mlのフラスコに、周囲温度で10分間かけて、7.44グラム/6.95ml/40ミリモルのジフェニルホスフィン、80mlの乾燥THF溶媒を装填し、次いで20ml/40ミリモルのシクロヘキサン中の2.0Mのn-ブチルリチウムを装填し、リチウムジフェニルホスフィドアニオンの赤橙色溶液を形成した。50ml添加漏斗に2,2’ , 2'', 5’-テトラ(クロロメチル)-1,1’:4’, 1’-ターフェニル4.24g/10ミリモル及び40mLの乾燥THF溶媒を装填した。この量の溶媒は溶解度限界に非常に近かったが、最終的には穏やかな振盪に伴いすべてが溶解した。この後、添加漏斗をフラスコの中央ネックに置いた。
【0052】
リチウムジフェニルホスフィドアニオンを含むフラスコを0℃の反応温度になるまで氷水浴で外部的に冷却した。テトラクロロ反応体を、激しく攪拌されたアニオン溶液に1時間45分かけて滴下して加えた。淡黄色の終点は全添加量の97%で到達された。この時点以降、さらなるテトラクロロ反応体を添加しなかった。生成物が沈殿し始めるのが観察され、淡黄色だが撹拌可能なスラリーを形成したときに、溶液をさらに30分間0度に保った。これを周囲温度に温め、次いで一晩撹拌した。外観は朝に変化していなかった。
【0053】
トルエン20mlを加えた。スラリーは溶解しなかった。2%HCl水溶液50mlを添加し、そしてスラリーはより濃密になった。これを窒素下で500ml分液漏斗に移し、混合物を加熱しそして振盪してエマルジョンを破壊した。その後、無色透明の水層を分離して廃棄した。有機層を2×50mlの2%NaCl水溶液、次いで50mlの0.5%NaCl水溶液で洗浄した。エマルジョンを破壊し、層を分離するために分液漏斗を加熱しなければならなかった。最後の洗浄後に、有機層は二相であり、無色透明の有機層は層の底に白色微結晶生成物の層を有していた。この溶液のサンプルをガスクロマトグラフで分析した。この材料は約200mgの未反応ジフェニルホスフィン(初期装填物の約2.5%)を含有していた。
【0054】
次にこれを風袋引きした丸底フラスコに排出した。生成物の白色固体残留物の一部が分液漏斗の壁に付着した。これを溶解し、さらに20mlのトルエンを添加した後にフラスコに洗い流した。
【0055】
窒素でストリッピングし、次いで残留物を50℃に加熱しながら5.4mmHg(0.72kPa)の圧力に供することによって溶媒を除去した。粗製結晶生成物の10.71グラムの正味重量が残った。理論重量は10.23グラムである。このサンプルをNMR分析用のDCClに溶解した。全ての材料が溶解し、全ての塩が除去されたことを示す。粗製材料中のCH-PPh/CHプロトンの比は1.00/0.33であり、これは三座配位子材料が不純物として存在することを示している。
【0056】
粗製材料を還流下で攪拌しながら冷却して60mlのイソプロパノール/10mlのトルエンと共に研和した。この結晶性材料をろ過しそして25mlずつのイソプロパノールで3回洗浄しそして5.4mmHg(0.72kPa)の圧力で60℃において乾燥した。流動性生成物の正味重量は9.22グラムであった。CH-PPh/CHの比は1.00/0.19であった。この材料をオキソベンチユニットで試験し、5.89ポンド(2.67Kg)のHBu/g-Rh-hrの安定活性を39.1/1の平均N/Iso比で有していた。回収した触媒は黄色であり、配位子の一部は冷触媒溶液から沈殿していた。
【0057】
85%HPO水溶液に対する31P吸収量=-8.36ppm(25 P);-9.27ppm、-9.23ppm、-9.44ppm(合計)(54P)及び-11.13ppm(20P)の四座及びおそらく二種の三座異性体の混合物。
【0058】
1 H NMRスペクトル積分面積比=94.5H 6.9-7.35ppm、リン上のフェニル及び1及び1''の芳香環のいくつかからの重複多重項芳香族C-H;5.5H合計6.7ppm(D)6,6'', 6.5ppm(D)3,3'', 6.26ppm(S)3 ’, 6’芳香族C-H;14.67H重複(DD)ベンジル性CH-PPh;2.82H 2.35ppm(S)-CH
【0059】
例5(*比較例) 3,3', 5,5'-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1'-ビフェニル-本発明の組成物ではない四座配位子の調製
この四座配位子は不活性ヒドロホルミル化触媒をもたらすビフェニル環上の互いに2つのジフェニルホスフィノメチル置換基のメタ配置を示す2つの別々の部位を有する。
【0060】
装置及び一般的手順は例4のものである。500mlフラスコにジフェニルホスフィン7.44グラム/6.95ml/40ミリモル及びTHF溶媒100mlを装填した。シクロヘキサン中2.0モル濃度のn-ブチルリチウム20ml/40ミリモルを添加して赤橙色溶液を形成した。
【0061】
前駆体化合物3,3', 5,5'-テトラメチル-1,1'-ビフェニル、3,3', 5,5'-テトラキス(ブロモメチル)-1,1'-ビフェニル及び3,3', 5, 5’-テトラキス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニルは、3,5-ジメチル-1-ブロモベンゼンから例1、2及び3の手順と同様の手順を用いて調製した。
【0062】
50mlの添加漏斗に、3,3', 5,5'-テトラキス(クロロメチル)-1,1'-ビフェニル及び30mlのTHF溶媒を装填し、無色透明の溶液を形成した。漏斗を攪拌されているアニオン溶液の渦の真上の中央ネックに置いた。フラスコを外部のドライアイス/イソプロパノール浴で-20~-25℃に冷却した。テトラクロロ溶液を、40分で添加が完了する速度で滴下して加えた。黄色の終点は全添加量の72%に達した。これに続いてテトラクロロ溶液のさらなる添加は行わなかった。
【0063】
溶液を周囲温度に温め、次いで窒素雰囲気下にて周囲温度でさらに10日間放置した。色は10日後に変化していなかった。
【0064】
粗製材料を0.81mlの無水メタノール、続いて20mlのトルエン及び50mlの8%HCl水溶液で処理した。2つの透明無色層が生じた。酸を分離して処分した。有機層を50mlずつの2%NaCl水溶液で2回洗浄した。
【0065】
有機層を窒素でストリッピングし、次いで50℃に加熱しながら5.4mmHg(0.72kPa)の圧力に供した。得られた無色の濁った油は9.47グラムであった。
【0066】
粗製混合物から対称分子を結晶化させるためのいくつかの試みは成功しなかった。以下の溶媒混合物を用いて還流温度に加熱し、周囲温度に冷却することにより油を研和した。これは空気を厳密に排除して行われた。60mlのイソプロパノール/20mlのトルエン、60mlの異性体ヘキサン/14mlのトルエン、30mlの異性体ヘキサン/7mlのトルエン、30mlの異性体ヘキサン。最後の場合を除いて、各場合に、油は還流時に完全に溶解し、冷却すると重質油相と溶媒相に分離した。溶媒相を除去し、廃棄した。このようにして、約2グラムのジフェニルホスフィン及びほとんどの望ましくない三座配位子不純物を重質油から除去した。
【0067】
残った白い残留物は硬い白いプラスチックの外観材料に硬化した。残留物を真空に供した後に、2.00グラムの正味重量の本質的に純粋な生成物を得た。これは予想収量の21%である。
【0068】
この例の配位子を用いてヒドロホルミル化触媒活性は観察されなかった。
【0069】
85%HPO水溶液に対する31P吸収(P積分相対比)=-9.15ppm(100 P)生成物;+30ppm(4.7P)-CH-P=O-Ph;+22ppmジフェニルホスフィンオキシド(0.9P);+14.3ppmテトラフェニルジホスフィン(0.7P);+39.7ppm(0.1P)ジフェニルホスフィン。
【0070】
分子中のプロトンとして表現される1H NMRスペクトル=40H 7.5ppmブロード(S)リンに結合しているフェニルC-H;2H 6.8 ppm (S)4,4’ 芳香族C-H;4H 6.5ppm (S) 2,2’,6,6’芳香族C-H; 7.5H 3.35ppm (S) ベンジルCH-PPh;0.5H全2.35及び2.2ppm (S) CH
【0071】
例6(比較例) 2,2’, 5-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル-本発明の組成物ではない三座配位子の調製
これは、触媒的に活性でありそして本発明の組成物と一致しない三座配位子の例である。生成物のN/Iso比は本発明の例よりも低い。
【0072】
この比較例の化学前駆体は例1、2及び3に記載されたものと同様の方法で調製した。したがって、2,2', 5-トリメチル-1,1'-ビフェニルは、2-クロロマグネシウムトルエンと2-ブロモ-1,4-ジメチルベンゼンとのNiBr/TPP触媒カップリング反応によって調製し、2,2', 5-トリス(クロロメチル)-1,1'-ビフェニルは、臭素化と、それに続く粗製ブロモ中間体と塩化リチウムとの塩化物交換の組み合わせによって製造された。
【0073】
装置及び一般的手順は例4に記載したものと同じであった。250mlフラスコにジフェニルホスフィン8.37グラム/7.62ml/45ミリモル、乾燥THF溶媒80mlを装填した。シクロヘキサン中の2.0モル濃度のn-ブチルリチウム23.5ml/45ミリモルを注射器で加えた。この添加で追加の1.0mlが添加され、溶媒中の微量の水分を除去してすぐに黄色を形成した。最終溶液は通常の赤橙色であった。
【0074】
50mlの添加漏斗に2,2', 5-トリ(クロロメチル)-1,1'-ビフェニル4.49グラム/15ミリモル及び40mlの乾燥THF溶媒を装填し、無色透明の溶液を形成した。添加漏斗を渦の上方のフラスコの中央ネックに置いた。
【0075】
フラスコを外部氷水浴で0℃に冷却した。トリクロロ溶液を1時間かけて滴下して加えた。全てのトリクロロ溶液を添加した。色は赤橙色から赤褐色へと変化し、最後に黄褐色へと薄くなった。混合物を撹拌しながら周囲温度に温め、一晩その温度に保った。色は朝に褐色シェードのオレンジ色になった。
【0076】
シリンジから1.82ml(45ミリモル)の無水メタノールを少しずつ加えて反応をクエンチした。色は0.10ml(2.5ミリモルのCHOH)の添加後に淡黄色に変わりそして残りのメタノール添加を通して同じ色のままであった。次いで混合物を20mlのトルエン及び50mlの2%HCl水溶液で処理した。2つの無色透明の層が生じた。有機相のサンプルをガスクロマトグラフで分析した。有機層は0.80グラムの未反応ジフェニルホスフィン(元の装填物の約10%)及び0.26グラムのジフェニルホスフィンオキシドを含む。水層を廃棄し、有機相を2×50mlの2%NaCl水溶液で洗浄した。
【0077】
有機層を10グラムの無水NaSOで乾燥し、ろ過しそしてケーキを20 mlのTHFで洗浄して風袋引きした丸底フラスコに入れた。窒素ストリッピングにより溶媒を除去し、残留物を50℃に加熱しながら「完全」真空に供した。粗製淡黄色重質油の正味重量は10.09グラムであった。
【0078】
このオイルを加熱還流された20ml、次いで40mlの異性体ヘキサンとともに研和しそして周囲温度に冷却した。それぞれの場合において、分離したヘキサン相を重質油生成物からデカントした。オイルは粘着性の白色固形分に固化した。合わせたヘキサン抽出物をガスクロマトグラフで分析した。合計0.42グラムのジフェニルホスフィンが取り出された。
【0079】
白色の固体を破砕し、2×10mlの異性体ヘキサンで洗浄し、次いで、「完全」真空に供した。固形分を「綿菓子」材料に膨らませ、これを約30分間真空に供して揮発分を除去した。真空を解除すると、脆い塊が生じ、それは易流動性の粉末に容易に粉砕された。この材料の正味重量は、理論重量11.22グラムに対して6.63グラムであり、すなわち、純粋であれば理論量の59%であった。
【0080】
この触媒配位子をオキソベンチユニット中で試験しそして13.7/1のN/Iso比で1.25lbHBu/g-Rh-hrの活性を有していた。触媒は「中程度のオレンジ」色に戻った。
【0081】
85%水性HPOに対する31P吸収(P相対積分面積)=-9.04ppm(50P)、-9.49ppm(100P)所望の生成物。不純物:+22ppmジフェニルホスフィンオキシド(7.5P);-14.3ppmテトラフェニルジホスフィン(2P);-39.7 ppmジフェニルホスフィン(0.7 P)。
【0082】
1H NMRスペクトル(H積分面積比) = 100H 6.75-8.0 ppm 重複多重項芳香族C-H; 13.1H 3.2-3.6 ppm重複(DD)ベンジルCH-PPh; 1.1H 2.35 ppm (S) CH。この積分比CH-PPh/CHプロトンは1.00/0.09であり、ほとんど二座配位子不純物が存在しないことを示した。
【0083】
例7(比較例) 他の触媒配位子
本出願の比較例で使用される他のオルガノリン配位子は実験用試薬供給会社から購入するか、又は公開文献又は特許から利用可能な方法によって調製した。
【0084】
例8 オキソベンチ試験ユニット及び一般的操作の説明
反応器は、直径4フィート×1インチ直径(122cm×2.54cm直径)のステンレススチール製バブルカラムである。反応器の底部は反応ガスの導入のために底部にステンレススチールフリットを有する。反応器は、反応器内の液体レベルの大まかな測定のために差圧セルと、触媒溶液の装填のために反応器の底部のマニホールドとを有する。反応器はまた、溶媒を洗浄するために反応器の頂部にプラグを有し、反応触媒溶液の測定のために内部熱電対を有する。反応器は反応器温度を制御するための加熱流体を含むジャケットを有する。加熱流体は電気循環式ホットオイルヒータによって制御される。加熱溶液の温度もまた熱電対によって記録される。
【0085】
触媒を1リットルのステンレススチール「ボンベ」型シリンダから反応器に装填する。触媒溶液の調製及び装填のためのシリンダの取り扱いは、通常、空気汚染を排除するために窒素グローブボックス内で行われる。ボンベは、アセトン及び/又は他の溶媒で徹底的に洗浄され、窒素で乾燥され、その後に、触媒を装填する。触媒は、反応器の底部にあるマニホールドを介してボンベから反応器に窒素圧を用いて装填される。これを行う前に、すべての接続ラインを溶媒で洗浄し、窒素で乾燥する。運転の完了時に、触媒はマニホールドを通って反応器から「ボンベ」へと圧力で戻される。
【0086】
ユニットへのフィードは、販売者から購入した認定組成の1/1体積/体積H/COのアルミニウムシリンダ;ゼログレード水素シリンダ及び窒素シリンダを含む。窒素及び水素は通常、Pd/Al「デオキソ」床を一緒に通過して、制御装置を出た後に窒素中の微量の酸素を除去する。これらのガスを供給するためにブルックスマスフローコントローラを使用する。ユニットが数ヶ月にわたって操作されていない場合、フローは通常再校正される。プロピレンは液体フィードシステムによって供給される。次いで、プロピレンを下流で加熱して加圧下で気化させ、その後に、他のガスと接触させそしてフリットを介して反応器に入れる。
【0087】
反応器流出ガスは、グリコール冷却ヘアピン型凝縮器を通ってオーバーヘッドを通過し、やはりグリコール冷却されている気液分離器(V/L)に排出される。液体生成物はこの容器内に蓄積しそして運転中に1時間毎に排出される。凝縮しなかったガスは圧力制御バルブを通ってV/Lの上部を通過し、該バルブは反応器の圧力を制御し、ガスが一連の3つのドライアイストラップを通過する際に大気圧まで下げる。これら3つのトラップからの凝縮物も1時間ごとに収集し、V/Lからの材料と混合される。毎時のサンプルを周囲温度で数時間脱気して、溶解したプロピレンの大部分を蒸発させる。この後、その1時間に製造された生成物の正味重量を決定し、次いでガスクロマトグラフィーにより分析して存在するアルデヒドの重量及び得られた生成物のN/Iso比を決定する。実際には、所与の触媒を試験するために、5時間の運転を用い、最後の3時間の生成物及びデータを用いて触媒活性及びN/Iso比を決定する。
【0088】
例9 標準BISBI/Rh一日運転(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル)-本発明の配位子でない
これは、使用される標準オキソベンチユニット条件の例である。この例の流量、反応器温度、反応器圧力はすべての比較例及び本発明の実施例に使用されるであろう。
【0089】
触媒溶液を窒素グローブボックス中で調製した。0.0150グラムのRhを含有するRh(I)AcAc(CO)(ロジウム(I)アセチルアセトネートジカルボニル)37.5mg/0.1455ミリモル、精製BISBI 0.96グラム/1.75ミリモル及び190mlのテキサノール(2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート)を周囲温度で一緒に溶解した。ロジウム化合物の紫緑色結晶は、BISBIと接触すると溶解し、オレンジ色の溶液を形成した。これはきれいな1リットルのボンベに装填され、該ボンベはベンチユニットに接続されている。
【0090】
100psig(689kPa)の窒素でマニホールドに接続した後にボンベの内容物を反応器内に加圧して入れ、ボンベから全ての液体を追い出すためにプロセスをさらに2回繰り返した。触媒を反応器の頂部からこぼさないようにするためにバルブをゆっくり開けた。
【0091】
次いで反応器を窒素で260psig(1792kPa)に加圧し、反応器触媒溶液の加熱を開始した。加熱を開始した後に、ガス流を以下のとおりに変えた。
= 2.55標準リットル/分
1/1 v/v H/CO = 2.18標準リットル/分
= 2.36標準リットル/分
【0092】
反応器溶液が105℃に達したときに、加熱を105℃で停止し、プロピレンフィードを356グラムプロピレン/時で開始した。
【0093】
反応熱で反応温度を上昇させることにより、反応器を110℃の目標反応温度まで「上昇させた」。反応液温度が110℃に保たれるようにホットオイルバス温度を調整した。
【0094】
触媒溶液が110℃の目標反応温度に達すると、運転を正式に開始する。運転に関するデータを1時間ごとに記録し、該データは流量設定、反応温度及び圧力、浴温、反応器レベル及びプロピレンタンクレベルを含む。製品サンプルを、ユニットの一般的な説明に記載されているように1時間ごとに収集する。通常、反応器レベルは2番目の1時間ごとのサンプルの後で安定している。最後の3時間のサンプルを用いて触媒活性及びN/Iso比を計算する。この運転において、1時間当たりに製造されるブチルアルデヒドの平均量は57.9/1のN/Iso比で81.47グラムであり、11.97 lb HBu/g-Rh-hr(5.43kg Hbu/g-Rh-hr)に等しい。パス当たりのCO転化率は35.2%であり、反応器全体の平均分圧は以下の通りであった。100.9psia(695kPa絶対圧)H ;26.3psia(181kPa絶対圧)CO;78.8psia(543kPa絶対圧)プロピレン及び69.1psia(476kPa絶対圧)窒素。平均反応器出口ガス分圧は以下の通りであった。H=101.5psia(670kPa絶対圧);CO=22.0psia(152kPa絶対圧);プロピレン= 77.7psia(536kPa絶対圧)。
【0095】
5番目のサンプルを回収した後に、反応器を停止した。プロピレン流を止めた。触媒溶液から過剰のブチルアルデヒドを除去するために他の流れを一定に保ちながら反応器を15分間ストリッピングした。15分後に、残りの流量をそれぞれ1リットル/分に設定し、反応器を60℃に冷却した。60℃に達したら、触媒溶液をボンベに圧力で戻した。回収した触媒を窒素グローブボックス内でボンベから取り出し、保持重量を測定し、その色を記録する。色は「中程度の黄色で透明」。
【0096】
次の運転に備えて、反応器及び1リットルのボンベを洗浄しそして窒素でパージした。
【0097】
例10 本発明の触媒2,2’, 2'', 5’-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’:4’, 1''-ターフェニルを用いた1日運転
例4からの0.015グラム(0.1455ミリモル)のロジウムを含む37.5ミリグラムのRh(I)AcAc(CO)、1.79グラム(1.75ミリモル)の2、2’, 2'', 5’-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニル及び190ミリリットルのテキサノール溶媒を用いて窒素グローブボックス中で触媒混合物を調製した。配位子を溶解するためにトルエン20ml及びTHF20mlを添加した。配位子と反応することによって溶解されたRh(I)AcAc(CO)は未溶解配位子とのパステルイエロー混合物を形成した。これを、栓をしたエルレンマイヤーフラスコ中で窒素グローブボックス中にて一晩撹拌した。配位子の薄い撹拌可能な懸濁液が存在した。これを1リットルのサンプルボンベに添加しそして前述のようにベンチユニット反応器に装填した。
【0098】
反応器を例9の条件で5時間運転した。最後の3時間における1時間当たりに生成されるブチルアルデヒドの平均量は40.04グラムであり、N/Iso比は39.1/1であった。これは、5.89lbブチルアルデヒド/グラムRh-hr(2.67kg HBu/g-Rh-hr)の活性を表す。CO転化率/パスは17.3%であった。反応器全体の平均分圧は以下の通りであった:H = 100.7psia(694kPa絶対圧);CO = 28.3psia(195kPa絶対圧);プロピレン= 79.0psia(545kPa絶対圧)。反応器出口分圧はH = 100.9psia(695kPa絶対圧);CO = 26.4psia(182kPa絶対圧);プロピレン= 78.6psia(542kPa絶対圧)。
【0099】
回収した触媒の色は「パステルイエローで濁り」であった。濁りは、冷却時の触媒溶液からの配位子の沈殿によるものであった。
【0100】
例11(比較例) 本発明ではない三座配位子2,2’, 5-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニルを用いた一日運転
15mgのRh(0.1455ミリモル)を含有する37.5ミリグラムのRh(I)AcAc(CO)及び例6からの1.31グラムの1.75ミリモルの2,2', 5-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)1,1'-ビフェニル及び190ミリリットルのテキサノール溶媒から窒素グローブボックス中で触媒溶液を調製した。フィード触媒溶液は均一な黄色であった。反応器に例9に記載した条件下で装填しそして運転した。運転は5時間行った。
【0101】
反応は、1時間当たり平均8.50グラムのブチルアルデヒド又は1.25lbブチルアルデヒド/グラム-Rh-hr(0.57kg HBu/g-Rh-hr)を生じた。N/Iso比は13.7/1であった。回収された触媒の色は「中程度のオレンジで透明」であった。
【0102】
例12(比較例) 不活性触媒を生じる互いにメタ位に2つのジフェニルホスフィノメチル基を有する本発明ではない四座配位子を使用する一日運転
15mgのRh(0.1455ミリモル)を含有する37.5ミリグラムのRh(I)AcAc(CO)及び例5からの1.59グラムの1.68ミリモルの3,3', 5,5'-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1'-ビフェニル及び190ミリリットルのテキサノール溶媒から窒素グローブボックス中で触媒溶液を調製した。得られたフィード溶液は「中程度の琥珀色」であり、そして均一であった。
【0103】
触媒溶液をベンチユニット反応器に装填し、例9で使用した条件で5時間運転した。オーバーヘッドから取り出された唯一の材料は、溶解したプロピレンを含むテキサノール溶媒であった。いかなるブチルアルデヒド生成物の痕跡もなかったことは触媒が安定な触媒不活性なロジウム化合物へと被毒されたことを意味する。この被毒はいかなる固有の失活によるものでもなく、その代わりに、2つのジフェニルホスフィノメチル基が互いに対してメタ位にあることの結果であると考えられる。回収した触媒溶液は「きれいな黄色で透明」であった。
【0104】
例13 不活性触媒を生じる互いにメタ位に2つのジフェニルホスフィノメチル基を有する二座配位子である1,3-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼンを使用する一日運転
この例は、ロジウム触媒ヒドロホルミル化のための配位子として使用する際に、同じ芳香環上に互いにメタ位に存在する2つのジフェニルホスフィノメチル基を有するという固有の有毒性を示す。
【0105】
15ミリグラム(0.1455ミリモル)のロジウムを含有する37.5ミリグラムのRh(I)AcAc(CO)、0.83グラムの1.75ミリモルの1,3-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼンX-002250-122及び190ミリリットルのテキサノールを用いて窒素グローブボックス中で触媒溶液を調製した。得られた触媒溶液は赤色で透明であった。
【0106】
触媒溶液をベンチユニット反応器に装填し、例9で使用した条件で5時間運転した。全てのサンプルにおいてオーバーヘッド生成物中にいかなるブチルアルデヒド生成物の痕跡も存在せず、これは触媒が安定な触媒不活性なロジウム化合物へと被毒されたことを意味する。この被毒は固有の失活によるものではなく、その代わりに2つのジフェニルホスフィノメチル基が互いにメタ位にあることの結果であると考えられる。回収した触媒は「鮮やかな黄色で透明」であった。
【0107】
例14 例9で使用した条件での様々な触媒配位子を比較した一日運転の表
この表は、触媒活性及び生成したN/Iso比を比較するために例9で使用した条件での様々な触媒配位子の直接比較である。特に記載のない限り、装填された二座、三座及び四座配位子の量は1.75ミリモルである。単座配位子を用いた運転では、ロジウムへの結合に利用可能な一定量のリンを維持するために、3.50ミリモルを用いる。使用したロジウムの量は、37.5ミリグラムのRh(I)AcAc(CO)、15ミリグラムのRh、0.1455ミリモルであった。190ミリリットルのテキサノール溶媒を用いて混合物を溶解した。CO分圧がN/Iso比に影響を及ぼすことが知られているので、反応器全体の平均絶対CO分圧及び反応器を出る絶対CO分圧も含まれる。
【0108】
上記の例12及び13を除いて、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、以下の表中のより薄い色は一般により高い触媒安定性を示しそしてより濃い色はより低い安定性を示すと考えられる。
【表1】
表で使用される配位子への鍵:
A = 米国特許第4,694,109号明細書に開示の方法により調製した2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル
B = 2,2’, 2'', 5’-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’:4’, 1''-ターフェニル-例4
C = 2,2’, 5-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル-例6
D = 3,3’, 5,5’-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1’-ビフェニル-例5
E = 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼンであり、これは、リチウムジフェニルホスフィド及びα, α'-ジクロロ-メタキシレンの反応によって調製されたものである。
F = 米国特許第5,332,846号明細書に開示の方法により調製された2,2’-ビス(ジベンゾホスホリルメチル)-5,5’-ジ-t-ブチル-1,1’-ビフェニル
G = 米国特許第4,960,949号明細書に開示の方法によって調製された1,2-ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン
H = 1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンであり、これはAldrich Chemical Co.から購入したものである。
I = 米国特許第4,193,943号明細書に開示されており、Aldrich Chemical Co.から購入した1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
J = R, S―DIOP-米国特許第4,306,082号明細書にあり、これはAldrich Chemical Co.から購入した。
K = XANTPHOS 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン-P.W.N.M.Van Leeuwenら、Organometallics 14, pp.3081-3089(1995)。このジャーナルの論文に従って調製した。
L=Strem Chemical Co.から入手可能な2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニル
M-Strem Chemical Co.から入手可能なベンジルジフェニルホスフィン
N-Aldrich Chemical Co.から購入したトリフェニルホスフィン。
【0109】
例15 本発明の触媒の安定性を実証する3日運転
この例は例9の条件を使用して3日間の運転で本発明の触媒を使用する。日中と日中との間に、ユニットを一晩停止しそして朝に再開する。これはまた低圧オキソ触媒に不活性化を増加させる手順である。各運転日の最後の3時間は、その日の触媒活性及びN/Iso比を計算するために使用される。
【0110】
例4からの材料である2,2', 2'', 5'-テトラキス(ジフェニルホスフィノメチル)-1,1':4', 1''-ターフェニル、1.79グラム、1.75ミリモル、ロジウム15mgに相当するRh(I)アセチルアセトネートジカルボニル37.5mg、0.1455ミリモル、溶媒としてテキサノール溶媒190ミリリットル及び乾燥トルエン20mlを用いて窒素グローブボックス中で触媒混合物を調製した。500mlの栓をしたエルレンマイヤーフラスコに含まれる混合物を窒素ボックス内にて磁気撹拌機で一晩撹拌した。ロジウム化合物の青紫色結晶は攪拌すると急速に溶解し、触媒及び未溶解配位子の淡黄色懸濁液を形成した。混合物を一晩撹拌し、未溶解配位子を破砕して薄黄色スラリーとするのを助けた。
【0111】
触媒混合物を、1リットルのステンレススチール製ボンベを用いて例8に記載の反応器に装填した。反応器圧力制御器を260psig(1792kPa)に設定し、そして流れ制御器を次の順序で設定することによって反応器を加圧した:N=2.36標準リットル/分(SLM);1/1 v/vのH/CO(合成ガス)=2.18SLM及びH =2.55SLM。同時に、加熱システムを、反応器内の温度を105℃にするように設定した。105℃に達したら、プロピレンフィードを356グラム/時で開始し、温度を110℃まで「上昇させた」。温度が110℃に達したときに、運転を正式に開始した。
【0112】
上記の条件で合計5時間運転を行い、例8及び9に記載されているように毎時データ及びブチルアルデヒド生成物を取った。
【0113】
第1日目の最後のサンプルを回収した後に、反応器を以下の方法で停止した。
1.プロピレンフィードを停止し、他のフィードを15分間目標ガス流量で運転し続けた。
2.ガスフィードを次のように調整した:N=0.0SLM;H=1.0 SLM及び合成ガス=1.0 SLM
3.60℃に冷却する。
4.60℃に達したら、設定をH=0.0SLM及び合成ガス= 0.0SLMに変更し、反応器に供給しそして反応器を出るブロック弁を遮断して圧力を260psig(1792kPa)に保持した。
5.加圧下で一晩周囲温度に冷却させる。
【0114】
翌朝、反応器は次のようにして始動した。
1.反応器に出入りするブロック弁を開く。反応器圧力は260psig(1792kPa)に設定される。
2.以下の順序でガスフィードを開始する:N = 2.36SLM;合成ガス= 2.18SLM及びH=2.55SLM。
3.反応器を105℃に加熱し始める。
4.105℃に達したら、プロピレンフィードを356グラム/時で開始し、反応器温度を110℃まで「上昇させる」。
5.第2日目の運転の開始は、反応温度が110℃に達したときである。
【0115】
第2日目の運転は1日目と同様に5時間行い、データ及びブチルアルデヒド生成物は1時間ごとに集めた。
【0116】
第2日目の終了時に、反応器を上記のように停止し、また朝に上記のように再開する。
【0117】
第3日目の運転は、第2日目及び第1日目に記載されているように5時間行われる。
【0118】
反応器を上記のように停止して60℃に達する。その時点で、1リットルのステンレススチール製ボンベを反応器の底部に接続し、反応器の内容物を反応器内の圧力でそれに入れる。
【0119】
ボンベを窒素グローブボックス内で冷却した後に、それを減圧しそして回収された触媒をそれから排出させる。回収された触媒は、沈殿配位子の乳白色の懸濁液を伴う薄緑黄色であった。淡色によるRhクラスター生成物への触媒分解の証拠はなかった。以下の表は各日の運転の最後の3時間の触媒性能を示す。
【表2】

(態様)
(態様1)
触媒組成物の存在下でオレフィンを水素及び一酸化炭素と接触させてアルデヒドを製造することを含む、アルデヒドの製造方法であって、前記触媒組成物はロジウム源及び四座配位子を含み、前記四座配位子は以下の構造:
【化1】

(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基であり、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル、アリール又はアルキルエーテル、単一の酸素結合を介して結合したエステル、CF 、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びスルホン酸のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)
を含む、方法。
(態様2)
前記アルデヒドは約15:1~約100:1のN:I比で製造される、態様1記載の方法。
(態様3)
前記オレフィンは非置換直鎖α-オレフィンである、態様1記載の方法。
(態様4)
前記オレフィンはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン又はそれらの混合物である、態様3記載の方法。
(態様5)
前記オレフィンは二環式オレフィン2-ビニル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、1,8-オクタジエン、シス-ブテン-2、トランス-ブテン-1、シス-オクテン-2、トランス-オクテン-2又はアリルアルコールである、態様1記載の方法。
(態様6)
反応温度は約25℃~約140℃の範囲である、態様1記載の方法。
(態様7)
反応温度は約80℃~約125℃の範囲である、態様6記載の方法。
(態様8)
反応温度は約90℃~約110℃の範囲である、態様7記載の方法。
(態様9)
反応圧力は約14.7psig~約500psigの範囲である、態様1記載の方法。
(態様10)
反応圧力は約100psig~約300psigの範囲である、態様9記載の方法。
(態様11)
1時間当たりに供給されるオレフィン対反応器中に存在するロジウム前駆体のモル比は約1,000,000:1~約1000:1である、態様1記載の方法。
(態様12)
1時間当たりに供給されるオレフィン対反応器中に存在するロジウム前駆体のモル比は約300,000:1~約50,000:1である、態様11記載の方法。
(態様13)
オレフィン対反応器中に存在するロジウム前駆体のモル比は約10,000:1~約100:1である、態様1記載の方法。
(態様14)
オレフィン対反応器中のロジウム前駆体のモル比は約10,000:1~約2000:1である、態様13記載の方法。
(態様15)
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は約50:1~約1:1の範囲である、態様1記載の方法。
(態様16)
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は約15:1~約2:1の範囲である、態様15記載の方法。
(態様17)
前記四座配位子対前記ロジウム源のモル比は約12:1~約3:1の範囲である、態様16記載の方法。
(態様18)
ロジウム源及び以下の構造
【化2】

(上式中、R=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、Rは場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R'=アリール、アリールアルキル、アルキル置換-アリール、ヒドロカルビルアルキルであり、R'は場合によりヘテロ原子及び他の官能基で置換されていてよく、
R''=H、アリール、tert-ブチルならびにヘテロ原子及び他の官能基であり、
ヘテロ原子及び他の官能基=F、チオエーテル、アリール又はアルキルエーテル、単一の酸素結合を介して結合したエステル、CF 、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド及びスルホン酸のアルカリ金属塩であり、
P=リン原子である)
を含む四座配位子を含む、触媒組成物。
(態様19)
触媒組成物とともに使用するように適応された四座配位子であって、以下の構造:
【化3】

(上式中、R=フェニルであり、
R'=フェニルであり、
R'' =Hであり、
P=リン原子である)
を含む四座配位子。