(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】種々のスチームクラッカ構成を使用する、混合プラスチックからの高価値化学物質の最大化
(51)【国際特許分類】
C10G 51/06 20060101AFI20220829BHJP
C10G 9/00 20060101ALI20220829BHJP
C10G 1/10 20060101ALI20220829BHJP
C10G 9/36 20060101ALI20220829BHJP
C10G 45/00 20060101ALI20220829BHJP
C08J 11/10 20060101ALI20220829BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20220829BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20220829BHJP
C07C 15/04 20060101ALI20220829BHJP
C07C 15/06 20060101ALI20220829BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20220829BHJP
C07C 15/073 20060101ALI20220829BHJP
C07C 7/04 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
C10G51/06 ZAB
C10G9/00
C10G1/10
C10G9/36
C10G45/00
C08J11/10
C07C11/04
C07C11/06
C07C15/04
C07C15/06
C07C15/08
C07C15/073
C07C7/04
(21)【出願番号】P 2019519257
(86)(22)【出願日】2017-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2017056128
(87)【国際公開番号】W WO2018069794
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-04
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー,クリシュナ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】ゴイエヌー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナズワミー,ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガラン‐サンチェス,ララ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-500412(JP,A)
【文献】国際公開第2016/142809(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/128033(WO,A1)
【文献】特開平04-320490(JP,A)
【文献】特表2016-514170(JP,A)
【文献】特表平08-508520(JP,A)
【文献】特開平11-061148(JP,A)
【文献】特開2016-117800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
C08J 11/10
C07C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程であって、前記炭化水素生成物は気相および液相を含む工程、
(b)前記炭化水素生成物の少なくとも一部を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程であって、前記炭化水素気体ストリームは前記炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、かつ、前記炭化水素液体ストリームは前記炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む工程、
(c)前記炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカ生成物ストリームを生成するために気体スチームクラッカに供給する工程であって、前記気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、かつ、前記気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は前記炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い工程、
(d)前記炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する工程であって、前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分は300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、前記炭化水素液体ストリームの前記第二留分は、300℃以上の沸点を特徴とする工程、
(e)液体スチームクラッカ生成物ストリームを製造するために前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程であって、前記液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類と芳香族炭化水素類とを含み、かつ、前記液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分中のオレフィン類の量より多い工程、および、
(f)前記炭化水素液体ストリームの前記第二留分の少なくとも一部を前記熱分解ユニットに再循環する工程、を含み、
前記気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、前記液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせは、第二分離ユニットに導入されて、第二飽和炭化水素類気体ストリームを生成し、
前記第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部は、前記気体スチームクラッカに再循環される方法。
【請求項2】
前記気体スチームクラッカ生成物ストリームの前記オレフィン類は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される軽質ガスオレフィン類を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素気体ストリームは、塩酸(HCl)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、水素(H
2)をさらに含み、かつ、前記炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給する前記工程(c)は、さらに、(i)前記炭化水素気体ストリームの少なくとも一部をスクラバに導入して処理済み炭化水素気体ストリームを作る工程であって、前記処理済み炭化水素気体ストリーム中のHClの量は前記炭化水素気体ストリーム中のHClの量より少なく、かつ、前記炭化水素気体ストリーム中のHClの少なくとも一部は前記スクラバ内で除去される工程、(ii)前記処理済み炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入して第一飽和炭化水素類気体ストリームと第一オレフィン気体ストリームとを生成する工程であって、前記第一飽和炭化水素類気体ストリームは前記処理済み炭化水素気体ストリームの飽和炭化水素類の少なくとも一部を含み、かつ、前記第一飽和炭化水素類気体ストリームは当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする工程、および、(iii)前記第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を前記気体スチームクラッカに供給する工程、を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程(e)は、さらに、(i)前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと処理済み水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームは前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の沸点よりも低い沸点を特徴とし、前記処理済み炭化水素液体ストリームは前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の塩化物量よりも低い塩化物量を特徴とし、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームは前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分のオレフィン含有量よりも低いオレフィン含有量を特徴とする工程、および、(ii)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を前記液体スチームクラッカに供給する工程、を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記処理済み炭化水素液体ストリームは、300℃未満の沸点を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて10ppmw未満の単数または複数の塩化物成分を含み、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分は芳香族化合物類を含み、かつ、前記芳香族化合物類の一部が前記水素処理ユニット内で開環反応を受けて、非芳香族化合物類を作り出す請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを作り出す前記工程(i)は、さらに、(1)前記水素処理ユニットから水素処理ユニット生成物ストリームを回収する工程であって、前記水素処理ユニット生成物ストリームは、気相と液相とを含む工程、および、(2)前記水素処理ユニット生成物ストリームを前記処理済み炭化水素液体ストリームと前記水素処理ユニット気体生成物ストリームとに分離する工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームは前記水素処理ユニット生成物ストリームの前記液相の少なくとも一部を含み、前記水素処理ユニット気体生成物ストリームは前記水素処理ユニット生成物ストリームの前記気相の少なくとも一部を含む工程、をさらに有する請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部は前記気体スチームクラッカに供給される請求項4~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、前記液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、前記第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせは、前記第二分離ユニットに導入されて、第二オレフィン気体ストリーム、前記第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C
6-C
8芳香族類ストリーム、C
9+芳香族類ストリーム、および非芳香族重質ストリームを生成し、ここで、前記第二オレフィン気体ストリームは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、前記第二飽和炭化水素類気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、前記C
6-C
8芳香族類ストリームはC
6-C
8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、前記C
9+芳香族類ストリームは、C
9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、前記非芳香族重質ストリームは、C
6+芳香族炭化水素類以外のC
5+炭化水素を含む請求項3に記載の方法。
【請求項11】
第二オレフィン気体ストリームの収率は60%以上であり、そして、C
6-C
8芳香族類ストリームの収率は15%以上である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程(e)は、さらに、(i)前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと処理済み水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる工程、および、(ii)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を前記液体スチームクラッカに供給する工程、を含み、
前記非芳香族重質ストリームは300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、前記非芳香族重質ストリームの少なくとも一部は、前記液体スチームクラッカ、および/または、当該液体スチームクラッカの上流に設けられた前記水素処理ユニットに再循環される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程(e)は、さらに、(i)前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと処理済み水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる工程、および、(ii)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を前記液体スチームクラッカに供給する工程、を含み、
前記非芳香族重質ストリームは、300℃未満の沸点を特徴とし、そして、前記非芳香族重質ストリームの少なくとも一部および前記C
9+
芳香族類ストリームの少なくとも一部は、前記液体スチームクラッカの上流に設けられた前記水素処理ユニットに再循環される請求項10に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記水素処理ユニットから処理済み炭化水素液体ストリームを回収する工程、(ii)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第一留分は300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第二留分は300℃以上の沸点を特徴とする工程、(iii)前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部を前記液体スチームクラッカに供給して前記液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る工程、および、(iv)前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第二留分の少なくとも一部を前記熱分解ユニットに再循環する工程、をさらに有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合プラスチックは、当該混合プラスチックの総重量に基づいて400ppmw以上のポリ塩化ビニルおよび/またはポリ塩化ビニリデンを含み、かつ、前記混合プラスチックは、未使用混合プラスチックまたは廃混合プラスチックである請求項1~1
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程であって、前記炭化水素生成物は気相および液相を含む工程、
(b)前記炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程であって、前記炭化水素気体ストリームは前記炭化水素生成物の前記気相の少なくとも一部を含み、前記炭化水素液体ストリームは前記炭化水素生成物の前記液相の少なくとも一部を含む工程、
(c)前記炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を、気体スチームクラッカ生成物ストリームを生成するために気体スチームクラッカに供給する工程であって、前記気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、かつ、前記気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は前記炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い工程、
(d)前記炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する工程であって、前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分は300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、前記炭化水素液体ストリームの前記第二留分は300℃以上の沸点を特徴とする工程、
(e)前記炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームは300℃未満の沸点を特徴とし、前記処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて10ppmw未満の塩化物量を特徴とし、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量を特徴とする工程、
(f)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、液体スチームクラッカ生成物ストリームを作るべく液体スチームクラッカに供給する工程であって、前記液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類と芳香族炭化水素類とを含み、かつ、前記液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は前記炭化水素液体ストリーム中のオレフィン類の量より多い工程、および、
(g)前記炭化水素液体ストリームの前記第二留分の少なくとも一部を前記熱分解ユニットに再循環する工程、を含む方法。
【請求項17】
前記水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部は、前記気体スチームクラッカに供給される請求項1
6に記載の方法。
【請求項18】
混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程であって、前記炭化水素生成物は気相および液相を含む工程、
(b)前記炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程であって、前記炭化水素気体ストリームは前記炭化水素生成物の前記気相の少なくとも一部を含み、前記炭化水素気体ストリームはオレフィン類と飽和炭化水素類とを含み、かつ、前記炭化水素液体ストリームは前記炭化水素生成物の前記液相の少なくとも一部を含む工程、
(c)前記炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を、第一分離ユニットに導入し、第一飽和炭化水素類気体ストリームと第一オレフィン気体ストリームとを作る工程であって、前記第一オレフィン気体ストリームは、前記炭化水素気体ストリームの前記オレフィン類の少なくとも一部を含み、前記第一飽和炭化水素類気体ストリームは、前記炭化水素気体ストリームの前記飽和炭化水素類の少なくも一部を含み、かつ、前記第一飽和炭化水素類気体ストリームは、当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする工程、
(d)前記第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作る工程であって、当該気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、前記第一飽和炭化水素類気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い工程、
(e)前記炭化水素液体ストリームの一部と水素とを水素処理ユニットに供給して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを作る工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて10ppmw未満の塩化物量を特徴とし、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする工程、
(f)前記処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する工程であって、前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第一留分は、430℃未満の沸点を特徴とし、かつ、前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第二留分は、430℃以上の沸点を特徴とする工程、
(g)前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して、液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る工程であって、前記液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第一留分中のオレフィン類の量よりも多い工程、
(h)前記水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部を前記第一分離ユニット、および/または、前記気体スチームクラッカ、に供給する工程、
(i)前記気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、前記液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、前記第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせを、第二分離ユニットに導入して、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C
6-C
8芳香族類ストリーム、C
9+芳香族類ストリーム、および非芳香族重質ストリームを作る工程であって、前記第二オレフィン気体ストリームは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、前記第二飽和炭化水素類気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、前記C
6-C
8芳香族類ストリームは、C
6-C
8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、前記C
9+芳香族類ストリームはC
9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、前記非芳香族重質ストリームは、C
6+芳香族炭化水素類以外のC
5+炭化水素を含む工程、
(j)前記第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を前記気体スチームクラッカに再循環させる工程、
(k)前記非芳香族重質ストリームの少なくとも一部および前記C
9+芳香族化合物類ストリームの少なくとも一部を、前記水素処理ユニットに再循環する工程、および、
(l)前記処理済み炭化水素液体ストリームの前記第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する工程、を含む方法。
【請求項19】
第二オレフィン気体ストリームの収率は60%以上であり、そして、C
6-C
8芳香族類ストリーム収率は15%以上である請求項1
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱分解と、気体スチームクラッキングと液体スチームクラッキングとを含むプロセスによる、混合プラスチックからのオレフィン類や芳香族炭化水素類などの高価値化学物質の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックは、熱分解によって高価値化学物質(たとえば、オレフィン類、芳香族炭化水素類など)に変換することができる。しかしながら、プラスチック熱分解は広い沸点範囲を有する生成物ストリームを生じさせることがある。たとえば、従来の(一般的な熱分解プロセス条件下での)熱分解生成物ストリームの中には液相にあるものもあれば、気相にあるものもある。液相熱分解生成物ストリームは一般に、高価値化学物質の収率を高めるためにさらに分解され、一方、気相の高価値化学物質は、高価値化学物質の回収のために分離ユニットに運ばれる。そのような従来の方法は、多種多様な副生成物(たとえば、飽和炭化水素類、重芳香族炭化水素類など)とともに高価値化学物質を製造する。従って、副産物を最小にしながら廃プラスチックから誘導される高価値化学物質を製造するための方法を開発することが現在も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国仮出願第62/025,762号
【文献】国際出願第PCT/IB2015/055295号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに開示されるのは、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程、ここで、炭化水素生成物は気相と液相とを含む、(b)炭化水素生成物の少なくとも一部を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程、ここで、炭化水素気体ストリームは、炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、かつ、炭化水素液体ストリームは、炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作り出す、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類は炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(d)炭化水素液体ストリームの一部を炭化水素液体ストリームの第一留分と炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は約300℃未満の沸点によって特徴付けられ、かつ、炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点によって特徴付けられる、(e)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類および芳香族炭化水素類を含み、かつ、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は炭化水素液体ストリームの第一留分中のオレフィン類の量よりも多い、および、(f)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部分を熱分解ユニットに再循環する工程、を有する。
【0005】
さらにここに開示されるのは、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程、ここで、炭化水素生成物は気相と液相とを含む、(b)炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作り出す、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、かつ、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類は炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(d)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を炭化水素液体ストリームの第一留分と炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は約300℃未満の沸点によって特徴付けられ、かつ、炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点によって特徴付けられる、(e)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームを作り出す、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは約300℃未満の沸点によって特徴付けられ、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩素の塩素量によって特徴付けられ、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン類含有率によって特徴付けられる、(f)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類および芳香族炭化水素類を含み、かつ、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は炭化水素液体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、および、(g)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部分を熱分解ユニットに再循環する工程、を有する。
【0006】
さらにここに開示されるのは、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する工程、ここで、炭化水素生成物は気相と液相とを含む、(b)炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する工程、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素気体ストリームはオレフィン類と飽和炭化水素類とを含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入して第一飽和炭化水素類気体ストリームと第一オレフィン気体ストリームとを作る、ここで、第一オレフィン気体ストリームは、炭化水素ストリームのオレフィン類の少なくとも一部を含み、第一飽和炭化水素類気体ストリームは炭化水素ガスストリームの飽和炭化水素類の少なくと一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは、当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン類含有率によって特徴付けられる、(d)第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作り出す、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、第一飽和炭化水素類気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(e)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部と水素を水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームを作り出す、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩素の塩素量によって特徴付けられ、そして、ここで処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン類含有率によって特徴付けられる、(f)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は約430℃未満の沸点によって特徴付けられ、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分は約430℃以上の沸点によって特徴付けられる、(g)処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作り出す、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、処理済み炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(h)水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットおよび/または気体スチームクラッカに供給する、(i)気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせを、第二分離ユニットに導入して、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C6-C8芳香族類ストリーム、C9+芳香族類ストリーム、非芳香族重質ストリームを作り出す、ここで、第二オレフィン気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、ここで、C6-C8芳香族類ストリームは、C6-C8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、C9+芳香族類ストリームはC9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリームはC6+芳香族炭化水素類以外のC5+炭化水素を含む、(j)第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに再循環する、(k)非芳香族重質ストリームの少なくとも一部とC9+芳香族類ストリームの少なくとも一部を水素処理ユニットに再循環する、そして(l)処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する、工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システムの概略図
【
図2】オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システムの別の概略図
【
図3】オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システムのさらに別の概略図
【
図4】オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システムのさらに別の概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここに開示されているのは、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するための方法およびシステムであって、これは、プラスチック熱分解生成物の液体部分(たとえば炭化水素液体ストリーム)を、液体フィードストックを分解可能な分解炉(たとえば、液体スチームクラッカ)に搬送すること、そして、プラスチック熱分解生成物のガス状部分(たとえば炭化水素気体ストリーム)を、ガス状フィードストックを分解可能な分解炉(たとえば気体スチームクラッカ)に搬送すること、を含む。本発明に係る方法は、炭化水素液体ストリームから処理済み炭化水素液体ストリームを製造すること、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは炭化水素液体ストリームの沸点と比較して低い沸点を有しうるものであり、そして、処理済み炭化水素液体ストリームをスチームクラッカに供給すること、を含むことができる。本発明に係る方法は、さらに、分解炉生成物からオレフィン類および芳香族炭化水素類などの高価値化学物質を回収することを含みうる。
【0009】
実施例以外では、または、特に銘記される場合を除き、本明細書および請求項で使用される成分の量、反応条件などに関するすべての数または表現は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものと理解されなければならない。様々な数値範囲がここに開示される。これらの範囲は連続的なものであるので、それらは最小値と最大値の間のすべての値を含む。同じ特徴または構成要素を記載しているすべての範囲の終点は、記載の終点と独立して組み合わせ可能かつ、それを含む。特に明示的に記載されない限り、本出願中において特定される様々な数値範囲は近似値である。同じ成分または特性に関するすべての範囲の終点は、その終点を含む、かつ、それと独立して組み合わせることが可能である。「0を超えてからある量まで」という用語は、指定された成分が0を超えて、より高い記載の量まででそれを含んで存在することを意味する。
【0010】
用語「a」、「an」、および「the」は、数量の制限を意味するのではなく、むしろ言及されている項目のうちの少なくとも1つの存在を意味する。ここでの使用において、単数形「a」、「an」、および「the」は複数の言及対象を含む。
【0011】
ここでの使用において、「それらの組み合わせ」とは、オプションで記載されていない類似の要素とともに、列挙された要素のうちの1つまたは複数を含み、たとえば、オプションとして、実質的に同じ機能を有する具体的に命名されない単数または複数の要素とともに、命名された要素の単数または複数の組み合わせを含む。ここでの使用において、用語、「組み合わせ」は、ブレンド(blends)、混合物(mixtures)、複合物(alloys)、反応生成物などを含む。
【0012】
本明細書を通した、「ある態様」、「別の態様」、「他の態様」、「いくつかの態様」などへの言及は、その態様に関連して記載された態様における特定の要素(たとえば、特徴、構造、物性(property)、および/または特性(characteristic))が、少なくともここに記載の対応に含まれること、そして、他の態様には存在していても、あるいは存在していなくてもよい、ということを意味する。さらに、記載される要素(単数または複数)は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わせることが可能であると理解される。
【0013】
ここでの使用において、用語「阻害する」、「低減する」、「防止する」、「回避する」、またはこれらの用語の任意の変形は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少または完全な阻害を含む。
【0014】
ここでの使用において、用語「有効な」とは、所望の、期待される、または意図された結果を達成するために適切であることを意味する。
【0015】
ここでの使用において、語「comprising」(および、「comprise」や「comprises」などのすべての語形)、「having」(および、「have」や「has」などの全ての語形)、「including」(および、「includes」や「include」などの全ての語形)または「containing」(および、「contains」や「contain」などの全ての語形)は、包合的でオープンエンド的であり、追加の記載されていない要素または方法工程を排除するものではない。
【0016】
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0017】
化合物は、ここで標準の命名法を用いて記載されている。たとえば、任意の記載された基によって置換されていない任意の位置は、記載の結合または水素原子によってその原子価が満たされていると理解される。2文字または記号の間にないダッシュ(-)は、置換基の結合点を示すために使用される。たとえば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して結合している。
【0018】
図1を参照すると、オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム101が開示されている。当該オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム101は、一般に、熱分解ユニット10、熱分解分離ユニット20、炭化水素液体蒸留ユニット25、気体スチームクラッカ35、および液体スチームクラッカ45を含む。
【0019】
図2を参照すると、オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム102が開示されている。当該オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム102は、一般に、熱分解ユニット10、熱分解分離ユニット20、炭化水素液体蒸留ユニット25、気体スチームクラッカ35、水素処理ユニット40、および液体スチームクラッカ45を含む。
【0020】
図3を参照すると、オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム103が開示されている。当該オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム103は、一般に、熱分解ユニット10、熱分解分離ユニット20、第一分離ユニット30、気体スチームクラッカ35、水素処理ユニット40、処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43、液体スチームクラッカ45、および第二分離ユニット50を含む。
【0021】
図4を参照すると、オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム104が開示されている。当該オレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム104は、一般に、熱分解ユニット10、熱分解分離ユニット20、スクラバ23、炭化水素液体蒸留ユニット25、第一分離ユニット30、気体スチームクラッカ35、水素処理ユニット40、処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43、液体スチームクラッカ45、および第二分離ユニット50を含む。当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、
図1~4に示されるオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システムの構成要素は、任意の適切な導管(たとえば、パイプ、ストリームなど)を介して互いに流体連通することができる(流体の流れの方向を示す接続線によって表される)。共通の参照番号は、1つまたは複数の図に存在する共通の構成要素を指し、特定の構成要素の説明は、本明細書で別段の指示がない限り、その構成要素が存在する各図にわたって一般的に適用可能である。
【0022】
混合プラスチック(たとえば、未使用プラスチック、廃プラスチックなど)からオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するための方法は、熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物ストリームに変換する工程を含むことができる。この方法は、混合プラスチックを熱分解ユニットに導入して熱分解生成物(たとえば、炭化水素(HC)生成物)を製造することを含むことができ、ここで熱分解生成物は気相および液相を含む。
【0023】
混合プラスチックは、熱分解ユニット10に配置されるか、または混合プラスチックストリーム11を介して熱分解ユニット10に供給することができる。熱分解ユニット10において、混合プラスチックストリーム11は熱分解によって炭化水素生成物ストリーム12に変換され、ここで炭化水素生成物ストリーム12は、気相(たとえば、C1-C4ガス、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、塩酸(HCl)ガスなどの熱分解ガス)および液相(たとえば、熱分解液)を含む。
【0024】
混合プラスチックストリーム11を介して熱分解ユニット10に装填または供給される混合プラスチックは、混合プラスチック廃棄物などの消費後廃プラスチックを含んでもよい。混合プラスチックは、塩素化プラスチック(たとえば、塩素化ポリエチレン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、非塩素化プラスチック(たとえば、ポリオレフィン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、コポリマーなど)など、またはそれらの混合物を含みうる。いくつかの態様では、混合プラスチックは、PVC、PVDC、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン類、ポリスチレン類など、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一般に、廃プラスチックは長鎖分子またはポリマー炭化水素類を含む。ここに開示する廃プラスチックは、さらに、使用済みタイヤを含む。混合プラスチックは、未使用混合プラスチックおよび/または廃棄混合プラスチックを含むことができる。
【0025】
混合プラスチックストリーム11は、混合プラスチックの総重量に基づいて、塩化物を、約10ppmw(parts per million weight)、50ppmw、100ppmw、200ppmw、300ppmw、400ppmw、500ppmw、600ppmw、700ppmw、800ppmw、900ppmw、600ppmw、または1000ppmw以上の量含むことができる。混合プラスチックストリーム11は、混合プラスチックの総重量に基づき、PVCおよび/またはPVDCを、約400ppmw以上、または約700ppmw以上、あるいは約1,000ppmw以上、含むことができる。
【0026】
熱分解ユニット10は、廃プラスチックを気相生成物と液相生成物に(たとえば同時に)変換するように構成された任意の適切な容器とすることができる。容器は、気相、液相、気液相、またはスラリー相操作用に構成することができる。容器は、砂、ゼオライト、アルミナ、接触分解触媒、またはそれらの組み合わせを含む不活性材料または熱分解触媒の単数または複数の床を含みうる。一般に、熱分解触媒は、熱分解ユニット10内で熱分解プロセスを受ける構成要素に熱を伝達することができる。熱分解ユニット10は、断熱的、等温的、非断熱的、非等温的、またはそれらの組み合わせ、で動作しうる。本開示の熱分解反応は、一段階または多段階で実施することができる。たとえば、熱分解ユニット10は、直列に流体接続された2つの反応容器とすることができる。
【0027】
熱分解ユニット10が2つの容器を含む構成では、熱分解プロセスは、第一の容器内で行われる第一の段階と、第一段階の下流に流体接続される第二の容器内で行われる第二の段階とに分けられうる。当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、第二段階は、第一段階から第二段階へ流れる中間熱分解生成物ストリームの熱分解を促進して、第二段階から流れる炭化水素生成物ストリーム12を作り出すことができる。いくつかの構成では、第一段階は廃プラスチックの熱分解を利用し、第二段階は廃プラスチックの接触分解を利用して当該第二段階から流れる炭化水素生成物ストリーム12を作り出すことができる。あるいは、第一段階は廃プラスチックの接触分解を利用し、第二段階は廃プラスチックの熱分解を利用して当該第二段階から流れる炭化水素生成物ストリーム12を生じさせることができる。
【0028】
いくつかの構成では、熱分解ユニット10は、混合プラスチックを気相および液相生成物に変換するように構成された単数または複数の機器を含みうる。単数または複数の機器は、上記のように不活性材料または熱分解触媒を含んでも含まなくてもよい。そのような装置の例には、単数または複数の、加熱押出機、加熱回転キルン、加熱タンク型反応器、充填床反応器、バブリング流動床反応器、循環流動床反応器、空の加熱容器、壁に沿ってプラスチックが流下して分解する密閉加熱面、オーブンまたは炉に囲まれた容器、または分解(クラッキング)を助長するために加熱面を提供するその他の適切な機器、を含む。
【0029】
熱分解ユニット10は、熱分解(クラッキング)するように構成することができ、そしていくつかの態様において(たとえば、水素が熱分解ユニット10に添加される場合)、熱分解ユニット10に供給される混合プラスチックストリーム11の成分をさらに水素化する。熱分解ユニット10において起こりうる反応の例としては、非限定的に、単数または複数の芳香族化合物類の単数または複数のシクロパラフィン類への変換、単数または複数のノルマルパラフィン類の単数または複数のi-パラフィン類への異性化、単数または複数のノルマルパラフィン類の単数または複数のi-パラフィン類への選択的開環、単数または複数のシクロパラフィン類から単数または複数のi-パラフィン類への、長鎖長分子から短鎖長分子へのクラッキング、ヘテロ原子含有炭化水素類からのヘテロ原子の除去(たとえば脱塩素)、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0030】
単数または複数の熱分解ユニット10において、プラスチックの分解の促進、価値ある製品の生成、スチームクラッキングのための原料の提供、またはそれらの組み合わせのために、ヘッドスペースパージガスが、熱分解段階(廃プラスチックの液相および/または気相生成物への変換)の全部または一部において利用される。ヘッドスペースパージガスは、水素(H2)、C1-C4炭化水素類ガス(たとえば、アルカン類、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン)、不活性ガス類(たとえば、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、水蒸気)など、またはそれらの組み合わせを含みうる。ヘッドスペースパージガスの使用は、熱分解ユニット10内の脱塩素化を助ける。ヘッドスペースパージガスは、熱分解ユニット10内に存在する溶融混合プラスチックに混入した揮発物の除去を助けるために当該熱分解ユニット10に導入されうる。
【0031】
たとえば、混合プラスチックストリーム11から独立して熱分解ユニットに直接供給されるH2含有ストリームによって、水素(H2)含有ストリームを熱分解ユニット10に添加して当該熱分解ユニット環境をH2で富化し、当該熱分解ユニット内に閉じ込められた塩化水素をストリッピングするのを助け、熱分解溶融物または液体、あるいはそれらの組み合わせ、中に水素に富む局所環境を提供することができる。いくつかの態様において、プラスチック供給物との水素取扱いのための適切な安全対策を組み込んだ上で、H2をストリーム11とともに熱分解ユニット10に導入することも可能である。
【0032】
熱分解ユニット10は、水素の存在下で、または水素によって、混合プラスチックストリーム11の成分の任意の反応を促進することができる。不飽和分子(たとえば、オレフィン類、芳香族化合物類)の二重結合への水素原子の付加などの反応を起こすことができ、これによって、飽和分子(たとえば、パラフィン類、i-パラフィン類、ナフテン類)を生成する。追加的または代替的に、熱分解ユニット10内の反応は、有機化合物の結合の破裂、その後の反応および/またはヘテロ原子の水素との置換を引き起こすことができる。
【0033】
熱分解ユニット10での水素の使用は、i)クラッキングの結果としてコークスを減少させる、ii)プロセスで使用される触媒(もしあるとすれば)を活性状態に保つ、iii)熱分解ユニット10からの炭化水素生成物ストリーム12が混合プラスチックストリーム11に対して実質的に脱塩素化されるように、当該ストリーム11から塩化物を除去し、それによって熱分解ユニット10の下流側のユニットにおける塩化物除去要件を最小化するように、ストリームからの塩素除去を改善する、iv)オレフィン類の水素化、v)炭化水素生成物ストリーム12中のジオレフィン類の減少、vi)混合プラスチックストリーム11の同じレベルの変換のための低温下での熱分解ユニット10の運転を助ける、またはこれらi)-vi)の組み合わせの有用な効果を持ちうる。
【0034】
熱分解ユニット10における熱分解プロセスは、低過酷度(low severity)または高過酷度(high severity)でありうる。低過酷度熱分解プロセスは、250℃~450℃、あるいは275℃~425℃、あるいは300℃~400℃の温度で行うことができ、モノオレフィン類およびジオレフィン類に富むとともに、かなりの量の芳香族化合物類を含む熱分解油を生成することができ、さらに、塩化物化合物類を含みうる。高過酷度熱分解プロセスは、450℃~750℃、あるいは500℃~700℃、あるいは550℃~650℃の温度で行うことができ、芳香族化合物類に富み、塩化物化合物類を含みうる熱分解油を生成することができる。
【0035】
炭化水素生成物ストリーム12が、熱分解ユニット10からの流出物として回収され、熱分解分離ユニット20に運ぶ(たとえば流す)ことができる。
【0036】
混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、熱分解分離ユニット20内の炭化水素生成物ストリーム12の少なくとも一部を炭化水素気体ストリーム22と炭化水素液体ストリーム21とに分離することを含むことができ、ここで、炭化水素気体ストリーム22は炭化水素生成物ストリーム12の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素液体ストリーム21は炭化水素生成物ストリーム12の液相の少なくとも一部を含む。熱分解分離ユニット20は、任意の適切な気液分離器、たとえば、蒸気-液体分離器、オイル-ガス分離器、ガス-液体分離器、脱気器、脱液器、スクラバ、トラップ、フラッシュドラム、圧縮吸引ドラム、重力分離器、遠心分離機、フィルタベーン分離器、ミスト除去装置など、またはこれらの組み合わせとすることができる。
【0037】
いくつかの構成において、熱分解分離ユニット20は、炭化水素ガスを気相(たとえば気体生成物)中に残しながら、炭化水素生成物ストリーム12の一部を炭化水素液体(たとえば液体生成物)に凝縮する条件下で作動する凝縮器とすることができる。液体生成物は熱分解分離ユニット20から炭化水素液体ストリーム21中を流れ、気体生成物は熱分解分離ユニット20から炭化水素気体ストリーム22中を流れる。
【0038】
炭化水素気体ストリーム22は、C1-C4炭化水素類(たとえば、飽和炭化水素類、軽質ガスオレフィン類)、水素(H2)、不活性ガス(たとえば、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、水蒸気)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、HCLなど、またはそれらの組み合わせを含みうる。炭化水素気体ストリーム22は混合プラスチックストリーム11の塩化物の少なくとも一部を含むことができる。いくつかの態様において、炭化水素気体ストリーム22は、混合プラスチックストリーム11中の塩化物の総重量に基づき、約90重量%、93重量%、95重量%、または99重量%、以上を含みうる。
【0039】
後により詳細に説明するように、炭化水素気体ストリーム22を、さらに、気体スチームクラッカ35(たとえば、
図1および
図2)、第一分離ユニット30(たとえば、
図3)、またはスクラバ23(たとえば、
図4)に導入することができる。
【0040】
炭化水素液体ストリーム21は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、芳香族化合物類、有機塩化物類、またはそれらの組み合わせを含むことができる。炭化水素液体ストリーム21がパラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類を含むとき、そのストリームはPIONAストリームと呼ぶことができる。炭化水素液体ストリーム21がパラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類を含むとき、そのストリームはPONAストリームと呼ぶことができる。
【0041】
炭化水素液体ストリーム21は、混合プラスチック中の塩化物の量よりも少ない量の1種以上の塩化物化合物類(たとえば、脂肪族塩素含有炭化水素類、芳香族塩素含有炭化水素類、および他の塩素含有炭化水素類などの有機塩化物類)を含むことができる。炭化水素液体ストリーム21中の塩化物化合物類の量は、混合プラスチックストリーム11中の塩化物化合物類の総重量に基づき、100ppmw、50ppmw、25ppmw、または10ppmw未満の塩化物(たとえば等価塩化物)とすることができる。混合プラスチックから炭化水素液体ストリームへの1種以上の塩化物化合物類の減少は、熱分解ユニット10内での混合プラスチックの脱塩素化によるものである。
【0042】
炭化水素液体ストリーム21中に存在しうるパラフィン類の例としては、C1-C22のn-パラフィン類およびi-パラフィン類が挙げられるが、これらに限定されなるものではない。パラフィン類は、炭化水素液体ストリーム21の総重量に基づき、10重量%未満の量で当該炭化水素液体ストリーム21中に存在することができる。あるいは、パラフィン類は、炭化水素液体ストリーム21中において、当該炭化水素液体ストリーム21の総重量に基づき、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、またはそれ以上含まれうる。ある種の炭化水素液体ストリームは、炭素数22までのオレフィン類を含むが、本開示は、オレフィン類の適切な範囲の上限として炭素数22に限定されるものではなく、パラフィン類はより高い炭素数、たとえば23、24、25、26、27、28、29、30,31、32、33、34、35、36、37、38、39、40またはそれ以上を含むことができる。
【0043】
炭化水素液体ストリーム21中に存在しうるオレフィン類の例としては、C2-C10オレフィン類およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。熱分解ユニット10内での水素化反応のために水素が当該熱分解ユニット10に導入される場合、オレフィン類は、炭化水素の総重量に基づき10重量%未満の量で炭化水素液体ストリーム21中に存在しうる。あるいは、オレフィン類は、炭化水素液体ストリーム21中に、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%,40重量%またはそれ以上の量で存在することができる。ある種の炭化水素ストリームは10までの炭素数のオレフィン類を含むが、本開示はオレフィン類の適切な範囲の上限として炭素数10に限定されものではなく、オレフィン類は、より高い炭素数、たとえば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上、を含みうる。
【0044】
いくつかの態様において、炭化水素液体ストリーム21はオレフィン類を含まず、たとえば、当該炭化水素液体ストリーム21はオレフィン類を実質的に含まない。
【0045】
炭化水素液体ストリーム21中に存在しうるナフテン類の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびシクロオクタンが挙げられるが、これらに限定されない。ナフテン類は、炭化水素液体ストリーム21の総重量に基づいて10重量%未満の量で当該炭化水素液体ストリーム21中に存在することができる。あるいは、ナフテン類は、炭化水素液体ストリーム21に、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%またはそれ以上の量、存在することができる。ある種の炭化水素ストリームは、炭素数8までの炭素数のナフテン類を含むが、本開示は、適切な範囲のナフテン類の上限点としての炭素数8に限定されず、より高い数の炭素数、たとえば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30またはそれ以上を含むことができる。
【0046】
炭化水素液体ストリーム21は、炭素数が、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30またはそれ以上の芳香族炭化水素類を含むことができる。一態様において、芳香族炭化水素類の炭素数は22程度とすることができる。炭化水素液体ストリーム21の一部としての本開示における使用に適した芳香族炭化水素類の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、プロピルベンゼン類、トリメチルベンゼン類、テトラメチルベンゼン類、ジメチルナフタレン、ビフェニルなど、またはそれらの組み合わせ、が含まれる。芳香族炭化水素類は、炭化水素液体ストリーム21中に、炭化水素液体ストリーム21の全重量に基づき、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、またはそれ以上の量で存在することができる。
【0047】
いくつかの態様において、10重量%、または25重量%、または50重量%の炭化水素液体ストリーム21は、約370℃未満の沸点を特徴とする。
【0048】
他の態様において、約90重量%、または95重量%、または99重量%以上の炭化水素液体ストリーム21は、約350℃未満の沸点を特徴とする。
【0049】
いくつかの態様において、そして、それぞれ
図1および2のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム101および102の構成に示されるように、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するためのプロセスは、炭化水素液体蒸留ユニット25内で、炭化水素液体ストリーム21の一部を、当該炭化水素液体ストリーム21の第一留分26と、当該炭化水素液体ストリーム21の第二留分27とに分離することを含むことができ、ここで、炭化水素液体ストリーム21の第一留分26は約300℃未満の沸点で特徴付けられ、炭化水素液体ストリーム21の第二留分27は約300℃以上の沸点で特徴付けられる。炭化水素液体蒸留ユニット25は、トレイまたはプレートを有する蒸留塔、充填剤を有する蒸留塔、またはそれらの組み合わせなどの任意の適切な蒸留塔を含むことができる。
【0050】
炭化水素液体ストリームの第一留分26は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および約300℃未満の沸点を有する芳香族化合物類を含む芳香族化合物類など、約300℃未満の沸点を有する炭化水素液体ストリーム21の任意の成分を含むことができる。炭化水素液体ストリームの第二留分27は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および約300℃以上の沸点を有する芳香族化合物類など、約300℃以上の沸点を有する炭化水素液体ストリーム21の任意の成分を含むことができる。当業者によって理解されるように、そして本開示の助けを借りて、炭化水素液体ストリーム21のいくつかの成分は共沸混合物を形成し、そしてそれ自体、約300℃以上の沸点を有するいくつかの成分を、炭化水素液体ストリームの第一留分26に見いだすことができ、ただし、炭化水素液体ストリームの第一留分26は約300℃未満の沸点を特徴とする。さらに、当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、炭化水素液体ストリーム21のいくつかの成分は共沸混合物を形成し、そしてそれ自体、約300℃未満の沸点を有するいくつかの成分は、炭化水素液体ストリームの第二留分27に見いだすことができ、ただし、炭化水素液体ストリームの第二留分27は約300℃以上の沸点を特徴とする。
【0051】
他の態様において、および
図4のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム104の構成に示されるように、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するためのプロセスは、炭化水素液体蒸留ユニット25内で、炭化水素液体ストリーム21の一部を、当該炭化水素液体ストリームの第一留分26と、当該炭化水素液体ストリームの第二留分27とに分離することを含むことができ、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分26は約430℃未満の沸点で特徴付けられ、炭化水素液体ストリームの第二留分27は約430℃以上の沸点で特徴付けられる。本開示は、炭化水素液体ストリーム21を約300℃~約430℃のカットオフ沸点付近で2つの留分に分留する炭化水素液体蒸留ユニット25の関連で詳細に論じられるが、分別カットオフ沸点としては任意の適当な沸点を使用することができると理解されるべきである。当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、炭化水素液体蒸留ユニット25から2つの留分を集めるためのカットオフ沸点は、十分な重質化合物の熱分解ユニットへの再循環と、液体スチームクラッカ45のための十分な供給流、との両方を可能にする任意の適当なカットオフ沸点とするとができ、ここで、液体スチームクラッカ供給ストリームはクラッカの供給要件を満たす。さらに、2、3、4、5、6またはそれ以上などの留分など、任意の適当な数の留分を炭化水素液体蒸留ユニット25から収集することが可能であると理解される。
【0052】
一態様において、炭化水素液体蒸留ユニット25内で炭化水素液体ストリーム21を第一留分26および第二留分27に分留するためのカットオフ沸点は、約250℃~約450℃、あるいは約300℃~約450℃、あるいは約300℃~約430℃、または約325℃~約400℃、とすることができる。
【0053】
一態様において、炭化水素液体ストリームの第二留分27は、熱分解ユニット10に再循環されうる。理論によって限定されることを望むものではないが、第二留分27は、より高い分子量および/またはより高い沸点の化合物を含み、これらのより重い化合物を熱分解ユニット10に再循環することによって、それぞれ、より低い分子量および/またはより短い鎖を有するより多くの化合物が生成され、それによって、液体スチームクラッカ45に導入されるストリーム(たとえば、第一留分26、処理済み炭化水素液体ストリーム41、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44など)に対する収率(たとえば、体積、量)が増加し、その結果、液体スチームクラッカ45によって製造される高価値化学物質(たとえば、オレフィン類、芳香族炭化水素類)の収率が増加する。
【0054】
いくつかの態様において、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、炭化水素液体ストリーム21の少なくとも一部および水素を水素処理ユニット40に搬送して、処理済み炭化水素液体ストリーム41および水素処理ユニット気体生成物ストリーム42を製造することを含みうる。
図3のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム103の構成に示すように、炭化水素液体ストリーム21の少なくとも一部を水素処理ユニット40に導入することができる。
【0055】
他の態様において、そしてそれぞれ
図2および
図4のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム102および104の構成に示されるように、炭化水素液体ストリーム21の一部(たとえば、第一留分26)のみが水素処理ユニット40に導入され、処理済み炭化水素液体ストリーム41と水素処理ユニット気体生成物ストリーム42とを作り出す。そのような態様において、炭化水素液体ストリーム21の水素処理ユニット40に導入される部分を、ここに開示されるように、蒸留によってストリーム21から回収することができる。
【0056】
水素処理ユニット40は、水素化分解装置、流動接触分解装置、加水分解モードで操作される流動接触分解装置、熱分解反応装置、加水分解モードで操作される熱分解反応装置、水素処理装置、ヒドロ脱アルキル化ユニット、またはそれらの組み合わせ、などの任意の適切な水素処理反応装置とすることができる。いくつかの構成において、水素処理反応器は、熱分解反応器、温度制御攪拌槽バッチ式反応器、連続ロータリーキルン、二軸押出機反応器、流動接触分解器に類似の循環流動床反応器、バブリング流動床反応器など、または水素環境中で操作されるそれらの組み合わせ、とすることができる。加水分解モードで操作される流動接触分解装置および熱分解ユニットは、2014年7月17日に出願の米国仮出願第62/025,762号(特許文献1)および2015年7月13日に出願の国際出願第PCT/IB2015/055295号(特許文献2)にさらに詳細に記載されている。これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一般に、水素化熱分解とは水素の存在下で行われる熱分解プロセスを指す。
【0057】
水素(H2)含有ストリームを、水素処理ユニット40に入る前に炭化水素液体ストリーム21および/または炭化水素液体ストリームの第一留分26に添加することができる。追加的または代替的に、炭化水素液体ストリーム21および/または当該炭化水素液体ストリームの第一留分26とは独立して水素処理ユニット40に直接供給されるH2含有ストリームを介して、水素処理ユニット環境をH2で富化するためにH2含有ストリームを水素処理ユニット40に直接添加することができる。
【0058】
水素処理ユニット40は、約250℃~約730℃、または、約300℃~約700℃、あるいは、約350℃~約650℃の温度を特徴とすることができる。
【0059】
いくつかの態様において、水素処理ユニット生成物ストリームを水素処理ユニット40から回収することができ、ここで、水素処理ユニット生成物ストリームは気相と液相とを含むことができる。そのような態様では、水素処理ユニット生成物ストリームは、処理済み炭化水素液体ストリーム41と水素処理ユニット気体生成物ストリーム42とに分離することができ、ここで処理済み炭化水素液体ストリーム41は水素処理ユニット生成物ストリームの液相の少なくとも一部を含み、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42は水素処理ユニット生成物ストリームの気相の少なくとも一部を含む。
【0060】
水素処理ユニット気体生成物ストリーム42は、C1-C4炭化水素類、H2、不活性ガス(たとえば、窒素(N2)、アルゴン、ヘリウム、水蒸気)、HClなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。水素処理ユニット気体生成物ストリーム42は、炭化水素液体ストリーム21の塩化物の少なくとも一部および/または炭化水素液体ストリームの第一留分26の塩化物の少なくとも一部を含むことができる。本明細書で後により詳細に説明するように、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42の少なくとも一部をさらにスクラバ23に導入することができる。
【0061】
処理済み炭化水素液体ストリーム41は、炭化水素液体ストリーム21の沸点、および/または、炭化水素液体ストリームの第一留分26の沸点より低い沸点を特徴とすることができる。炭化水素液体ストリーム21および/または炭化水素液体ストリームの第一留分26から処理済み炭化水素液体ストリーム41への沸点の低下は、それぞれ、水素処理ユニット40における、炭化水素液体ストリーム21および/または炭化水素ストリームの第一留分26のクラッキングによるものである。いくつかの態様において、処理済み炭化水素液体ストリーム41は、約300℃未満、約275℃未満、または約250℃未満の沸点を特徴とすることができる。当業者によって理解されるように、そして本開示の助けを借りて、水素処理ユニット40への供給物(たとえば、約300℃未満の沸点を有する炭化水素液体ストリームの第一留分26)の沸点が約300℃未満であるとき、もしも水素処理ユニット40内で行われる水素処理プロセスが水素化分解プロセスであるならば、処理済み炭化水素液体ストリーム41の沸点は、約300℃よりも遥かに低いものでありうる。
【0062】
炭化水素液体ストリーム21および/または当該炭化水素液体ストリームの第一留分26は芳香族化合物類を含みうる。いくつかの態様において、炭化水素液体ストリーム21の芳香族化合物類の一部および/または当該炭化水素液体ストリームの第一留分26は、水素処理ユニット40内で開環反応を受けて非芳香族化合物類を生成することができ、ここで、さらなるクラッキングのために芳香族化合物類を液体スチームクラッカ45にさらに導入することができ、それによって混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法における高価値化学物質の全体的な収率が増加する。
【0063】
処理済み炭化水素液体ストリーム41は、炭化水素液体ストリーム21の塩化物量および/または当該炭化水素液体ストリームの第一留分26の塩化物量よりも低い塩化物量を特徴とすることができる。いくつかの態様において、処理済み炭化水素液体ストリーム41は、当該処理済み炭化水素液体ストリーム41の全重量に基づき、約10ppmw未満の塩化物、約7ppmw未満の塩化物、約5ppmw未満の塩化物、または約3ppmw未満の塩化物の量の1つ以上の塩化物化合物類を含みうる。
【0064】
処理済み炭化水素液体ストリーム41は、炭化水素液体ストリーム21のオレフィン含有量、および/または、当該炭化水素液体ストリームの第一留分26のオレフィン含有量、より低いオレフィン含有量を特徴とすることができる。いくつかの態様において、処理済み炭化水素液体ストリーム41は、当該処理済み炭化水素液体ストリーム41の総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量を特徴とすることができる。
【0065】
いくつかの態様において、そしてそれぞれ
図3および4のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム103および104の構成に示されるように、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するためのプロセスは、処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43内で処理済み炭化水素液体ストリーム41の少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分47とに分離することを含む。処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43は、トレイまたはプレートを有する蒸留塔、充填剤を有する蒸留塔、またはそれらの組み合わせなどの任意の適切な蒸留塔を含むことができる。
【0066】
いくつかの態様において、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は、約430℃未満の沸点によって特徴付けることができ、炭化水素液体ストリームの第二留分47は、約430℃以上の沸点によって特徴付けることができる。他の態様において、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は約300℃未満の沸点によって特徴付けることができ、炭化水素液体ストリームの第二留分47は約300℃以上の沸点によって特徴付けることができる。さらに他の態様において、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は約350℃未満の沸点で特徴付けることができ、炭化水素液体ストリームの第二留分47は約350℃以上の沸点で特徴付けることができる。本開示は、約300℃~約430℃のカットオフ沸点の周りで処理済み炭化水素液体ストリーム41を2つの留分に分ける処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43の関連で詳細に論じられるが、分別カットオフ沸点として任意の適切な沸点を使用することが可能であると理解される。当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43から2つの留分を集めるためのカットオフ沸点は、十分な重質化合物を熱分解ユニットに再循環させることと、液体スチームクラッカ45のための十分な供給流を得ることとの両方を可能にする任意の適切なカットオフ沸点であってよく、ここで、液体スチームクラッカ供給流はクラッカの供給要件を満たす。さらに、2、3、4、5、6またはそれ以上の留分などの任意の適切な数の留分を処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43から収集することが可能であると理解される。
【0067】
一態様において、処理済み炭化水素液体蒸留ユニット43内において処理済み炭化水素液体ストリーム41を第一留分44と第二留分47とに分留するためのカットオフ沸点は、約250℃~約450℃、あるいは、約300℃~約430℃、あるいは、約325℃~約400℃、にすることができる。
【0068】
いくつかの態様において、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および約430℃未満の沸点を有する芳香族化合物類などの、約430℃未満の沸点を有する処理済み炭化水素液体ストリーム41の任意の成分を含みうる。処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分47は、パラフィン類、i-パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および約430℃以上の沸点を有する芳香族化合物類などの、約430℃以上の沸点を有する処理済み炭化水素液体ストリーム41の任意の成分を含みうる。当業者によって理解されるように、そしてこの開示の助けを借りて、処理済み炭化水素液体ストリーム41のいくつかの成分は共沸混合物を形成し、従って、約430℃以上の沸点を有するいくつかの成分を処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44中に見出すことができる。ただし、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は約430℃未満の沸点を特徴とする。さらに、当業者によって理解されるように、そしてこの開示の助けを借りて、処理済み炭化水素液体ストリーム41のいくつかの成分は共沸混合物を形成し、従って、約430℃未満の沸点を有するいくつかの成分を処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分47中に見出すことができる。ただし、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分47は約430℃以上の沸点を特徴とする。
【0069】
一態様において、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分47は、熱分解ユニット10に再循環されうる。理論によって限定されることを望むものではないが、第二留分27は、より高い分子量および/またはより高い沸点の化合物を含み、これらのより重い化合物を熱分解ユニット10に再循環することによって、それぞれ、より低い分子量および/またはより短い鎖を有するより多くの化合物が生成され、それによって、液体スチームクラッカ45に導入されるストリームに対する収率(たとえば、体積、量)が増加し、その結果、液体スチームクラッカ45によって製造される高価値化学物質(たとえば、オレフィン類、芳香族炭化水素類)の収率が増加する。
【0070】
いくつかの態様において、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するための方法は、炭化水素液体ストリームの第一留分26の少なくとも一部および/または処理済み炭化水素液体ストリーム41の少なくとも一部を液体スチームクラッカ45に搬送して液体スチームクラッカ生成物ストリーム46を製造することを含むことができる。
図1のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム101の構成に示すように、炭化水素液体ストリームの第一留分26の少なくとも一部が、液体スチームクラッカ45に導入されうる。さらに、
図2のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム102の構成に示すように、処理済み炭化水素液体ストリーム41の少なくとも一部を液体スチームクラッカ45に導入することができる。
【0071】
他の態様において、そしてそれぞれ
図3および4のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム103および104の構成に示されるように、処理済み炭化水素液体ストリーム41の一部(たとえば、第一留分44)のみが、液体スチームクラッカ生成物ストリーム46を製造するべく液体スチームクラッカ45に導入される。このような態様では、ここに開示されるように、液体スチームクラッカ45に導入される処理済み炭化水素液体ストリーム41の一部は、蒸留によって当該ストリーム41から回収することができる。
【0072】
炭化水素液体ストリームの第一留分26、処理済み炭化水素液体ストリーム41、および/または当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44は、塩化物含有量、オレフィン含有量、および沸点エンドポイントについての液体スチームクラッカ供給要件を満たす。
【0073】
液体スチームクラッカ45は、一般に、個々のスチームクラッカの運転上の制約に応じて供給要件(たとえば、低オレフィン含有量の脱塩素化供給原料を必要とする)を有する。第一に、液体スチームクラッカ45は、当該液体スチームクラッカ45への供給物中の塩化物化合物類の量を少なくすることを必要とする。第二に、液体スチームクラッカ45は、当該液体スチームクラッカ45に供給されるストリーム中のオレフィン類の量が少ないことを必要とする。液体スチームクラッカ45は、高温で、炭化水素液体ストリームの第一留分26、処理済み炭化水素液体ストリーム41、および/または当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分44中の成分の炭素-炭素結合を分解または開裂して、蒸気の存在下で、高価値の製品(例:高価値の化学物質)を生成する。
【0074】
当業者によって理解されるように、そして本開示の助けを借りて、スチームクラッキング生成物の組成は反応器パラメータ(たとえば、温度、滞留時間、炭化水素対スチーム比など)、さらにクラッカへの供給物の組成、に依存する。液体供給ストリーム(たとえば、液体スチームクラッカ45への供給ストリーム)中のような、より重質の炭化水素は、かなりの量の芳香族炭化水素類(たとえば、C6-C8芳香族炭化水素類)、さらにオレフィン類(たとえば、軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエンなど)、を生成する。気体供給ストリーム(たとえば気体スチームクラッカ35への供給ストリーム)のような、より軽質の供給ストリームは、一般に軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエンなどを生成する。
【0075】
高付加価値化学物質を含む液体スチームクラッカ生成物ストリーム46を液体スチームクラッカ45から回収することができ、ここで高価値化学物質は、軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、芳香族化合物類(たとえば、C6-C8芳香族化合物類)など、またはそれらの組み合わせを含む。
【0076】
液体スチームクラッカ生成物ストリーム46は、炭化水素液体ストリームの第一留分26のオレフィン含有量、および/または、処理済み炭化水素ストリームの第一留分44のオレフィン含有量よりも大きいオレフィン含有量によって特徴付けることができる。
【0077】
いくつかの態様において、ここで後により詳細に説明するように、液体スチームクラッカ生成物ストリーム46の少なくとも一部を第二分離ユニット50に搬送することができる。
【0078】
一態様において、たとえば
図1のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム101および
図2のシステム102の構成に示すように、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部を気体スチームクラッカ35に搬送して、気体スチームクラッカ生成物ストリーム36を生成することを含むことができる。
【0079】
いくつかの態様において、そして
図4のオレフィン類および芳香族炭化水素類製造システム104の構成に示されるように、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、および/または、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42の少なくとも一部(たとえば、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42c)、をスクラバ23に導入して、処理済み炭化水素気体ストリーム24を生成することができ、ここで、処理済み炭化水素気体ストリーム24中のHClの量は、炭化水素気体ストリーム22、および/または、水素処理ユニット生成物ストリームの部分42c中のHClの量よりも少なく、さらに、ここで、炭化水素気体ストリーム22、および/または、水素処理ユニット気体生成物ストリームの部分42c、中のHClの少なくとも一部がスクラバ23内で除去される。一態様において、処理済み炭化水素気体ストリーム24中の塩化物量は、炭化水素気体ストリーム22中の塩化物量、および/または、水素処理ユニット気体生成物ストリームの部分42c中の塩化物量、未満である。
【0080】
スクラバ23は、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、および/または。水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42cから、塩化物の少なくとも一部(たとえばHClなどの塩素含有ガス)を(たとえば、反応、吸収、またはそれらの組み合わせを介して)除去して、処理済み炭化水素気体ストリーム24を得ることが可能な、苛性溶液(たとえば、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムの水溶液)を含むことができる。処理済み炭化水素気体ストリーム24の少なくとも一部を、さらに、塩化物吸収剤と接触させて、残りの塩化物を処理済み炭化水素気体ストリーム24から除去することができる。本開示での使用に適した塩化物吸着剤の非限定的な例としては、アタパルジャイト、活性炭、ドロマイト、ベントナイト、酸化鉄、針鉄鉱、赤鉄鉱、磁鉄鉱、アルミナ、ガンマアルミナ、シリカ、アルミノシリケート類、イオン交換樹脂類、ハイドロタルサイト類、スピネル類、各種酸化銅、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、金属担持ゼオライト類、モレキュラーシーブ13Xなど、またはそれらの組み合わせ、が含まれる。スクラバ23は、固定床、流動床、沸騰床、またはそれらの組み合わせの中に塩化物吸着剤を含むことができる。
【0081】
いくつかの態様において、そして
図3および4に示されるように、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42b、および/または、処理済み炭化水素ガスの少なくとも一部を第一分離ユニット30に導入して、第一オレフィン気体ストリーム31と第一飽和炭化水素類気体ストリーム32とを生成することができる。
【0082】
第一オレフィン気体ストリーム31は、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、および/または、水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部の、オレフィン類の一部を含む。第一オレフィン気体ストリーム31は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0083】
第一飽和炭化水素類気体ストリーム32は、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42b、および/または、処理済み炭化水素気体ストリーム24の少なくとも一部、の飽和炭化水素類の少なくとも一部を含む。第一飽和炭化水素類気体ストリーム32は、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含む。第一飽和炭化水素類気体ストリーム32は、当該第一飽和炭化水素類気体ストリーム32の総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量を特徴とする。第一飽和炭化水素類気体ストリーム32は実質的にオレフィン類を含まない。
【0084】
いくつかの態様において、そして
図1-
図4に示されるように、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造するための方法は、炭化水素気体ストリーム22の少なくとも一部、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42の少なくとも一部(たとえば、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42a)、および/または、第一飽和炭化水素類気体ストリーム32の少なくとも一部を、気体スチームクラッカ35に供給して気体スチームクラッカ生成物ストリーム36を生成することを含むことができる。
【0085】
炭化水素気体ストリーム22、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42(たとえば、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42a)、および/または、第一飽和炭化水素類気体ストリーム32は、塩化物の気体スチームクラッカ供給物の、塩化物含有量、オレフィン含有量、および沸点エンドポイントの要件を満たす。
【0086】
気体スチームクラッカ35は、一般に、個々のスチームクラッカの運転上の制約に応じた供給要件を有する(たとえば、低オレフィン含有量の脱塩素化供給原料を必要とする)。第一に、気体スチームクラッカ35は、当該気体スチームクラッカ35への供給物中の塩化物化合物類の量が少ないことを必要とする。第二に、気体スチームクラッカ35は、当該気体スチームクラッカ35に供給されるストリーム中のオレフィン類の量が少ないことを必要とする。気体スチームクラッカ35は、高温で、炭化水素気体ストリーム22、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42(たとえば、水素処理ユニット気体生成物ストリームの一部42a)、および/または第一飽和炭化水素類気体ストリーム32中の成分の炭素-炭素結合を、スチーム存在下で、分解または開裂して、高価値製品(たとえば、高価値化学物質)を作り出す。当業者には理解されるように、そしてこの開示の助けを借りて、気体スチームクラッカ35への気体供給ストリームは、一般に、軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエンなどを作り出す。
【0087】
高価値化学物質を含む気体スチームクラッカ生成物ストリーム36を、気体スチームクラッカ35から回収することができ、ここで高価値化学物質は、軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエンなど、またはそれらの組み合わせを含む。気体スチームクラッカ生成物ストリーム36は、炭化水素気体ストリーム22のオレフィン含有量、水素処理ユニット気体生成物ストリーム42のオレフィン含有量(たとえば、部分42aのオレフィン含有量)、および/または、第一飽和炭化水素類気体ストリーム32のオレフィン含有量よりも大きいオレフィン含有量によって特徴付けることができる。
【0088】
いくつかの態様において、そして
図3および
図4に示されるように、第一オレフィン気体ストリーム31の少なくとも一部、気体スチームクラッカ生成物ストリーム36の少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリーム46の少なくとも一部、またはこれらの組み合わせを、第二分離ユニット50に導入して、第二飽和炭化水素類気体ストリーム51、第二オレフィン気体ストリーム52、C
6-C
8芳香族類ストリーム53、C
9+芳香族類ストリーム54、および非芳香族重質ストリーム55を作り出すことができ、ここで、第二飽和炭化水素類気体ストリーム51はメタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、ここで、第二オレフィン気体ストリーム52はエチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、ここで、C
6-C
8芳香族類ストリーム53はC
6-C
8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、ここで、C
9+芳香族類ストリーム54はC
9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリーム55はC
6+芳香族炭化水素類以外のC
5+炭化水素類を含む。当業者には理解されるように、そして本開示の助けを借りて、非芳香族重質ストリーム55の炭化水素は、(i)C
6-C
8芳香族炭化水素類を除外し、(ii)C
9+芳香族炭化水素類を除外し、(iii)C
5+オレフィン類を含み、そして(iv)C
5+パラフィン類、イソパラフィン類、およびナフテン類を含む。
【0089】
いくつかの態様において、第二飽和炭化水素類気体ストリームの一部51aは、気体スチームクラッカ35に再循環されうる。第二飽和炭化水素類気体ストリーム51は、約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量によって特徴付けられる。第二飽和炭化水素類気体ストリーム51は、オレフィン類を実質的に含まない。
【0090】
いくつかの態様において、非芳香族重質ストリーム55は、約300℃未満、275℃未満、または250℃未満の沸点を特徴とすることができる。非芳香族重質ストリームの一部55aは、液体スチームクラッカ45の上流側の水素処理ユニット40に再循環されうる。追加的にまたは代替的に、非芳香族重質油ストリームの部分55bは、液体スチームクラッカ45に再循環されうる。
【0091】
いくつかの態様において、C9+芳香族類ストリームの一部54aは、液体スチームクラッカ45の上流側の水素処理ユニット40に再循環される。
【0092】
第二オレフィン気体ストリーム52の収率は、約60%以上、またはそれ以上でありうる。C6-C8芳香族類ストリーム53の収率は、約15%、20%以上、またはそれ以上でありうる。ここでの開示の目的のために、収率は混合プラスチックストリーム11に関して計算される。
【0093】
混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する、ここで、炭化水素生成物は気相および液相を含む、(b)熱分解分離ユニット内で炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素気体ストリームはオレフィン類、飽和炭化水素類および塩酸(HCl)を含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部をスクラバに導入して処理済み炭化水素気体ストリーム生成する、ここで、処理済み炭化水素気体ストリーム中のHClの量は炭化水素気体ストリーム中のHClの量よりも少なく、かつ、炭化水素気体ストリーム中のHClの少なくとも一部がスクラバ内で除去される、(d)処理済み炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入して第一飽和炭化水素類気体ストリームおよび第一オレフィン気体ストリームを生成する、ここで、第一飽和炭化水素類気体ストリームは処理済み炭化水素気体ストリームの飽和炭化水素類の少なくとも一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの全重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする、(e)第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して、気体スチームクラッカ生成物ストリームを作り出す、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は第一飽和炭化水素類気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い、(f)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は約430℃未満、あるいは約300℃未満、の沸点を特徴とし、炭化水素液体ストリームの第二留分は約430℃以上、あるいは約300℃以上の沸点を特徴とする、(g)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成する、ここで、処済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩化物を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量によって特徴付けられる、(h)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分よりも低い沸点によって特徴付けられる、(i)処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分の一部を液体スチームクラッカに供給して、液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリームのオレフィン類の量は、処理済み炭化水素液体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(j)水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部をスクラバ、第一分離ユニット、および/または、気体スチームクラッカに供給する、(k)気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせを第二分離ユニットに導入して、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C6-C8芳香族類ストリーム、C9+芳香族類ストリーム、および非芳香族重質ストリームを作り出す、ここで、第二オレフィン気体ストリームはエチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、第二飽和炭化水素類気体ストリームはメタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、C6-C8芳香族類ストリームはC6-C8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、C9+芳香族類ストリームはC9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリームはC6+芳香炭化水素以外のC5+炭化水素を含む、(l)第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくも一部を気体スチームクラッカに再循環する、(m)非芳香族重質ストリームの少なくとも一部、および/または、C9+芳香族類ストリームの少なくとも一部を水素処理ユニットに再循環する、そして、(n)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部、および/または、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を、熱分解ユニットに再循環する。当業者によって理解されるように、また、本開示の助力によって、炭化水素液体ストリームの第一留分が約430℃未満の沸点によって特徴付けられるとき、炭化水素液体ストリームの第二留分は約430℃以上の沸点によって特徴付けられる。さらに、当業者によって理解されるように、また、本開示の助力により、炭化水素液体ストリームの第一留分が約300℃未満の沸点によって特徴付けられるとき、炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点によって特徴付けられる。
【0094】
ここに開示されているような混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、熱分解から得られる液体を処理するための液体スチームクラッカと、熱分解から得られる気体を処理するための気体スチームクラッカとを使用しないその他の点で類似の方法と比較したとき、単数または複数のプロセス特性における改善を有利に示すことができる。ここに開示の混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法は、軽量ガスオレフィン類と、さらに、C6-C8芳香族類との全体の収率の増加を有利に提供することができる。
【0095】
ここに開示の混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を作り出す方法は、飽和ストリームを水蒸気分解に、ならびに重質芳香族類ストリームを水素化分解に有利にリサイクルすることができ、それによってオレフィン類およびC6-C8などの高価値化学物質の全体収率を増加させる。ここに開示されているような混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法のさらなる利点は、この開示を見ることによって当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0096】
以上、本発明について一般的に説明してきたが、以下の例は、本開示の特定の実施形態として、そしてその実施および利点を示すために与えられる。これらの例は説明のために示されており、特許請求の範囲の明細書を限定することを決して意図するものではないことが理解される。
【0097】
〔実施例1〕
混合プラスチック廃棄物を、低過酷度条件でモジュール式ユニット内においてクラッキング、あるいは、低過酷度条件で循環流動層中において触媒(接触)クラッキングして、熱分解オイルを生成した。これらのクラッキング実験の結果を以下に示す。カップ混合物温度は400~600℃、具体的には450~550℃の範囲で変化させた。運転の過酷度に応じて、気体生成物と液体生成物とを分離した。分解液体生成物の組成を下の表に示す。ガス中に存在する飽和炭化水素類を、エタンクラッカまたはプロパンクラッカであるガスクラッカに送った。ガスクラッカは、所望の最終生成物に応じて選択された。熱分解ユニットからの分解された液体は、それは液体/ナフサ分解装置の要件であることから、全ての液体オレフィン類を飽和させるために水素処理に送られた。市販の水素処理触媒を使用して、水素処理を300~450℃および圧力20~100bargで実施して、水素処理油を製造した。この水素処理油の典型的な組成は、パラフィン類35~45%、イソパラフィン類35~45%、ナフテン類15~20%、および芳香族化合物類5~10%であり、沸点は400℃未満であった。以下の表は、水素処理油(たとえば、ストリーム41のような処理済み炭化水素液体ストリーム)の組成の一例を示す。次いで水素処理した油をスチームクラッキングにかけ、そこで軽質ガスオレフィン類を最大化し、そして生成したガス飽和物をガスクラッカに送った。この例では、熱分解によって生成された16.3重量%の飽和物をガスクラッカに送って、エチレンおよびプロピレンなどのより軽質のガスオレフィン類を形成した。
【0098】
水素処理油、通常はパイガス、は、高い芳香族含有量を有するナフサ範囲の物質であった。この液体は、穏やかな水素化の後に芳香族抽出にかけることができ、そして非芳香族ストリームをさらなる分解のためにナフサ/スチームクラッカに送り返すことができる。
【0099】
パラフィン類、オレフィン類、ナフテン類、および芳香族化合物類(P/O/N/A)の組成を有するスチームクラッカへの飽和熱分解油の供給についての結果を以下に示す。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
熱分解液の組成に応じて、それが連続循環流動床からの低苛酷接触分解からであれ、または任意のモジュール技術からの熱分解からであれ、芳香族抽出ユニットはスチームクラッカの前またはスチームクラッカの後に配置することができる。熱分解液の芳香族含有量が40%を超える場合、スチームクラッカの前に芳香族抽出を行うことは、コークス形成を最小限に抑えて、それをスチームクラッカに送る前にベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなどの高価値化学物質の回収を最大限にすることができる。
【0104】
スチームクラッカから得られた生成物は、2重量%のスチーム/オイル(S/O)比、0.1秒の反応滞留時間、および850℃の温度で下に示される。本開示の目的のために、S/O比は、スチームクラッカの総炭化水素供給量当たりのスチームクラッカに添加されたスチームの質量百分率で表される比を指す。
【0105】
【0106】
〔実施例2〕
この例は、オレフィン類供給原料(たとえば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリプロピレン(PP))82%、ポリスチレン(PS)11%、ポリエチレンテレフタレート(PET)7%(残余)、を有する混合廃プラスチックの低および高過酷度熱分解に関する。この実験は連続接触分解循環流動床中で行われた。全てのケースにおいて、第一工程で製造される軽質ガスオレフィン類は28%超で飽和し、その飽和物は、軽質ガスオレフィン類をさらに増加させるべく、ガスクラッカに直接送ることができる。ガソリンおよびディーゼル範囲の材料は、液体オレフィン類を飽和させるために水素処理することができ、さらにナフサクラッカに送ることができる。第一工程熱分解とそれに続く飽和ガス分子のガスクラッキングおよび液体用のナフサクラッカとを組み合わせた軽質ガスオレフィン類の全体的な構成は、供給されるプラスチックの60重量%超を占めうる。
【0107】
未転化飽和物は、さらなるクラッキングおよび軽質ガスオレフィン類の形成のためにクラッカに再循環して戻すことができる。ナフサクラッカから得られたパイガスは芳香族化合物類に富んでおり、それはベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)、およびエチルベンゼン(EB)(BTX+EB)の分離のための芳香族抽出に送られる。
【0108】
全体として、熱分解ユニットをガスクラッカおよび液体クラッカと組み合わせることによって、軽質ガスオレフィン類などの高価値化学物質は60%超となり、BTX+EBは15~20%超となる。
【0109】
熱分解油PIONAに基づくガソリンおよびディーゼルの範囲の熱分解油中の液体飽和物のイールドは、高価値化学物質への変換のためにナフサクラッカに送られるであろう。BTX+EBであるC6-C8範囲の芳香族化合物類は、水素化後に分離されるであろう。通常、二環式および三環式芳香族化合物類である高級芳香族化合物類もまた、開環によって飽和または変換され、次いでガソリン飽和物、ディーゼルおよび重質範囲飽和物からなる総供給物が、軽質ガスオレフィン類およびBTX+EB範囲の芳香族化合物類の総収率を増大させるべく、スチームクラッカに供給される。
【0110】
〔実施例3〕
この例は、オレフィン類供給原料(たとえば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリプロピレン(PP))82%、ポリスチレン(PS)11%、ポリエチレンテレフタレート(PET)7%(残余)、を有する混合廃プラスチックの低および高過酷度熱分解に関する。この実験は連続接触分解循環流動床中で行われた。
【0111】
【0112】
全体として、上記の例を通して、
図1-
図4に示されるような統合フローシートのプロセス構成に関与するプロセスは、C
6-C
8範囲の軽質ガスオレフィン類および単環芳香族化合物類を生成することが実証されている。
【0113】
本開示を、以下の実施形態によってさらに説明するが、これらはいかなる点においてもその範囲に対する限定を加えるものと解釈されてはならない。むしろ、ここでの説明を読んだ後に、本発明の要旨、または添付の請求項の範囲から逸脱することなく当業者に示唆されうる様々な他の態様、実施形態、修正、およびそれらの均等物に依拠しうるものであると、明確に理解される。
【0114】
〔追加の開示〕
以下は、非限定的な例として提供される列挙された態様である。
【0115】
第一の態様は、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、以下を含む、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する、ここで、炭化水素生成物は気相および液相を含む、(b)炭化水素生成物の少なくとも一部を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を、気体スチームクラッカ生成物ストリームを生成するために気体スチームクラッカに供給する、ここで気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、かつ、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い、(d)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は約300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点を特徴とする、(e)液体スチームクラッカ生成物ストリームを製造するために炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類と芳香族炭化水素類とを含み、かつ、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は炭化水素液体ストリームの第一留分中のオレフィン類の量より多い、そして、(f)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する。
【0116】
第二の態様は、第一態様の方法であって、気体スチームクラッカ生成物ストリームのオレフィン類は、軽質ガスオレフィン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0117】
第3態様は、第一および第二態様のいずれかの方法であって、炭化水素気体ストリームは、塩酸(HCl)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、軽質ガスオレフィン類、および飽和炭化水素類をさらに含み、かつ、炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給する工程(c)は、さらに、(i)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部をスクラバに導入して処理済み炭化水素気体ストリームを作る工程、ここで、処理済み炭化水素気体ストリーム中のHCLの量は炭化水素気体ストリーム中のHCLの量より少なく、かつ、炭化水素気体ストリーム中のHClの少なくとも一部はスクラバ内で除去される、(ii)処理済み炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入して第一飽和炭化水素類気体ストリームと第一オレフィン気体ストリームとを生成する、ここで、第一飽和炭化水素類気体ストリームは処理済み炭化水素気体ストリームの飽和炭化水素類の少なくとも一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは、当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする、そして、(iii)第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給する工程、を含む。
【0118】
第4態様は、第1~第3態様のいずれかの方法であって、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程(d)は、さらに、(i)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと処理済み水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、炭化水素液体ストリームの第一留分の沸点よりも低い沸点を特徴とし、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、炭化水素液体ストリームの第一留分の塩化物量よりも低い塩化物量を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは、炭化水素液体ストリームの第一留分のオレフィン含有量よりも低いオレフィン含有量を特徴とする、そして、(ii)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給する工程、を含む。
【0119】
第5の態様は、第1~4態様のいずれか方法であって、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、約300℃未満の沸点を特徴とる。
【0120】
第6の態様は、第1~5態様のいずれかの方法であって、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の単数または複数の塩化物成分を含む。
【0121】
第7の態様は、第1~6態様のいずれかの方法であって、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする。
【0122】
第8態様は、第1~7態様のいずれかの方法であって、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は芳香族化合物類を含み、かつ、芳香族化合物類の一部が水素処理ユニット内で開環反応を受けて、非芳香族化合物類を作り出す。
【0123】
第9態様は、第1~8態様のいずれかの方法であって、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを作り出す工程(i)は、さらに、(1)水素処理ユニットから水素処理ユニット生成物ストリームを回収する工程であって、水素処理ユニット生成物ストリームは気相と液相とを含む工程、および、(2)水素処理ユニット生成物ストリームを処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとに分離する工程であって、処理済み炭化水素液体ストリームは、水素処理ユニット生成物ストリームの液相の少なくとも一部を含み、水素処理ユニット気体生成物ストリームは、水素処理ユニット生成物ストリームの気相の少なくとも一部を含む工程、をさらに有する。
【0124】
第10態様は、第1~9態様のいずれかの方法であって、ここで、水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部は気体スチームクラッカに供給される。
【0125】
第11態様は、第3態様の方法であって、気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせは、第二分離ユニットに導入されて、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C6-C8芳香族類ストリーム、C9+芳香族類ストリーム、および非芳香族重質ストリーム、を生成し、ここで、第二オレフィン気体ストリームは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、第二飽和炭化水素類気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、C6-C8芳香族類ストリームは、C6-C8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、C9+芳香族類ストリームは、C9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリームは、C6+芳香族炭化水素類以外のC5+炭化水素を含む。
【0126】
第12態様は、第11態様の方法であって、第二オレフィン気体ストリームの収率は約60%以上である。
【0127】
第13態様は、第1~12態様のいずれかの方法であって、ここで、C6-C8芳香族類ストリームの収率は約15%以上である。
【0128】
第14態様は、第1~13態様のいずれかの方法であって、ここで、第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部は、気体スチームクラッカに再循環される。
【0129】
第15態様は、第1~14態様のいずれかの方法であって、非芳香族重質ストリームは約300℃未満の沸点を特徴とし、そして、非芳香族重質ストリームの少なくとも一部は、液体スチームクラッカ、および/または、当該液体スチームクラッカの上流の水素処理ユニット、に再循環される。
【0130】
第16態様は、第1~15態様のいずれかの方法であって、非芳香族重質ストリームは、約300℃未満の沸点を特徴とし、そして、9+芳香族類ストリームの少なくとも一部は液体スチームクラッカの上流の水素処理装置に再循環される。
【0131】
第17態様は、第16態様の方法であって、さらに以下の工程を有する、(i)水素処理ユニットから処理済み炭化水素液体ストリームを回収する、(ii)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は約300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点を特徴とする、(iii)処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、そして、(iv)処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する。
【0132】
第18態様は、第1~17態様のいずれかの方法であって、混合プラスチックは、当該混合プラスチックの総重量に基づいて約400ppmw以上のポリ塩化ビニル、および/または、ポリ塩化ビニリデン、を含む。
【0133】
第19態様は、第1~18態様のいずれかの方法であって、混合プラスチックは、未使用混合プラスチックまたは廃混合プラスチックである。
【0134】
第20態様は、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、以下の工程を含む、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する、ここで、炭化水素生成物は気相および液相を含む、(b)炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を、気体スチームクラッカ生成物ストリームを生成するために気体スチームクラッカに供給する、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類を含み、かつ、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、炭化水素気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い、(d)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は約300℃未満の沸点を特徴とし、かつ、炭化水素液体ストリームの第二留分は約300℃以上の沸点を特徴とする、(e)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成させる、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは約300℃未満の沸点を特徴とし、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩素物量を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量を特徴とする、(f)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を液体スチームクラッカ生成物ストリームを作るべく液体スチームクラッカに供給する、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリームはオレフィン類と芳香族炭化水素類とを含み、かつ、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は炭化水素液体ストリーム中のオレフィン類の量より多い、そして(g)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する。
【0135】
第21態様は、第20態様の方法であって、ここで、水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部は、気体スチームクラッカに供給される。
【0136】
第22態様は、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、以下の工程を含む、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する、ここで、炭化水素生成物は気相および液相を含む、(b)炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素気体ストリームはオレフィン類と飽和炭化水素類とを含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入し、第一飽和炭化水素類気体ストリームと第一オレフィン気体ストリームとを作る、ここで、第一オレフィン気体ストリームは炭化水素気体ストリームのオレフィン類の少なくとも一部を含み、第一飽和炭化水素類気体ストリームは炭化水素気体ストリームの飽和炭化水素類の少なくも一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする、(d)第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、当該気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、第一飽和炭化水素類気体ストリーム中のオレフィン類の量よりも多い、(e)炭化水素液体ストリームの一部と水素とを水素処理ユニットに供給して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット生成物ストリームとを作る、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩素物量を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする、(f)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は約430℃未満の沸点を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分は約430℃以上の沸点を特徴とする、(g)処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分中のオレフィン類の量よりも多い、(h)水素処理ユニット生成物ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニット、および/または、気体スチームクラッカ、に供給する、(i)気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはこれらの組み合わせを、第二分離ユニットに導入して、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C6-C8芳香族類ストリーム、C9+芳香族類ストリーム、および非芳香族重質ストリームを作る、ここで、第二オレフィン気体ストリームは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、第二飽和炭化水素類気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、C6-C8芳香族類ストリームは、C6-C8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、C9+芳香族類ストリームはC9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリームは、C6+芳香族炭化水素類以外のC5+炭化水素を含む、(j)第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカに再循環させる、(k)非芳香族重質ストリームの少なくとも一部およびC9+芳香族化合物類ストリームの少なくとも一部を、水素処理ユニットに再循環する、そして、(l)処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を熱分解ユニットに再循環する。
【0137】
第23態様は、第22態様の方法であって、第二オレフィン気体ストリームの収率は約60%以上であり、そして、C6-C8芳香族類ストリーム収率は約15%以上である。
【0138】
第24態様は、混合プラスチックからオレフィン類および芳香族炭化水素類を製造する方法であって、以下の工程を含む、(a)熱分解ユニット内で混合プラスチックを炭化水素生成物に変換する、ここで、炭化水素生成物は気相と液相を含む、(b)熱分解分離装置内で炭化水素生成物を炭化水素気体ストリームと炭化水素液体ストリームとに分離する、ここで、炭化水素気体ストリームは炭化水素生成物の気相の少なくとも一部を含み、炭化水素気体ストリームは、オレフィン類、飽和炭化水素類および塩酸(HCl)を含み、かつ、炭化水素液体ストリームは炭化水素生成物の液相の少なくとも一部を含む、(c)炭化水素気体ストリームの少なくとも一部をスクラバに導入して処理済み炭化水素気体ストリームを作る、ここで、処理済み炭化水素気体ストリーム中のHClの量は炭化水素気体ストリーム中のHClの量よりも少なく、炭化水素気体ストリーム中のHClの少なくとも一部はスクラバ中で除去される、(d)処理済み炭化水素気体ストリームの少なくとも一部を第一分離ユニットに導入して第一飽和炭化水素類気体ストリームおよび第一オレフィン気体ストリームを生成する、ここで、第一オレフィン気体ストリームは処理済み炭化水素気体ストリームのオレフィン類の少なくとも一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは処理済み炭化水素気体ストリームの飽和炭化水素類の少なくとも一部を含み、かつ、第一飽和炭化水素類気体ストリームは当該第一飽和炭化水素類気体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン含有量を特徴とする、(e)第一飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を、気体スチームクラッカに供給して気体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、気体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、第一飽和炭化水素類気体ストリーム中のオレフィン類の量より多い、(f)炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を当該炭化水素液体ストリームの第一留分と当該炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、炭化水素液体ストリームの第一留分は炭化水素液体ストリームの第二留分よりも低い沸点を特徴とし、かつ、炭化水素液体ストリームの第一留分の沸点は約300℃~約430℃未満である、(g)炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部と水素とを水素処理ユニットに搬送して処理済み炭化水素液体ストリームと水素処理ユニット気体生成物ストリームとを生成する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームは当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約10ppmw未満の塩化物量を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームは、当該処理済み炭化水素液体ストリームの総重量に基づいて約1重量%未満のオレフィン類のオレフィン含有量を特徴とする、(h)処理済み炭化水素液体ストリームの少なくとも一部を、当該処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分と当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分とに分離する、ここで、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は当該処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の沸点より低い沸点を特徴とし、かつ、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分は約350℃未満である、(i)処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分の少なくとも一部を液体スチームクラッカに供給して液体スチームクラッカ生成物ストリームを作る、ここで、液体スチームクラッカ生成物ストリーム中のオレフィン類の量は、処理済み炭化水素液体ストリームの第一留分中のオレフィン類の量よりも多い、(j)水素処理ユニット気体生成物ストリームの少なくとも一部を、スクラバ、第一分離ユニット、気体スチームクラッカ、またはこれらの組み合わせに供給する、(k)気体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、液体スチームクラッカ生成物ストリームの少なくとも一部、第一オレフィン気体ストリームの少なくとも一部、またはそれらの組み合わせを、第二分離ユニットに導入して、第二オレフィン気体ストリーム、第二飽和炭化水素類気体ストリーム、C6-C8芳香族類ストリーム、C9+芳香族類ストリーム、および、非芳香族重質ストリーム、を作り出す、ここで、第二オレフィン気体ストリームは、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、またはそれらの組み合わせを含み、第二飽和炭化水素類気体ストリームは、メタン、エタン、プロパン、ブタン類、水素、またはそれらの組み合わせを含み、C6-C8芳香族類ストリームは、C6-C8芳香族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、またはそれらの組み合わせを含み、C9+芳香族類ストリームはC9+芳香族炭化水素類を含み、かつ、非芳香族重質ストリームは、C6+芳香族炭化水素類以外のC5+炭化水素を含む、(l)第二飽和炭化水素類気体ストリームの少なくとも一部を気体スチームクラッカ再循環させる、(m)非芳香族重質ストリームの少なくとも一部、および/または、C9+芳香族類ストリームの少なくとも一部を、水素処理ユニットに再循環する、(n)炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部、および/または、処理済み炭化水素液体ストリームの第二留分の少なくとも一部を、熱分解ユニットに再循環する、そして、(o)、オプションとして、非芳香族重質ストリームの少なくとも一部を液体スチームクラッカに再循環する。
【0139】
本開示の態様を示し説明してきたが、本発明の要旨および教示から逸脱することなくそれらの改変を行うことが可能である。ここに記載の態様および例は例示的なものにすぎず、限定的であることを意図するものではない。ここに開示された本発明の多くの変形および修正が可能であり、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0140】
したがって、保護の範囲は上記の説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲の主題のすべての均等物を含む。各請求項はすべて本発明の態様として明細書に組み込まれている。したがって、特許請求の範囲はさらなる説明であり、本発明の詳細な説明への追加である。本明細書に引用された全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。