(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】半導体記憶システム
(51)【国際特許分類】
G06F 12/00 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
G06F12/00 564A
(21)【出願番号】P 2019519824
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2017019066
(87)【国際公開番号】W WO2018216081
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2019-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】508195512
【氏名又は名称】ゼンテルジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】濱本 武史
(72)【発明者】
【氏名】原口 大
【審査官】酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520226(JP,A)
【文献】国際公開第2014/183287(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124873(US,A1)
【文献】特表2012-522311(JP,A)
【文献】国際公開第2010/117535(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0011331(US,A1)
【文献】国際公開第2016/185879(WO,A1)
【文献】特開2016-218721(JP,A)
【文献】特開2011-257892(JP,A)
【文献】特表2009-526323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクを備え、前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記活性化コマンドを発行してから前記書き込みコマンドを発行可能になるまで時間差を示す第1の時間期間(tRCD(W))と、前記活性化コマンドを発行してから前記読み出しコマンドを発行可能になるまで時間差を示す第2の時間期間(tRCD(R))とを含み、前記第1の時間期間は前記第2の時間期間より小さな値を有し、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第1の時間期間(tRCD(W))だけ離れた瞬間以後に、前記書き込みコマンドを発行し、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第2の時間期間(tRCD(R))だけ離れた瞬間以後に、前記読み出しコマンドを発行し、
前記第1の時間期間(tRCD(W))は負の値を有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第1の時間期間(tRCD(W))の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、前記活性化コマンドを発行する瞬間よりも前に、前記書き込みコマンドを発行する、制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドの前に前記書き込みコマンドを発行することを通知する第1の制御信号を前記半導体記憶装置に送信する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記バンクは、複数のセンスアンプからなる少なくとも1つのセンスアンプ列によって互いに分離された複数のサブアレイを含み、
前記書き込みコマンドは、データを書き込む記憶セルを含むサブアレイのロウアドレスの一部を含む、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクを備え、前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記書き込みコマンドを発行してから前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信するまでの時間差を示す第3の時間期間(WL2)であって、前記JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)よりも短い第3の時間期間(WL2)を含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)だけ離れた瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始し、
前記第3の時間期間(WL2)は負の値を有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始する、制御装置。
【請求項5】
前記タイミングパラメータは、前記JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)に等しい第4の時間期間(WL1)をさらに含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)又は前記第4の時間期間(WL1)だけ離れた瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始する、
請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記半導体記憶装置は複数のバンクを備え、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの少なくとも2つのバンクに同じデータを書き込み、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの1つからデータを読み出す、
請求項1~5のうちの1つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記タイミングパラメータは、あるバンクに対する前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第5の時間期間(tRC(R))をさらに含み、
前記制御回路は、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクからデータを読み出すために前記第5の時間期間(tRC(R))より短い間隔で第1及び第2の活性化コマンドを発行するとき、前記第1の活性化コマンドに含まれるバンクアドレスとは異なるバンクアドレスを含む前記第2の活性化コマンドを発行する、
請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
前記複数のバンクは、複数のビットを含むバンクアドレスを有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの、少なくとも1つの同じビット値を含むバンクアドレスをそれぞれ有する少なくとも2つのバンクにおいて、同じロウアドレスの記憶セルに前記同じデータを書き込む、
請求項6又は7記載の制御装置。
【請求項9】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された複数のバンクを備え、前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、互いに異なる2つのバンクに対する前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第6の時間期間(tRRD)と、任意の2つのバンクに対する前記書き込みコマンド又は前記読み出しコマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第7の時間期間(tCCD)と、4つの前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第8の時間期間(tFAW)とを含み、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく設定され、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを連続して書き込むとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記書き込みコマンドをそれぞれ発行し、
前記半導体記憶装置からデータを連続して読み出すとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記読み出しコマンドをそれぞれ発行し、
前記半導体記憶装置は、第1の動作モード及び第2の動作モードを有し、
前記半導体記憶装置が前記第1の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は第1の電圧値を有し、
前記制御装置が備える前記タイミングレジスタで、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)よりも短く
設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍よりも長く
設定され、
前記半導体記憶装置が前記第2の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は前記第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を有し、
前記制御装置が備える前記タイミングレジスタで、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく
設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく
設定され、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置を前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作させる第2の制御信号を前記半導体記憶装置に送信する、制御装置。
【請求項10】
前記複数のタイミングパラメータは、2つのバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有する複数の第6の時間期間(tRRD)を含む、
請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された複数のバンクを備え、前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記複数のバンクのうちの第1のバンクにデータを書き込むために前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信してから、前記複数のバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出すために前記読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間差を示す複数の第9の時間期間(tWTR)を含み、前記複数の第9の時間期間(tWTR)は、前記第1及び第2のバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有し、
前記制御回路は、前記第1のバンクにデータを書き込んだ直後に前記第2のバンクからデータを読み出すとき、前記半導体記憶装置へデータを送信してから、前記第1及び第2のバンクの組み合わせに対応する長さを有する前記第9の時間期間(tWTR)にわたって待機した後、前記読み出しコマンドを発行する、
制御装置。
【請求項12】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置であって、
前記半導体記憶装置は、
内部データバスと、
前記内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクとを備え、
前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記半導体記憶装置は、外部バスを介して制御装置に接続される通信回路と、前記通信回路を介して前記制御装置から複数のコマンドを受信して前記半導体記憶装置の動作を制御する制御回路とを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを受信する瞬間を基準として予め決められた第1の時間期間(tRCD(W))の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、前記活性化コマンドを受信する瞬間よりも前に、前記書き込みコマンドを前記制御装置から受信可能に構成される、
半導体記憶装置。
【請求項13】
前記半導体記憶装置は、前記複数のコマンドのうちの少なくとも一部にそれぞれ関連付けられた複数の回路を含み、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドの前に前記書き込みコマンドを発行することを通知する第1の制御信号を前記制御装置から受信し、
前記第1の制御信号を受信したとき、前記書き込みコマンドに関連付けられた回路を活性化する、
請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記半導体記憶装置は、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記カラム選択線に第1の電圧を印加する第1の電圧源と、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記カラム選択線に前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加する第2の電圧源とを備える、
請求項12又は13記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記第1の電圧源は第1の時間長にわたって前記カラム選択線に前記第1の電圧を印加し、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記第2の電圧源は前記第1の時間長よりも長い第2の時間長にわたって前記カラム選択線に前記第2の電圧を印加する、
請求項14記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを受信した後、かつ、前記センスアンプを活性化する前に、前記カラム選択線を活性化する、
請求項13~15のうちの1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを受信した後、かつ、前記センスアンプ及び前記ワード線を活性化する前に、前記カラム選択線を活性化する、
請求項16記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記複数のセンスアンプのうちの各1つのセンスアンプは、少なくとも1つのNMOSトランジスタと、少なくとも1つのPMOSトランジスタとを含み、
前記センスアンプを非活性化するとき、前記ビット線の上限電圧に等しい電圧を前記NMOSトランジスタのソースに印加し、
前記センスアンプを活性化するとき、前記ビット線の下限電圧に等しい電圧を前記NMOSトランジスタのソースに印加する、
請求項16又は17記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記バンクは、複数のセンスアンプからなる少なくとも1つのセンスアンプ列によって互いに分離された複数のサブアレイを含み、
前記書き込みコマンドは、データを書き込む記憶セルを含むサブアレイのロウアドレスの一部を含み、
前記制御回路は、
前記書き込みコマンドのロウアドレスによって指定されるサブアレイを活性化し、
前記書き込みコマンドのカラムアドレスによって指定されるカラム選択線を活性化し、
前記活性化されたカラム選択線に対応するビット線の電圧を上限電圧に設定する、
請求項12~18のうちの1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
前記半導体記憶装置は複数のバンクを備え、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの少なくとも2つのバンクに同じデータを書き込み、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの1つからデータを読み出す、
請求項12~19のうちの1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項21】
前記制御回路は、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクからデータを読み出すために発行された第1及び第2の活性化コマンドであって、予め決められた第5の時間期間(tRC(R))より短い間隔で発行された第1及び第2の活性化コマンドを受信したとき、前記第1の活性化コマンドに応じて、前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第1のバンクからデータを読み出し、前記第2の活性化コマンドに応じて、前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出す、
請求項20記載の半導体記憶装置。
【請求項22】
前記複数のバンクは、複数のビットを含むバンクアドレスを有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの、少なくとも1つの同じビット値を含むバンクアドレスをそれぞれ有する少なくとも2つのバンクにおいて、同じロウアドレスの記憶セルに前記同じデータを書き込む、
請求項20又は21記載の半導体記憶装置。
【請求項23】
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置であって、
前記半導体記憶装置は、
内部データバスと、
前記内部データバスに接続された複数のバンクとを備え、
前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記半導体記憶装置は、外部バスを介して制御装置に接続される通信回路と、前記通信回路を介して前記制御装置から複数のコマンドを受信して前記半導体記憶装置の動作を制御する制御回路とを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記半導体記憶装置は、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを有し、前記複数のタイミングパラメータは、互いに異なる2つのバンクに対する前記活性化コマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第6の時間期間(tRRD)と、任意の2つのバンクに対する前記書き込みコマンド又は前記読み出しコマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第7の時間期間(tCCD)と、4つの前記活性化コマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第8の時間期間(tFAW)とを含み、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを連続して書き込むとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記書き込みコマンドをそれぞれ前記制御回路から受信可能に構成され、
前記半導体記憶装置からデータを連続して読み出すとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記読み出しコマンドをそれぞれ前記制御回路から受信可能に構成され、
前記半導体記憶装置は、前記第7の時間期間(tCCD)が前記第6の時間期間(tRRD)に等しくなるように、かつ、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しくなるように設定された電圧を前記ワード線に印加する第3の電圧源を備える、
半導体記憶装置。
【請求項24】
前記半導体記憶装置は、第1の動作モード及び第2の動作モードを有し、
前記半導体記憶装置が前記第1の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は第1の電圧値を有し、
前記制御装置が備えるタイミングレジスタで、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)よりも短く
設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍よりも長く
設定され、
前記半導体記憶装置が前記第2の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は前記第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を有し、
前記制御装置が備える前記タイミングレジスタで、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく
設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく
設定され、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置を前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作させる第2の制御信号を前記制御装置から受信したとき、前記第2の制御信号に従って、前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作する、
請求項23記載の半導体記憶装置。
【請求項25】
前記複数のタイミングパラメータは、2つのバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有する複数の第6の時間期間(tRRD)を含む、
請求項23又は24に記載の半導体記憶装置。
【請求項26】
請求項1~8のうちの1つに記載の制御装置と、
請求項12~22のうちの1つに記載の半導体記憶装置とを備える、
半導体記憶システム。
【請求項27】
請求項9又は10に記載の制御装置と、
請求項23~25のうちの1つに記載の半導体記憶装置とを備える、
半導体記憶システム。
【請求項28】
請求項11記載の制御装置と、
半導体記憶装置とを備える、
半導体記憶システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMの半導体記憶装置及び制御装置に関し、さらに、これらを含む半導体記憶システムに関する。本発明はまた、そのような半導体記憶装置のための制御方法に関する。
【0002】
本明細書において、DDRx-SDRAMは、DDR-SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random-Access Memory)、DDR2-SDRAM、DDR3-SDRAM、DDR4-SDRAM、及びそれらの派生規格及び後継規格を示す。また、本明細書において、LPDDRx-SDRAMは、LPDDR-SDRAM(Low Power DDR-SDRAM)、LPDDR2-SDRAM、LPDDR3-SDRAM、LPDDR4-SDRAM、及びそれらの派生規格及び後継規格を示す。
【背景技術】
【0003】
コンピュータなどのプロセッサのための外付けの一次記憶装置として、DRAMなどのメモリと、メモリコントローラとを含むメモリシステムが用いられる(例えば、特許文献1を参照)。高速アクセスが可能なDRAMとして、DDRx-SDRAM及びLPDDRx-SDRAMが知られている。DDRx-SDRAM及びLPDDRx-SDRAMのメモリは、その内部のメモリ空間に1個もしくは複数のバンクを含み、各々のバンクに対して独立にデータの書き込み及び読み出しアクセスを行うことが可能である。各バンクは、互いに直交する複数のロウ及び複数のカラムに沿って2次元的に配列にされたメモリセル群を含む。
【0004】
メモリ及びメモリコントローラは、複数の信号線を含むバス(以下、「メモリバス」という)を介して互いに接続される。メモリコントローラはメモリバスを介してメモリと通信することで、メモリに対してデータを書き込み、あるいは、メモリからデータを読み出す。メモリバスは、クロックを伝送するための信号線、コマンドを伝送するための複数の信号線(コマンドバス)、アドレスを伝送するための複数の信号線(アドレスバス)、及びデータを伝送するための複数の信号線(外部データバス)を含む。
【0005】
メモリコントローラからメモリにクロックを送ることにより、メモリ及びメモリコントローラは互いに同期する。
【0006】
メモリコントローラはクロックに同期して、活性化(activate:ACT)コマンド、書き込み(WRITE)コマンド、読み出し(READ)コマンド、及びプリチャージ(precharge:PRE)コマンドを発行し、コマンドバスを介してこれらのコマンドをメモリに送る。活性化コマンドは、あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有するメモリセルに接続されたワード線と、ビット線を介してメモリセルに接続されたセンスアンプとを活性化する。書き込みコマンドは、あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有するメモリセルへのデータの書き込みを指示する。読み出しコマンドは、あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有するメモリセルからのデータの読み出しを指示する。プリチャージコマンドは、活性化コマンドによって活性化されたワード線及びセンスアンプを含むバンクを非活性化する。
【0007】
メモリコントローラはクロックに同期して、アドレスバスを介してメモリへの書き込み及び読み出しアクセスする番地を指定する。アドレスバスの各信号線は、バンクアドレスと、ロウアドレス又はカラムアドレスとに割り当てられる。
【0008】
メモリコントローラはクロックに同期して、データバスを介してメモリへデータの書き込み及び読み出しアクセスを行う。
【0009】
メモリコントローラがメモリに対してコマンド、バンクアドレス、ロウアドレス、及びカラムアドレスを送ることで、目的のアクセス位置のメモリセルに対する書き込み及び読み出しアクセスを可能とする。
【0010】
より具体的には、メモリコントローラがクロックに同期して活性化コマンド、バンクアドレス、及びロウアドレスをメモリに送ることで、メモリは、目標となるバンクのロウアドレスに対応するワード線を選択し、該選択したワード線に接続されるメモリセル群の情報を対応するページラッチ群に格納する。該格納されたデータを「ページデータ」と呼ぶ。また、以上のように、活性化コマンドによって目標となるバンクの選択されたロウアドレスのページデータをページラッチ群に格納する動作を、「バンク活性化」と呼ぶ。
【0011】
バンク活性化されたバンクに対して書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行することで、メモリに対するデータの書き込み動作又は読み出し動作が行われる。読み出し動作では、メモリコントローラが、読み出しコマンドと、活性化されたバンクのバンクアドレス及びカラムアドレスとをメモリに送り、これにより、目標となるバンクのカラムアドレスによって選択されたページデータの一部がメモリの外部に読み出される。書き込み動作では、メモリコントローラが、書き込みコマンドと、活性化されたバンクのバンクアドレス及びカラムアドレスと、書き込みデータとをメモリに送り、これにより、メモリは、目標となるバンクのカラムアドレスに対応するページデータの一部を、メモリの外部から送られた書き込みデータに書き換える。
【0012】
続いて、メモリコントローラがプリチャージコマンド及びバンクアドレスをメモリに送ることで、活性化されたバンクのページデータが上記選択されたワード線に接続されたメモリセル群に再書き込みされ、該選択されたワード線が非活性化する。
【0013】
以上の一連の活性化コマンド、読み出しコマンド、書き込みコマンド、及びプリチャージコマンドを伴う動作により、メモリへの書き込み/読み出しアクセスが完了する。
【0014】
メモリコントローラは、活性化コマンド、書き込みコマンド、読み出しコマンド、及びプリチャージコマンドの各コマンドとともにバンクアドレスをメモリに送ることで、複数のバンクのうちの目標となる1つのバンクを選択し、このバンクに対する書き込み及び読み出しを制御する。
【0015】
複数のバンクを活性化して、これらのバンクにデータを書き込む複数の書き込みコマンドを連続的に発行すると、データを中断なく連続的に書き込むことができ、外部データバスをほぼ100%有効に使用することができる。同様に、複数のバンクを活性化し、これらのバンクからデータを読み出す複数の読み出しコマンドを連続的に発行すると、データを中断なく連続的に読み出すことができ、外部データバスをほぼ100%有効に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、アプリケーションによっては、よりランダムなアクセスが必要とされる場合がある。本明細書で、「ランダムなアクセス」とは、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスによりデータの書き込み及び/又は読み出しを行う場合を示す。このコマンドシーケンスは、活性化コマンドによりあるバンクを活性化し、1つもしくは少数の書き込みコマンド及び/又は読み出しコマンドによりページデータへアクセスし、その後、プリチャージコマンドによりバンクを非活性化する一連の動作を含む。このようなランダムアクセス動作が繰り返される場合、メモリに対してデータを中断なく書き込むこと又は読み出すことができなくなり、外部データバスの使用効率が低下する。特に、同一バンクの異なるロウアドレスのページデータに書き込み及び/又は読み出しアクセスを繰り返す場合は、1回のアクセス毎に活性化コマンド及びプリチャージコマンドの発行が必要となり、外部データバスの使用効率がさらに低下するという問題が生じる。
【0018】
JEDEC標準に準拠した現状の汎用のDDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのタイミングパラメータを用いるメモリシステムでは、ランダムな書き込み及び/又は読み出しアクセスを行う場合、該メモリシステムの外部データバスの使用効率が動作クロックに対して低下するという問題がある。
【0019】
本発明の目的は、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスにより1つ又は複数のバンクに対してデータを書き込む及び/又は読み出す場合であっても、外部データバスの使用効率を低下させにくい半導体記憶装置及び制御装置、さらに、これらを含む半導体記憶システムを提供することにある。本発明の目的はまた、そのような半導体記憶装置のための制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様に係る制御装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクを備え、前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記活性化コマンドを発行してから前記書き込みコマンドを発行可能になるまで時間差を示す第1の時間期間(tRCD(W))と、前記活性化コマンドを発行してから前記読み出しコマンドを発行可能になるまで時間差を示す第2の時間期間(tRCD(R))とを含み、前記第1の時間期間は前記第2の時間期間より小さな値を有し、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第1の時間期間(tRCD(W))だけ離れた瞬間以後に、前記書き込みコマンドを発行し、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第2の時間期間(tRCD(R))だけ離れた瞬間以後に、前記読み出しコマンドを発行する。
【0021】
本発明の第2の態様に係る制御装置によれば、第1の態様に係る制御装置において、
前記第1の時間期間(tRCD(W))は負の値を有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として前記第1の時間期間(tRCD(W))の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、前記活性化コマンドを発行する瞬間よりも前に、前記書き込みコマンドを発行する。
【0022】
本発明の第3の態様に係る制御装置によれば、第2の態様に係る制御装置において、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドの前に前記書き込みコマンドを発行することを通知する第1の制御信号を前記半導体記憶装置に送信する。
【0023】
本発明の第4の態様に係る制御装置によれば、第1~第3のうちの1つの態様に係る制御装置において、
前記バンクは、複数のセンスアンプからなる少なくとも1つのセンスアンプ列によって互いに分離された複数のサブアレイを含み、
前記書き込みコマンドは、データを書き込む記憶セルを含むサブアレイのロウアドレスの一部を含む。
【0024】
本発明の第5の態様に係る制御装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクを備え、前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記書き込みコマンドを発行してから前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信するまでの時間差を示す第3の時間期間(WL2)であって、前記JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)よりも短い第3の時間期間(WL2)を含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)だけ離れた瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始する。
【0025】
本発明の第6の態様に係る制御装置によれば、第5の態様に係る制御装置において、
前記タイミングパラメータは、前記JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)に等しい第4の時間期間(WL1)をさらに含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)又は前記第4の時間期間(WL1)だけ離れた瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始する。
【0026】
本発明の第7の態様に係る制御装置によれば、第5又は第6の態様に係る制御装置において、
前記第3の時間期間(WL2)は負の値を有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として前記第3の時間期間(WL2)の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間に、前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信開始する。
【0027】
本発明の第8の態様に係る制御装置によれば、第1~第7のうちの1つの態様に係る制御装置において、
前記半導体記憶装置は複数のバンクを備え、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの少なくとも2つのバンクに同じデータを書き込み、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの1つからデータを読み出す。
【0028】
本発明の第9の態様に係る制御装置によれば、第8の態様に係る制御装置において、
前記タイミングパラメータは、あるバンクに対する前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第5の時間期間(tRC(R))をさらに含み、
前記制御回路は、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクからデータを読み出すために前記第5の時間期間(tRC(R))より短い間隔で第1及び第2の活性化コマンドを発行するとき、前記第1の活性化コマンドに含まれるバンクアドレスとは異なるバンクアドレスを含む前記第2のコマンドを発行する。
【0029】
本発明の第10の態様に係る制御装置によれば、第8又は第9の態様に係る制御装置において、
前記複数のバンクは、複数のビットを含むバンクアドレスを有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの、少なくとも1つの同じビット値を含むバンクアドレスをそれぞれ有する少なくとも2つのバンクにおいて、同じロウアドレスの記憶セルに前記同じデータを書き込む。
【0030】
本発明の第11の態様に係る制御装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された複数のバンクを備え、前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、互いに異なる2つのバンクに対する前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第6の時間期間(tRRD)と、任意の2つのバンクに対する前記書き込みコマンド又は前記読み出しコマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第7の時間期間(tCCD)と、4つの前記活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す第8の時間期間(tFAW)とを含み、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく設定され、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく設定され、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを連続して書き込むとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記書き込みコマンドをそれぞれ発行し、
前記半導体記憶装置からデータを連続して読み出すとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記読み出しコマンドをそれぞれ発行する。
【0031】
本発明の第12の態様に係る制御装置によれば、第11の態様に係る制御装置において、
前記半導体記憶装置は、第1の動作モード及び第2の動作モードを有し、
前記半導体記憶装置が前記第1の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は第1の電圧値を有し、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)よりも短く、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍よりも長く、
前記半導体記憶装置が前記第2の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は前記第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を有し、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置を前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作させる第2の制御信号を前記半導体記憶装置に送信する。
【0032】
本発明の第13の態様に係る制御装置によれば、第11又は第12の態様に係る制御装置において、
前記複数のタイミングパラメータは、2つのバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有する複数の第6の時間期間(tRRD)を含む。
【0033】
本発明の第14の態様に係る制御装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御装置であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された複数のバンクを備え、前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御装置は、前記半導体記憶装置に接続される通信回路と、複数のコマンドを発行して前記通信回路を介して前記半導体記憶装置に送信することにより前記半導体記憶装置を制御する制御回路と、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納するタイミングレジスタとを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記複数のタイミングパラメータは、前記複数のバンクのうちの第1のバンクにデータを書き込むために前記制御装置から前記半導体記憶装置へデータを送信してから、前記複数のバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出すために前記読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間差を示す複数の第9の時間期間(tWTR)を含み、前記複数の第9の時間期間(tWTR)は、前記第1及び第2のバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有し、
前記制御回路は、前記第1のバンクにデータを書き込んだ直後に前記第2のバンクからデータを読み出すとき、前記半導体記憶装置へデータを送信してから、前記第1及び第2のバンクの組み合わせに対応する長さを有する前記第9の時間期間(tWTR)にわたって待機した後、前記読み出しコマンドを発行する。
【0034】
本発明の第15の態様に係る半導体記憶装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置であって、
前記半導体記憶装置は、
内部データバスと、
前記内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクとを備え、
前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記半導体記憶装置は、外部バスを介して制御装置に接続される通信回路と、前記通信回路を介して前記制御装置から複数のコマンドを受信して前記半導体記憶装置の動作を制御する制御回路とを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを受信する瞬間を基準として予め決められた第1の時間期間(tRCD(W))の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、前記活性化コマンドを受信する瞬間よりも前に、前記書き込みコマンドを前記制御装置から受信可能に構成される。
【0035】
本発明の第16の態様に係る半導体記憶装置によれば、第15の態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置は、前記複数のコマンドのうちの少なくとも一部にそれぞれ関連付けられた複数の回路を含み、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドの前に前記書き込みコマンドを発行することを通知する第1の制御信号を前記制御装置から受信し、
前記第1の制御信号を受信したとき、前記書き込みコマンドに関連付けられた回路を活性化する。
【0036】
本発明の第17の態様に係る半導体記憶装置によれば、第15又は第16の態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置は、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記カラム選択線に第1の電圧を印加する第1の電圧源と、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記カラム選択線に前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加する第2の電圧源とを備える。
【0037】
本発明の第18の態様に係る半導体記憶装置によれば、第17の態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記第1の電圧源は第1の時間長にわたって前記カラム選択線に前記第1の電圧を印加し、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記第2の電圧源は前記第1の時間長よりも長い第2の時間長にわたって前記カラム選択線に前記第2の電圧を印加する。
【0038】
本発明の第19の態様に係る半導体記憶装置によれば、第15~第18のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置において、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを受信した後、かつ、前記センスアンプを活性化する前に、前記カラム選択線を活性化する。
【0039】
本発明の第20の態様に係る半導体記憶装置によれば、第19の態様に係る半導体記憶装置において、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記書き込みコマンドを受信した後、かつ、前記センスアンプ及び前記ワード線を活性化する前に、前記カラム選択線を活性化する。
【0040】
本発明の第21の態様に係る半導体記憶装置によれば、第19又は第20の態様に係る半導体記憶装置において、
前記複数のセンスアンプのうちの各1つのセンスアンプは、少なくとも1つのNMOSトランジスタと、少なくとも1つのPMOSトランジスタとを含み、
前記センスアンプを非活性化するとき、前記ビット線の上限電圧に等しい電圧を前記NMOSトランジスタのソースに印加し、
前記センスアンプを活性化するとき、前記ビット線の下限電圧に等しい電圧を前記NMOSトランジスタのソースに印加する。
【0041】
本発明の第22の態様に係る半導体記憶装置によれば、第15~第21のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置において、
前記バンクは、複数のセンスアンプからなる少なくとも1つのセンスアンプ列によって互いに分離された複数のサブアレイを含み、
前記書き込みコマンドは、データを書き込む記憶セルを含むサブアレイのロウアドレスの一部を含み、
前記制御回路は、
前記書き込みコマンドのロウアドレスによって指定されるサブアレイを活性化し、
前記書き込みコマンドのカラムアドレスによって指定されるカラム選択線を活性化し、
前記活性化されたカラム選択線に対応するビット線の電圧を上限電圧に設定する。
【0042】
本発明の第23の態様に係る半導体記憶装置によれば、第15~第22のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置は複数のバンクを備え、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの少なくとも2つのバンクに同じデータを書き込み、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの1つからデータを読み出す。
【0043】
本発明の第24の態様に係る半導体記憶装置によれば、第23の態様に係る半導体記憶装置において、
前記制御回路は、前記複数のバンクのうちの前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクからデータを読み出すために発行された第1及び第2の活性化コマンドであって、予め決められた第5の時間期間(tRC(R))より短い間隔で発行された第1及び第2の活性化コマンドを受信したとき、前記第1の活性化コマンドに応じて、前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第1のバンクからデータを読み出し、前記第2の活性化コマンドに応じて、前記同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出す。
【0044】
本発明の第25の態様に係る半導体記憶装置によれば、第23又は第24の態様に係る半導体記憶装置において、
前記複数のバンクは、複数のビットを含むバンクアドレスを有し、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記複数のバンクのうちの、少なくとも1つの同じビット値を含むバンクアドレスをそれぞれ有する少なくとも2つのバンクにおいて、同じロウアドレスの記憶セルに前記同じデータを書き込む。
【0045】
本発明の第26の態様に係る半導体記憶装置によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置であって、
前記半導体記憶装置は、
内部データバスと、
前記内部データバスに接続された複数のバンクとを備え、
前記複数のバンクのうちの各1つのバンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記半導体記憶装置は、外部バスを介して制御装置に接続される通信回路と、前記通信回路を介して前記制御装置から複数のコマンドを受信して前記半導体記憶装置の動作を制御する制御回路とを備え、
前記複数のコマンドは、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドとを含み、
前記半導体記憶装置は、前記半導体記憶装置の動作に関連する複数のタイミングパラメータを有し、前記複数のタイミングパラメータは、互いに異なる2つのバンクに対する前記活性化コマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第6の時間期間(tRRD)と、任意の2つのバンクに対する前記書き込みコマンド又は前記読み出しコマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第7の時間期間(tCCD)と、4つの前記活性化コマンドを連続して受信可能な最短時間を示す第8の時間期間(tFAW)とを含み、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく、
前記制御回路は、
前記半導体記憶装置にデータを連続して書き込むとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記書き込みコマンドをそれぞれ前記制御回路から受信可能に構成され、
前記半導体記憶装置からデータを連続して読み出すとき、前記第6の時間期間(tRRD)に等しい周期で、前記活性化コマンド及び前記読み出しコマンドをそれぞれ前記制御回路から受信可能に構成される。
【0046】
本発明の第27の態様に係る半導体記憶装置によれば、第26の態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置は、前記第7の時間期間(tCCD)が前記第6の時間期間(tRRD)に等しくなるように、かつ、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しくなるように設定された電圧を前記ワード線に印加する第3の電圧源を備える。
【0047】
本発明の第28の態様に係る半導体記憶装置によれば、第26又は第27の態様に係る半導体記憶装置において、
前記半導体記憶装置は、第1の動作モード及び第2の動作モードを有し、
前記半導体記憶装置が前記第1の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は第1の電圧値を有し、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)よりも短く、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍よりも長く、
前記半導体記憶装置が前記第2の動作モードにあるとき、前記ワード線の上限電圧は前記第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を有し、前記第7の時間期間(tCCD)は前記第6の時間期間(tRRD)に等しく、前記第8の時間期間(tFAW)は前記第6の時間期間(tRRD)の4倍に等しく、
前記制御回路は、前記半導体記憶装置を前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作させる第2の制御信号を前記制御装置から受信したとき、前記第2の制御信号に従って、前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの一方で選択的に動作する。
【0048】
本発明の第29の態様に係る半導体記憶装置によれば、第26~第28のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置において、
前記複数のタイミングパラメータは、2つのバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有する複数の第6の時間期間(tRRD)を含む。
【0049】
本発明の第30の態様に係る半導体記憶システムによれば、
第1~第10のうちの1つの態様に係る制御装置と、
第15~第25のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置とを備える。
【0050】
本発明の第31の態様に係る半導体記憶システムによれば、
第11~第13のうちの1つの態様に係る制御装置と、
第26~第29のうちの1つの態様に係る半導体記憶装置とを備える。
【0051】
本発明の第32の態様に係る半導体記憶システムによれば、
第14の態様に係る制御装置と、
半導体記憶装置とを備える。
【0052】
本発明の第33の態様に係る半導体記憶装置の制御方法によれば、
DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準に準拠したインターフェースを有する半導体記憶装置のための制御方法であって、
前記半導体記憶装置は、少なくとも1つの内部データバスに接続された少なくとも1つのバンクを備え、前記バンクは、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数の記憶セルと、前記複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、前記複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備えるメモリアレイを備え、
前記制御方法は、
あるバンクアドレス及びあるロウアドレスを有する記憶セルに接続されたワード線と、前記ビット線を介して前記記憶セルに接続されたセンスアンプとを活性化する活性化コマンドを発行するステップと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルへのデータの書き込みを指示する書き込みコマンドを発行するステップと、
あるバンクアドレス及びあるカラムアドレスを有する記憶セルからのデータの読み出しを指示する読み出しコマンドを発行するステップと、
前記半導体記憶装置にデータを書き込むとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として第1の時間期間(tRCD(W))だけ離れた瞬間以後に、前記書き込みコマンドを発行するステップと、
前記半導体記憶装置からデータを読み出すとき、前記活性化コマンドを発行する瞬間を基準として第2の時間期間(tRCD(R))だけ離れた瞬間以後に、前記読み出しコマンドを発行するステップとを含み、
前記第1の時間期間(tRCD(W))は、前記活性化コマンドを発行してから前記書き込みコマンドを発行可能になるまで時間差を示し、前記第2の時間期間(tRCD(R))は、前記活性化コマンドを発行してから前記読み出しコマンドを発行可能になるまで時間差を示し、前記第1の時間期間は前記第2の時間期間より小さな値を有する。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスにより1つ又は複数のバンクに対してデータを書き込む及び/又は読み出す場合であっても、外部データバスの使用効率を低下させにくい半導体記憶装置及び制御装置、さらに、これらを含む半導体記憶システムを提供することができる。
【0054】
本発明によればまた、そのような半導体記憶装置のための制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】実施形態1に係るメモリシステムを含む処理装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1のメモリコントローラ3の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のメモリ5の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3のチップ制御回路22の詳細構成を示すブロック図である。
【
図5】
図3のメモリアレイ23-n、ロウデコーダ24-n、及びカラムデコーダ25-nの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5のサブアレイ51及びセンスアンプ列52の詳細構成を示すブロック図である。
【
図7】
図6のセンスアンプSA11,SA02、IOスイッチIOSW、及びメモリセルC00の詳細構成を示す回路図である。
【
図8】
図7のビット線に接続されるイコライズ回路の構成を示す回路図である。
【
図9】
図5のサブアレイ選択スイッチSASWの構成を示す回路図である。
【
図10】実施形態1に係るデータの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図10の読み出し動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図12】実施形態1の比較例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図13】
図12の書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図14】実施形態1に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図15】
図14の書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図16】実施形態2に係るメモリシステムのカラムデコーダ25-n及びその周辺を示すブロック図である。
【
図17】実施形態2の比較例に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図18】実施形態2に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図19】実施形態3に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図20】実施形態3の変形例に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図21】実施形態4に係るメモリシステムのチップ制御回路22Aの構成を示すブロック図である。
【
図22】実施形態4に係るメモリシステムのビット線に接続されるイコライズ回路の構成を示す回路図である。
【
図23】実施形態4に係るメモリシステムのサブアレイ選択スイッチSASWの構成を示す回路図である。
【
図24】実施形態4に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
【
図25】実施形態5に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Aの構成を示すブロック図である。
【
図26】実施形態5に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図27】実施形態6に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Bの構成を示すブロック図である。
【
図28】実施形態6に係るメモリシステムのメモリ5へのデータの書き込み動作を説明するためのブロック図である。
【
図29】実施形態6に係るメモリシステムのメモリ5からのデータの読み出し動作を説明するためのブロック図である。
【
図30】実施形態6に係るメモリシステムにおいて使用される活性化コマンドを示す図である。
【
図31】実施形態6に係るメモリシステムにおいて使用される書き込みコマンドを示す図である。
【
図32】実施形態6の変形例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図33】実施形態7に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Cの構成を示すブロック図である。
【
図34】実施形態7に係るメモリシステムのロウデコーダ24-n及びその周辺を示すブロック図である。
【
図35】
図34のVPP発生回路91の構成を示す回路図である。
【
図36】実施形態7に係るデータの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【
図37】実施形態7に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図38】実施形態8に係るメモリシステムのVPP発生回路100の構成を示すブロック図である。
【
図39】実施形態9に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Dの構成を示すブロック図である。
【
図40】実施形態9に係るメモリシステムのメモリ5Dの構成を示すブロック図である。
【
図41】実施形態9の比較例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図42】実施形態9に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
【
図43】実施形態9に係るメモリシステムにおいて使用される書き込みコマンドを示す図である。
【
図44】実施形態10に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Eの構成を示すブロック図である。
【
図45】実施形態10に係るメモリシステムのメモリ5へのデータの書き込み動作/読み出し動作を説明するためのブロック図である。
【
図46】実施形態10の第1の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【
図47】実施形態10の第2の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【
図48】実施形態10の変形例に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Eの構成を示すブロック図である。
【
図49】実施形態10の第3の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。
【
図50】第1の比較例に係るメモリシステムの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の実施形態について説明する前に、比較例に係るメモリシステムの動作及びその問題点について説明する。
【0057】
図50は、第1の比較例に係るメモリシステムの動作を示すタイミングチャートである。
図50は、DDR2-SDRAMのメモリに対する書き込み及び読み出しアクセスを行うときにメモリバスにおいて伝送されるクロック、コマンド、バンクアドレス、及びデータを示す。「A」は活性化コマンドを示し、「W」は書き込みコマンドを示し、「R」は読み出しコマンドを示し、「P」はプリチャージコマンドを示す。メモリは8個のバンクB0~B7を備え、「0」~「7」はそれぞれバンクB0~B7のバンクアドレスを示す。「Dn」(n=0~7)はバンクBnへの書き込みデータを示し、「Qn」(n=0~7)はバンクBnからの読み出しデータを示す。クロック、コマンド、バンクアドレス、及び書き込みデータは、コントローラからメモリに送信され、読み出しデータはメモリからコントローラへ送信される。メモリコントローラは、各バンクに対する活性化コマンド、書き込みコマンド、読み出しコマンド、及びプリチャージコマンドをメモリに送ることで、メモリに書き込み又は読み出しアクセスする。
【0058】
バンクBn(n=0~7)に対する活性化コマンドをACTnと表し、バンクBnに対する書き込みコマンドをWRITEnと表し、バンクBnに対する読み出しコマンドをREADnと表し、バンクBnに対するプリチャージコマンドをPREnと表す。カラムアドレスとともに送られる書き込みコマンド及び読み出しコマンドをまとめて「カラムコマンド(COL)」とも呼び、バンクBnに対するカラムコマンドをCOLnと表す。
【0059】
各コマンドに関連付けられたタイミングパラメータを以下のように定義する。
【0060】
tCK:クロックの1周期の長さ。
tCCD-ij:あるバンクBiに対するカラムコマンドCOLiを発行してから、次の任意のバンクBjに対するカラムコマンドCOLjを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRRD-ij:あるバンクBiに対する活性化コマンドACTiを発行してから、異なるバンクBjに対する活性化コマンドACTjを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRCD-i:あるバンクBiに対する活性化コマンドACTiを発行してから、同一バンクBiに対するカラムコマンドCOLiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRTPi:あるバンクBiに対する読み出しコマンドREADiを発行してから、同一バンクBiに対するプリチャージコマンドPREiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tWR-i:あるバンクBiに対する書き込みコマンドWRITEiを発行してから、同一バンクBiに対するプリチャージコマンドPREiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRAS-i:あるバンクBiに対する活性化コマンドACTiを発行してから、同一バンクBiに対するプリチャージコマンドPREiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRP-i:あるバンクBiに対するプリチャージコマンドPREiを発行してから、同一バンクBiに対する活性化コマンドACTiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tWTR-ij:あるバンクBiに対する書き込みデータを送信してから(すなわち、バーストデータの最後から)、次の任意のバンクBjに対する読み出しコマンドREADiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tRCi:あるバンクBiに対する活性化コマンドACTiを発行してから、次の同一バンクに対する活性化コマンドACTiを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
tFAW-ijkl:4つのバンクBi,Bj,Bk,Blに対してそれぞれ4つの活性化コマンドを連続して発行した後、もう1つのバンクBmに対して活性化コマンドを発行可能になるまでの時間期間の長さ。
CL:あるバンクBiに対する読み出しコマンドREADiを発行してから、読み出しデータQiの先頭が外部データバスに出力されるまでのクロックサイクル数(CASレイテンシ)。
CWL:あるバンクBiに対する書き込みコマンドWRITEiを発行してから、書き込みデータDiの先頭がメモリに到達するまでのクロックサイクル数(CAS書き込みレイテンシ)。
BL:1つの書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行した後にメモリに対して連続して書き込む又は読み出すデータ単位の個数(バースト長)。
【0061】
以下では、説明の簡単化のため、上記のタイミングパラメータの「i」、「j」、「k」、「l」を省略することがある。
【0062】
DDR-SDRAMの場合、1クロックで2回のデータアクセスを行うので、1つの書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行したときに書き込みデータ又は読み出しデータが外部データバスを占有する時間は、1/2×BL×tCKとなる。
【0063】
DDRx-SDRAM及びLPDDRx-SDRAMのメモリシステムのインターフェースは、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)標準として規定される。上記タイミングパラメータもJEDEC標準で規定されている。DDR2-SDRAMにおける各タイミングパラメータの最小値は、例えばクロック周期tCKが1.875ナノ秒である場合、以下のようになる。
【0064】
tCK=1.875ナノ秒
tCCD=4tCK
tRRD=6tCK
tRCD=7tCK
tRTP=4tCK
tWR=8tCK
tRP=7tCK
tRAS=20tCK
tWTR=4tCK
tFAW=27tCK
BL=8
CL=7tCK
CWL=6tCK
【0065】
DDR2-SDRAMでは、バースト長BL=8が使用される。従って、メモリに対して1つの書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行したとき、連続する8個のデータ単位を4×tCKの時間にわたってメモリに書き込む、又は、メモリから読み出す。よって、1回の書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行したとき、書き込みデータ又は読み出しデータは外部データバスを4×tCKの時間にわたって占有する。
【0066】
以上のJEDEC標準に準拠したタイミングパラメータに基づくと、時間期間tCCDの最小値tCCD(min)は、1回の書き込み又は読み出しアクセスのデータ入出力時間、すなわち、1/2×BL×tCKに等しい。従って、複数のバンクを活性化し、これらのバンクにデータを書き込む複数の書き込みコマンドを時間期間tCCD(min)=4×tCKごとに連続的に発行した場合には、データを中断なく連続的に読み出すことができ、外部データバスをほぼ100%有効に使用することができる。同様に、複数のバンクを活性化し、これらのバンクからデータを読み出す複数の読み出しコマンドを時間期間tCCD(min)=4×tCKごとに連続的に発行した場合には、データを中断なく連続的に読み出すことができ、外部データバスをほぼ100%有効に使用することができる。
【0067】
しかしながら、前述のように、アプリケーションによっては、よりランダムなアクセスが必要とされる場合がある。このようなランダムアクセス動作が繰り返される場合、時間期間tCCD(min)=4×tCKごとに連続的に書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行できなくなり、外部データバスの使用効率が低下する。特に、同一バンクの異なるロウアドレスのページデータに書き込み及び/又は読み出しアクセスを繰り返す場合は、1回のアクセス毎に活性化コマンド及びプリチャージコマンドの発行が必要となり、外部データバスの使用効率がさらに低下するという問題が生じる。
【0068】
図50を参照して、ランダムアクセスについて説明する。
【0069】
図50の第0~第28のクロックサイクルにおいて、3個の異なるバンクB3、B2、及びB1に対して連続して書き込み動作を行う。メモリコントローラは、まず、バンクB3に対して活性化コマンドACT3を発行し、時間期間tRCD-3の経過後、バンクB3に対して書き込みコマンドWRITE3を発行し、時間期間CWL-3の経過後、バンクB3に対する書き込みデータD3をメモリに送信する。以上により、バンクB3に対してデータが書き込まれる。バンクB3の書き込み動作とは別に、メモリコントローラは、活性化コマンドACT3の発行から時間期間tRRD-32の経過後、バンクB2の書き込み動作を開始する。メモリコントローラは、まず、バンクB2に対して活性化コマンドACT2を発行し、時間期間tRCD-2の経過後、バンクB2に対して書き込みコマンドWRITE2を発行し、時間期間CWL-2の経過後、バンクB2に対する書き込みデータD2をメモリに送信する。以上により、バンクB2に対してデータが書き込まれる。さらに、バンクB3及びバンクB2の書き込み動作とは別に、メモリコントローラは、活性化コマンドACT2の発行から時間期間tRRD-21の経過後、バンクB1の書き込み動作を開始する。メモリコントローラは、まず、メモリコントローラは、まず、バンクB1に対して活性化コマンドACT1を発行し、時間期間tRCD-1の経過後、バンクB1に対して書き込みコマンドWRITE1を発行し、時間期間CWL-1の経過後、バンクB1に対する書き込みデータD1をメモリに送信する。以上により、バンクB1に対してデータが書き込まれる。以上のコマンドシーケンスにより、バンクB3、バンクB2、及びバンクB1に対して順次に書き込み動作を実施可能である。
【0070】
しかしながら、JEDEC標準に準拠した上記のタイミングパラメータを用いてランダムアクセスを行う場合、時間期間tRRDの最小値tRRD(min)と、時間期間tCCDの最小値tCCD(min)とを比較すると、tCCD(min)<tRRD(min)である。従って、時間期間tRRD(min)ごとに複数のバンクを活性化し、これらのバンクに対して順次に書き込みコマンドWRITEを発行する場合、あるバンクに対する書き込みデータの送信時間と、異なるバンクに対する書き込みデータの送信時間との間に、外部データバスが空きになる時間が生じる。すなわち、
図50の書き込みデータD3、D2、及びD1間のギャップが生じる。このギャップにより、外部データバスの使用効率は、データを中断なく連続的に書き込む場合の2/3に低下する。従って、使用される動作クロック周波数に対して効率的に外部データバスを使用することができないという問題を招く。
【0071】
同様の問題は読み出し動作にも生じる。
図50の第44~第80のクロックサイクルにおいて、連続する4個の異なるバンクB7、B6、B5、及びB4に対する読み出し動作を行う。書き込み動作の場合と同様に、tCCD(min)<tRRD(min)の制約により、読み出しデータQ7、Q6、Q5、及びQ4の間にギャップが生じ、効率的に外部データバスを使用することができないという問題を招く。
【0072】
さらに、
図50の第0~第48のクロックサイクルにおいて、同一バンクB3の異なるロウアドレス、すなわち、異なる選択ワード線のページデータに対する連続的な書き込みを行う。同一バンクに対する連続した活性化コマンドACTの間には、時間期間tRC(min)以上の間隔が必要である。ここで、書き込み動作時の時間期間tRC(min)は、「tRC(min)=tRCD(min)+CWL+1/2×BL+tWR(min)+tRP(min)」で定義され、
図50の場合では、「tRC-3=32×tCK」が必要となる。一方、この時間期間の間に、1つの書き込みコマンドWRITEによって書き込みデータが外部データバスを占有する時間は、高々1/2×BL=4×tCKである。従って、同一バンクの異なるロウアドレスのページデータに対する書き込みが連続する場合、外部データバスの使用効率は、データを中断なく連続的に書き込む場合の1/8に低下する。
【0073】
図50には示していないが、同一バンクB3の異なるロウアドレス、すなわち、異なる選択ワード線のページデータからの連続的な読み出しを行う場合にも、連続した活性化コマンドACTの間には、時間期間tRC(min)以上の間隔が必要である。ここで、読み出し動作時の時間期間tRC(min)は、「tRC(min)=tRAS(min)+tRP(min)」で定義され、
図50の場合では、「tRC(min)=27×tCK」が必要となる。従って、同一バンクの異なるロウアドレスのページデータに対する読み出しが連続する場合、外部データバスの使用効率は、データを中断なく連続的に読み出す場合の4/27に低下する。
【0074】
さらに、
図50の第44~第106のクロックサイクルを参照して、時間期間tFAWの制約を説明する。ここでは、順に8個のバンクB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、及びB0を連続的に活性化し、各バンクのページデータの一部を1回ずつ読み出す動作を示す。この場合、時間期間tFAWによって与えられる、連続したバンク活性化に対する制約が問題となる。最初の4回のバンク活性化に対しては、時間期間tRRD(min)どとに活性化コマンドを発行することが可能である。しかしながら、「4×tRRD(min)<tFAW(min)」である場合、5回目のバンク活性化は、時間期間tFAWの規定により、時間期間tRRD(min)以上にわたって待機してから行う必要が生じる。この制約により、読み出しデータQ4及びQ3の間に、時間期間tRRD(min)より大きいギャップ(
図50では5×tCKのギャップ)が生じ、効率的に外部データバスを使用することができないという問題を招く。
【0075】
以上に説明したように、同一バンク内で、あるいは異なるバンクにまたがって、ランダムな書き込み又は読み出しアクセスを行う場合、外部データバスの使用効率が大きく劣化するという問題がある。ランダムな書き込み又は読み出しアクセスを要求されるシステムにおいても、外部データバスの使用効率を上げ、メモリコントローラとメモリとの間のアクセスの実効的な高速化することが求められる。
【0076】
以下の各実施形態において、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスにより1つ又は複数のバンクに対してデータを書き込む及び/又は読み出す場合であっても、外部データバスの使用効率を低下させにくいメモリシステムについて説明する。
【0077】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0078】
実施形態1~6では、書き込み動作又は読み出し動作を高速化することが可能なメモリシステムについて説明する。
【0079】
実施形態1.
図1は、実施形態1に係るメモリシステムを含む処理装置を示すブロック図である。
図1の処理装置は、プロセッサ1、プロセッサバス2、メモリコントローラ3、メモリバス4、及びメモリ5を備える。
【0080】
プロセッサ1は、プロセッサバス2を介してメモリコントローラ3と接続される。メモリコントローラ3は、メモリバス4を介して及びメモリ5と接続される。メモリ5は、後述するように、複数のサブアレイをそれぞれ含む複数のバンクを備える。メモリ5は、DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC標準に準拠したインターフェースを有する。メモリコントローラ3及びメモリ5は、メモリバス4を介して、JEDEC標準に準拠した信号群を用いて互いに通信する。メモリバス4は、クロックバス、コマンドバス、アドレスバス、及び外部データバスの各信号線を含む。メモリコントローラ3及びメモリ5は、プロセッサのためのメモリシステムとして動作する。
【0081】
メモリコントローラ3は、例えば、SoC(silicon on chip)又はFPGA(field programmable gate array)として構成される。
【0082】
DDRx-SDRAMのメモリ5は半導体記憶装置の一例である。メモリコントローラ3は半導体記憶装置のための制御装置の一例である。メモリコントローラ3及びメモリ5を含むメモリシステムは半導体記憶システムの一例である。
【0083】
図2は、
図1のメモリコントローラ3の構成を示すブロック図である。メモリコントローラ3は、制御回路11、PHYインターフェース12、及びタイミングレジスタ13を備える。PHYインターフェース12は、メモリ5に接続される通信回路である。制御回路11は、複数のコマンドを発行してPHYインターフェース12を介してメモリ5に送信することによりメモリ5を制御する。タイミングレジスタ13は、メモリ5の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。
【0084】
タイミングパラメータは、例えば、時間期間tRCD(W)、tRCD(R)、tRP、及びCLを含む。時間期間tRCD(W)は、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、同一バンクに対する書き込みコマンドを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す。時間期間tRCD(R)は、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、同一バンクに対する読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す。時間期間tRPは、あるバンクに対するプリチャージコマンドを発行してから、同一バンクに対する活性化コマンドを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す。時間期間CLは、あるバンクに対する読み出しコマンドを発行してから、読み出しデータの先頭が外部データバスに出力されるまでのクロックサイクル数(CASレイテンシ)を示す。タイミングレジスタ13は、時間期間tRCD(W)、tRCD(R)、tRP、及びCLをそれぞれ保存するレジスタを含む。
【0085】
本明細書では、時間期間tRCD(W)を「第1の時間期間」ともいい、時間期間tRCD(R)を「第2の時間期間」ともいう。
【0086】
図2のブロック図では、実施形態の説明に必要なタイミングパラメータのみを示すが、実際には、タイミングレジスタ13は他のタイミングパラメータも格納している。他の実施形態に係るメモリコントローラのブロック図でも同様である。
【0087】
従来技術のメモリコントローラでは、時間期間tRCD(W)及びtRCD(R)を区別せず、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、同一バンクに対する読み出しコマンド及び書き込みコマンドを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す、単一の値を格納していた。一方、実施形態1に係るメモリコントローラ3では、タイミングレジスタ13は、時間期間tRCD(W)及びtRCD(R)をtRCD(W)レジスタ及びtRCD(R)レジスタに個別に格納することを特徴とする。さらに、実施形態1に係るメモリコントローラ3では、tRCD(W)レジスタに、tRCD(R)レジスタに格納された値より小さい値を格納可能であることを特徴とする。さらに、実施形態1に係るメモリコントローラ3では、tRCD(W)レジスタには「0」より小さい負の値を格納することが可能であり、tRCD(W)レジスタに負の値が格納されている場合、メモリコントローラ3は、あるバンクに対する活性化コマンドを発行する前に、同じバンクに対する書き込みコマンドを発行可能であることを特徴とする。
【0088】
図3は、
図1のメモリ5の構成を示すブロック図である。メモリ5は、SDRAMインターフェース21、チップ制御回路22、バンクB1~B4、及び内部データバスDB1,DB2を備える。SDRAMインターフェース21は、メモリバス4を介してメモリコントローラ3に接続される通信回路である。SDRAMインターフェース21は、メモリコントローラ3と通信し、メモリ5の動作のタイミングを制御する。チップ制御回路22は、SDRAMインターフェース21を介してメモリコントローラ3から複数のコマンドを受信してメモリ5の動作を制御する制御回路である。SDRAMインターフェース21及びチップ制御回路22は、複数の制御線(
図3は1つで代表させている)を介して内部制御信号を互いに送受信する。バンクB1,B2は、内部データバスDB1を介してSDRAMインターフェース21に接続され、バンクB3,B4は、内部データバスDB2を介してSDRAMインターフェース21に接続される。
【0089】
バンクB1は、メモリアレイ23-1、ロウデコーダ24-1、及びカラムデコーダ25-1を備える。メモリアレイ23-1は、後述するように、互いに直交する複数のビット線及び複数のワード線に沿って配列された複数のメモリセルと、複数のビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプと、複数のセンスアンプにそれぞれ接続された複数のカラム選択線とを備える。ロウデコーダ24-1及びカラムデコーダ25-1は、メモリアレイ23-1に対する2次元のアクセス位置を指定する。他のバンクB2~B4もまた、バンクB1と同様に、メモリアレイ23-2~23-4、ロウデコーダ24-2~24-4、及びカラムデコーダ25-2~25-4をそれぞれ備える。
【0090】
チップ制御回路22は、バンク制御回路31-1~31-4を備える。各バンク制御回路31-1~31-4は、対応するバンクB1~B4にそれぞれ接続され、各バンクB1~B4に制御信号を送信して制御する。すなわち、バンク制御回路31-1は、ロウアドレス活性化信号RAE-1によってバンクB1のロウデコーダ24-1を活性化し、ロウアドレス信号RA-1をバンクB1のロウデコーダ24-1に供給する。また、バンク制御回路31-1は、カラムアドレス活性化信号CAE-1によってバンクB1のカラムデコーダ25-1を活性化し、カラムアドレス信号CA-1をバンクB1のカラムデコーダ25-1に供給する。他のバンク制御回路31-2~31-4もまた、バンク制御回路31-1と同様に、対応するバンクB2~B4を制御する。
【0091】
図4は、
図3のチップ制御回路22の詳細構成を示すブロック図である。チップ制御回路22は、詳しくは、バンク制御回路31-1~31-4に加えて、論理和演算(OR)回路32及び活性化制御回路33を備える。
【0092】
図4を参照して、バンク制御回路31-1~31-4の構成についてさらに説明する。バンク制御回路31-1は、ロウアドレス制御回路41、カラムアドレス制御回路42、論理和演算(OR)回路43、及び論理積演算(AND)回路44を備える。ロウアドレス制御回路41及びカラムアドレス制御回路42は、SDRAMインターフェース21からの内部制御信号として、ロウアドレス及びカラムアドレスなどを含むバンク制御信号を受信する。ロウアドレス制御回路41は、バンク制御信号を受信して、ロウアドレス活性化信号RAE-1及びロウアドレス信号RA-1を発生する。カラムアドレス制御回路42は、バンク制御信号を受信して、内部信号CAEF-1及びカラムアドレス(CA-2)を発生する。内部信号CAEF-1は、カラムアドレス活性化信号CAE-1を発生するための元信号である。カラムアドレス活性化信号CAE-1は、ロウアドレス活性化信号RAE-1及び内部信号CAEF-1の両方が活性化したときに活性化する。すなわち、活性化状態を論理値「1」により表すと、内部信号CAEF-1及びロウアドレス活性化信号RAE-1の論理積が「1」になったとき、カラムアドレス活性化信号CAE-1が活性化される。この論理積演算のため、AND回路44が設けられる。この論理は、バンクB1がロウ活性化されたときのみにカラムアクセス可能とすることを保証する。すなわち、バンクB1がロウ非活性であるときにカラムアクセスを禁止することで、メモリアレイ23-1の誤動作を防ぐ目的がある。
【0093】
図4をさらに参照すると、バンク制御回路31-1には、tRC(W)短縮信号がさらに入力されている。tRC(W)短縮信号は、
図14及び
図15を参照して後述するように、活性化コマンドの前に書き込みコマンドを送信することを通知する制御信号(これを「第1の制御信号」ともいう)がメモリコントローラ3からメモリ5に送信されたとき、メモリ5の内部制御信号としてSDRAMインターフェース21からチップ制御回路22に送られる。tRC(W)短縮信号が非活性である場合(すなわち、論理値「0」の場合)、カラムアドレス活性化信号CAE-1は、ロウアドレス活性化信号RAE-1及び内部信号CAEF-1の両方が活性化したときにのみ活性化する。前述のように、この論理は、バンクB1がロウ活性化されたときのみにカラムアクセス可能とすることを保証する。一方、tRC(W)短縮信号が活性化された場合(すなわち、論理値「1」の場合)、ロウアドレス活性化信号RAE-1及びカラムアドレス活性化信号CAE-1は、互いに独立に制御される。すなわち、バンクB1がロウ活性化されたときのみにカラムアクセス可能とするという制約を無効とし、バンクB1のロウ活性化前にもカラムアクセスを可能とする。AND回路44には、ロウアドレス活性化信号RAE-1及びtRC(W)短縮信号の論理和が入力される。この論理和演算のため、OR回路43が設けられる。
【0094】
他のバンク制御回路31-2~31-4もまた、バンク制御回路31-1と同様に構成される。
【0095】
図4をさらに参照すると、バンク制御回路31-1~31-4から出力されたロウアドレス活性化信号RAE-1~RAE-4は、OR回路32に入力される。OR回路32の出力信号RAORは、少なくとも1つのロウアドレス活性化信号が論理値「1」になるとき(すなわち、少なくとも1つのバンクが活性化されるとき)、論理値「1」になる。活性化制御回路33は、OR回路32の出力信号RAORが論理値「1」になったとき、制御信号COLACT及び制御信号IOACTを発生する。制御信号COLACTは、各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42に送られる。各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42は、制御信号COLACTを受けて、その回路の一部又は全部を活性化する。この動作により、全バンクB1~B4が非活性の状態において、各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42の動作電流を削減している。一方、制御信号IOACTは、SDRAMインターフェース21及び他の回路(メモリ5の内部電圧発生回路など)に送られる。SDRAMインターフェース21及び他の回路は、制御信号IOACTを受けて、それらの回路の一部又は全部を活性化する。この動作により、全バンクB1~B4が非活性の状態において、SDRAMインターフェース21及び他の回路の動作電流を削減している。
【0096】
図4をさらに参照すると、活性化制御回路33にも、tRC(W)短縮信号が入力されている。tRC(W)短縮信号が非活性である場合(すなわち、論理値「0」の場合)、活性化制御回路33は、OR回路32の出力信号RAOR(すなわち、バンクB1~B4の活性/非活性)に応じて、制御信号COLACT及び制御信号IOACTを発生する。一方、tRC(W)短縮信号が活性化された場合(すなわち、論理値「1」の場合)、活性化制御回路33は、OR回路32の出力信号RAORに無関係に、制御信号COLACT及び制御信号IOACTを発生する。従って、活性化コマンドが発行される前であっても、活性化制御回路33がtRC(W)短縮信号を受信したとき、各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42は、制御信号COLACTを受けて、その回路の一部又は全部を活性化する。同様に、活性化コマンドが発行される前であっても、活性化制御回路33がtRC(W)短縮信号を受信したとき、SDRAMインターフェース21及び他の回路(内部電圧発生回路など)は、制御信号IOACTを受けて、その回路の一部又は全部を活性化する。このように、各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42が活性化され、さらに、SDRAMインターフェース21及び他の回路が活性化されるので、活性化コマンドが発行される前であっても、メモリ5は、書き込みコマンドを受信可能な状態になる。
【0097】
このように、メモリ5は、複数のコマンドのうちの少なくとも一部にそれぞれ関連付けられた複数の回路を含む。チップ制御回路22は、tRC(W)短縮信号が活性化されたとき、書き込みコマンドに関連付けられた回路(各バンク制御回路31-1~31-4のカラムアドレス制御回路42、SDRAMインターフェース21及び他の回路、など)を活性化する。
【0098】
前述のように、メモリ5は、DDRx-SDRAM又はLPDDRx-SDRAMのJEDEC標準に準拠したインターフェースを有する。従って、活性化コマンドの前に書き込みコマンドを送信することを通知する制御信号をメモリコントローラ3からメモリ5に送信するために、メモリバス4の信号線のうちのいずれかを占有することはできない。従って、例えば、モードレジスタ設定等の既存のコマンドの未使用ビットを用いて、又は未使用ビットの組み合わせを用いて、活性化コマンドの前に書き込みコマンドを送信することをメモリコントローラ3からメモリ5に通知する。
【0099】
活性化コマンドの前に書き込みコマンドを送信することは、必ずしもメモリコントローラ3からメモリ5に通知されなくてもよい。常に活性化コマンドの前に書き込みコマンドを送信することが予めわかっている場合には、メモリ5の出荷前に、ヒューズのレーザトリミング又は電気的なトリミングを行うこと、もしくは、メモリ5の上層メタル配線を改訂すること、などによって、活性化状態に固定されたtRC(W)短縮信号をメモリ5の内部で生成するようにメモリ5を構成してもよい。
【0100】
図5は、
図3のメモリアレイ23-n、ロウデコーダ24-n、及びカラムデコーダ25-nの構成を示すブロック図である。以下、構成要素の符号「~n」は、バンクBn(n=1~4)に対応することを示す。また、
図5の符号DBは、
図3の内部データバスDB1又はDB2を示す。
【0101】
図5を参照すると、メモリアレイ23-nは、互いに直交する複数のロウ(Y方向に沿った行)及び複数のカラム(X方向に沿った列)に沿って配列された複数のメモリセルCを備える。メモリアレイ23-nは、複数のセンスアンプからなる少なくとも1つのセンスアンプ列52によって互いに分離された複数のサブアレイ51を含む。各サブアレイ51もまた、複数のロウ及び複数のカラムに沿って配列された複数のメモリセルCを備える。
図5では、図示の簡単化のために、1つのみのメモリセルCを示す。
【0102】
図5を参照すると、ロウデコーダ24-nは、メモリアレイ23-nの複数のロウにわたって(すなわちX方向に沿って)配置される。各サブアレイ51において、Y方向に延在する複数のワード線WDLが、当該サブアレイ51の全体にわたってX方向に互いに所定間隔を有して配列されている。全てのワード線WDLはロウデコーダ24-nに接続される。ロウデコーダ24-nは、バンク制御回路31-nからロウアドレス信号RA-n及びロウアドレス活性化信号RAE-nを受信し、1つのワード線WDLを選択する。
図5では、複数のワード線WDLのうち、活性化した1つのワード線WDLのみ示している。選択されたワード線WDLに接続されるサブアレイ51を、「活性化されたサブアレイ」と呼ぶ(
図5ではハッチングにより示す)。
【0103】
図5を参照すると、カラムデコーダは、メモリアレイ23-nの複数のカラムにわたって(すなわちY方向に沿って)配置される。メモリアレイ23-nにおいて、X方向に延在する複数のカラム選択線CSLが、メモリアレイ23-nの全体にわたってY方向に互いに所定間隔を有して配列されている。全てのカラム選択線CSLはカラムデコーダ25-nに接続される。カラムデコーダ25-nは、バンク制御回路31-nからカラムアドレス信号CA-n及びカラムアドレス活性化信号CAE-nを受信し、1つのカラム選択線CSLを選択する。
図5では、複数のカラム選択線CSLのうち、活性化した1つのカラム選択線CSLのみを示している。
【0104】
活性化されたワード線WDLと活性化されたカラム選択線CSLとの交点における選択されたメモリセルCに対して、書き込みアクセス及び読み出しアクセスが行われる。
【0105】
図3の内部データバスDB1,DB2は、実際には、入出力(IO)制御回路26-nを介して各バンクB1~B4に接続される。
図5に示すように、複数のデータ信号を伝達する内部データバスDBは、IO制御回路26-nを介して、複数のGIOバスGIOBに接続される。GIOバスGIOBは、サブアレイ選択スイッチSASWを介してLIOバスLIOBに接続される。
【0106】
データを書き込むとき、内部データバスDB上のデータは、IO制御回路26-n、GIOバスGIOB、サブアレイ選択スイッチSASW、LIOバスLIOBを順に経由して、選択されたメモリセルCに書き込まれる。データを読み出すとき、選択されたメモリセルCに格納されたデータは、LIOバスLIOB、サブアレイ選択スイッチSASW、GIOバスGIOB、IO制御回路26-nを順に経由して、内部データバスDB上に読み出される。
【0107】
図6は、
図5のサブアレイ51及びセンスアンプ列52の詳細構成を示すブロック図である。サブアレイ51は、互いに直交するビット線BTL00,BTL01,…及びワード線WDL0に沿って配列されたメモリセルC00,C01,…を備える。ビット線BTL00,BTL01,…にはセンスアンプSA00,SA01,…がそれぞれ接続される。センスアンプSA00,SA01,…にはカラム選択線CSL0,CSL1がそれぞれ接続される。サブアレイ51において、Y方向に延在する複数のワード線WDLが、X方向に互いに所定間隔を有して配列されている。ただし、
図6では、図示の簡単化のために、1つのワード線WDL0のみを示す。サブアレイ51において、X方向に延在する複数のビット線BTL00,BTL01,…が、Y方向に互いに所定間隔を有して配列されている。各メモリセルC00,C01,…は、各ワード線WDLと各ビット線BTLとの交点に配置される。センスアンプ列52において、複数のセンスアンプSA00、SA01、SA10、SA11及び入出力(IO)スイッチが、Y方向に互いに所定間隔を有して配列されている。さらに、センスアンプ列52には、LIOバスLIOB_0,LIOB_1,…が配線される。カラム選択線CSLはIOスイッチIOSWに接続され、その開閉を制御する。カラム選択線CSL0が活性化することで、センスアンプSA00とLIOバスLIOB_0とが接続され、センスアンプSA02とLIOバスLIOB_2とが接続され、センスアンプSA01とLIOバスLIOB_1とが接続され、センスアンプSA03とLIOバスLIOB_3とが接続される。同様に、カラム選択線CSL1が活性化することで、センスアンプSA10とLIOバスLIOB_0とが接続され、センスアンプSA12とLIOバスLIOB_2とが接続され、センスアンプSA11とLIOバスLIOB_1とが接続され、センスアンプSA13とLIOバスLIOB_3とが接続される。各センスアンプSAには、ロウデコーダ24-nからセンスアンプ活性化信号SAPE及びSANEが入力される。
【0108】
図6では、1つのワード線WDL0、2つのカラム選択線CSL0、CSL1、4つのLIOバスLIOB_0、LIOB_2、LIOB_1、LIOB_3、及びそれらに接続される他の構成要素とを示すが、実際には、サブアレイ51及びセンスアンプ列52は、さらに多くのワード線WDL、カラム選択線CSL、LIOバスLIOB、及びそれらに接続される他の構成要素を備える。
【0109】
図7は、
図6のセンスアンプSA11,SA02、IOスイッチIOSW、及びメモリセルC00の詳細構成を示す回路図である。
【0110】
各センスアンプSA00、SA02は、クロスカップルされた2対のPMOSトランジスタSAPT及びNMOSトランジスタSANTを備える。2つのNMOSトランジスタSANTのソースには、センスアンプ活性化信号SANEが印加され、それらのドレインは、ビット線BTL00及び反転ビット線/BTL00にそれぞれ接続される。2つのPMOSトランジスタSAPTのソースには、センスアンプ活性化信号SAPEが印加され、それらのドレインは、ビット線BTL00及び反転ビット線/BTL00にそれぞれ接続される。LIOバスLIOB_0は一対の信号線LIO_0,/LIO_0を含み、LIOバスLIOB_2は一対の信号線LIO_2,/LIO_2を含む。
【0111】
IOスイッチIOSWは、一対のNMOSトランジスタである入出力(IO)トランジスタIOTを備える。一方のIOトランジスタIOTのソースはビット線BTL00に接続され、そのドレインはLIOバスの信号線LIO_0に接続され、他方のIOトランジスタIOTのソースは反転ビット線/BTL00に接続され、そのドレインはLIOバスの信号線/LIO_0に接続される。
【0112】
メモリセルC00は、セルトランジスタCT及びセルキャパシタCSを備え、メモリセルC00に格納されたデータ(「1」又は「0」の情報)は、蓄積ノードSNに電圧情報として保持されている。セルトランジスタCTは、例えばNMOSトランジスタである。
【0113】
メモリセルCは半導体記憶装置の記憶セルの一例である。
【0114】
ビット線BTL00は、非常に高抵抗であるので、センスアンプSA00の近傍の区間と、メモリセルC00の近傍の区間との間には、寄生抵抗RBTLが生じる。
【0115】
他のセンスアンプSA、IOスイッチIOSW、及びメモリセルCもまた、
図7のセンスアンプSA11,SA02、IOスイッチIOSW、及びメモリセルC00と同様に構成される。
【0116】
図8は、
図7のビット線に接続されるイコライズ回路の構成を示す回路図である。
図7には図示していないが、メモリ5の正常な動作のために、全てのビット線及び反転ビット線のペアに、
図8のイコライズ回路(あるいは同等の機能を有する回路)が接続される。
図8のイコライズ回路は、ビット線イコライズ信号BTLEQによって制御されるトランジスタT1~T3を備える。一対のビット線BTL,/BTLは、ビット線イコライズ信号BTLEQの活性化によって、電圧VBTLに固定される。電圧VBTLは、ビット線BTLの信号を「H」(ハイレベル)側に増幅した後の最終的な電圧VARYと、ビット線BTLの信号を「L」(ローレベル)側に増幅した後の最終的な電圧VSSとの中間の電圧である。
【0117】
図9は、
図5のサブアレイ選択スイッチSASWの構成を示す回路図である。GIOバスGIOBは一対の信号線GIO,/GIOを含む。
図9のサブアレイ選択スイッチSASWは、GIOバスの信号線GIO,/GIOによってそれぞれ制御されるトランジスタT11,T12と、ビット線イコライズ信号BTLEQによって制御されるトランジスタT13,T14とを備える。サブアレイ選択スイッチSASWは、GIOバスの一対の信号線GIO,/GIOと、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOとを接続するスイッチである。サブアレイ選択スイッチSASWは、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOの電圧を電圧VBTLに固定する機能をさらに有する。サブアレイ選択スイッチSASWは、サブアレイ選択信号SUBASELが「H」に活性化されたとき、GIOバスの信号線GIO,/GIOと、LIOバスの信号線LIO,/LIOとを互いに接続する。サブアレイ選択スイッチSASWは、また、ビット線イコライズ信号BTLEQが「H」に活性化されたとき、LIOバスの信号線LIO,/LIOの電圧を電圧VBTLに固定する。ここで、カラム選択線CSLによる内部読み出し動作期間t(iRD)及び内部書き込み動作期間t(iWR)以外では、IOバスの信号線GIO,/GIOの電圧は「H」レベル、すなわち、電圧VARYもしくはそれよりも高い電圧となっている。
【0118】
次に、
図10~
図15を参照して、実施形態1に係るメモリシステムの動作について説明する。
【0119】
図10は、実施形態1に係るデータの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
図10は、同一のバンクに連続で読み出しアクセスする場合を表す。
図10は、メモリコントローラ3からメモリ5に送信されるクロックCLK及びコマンドCMDと、メモリ5の内部状態と、外部データバスにおけるデータの伝送とを示す。コマンドCMDの「A」は活性化コマンドを示し、「R」は読み出しコマンドを示し、「P」はプリチャージコマンドを示す。外部データバスの「QD」は、メモリ5から読み出される読み出しデータを表す。内部状態iRDは、メモリ5の内部のメモリアレイ23-nで実際に読み出し動作が行われている状態を示す。コマンドはクロックCLKの立ち上がりエッジで取り込まれる。時間期間tRC(R)は、同一バンクから連続して読み出す場合の活性化コマンドAから活性化コマンドAまでの時間を示し、読み出し動作の実質上のサイクル時間を表す。tRCD(R)=4×tCK、tRP=4×tCK、tRTP=2×tCK、CL=5、BL=4の場合、tRC(R)=10×tCKである。時間期間tD(R)は、読み出しコマンドRを取り込んでから内部状態iRDが開始するまでの時間を示す。
図10の例では、tRC(R)=10×tCKの連続読み出しを行っている。外部データバスを読み出しデータが占める時間は2×tCKであり、外部データバスの利用率は2/10である。
【0120】
前述のように、時間期間tRCD(R)は、あるバンクに対する活性化コマンドAを発行してから、同一バンクに対する読み出しコマンドRを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す。従って、メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5からデータを読み出すとき、活性化コマンドAを発行する瞬間を基準として時間期間tRCD(R)だけ離れた瞬間以後に、読み出しコマンドRを発行する。
図10の例では、メモリコントローラ3の制御回路11は、活性化コマンドAを発行してから時間期間tRCD(R)だけ経過した瞬間に、読み出しコマンドRを発行している。
【0121】
図10は、DDR2-SDRAMのJEDEC標準に準拠したメモリシステムの場合の例を示す。DDR1/3/4-SDRAM及びLPDDR2/3/4-SDRAM等、他のSDRAMでも
図10と同様に動作可能である。
【0122】
図11は、
図10の読み出し動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図11は、
図10の場合におけるメモリ5の内部状態を示し、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示す。
図11は、
図5、
図6、及び
図7に示すメモリ5の内部信号の電圧波形を示す一例である。
図11では、メモリ5の内部信号として、カラム選択線CSLの信号、センスアンプ活性化信号SAPE及びSANE、ワード線WDLの信号、ビット線BTLの信号について示す。
【0123】
図11を参照すると、活性化コマンドAの入力から時間期間tDWL(A)の経過後に、ワード線WDLが活性化し、セルトランジスタCTがオンする(すなわち、導通状態となる)ことで、メモリセルCからビット線BTL上にデータが電位差ΔVとして読み出される。ビット線BTLにデータ「1」が読み出された場合の電圧波形をBTL(H)で示し、ビット線BTLにデータ「0」が読み出された場合の電圧波形をBTL(L)で示す。ワード線WDLの活性化から時間期間tDSA(A)の経過後に、センスアンプ活性化信号SAPE及びSANEが活性化する。センスアンプ活性化信号SAPEは、活性時は電圧VARYであり、非活性時は電圧VBTLである。センスアンプ活性化信号SANEは、活性時は電圧VSS(すなわち、接地電位=0V)、非活性時は電圧VBTLである。ここで、通常は、VBTL=1/2×VARYである。センスアンプ活性化信号SAPE及びSANEの活性化により、電圧BTL(H)は電圧VARYに増幅され、電圧BTL(L)は電圧VSS(=0V)に増幅される。
【0124】
図11を参照すると、読み出しコマンドRの入力から時間期間tD(R)の経過後に、カラム選択線CSLの信号が時間期間t(iRD)にわたって活性化する。この時間期間t(iRD)において、メモリアレイ23-nに対して実際に内部読み出し(内部状態iRD)が実行されている。時間時間t(iRD)にわたって、カラム選択線CSLの活性化によってIOスイッチIOSWがオンし、一対のビット線BTL,/BTLはIOスイッチIOSWを介してLIOバスの一対の信号線LIO,/LIOと接続され、ビット線BTLのデータがLIOバスに読み出される。この時、特に、ビット線BTLにデータ「0」が読み出された場合には、ビット線の電圧BTL(L)は擾乱を受け、電圧VSSから浮き上がる。
【0125】
図11を参照すると、プリチャージコマンドPの入力から時間期間tDWL(P)の経過後に、ワード線WDLが非活性化する。ワード線WDLの非活性化によりセルトランジスタCTがオフし(すなわち、非導通状態となり)、ビット線BTLのデータがメモリセルCの蓄積ノードSNに閉じ込められる。すなわち、メモリセルCにデータが再書き込みされる。これをメモリセルリストア動作と呼ぶ。この時、ビット線の電圧BTL(L)が上記の擾乱を受けた後、充分な時間をかけてビット線BTLの電圧が電圧VSSに戻ってから、ワード線WDLを非活性化する必要がある。この時間により時間期間tRTPが決まる。ワード線WDLを非活性化した後、時間期間tDSA(P)の経過後に、センスアンプ活性化信号を非活性化し、ビット線の電圧BTL(H)又はBTL(L)が電圧VBTLに戻る。その後、再び次の活性化コマンドAを受信可能になる。
【0126】
以上の説明で、時間期間tRCD(R)、tRTP、及びtRPは、メモリ5の内部のメモリアレイ23-nの動作、特にワード線WDL及びビット線BTLの動作速度によって規定される。特にビット線BTLの動作速度は、ビット線BTLの寄生抵抗RBTLによって決まる。一般に、メモリアレイの微細化が進むにつれ、寄生抵抗RBTLは高くなり、ビット線BTLの動作速度が低下する。
【0127】
次に、
図12及び
図13を参照して、比較例に係るメモリシステムの書き込み動作について説明する。
【0128】
前述のように、従来技術のメモリコントローラでは、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから同一バンクに対する書き込みコマンドを発行可能になるまでの時間期間tRCD(W)は、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから同一バンクに対する読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間期間tRCD(R)と同一であった。
【0129】
図12は、実施形態1の比較例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図12は、同一のバンクに連続で書き込みアクセスする場合を表す。
図12もまた、
図10と同様に、メモリコントローラ3からメモリ5に送信されるクロックCLK及びコマンドCMDと、メモリ5の内部状態と、外部データバスにおけるデータの伝送とを示す。コマンドCMDの「A」は活性化コマンドを示し、「W」は読み出しコマンドを示し、「P」はプリチャージコマンドを示す。外部データバスの「WD」は、メモリコントローラ3から出力された書き込みデータを表す。内部状態iWRは、メモリ5の内部のメモリアレイ23-nで実際に書き込み動作が行われている状態を示す。時間期間tRC(W)は、同一バンクに連続して書き込む場合の活性化コマンドAから活性化コマンドAまでの時間を示し、書き込み動作の実質上のサイクル時間を表す。tRCD(W)=4×tCK、tRP=4×tCK、tWR=4×tCK、WL=4、BL=4の場合、tRC(W)=18×tCKである。時間期間tD(W)は、メモリコントローラ3から送信されたデータWDの全体をメモリ5が受信完了してから内部状態iWRが開始するまでの時間を示す。
図12の例では、連続してデータを書き込むためには、tRC(W)=18×tCKが必要である。一般に、書き込み動作の時間期間tRC(W)は読み出し動作の時間期間tRC(R)よりも長い。外部データバスを書き込みデータが占める時間は2×tCKであり、外部データバスの利用率は2/18であり、読み出し動作の場合よりも利用効率が低い。
【0130】
図12は、DDR2-SDRAMのJEDEC標準に準拠したメモリシステムの場合の例を示す。DDR3/4-SDRAM及びLPDDR2/3/4-SDRAM等、他のSDRAMでも
図12と同様に動作可能である。概して、書き込み時の外部データバス利用効率は読み出し時より低い。
【0131】
図13は、
図12の書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図13は、
図12の場合におけるメモリ5の内部状態を表し、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示す。
図11は、
図5、
図6、及び
図7に示すメモリ5の内部信号の電圧波形を示す一例である。
図13では、メモリ5の内部信号として、カラム選択線CSLの信号、センスアンプ活性化信号SAPE及びSANE、ワード線WDLの信号、ビット線BTLの信号について示し、さらに、メモリセルCの蓄積ノードSNの電圧SN(H),SN(L)を示す。
【0132】
図13を参照すると、活性化コマンドAの入力からセンスアンプSAの活性化(すなわち、センスアンプ活性化信号SAPE及びSANEの活性化)までは、
図11の読み出し動作の場合と同様である。書き込みレイテンシの時間期間WLと、書き込みデータWDをメモリ5が取り込むための時間期間BL/2×tCKとを待機した後に、時間期間tD(W)の経過後に、カラム選択線CSLの信号が時間時間t(iWR)にわたって活性化する。この時間時間t(iWR)において、メモリアレイ23-nに対して実際に内部書き込み(内部状態iWR)が実行されている。時間時間t(iWR)にわたって、カラム選択線CSLの活性化によってIOスイッチIOSWがオンし、一対のビット線BTL,/BTLはIOスイッチIOSWを介してLIOバスの一対の信号線LIO,/LIOと接続され、LIOバスのデータがビット線BTLに書き込まれる。この時、ビット線BTL,/BTLのデータがLIOバスの信号線LIO,/LIOのデータと異なる場合、センスアンプSAによって増幅されたビット線のデータは反転される。しかしながら、ビット線BTLの寄生抵抗RBTLに起因して、ビット線BTLにおいて、センスアンプSA及びIOスイッチIOSWから遠い距離にある区間におけるデータ線が完全に反転する、すなわち、ビット線の電圧BTL(H)が電圧BTL(L)=VSSになり、逆に、ビット線の電圧BTL(L)が電圧BTL(H)=VARYとなるには時間を要する。さらに、一般に、PMOSトランジスタはNMOSトランジスタに比較して駆動能力が弱いので、特にビット線BTLの「L」から「H」への遷移時間は、「H」から「L」への遷移時間よりも長い。さらに、セルトランジスタCTは駆動能力が低く、また、NMOSトランジスタで構成されるので、蓄積ノードSNの「L」から「H」への遷移時間はさらに長くなる。
【0133】
図13を参照すると、プリチャージコマンドPの入力から時間期間tDWL(P)の経過後に、ワード線WDLが非活性化する。ワード線WDLの非活性化によりセルトランジスタCTがオフし、ビット線BTLのデータが蓄積ノードSNに閉じ込められる。すなわち、メモリセルCに新規のデータが書き込まれる。これをメモリセルCの反転書き込み動作と呼ぶ。上述のように、ビット線寄生抵抗RBTL、センスアンプSAのPMOSトランジスタSAPTの弱い駆動能力、さらにセルトランジスタCTの抵抗によって、蓄積ノードSNの「L」から「H」への遷移に長い時間がかかる。このメモリアレイ23-nの特性に応じて時間期間tWRの長さが決まり、比較的長い時間を要する。ワード線WDLを非活性化した後、時間期間tDSA(P)の経過後に、センスアンプ活性化信号を非活性化し、ビット線の電圧BTL(L)又はBTL(L)の電圧が電圧VBTLに戻る。その後、再び次の活性化コマンドAを受信可能になる。
【0134】
図12及び
図13の動作では、特に時間期間tWRが長くなる。一般に、メモリアレイの微細化が進むにつれ、寄生抵抗RBTLが高くなり、センスアンプSAのPMOSトランジスタSAPTの駆動能力が低下し、セルトランジスタCTの駆動能力が低下する。これらの理由により、時間期間tWRは増大する。
【0135】
これに対して、次に、
図14及び
図15を参照して、実施形態1に係るメモリシステムの書き込み動作について説明する。
【0136】
図14は、実施形態1に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図14は、同一のバンクに連続で書き込みアクセスする場合を表す。
図14の書き込み動作において、最大の特徴は、活性化コマンドAの前に書き込みコマンドWが発行されていることにある。すなわち、時間期間tRCD(W)が負の値を持つ。本実施例では、tRCD(W)=-2×tCKとする。メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを書き込むとき、活性化コマンドAをメモリ5に送信する前に、時間期間tRCD(W)だけ先行して、書き込みコマンドWをメモリ5に送信する。
図14のコマンドシーケンスを使用することで、活性化コマンドAを発行してから、メモリ5の内部のメモリアレイ23-nに実際に書き込み動作(内部状態iWR)を行うまでの時間を短縮できる。これにより、時間期間tRC(W)を短縮可能となる。実施形態1の実施例では、tRC(W)=13×tCKとなり、
図12及び
図13の比較例の場合におけるtRC(W)=18×tCKと比較して、5×tCKの時間だけ短縮している。外部データバスを書き込みデータが占める時間は2×tCKであり、外部データバスの利用率は2/13に改善する。
【0137】
前述のように、時間期間tRCD(W)は、あるバンクに対する活性化コマンドAを発行してから、同一バンクに対する書き込みコマンドWを発行可能になるまでの時間差の最小値を示し、さらに、時間期間tRCD(W)は時間期間tRCD(R)より小さな値を有する。従って、メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを書き込むとき、活性化コマンドAを発行する瞬間を基準として時間期間tRCD(W)だけ離れた瞬間以後に、書き込みコマンドWを発行する。
【0138】
また、時間期間tRCD(W)は負の値を有してもよい。この場合、メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを書き込むとき、活性化コマンドAを発行する瞬間を基準として時間期間tRCD(W)の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、活性化コマンドを発行する瞬間よりも前に、書き込みコマンドWを発行する。メモリ5のチップ制御回路22は、tRC(W)短縮信号に応じて動作することにより、メモリ5にデータを書き込むとき、活性化コマンドを受信する瞬間を基準として時間期間tRCD(W)の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間以後に、かつ、活性化コマンドを受信する瞬間よりも前に、書き込みコマンドをメモリコントローラ3から受信可能に構成される。
図14の例では、メモリコントローラ3の制御回路11は、活性化コマンドAを発行する瞬間を基準として時間期間tRCD(W)の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間に、書き込みコマンドWを発行している。
【0139】
図14は、DDR2-SDRAMのJEDEC標準に準拠したメモリシステムの場合の例を示す。DDR3/4-SDRAM及びLPDDR2/3/4-SDRAM等、他のSDRAMでも
図14と同様に動作可能である。
【0140】
図15は、
図14の書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図15は、
図14の場合におけるメモリ5の内部状態を表し、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示す。センスアンプ活性化信号SAPE及びSANEを活性化しているとき、ビット線の電圧BTL(H)又はBTL(L)の増幅中もしくは増幅完了直後に、カラム選択線CSLを活性化して書き込み動作(内部状態iWR)を実行可能である。これにより、時間期間tRC(W)を大幅に短縮可能である。
【0141】
実施形態1に係るメモリシステムによれば、書き込み動作を行うときの時間期間tRC(W)は、読み出し動作を行うときの時間期間tRC(R)とは独立に設定可能である。
【0142】
以上説明したように、実施形態1に係るメモリシステムによれば、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスにより1つ又は複数のバンクに対してデータを書き込む場合であっても、外部データバスの使用効率を低下させにくくすることができる。
【0143】
実施形態1に従ってメモリシステムを動作させることにより、JEDEC標準に開示されている現状の汎用DRAMのタイミングパラメータを用いるよりも外部データバスの使用効率を上げることが可能である。その結果、メモリシステムの動作の高速化を達成できる。
【0144】
実施形態2.
実施形態2では、実施形態1に係るメモリシステムに比べて、書き込み動作をさらに高速化するための構成について説明する。
【0145】
図16は、実施形態2に係るメモリシステムのカラムデコーダ25-n及びその周辺を示すブロック図である。カラムデコーダ25-nは、カラム選択線CSL0,CSL1,CSL2,…ごとに、個別デコーダ61-0,61-1,61-2,…及びCSLドライバ62-0,62-1,62-2,…を備える。各CSLドライバ62-0,62-1,62-2,…には、外部の電源から電圧VCSLが供給される。各カラム選択線CSL0,CSL1,CSL2,…の活性時の電圧は、電圧VCSLによって決まる。メモリ5は、各CSLドライバ62-0,62-1,62-2,…のための電源として、電圧VCSLRを発生するVCSLR発生回路71と、電圧VCSLRより高い電圧VCSLWを発生するVCSLW発生回路72とを備える。メモリ5からデータを読み出すとき、スイッチSWRをオンし、各CSLドライバ62-0,62-1,62-2,…に電圧VCSLRを供給する。メモリ5にデータを書き込むとき、スイッチSWWをオンし、各CSLドライバ62-0,62-1,62-2,…に電圧VCSLWを供給する。カラムデコーダ25-nのCSLドライバ62-0,62-1,62-2,…に供給する電圧VCSLを読み出し期間と書き込み期間とで切り換えることにより、カラム選択線CSL0,CSL1,CSL2,…の活性時の電圧を、読み出しアクセス時と書き込みアクセス時で切り換える。
【0146】
図17は、実施形態2の比較例に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図17を参照して、実施形態1の時間期間tRC(W)をさらに短縮するときの課題について説明する。
図17は、
図15と同様に、
図14の場合におけるメモリ5の内部状態を表し、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示す。
図17は、
図15の各信号に加えて、メモリセルCの蓄積ノードSNの電圧SN(H),SN(L)を示す。特に、ビット線の電圧BTL(L)を、カラム選択線CSLを活性化して書き込み動作(内部状態iWR)を行って「H」に書き換える時、ビット線寄生抵抗RBTL、センスアンプSAのPMOSトランジスタSAPTの弱い駆動能力、さらにセルトランジスタCTの抵抗に起因して、蓄積ノードSNの「L」から「H」への遷移に長い時間がかかる。これは、
図13を参照して説明した、時間期間tWRが大きいという問題である。時間期間tWRが充分に長くないと、蓄積ノードSNの電圧の「H」への書き込み不足が起こる。蓄積ノードSNの電圧の書き込み不足は、該当メモリセルCに次回に読み出しアクセスする際に読み出される電圧の不足を招き、それが誤動作を誘発する。以上から、時間期間tRC(W)をさらに短縮するには、時間期間tWRの短縮が必須である。
【0147】
図18は、実施形態2に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図18は、実施形態1に係るデータの書き込み動作の時間期間tRC(W)をさらに短縮した実施例を示す。
図18は、
図15と同様に、
図14の場合におけるメモリ5の内部状態を表す。読み出し時にカラム選択線CSLを活性化する電圧を高くしすぎると、センスアンプSAの動作が不安定になり、ビット線BTLにおいて増幅したデータを破壊する可能性がある。そのため、読み出し時のカラム選択線CSLを活性化する電圧は制限される。一方、書き込み時は、ビット線BTLにおけるデータを確実に外部からのデータに書き換える必要があるので、カラム選択線CSLを活性化する電圧を高くしてセンスアンプSAの動作を不安定にした方が高速に書き換え可能である。さらに、特に、ビット線の電圧BTL(L)を、カラム選択線CSLを活性化して書き込み動作(内部状態iWR)を行って「H」に書き換える場合は、センスアンプSAのPMOSトランジスタSAPTの能力不足に起因して、ビット線BTLの「H」への充電に時間がかかる。しかし、カラム選択線CSLの電圧を高くすることで、「H」状態にあるLIOバスの一対の信号線から一対のセンスアンプSAに直接に「H」データを書き込むための電流を注入できるので、ビット線BTLの「H」への充電時間を短縮可能である。
【0148】
また、メモリ5からデータを読み出すとき、カラム選択線CSLを活性化して電圧VCSLRを印加する時間長よりも、メモリ5にデータを書き込むとき、カラム選択線CSLを活性化して電圧VCSLWを印加する時間長を長くしてもよい。これにより、書き込み動作を高速化する効果をさらに向上することができる。
【0149】
実施形態2に係るメモリシステムは、実施形態1の効果に加えて、時間期間tWRを短縮することにより、時間期間tRC(W)をさらに短縮することができる。
【0150】
実施形態3.
実施形態3でもまた、実施形態1に係るメモリシステムに比べて、書き込み動作をさらに高速化するための構成について説明する。
【0151】
図19は、実施形態3に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図19は、実施形態1に係るデータの書き込み動作の時間期間tRC(W)をさらに短縮した実施例を示す。
図19は、実施形態1に従って時間期間tRCD(W)を負の値とした時のメモリ5の内部状態を表す。活性化コマンドAを取り込んでから時間期間tDF(A)の経過後に、信号BTLEQが非活性化し(「H」から「L」に遷移)、同時もしくはほぼ同時に、サブアレイ選択信号SUBASELが活性化する(「L」から「H」に遷移)。同時に、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOは、電圧VBTLから電圧VARY(もしくはそれ以上の電圧)に変化する。以上の動作は、実施形態1及び2でも同様に実行され、通常のDRAMでも同様に実行される。実施形態3では、チップ制御回路22は、メモリ5にデータを書き込むとき、書き込みコマンドを受信した後、かつ、センスアンプを活性化する前に、カラム選択線を活性化することを特徴とする。代替として、実施形態3では、チップ制御回路22は、メモリ5にデータを書き込むとき、書き込みコマンドを受信した後、かつ、センスアンプ及びワード線を活性化する前に、カラム選択線を活性化することを特徴とする。この動作により、選択されていないカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLでは、実施形態1と同様の動作となる。一方、選択されたカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLでは、カラム選択線CSLの活性化によって、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOから一対のビット線BTL,/BTLに電流が流れ込み、一対のビット線BTL,/BTLが共に電圧VARYに固定される。引き続き、GIOバスの一対の信号線GIO,/GIOを介して、書き込みデータをLIOバスの一対の信号線LIO,/LIOに与えることで、書き込み動作が始まる(時間期間t(iWR))。このとき、一対のビット線BTL,/BTLの双方は予め電圧VARYにあるので、ビット線には「H」から「L」への遷移のみが起こる。
【0152】
図13及び
図17を参照して説明したように、時間期間tWRはビット線の「L」から「H」の遷移に必要な時間に起因して長くなる。
図19の動作により、書き込み動作後のビット線の「L」から「H」の遷移を無くすことが可能であり、時間期間tWRは短縮される。時間期間tWRの短縮により、時間期間tRC(W)の更なる短縮が可能である。
【0153】
図20は、実施形態3の変形例に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図19の書き込み動作では、選択されたカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLに電圧VARYの「H」データを書き込むことで、選択されたカラム選択線CSLに対応するセンスアンプSAの一対のNMOSトランジスタSANTが、センスアンプSAの活性化前に動作を開始して、誤動作を生じる可能性がある。このような誤動作を避けるために、センスアンプ活性化信号SANEの非活性時の電圧を、電圧VBTL=1/2×VARYから電圧VARYに変更する。センスアンプSAを非活性化するとき、ビット線BTLの上限電圧に等しい電圧VARYをセンスアンプSAのNMOSトランジスタのソースに印加し、センスアンプSAを活性化するとき、ビット線BTLの下限電圧に等しい電圧VSSをセンスアンプSAのNMOSトランジスタのソースに印加する。この電圧を設定することにより、センスアンプSAの一対のNMOSトランジスタSANTの誤動作を防ぐことができる。なお、センスアンプSAの一対のPMOSトランジスタSAPTの非活性時の電圧は、
図20に示すように電圧VSSとしてもよいし、また、従来の如く電圧VBTLとしてもよい。
【0154】
実施形態4.
実施形態4でもまた、実施形態1に係るメモリシステムに比べて、書き込み動作をさらに高速化するための構成について説明する。
【0155】
図21は、実施形態4に係るメモリシステムのチップ制御回路22Aの構成を示すブロック図である。実施形態4に係るメモリシステムにおいて、メモリ5は、
図3のチップ制御回路22に代えて
図21のチップ制御回路22Aを備える。チップ制御回路22Aは、
図4のチップ制御回路22の構成要素に加えて、コマンドデコーダ34及びバンクアドレス制御回路35を備える。カラムアドレス制御回路36及びロウアドレス制御回路37は、
図4のカラムアドレス制御回路42及びロウアドレス制御回路41と同様の機能を提供するとともに、実施形態4に係る機能を提供する。
図21では、図示の簡単化のために、コマンドデコーダ34、バンクアドレス制御回路35、カラムアドレス制御回路36、及びロウアドレス制御回路37のみを示す。
【0156】
実施形態4に係るメモリシステムにおいて、メモリコントローラ3は、実施形態1と同様に、活性化コマンドの前に書き込みコマンドを発行する。実施形態4に係るメモリシステムにおいて、メモリコントローラ3は、書き込みコマンドとして、データを書き込むメモリセルを含むサブアレイのロウアドレスの一部を含む特別な書き込みコマンド(ファースト書き込みコマンドFW)を発行する。書き込みコマンドにおいて、後続の活性化コマンドにより活性化されるサブアレイのロウアドレスの一部を予め与えることで、メモリ5は、活性化コマンドの受信に先行して、活性すべきサブアレイを選択できることを特徴とする。
【0157】
チップ制御回路22Aにおいて、コマンドデコーダ34はファースト書き込みコマンドを認識し、それによって書き込み動作の対象となるバンクアドレス及びカラムアドレスを発生し、さらに、サブアレイのロウアドレスを発生する。サブアレイのロウアドレスは、活性化すべきサブアレイ(
図5)を指定するアドレスであり、ロウアドレスの一部である。チップ制御回路22Aは、これらの書き込み動作に使用されるバンクアドレス及びカラムアドレスをカラムアドレス信号CA-nのアドレスバスに出力するとともに、ロウアドレスをロウアドレス信号RA-nのアドレスバスに出力する。サブアレイのロウアドレスは、次の活性化コマンドが発行されたときに活性化されるサブアレイ(
図5)に対応するサブアレイ選択信号SUBASELを活性化し、活性化されるサブアレイのサブアレイ選択スイッチSASWをオンする。サブアレイ選択スイッチSASWをオンすることによって、活性化されるサブアレイのLIOバスの一対の信号線LIO,/LIOにのみ電圧VARYを与える。メモリ5は、活性化コマンドを受信する前にファースト書き込みコマンドを受信したときに、上記動作を実行可能である。
【0158】
図22は、実施形態4に係るメモリシステムのビット線に接続されるイコライズ回路の構成を示す回路図である。
図22のビット線イコライズ回路では、
図8のビット線イコライズ回路が、第1のビット線イコライズ信号BTLEQ1によって一対のビット線BTL,/BTLを電圧VBTLに固定する回路と、第2のビット線イコライズ信号BTLEQ2によって一対のビット線BTL,/BTLを同じ電圧にイコライズする回路に分離される。図示していないが、第1のビット線イコライズ信号BTLEQ1信号をさらに信号BTLEQ10及びBTLEQ11に分離し、一方のビット線BTLの電圧VBTLを固定するために信号BTLEQ10を使用し、他方のビット線/BTLの電圧VBTLを固定するために信号BTLEQ11を使用してもよい。
【0159】
図23は、実施形態4に係るメモリシステムのサブアレイ選択スイッチSASWの構成を示す回路図である。
図23のサブアレイ選択スイッチSASWによれば、
図9のサブアレイ選択スイッチSASWにおいて、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOの電圧VBTLへの固定は、
図22に示したビット線イコライズ信号BTLEQ1によって行われる。
【0160】
図24は、実施形態4に係るデータの書き込み動作を行うときの各信号の波形を示すタイミングチャートである。
図24は、実施形態1に係るデータの書き込み動作の時間期間tRC(W)をさらに短縮した実施例を示す。
図24は、実施形態1に従って時間期間tRCD(W)を負の値とした時のメモリ5の内部状態を表す。実施形態4に係るデータの書き込み動作では、書き込みコマンドWに代わり、特別なファースト書き込みコマンドFWを使用する。ファースト書き込みコマンドFWは、対応するバンクの活性化コマンドAに先行して入力される。すなわち、時間期間tRCD(W)は負の値を持つ。さらに、ファースト書き込みコマンドFWでは、通常のカラムアドレスとカラムバンクアドレスに加え、サブアレイのロウアドレスの一部を指定可能であることを特徴とする。ファースト書き込みコマンドFWを取り込んでから時間期間tDF(W)の経過後に、ビット線イコライズ信号BTLEQ1が非活性化し、サブアレイ選択信号SUBASELが活性化する。また、ほぼ同時に、カラム選択線CSLが活性化することを特徴とする。同時に、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOは、電圧VBTLから電圧VARY(もしくはそれ以上の電圧)に変化する。この動作で、選択されていないカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLでは、実施形態1と同様の動作となる。一方、選択されたカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLでは、カラム選択線CSLの活性化によって、LIOバスの一対の信号線LIO,/LIOから一対のビット線BTL,/BTLに電流が流れ込み、一対のビット線BTL,/BTLがともに電圧VARYに固定される。ここで、選択されたカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLの電圧VBTLから電圧VARYへの変化は、ビット線イコライズ信号BTLEQ2の活性下で行われるので、一対のビット線BTL,/BTL間の電圧のイコライズは継続される。従って、選択されたカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLの近傍の選択されていないカラム選択線CSLに対応する一対のビット線BTL,/BTLへのノイズが低減され、誤動作が防止される。その後、活性化コマンドAを取り込んでから時間期間tDF(A)の経過後に、ビット線イコライズ信号BTLEQ2が非活性化する。引き続き、GIOバスの一対の信号線GIO,/GIOを介して、書き込みデータをLIOバスの一対の信号線LIO,/LIOに与えることで、書き込み動作が始まる(時間期間t(iWR))。この際、一対のビット線BTL,/BTLの双方は予め電圧VARYであるので、ビット線には「H」から「L」への遷移のみが起こる。
【0161】
以上に説明したように、実施形態4では、メモリ5のチップ制御回路22Aが、ファースト書き込みコマンドのロウアドレスによって指定されるサブアレイを活性化し、ファースト書き込みコマンドのカラムアドレスによって指定されるカラム選択線を活性化し、活性化されたカラム選択線に対応するビット線の電圧を上限電圧に設定することを特徴とする。
【0162】
図13及び
図17を参照して説明したように、時間期間tWRはビット線の「L」から「H」の遷移に必要な時間に起因して長くなる。
図24の動作により、書き込み動作後のビット線の「L」から「H」の遷移を無くすことが可能であり、時間期間tWRは短縮される。それと同時に、安定な書き込み動作が保証される。時間期間tWRの短縮により、時間期間tRC(W)の更なる短縮が可能である。
【0163】
実施形態5.
実施形態5では、実施形態1とは異なる方法で書き込み動作をさらに高速化するための構成について説明する。
【0164】
図25は、実施形態5に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Aの構成を示すブロック図である。
図25のメモリコントローラ3Aは、
図2のメモリコントローラ3の制御回路11及びタイミングレジスタ13に代えて、制御回路11A及びタイミングレジスタ13Aを備える。タイミングレジスタ13Aは、メモリ5の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。これらのタイミングパラメータは、時間期間tRCD、tRP、CL、WL1、及びWL2を含む。時間期間tRCDは、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、同一バンクに対する読み出しコマンド及び書き込みコマンドを発行可能になるまでの時間差の最小値を示す。時間期間tRP及びCLは、実施形態1の場合と同様である。時間期間WL1は、書き込みコマンドを発行してからメモリコントローラ3Aからメモリ5へデータを送信するまでの時間差であって、JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)に等しい時間期間の長さを示す。時間期間WL2は、書き込みコマンドを発行してからメモリコントローラ3Aからメモリ5へデータを送信するまでの時間差であって、JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)よりも短い時間期間の長さを示す。制御回路11Aは、動作状態に応じて適宜、書き込みレイテンシの時間期間WL1,WL2を切り換えることを特徴とする。制御回路11Aは、JEDEC標準に準拠した通常の書き込み動作では、時間期間WL1を使用し、時間期間tRC(W)を短縮した書き込み動作では、時間期間WL2を使用する。
【0165】
本明細書では、時間期間WL2を「第3の時間期間」ともいい、時間期間WL1を「第4の時間期間」ともいう。
【0166】
メモリシステムの動作状態は、例えば、メモリコントローラ3Aがプロセッサ1から制御信号を受信すること、メモリコントローラ3Aの内部に活性化状態に固定された信号源を設けること、などにより設定されてもよい。
【0167】
図26は、実施形態5に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。実施形態5では、書き込みレイテンシを、JEDEC標準に規定される時間期間WLより短い時間期間WL2に設定可能である。例えば、時間期間WL2は4クロックサイクルに設定されてもよい。特に、
図26は、負の時間期間WL2を用いた場合を示す。制御回路11Aは、メモリ5にデータを書き込むとき、書き込みコマンドをメモリ5に送信する前に、時間期間WL2の絶対値に等しい時間期間だけ先行して、メモリコントローラ3Aからメモリ5へデータを送信する。負の時間期間WL2を用いることで、時間期間tRCDがJEDEC標準に規定される値であっても、書き込みコマンドWを取り込んでからメモリ5における書き込み動作(内部状態iWR)までの時間を短縮可能である。
【0168】
メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを書き込むとき、書き込みコマンドWを発行する瞬間を基準として時間期間WL1又は時間期間WL2だけ離れた瞬間に、メモリコントローラ3からメモリ5へデータを送信開始する。時間期間WL2が負の値を有する場合には、メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを書き込むとき、書き込みコマンドを発行する瞬間を基準として時間期間WL2の絶対値に等しい時間期間だけ先行する瞬間に、メモリコントローラ3からメモリ5へデータを送信開始する。
【0169】
時間期間WL2は、JEDEC標準に準拠した書き込みレイテンシ(WL)よりも短い正の長さを有してもよい。
【0170】
実施形態5によれば、実施形態1とは異なる方法で時間期間tRC(W)を短縮し、書き込み動作を高速化することができる。
【0171】
実施形態6.
実施形態6では、読み出し動作を高速化することが可能なメモリシステムについて説明する。
【0172】
図27は、実施形態6に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Bの構成を示すブロック図である。
図27のメモリコントローラ3Bは、
図2のメモリコントローラ3の制御回路11及びタイミングレジスタ13に代えて、制御回路11B及びタイミングレジスタ13Bを備える。タイミングレジスタ13Bは、メモリ5の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。これらのタイミングパラメータは、時間期間tRC(W)及びtRC(R)を含む。時間期間tRC(W)は、メモリにデータを書き込むとき、あるバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。時間期間tRC(R)は、メモリからデータを読み出すとき、あるバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。制御回路11Bは、時間期間tRC(R)に基づいてメモリを制御する。
【0173】
本明細書では、時間期間tRC(R)を「第5の時間期間」ともいう。
【0174】
実施形態6に係るメモリシステムのメモリは、例えば、実施形態1に係るメモリシステムのメモリ5と同様に構成される。この場合、メモリ5は、
図4のチップ制御回路22に代えて、
図4のチップ制御回路22からtRC(W)短縮信号に関連する回路部分を除去したチップ制御回路を備えてもよい。以下、実施形態6に係るメモリシステムのメモリを「メモリ5」と呼ぶ。
【0175】
メモリ5のチップ制御回路22は、メモリ5にデータを書き込むとき、複数のバンクのうちの少なくとも2つのバンクに同じデータを書き込む。メモリ5のチップ制御回路22は、メモリ5からデータを読み出すとき、複数のバンクのうちの同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの1つからデータを読み出す。メモリコントローラ3Bの制御回路11Bは、このような書き込み及び読み出しを実行するようにメモリ5を制御する。
【0176】
図28は、実施形態6に係るメモリシステムのメモリ5へのデータの書き込み動作を説明するためのブロック図である。
図29は、実施形態6に係るメモリシステムのメモリ5からのデータの読み出し動作を説明するためのブロック図である。
図28及び
図29のメモリ5は、
図3のメモリ5と同様の構成を有する。以下、共通の内部データバスDB1に接続されたバンクB1,B2にデータを書き込み、バンクB1,B2からデータを読み出す場合について説明する。
【0177】
図28を参照すると、最初に、バンクB1,B2は同時に同一のロウアドレスで活性化される。すなわち、ロウアドレス信号RA-1,RA-2は同じアドレスであり、ロウアドレス活性化信号RAE-1,RAE-2は同時に活性化される。その結果、これら2つのバンクB1,B2では、メモリアレイ23-nの同一アドレスのワード線WDLが同時に活性化する。その後のメモリ5の内部における書き込み動作時には、これら2つのバンクB1,B2の同一のカラムアドレスが同時に活性化される。すなわち、カラムアドレス信号CA-1,CA-2は同じアドレスであり、カラムアドレス活性化信号CAE-1,CAE-2は同時に活性化される。それと同時に、これら2つのバンクB1,B2には、内部データバスDB1から同一の書き込みデータが同時に供給される。その結果、これら2つのバンクB1,B2では、メモリアレイ23-nの同一アドレスのカラム選択線CSLが同時に活性化し、同一アドレスのメモリセルCに同一のデータが書き込まれる。このような書き込み動作を繰り返すことで、バンクB1,B2に格納されたデータを完全に一致させることができる。
【0178】
書き込み動作時には、実施形態1~4に従って、時間期間tRCD(R)よりも小さな値を有する時間期間tRCD(W)を設定することにより、もしくは、負の値を有する時間期間tRCD(W)を設定し、活性化コマンドの発行前に書き込みコマンドを発行することにより、時間期間tRC(W)を短縮してもよい。また、書き込み動作時には、実施形態5に従って、書き込みレイテンシの時間期間WLを短縮又は負の値に設定し、時間期間tRC(W)を短縮してもよい。
【0179】
前述のように、メモリ5にデータを書き込むとき又はメモリ5からデータを読み出すとき、あるバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間(時間期間tRC(W)及びtRC(R))が存在する。実施形態5では、メモリ5からデータを読み出すとき、メモリコントローラ3B及びメモリ5は以下のように動作する。メモリコントローラ3Bの制御回路11Bは、複数のバンクのうちの同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクからデータを読み出すために時間期間tRC(R)より短い間隔で第1及び第2の活性化コマンドを発行するとき、第1の活性化コマンドに含まれるバンクアドレスとは異なるバンクアドレスを含む第2のコマンドを発行する。メモリ5のチップ制御回路22は、このような第1及び第2の活性化コマンドを受信したとき、第1の活性化コマンドに応じて、同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第1のバンクからデータを読み出し、第2の活性化コマンドに応じて、同じデータが書き込まれた少なくとも2つのバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出す。このように、時間期間tRC(R)より短い間隔で第1及び第2の活性化コマンドを発行してメモリ5からデータを読み出し、これにより、等価的に時間期間tRC(R)を短縮し、メモリシステムの読み出し動作を高速化することができる。
【0180】
図29を参照すると、読み出し動作時には、最初に、バンクB1,B2は別個に活性化される。すなわち、バンクB1には、ロウアドレス信号RA-1を与えて、ロウアドレス活性化信号RAE-1を活性化してアクセスし、バンクB2には、ロウアドレス信号RA-1とは異なるロウアドレス信号RA-2を与えて、ロウアドレス活性化信号RAE-2を活性化する。その結果、これら2つのバンクB1,B2では、メモリアレイ23-nのワード線WDLは独立に活性化する。その後のメモリ5の内部における読み出し動作時には、これら2つのバンクB1,B2では独立にカラムアドレスが活性化される。例えば、偶数回目の読み出し動作では、バンクB1にカラムアドレス信号CA-1が与えられ、かつ、カラムアドレス活性化信号CAE-1が活性化され、奇数回目の読み出し動作では、バンクB2にカラムアドレス信号CA-2が与えられ、かつ、カラムアドレス活性化信号CAE-2が活性化され、以後、同様に読み出しが制御される。その結果、これら2つのバンクB1,B2では、メモリアレイ23-nの異なるカラムアドレスのカラム選択線CSLが偶数回目の読み出し動作及び奇数回目の読み出し動作で交互に活性化し、これら2つのバンクB1,B2の異なるアドレスのメモリセルCから交互にデータが読み出され、読み出しデータが内部データバスDB1に読み出される。これにより、異なるバンクアドレスを有する2つのバンクにおける異なるロウ及び異なるカラムアドレスを有するメモリセルCであって、同一のデータが書き込まれたメモリセルCから、交互にデータが読み出される。
【0181】
これら2つのバンクB1,B2の同一アドレスのメモリセルCには同一のデータが書き込まれているので、2つのバンクB1,B2を用いて、同一バンク内の読み出しアクセスの周期を規定する時間期間tRC(R)内に2回の読み出し動作を可能とする。すなわち、実施形態1などに比較して、等価的に、時間期間tRC(R)を平均で1/2に短縮可能である。
【0182】
図28及び
図29はメモリ5が4つのバンクB1~B4を備えている場合の例であるが、2つのバンク、8つのバンク、などを備えている場合でも同様に読み出し動作を高速化することができる。
【0183】
図28及び
図29は、2つのバンクに同時に書き込み、2つのバンクから独立に読み出す場合の例であるが、4つのバンクに同時に書き込み、4つのバンクから独立に読み出す場合でも同様に読み出し動作を高速化することができる。この場合、実施形態1などに比較して、等価的に、時間期間tRC(R)を平均で1/4に短縮可能である。
【0184】
次に、
図30及び
図31を参照して、実施形態6に係る書き込み動作を実現するためのコマンドのフォーマットについて説明する。
【0185】
図30は、実施形態6に係るメモリシステムにおいて使用される活性化コマンドを示す図である。
図31は、実施形態6に係るメモリシステムにおいて使用される書き込みコマンドを示す図である。
図30及び
図31では、メモリ5及びメモリコントローラ3BがLPDDR4-SDRAMである場合について説明する。
図30はLPDDR4-SDRAMの活性化コマンドの例を示し、
図31はLPDDR4-SDRAMの書き込みコマンドの例を示す。
【0186】
複数のバンクは、複数のビットを含むバンクアドレスを有する。メモリ5のチップ制御回路22は、メモリ5にデータを書き込むとき、複数のバンクのうちの、少なくとも1つの同じビット値を含むバンクアドレスをそれぞれ有する少なくとも2つのバンクにおいて、同じロウアドレスのメモリセルに同じデータを書き込む。メモリコントローラ3Bの制御回路11Bは、このような書き込みを実行するようにメモリ5を制御する。
【0187】
図30及び
図31の例では、メモリコントローラ3B及びメモリ5が、JEDEC標準に規定されていないモードレジスタ設定又はフューズトリミング等を用いて、バンクアドレスの複数のビットのうちの1つのビットを縮退させるモードに入る。
【0188】
図30の活性化コマンドは、クロックCK_tの4周期分(4つの立ち上がりエッジ)を用いて構成され、前半の2周期分をコマンド部分ACT-1と呼び、後半の2周期分をACT-2と呼ぶ。
図30の活性化コマンドは、3つのビットBA2,BA1,BA0からなるバンクアドレスを含むので、8つのバンクをアドレス指定することができる。コマンド部分ACT-1の第2周期のビットCA3は空きとなっている。このビットに新たにビットBD(Bank-Degeneration)を割り付け、「BD=1」のときビットBA0を縮退させ、「BD=0」のときビットBA0の縮退なし、と決める。
【0189】
図31の書き込みコマンドは、クロックCK_tの4周期分(4つの立ち上がりエッジ)を用いて構成され、前半の2周期分をコマンド部分WR-1と呼び、後半の2周期分をコマンド部分CAS-2と呼ぶ。
図31の書き込みコマンドもまた、3つのビットBA2,BA1,BA0からなるバンクアドレスを含むので、8つのバンクをアドレス指定することができる。コマンド部分WR-1の第2周期のビットCA3は空きとなっている。このビットに新たにビットBD(Bank-Degeneration)を割り付け、「BD=1」のときビットBA0を縮退させ、「BD=0」のときビットBA0の縮退なし、と決める。
【0190】
図28の書き込み動作を行うとき、メモリコントローラ3Bの制御回路11Bは、活性化コマンドを発行するときに上記「BD=1」を設定し、また、書き込みコマンドを発行するときにも上記「BD=1」を設定する。以上のようにメモリコントローラ3B及びメモリ5を構成及び設定することで、バンクアドレスのビットBA0を縮退し、これにより、バンクB1,B2に同じデータを同時に書き込むことができる。
【0191】
一方、
図29の読み出し動作を行うとき、メモリコントローラ3Bの制御回路11Bは、活性化コマンドを発行するときに上記「BD=0」を設定し、また、書き込みコマンドを発行するときにも上記「BD=0」を設定する。以上のようにメモリコントローラ3B及びメモリ5を構成及び設定することで、読み出し動作時にはバンクアドレスのビットBA0を縮退せずに、バンクB1,B2から独立にデータを読み出すことができる。
【0192】
以上によって、活性化コマンド及び書き込みコマンドを用いた書き込み動作時には、2つのバンクに同時にデータを書き込み、活性化コマンド及び読み出しコマンドを用いた読み出し動作時には、2つのバンクから独立にデータを読み出すことが可能である。従って、実施形態1などに比較して、等価的に、時間期間tRC(R)を1/2に短縮可能である。
【0193】
尚、プリチャージコマンドについても、上記の活性化コマンド及び書き込みコマンドと同様に、縮退の有無を決定するBDビットを設定可能である。
【0194】
図30及び
図31の例に代えて、メモリコントローラ3B及びメモリ5は、JEDEC標準に規定されていないモードレジスタ設定又はフューズトリミング等を用いて、アドレスの複数のビットのうちの2つ以上のビットを縮退させるモードに入ってもよい。例えば、「BD=1」でビットBA0,BA1を縮退させ、「BD=0」でビットBA0,BA1の縮退なし、と決める。その場合、活性化コマンド及び書き込みコマンドを用いた書き込み動作時には、4つのバンクに同一のデータを同時に書き込むことが可能であり、活性化コマンド及び読み出しコマンドを用いた読み出し動作時には、4つのバンクから独立にデータを読み出すことが可能である。従って、実施形態1などに比較して、等価的に、時間期間tRC(R)を1/4に短縮可能である。この場合、読み出し時の時間期間tCCD(R)について、tCCD(R)=tRC(R)/4を実現できると、読み出し動作では、バンクの競合に無関係に外部データバスの効率を最大化することが可能である。
【0195】
図32は、実施形態6の変形例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図32では、メモリ5及びメモリコントローラ3BがLPDDR4-SDRAMである場合について説明する。
図32の例では、メモリコントローラ3B及びメモリ5が、JEDEC標準に規定されていないモードレジスタ設定又はフューズトリミング等を用いて、バンクアドレスの複数のビットのうちの少なくとも1つのビットを縮退させるモードに入る。この縮退したモードでは、メモリコントローラ3B及びメモリ5は、実施形態1~4に係る時間期間tRC(W)の短縮とリンクして動作する。すなわち、書き込み動作において、活性化コマンドを発行する前に書き込みコマンドが発行される。さらに、これらの書き込みコマンド及び活性化コマンドのバンクアドレスのうちの非縮退ビットが同一になる(すなわち、バンクアドレスがビットBA1,BA0を含み、ビットBA0が縮退され、かつ、活性化コマンド及び書き込みコマンドのビットBA1が同一の値を有する)。その後、活性化コマンドの発行及びメモリ5の内部における書き込み動作は、バンクアドレスのビットBA0が縮退した状態で行われる。すなわち、複数のバンクにおける同一のロウアドレスを有するワード線WDLが同時に活性化され、また、同じ複数のバンクにおける同一のカラムアドレスを有するカラム選択線CSLが同時に選択され、同一のデータが同時にこれらのバンクに書き込まれる。この状態は、次に、同一の非縮退ビットを含むバンクアドレスを有するプリチャージコマンドが発行されるまで継続する。このプリチャージコマンドにより、同時に活性化された複数のバンクが同時にプリチャージされる。一方、読み出し動作はバンクアドレスの縮退無しに独立に行われる。
【0196】
実施形態6に係るメモリシステムによれば、読み出し動作を行うときの時間期間tRC(R)は、書き込み動作を行うときの時間期間tRC(W)とは独立に設定可能である。
【0197】
実施形態6に係るメモリシステムによれば、実施形態1~5の構成及び動作と組み合わせることにより、書き込み動作及び読み出し動作の両方を高速化することができる。
【0198】
次に、実施形態7~9では、異なるバンクに対して連続的にカラム動作を実行するときに外部データバスの使用効率を向上する。
【0199】
実施形態7.
図33は、実施形態7に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Cの構成を示すブロック図である。
図33のメモリコントローラ3Cは、
図2のメモリコントローラ3の制御回路11及びタイミングレジスタ13に代えて、制御回路11C及びタイミングレジスタ13Cを備える。タイミングレジスタ13Cは、メモリ5の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。これらのタイミングパラメータは、時間期間tRRD、tCCD、及びtFAWを含む。時間期間tRRDは、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、異なるバンクに対する活性化コマンドを発行可能になるまでの時間期間の長さ、すなわち、互いに異なる2つのバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。時間期間tCCDは、あるバンクに対する書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行してから、次の任意のバンクに対する書き込みコマンド又は読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間期間の長さ、すなわち、任意の2つのバンクに対する書き込みコマンド又は読み出しコマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。時間期間tFAWは、4つのバンクに対してそれぞれ4つの活性化コマンドを連続して発行した後、もう1つのバンクに対して活性化コマンドを発行可能になるまでの時間期間の長さ、すなわち、4つの活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。時間期間tCCDは時間期間tRRDに等しく設定され、時間期間tFAWは時間期間の4倍に等しく設定される。制御回路11Cは、時間期間tRCD、tCCD、及びtFAWに基づいてメモリ5を制御する。
【0200】
本明細書では、時間期間tRRD、tCCD、及びtFAWをそれぞれ「第6~第8の時間期間」ともいう。
【0201】
図34は、実施形態7に係るメモリシステムのロウデコーダ24-n及びその周辺を示すブロック図である。ロウデコーダ24-nは、ワード線WDL0,WDL1,WDL2,…ごとに、個別デコーダ81-0,81-1,81-2,…及びWDLドライバ82-0,82-1,82-2,…を備える。各WDLドライバ82-0,82-1,82-2,…には、ロウデコーダ24-nの外部の電源であるVPP発生回路91から電圧VPPが供給される。各ワード線WDL0,WDL1,WDL2,…の活性時の電圧は、電圧VPPによって決まる。VPP発生回路91は、動作クロックを受けて動作し、メモリ5の外部から供給される電圧VDDを昇圧して、より高い電圧VPPを発生して出力する。
【0202】
図35は、
図34のVPP発生回路91の構成を示す回路図である。VPP発生回路91は、VPP発生回路91は、スイッチSW1~SW19及び昇圧キャパシタCa1~Ca4を備えるスイッチトキャパシタ回路である。VPP発生回路91は、チップ制御回路22からの制御信号に応じて切り換え可能な、次の2つの動作モードを持つ。第1の動作モードでは、入力された電圧を2.5倍に昇圧する。第2の動作モードでは、入力された電圧を3倍に昇圧する。第1の動作モードでは、供給可能な電流量は多くないが、高い電力変換効率を有し、消費電力を低く抑えることができる。第2の動作モードでは、電力変換効率は悪くなるが、供給可能な電流を多くすることができる。
図35において、スイッチSW1~SW19には、動作モードに応じて、以下の信号が印加される。信号Φ1は2相の動作クロックに一致し、信号Φ2は動作クロックの反転信号に一致する。さらに、信号Φ1Aは、第1の動作モードでは常時オフであり、第2の動作モードでは動作クロックに一致する。信号Φ1Bは、第1の動作モードでは動作クロックに一致し、第2の動作モードでは常時オフである。スイッチSW3,SW7,SW13,SW15は常時オフされている。
【0203】
図36は、実施形態7に係るデータの読み出し動作を示すタイミングチャートである。
図36は、複数のバンクに連続で読み出しアクセスする場合を表す。
図36は、メモリコントローラ3からメモリ5に送信されるクロックCLK及びコマンドCMDと、外部データバスにおけるデータの伝送とを示す。コマンドCMDのA1,A2,A3,…はそれぞれ、バンクB1,B2,B3,…に対する活性化コマンドを表す。コマンドCMDのR1,R2,R3,…はそれぞれ、バンクB1,B2,B3,…に対する読み出しコマンドを表す。外部データバス上のQD1,QD2,QD3,…は、各バンクB1,B2,B3,…から読み出される読み出しデータを表す。コマンドCMDはクロックCLKの立ち上がりエッジで取り込まれる。tCCD=4×tCK、tRRD=4×tCK、tFAW=16×tCK、tRCD(R)=7×tCK、tBL=1/2×tCK、CL=7、BL=8である。時間期間tRRD,tCCD,tFAWが、1/2×BL×tCK=tCCD=tRRD=1/4×tFAWを満たすとき、外部データバス上に読み出しデータQDを中断なしに連続的に出力可能であり、外部データバスの利用効率100%を実現できる。
【0204】
図37は、実施形態7に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図37は、複数のバンクに連続で書き込みアクセスする場合を表す。
図37もまた、メモリコントローラ3からメモリ5に送信されるクロックCLK及びコマンドCMDと、外部データバスにおけるデータの伝送とを示す。コマンドCMDのA1,A2,A3,…はそれぞれ、バンクB1,B2,B3,…に対する活性化コマンドを表す。コマンドCMDのW1,W2,W3,…はそれぞれ、バンクB1,B2,B3,…に対する書き込みコマンドを表す。外部データバス上のWD1,WD2,WD3,…は、メモリコントローラ3からメモリ5の各バンクB1,B2,B3,…に書き込まれる書き込みデータを表す。コマンドはCLKの立ち上がりエッジで取り込まれる。tCCD=4×tCK、tRRD=4×tCK、tFAW=16×tCK、tRCD(R)=7×tCK、tBL=1/2×tCK、WL=6、BL=8である。時間期間tRRD,tCCD,tFAWが、1/2×BL×tCK=tCCD=tRRD=1/4×tFAWを満たすとき、外部データバス上に書き込みデータWDを中断なしに連続的に送信可能であり、外部データバスの利用効率100%を実現できる。
【0205】
図36及び
図37は、DDR3-SDRAMのJEDEC標準に準拠したメモリシステムの場合の例を示す。DDR1/2/4-SDRAM及びLPDDR2/3/4-SDRAM等、他のSDRAMも
図36及び
図37と同様に動作可能であり、外部データバスの利用効率100%を実現できる。
【0206】
しかしながら、JEDEC標準に準拠したタイミングパラメータでは、1/4×tFAW(min)>tRRD(min)>tCCD(min)である。DDR-SDRAMの動作において、このような制約が発生する理由を説明する。DDR-SDRAMでは、活性化コマンドに応じて活性化されたワード線につながるメモリセルのデータをセンスアンプで増幅及びストアし、書き込みコマンド又は読み出しコマンド(カラムコマンド)に応じて活性化されるカラム選択線CSLに接続されるセンスアンプに対してデータの読み出し又は書き込みを行う。時間期間tCCD、すなわち、連続するカラムコマンドによる書き込み動作又は読み出し動作の間のサイクル時間の最小値は、同一バンク内に連続的に実行される場合のメモリアレイ内のアクセスタイミングで制約される。この制約は、
図5と
図6を参照して、センスアンプSA内に配置されるIOスイッチIOSWの能力と、カラム選択線CSL及びセンスアンプSAとのデータの伝送に使用されるバンク内のデータバス(GIOバス及びLIOバス)の寄生抵抗及び寄生容量となどにより事実上規定される。実際、JEDEC標準で規定されるカラム動作の最小サイクル時間は、DDR1、DDR2、DDR3、DDR4-SDRAMのどの規格においても、概ね4~5ナノ秒程度である。一方、上述したようにカラム動作を行うためには、その前段階として、活性化コマンドを発行し、ワード線を活性化する必要がある。ランダムに読み出しないし書き込みアクセスが発生する場合、活性化コマンドを異なるバンクに連続的に発行する必要がある。しかしながら、主にワード線WDLの活性化に使用されるVPP発生回路の供給能力に依存して、時間期間tRRDの最小サイクル時間が規定される。さらには昇圧電圧の平均消費電流の観点から、ある時間内に発行してもよい活性化コマンドの個数、すなわち、時間期間tFAWに関する制約も発生する。これらより、JEDEC標準では、1/4×tFAW(min)>tRRD(min)>tCCD(min)となっている。
【0207】
1/4×tFAW(min)=tRRD(min)=tCCD(min)を達成するためには、時間期間tFAW(min)及びtRRD(min)を短縮する必要がある。時間期間tFAW(min)及びtRRD(min)を短縮するためには、VPP発生回路91の電流供給能力を増大する必要がある。
【0208】
VPP発生回路91は、時間期間tCCDが時間期間tRRDに等しくなるように、かつ、時間期間tFAWが時間期間tRRDの4倍に等しくなるように設定された電圧VPPをワード線WDLに印加する。このような電圧VPPをワード線に印加することにより、メモリ5は、メモリ5にデータを連続して書き込むとき、時間期間tRRDに等しい周期で、活性化コマンド及び書き込みコマンドをそれぞれチップ制御回路22から受信可能に構成される。同様に、メモリ5からデータを連続して読み出すとき、時間期間tRRDに等しい周期で、活性化コマンド及び読み出しコマンドをそれぞれチップ制御回路22から受信可能に構成される。メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5にデータを連続して書き込むとき、時間期間tRRDに等しい周期で、活性化コマンド及び書き込みコマンドをそれぞれ発行する。同様に、メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5からデータを連続して読み出すとき、時間期間tRRDに等しい周期で、活性化コマンド及び読み出しコマンドをそれぞれ発行する。
【0209】
メモリ5が第1の動作モードにあるとき、ワード線の上限電圧は第1の電圧値を有し、時間期間tCCDは時間期間tRRDよりも短く、時間期間tFAWは時間期間tRRDの4倍よりも長い。メモリ5が第2の動作モードにあるとき、ワード線の上限電圧は第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を有し、時間期間tCCDは時間期間tRRDに等しく、時間期間tFAWは時間期間tRRDの4倍に等しい。メモリコントローラ3の制御回路11は、メモリ5を第1の動作モード及び第2の動作モードの一方で選択的に動作させる制御信号(第2の制御信号)をメモリ5に送信する。メモリ5のチップ制御回路22は、メモリ5を第1の動作モード及び第2の動作モードの一方で選択的に動作させる制御信号をメモリコントローラ3から受信したとき、この制御信号に従って、第1の動作モード及び第2の動作モードの一方で選択的に動作する。
【0210】
図35のVPP発生回路91の動作を具体的に説明する。メモリ5へのアクセスが頻発し、昇圧電圧に関連付けられた電流消費が多い場合、すなわち、時間期間tRRD(min)を短縮する動作では、入力された電圧VDDを3倍に昇圧するモードで動作する。理想的な場合のこの回路構成では、(入力電圧×3倍-昇圧電圧の目標値)×Caの電流供給が可能であり、電力変換効率は、(昇圧電圧の目標値/(3×入力電圧))となる。他方、セルフリフレッシュ動作時のように消費電力を低く抑える場合には、入力電圧×2.5倍昇圧モードで動作する。理想的な場合のこの回路構成では、(入力電圧×2.5倍-昇圧電圧の目標値)×Caの電流供給が可能であり、電力変換効率は、(昇圧電圧の目標値/(2.5×入力電圧))となる。
【0211】
一般に、昇圧回路の電流供給能力を増大することは、昇圧回路のレイアウト面積の増大を招く。
図35のVPP発生回路91では、動作モードを指示する制御信号に応じて昇圧比を変更し、VPP発生回路のレイアウト面積をあまり増大することなく、電圧VPPに関連付けられた電流供給能力を増大することができる。
【0212】
図35に示すように、余分な昇圧キャパシタCa1~Ca4を追加配置することで、チップ面積にあまり影響をあたえることなく、外部データバスの占有率を最大とする動作が可能となる。
【0213】
上記の2.5倍及び3倍の昇圧比は一例であり、各規格に従った入力電圧と、メモリアレイ23-nで必要とされる昇圧電圧との関係により、最適な昇圧比が設定される。
【0214】
実施形態7に係るメモリシステムによれば、時間期間tCCDが時間期間tRRDに等しくなるように、かつ、時間期間tFAWが時間期間tRRDの4倍に等しくなるように設定された電圧VPPをワード線WDLに印加することにより、異なるバンクに対して連続的にカラム動作を実行するときに外部データバスの使用効率を向上することができる。
【0215】
実施形態8.
図38は、実施形態8に係るメモリシステムのVPP発生回路100の構成を示すブロック図である。VPP発生回路100は、論理和演算(OR)回路101、論理積演算(AND)回路102、VPP発生回路部分103,104を備える。異なる出力電圧及び/又は異なる出力電流を発生するために、VPP発生回路100は、複数のVPP発生回路部分103,104を備える。VPP発生回路部分103,104のそれぞれは、
図35のVPP発生回路91と同様に構成される。ただし、VPP発生回路部分103,104は、互いに異なる容量のキャパシタを備える。
【0216】
VPP発生回路100は、イネーブル信号と、動作モードを指示するためのDDR3L信号及び大電流モード信号とに応じて、VPP発生回路部分103,104を選択的に動作可能にする。イネーブル信号は、論理積演算回路102及びVPP発生回路部分103に入力される。DDR3L信号及び大電流モード信号は論理和演算回路101に入力され、論理和演算回路101の出力信号はVPP発生回路部分104に入力される。
【0217】
VPP発生回路100は、DDR3-SDRAM及びDDR3L-SDRAMのように、入力電圧のみが異なる二つの規格をサポートするメモリにおいて使用される。VPP発生回路部分103は、DDR3-SDRAMのための電圧を発生するための十分な容量値のキャパシタを備え、一方、VPP発生回路部分104は、DDR3L-SDRAMのための電圧を発生するためのより大きな容量値のキャパシタを備える。どちらの規格をサポートするかを指示する信号DDR3Lモード信号を活性化することによって、VPP発生回路部分103,104を選択的に動作可能にする。また、時間期間tRRD及びtFAWを短縮しようとするとき、大電流モード信号を活性化する。DDR3L信号及び大電流モード信号が非活性化されているとき、VPP発生回路部分103のみが動作可能にされ、DDR3L信号及び大電流モード信号の一方が活性化されているとき、VPP発生回路部分103,104の両方が動作可能にされる。
【0218】
これにより、動作するVPP発生回路部分103,104の個数を選択的に変化させることにより、昇圧された電圧VPPを十分な大きさの電流で供給し、外部データバスの利用効率を向上することができる。
【0219】
実施形態9.
図39は、実施形態9に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Dの構成を示すブロック図である。
図39のメモリコントローラ3Dは、
図33のメモリコントローラ3Cの制御回路11C及びタイミングレジスタ13Cに代えて、制御回路11D及びタイミングレジスタ13Dを備える。タイミングレジスタ13Dは、メモリ5Dの動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。これらのタイミングパラメータは、時間期間tRRD1、tRRD2、tCCD、及びtFAWを含む。時間期間tRRD1、tRRD2は、あるバンクに対する活性化コマンドを発行してから、異なるバンクに対する活性化コマンドを発行可能になるまでの時間期間の長さ、すなわち、互いに異なる2つのバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短時間を示す。
図39の実施形態において、複数の時間期間tRRD1、tRRD2は、2つのバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有することを特徴とする。他の時間期間tCCD及びtFAWは、実施形態7の場合と同様である。
【0220】
メモリコントローラ3Dは、連続する活性化コマンドのバンクアドレスに応じて、時間期間tRRD1,tRRD2を使い分けるように制御することを特徴とする。特に、tRRD1<tRRD2の場合、時間期間tRRD1及びtCCDの長さを同じに設定すると、バンクを活性化する順序に制約は受けるが、実施形態1に係る動作を実施可能となる。
【0221】
図40は、実施形態9に係るメモリシステムのメモリ5Dの構成を示すブロック図である。メモリ5Dは、
図3のメモリ5のチップ制御回路22に代えてチップ制御回路22Dを備え、さらに、電源回路27-1,27-2を備える。電源回路27-1,27-2は、VPP発生回路91-1,91-2及びVARY発生回路92-1,92-2をそれぞれ備える。VPP発生回路91-1,91-2は電圧VPPをロウデコーダ24-1~24-4に供給し、VARY発生回路92-1,92-2は電圧VARYをメモリアレイ23-1~23-4に供給する。チップ制御回路22Dは、実施形態1に係る動作を行うことに加えて、電源回路27-1,27-2を制御する。
【0222】
電源回路はチップ内に占める面積が大きく、さらに、電源回路と電力の消費場所(主にメモリアレイ及びロウデコーダ)との間のインピーダンスを低減する必要がある。そのため、複数の電源回路を配置し、そのうちの各1つの電源回路を複数のバンク間で共用するように配置する場合がある。
図40の例では、バンクB1,B2間で電源回路27-1を共用し、バンクB3,B4間で電源回路27-2を共用している。電源回路27-1,27-2の中で、特に、ワード線WDLを駆動するVPP発生回路91-1,91-2の消費電力と、メモリアレイ23-nのビット線BTLを駆動するVARY発生回路92-1,92-2の消費電力とが大きい。これらの電力はさらに、活性化動作によって消費される。従って、
図40の例では、バンクB1,B2の連続した活性化動作を行うとき、さらに、バンクB3,B4の連続した活性化動作を行うときに、十分な電力供給を行うことが困難になる。従って、互いに異なる2つのバンクに対する活性化コマンドを連続して発行可能な最短の時間期間tRRD(min)として、バンクB1,B2間について時間期間tRRD1(min)が取得され、バンクB1,B3間について時間期間tRRD2(min)とすると、tRRD2(min)<tRRD1(min)となる場合がある。実施形態8に係る動作の要件であるtCCD(min)=tRRD(min)を実現する際、バンクB1とバンクB3間のtRRD2(min)を使う必要が生じる。
【0223】
図41は、実施形態9の比較例に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図41は、
図37のタイミングチャートに、メモリ5Dの内部状態として、メモリアレイ23-nへの書き込み動作iWR1,iWR2,iWR3,…などを追加した図である。
図41はBL=8の場合を示し、外部データバス上の8個の連続するバーストデータWD1、WD2、WD3,…などのメモリ5Dへの取り込みが終わった後に、これらバーストデータをメモリアレイ23-nに同時に書き込む。これをBL8書き込み動作と呼ぶこととする。
【0224】
図42は、実施形態9に係るデータの書き込み動作を示すタイミングチャートである。
図42では、メモリ5Dの内部状態として、メモリアレイ23-nへの書き込み動作iWR1,iWR2,iWR3,…などを示す。
図42のコマンドCMDの「W1(8)」はバンクB1へのBL8書き込み動作のコマンドを示し、「W2(4)」及び「W3(4)」はそれぞれバンクB2,B3へのBL4書き込み動作のコマンドを示す。すなわち、書き込みコマンドと同時に、メモリ5Dにバースト長(BL)情報を与えるとともに、該BL情報に基づいてBL8書き込みかBL4書き込みかを選択できるようにする。さらに、BL8書き込み動作(W1(8))では、8バーストデータの入力後、時間期間tD(W)が経過した後に、メモリアレイ23-nに書き込む動作(内部状態iWR1)が行われるが、BL4書き込み動作(W2(4))では、4バーストデータの入力後、時間期間tD(W)の経過した後に、メモリアレイ23-nに書き込む動作(内部状態iWR1)が行われることを特徴とする。
【0225】
一回の書き込み動作で書き込むデータ量を「単位データ量」と呼ぶと、特にバースト長BLが長い場合に単位データ量が多くなり、実際に必要以上のデータ量を書き込む可能性が高まる。その場合、JEDEC標準に準拠したDRAMでは、書き込みマスク機能を用いることで、必要なデータ以外のデータ書き込みを禁止する。しかしながら、その場合は、書き込むことが必要なデータ量は少ないにも拘らず、モードレジスタ等で指定されたバースト長にわたって待機してからメモリの内部の書き込み動作を行う必要があり、外部データバス上を無駄なデータが占有する時間が増大する。一方、実施形態9に係るメモリシステムによれば、有効なデータに適したバースト長を書き込みコマンド毎に指定できるので、外部データバスの実効的な利用効率の向上が実現できる。
【0226】
本動作は、JEDEC標準に準拠したDDR3-DRAMのバーストチョップ(BC4)の動作にも適用可能である。
【0227】
また、
図42を参照して説明したものと同様の手法が読み出し動作にも適用可能である。
【0228】
図43は、実施形態9に係るメモリシステムにおいて使用される書き込みコマンドを示す図である。
図43は、
図42を参照して説明した書き込みコマンドと同時に、メモリ5Dにバースト長BLの情報を与える方法を、JEDEC標準のLPDDR4-SDRAMに適用した例を示す。
図43の例では、メモリコントローラ3D及びメモリ5Dが、JEDEC標準に規定されていないモードレジスタ設定又はフューズトリミング等を用いて、実施形態9に係る可変バースト長モードに入る。特に、LPDDR4-SDRAMのような高速動作が可能なメモリでは、バースト長BLが長くなり(例えば、BL=32もしくはBL=16)、無駄なデータの読み出し及び書き込みが生じる可能性が高い。JEDEC標準に準拠したLPDDR4-SDRAMでは、tCCD(min)=8×tCKであり、また、メモリの内部におけるデータの読み出し及び書き込みも16バーストを単位として行われる。従って、特にLPDDR4-SDRAMを低周波数で動作させた場合、外部データバスの使用効率上の無駄が生じる。低周波数の動作では、tCCD=tRRD=2×tCKが可能であり、それに応じて、BL=16からBL=8に変更することが効率的である。LPDDR4-SDRAMの書き込みコマンドは、外部クロックCK_tの4周期分を必要とするが、BL=32とBL=16の指定は、CK_tの1周期目のビットCA5(BL0)で指定する。
図43の例では、さらにクロックCK_t2周期目のビットCA3(BL1)を用いることで、BL=8の指定を可能とする。
【0229】
次に、実施形態10では、書き込み動作から読み出し動作に遷移する場合に外部データバスの使用効率を向上することが可能なメモリシステムについて説明する。
【0230】
実施形態10.
図44は、実施形態10に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Eの構成を示すブロック図である。
図44のメモリコントローラ3Eは、
図1のメモリコントローラ3の制御回路11及びタイミングレジスタ13に代えて、制御回路11E及びタイミングレジスタ13Eを備える。タイミングレジスタ13Eは、メモリ5の動作に関連する複数のタイミングパラメータを格納する。これらのタイミングパラメータは、複数の時間期間tWRT1,tWRT2,…を含む。複数の時間期間tWTR1,tWTR,…は、複数のバンクのうちの第1のバンクにデータを書き込むためにメモリコントローラ3からメモリ5へデータを送信してから、複数のバンクのうちの第2のバンクからデータを読み出すために読み出しコマンドを発行可能になるまでの時間差を示す。複数の時間期間tWTR1,tWTR,…は、第1及び第2のバンクの異なる組み合わせに応じて異なる長さを有する。制御回路11Eは、第1のバンクにデータを書き込んだ直後に第2のバンクからデータを読み出すとき、メモリ5へデータを送信してから、第1及び第2のバンクの組み合わせに対応する長さを有する時間期間tWTR1,tWTR2,…にわたって待機した後、読み出しコマンドを発行する。
【0231】
本明細書では、時間期間tWTR1,tWTR,…を「第9の時間期間」ともいう。
【0232】
図45は、実施形態10に係るメモリシステムのメモリ5へのデータの書き込み動作/読み出し動作を説明するためのブロック図である。
図45のメモリ5は、実際には
図3のメモリ5と同様に構成されるが、説明の目的で、
図3では省略した構成要素を示す。内部データバスDB1,DB2は、
図5を参照して説明したように、入出力(IO)制御回路26-1~26-4を介して各バンクB1~B4にそれぞれ接続される。メモリ5の内部のデータバスは、
図45に示すように、バンクB1~B4間で共用される内部データバスDB1及びDB2と、各バンクB1~B4のバンク内データバスIO-1~IO-4とを含む。実施形態10の説明では、内部データバスDB1及びDB2を「バンク間データバス」と呼ぶ。ここで、各バンク内データバスIO-1~IO-6は、
図5のメモリアレイ23-nにおける、GIOバスGIOB及びLIOバスLIOBを包含する。
図45では、
図3のロウアドレス信号、カラムアドレス信号、及びそれらの活性化信号などは、図示の簡単化のために省略している。
【0233】
書き込み動作時には、メモリコントローラ3Eからメモリバス4を介してメモリ5へ書き込みデータを送信する。メモリ5のSDRAMインターフェース21は、書き込みデータを受信すると、バンク間データバスDB1又はDB2とIO制御回路26-nを介して、さらに各バンクB1~B4のバンク内データバスIO-1~IO-4を介して、メモリアレイ23-1~23-4にデータを転送する。一方、読み出し動作時には、書き込み動作時とは逆の順をたどって、メモリ5からメモリコントローラ3Eへ読み出しデータを送信する。
【0234】
書き込み動作から読み出し動作に遷移するとき、メモリ5の内部のデータバスにおけるデータの競合がコマンド間隔を規定する。
【0235】
図46は、実施形態10の第1の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。
図46は、あるバンクに対してデータを書き込み、それに続いて、同じバンクに対して読み出しアクセスを行う場合を示す。書き込みコマンドWが発行され、その後、書き込みレイテンシの時間期間WLの経過後に、外部データバスに書き込みデータWDが与えられる。外部データバスのバースト時間(本実施例では、BL/2×tCK=2サイクル)の後、バンク間データバスDB1に書き込みデータdbWRが現れる。さらに、時間期間tD(W)の経過後、バンク内データバスIO-1に書き込みデータioWRが現れる。一方、外部データバスのバースト時間終了後、内部書き込みから内部読み出しまでの時間を表す時間期間tWTRの経過後に、外部コマンドバスに読み出しコマンドRが入力され、それを起点に、その時間期間tD(R)の経過後に、バンク内データバスIO-1に読み出しデータが現れる。メモリ5の内部におけるデータ転送の遅延により、さらに、バンク間データバスDB1に読み出しデータdbRDが現れる。読み出しコマンドRを発行してから時間期間CLの経過後に、外部データバスに読み出しデータQDが読み出される。以上のように、同一バンクに対する書き込み動作から読み出し動作への遷移は、少なくとも「tWTR+CL×tCK」の時間を要する。しかしながら、JEDEC標準の規定では、データを書き込むバンクと、その後にデータを読み出すバンクとが同一であるか、それとも異なっているかにかかわらず、単一の値の時間期間tWTRを使用する。
【0236】
図47は、実施形態10の第2の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。
図47は、あるバンクに対してデータを書き込み、それに続いて、異なるバンクからデータを読み出す場合を示す。バンクB1への書き込みコマンドW1が発行され、その後、書き込みレイテンシの時間期間WLの経過後に、外部データバスに書き込みデータWDが与えられる。外部データバスのバースト時間(本実施例ではBL/2×tCK=2サイクル)の後、バンク間データバスDB1に書き込みデータdbWRが現れる。さらに、時間期間tD(W)の経過後、バンクB1のバンク内データバスIO-1に書き込みデータioWRが現れる。一方、外部データバスのバースト時間終了後、内部書き込みから内部読み出しまでの時間を表す時間期間tWTRの経過後に、コマンドバスにバンクB2への読み出しコマンドR2が入力され、それを起点に、その時間期間tD(R)の経過後に、バンクB2のバンク内データバスIO-2に読み出しデータが現れる。しかしながら、バンクが異なるためバンク内データバスIO-1,IO-2を共用していないので、バンク内データバスIO-1,IO-2上での書き込みデータと読み出しデータとの衝突が起こらない。よって、バンク間データバスDB1でのデータ衝突を避けることが可能になるまでtWTRを短縮可能である。本実施例では、tWTR=0まで短縮した場合を示している。
【0237】
図48は、実施形態10の変形例に係るメモリシステムのメモリコントローラ3Eの構成を示すブロック図である。
図48のメモリコントローラ3Eは、
図44のメモリコントローラ3Eと同様に構成され、ただし、タイミングレジスタ13Eに格納する時間期間tWTR1,tWTR2,tWTR3,…の個数のみが異なる。時間期間tWTR1、tWTR2、及びtWTR3の値は互いに異なり、連続する活性化コマンドのバンクアドレスに応じて、時間期間tWTR1、tWTR2、及びtWTR3を使い分けることを特徴とする。tWTR1<tWTR2<tWTR3である場合、例えば、時間期間tWTR1、tWTR2、及びtWTR3を以下のように使い分ける。時間期間tWTR3は、同一のバンクに対して、データを書き込み、次いでデータを読み出す場合に使用可能である。時間期間tWTR2は、同一のバンク間データバスに接続された異なるバンクに対して、データを書き込み、次いでデータを読み出す場合に使用可能である。時間期間tWTR1は、異なるバンク間データバスに接続された異なるバンクに対して、データを書き込み、次いでデータを読み出す場合に使用可能である。このため、制御回路11Eは、バンクB1~B4毎に、バンク間データバスD1,D2を共用しているか否かの情報を保持している。制御回路11Eは、上記の条件に基づいて時間期間tWTR1、tWTR2、及びtWTR3のうちの1つを選択し、選択された時間期間に従って各コマンドを発行する。
【0238】
図49は、実施形態10の第3の実施例に係るデータの書き込み及び読み出し動作を示すタイミングチャートである。異なるバンクに対して、データを書き込み、次いでデータを読み出す場合を示す。バンクB1への書き込みコマンドW1が発行され、書き込みレイテンシの時間期間WLの経過後に、外部データバスに書き込みデータWDが与えられる。外部データバスのバースト時間(本実施例ではBL/2×tCK=2サイクル)の後、バンク間データバスDB1に書き込みデータdbWRが現れる。さらに、時間期間tDWの経過後、バンク内データバスIO-1に書き込みデータioWRが現れる。一方、外部データバスのバースト時間終了後、内部書き込みから内部読み出しまでの時間を示す時間期間tWTRの経過後に、コマンドバスにバンクB3への読み出しコマンドR3が入力され、それを起点に、その時間期間tD(R)の経過後に、バンクB3のバンク内データバスIO-3に読み出しデータが現れる。しかしながら、バンクB1,B3はバンク間データバスDB1,DB2を共用していないので、バンク間データバスDB1,DB2上での書き込みデータ及び読み出しデータの衝突が起こらない。よって、SDRAMインターフェース21もしくは外部データバスでの書き込みと読み出しのデータ衝突を避けることが可能になるまで、時間期間tWTRを短縮可能である。
図49の例では、時間期間tWTRを負の値(tWTR=-2×tCK)としている。
【0239】
実施形態10に係るメモリシステムによれば、書き込み動作から読み出し動作に遷移する場合に外部データバスの使用効率を向上することができる。
【0240】
以上に説明した実施形態1~10に係る各メモリシステムの構成及び動作を互いに組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明によれば、プリチャージコマンドを含むコマンドシーケンスにより1つ又は複数のバンクに対してデータを書き込む及び/又は読み出す場合であっても、外部データバスの使用効率を低下させにくいメモリ及びメモリコントローラ、さらに、これらを含むメモリシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0242】
1…プロセッサ、
2…プロセッサバス、
3,3A~3E…メモリコントローラ、
4…メモリバス、
5,5D…メモリ、
11,11A~11E…制御回路、
12…PHYインターフェース、
13,13A~13E…タイミングレジスタ、
21…SDRAMインターフェース、
22,22D…チップ制御回路、
23-1~23-4…メモリアレイ、
24-1~24-4…ロウデコーダ、
25-1~25-4…カラムデコーダ、
26-1~26-4…入出力(IO)制御回路、
27-1,27-2…電源回路、
31-1~31-4…バンク制御回路、
32…論理和演算(OR)回路、
33…活性化制御回路、
34…コマンドデコーダ、
35…バンクアドレス制御回路、
36…カラムアドレス制御回路、
37…ロウアドレス制御回路、
41…ロウアドレス制御回路、
42…カラムアドレス制御回路、
43…論理和演算(OR)回路、
44…論理積演算(AND)回路、
51…サブアレイ、
52…センスアンプ列、
61-0~61-2…個別デコーダ、
62-0~62-2…CSLドライバ、
71…VCSLR発生回路、
72…VCSLW発生回路、
81-0~81-2…個別デコーダ、
82-0~82-2…WDLドライバ、
91,91-1,91-2…VPP発生回路、
92-1,92-2VARY発生回路、
100…VPP発生回路、
101…論理和演算(OR)回路、
102…論理積演算(AND)回路、
103,104…VPP発生回路部分、
B1~B4…バンク、
BTL,BTL00~BTL13…ビット線、
C,C00~C13…メモリセル、
Ca1~Ca4…昇圧キャパシタ、
CSL,CSL0,CSL1,CSL2…カラム選択線、
CS…セルキャパシタ、
CT…セルトランジスタ、
DB,DB1,DB2…内部データバス、
GIOB…GIOバス、
IOSW…入出力(IO)スイッチ、
IOT…入出力(IO)トランジスタ、
LIOB、LIOB_1~LIOB_3…LIOバス、
RBTL…寄生抵抗、
SA00~SA13…センスアンプ、
SANT…NMOSトランジスタ、
SAPT…PMOSトランジスタ、
SASW…サブアレイ選択スイッチ、
SN…蓄積ノード、
SW1~SW19,SWW,SWR…スイッチ、
T1~T14…トランジスタ、
WDL,WDL0…ワード線。