IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーイーエル エフエスアイ,インコーポレイティドの特許一覧

特許7130643プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック
<>
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図1
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図2
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図3
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図4
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図5
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図6
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図7
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図8
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図9
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図10
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図11
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図12
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図13
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図14
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図15
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図16
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図17
  • 特許-プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】プロセスチャンバ内のマイクロ電子基板を処理するための回転及び並進チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220829BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 645Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 643B
H01L21/304 648A
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019528673
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017063486
(87)【国際公開番号】W WO2018102305
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】62/427,754
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151552
【氏名又は名称】ティーイーエル マニュファクチュアリング アンド エンジニアリング オブ アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ハンズリック,エドワード デネーン
(72)【発明者】
【氏名】グルーエンハーゲン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハーブスト,ティム ダブリュ.
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076702(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105314343(CN,A)
【文献】特開2005-225621(JP,A)
【文献】米国特許第6118290(US,A)
【文献】特表2013-514654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子基板を処理するための装置であって、前記装置は、
a)前記マイクロ電子基板が処理を受けるプロセスチャンバを提供するように構成されるハウジングと、
b)前記プロセスチャンバ内に配置された回転可能かつ横方向に並進可能なチャックであって、前記チャックは、第1チャック部及び第2チャック部を備え、前記第2チャック部は、中央回転軸の周りで前記第1チャック部と独立して回転し、前記第2チャック部は、前記処理の少なくとも一部の間、前記マイクロ電子基板を保持するチャックと、
c)前記第1及び第2チャック部を相互接続する回転機構と、
d)経路に沿って前記プロセスチャンバ内を横方向に横断して前記チャックを効果的に並進させるように、前記チャックに結合され、前記マイクロ電子基板を1つ又は複数の処理流を通り走査させる並進機構であって、前記第1チャック部は前記並進機構に結合されている、並進機構と、
e)前記第1チャック部に対する前記第2チャック部の回転を効果的に生ずるように、前記チャック内に組み込まれる回転駆動機構であって、前記回転は、前記中央回転軸の周りで発生し、前記チャックが前記プロセスチャンバを通って並進するときに、前記回転駆動機構は前記回転可能かつ横方向に並進可能なチャックとともに、並進する回転駆動機構と、
を備え、
前記回転駆動機構は、
i)前記中央回転軸から半径方向にオフセットした回転駆動軸を提供するように、前記第1チャック部に取り付けられたモータと、
ii)前記モータに回転可能に結合された前記回転可能かつ横方向に並進可能なチャック内に収容され、前記回転駆動軸の周りで回転する駆動ギアと、
iii)前記第2チャック部に取り付けられたリングギアと、
を備え、
前記駆動ギアは、前記リングギアの内周に係合し、前記リングギアを回転可能に駆動し、回転を前記第2チャック部に与え、したがって、前記駆動ギアと前記リングギアとの間の回転インタフェースが前記回転可能かつ横方向に並進可能なチャックの内側でシールドされる、
装置。
【請求項2】
前記装置は、処理媒体を前記基板上にディスペンスするノズルと、前記ノズルに接続され、加圧及び冷却された流体を備える流体供給源と、をさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセスチャンバは、真空下にある、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセスチャンバは、1ミリトルから10トル未満までの範囲の圧力下にある、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ノズルは、処理の間、前記基板の上面から、0.5mmから60mmまで離れて配置される、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記ノズルに供給される前記加圧及び冷却された流体は、70Kから150Kまでの範囲の温度及び10psigから100psigまでの範囲の圧力である、
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記加圧及び冷却された流体は、アルゴン、窒素及び二酸化炭素の少なくとも1つを備える、
請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記加圧及び冷却された流体は、ヘリウム及び水素の少なくとも1つをさらに備える、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記基板は、前記チャック上で支持され、前記基板と前記チャックの上面との間にギャップが提供される、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1チャック部は、前記並進機構に接続されているベースプレートを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ベースプレートは、アルミニウムを備える、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1チャック部は、前記第2チャック部上に保持される基板に熱を届けるヒーター機能を備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1チャック部は、前記ベースプレートに固定されるヒーターアセンブリをさらに備える、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記ヒーターアセンブリは、下プレート及び上プレート及び前記上プレートと前記下プレートとの間に位置決めされるヒーターフィルムを備える、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記上プレート及び前記下プレートの各々は、アルミニウムを備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ヒーターアセンブリが前記ベースプレートの中央ハブから前記チャックの外周の方に半径方向外向きに端が飛び出すように、前記下プレートは、前記中央ハブに取り付けられる、
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記下プレートは、前記駆動ギアを収容するチャンバを備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記ベースプレートに結合される温度センサをさらに備え、前記温度センサによって検出される温度は、前記基板の温度を表す、
請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記第2チャック部は、前記基板が保持される回転プレートを備え、前記中央回転軸の周りでの前記回転プレートの回転は、前記基板に与えられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記回転プレートは、アルミニウムを備える、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記回転機構は、リングベアリングを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記リングベアリングは、前記第1チャック部に接続されている内レースと、前記第2チャック部に接続されている外レースと、を備える、
請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記回転機構は、前記第1チャック部に接続されている内レースと、前記第2チャック部に接続されている外レースと、を備えるリングベアリングを備え、前記内レースは、前記ヒーターアセンブリの前記上プレートと前記下プレートとの間にクランプされる、
請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記回転機構は、前記第1チャック部に接続されている内レースと、前記第2チャック部に接続されている外レースと、を備えるリングベアリングを備え、前記外レースは、前記回転プレートと前記リングギアとの間にクランプされる、
請求項19に記載の装置。
【請求項25】
前記駆動ギアは、駆動ギアの歯を備え、前記リングギアは、リングギアの歯を備え、前記駆動ギアの歯は、前記リングギアの歯より広い、
請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記回転駆動機構は、前記オフセットされた駆動ギア軸の周りで前記駆動ギアを効果的に回転駆動するように、前記ベースプレートに接続されているオフセットモータをさらに備える、
請求項10に記載の装置。
【請求項27】
前記駆動ギアは、PEEKを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記リングギアは、PEEKを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記リングギアは、前記回転プレートの外周に接続されている、
請求項19に記載の装置。
【請求項30】
前記リングギアの内部領域は、前記駆動ギアに係合する、
請求項1に記載の装置。
【請求項31】
マイクロ電子基板を処理するための方法であって、
a)プロセスチャンバを備える装置を提供し、
b)前記プロセスチャンバ内の回転可能なチャック上にマイクロ電子基板を保持し、前記チャックは、第1チャック部及び第2チャック部を備え、前記第2チャック部は、中央回転軸の周りで前記第1チャック部と独立して回転し、前記第1チャック部に対して独立して前記第2チャック部を回転させる回転駆動機構は、前記チャック内に組み込まれ、
前記回転駆動機構は、
i)前記中央回転軸から半径方向にオフセットした回転駆動軸を提供するように、前記第1チャック部に取り付けられたモータと、
ii)前記モータに回転可能に結合された前記回転可能なチャック内に収容され、前記回転駆動軸の周りで回転する駆動ギアと、
iii)前記第2チャック部に取り付けられたリングギアと、
を備え、
前記駆動ギアは、前記リングギアの内周に係合し、前記リングギアを回転可能に駆動し、回転を前記第2チャック部に与え、したがって、前記駆動ギアと前記リングギアとの間の回転インタフェースが前記回転可能かつ横方向に並進可能なチャックの内側でシールドされ、
c)前記回転駆動機構を用いて、前記処理の間、前記基板が保持される前記第2チャック部を回転させる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権及び関連出願
この出願は、2016年11月29日に出願された米国仮特許出願第62/427,754号の優先権を主張し、その内容は、全体としてすべての目的のために本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
技術分野
この開示は、マイクロ電子基板の表面を処理するための装置及び方法に関するものであり、特にマイクロ電子基板の表面から残留物、デブリ及び他の材料をクリーニングするための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
マイクロ電子技術の進歩によって、集積回路(IC)は、基板、例えば半導体基板上に作動部品の密度がますます増加して形成される。ICの形成は、基板上のさまざまな材料の順次適用、処理及び選択的除去によって行われる。そして、形成の間、露出した基板表面は、プロセスの残留物及びデブリを周期的に除去するためにクリーニングステップが必要である。さまざまな組成物は、乾式及び湿式の両方のクリーニング技術を含む半導体基板処理において、特定の種類の材料を基板から除去するために開発されてきた。さらに、いくつかの異なるタイプの装置を用いて、さまざまな条件下で基板をクリーニング用の化学物質に露出する。この装置の重要な面は、高いスループットを達成するとともに、基板を均一の方法でクリーニングし、装置によって生成される任意のデブリ又は粒子を最小化することである。
【0004】
マイクロ電子産業で知られている1つのクリーニング戦略は、粒子の流れを用いて、ワークピース表面から汚染物質を除去することである。このタイプの低温処理は、1つ又は複数の適切なノズルを用いて、加圧及び冷却された流体(液体及び/又は気体とすることができ、いくつかの混入した固体材料を含んでもよい)を低圧プロセスチャンバ内に拡散する。これにより、流体は、処理流を生成する。この流れのエネルギーを用いて、汚染物質を表面から除去する。この種のさまざまなタイプの低温処理流は、低温エアゾール、低温エアゾールジェット、ナノエアゾール粒子、ガスジェットクラスタ等として公知である。低温クリーニングツールの優れた例は、米国ミネソタ州チャスカのTELFSI,Inc.のANTARES(登録商標)で利用できる。
【0005】
典型的な低温処理において、処理スプレーは、少なくとも1つのノズルからプロセスチャンバ内にディスペンスされる。マイクロ電子基板の形のワークピースは、回転可能又は並進可能なチャック上に保持される。回転構成において、レコードプレーヤの針がレコードを走査するように、ノズルは、回転基板を走査する。しかしながら、走査ノズルは低温ツールにおいて実用性が低い。なぜなら、低温回転結合は、実用的な方法で提供するのが困難であったからである。回転基板を走査することの代替として、ANTARESツールのような低温ツールは、基板直径にわたる直線ノズルの下で基板を通過させる並進チャックを用いて構成されてきた。チャックの並進及び/又は回転は、実際に、ノズルに要望通り基板表面の全部又は一部を処理させる。
【0006】
モータ、ギア及び他の機械要素を用いて、ワークピースを保持するチャックを並進及び回転させてきた。可動部品と潤滑油との間の摩擦及び機械の機能を支援するのに用いられるグリースは、ワークピース上の汚染の原因になってきた。汚染が処理の間生成されるとき、クリーニング処理は、効果が低い傾向がある。重大な課題は、チャック設計、及び、プロセスチャンバを通り並進もするチャックのために、チャック回転を実施可能な対応する回転駆動システムを提供することである。さらなる課題は、加熱機能をこの種のチャック内に効果的に組み込むことである。
【0007】
基板クリーニング装置は、いくつかの点で、効率的かつ均一なクリーニング結果を達成しながら、粒子を最小化し、高いスループットを達成するように設計されてきた。それゆえ、クリーニング効率(例えば、粒子/欠陥減少)又は均一性に対する任意の改善及び同時にスループットの改善は、産業において望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において、機械的チャック部品から汚染のリスクを減少させるように、チャックのための回転機能を組み込む回転可能かつ並進可能なチャックアセンブリを用いたクリーニングシステム及び半導体製造のための方法が開示される。チャック設計は、回転する部品及び回転しない部品の両方を有するチャックを用いることに部分的に基づく。駆動ギアを用いて、回転チャック部品に結合されるリングギアを回転駆動する。駆動システムは、コンパクトで、低摩擦で、単一の回転インタフェースを有し、チャックの十分内側で回転インタフェースをシールドし、可動部分からのプロセス汚染のリスクを減少する。ヒーター機能は、回転しないチャック部品内に容易に組み込まれ、チャック上で支持される基板を均一かつ効果的に加熱する。本発明の低摩擦のチャックは、ワークピースが処理の間、回転支持上で支持される任意の製造ツールにおいて有用である。チャックは、特に低温クリーニング処理において有用である。
【0009】
チャック設計は、ミネソタ州チャスカのTEL FSI,Inc.から入手可能なANTARES CX低温ツール内に有益に組み込まれる。必要に応じて、この製造ツールの新しいチャック設計の使用は、単独の固定されたオーバヘッドノズルから完全なウェーハ/基板クリーニングを可能にする。チャック上の基板の最小の裏側接触は、小さい接触面積の上昇したパッドを有する図示の実施形態において達成される。外縁に位置するパッドは、基板の横方向の拘束を提供する統合された外側のバリアによって設計された。これらのバリアは、外側ガイドとして機能するために急傾斜で傾斜し、リフトプラットフォーム上のエッジリフトピンによってそのプラットフォームがチャックより下から上下に並進するとき、基板の容易な受け渡しを可能にする。
【0010】
Antares CXツールにおける約180slm(1分当たりの標準リットル)のノズル流量未満で、基板は、これらのエッジバリアの境界内に含まれ、安定なままである傾向がある。しかしながら、約180slmを超えるノズル流量を可能にするために、これらの横方向の保持バリアの3つは、基板の垂直上昇を防止するために基板の外縁に突出する短い拡張を有して構成される能動的保持部材によって置換されてもよい。基板を固定するために、これらの保持バリアは、チャックの回転プレートの厚さ内に含まれる作動ピボットアームの端に取り付けられる。ピボットアームは、一端上の圧縮スプリングによって突出する位置(基板エッジに接触しない)に偏る。基板をこの種の制限から解放するために、ピボットアームは、他端上のシングルローラベアリング上の作動ピンの回転作用によって作動する。チャックが移動位置に回転するとき、リフトプラットフォームに取り付けられ、エッジリフトピンに隣接する3つの作動ピンは、チャックの端でピボットアームのローラベアリング位置に対応する垂直経路に沿って移動する。各円錐の先端の作動ピンが各ローラベアリングに接触するとき、ピボットアームの対向する側上の保持バリアは、外向きに押され、それゆえ、基板は解放され、リフトプラットフォームエッジリフトピンは、基板を上昇させることができる。リフトプラットフォームを下降させることは、作動ピンとローラベアリングとの接触を取り除き、それゆえ、ばねは、保持バリアを、載置された基板のエッジを突出する位置に戻すことができる。
【0011】
処理の間、チャックは、1つ又は複数のノズルの下で1つ又は複数の経路において、さまざまな並進速度で、例えば300mm/秒までの速度で並進してもよい。並進は、ノズルスプレーのすべての基板エリアに対する均一の被覆を可能にする予め設定された運動プロファイルを用いてもよい。並進及び回転はまた、独立して発生してもよいし、任意の所望のシーケンスで発生してもよい。
【0012】
一態様では、本発明は、マイクロ電子基板を処理するための装置に関するものであり、装置は、
a)前記マイクロ電子基板が処理を受けるプロセスチャンバを提供するように構成されるハウジングと、
b)前記プロセスチャンバ内に配置された回転可能かつ並進可能なチャックであって、前記チャックは、第1チャック部及び第2チャック部を備え、前記第2チャック部は、中央回転軸の周りで前記第1チャック部と独立して回転し、前記第2チャック部は、前記処理の少なくとも一部の間、前記マイクロ電子基板を保持するチャックと、
c)前記第1及び第2チャック部を相互接続する回転機構と、
d)経路に沿って前記プロセスチャンバ内で前記チャックを効果的に並進させるように、前記チャックに結合された並進機構と、
e)前記第1チャック部に対する前記第2チャック部の回転を効果的に生ずるように、前記チャック内に組み込まれる回転駆動機構であって、前記回転は、前記中央回転軸の周りで発生する回転駆動機構と、
を備え、
前記回転駆動機構は、
i)前記チャックの前記中央回転軸から半径方向外向きにオフセットされる駆動ギア軸の周りで回転する駆動ギアと、
iii)前記第2チャック部に取り付けられたリングギアと、
を備え、
前記駆動ギアは、前記リングギアの内周に係合し、前記リングギアを回転可能に駆動し、回転を前記第2チャック部に与える、
装置。
【0013】
他の態様では、本発明は、マイクロ電子基板を処理するための方法に関するものであり、
a)プロセスチャンバを備える装置を提供し、
b)前記プロセスチャンバ内の回転可能なチャック上にマイクロ電子基板を保持し、前記チャックは、第1チャック部及び第2チャック部を備え、前記第2チャック部は、中央回転軸の周りで前記第1チャック部と独立して回転し、前記第1チャック部に対して独立して前記第2チャック部を回転させる回転駆動機構は、前記チャック内に組み込まれ、
前記回転駆動機構は、
i)前記チャックの前記中央回転軸から半径方向外向きにオフセットされる駆動ギア軸の周りで回転する駆動ギアと、
iii)前記第2チャック部に取り付けられたリングギアと、
を備え、
前記駆動ギアは、前記リングギアの内周に係合し、前記リングギアを回転可能に駆動し、回転を前記第2チャック部に与え、
c)前記回転駆動機構を用いて、前記処理の間、前記基板が保持される前記第2チャック部を回転させる、
方法。
【0014】
他の態様では、本発明は、マイクロ電子基板を処理するための装置に関するものであり、装置は、
a)前記マイクロ電子基板が処理を受けるプロセスチャンバを提供するように構成されるハウジングと、
b)前記プロセスチャンバ内に配置された回転可能なチャックであって、前記処理の少なくとも一部の間、前記マイクロ電子基板を保持するチャックと、
c)前記回転可能なチャック内に組み込まれる基板保持システムであって、前記基板保持システムは、能動的基板保持部材を備え、前記能動的基板保持部材は、軸の周りで回転するピボットアームを備え、前記ピボットアームは、前記ピボットアームを回転させるように作動する第1端及び前記チャック上の前記基板を保持するのを助けるリテーナヘッドを備える第2端を備え、前記ピボットアームは、前記能動的基板保持部材を基板保持構成に維持するように偏り、前記ピボットアームの前記第1端の作動は、前記能動的基板保持部材を第2構成に回転させ、前記第2構成は、前記能動的基板保持部材による前記基板の保持を解放する基板保持システムと、
d)前記ピボットアームの前記第1端に係合するように構成される作動部材であって、前記基板が前記チャックから上昇するとき、前記能動的基板保持部材を前記第2構成に回転させ、前記基板が前記チャックに下降するとき、前記能動的基板保持部材を第1構成に回転可能にする作動部材と、
を備える装置。
【0015】
この明細書に組み込まれ、一部を構成する添付の図面は、上述した本発明の一般的説明及び以下の詳細な説明とともに、本発明の実施形態を示し、本発明を説明するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】開示の少なくとも1つの実施形態に従う、処理スプレーを用いてマイクロ電子基板を処理するクリーニング装置の形の装置の概略図を含み、回転可能かつ並進可能なチャックは、第1構成にあり、第2チャック部は、第1チャック部に対して回転軸の周りで回転し、一方、並進機構は、チャックを並進経路に沿って並進させ、チャックは、処理を開始するために(処理を終了するのにも適切な)、基板のエッジのノズルの近傍に位置決めされる。
図2】プロセスチャンバ内で回転及び並進するチャックを示す図1の装置の一部の斜視図である。
図3図2の装置の一部の斜視図であり、並進機構に結合される回転及び並進チャック、回転駆動システム、リフトピンシステム及び基板保持システムを示す。
図4図3に示される装置部分の分解斜視図である。
図5図2のチャックの斜視図であり、回転駆動システムの一部及び基板保持システムもまた示す。
図6図5のチャックの代替の斜視図である。
図7図5に示される装置部品の分解図である。
図8図1図7のチャックのほぼ半分の断面における概略側面図であり、第1及び第2チャック部の部品、第1及び第2チャック部を相互接続するリングベアリングならびに第1チャック部に対して独立に第2チャック部を回転駆動するのに用いられるリングギアを示す。
図9図1図7のチャックのほぼ半分の断面における概略側面図であり、第1及び第2チャック部の部品、第1及び第2チャック部を相互接続するリングベアリングならびに第1チャック部に対して独立に第2チャック部を回転駆動するのに用いられる回転駆動システムを示す。
図10図1図9のチャックにおいて用いられるベースプレートの斜視図であり、どのように回転駆動システムがベースプレートに対して配置されるかをさらに示す。
図11図6の破線の円A内のチャックアセンブリの部分の拡大斜視図である。
図12図1に示されるチャックの部分の側面図である。
図13図1の装置内に含まれるチャックの斜視図であり、チャック上の基板を保持するための静的保持部材及び能動的保持部材を示す。
図14図13に示されるチャックの代替の斜視図であり、基板を昇降させるため、かつ、能動的保持部材を作動させるためのリフトピンアセンブリの一部をさらに示す。
図15図13の破線の円B内のチャックアセンブリの部分の拡大斜視図である。
図16図14の破線の円C内のチャックアセンブリの部分の拡大斜視図である。
図17図1の装置の第2構成を示し、チャックの並進が発生し、チャックとノズルとの間の相対運動を引き起こし、ノズルは、図1に対して基板のエッジから中央まで基板全体を走査してきた。
図18図1の装置の第3の構成を示し、第2チャック部は、第1チャック部に対して回転しておらず、チャックは、ノズルが基板から離れるように、プロセスチャンバ内の位置まで並進され、これは、処理の前か後に発生しうる、又は、基板がプロセスチャンバ内にロードされる又はプロセスチャンバから取り出されるときに発生しうる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述する本発明の実施形態は、包括的であることを意図せず、本発明を以下の詳細な説明において開示される正確な形に制限することも意図しない。むしろ、選択及び記載されている実施形態の目的は、当業者が、本発明の原則及び実行を適用及び理解するのを容易にできるということである。
【0018】
本明細書における技術は、汚染感受性の高いマイクロ電子基板が処理されるようなプロセスチャンバの内側に回転チャックを配置することを含む。本発明の原則は、マイクロ電子基板が1つ又は複数の処理中に回転チャック上で支持される任意のマイクロ電子処理又は製造システムにおいて用いられてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の原則は、回転するだけではなく、プロセスチャンバを通り並進又は横断するチャック内に組み込まれる。本発明の回転可能かつ並進可能なチャックの実施形態は、低温クリーニングツール、例えばミネソタ州チャスカのTEL FSI,Inc.から市販されているANTARES(R)低温クリーニングツールに特に有用である。これらのツールが実施するクリーニング処理は、並進可能なチャックを用いて、基板表面を、1つ又は複数の処理流を通り走査してきた。並進及び回転の能力を有する本発明のチャックは、既存のANTARES(R)又は他のツールに組み込むこともできるし、新規なツール内に組み込むこともできる。
【0020】
低温処理は、一般的に、流体(気体及び/又は液体)供給流から処理流を生成する実行を必要とする。供給流は、典型的には、加圧され、オプションで冷却される。1つ又は複数の適切なノズルによって拡散されるとき、圧力放出は、材料をさらに冷却する。結果として生じる流れは、エアゾールスプレー、ガスジェットスプレー、ガスクラスタ等の形でもよい。低温処理流は、汚染物質とマイクロ電子基板との間の接着力に打ち勝つのに十分なエネルギーを与えることによって、マイクロ電子基板表面上の汚染物質を少なくとも部分的に除去する。それゆえ、適切なエネルギーのこの種の処理流(例えば、いくつかの実施形態ではエアゾールスプレー及び/又はガスクラスタジェットスプレー)を生成することは望ましい。クリーニング力に相関する処理スプレーのエネルギーは、質量及び速度の関数である。エネルギーは、速度又は質量を増加させることによって増加しうる。エネルギーを増加させることは、汚染物質と基板表面との間の強力な接着力に打ち勝つために重要になりえ、汚染物質は、より大きな汚染物質及びより小さい汚染物質(<100nm)さえを含む。
【0021】
本発明のチャックの実施形態は、回転駆動機構を組み込み、回転駆動機構は、コンパクトでもよく、小さい取り付け面積を有してもよい。コンパクトなサイズ及び取り付け面積は、並進可能なチャックの能力が必要ない場合であっても、回転可能なチャックを備える任意のシステムにおいて有用である。それゆえ、コンパクトなシステムに回転可能かつ並進可能なチャックを提供することに加えて、チャックのより小さい取り付け面積及び寸法も、回転するが並進しないチャックの取り付け面積を減少させることができる。これは、例えば、製造コストを減少する又はチャックが用いられる全体のツールの寸法を減少するために望ましい。さらに、より多くのチャンバが使用可能である場合、例えば、より多くのチャンバが共通のプラットフォーム上に一緒に集められている場合、設備のための処理スループットは著しく増加する。追加のチャンバによって、より多くの基板は、設備空間の平方フィート当たり同時に処理可能になり、スループットを高める。
【0022】
図1図16を参照すると、本発明の原則は、低温処理システム100の形の装置により示される。システム100は、処理スプレー106を用いてマイクロ電子基板102を処理するのに用いてもよい。いくつかの実施形態では、この種の処理スプレー106は、低温エアゾール、低温エアゾールジェット、ナノエアゾールスプレー、ガスジェットクラスタ等の形でもよい。しかしながら、本明細書において開示される並進及び/又は回転システムは、低温処理装置に限定されることを意図せず、低温処理装置は、説明の目的のためのみに用いられる。並進及び/又は回転システムは、1つ又は複数の処理の少なくとも一部の間、ワークピースが回転する必要がある他の任意のシステム内に組み込まれてもよい。システム100は、低温処理のコンテクスト内の本発明の例示的実施形態を示し、温度、圧力、気体流量及び多くの他の処理条件は、さまざまな厳しい性能基準を満たす本発明の多くの能力の実証として、基板を処理するために制御される。
【0023】
システム100は、プロセスチャンバ110を提供するように構成されるハウジング108を含む。プロセスチャンバ110の圧力は、処理の少なくとも一部の間、大気中より低い圧力環境を含むさまざまな処理圧力を提供するように制御可能である。代表的な実行モードでは、プロセスチャンバ内で確立される真空は、1ミリトルから750トルまでの範囲でもよい。しばしば、圧力は、35トル未満であり、又は、10トル未満でさえあり、エアゾール及び/又はガスクラスタを備える処理スプレー106の形成を強化する。
【0024】
例えば、低温処理スプレーは、比較的高い圧力及び低温の気体及び/又は液体をプロセスチャンバ110の大気中より低い環境内に拡散することによって形成されてもよい。図示の実施形態では、流体は、10psigから900psig、好ましくは10psigから500psig、より好ましくは10psigから100psigまでの範囲の圧力で供給されてもよい。流体の温度は、50Kから320K、好ましくは70Kから320K、より好ましくは70Kから150Kまでの範囲でもよい。流体の流れが流れることができ、チャンバ内にディスペンスすることができる限り、いくつかの実行モードは、個体材料が混入した流体を供給することを含んでもよい。好ましくは、流体が気体及び/又は液体を備えるような圧力及び温度で、流体は供給される。
【0025】
処理スプレー106は、1つ又は複数の適切なノズルによってプロセスチャンバ110内にディスペンスされる。図示の目的のため、単一ノズル112が示される。ノズル112は、供給ライン214によってノズル112に結合される流体供給源210を備える流体供給システムから、流体の流れ(例えば、1つ又は複数の気体及び/又は1つ又は複数の液体の流れ)を受け取る。オプションで、流体供給システムは、冷却装置212をさらに組み込み、ノズル112によって拡散され、プロセスチャンバ110内にディスペンスされる前に、流体を所望の温度にさらに冷却してもよい。流体は、流体供給源210からライン216によって冷却装置212に供給される。冷却された流体は、冷却装置212からライン218を介して供給ライン214に供給される。
【0026】
流体供給源210は、1つ又は複数の加圧及び冷却された流体を備えてもよい。この種の流体は、気体及び/又は液体でもよい。好ましくは、加圧及び冷却された流体は、少なくとも1つの気体を備える。適切な気体又は液体の例は、窒素、アルゴン、He、水素、Xe、CO2、ネオン、クリプトン、これらの組み合わせ等の1つ又は複数を含む。一実施形態では、加圧及び冷却された気体又は液体は、アルゴンである。他の実施形態では、加圧及び冷却された気体又は液体は、窒素である。他の実施形態では、加圧及び冷却された気体又は液体は、窒素及びアルゴンを、1:100から100:1、好ましくは1:20から20:1、より好ましくは1:10から10:1までの範囲の窒素:アルゴンのモル比で備える。
【0027】
二酸化炭素、窒素及び/又はアルゴンを備える実施形態では、流体は、1つ又は複数の追加の気体又は液体を同様にさらに備えてもよい。一実施形態では、追加の気体又は液体は、ヘリウム、水素、ネオン又はこれらの組み合わせを備え、追加の気体の総量とアルゴン、二酸化炭素及び/又は窒素とのモル比は、1:100から100:1、好ましくは1:1から10:1までの範囲である。特定の混合物は、アルゴン及びヘリウムを含む、アルゴン及び水素を含む、アルゴン、水素及びヘリウムを含む、窒素及びヘリウムを含む、窒素及び水素を含む、窒素、水素及びヘリウムを含む、二酸化炭素及びヘリウムを含む、二酸化炭素及び水素を含む、ならびに、二酸化炭素、水素及びヘリウムを含む。
【0028】
ノズル112は、流体の流れがスプレー106としてプロセスチャンバ110内でノズル112の下の基板102上にディスペンスされるとき、流体の流れを拡散及び冷却するように構成される。基板102は、基板102を並進及び/又は回転させることによってノズル112の下で走査され、基板102が均一に処理されることを確実に助ける。ノズル112は、チャック114の上面に、それゆえ、基板102に任意の適切な角度で向けられてもよい。一実施形態では、ノズルは、処理スプレー106をチャック114の上面に垂直にディスペンスするように配置される。
【0029】
ノズル112は、基板102の上面に対して任意の適切な距離で配置されてもよい。一実施形態では、ノズル112と上の基板102の上面との間の距離は、0.5mmから200mm、好ましくは0.5mmから100mm、より好ましくは0.5mmから60mm、さらにより好ましくは2mmから50mmまでの範囲である。
【0030】
基板102は、プロセスチャンバ110内に配置されている回転可能かつ並進可能なチャック114上に保持される。それゆえ、基板102が処理の少なくとも一部の間並進及び/又は回転される間、基板102は、可動チャック114によって保持される。チャックは、チャック114上の基板102を固定するのを助けるための握持及び/又は支持特徴を含んでもよい。基板102は、多種多様なこの種の握持及び/又は支持特徴、例えば半導体処理の分野内で一般に実行される技術のいずれかを用いて、チャック114上に保持されてもよい。これらは、機械的留め具又はクランプ、真空クランピング、把持フィンガ、レストパッド、静電クランピング、これらの組み合わせ等を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。基板保持特徴の図示の実施形態は後述される。さらに、チャック114は、リフトピン、作動ピン、ピボットアーム等を含んでもよく、基板102がウェーハハンドリング装置(図示せず)を介して手動又は自動でプロセスチャンバ110に入る又はプロセスチャンバ110から取り出されるとき、基板102を可動チャック114に及び可動チャック114から移動するのを助ける。基板上昇特徴の図示の実施形態は後述される。
【0031】
基板102は、チャック114の上面120に直接接触しているように、図1に概略的に示される。より好適な実行モードでは、図12に示すように、基板102は、小ギャップ288が基板102と上面120との間に提供されるように支持されてもよい。
【0032】
回転可能かつ並進可能なチャック114は、少なくとも1つの並進の自由度206に沿って横方向に並進し、ノズル112の下での基板102の並進走査を容易にしてもよい。さらに、並進可能かつ回転可能なチャック114は、基板102を回転軸116の周りで回転させ、回転の自由度118を提供するように構成される。並進及び回転は、同時に又は個々に行われ、基板102の全部分又は選択部分上へのスプレー106の滞留時間を調整し、基板102上の特徴に損傷を与える過度のリスクなしで、クリーニング効率及びスループットを調整してもよい。
【0033】
チャック114は、チャックベースとして機能する第1チャック部122を含む。第1チャック部122は、後述される並進機構188に結合される。チャック114はまた、第2チャック部168を含む。第2チャック部168は、第1チャック部122に回転可能に結合され、第2チャック部168は、第1チャック部122に対して独立して回転する。第2チャック部168は、基板102を保持する。したがって、第2チャック部168の回転は、対応する回転を基板102に与える。
【0034】
第1チャック部122は、ベースプレート124、棚部材125及びベースプレート124に取り付けられるヒーターアセンブリ130を備える。ベースプレート124は、他のチャック部品のための強固な取り付け支持を提供する。例えば、ベースプレート124の上側は、他のチャック部品の取り付けを可能にするねじ穴の対称パターンを含む。ベースプレート124の下側は、第2チャック部168を回転駆動するのに用いられるオフセットモータのような部品のための安定な取り付け面を提供する。ベースプレート124の下側はまた、センサ、例えばRTD温度センサ、ホームセンサ等を取り付けるのに適当な場所である。ベースプレート124はまた、並進機構188、回転駆動システム228の部品及び1つ又は複数の任意のセンサ、例えば、1つ又は複数の温度センサ、制御及び制限監視、回転チャックの位置等を決定するためのホール効果センサ等との接続のための取り付け点を提供する。図示の目的のため、例示的なセンサ186は、ベースプレート124に取り付けられ、ベースプレート124を用いて、チャック114の回転しない部品に対する回転プレート170の回転位置を確認する。
【0035】
センサ186は、リングギア244の下側で取得される永久磁石のS極からの磁界をトリガする市販のホール効果タイプ近接スイッチでもよい。この種のセンサは、真空において150℃までの温度での動作のために評価される。位置検出の他の方法を用いてもよい。いくつかの実施形態では、RTDは、適切な温度測定センサである。RTDは、抵抗温度検出器を意味する。この種のデバイスは、一般的に、温度が変化するとき抵抗値を変化させる抵抗を含む。RTDは、研究室及び工業環境において広く用いられる。適切なRTDは、ベースプレート124の下側への取り付けを可能にするアルミニウムのハウジングを有する市販の表面実装タイプの温度測定デバイスである。この種のRTDの適切な例は、0℃で100オーム抵抗、0.00385/℃の温度係数、PFA絶縁ケーブルを特徴とし、230℃まで評価される。
【0036】
ベースプレート124は、アクセスポート126を含み、チャック114を回転駆動システム228に結合するのを容易にする。クロスアーム部128は、構造的剛性を提供し、並進機構188への接続を容易にするのを助ける。端128とチャック114との間の空間は、棚部材125で塞がれ、基板102と同じ高さの滑らかな表面を提供する。これは、処理の間、処理材料が基板102から良好に流れるのを促進する。中央ハブ部分129は、ベースプレート124をヒーターアセンブリ130に接続するのを容易にする。ヒーターアセンブリ130は、ヒーターアセンブリ130及びベースプレート124が経路206に沿って一緒に並進するが、回転軸116の周りで回転しないように、ベースプレート124に固定される。それゆえ、ベースプレート124及びヒーターアセンブリ130は、回転する第2部分168に対して静止している。図示の一実施形態では、ベースプレート124は、アルミニウムから製造され、例えば、6061-T6アルミニウムから機械加工される。
【0037】
ヒーターアセンブリ130が中央ハブ部分129に接続されるとき、ヒーターアセンブリ130とベースプレート124との間のギャップ131が結果として生ずる。これは、第2チャック部168が第1チャック部122に対して独立して回転するとき、第1チャック部122及び第2チャック部がギャップ131で間隔を置かれたインタフェースで互いに接触しないように、間隙を提供する。
【0038】
ヒーターアセンブリ130は、一般的に、下プレート134、上プレート146、ヒーターフィルム164、ならびに、電源及び制御処理をヒーターアセンブリ130に結合するのを容易にする導線166を含む。下プレート134は、中央ハブ129に取り付けられ、その中央領域からチャック114の周辺133の方に外向きに端が飛び出す。下プレート134は、一般的に、円形状である。外周の突出フランジ136及び壁138は、肩142、底の凹部及び凹部の床144を定める。肩142は、結合リングベアリング176(後述される)のための空間をヒーターアセンブリ130に提供する。底の凹部140は、レリーフをリングギア244(後述される)に提供する。下プレート134の内側は、ヒーターフィルム164を受け入れるために凹み、ヒーターフィルム164は、凹部の床144上に適合する。下プレート134は、部品又は回転駆動機構を回転可能に収容するためのチャンバ145を含み、チャンバ145は後述される。チャンバ145は、下プレート134の外周の方にオフセットされる。下プレート134は、望ましくは、アルミニウム、例えば6061-T6アルミニウムから構成される。
【0039】
上プレート146は、適切な結合方法によって下プレート134に固定される。任意の適切な固定具を用いて、上プレート146を下プレート134に取り外し可能に取り付けてもよい。上プレート146は、一般的に、上プレート146と下プレート134との間にヒーターフィルム164を確実に挟み、クランプするように、下プレート134に接続されるように構成される。上プレート146は、一般的に、円形状であり、その外周150で突出フランジ148を含む。フランジ148は、上プレート146と下プレート134との間にリングベアリング176をクランプするためのポケットを効果的に定めるように、肩142に突出する。フランジ148と壁138との間のギャップ156は、間隙を提供し、リングベアリング176の強いクランピングを確実にする。上プレート146は、望ましくは、アルミニウム、例えば6061-T6アルミニウムから構成される。
【0040】
ヒーターフィルム164は、任意の適切な薄膜加熱機構でもよい。一実施形態では、ヒーターアセンブリの実施形態は、所望の処理温度まで、例えば、25℃から300℃までの範囲の温度に加熱可能でもよい。他の実施形態では、適切な温度範囲は、25℃から150℃であり、好ましくは30℃から120℃であり、より好ましくは40℃から110℃である。
【0041】
例示的実施形態では、ヒーターフィルムは、カプトンスタイルの薄膜複合構造を有し、厚さ0.007インチ及び直径10.75インチならびに1.5kWの加熱電力を有する。この実施形態は、208Vの単相電力で動作してもよく、適切な最大温度で、例えば200℃までの温度で評価可能である。1つの図示する処理方法では、この実施形態は、105℃の公称ヒーター温度で動作する。
【0042】
ヒーターアセンブリ130は、処理の全部又は一部の間、チャック114に保持される基板102に熱を届けるように作動する。加熱基板102は、多くの有用な機能を提供する。1つの機能によれば、加熱は、ノズル112から基板102上へディスペンスされる処理媒体の有効性を改善するのを助ける。例えば、ヒーターアセンブリ130が特定温度範囲内に維持されるとき、いくつかのクリーニング媒体は、所望の結果を達成するために、より選択的でもよい。低温処理のようないくつかのクリーニング処理では、加熱はまた、除去された粒子がウェーハ上へ再堆積するのを防止するために重要になりうる(熱拡散効果)。加熱システムを用いて、基板102全体の温度不均一を改善し、処理スプレー106とプロセスチャンバ条件との間の温度差に基づく温度によって誘発された応力を最小化してもよい。例えば、加熱しない場合、冷たい処理流体を用いることは、基板を物理的に歪めうる。加熱は、均一の基板温度を維持し、過度の歪曲を回避するのを助ける。加熱はまた、除去された粒子がクリーニングされた基板表面上に再堆積するのを防止するのを助ける。加熱は、基板処理の間、大きな温度変化により可動チャック114又は基板102上での凝結の可能性を減少させることができる。
【0043】
処理の間、基板102自体の温度を直接監視することは、実用的観点から困難になりうる。対照的に、温度センサは、ベースプレートの下側の温度を正確に測定し、制御するために、より容易に配置されうる。これらのセンサは、基板102からいくらか離れた位置にあるため、基板102に到達する実際の定常状態温度は、ベースプレート124の下側上の制御温度より低い。例えば、一実施形態では、ベースプレート124の下側の制御温度が105℃の場合、SenseArrayウェーハを用いて測定される「ウェーハ上の」温度は、85℃と90℃との間にあった。このように、オフセットが、「ウェーハ上の」所望の制御温度とヒーター制御温度との間に存在する。このオフセットは、望ましくは、所望の「ウェーハ上の」温度を達成するために考慮され、所定のツール及び処理方法のために経験的に決定可能である。ベースプレート124の下側で温度を検出し、制御することは、この温度が基板温度に正確に相関する傾向があるとき、効果的である。
【0044】
第2チャック部168は、第1チャック部122に回転可能に結合され、第2チャック部168は、回転軸116の周りで第1チャック部122に対して独立して回転する。第2チャック部168は、基板102を保持する。したがって、第2チャック部168の回転は、対応する回転を基板102に与える。
【0045】
第2チャック部168は、一般的に、第2チャック部168内に組み込まれる回転プレート170及び基板保持特徴(後述される)を含む。回転プレート170は、パネル171及びパネル171の外周のリム172を含む。リム172は、その内部に凹部174を含み、リングベアリング176を保持するための場所を提供する。ヒーターアセンブリ130は、回転プレート170の内側に適合する。回転プレート170が回転するとき、回転プレート170とヒーターアセンブリ130との間のギャップ154は、これらの2つの部品間の摺動接触を回避する。図示の一実施形態では、回転プレート170は、アルミニウム、例えば6061-T6アルミニウムから製造される。回転プレート170は、後述される回転駆動システム228によって回転駆動される。
【0046】
回転プレート170がヒーターアセンブリ130及びベースプレート124より上に、かつ、ヒーターアセンブリ130及びベースプレート124に接触せず回転可能に懸架されるように、第2チャック部168は、リングベアリング176によって第1チャック部122に回転可能に結合される。リングベアリング176は、内レース178、外レース180、ボール182及びリテーナ184を含む。内レース178は、下プレート134上の突出フランジ136と上プレート146上のフランジ148との間でヒーターアセンブリ130にクランプされる。外レース180は、第2チャック部の回転プレート170と回転駆動機構228のリングギア244との間にクランプされる。この構成では、外レース180は、第2チャック部168に対して固定され、一方、内レース178は、第1チャック部122に対して固定される。それゆえ、リングベアリング176は、回転可能なインタフェースを提供し、回転可能なインタフェースによって、回転プレート170は、回転軸116の周りで第1チャック部122と独立して回転することができる。下プレート134とリングギア244との間のギャップ158によって、ヒーターアセンブリ130とリングギア244との間で接触することなく、回転が発生することができる。リングギア244とベースプレート124との間のギャップ160によって、リングギア244とベースプレート124との間で接触することなく、回転が発生することができる。リングベアリング176によって、回転するチャック部品と回転しないチャック部品との間の最小の回転ギャップは、回転プレート170とヒーターアセンブリ130との間の有効な伝熱を可能にする。
【0047】
図示の一実施形態では、リングベアリング176は、薄いセクションを有し、潤滑油の注入のための低ガス放出グリースを用いる回転ケージのない設計である。リングベアリング176は、440Cステンレス鋼から構成されてもよい。リングベアリング176は、ケージの代わりに、窒化ケイ素のロードボール及びTorlon(PAI)4203Lのスペーサボールを用いてもよい。リングベアリング176は、4点ラジアルコンタクト設計を用い、10%充填の低ガス放出グリース(Nyetorr 5300xp)を用いてもよい。
【0048】
回転駆動システム228は、チャック114内に組み込まれ、それゆえ、チャックがプロセスチャンバ110を通り並進するとき、チャック114とともに並進する。回転駆動システム228は、第1チャック部122に対して独立して第2チャック部168を効果的に回転させるように、チャック114内に組み込まれる。回転駆動システム228によって、第2チャック部168及びそれゆえ基板102は、回転軸116の周りで回転する。回転駆動システム228は、要望どおり、いずれの方向の回転、例えば、時計回り又は反時計回りのいずれかの回転を生ずるように作動可能である。
【0049】
回転駆動システム228は、一般的に、モータ230、駆動ギア232、シャフト234、アダプタ236及びリングギア244を含む。モータ230は、回転駆動軸240を提供するように、ベースプレート124の下側に取り付けられ、回転駆動軸240は、中央に位置する回転軸116から、チャック114の周辺の方に半径方向外向きにオフセットされる。それゆえ、モータ230は、回転軸116に平行であるが、回転軸116から間隔を置かれる軸240に回転駆動力を提供する。このように、リングギア244に近接していることによって、より中央に位置するモータと比較すると、より小さいモータが所望のレベルの回転力をリングギア244に適用することができ、より中央に位置するモータは、リングギア244より中央の位置から同じ駆動力を適用するのにより大きい必要がある。実際的な効果において、リングギア244をその中央からよりもむしろ半径方向にオフセットされた位置から駆動することによって、より多くのトルクが、所定のサイズのモータから利用可能である。例えば10:1の減速ギアについては、例えば、駆動できる荷重の量は、モータシャフトの1/10の回転速度で10倍に増加した。1つの実行モードでは、設定される平歯車は、小さい12個の歯の駆動ギア232と、より大きい120個の歯の駆動リングギア244と、を備える。比較的小さいモータから大きいトルクをリングギア244に与える能力は、著しく有利な効果を提供する。
【0050】
他の有利な効果として、この方法によって、チャック114が前後に並進するとき、他のチャンバ特徴を妨害又は衝突することなく、モータ230は、チャンバ110の内側に容易に適合するのに十分小さくすることができる。より中央に位置するモータ及び/又はより大きなモータに適合することは、潜在的な妨害又は他の干渉によりプロセスチャンバ内に適合するのがより困難である。オフセットモータの追加の有利な効果は、(その出力に直接関連する)そのフレームサイズが減速ギアによってより小さい空間枠内でより容易に保持できるということであった。この減少は、ベルト及びプーリーセット等によって達成されうるが、一方、ギアセットを使用することは、転がり接触を促進し、それゆえ、材料がすれたり、粒子を生成したりしないようにするのを助ける。ギアの歯に適用される低ガス放出の真空向きのグリースは、低摩擦を支持し、摩耗及び粒子生成を最小化する追加の強化であった。10:1の減速ギアについては、例えば、駆動できる荷重の量は、モータシャフトの1/10の回転速度で10倍に増加した。1つの実行モードでは、設定される平歯車は、小さい12個の歯の駆動ギア232と、より大きい120個の歯の駆動リングギア244と、を備える。
【0051】
モータ230は、モータシャフト234によって駆動ギア232に回転可能に結合され、アダプタ236を用いて、シャフト234を駆動ギア232に結合する。押えねじ238は、シャフト234をアダプタ236に固定する。モータ230は、時計回り又は反時計回りの方向のいずれかに駆動歯車232を回転させるように作動可能である。本明細書では、時計回り又は反時計回りのいずれかの回転の方向は、回転部品を見下ろしている装置100の平面図に対するものである。モータ230は、リングベアリング176に対して用いられるのと類似の低ガス排出潤滑油を注入されてもよい。
【0052】
モータ230の例示的実施形態は、600rpmで、0.235Nmを提供する(67VDCで1.0アンペア)。図示の実施形態において実行されうる10:1の減速ギアについては、これは、60rpmの回転プレート速度で2.35Nmまでを与えうる。この種の実施形態は、真空環境内で175℃まで評価可能である。この種の実施形態は、1回転当たり200ステップであり、1ステップ当たり1.8度を含むことができる。最初の使用の前に、この種のモータは、150℃から200℃で24時間プリベークされ、揮発性の材料を放出するのを助けることができる。
【0053】
駆動ギア232は、モータ230によって回転駆動軸240の周りで回転可能に駆動される。駆動ギア232は、ヒーターアセンブリ130の下プレート134の下側に提供されるチャンバ145内に回転可能に収容される。ベースプレート124の下側に取り付けられるモータ230を伴って、モータシャフト234及びアダプタ236は、ベースプレート124の開口126を通り適合し、駆動ギア232をチャンバ145内に位置決めする。図示の一実施形態では、駆動ギア232は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から作られ、1.359インチの直径の12倍の外部の歯を特徴とする。この種の実施形態に対してコンパクトな駆動構成を提供するために、駆動ギア232は、厚さ0.165インチでもよい。
【0054】
駆動ギア232は、リングギア244に係合する。リングギア244の外部領域246は、回転プレート170のリム172の下側に取り付けられる。それゆえ、リングギア244が駆動ギア232によって駆動されるとき、対応する回転は、同様に回転プレート170にも与えられる。駆動ギア232がオフセットされた回転駆動軸240の周りで回転し、一方、リングギア244は、中央に位置する軸116の周りで回転する。リングギア244の上面250は、クランプ作用を提供し、リングベアリング176の外レース180を適所に保持するのを助ける。リングギア244の内部領域248は、駆動ギア232に係合する内壁上のギアの歯を備える。望ましくは、駆動ギア232の歯は、リングギア244の歯よりわずかに広く、垂直スタック許容度に適応する。
【0055】
図示の一実施形態では、リングギア244は、PEEKから作られ、11.845インチの外径における厚さが0.125インチである120倍の内部歯を特徴とする。図示の実施形態で上述した駆動ギア232の有するギアセットの一部として、これは、4.900インチの動作中央距離において10:1のギア比を提供する。105℃の図示する動作温度で、ギアのPEEK材料は、主に摩擦に耐えるため、全回転抵抗に打ち勝つのに必要なものより約20倍大きい静的トルクを安全に取り扱う。ギアの歯は、望ましくは、リングベアリング176のために用いられるような低ガス排出グリースの軽いコーティングで潤滑油を注入される。
【0056】
1つの実行モードでは、チャック114は、ノズル112の下の1つ又は複数の経路において300mm/秒までの速度で予め設定された運動プロファイルを用いて並進し、予め設定された運動プロファイルは、ノズルスプレー106のすべての基板エリアに対する均一の被覆を可能にする。本実施形態では、チャック114が並進するとき、チャック114は、120RPMまでの速度で回転してもよい。ヒーターアセンブリ130を105℃までの温度に維持することにより基板を加熱することによって、最小の再堆積の粒子除去が可能になる。
【0057】
動作中、モータ230は、望ましい速度及び方向でシャフト234を回転駆動する。次に、シャフト234は、回転駆動軸240の周りで駆動ギア232を回転させる。これは、処理中に、連続的に又は断続的に行われうる。回転速度は、望ましい速度プロファイルに従って維持又は変化することができる。回転は、時計回り及び/又は反時計回りに発生することができる。駆動ギア232はリングギア244とかみ合い、中央に位置する回転軸116の周りでリングギア244を回転させる。回転プレート170に取り付けられたリングギアを用いて、これは、回転軸116の周りの対応する回転を回転プレート170に与える。リングベアリング176により提供される回転インタフェースによって第1チャック部122に結合される回転プレート170を用いて、リングギア244及び回転プレート170のアセンブリは、第1チャック部122と独立して回転する。
【0058】
回転可能かつ並進可能なチャック114は、並進機構188に取り付けられる。並進機構188は、ノズル112の下の経路206に沿って可動チャック114を効果的に並進させるように、チャック114に結合されることによって、マイクロ電子基板102は、ノズル112からディスペンスされる処理スプレー106を通り移動することができる。実際的な効果において、チャック114の並進は、オプションで基板102が回転するとき、ノズル112が基板102全体を走査するのを助ける。チャック114の並進により、チャック114の回転軸116がチャンバ110内の1つの位置から他の位置へ移動するという点で、並進は回転と区別可能である。回転時には、回転軸116とチャック114との間の相対的な位置は、チャック114がそれゆえ並進軸116がチャンバ110内で並進するとしても、変化しない。
【0059】
並進機構188は、支持アーム192、並進ロッド194、レベリング機構200及び並進駆動システム202を含む。チャック114のベースプレート124は、並進機構に取り付けられる。したがって、並進機構188の作動によって、チャック114の対応する並進が生じる。ベースプレート128の一端128は、支持アーム192の上部に結合され、ベースプレート124は、支持アーム192から外向きに端が飛び出す。レベリング機構200は、要望通り、ベースプレート124のレベリングを調整するのに用いられる。
【0060】
各支持アーム192のベースは、対応する並進ロッド194に接続され、並進ロッド194の第1端196は、支持アーム192に接続され、第2端198は、並進駆動システム202に結合される。並進ロッド194の部分は、プロセスチャンバ110の外側の部分を含む。ロッド194が作動し、前後に並進するとき、ロッド194の連続部分は、チャンバ110により提供される保護された筐体(しばしば低温処理の場合、真空筐体である)に入るか又は当該筐体から出る。封止インタフェースは、ロッド194のための収容出口204で環境的な密封を提供し、この並進の間のチャンバ110の内側の保護環境、例えば真空を維持するのを助ける。
【0061】
並進駆動システム202は、ロッド194の作動を可能にするために、任意の電気的、機械的、電気機械的、液圧又は空気圧のデバイスを備えてもよい。並進駆動システム202は、マイクロ電子基板102の所望の並進を可能にするのに十分な運動の範囲を提供するように設計され、ロード、アンロード及び処理動作を容易にしてもよい。例えば、処理の間、基板102は、ノズル112から放射する処理スプレー106のエリアを通り少なくとも部分的に走査される。処理の間、基板102は、ノズル112の下で基板102の直径の一部又は全部にわたり適切な速度で、例えば300mm/秒までで並進可能であり、ノズル112は、基板102の所望の部分を走査する。多くの実施形態では、処理スプレー106は、基板102の全表面を処理するように実行される。チャック114の並進運動に関連して、基板102は、回転し、完全な表面処理を支援する。
【0062】
チャンバ110内にディスペンスされる処理材料は、真空システム208を用いて真空にされてもよい。真空システム208を用いてまた、プロセスチャンバ110を大気中より低い適切な処理圧力に確立し、維持してもよい。真空システム208は、1つ又は複数のポンプを含み、真空圧を望ましいレベルに可能にしてもよい。
【0063】
(1つ又は複数の統合された制御装置を含んでもよい)制御システム220を用いて、プロセス情報を監視し、受信し、及び/又は、格納してもよい。例えば、制御システム220は、メモリ222を含んでもよく、メモリ222は、処理方法、コマンド構造、ユーザインタフェース、リアルタイムプロセス情報、プロセス情報の履歴、供給、温度制御、圧力制御、加熱制御、チャックの浮上及び回転、チャックの並進、基板のロード及びアンロード、チャック114上の基板固定、プロセス制御フィードバック等を格納する。制御システム220は、これらの動作を実行し、命令及び他の信号を、ネットワーク226を通じて受信し、当該命令及び他の信号を出すコンピュータプロセッサ224を用いてもよく、ネットワーク226は、システム100の他の部品とのインタフェースとなる。例えば、制御システム220は、ヒーターアセンブリ130を制御し、基板の温度102を調整し、例えば、熱変形を最小化し、及び/又は、基板102上又はチャック114上の凝結を防止してもよい。
【0064】
基板保持システム276を用いて、チャック114上の基板102を保持するのを助けてもよい。基板保持システムは、一般的に、静的保持部材278及び能動的保持部材292を含む。図示の一実施形態では、チャック114は、チャック114の外周の周りで均一に間隔を置かれる3つ以上の能動的保持部材を含む。各静的保持部材278は、パッド280を含み、パッド280は、高い部分282及び低い部分284を備える。統合された傾斜する後部286は、パッド280から上方に突出する。使用中、基板102の外周は、パッド280の高い部分282上で支持され、ギャップ288は、基板102とチャック114の上面120との間に提供される。これは、高い部分282上に置かれた基板102の裏側のちょうどそれらのエリアに対する接触を制限し、基板102に対する裏側の接触を最小化する。傾斜する後部286は、統合された外側のバリアを提供し、基板102を横方向に抑制する。後部286は、傾斜し、リフトピンシステム252を用いて、チャック114から基板102を適当にロード及びアンロードするのを確実に助けるためのガイドとして機能する。
【0065】
ギャップ290が後部286と基板102との間に存在し、基板接触のさらなるエリアを回避してもよい。一般的に、静的保持部材278の受動的拘束システムは、基板102のための優れた保持を多くの異なる種類の処理において提供する。例えば、処理スプレー106が1分当たり約180標準リットル(SLM)未満の流量で基板102上にディスペンスされ、一方、回転プレート107が回転軸116の周りで約60rpm未満の速度で回転するいくつかの処理において、基板102は、これらのバリア内に含まれ、安定である傾向がある。しかしながら、より高い流量及び/又はより高い回転速度では、基板102は、垂直に上昇する傾向がありうる。能動的保持部材292は、この種の垂直上昇を防止するのを助けるために提供される。(例えば、処理材料を基板102上に低温でディスペンスする結果として生じうる)基板102における温度差はまた、保持問題を生じうる。基板のエッジと中央との間に十分な温度差があると、例えば、基板はゆがみうる。ゆがんだ状態の基板は、静的保持部材278によってもはや半径方向に拘束できないことがある。ゆがんだ基板は、チャック114から横方向に出てしまうことがある。能動的保持部材292はまた、この種の条件下でゆがんだ基板102を保持するのを助ける。
【0066】
能動的保持部材292は、ピボット軸296の周りで回転するピボットアーム294を含む。いくつかの実施形態のピボット軸296は、一般的に、チャック114の上面120に対して垂直であり、それゆえ、基板102の主面に対して垂直である。ピボットアーム294の第1端298は、自由に回転するカムローラ302によって構成される。ピボットアーム294の第2端300は、基板102の外縁に突出する突出拡張を有するリテーナヘッド304によって構成され、垂直上昇を防止するのを助ける。コンパクトなプロファイルのために、ピボットアーム294は、チャック114の回転プレート170の厚さ内に含まれる。
【0067】
ピボットアーム294は、ピボット軸296の周りで回転し、基板を保持する、又は、閉鎖する位置にすることができ、その位置では、リテーナヘッド304が基板102から突出する。代替的には、ピボットアーム294は、開放構成に回転するように作動されることによって、基板102は、チャック114上に配置可能になる、又は、チャック114から開放及び取り外し可能になる。図示の実施形態では、ピボットアーム294は、初期設定の閉鎖する、又は、基板を保持する位置から偏る。作動は、この偏りに打ち勝ち、基板のロード及びアンロードのためにチャック114へのアクセス及びチャック114からのアクセスを開放する。能動的保持部材292を開閉する作動方法の一実施形態は、リフトピンシステム252内に組み込まれる。
【0068】
リフトピンシステム252を用いて、基板102をチャック114上で昇降させる。さらに、リフトピンシステム252は、能動的保持部材292の作動により、基板102の昇降を調整する能力を含む。この調整された作動によって、それらの部材292は、昇降作用の間、自動的に開放及び閉鎖することができる。
【0069】
リフトピンシステム252は、一般的に、作動駆動254、シャフト256、結合器258、ヨーク260、リフトピン268、作動ピン270及び圧力差動装置274を含む。作動駆動254は、シャフト256に結合され、要求に応じてシャフト256を昇降させるように構成される。この実施形態では、シャフト256は、上下に移動するが、回転方向には固定される。シャフト256はまた、結合器258によってヨーク260に結合される。したがって、シャフト256の上下の作動は、ヨーク260に与えられる。典型的には、駆動254は、プロセスチャンバ110の外側にあり、ヨーク260及びヨーク260上に支持される部品は、プロセスチャンバ110の内側にあり、シャフト256は、プロセスチャンバ110の部分的に内側かつ部分的に外側にある。チャンバ110の内側のシャフト256の部分は、シャフト256が上下する程度に依存する。適切な封止は、シャフト256がハウジング108を通過するインタフェースに提供され、チャンバ110の内側で所望の条件を維持するのを助ける。差動装置274は、上昇するシャフト256上の2つの封止間の真空ポートであり、シャフト256が上下に作動するときの差動封止(a differential seal)を維持するのを助ける。例えば、差動装置274は、フォアライン排気に接続され、摺動するシャフトの通過で差動封止を達成してもよい。差動装置274は、チャンバ圧力より低い圧力に維持され、シャフトの作動から生成される漏れ又は汚染がチャンバ110から清浄のために運び去られてもよい。
【0070】
ヨーク260は、結合器258によってシャフト256に結合される中央領域261を含む。アーム262は、中央領域261から外向きに延在する。アーム262の内端264は、中央領域261に結合される。アーム262の外端266は、リフトピン268及び作動ピン270を支持する。作動ピンは、傾斜頂端272を含む。中間部品を介してシャフト256に結合され、シャフト256の上下の作動は、対応する上下運動をリフトピン268及び作動ピン270に与える。
【0071】
第1動作モードにおいて、リフトピンシステム252は、下降した構成にある。この構成において、リフトピン268及び作動ピン270は、チャック114の上面120の平面より下にある。この構成は、基板102がチャック114上に保持されるとき、有用である。下降した構成は、リフトピンシステム252がプロセス処理に干渉しないようにするのを助ける。下降した構成はまた、チャンバ110が空で、処理のために用いられないとき、リフトピンシステム252を置くために用いてもよい。
【0072】
第2動作モードにおいて、リフトピンシステム252は、上昇した構成にある。この構成において、リフトピン268及び作動ピン270は、チャック114の上面120より上に上昇する。この構成において、リフトピン268は、チャック114から離して基板102を上昇させてもよかった。この種の上昇位置から、基板102は、適切なハンドリング機構によってチャンバ110から取り出されてもよい。代替的には、リフトピン268は、上昇し、基板をチャンバ110内に受け取る準備ができていてもよい。
【0073】
第3の動作モードにおいて、リフトピンシステム252は、上昇位置と下降位置との間で移動中でもよい。下降させることは、基板をチャック114上に移動するのを助ける、又は、リフトピンシステム252を置くのに有用である。上昇させることは、チャック114から基板を離して移動するのを助ける、又は、リフトピン268を上昇させ、空である場合、新規な基板を受け取るのに有用である。
【0074】
図13図16に、作動ピン270の機能が最良に示される。作動ピン270を昇降させることは、リフトピン268の昇降によって調整され、能動的保持部材292は、開放可能であり、基板をチャック114に及びチャック114から移動することができる、又は、閉鎖可能であり、基板をチャック114上に保持するのを助ける。リフトピン268が上昇した構成又は移行する構成にあるとき、開放構成が有用である。リフトピン268が下降した構成にあるとき、閉鎖構成が有用である。
【0075】
作動ピン270が下降するとき、ピボットアーム294は、閉鎖構成において能動的保持部材292を保持するために偏る。図示する実行モードにおいて、ピボットアーム294は、ピボットアーム294に作用する1つ又は複数の圧縮スプリングによって固く止められ、突出する閉鎖位置(いくつかの実行モードでは、基板エッジに接触しない)に偏る。リフトピンシステム252が上昇するとき、作動ピン270もまた上昇し、チャック114の端でカムローラ位置に対応する垂直経路に沿って移動する。作動ピン270が上昇するとき、傾斜又は円錐の頂端272は、対応するカムローラ302と係合する。このようにして、圧縮スプリングの偏りは、作動ピンのカムローラ302に対する回転作用によって対抗される。作動ピン270がさらに上昇するとき、作動ピン270は、ピボットアーム294をさらに押す。カムローラ302の回転作用は、摩擦を減少し、より純粋な摺動係合の結果として生じうるデブリ生成のリスクを減少するのを助ける。作動ピンが第2端300を押すとき、ピボットアーム294は、ピボット軸296の周りで回転する。この作用は、第1端298をチャックから離れて開放構成に回転させる。これは、ピボットアーム294の対向する側上のリテーナヘッド304を外向きに押す。それゆえ、基板102は、解放され、リフトピン268が基板102を上昇させることができる。換言すれば、作動ピン270を上昇させることは、ピボットアーム294の第1端298に対して内向きに押すことによって、能動的保持部材292を開放する。
【0076】
リフトピンシステム252を下降させることは、作動ピン270を下降させ、作動ピン270とカムローラ302との接触を取り除く。第1端298は、部材292を外向きに回転し、閉鎖構成に戻し、閉鎖構成では、リテーナヘッド304は、載置された基板102のエッジから突出する。作動ピン270を下降させることによって、ヨーク260を上昇するプラットフォームとして用いることが、リフトピン268及び作動ピン270の両方のために装置100の複雑さを著しく減少し、コスト、ツールの取り付け面積及び汚染のリスクを減少する。
【0077】
図1は、システム100の第1構成を概略的に示し、第2チャック部168は、第1チャック部122に対して回転軸116の周りで回転し、一方、並進機構188は、チャック114を並進経路206に沿って並進させる。この第1構成では、チャック114は、処理を開始するために、ノズル112が基板102のエッジの近傍にあるように位置決めされる。この位置はまた、ノズル112が、基板102の並進及び回転により基板102全体の走査を終了した後、処理の適切な終了である。この第1構成とは対照的に、図17は、装置100の第2構成を示し、チャック114の経路206に沿ったさらなる並進は、ノズル112とチャック114との間の相対運動を引き起こし、ノズル112は、ここで、エッジから中央104まで基板102全体を走査してきた。
【0078】
図18は、図1の装置100の第3の構成を示し、第2チャック部168は、回転しておらず、チャック114は、ノズル112が基板102から離れるように、プロセスチャンバ110内の位置まで並進され、これは、処理の前か後に発生しうる、又は、基板102がプロセスチャンバ110内にロードされる又はプロセスチャンバ110から取り出されるときに発生しうる。
【0079】
この明細書全体にわたる「一実施形態」又は「実施形態」に対する参照は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらがすべての実施形態において存在することを意味するわけではない。それゆえ、この明細書全体にわたるさまざまな場所における「一実施形態では」又は「実施形態では」というフレーズの出現は、本発明の同じ実施形態を必ずしも参照するというわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料又は特性は、1つ又は複数の実施形態の任意の適切な方法において組み合わせてもよい。さまざまな追加の層及び/又は構造は、含まれてもよいし、及び/又は、記載されている特徴は、他の実施形態において省略されてもよい。
【0080】
本明細書で用いられる「マイクロ電子基板」又は「基板」は、一般的に、処理装置、例えば本発明に従う装置内で処理されている物体又はワークピースを意味し、この種の物体又はワークピースは、マイクロ電子デバイスの全部又は一部を構成することを意図する。マイクロ電子基板は、デバイス、特に半導体又は他の電子デバイスの任意の具体的な部分又は構造も含んでもよく、例えば、ベース基板構造、例えば半導体基板でもよく、又は、ベース基板構造上の層又は被覆、例えば薄膜でもよい。このように、基板は、任意の特定のベース構造、下層又は被覆層、パターニングの有無に限定されることを意図せず、むしろ、任意のこの種の層又はベース構造及び層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むように考察される。以下の説明は、特定のタイプの基板を参照しうるが、これは図示のためだけであり、限定するためではない。マイクロ電子基板に加えて、本明細書において記載されている技術を用いてまた、レチクル基板をクリーニングしてもよく、レチクル基板は、フォトリソグラフィ技術を用いてマイクロ電子基板のパターニングに用いられてもよい。
【0081】
上述した説明において、具体的な詳細、例えば処理システムの特定の形状及びそのときに用いられるさまざまな部品及びプロセスの説明が記載されてきた。しかしながら、本明細書における技術がこれらの具体的な詳細から逸脱する他の実施形態において実行されてもよく、この種の詳細が説明のためだけであり限定のためではないことを理解されたい。本明細書において開示される実施形態は、添付の図面を参照して記載されてきた。同様に、説明のために、特定の数、材料及び構成は、完全な理解を提供するために記載されてきた。それにもかかわらず、実施形態は、この種の具体的な詳細なしで実行されてもよい。実質的に同じ機能構造を有する部品は、同様の参照符号によって示され、それゆえ、いかなる冗長な説明を省略してもよい。
【0082】
さまざまな技術は、各種実施形態の理解を支援するために、複数の別々の動作として記載されてきた。説明の順番は、これらの動作が必然的に順番に依存することを示唆するものとして解釈されてはならない。実際、これらの動作は、提示された順番で実行される必要はない。記載されている動作は、記載された実施形態とは異なる順番で実行されてもよい。さまざまな追加の動作が実行されてもよい、及び/又は、記載された動作が追加の実施形態において省略されてもよい。
【0083】
当業者はまた、本発明と同じ目的を依然として達成しながら、上述した技術の動作に対して多くのバリエーションが可能であることを理解する。この種のバリエーションは、この開示の範囲によってカバーされることを意図する。このように、上述した本発明の実施形態は、限定することを意図しない。むしろ、本発明の実施形態に対する任意の限定は、以下の請求項において提示される。
【0084】
本明細書において引用されるすべての特許、特許出願及び刊行物は、それらのそれぞれの全内容がすべての目的のために参照によって組み込まれる。上述した詳細な説明は、理解を明確にするためだけに与えられてきた。不必要な限定は、そこから理解されるべきではない。本発明は、示された及び記載された厳密な詳細に限定されず、当業者にとって明白なバリエーションは、請求項により定義される本発明内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18