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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】超音波ロボット用具の作動
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220829BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20220829BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B34/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019533353
(86)(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 IB2017057703
(87)【国際公開番号】W WO2018116044
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】15/386,516
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カーク・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】フェルダー・ケビン・ディー
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189184(JP,A)
【文献】特表2016-514012(JP,A)
【文献】国際公開第2007/014215(WO,A2)
【文献】特表2015-524683(JP,A)
【文献】特表2016-518913(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02415418(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276723(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173840(US,A1)
【文献】米国特許第05582617(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用具であって、
ハウジングと、
前記ハウジングを通って延在し、前記ハウジングから遠位に延在するシャフトアセンブリであって、ブレードと、前記ブレードに枢動可能に結合されたクランプアームと、を有する遠位端部を有する、シャフトアセンブリと、
第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータと、複合歯車と、を含む、作動アセンブリと、
前記ハウジング内に配置され、前記シャフトアセンブリの周囲に摺動可能に配置されたヨークであって、前記クランプアームと前記第1のアクチュエータとの間に動作可能に結合され、そのため、前記第1のアクチュエータの移動が、前記シャフトアセンブリに沿った前記ヨークの長手方向の並進を生じさせ、それによって、開放位置と閉鎖位置との間で前記クランプアームを移動させる、ヨークと、を備えており、
前記第1のアクチュエータが、直線的に並進して、第1の方向における前記ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成されており、
前記第2のアクチュエータが、直線的に並進して、第2の方向における前記ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成され、前記第2の方向が、前記第1の方向と反対方向であり、
前記複合歯車は前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを前記ヨークに動作可能に結合しており、前記複合歯車は、第1の歯車と、第2の歯車であって、前記第1の歯車と前記第2の歯車が一緒に回転するように前記第1の歯車と連結された第2の歯車と、を含んでおり、前記第1の歯車は第1の直径を有し、前記第2の歯車は前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有している、手術用具。
【請求項2】
超音波エネルギを前記ブレードに送達するために、前記ハウジング内に配置され、前記ブレードに結合された超音波振動子を更に備える、請求項1に記載の手術用具。
【請求項3】
前記ハウジング内に配置され、前記ヨークを遠位に付勢して、前記クランプアームを前記開放位置に付勢する、少なくとも1つのばねを更に備える、請求項1に記載の手術用具。
【請求項4】
前記ヨークが前記ハウジング内で近位に移動されて、前記クランプアームを前記閉鎖位置に移動させるときに、前記ばねが圧縮するように構成されている、請求項3に記載の手術用具。
【請求項5】
前記ハウジング内に配置された第1のばね及び第2のばねを更に備え、前記ヨークの近位方向の移動の結果として、前記第1のばねの圧縮の後に、前記第2のばねが圧縮するように構成されている、請求項1に記載の手術用具。
【請求項6】
前記クランプアームが、前記ヨークの第1の範囲の運動中に、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合された組織に対して第1の力を印加するように構成され、前記クランプアームが、前記ヨークの第2の範囲の運動中に、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合された組織に対して第2の力を印加するように構成されている、請求項1に記載の手術用具。
【請求項7】
前記第1のアクチュエータが、第1の距離を移動して、前記ヨークに第2の距離を移動させるように構成され、前記第1の距離が、前記第2の距離よりも大きい、請求項1に記載の手術用具。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータが、前記ヨーク上に形成され、前記ハウジングの開口部を通って延在する、少なくとも1つの突出部を備える、請求項1に記載の手術用具。
【請求項9】
前記ハウジングが、ロボット手術システムのロボットアームの駆動装置に結合するように構成されている、請求項1に記載の手術用具。
【請求項10】
前記第1の歯車と前記第2の歯車は、回転軸を共有している、請求項1に記載の手術用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、手術用具のエンドエフェクタのクランプアームの枢動を制御するための方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術(minimally invasive surgical、MIS)器具は、多くの場合、術後の回復時間の短縮及び最小限の瘢痕のため、従来の開腹手術装置よりも好ましい。腹腔鏡手術は、1つ以上の小切開が腹部に形成され、トロカールが切開を通して挿入されて、腹腔へのアクセスを提供する経路を形成する、MIS手技の一種である。トロカールを使用して、様々な器具及び用具を腹腔内に導入し、並びに腹腔壁を臓器の上に持ち上げるための送気を提供する。診断又は治療効果を達成するために、これらの機器及び用具を使用して、多くの方法で組織と係合、及び/又は組織を処置することができる。内視鏡手術は、細長い可撓性シャフトが自然の開口部を通して体内に導入される、別の種類のMIS手技である。
【0003】
内視鏡手術器具は、多くの場合、より小さな切開部が手術後の回復時間及び合併症を低減させる傾向にあるために、従来の開腹手術装置よりも好ましい。したがって、多大な開発努力により、遠位のエンドエフェクタを、トロカールのカニューレを通じて所望の手術部位に正確に配置するのに適した、広範囲の内視鏡外科器具が開発されるに到った。これらの遠位のエンドエフェクタは、診断又は治療効果を得るために様々な方式で組織と係合する(例えば、エンドカッター、把持器、カッター、ステープラ、クリップ適用器、アクセス装置、薬剤/遺伝子治療用送達装置、及び超音波、高周波、レーザなどを使用するエネルギ装置など)。
【0004】
いくつかの内視鏡手術は、組織の把持、組織の切断、組織の封止、及び/又は組織の解放の支援などの機能を行うことができる、細長いシャフトの遠位端部に位置付けられたエンドエフェクタを有する手術用具を必要とする。そのような機能は、手術用具内の機構を起動させるために、機械的駆動源(例えば、ツールドライバ)からの少なくとも1つの入力が必要であり得る。これらの機構及び入力は、不必要な複雑さ、大きさ、重量、及びコストを内視鏡手術用具に加え得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
手術用具のエンドエフェクタのクランプアームを枢動するための方法、システム、及び装置を提供する。一実施形態では、手術用具を提供し、手術用具は、ハウジングと、ハウジングを通って延在し、ハウジングから遠位に延在するシャフトアセンブリと、を含むことができる。シャフトアセンブリは、ブレードと、ブレードに対して枢動可能に結合されたクランプアームと、を有する遠位端部を含むことができる。手術用具はまた、ハウジング内に配置され、シャフトアセンブリの周囲に摺動可能に配置されたヨークも含むことができる。ヨークは、ハウジングから突出する第1のアクチュエータとクランプアームとの間に動作可能に結合することができ、そのため、第1のアクチュエータの移動が、シャフトアセンブリに沿ったヨークの長手方向の並進を生じさせ、それによって、開放位置と閉鎖位置との間でクランプアームを移動させる。手術用具はまた、ハウジング内に配置され、ブレードに結合された、超音波エネルギをブレードに送達するための超音波振動子も含むことができる。
【0006】
一実施形態において、手術用具は、ハウジング内に配置され、ヨークを遠位に付勢して、クランプアームを開放位置に付勢する、少なくとも1つのばねを含むことができる。ばねは、ヨークがハウジング内で近位に移動されて、クランプアームを閉鎖位置に移動させるときに、圧縮するように構成することができる。特定の態様において、手術用具は、ハウジング内に配置された第1のばね及び第2のばねを含むことができる。ヨークの近位方向の移動の結果としての第1のばねの圧縮の後に、第2のばねを圧縮するように構成することができる。クランプアームは、ヨークの第1の範囲の運動中に、クランプアームとブレードとの間に係合された組織に対して第1の力を印加するように構成することができ、クランプアームは、ヨークの第2の範囲の運動中に、クランプアームとブレードとの間に係合された組織に対して第2の力を印加するように構成することができる。
【0007】
別の実施形態において、第1のアクチュエータは、直線的に並進して、第1の方向におけるヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成することができる。手術用具は、直線的に並進して、第2の方向におけるヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成された第2のアクチュエータを含むことができ、第2の方向は、第1の方向と反対方向である。
【0008】
他の実施形態において、第1のアクチュエータは、回転して、ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成することができる。第1のアクチュエータの回転は、ハウジング内に配置された主ねじを回転させることができ、主ねじの回転は、ヨークの長手方向の並進を生じさせることができる。特定の実施形態において、ヨークは、プーリアセンブリ、レバー、又はピニオン歯車によって第1のアクチュエータに動作可能に結合することができる。第1のアクチュエータは、第1の距離を移動し、それによって、ヨークに第2の距離を移動させるように構成することができ、第1の距離は、第2の距離よりも大きくすることができる。特定の例示的な実施形態において、第1のアクチュエータは、ヨーク上に形成され、ハウジングの開口部を通って延在する、少なくとも1つの突出部を含むことができる。ハウジングは、ロボット手術システムのロボットアームの駆動装置に結合するように構成することができる。
【0009】
また、手術方法も提供され、一実施形態において、この方法は、手術ロボットの駆動装置用具上のモータを作動させて、モータに力を手術用具上のアクチュエータに印加させることを含む。アクチュエータの移動は、手術用具のハウジング内に配置されたヨークに、ハウジングを通って延在するシャフトアセンブリを中心に直線的に並進させることができる。ヨークの並進は、手術用具のエンドエフェクタ上のクランプアームを、開放位置から閉鎖位置まで移動させて、それによって、クランプアームとブレードの間で組織に係合することができる。
【0010】
特定の実施形態において、ヨークの近位並進は、ヨークを遠位に付勢する付勢部材を圧縮することができる。他の態様において、モータは、直線力及び回転力のうちの1つをアクチュエータに印加して、ヨークを直線的に並進させることができる。ヨークの第1の距離の移動は、クランプアームに、クランプアームとブレードとの間に係合した組織に対して第1の力を印加させることができ、ヨークの第2の距離の更なる移動は、クランプアームに、クランプアームとブレードとの間に係合した組織に対して第2の力を印加させることができ、第2の力は、第1の力よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することで、より完全な理解がなされるであろう。
図1】患者側部分及びユーザ側部分を含む、手術ロボットシステムの一実施形態の斜視図である。
図2】ロボットアームの用具駆動装置と摺動可能に係合した用具アセンブリを有する、図1の手術ロボットシステムのロボットアームの側面斜視図である。
図3図2のロボットアームの用具駆動装置の斜視図である。
図4A】ハウジングから延在する細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端部のエンドエフェクタと、を有する用具アセンブリの例示的な一実施形態の側面斜視図である。
図4B】ブレードに相対的に枢動可能に結合されたクランプアームを含むエンドエフェクタを示す、図4Aの用具アセンブリの遠位部分の側面斜視図である。
図4C】少なくとも1つの直線入力継手を有する、図4Aのハウジングの近位部分の側面斜視図である。
図4D】用具アセンブリのハウジング内に摺動可能に配置されたヨークを有する、図4Aのハウジングの側面斜視断面図である。
図4E】ハウジングの一部分を覆う滅菌バリアを有する、図4Aのハウジングの近位部分の側面斜視図である。
図5】2つの直線入力継手に結合されたヨークと、一対のばねを含む付勢システムと、を有する用具駆動装置の別の実施形態の部分断面図である。
図6】単一の直線入力継手に結合されたヨークと、単一のばねを含む付勢システムと、を有する用具駆動装置の更に別の実施形態の部分断面図である。
図7A】2つの直線アクチュエータによって制御されるヨークの別の実施形態の側面斜視図である。
図7B】2つの直線アクチュエータによって制御されるヨークの更に別の実施形態の側面斜視図である。
図8】複合歯車を含むヨーク及び付勢システムの別の実施形態の側面斜視図である。
図9】レバーアームを含むヨーク及び付勢システムの別の実施形態の側面斜視図である。
図10】回転出力によって制御されるヨーク及び付勢部材を有する用具駆動装置の更に別の実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくともシステム及び装置が用いられる被験者の解剖学的構造、システム及び装置が共に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手技によって決まり得る。
【0014】
一般に、手動で、及び/又はロボット手術システムと共に使用することができる、内視鏡手術を行うための用具アセンブリの様々な実施形態を提供する。用具アセンブリは、用具アセンブリのハウジング内に、及びハウジングから遠位に延在するシャフトアセンブリを含むことができる。シャフトの遠位端部は、ブレードに枢動可能に結合されたクランプアームを有するエンドエフェクタを含むことができる。例えば、そのようなエンドエフェクタの配設は、外科的手技中に組織を切断及び/又は封止するために使用することができる。組織を切断又は封止するために、クランプアームを開放構成にして、組織がクランプアームとブレードとの間に位置付けられることを可能にすることができる。クランプアームは、閉鎖構成に枢動させ、それによって、クランプアームとブレードとの間で組織を圧縮して、ブレードが組織を切断及び/又は封止することを支援することができる(超音波によるものを含む)。開放構成と閉鎖構成との間でのクランプアームによるそのような枢動は、用具アセンブリのハウジング内に摺動可能に配置されたヨークの移動によって生じさせることができる。本明細書に記載されるいくつかの用具アセンブリの実施形態において、ヨークは、1つ以上のアクチュエータ又は入力(例えば、手動入力、回転入力、及び/又は直線機械的入力)によって移動させ、それによって、クランプアームを開放構成又は閉鎖構成のいずれかに枢動させる。更に、本明細書に記載されるいくつかの用具アセンブリの実施形態は、ハウジング内に付勢システムを含み、付勢システムは、クランプアームが開放構成に付勢されるようにヨークを付勢し、それによって、力を印加して、クランプアームを閉鎖構成に枢動するために、機械的出力又は手動出力だけしか必要としない。いくつかの実施形態において、用具アセンブリは、クランプアーム及びブレードを使用して、外科的手技中に、周囲の組織に対して十分に大きな力を印加して、組織を展開することなどによって、組織展開切開用に構成することができる。
【0015】
上に示したように、一実施形態において、本明細書に開示されるシステム、装置、及び方法は、ロボット手術システムを使用して実装することができる。当業者によって認識されるように、ロボット手術システムの様々な構成要素間の電子通信は、有線であっても無線であってもよい。当業者はまた、システム内の全ての電子通信を有線とすることができること、システム内の全ての電子通信を無線とすることができること、又はシステムのいくつかの部分を有線通信とし、システムの他の部分を無線通信とすることができることも認識するであろう。
【0016】
図1は、手術ロボットシステム100の一実施形態の斜視図であり、手術ロボットシステムは、患者Pに隣接して位置付けられた患者側部分105と、患者からある距離に位置付けられたユーザ側部分107と、を含み、これらの部分は、同じ部屋内及び/又は遠隔場所のいずれかにある。患者側部分105は、一般に、1つ以上のロボットアーム110と、ロボットアーム110に取り外し可能に結合するように構成された1つ以上の用具アセンブリ120と、を含む。ユーザ側部分107は、一般に、患者及び/又は手術部位を観察するための視覚システム152と、外科的手技中にロボットアーム110及び各用具アセンブリ120の移動を制御するための制御システム154と、を含む。
【0017】
制御システム154は、様々な構成を有することができ、また、患者に隣接して、例えば手術室内に、患者の遠隔に、例えば別個の制御室内に位置付けることができ、又は2つ以上の場所に分配することができる。例えば、専用のシステム制御コンソールを手術室内に位置付けることができ、別個のコンソールを遠隔場所に位置付けることができる。制御システム154は、ユーザが、患者側部分105によって手術されている患者の手術部位を観察すること、及び/又は患者側部分105の1つ以上の部分を制御すること(例えば、手術部位で外科的手技を行うこと)を可能にする構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、制御システム154はまた、ジョイスティック、外骨格グローブ、電動重力補償マニピュレータ、又は同類のものなどの、1つ以上の手動操作のユーザ入力装置も含むことができる。これらのユーザ入力装置は、遠隔操作モータを制御することができ、これが、ロボットアーム110及び用具アセンブリ120などの手術システムの移動を制御する。
【0018】
患者側部分105はまた、様々な構成を有することができる。図1に表されるように、患者側部分105は、手術台Tに結合することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、患者側部分105は、壁に、天井に、床に、又は他の手術室の機器に取り付けることができる。更に、患者側部分105は、2本のロボットアーム110を含むように示されているが、より多い又はより少ないロボットアーム110を含んでもよい。更に、患者側部分105は、(図1に示されるように)手術台Tに対してなど、様々な位置に取り付けられた別個のロボットアーム110を含むことができる。あるいは、患者側部分105は、そこから延在する1つ以上のロボットアーム110を含む、単一のアセンブリを含むことができる。
【0019】
図2は、ロボットアーム110、及びロボットアーム110に取り外し可能に結合された用具アセンブリ120をより詳細に例示する。ロボットアーム110は、1つ以上の機械的自由度(例えば、6つ全部のデカルト自由度、5つ、又はより少ないデカルト自由度、など)に沿って、関連する用具アセンブリ120を支持し、移動させることができる。
【0020】
ロボットアーム110は、ロボットアーム110の遠位端部に用具駆動装置112を含むことができ、用具駆動装置は、用具アセンブリ120と関連付けられた制御機能を支援することができる。示されていないが、用具駆動装置112は、シャフトを有する1つ以上のモータを含むことができ、シャフトは、回転又は並進のいずれかを行い、また、用具アセンブリの様々な構成要素の運動を生じさせるように用具アセンブリに結合する。図2に示されるように、ロボットアーム110はまた、ロボットアーム110の一部となり、又はロボットアームに着脱可能に結合することができる、エントリーガイド(例えば、カニューレマウント又はカニューレ)も含むことができる。用具アセンブリ120のシャフトは、駆動装置112、及び患者内に挿入するためのカニューレを通して挿入することができる。当業者は、ロボットアームの構成が変化し得ること、及び本明細書に開示される用具アセンブリを任意のロボットアームと共に使用することができることを認識するであろう。
【0021】
図3は、用具駆動装置112をより詳細に例示する。示されるように、用具駆動装置112は、1つ以上のモータを含むことができ、例えば4つのモータ114a~114dが示されるが、モータは、以下で更に詳細に説明されるように、用具アセンブリ120と関連付けられた様々な移動及び動作を制御する。例えば、モータ114a~114dのうちのいずれも、機械的回転出力又は機械的直線出力と関連付けることができ、これらのうちのいずれも、用具アセンブリの少なくとも1つの機構を作動させるために、用具アセンブリと関連付けられた回転入力継手又は直線入力継手に結合するように構成することができる。用具駆動装置112はまた、用具アセンブリ120のシャフトを受容するために、その側壁に形成されたシャフト受容チャネル116も含むことができる。他の実施形態において、シャフトは、用具駆動装置112の開口部を通って延在することができるか、又は2つの構成要素が様々な他の構成で嵌合することができる。
【0022】
図4A図4Eは、シャフト224の近位端部に結合されたハウジング222と、シャフト224の遠位端部に結合されたエンドエフェクタ226と、を有する、用具アセンブリ220の例示的な一実施形態を例示する。エンドエフェクタ226は、ブレード229に対して枢動するクランプアーム228を含むことができる。クランプアーム228は、クランプアーム228及びブレード229がそれらの間で組織を受容するように構成されている(例えば、図4Bを参照されたい)開放構成と、クランプアーム228及びブレード229がそれらの間で組織を切断又は封止のいずれかを行うように構成されている閉鎖構成と、の間で枢動することができる。ブレード229は超音波とすることができ、また、超音波エネルギをブレード229に提供するトランスデューサ223と連通していることができる。例えば、ハウジング222は、ブレード229において機械的運動(例えば、振動)を共に発生させる圧電素子を有する(図4Dに示されるような)トランスデューサ223を含むことができる。クランプアーム228とブレード229との間で組織を圧縮するための、クランプアーム228の閉鎖構成への移動は、ブレード223が組織を封止及び/又は切断するために超音波エネルギを組織へ伝達する能力を高めることができる。
【0023】
ハウジング222は、ハウジング222をロボットアーム110の用具駆動装置112に取り外し可能に結合することを支援する継手機構を含むことができる。例えば、ハウジング222は、駆動装置112内の1つ以上のモータ114a~114dによって作動させることができる機構を含むことができる。上で論じたように、モータ114a~114dのうちのいずれも、回転機械的出力又は直線機械的出力(例えば、回転シャフト又は直線並進シャフト)と関連付けることができ、これらのいずれも、用具アセンブリ120の少なくとも1つの機構を作動させるために、用具アセンブリ120上の回転入力継手又は直線入力継手に結合するように構成することができる。例えば、図4Cに示されるように、直線入力継手230と称されるアクチュエータは、ハウジング222から外方に突出することができ、また、用具駆動装置112の直線機械的出力と相互作用することができ、そのため、直線機械的出力がモータ114a~114dのうちの1つによって起動されたときに、直線機械的出力は、直線入力継手230を押してそれを並進させ、それによって、用具アセンブリ220の1つ以上の機能を制御するためにハウジング222内の機構を作動させることができる。そのような機構は、例えば、以下で更に詳細に説明されるように、エンドエフェクタ226と関連付けられた様々な特徴の動作(例えば、ブレード229に対するクランプアーム228の枢動など)を制御することができる。例示的な一実施形態において、用具ハウジング222が用具駆動装置112に結合されると、用具駆動装置112は、用具ハウジング222の遠位に位置付けられ、そのため、用具駆動装置の機械的出力(例えば、直線機械的出力及び/又は回転機械的出力)は、用具駆動装置112の近位端部に位置付けられる。機械的出力は、用具ハウジング222の遠位端部に位置付けられた1つ以上の入力(例えば、直線入力継手230)と相互作用することができる。この構成の結果として、用具駆動装置112上の直線出力の近位並進は、用具の直線入力継手に作用し、それを近位に進行させて、用具ハウジング222内の機構を作動させることができる。更に、用具アセンブリ120は、1つの直線入力継手230を有するように記載されているが、本明細書に記載される用具アセンブリのいずれも(用具アセンブリ120を含む)、1つを超える回転入力継手又は直線入力継手を含むことができ、これらは、用具アセンブリと関連付けられた1つ以上の機構を起動させるための、手術ロボットの用具駆動装置上の少なくとも1つの出力(例えば、手動、回転、及び/又は直線機械的出力)によって作用することができる。直線駆動装置を有する用具駆動の例示的な一実施形態は、「Methods and Systems for Coupling a Surgical Tool to a Tool Driver of a Robotic Surgical System」と題して2016年12月16日に出願された米国特許出願第15/381,453号、及び「Methods and Systems for Coupling a Surgical Tool to a Tool Driver of a Robotic Surgical System」と題して2016年12月16日に出願された米国特許出願第15/381,508号に詳述されている。
【0024】
シャフト224は、エンドエフェクタ226の作動及び/又は移動(例えば、ブレード229に対するクランプアーム228の枢動)を制御するために、シャフト224に沿って、又はそれを通って延在する駆動アセンブリを含むことができる。エンドエフェクタ226は、クランプアーム228及びブレード229、ステープラ、クリップ付与装置、鉗子、持針器、焼灼装置、切断用具、一対のジョー、撮像装置(例えば、内視鏡又は超音波プローブ)、又は様々な用具の組み合わせを含む複合装置などの、様々な手術用具のうちのいずれかを含むことができる。例示される実施形態において、シャフト224は、それに沿って延在し、用具ハウジング222と固定関係にある外側閉鎖管236に対して摺動可能に配置された、内側閉鎖管235を含む。内側閉鎖管235の遠位端部は、クランプアーム228に枢動可能に結合することができ、そのため、内側閉鎖管235の近位進行は、クランプアーム228を閉鎖構成に枢動させ、内側閉鎖管235の遠位進行は、クランプアーム228を開放構成に枢動させる。外側閉鎖管236は、用具ハウジング222と固定関係にあるように記載され、内側閉鎖管235は、外側閉鎖管236に対して摺動可能に配置されているように記載されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、内側閉鎖管235を、用具ハウジング222に対して固定関係にし、外側閉鎖管236を、内側閉鎖管235に対して摺動可能に配置することができる。
【0025】
1つの例示的な実施形態において、図4Dに示されるように、用具アセンブリ220は、ハウジング内に摺動可能に配置された細長い管状本体を有する、ヨーク233を含むことができる。ヨーク233は、直線入力継手230に結合又はそれと一体にすることができ、ヨーク233はまた、内側閉鎖管235にも結合することができる。その結果、直線入力継手230が(例えば、手動で、又は直線機械的出力によって)作動され、移動されると、ヨーク233及び内側閉鎖管235が移動され、それによって、クランプアーム228が開放機構と閉鎖構成との間で枢動する。例えば、直線入力継手230を作動させて、それを近位方向に並進させると、ヨーク233及び内側閉鎖管235も近位方向に並進し、それによって、クランプアーム228を閉鎖構成に枢動させることができる。直線出力の停止又は遠位後退は、ヨーク233及び内側閉鎖管235を遠位方向に並進させることを可能にし、又は並進させ、それによって、クランプアーム228を開放構成に枢動させることができる。
【0026】
図4Dに示されるように、用具アセンブリ220は、ヨーク233を遠位方向に付勢し、クランプアーム228を開放構成に付勢する、付勢システム234を含む。例えば、付勢システム234は、(例えば、手動又は機械的出力のいずれかの)いかなる起動力も直線入力継手230に作用していないときに、ヨーク233を遠位位置に付勢することができる。図4Dに示されるように、付勢システム234は、遠位圧縮部材250と中間圧縮部材252との間に位置付けられた、第1のばねなどの遠位付勢部材248を含むことができる。図4Dに示されるように、遠位圧縮部材250及び中間圧縮部材252は、例えばワッシャとすることができ、それらは、外側閉鎖管235の近位端部に沿った部材のそれぞれの内側開口部に沿って、摺動可能に配置することができる。ヨーク233は、遠位圧縮部材250に強固に結合することができ、そのため、ヨーク233の近位移動が遠位圧縮部材250の近位方向の対応する移動を生じさせる。付勢システム234は、中間圧縮部材252と近位圧縮部材254との間に位置付けられた、第2のばねなどの近位付勢部材249を更に含むことができる。遠位圧縮部材250、中間圧縮部材252、及び近位圧縮部材254は、(例えば、中心軸に沿って)互いに軸方向に整列させることができ、更に、遠位付勢部材248及び近位付勢部材249と軸方向に整列させることもできる。
【0027】
上で述べたように、ヨーク233は、遠位圧縮部材250に直接結合することができ、そのため、ヨーク233が近位方向に移動する(例えば、それによって、クランプアーム228を閉鎖構成に枢動させる)と、遠位圧縮部材250が近位方向に移動し、それによって、遠位付勢部材248を遠位圧縮部材250と中間圧縮部材252との間で圧縮する。ヨーク233及び遠位圧縮部材250が第1の距離を移動し、それによって、遠位付勢部材248を圧縮した後、ヨーク233は、遠位圧縮部材250、遠位付勢部材248、及び中間圧縮部材252と共に近位方向に移動し続けることができる。その結果、近位付勢部材249は、中間圧縮部材252と近位圧縮部材254との間で圧縮される。例示的な一実施形態において、遠位付勢部材248は、第1のばね力を有することができ、第1のばね力は、圧縮されると、クランプアーム228が閉鎖構成又は実質的に閉鎖構成に枢動することを可能にし、近位付勢部材249は、第2のばね力を有することができ、第2のばね力は、圧縮されると、クランプアーム228がクランプアーム228とブレード229との間に位置付けられた組織に対して圧縮力を印加することを可能にする。例えば、第2のばね力は、第1のばね力よりも大きくし、それによって、遠位付勢部材が圧縮されるときと比較して、近位付勢部材が圧縮されるときに、組織に対してより大きい力をクランプアーム228が印加することを可能にすることができる。近位付勢部材によって提供される、より大きい第2のばね力は、ブレード229にブレード229とクランプアーム228との間に位置付けられた組織を封止及び/又は切断させるのを助けることができる。手動直線出力又は機械的直線出力が直線入力継手230にもはや印加されなくなると、遠位付勢部材248及び近位付勢部材249は広がり、それによって、中央圧縮部材252及び遠位圧縮部材250、並びに遠位圧縮部材250に結合されたヨーク233を遠位に並進させ、クランプアーム228を開放構成に枢動することができる。
【0028】
図4Eは、用具アセンブリ220のハウジング222の外側表面の少なくとも一部分を覆うことができる滅菌バリア240を例示する。滅菌バリア240は、ハウジング222のための滅菌バリアを提供するように構成することができ、一方で、用具アセンブリ220がロボットアーム110に結合することを可能にする継手機構に干渉せず、並びに、用具アセンブリ220と関連付けられた機構を作動させるための手動入力及び/又は機械的入力に干渉しない。例えば、滅菌バリア240は、用具駆動装置112の直線機械的出力によって直線入力継手230に作用することを可能にし、並びに、直線入力継手230を並進させ、それによって、ヨーク233を並進させて、クランプアーム228を枢動させることを可能にすることができる。示されていないが、バッグ又はドレープは滅菌バリア240から延在して、ロボットアームを覆うことができる。器具滅菌アダプタ(instrument sterile adapter、ISA)(図示せず)などの滅菌構成要素もまた、用具アセンブリ120とロボットアーム110との間の接続インターフェースに配置することができる。用具アセンブリ120とロボットアーム110との間のISAの配置は、用具アセンブリ120及びロボットアーム110の滅菌結合点を確実にすることができる。これは、滅菌手術野を損なうことなく、手術過程中に、ロボットアーム110から用具アセンブリ120を取り外して、他の用具アセンブリ120と交換することを可能にする。
【0029】
本明細書に開示される用具アセンブリのいくつかの実施形態は、クランプアーム228及びブレード229を使用した組織展開切開を支援するように構成することができる。本明細書で参照するとき、クランプアーム228及びブレード229を使用した組織展開切開は、クランプアーム228及びブレード229を対向する組織間の空間に位置付けることと、クランプアーム228をブレード229から離れて(閉鎖構成から開放構成に)枢動させ、それによって、対向する組織間の空間を増加させることと、を含むことができる。例えば、そのような組織展開切開は、対象物を組織に通過させること、可動化及び/又は解剖学的観察に有用であり得る。
【0030】
上で論じたように、付勢システム234は、直線入力継手230に直線出力がもはや作用しなくなった時点で、ヨーク233を遠位方向に並進させ、したがって、ジョーを開放構成に戻すことを可能にすることができる。このように、付勢システム234は、ヨーク233を通して、クランプアーム228に力(例えば、組織展開切開力)を並進させるように構成することができ、力は、クランプアーム228を開放構成に枢動させ、それによって、周辺組織に展開切開を作製するのに十分な力である。組織を展開するための力の要件が(単にクランプアーム228を開放構成に枢動することと比較して)増加するため、ヨーク233及び/又はヨークの動作の制御を支援する関連付けられた機構(例えば、付勢システム234)は、組織を展開するために追加的な力をクランプアーム228に提供するように構成することができる。そのような追加的な力は、現在利用可能な機械的出力を使用して提供することができ、機械的出力は、組織展開切開に必要とされる力の要件よりも少なくすることができる。このように、本明細書に開示される実施形態のいくつかは、以下で更に詳細に説明されるように、例えば機械的出力とクランプアーム228との間に提供される力の量を増加させる、機械効率を含むことができる。
【0031】
例えば、組織展開切開を行うために、対向する組織に適用される展開力は、約25ポンドの力~約35ポンドの力を必要とし得る。このように、クランプアーム228に動作可能に結合された、本明細書に記載される付勢システム及び/又は機械的出力機構は、展開切開に必要とされるそのような力を提供するように構成することができる。更に、付勢システム及び/又は機械的入力機構は、本開示の範囲から逸脱することなく、より大きい又はより小さい力を提供するように構成することができる。
【0032】
図5は、以下で更に詳細に説明されるように、組織展開切開を支援するように構成された付勢システム334に結合されたヨーク333を含む、用具アセンブリ320の一実施形態を例示する。図5に示されるように、ヨーク333は、用具アセンブリ320のハウジング322内に位置付けること、及びハウジングに対して摺動可能に配置することができる。ヨーク333は、外側管336及びシャフトに沿って延在する内側閉鎖管335に結合することができ、内側管335は、(用具アセンブリ220のクランプアーム228及びブレード229などの)ブレードに対して枢動することができるクランプアームに動作可能に結合されている。用具アセンブリ220を参照して上に記載した実施形態と同様に、ヨーク333を並進させると、内側閉鎖管335が並進し、それによって、クランプアームをブレードに対して開放構成と閉鎖構成との間で枢動させる。
【0033】
図5に示されるように、ヨーク333は、内側閉鎖管335及び内側閉鎖管335の長手方向軸と略平行に延在する一対のヨークアーム362に結合し、それらの間に延在する、延在部360を含むことができる。例えば、延在部360は、内側閉鎖管335の長手方向軸に対して略垂直に延在することができる。ヨークアーム362の各々の遠位端部は、用具駆動装置112からなど、直線機械的出力に結合するように構成された直線継手入力330を含むことができる。ヨークアーム362の各々の近位端部は、付勢部材348(例えば、ばね)に結合するように構成された付勢継手363(例えば、平坦面)を含むことができる。付勢部材348は、直線入力継手330が直線機械的出力によってそれぞれ作用され、それによって、ヨーク333を近位方向に駆動し、クランプアームを閉鎖位置に枢動するときに、圧縮することができる。直線機械的出力がヨーク333に対して力をもはや印加しなくなると(例えば、直線機械的出力が停止する)、付勢部材348は、付勢力又はばね力をヨーク333の近位端部に対してそれぞれ印加し、それらが共にヨーク333を遠位位置に並進させ、それによって、クランプアームを開放構成に枢動し、組織を展開することができる。このように、付勢システム334は、クランプアームを開放構成に枢動させることができ、用具駆動装置112からなど、機械的出力を伴わずに、開放構成に枢動しながら組織を展開することを含む。
【0034】
いくつかの状況において、電力の損失中、並びに/又は用具アセンブリ320がロボットアーム110から接続解除され、クランプアームを閉鎖構成に移動させて、患者及びトロカールからエンドエフェクタを取り除く必要があるときなどに、クランプアームの手動制御が所望される場合がある。したがって、用具アセンブリ320は、ヨーク333からハウジング322を通って延在することができる手動コントローラ(図示せず)を含むことができ、そのため、ユーザは、手動コントローラを操作して、ヨーク333を遠位位置と近位位置との間で移動させ、それによって、それぞれ開放構成と閉鎖構成との間でクランプアームの枢動を手動で制御することができる。
【0035】
図6は、ヨーク433を遠位方向に付勢し、それによって、クランプアームを開放構成に付勢するために、ヨーク433の近位端部に位置付けられた付勢部材又はばね434に結合されたヨークを含む用具アセンブリ420の別の実施形態を例示する。図6に示されるように、ヨーク433は、用具アセンブリ420のハウジング422に略平行に延在する、細長い本体を含むことができる。ヨーク433は、ハウジング422内に摺動可能に配置し、内側閉鎖管435とヨーク433の遠位端部との間に延在する閉鎖管継手437によって内側閉鎖管435に結合することができる。内側閉鎖管435は、ハウジング422に対して固定された外側閉鎖管436内を摺動可能に並進することができる。用具アセンブリ220を参照して上に記載した実施形態と同様に、ヨーク433を並進させると、内側閉鎖管435が外側閉鎖管436に対して並進し、それによって、クランプアームをブレードに対して開放構成と閉鎖構成との間で枢動させる。
【0036】
図6に示されるように、ヨーク433の近位端部は、直線機械的出力によって作用されたときに、ヨーク433を近位方向に並進させ、それによって、クランプアームを閉鎖構成に枢動させる、直線入力継手アセンブリ465に摺動可能に結合することができる。直線入力継手アセンブリ465は、ヨーク433及び内側閉鎖管435の長手方向軸に平行に位置付けられた垂直摺動シャフト467を含むことができる。垂直摺動シャフト467は、ハウジング422に対して拘束されることができ、そのため、垂直摺動シャフト467は、内側閉鎖管435の長手方向軸に平行な方向にだけ並進させることができる。図6に示されるように、垂直摺動シャフト467は、垂直摺動シャフト467の進行の最大長さを画定する長さを有する垂直スロット468を含むことができる。第1のピン469は、ハウジング422からスロット468の中へ延在し、それによって、垂直摺動シャフト467の垂直スロット468の範囲内への進行を制御することができる。
【0037】
図6に示されるように、直線入力継手アセンブリ465は、水平摺動シャフト470を更に含むことができ、水平摺動シャフトは、内側閉鎖管435の長手方向軸に垂直に延在し、また、垂直摺動シャフト467とヨーク433との間に延在する。水平摺動シャフト470は、ハウジング422に対して拘束されることができ、そのため、水平摺動シャフト470は、内側閉鎖管435の長手方向軸に垂直な方向にだけ摺動することができる。図6に示されるように、水平摺動シャフト470は、水平スロット471の進行の最大長さを画定する長さを有する水平スロット471を含むことができる。第2のピン472は、ハウジング422から水平スロット471の中へ延在し、それによって、水平摺動シャフト470の水平スロット471の範囲内への進行を制御することができる。
【0038】
垂直摺動シャフト467の近位端部は、水平摺動シャフト470の第2の角度付き端部482と摺動可能に嵌合する第1の角度付き端部480を含むことができる。そのような継手は、垂直摺動シャフト467が近位方向に進行するときに(直線機械的出力が起動されたときなどに)、第1の角度付き端部480が、第2の角度付き端部482に沿って摺動し、水平摺動シャフト470をヨーク433に向かって押すことを可能にする。この摺動継手はまた、水平摺動シャフト470が垂直摺動シャフト467に向かって進行するときに(直線機械的出力が停止されたときなどに)、第2の角度付き端部482が、第1の角度付き端部480に沿って摺動し、垂直摺動シャフト467を遠位方向に押すことを可能にする。
【0039】
更に、ヨーク433の近位端部は、傾斜スロット484を含むことができ、水平摺動シャフト470は、ヨーク433に隣接する端部にヨークピン486を含むことができる。ヨークピン486は、角度付きスロット484の中へ延在し、それに沿って摺動可能であり、そのため、水平摺動シャフト470が内側閉鎖管435の長手方向軸に垂直に進行するときに、ヨーク433を内側閉鎖管435の長手方向軸に平行に進行させる。例えば、水平摺動シャフト470がヨーク433に向かって移動するときに、ヨーク433を近位方向に移動させ、それによって、付勢部材434を圧縮し、クランプアームを閉鎖構成に枢動させる。この構成において、水平摺動シャフト470とヨーク433との間の角度付き継手は、クランプアームの枢動に対する機械的直線出力の影響を感度抑圧させることができる。例えば、垂直摺動アーム467は、第1の距離を進行することができ、その結果、ヨーク433は、第1の距離の半分を進行し、それによって、クランプアームに、垂直摺動シャフト467及び/又は機械的直線出力によって、1:1の進行比率を有するヨークと比較してより小さい距離を枢動させる。直線入力継手アセンブリ465の角度付き継手はまた、機械的出力の力が、付勢部材434のばね力よりも小さくすることができ、それでも、直線入力継手アセンブリ465が、ヨーク433に作用して、付勢部材434を圧縮することができるように、機械効率を提供することができる。例えば、付勢部材434は、組織展開切開を行うために、ヨーク433を遠位方向に駆動してクランプアームを枢動するのに十分なばね力を有することができる。
【0040】
いくつかの実現形態において、直線入力継手アセンブリ465は、1つを超える直線機械的出力が、垂直摺動シャフト467などの直線入力継手アセンブリ465に対して力を印加して、直線入力継手アセンブリ465を起動させ、ヨーク433を並進させることを可能にするように構成することができる。任意の数の機械的出力が、直線入力継手アセンブリ465を起動させて、ヨークを近位方向に並進させ、それによって、クランプアームを閉鎖構成に枢動させることができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、用具アセンブリ420は、ヨーク433からハウジング422を通って延在することができる手動コントローラ(図示せず)を含むことができ、そのため、ユーザは、手動コントローラを操作して、ヨーク433を、遠位位置と近位位置との間で移動させ、それによって、開放構成と閉鎖構成との間でクランプアームの枢動を手動で制御することができる。例えば、電力の損失中に、並びに/又は用具アセンブリがロボットアームから接続解除され、クランプアームを閉鎖構成に移動させて、患者及びトロカールからエンドエフェクタを取り除必要があるときなどに、クランプアームの手動制御が所望される場合がある。
【0042】
用具アセンブリのいくつかの実装形態において、直線機械的出力は、用具アセンブリのハウジングに対するヨークの近位並進及び遠位並進などのヨークの双方向移動を制御して、クランプアームを対応する閉鎖構成と開放構成との間で枢動させることができる。そのような構成において、例えば、(例えば、用具駆動装置からの)機械的出力は、組織展開切開を支援することができる。
【0043】
図7Aは、機械的直線出力によって制御される双方向移動(例えば、近位方向及び遠位方向の並進)を有することができるヨーク533を含む用具アセンブリ520の別の実施形態を例示する。図7Aに示されるように、ヨーク533は、用具アセンブリ520のハウジング522に略平行に延在する細長い本体を含むことができる。ヨーク533は、ハウジング522内に位置付けること、かつハウジング522に対して摺動可能に配置することができる。ヨーク533は、内側閉鎖管535に結合することができ、そのため、ヨーク533を遠位位置と近位位置との間で並進させるときに、内側閉鎖管535を並進させ、それによって、内側閉鎖管535の遠位端部のクランプアームをブレードに対して、対応する開放構成と閉鎖構成との間で枢動させる。内側閉鎖管535は、ハウジング522に対して固定された外側閉鎖管536に沿って延在し、それに対して摺動可能に配置することができる。
【0044】
図7Aに示されるように、ヨーク533は、作動アセンブリ565に結合することができ、作動アセンブリは、開放アクチュエータ567と、閉鎖アクチュエータ569と、を含み、これらはそれぞれ、開放アクチュエータ567及び閉鎖アクチュエータ569を個々に近位方向に並進させるために直線機械的出力に結合するように構成されている。作動アセンブリ565は、閉鎖アクチュエータ569を開放アクチュエータ567に接続する1つ以上のプーリを含むことができる、プーリシステム570を更に含むことができる。例えば、図7Aに示されるように、閉鎖アクチュエータ569は、ヨーク533に直接結合することができる。プーリシステム570は、閉鎖アクチュエータ569を近位方向に移動させる(それによって、ヨーク533を近位方向に並進させ、クランプアームを閉鎖構成に枢動する)ときに、開放アクチュエータ567を遠位に移動させるように構成することができる。更に、プーリシステム570は、開放アクチュエータ567を近位方向に移動させるときに、閉鎖アクチュエータ569を遠位方向に移動させ、それによって、ヨーク533を遠位に移動させ、クランプアームを開放構成に枢動させるように構成することができる。
【0045】
図7Bに示されるように、プーリシステム570の代わりに、ピニオン歯車590が、閉鎖アクチュエータ569bを開放アクチュエータ567bに結合することができる。例えば、図7Bに示されるように、閉鎖アクチュエータ569bは、ヨーク533bに直接結合することができる。ピニオン歯車590は、ピニオン歯車590の第1の側部に沿って閉鎖アクチュエータ569bと係合すること、及びピニオン歯車590の(例えば、第1の側部に対向する)第2の側部に沿って開放アクチュエータ567bと係合することに沿って係合することができ、そのため、閉鎖アクチュエータを近位方向に移動させる(それによって、ヨーク533bを近位方向に並進させ、クランプアームを閉鎖構成に枢動する)ときに、開放アクチュエータ567bを遠位に移動させる。更に、開放アクチュエータ567bを近位方向に移動させるときに、ピニオン歯車590は、閉鎖アクチュエータ569bを遠位方向に移動させ、それによって、ヨーク533bを遠位に移動させ、クランプアームを開放構成に枢動させることができる。枢動リンクなどの、開放アクチュエータ及び閉鎖アクチュエータを結合するための他の機構が想定されており、これらは本開示の範囲内である。
【0046】
図8は、同じく機械的直線出力によって制御される双方向移動(例えば、近位方向及び遠位方向の並進)を有することができるヨーク633を含む用具アセンブリ620の更に別の実施形態を例示する。ヨーク633は、用具アセンブリ620のハウジングに略平行に延在する細長い本体を含むことができる。ヨーク633は、ハウジング内に位置付けること、かつハウジング522に対して摺動可能に配置することができる。ヨーク633は、内側閉鎖管635に結合することができ、そのため、ヨーク633を並進させるときに、内側閉鎖管635を並進させ、それによって、クランプアームをブレードに対して開放構成及び閉鎖構成に枢動させる。
【0047】
図8に示されるように、ヨーク633は、作動アセンブリ665に結合することができ、作動アセンブリは、開放アクチュエータ667と、閉鎖アクチュエータ669と、を含み、これらはそれぞれ、開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669を個々に近位方向に並進させるための直線機械的出力に結合するように構成されている。作動アセンブリ665は、閉鎖アクチュエータ669を開放アクチュエータ667に機械的に結合させる複合歯車660を更に含むことができる。更に、複合歯車660は、開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669をヨーク633に機械的に結合することができ、そのため、開放アクチュエータ667又は閉鎖アクチュエータ669のいずれかの並進移動が、ヨーク633を並進させる。
【0048】
例えば、複合歯車660は、第1の歯車661と、第2の歯車662と、を含むことができ、これらの歯車は、枢軸点即ち回転軸663を共有し、また、歯車を共に回転させるように互いに対して固定されている。更に、図8に示されるように、第2の歯車662は、第1の歯車661よりも小さい直径を有することができる。例えば、第2の歯車662の直径は、第1の歯車661の直径の半分とすることができ、それによって、複合歯車660が、より小さい第2の歯車662とより大きい第1の歯車661との間に2:1の機械効率を有することを可能にする。図8に示されるように、より大きい第1の歯車661は、開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669に結合することができ、これらはそれぞれ、第1の歯車661の対向する側部に沿って位置付けられ、係合されている。開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669は、第1の歯車661と係合することができ、そのため、開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669の両方の反対方向における直線並進(例えば、開放アクチュエータ667は遠位方向に並進し、閉鎖アクチュエータ669は近位方向に並進する)が、第1の歯車661を回転させる。より小さい第2の歯車662は、第2の歯車662の回転がヨーク633を直線的に並進させるように、ヨーク633に結合することができる。このように、開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669の直線移動は、第1の歯車661及び第2の歯車662を回転させ、それによって、ヨーク633を並進させ、クランプアーム628を枢動させることができる。更に、第1のトルクがより大きい第1の歯車661に印加されるときに、(例えば、クランプアームを介して)より小さい第2の歯車662から出力される第2のトルクは、第1のトルクよりも例えば2倍程度大きくなり得る。同様に、より大きい第1の歯車661の回転に起因する第1の円弧長さは、より小さい第2の歯車662の関連付けられた回転に起因する第2の円弧長さよりも例えば2倍程度大きくなり得る。複合歯車は、直線機械的出力から第1の歯車に印加される力の量よりも多くの力が、展開切開のために、クランプアームに提供されるように、機械効率を提供することができる。複合歯車はまた、ヨーク633を開放アクチュエータ667及び閉鎖アクチュエータ669よりも遅い速度で並進させることによって、機械的直線アクチュエータ(複数可)とヨーク633(及びクランプアーム)との間の感度抑圧も提供することができ、それによって、ヨーク633及びクランプアームのより向上した精度及び制御を可能にする。
【0049】
図9は、同じく機械的直線出力によって制御される双方向移動(例えば、近位方向及び遠位方向の移動)を有することができるヨーク733を含む用具アセンブリ720の更に別の実施形態を例示する。ヨーク733は、用具アセンブリ720のハウジング722に略平行に延在する、細長い本体を含むことができる。ヨーク733は、ハウジング722内に位置付け、かつハウジング722に対して摺動可能に配置することができる。ヨーク733は、内側閉鎖管735に結合することができ、そのため、ヨーク733を並進させると、内側閉鎖管735が並進し、それによって、クランプアームがブレードに対して開放構成と閉鎖構成との間で枢動する。
【0050】
図9に示されるように、ヨーク733は、レバーアーム770に結合することができる。レバーアーム770は、第1の端部において枢動接合部750に結合することができる。いくつかの実施形態において、枢動接合部750は、ハウジング722に固定することができる。レバーアーム770は、レバーアーム770の第2の端部においてアクチュエータ又は直線入力継手730に結合するか、又はインターフェースすることができる。図9に示されるように、レバーアーム770の2つの端部間のいくつかの点において、レバーアーム770は、レバー継手774においてヨーク733に枢動可能に連結することができる。この構成は、約2:1の進行比率を有するヨーク733に対する(直線入力継手730を介した)機械的出力などの、機械効率を提供することができる。例えば、(例えば、直線機械的出力によって作用されたときの)直線入力継手730の進行距離は、ヨーク733が進行する結果として生じる距離の2倍の長さになり得る。更に、この構成は、1:2の力の機械効率を提供することができ、機械的直線出力によって印加される力は、レバーアーム770によってヨーク733に印加される力の半分になり得る。
【0051】
上に記載した実施形態は、クランプアームを枢動するためにヨークの動作を制御するための直線機械的出力について論じているが、下に更に詳細に記載されるように、用具アセンブリのいくつかの実装形態は、少なくとも1つの機械的回転出力によって制御されるヨークを含むことができる。
【0052】
図10は、手術ロボットの用具駆動装置の少なくとも1つの機械的回転出力によって制御される作動アセンブリ865に結合されたヨーク833を有する用具アセンブリ820の一実施形態を例示する。図10に示されるように、ヨーク833は、用具アセンブリ820のハウジング822に略平行に延在する、細長い本体を含むことができる。ヨーク833は、ハウジング822内に摺動可能に配置し、内側閉鎖管835とヨーク833の遠位端部との間に延在する閉鎖管継手837によって内側閉鎖管835に結合することができる。内側閉鎖管835は、ハウジング822に対して固定された外側閉鎖管836内を摺動可能に並進することができる。ヨーク833を並進させると、内側閉鎖管835が外側閉鎖管836に対して並進し、それによって、クランプアームをブレードに対して開放構成と閉鎖構成との間で枢動させる。
【0053】
図10に示されるように、作動アセンブリ865は、機械的回転出力に結合するように構成された遠位端部に回転入力継手891を有する補助シャフト890を含むことができ、そのため、機械的回転出力を起動させると、補助シャフト890が回転する。作動アセンブリ865は、補助シャフト890及び主ねじ893に結合し、それらの間に延在することができる、プーリアセンブリ892を更に含むことができる。図10に示されるように、主ねじ893は、近位端部からなど、ヨーク833から延在することができ、また、主ねじ893の回転がヨーク833を並進させるように、ヨーク833にねじ込み可能に結合することができる。例えば、主ねじ893が第1の方向に回転すると、ヨーク833は、近位方向に進行し(例えば、クランプアームは、閉鎖構成に枢動し)、主ねじ893が第2の方向に回転すると、ヨーク833は、遠位方向に進行する(例えば、クランプアームは、開放構成に枢動する)。プーリアセンブリ892は、第1のプーリ895と、第2のプーリ896と、を含むことができ、第1のプーリ895は、補助シャフト890に結合され、第2のプーリ896は、主ねじ893に結合され、そのため、補助シャフト890の回転は、第1のプーリ895を回転させ、トルクを第2のプーリ896に伝達し、それによって、主ねじ893を回転させる。
【0054】
いくつかの状況において、電力の損失中に、並びに/又は用具アセンブリがロボットアームから接続解除され、クランプアームを閉鎖構成に移動させて、患者及びトロカールからエンドエフェクタを取り除く必要があるときなどに、クランプアームの手動制御が所望される場合がある。例えば、用具アセンブリ820は、ヨーク833からハウジング822を通って延在することができる、レバー、ボタン、又はラッチなどの手動コントローラ(図示せず)を含むことができ、そのため、ユーザは、手動コントローラを操作して、ヨーク833を遠位位置と近位位置との間で移動させ、それによって、それぞれ開放構成と閉鎖構成との間でクランプアームの枢動を手動で制御することができる。更に、ヨークは、スプリットナット(図示せず)を含むことができ、そのため、手動コントローラの作動は、スプリットナットを広げ、それによって、主ねじ893からヨーク833を結合解除することができる。用具アセンブリをロボットアームに結合するための準備などにおいて、ヨーク833及び主ねじ893の結合をリセットするために、スプリットナットを再係合させることができる。制御ユニットが主ねじ893に対するなど、ヨーク833の位置を決定することを可能にするために、そのような手動制御の後には、二次プロセス工程が必要であり得る。そのような二次プロセス工程は、例えば、用具アセンブリをロボットアームに結合させた後に行うことができる。
【0055】
本明細書に記載される用具アセンブリのいずれも、用具アセンブリへの電力の送達を制御する様々な電力スイッチ機構を含むことができる。そのような電力スイッチ機構は、用具アセンブリを取り扱う人が感電死しないことを確実にするために、安全機能を提供することができる。例えば、外科医は、用具アセンブリで外科的手技を行い、ある時点で、看護師が用具アセンブリの一部を洗浄できるようにするなどのために、看護師に用具アセンブリを手渡す場合がある。電力スイッチ機構は、看護師が用具アセンブリの洗浄中に感電死しないことを確実にするために、電力が用具アセンブリ内で適切に遮断されることを確実にすることができる。
【0056】
例えば、いくつかの実施形態において、電力スイッチ機構は、発電機、フットスイッチ、及び手動起動装置と通信することができ、そのため、どれが最初に起動されても、それが優先権を得て、他のものはオフにされるか、又は無視されるかのいずれかである。いくつかの実施形態において、電力スイッチ機構は、外科医制御又は臨床制御間のトグルによってユーザが選択することができる手動制御を含むことができる。例えば、トグルは、発電機上に配置することができる。いくつかの実施形態において、電力スイッチ機構は、用具アセンブリ上にトグルを含むことができ、トグルは、臨床ユーザが用具アセンブリを制御することを可能にする。いくつかの実施形態において、電力スイッチ機構は、能動的選択、例えば、コンソール上のメニュー、ボタン、又はスイッチなどを含むことができる。いくつかの実施形態において、電力スイッチ機構は、いつロボットアームにドッキングされたか、及びいつ解除されたかを知っている、用具アセンブリ上のドッキングスイッチを介した自動制御を含むことができる。例えば、用具アセンブリがロボットアームに装着されると、ユーザ又は外科医は、それを制御することができる。用具アセンブリがロボットアームから取り除かれると、手動起動を作動させることができ、ユーザ又は外科医は、用具アセンブリを制御することができなくなる。
【0057】
好ましくは、本明細書に記載する発明の構成要素は、使用前に処理される。最初に、新しい又は使用済みの器具を入手し、必要であれば洗浄する。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術において、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次に、容器及び器具は、γ線、X線、又は高エネルギ電子線など、容器を透過することができる放射線照射野内に置かれる。放射線は、器具上又は容器内の細菌を死滅させる。この後、滅菌された器具を滅菌容器内で保管することができる。密封された容器は、医療設備において開封されるまで器具を滅菌状態に保つ。
【0058】
通常、装置は滅菌される。これは、β線又はγ線放射、酸化エチレン、蒸気、及び液浴(例えば、低温浸漬)などの当業者には既知の様々な方法によって行うことができる。内部回路を含む装置を滅菌する例示的な実施形態は、「System And Method Of Sterilizing An Implantable Medical Device」と題して2008年2月8日に出願された米国特許第8,114,345号に詳述されている。装置は、インプラントされる場合、完全に密封されることが好ましい。これは、当業者に既知の様々な方法によって行うことができる。
【0059】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献はそれらの全容を参照によって本明細書に明示的に援用するものである。
【0060】
〔実施の態様〕
(1) 手術用具であって、
ハウジングと、
前記ハウジングを通って延在し、前記ハウジングから遠位に延在するシャフトアセンブリであって、ブレードと、前記ブレードに枢動可能に結合されたクランプアームと、を有する遠位端部を有する、シャフトアセンブリと、
前記ハウジング内に配置され、前記シャフトアセンブリの周囲に摺動可能に配置されたヨークであって、前記クランプアームと前記ハウジングから突出する第1のアクチュエータとの間に動作可能に結合され、そのため、前記第1のアクチュエータの移動が、前記シャフトアセンブリに沿った前記ヨークの長手方向の並進を生じさせ、それによって、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で前記クランプアームを移動させる、ヨークと、を備える、手術用具。
(2) 超音波エネルギを前記ブレードに送達するために、前記ハウジング内に配置され、前記ブレードに結合された超音波振動子を更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
(3) 前記ハウジング内に配置され、前記ヨークを遠位に付勢して、前記クランプアームを前記開放位置に付勢する、少なくとも1つのばねを更に備える、実施態様1に記載の手術用具。
(4) 前記ヨークが前記ハウジング内で近位に移動されて、前記クランプアームを前記閉鎖位置に移動させるときに、前記ばねが圧縮するように構成されている、実施態様3に記載の手術用具。
(5) 前記ハウジング内に配置された第1のばね及び第2のばねを更に備え、前記ヨークの前記近位方向の移動の結果として、前記第1のばねの圧縮の後に、前記第2のばねが圧縮するように構成されている、実施態様1に記載の手術用具。
【0061】
(6) 前記クランプアームが、前記ヨークの第1の範囲の運動中に、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合された組織に対して第1の力を印加するように構成され、前記クランプアームが、前記ヨークの第2の範囲の運動中に、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合された組織に対して第2の力を印加するように構成されている、実施態様1に記載の手術用具。
(7) 前記第1のアクチュエータが、直線的に並進して、第1の方向における前記ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成されている、実施態様1に記載の手術用具。
(8) 第2のアクチュエータが、直線的に並進して、第2の方向における前記ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成され、前記第2の方向が、前記第1の方向と反対方向である、実施態様7に記載の手術用具。
(9) 前記第1のアクチュエータが、回転して、前記ヨークの長手方向の並進を生じさせるように構成されている、実施態様1に記載の手術用具。
(10) 前記第1のアクチュエータの回転が、前記ハウジング内に配置された主ねじを回転させ、前記主ねじの回転が、前記ヨークの長手方向の並進を生じさせる、実施態様8に記載の手術用具。
【0062】
(11) 前記ヨークが、プーリアセンブリによって前記第1のアクチュエータに動作可能に結合されている、実施態様1に記載の手術用具。
(12) 前記ヨークが、レバーによって前記第1のアクチュエータに動作可能に結合されている、実施態様1に記載の手術用具。
(13) 前記ヨークが、ピニオン歯車によって前記第1のアクチュエータに動作可能に結合されている、実施態様1に記載の手術用具。
(14) 前記第1のアクチュエータが、第1の距離を移動して、前記ヨークに第2の距離を移動させるように構成され、前記第1の距離が、前記第2の距離よりも大きい、実施態様1に記載の手術用具。
(15) 前記第1のアクチュエータが、前記ヨーク上に形成され、前記ハウジングの開口部を通って延在する、少なくとも1つの突出部を備える、実施態様1に記載の手術用具。
【0063】
(16) 前記ハウジングが、ロボット手術システムのロボットアームの駆動装置に結合するように構成されている、実施態様1に記載の手術用具。
(17) 組織をクランプするための方法であって、
手術ロボットの駆動装置用具上のモータを作動させて、前記モータに力を手術用具上のアクチュエータに印加させることを含み、前記アクチュエータの移動が、前記手術用具のハウジング内に配置されたヨークを、前記ハウジングを通って延在するシャフトアセンブリを中心に直線的に並進させ、前記ヨークの並進が、前記手術用具のエンドエフェクタ上のクランプアームを、開放位置から閉鎖位置まで移動させて、それによって、前記クランプアームとブレードとの間で組織に係合する、方法。
(18) 前記ヨークの近位並進が、前記ヨークを遠位に付勢する付勢部材を圧縮する、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記モータが、直線力及び回転力のうちの1つを前記アクチュエータに印加して、前記ヨークを直線的に並進させる、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記ヨークの第1の距離の移動が、前記クランプアームに、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合した前記組織に対して第1の力を印加させ、前記ヨークの第2の距離の更なる移動が、前記クランプアームに、前記クランプアームと前記ブレードとの間に係合した前記組織に対して第2の力を印加させ、前記第2の力が、前記第1の力よりも大きい、実施態様17に記載の方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10