(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】器具挿入補償
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220829BHJP
【FI】
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2019571320
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(86)【国際出願番号】 US2018039604
(87)【国際公開番号】W WO2019005872
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-02-26
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】コナリー,ライアン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ランディー,ケーシー,ティール
(72)【発明者】
【氏名】グレイツェル,シャウンシー エフ.
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533996(JP,A)
【文献】特表2017-502709(JP,A)
【文献】国際公開第2017/048194(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265368(US,A1)
【文献】特表2015-519131(JP,A)
【文献】国際公開第2017/049163(WO,A1)
【文献】特開平08-071072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムであって、
第1の器具であって、
近位部分と遠位部分を有するシャフトであって、前記遠位部分が関節動作可能領域および遠位端を有し、前記シャフトは前記シャフトを通って延伸するワーキングチャネルを有する、シャフトと、
少なくとも1つのプルワイヤと
を有する第1の器具と、
前記シャフトの前記遠位端の位置を検出する少なくとも1つのセンサと、
実行可能な命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリと、
前記少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリと通信する1つまたは複数のプロセッサであって、前記命令を実行して前記システムに少なくとも
前記少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、前記シャフトの前記ワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じた前記シャフトの前記遠位端の位置変化を検出することと、
前記検出された位置変化に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することと、
を実行させる1つまたは複数のプロセッサと、
前記シャフトの前記近位部分において前記少なくとも1つのプルワイヤに接続された駆動機構であって、前記駆動機構は前記少なくとも1つの制御信号に基づいて前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整し、前記調整された張力によって前記シャフトの前記遠位端が前記位置変化が生じる前の初期位置に戻りやすくなる、駆動機構と
を有し、
前記第2の器具の遠位端の位置を検出する少なくとも1つの第2のセンサを更に有し、
前記少なくとも1つの第2のセンサにより検出された前記第2の器具の前記遠位端の前記位置に基づき、前記1つまたは複数のプロセッサによる、前記シャフトの前記遠位端の前記初期位置の特定、前記シャフトの前記遠位端の位置変化の検出、及び、前記少なくとも1つの制御信号の生成の開始タイミングが決定されることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記駆動機構はロボットアームのエンドエフェクタに接続され、
前記ロボットアームと前記駆動機構は、前記シャフトの前記遠位部分を、患者の管腔ネットワークを通って治療部位にナビゲートする
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
電磁場発生器をさらに有し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に第1のセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記第1のセットの電磁センサからのデータに基づいて、電磁場内の前記第1のセットの電磁センサの第1の位置を算出することと、
前記算出された第1の位置に基づいて、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2のセンサは、少なくとも1つの電磁センサであり、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記少なくとも1つの電磁センサからのデータに基づいて、前記電磁場内の前記少なくとも1つの電磁センサの第2の位置を算出することと、
前記算出された第2の位置に基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の慣性センサを有し、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記セットの1つまたは複数の慣性センサからのデータに基づいて、前記セットの1つまたは複数の慣性センサの第1の位置を算出することと、
前記算出された第1の位置にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、1つのセットの1つまたは複数の歪みゲージを有し、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記セットの1つまたは複数の歪みゲージからのデータに基づいて、前記シャフトの前記遠位端の第1の位置を算出することと、
前記算出された第1の位置にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成
することと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記セットの1つまたは複数の歪みゲージを有することを特徴とする請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記第1の器具は、リーダを有し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記リーダの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数のカメラを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの制御信号の前記命令は、前記駆動機構に、前記シャフトの前記遠位端が前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号によって計測される前記初期位置に戻るまで、前記1つまたは複数のプルワイヤの張力を増加させるコマンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記システムを制御するためのユーザインタフェースを有するワークステーションの一部であることを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの呼吸センサをさらに有し、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記少なくとも1つの呼吸センサからのデータに基づいて、前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号の取得時における患者の呼吸パターンを特定することと、
前記ワーキングチャネルへの前記第2の器具の挿入によって生じる前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化と、前記患者の前記呼吸パターンによって生じる前記シャフトの前記遠位端の位置変化とを区別することと、
をさらに実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記第2の器具における識別情報を検出することと、
前記検出された識別情報にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに
前記第2の器具の無線自動識別(RFID)タグの読み取りに基づいて、前記識別情報を検出すること
を実行させる
ことを特徴とする請求項12に記載のロボットシステム。
【請求項14】
近位部分と遠位部分を有するシャフトであって、前記遠位部分が関節動作可能領域および遠位端を有し、前記シャフトは前記シャフトを通って延伸するワーキングチャネルを有する、シャフトと、少なくとも1つのプルワイヤと、を有する第1の器具の
前記少なくとも1つのプルワイヤを制御する
ためのプロセッサの動作方法であって、
前記プロセッサが、前記第1の器具の初期位置を特定すること
と、
前記プロセッサが、少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、前記第1の器具の前記ワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じた前記シャフトの前記遠位端の位置変化を検出することと、
前記プロセッサが、前記シャフトの前記遠位端の前記検出された位置変化に基づいて、
前記シャフトの前記遠位端が前記初期位置に戻りやすくなるように前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整するために使用される、少なくとも1つの制御信号を生成する
ことと、を含み、
前記第2の器具には、前記第2の器具の遠位端の位置を検出する少なくとも1つの第2のセンサが取り付けられており、
前記プロセッサが、前記少なくとも1つの第2のセンサにより検出された前記第2の器具の前記遠位端の前記位置に基づき、前記シャフトの前記遠位端の前記初期位置の特定、前記シャフトの前記遠位端の位置変化の検出、及び、前記少なくとも1つの制御信号の生成の開始タイミングが決定
する、
プロセッサの動作方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に第1のセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、
前記プロセッサが前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記第1のセットの1つまたは複数の電磁センサからの受信データにさらに基づく
ことを特徴とする請求項14に記載の
プロセッサの動作方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の慣性センサを有し、
前記プロセッサが前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数の慣性センサからのデータに基づく
ことを特徴とする請求項14に記載の
プロセッサの動作方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサは、1つのセットの1つまたは複数の歪みゲージを有し、
前記プロセッサが前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数の歪みゲージからのデータに基づく
ことを特徴とする請求項14に記載の
プロセッサの動作方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数のカメラを有し、
前記プロセッサが前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数のカメラからのデータに基づく
ことを特徴とする請求項14に記載の
プロセッサの動作方法。
【請求項19】
前記プロセッサが、少なくとも1つの呼吸センサからのデータに基づいて、前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号の取得時における患者の呼吸パターンを特定することと、
前記プロセッサが、前記ワーキングチャネルへの前記第2の器具の挿入によって生じる前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化と、前記患者の前記呼吸パターンによって生じる前記シャフトの前記遠位端の位置変化とを区別することと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の
プロセッサの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2017年6月28日出願の米国仮特許出願62/526,008号の利益を主張し、その開示全体を参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本件開示は概して医療装置に関し、より具体的には、ロボット支援手術に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡検査(気管支鏡検査など)の医療手技には、診断目的および/または治療目的で、患者の管腔(気管支など)の内部にアクセスしたり可視化したりすることが含まれる。手技においては、例えば内視鏡などの軟性の管状の道具が、患者の体腔内に挿入され、器具が内視鏡を通って診断および/または治療のために特定された組織部位に導かれる。例えば、内視鏡は、組織部位への経路を提供する内部ルーメン(「ワーキングチャネル」など)を備えることができ、種々の医療器具を、ワーキングチャネルを経由して組織部位に挿入することができる。ロボットシステムを使用すると、手技中の内視鏡および/もしくは道具/器具の挿入ならびに/または操作を制御することができ、ロボットシステムは、手技中の内視鏡およびまたは道具/器具の配置を制御するマニピュレータアセンブリを有する少なくとも1つのロボットアームを備えることができる。
【発明の概要】
【0004】
本件開示のシステム、方法、および装置はそれぞれ、いくつかの革新的な側面を有し、そのうちの1つだけが本件開示の所望の属性を単独で担うものではない。
【0005】
医療手技には、操作者から遠隔の位置にある軟性の器具の操作が含まれることがある。例えば、所望の組織部位に対応する患者内の目標位置に達する管腔や管腔ネットワーク内で、画像取得、生検採取、治療剤の搬送および/または手術を行うことができ、軟性の器具のワーキングチャネルを経由して別の器具を挿入して所望の組織部位にアクセスすることができる。
【0006】
既存の手術用の軟性の器具に伴う課題の1つは、軟性の器具のワーキングチャネルを経由して挿入可能な器具を前進または伸長させることにより、軟性の器具が湾曲し、遠位端が目標の位置から移動してしまうことである。このような湾曲が生じる結果、軟性の器具の遠位端と組織部位との位置合わせに誤りが生じる可能性がある。
【0007】
したがって、本件開示の特定の側面は、軟性の器具のワーキングチャネルに別の器具を挿入する際に、軟性の器具の湾曲を抑制、低減および/または補償することを支援するシステムおよび方法に関する。本件開示の別の側面は、湾曲の原因に関係なく、軟性の器具の湾曲を抑制、低減および/または補償することを支援するシステムおよび方法に関する。
【0008】
したがって、本件開示の第1の側面は、ロボットシステムに関する。このロボットシステムは、第1の器具を有し、第1の器具は、近位部分と遠位部分を有するシャフトを有する。遠位部分が関節動作可能領域および遠位端を有する。シャフトは前記シャフトを通って延伸するワーキングチャネルを有する。ロボットシステムは、少なくとも1つのプルワイヤとシャフトの遠位端の位置を検出する少なくとも1つのセンサを有する。ロボットシステムは、実行可能な命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリと、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリと通信する1つまたは複数のプ
ロセッサを有する。1つまたは複数のプロセッサは、命令を実行する。命令は、システムに少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、シャフトのワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じたシャフトの遠位端の位置変化を検出させる。命令は、さらにシステムに検出された位置変化に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成させる。ロボットシステムは、シャフトの近位部分において少なくとも1つのプルワイヤに接続された駆動機構を有する。駆動機構は、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する。調整された張力によって、シャフトの遠位端が位置変化が生じる前の初期位置に戻りやすくなる。
【0009】
一実施形態に係るロボットシステムは、以下の1つまたは特徴を有してもよい:前記駆動機構はロボットアームのエンドエフェクタに接続され、前記ロボットアームと前記駆動機構は、前記シャフトの前記遠位部分を、患者の管腔ネットワークを通って治療部位にナビゲートする;電磁場発生器をさらに有し、前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に第1のセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第1のセットの電磁センサからのデータに基づいて、電磁場内の前記第1のセットの電磁センサの第1の位置を算出することと、前記算出された第1の位置に基づいて、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することと、を実行させる;前記第2の器具は、前記遠位端に第2のセットの1つまたは複数の電磁センサをさらに有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第2のセットの電磁センサからのデータに基づいて、前記電磁場内の前記第2のセットの電磁センサの第2の位置を算出することと、前記算出された第2の位置に基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、を実行させる;前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の慣性センサを有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記セットの1つまたは複数の慣性センサからのデータに基づいて、前記セットの1つまたは複数の慣性センサの第1の位置を算出することと、前記算出された第1の位置にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、を実行させる;前記少なくとも1つのセンサは、1つのセットの1つまたは複数の歪みゲージを有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記セットの1つまたは複数の歪みゲージからのデータに基づいて、前記シャフトの前記遠位端の第1の位置を算出することと、前記算出された第1の位置にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、を実行させる;前記駆動機構は、前記セットの1つまたは複数の歪みゲージを有する;前記第1の器具は、リーダを有し、前記少なくとも1つのセンサは、前記リーダの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数のカメラを有する;前記少なくとも1つの制御信号の前記命令は、前記駆動機構に、前記シャフトの前記遠位端が前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号によって計測される前記初期位置に戻るまで、前記1つまたは複数のプルワイヤの張力を増加させるコマンドを含む;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記システムを制御するためのユーザインタフェースを有するワークステーションの一部である;少なくとも1つの呼吸センサをさらに有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記少なくとも1つの呼吸センサからのデータに基づいて、前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号の取得時における患者の呼吸パターンを特定することと、前記ワーキングチャネルへの前記第2の器具の挿入によって生じる前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化と、前記患者の前記呼吸パターンによって生じる前記シャフトの前記遠位端の位置変化とを区別することと、をさらに実行させる;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第2の器具における識別情報を検出することと、前記検出された識別情報にさらに基づいて、前記少なくとも1つの制御信号を生成することと、を実行させる;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第2の器具の無線自動識別タグの読み取りに基づいて、前記識別情報を検出すること、を実行させる。
【0010】
本件開示の実施形態は、第1の器具を有するロボットシステムに関する。第1の器具は、近位部分と遠位部分を有するシャフトを有する。遠位部分が関節動作可能領域を有する。シャフトはシャフトを通って延伸するワーキングチャネルを有する。ロボットシステムは、少なくとも1つのプルワイヤを有する。ロボットシステムは、ワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じて、ワーキングチャネル内の第2の器具の遠位端の位置を検出する少なくとも1つのセンサを有する。ロボットシステムは、実行可能な命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリを有する。ロボットシステムは、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能メモリと通信し、命令を実行する1つまたは複数のプロセッサを有する。命令は、システムに少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、ワーキングチャネル内の第2の器具の遠位端の位置を計算させる。命令は、さらにシステムに計算された位置に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成させる。ロボットシステムは、シャフトの近位部分において少なくとも1つのプルワイヤに接続された駆動機構を有する。駆動機構は、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整し、調整された張力によって、シャフトの遠位端が位置変化が生じる前の初期位置に戻りやすくなる。
【0011】
本件開示の実施形態は、以下の1つまたは複数の特徴を有してもよい:前記駆動機構は、前記第2の器具の前記遠位端が前記関節動作可能領域に関連して特定可能な位置に進行したときに、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記駆動機構は、前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行する前に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記駆動機構は、前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行した後に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第2の器具上の識別情報を検出させる;また、前記検出された識別情報にさらに基づいて前記少なくとも1つの制御信号を生成させる;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記検出された識別情報に基づいて前記第2の器具の少なくとも1つの物理的特性を特定させ、前記第2の器具の前記少なくとも1つの物理的特性は曲げ剛性値を含み、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記曲げ剛性値にさらに基づいて前記少なくとも1つの制御信号を生成させる;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記シャフトの関節動作可能領域の関節角を特定させ、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記関節角に基づいて前記少なくとも1つの制御信号を生成させる;前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記第2の器具の無線自動識別(RFID)タグの読み取りに基づいて前記識別情報を検出させる;および/または、電磁場発生器を有し、前記少なくとも1つのセンサは、前記第2の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して前記システムに前記セットの電磁センサからのデータに基づいて前記電磁場内の前記セットの電磁センサの位置を計算させ、前記計算された位置にさらに基づいて前記ワーキングチャネル内の前記第2の器具の前記遠位端の前記位置を計算させる。
【0012】
本件開示の一部は、第1の器具の少なくとも1つのプルワイヤを制御する方法の実施形態について説明する。この方法は、第1の器具の初期位置を特定することを含む。第1の器具は近位部分と遠位部分を有するシャフトを有する。第1の器具は、遠位部分が関節動作可能領域および遠位端を有する遠位部分を有する。第1の器具は、シャフトであって、シャフトを通って延伸するワーキングチャネルを有する、シャフトを有する。第1の器具は、少なくとも1つのプルワイヤを有する。この方法は、少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、第1の器具のワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じたシャフトの遠位端の位置変化を検出することを含む。また、この方法は、シャフトの遠位端の検出された位置変化に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することを含む。
また、この方法は、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することであって、調整された張力によってシャフトの遠位端が初期位置に戻りやすくなる、ことを含む。
【0013】
少なくとも1つのプルワイヤを制御するロボットシステムは、以下の1つまたは複数の特徴を任意に組み合わせて有してもよい:前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に第1のセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記第1のセットの1つまたは複数の電磁センサからの受信データにさらに基づく;前記少なくとも1つのセンサは、前記シャフトの前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の慣性センサを有し、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数の慣性センサからのデータに基づく;前記少なくとも1つのセンサは、1つのセットの1つまたは複数の歪みゲージを有し、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数の歪みゲージからのデータに基づく;前記少なくとも1つのセンサは、前記第1の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数のカメラを有し、前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化を検出することは、前記セットの1つまたは複数のカメラからのデータに基づく;および/または、少なくとも1つの呼吸センサからのデータに基づいて、前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号の取得時における患者の呼吸パターンを特定することと、前記ワーキングチャネルへの前記第2の器具の挿入によって生じる前記シャフトの前記遠位端の前記位置変化と、前記患者の前記呼吸パターンによって生じる前記シャフトの前記遠位端の位置変化とを区別することと、を含む。
【0014】
本件開示の一部は、第1の器具の少なくとも1つのプルワイヤを制御するほうh王の実施形態について説明する。この方法は、前記第1の器具のワーキングチャネルへの第2の器具の挿入を検出することを含む。第2の器具は近位端および遠位端を有する。第1の器具は、近位部分と遠位部分とを有するシャフトを有し、遠位部分は関節動作可能領域を有する。第1の器具は少なくとも1つのプルワイヤを有する。また、この方法は、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算することを含む。また、この方法は、計算された位置に基づいて少なくとも1つの制御信号を生成することを含む。また、この方法は、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することを含み、調整された張力によってシャフトの遠位部分の位置を維持しやすくなる。
【0015】
少なくとも1つのプルワイヤを制御する方法を実装するロボットシステムは、以下の1つまたは複数の特徴を任意に組み合わせて有してもよい:前記第2の器具の前記遠位端が前記関節動作可能領域に関連して特定可能な位置に進行したときに、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行する前に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行した後に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第2の器具上の識別情報を検出し、前記検出された識別情報にさらに基づいて前記少なくとも1つの制御信号を生成する;前記検出された識別情報に基づいて前記第2の器具の少なくとも1つの物理的特性を特定し、前記少なくとも1つの制御信号は前記少なくとも1つの物理的特性にさらに基づいて生成される;前記第2の器具の前記少なくとも1つの物理的特性は曲げ剛性値を含む;前記識別情報を検出することは、前記第2の器具のRFIDタグの読み取りを含む;および/または、前記関節動作可能領域内の前記第2の器具の前記遠位端の前記計算された位置は、前記第1の器具の前記遠位端の少なくとも1つの電磁センサからのデータに基づく。
【0016】
本件開示の一部は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の実施形態について説明する。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、命令を記憶する。命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つのプルワイヤを有する第1の器具に対して、第
1の器具の遠位端の初期位置を特定すること、を実行させる。さらに、命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、第1の器具のワーキングチャネルへの第2の器具の挿入に応じた第1の器具の遠位端の位置変化を検出すること、を実行させる。さらに、命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、検出された位置変化に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成すること、を実行させる。さらに、命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、前記少なくとも1つの制御信号に基づいて前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することであって、前記調整された張力によって前記第1の器具の前記遠位端が前記位置変化が生じる前の前記初期位置に戻りやすくなる、ことを実行させる。
【0017】
本件開示の実施形態に係る非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、以下の1つまたは複数の特徴を任意に組み合わせて有してもよい:前記少なくとも1つのセンサは、前記第1の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の電磁センサを有し、前記命令は、前記少なくとも1つの計算装置に、前記セットの1つまたは複数の電磁センサからのデータに基づいて、前記第1の器具の前記遠位端の前記位置を検出することを実行させる;前記少なくとも1つのセンサは、前記第1の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数の慣性センサを有し、前記命令は、前記少なくとも1つの計算装置に、前記セットの1つまたは複数の慣性センサからのデータに基づいて、前記第1の器具の前記遠位端の前記位置変化を検出することを実行させる;前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を計測する1つのセットの1つまたは複数の歪みゲージを有し、前記命令は、前記少なくとも1つの計算装置に、前記セットの1つまたは複数の歪みゲージからのデータに基づいて、前記第1の器具の前記遠位端の前記位置変化を検出することを実行させる;前記少なくとも1つのセンサは、前記第1の器具の前記遠位端に1つのセットの1つまたは複数のカメラを有し、前記命令は、前記少なくとも1つの計算装置に、前記セットの1つまたは複数のカメラからのデータに基づいて、前記第1の器具の前記遠位端の前記位置変化を検出することを実行させる;および/または、前記命令が実行されると、前記少なくとも1つの計算装置に少なくとも1つの呼吸センサからのデータに基づいて、前記少なくとも1つのセンサからの前記データ信号の取得時における患者の呼吸パターンを特定することと、前記ワーキングチャネルへの前記第2の器具の挿入によって生じる前記第1の器具の前記遠位端の前記位置変化と、前記患者の前記呼吸パターンによって生じる前記第1の器具の前記遠位端の位置変化とを区別することと、を実行させる。
【0018】
本件開示の一部は、プルワイヤの張力を調整する命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の実施形態について説明する。命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に少なくとも、少なくとも1つのプルワイヤと関節動作可能領域を有する第1の器具に対して、第1の器具のワーキングチャネル内への第2の器具の挿入を検出すること、を実行させる。さらに、命令は、少なくとも1つの計算装置に、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算すること、を実行させる。さらに、命令は、少なくとも1つの計算装置に、計算された位置に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成させる。さらに、命令は、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整し、調整された張力によって、シャフトの遠位端が位置変化が生じる前の初期位置に戻りやすくなる。
【0019】
第6番目の側面の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、以下の1つまたは複数の特徴を任意に組み合わせて有してもよい:前記第2の器具の前記遠位端が前記関節動作可能領域に関連して特定可能な位置に進行したときに、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行する前に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第2の器具の前記遠位端が前記特定可能な位置に進行した後に、前記少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整する;前記第
2の器具上の識別情報を検出し、前記検出された識別情報にさらに基づいて前記少なくとも1つの制御信号を生成する;前記検出された識別情報に基づいて前記第2の器具の少なくとも1つの物理的特性を特定し、前記少なくとも1つの制御信号は前記少なくとも1つの物理的特性にさらに基づいて生成される;および/または、前記少なくとも1つの物理的特性は曲げ剛性値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図2A】
図1のロボットシステムの遠位部分を示す図である。
【
図3】管腔ネットワーク内のロボットシステムの遠位部分を示す図である。
【
図4A】軟性の器具の実施形態の遠位部分(例えば、軟性の器具のシースおよびリーダ構成におけるリーダ)を示す図である。
【
図4B】電磁センサシステムおよび生理学センサシステムの実施形態を含むロボットシステムを示す図である。
【
図4C】挿入可能な器具の実施形態の遠位部分を示す図である。
【
図5】軟性の器具を制御する駆動機構の実施形態を示す図である。
【
図6A】ロボットシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図6B】器具を制御する器具マニピュレータの実施形態を示す図である。
【
図7】ロボットシステムと共に使用されるワークステーションの実施形態を示す図である。
【
図8】軟性の器具の湾曲を追跡および補償する例示的な手順のフローチャートを示す図である。
【
図9】軟性の器具の湾曲を予測および補償する例示的な手順のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
医療手技には、操作者から遠隔の位置にある器具の操作が含まれることがある。例えば、管腔や管腔ネットワーク(例えば、肺、腸など)内で、軟性の器具(例えば、トロカール、カテーテル、内視鏡など)を所望の組織部位に対応する患者内の目標位置にナビゲートすることで、画像取得、生検採取、治療剤の搬送および/または手術を行うことができ、軟性の器具のワーキングチャネルを経由して別の器具を挿入して所望の組織部位にアクセスすることができる。
【0022】
軟性の器具を用いて行われる医療手技の一例が、経気管支針生検(Transbronchial Needle Aspiration;TBNA)と呼ばれる、肺がんなどの気管支疾患の診断やステージ特定を目的とした低侵襲の気管支鏡手法である。TBNA法には、軟性の器具を経由した生検針を操作して患者の管腔内の組織部位において組織検体を取得することが含まれることがある。例えば、術者は、胸部スキャンを用いて生検対象の腫瘤の位置を特定し、患者の気道内の軟性の器具の位置を腫瘤に向けてガイドすることができる。軟性の器具の遠位端が肺内の特定した腫瘤に近接する位置に移動した後、生検針が軟性の器具のワーキングチャネルを通って組織の位置に到達される。そして、ワーキングチャネルから針が伸びて針によって組織部位が穿刺されることで、組織に針が挿入される。検体の採取後は、針はワーキングチャネルから回収される。
【0023】
既存の手術用の軟性の器具に伴う課題の1つは、軟性の器具のワーキングチャネルを経由して挿入可能な器具を前進または伸長させることにより、軟性の器具が湾曲し、遠位端が目標の位置から移動してしまうことである。目標の位置は、例えば、少なくともその一部が、軟性の器具の関節角(articulation angle)として表現できる。挿入可能な器具をワーキングチャネルを経由して伸長させることで、挿入可能な器具によって軟性の器具の
関節角を変更できる。このような湾曲の結果、軟性の器具の遠位端の位置が組織部位に対してずれる可能性がある。このような湾曲は、術者が見つけないと、体内の誤った場所に医療手技が行われる結果となる可能性がある。このことは、肺内の病変部などの組織部位の直径が小さい場合に特に当てはまる。場合によっては、術者が軟性の器具を目標の位置に戻す操作を行うことで、湾曲が手動で直されることがある。しかしながら、この手技は、特に複数の器具を使用したり複数の組織部位を確認したりする医療手技においては時間がかかり、さらには放射性ベースのナビゲーション支援手段を用いて元の位置への復帰を誘導することもある(蛍光透視法、X線、コンピュータ断層撮影など)。
【0024】
したがって、本件開示の一側面は、軟性の器具のワーキングチャネルに別の器具を挿入する場合に、軟性の器具の湾曲の防止、軽減および/または補償を支援するシステムおよび方法に関する。本件開示の別の側面は、湾曲の原因に関係なく、軟性の器具などの湾曲の防止、軽減および/または補償を支援するシステムおよび方法に関する。
【0025】
いくつかの実施形態では、医用手技時に操作可能な内視鏡を使用することができる。一例において、内視鏡は、内部リーダ部分(inner leader portion;以下「リーダ」と称する)と外部シース部分(outer sheath portion;以下「シース」と称する)など、少なくとも2つの軟性の望遠用器具を有してもよい。
【0026】
ここでは、用語「軟性の器具」、「シース」、「リーダ」および「内視鏡」は、医療手技を行うために患者の体内に挿入可能なあらゆる種類の軟性の器具と相互に交換可能である。いくつかの実施形態では、すべてではないが、軟性の器具は、管腔内の経路を経由するナビゲーションを支援する1つまたは複数のカメラを有することができる。これらには、気管支鏡、膀胱鏡、内視鏡、結腸鏡、腎臓鏡その他の同様のナビゲーション可能な器具が含まれる。したがって、以下に開示する実施形態は、患者の肺に挿入される内視鏡または気管支内視鏡を想定して提示されるが、ここでは軟性の器具に対するその他の適用例も想定される。いくつかの実施形態では、用語「第1の器具」は、軟性の器具、内視鏡、リーダ、あるいはこれらの器具において延伸するワーキングチャネルを意味し、用語「第2の器具」は、第1の器具のワーキングチャネルを経由して手術部位に達する挿入可能な器具(画像取得、位置検出、生検収集、治療剤や手術の送達などを行う器具)を意味する。言い換えると、ここでは、ロボットシステムの構成要素の相対位置を、操作するものからの視点で説明する。
【0027】
ここでは、「遠位端」とは、使用時に患者の組織部位に最も近い位置にある内視鏡や器具の端部を意味し、「近位端」とは、操作するもの(例えば、術者やロボット制御システム)に最も近い位置にあるシースまたは器具の端部を意味する。
【0028】
ここでは、用語「約」または「およそ」は、長さ、厚さ、量、時間、または他の測定可能な値の測定値の範囲を意味する。これら測定値の範囲は、規定値のおよび規定値からの、+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、さらに好ましくは+/-0.1%以下の変化であり、これらの変化は本件開示の装置、システム、および技術において機能するために適切である限りにおいて開示に含まれるものとする。
【0029】
ここでは、「通信可能に接続」とは、無線WAN(Wide Area Network)(例えば、1
つまたは複数のセルラーネットワーク)、無線LAN(Local Area Network)(例えば、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))など、1つまたは複数の標準用に構成されたもの)、Bluetooth(登録商標)、データ転送ケーブルなど、を含むがこれに限定されない、任意の有線および/または無線データ送信媒体を意味する。
【0030】
以下に、種々の実施形態について、例示目的で、図を参照しながら説明する。本件開示の技術思想をその他の実装に適用でき、ここに説明する種々の実装により種々の利点が得られることがわかる。また、ここには、参照用および多数の節の位置がわかるように見出しが含まれている。これらの見出しは、見出しが示す技術思想の範囲を制限するものではない。それぞれの技術思想は本明細書全体にわたって適用されてよい。
【0031】
(ロボットシステム例)
図1は、患者の管腔内など、ある距離における医療手技の実施を支援するように構成されたロボットシステム100の一実施形態を示す。システム100は、挿入可能な器具140を挿入できるシース120およびリーダ130などの軟性の器具を有する。図に示すように、軟性の器具のシース-リーダ配置により、シース120およびリーダ130はそれぞれ個別の駆動機構154、164に接続され、各駆動機構はロボットアーム150、160の遠位端に接続されている。
【0032】
シース120の遠位端122は患者の管腔(図示せず)内に挿入されるように構成されてもよく、リーダ130の遠位端132はシース120を通してワーキングチャネル129内に挿入され、患者の管腔内の目標位置にナビゲートされてもよく、目標位置は医療手技の目標である患者の管腔の組織部位に対応する(例えば、
図3を参照)。挿入可能な器具140の遠位端142は、リーダ130のワーキングチャネル139を通して挿入され、遠位端132まで前進させられ、それによって、組織部位にアクセスして医療手技を実行するように構成され得る。
【0033】
シース120は、遠位端122と、近位端124と、遠位端122と近位端124との間に延在するシャフト126と、シャフト126の関節動作可能領域128とを含むことができる。関節動作可能領域128は患者の管腔を通るシース120のナビゲーションを容易にするために、シャフト126の長手方向軸に対して関節動作することができる。遠位端122は関節動作可能領域128を関節動作させて(例えば、以下にさらに詳細に記載される1つ以上のプルワイヤの使用を介して)、遠位端122のための経路を選択し、近位端124から患者の管腔を通ってシャフト126および遠位端122を前進させることによって、患者の管腔を通って誘導され得る。このようにして、遠位端122は、患者の管腔を通って組織部位までナビゲートされ得る。上述したように、様々なナビゲーション支援具およびシステムはX線透視法、X線、および/またはコンピュータ軸断層撮影(CT)スキャニングを含むが、これらに限定されないこのプロセスをサポートすることができる。関節動作可能領域128は、近位端124と遠位端122との間に位置してもよく、本実施例では遠位端122に隣接している。この構成は、患者の管腔ネットワークを通るシース120のナビゲーションを支援することができる。
【0034】
リーダ130は、遠位端132と、近位端134と、遠位端132と近位端134との間に延在するシャフト136と、シャフト136の関節動作可能領域138とを含むことができる。関節動作可能領域138は患者の管腔を通るリーダ130のナビゲーションを支援するために、シャフト136の長手方向軸に対して関節動作することができる。関節動作可能領域138は、近位端134と遠位端132との間に位置してもよく、本実施例では遠位端132に隣接している。この構成は、患者の管腔ネットワークを通るリーダ130のナビゲーションを支援することができる。
【0035】
上述のように、リーダ130の遠位端132は、シース120の近位端124に挿入され、それによって少なくとも部分的に支持され得る。リーダ130の遠位端132はシース120の遠位端122から外に延ばされ、例えば、関節動作可能領域138を関節動作させることによって(例えば、以下にさらに詳細に記載される1つ以上のプルワイヤの使用を介して)、患者の管腔を通って案内されて、遠位端132のための経路を選択し、シ
ース120のシャフト126を通ってリーダ130を前進させることができる。シース120は患者の管腔を通る経路を選択するために、リーダ130を前進させ、関節動作させることができる基部を提供することができる。シース120はまた、リーダ130を支持し、リーダ130の操縦を容易にすることができる。このような前進技術は例えば、組織部位に隣接する目標位置に到達するために、患者の管腔ネットワークを通してリーダ130の遠位端132を前進させるために使用され得る。前進手法は、患者の管腔ネットワークからリーダ130およびシース120を後退させるために逆にすることができる。このようにして、リーダ130の遠位端132は、患者の管腔を通って組織部位へ/組織部位からナビゲートされ得る。上述のように、様々なナビゲーション支援具およびシステムは、蛍光透視法、X線、および/またはCTスキャンを含むがこれらに限定されないこのプロセスをサポートすることができる。
【0036】
図1の例に示すように、シース120の近位端124は、患者の管腔を通ってシース120を案内またはナビゲートするように構成された第1のロボットアーム150によって支持することができる。第1のロボットアーム150は基部152と、基部から延びる共同で結合された複数のアームセグメントとを含むことができ、これは、第1のロボットアーム150に複数の自由度を与える。例えば、第1のロボットアーム150の一実施形態は、7つのアームセグメントに対応する7つの自由度を有することができる。いくつかの実施形態では、第1のロボットアーム150が第1のロボットアーム150の位置を維持するためにブレーキおよび釣り合いおもりの組み合わせを使用する関節を含む。釣り合いおもりは、ガススプリングまたはコイルスプリングを含むことができる。ブレーキ、例えば、フェールセーフブレーキは、機械的および/または電気的構成要素を含むことができる。また、第1ロボットアーム150は、重力支援パッシブ支持型ロボットアームであってもよい。
【0037】
エンドエフェクタは、第1のロボットアーム150に連結され、シース120を制御するように構成された駆動機構154を備えてもよい。駆動機構154は、空気圧、電力、電気信号、および/または光信号を第1のロボットアーム150からシース120に伝達するためのコネクタを含むことができる。駆動機構154は、直接駆動、高調波駆動、歯車駆動、ベルトおよびプーリ、磁気駆動、および/または同様のものを含む手法を使用して、シース120の位置決めを操作するように構成され得る。
図5を参照して以下にさらに記載されるように、駆動機構154はまた、関節動作可能領域128を関節動作させるために、プルワイヤの張力を操作するように構成され得る。
【0038】
第1のロボットアーム150の基部152は例えば、中央処理装置156、データバス、制御回路、および記憶158などの部品、ならびに第1のロボットアーム150を移動させるためのモータなどの関連するアクチュエータを含む、電源、空気圧、ならびに制御およびセンサ電子機器を含むことができる。いくつかの実施形態では、基部152がロボットシステム100を搬送するための車輪と、車輪のための車輪ロック/ブレーキとを含む。外科手術ロボットシステム100の可動性は、外科手術室内の空間制約に適応することを助け、ならびに外科手術機器の適切な位置決めおよび移動を容易にする。さらに、移動度は、第1のロボットアーム150が患者、医師、麻酔科医、または他の機器を妨害しないように、第1のロボットアーム150が構成されることを可能にする。医療手技中、ユーザは、制御装置、例えばコマンドセンタ(
図7を参照して以下でさらに詳細に説明する)を使用してロボットアーム150を制御することができる。
【0039】
リーダ130の近位部分(近位端134を含む)は、シース120のワーキングチャネル129を通って、および患者の管腔内に/を通ってリーダ130を案内するように構成された第2のロボットアーム160によって支持され得る。第1のロボットアーム150と同様に、第2のロボットアーム160はベース162と、ジョイント、ブレーキ、およ
び/または釣り合いおもりで連結された複数のアームセグメントとを含み、第2のロボットアーム160の位置を維持することができる。第1のロボットアーム150の基部152と同様に、第2のロボットアーム160の基部162は動力源、空気圧、ならびに、例えば、中央処理装置166、データバス、制御回路、および記憶168などの部品、ならびに第2のロボットアーム160を移動させるためのモータなどの関連するアクチュエータを含む、制御およびセンサ電子機器を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のロボットアームの基部162が車輪と、車輪用のロック/ブレーキとを含む。ロボットシステム100のいくつかの実施形態では第1および第2のロボットアーム150、160は同じ基部上に取り付けるか、または患者手術台に取り付けることができる。
【0040】
エンドエフェクタまたは駆動機構164(駆動機構154と同様であり得る)は、第2のロボットアーム160に連結することができ、リーダ130を制御するように構成され得る。駆動機構164は、空気圧、電力、電気信号、および/または光信号を第2のロボットアーム160からリーダ130に伝達するためのコネクタを含むことができる。駆動機構164は、直接駆動、ハーモニック駆動、歯車駆動、ベルトおよびプーリ、磁気駆動などを含む技術を使用して、リーダ130の位置決めを操作するように構成することができる。
図5を参照して以下にさらに記載されるように、駆動機構164はまた、関節動作可能領域138を関節動作させるために、プルワイヤの張力を操作するように構成され得る。
【0041】
挿入可能な器具140の遠位端142は、リーダ130の近位端134においてワーキングチャネル139に手動で挿入されるように構成され得る。例えば、挿入可能な器具140の遠位端144上のハンドル145は使用者(例えば、医師)によって把持され得、ワーキングチャネル139を下方に操作位置まで案内され得る。ハンドル145は挿入可能な器具140を操作して、所望の医療手技(例えば、試料または治療薬を取得するための突入または後退運動、ならびに照準を合わせるための関節動作または任意の他の適切な運動)を行うための作動機構を含み得る。挿入可能な器具140の遠位端142は、シャフト126、136に沿って、関節動作可能領域128、138を通って、リーダ130の遠位端132まで通され得る。
図2Bを参照して以下に説明するように、挿入可能な器具140の遠位端142がリーダ130の関節動作可能領域138内に通過すると、関節動作可能領域138の望ましくない撓みを引き起こす可能性がある。また、シース120の関節動作可能領域128内への遠位端142の通過は関節動作可能領域138の偏向と同様に、シース120の関節動作可能領域128の望ましくない偏向を引き起こし得る。
【0042】
図2Aの例に示されるように、シャフト136の関節動作可能領域138は、説明の目的で外側ケーシング135によって覆われていない状態で示されている。リーダ130の外側ケーシング135は可撓性ポリマー材料(例えば、ポリウレタンまたはポリエステルエラストマーなど)を含むことができ、リーダ130内への体液の侵入に対する保護を提供し、シャフト136に沿った患者の管腔との滑らかな界面を確保する。さらに、外側ケーシング135は、シャフト136に外側構造を提供するコイル状金属バンド137の上に配置することができる。関節動作可能領域138内では、コイル状金属バンド137が例えばコイル状金属バンド137内のコイルの間隔に基づいて、関節動作可能領域138がシャフト136の残りの部分よりも高い可撓性を有するように構成することができる。
【0043】
図2Bは、
図2Aに示すロボットシステム100の遠位部分の一例を示す。破線で示されるように、遠位端132は患者の管腔内の目標位置118にナビゲートされ、目標位置118は挿入可能な器具140の遠位端142が組織部位にアクセスするために、リーダ130の遠位端132から延ばされ得るように、医療手技の対象である組織部位の規定された距離内のリーダ130の遠位部分(遠位端132を含む)の所望の位置に対応し、および/または、医療手技の対象である組織部位と整列される。例えば、目標位置118は
患者の管腔内の遠位端132の位置(例えば、座標系内の位置)、患者の管腔のナビゲーションモデル、遠位端132のロール、ピッチ、および/またはヨー、および/または関節動作可能領域138の関節角116に関して少なくとも部分的に表すことができる。
【0044】
上述したように、挿入可能な器具140は組織部位にアクセスするために、リーダ130のワーキングチャネル139を通って前進させることができる。挿入可能な器具140の遠位端142を関節動作可能領域138に挿入すると、遠位端132は破線で示される目標位置118から、実線で示される偏向位置119に偏向または移動することができる。目標位置118と同様に、偏向位置119は、偏向角度115の変化によって、または関節動作可能領域138の新しい関節角116aによって示すことができる。
【0045】
一例では偏向位置119がもはや組織部位に対応せず、その結果、挿入可能な器具140の遠位端142の延長部はリーダ130の遠位端132から延長され得るが、組織部位へのアクセスを有さず、または組織部位と整列されない。1つの例示的な実施例では生検のための組織試料の収集において、組織部位が約3cm未満の直径を有する潜在的に癌性の病変である。ワーキングチャネルを通る生検針の挿入は、目標位置118からの遠位端132の移動を引き起こし得、それによって、ロボットシステムの操作者による矯正を必要とする。さもなければ、生検針は病変を見逃し、患者の管腔内の不正確な組織部位をサンプリングする可能性がある。
【0046】
別の例では、偏向角度115は、リーダ130の曲げ剛性および挿入可能な器具140の曲げ剛性に応じて、15°以上とすることができる。偏向角度115の大きさに影響を及ぼしうるその他の要素には、関節角116、挿入可能な器具140の直径、または関節動作可能な領域138の曲げ剛性が含まれる。したがって、本明細書で説明されるシステムおよび方法のある側面は、目標位置118からのリーダ130の遠位部分の偏向または移動、および/または偏向を自動的に防止、最小化、および/または補償することに関する。
【0047】
挿入可能な器具140の遠位端142を関節動作可能領域138に挿入することによる、目標位置118からの遠位端132の偏向に加えて、いくつかの実施形態では、遠位端132がシース120の関節動作可能領域128を通して遠位端142を挿入することによって、目標位置118から偏向または移動され得る。例えば、関節動作可能領域138の角度(図示せず)(関節動作可能領域138の偏向角度115と同様)は、挿入可能器具140をワーキングチャネル129および/または関節動作可能領域128に挿入することによって偏向または移動させることができる。遠位端132は、それに応じて偏向または移動することができる。この偏向または移動は上述のように、関節動作可能領域138の偏向角度115の変化(もしあれば)からの偏向または移動に加えることができる。したがって、本明細書で説明されるシステムおよび方法のある側面は、シース120の偏向または移動による、および/または偏向または移動を自動的に防止、最小化、および/または補償することによる、目標位置118からのリーダ130の遠位部分の偏向の検出に関する。
【0048】
図3は図示されるように、患者、例えば肺の管腔ネットワークまたは管腔303内のロボットシステム100の遠位部分を図示する。リーダ130の遠位端132は、第2のロボットアーム160などによって近位端134を前進させ、関節動作可能領域138を駆動機構164と関節動作させることによって、遠位端132を有する患者の管腔303を通る経路を選択することによって、患者の管腔303を通ってナビゲートすることができる。リーダ130のシャフト136は第2のロボットアーム160などによって、シース120のワーキングチャネル129を通って前進させることができ、遠位端132は、シース120の遠位端122から延ばすことができる。シャフト126およびシースの遠位
端122は、リーダ130のシャフト136に沿って前進させることによって、患者の管腔を通ってナビゲートされ得る。これにより、シース120はリーダ130が再び管腔303を通って前進し、管腔303を通る経路を選択するために関節動作することができる基部を提供することができる。シース120はまた、駆動機構154によって関節接合されることによって、リーダ130を支持し、さらに操縦することができる。この前進技術はリーダ130の遠位端132が組織部位304に隣接する目標位置118に到達するように、管腔303を通って繰り返され得る。前進技術を逆にして、リーダ130およびシース120を管腔303から後退させることができる。
【0049】
挿入可能な器具140の遠位端142は、リーダ130の内部ルーメン139を通って遠位端132から(手動および/またはロボットで)前進させることができる。これにより、挿入可能な器具140の遠位端は、組織部位304に閲覧することができる。
図2Bを参照して上述したように、挿入可能な器具140の前進は、リーダの関節動作可能領域138および/またはシース120の関節動作可能領域128の偏向を引き起こすことができる。
【0050】
したがって、本明細書で説明されるシステムおよび方法のある側面は、目標位置118からのリーダ130の遠位端132の撓みの検出、および/または撓みを自動的に防止、最小化、および/または補償することに関する。例えば、本明細書に記載される実施形態の少なくともいくつかにおける自動的な性質は、リーダ130の遠位端132(またはシース120の遠位端122)の撓みのための手動補正に比べて実質的な時間の節約を提供することができることが理解されるのであろう。これらの時間節約は手術時間の短縮、医師、外科医、および医療手技者の疲労の低減、処置を完了するのに必要な時間の量を低減することによるより安価な医療手技、ならびに関連する医師の緊張に伴う医療手技の実施の誤り率の低減により、患者のより早期の回復を支援することができる。
【0051】
本発明のシステムおよび方法の別の利点は、偏向を補正するための精度が改善されることである。この改善された精度は誤った場所で実行された医療手技を繰り返す必要性を排除し、誤った場所で採取された生検についての誤った陽性および誤った陰性の割合を低下させ、誤ってまたは誤った場所で実行されたために繰り返される必要がある処置の数を減少させ、全体的に陽性の患者の結果を増加させることによって、手術を実行するために必要な時間の量を減少させることができる。
【0052】
本発明のシステムおよび方法の別の利点は、偏向の検出が改善されることである。この改善された検出率は誤った場所で行われた医療手技を繰り返す必要性を排除し、それによって陽性の患者転帰を増加させることができる。
【0053】
図4Aは例えば、リーダ130のような軟性の器具の遠位部分の実施形態を図示する。遠位部分は、関節動作可能領域138と、遠位端132と、ワーキングチャネル139の遠位開口部とを含むことができる。リーダ130の遠位部分は、リーダ130の遠位端132の位置を特定するための1つまたは複数の追跡システムまたはセンサモダリティと共に使用するための追跡センサをさらに備えることができる。そのような追跡センサおよびシステムに関するさらなる詳細は本明細書の詳細に加えて、2016年9月17日に出願された「Navigation of Tubular Networks」という名称の米国特許出願第15/268,238号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
これらの追跡センサを監視する追跡システムを使用して、挿入可能な器具140をワーキングチャネル139に挿入することによって、または遠位端の他の望ましくない動きから引き起こされるような動きを含む、遠位端132の動きを追跡し、検出することができる。例えば、追跡システムは、遠位端132がシステム100によって目標位置118に
ナビゲートされたかどうか、遠位端132が目標位置118から偏向されたかどうか、および/または目標位置118からの偏向の大きさを検出することができる。さらに、追跡システムの各々は例えば、
図7を参照して以下で説明するコマンドセンタ700などのコントローラを含むか、またはそうでない場合はコントローラと通信することができる。コントローラは以下で説明する追跡システムのいずれかからのデータを使用して、目標位置118からの遠位端132の測定または検出された撓みを補償するために、ロボットシステム100への制御信号を生成するための、命令が格納されたコンピュータ可読媒体と通信可能に結合されたプロセッサを含むことができる。
【0055】
引き続き
図4Aの例を参照して、いくつかの可能な追跡システムをここで説明する。一例の追跡システムでは、リーダ130の遠位部分が加速度計および/またはジャイロスコープなどの1つまたは複数の慣性センサ460を備えることができる。慣性センサ460は加速度の変化を検出および/または測定し、これらの測定値を反映するデータ信号をコントローラに出力するように構成することができる。一実施形態では、慣性センサ460が加速度計を有する3軸微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサチップであり、リーダ130の遠位端132付近に、例えば、
図4に示すように、カメラ450と同じプリント回路基板上に、または異なる基板上に結合することができる。加速度計は遠位端132の速度および方向を計算するために、3つの異なる軸に沿った直線加速度を測定することができる。したがって、目標位置118からの遠位端132の移動は、コントローラによって検出および/または測定することができる。
【0056】
一例では、慣性センサ460が重力を検出し、地面に対する内視鏡器具の位置に関する情報を提供する。慣性センサ460が重力の方向も測定する場合、慣性センサ460は、リーダ130の遠位端132の向きに関する絶対情報を含むデータを提供することができる。別の例では、リーダ130が90度まで回転または曲がらない場合、2軸加速度計を使用することもできる。別の例では、加速度計の軸が重力の方向に対して垂直、すなわち地面に対して垂直のままである場合、1軸センサが有用であり得る。さらに別の例では、慣性センサ460が遠位端132の回転速度を測定するように構成されたジャイロスコープを備えることができ、次いで、これを使用して、リーダ130の関節動作を計算することができる。
【0057】
慣性センサの読み取り値は、デジタル信号またはアナログ信号を使用して、通信プロトコルを介してコントローラに送信することができる。信号は、配線を介してカテーテルの近位端に伝達され、そこから処理のためにコントローラに伝達され得る。目標位置118からの遠位端132の移動は、コントローラによって検出および/または測定することができる。
【0058】
別の例示的な追跡システムとして、カメラ450は、光学追跡システムの一部として使用することもできる。カメラ450は、いくつかの実施形態では電荷結合装置(CCD)、または遠位端132まで近位に延在する光ファイバケーブルである。カメラ450からの画像は患者の管腔などの解剖学的空間を通ってリーダ130の遠位端132をナビゲートし、目標位置118に到達するのに理想的であり得る。遠位端132はまた、LEDなどの光源を備えることができる。LEDと共に、カメラ450は例えば、患者の管腔内でのナビゲーションを支援するためにリアルタイムビデオを捕捉するために使用され得る。粘液などの内部液は、ナビゲートするときに問題を引き起こす可能性がある。したがって、遠位端132は、カメラレンズの洗浄および/または吸引のための構成要素など、カメラ450を洗浄するための構成要素を含むこともできる。
【0059】
ナビゲーションに加えて、カメラは遠位端132の偏向を検出するために、および/またはそのような偏向の大きさを測定するために使用され得る。光学追跡システムでは、カ
メラ450からの出力またはデータ信号をコントローラに結合することができ、それによって、データ信号を処理して、目標位置118からの遠位端132の偏向を検出および/または測定することができる。
【0060】
リーダ130の遠位部分はまた、遠位端132上に1つまたは複数の電磁(EM)追跡器またはセンサ484を備えることができ、これは、
図4Bに示す電磁追跡システム480と併せて使用することができる。電磁追跡システム480は、生成された電磁場と共に電磁センサ484を使用して、電磁場内のセンサの位置のリアルタイム表示を提供することができる。したがって、遠位端122の位置は、遠位端132が1つまたは複数の電磁センサ含む電磁追跡システムで追跡することができる。さらに、追跡システム480からのデータ信号を使用して、目標位置118からの任意の移動または偏向を検出することができ、および/または偏向の大きさを測定することができる。
【0061】
電磁ベースの追跡では、静的電磁場発生器486が電磁場を生成する。電磁場発生器486は、低強度磁場を生成するために患者101の近くに配置することができる。例えば、
図4Bに示されるように、磁場発生器486は患者101の身体を支持するために、患者インターフェース位置112上に配置され得る。例えば、患者インターフェース位置112は患者101のための支持プラットフォームとすることができ、フィールドジェネレータは、患者の下に配置することができる。別の例では、磁場発生器がロボットアーム上に保持されるか、または患者インターフェース位置112の側面の周りに配置され得る。
【0062】
静的電磁場発生器486は電磁センサコイルに小電流を誘導し、この小電流は、センサと発生器との間の距離および角度に相関する。次いで、電気信号は、インターフェースユニット(オンチップまたはPCB)によってデジタル化され、ケーブル/配線を介してシステムカートに送り返され、次いでコマンドセンタに送り返される。次いで、データを処理して、現在のデータを解釈し、送信機または場発生器486に対する電磁センサの正確な位置および向きを計算することができる。リーダ130内の異なる位置、例えば関節動作可能領域138上で複数のセンサを使用して、これらの電磁センサ位置も計算することができる。
【0063】
したがって、人工的に生成された電磁場からの読み取り結果に基づいて、電磁センサ484は、患者の解剖学的構造を通って移動する際の磁場強の変化を検出することができる。電磁センサデータ信号は解釈および分析のために、リーダ130のシャフトを下って、コントローラ488に、あるいは、コントローラまたはコマンドセンタ700に送信され得る。電磁センサ484からの読み取り結果を使用して、ディスプレイモジュールは、操作者によるレビューのために、事前に生成された3次元モデル内の電磁センサの相対位置を表示することができる。
【0064】
ロボットシステム100の遠位部分の撓みを検出および測定するために、様々なセンサおよび追跡システムを使用することができるが、センサの選択は(1)内視鏡器具内のセンサのサイズや、(2)シース120内へのセンサの製造および集積のコストに少なくとも部分的に基づくことができる。
【0065】
一組の生理学的センサ490を使用して、患者の生理学的運動を追跡することができる。例えば、生理学的センサ490は呼吸中の胸部表面の変位を推定するのを助けるために、患者の身体上に配置される1つ以上の慣性センサを備えることができる。別の例では、生理学的センサ490が患者の身体上に配置されるように構成され、電磁追跡システム480と連動して呼吸サイクルの吸気相および呼気相を測定するために使用される電磁パッチまたは電磁呼吸センサを備えることができる。別の例では、呼吸によって引き起こされる変位を追跡するために、患者の身体上に(例えば、患者の管腔の領域内に)いくつかの
追加の電磁パッチセンサを設けることができる。いくつかの実施形態では、生理学的センサ490内のデータが各電磁パッチセンサについて、電磁場内のセンサの位置を所定期間にわたって表す時間依存位置データを含むことができる。多数の異なる電磁パッチセンサはこれらの位置における異なる変位を追跡するために、身体上に間隔を置いて配置することができる。例えば、肺の周辺部は中心気道よりも呼吸に起因してより大きな運動を示し得、多数の電磁パッチセンサを提供することはこれらの運動効果のより正確な分析を可能にし得る。さらに、リーダ130の遠位端132は管腔303の異なる領域を通って移動し、したがって、これらの異なる領域を通って移動するときに、患者の呼吸に起因する様々なレベルの変位が生じる。データフィルタリング方法はリーダ130の遠位端132のおおよその位置を、追加の電磁パッチセンサのうちの1つまたは複数と相関させることができ、これらの特定の追加の電磁パッチセンサの識別された変位量を使用して、例えば、内視鏡位置信号の呼吸運動アーチファクト成分のフィルタリング/除去を介して、気道運動による内視鏡位置信号内のノイズまたはアーチファクトを補正することができる。生理学的センサ490のこの電磁パッチセンサの実施形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月31日に出願された「生理学的ノイズを補償する管腔ネットワークのナビゲーションのためのロボットシステム」という名称の米国仮出願第62/480,257号にさらに記載されている。
【0066】
別の例では、生理学的センサ490が気道の領域(例えば、管腔領域103)において患者の身体上に配置され、呼吸サイクルの吸気相および呼気相を測定するために使用されるように構成された、音響または他のタイプの呼吸センサを備える。別の例では生理学的センサ490が光学センサ(例えば、撮像デバイス)を備えることができ、患者の身体の画像のストリームをキャプチャすることができ、これらの画像は呼吸位相および/または変位を識別するために分析することができる。いくつかの実施側面では患者101が手続中に人工呼吸器からの支援を受けて呼吸しており、人工呼吸器(および/または人工呼吸器に通信可能に結合された装置)は呼吸サイクルの吸気および呼気相を表すデータを提供することができる。
【0067】
生理学的センサからのデータは、上述の1つ以上の追跡システムからのデータと併せて、コントローラまたはコマンドセンタ700によって使用され得る。生理学的センサからのこのデータを比較することによって、患者の動きは、追跡システムからのデータからフィルタリングされ得、その結果、フィルタリングされたデータは患者の動き(例えば、呼吸サイクルの吸気および呼気フェーズの間)ではなく、器具挿入による偏向からのリーダ130の遠位端132の動きを示す。
【0068】
図4Cは、その遠位端142上に電磁センサ挿入可能な器具140の実施形態を示す。挿入可能な器具140がリーダ130のワーキングチャネル139を通して手動で挿入されるロボットシステム100のようないくつかの実施形態では、電磁センサ追跡システム480と共に使用されて、挿入可能な器具140の遠位端142のリーダ130および/または患者の管腔内の進行を追跡することができる。遠位端142の位置を示すデータのような電磁センサデータはまた、本明細書に記載される他の追跡機構のいずれかと関連して使用され得る。例えば、電磁センサデータを使用して、例えば、リーダ130内の電磁センサの位置または遠位端132へのその近接度に基づいて、本明細書に記載の追跡システムのいずれかを初期化または終了することができる。別の例では、センサ482からのデータが
図5および
図9を参照して以下に説明するように、関節動作可能領域138のタイミング調整の要因として使用することができる。別の例では、センサ482からのデータを使用して、関節動作可能領域138からの遠位端142の距離を計算し、遠位端142がいつ関節動作可能領域138に入ることができるかを知ることができる。別の例では、センサ482からのデータを使用して、遠位端142の軌道を特定し、遠位端142が関節動作可能領域138にいつ入ったかを知ることができる。いくつかの実施形態では、
電磁センサ482の代わりに、または電磁センサ482に加えて、挿入可能な器具140は従来の放射線ベースのナビゲーション補助(例えば、蛍光透視法、X線、コンピュータ軸方向断層撮影スキャニングなど)を使用して追跡または見ることができる金属製の放射線不透過性バンドを含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、挿入可能な器具140が識別タグを備えることができ、タグは特定の挿入可能な器具140に関する情報に対応するか、またはそれを含み、例えば、器具の物理的特性などの情報を含む。いくつかの実施形態では、ロボットシステム100がタグに基づいて挿入可能な器具140を自動的に識別することができる。例えば、タグは、RFIDタグ、バーコードなどとすることができる。いくつかの実施形態では、挿入可能な器具140に関連する物理的特性が識別子(例えば、RFIDタグ)に符号化され、ロボットシステム100によって考慮されて、挿入可能な器具140のワーキングチャネル139への挿入によるリーダ130の予期される偏向を特定することができる。
【0070】
図5は、1つまたは複数のプルワイヤ556を制御するように構成された駆動機構500の一実施形態を示す。例えば、駆動機構500は、駆動機構154または164のうちの1つまたは複数、あるいは本明細書で説明する他のロボットシステムに対応することができる。本明細書ではリーダ130を参照して説明されているが、駆動機構の実施形態はシース120または任意の他の軟性の器具と併せて使用することもできる。
【0071】
駆動機構500は、近位端134からリーダ130を操作するための1つ以上のプルワイヤ556を制御するように構成される。関節動作可能領域138の遠位端132の位置を制御することによって、また患者の管腔を通してリーダ130のシャフト136を前進させることによって、リーダ130は例えば、システム100のコントロールセンタにおける医師の入力に応答して、目標位置118にナビゲートされ得る。プルワイヤ556は、関節角116および関節動作可能領域138の指示を制御することができる。リーダ130の遠位端132が目標位置118にあると、いくつかの実施形態では、プルワイヤ556を所定の位置にロックして、遠位端を、例えば、
図2Bを参照して上述した目標位置118に対応する所望の位置または向きに維持することができる。引っ張りワイヤをロックすることは、引っ張りワイヤ556の表面張力を増大させて、リーダ130を移動させるのに必要な力を増大させることを含むことができる。
【0072】
引っ張りワイヤ556は、リーダ130の長手方向長さに沿って延びることができる。いくつかの実施形態では、プルワイヤ556がリーダ130の関節動作可能領域に対してリーダ130内で遠位に取り付けられる。引っ張りワイヤは1つの引っ張りワイヤの表面張力を増大させると、関節動作可能領域を引っ張りワイヤの指示に関節動作させる傾向があるように、リーダ130のシャフト136の周辺部に配置することができる。例えば、4本のプルワイヤは、各基本方向に1本のプルワイヤを用いて、シャフト136の周りに均等に離間させることができる。
【0073】
引っ張りワイヤ556は例えば、ステンレス鋼、ケブラー、タングステン、炭素繊維などの金属材料および非金属材料の両方を含むことができる。リーダ130は、プルワイヤによって加えられる力に応答して非線形挙動を示すことができる。非線形挙動は、リーダ130のシャフト126の剛性および圧縮性、ならびに異なるプルワイヤ間のたるみまたは剛性の変動性に基づくことができる。
【0074】
駆動機構500は、それぞれギアボックス552に対応して回転結合されたモータ551を含むことができる。プルワイヤ556は、ギアボックス552から延びるシャフト553に対応して連結され得る。シャフト553は、対応するモータ551の回転によってシャフト553の回転から引っ張りワイヤ556に張力を加えるように構成することがで
きる。プルワイヤ556はプルワイヤの端部をシャフトに固定し、シャフト553の回転運動によってプルワイヤに沿って張力を加えるように構成されたプーリ555を介してシャフト553に接続することができる。あるいは、プルワイヤ556がプーリ555の有無にかかわらず、出力シャフト553に直接取り付けることができる。
【0075】
図5の例に示されるように、プーリ555は、モータ551の出力シャフト553と長手方向に整列され、同心であり得る。プーリ555のスプラインは出力シャフト553上のスプラインと整列し、ロックするように設計することができる。いくつかの実施形態では、スプラインは、リーダ130が駆動機構500と位置合わせされる単一の向きがあるように設計される。整列状態にロックされると、シャフト553およびプーリ555の回転は引張ワイヤ556をリーダ130内に引っ張り、その結果、リーダ130の関節動作可能領域138が関節動作する。
【0076】
いくつかの実施形態では、駆動機構500がモータ551の回転およびプルワイヤ556の張力を制御するために、コントローラをさらに備えるか、または外部コントローラ(例えば、以下でさらに詳細に説明される
図7のコマンドセンタ700)と通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、駆動機構500が出力シャフトの回転位置、速度、および/または加速度を測定するためにシャフト553に結合された回転エンコーダを含む。いくつかの実施形態では、駆動機構500が取り付けられる駆動機構またはロボットアームのハウジング内に、コントローラが駆動機構500に搭載される。コントローラはモータ551に結合され、1つまたは複数のプルワイヤ556の張力を制御するために、コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するためのプロセッサで構成することができる。
【0077】
コントローラは、コンピュータ可読媒体上に記憶された命令を実行するためのプロセッサを含むことができることに留意されたい。コンピュータ可読媒体は上述の追跡システムのいずれかからのデータを使用して、目標位置118からの遠位端132の測定または検出された撓みを補償するために、ロボットシステムへの制御信号を生成するために、その上に格納された命令を有することができる。例えば、命令は、プロセッサにデータを処理させ、駆動機構154、164の一方または両方を使用して、複数のプルワイヤ556のうちの特定のプルワイヤ(単数または複数)に対する張力を調整するための制御信号を生成させることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、制御信号の命令が挿入可能な器具140の遠位端142が関節動作可能領域138を通して挿入される前に、ドライバ500によって実行される。このようなプリエンプティブモデルまたはアプローチでは、遠位端132が器具140が関節動作可能領域を通って伸長されるときに、複数のプルワイヤ556に対する張力を調節することによって、目標位置118から外れるように偏向されて、目標位置118に戻され得るのみである。別の例では、制御信号の命令が挿入可能な器具140の遠位端142が関節動作可能領域138を通して挿入された後に実行され得る。このようなモデルまたはアプローチでは、遠位端132が複数のプルワイヤ556に対する張力を調節することによって、器具140が関節動作可能領域を通って伸長された後に、目標位置118に戻される。さらに別の実施形態では、制御信号の命令が器具140の遠位端142が関節動作可能領域138を通って挿入されるときに実行され得る。したがって、遠位端132は遠位端142の前進と協調して、複数のプルワイヤ556に対する張力を調節することによって、挿入可能な器具140の前進中に、実質的に目標位置118に維持され得る。これらの手法のいずれも、電磁センサ182からのデータのような、挿入可能な器具140の遠位端142の位置を示すデータと関連して実行され得る。
【0079】
一実施形態では、制御信号は、遠位端132が目標位置118に戻るまで、駆動機構5
00によって1つまたは複数のプルワイヤ556の表面張力を徐々に増大させるための命令を含むことができる。例えば、遠位端132の位置を特定するために、カメラ450を使用して光学追跡システムによって測定または追跡される目標位置118に到達するまで、表面張力を増加させることができる。別の例として、遠位端132の位置を特定するために、電磁追跡システム480または慣性追跡システムによって測定または追跡される目標位置118に到達するまで、表面張力を増加させることができる。場合によっては、プルワイヤの張力を調整することによって、軟性の器具を軸方向に圧縮することができ、それによって、軟性の器具の遠位長さを短くすることができる。そのような場合、制御信号は、軟性の器具を、軸方向圧縮を補正する距離だけ解剖学的構造に挿入させることによって、この短縮を補償することができる。
【0080】
駆動機構500は、リーダ130の遠位部分の移動および位置を監視するための表面張力感知システムを含むことができる。この表面張力感知システムは、このような撓みによって引き起こされるプルワイヤ556の表面張力の変化を検出することによって、リーダ130の遠位端132の撓みまたは動きを検出および/または測定するように構成することができる。例えば、駆動機構500は、引っ張りワイヤ556の特定の引っ張りワイヤを監視して、表面張力の増加または減少についてこれらの特定の引っ張りワイヤを監視することができる。
【0081】
例えば、駆動機構500は、プルワイヤ556の張力の任意の測定された変更に基づいてプルワイヤ556の撓みを検出/測定するための1つまたは複数の電気歪みゲージ554を備えることができる。例えば、特定の実施形態では、歪みゲージ554がモータ551の各々に対応するモータマウント558と歪みゲージマウント557との間に結合される。歪みゲージ554は、歪みゲージマウント557に埋め込まれ、はんだ付けされ、それぞれモータマウント558にねじを用いて取り付けられる。歪みゲージ554は、サイドスクリューを使用して、それぞれのモータマウントの所定の位置に保持することができる。歪みゲージ554内のゲージ配線は、歪みゲージマウント557に対するモータマウント558による水平変位として測定される、駆動機構内の任意の垂直歪みまたは撓みを検出するように垂直に配置することができる。歪みの量は、歪みゲージ554の全体の水平幅に対する歪みゲージ554のチップの水平変位の比として測定することができる。したがって、歪みゲージ554は、プルワイヤ556によってシャフト553に及ぼされる力を最終的に測定することができる。
【0082】
歪みゲージ554はプルワイヤ556のいずれかの張力の変化を検出し、測定することができるように構成することができる。駆動機構500は歪みゲージ554で測定されたひずみが、遠位端132の位置および/または関節動作可能領域128の偏向角度116などのリーダ130の位置に相関することができるように較正することができる。したがって、遠位端132の位置の任意の変化を検出および/または測定することができる。
【0083】
歪みゲージ554からの、および/または歪みゲージ554に結合された回路からのデータ信号はコントローラ(例えば、
図5に示される駆動機構500内、または
図7のコマンドセンタ700内)に送達され得る。このデータ信号は、プルワイヤ556の張力の変化、プルワイヤ556の移動、および/またはシース120の移動を示すデータを含むことができる。したがって、例えば、挿入可能な器具140をワーキングチャネル139内に挿入することによって、またはリーダ130の関節動作可能な領域138を通して、リーダ130の偏向は、駆動機構500またはその構成要素によって検出および/または測定され得る。
【0084】
図6Aは、ロボットシステム600の実施形態を示す。ロボットシステム100と同様に、システム600は、シース620と、リーダ630と、挿入可能な器具640とを備
えることができる。リーダ630は、患者(図示せず)の管腔内に挿入され、患者の管腔ネットワーク内をナビゲートされるように構成される。例えば、シース620およびリーダ630は、それぞれ、上述のシース120およびリーダ130と同じまたは類似の構造および機構を有することができる。
【0085】
リーダ630は、遠位端632と、近位端634と、遠位端632と近位端634との間に延在するシャフト636と、シャフト636の関節動作可能領域638とを含むことができる。関節動作可能領域638はシース620の遠位端622から延長された後に患者の管腔を通るリーダ630のナビゲーションを容易にするために、シャフト636に対して関節動作されるように構成される。遠位端632は、遠位端632のための経路を選択するために関節動作可能領域638を関節動作させることによって、および近位端634から患者の管腔を通ってシャフト636および遠位端632を前進させることによって、患者の管腔を通って案内され得る。上記と同様に、シャース620はリーダ630と共に前進させ、人工領域638を明確にし、リーダ630をさらに前進させることなどのためのサポートを提供することができる。このようにして、遠位端632は患者の管腔を通って目標位置までナビゲートされ方法(例えば、
図2Bの目標位置118を参照のこと)。関節動作可能領域638は近位端634と遠位端632との間に位置し、本実施例では遠位端632に隣接する。この構成は、患者の管腔ネットワークを通るリーダ630のナビゲーションを容易にすることができる。リーダ130の遠位端132と同様に、リーダ130は、
図4A~5に関連して説明したような、患者の管腔をナビゲートするためのセンサを含むことができる。上述の追跡システムのいずれも、遠位端632の位置を追跡するために、または位置の変化を検出するために使用することができる。
【0086】
図1Aに示すシース120と同様に、
図6Aに示すシース620は、遠位端622と、近位端624と、遠位端622と近位端624との間に延在するシャフト626と、シャフト626の関節動作可能領域628とを含むことができる。関節動作可能領域628は患者の管腔を通るシース620のナビゲーションを容易にし、リーダ630を支持するために、シャフト626に対して関節動作することができる。
【0087】
シース620の近位端624を含む近位部分は、患者の管腔を通ってシース620を案内またはナビゲートするように構成され、駆動機構654と連結された第1のロボットアーム650によって支持され得る。第1のロボットアーム650および駆動機構654は、ロボットシステム100において上述した第1のロボットアーム150および駆動機構154と同様の構造的および機能的特徴を含むことができる。第1のロボットアーム650は、基部652と、基部652から延びる共同で結合された複数のアームセグメントと、電源と、空気圧と、例えば中央処理装置656、データバス、制御回路、および記憶658などの部品を含む制御およびセンサ電子機器と、第1のロボットアーム650を移動させるためのモータなどの関連アクチュエータとを含むことができる。基部652は、ロボットシステム600を搬送するための車輪と、車輪のための車輪ロック/ブレーキとを含むことができる。
図5に関してさらに上述したように、駆動機構654は、関節動作可能領域628を関節動作させるためにプルワイヤの張力を操作することもできる。
【0088】
リーダ630の近位端634を含む近位部分は、シース620のシャフト626の管腔を通って患者の管腔内にリーダ630を案内または誘導するように構成された第2のロボットアーム660によって支持することができる。第1のロボットアーム650と同様に、第2のロボットアーム660は第2のロボットアーム660の位置を維持するために、基部662、関節、ブレーキ、および/または釣り合いおもりで連結された複数のアームセグメントを含むことができる。
【0089】
エンドエフェクタまたは駆動機構664はリーダ630を制御するために、第2のロボ
ットアーム660と連結され得る。駆動機構154、164と同様に、駆動機構664はリーダ630へのコネクタを含むことができ、リーダ630の位置決めを操作することができる。
図5に関してさらに上述したように、駆動機構664は、関節動作可能領域638を関節動作させるためにプルワイヤの張力を操作することもできる。第2のロボットアーム660の基部662は第1のロボットアーム150の基部152と同様に、電源、空気圧、および制御およびセンサ電子機器、中央処理装置666、データバス、制御回路、および記憶668、ならびに第2のロボットアーム660を移動させるためのモータなどの関連アクチュエータを含むことができる。手続中、ユーザは、制御装置、例えばコマンドセンタを使用して第2のロボットアーム660を制御することができる。
【0090】
同様に、挿入可能な器具640の近位端644は第3のロボットアーム670および/または器具マニピュレータ674によって支持され、挿入可能な器具640を案内し、挿入可能な器具640を制御して医療手技を実行するように構成され得る。第3のロボットアーム670および器具マニピュレータ674は、ロボットシステム100内の第1および第2のロボットアーム650、660およびロボットアームと同様の構造的および機能的特徴を含むことができる。しかしながら、ここでは、挿入可能な器具640がリーダ630のワーキングチャネル639に挿入され、下方に案内される。第1のロボットアーム650と同様に、第3のロボットアーム670は第3のロボットアーム670の位置を維持するために、基部672、関節、ブレーキ、および/または釣り合いで連結された複数のアームセグメントを含むことができる。第3のロボットアーム670の基部672は例えば、中央処理装置676、データバス、制御回路、および記憶678などの部品、ならびに第3のロボットアーム670を移動させるためのモータなどの関連するアクチュエータを含む、電源、空気圧、ならびに制御およびセンサ電子機器を含むことができる。第3のロボットアーム670の基部672は、車輪および車輪用のロック/ブレーキを含むことができる。
【0091】
あるいは、挿入可能な器具640が医師などによって手動で操作されるように構成することができる。そのような実施形態では、挿入可能な器具640が電磁センサ関連して上述したように、ワーキングチャネル629内または患者の管腔内の挿入可能な器具640の位置を追跡することができるデータを提供するように構成された電磁センサ482を含むことができる。
【0092】
挿入可能な器具640は、ワーキングチャネル629内に挿入され得るように十分に小さい直径、リーダ630を通って延びるのに十分な長さ、重量、およびその長さに沿った曲げ剛性など、様々な物理的特性を有することができる。いくつかの実施形態では、挿入可能な器具640が識別タグを含み、タグは特定の挿入可能な器具640についての情報に対応するか、またはそれを含み、器具の物理的特性などの情報を含む。いくつかの実施形態では、ロボットシステム600がタグに基づいて挿入可能な器具640を自動的に識別することができる。例えば、タグは、RFIDタグ、バーコードなどとすることができる。いくつかの実施形態では、挿入可能な器具640に関連する物理的特性が挿入可能な器具640のリーダ630への挿入に起因するリーダ630の予想される撓み応答を特定するために、ロボットシステム600によって考慮される。
【0093】
いくつかの実施形態では、例えば、患者の肺の周辺部へのアクセスを得るために、患者の管腔内へのシステム600の到達範囲を増加させるために、リーダ630よりも小さい直径を有する延長されたワーキングチャネルなどの挿入可能な器具がリーダ630のワーキングチャネル639内に挿入され、リーダ630の遠位端632で患者の管腔内に延長され得る。次いで、延長された作業チャネルの遠位端は医療手技を実施するために、患者の管腔の組織部位に対応する目標位置618まで延長またはナビゲートされ得る。挿入可能な器具640の遠位端642は、延長された作業チャネルの作業チャネルを通して挿入
され、その遠位端まで前進させられ、医療手技を実行するために組織部位に閲覧するように構成される。これにより、延長されたワーキングチャネルによって、リーダ130単体のアクセス範囲または到達範囲を広げることができる。
【0094】
いくつかの医療手技においては、リーダ630またはシース620のサイズおよび/または可撓性が原因で、リーダ630の通過による患者の管腔への損傷の可能性が高まる。したがって、いくつかの医療手技では、シース620なしでリーダ630のみを使用することが望ましい場合がある。例えば、リーダ630は、患者の管腔内に前進させられ、第2のロボットアーム660を使用して制御され得る。このような実施形態におけるリーダ630は、シース620と関連して使用されるリーダ630よりも大きな直径を有し得るので、リーダ630は患者の肺の周辺部にアクセスするためなどに、拡張されたワーキングチャネルを伴って、または伴わずに使用され得る。
【0095】
図6Bは、1つ以上の器具の前進および動作を制御するように構成された器具マニピュレータの実施形態を示す。例示目的のためにロボットシステム600を参照して以下に記載されるが、本明細書に記載されるような器具マニピュレータ674はいくつかの実施形態において、挿入可能な器具140の手動制御に取って代わるように、ロボットシステム100と併せて使用され得る。
図6Bを参照すると、器具マニピュレータ674は挿入可能な器具640の近位端644を支持し、第3のロボットアーム670と共に支持するように構成することができる。器具マニピュレータ674および/またはロボットアーム670は組織部位に閲覧するために、挿入可能な器具140の遠位端142をリーダ630のワーキングチャネル639を通してナビゲートすることができる。
【0096】
一例では、挿入可能な器具640は針アセンブリとすることができる。針アセンブリは、ジャケット647と、針645と、針に接続された管状の細長いシャフト649とを含む。第3のロボットアーム670は針アセンブリを位置決めし、その位置決めを維持するように構成することができる。第3のロボットアーム670は、治療薬を制御および投与するための第1のグリップ部分682と、シャフト649およびジャケット647をそれぞれ固定することができる2つの追加のグリップ部分684、886とを含むことができる。いくつかの実施形態では第1、第2、および第3のグリップ部分682、684、686は上述のように同じロボットアーム上にあってもよく、または任意の組み合わせで異なるロボットアーム上にあってもよい。第1のグリップ部分682は例えば、注射器を制御し、かつ/または注射器のプランジャをロボット制御するための1つまたは複数のアクチュエータ688を含むことができる。第3のグリップ部分686は、ジャケット647の静止位置を維持することができる。第2のグリップ部分684は、シャフト649の近位端を近位方向および遠位方向に移動させて、針645をジャケット647の内外に移動させ、かつ/または組織部位のサンプリングを行うように構成することができる。
【0097】
器具の他の例としては鉗子、ブラシ、メス、レーザー、オーガー、カメラ、およびプローブが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、挿入可能な器具640が手術中に器具の他の実施形態と置き換えて、単一の手順で複数の治療側面を実行することができる。別の例として、器具マニピュレータ674は、少なくとも1つのプルワイヤを使用して鉗子を作動させるためなど、本明細書で説明される駆動機構と同様の、少なくとも1つのプルワイヤを有する駆動機構を含むことができる。他の例では、器具マニピュレータが様々な医療手技を実行するために挿入可能な器具640を操作するための様々なモータ、圧力調整器、電気接続などを含むことができる。したがって、器具マニピュレータ674は、様々な器具タイプに対応するために様々な構成を有することができる。
【0098】
図7は例えば、上述のロボットシステムと共に使用することができるコマンドセンタ7
00を示す。コマンドセンタ700は、コンソールベース701、ディスプレイモジュール702、例えばモニタ、および制御モジュール、例えばキーボード703およびジョイスティック704を含む。いくつかの実施形態では、コマンドセンタ700の機能のうちの1つまたは複数がロボットシステム上のコントローラ、またはロボットシステムに通信可能に結合された別のシステムに統合され得る。ユーザ705、例えば医師は、コマンドセンタ700を使用して人間工学的位置からロボットシステムを遠隔制御することができる。
【0099】
コンソールベース701は中央処理ユニットと、記憶部と、データバスと、テンション感知システム、光学追跡システム、慣性追跡システム、電磁追跡システム、および生理学的追跡システムを含むがこれらに限定されない上述の追跡システムのいずれかからのデータなどの信号を解釈し、処理する役割を果たす関連データの通信ポートとを含むことができる。
【0100】
コンソールベース701は、制御モジュール703および704を介してユーザ705によって提供されるコマンドおよび命令を処理することもできる。
図7に示すキーボード703およびジョイスティック704に加えて、制御モジュールは他のデバイス、例えば、コンピュータマウス、トラックパッド、トラックボール、制御パッド、ハンドヘルドリモートコントローラなどのシステムコントローラ、およびハンドジェスチャおよび指ジェスチャをキャプチャするセンサ(例えば、モーションセンサまたはカメラ)を含むことができる。システムコントローラは器具の動作(例えば、関節動作、駆動、水洗浄等)にマッピングされた一組のユーザ入力(例えば、ボタン、ジョイスティック、方向パッド等)を含むことができる。
【0101】
ユーザ705は例えば、速度モードまたは位置制御モードでコマンドセンタ700を使用して、軟性の器具(例えば、シース120、リーダ130、シース620、またはリーダ630、本明細書ではリーダ130に関して説明するが)を制御することができる。速度モードでは、ユーザ705が制御モジュールを使用する直接的な手動制御に基づいて、リーダ130の遠位端132のピッチおよびヨー運動を直接的に制御する。例えば、ジョイスティック704上の移動は、リーダ130の遠位端132におけるヨーおよびピッチ移動にマッピングされ得る。ジョイスティック704は、ユーザ705に触覚フィードバックを提供することができる。例えば、ジョイスティック704は、リーダ130が特定の方向にそれ以上並進または回転できないことを示すように振動することができる。コマンドセンタ700はまた、リーダ130が最大並進または回転に達したことを示すために、視覚的フィードバック(例えば、ポップアップメッセージ)および/または音声フィードバック(例えば、ビープ音)を提供することができる。触覚フィードバックおよび/または視覚フィードバックはまた、以下により詳細に記載されるように、患者の呼気の間、安全モードで動作するシステムによって提供され得る。
【0102】
位置制御モードでは、コマンドセンタ700が患者管腔の3次元(3D)マップと、本明細書で説明するナビゲーションセンサからの入力とを使用して、手術器具、例えばリーダ130を制御することができる。コマンドセンタ600は制御信号をロボットシステム100のロボットアームに提供し、関節動作可能領域128の関節角116の制御などによって、遠位端122(または遠位端632)を目標位置118に操作する。
【0103】
いくつかの実施形態では、リーダ130のモデルが外科手術の状態を示すのを助けるために、3Dモデルと共に表示される。例えば、CTスキャンは、生検が必要となり得る解剖学的構造内の病変を識別する。動作中、ディスプレイモジュール702は、リーダ130の現在位置に対応する、リーダ130によって取り込まれた基準画像を示すことができる。ディスプレイモジュール702は、ユーザ設定および特定の外科的処置に応じて、リ
ーダ130のモデルの異なるビューを自動的に表示することができる。例えば、ディスプレイモジュール702は、リーダ130が患者の手術領域に接近する際のナビゲーションステップ中のリーダ130の頭上蛍光透視図を示す。
【0104】
(偏向補償技術の例)
本開示の1つまたは複数の側面によれば、
図8は軟性の器具の遠位端の撓みを検出し、補償するための追跡補償プロセス800の実施形態のフローチャートを示す。プロセス800は例示目的のためにロボットシステム100を参照して説明されるが、プロセス800は他の適切なロボットシステム上で実施されてもよい。
【0105】
プロセス800は、ロボットシステム100の状態および/またはロボットシステム100への入力に基づいて開始することができる。例えば、プロセス800は第1の器具(例えば、リーダ130のワーキングチャネル139内の挿入可能な器具140)の位置に基づいて、またはそれに応答して開始することができる。例えば、プロセス800はリーダ130の関節動作可能領域138への近接(例えば、約10cm以内)またはリーダ132の遠位端132など、ワーキングチャネル139内の挿入可能器具140の遠位端142の特定の位置に基づいて開始することができる。別の例では、システム100は、ユーザがコマンドセンタ700などのユーザインタフェースまたはユーザ入力デバイスを介してプロセス800を手動でトリガしていることを判定することができる。さらに別の例では、上述の追跡システムのうちの1つを使用して、リーダ130の遠位端132が目標位置118にナビゲートされたことをシステム100が認識すると、プロセス800を自動的に開始することができる。さらに別の例では、プロセス800がシステム100の制御可能要素のいずれかを移動または操作するためのさらなるユーザ入力またはコマンドがないことに応答して開始される。
【0106】
ブロック810において、システム100は第1の器具の初期位置を特定(例えば、検出または測定)することができる。第1の器具は、近位部分および遠位部分を備えるシャフトであって、関節動作可能領域および遠位端を備える遠位部分であって、シャフトが、シャフトを通って延在するワーキングチャネルを備えるシャフトと、少なくとも1つのプルワイヤとを備えてもよい。ブロック810は軟性の器具の遠位端(例えば、リーダ130の遠位端132)の初期位置を特定することを含み得る。いくつかの実施側面では、初期位置を目標位置118に対応させてもよい。
【0107】
遠位端132の位置を監視するための上述の追跡システムのいずれも、遠位端132の初期位置を検出するために使用することができる。例えば、電磁追跡システム480は遠位端132の初期位置を示すセンサ484に関するデータをコントローラに中継することができ、および/または慣性追跡システムは、遠位端132の初期位置を示すセンサ460に関するデータを中継することができる。電気歪みゲージ554は、遠位端132の初期位置を示すプルワイヤ556の張力に基づいてデータを中継することができる。光学追跡システムのカメラ450は、遠位端132の初期位置を示す光学的位置決めに基づいてデータを中継することができる。
【0108】
ブロック820において、システム100は少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、第1の器具の作業チャネルへの第2の器具の挿入に応答したシャフトの遠位端の位置変化(例えば、撓み)を検出することができる。例えば、ブロック820は少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、例えば、挿入可能な器具140をリーダ130のワーキングチャネル139に挿入することに応答して、リーダ130の遠位端132の初期位置からの位置変化を検出することを含み得る。遠位端132の位置を監視するための上述の追跡システムのいずれかを使用して、遠位端132の撓みを検出することができる。コントローラは表面張力感知システム、光学追跡システム、慣性追跡システ
ム、および/または電磁追跡システム480から、偏向を示すデータを受信することができる。例えば、電磁追跡システム480は遠位端132の位置の変化を示すセンサ484に関するデータをコントローラに中継することができ、慣性追跡システムは遠位端132の位置および/または偏向位置119の変化を示すセンサ460に関するデータをコントローラに中継することができ、光学追跡システムは遠位端132の位置の変化を示すデータをカメラ450からコントローラに中継することができ、および/または表面張力感知システム500は、関節動作可能領域138の関節角116の変化を示すデータを歪みセンサ554からコントローラに中継することができる。
【0109】
いくつかの例では、位置変更を測定することは遠位端132の撓み(例えば、関節角116の変更)とは異なる、および/またはそれを示さない、患者の生理学的移動(例えば、呼吸パターン)をフィルタリングすることを含み得る。例えば、プロセス800におけるブロック820の前後において、物理的生理学的移動センサ490からのデータシグナルをコントローラが受信することができる。したがって、システム100は患者の生理学的運動による遠位端132の検出された位置変化を考慮する(例えば、補償する)ことができる。
【0110】
ブロック830において、システム100は、シャフトの遠位端の検出された位置変化に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することができる。例えば、ブロック830は、遠位端132の位置変化を示す追跡システムからのデータに基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することを含んでもよい。生成された制御信号は、初期位置、検出された偏向の大きさ、指示および/または角度、および/または生理学的運動センサ490からの信号に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0111】
制御信号は、遠位端132を初期位置に戻すための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御信号が遠位端132を目標位置118に戻すための命令を含むことができる。例えば、制御信号は偏向を補償し、それによって遠位端132を初期位置に戻すために、リーダ130のプルワイヤ556のうちの少なくとも1つの張力を調整するための駆動機構164に対する命令を含むことができる。代替的に、または追加的に、制御信号はリーダ130の遠位端132をその初期位置に戻すために、シース120のプルワイヤのうちの少なくとも1つの張力を調整するための駆動機構154のための指示を含むことができる。
【0112】
ブロック840において、システム100は少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することができ、調整された張力は、シャフトの遠位端を初期位置に戻すことを容易にする。例えば、ブロック840は、少なくとも1つの制御信号に基づいて、リーダ130および/またはシース120の少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することを含んでもよい。例えば、駆動機構164および/または駆動機構154は制御信号中の命令を実行し、(リーダ130および/またはシース120の)1つまたは複数のプルワイヤの張力を調整して、遠位端132を初期位置に戻し、それによって、挿入可能な器具140の挿入による遠位端132のあらゆる偏向を補償することができる。
【0113】
システム100は、いくつかの条件のいずれかに基づいてプロセス800を終了することができる。一例では、システム100がリーダ130の遠位端132が検出された位置変化の後に初期位置に戻ったことを検出すると、プロセス800を終了する。別の例では、システム100が例えばコマンドセンタ700を介して、利用者から最優先の入力制御信号を受信することに応答して、プロセス800を終了する。別の例では、システム100がユーザによる手動入力の検出に基づいてプロセス800を終了する。別の例では、プロセス800がリーダ130のワーキングチャネル139内での挿入可能な器具140の
移動(例えば、後退)の位置および/または指示によって終了することができる。例えば、電磁追跡システム480によって検出された動きは、関節動作可能領域138および/またはワーキングチャネル139からの挿入可能な器具140の後退を示すことができる。
【0114】
あるいは、初期位置からの遠位端132の1つの偏向を検出した後、遠位端132の位置がシステム100によって追跡または監視され続けるにつれて、プロセス800を繰り返すことができる。遠位端132の偏向のその後の検出、制御信号の生成、およびリーダ130および/またはシース120のプルワイヤ556の張力の調整は、上記で説明したように継続することができる。
【0115】
別の実施側面では、上述のプロセス800がロボットシステム600を使用して、リーダ630の遠位端632の偏向を検出することによって実行することができる。ブロック810において、システム600は上述の追跡システムのいずれかを使用して、リーダ630の遠位端632の初期位置(例えば、目標位置618)を検出することができる。ブロック820において、システム600は例えば、表面張力感知システムまたは電磁追跡システム480、および/または本明細書で説明される任意の他の追跡システムを使用することによって、リーダ630の遠位端632の位置変化(例えば、撓み)を検出することができる。代替として、または追加として、上述の追跡システムのいずれかを使用して、シース620の遠位端622の偏向を検出することができ、これはまた、補償を必要とするリーダ630の遠位端632の偏向を示すことができる。
【0116】
ブロック830において、システム600は位置変化、検出された撓み、生理学的運動センサ490、および/または撓みの大きさを示す追跡システムからのデータに基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することができる。制御信号は遠位端632を初期位置に戻すための命令(例えば、駆動機構664がリーダ630のプルワイヤ556の少なくとも1つの張力を調整するための命令)を含むことができる。代替的に、または追加的に、制御信号はリーダ630の遠位端632をその初期位置に戻すために、シース620のプルワイヤのうちの少なくとも1つの張力を調整するための駆動機構654のための指示を含むことができる。
【0117】
ブロック840、駆動機構664、および/または駆動機構654は制御信号内の命令を実行し、リーダ630の遠位端632を初期位置に戻すために、リーダ630および/またはシース620の1つまたは複数のプルワイヤの張力を調整することができる。
【0118】
本開示の1つまたは複数の側面によれば、
図9は第1の器具の少なくとも1つのプルワイヤを制御することに基づいて、第1の器具、例えば、軟性の器具の撓みを補償するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。プロセス900は例示目的のためにロボットシステム100を参照して説明されるが、プロセス900は他の適切なロボットシステム上で実施されてもよい。
【0119】
プロセス900は、システム100へのいくつかの条件または入力のいずれかに基づいて開始することができる。ブロック910において、システム100は第1の器具の作業チャネル内への第2の器具の挿入を検出することができ、第2の器具は、近位端および遠位端を備えることができる。第1の器具は、近位部分および遠位部分を備えるシャフトであって、遠位部分が関節動作可能領域を備えるシャフトと、少なくとも1つのプルワイヤとを備えてもよい。この状態は挿入可能な器具140の関節動作可能領域138またはリーダ130の遠位端132への近接(例えば、約2cm、5cm、10cm、または任意の他の適切な閾値距離以内)など、リーダ130のワーキングチャネル139内の挿入可能な器具140の位置(例えば、挿入可能な器具140の遠位端142の特定の位置)に
基づくことができる。さらに、または代替として、システム100は、ユーザがコマンドセンタ700などのユーザインタフェースを介してプロセス900の開始を手動でトリガしていることを特定することができる。一例では、プロセス900は、遠位端132が目標位置118にあることをシステム100が認識すると自動的に開始することができる(例えば、システム100がこの条件を自動的に検出することに基づいて、および/またはシステム100がこの条件を示すユーザ入力を受信することに基づいて)。さらに別の例では、プロセス900がシステム100の制御可能要素のいずれかを移動または操作するためのさらなるユーザ入力またはコマンドがないことに応答して開始される。
【0120】
一実施形態では、システム100がワーキングチャネル139を通る挿入可能な器具140の前進を追跡することができる。例えば、電磁追跡システム480は、挿入可能な器具140のセンサ482に関するデータを、ワーキングチャネル139内の遠位端142の位置を示すコントローラに中継することができる。ワーキングチャネル130との位置は、関節動作可能領域138および/またはリーダ130の遠位端132への近接および/または遠位端142の到達を含むことができる。
【0121】
ブロック920において、システム100は、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算することができる。例えば、ブロック920は、電磁追跡システム480からのデータおよび/またはロボット制御データに基づいて、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算することを含み得る。
【0122】
ブロック930において、システム100は、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の計算された位置に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの制御信号が関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の計算された位置から生じる、第1の器具の予測された撓みに基づき得る。制御信号は遠位端132が目標位置118から偏向すること、またはそうでない場合は、予測された偏向に基づいて遠位端132を目標位置に戻すことを防止するための命令を含むことができる。例えば、制御信号は、駆動機構164がリーダ130のプルワイヤ556のうちの少なくとも1つの張力を調整して、相でない場合は起こり得るあらゆる撓みを防止または最小限に抑えるための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御信号は、駆動機構154(または両方の駆動機構154、164)がプルワイヤのうちの少なくとも1つの張力を調整して遠位端132を目標位置118に維持するための命令を含むことができる。場合によっては、引っ張りワイヤの張力が増大した結果、リーダが圧縮することがあることを理解されたい。そのような場合、制御信号はまた、リーダを制御するロボットアームに、リーダが受ける圧縮に関連する指定された距離だけリーダを挿入させるように命令することができる。このように、リーダの長さに沿った挿入と圧縮との組み合わせは、リーダの遠位端が解剖学的構造(例えば、目標位置118)内のその位置を維持するようなものである。
【0123】
ブロック940において、システム100の駆動機構500は少なくとも1つの制御信号に基づいて、少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することができ、調整された張力は、シャフトの遠位部分の位置を維持することを容易にする。例えば、ブロック940は制御信号において命令を実行し、リーダ130のプルワイヤ556の張力を調整することを含むことができる。いくつかの実施形態では、制御信号に含まれる命令がワーキングチャネル139内の挿入可能な器具140の遠位端142の特定可能な位置と協調して実行される。例えば、特定可能な位置は、挿入可能な器具140上の電磁センサデータを使用して計算することができる。上述のシステム600を使用するなど、本方法の他の実施形態では、ロボットアームの既知の位置およびそれらの互いに対する関係に基づいて、特定可能な位置を計算することができる。いくつかの実施側面では、制御信号の命令が挿入可能な器具140の遠位端142が関節動作可能領域138内などの特定の特定可能な位
置に挿入される前に実行される。このようなプリエンプティブモデルまたはアプローチでは遠位端132が制御信号によって一時的に目標位置118から外れるように偏向され得るが、挿入可能な器具140が関節動作可能領域138または遠位端132などの第2の特定可能な位置に前進すると、遠位端132は目標位置118に戻る。別の実施形態では、制御信号の命令が挿入可能な器具140の遠位端142が遠位端132まで、または関節動作可能領域138を通って前進した後に実行することができる。このようなモデルまたはアプローチでは、遠位端132が一時的に偏向され、次いで、制御信号が完全に実行された後に、目標位置118に戻される。
【0124】
プリエンプティブアプローチの別の例では、システム100が挿入可能な器具140の遠位端142の特定可能な位置と協調して(例えば、実質的に同時に)制御信号を実行することによって、目標位置からの遠位端132の偏向の範囲または大きさを最小化し、それによって、遠位端132によって経験される偏向の量を最小化する。例えば、制御信号は、挿入可能な器具の遠位端142が関節動作可能領域138を通って前進するときに、1つ以上のプルワイヤの張力を漸増させて調節するように実行され得る。
【0125】
プロセス900の終了は、ユーザまたはコマンドセンタ700またはシステム100の別の構成要素からのオーバーライド入力制御信号によってトリガすることができる。一例では、プロセス900の終了は、システム100がユーザによる手動入力を受け取ることによって行うこともできる。別の例では、プロセス900の終了は、挿入可能な器具140がワーキングチャネルから後退しているか、または関節動作可能領域138から後退しているという位置表示など、ワーキングチャネル139内の挿入可能な器具140の遠位端142の位置の自動検出によって行うことができる。
【0126】
1つ以上の側面に従って、関節動作可能領域138を通る挿入可能な器具140の挿入に起因する、目標位置118からの第1の器具(例えば、遠位端132)の予測される偏向を計算する工程を包含するプロセスが提供される。計算された予測撓みは、例えば、ワーキングチャネル139内の挿入可能な器具140の位置、リーダ130の関節動作可能な領域138に対する器具の位置、および/または関節動作可能な領域138の関節角116などの1つまたは複数の要因に基づくことができる。計算された予測撓みは、例えば、長さ、直径、重量、弾性、および/または曲げ剛性などの、リーダ130および/または挿入可能な器具140(その引っ張りワイヤを含む)の物理的特性に基づくこともできる。
【0127】
いくつかの実施形態では、システム100が挿入可能な器具140を認識することによって、および/またはそれを挿入可能な器具140の既知の物理的特性と相関させることによって、予測される撓みを計算する。例えば、挿入可能な器具140はその特定の器具に関する情報(例えば、物理的特性)を含むことができるRFIDタグなどのそのタグに基づいて識別することができる。挿入可能な器具140は例えば、挿入可能な器具140の特定の部分の器具直径、長さ、重量、および/または曲げ剛性など、器具の一組の物理的特性に相関させることができる。この情報は、予測される偏向を計算する際にシステム100によって考慮に入れることができる。いくつかの実施形態では、挿入可能な器具140の遠位端142の位置が電磁追跡システム480と共に使用される電磁センサデータに基づいて補償を計算する際に考慮される。
【0128】
いくつかの実施形態では、予測された撓みは上述の因子および物理的特性、ならびにリーダ130および/または挿入可能な器具140の予測、数学的モデルを使用して、システム100と通信可能に結合されたコントローラまたは計算装置によって計算され得る。他の実施形態では、予測された偏向が既知であり/メモリに記憶され、またはデータベースで検索される。このような実施形態では、システム100に関する情報(例えば、リー
ダ130または挿入可能な器具140の物理的特性、関節角116、1つまたは複数のプルワイヤ554の表面張力、またはシステム100の他の特性)に基づいて、適切な制御信号および/または予測される撓みを、対応するデータベースで参照することができる。例えば、関節動作可能領域138の既知の関節角116、既知のリーダ130、および既知の挿入可能器具140を仮定すると、予測される撓みは、これらの変数を相関させるデータベースで参照することができる。
【0129】
あるいは、遠位端132の1つの予測される偏向を計算した後、挿入可能な器具140の位置がシステム100によって追跡または監視され続けるので、上記のプロセス900を繰り返すことができる。遠位端132の撓みを予測する後続の計算は、プロセス900の終わりまで、上記で説明したように処理することができる。
【0130】
別の実施側面では、上述のプロセス900がロボットシステム600を使用して、リーダ630の遠位端632の偏向を予測することによって実行することができる。ブロック910において、システム600は、システム600の位置、モデル、センサ、および/または制御に基づいて、ワーキングチャネル639内の挿入可能な器具640の位置を追跡する。例えば、システム600はロボットアーム650、660、および/または670のロボット挿入データに基づいて、挿入可能な器具640の位置を追跡することができ、ロボットアーム650、660、および/または670は、それぞれ、シース620、リーダ630、および/または挿入可能な器具640を案内および支持する。このロボットシステム挿入データは例えば、遠位端642がワーキングチャネル639を通って前進するときに、例えば、リーダ630の関節動作可能領域638および/または遠位端632に対する挿入可能な器具640の遠位端642の位置および向きを示すデータを含むことができる。
【0131】
ブロック920において、システム600は、第1の器具またはその部品の姿勢に少なくとも部分的に基づいて、目標位置618からのリーダ630の遠位端632の予測位置変更または偏向を計算することができる。例えば、システム600はリーダ630および/またはシース620の位置および向き(例えば、関節角616および/またはプルワイヤ556の表面張力)に基づいて、予測される位置変化を計算することができる。別の例ではシステム600がリーダ630および/または挿入可能な器具640の物理的特性(例えば、挿入可能な器具640の曲げ剛性および/またはリーダ630の関節動作可能領域638の曲げ剛性)などの、システムの物理的特性のうちの1つまたは複数に基づいて、予測された位置変化を計算する(またはデータベースで検索する)ことができ、いくつかの例ではリーダ630および/または挿入可能な器具640上のRFIDタグなどにコード化することができる(例えば、システム600のRFIDリーダまたはスキャナによって読み取られる)。
【0132】
ブロック930において、システム600は、予測された偏向に基づいて制御信号を生成することができる。制御信号は、遠位端632を目標位置618に戻すための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御信号が駆動機構654(または駆動機構654および664の両方)がプルワイヤ556のうちの少なくとも1つの張力を調整して、予測される撓みを補償し、それによって遠位端632を目標位置618に戻すための命令を含むことができる。
【0133】
ブロック940において、システム600の駆動機構500は制御信号内の命令を実行し、1つまたは複数のプルワイヤ556の張力を調整することができる。いくつかの実施形態では、制御信号に含まれる命令がワーキングチャネル639内の挿入可能な器具640の遠位端642の特定可能な位置と協調して実行される。例えば、制御信号は遠位端642が特定可能な位置に前進する前に実行されてもよく、制御信号は遠位端642が特定
可能な位置に前進した後に実行されてもよく、または制御信号はリーダ630のワーキングチャネル639を通る遠位端642の前進と同時に(例えば、漸増的に)実行されてもよい。
【0134】
(追加の実装)
1つまたは複数の側面によれば、(1)近位部分および遠位部分を含み、遠位部分が関節動作可能領域を含み、シャフトが、シャフトを通って延在するワーキングチャネルを含む、シャフトと、(2)少なくとも1つのプルワイヤとを備える、第1の器具を備える、ロボットシステムが提供される。ロボットシステムは、ワーキングチャネル内への第2の器具の挿入に応じて、ワーキングチャネル内の第2の器具の遠位端の位置を検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに備えることができる。ロボットシステムは実行可能な命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信し、システムに、少なくとも1つのセンサからのデータ信号に基づいて、ワーキングチャネル内の第2の器具の遠位端の位置を少なくとも計算させ、計算された位置に基づいて少なくとも1つの制御信号を生成させる命令を実行させるように構成された1つまたは複数のプロセッサとをさらに備えることができる。ロボットシステムはシャフトの近位部分において少なくとも1つのプルワイヤに接続された駆動機構をさらに備えることができ、駆動機構は少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を使用するように構成され、調整された張力によってシャフトの遠位部分の位置を維持しやすくなる。
【0135】
関連する側面では、駆動機構が第2の器具の遠位端が関節動作可能領域に対して特定可能な位置まで前進するとき、第2の器具の遠位端が特定可能な位置まで前進する前、および/または第2の器具の遠位端が特定可能な位置まで前進した後に、少なくとも1つのプルワイヤの張力を使用するように構成されてもよい。
【0136】
さらなる関連する側面では、1つまたは複数のプロセッサが命令を実行して、システムに、第2の器具上の識別子を検出させ、検出された識別子にさらに基づいて少なくとも1つの制御信号を生成させるように構成することができる。
【0137】
さらに関連する側面では、1つまたは複数のプロセッサが検出された識別子に基づいて第2の器具の少なくとも1つの物理的特性をシステムに特定させるための命令を実行するように構成され、第2の器具の少なくとも1つの物理的特性は曲げ剛性値を含み、1つまたは複数のプロセッサはシステムに、曲げ剛性値にさらに基づいて少なくとも1つの制御信号を生成させるための命令を実行するように構成される。
【0138】
さらに関連する側面では、1つまたは複数のプロセッサがシステムに、シャフトの関節動作可能領域の関節角を特定させ、関節角にさらに基づいて少なくとも1つの制御信号を生成させる命令を実行するように構成される。
【0139】
さらに関連する側面では、1つまたは複数のプロセッサが第2の器具のRFIDタグを読み取ることに基づいて、システムに識別子を検出させるための命令を実行するように構成される。
【0140】
関連する側面では、ロボットシステムが電磁場発生器をさらに備えることができ、少なくとも1つのセンサは第2の器具の遠位端に1つのセットの1つまたは複数の電磁センサを備え、1つまたは複数のプロセッサはシステムに、当該セットの電磁センサからのデータに基づいて電磁場内の当該セットの電磁センサの位置を計算させ、当該セットの電磁センサの計算された位置にさらに基づいてワーキングチャネル内の第2の器具の遠位端の位置を計算させる命令を実行させるように構成される。
【0141】
1つまたは複数の側面によれば、第1の器具の少なくとも1つのプルワイヤを制御する方法であって、第1の器具の作業チャネル内への第2の器具の挿入を検出するステップであって、第2の器具が近位端および遠位端を含み、第1の器具が近位部分および遠位部分を含み、遠位部分が関節動作可能領域を含み、少なくとも1つのプルワイヤを含む、ステップと、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算するステップと、計算された位置に基づいて少なくとも1つの制御信号を生成するステップと、少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整するステップとを含み、調整された張力は、シャフトの遠位部分の位置を維持することを容易にする、方法が提供される。
【0142】
関連する側面では、上記方法は、第2の器具の遠位端が関節動作可能領域に対して特定可能な位置まで前進するとき、第2の器具の遠位端が特定可能な位置まで前進する前、および/または第2の器具の遠位端が特定可能な位置まで前進した後に、少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整することをさらに含むことができる。
【0143】
さらなる関連する側面では、上記方法は、第2の器具上の識別子を検出することと、検出された識別子にさらに基づいて少なくとも1つの制御信号を生成することとをさらに備えることができる。
【0144】
さらに関連する側面では、上記方法は、検出された識別子に基づいて第2の器具の少なくとも1つの物理的特性を特定することをさらに含むことができ、少なくとも1つの制御信号は少なくとも1つの物理的特性にさらに基づいて生成される。少なくとも1つの物理的特性は、第2の器具の曲げ剛性の値を含むことができる。識別子の検出は、第2の器具のRFIDタグを読み取ることを含むことができる。
【0145】
さらに関連する側面では、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の計算された位置が第1の器具の遠位端上の少なくとも1つの電磁センサデータに基づくことができる。
【0146】
1つまたは複数の側面によれば、実行されると、少なくとも1つのプルワイヤおよび関節動作可能領域を備える第1の器具に対して、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つのプルワイヤおよび関節動作可能領域を備える少なくとも1つの計算装置に、第1の器具の作業チャネルへの第2の器具の挿入を検出させる、関節動作可能領域内の第2の器具の遠位端の位置を計算させる、計算された位置に基づいて少なくとも1つの制御信号を生成する、および少なくとも1つの制御信号に基づいて少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整させる命令を格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、調整された張力は、第1の器具の遠位部分の位置を維持することを容易にする。
【0147】
関連する側面では、少なくとも1つの計算装置に張力を調整させる命令が少なくとも1つの計算装置に、第2の器具の遠位端が関節動作可能領域に対して特定可能な位置に前進するときに、少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整させることができる。
【0148】
さらなる関連する側面では、少なくとも1つの計算装置に張力を調整させる命令が第2の器具の遠位端が特定可能な位置に前進する前に、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整させることができる。
【0149】
さらに関連する側面では、少なくとも1つの計算装置に張力を調整させる命令が第2の器具の遠位端が特定可能な位置に前進した後に、少なくとも1つの計算装置に、少なくとも1つのプルワイヤの張力を調整させることができる。
【0150】
さらに関連する側面では、少なくとも1つの計算装置に張力を調整させる命令が少なくとも1つの計算装置に、第2の器具上の識別子を検出させ、検出された識別子にさらに基づいて少なくとも1つの制御信号を生成させることができる。
【0151】
さらに関連する側面では、少なくとも1つの計算装置に張力を調整させる命令が少なくとも1つの計算装置に、検出された識別子に基づいて第2の器具の少なくとも1つの物理的特性を特定させることができ、少なくとも1つの制御信号は少なくとも1つの物理的特性にさらに基づいて生成される。少なくとも1つの物理的特性は、第2の器具の曲げ剛性値を含むことができる。
【0152】
(システムの実装および用語)
本明細書で開示される実施形態は、管腔の改善されたナビゲーションのためのシステム、方法、および装置を提供する。
【0153】
本明細書で使用される用語「結合する」、「結合する」、「結合される」、または単語「結合される」の他の変更は間接接続または直接接続のいずれかを示すことができ、例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、または第2の構成要素に直接接続されることができることに留意されたい。
【0154】
本明細書で説明される自動補償機能は、プロセッサ可読媒体またはコンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令として格納することができる。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、
ROM(リードオンリメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、フラッシュメモリ、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリ)または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の様式で所望のプログラムコードを格納するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であり得ることに留意されたい。本明細書で使用されるように、用語「コード」は、計算装置またはプロセッサによって実行可能なソフトウェア、命令、コード、またはデータを指すことができる。
【0155】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、代替形態の範囲から逸脱することなく、互いに交換することができる。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の命令が説明されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの命令および/または使用は、代替の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0156】
本明細書で使用される場合、用語「複数」は2つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は2つ以上の構成要素を示す。用語「特定すること」が多種多様なアクションを包含し、したがって、「特定すること」は計算すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、参照すること(例えば、表、データベース、または別のデータ構造を参照すること)、確認することなどを含むことができ、「特定すること」は受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「特定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含むことができる。
【0157】
「に基づく」という語句は特に断らない限り、「のみに基づく」という意味ではない。
言い換えれば、「に基づく」という語句は、「のみに基づく」および「少なくともに基づく」の両方を表す。
【0158】
開示された実施形態の上記の説明は、当業者が本開示を実現または使用することを可能にするために提供される。これらの実装に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実装に適用することができる。例えば、当業者は、工具構成要素を固定、取り付け、連結、または係合する等価な方法、特定の作動運動を生成するための等価な機構、および電気エネルギーを送達するための等価な機構などの、いくつかの対応する代替的および等価な構造的詳細を採用することができることが理解されるのであろう。したがって、本開示は、本明細書に示される実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。