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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220829BHJP
【FI】
B60K35/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057330
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021154888
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 哲也
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130771(JP,A)
【文献】特開2017-170949(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0235200(US,A1)
【文献】特開平8-40112(JP,A)
【文献】特開2016-137817(JP,A)
【文献】特開2013-112269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を車両の被投影部材に投影し、前記被投影部材に投影された前記表示画像に対応する虚像を、前記車両の前方の実風景に重畳させて表示し、前記車両の運転者に視認させる画像表示手段と、
前記車両の外部状況を示す外部情報を取得する外部情報取得手段と、
前記画像表示手段により前記虚像を表示することができる虚像表示領域内に前記外部情報に対応する外部情報虚像を表示させる制御手段と、
前記運転者の視点位置を取得する視点位置取得手段と、を備え、
前記虚像表示領域は、
前記運転者の右眼で視認可能な右眼視認領域と、前記運転者の左眼で視認可能な左眼視認領域とが重複する部分であって、かつ前記運転者の両眼で視認可能な両眼視認領域と、
前記両眼視認領域の左側に隣り合い、かつ前記右眼視認領域のうち前記左眼視認領域を除外した右単眼視認領域と、
前記両眼視認領域の右側に隣り合い、かつ前記左眼視認領域のうち前記右眼視認領域を除外した左単眼視認領域と、
からなる視認領域が含まれており、
前記制御手段は、
前記右単眼視認領域及び前記左単眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記両眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合よりも、視認性が良い視認性表示態様で、前記画像表示手段による前記表示画像の表示画像制御を行い、
前記両眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記右単眼視認領域及び前記左単眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合よりも、前記外部情報虚像に対する前記運転者の認識性が良い識別性表示態様で、前記表示画像制御を行
前記制御手段は、
前記運転者の視点位置が前記運転者の視認範囲の右端側に移動した場合、前記両眼視認領域、前記右単眼視認領域、及び前記左単眼視認領域の各視認領域を左右方向に縮小しながら前記虚像表示領域の左端側に移動し、
前記運転者の視点位置が前記運転者の視認範囲の左端側に移動した場合、前記両眼視認領域、前記右単眼視認領域、及び前記左単眼視認領域の各視認領域を左右方向に縮小しながら前記虚像表示領域の右端側に移動する、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記視認性表示態様は、前記外部情報虚像の表示態様が経時変化するものである、
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記運転者の視点位置を取得する視点位置取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記視点位置の変化に応じて、前記虚像表示領域に対する前記視認領域を設定するものであり、
前記設定前後において、前記外部情報虚像の前記虚像表示領域における表示位置が前記左単眼視認領域または前記右単眼視認領域と、前記両眼視認領域との間で変化した場合、前記視認性表示態様及び前記識別性表示態様のうち、前記変化後の前記視認領域に対応した表示態様となるように、前記表示画像制御を行う、
請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記外部情報は、
前記車両の右方向のみに関する右方向情報と、前記車両の左方向のみに関する左方向情報と、を含み、
前記制御手段は、
前記右方向情報に対応する前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記左単眼視認領域に表示させ、
前記左方向情報に対応する前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記右単眼視認領域に表示させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両には、例えば、表示デバイスに表示される表示画像を反射ミラー等を介してウインドシールド等に投影することで、運転者に虚像として視認させるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)を搭載するものがある。ヘッドアップディスプレイには、運転者の安全運転を支援する目的で、車両前方の実風景における周辺車両や歩行者、信号、標識、車線等に視覚情報を重畳して表示するAR-HUDがある。例えば、特許文献1では、単眼のみで視認可能な領域と両眼で視認可能な領域との境界をまたぐ虚像を表示する場合、単眼領域全体の輝度を両眼領域全体の輝度よりも高く設定することが開示されている。
【0003】
特許文献2では、中央表示領域と左端表示領域及び右端表示領域とを有するヘッドアップディスプレイにおいて、中央表示領域には少ない情報を、左端表示領域及び右端表示領域には中央表示領域の表示情報を補完する情報を仕分けして表示することが開示されている。
【0004】
特許文献3では、左眼用と右眼用の2つの画像をそれぞれ表示可能な表示装置を備え、検知した運転者の視点位置が、基準位置から横方向へ移動した場合に、表示装置の2つの画像のうちの移動した側の画像を、基準位置からの移動量に応じて徐々に薄くすることが開示されている。
【0005】
特許文献4では、車両の乗員の視線前方の周辺環境に重畳する画像を視認させる場合において、乗員の両眼の位置と視線方向を取得し、視線方向に沿って乗員の両眼間の中点を通過する中心線が画像の表示領域と交差する交点に基づいて、表示領域に基準線を設定し、表示領域に表示する画像の内、基準線よりも左眼に対応する側に表示される画像は左眼のみに視認させる画像とし、基準線よりも右眼に対応する側に表示される画像は右眼のみに視認させる画像として表示するように構成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-130771号公報
【文献】特開2013-112269号公報
【文献】特開2017-171146号公報
【文献】特開2019-56884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、運転者は、車両前方に映る虚像を単眼で視認するよりも両眼で視認する方が認識しやすい。そのため、単眼のみで視認可能な領域に車両前方の実風景に重畳させて虚像を表示しても、両眼で視認可能な領域に表示された虚像に較べて、運転者が認識しにくい可能性があることから、改善の余地がある。
【0008】
本発明は、運転者が表示を認識しやすくなり、運転者の安全運転を支援することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、表示画像を車両の被投影部材に投影し、前記被投影部材に投影された前記表示画像に対応する虚像を、前記車両の前方の実風景に重畳させて表示し、前記車両の運転者に視認させる画像表示手段と、前記車両の外部状況を示す外部情報を取得する外部情報取得手段と、前記画像表示手段により前記虚像を表示することができる虚像表示領域内に前記外部情報に対応する外部情報虚像を表示させる制御手段と、前記運転者の視点位置を取得する視点位置取得手段と、を備え、前記虚像表示領域は、前記運転者の右眼で視認可能な右眼視認領域と、前記運転者の左眼で視認可能な左眼視認領域とが重複する部分であって、かつ前記運転者の両眼で視認可能な両眼視認領域と、前記両眼視認領域の左側に隣り合い、かつ前記右眼視認領域のうち前記左眼視認領域を除外した右単眼視認領域と、前記両眼視認領域の右側に隣り合い、かつ前記左眼視認領域のうち前記右眼視認領域を除外した左単眼視認領域と、からなる視認領域が含まれており、前記制御手段は、前記右単眼視認領域及び前記左単眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記両眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合よりも、視認性が良い視認性表示態様で、前記画像表示手段による前記表示画像の表示画像制御を行い、前記両眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記右単眼視認領域及び前記左単眼視認領域において前記外部情報虚像を表示させる場合よりも、前記外部情報虚像に対する前記運転者の認識性が良い識別性表示態様で、前記表示画像制御を行前記制御手段は、前記運転者の視点位置が前記運転者の視認範囲の右端側に移動した場合、前記両眼視認領域、前記右単眼視認領域、及び前記左単眼視認領域の各視認領域を左右方向に縮小しながら前記虚像表示領域の左端側に移動し、前記運転者の視点位置が前記運転者の視認範囲の左端側に移動した場合、前記両眼視認領域、前記右単眼視認領域、及び前記左単眼視認領域の各視認領域を左右方向に縮小しながら前記虚像表示領域の右端側に移動する、ことを特徴とする。

【0010】
また、上記車両用表示装置において、前記視認性表示態様は、前記外部情報虚像の表示態様が経時変化するものである。
【0011】
また、上記車両用表示装置において、前記運転者の視点位置を取得する視点位置取得手段をさらに備え、前記制御手段は、前記視点位置の変化に応じて、前記虚像表示領域に対する前記視認領域を設定するものであり、前記設定前後において、前記外部情報虚像の前記虚像表示領域における表示位置が前記左単眼視認領域または前記右単眼視認領域と、前記両眼視認領域との間で変化した場合、前記視認性表示態様及び前記識別性表示態様のうち、前記変化後の前記視認領域に対応した表示態様となるように、前記表示画像制御を行う、ものである。
【0012】
また、上記車両用表示装置において、前記外部情報は、前記車両の右方向のみに関する右方向情報と、前記車両の左方向のみに関する左方向情報と、を含み、前記制御手段は、前記右方向情報に対応する前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記左単眼視認領域に表示させ、前記左方向情報に対応する前記外部情報虚像を表示させる場合は、前記右単眼視認領域に表示させる、ものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用表示装置は、運転者が表示を認識しやくなり、運転者の安全運転を支援することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置を搭載した車両の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態におけるアイポイントと虚像表示領域との位置関係を示す模式図である。
図4図4は、実施形態における車両の進行方向から見た表示領域の一例を示す模式図である。
図5図5は、実施形態に係る車両用表示装置によりウインドシールドに投影された表示画像に対応する虚像の一例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態における運転者の視認範囲と虚像表示領域との位置関係を示す模式図である。
図7図7は、実施形態におけるアイポイント右方向移動時の視認領域の変化を示す模式図である。
図8図8は、実施形態におけるアイポイント左方向移動時の視認領域の変化を示す模式図である。
図9図9(A)~図9(C)は、虚像表示領域に表示される外部情報虚像の一例を示す模式図である。
図10図10は、実施形態の変形例における外部情報虚像の表示態様変化前の一例を示す模式図である。
図11図11は、実施形態の変形例における外部情報虚像の表示態様変化後の一例を示す模式図である。
図12図12は、実施形態の変形例における運転者の視線方向変化後の一例を示す模式図である。
図13図13は、両眼視認領域のみで構成された車両用表示装置におけるアイポイントと虚像表示領域との位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。以下の実施形態における構成要素には、いわゆる当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0016】
[実施形態]
実施形態に係る車両用表示装置について説明する。図1は、実施形態に係る車両用表示装置を搭載した車両の概略構成を示す模式図である。図2は、実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示すブロック図である。図3は、実施形態におけるアイポイントと虚像表示領域との位置関係を示す模式図である。図4は、実施形態における車両の進行方向から見た表示領域の一例を示す模式図である。図5は、実施形態に係る車両用表示装置によりウインドシールドに投影された表示画像に対応する虚像の一例を示す模式図である。図6は、実施形態における運転者の視認範囲と虚像表示領域との位置関係を示す模式図である。図7は、実施形態におけるアイポイント右方向移動時の視認領域の変化を示す模式図である。図8は、実施形態におけるアイポイント左方向移動時の視認領域の変化を示す模式図である。図9(A)~図9(C)は、虚像表示領域に表示される外部情報虚像の一例を示す模式図である。なお、図3図6図8図12を含む)における光軸Oは、後述する反射ミラー31の光軸である。
【0017】
なお、以下の説明において、特に記載しない限り、図1図3図8図12を含む)に示すX方向は、本実施形態における車両の幅方向であり、左右方向である。Y方向は、本実施形態における車両の前後方向であり、幅方向と直交する方向である。Z方向は、本実施形態における車両の上下方向であり、幅方向及び前後方向と直交する方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、相互に直交するものとする。なお、便宜的に、X方向のうち、X1方向を左方向、X2方向を右方向とし、Y方向のうち、Y1方向を前方または車両の進行方向、Y2方向を後方とする。Z方向は、例えば、車両の鉛直方向に従う。
【0018】
本実施形態に係る車両用表示装置1は、例えば、自動車等の車両100に搭載される。図1に示す車両用表示装置1は、車両100の運転者Dの前方にあるウインドシールド104に表示画像を投影し、ウインドシールド104に投影された表示画像に対応する虚像を、車両100の前方の実風景に重畳させて表示し、運転者Dに視認させるものである。車両100の内部(の車室)には、ウインドシールド104の上側にルーフ103が連結され、下側にインストルメントパネル102が設けられている。インストルメントパネル102の後方には、ステアリングコラム105に回転自在に支持されたステアリングホイール101が設けられている。運転者Dは、ステアリングホイール101の後方に設けられた運転席106に着座した乗員であり、ウインドシールド104を介して車両100の前方を視認することができる。ウインドシールド104は、被投影部材の一例である。ウインドシールド104は、半透過性を有し、車両用表示装置1から入射する表示光Lを運転者DのアイポイントEPに向けて反射する。アイポイントEPは、運転席106に着座した運転者Dの視点位置である。運転者Dは、ウインドシールド104に投影される表示画像を車両100の進行方向における前方に存在する虚像Sとして視認することができる。車両用表示装置1は、車両前方カメラ2と、運転者カメラ3と、装置本体4とを含んで構成される(図1図2)。車両用表示装置1は、ナビゲーション装置5に接続されている。
【0019】
ナビゲーション装置5は、外部情報取得手段の一例である。ナビゲーション装置5は、いわゆるカーナビであり、地図情報や自車両の位置情報、周辺の道路状況を示す情報等を提供するものである。ナビゲーション装置5は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの情報に基づいて自車位置を取得したり、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を用いて必要な情報を取得する。また、ナビゲーション装置5は、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System)を用いて必要な情報を取得する構成であってもよい。また、ナビゲーション装置5は、例えば、必要な情報を内部のメモリ(不図示)から読み出したり、無線通信によって外部から取得することも可能である。ナビゲーション装置5は、車両用表示装置1からの取得要求に応じて、必要な情報を当該車両用表示装置1に出力する。
【0020】
車両前方カメラ2は、外部情報取得手段の一例である。車両前方カメラ2は、ウインドシールド104を通して車両前方の実風景を連続して撮像し、撮像した画像を前方画像として取得するものである。車両前方カメラ2は、車両100の車室内のルーフ103またはバックミラー(不図示)等に配置される(図1)。車両前方カメラ2は、例えば、車両前方の実風景を動画として撮像し、撮影した動画から得られる静止画を前方画像として取得することができる。車両前方カメラ2は、装置本体4に接続され、前方画像を装置本体4に逐次出力する。なお、車両前方カメラ2は、撮影した動画をそのまま装置本体4に出力してもよい。
【0021】
運転者カメラ3は、視点位置取得手段の一例である。運転者カメラ3は、車両100の車室内に配置され、運転者Dの顔部を連続して撮像し、撮像した画像を運転者画像として取得するものである。運転者カメラ3は、例えば、車室内のステアリングコラム105の上部で、かつ運転者Dから見てステアリングホイール101の背後に配置される。運転者カメラ3は、例えば、運転者Dの顔部を動画として撮像し、撮像した動画から得られる静止画を運転者画像として取得することができる。運転者カメラ3は、装置本体4に接続され、運転者画像を装置本体4に逐次出力する。なお、運転者カメラ3は、撮影した動画をそのまま装置本体4に出力してもよい。
【0022】
装置本体4は、表示画像をウインドシールド104に投影するものである。装置本体4は、例えば車両100のインストルメントパネル102の内側に配置されている(図1)。インストルメントパネル102の上面には、開口102aが設けられている。装置本体4は、開口102aを介してウインドシールド104に向けて表示光Lを照射することで表示画像を投影する。本実施形態における装置本体4は、画像解析部10と、画像投影部11と、制御部12を含んで構成される(図2)。画像解析部10及び制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及び各種インタフェース等を有するマイクロコントローラ上で機能する部分である。
【0023】
画像解析部10は、車両前方カメラ2、運転者カメラ3、及び制御部12に接続され、車両前方カメラ2及び運転者カメラ3から入力された画像信号を解析し、解析した結果を制御部12に出力するものである。画像解析部10は、車両前方カメラ2から画像信号として前方画像が入力された場合、当該前方画像に基づいて、運転者Dに報知すべき外部情報Wを特定する。画像解析部10は、解析結果として、特定した外部情報Wを制御部12に出力する。
【0024】
ここで外部情報Wは、車両100の外部状況を示すものであり、例えば、車両前方の実風景における周辺車両、歩行者、信号機、標識、車線等が含まれる。例えば、図5に示す外部情報Wは、車道110を横断しようとする歩行者である。周辺車両には、自車両の先行車両、駐車車両、並走車両(自転車等の軽車両を含む)等が含まれる。歩行者には、車道を横断する者、車道や歩道を歩く者等が含まれる。信号機は、交通信号機、踏切信号等が含まれる。標識は、道路標識が含まれる。車線は、法令上の車線である。
【0025】
画像解析部10は、運転者カメラ3から画像信号として運転者画像が入力された場合、運転者画像に基づいて、公知の画像解析手法により、運転者Dの顔の向き及び眼球の位置(アイポイントEP)を特定する。画像解析部10は、解析結果として、特定した運転者Dの顔の向き及びアイポイントEPの情報を制御部12に出力する。
【0026】
画像投影部11は、画像表示手段の一例である。画像投影部11は、制御部12に接続され、制御部12から入力された表示画像を、ウインドシールド104に投影するものである。画像投影部11は、表示器30と、反射ミラー31と、を含んで構成される。表示器30は、ウインドシールド104に投影される表示画像を表示光Lとして出射するものである。反射ミラー31は、例えば、凹面鏡であり、表示器30から出射された表示光Lをウインドシールド104に向けて反射するものである。
【0027】
制御部12は、制御手段の一例である。制御部12は、車両前方カメラ2、運転者カメラ3、画像解析部10、及び画像投影部11を制御するものである。制御部12は、ナビゲーション装置5に接続されている。制御部12は、例えば、ナビゲーション装置5から取得した地図情報や自車両の位置情報、周辺の道路状況を示す外部情報等に基づいて画像投影部11を制御し、虚像Sを表示することができる虚像表示領域20における所定の位置に虚像Sを表示させる表示画像制御を行う。また、制御部12は、画像解析部10から入力された外部情報Wと、運転者Dの顔の向き及びアイポイントEPの情報とに基づいて画像投影部11を制御し、虚像表示領域20における所定の位置に虚像Sを表示させる表示画像制御を行う。本実施形態の制御部12は、虚像表示領域20内に外部情報Wに対応する外部情報虚像Soを表示させる表示画像制御を行う。外部情報虚像Soは、上述した虚像Sに含まれるものである。本実施形態の虚像Sは、外部情報虚像Soの他に、車両100に関する情報(例えば、車速やエンジン回転数、冷却水温度等)に対応する虚像等が含まれる。
【0028】
ここで虚像表示領域20は、画像投影部11により虚像Sを表示することができ、かつ運転者Dに当該虚像Sを視認させることができる領域である。虚像表示領域20は、図3図5に示すように、両眼視認領域21と、右単眼視認領域22aと、左単眼視認領域23aと、からなる視認領域が含まれる。両眼視認領域21は、右眼視認領域22と、左眼視認領域23とが重複する部分であって、かつ運転者Dの両眼(右眼ER及び左眼EL)で視認可能な視認領域である。
【0029】
虚像表示領域20において、両眼視認領域21、及び、片眼視認領域である右単眼視認領域22a、左単眼視認領域23aを設けた場合、図13に示す両眼視認領域のみで構成された車両用表示装置に比べて、反射ミラー32のサイズを小さくすることができる。図13に示す反射ミラー32の幅方向の長さMS2は、図3に示す反射ミラー31の幅方向の長さMS1対して、MS2>MS1の関係となる。このように、反射ミラー32のサイズを小さくすることで、両眼視認領域のみで構成された車両用表示装置よりも装置の小型化を図ることができる。また、両眼視認領域及び片眼視認領域を設けた場合、同じサイズの虚像表示領域20で両眼視認領域のみで構成された車両用表示装置よりも反射ミラー32のサイズを小さくできることから、反射ミラー31のサイズを大きくすることで虚像表示領域20を拡大することができる。
【0030】
右眼視認領域22は、運転者Dの右眼ERで視認可能な視認領域である。右眼視認領域22は、図3図4に示すように、虚像表示領域20の左右方向におけるG-H間を占める。右単眼視認領域22aは、虚像表示領域20において、両眼視認領域21の左側に隣り合い、かつ右眼視認領域22のうち左眼視認領域23を除外した部分である。右単眼視認領域22aは、例えば、当該領域に虚像Sが表示された場合、運転者Dの右眼ERで視認することは可能であるが、左眼ELで視認することができない領域である。右単眼視認領域22aは、図3図4に示すように、虚像表示領域20の左右方向におけるG-I間を占める。
【0031】
左眼視認領域23は、運転者Dの左眼ELで視認可能な視認領域である。左眼視認領域23は、図3図4に示すように、虚像表示領域20の左右方向におけるI-J間を占める。左単眼視認領域23aは、虚像表示領域20において、両眼視認領域21の右側に隣り合い、かつ左眼視認領域23のうち右眼視認領域22を除外した部分である。左単眼視認領域23aは、例えば、当該領域に虚像Sが表示された場合、運転者Dの左眼ELで視認することは可能であるが、右眼ERで視認することができない領域である。左単眼視認領域23aは、図3図4に示すように、虚像表示領域20の左右方向におけるH-J間を占める。
【0032】
虚像表示領域20の左端に位置するGは、運転者Dの右眼ERと反射ミラー31の左端とを結ぶ光線R1の延長線上に位置する。虚像表示領域20の右端に位置するHは、運転者Dの左眼ELと反射ミラー31の右端とを結ぶ光線L2の延長線上に位置する。両眼視認領域21の左端に位置するIは、運転者Dの左眼ELと反射ミラー31の左端とを結ぶ光線L1の延長線上に位置する。両眼視認領域21の右端に位置するJは、運転者Dの右眼ELと反射ミラー31の右端とを結ぶ光線R2の延長線上に位置する。
【0033】
制御部12は、右単眼視認領域22a及び左単眼視認領域23a(以下、単に「単眼視認領域(22a,23a)」とも呼ぶ。)において外部情報虚像Soを表示させる場合は、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを表示させる場合よりも、視認性が良い視認性表示態様で、画像投影部11による表示画像の表示画像制御を行う。例えば、制御部12は、単眼視認領域に外部情報虚像Soを表示させる場合、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを実風景の歩行者に重畳させて表示させるよりも、当該歩行者に重畳させることなく、視認性の良い視認性表示態様として、例えば、アイコンを表示させる表示画像制御を行う。外部情報虚像Soを重畳対象(例えば歩行者等)に重畳させて表示する場合、一般的に、外部情報虚像Soを重畳対象と重なるように表示したり、刺激が強く明るい色で表示すると、運転者Dが実際の重畳対象を認識しづらくなる。また、重畳対象に重畳させることから、表示形状も限定されやすい。そのため、重畳表示される外部情報虚像Soは、比較的控えめな視認性表示態様で表示される可能性が高い。そこで、両眼視認領域21において表示される外部情報虚像Soよりも明るい色や視認性が高い形状を有するアイコン等を表示させることで運転者Dがその表示を認識しやすくなる。図5に示す外部情報虚像S1(So)は、いわゆる人型のアイコンであり、外部情報Wにおける左方向情報が車両100の前方を左方向から右方向に向けて横断する歩行者であった場合に表示される。この場合、外部情報である歩行者に対応する人型のアイコンが外部情報虚像Soとして表示される。
【0034】
また、制御部12は、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを表示させる場合は、単眼視認領域において外部情報虚像Soを表示させる場合よりも、外部情報虚像Soに対する運転者Dの認識性が良い識別性表示態様で、表示画像制御を行う。上述したように、制御部12は、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを表示させる場合、外部情報虚像Soに対する運転者Dの認識性が良い識別性表示態様として、車両100の前方の風景に重畳させて表示するように表示画像制御を行う。図5に示す外部情報虚像S2(So)は、いわゆる矢印のアイコンであり、外部情報Wが車両100の進行方向であった場合に表示される。この外部情報Wは、例えば、ナビゲーション装置5から取得されたものである。外部情報虚像S2は、両眼視認領域21において車両100の前方に向かって伸びる車線111,112と重畳して表示されており、当該車線111,112に合わせた形状に変形されている。
【0035】
制御部12は、アイポイントEPの変化に応じて、虚像表示領域20に対する視認領域を設定するものである。制御部12は、上記設定前後において、外部情報虚像Soの虚像表示領域20における表示位置が左単眼視認領域23aまたは右単眼視認領域22aと、両眼視認領域21との間で変化した場合、視認性表示態様及び識別性表示態様のうち、変化後の視認領域に対応した表示態様となるように、表示画像制御を行う。
【0036】
両眼視認領域21、右単眼視認領域22a及び左単眼視認領域23aは、運転者DのアイポイントEPの変化に応じて、虚像表示領域20における範囲が変化する。アイポイントEPの変化に対応する運転者Dの視認範囲40と、反射ミラー31と、虚像表示領域20との位置関係を図6に示す。図6において、虚像表示領域20の左端に位置するGは、視認範囲40の右端Nと反射ミラー31の左端とを結ぶ直線U1の延長線上に位置する。虚像表示領域20の右端に位置するJは、視認範囲40の左端Mと反射ミラー31の右端とを結ぶ直線U2の延長線上に位置する。例えば、アイポイントEPが視認範囲40の右端側に移動した場合、図7に示すように、両眼視認領域21、右単眼視認領域22a、及び左単眼視認領域23aの各視認領域が左右方向に縮小しながら虚像表示領域20の左端側に移動し、虚像表示領域20の右端側に不可視認領域24が形成される。また、アイポイントEPが視認範囲40の左端側に移動した場合、図8に示すように、両眼視認領域21、右単眼視認領域22a、及び左単眼視認領域23aの各視認領域が左右方向に縮小しながら虚像表示領域20の右端側に移動し、虚像表示領域20の左端側に不可視認領域24が形成される。この不可視認領域24は、運転者Dが右眼ERでも左眼ELでも両眼でも視認できない領域である。この不可視認領域24に外部情報虚像Soを含む虚像Sが表示されても運転者Dが視認することができない。
【0037】
上記を踏まえて、右単眼視認領域22aに外部情報虚像Soが表示された状態で、運転者DのアイポイントEPが視認範囲40における中央から右端側に変化した場合について説明する。外部情報虚像Soの虚像表示領域20における表示位置は、アイポイントEPの変化の前後で変化しないが、両眼視認領域21、右単眼視認領域22a、及び左単眼視認領域23aの各視認領域が虚像表示領域20の左端側に移動する。そのため、外部情報虚像Soの表示位置が右単眼視認領域22aと両眼視認領域21との間で変化した場合、視認性表示態様及び識別性表示態様のうち、変化後の視認領域、ここでは両眼視認領域21に対応した表示態様になるように、制御部12が表示画像制御を行う。この結果、外部情報虚像Soが視認性表示態様から識別性表示態様に変更される。例えば、図9(A)に示す外部情報虚像S3(So)が右単眼視認領域22aに表示されている場合、当該外部情報虚像S3は、視認性表示態様として、簡易な形状で視認性が高くなるように表示される。一方、図5に示す外部情報虚像S2が両眼視認領域21に表示されている場合、当該外部情報虚像S2は、認識性表示態様として、実風景における外部情報W(ここでは歩行者)に重畳させて表示される。このように、制御部12は、例えば、外部情報虚像Soの表示位置が右単眼視認領域22aと両眼視認領域21との間で変化した場合、虚像表示領域20における表示位置を変えることなく、外部情報虚像Soの表示態様を変更する。
【0038】
以上説明した車両用表示装置1は、制御部12が、右単眼視認領域22a及び左単眼視認領域23aにおいて外部情報虚像Soを表示させる場合、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを表示させる場合よりも、視認性が良い視認性表示態様で、画像投影部11による表示画像の表示画像制御を行う。制御部12は、両眼視認領域21において外部情報虚像Soを表示させる場合、右単眼視認領域22a及び左単眼視認領域23aにおいて外部情報虚像Soを表示させる場合よりも、外部情報虚像Soに対する運転者Dの認識性が良い識別性表示態様で、表示画像制御を行う。
【0039】
上記構成により、例えば、単眼視認領域(22a,23a)に外部情報虚像Soが表示された場合、当該外部情報虚像Soの意味を認識せずとも、運転者Dが車両100の右方向または左方向に意識を持つことが可能となる。その結果、運転者Dが表示を認識しやくなり、運転者Dの安全運転を支援することができる。運転者Dは、単眼で視認するよりも両眼で視認する方が認識しやすいことから、単眼視認領域に、両眼視認領域21に表示する外部情報虚像Soと同じ識別性を持つ虚像を表示しても認識できない。そこで、識別性の高い外部情報虚像Soを単眼視認領域に表示しても運転者Dが認識しにくいことから、単眼視認領域には、両眼視認領域21に表示する外部情報虚像Soよりも視認性が良い視認性表示態様の外部情報虚像Soを表示させることにしている。また、単眼視認領域に表示される外部情報虚像Soに対して、両眼視認領域21に表示される外部情報虚像Soの視認性を高くすることで、単眼視認領域に表示される虚像を認識しやくすることも考えられる。しかしながら、両眼視認領域で表示される虚像が主に実風景との重畳されることから、当該虚像の視認性をあげる必要がなく、かえって視認性をあげることが運転者にとって迷惑に思われる可能性がある。一方、単眼視認領域で表示される虚像を実風景と重畳させたとしても、単眼視認領域に表示される虚像が運転者Dに認識されにくいことから、当該虚像の視認性を高くしたとしても両眼視認領域21に表示される虚像の視認性を高くした場合ほど迷惑にならないはずである。
【0040】
また、本実施形態における車両用表示装置1は、制御部12が、アイポイントEPの変化に応じて、虚像表示領域20に対する視認領域を設定する前後で、外部情報虚像Soの虚像表示領域20における表示位置が単眼視認領域と、両眼視認領域21との間で変化した場合、視認性表示態様及び識別性表示態様のうち、変化後の視認領域に対応した表示態様となるように、表示画像制御を行う。これにより、運転者DのアイポイントEPが変化しても、単眼視認領域には、両眼視認領域21より表示される虚像よりも視認性が良い視認性表示態様で表示することが可能となる。一方、運転者DのアイポイントEPが変化しても、両眼視認領域21には、単眼視認領域に表示される虚像よりも運転者Dの認識性が良い識別性表示態様で表示することが可能となる。この結果、運転者Dの安全運転をより支援することができる。
【0041】
上記実施形態では、制御部12は、上述した視認性の良い視認性表示態様として、歩行者に対応する人型のアイコンを表示させるように表示画像制御を行うが、これに限定されるものではない。例えば、図9(A)、図9(B)に示す外部情報虚像S3,S4(So)であってもよいし、図9(C)に示す外部情報虚像S5(So)であってもよい。図9(B)に示す外部情報虚像S4は、図9(A)に示す外部情報虚像S3に対して、いわゆるグラデーションが付されたものである。外部情報虚像S3,S4は、視認性の良い視認性表示態様としての、いわゆるインジケータである。外部情報虚像S5は、視認性の良い視認性表示態様としての、安全標識を模したアイコンである。外部情報虚像S3~S5は、いずれも右単眼視認領域22aに表示されていることから、運転者Dに対して車両100の左側に注意を向けさせる場合に表示される。一方、運転者Dに対して車両100の右側に注意を向けさせる場合、外部情報虚像S3~S5が左単眼視認領域23aに表示される。なお、視認性の良い視認性表示態様は、識別性表示態様に対して、色や形状等を変更したアイコンやインジケータ等を例示したが、これらに限定されるものではない。
【0042】
次に、実施形態の変形例に係る車両用表示装置について説明する。図10は、実施形態の変形例における外部情報虚像の表示態様変化前の一例を示す模式図である。図11は、実施形態の変形例における外部情報虚像の表示態様変化後の一例を示す模式図である。図12は、実施形態の変形例における運転者の視線方向変化後の一例を示す模式図である。
【0043】
制御部12は、運転者Dの顔の向き及びアイポイントEPの情報に基づいて、運転者Dの視線方向Qを取得することができる。制御部12は、運転者Dの視線方向Qの変化に応じて、虚像表示領域20に対する視認領域を設定するものである。制御部12は、上記設定前後において、虚像表示領域20に対する視線方向Qが左単眼視認領域23aまたは右単眼視認領域22aと、両眼視認領域21との間で変化した場合、視認性表示態様及び識別性表示態様のうち、変化後の視線方向Q(図11図12)に対応した視認領域に対応する表示態様となるように、表示画像制御を行う。制御部12は、運転者Dの視線方向Qが両眼視認領域21に向いていると判断した場合、例えば、右単眼視認領域22aに表示させる外部情報虚像Soを視認性が良い視認性表示態様(外部情報虚像S3)で表示画像制御を行う(図10)。この状態において、制御部12は、運転者Dの視線方向Qが右単眼視認領域22aに変化した場合、右単眼視認領域22aに表示させる外部情報虚像S3を、運転者Dの認識性が良い識別性表示態様(外部情報虚像S6)に変更して表示画像制御を行う。
【0044】
上述した実施形態の変形例における車両用表示装置1は、上記構成により、運転者Dの視線方向Qに合わせて表示態様を変更することができ、より運転者Dが認識しやすい表示を提供することが可能となる。
【0045】
なお、上記実施形態及びその変形例では、制御部12は、各単眼視認領域(22a,23a)において外部情報虚像Soを表示させる場合、両眼視認領域21で外部情報虚像Soを表示させる場合よりも、視認性が良い視認性表示態様で表示画像制御を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、制御部12は、視認性表示態様で表示画像制御を行う場合、外部情報虚像Soの表示態様が経時変化するように構成されていてもよい。上記構成により、外部情報虚像Soの視認性をより高めることができる。
【0046】
また、上記実施形態及びその変形例では、外部情報Wは、車両100の外部状況全体を示すものであるが、これに限定されるものではなく、車両100の右方向のみに関する右方向情報と、車両100の左方向のみに関する左方向情報と、を含むものであってもよい。右方向情報は、例えば、車両100の前方を右方向から左方向に向けて横断する車両や歩行者、車両100の前方右側から後方に向けて走行する対向車両や歩行者、車両100の前方右側に位置する右側車線(中央車線や分離帯を含む)等を含む。左方向情報は、例えば、車両100の前方を左方向から右方向に向けて横断する車両や歩行者、車両100の前方左側に位置する駐車車両や信号機、標識、左側車線等を含む。
【0047】
制御部12は、右方向情報に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合は、左単眼視認領域23aに表示させ、左方向情報に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合は、右単眼視認領域22aに表示させる。制御部12は、例えば、車両100の前方左側の駐車車両に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合に、当該外部情報虚像Soが左方向情報に対応するものであっても、当該駐車車両の位置に応じて両眼視認領域21にて重畳表示を行う。その後、車両100が進行方向に移動することで、駐車車両の位置が自車両に近づくと、制御部12は、外部情報虚像Soの表示を、両眼視認領域21から、左方向に対応する右単眼視認領域22aに切り替える。このとき、外部情報虚像Soは、変化後の視認領域に対応した表示態様となるように、識別性表示態様から視認性表示態様に切り替わる。
【0048】
制御部12は、例えば、停車状態の車両100の前方を右方向から左方向に向けて横断する他の車両に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合、当該外部情報虚像Soを右方向に対応する左単眼視認領域23aに表示させる。
その後、他の車両が右方向から左方向に移動すると、制御部12は、外部情報虚像Soの表示を、左単眼視認領域23aから両眼視認領域21に切り替える。このとき、外部情報虚像Soは、変化後の視認領域に対応した表示態様となるように、視認性表示態様から識別性表示態様に切り替わる。
【0049】
制御部12は、左単眼視認領域23aに対して、右方向情報に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合は、右単眼視認領域22aに何も表示させないものとする。また、制御部12は、右単眼視認領域22aに対して、左方向情報に対応する外部情報虚像Soを表示させる場合は、左単眼視認領域23aに何も表示させないものとする。
【0050】
また、上記実施形態及びその変形例では、制御部12は、左単眼視認領域23aに外部情報虚像Soを表示させる場合、右単眼視認領域22aに何も表示させないものとし、右単眼視認領域22aに外部情報虚像Soを表示させる場合、左単眼視認領域23aに何も表示させないものとするが、これに限定されるものではない。例えば、制御部12は、左単眼視認領域23a及び右単眼視認領域22aにそれぞれ同一または異なる表示態様の外部情報虚像Soを表示させてもよい。この場合、例えば、車両100に緊急事態が生じたことを運転者Dに知らせる際に、上記表示を行うことで当該運転者Dが緊急事態を素早く認識することが可能となる。
【0051】
また、上記実施形態及びその変形例では、外部情報取得手段として車両前方カメラ2、ナビゲーション装置5を例示したが、これらに限定されるものではない。例えば、外部情報取得手段は、レーザレーダ、ミリ波レーダ等であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態及びその変形例では、車両用表示装置1は、表示画像を車両100のウインドシールド104に投影しているが、これに限定されず、例えばコンバイナ等に投影してもよい。
【0053】
また、上記実施形態及びその変形例では、車両用表示装置1は、自動車等の車両100に適用されているが、これに限定されず、例えば車両100以外の船舶や航空機等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用表示装置
2 車両前方カメラ
3 運転者カメラ
11 画像投影部
12 制御部
20 虚像表示領域
21 両眼視認領域
22 右眼視認領域
22a 右単眼視認領域
23 左眼視認領域
23a 左単眼視認領域
100 車両
D 運転者
W 外部情報
EP アイポイント
ER 右眼
EL 左眼
S 虚像
So 外部情報虚像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13