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特許7130699リードスイッチ制御装置、及び、これを備えた押しボタンスイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】リードスイッチ制御装置、及び、これを備えた押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20220829BHJP
   H01H 13/20 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H01H36/00 302B
H01H13/20 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020093172
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021190252
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594124281
【氏名又は名称】大光電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593185050
【氏名又は名称】入江 寿一
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】入江 寿一
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-108710(JP,A)
【文献】特開2005-276725(JP,A)
【文献】特開2017-191668(JP,A)
【文献】特開2011-238352(JP,A)
【文献】米国特許第05811896(US,A)
【文献】米国特許第04056979(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたリードスイッチに対してその電極軸方向(長手方向)を三次元直交座標系におけるx方向とし、直交する他の方向をそれぞれy方向、z方向として、
その磁極軸が前記リードスイッチの前記電極軸と同一方向であるx方向に磁化され、かつ、前記リードスイッチに対してx、y、z方向一定の距離に固定されているバイアス磁石と、
前記リードスイッチの電極軸と直交する方向であるz方向に磁化され、前記リードスイッチの前記一対の電極のうちの一方の電極の近傍で前記x、y方向にほぼ一定の距離を保ち、かつ、z方向に移動可能な駆動磁石と、
一端が固定され中央部に対する押しボタンの押し、または、戻しの操作により他端側がたわむ板バネと、
を備え、
前記バイアス磁石は、前記リードスイッチを挟んで前記駆動磁石のy方向反対側にあり、x方向に移動したとき、前記リードスイッチをオン・オフに動作させる位置の近く固定され、
前記駆動磁石は、前記リードスイッチ前記一対の電極のうちの前記一方の電極の近傍を通過してz方向の一方に移動するときそのN磁極またはS磁極のうちの一方の磁極が前記リードスイッチの前記一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、前記バイアス磁石のオン動作を補助して、前記リードスイッチをオンに駆動し、前記リードスイッチの近傍を通過してz方向他方に移動するとき前記N磁極またはS磁極のうちの他方の磁極が前記リードスイッチの当該一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、前記バイアス磁石のオン動作を阻止して前記リードスイッチをオフに駆動し、これにより前記リードスイッチ)をオンまたはオフに駆動する、リードスイッチ制御装置であって、
前記駆動磁石は、前記板バネの前記他端側に取り付けられ、前記押しボタンが押されまたは戻されることによる前記板バネの前記他端側のたわみに従ってz方向に移動する板状の形状を有し、その厚み方向をz方向とし、前記押しボタンを押す、または、戻すことで前記駆動磁石をz方向に移動する構造を備える、ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項2】
押しボタンと、
前記請求項1に記載のリードスイッチ制御装置と、を備え、
前記リードスイッチ制御装置の前記駆動磁石は、前記板バネの前記他端側に取付けられ、前記押しボタンの押しまたは戻しによる前記板バネの他端側のたわみによりその磁化方向に移動する、ことを特徴とする押しボタンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードスイッチのオン・オフ駆動を制御するリードスイッチ制御装置、及び、このリードスイッチ制御装置を備えた押しボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客が少ない路線の電車や気動車には、駅に停車中、不必要に長くドアが開放されたままになって、冬場では暖房による暖気が流出して温度が低下したり、また、夏場では冷房による車内温度が上昇したりするのを防止するために、乗客自らが開閉操作できる半自動ドアを備えたものがある。
【0003】
上記のような車両では、ドア収容部の車外側と車内側とにそれぞれ、ドア開閉用のスイッチとして押しボタンスイッチが設置されている。
【0004】
この種の押しボタンスイッチには、従来、図7に示すものがある。図7において、x、y、zは三次元直交座標系内のx軸、y軸及びz軸を示す。この三次元直交座標系は各図共通である。
【0005】
図7に示す押しボタンスイッチにおいては、ケーシング(図示略)内に固定的に設けられたリードスイッチ2と、ケーシングに対して出没自在の押しボタン3とを備え、押しボタン3のリードスイッチ2側の面部にはリードスイッチ2を駆動するための磁石4が取り付けられている。この押しボタンスイッチでは、リードスイッチ2がその接点部分を構成する。
【0006】
この押しボタンスイッチでは、押しボタン3の操作に伴い、磁石4により、リードスイッチ2の対向する電極の一方を磁化し、リードスイッチ2の電極間に発生する磁束による磁気吸引力で対向する電極を導通・非導通としてリードスイッチ2をオン・オフ制御するようになっている。
【0007】
なお、図7の押しボタンスイッチにおいて、磁石4の磁極軸の方向は、リードスイッチ2の電極軸のx方向 (長さ方向でもある)と直交するy方向に設定されていて、磁石4の磁極軸におけるN極もしくはS極の一方はリードスイッチ2の側に向いている。
【0008】
上記構成の押しボタンスイッチでは、その接点部分が上記のようにリードスイッチ2であることで、比較的高い電圧での使用が可能となり、電車等の車両に設置することが容易になるほか、リードスイッチ2が押しボタン3の矢印で示す操作方向の変位経路の脇に位置するので、全体の厚みが、押しボタン3の奥行き長さにその変位ストロークを加えた程度の厚みに収まり、薄型化できる等の利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】日本ハムリン株式会社「リードスイッチの知識」玄同社 昭和55年1月6日発行
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2001-184973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、リードスイッチ制御装置をリードスイッチ2と磁石4とで構成する場合、リードスイッチ2に対する磁石4の作用には、改良の余地があり、リードスイッチ2のオン・オフ動作の確実性を損なうことなく、さらに押しボタン3の移動ストロークを短くし、薄型にすることが望まれる。
【0012】
以下、従来のリードスイッチ制御装置(1)(2)の動作と課題について述べる。
【0013】
従来のリードスイッチ制御装置(1)におけるリードスイッチ2と磁石4との配置は、図8の配置図のようになる。図8(a)は平面図、図8( b)は側面図である。これらの図において、リードスイッチ2の電極軸方向はx方向であり、磁石4の磁極方向は、y方向に設定され、磁石4は、z方向に移動するようになっている。また、図8(a)においてz軸は紙面を垂直に貫通する軸方向であり、図8( b)においてx軸は紙面を垂直に貫通する軸方向である。
【0014】
押しボタン3が押されて、磁石4が図8(b)のように破線4´で示す位置から実線で示す位置z=0に移動すると、磁石4はリードスイッチ2に最接近しているので磁化力は最大で、リードスイッチ2はオンの状態である。
【0015】
磁石4の位置がz=0の位置から増加もしくは減少するにつれてリードスイッチ2に対する磁化力は緩やかに減少し、さらに離れた位置ではリードスイッチ2はオフとなる。
【0016】
磁石4がz軸上の位置z=0に向って移動するときは、磁化力がオン磁化力以上になった位置で、リードスイッチ2はオンとなる。
【0017】
このように、磁石4の磁極方向がy方向で、磁石4がz方向に移動する方式では、磁化力の変化が緩やかであるから、リードスイッチ2をオン・オフするための磁石4の移動距離が長くなる。そのため、このリードスイッチ制御装置では、押しボタン3の操作ストロークが長くなり、この方式による押しボタンスイッチでは、その薄型化に限度がある。
【0018】
他の制御方式として、図9を参照して、リードスイッチ制御装置(2)の動作を非特許文献1に従って説明する。
【0019】
このリードスイッチ制御方式(2)においては、磁石4の磁極方向はx方向で、磁石4はx方向に移動する。リードスイッチ2のオン・オフ領域を図9に示す。磁石4がオン境界線より内側(オン領域)にいるときリードスイッチ2の接点はオンで、オフ境界線より外側(オフ領域)にいるときはオフである。2つの境界線の間は、ヒステリシス領域で、リードスイッチ2は、2つの境界線の領域に入る以前のオン・オフ状態を保つ。
【0020】
この方式では磁石4のx方向の位置X5、X6またはX7、X8の前後ではオン領域とオフ領域が接近しており、磁石4の移動距離を小さくしてストロークが小さい押しボタンスイッチの制御が可能である。
【0021】
しかしながら、リードスイッチ2はx方向に長い構造を持っているので、この方向に作用するリードスイッチ制御装置、たとえば押しボタンスイッチの押し方向をx方向にすると、押しボタンスイッチの押し方向サイズを小さくすることが出来ない。さらに比較的大きな磁石4を移動するための装置、磁石4の移動に伴うことによるリードスイッチ制御装置が摩耗するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)本発明に係るリードスイッチ制御装置は、上述の課題を解決するため、固定されたリードスイッチの電極軸方向と同一方向に磁化したバイアス磁石と、前記リードスイッチの電極軸方向と直交する方向に磁化した駆動磁石とを備え、
前記バイアス磁石はその磁化方向に移動したとき、前記リードスイッチをオン・オフに動作させる位置の近くに固定され、
前記駆動磁石は、
前記リードスイッチの近傍を通って前記磁化方向一方に移動するときそのN磁極またはS磁極のうちの一方の磁極が前記リードスイッチの一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、前記バイアス磁石のオン動作を補助して、前記リードスイッチをオンに駆動し、
前記リードスイッチの近傍を通って前記磁化方向他方に移動するとき前記N磁極またはS磁極のうちの他方の磁極が前記リードスイッチの当該一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、前記バイアス磁石のオン動作を阻止して前記リードスイッチをオフに駆動し、これにより前記リードスイッチをオンまたはオフに駆動することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、バイアス磁石を固定し、駆動磁石でバイアス磁石の磁化を補助し、または、弱めるようにしているので、駆動磁石の移動方向は別の方向にすることができ、また、非接触で容易にリードスイッチのオン・オフを制御することができる。
【0024】
この場合、駆動磁石の磁力は、バイアス磁石の磁化力を補助、またはバイアス磁石の磁化力に反抗することで、リードスイッチのオン・オフ動作を制御することができる。そのため、駆動磁石は、小型の磁石で良い。また、駆動磁石の磁化方向の長さを短くすれば、駆動磁石の移動距離を短くし、リードスイッチ制御装置や、これを備える押しボタンスイッチの薄型化を図ることができるようになる。
【0025】
本発明は、好ましくは、前記駆動磁石は、磁化方向および駆動方向に長さが短い板状の形状を有し、前記リードスイッチをオンまたはオフに駆動するために必要とされる移動距離を小さく設定することが可能となっている。
【0026】
(2)本発明に係る押しボタンスイッチは、押しボタンと、本発明のリードスイッチ制御装置と、前記押しボタンを動かすことで前記駆動磁石を磁化方向に移動する構造とを有することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、上記リードスイッチ制御装置を用いるので、その薄型化を図ることができるようになるとともに、摩擦部がなく長寿命化を達成することができる。
【発明の効果】
【0028】
(1)本発明のリードスイッチ制御装置によれば、リードスイッチの電極の方向と同方向にNS磁極を持つバイアス磁石は、リードスイッチの電極方向に短い距離を移動させるだけで、リードスイッチのオン・オフを制御できるが、バイアス磁石を固定し、駆動磁石でバイアス磁石の磁化を補助しまたは弱めるようにすれば、駆動磁石の移動方向は別の方向に出来、また非接触で容易にスイッチのオン・オフが制御できる。
【0029】
このように、本発明のリードスイッチ制御装置によれば、大きなバイアス磁石を固定し、駆動磁石はリードスイッチの長手方向である電極軸方向と直交方向に動かす構成に出来、また駆動磁石は小さな磁石を使用できる。
(2)本発明の押しボタンスイッチによれば、本発明のリードスイッチ制御装置を用いるので、その薄型化を図れるようになるとともに、摩擦部がなく長寿命化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の実施形態に係るリードスイッチ制御装置の構成を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
図2図2は、実施形態のリードスイッチ制御装置において、図9に示すリードスイッチのオン・オフ境界特性を示す図である。
図3図3は、実施形態のリードスイッチ制御装置の動作説明に供する図である。
図4図4は、実施形態のリードスイッチ制御装置の動作説明に供する図である。
図5図5は、実施形態のリードスイッチ制御装置の動作説明に供する図である。
図6図6は、本発明の他の実施形態に係る押しボタンスイッチの斜視図である。
図7図7は、従来の押しボタンスイッチの概略斜視図である。
図8図8は、従来の押しボタンスイッチの磁石とリードスイッチとの配置図を示し、(a)はその平面図 (b)はその側面図である。
図9図9は、従来のリードスイッチと平行に磁化した磁石の位置とリードスイッチのオン・オフ境界特性とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係るリードスイッチ制御装置の構成を示す。同図(a)はその平面図、同図(b)はその側面図である。
【0033】
本実施形態に係るリードスイッチ制御装置を備える押しボタンスイッチは、押しボタン(図示略)と、押しボタンが出没するケーシング(図示略)とを備える。特には図示しないが、押しボタンは、z方向への押し込み操作あるいは押し込み操作の解除により、ケーシング内外を出没するように構成されている。
【0034】
図1において、符号1は、実施形態に係るリードスイッチ制御装置を示す。このリードスイッチ制御装置1は、リードスイッチ2のオン・オフを制御する装置であり、バイアス磁石4と、駆動磁石42とを備える。
【0035】
リードスイッチ2は、その電極軸がx軸に平行にケーシング内に固定され、押しボタンがその操作によりケーシング内外を出没するとき、駆動磁石42はケーシング内において、x方向とy方向とに一定の間隔を保ちながらz方向に移動する。
【0036】
リードスイッチ2は、右側電極21と、左側電極22とを含み、その間のギャップ23に接点が設けられ、両電極21、22は不活性ガスと共にガラス容器24に封入されている。リードスイッチ2のオン・オフの電気信号は、端子25を通じてガラス容器24外に導かれる。
【0037】
このリードスイッチ2に対して、その電極軸方向(長手方向)を三次元直交座標系におけるx軸とし、リードスイッチ2の電極軸方向と直交する方向をy軸とし、これらx軸とy軸とに直交する方向をz軸とする。
【0038】
リードスイッチ2の電極は、x軸方向において前記右側電極21と前記左側電極22とで構成され、リードスイッチ2がオフの状態では両電極21、22間にはギャップ23が介在して両電極21、22は非導通であり、リードスイッチ2がオン状態では両電極21、22は接触により導通している。
【0039】
バイアス磁石4は、従来の磁石と同様であるが、位置が固定されている。バイアス磁石4は、N磁極とS磁極とからなる磁極軸を有し、この磁極軸はx軸に平行である。
【0040】
駆動磁石42は、図示しない適宜の磁石移動手段に取り付けられ、前記押しボタンに繋がっており、押しボタンの操作に伴い、図示しない磁石移動手段によりz方向に移動可能になっている。
【0041】
図1(a)のように駆動磁石42の磁極軸は、z軸に平行で、z方向に移動する。駆動磁石42は、リードスイッチ2の右側電極21か、または、左側電極22のいずれか一方に対向しており、z方向に移動するときそのN磁極またはS磁極が、リードスイッチ2の左右両側の電極21,22のうちの一方に接近する。
【0042】
バイアス磁石4のy軸上の位置はy1であり、その磁力はリードスイッチ2をオンに制御することができる強さがあり、その一方の磁極たとえばN磁極がリードスイッチ2の左右両側の電極21、22を同等にバランスして磁化するようなx方向の位置のやや右で、その中央位置はリードスイッチ2がオン・オフする位置x1に固定されている。
【0043】
駆動磁石42は、リードスイッチ2の一方の電極である右側の電極21に近くに、または、42´のように他方の電極である左側の電極22の近くに置かれる。破線42´は、駆動磁石42がリードスイッチ2の左側電極22の近くに置かれるときの駆動磁石42の符号を示す。
【0044】
駆動磁石42がリードスイッチ2に及ぼす磁化力は、バイアス磁石4がリードスイッチ2に及ぼす磁化力より小さく、駆動磁石42のみではリードスイッチをオンにしない。
【0045】
駆動磁石42はz方向に動くことによって、そのN磁極またはS磁極がリードスイッチ2に近づく。
【0046】
一例として、バイアス磁石4と駆動磁石42それぞれのN・S磁極は、図1(a)(b)のように配置される。バイアス磁石4のN磁極はリードスイッチ2のギャップ23の近くで、リードスイッチ2の右側の電極21をN極性に磁化し、リードスイッチ2がオン・オフする点の近くにある。
【0047】
駆動磁石42が図1(b)のようにリードスイッチ2の脇(z=0、y方向直下)を通ってz方向右方に移動したとき、駆動磁石42のN磁極がリードスイッチ2に近づき、リードスイッチ2の右側の電極21をN極性に磁化する。バイアス磁石4がx方向に移動した場合と同様にリードスイッチ2の右側の電極21は強くN極性に磁化されるので、リードスイッチ2のギャップ23には右側の電極21から左側の電極22に磁束が通じ、ギャップ23の接点間に吸引力を生じてリードスイッチ2はオンとなる。
【0048】
駆動磁石42が図1(b)のようにリードスイッチ2の脇を通ってz方向左方に移動したとき、駆動磁石42のS磁極がリードスイッチ2に近づき、リードスイッチ2の右方の電極21をS極性に磁化する。これにより、バイアス磁石4のN磁極によるリードスイッチ2の右方の電極21の磁化が弱められ、バイアス磁石4が-x方向すなわち図1(a)で左方に移動した場合と同様に、ギャップ23における磁束が減少して接点間の吸引力は小さくなり、リードスイッチ2はオフとなる。
【0049】
駆動磁石42は、図2(b)に示すように、側面視が矩形をなす板状の磁石であり、その長辺はy方向に平行であり、短辺はz方向に平行である。この短辺は、駆動磁石42の磁化方向または駆動方向に平行である。駆動磁石42は、上記形状により磁化方向および駆動方向の長さが短くなり、これにより、リードスイッチ2をオンまたはオフに駆動するに必要な移動距離が小さく設定可能とされている。
【0050】
以下、更に詳細に説明する。
【0051】
本実施形態では、バイアス磁石4の位置とリードスイッチ2のオン・オフ領域に関して、図9に示す制御特性の敏感なX5、X6またはX7、X8の付近の特性を使用する。図2図9の特性のうち、本発明に応用する中央のオン・オフ領域特性を再掲している。図2において、L1はオン境界線、L2はオフ境界線、S1はオン領域、S2はオフ領域、S3はヒステリシス領域、Mは、各境界線L1,L2、及び各領域S1~S3を含むオン・オフ境界特性を示す。
【0052】
バイアス磁石4がリードスイッチ2に対してy方向に一定の距離yMを保ち、x方向の中央位置xMが変化し、この位置xMがオフ境界線L2の外のオフ領域S2ではリードスイッチ2はオフとなり、オン境界線L1の内のオン領域S1ではリードスイッチ2はオンとなる。
【0053】
バイアス磁石4の中央位置xMがx1の付近にあるとき、すなわちバイアス磁石4の一方の磁極がリードスイッチ2のギャップ23付近にあるとき、バイアス磁石4のx方向における短い移動でリードスイッチ2のオン・オフが変化する。
【0054】
この現象は次のように説明される。
【0055】
バイアス磁石4の中央位置xMがx1より左方にあるときは、バイアス磁石4の磁束はリードスイッチ2の左側の電極22の中を通り、ギャップ22を通らない。バイアス磁石4のN磁極がギャップ23の真上にあるときは、ギャップ23の左右にある電極21,22を同極性のNに均等に磁化してバランスしており、ギャップ23には磁束が生じない。バイアス磁石4のN磁極が少しでもギャップ23を右方に越えると、リードスイッチ2の右側の電極21を強くN極性に磁化し、ギャップ23に左向きの磁束を通じて吸引力が働き、リードスイッチ2をオンにする。
【0056】
このように、バイアス磁石4の中央位置xMが、リードスイッチ2の両電極21,22の磁化がバランスする位置よりも右方側にあるか左方側にあるかによって、リードスイッチ2のオン・オフが決まる。図1ではバイアス磁石4の中央位置xMが位置x1にあり、すなわちリードスイッチ2の両電極21,22の磁化がバランスする位置のより少し右側でリードスイッチ2がオン・オフする付近にある。
【0057】
図1では、リードスイッチ2のギャップ23には磁束を生じさせるバイアス磁石4の中央位置xMはx1で、バイアス磁石4のN磁極がギャップ23の付近にある。リードスイッチ2のギャップ23の両側にある電極21と22は、磁石4のN磁極でほぼバランスしてN極性に磁化されているが、リードスイッチ2の右側電極21がより強くN極性に磁化されている。このとき、駆動磁石42のN磁極がリードスイッチ2の右側電極21に近づき、この右側電極21をN極性に磁化している場合を考えると、バイアス磁石4の中央位置xMが位置x1より左側にありリードスイッチ2の右側電極21の磁化が弱いとき、リードスイッチ2の両電極21、22の磁化がバランスする。このように駆動磁石42のN極がリードスイッチ2の右側電極21に近づき、ギャップ23の磁束を強めるとき、図3のように、オン・オフ境界線L1,L2を含むオン・オフ境界特性Mは左側に寄る。
【0058】
駆動磁石42´のS磁極がリードスイッチ2の左側電極22に近づいた場合も、バイアス磁石4のN磁極によるリードスイッチ2の左側電極22に対するN極性への磁化が弱くなり、リードスイッチ2の右側電極21のN極性への磁化が弱いときに磁化がバランスするので、バイアス磁石4が位置x1より左にあるときバランスする。すなわち、駆動磁石42´のS磁極がリードスイッチ2の左側電極22に近づき、ギャップ23の磁束を強めるときも同様に、オン・オフ境界特性Mは左方に寄る。
【0059】
図4は、図3の場合と逆に、駆動磁石42のS磁極をリードスイッチ2の右側電極21に近づけるか、駆動磁石42のN磁極をリードスイッチ2の左側電極22に近づけた場合で、バイアス磁石4がより右側によってN磁極による電極21の磁化が強いときに磁化がバランスし、その結果オン・オフ境界特性Mは右側に寄る。
【0060】
上記2つを総合すると、駆動磁石42のNまたはS磁極をリードスイッチ2の右側電極21に近づけることによって、図5のようにオン・オフ境界特性Mを左右に動かすことが出来る。強いバイアス磁石4をリードスイッチ2の両電極21,22の磁化がバランスする位置の近くの位置x1、y1に固定してバイアス磁石4とし、このときのバイアス磁石4の位置をリードスイッチ2の動作点◎とする。
【0061】
このように磁化力が弱い駆動磁石42をz方向に動かしてリードスイッチ2の電極21,22の一方をNまたはS極に磁化すればオン・オフ境界特性Mを左右に移動することができる。駆動磁石4がz方向に動いて、そのN磁極がリードスイッチ2の右側電極21に接近しオン・オフ境界特性Mが左方に動き、リードスイッチ2の動作点◎がN磁極のオン境界線L1の内側となればリードスイッチ2はオンになる。駆動磁石42が逆方向に動き駆動磁石42のS磁極がリードスイッチ2の右側電極21に接近し、境界特性Mが右に動き、リードスイッチ2の動作点◎がSのオフ境界線L2の外側となればリードスイッチ2はオフとなる。
〔他の実施形態〕
図6は本発明のリードスイッチ制御装置を有する押しボタンスイッチの主要部を示す斜視図である。この押しボタンスイッチ6は、リードスイッチ制御装置1、押しボタン3、及び板バネ5を備える。リードスイッチ制御装置1は、バイアス磁石4と、駆動磁石42を有する。
【0062】
この押しボタンスイッチ6において、バイアス磁石4は、リードスイッチ2がオン・オフする位置に固定される。駆動磁石42は、上下方向(z方向)に磁化されている。駆動磁石42は、板バネ5のy方向の前端に取り付けられ、板バネ5のたわみに従い、そのy方向の前端側が、リードスイッチ2の脇を通ってz方向に移動し、そのN磁極またはS磁極がリードスイッチ2に接近する。
【0063】
板バネ5はy方向の右端(後端)が固定され、y方向の中央部が押しボタン3に押され、または、戻されることによってz方向にたわみ、その前端に取り付けられた駆動磁石42をz方向に移動させ、リードスイッチ2をオン・オフする。
【符号の説明】
【0064】
2 リードスイッチ
21 リードスイッチの電極
22 リードスイッチの電極
23 リードスイッチのギャップ
24 リードスイッチのガラス容器
25 リードスイッチの端子
3 押しボタン
4 バイアス磁石
42、42´ 駆動磁石
5 板バネ
L1 オン境界線
L2 オフ境界線
S1 オン領域
S2 オフ領域、
S3 ヒステリシス領域
M オン・オフ境界特性
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9