(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】ベクトル分布を備えた積層造形のための工具経路生成の方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20220829BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20220829BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220829BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220829BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220829BHJP
B29C 70/10 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y50/02
B33Y80/00
B29C70/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020095440
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】野村 壮史
(72)【発明者】
【氏名】アーカン メフメット ディード
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106863772(CN,A)
【文献】特表2017-537826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0096318(US,A1)
【文献】特表2018-523174(JP,A)
【文献】Biological Pattern Based on Reaction-Diffusion Mechanism Employed as Fabrication Strategy for a Shell Structure,Mater.Sci.Eng.,2019年02月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維複合部品の3次元印刷のための工具経路を生成する方法であって、前記方法は、
3次元ドメインモデルを規定することと、
前記3次元ドメインモデルのための一連の境界条件を決定することと、
(1)複合物品のための構造力学アルゴリズムを使用して、撓み又は応力を最小にするために前記3次元ドメインモデルを最適化するために、かつ、(2)位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を提供するために、勾配ベースのアルゴリズムを前記3次元ドメインモデル内にある所定の応力状態に適用することと、
前記位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を入力として使用して、グレイ・スコット反応拡散方程式を
、異方性拡散テンソルを使用して解き、前記繊維複合部品の3次元印刷用の異方性工具経路を生成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記3次元ドメインモデルは、前記繊維複合部品を表す3次元の形状及びサイズを備える、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項3】
前記3次元ドメインモデルは、推定データ、外部幾何学データ及び内部幾何学データのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項4】
前記外部幾何学データは、多角形メッシュデータ、表面メッシュデータ、コンピュータ支援設計(CAD)データ又はその組み合わせを含む、請求項3に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項5】
前記内部幾何学データは、密度分布から取得したデータを含み、1つ又は複数のボリューム画像、点群、スライス画像データセット又はその組み合わせをレンダリングする、請求項3に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項6】
前記グレイ・スコット反応拡散方程式を一定期間繰り返し解くことと、これとは別に弱い異方性及び強い異方性の拡散テンソルを使用することと、を含む、請求項
1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項7】
弱い異方性の拡散テンソルのセット又は等方性の拡散テンソルのセットのいずれかを用いて、前記グレイ・スコット反応拡散方程式を繰り返し解くことを終了することを含む、請求項
6に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項8】
連続繊維印刷(CFP)積層造形技術及び状況に応じた繊維配置(TFP)積層造形技術のうちの一方で使用するための前記異方性工具経路を構成することをさらに含む、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項9】
スカラー場の等高線を用いて前記工具経路を生成することを含む、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項10】
局所領域での繊維間隔の経路幅が、前記繊維複合部品の局所的な厚さと前記繊維複合部品の局所的な所定の応力状態とのうちの一方に基づくものである、請求項1に記載のツール経路を生成する方法。
【請求項11】
前記勾配ベースのアルゴリズムは、漸近線を移動させる方法(MMA)のトポロジー最適化と、漸近線を移動させる大域的収束方法(GCMMA)のトポロジー最適化とのうちの一方を含む、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項12】
前記3次元ドメインモデルに所定の荷重を加えることにより、前記3次元ドメインモデル内の前記所定の応力状態を取得することをさらに含む、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【請求項13】
分岐パターンを含み得る任意のエリアのための前記異方性工具経路を検討することと、前記異方性工具経路を修正して前記分岐パターンを除去することとをさらに含む、請求項1に記載の工具経路を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、積層造形の方法、さらに具体的には、3次元複合部品を印刷するための工具経路の生成を調整してカスタマイズする方法に概ね関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示で提供される背景説明は、本開示の文脈を概ね提示することを目的とするものである。現在名前の挙がっている発明者のこの背景技術の節に記載され得る範囲の研究のほか、出願時に先行技術として適格ではない可能性のある説明の態様を、明示的にも黙示的にも、現在の技術に対する先行技術として認めない。
【0003】
工具経路を積層造形技術とともに使用して、対象物の作成に役立つパターンを生成する場合がある。連続繊維印刷(CFP)及び状況に合わせた繊維配置(TFP)など、補強用の異方性材料を作成する積層造形技術では、作成された対象物の構造的完全性にて工具経路の設計がさらに重要になる可能性がある。所与の態様では、空間を埋めるツールチップの幅を有する均等ピッチの平行経路を有するのは有用である。CFP及びTFPのための従来の工具経路は、幾何学的情報に基づくものであり、エンジニアによる手動設計か、同心規定(工具経路が外周に平行)又は等方性(一方向配向平行パターンの積み重ね)などの設計基準を使用した手動設計によって決定されるか、あるいは構造解析結果に基づいて決定される場合がある。これとは別に、異方性トポロジー最適化を使用して所与のベクトル場に従う繊維レイアウトを実現したいのであれば、工具経路は、2つの主要な条件を満たすために手動で描かれる。1つ目は、均等ピッチ平行空間充填条件があること。2つ目は、所与の配向分布に可能な限り従うこと。手動による最適化は、時間とコストの両方がかかる。所与の自動生成の場合、従来のアルゴリズムは、所与の方向と連動して移動する点の流線追跡に基づくものである。これは、パス間の距離を制御するのが困難である。
【0004】
このため、さまざまな設計上の考慮事項に合わせてカスタマイズすることができ、改善され、費用効果が高く、自動化された工具経路生成方法を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
概要
この節は、開示の概要を提供するものであり、開示の全範囲又は全機能の包括的な開示ではない。
【0006】
さまざまな態様では、本教示は、繊維複合部品の3次元印刷用の工具経路を設計して生成する方法を提供する。方法は、3次元ドメインモデルを規定することと、3次元ドメインモデル用の一連の境界条件を決定することとを含む。方法は、(1)複合物品用の構造力学アルゴリズムを使用して、撓み又は応力を最小にするために3次元ドメインモデルを最適化するために、かつ、(2)位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を提供するために、3次元ドメインモデル内にある所定の応力状態に勾配ベースのアルゴリズムを適用することを含む。方法は、位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を入力として使用して、グレイ・スコット(Gray-Scott)反応拡散方程式を解き、繊維複合部品の3次元印刷用の異方性工具経路を生成することを含む。
【0007】
他の態様では、本教示は、本明細書に記載の方法に従って作成された3次元繊維複合部品又は物品を提供する。さまざまな態様では、3次元繊維複合物品は、3次元ドメイン空間を形成する形状及びサイズを有する少なくとも1つの繊維強化材を含む。繊維強化材は、所定の繊維方向及びピッチ経路を有する所定のパターンで3次元ドメイン空間に配置される。所定のパターンは、グレイ・スコット反応拡散方程式を解くことによって得られる異方性工具経路に基づくものである。所定のパターンは、繊維複合物品の局所的な厚さと繊維複合物品の局所的な所定の応力状態とのうちの一方に基づく可変ピッチ経路を有してもよい。
【0008】
別の適用エリア及び上記の技術を強化する方法が、本開示で提供される説明から明らかになるであろう。この概要での説明及び具体例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0009】
図面の簡単な説明
本教示は、詳細な説明及び添付の図面からさらに全体的に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】連続繊維印刷経路又は類似する熱溶解積層法様式の印刷経路技術など、性能に敏感なツール経路を使用して作成することができる例示的な構成要素の形状を概ね示す図。
【0011】
【
図2】本技術の方法及び手法を使用して作成される例示的な構成要素の幾何学データの3次元表現を提供する上面図。
【0012】
【
図3】高さ場をさらに適切に図示する、
図2の構成要素の斜視図であって、さまざまな態様で、高さ場は幾何学データを使用して計算することができる図。
【0013】
【
図4】
図2及び
図3の例示的な構成要素のベクトル場配向データを示す図。
【0014】
【
図5】
図4とほぼ同じ、従来の配向データの図解を提供する概略図。
【0015】
【
図6】均等ピッチを概ね提供する本技術の一態様による配向データの図解を提供する概略図であって、例えば、エリアを埋めながら所与の配向に従い、閉じた周囲を備え、3次元印刷パスに適する図。
【0016】
【
図7】可変ピッチを概ね提供する本技術の別の態様による配向データの図解を提供する概略図であって、状況に応じた繊維配置の繊維経路に適した、開いた周囲が提供される図。
【0017】
【
図8】配向場(ベクトル場)からの入力データの図解を提供する図。
【0018】
【
図9】高さ場(スカラー場)からの入力データの図解を提供する図。
【0019】
【
図10】本技術によるグレイ・スコットパターン(スカラー場)を用いた例示的なパターン生成を提供する図。
【0020】
【
図11】本技術による工具経路(ラインデータ)を生成する例示的な輪郭抽出を提供する図。
【0021】
【
図12】本技術のさまざまな態様による繊維経路パターンを設計するための例示的な方法のフローチャートを示す図。
【0022】
【
図13】本開示で有用な経路パターン及びピッチを設計する方法の主要な特徴を概ねに要約する例示的な概略図。
【0023】
【
図14】ドメインを最適化するために漸近線を移動させる方法(MMA)又は漸近線を移動させる大域的収束方法(GCMMA)を使用する例示的な勾配ベースのアルゴリズムのフローチャート。
【0024】
【
図15A】t=400及び1:100の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する図。
【0025】
【
図15B】t=800及び1:5の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する図。
【0026】
【
図15C】t=1200及び1:100の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する図。
【0027】
【
図15D】t=2000及び1:1の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示に記載の図は、所与の態様を説明する目的で、本技術の特性のうち、方法、アルゴリズム及び装置の一般的な特性を例示することを意図することに留意されたい。このような図は、任意の所与の態様の特性を正確に反映していない可能性があり、必ずしもこの技術の範囲内の所与の実施形態を規定することを意図するものでも制限することを意図するものでもない。さらに、特定の態様では、図の組み合わせからの特徴が組み込まれてもよい。
【0029】
詳細な説明
積層造形とは、コンピュータ化された装置又はプログラムされた装置のガイド付き制御の下で、材料の重なり合う層の整列と堆積のうちの一方又は両方を実施することによって、3次元構成要素を作成するために使用される技術である。本技術は、物品又は部品の積層造形に有用な工具経路の生成を最適化するための方法を概ね教示する。特に、本技術は、添加材として繊維を用いた繊維複合構成要素の作成に関する。
【0030】
通常、幾何学的情報のみに基づいて従来の工具経路を生成する。積層造形に必要な工具経路は、3次元印刷用の所与のベクトル場に従う。しかし、異方性トポロジー最適化を用いて所与のベクトル場に従う繊維レイアウトを実現したいのであれば、経路は、2つの主要な条件を満たすために手動で描画される。第一に、均等ピッチ平行空間充填条件があること。第二に、所与の配向分布に可能な限り従うこと。この点で、本技術の新たな工具経路は、修正されたグレイ・スコット(GS)方程式のフィールド値の輪郭に基づいて生成される。さまざまな態様では、GS方程式は、適切なパラメータセットを提供することにより、均等ピッチのライン及び空間のパターンを生成することができる。例えば、ラインの方向は、境界と初期値の影響を受け、次に、GS方程式は、工具経路生成をさらに正確に制御するために、異なる拡散テンソルによって修正される。さまざまな態様では、微細なトウ炭素複合材料であって、例えば、直径又は厚さが約1/4から約1/8インチの間である材料を使用して構成要素を作成することができる。繊維は、応力モデルと歪み入力モデルとのうちの一方又は両方の性質と、ミーゼス降伏条件とに応じて、応力スカラー/テンソルと組み合わせて、例えば、主応力方向に沿うか主方向、二次方向、三次方向などの方向に沿って、ドメイン空間全体にわたって配向することができる。
【0031】
修正されたGS方程式を使用することにより、異方性拡散テンソルのその拡散項での分布が得られ、拡散テンソルはこのほか、時間に依存する。経路ピッチは、拡散係数の値によって規定することができる。修正されたGS方程式では、拡散テンソルの第2の主要要素(即ち、拡散テンソルの短軸)は一定に維持されるが、第1の主要要素は時間に依存し、所与の方向に大きくなるように引き伸ばされる。引き伸ばしの量は時間によって制御される。例えば、パターンは、大きくすることによって指向性が増すが、同時に、拡散値自体が所与の方向に大きくなるため粗くなる。これとは逆に、第1の主要方向の拡散テンソル要素が小さくなり、最終的には第2の主方向と同じ値、即ち、等方性になる場合、パターンの指向性が低下する。しかし、元のGS方程式の性質により、ラインの方向は初期状態又は前の状態に依存し、パターンは所与の方向分布を依然として維持する。本技術の方法は、ある期間にわたってGS方程式を繰り返し解き、少なくとも2セットの拡散テンソルを使用して異方性強度を切り替える。引き伸ばしの量を時間ごとに変えることにより、ラインパターンは、さらに連続的になり、良好に追従し、良好にまとまる。
【0032】
さまざまな態様では、本技術は、漸進的な経路ピッチ分布制御をさらに提供する。例えば、状況に応じた繊維配置(TFP)を使用した積層造形技術の場合、経路は製品の厚さを概ね決定する。このため、経路ピッチ分布制御は、可変厚さの製品を設計するために使用される重要な変数である可能性がある。本技術では、厚さ分布により拡散係数の値を変化させて、可変厚さのパターンを生成する。この点で、厚さと拡散係数との間の関係は線形である。
【0033】
繊維含有量が3次元空間で局所的に設計される3次元最適化に加えて、本技術はこのほか、2次元的に最適化された構成要素に適用可能である。例えば、必要とされる計算時間の量に対して、完全な3次元最適化に法外な費用がかかる場合、2次元複合部品最適化を実施してもよい。この点で、TFP経路のピッチ間隔及び製品の厚さを状況に適合させることは、応力の大きさ、例えば、ミーゼス応力との間に論理的な相関がある。ここでは、ピッチ間隔、ひいては最終的な部品の厚さが狭くなるほど、応力のレベルが高くなり、その逆もある。
【0034】
以下でさらに詳細に説明するように、GS方程式からの経路の抽出は、スカラー場の取得に由来するものである。出力パターンは、高いスカラー値と低いスカラー値の分布であり、高い値が黒で低い値が灰色であるモノクロ画像データとほぼ同じである。特定の態様では、ラインパターン自体は多くの分岐を含んでもよい。しかし、分岐点への追加の移動と作業エリアの中央での追加の開始点が必要になるであろうことから、分岐が工具経路には望ましくないことを理解されたい。本技術は、スカラー場の輪郭を使用して、工具経路を生成し、ひいては、好ましくは、いかなる分岐も有していない経路の一群を生成する。
【0035】
さまざまな態様では、複合繊維構成要素のための性能に敏感な工具経路を設計して生成する方法には、最初に、最適化ドメインの境界条件と荷重を規定することが含まれる。特定の方法には、補間プロセスを実行することが含まれる場合がある。多くの例示的な方法には、応力解析によってループに組み込まれた勾配ベースのトポロジーアルゴリズム(MMA又はGCMMA)を使用することが含まれる。次に、ドメインは、複合媒質の標準的な構造力学の定式化を使用して、最小の撓み(又は目的に応じて、最小の応力)に最適化される。GS方程式は、トポロジー最適化設計及び繊維配向場に基づいて、TFP又は連続繊維印刷(CFP)のための異方性工具経路を生成するために利用される。繊維間隔は、所望の最終部品の厚さ、印刷の制約及び上記の設計情報に基づくものであってもよい。
【0036】
図1は、連続繊維印刷経路技術又は類似の熱溶解積層法様式の印刷経路技術など、性能に敏感なツール経路を備えた積層造形技術を使用して作成することができる例示的なトラス構造構成要素20の形状を概ね示す。構成要素20は、外周22によって形成された形状を備えてもよく、外周22内に位置づけられ、複数の開口26を集合的に形成するさまざまな構造的交差部材24を備えてもよい。開口では、構成要素20を補強する目的の繊維が存在しないか、あるいは成形されたパターン又は状況に応じたパターンを必要としないか、そのようなパターンから恩恵を受けない別の充填材料が提供されるかのいずれかである。
【0037】
図2は、別の例示的な構成要素30の幾何学データの3次元表現を提供する上面図であり、この構成要素の形状は、本技術の特徴をさらに説明するために使用される。
図1と同じように、部品又は物品とも呼ばれ得る
図2の構成要素30は、外周32内に配置された繊維によって概ね形成された形状を有し、外周32内に位置づけられ、集合的に複数の開口36を形成するさまざまな交差部材34を備えてもよい。開口では、構成要素30を補強する目的の繊維が存在しないか、あるいは成形されたパターン又は状況に応じたパターンを必要としないか、そのようなパターンから恩恵を受けない別の充填材料が提供されるかのいずれかである。
図2は、本技術の方法にて有用な初期入力を提供するために使用されてもよい。本技術にて有用な境界及び幾何学データの初期入力は、明示的又は黙示的であっても、あるいは両方の組み合わせであってもよく、特定の例では、データの少なくとも一部が推定されてもよい。明示的なデータは、例えば、多角形メッシュデータ及び表面メッシュデータ、CADデータなどを含んでもよい。黙示的なデータは、密度分布、レンダリングボリューム画像、点群、スライス画像データセットなどから得られたデータを含んでもよい。
【0038】
図3は、
図2の構成要素の斜視図を提供し、構成要素30の高さ場及び高度の変動をさらに良好に示す。さまざまな態様では、高さ場は幾何学データを用いて計算することができる。例えば、高さが最も高いエリアを参照番号38で示し、高さが最も低いエリアを参照番号40で示す。
図4では、
図2及び
図3の構成要素の例示的な複合繊維配向データが提供される。図示のように、さまざまな方向矢印42は、実質的に均一な間隔で提供され、高さの差を考慮していない。
【0039】
図5は、
図4とほぼ同じ従来の繊維強化配向パターンデータの図解を提供する概略図であるが、同心規定と呼ばれることが多いものを使用する。言い換えると、工具経路は、印刷されるエリアの外周に概ね平行(同心)である。そのような設計は、好ましくないものであるか、望ましくないものである場合がある。例えば、
図5の拡大部分に見られるように、方向矢印44のうちのいくつかは、同心円状の設計に対して誤った方向で提供される。
【0040】
図6は、構成要素30に均等な経路ピッチを概ね提供する本技術の一態様による配向データの図解を提供する概略図である。図示のように、経路は、エリアを埋めながら所与の方向に従う。経路は、3次元印刷経路に適した閉じた周囲を備える。明示的な境界がある場合、一例では、ディリクレ(又は第1のタイプ)の境界条件を適用して、全境界でゼロにすることができる。当技術分野で知られているように、ディリクレは、常微分方程式又は偏微分方程式を適用したときに、ドメインの境界に沿って解を求める必要のある値を、特定する一種の境界条件である。応用科学では、ディリクレ境界条件を固定境界条件と呼ぶ場合がある。黙示的な境界(例えば、密度分布)がある場合、一例では、方法には、ドメインの外側でGS方程式のソース項をゼロに設定して、ソース項に密度を乗算することを含む。
【0041】
図7は、可変ピッチ経路を概ね提供する本技術の別の態様による配向データの図解を提供する概略図である。図示のように、この構成要素30の設計は、開いた周囲を備える。例えば、経路は、TFP経路に適した、参照番号46で示すドメインの外側の開始点を固定する。この態様には境界条件はなく、この方法には、ドメインの外側に非常に大きな拡散係数を設定することが含まれる。
図7と併せて
図3を新たに参照すると、参照番号40によって示す、高さが低いエリアの方が、経路ピッチが広くなる。一方、参照番号38で示す、最大の高さのエリアの方が、経路ピッチが狭くなる。
【0042】
本技術の方法をさらに理解するために、
図8から
図11は、さまざまな勾配ベースのアルゴリズムを使用し、本技術の方法を使用してグレイ・スコット反応拡散方程式を解いた後の入力データから出力ラインデータへの進行の追加の図解を提供する。
図8は、繊維パターンを最適化するために使用することができるベクトル場データ又は応力場データの形式の配向場データの別の例を提供する。さまざまな態様では、これは、漸近線を移動させる方法(MMA)のトポロジー最適化と、漸近線を移動させる大域的収束方法(GCMMA)のトポロジー最適化とのうちの一方から取得することができる。(
図14は、ドメインを最適化するためにMMA又はGCMMAを使用する例示的な勾配ベースのアルゴリズムのフローチャートである。)さまざまな態様では、主応力方向を、トポロジー最適化の代替としてのベクトル場として使用することができる。
【0043】
図9は、概ね厚さの変化である高さ場又はスカラー場の別の例を提供する。
図9に示すように、最も暗いエリアは最も低い高さで提供される一方、グレースケールが明るくなるほど高さが上がり、高さは厚さに直接関係する。
図10は、本技術に従って解決されたグレイ・スコットパターン(スカラー場)を使用した例示的なパターン生成を提供する。
図11は、本技術によって
図10に提供されたパターンから工具経路(ラインデータ)を生成する例示的な輪郭抽出を提供する。さまざまな態様では、
図11の連続線経路に到達するために、GS方程式を使用して開発された可能性のある望ましくない任意の経路を排除する必要がある場合があることを理解されたい。このため、方法には、GS方程式に由来する異方性工具経路を検討し、分岐パターンを含む可能性のある任意のエリア、あるいは等高線を単一ストロークとして作成する際に問題が発生する可能性があるであろう、「行き止まり」又は孤立したドメインにつながる経路を含むエリアを探すステップが含まれる場合がある。この点に関して、任意の望ましくない経路と分岐とのうちの一方又は両方は、手動プロセスを使用して個人によって直感的に除去されてもよく、あるいは自動化された方法及びソフトウェアを使用して、検出して除去することができることが想定される。
【0044】
図12は、本技術のさまざまな態様による繊維ツール経路パターンを設計するための例示的な方法のフローチャートを示す。
図13は、本開示で有用な経路パターン及びピッチを設計する方法の主要な特徴を概ね要約する例示的な概略図を示す。本技術は、工具経路パターンの設計に概ね焦点を合わせており、積層造形プロセスで使用するためにそのパターンを構成することができるように設計する。さまざまな態様では、3次元繊維複合構成要素は、1つ又は複数の繊維強化材料部品から作成されてもよい。有用な繊維強化材の非限定的な例には、工学的熱可塑性プラスチック材料と、複数の繊維強化材と、繊維フィラメントと、繊維トウとが含まれる。
【0045】
3次元繊維複合部品を印刷するための工具経路を設計する方法が、3次元ドメインモデルのための一連の境界条件とともに、繊維複合部品の所定の3次元ドメインモデルを規定することから始まってもよい。この方法は、3次元ドメインモデルに所定の荷重を加えることによって、3次元ドメインモデル内に所定の応力状態を規定することを含んでもよい。次に、応力勾配ベースのアルゴリズムを使用して、最小の撓み(即ち、歪み)又は応力についてドメインを、複合物品のための構造力学アルゴリズムを使用して最適化してもよい。
図14は、有限要素解析を使用することにより、漸近線を移動させる例示的な方法(MMA)又は漸近線を移動させる大域的収束方法(GCMMA)のアルゴリズムであって、流体流れのCFDによってループに組み込まれたアルゴリズムを使用して設計変数を更新することを示す。さまざまな態様では、撓みを最小限に抑える方法には、3次元ドメインモデル内の構造的トポロジー及び繊維補強角度を最適化することが含まれる。さまざまな例では、最適化された設計空間の繊維補強角度は、繊維複合部品の3次元印刷のための異方性工具経路との間に相関があってもよい。
【0046】
勾配ベースのアルゴリズムは、(1)複合物品のための構造力学アルゴリズムを使用して、撓み又は応力が最小になるように3次元ドメインモデルを最適化し、(2)位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を提供するために、3次元ドメインモデル内にある所定の応力状態に適用される。
【0047】
一旦取得されると、方法は、位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を入力として使用して、グレイ・スコット反応拡散方程式を解き、繊維複合部品の3次元印刷用の可変ピッチを備える異方性工具経路を生成することによって継続する。
【0048】
当技術分野で知られているように、反応拡散系とは、物理現象に対応する数学的モデルである。一例では、1つ又は複数の化学物質の濃度の空間的変化及び時間的変化がモデル化される。数学的に言えば、反応拡散系は、次のような一般的な形式で表される半線形放物型偏微分方程式の形式を概ね取る。
【数1】
ここで、q(x、t)は未知のベクトル関数を表し、Dは拡散係数の対角行列であり、Rは全局所反応を表す。化学種の反応及び拡散が、自然界でよく見られるパターンを彷彿とさせるさまざまなパターンを生じさせることがある。グレイ・スコット方程式は、そのような反応をモデル化し、次のように概ね提供される。
【数2】
このプロセスをモデル化する偏微分方程式は、さまざまな数値手法でシミュレートされてもよい。さまざまな態様では、ラプラシアンの空間離散化によって得られる有限差分方程式の前方オイラー積分などの方法を使用して良好な結果を得ることができ、あるいは拡散係数は、目標の高さ場のために推定することができる。例えば、さまざまな態様では、(ピッチ)^2の値(即ち、高さの2乗を超える値)を使用して、拡散係数を概算することができる。ピッチは高さに反比例する。ピッチを小さくすると密度が高くなり、繊維が互いに近くなり、高さ寸法が増大する。
【0049】
グレイ・スコット反応拡散モデルは、2つの化学物質の挙動を記述し、物質の拡散、供給速度、除去速度及び2つ物質の間の反応に基づいて、所与の時間での2つの物質の濃度を計算する数学モデルである。このシミュレーションは、化学反応の基礎となるプロセスをモデル化するだけでなく、自然界に見られるパターンと非常に類似した物質のパターンをもたらす可能性もある。例としては、シマウマの縞模様、ヒョウの皮、蝶の斑点、魚の模様などの動物の模様、指紋、砂の波紋、葉の静脈の模様をはじめとするさまざまな生物学的現象が挙げられる。本技術では、このモデルに由来する特定のパターンを、繊維配向角度分布パターンの少なくとも一部の設計に使用することができる。
【0050】
モデルを説明するために、提示された1つの類推は、時間ゼロで各化学物質U及びVのさまざまな濃度を含むエリア又は空間を想像することである。時間の経過とともに、物質Uは所与の速度で反応に供給されるのに対し、物質Vは所与の速度で除去される。さらに、Vの2つの分子がUの1つの分子と反応し、次のようにUの物質をVに変換する。
U+2V→3V
V→P
U、V及びPは化学物質である。上記で列挙した2つの偏微分方程式を使用してシミュレーションを達成する。各方程式は、時間の経過に伴う物質の濃度の変化を表す。ここで、u及びvは、それぞれの濃度を表す独立変数である。Du及びDvは、それぞれの拡散速度又は拡散テンソルであり、透磁率から計算することができる。パラメータkは、VからPへの変換率を表し、Fは、Uを供給し、U、V及びPを排出するプロセスの速度を表す。パラメータk及びFは、調整可能な任意の正の数である。各拡散テンソルは概ね、さまざまな方向の拡散速度を反映する3x3行列である。
【0051】
uの変化(上の偏微分方程式)は、そのvとの反応(ひいては、uv2の減算(-))に依存し、特定の速度で供給される(+F、その現在の濃度に拡大される)。vの変化(下の偏微分方程式)は、そのuとの反応(ひいては、uv2の加算(+))に依存し、所与の速度で除去される(-k、供給速度及びVの濃度によって縮小される)。各位置でのU又はVの濃度は、対応する方程式の結果に基づいて、時間増分(典型的には1)ごとに更新される。供給速度、除去速度及び拡散速度の値は方程式に入力される。例えば、2Dグリッドでは、ラプラシアン演算子は畳み込み行列で計算されることがあり得る。新たな濃度を計算するために、現在の濃度と各周囲濃度に、行列内の対応する値(現在の位置は畳み込み行列内の中心位置に対応する)を乗算して、全値を合計する。この値は、現在の位置と周囲の位置との間の濃度の差を技術的に表す。
【0052】
上記のモデルは、当技術分野で知られているように、適切なコンピュータコードにてプログラムすることができる。さまざまな態様では、結果として得られるモデルは、その位置でのV(v)の濃度を表す画像の各ポイント又はピクセルを、反応容器を表す画像に提供する。例えば、グレイ・スコット反応拡散方程式は、有限微分法又は有限要素法などのさまざまな数値法で解くことができる。u及びvの初期値は、ランダムノイズ分布であり得る。適切なパラメータセットを用いて一定期間グレイ・スコット方程式を解くことにより、定常状態が得られる。次に、得られた構造の等高線は、繊維堆積経路として解釈される。例えば、場の中央値の等高線を辿ることにより、等高線は黒いドメインの周囲を辿る。単一のストローク線は、孤立した黒いドメインごとに取得される。
【0053】
さまざまな態様では、本技術は、異方性パターンレイアウトを得るためにグレイ・スコット反応拡散方程式を使用してもよい。これには、グレイ・スコット方程式とともに異方性拡散テンソルを使用することが含まれてもよい。
図11は、異方性拡散テンソルを使用して繊維配向パターンを設計するための例示的な方法のフローチャートを示す。
図11に示すように、(x)は位置依存性であることを意味する。強い異方性の拡散テンソル場の1回目の実行では、拡散値が大きいため、曲線及び空間のパターンが粗くなり、曲線因子が不十分になる場合がある。2回目以降の実行では、不要な非常に短い分岐などの欠陥が減少する。特定の態様では、弱い異方性の拡散テンソル場は、等方性拡散テンソル場であることがあり、弱い異方性の拡散テンソル場も等方性拡散テンソル場も、繊維の曲線因子を改善する。
【0054】
さまざまな態様では、弱い異方性のテンソルと強い異方性のテンソルとのセットを代わりに使用して、所与の配向場とともに、接続された線と空間のパターンを取得する。横方向は経路ピッチを規定する。等方性拡散テンソルでは、経路ピッチ(a)と長さ(b)の比率は、a:b=1:1として表すことができる。弱い異方性のテンソルの場合、a:bの比率は約1:1から約1:5の間である。強い異方性のテンソルの場合、a:bの比率は最大で約1:100になる場合がある。テンソルを繊維方向である長手方向に伸ばすことにより、線と空間のパターンを得ることができる。
さまざまな態様では、少なくとも2セットの拡散テンソルを使用して、反応拡散方程式を繰り返し解く。この2セットは、等方性又は弱い異方性のセット及び強い等方性のセットである。さまざまな方法では、グレイ・スコット方程式は一定期間解かれる場合がある。ここでは、拡散テンソルのセットの強度は弱と強が交互に発生する。例えば、拡散テンソルは、等方性→異方性→等方性に切り替えられてもよい。これは、数回繰り返えされ、好ましくは、弱い異方性のセット又は完全に等方性のセットのいずれかで終了してもよい。
図12は、繊維の目標ピッチを得るためのGS方程式の推定拡散係数で始まる工具経路を設計するための方法を概ね要約する例示的な概略図を示す。この方法では、高さ場から拡散係数分布をマッピングし、拡散係数分布を使用してGS方程式を解いて、繊維経路パターンを生成する。
図13は、高さ場と、結果として生じる繊維経路パターンのピッチとの間の関係を説明する例示的な概略図を示す。
【0055】
さまざまな態様では、工具経路を生成する方法には、グレイ・スコット反応拡散方程式を一定期間繰り返し解くことと、これとは別に、弱い異方性及び強い異方性の拡散テンソルを使用することとが含まれる。一具体例では、方法には、拡散テンソルの弱い異方性のセット又は拡散テンソルの等方性のセットのいずれかを用いて、グレイ・スコット反応拡散方程式を繰り返し解くことを終了することが含まれる。この点に関して、本開示では
図15Aから
図15Dを提供して、使用される拡散テンソルのタイプに基づく場のパターンの設計の違いを示す。局所領域での繊維間隔の経路幅は、繊維複合部品の局所的な厚さと、繊維複合部品の局所的な所定の応力状態とのうちの一方に基づくものである。ここで、この繊維間隔は、最終的な面外厚さに実質的に影響を及ぼす可能性がある。
図15Aは、t=400及び1:100の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する。
図15Bは、t=800及び1:5の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する。
図15Cは、t=1200及び1:100の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する。
図15Dは、t=2000及び1:1の拡散比(経路ピッチ:長さ)を有する例示的な時間依存性の異方性グレイ・スコットパターンを提供する。
【0056】
上記の説明は、例示及び説明を目的とするものであり、開示、その適用又は使用を制限することを意図するものでは決してない。網羅的であることも、開示を制限することも意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴を、その特定の実施形態に限定することは概ねないが、個々の要素又は特徴は、具体的に示されても説明されてもいない場合でも、適用可能な場合には、交換可能であり、選択された実施形態で使用することができる。このほか、同じものがさまざまに変更される場合がある。そのような変更は、開示からの逸脱と考えるべきではなく、そのような修正はいずれも、開示の範囲内に含まれることを意図するものである。
【0057】
A、B及びCの少なくとも1つという表現は、本開示で使用する場合、非排他的論理「又は」を用いる論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されるべきである。方法内のさまざまなステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で実行され得ることを理解されたい。範囲の開示には、終点を含む範囲全体内の全範囲と細分化された範囲の開示が含まれる。
【0058】
本開示で使用する見出し(「背景」及び「要約」など)及び小見出しは、本開示内の主題の一般的構成のみを意図するものであり、技術又はその任意の態様の開示を制限することを意図するものではない。記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態、あるいは記載された特徴のさまざまな組み合わせを組み込んだ他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0059】
「備える」及び「含む」という用語及びその変形は、本開示で使用する場合、非限定的であることを意図するものであり、連続した項目の列挙又はリストには、この技術の装置及び方法に有用である可能性もある他の類似項目を除外する意図はない。同じように、「することができる」及び「してもよい」という用語及びその変形は、非限定的であることを意図するものであり、実施形態が特定の要素又は特徴を含むことができる、あるいは含んでもよいという記述が、そのような要素又は特徴を包含しない本技術の他の実施形態を除外するものではない。
【0060】
本開示の広範な教示は、さまざまな形態で実施することができる。このため、この開示には特定の例が含まれるが、開示の真の範囲は、本明細書及び以下の特許請求の範囲を検討すると、他の修正が当業者に明らかになるため、それほど限定されるべきではない。本開示での1つの態様又はさまざまな態様への言及は、実施形態又は特定のシステムに関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。「一態様(又はその変形)では」という表現があっても、必ずしも同じ態様又は実施形態を指すとは限らない。このほか、本開示で考察するさまざまな方法ステップは、記載と同じ順序で実施される必要はなく、各方法ステップが各態様又は各実施形態で必要とされるわけではないことを理解されたい。
[例1]
繊維複合部品の3次元印刷のための工具経路を生成する方法であって、前記方法は、
3次元ドメインモデルを規定することと、
前記3次元ドメインモデルのための一連の境界条件を決定することと、
(1)複合物品のための構造力学アルゴリズムを使用して、撓み又は応力を最小にするために前記3次元ドメインモデルを最適化するために、かつ、(2)位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を提供するために、勾配ベースのアルゴリズムを前記3次元ドメインモデル内にある所定の応力状態に適用することと、
前記位相的に最適化された繊維複合部品の設計及び繊維配向場を入力として使用して、グレイ・スコット反応拡散方程式を解き、前記繊維複合部品の3次元印刷用の異方性工具経路を生成することと、
を含む方法。
[例2]
前記3次元ドメインモデルは、前記繊維複合部品を表す3次元の形状及びサイズを備える、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例3]
前記3次元ドメインモデルは、推定データ、外部幾何学データ及び内部幾何学データのうちの少なくとも1つを含む、例2に記載の工具経路を生成する方法。
[例4]
前記外部幾何学データは、多角形メッシュデータ、表面メッシュデータ、コンピュータ支援設計(CAD)データ又はその組み合わせを含む、例3に記載の工具経路を生成する方法。
[例5]
前記内部幾何学データは、密度分布から取得したデータを含み、1つ又は複数のボリューム画像、点群、スライス画像データセット又はその組み合わせをレンダリングする、例3に記載の工具経路を生成する方法。
[例6]
前記グレイ・スコット反応拡散方程式で異方性拡散テンソルを使用することを含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例7]
前記グレイ・スコット反応拡散方程式を一定期間繰り返し解くことと、これとは別に弱い異方性及び強い異方性の拡散テンソルを使用することと、を含む、例6に記載の工具経路を生成する方法。
[例8]
弱い異方性の拡散テンソルのセット又は等方性の拡散テンソルのセットのいずれかを用いて、前記グレイ・スコット反応拡散方程式を繰り返し解くことを終了することを含む、例7に記載の工具経路を生成する方法。
[例9]
連続繊維印刷(CFP)積層造形技術及び状況に応じた繊維配置(TFP)積層造形技術のうちの一方で使用するための前記異方性工具経路を構成することをさらに含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例10]
スカラー場の等高線を用いて前記工具経路を生成することを含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例11]
局所領域での繊維間隔の経路幅が、前記繊維複合部品の局所的な厚さと前記繊維複合部品の局所的な所定の応力状態とのうちの一方に基づくものである、例1に記載のツール経路を生成する方法。
[例12]
前記勾配ベースのアルゴリズムは、漸近線を移動させる方法(MMA)のトポロジー最適化と、漸近線を移動させる大域的収束方法(GCMMA)のトポロジー最適化とのうちの一方を含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例13]
前記3次元ドメインモデルに所定の荷重を加えることにより、前記3次元ドメインモデル内の前記所定の応力状態を取得することをさらに含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例14]
分岐パターンを含み得る任意のエリアのための前記異方性工具経路を検討することと、前記異方性工具経路を修正して前記分岐パターンを除去することとをさらに含む、例1に記載の工具経路を生成する方法。
[例15]
例1に記載の方法に従って作成された3次元繊維複合部品。
[例16]
3次元印刷繊維複合物品であって、3次元ドメイン空間を規定する形状及びサイズを有する少なくとも1つの繊維強化材を備え、前記繊維強化材は、所定の繊維方向及びピッチ経路を有する所定のパターンで前記3次元ドメイン空間に配置され、前記所定のパターンは、グレイ・スコット反応拡散方程式を解くことによって得られる異方性工具経路に基づくものである、3次元印刷繊維複合物品。
[例17]
前記所定のパターンは可変ピッチ経路を含む、例16に記載の3次元印刷繊維複合物品。
[例18]
前記経路ピッチは、前記繊維複合物品の局所的な厚さと前記繊維複合物品の局所的な所定の応力状態とのうちの一方に基づいて決定される、例17に記載の3次元印刷繊維複合物品。
[例19]
前記グレイ・スコット反応拡散方程式は、一定期間繰り返し解かれ、これとは別に弱い異方性及び強い異方性の拡散テンソルを使用する、例16に記載の3次元印刷繊維複合物品。
[例20]
前記少なくとも1つの繊維強化材は、工学的熱可塑性プラスチック材料と、複数の繊維強化材と、繊維フィラメントと、繊維トウとのうちの1つを含む、例16に記載の3次元印刷繊維複合物品。